JP2018052756A - フラーレンの分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分散性の良好なフラーレンの分散液及びその製造方法を提供する。【解決手段】フラーレンが、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液中に分散しているフラーレン分散液を用いる。【選択図】 なし
Description
本発明は、フラーレンの水分散液及びその製造方法に関する。
特許文献1(特開2007−70147号公報)には、フラーレンをその平均粒子径が10μm以下となるように粉砕し、得られたフラーレン微粉末を分散媒以外の添加物を加えることなく、水その他の種々の液体媒体中に混合して分散させるフラーレンナノ粒子分散液の製造方法が開示されている。
特許文献2(特開2001−348214号公報)には、水に可溶であって且つフラーレンの溶媒にフラーレンを溶解し、得られた溶液を水に混合し必要によりフラーレンの溶媒を除去するフラーレン水分散液の製造法が開示されている。
特許文献3(特開2007−63063号公報)には、単糖又は少糖の結晶と、フラーレンと、非イオン又は陰イオン界面活性剤とを擂潰して得られる擂潰混合物に水を添加するフラーレン水分散液の製造方法が開示されている。
しかしながら、前述のようにフラーレンの水分散性の改良は行われてきたが、まだ十分な分散性を発揮しないという課題があった。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、分散性の良好なフラーレンの分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記[1]〜[8]を含む。
[1] フラーレンが、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液中に分散しているフラーレン分散液。
[2] フラーレンが、C60、C70及びこれらより高次のフラーレンから選ばれる1種または2種以上の混合物である前項[1]に記載の分散液。
[3] 前記分散液中のフラーレン含有量が0.01〜10質量%である前項[1]または[2]に記載の分散液。
[4] 前記高分子が、ポリチエニルアルカン誘導体またはポリイソチアナフテン誘導体である前項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の分散液。
[5] 前記分散液中の前記高分子含有量が、フラーレン100質量部に対して0.1〜50質量部である前項[1]〜[4]のいずれか一項に記載の分散液。
[6] 前記分散液のpHが5以下である前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載の分散液。
[7] 前項[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフラーレン分散液が表面に塗布されている塗布物。
[8] 前項[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフラーレン分散液の製造方法であって、前記スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液とフラーレンとを遊星ボールミルで混合することを特徴とするフラーレン分散液の製造方法。
[2] フラーレンが、C60、C70及びこれらより高次のフラーレンから選ばれる1種または2種以上の混合物である前項[1]に記載の分散液。
[3] 前記分散液中のフラーレン含有量が0.01〜10質量%である前項[1]または[2]に記載の分散液。
[4] 前記高分子が、ポリチエニルアルカン誘導体またはポリイソチアナフテン誘導体である前項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の分散液。
[5] 前記分散液中の前記高分子含有量が、フラーレン100質量部に対して0.1〜50質量部である前項[1]〜[4]のいずれか一項に記載の分散液。
[6] 前記分散液のpHが5以下である前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載の分散液。
[7] 前項[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフラーレン分散液が表面に塗布されている塗布物。
[8] 前項[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフラーレン分散液の製造方法であって、前記スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液とフラーレンとを遊星ボールミルで混合することを特徴とするフラーレン分散液の製造方法。
本発明によれば、フラーレンが良好に分散し、分散性が向上した分散液を得ることができる。
<フラーレン分散液>
本発明のフラーレン分散液は、フラーレンが、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液中に分散している。ここで、分散しているとは、分散液を24時間静置しても沈降物が目視で観察されない状態を示す。
本発明のフラーレン分散液は、フラーレンが、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液中に分散している。ここで、分散しているとは、分散液を24時間静置しても沈降物が目視で観察されない状態を示す。
一般にフラーレンの分散液(特にアニオン性界面活性剤を使用した分散液)は、低いpHで不安定になり易いが、本発明の分散液は、低いpHでも安定なので、pHが5以下、さらにはpH2以下でも後述する塗布物等に使用できる。
本発明のフラーレン分散液は、前記高分子の水溶液とフラーレンとを遊星ボールミルで混合することにより得ることができる。
なお、ミキサーや一般的なボールミル等で混合すると、混合エネルギーが小さい場合は凝集塊のほぐれ具合が少なく、混合エネルギーが大きい場合はせん断力がかかりすぎるためフラーレン分子が分解されるといった問題がある。その点上記の遊星ボールミルによる方法を用いるとフラーレンの凝集塊に適度な混合エネルギーを与えることが出来るため、フラーレン分子が分解されずに凝集塊をほぐすことが出来る。
より具体的には、混合は、金属製ポット及び金属酸化物のボールを備えた遊星ボールミルを用いて行うことが好ましい。混合物は、使用するポットの内容積のおおよそ1/3位まで入れられる。使用するボールとしては、ジルコニア、アルミナ、メノウまたはステンレスなどのボールが好ましい。ボールの直径は、0.1〜5mm程度のものを好ましく使うことができる。より好ましくは、0.5mm程度である。ディスクの回転数は、装置やポット径により、回転数の上限があるが、通常前記上限近くの高回転が好ましく、例えば、130mmのポット径ならば、より好ましくは200〜400rpm、さらに好ましくは300〜350rpmである。公転自転率は、なるべく大きくした方がよい、例えば、1:±1 〜 1:±3 が好ましい。また、公転に対する自転の回転方向は、逆にした方が好ましい。
<フラーレン>
本発明に用いるフラーレンは、種々の物を用いることができる。例えば、比較的入手しやすいC60、C70及びこれらより高次のフラーレンから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。
本発明に用いるフラーレンは、種々の物を用いることができる。例えば、比較的入手しやすいC60、C70及びこれらより高次のフラーレンから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。
本発明のフラーレン分散液中のフラーレンの含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。この範囲であれば、安定な分散液を得やすく、また、後述する塗布物への塗布がしやすい。
<スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子>
本発明に用いるスルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子としては、分散液の安定性の観点から、ポリチエニルアルカン誘導体またはポリイソチアナフテン誘導体が好ましく、ポリチエニルアルカンスルホン酸及び/またはポリイソチアナフテンスルホン酸がより好ましく、下記一般式(1)及び/または(2)で表されるモノマー単位を有する高分子であることがさらに好ましく、下記一般式(1)で表されるモノマー単位を有する高分子が特に好ましい。
本発明に用いるスルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子としては、分散液の安定性の観点から、ポリチエニルアルカン誘導体またはポリイソチアナフテン誘導体が好ましく、ポリチエニルアルカンスルホン酸及び/またはポリイソチアナフテンスルホン酸がより好ましく、下記一般式(1)及び/または(2)で表されるモノマー単位を有する高分子であることがさらに好ましく、下記一般式(1)で表されるモノマー単位を有する高分子が特に好ましい。
前記R1〜R3は、水素原子または炭素数1〜20の直鎖アルキル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。前記nは、1〜5が好ましい。
スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の具体例としては、昭和電工株式会社製のエスペイサー(登録商標)♯100、エスペイサー♯300が挙げられる。なお、エスペイサー♯100は上記一般式(2)で表わされる構造を含み、エスペイサー♯300は上記一般式(1)で表わされる構造を含む。
スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の分散液中の含有量は、安定な分散液を得る観点から、フラーレン100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましく、5〜35質量部であることがさらに好ましい。
<塗布物>
このようにして得られた本発明の分散液は、離型剤や潤滑剤等として物品の表面に塗布して使用することができる。このような塗布物の表面を乾燥させ、フラーレンの被膜を形成させてもよい。
このようにして得られた本発明の分散液は、離型剤や潤滑剤等として物品の表面に塗布して使用することができる。このような塗布物の表面を乾燥させ、フラーレンの被膜を形成させてもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
分散媒として水100mlに、ポリイソチアナフテンスルホン酸の1質量%水溶液であるエスペイサー(登録商標)#300(重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリスチレンスルホン酸換算)12000)を5g混合し、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液を得た。この水溶液に、フラーレン(フロンティアカーボン社製 ナノムミックスST、C60約60%とC70約25%とさらに高次フラーレン類との混合物)を0.5gを加えた。次いで、遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製 プレミアムラインP−5)を用いて分散液を混合した。この遊星ボールミルには、直径0.5mmのジルコニアボールを500g使用し、運転は、300rpmで5分間回転後1分間止めを、10回繰り返した。
分散媒として水100mlに、ポリイソチアナフテンスルホン酸の1質量%水溶液であるエスペイサー(登録商標)#300(重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリスチレンスルホン酸換算)12000)を5g混合し、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液を得た。この水溶液に、フラーレン(フロンティアカーボン社製 ナノムミックスST、C60約60%とC70約25%とさらに高次フラーレン類との混合物)を0.5gを加えた。次いで、遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製 プレミアムラインP−5)を用いて分散液を混合した。この遊星ボールミルには、直径0.5mmのジルコニアボールを500g使用し、運転は、300rpmで5分間回転後1分間止めを、10回繰り返した。
遊星ボールミルで処理後の分散液をガラス容器に移し、24時間静置し、沈降物の有無を観察したが、沈降物は認められなかった。この分散液の、フラーレン含有量は0.47質量%、前記高分子含有量はフラーレン100質量部に対して10質量部、pHは3であった。
<実施例2>
分散媒として水100mlに、ポリイソチアナフテンスルホン酸の1質量%水溶液であるエスペイサー(登録商標)#300(重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリスチレンスルホン酸換算)12000)を150g混合し、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分
子の水溶液を得た。この水溶液に、フラーレン(フロンティアカーボン社製 ナノムミックスST)を4.5gを加えた。次いで、遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製 プレミアムラインP−5)を用いて分散液を混合した。この遊星ボールミルには、直径0.5mmのジルコニアボールを770g使用し、運転は、350rpmで5分間回転後1分間止めを、10回繰り返した。
分散媒として水100mlに、ポリイソチアナフテンスルホン酸の1質量%水溶液であるエスペイサー(登録商標)#300(重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/ポリスチレンスルホン酸換算)12000)を150g混合し、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分
子の水溶液を得た。この水溶液に、フラーレン(フロンティアカーボン社製 ナノムミックスST)を4.5gを加えた。次いで、遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製 プレミアムラインP−5)を用いて分散液を混合した。この遊星ボールミルには、直径0.5mmのジルコニアボールを770g使用し、運転は、350rpmで5分間回転後1分間止めを、10回繰り返した。
遊星ボールミルで処理後の分散液をガラス容器に移し、24時間静置し、沈降物の有無を観察したが、沈降物は認められなかった。この分散液の、フラーレン含有量は1.77質量%、前記高分子含有量はフラーレン100質量部に対して33質量部、pHは2であった。
Claims (8)
- フラーレンが、スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液中に分散しているフラーレン分散液。
- フラーレンが、C60、C70及びこれらより高次のフラーレンから選ばれる1種または2種以上の混合物である請求項1に記載の分散液。
- 前記分散液中のフラーレン含有量が0.01〜10質量%である請求項1または2に記載の分散液。
- 前記高分子が、ポリチエニルアルカン誘導体またはポリイソチアナフテン誘導体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の分散液。
- 前記分散液中の前記高分子含有量が、フラーレン100質量部に対して0.1〜50質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の分散液。
- 前記分散液のpHが5以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の分散液。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフラーレン分散液が表面に塗布されている塗布物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフラーレン分散液の製造方法であって、前記スルホ基とチオフェン骨格とを有する高分子の水溶液とフラーレンとを遊星ボールミルで混合することを特徴とするフラーレン分散液の製造方法。
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JP2016187664A JP2018052756A (ja) | 2016-09-27 | 2016-09-27 | フラーレンの分散液及びその製造方法 |
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