以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像処理システム、およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態の画像処理システムの全体構成図である。図1に示すように、画像処理システムは、MFP(Multifunction Peripheral)100、200a、200bと、ファイルサーバ300と、PC(Personal Computer)500とがネットワーク30を介して接続されている。MFP100、200a、200bと、ファイルサーバ300と、PC500との間の通信には、例えば、ネットワークファイル共有プロトコルとして広く利用されているSMB(Server Message Block)が用いられている。
図1では、本店にMFP100とPC500が設置され、支店1にMFP200aが設置され、支店2にMFP200bが設置されている例を示している。図1に示す本実施形態の画像処理システムは、プルプリント機能を利用した印刷を行っている。すなわち、支店1、2のMFP200a、200bは、ファイルサーバ300のフォルダ(例えば、GoogleDrive(登録商標)、DropBox(登録商標)等)に保存された印刷ファイル(例えば、Word、PDFやJPEG等)をダウンロードして取得する。そして、支店1、2のMFP200a、200bにおいて、取得した印刷ファイルを印刷する。
具体的には、例えば、本店のユーザが、PC500において作成したポップなどの広告の印刷ファイルをファイルサーバ300に保存する。そして、支店1、2のユーザが、MFP200a、200bにおいてファイルサーバ300から印刷ファイルを取得して印刷し、印刷した広告を店舗に掲示するような場合に利用できる。これにより、各店舗で共通の広告を店頭に掲示することができる。
このとき、本実施形態では、PC500が作成した印刷ファイルをファイルサーバ300に保存した後、本店のMFP100またはPC500は、当該印刷ファイルの印刷設定をファイルサーバ300に保存しておく。この印刷設定は、支店1、2のMFP200a、200bで印刷される際に適用したい印刷設定を想定している。そして、支店1、2のMFP200a、200bでは、印刷設定および印刷ファイルを取得し、印刷ファイルを印刷する際、事前にファイルサーバ300に保存されていた印刷設定に従って印刷ファイルを印刷する。
MFP100、200a、200bは、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を有する装置であって、画像処理装置の一例である。図1に示す画像処理システムでは、3台のMFP100、200a、200bが接続されているが、MFPの台数は任意であって、1、2台または4台以上設置されていてもよい。また、MFP100、200a、200bには、印刷アプリケーション(以下、「印刷アプリ」と称する。)50がインストールされている。以下では、MFP200a、200bなど、任意の支店のMFPを示す場合は、MFP200として説明する場合がある。
印刷アプリ50は、MFP100、200の機能を利用して、画像データやドキュメントなどの印刷ファイル(出力対象ファイルの一例)を紙などの記録媒体に印刷(出力の一例)する機能を提供するためのソフトウェアである。印刷アプリ50は、例えば、操作部20(図3等参照)で実行されるAndroid(登録商標)上で動作するJava(登録商標)のアプリケーションである。本実施形態では、印刷アプリ50は、MFP100、200の操作部20内にインストールし、操作部20のオペレーティングシステム上で動作するタイプのアプリケーションであるが、印刷アプリ50がクラウド上にあるWebタイプのアプリケーションの場合は、MFPの操作部にインストールされたブラウザアプリケーションを介してクラウドサーバ上の印刷アプリを動作させるWebタイプのアプリケーションでもよい。印刷アプリ50は、出力対象ファイルを出力する機能を提供する出力アプリケーションの一例である。なお、出力には印刷以外の例として、ファイルを添付したメール送信や、ファイル転送、FAX送信などがある。
PC500は、MFP100、200により印刷される印刷ファイルを生成する。例えば、PC500は、上述したように、ポップなどの広告として画像データやドキュメントなどの印刷ファイルを生成する。そして、PC500は、生成した印刷ファイルをファイルサーバ300に送信する。
ファイルサーバ300は、PC500で生成された、MFP100、200によって印刷可能な形式の画像や文書等の印刷ファイルや、当該印刷ファイルの印刷設定を保存した印刷設定ファイルなど、印刷ファイルに関する情報等を保存する装置であって、外部装置の一例である。ファイルサーバ300は、MFP100、200からの要求により、印刷ファイルや印刷設定ファイル等を送信する装置である。なお、印刷設定ファイルの詳細については、後述する。
次に、ファイルサーバ300およびPC500のハードウェア構成について説明する。図2は、実施形態のファイルサーバおよびPCのハードウェア構成の一例を示す図である。以下では、ファイルサーバ300について説明するが、PC500についても同様である。
図2に示すように、ファイルサーバ300は、CPU(Central Processing Unit)601と、ROM(Read Only Memory)602と、RAM(Random Access Memory)603と、HDD(Hard Disk Drive)604と、ディスプレイ605と、通信I/F(インターフェース)606と、キーボード607と、マウス608と、を備えている。
CPU601は、ファイルサーバ300全体の動作を制御する。CPU601は、RAM603をワークエリアとしてROM602またはHDD604等に格納されたプログラムを実行することで、ファイルサーバ300全体の動作を制御する。
ディスプレイ605は、文字または画像等の各種情報を表示する表示部である。ディスプレイ605は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等である。
通信I/F606は、ネットワーク30と接続してデータ通信をするためのインターフェースである。通信I/F606は、例えば、10Base-T、100Base-TXまたは1000Base-T等のEthernet(登録商標)に対応したインターフェースである。
キーボード607は、文字、数字、各種指示の選択等を行う入力装置である。マウス608は、各種指示の選択および実行、処理対象の選択等を行うための入力装置である。
上述のCPU601、ROM602、RAM603、HDD604、ディスプレイ605、通信I/F606、キーボード607、およびマウス608は、アドレスバスおよびデータバス等のバス611によって互いに通信可能に接続されている。
次に、MFP100、200のハードウェア構成について説明する。図3は、実施形態のMFPのハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、MFP100、200は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、およびプリンタ機能などの各種の機能を実現可能な本体10と、ユーザによる操作入力を受け付けるとともに、本体10に対する操作指示を行う操作部20とを備えている。
なお、ユーザによる操作入力を受け付けるとは、ユーザの操作に応じて入力される情報(画面の座標値を示す信号等を含む。)を受け付けることを含む概念である。本体10と操作部20は、専用の通信路40を介して相互に通信可能に接続されている。通信路40は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格のものを用いることもできるが、有線か無線かを問わず任意の規格のものであってよい。
なお、本体10は、操作部20で受け付けた操作入力に応じた動作を行うことができる。また、本体10は、ファイルサーバ300等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。
まず、本体10のハードウェア構成例について説明する。図3に示すように、本体10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、通信I/F15と、接続I/F16と、エンジン部17とを備え、これらがシステムバス18を介して相互に接続されている。
CPU11は、本体10の動作を統括的に制御する。CPU11は、RAM13をワークエリア(作業領域)としてROM12またはHDD14等に格納されたプログラムを実行することで、本体10全体の動作を制御し、上述したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を実現する。
通信I/F15は、ネットワーク30と接続するためのインターフェースである。接続I/F16は、通信路40を介して操作部20と通信するためのインターフェースである。
エンジン部17は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、および、プリンタ機能(出力機能の一例)を実現させるための、汎用的な情報処理および通信以外の処理を行うハードウェアである。例えば、原稿の画像をスキャンして読み取るスキャナ(画像読取部)、用紙等の記録媒体への印刷を行うプロッタ(画像形成部)、ファクス通信を行うファクスなどを備えている。さらに、印刷済み記録媒体を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿給送装置:Auto Document Feeder)のような特定のオプションを備えることもできる。
次に、操作部20のハードウェア構成例について説明する。図3に示すように、操作部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、フラッシュメモリ24と、通信I/F25と、接続I/F26と、操作パネル27と、外部接続I/F28とを備え、これらがシステムバス29を介して相互に接続されている。
CPU21は、操作部20の動作を統括的に制御する。CPU21は、RAM23をワークエリア(作業領域)としてROM22またはフラッシュメモリ24等に格納されたプログラムを実行することで、操作部20全体の動作を制御し、ユーザから受け付けた入力に応じた情報(画像)の表示などの後述する各種機能を実現する。
通信I/F25は、ネットワーク30と接続するためのインターフェースである。接続I/F26は、通信路40を介して本体10と通信するためのインターフェースである。外部接続I/F28は、ICカードリーダなどと接続するためのインターフェースである。
操作パネル27は、ユーザの操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば、受け付けた操作入力に応じた情報、各種画面など)を表示する。この例では、操作パネル27は、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えてまたはこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。なお、操作パネル27は表示部の一例である。
なお、本実施形態では、機能の独立性を保つために、本体10側のソフトウェアと操作部20側のソフトウェアが互いに異なる。つまり、本体10と操作部20は、別々のオペレーティングシステム(OS:Operating System)で互いに独立して動作する。例えば、本体10側のソフトウェアとしてLinux(登録商標)を用い、操作部20側のソフトウェアとしてAndroid(登録商標)を用いることも可能である。なお、本体10が有しているオペレーティングシステムが第1のオペレーティングシステムの一例であって、操作部20が有しているオペレーティングシステムが第2のオペレーティングシステムの一例である。また、印刷アプリ50は、操作部20のオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションである。
以上のように、本実施形態のMFP100、200において、本体10と操作部20は別々のオペレーティングシステムで動作するため、本体10と操作部20との間の通信は、共通の装置内のプロセス間通信ではなく、異なる装置間の通信として行われる。操作部20が受け付けた情報(ユーザからの指示内容)を本体10へ伝達する動作(コマンド通信)や、本体10が操作部20へイベントを通知する動作などがこれに該当する。
ここでは、操作部20が本体10へコマンド通信を行うことにより、本体10の機能を使用することができる。また、本体10から操作部20に通知するイベントには、本体10における動作の実行状況、本体10側で設定された内容などが挙げられる。
次に、ファイルサーバ300の機能構成について説明する。図4は、実施形態のファイルサーバの構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、ファイルサーバ300は、通信制御部301と、保存制御部302と、記憶部310とを備えており、互いに接続されている。
記憶部310は、各種情報や画面等を保存するものであって、ROM602やHDD604(図2参照)により実現される。本実施形態では、記憶部310は、画像や文書等の印刷ファイルを保存している。印刷ファイルは、画像データやドキュメントなどのファイルであって、上述した店舗(支店)と本部の例では、画像や文書を用いて作成された広告や告知等の顧客に提示する情報である。
記憶部310は、印刷ファイルを、印刷ファイルを識別するファイル識別情報に関連付けて保存している。具体的には、例えば、本実施形態の記憶部310は、印刷ファイルに、印刷ファイルを識別する固有のファイル名(ファイル識別情報の一例)を付して保存している。さらに、記憶部310では、フォルダに、関連する複数の印刷ファイルをまとめて保存している。フォルダには、当該フォルダを識別する固有のフォルダ名が付けられている。
また、本実施形態では、記憶部310は、印刷ファイルを印刷する際に設定する設定情報を含む印刷設定ファイルを保存する。具体的には、記憶部310は、印刷ファイルを識別するファイル名と、印刷ファイルを印刷する際に設定する設定情報とを対応付けた印刷設定ファイルを保存している。この印刷設定ファイルは、1または複数の印刷ファイルを含むフォルダごとに保存されており、当該フォルダ内に含めて保存されている。また、印刷設定ファイルは、フォルダ内に複数の印刷ファイルやフォルダがあった場合は、印刷ファイルやフォルダそれぞれに対応付けて設定情報を保存することができる。以下に具体例を示す。なお、印刷設定ファイルが出力設定ファイルの一例である。
図5は、印刷設定ファイルの保存に関する説明図である。印刷設定ファイルは、上述したようにフォルダごとに保存されている。図5に示すように、例えば、印刷設定ファイルを、「”/Shared/POP/”」フォルダに作成する場合、印刷設定ファイルのパスは、「”/Shared/POP/.__print_setting_”」というように、対象のフォルダに特定のファイル名「”.__print_setting_”」を含めて作成する。
図5の例では、「/Shared/POP/」フォルダと、「/Shared/キャンペーン/」フォルダに印刷設定ファイルが保存されている。印刷設定ファイルそれぞれの設定情報は、当該印刷ファイルが保存されたフォルダにのみ有効であって、その他のフォルダには適用されない。また、印刷設定ファイルは、隠し属性のファイルとなっており、PCクライアントで見た場合、一般のユーザからは見えなくなる。
図6は、印刷設定ファイルのデータ構造の一例を示す図である。図5において説明したように、印刷設定ファイルは、当該印刷設定ファイルが保存されたフォルダと同じフォルダに保存された印刷ファイルやフォルダに対する設定情報を保存している。図6に示すように、印刷設定ファイルは、対象となる印刷ファイルのファイル名やフォルダのフォルダ名に、印刷する際に設定する設定情報が対応付けられている。
図6の印刷設定ファイルが、図5に示す「”/Shared/POP/”」フォルダに保存されている場合、例えば、ファイル名「”/Shared/POP/チラシA.pdf”」の印刷ファイルに設定情報が対応付けられていることになる。具体的には、印刷ファイル「”チラシA.pdf”」には、設定情報として「カラー:フルカラー100%、変倍:100%、部数:100枚、解像度:600dpi、トレイ:自動、両面/片面:片面、ソート/スタック:なし」が対応付けられている。これにより、MFP200等は、印刷ファイル「”チラシA.pdf”」の印刷パラメータに、当該設定情報が設定されることになる。
また、図6では、例えば、フォルダ名「”/Shared/POP/FolderA”」のフォルダに設定情報が対応付けられていることになる。具体的には、フォルダ「”FolderA”」には、設定情報として「カラー:モノクロ100%、変倍:100%、部数:100枚、解像度:600dpi、トレイ:自動、両面/片面:片面、ソート/スタック:なし」が対応付けられている。これにより、MFP200等は、フォルダ「”FolderA”」内の全ての印刷ファイルの印刷パラメータに、当該設定情報が設定されることになる。
ここで、例えば、図6の印刷設定ファイルが、フォルダ「”FolderA”」に保存され、かつフォルダ「”FolderA”」内に複数の印刷ファイル「”チラシA.pdf”」「”チラシB.pdf”」「”チラシC.pdf”」が保存されている場合について説明する。この場合、フォルダ「”FolderA”」に対する設定情報(共通設定情報)は、FolderA内の全ての印刷ファイル(ここでは3つの印刷ファイル)に対して設定される。また、印刷ファイル「”チラシA.pdf”」「”チラシB.pdf”」「”チラシC.pdf”」それぞれに対する設定情報(個別設定情報)は、フォルダ「”FolderA”」に保存される個々の印刷ファイル(チラシA.pdf、チラシB.pdf、チラシC.pdf)に対して設定される。そして、この場合は、フォルダ(FolderA)の設定情報(共通設定情報)に対して、個別ファイル(チラシA.pdf、チラシB.pdf、チラシC.pdf)の設定情報(個別設定情報)が優先されて印刷ファイルの印刷パラメータに設定される。つまり、フォルダ(FolderA)の設定情報は適用されずに、個別ファイル(チラシA.pdf、チラシB.pdf、チラシC.pdf)の設定情報が適用される。
ここで、印刷設定ファイルの保存について説明する。印刷設定ファイルの保存方法には、以下の方式も考えられる。
1つ目として、ルートフォルダに単一の印刷設定ファイルを保存し、ファイルサーバ上のすべての印刷ファイルの印刷設定を保存する方法が考えられる。なお、ルートフォルダとは、ファイルサーバで一番上位になるフォルダである。
2つ目として、印刷アプリ用の設定フォルダに単一の印刷設定ファイルを保存し、ファイルサーバ上のすべての印刷ファイルの印刷設定を保存する方法が考えられる。
3つ目として、一つの印刷ファイルにつき一つの印刷設定ファイルを保存する方法が考えられる。
4つ目として、フォルダごとに1つの印刷設定ファイルを保存する方法がある。この方法では、ユーザが印刷設定をする際に、フォルダ内の複数の印刷ファイル分の印刷設定を、1つの印刷設定ファイルにまとめて有するように書き込む。本実施形態では、主に、この方法を採用し、複数の印刷ファイル分の印刷設定を含む1つの印刷設定ファイルを、印刷アプリ起動後など、サーバ内のフォルダにアクセスしたタイミングで取得する。これによってフォルダ内の印刷設定ファイルの取得が1回で済むために、ネットワークアクセスをまとめて行えるので、通信量を減らすことができる。また、何度も印刷設定ファイルを取得しなくてよいので、表示速度も向上させることができるというメリットがある。また、ルートフォルダのようにフォルダによってユーザの書き込み権限がある場合でも、書き込み権限のないフォルダを使って、印刷設定ファイルを置くことができる。なおよりメリットのある4つ目の方法を主に採用するとしたが、1〜3つ目までの方法を採用してもよく、これらを除外するものではない。
なお、印刷設定ファイルの保存は、MFP100、200の操作部20や、PC500からファイルサーバ300に対して可能となっている。本実施形態では、本店に設置されたMFP100が印刷設定ファイルを保存し、支店1、2のMFP200a、200bは、当該印刷設定ファイルを取得して印刷ファイルを印刷する構成について説明する。例えば、ファイルサーバ300からMFP200に送信される印刷設定ファイルのデータ形式は「JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)」、拡張子は「.settings」である。
通信制御部301は、MFP100、200などのネットワーク30を介して接続された外部装置との間で、通信I/F606(図2参照)により行われる通信を制御する。例えば、本実施形態の通信制御部301は、MFP100、200からの要求を受信し、当該要求に応じた情報をMFP100、200に送信する。
具体的には、例えば、通信制御部301は、MFP100、200から、印刷アプリ50により設定されたフォルダである指定フォルダのフォルダ名と、印刷ファイルのファイルリスト(ファイル名の一覧)の取得要求を受信した場合、記憶部310を参照し、受信したフォルダ名が示す指定フォルダに保存されている印刷ファイルのファイルリストをMFP100、200に送信する。例えば、ファイルサーバ300からMFP200に送信されるファイルリストのデータ形式は、SMB独自のデータ形式でもよいし、JSON形式でもよい。また、ファイルリストは、MFP200の操作部20からSMBプロトコルを用いた取得要求を送信することで取得する。
また、通信制御部301は、指定フォルダのフォルダ名と、印刷設定ファイルの取得要求を受信した場合、記憶部310を参照し、受信したフォルダ名が示す指定フォルダに保存されている印刷設定ファイルをMFP100、200に送信する。つまり、通信制御部301は、印刷を所望する印刷ファイルが保存されたフォルダの印刷設定ファイルをMFP100、200に送信することになる。
また、通信制御部301は、MFP100、200から、ユーザに指定された印刷ファイルの取得要求を受信した場合、記憶部310を参照し、要求された印刷ファイルをMFP100、200に送信する。また、通信制御部301は、MFP100により作成された印刷設定ファイルが送信された場合、当該印刷設定ファイルを受信する。
また、ファイルサーバ300は、MFP100、200との間で情報の送受信を行う場合、MFP100、200を利用するユーザの認証処理を行う。この場合、通信制御部301は、MFP100、200から認証情報を受信する。そして、ファイルサーバ300が受信した認証情報を用いて認証処理を行い、その認証が成功した場合、通信制御部301は、要求された情報の送信を行う。なお、認証情報とは、ユーザを識別可能な情報であって、例えば、ユーザIDおよびパスワードなどである。
保存制御部302は、記憶部310に各種情報の保存や更新、削除を行う。本実施形態では、保存制御部302は、例えば、記憶部310に、外部装置から受信した印刷ファイルや印刷設定ファイル等の保存や更新、削除を行う。
次に、MFP100の機能構成について説明する。MFP200も同様の構成となっているため省略する。図7は、実施形態のMFPの構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、MFP100の操作部20は、入力受付部101と、表示制御部102と、通信制御部103と、取得部104と、保存制御部105と、照合部106と、印刷設定管理部107と、接続制御部108と、記憶部110とを備えており、関連機能は互いに接続されている。また、MFP100の本体10は、通信制御部121と、印刷制御部122と、接続制御部123と、記憶部120とを備えており、関連機能は互いに接続されている。また、操作部20と本体10は互いに、接続制御部108と接続制御部123によって接続されている。接続制御部108は、図3の接続I/F26、接続制御部123は接続I/F16で実現される。
ここで、本実施形態のMFP100は、本体10と操作部20とが一つの装置に含まれている構成となっているが、複数の装置に分かれて構成されていてもよい。すなわち、本実施形態のように本体装置(本体10)と操作装置(操作部20)とが一つの装置であってもよいし、操作装置がタブレット端末装置のように、本体装置とは別体の装置であってもよい。
記憶部110は、操作部20に備えられ、各種情報や画面等を保存するものであって、ROM22やフラッシュメモリ24(図3参照)により実現される。本実施形態では、例えば、記憶部110は、各種画面を構成する情報や、ファイルサーバ300から取得したファイルリストや、印刷する際に設定する設定情報を含む印刷設定ファイルなどを保存する。
記憶部120は、本体10に備えられ、各種情報や画面等を保存するものであって、HDD14(図3参照)により実現される。本実施形態では、記憶部120は、ファイルサーバ300に関する情報であるサーバ情報、ファイルサーバ300から取得した印刷ファイル等を保存する。
ここで、サーバ情報とは、MFP100からファイルサーバ300にアクセスする際に必要となる情報であって、例えば、ファイルサーバ300のアドレス(IPアドレス等)、認証情報(ユーザID、パスワード)、および指定フォルダのフォルダ名である。なお、本実施形態では、ファイルサーバ300のサーバ情報のみを保存しているが、複数台のファイルサーバと接続されている場合は接続されている全てのサーバ情報を保存してもよい。
次に、MFP100の本体10の機能について説明する。
通信制御部121は、通信I/F15により、ネットワーク30を介してファイルサーバ300などの外部装置との間で各種情報を送受信する。また、接続制御部123は、接続I/F16により、操作部20との間で各種情報を送受信する。
印刷制御部122は、エンジン部17により、ユーザにより指定された印刷ファイルを、印刷設定ファイルの設定情報に基づいて印刷するものであって、出力制御部の一例である。
次に、MFP100の操作部20の機能について説明する。
入力受付部101は、操作パネル27から、ユーザによる各種操作入力を受け付ける制御を行う。具体的には、入力受付部101は、印刷ファイルの印刷処理を実行する印刷アプリ50の起動を受け付ける。
また、入力受付部101は、ファイル選択画面D1(図8参照)から、印刷を所望する印刷ファイルの指定、当該印刷ファイルの印刷開始の指示を受け付ける。このとき、ファイルサーバ300から受信した印刷設定ファイルにより、印刷設定が設定された場合は、指定された印刷ファイルの印刷が行われる。
また、ファイルサーバ300から受信した印刷設定ファイルにより、印刷設定が設定できない場合、入力受付部101は、印刷設定画面D2(図9参照)から設定情報の入力を受け付ける。そして、受け付けた設定情報により印刷設定が設定されて、指定された印刷ファイルの印刷が行われる。
また、印刷設定ファイルを生成して保存する場合、入力受付部101は、ファイル選択画面D1(図8参照)から、印刷ファイルの指定と、当該印刷ファイルの設定情報を入力する旨を示す印刷設定入力指示(出力設定入力指示)と、を受け付ける。そうすると、印刷設定画面D2(図9参照)が表示され、入力受付部101は、印刷設定画面D2から設定情報の入力と、設定情報を保存する旨を示す保存指示とを受け付ける。これにより、入力された設定情報がファイルサーバ300に保存される。なお、本実施形態では、印刷設定ファイルを生成して保存するのは、本店のMFP100となっている。
また、印刷設定ファイルの設定情報を入力してファイルサーバ300に保存する権限を有する機器管理者等がMFP100にログインする場合に、入力受付部101は、認証情報、例えば、ユーザIDおよびパスワードの入力を受け付ける。
表示制御部102は、操作パネル27に、設定画面等の各種画面や各種情報を表示する制御を行う。具体的には、表示制御部102は、接続制御部108により受信したファイルリストに基づいて、印刷ファイルの表示画像であるアイコンを一覧表示したファイル選択画面を操作パネル27(表示部)に表示する。このとき、表示制御部102は、印刷ファイルに対して印刷設定ファイルによる設定情報が存在する場合、設定情報を有する旨を示す設定バッジ(設定存在情報の一例)を当該印刷ファイルのアイコンに付してファイル選択画面を表示する。また、表示制御部102は、ファイル選択画面に、設定情報を入力する旨を示す印刷設定入力指示を受け付けるために押下する印刷設定ボタンを表示する。この印刷設定ボタンが押下されると印刷設定画面に遷移する。
ここで、図を参照してファイル選択画面について説明する。図8は、ファイル選択画面の一例を示す図である。図8に示すファイル選択画面D1では、左側には、印刷ファイルのアイコン(P1〜P6)が一覧表示されている。そして、印刷ファイルP6には、印刷設定がされている旨、すなわち設定情報を有する旨を示す設定バッジP6a(「設定」)が表示されている。そして、右側には、メニューが表示されている。このメニューには、プレビュー画面の表示を指示するプレビューボタン、印刷設定入力指示を受け付けるための印刷設定ボタンB1、および印刷開始を指示するスタートボタンB2が含まれている。
ここで、ファイル選択画面のアイコン(図8のP1〜P6)は、例えば、ファイルサーバ300から受信したファイルリストのファイル名や拡張子を元に、印刷アプリ50が作成する。なお、JPEGファイルの場合のみプリフェッチ(指定フォルダへのアクセス時にファイルを事前に取得)してサムネイルを作成して表示する。しかし、その他のJPEGファイル以外のファイルの場合は、印刷等の出力時にファイルサーバ300から取得した時にはじめてサムネイルを作成する。サムネイルを未作成のファイル(未取得のファイル)は、ファイルの種別を示すアイコンを表示する。従って、例えば図8のP4、P6はファイルの種別を示すアイコン(ファイルはMFP200に未取得)であり、P5はサムネイル(ファイルは取得済み)を示している。
表示制御部102は、印刷設定ファイルに保存される設定情報を入力する印刷設定画面(出力設定画面)を操作パネル27に表示する。このとき、印刷設定ファイルを保存する権限を有するユーザがログインしている場合、表示制御部102は、印刷設定画面に、設定情報をファイルサーバ300に保存する旨を示す保存指示を受け付けるために押下する印刷設定保存ボタンB3を表示する。
ここで、図を参照して印刷設定保存ボタンを備えた印刷設定画面について説明する。例えば、図8に示すファイル選択画面D1において、1つ以上の印刷ファイルを選択して印刷設定ボタンB1を押下すると、印刷設定画面が表示される。図9は、印刷設定画面の一例を示す図である。図9に示す印刷設定画面D2は、左側に印刷設定Sが表示され、変倍や部数、解像度等の設定情報が表示されている。そして、右側には、上述のプレビューボタン、設定情報を印刷設定ファイルに保存する旨を指示する印刷設定保存ボタンB3、および上述のスタートボタンB2が表示されている。印刷設定画面D2において、印刷設定Sを所望の設定情報に変更し、印刷設定保存ボタンB3を押下することで、選択された1つ以上の印刷ファイルの設定情報がファイルサーバ300に送信されて印刷設定ファイルに保存される。
また、印刷設定保存ボタンB3について説明をする。図9に示す設定情報を保存するための印刷設定保存ボタンB3は、MFP100にログインしているユーザが設定情報を保存する権限を有する機器管理者等であるときのみ表示される。また、印刷設定保存ボタンB3は、印刷アプリ50に設定したファイルサーバ300のアカウントに対象フォルダの書き込み権限があるときのみ表示される。
本実施形態では、MFP100、200から印刷設定ファイルを保存する構成としているが、PC500から保存してもよい。すなわち、PC500から印刷設定ファイルを保存する際にも、同様にディスプレイ605等(図2参照)の表示部に印刷設定画面D2が表示され、ユーザによる設定情報の入力を受け付け、ファイルサーバ300に保存することができる。
また、MFP100において印刷設定ファイルを作成して保存する場合、複数の印刷ファイルを選択することができる。この場合は、選択された複数の印刷ファイル全てに同じ印刷設定を行うものとする。
ここで、例えば、選択した複数の印刷ファイルの中に、既に印刷設定がされている印刷ファイルがあった場合について説明する。この場合、例えば、印刷設定画面D2の印刷設定保存ボタンB3をグレーアウト表示にし、操作・選択できない状態にすることができる。また他の構成として、ファイル選択画面D1(図8参照)の印刷設定ボタンB1が押下されると、既に印刷設定がされている印刷ファイルがある旨を示す警告画面を表示する構成としてもよい。
また、ファイル選択画面D1(図8参照)において、設定バッジが付された印刷ファイルの印刷時に、印刷設定ボタンB1が押下されると印刷設定画面D2が表示され、設定情報が入力されると印刷設定が変更される。この変更後の印刷設定を保存せずに(印刷設定保存ボタンB3が押下されずに)印刷ファイルを印刷した場合は、印刷設定がMFP200側で置き換わって印刷される。また、変更後の印刷設定を保存した場合(印刷設定保存ボタンB3が押下された場合)は、ファイルサーバ300側の印刷設定ファイル内の設定情報(そのファイルに対応する設定情報)が置き換わる。もしくは、変更後の印刷設定を保存した場合に、MFP200に取得している印刷設定ファイル内の、対応する設定情報が変更後の設定情報に更新されてもよい。
また、表示制御部102は、上述の機器管理者等がログインするためのログイン画面を操作パネル27に表示する。図10は、ログイン画面の一例を示す図である。図10に示すログイン画面D3は、ユーザIDとパスワードの入力を促す文字が表示されるとともに、ユーザIDを入力する入力領域a1、パスワードを入力する入力領域a2、およびログインするためのログインボタンa3が表示されている。ユーザは、入力領域a1、a2にそれぞれユーザID、パスワードを入力して、ログインボタンa3を押下することで機器管理者としてログインできる。
また、表示制御部102は、印刷ファイルに、ファイルサーバ300から取得した印刷設定ファイルの設定情報をそのまま設定できない場合、その旨を示す警告画面を操作パネル27に表示する。そして、表示制御部102は、印刷設定画面を操作パネル27に表示して設定情報の入力を促す。
通信制御部103は、通信I/F25により、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末との間で各種情報を送受信する。
接続制御部108は、接続I/F26により、本体10との間で各種情報や画面等を送受信する。従って、接続制御部108は、接続I/F26により、本体10の接続制御部123を経由して通信制御部121によってファイルサーバ300などの外部装置から受信した各種情報を受信したり、各種情報をファイルサーバ300などの外部装置に送信する。
具体的には、接続制御部108は、ファイルサーバ300との間で、接続制御部123および通信制御部121を介して以下の情報を送受信する。接続制御部108は、サーバ情報および指定フォルダのフォルダ名とともに、ファイルリストの取得要求をファイルサーバ300に送信し、当該ファイル名の示す指定フォルダのファイルリストを受信する。すなわち、接続制御部108は、指定フォルダに含まれる印刷ファイルのファイル名を含むファイルリストを受信する。また、接続制御部108は、指定フォルダのフォルダ名とともに、印刷設定ファイルの取得要求をファイルサーバ300に送信し、当該ファイル名の示す指定フォルダの印刷設定ファイルを受信する。すなわち、接続制御部108は、指定フォルダに含まれ、かつ当該フォルダに含まれる印刷ファイルに対する印刷設定ファイルを受信する。
また、接続制御部108は、ファイルリストおよび印刷設定ファイルを受信した後であって、ファイル選択画面D1からユーザに指定されたアイコンが示す印刷ファイルの取得要求をファイルサーバ300に送信し、指定されたアイコンが示す印刷ファイルを受信する。なお、接続制御部108は、印刷制御部122によって印刷ファイルが印刷されるとき(印刷ファイルの印刷開始の指示があったとき)に、印刷ファイルを受信する。また、接続制御部108は、保存指示を受け付けた場合、ユーザに選択された印刷ファイルのファイル名と、ユーザにより入力された設定情報をファイルサーバ300に送信する。接続制御部108が通信制御部の一例である。
取得部104は、記憶部110、120から所望の情報を取得する。具体的には、例えば、取得部104は、ファイル選択画面を表示する際に、記憶部110からファイルリストや印刷設定ファイルを取得する。
保存制御部105は、記憶部110、120に情報を保存する制御を行う。具体的には、保存制御部105は、ファイルサーバ300から受信したファイルリストや印刷設定ファイルを記憶部110に保存する。また、保存制御部105は、ファイルサーバ300から受信した印刷ファイルをファイル名と関連付けて保存する。
照合部106は、ファイルサーバ300から受信した印刷設定ファイルに含まれているファイル名と、受信したファイルリストのファイル名とを照合する。そして、印刷設定ファイルに、ファイルリストのファイル名と一致するファイル名が含まれていた場合、表示制御部102により、ファイル選択画面における当該ファイル名が示す印刷ファイルに設定情報を有する旨を示す設定バッジが表示される。
印刷設定管理部107は、ファイルサーバ300から受信した印刷ファイル(ユーザにより指定された印刷ファイル)を印刷する際、受信した印刷設定ファイルを参照して、印刷ファイルのファイル名に対応する設定情報により印刷設定を設定する。なお、図6で説明したように、フォルダ内に保存された印刷設定ファイルに、当該フォルダに対する共通設定情報と、当該フォルダに保存された個々の印刷ファイルに対する個別設定情報とが含まれていた場合、印刷設定管理部107は、共通設定情報に対して個別設定情報を優先して印刷設定を設定する。また、受信した印刷設定ファイルの設定情報により印刷設定を設定できない場合、印刷設定画面が表示され、ユーザにより設定情報が入力される。この場合、印刷設定管理部107は、ユーザにより入力された設定情報により印刷設定を設定する。印刷設定管理部107が出力設定管理部の一例である。
以上より、本実施形態の操作部20の印刷アプリ50は、SMBプロトコルを用いて、ファイルサーバ300から、印刷ファイルのファイル名を含むファイルリスト、および印刷設定ファイルを受信し、受信したファイルリストに含まれるファイル拡張子に基づいて、ファイル選択画面を表示(印刷ファイルのアイコン(表示画像)を一覧表示)する。そして、印刷アプリ50は、ファイルリストおよび印刷設定ファイルにそれぞれ含まれるファイル名を比較して、設定情報が対応付けられたファイル名が示す印刷ファイルのアイコンに、設定情報を有する旨を示す設定バッジを付す。さらに、印刷アプリ50は、設定バッジを付したアイコンが示す印刷ファイルに対して印刷開始の指示がされた場合に、印刷ファイルをファイルサーバ300から受信するとともに、受信した印刷設定ファイルを参照して、印刷ファイルのファイル名に対応する設定情報で、本体10の印刷機能に対して印刷指示をする。なお、図7における一点鎖線に囲まれた範囲の機能が印刷アプリ50の機能である。
次に、MFP200がファイルサーバ300からファイルリストにより指定された印刷ファイルを取得して印刷するまでの流れの概要を説明する。印刷アプリ50が起動されると、MFP200の操作部20は、SMBプロトコルを用いて、ファイルサーバ300からファイルリストと印刷設定ファイルを取得する。
操作部20は、ファイルリストのファイル名の拡張子を元に、印刷ファイルのアイコンを作成する。また、操作部20は、ファイルリストと印刷設定ファイルとを比較する。具体的には、ファイルリスト内のファイル識別情報(図14の名前の列を参照)のうち、最後の「¥」以下に示すファイル名のうち、印刷設定ファイルのファイル名(図6のファイル名の列を参照)があるものを抽出する。
ファイルリストのうち、抽出されたファイル名(設定情報がある印刷ファイル)に対応するアイコン上に、設定バッジを付して、アイコンの一覧表示をする(図8のファイル選択画面D1参照)。なお、この時点では印刷ファイル自体は、MFP200において未取得である。過去に印刷済みの印刷ファイルとJPEGファイルだけは取得済みであるが、基本的には未取得である。
そして、一覧表示したアイコンが示す印刷ファイルのうち、ユーザが印刷をするために選択した印刷ファイルをファイルサーバ300から取得し、選択された印刷ファイルが設定バッジの付された印刷ファイルであった場合は、MFP200に取得した印刷設定ファイル内の設定情報を印刷設定に設定して印刷する。
なお、印刷設定を変更して保存せずに印刷ファイルを印刷した場合は、その印刷ファイルの印刷にのみ変更した印刷設定が適用される。一方、印刷設定を変更して保存して印刷ファイルを印刷した場合は、ファイルサーバ300内もしくはMFP200の操作部20に取得した印刷設定ファイル内の設定情報を更新し書き換える。以下に、ファイル選択画面の表示処理、印刷ファイルの印刷処理の詳細について説明する。
次に、MFP200がファイルサーバ300からファイルリストと印刷設定ファイルを取得して、ファイル選択画面D1(図8参照)を表示する処理について説明する。図11は、実施形態のMFPにおけるファイル選択画面の表示処理を示すシーケンス図である。
まず、操作部20は、ユーザから印刷アプリ50の起動を受け付けると(ステップS10)、本体10に対して起動確認を行い(ステップS11)、起動されている場合は、その旨(起動OK)を取得する(ステップS12)。ここで、操作部20から本体10に対して行う起動確認とは、操作部20から本体10に設けられたWebサーバ(本体10のサービス層)に対して、操作部20と本体10が接続・通電され利用可能になっているかを確認するための起動確認・接続確認等を含んでいる。
次に、操作部20は、本体10の記憶部120に対してサーバ情報の検索を行い(ステップS13)、保存済みであるファイルサーバ300のサーバ情報を取得する(ステップS14)。
操作部20は、取得したサーバ情報のアドレスによってファイルサーバ300にアクセスし、認証情報、指定フォルダのフォルダ名とともに、ファイルリストの取得要求をファイルサーバ300に送信する(ステップS15)。
ここで、MFP100からファイルサーバ300に送信する認証情報と、指定フォルダのファイル名と、ファイルリストの取得要求について、図12を参照して具体的に説明する。図12は、MFPからファイルサーバに送信する認証情報と、指定フォルダのファイル名と、ファイルリストの取得要求の説明図である。図12に示すように、ファイルサーバ300に送信する情報の項目として、コマンド、指定フォルダのフォルダ名、および認証情報であるユーザIDおよびパスワードがある。そして、図12では、これらの項目に対応する具体的な内容が示されている。すなわち、MFP100は、コマンドである”ファイルリストの取得”、指定フォルダのフォルダ名である”\\192.168.0.1\SharedFiles\POPFiles”(フルパス)と、ユーザID(認証情報)である”userB”と、パスワード(認証情報)である”password”とをファイルサーバ300に送信する。
図11に戻り、操作部20は、指定フォルダに保存されている印刷ファイルのファイルリストを受信する(ステップS16)。
ここで、MFP100がファイルサーバ300から受信するファイルリスト(図12の情報に対する応答)について、図13、14を参照して具体的に説明する。図13は、MFPがファイルサーバから受信するファイルリストの説明図である。図13に示すように、ファイルサーバ300から受信する情報の項目として、種別と、名前、アクセス許可情報、所有者、作成日時、およびサイズがある。そして、図13では、これらの項目に対応する具体的な内容が示されている。
すなわち、「種別」は、フラグ型であって、フォルダ/印刷ファイルのいずれかを示すものである。また、「名前」は、文字型のデータ形式であって、印刷ファイルのファイル名または印刷ファイルが保存されたフォルダのフォルダ名を示すものである。図13では、種別が印刷ファイルであった場合の名前の例であって、印刷ファイル名「”\\192.168.0.1\SharedFiles\POPFiles\チラシA.pdf”」を示している。また、「アクセス許可情報」は、フラグ型であって、読み書き可能/読み込みのみ/アクセス不可のいずれかを示すものである。また、「所有者」は、文字型のデータ形式であって、印刷ファイルを生成した者を示しており、図13では、”userB”を示している。また、印刷ファイルの「作成日時」は、整数のデータ形式であり、図13では、「2016/02/25/13:00:05」である旨を示している。また、「サイズ」は、整数のデータ形式であり、印刷ファイルのサイズとして、図13では、1048576バイトである旨を示している。
また、ファイルサーバ300に保存されている1つのフォルダには、例えば、複数のフォルダや印刷ファイルが存在する場合がある。このため、図14を参照して、ファイルサーバ300から図13に示した項目に対して複数の情報が応答として送信される場合について説明する。図14は、ファイルサーバからMFPに送信するファイルリストの説明図である。
ファイルサーバ300に保存されているフォルダに複数のフォルダや印刷ファイルが存在する場合、図14に示すように、各項目(種別と、名前、アクセス許可情報、所有者、作成日時、およびサイズ)に対応して複数の情報が応答される。図14では、指定フォルダと、3つの印刷ファイルと、1つのフォルダが保存されている例を示している。
図11に戻り、操作部20は、指定フォルダのフォルダ名とともに、印刷設定ファイルの取得要求をファイルサーバ300に送信する(ステップS17)。具体的には、例えば、操作部20は、SMBプロトコルを用いて、アクセス先のファイルサーバ300に、指定したフォルダ名を元に印刷設定ファイルを指定することによって印刷設定ファイルのリクエストをし、ファイルサーバ300から印刷設定ファイルを取得する。そして、操作部20は、指定フォルダに保存されている印刷設定ファイルを受信する(ステップS18)。
次に、操作部20は、ファイルサーバ300から受信したファイルリストと、印刷設定ファイルとを、照合する(ステップS19)。すなわち、印刷設定ファイルに含まれているファイル名と、ファイルリストのファイル名とが一致するか否かを判断する。一致する場合は、当該ファイル名の示す印刷ファイルには、印刷設定がされており、設定情報が存在することになる。
そして、表示制御部102は、設定情報が存在する印刷ファイルに設定バッジを付して、印刷ファイルの一覧であるファイル選択画面D1を表示する(ステップS20)。
次に、MFP200がファイルサーバ300から印刷ファイルを取得して印刷する処理について説明する。図15は、実施形態のMFPにおける印刷ファイルの印刷処理を示すシーケンス図である。
まず、操作部20は、ユーザにより、ファイル選択画面D1から印刷ファイルの指定および印刷開始の指示(出力開始の指示)を受け付けると(ステップS30)、ファイルサーバ300に指定された印刷ファイルの取得要求を送信し(ステップS31)、印刷ファイルを取得する(ステップS32)。
操作部20は、取得した印刷ファイルを本体10の記憶部120に保存し(ステップS33)、本体10から保存完了の旨を取得する(ステップS34)。
印刷ファイルの保存が完了すると印刷パラメータを設定する。この後、ファイルリストの取得時に取得した印刷設定ファイルを参照し、設定された印刷ファイルに設定情報が存在するか否か、存在する場合は、印刷対象のMFPにおいて当該設定情報が有効か否かにより処理が分岐する。設定情報が無効の場合とは、例えば、複数の設定情報のうち、フィニッシャの有無、トレイ設定の違いなどにより、そのまま印刷設定を設定できない項目が一つでもある場合とする。
まず、印刷ファイルの設定情報が存在し、かつMFP200で設定情報が有効である場合は、図15に示す処理R1を実行する。すなわち、操作部20は、印刷ファイルに、印刷設定ファイルの設定情報をそのまま印刷設定の印刷パラメータとして設定する(ステップS35)。
また、印刷ファイルの設定情報が存在し、かつMFP200で設定情報が無効である場合は、図15に示す処理R2を実行する。すなわち、操作部20は、印刷ファイルに、印刷設定ファイルの設定情報をそのまま設定できない旨の警告画面を表示することでユーザに知らせる(ステップS36)。次に、操作部20は、印刷設定画面D2(図9参照)を表示し(ステップS37)、設定情報の入力を促す。そして、操作部20は、ユーザからの設定情報の入力を受け付けると(ステップS38)、入力された設定情報を印刷設定の印刷パラメータとして設定する(ステップS39)。
また、印刷ファイルの設定情報が存在しない場合は、図15に示す処理R3を実行する。すなわち、操作部20は、予めMFP200に設定されているデフォルトの設定値を印刷設定の印刷パラメータとして設定する(ステップS40)。
そして、処理R1、R2、R3の後、操作部20は、設定された印刷パラメータとともに、印刷指示(出力指示)を本体10に送信する(ステップS41)。本体10は、印刷パラメータに基づいて、非同期で印刷ファイルの印刷を実行する(ステップS42)。
ここで、複数の印刷ファイルを選択して印刷を実行する場合について説明する。複数の印刷ファイル全てに同じ設定情報が存在する場合は、処理R1のように、全ての印刷ファイルに同じ設定情報を設定して印刷する。一方、複数の印刷ファイルに異なる設定情報が存在する場合、例えば、印刷設定ファイルの設定情報が異なるため設定できない旨の警告画面を表示し、処理R3のように、全ての印刷ファイルに対してデフォルトの設定値を設定して印刷する。また、例えば、警告画面を表示した後、処理R2のように印刷設定画面を表示し、ユーザから設定情報の入力を受け付け、入力された設定情報を設定して印刷する。
次に、MFP100がファイルサーバ300からファイルリストと印刷設定ファイルを取得して、ファイル選択画面D1(図8参照)を表示する処理について説明する。図16は、実施形態のMFPにおけるファイル選択画面の表示処理の流れを示すフローチャートである。
まず、入力受付部101がユーザから印刷アプリ50の起動を受け付けると(ステップS50)、起動確認を行い起動している場合、取得部104は、本体10の記憶部120に対してサーバ情報の検索を行い(ステップS51)、保存済みであるファイルサーバ300のサーバ情報を取得する(ステップS52)。
次に、接続制御部108は、接続制御部123および通信制御部121を介して、サーバ情報に含まれている認証情報と指定フォルダのフォルダ名とともに、ファイルリストの取得要求(図12参照)をファイルサーバ300に送信する(ステップS53)。そして、接続制御部108は、接続制御部123および通信制御部121を介して、ファイルサーバ300から、指定フォルダに保存されている印刷ファイルのファイルリスト(図14参照)を受信する(ステップS54)。
さらに、接続制御部108は、接続制御部123および通信制御部121を介して、指定フォルダのフォルダ名とともに、印刷設定ファイルの取得要求をファイルサーバ300に送信する(ステップS55)。そして、接続制御部108は、接続制御部123および通信制御部121を介して、ファイルサーバ300から、指定フォルダに保存されている印刷設定ファイルを受信する(ステップS56)。
次に、照合部106は、ファイルサーバ300から受信したファイルリストと、受信した印刷設定ファイルとを照合し(ステップS57)、印刷設定ファイルに含まれているファイル名と、ファイルリストのファイル名とが一致するか否かを判断する(ステップS58)。
一致する場合は(ステップS58:Yes)、当該ファイル名の示す印刷ファイルには、設定情報が存在するため、設定バッジを付す(ステップS59)。そして、表示制御部102は、設定情報が存在する印刷ファイルには設定バッジを付して、ファイル選択画面D1を操作パネル27に表示する(ステップS60)。
一方、一致しない場合(ステップS58:No)、表示制御部102は、印刷ファイルに設定バッジを付さずにファイル選択画面D1を操作パネル27に表示する。
次に、MFP200がファイルサーバ300から印刷ファイルを取得して印刷する処理について説明する。図17は、実施形態のMFPにおける印刷ファイルの印刷処理の流れを示すフローチャートである。
まず、入力受付部101は、ユーザにより、ファイル選択画面D1から印刷ファイルの指定および印刷開始の指示を受け付ける(ステップS70)。接続制御部108は、接続制御部123および通信制御部121を介して、ファイルサーバ300に指定された印刷ファイルの取得要求を送信し(ステップS71)、印刷ファイルを取得する(ステップS72)。そして、保存制御部105は、記憶部120に印刷ファイルを保存する(ステップS73)。
印刷設定管理部107は、指定された印刷ファイルに、設定情報が存在するか否かを判断する(ステップS74)。設定情報が存在する場合(ステップS74:Yes)、印刷設定管理部107は、設定情報がMFP200で有効であるか否かを判断する(ステップS75)。
設定情報が有効である場合(ステップS75:Yes)、印刷設定管理部107は、指定された印刷ファイルに、印刷設定ファイルの設定情報を印刷設定の印刷パラメータに設定する(ステップS76)。
一方、設定情報が無効である場合(ステップS75:No)、表示制御部102は、指定された印刷ファイルに、印刷設定ファイルの設定情報をそのまま設定できない旨を示す警告画面を表示する(ステップS77)。次に、表示制御部102は、印刷設定画面D2(図9参照)を表示し(ステップS78)、設定情報の入力を促す。そして、入力受付部101は、ユーザからの設定情報の入力を受け付けると(ステップS79)、印刷設定管理部107は、入力された設定情報を印刷設定の印刷パラメータに設定する(ステップS80)。
ステップS74において、設定情報が存在しない場合(ステップS74:No)、印刷設定管理部107は、予めMFP200に設定されているデフォルトの設定値を印刷設定の印刷パラメータに設定する(ステップS81)。
そして、印刷設定管理部107は、接続制御部108、123を介して、設定された印刷パラメータとともに、印刷指示を印刷制御部122に送信する(ステップS82)。印刷制御部122は、印刷パラメータに基づいて、非同期で印刷ファイルの印刷を実行する(ステップS83)。
次に、MFP200が選択された印刷ファイルの設定情報の入力を受け付け、印刷設定ファイルに設定情報を保存する処理について説明する。図18は、実施形態のMFPにおける印刷設定ファイルの保存処理の流れを示すフローチャートである。
まず、入力受付部101は、ユーザにより、ファイル選択画面D1(図8参照)から、設定情報の保存を所望する印刷ファイルの選択を受け付ける(ステップS70)。そして、入力受付部101は、印刷設定ボタンB1の押下により、印刷設定入力指示を受け付ける(ステップS71)。
印刷設定ボタンB1が押下されると、表示制御部102は、印刷設定画面D2(図9参照)を操作パネル27に表示する(ステップS72)。入力受付部101は、印刷設定画面D2から設定情報の入力を受け付ける(ステップS73)。そして、入力受付部101は、印刷設定保存ボタンB3の押下により、設定情報の保存指示を受け付ける(ステップS74)。
印刷設定保存ボタンB3が押下されると、接続制御部108は、接続制御部123および通信制御部121を介して、選択された印刷ファイルのファイル名と、入力された設定情報とをファイルサーバ300に送信する(ステップS75)。印刷ファイルのファイル名と設定情報とを受信したファイルサーバ300は、記憶部310における当該印刷ファイルを含むフォルダに保存される印刷設定ファイルに、ファイル名と設定情報とを対応付けて保存する。
このように、本実施形態の画像処理システムでは、ファイルサーバ300は、印刷ファイルと、MFP100またはPC500から生成された印刷設定ファイル(印刷ファイルのファイル名と印刷する際に設定する設定情報を対応付けたファイル)とを当該印刷ファイルを保存するフォルダごとに保存しておく。そして、MFP200は、ファイルサーバ300から印刷ファイルと印刷設定ファイルを受信し、印刷設定ファイルの設定情報を設定して印刷ファイルを印刷する。これにより、ファイルサーバ300から印刷ファイルを取得して印刷する際に、MFP100側で個別に印刷設定を行うことなく、印刷ファイルに所望の印刷設定を設定して印刷することができる。
なお、本実施形態のMFP100、200で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のMFP100、200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施形態のMFP100、200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のMFP100、200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本実施形態のMFP100、200で実行されるプログラムは、上述した各部(入力受付部、表示制御部、通信制御部、取得部、保存制御部、照合部、印刷設定管理部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。また、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
なお、上記実施形態では、本発明の画像処理装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機(MFP)に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成部を備えた装置であればいずれにも適用することができる。