次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。以下の実施例では、遊技に用いる遊技媒体が遊技球とされ、当該遊技球を遊技盤面に向けて発射することで遊技を進行させることが可能なパチンコ遊技機(弾球遊技機)に、本発明を適用したものについて説明する。具体的には、始動口への遊技球の入球(「始動入球」ともいう)に基づいて特別図柄の変動表示を行い、当該特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば、賞球)が付与され得る大当り遊技(特別遊技)が実行可能となる所謂「1種タイプ」のパチンコ遊技機を例に説明する。
尚、以下の説明において、単に前側(前方)とは、遊技機を正面視した場合の手前側(遊技時に遊技者が位置する側)のことであり、単に後側(後方)とは、遊技機を正面視した場合の背面側のことである。また、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは、遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことであり、例えば、図1や図3における上側、下側、左側、右側を指す。
図1〜図3に示すように、本実施例(実施例1)のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
また、前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。さらに、前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中などに遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a、第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう)や、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の枠ランプ66、遊技の状況に応じて様々な音(効果音)を発することが可能なスピーカ67等も設けられている。
演出ボタン63は、遊技者による入力が可能な入力手段として機能するもので、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。例えば、遊技演出の実行中に第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bを操作すると、当該操作に基づいて所定の操作対応演出が行われる。尚、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者が入力を行うことができるものであれば足り、例えば、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。また、演出ボタンが、上方や手前側に突出したり振動したりする等の演出動作を行うもの(可動式の演出操作手段)であってもよい。
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されており、レール部材4の先端には、球戻り防止片6が設けられている。球戻り防止片6は、一旦遊技領域へ誘導された遊技球を発射装置側へ戻るのを防止するためのものである。また、遊技盤2には、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の盤面ランプ5(図5を参照)も設けられている。
遊技領域3の中央付近には、演出表示手段の一態様である画像表示装置7が設けられている。本実施例の画像表示装置7は液晶表示装置からなるもので、その表示画面7aには、演出図柄8L,8C,8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)と、表示画面7aの背景を構成する背景画像が表示される背景表示領域7cとが設けられている。演出図柄8L,8C,8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様があり、本実施例では、原則、上下方向にスクロール表示(縦スクロール)する。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。尚、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。
本実施例の演出図柄8L,8C,8R(識別情報)は、それぞれ「1」〜「9」までの数字図柄(識別情報種、図柄種)からなるもので、これらの数字図柄が順に表示されるものとなっている。具体的に、演出図柄8の変動表示は、「1」→「2」・・・「8」→「9」の順(昇順)で演出図柄を縦方向(上から下)にスクロール表示させることによって行われるものとなっており、「9」まで到達したら「1」に戻って、スクロール表示を変動終了(停止表示)まで繰り返すものとなっている。また、本実施例では、「1」〜「9」の図柄のそれぞれに色の情報を含ませており、各図柄を色によって分類できるものとしている。具体的には、奇数図柄である「3」と「7」を赤色の図柄(以下「赤図柄」ともいう。)としており、これ以外の奇数図柄である「1」、「5」、「9」を緑色の図柄(以下「緑図柄」ともいう。)としている。また、偶数図柄である「2」、「4」、「6」、「8」を青色の図柄(以下「青図柄」ともいう。)としている。
演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄の組合せ(停止表示態様)によって、後述の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果や、第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果、つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう)の結果を、遊技者が認識し易いように表示する。本実施例では、変動表示している3つの演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する順序(停止順序)を、原則「左→右→中」としている。すなわち、停止順が1番目の停止図柄を左演出図柄8Lとし、停止順が2番目の停止図柄を右演出図柄8Rとし、停止順が3番目(最後)の停止図柄を中演出図柄8Cとしている。尚、停止順が1番目の停止図柄のことを「第1停止図柄」ともいい、停止順が2番目の停止図柄のことを「第2停止図柄」ともいい、停止順が3番目の停止図柄のことを「第3停止図柄」や「最終停止図柄」ともいう。
また、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれかを指して単に「図柄」や「識別情報」ともいう。さらに、普通図柄のことを「普図」や「普通識別情報」、特別図柄のことを「特図」、第1特別図柄のことを「特図1」や「第1特図」、第2特別図柄のことを「特図2」や「第2特図」ともいう。また、演出図柄8を表示する画像表示装置7や第1特別図柄を表示する後述の第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示器41bのことを「識別情報表示手段」ともいう。
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「777」などの3桁同一のゾロ目(「当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、小当りとなった場合には「135」などの予め設定したチャンス図柄や「3★3」などの専用図柄(「小当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。さらに、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。
ここで、演出図柄の停止表示態様(図柄組合せ)のうち、特別図柄当否判定の結果が大当りの場合に対応する停止表示態様(本実施例ではゾロ目)のことを「大当り態様」、「特定態様」または「特定表示結果」ということがあり、特別図柄当否判定の結果が外れの場合に対応する停止表示態様(本実施例ではバラケ目)のことを「「外れ態様」、「非特定態様」または「非特定表示結果」ということがある。また、特別図柄当否判定の結果が小当りの場合に対応する停止表示態様のことを「小当り態様」、「所定態様」または「所定表示結果」ということがある。また、演出図柄8の停止表示態様は、演出図柄8の変動表示の結果を示すものであるといえることから、当該演出図柄8の停止表示態様の全般を指して「結果表示態様」ということがある。
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、当り遊技に伴って実行される当り遊技演出(特別遊技演出)や客待ち用のデモ演出などの他の遊技演出が表示される。演出図柄遊技演出や当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の様々な演出画像も表示される。尚、演出図柄遊技演出のことを「変動演出」ともいう。
また、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)とが設けられている(図3を参照)。第1演出保留(「第1保留図柄」ともいう)や第2演出保留(「第2保留図柄」ともいう)の表示態様(本例では表示数)により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数や第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。ここで、第1演出保留表示領域9cと第2演出保留表示領域9dの上下位置関係につき、本実施例では、遊技状態に応じてその位置が上下入れ替わるものとなっている。具体的に、遊技状態が後述の低ベース状態にあるときは、図3に示すように、第1演出保留表示領域9cが第2演出保留表示領域9dの上方に位置し、遊技状態が後述の高ベース状態にあるときは、その上下の配置が逆転し、第2演出保留表示領域9dが第1演出保留表示領域9cの上方に位置するものとなっている。これは、低ベース状態では主として第1特別図柄の変動表示が行われ、高ベース状態では主として第2特別図柄の変動表示が行われるからであり、このことに対応して、主として変動表示される特別図柄の種類に応じた演出保留を上方に表示するように構成している。
さらに、本実施例の画像表示装置7の表示画面7aには、現在変動している特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)に対応する演出保留、すなわち、消化された特図保留に対応する演出保留(第1演出保留9aまたは第2演出保留9b)を表示する変動保留表示領域9eが設けられている(図3を参照)。変動保留表示領域9eには、特別図柄の変動表示の開始に伴い、当該変動表示に対応する演出保留(第1演出保留9aまたは第2演出保留9b)が、それまで表示されていた演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9cまたは第2演出保留表示領域9d)から移動してくるもので、その移動後、所定の表示終了条件が成立するまで、変動保留表示領域9eに演出保留が表示される。本実施例では、表示画面7a上で後述のスーパーリーチ演出が開始されるか、表示画面7a上で後述のリーチ演出を行うことなく(リーチ成立とならずに)変動表示が終了して外れ演出図柄が停止表示されることで、変動保留表示領域9eに表示(移動)した演出保留が消去されるものとなっている。尚、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示終了条件は本実施例で示すものに限定されるものではなく、任意に定めることが可能である。
また、画像表示装置7の表示画面7aには、遊技状態に応じて、後述の左打ち指示画像70を表示する左打ち表示領域70c(左打ち指示画像表示部)、および、後述の右打ち指示画像71を表示する右打ち表示領域71c(右打ち指示画像表示部)が設けられている(図52を参照)。尚、左打ち指示画像70と右打ち指示画像71を総じて「発射指示画像」ともいう。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、表示画面7a(演出図柄表示領域7b)を取り囲むセンター装飾体10が設けられている。センター装飾体10は、プラスチック製(樹脂製)の成型物によって構成されるもので、中央が開口した枠状の部品(盤部品)として、遊技盤2の表面(前面)に取り付けられるものである。当該センター装飾体10の中央開口を介して画像表示装置7の表示画面7aが視認可能となる。
センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられており、センター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3(左遊技領域3A)を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出してステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。また、センター装飾体10の上部には、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。装飾部材13には、LED等の電飾部材が設けられており、遊技状態や遊技演出に応じて点灯・点滅等が可能となっている。
また、センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。可動装飾部材14は、普段、図3に示すように、センター装飾体10を構成する枠(本例では装飾部材13)に隠れており、全体を視認できない状態となっているが、例えば、比較的当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って可動装飾部材14が下方に落下して、表示画面7aの前面側に出現することで、当該可動装飾部材14が表示画面7aの前面を覆い、その大部分が視認可能となる。これにより、遊技者は当り(大当り)への期待感を高めることとなる。
ここで、特図保留に応じた演出保留9a,9bのことを「記憶表示」ともいい、演出保留9a,9bを表示することが可能な演出保留表示領域9c,9d(演出保留表示部)のことを「演出保留表示手段」や「記憶表示手段」ともいい、遊技状況に応じた種々の演出画像を表示することで表示演出を行うことが可能な画像表示装置7のことを「表示演出手段」ともいい、遊技演出に伴って動作することで可動演出を行うことが可能な可動装飾部材14のことを「可動演出手段」ともいう。尚、可動装飾部材14以外にも、例えば、演出ボタン63が遊技演出に伴って上下動や振動等する場合、演出ボタン63も「可動演出手段」といえる。また、遊技の状況に応じて様々な音(効果音)を発することで音演出を行うことが可能なスピーカ67のことを「音演出手段」ともいい、遊技の状況に応じて様々な光を発することで光演出を行うことが可能な盤面ランプ5、枠ランプ66および装飾部材13のことを「光演出手段」ともいう。尚、これら盤面ランプ5等以外にも、例えば、演出ボタン63や発射ハンドル60が、装飾部材13と同様にLED等の電飾部材を内蔵しており、電飾部材の作用により遊技の状況に応じて点灯・点滅等する場合、これら演出ボタン63や発射ハンドル60も「光演出手段」といえる。さらに、これら「演出保留表示手段」、「表示演出手段」、「可動演出手段」、「音演出手段」および「光演出手段」を総じて「演出手段」ともいう。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(第1特別図柄当否判定)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
第1始動口20の下方には、遊技球の入球し易さが変化する可変式の第2始動口21を備える可変入賞装置22(「可変式始動口」ともいう)が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
尚、特別図柄当否判定の結果が「大当り」であることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「大当り変動」や「特定変動」ともいい、特別図柄当否判定の結果が「小当り」であることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「小当り変動」や「所定変動」ともいい、特別図柄当否判定の結果が「外れ」であることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「外れ変動」や「非特定変動」ともいう。
可変入賞装置22は可動部材23を備え、可動部材23の動作によって第2始動口21を開閉するものである。この開閉動作によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。つまり、可動部材23は、所定の動作(開閉動作)を行うことで、第2始動口21への遊技球の入球可能性を変化させるものである。この可動部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5を参照)により駆動される。本実施例では、第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。尚、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口30(「第1可変入球口」ともいう)を備えた第1大入賞装置31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図5を参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1大入賞装置31は、開閉部材32の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方であってセンター装飾体10の右下部には、第2大入賞口35(「第2可変入球口」ともいう)を備えた第2大入賞装置36が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図5を参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第2大入賞装置36は、開閉部材37の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
第2大入賞装置36には、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39が形成されている。本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の高確率状態を発生させている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。このような特定領域39は、第1大入賞装置31には設けられていない。このような確変作動口としての特定領域39(V領域)を備える第2大入賞口35(第2大入賞装置36)のことを「Vアタッカー」ともいう。尚、高確率状態は、特別遊技とは別に遊技者に付与される遊技上の特典の一つである。
遊技領域3のうちセンター装飾体10よりも右側の領域(右遊技領域3B)には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21を開状態となる。さらに、遊技領域3の下部には、複数の一般入賞口27が設けられている。本実施例では、一般入賞口27を4個設けてあり、そのうちの3個を第1始動口20の左方に設けられた左一般入賞口とし、1個を第1大入賞口30の右方に設けられた右一般入賞口としている。第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、及び一般入賞口27は、それぞれ賞球の払い出し契機となる入球口であり、各入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(賞球)が払い出される。具体的には、第1始動口20の賞球数は「4」、第2始動口21の賞球数は「2」、第1大入賞口20および第2大入賞口35の賞球数は「15」、一般入賞口27の賞球数は「10」としている。
このように複数の入球口(第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、一般入賞口27及びゲート28)等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域3A(第1領域)と、右側の右遊技領域3B(第2領域)と、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「左打ち」といい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。ここで、複数の入球口のうち、第1始動口20および3個の左一般入賞口27は、遊技領域3のうち左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けてあり、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、右一般入賞口27およびゲート28は、遊技領域3のうち右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように設けてある。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際には、原則、左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、原則、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30および第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。
また、図3および図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が配置されている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示および停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)と、第2特別図柄を変動表示および停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)と、普通図柄を変動表示および停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)と、が含まれている。また、主表示器40には、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44と、が含まれている。さらに、主表示器40には、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が当りになったことを示す当り表示器48と、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が大当りになった場合に実行される大当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45と、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46と、遊技球の発射方向、すなわち右打ちを行うべき状態(例えば後述の高ベース状態)か左打ちを行うべき状態(例えば後述の低ベース状態)かを示す発射方向表示器47と、が含まれている。主表示器40に含まれるこれらの各種表示器は、後述の主制御部によって表示制御される。
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口20への遊技球の入球(「第1始動入球」ともいう)に基づいて行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口21への遊技球の入球(「第2始動入球」ともいう)に基づいて行われる。尚、以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して「特別図柄」ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して「特別図柄表示部41」ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して「特図保留表示部43」ということがある。
特別図柄表示部41では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示された特別図柄(停止図柄)によって第1始動口20または第2始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当り図柄(特定特別図柄、特定識別情報)である場合、すなわち、特別図柄の停止表示の態様(特別図柄の変動表示の表示結果)が大当り図柄や小当り図柄等の当り態様である場合には、停止表示された当り図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技または小当り遊技)が行われる。尚、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
特別図柄の停止表示は、所定の停止表示時間(確定表示時間)が経過するまで行われる。そして、停止表示された特別図柄が外れ図柄(外れ態様、非特定態様)であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されている場合には、停止表示時間が経過すると、記憶順の最も古い(最先の)特図保留が消化され、これにより次の特別図柄の変動表示が開始される。また、停止表示された特別図柄が外れ図柄であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されていない場合には、停止表示時間が経過した後も、特別図柄の停止表示状態が維持される。一方、停止表示された特別図柄が当り図柄である場合には、停止表示時間が経過すると、後述するオープニング期間に移行し、当該オープニング期間を経て当り遊技における1回目の大入賞口の開放(例えば、大当り遊技であれば1ラウンド目)が開始される。尚、特別図柄の停止表示時間は「0.5秒〜1.0秒」とされるのが一般的で、本実施例では「0.6秒」としている。
図4に示すとおり、第1特別図柄表示器41aは、「i〜p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第1特別図柄当否判定の結果として「15R第1大当り」、「15R第2大当り」、「5R第3大当り」および「2R第4大当り」の4種類の大当りと、第1小当りが設けられており(図6、図8を参照)、第1特別図柄表示器41aのLEDは、それら大当り及び小当りの各々に応じた表示態様を採ることが可能となっている。例えば、第1特別図柄当否判定の結果が第1大当り(15R大当り)となった場合には、「ijn」の3個のLEDを点灯して残りを消灯する(15R第1大当り図柄)。また、第2大当り(15R大当り)となった場合には、「ijk」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第2大当り図柄)。さらに、第3大当り(15R大当り)となった場合には、「ijl」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第3大当り図柄)。また、第4大当り(2R大当り)となった場合には、「jnop」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する(2R第4大当り図柄)。さらに、第1小当りとなった場合には、「mnop」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する(第1小当り図柄)。また、外れとなった場合には、「lo」の2個のLEDを点灯し残りを消灯する(外れ図柄)。
一方、第2特別図柄表示器41bは、「a〜h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第2特別図柄当否判定の結果として「15R第5大当り」および「15R第6大当り」の2種類の大当りと、第2小当りが設けられており(図6、図8を参照)、第2特別図柄表示器41bのLEDは、それら大当り及び小当りの各々に応じた表示態様を採ることが可能となっている。例えば、第2特別図柄当否判定の結果が、第5大当り(15R大当り)となった場合には、「abd」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第5大当り図柄)。また、第6大当り(15R大当り)となった場合には、「abc」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第6大当り図柄)。さらに、第2小当りとなった場合には、「cdeh」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する(第2小当り図柄)。また、外れとなった場合には、「eh」の2個のLEDを点灯し残りを消灯する(外れ図柄)。
尚、特別図柄の停止表示態様(停止図柄)や大当りの種類(ラウンド数の種類、大当りの数など)は、これらに限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば、予め定められた順序で光が左から右へ繰り返し流れるように各LEDを点灯させる態様とすることができる。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留(第1取得情報)として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留(第2取得情報)として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留(取得情報)の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値はそれぞれ「4」となっている。これら第1特図保留記憶部および第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」および「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示がその入球時にすぐに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合であっても、所定数(本実施例では「4」)を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものとなっている。例えば、保留数が「0」の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「3」の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「4(上限数)」の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。
また、第2特図保留表示器43bは「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数「1」〜「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後、停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。尚、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には、図4に示す通り、普通図柄表示器42は「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。尚、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値は「4」となっている。普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合であっても、所定数(本実施例では「4」)を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数「2」〜「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7や演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。
また、図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上にはサブ制御基板90を収納したサブ制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、前述した特図保留記憶部(第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部)と普図保留記憶部とが設けられている。また、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)のRAM(主制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ49aおよび一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「遊技球検知手段」ともいう。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。非特定領域センサ49aは、第2大入賞口35内の非特定領域(図示せず)に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち非特定領域を通過した遊技球(つまり、特定領域39を通過しなかった遊技球)を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球を検知するものである。
また、ソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33および第2大入賞口ソレノイド38が接続されている。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのものである。
さらに、主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47および当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また、主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、発射ハンドル60(図1を参照)が含まれる。
払出制御基板110は、所定のプログラムに従って遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン116(「払出制御用マイコン」ともいう)が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号やパチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。遊技者による発射装置112のハンドル60の操作があった場合には、タッチスイッチ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。尚、本実施例では、発射モータ113の駆動により発射装置112が連続して発射可能な遊技球の数は1分間で約100個となっている。
また、主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、サブ制御基板90には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出(遊技演出)を制御する演出制御用ワンチップマイコン91(「演出制御用マイコン」)が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。尚、入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよく、ROMは外付けであってもよい。また、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)のRAM(演出制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。ここで、サブ制御基板90(サブ制御部)や画像制御基板100(画像制御部)、音声制御基板106(音声制御部)、ランプ制御基板107(ランプ制御部)は、遊技の状況に応じて表示演出や音演出、ランプ演出(光演出)等の各種演出を、対応する演出用の装置や部材等(演出手段)に実行させる演出実行手段として機能するものである。また、例えば、保留予告やステップアップ予告等の各種予告演出を実行させる予告演出実行手段としても機能する。尚、予告演出とは、現在実行中の変動表示や後に実行される変動表示(保留)について、大当りとなる可能性(大当り信頼度)や変動表示の実行態様(変動演出パターン)等を事前に予告(示唆)する演出のことをいう。
サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示および停止表示にあわせて変動表示および停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出第1特図保留表示器103aは第1演出保留表示領域9cに表示される保留個数および第1特図保留表示器43aで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。また、演出第2特図保留表示器103bは第2演出保留表示領域9dに表示される保留個数および第2特図保留表示器43bで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)の略全体を被覆したりすることで、演出図柄8や第1演出保留9a、第2演出保留9b等、表示画面7aに表示される各種画像の一部または全部が視認できない状態になることがあるため、この様な表示器が設けられている。尚、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えて、VDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROMに格納されている。尚、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御用マイコン101に音声制御を実行させてもよい。この場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
さらに、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を動作させる。前述したように、可動装飾部材14は、センター装飾体10(装飾部材13の後方)に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の動作態様で動作させるための動作パターンデータ(「駆動データ」ともいう)を、サブ制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した動作パターンデータに基づいて可動装飾部材14の動作を制御する。尚、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、この場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
また、サブ制御基板90には、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63b(図1を参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチからの信号がサブ制御基板90に入力される。尚、第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dを総称して単に「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御(判定手段)について説明する。本実施例では、特別図柄当否判定の結果として「大当り」、「小当り」および「外れ」がある。特別図柄当否判定の結果が「大当り」のときには、特別図柄表示部41に「大当り図柄」が停止表示され、「小当り」のときには、特別図柄表示部41に「小当り図柄」が停止表示され、「外れ」のときには、特別図柄表示部41に「外れ図柄」が停止表示される。大当り又は小当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにて、第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」ともいい、小当りとなって実行される特別遊技を「小当り遊技」ともいう。
当りには複数の種別がある。図6に示すように大当りの種別としては、「15R(ラウンド)第1大当り」、「15R第2大当り」、「15R第3大当り」、「2R第4大当り」、「15R第5大当り」および「15R第6大当り」がある。「15R第1大当り」および「15R第5大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であり、1ラウンド目と2ラウンド目に、特定領域39への遊技球の通過(V通過)が可能(容易)な態様で第2大入賞口35(Vアタッカー)を開放させる大当りである。この特定領域39への遊技球の通過を狙うラウンドを「Vラウンド」や「チャンスラウンド」ともいう。また、「Vラウンド」や「チャンスラウンド」のことを「特典決定遊技」ともいう。
「15R第2大当り」、「15R第3大当り」および「15R第6大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であるものの、前述のVラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目の開放時間が極短時間(一瞬開閉)で、特定領域39への遊技球の通過が困難(不可能としてもよい)な大当りである。すなわち、これらの大当りは、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35(Vアタッカー)を開放させることのない大当りであるといえる。
「2R第4大当り」は、大入賞口の開放回数(ラウンド数)が2回であり、Vラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目に特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35(Vアタッカー)を開放させる大当りである。但し、第2大入賞口35の開放時間が1ラウンド目と2ラウンド目を合わせても1.8秒であるので、15R第1大当りより特定領域への遊技球の通過可能性が低いものとなっている。
本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当り遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、特別図柄当否判定の結果が15R第1大当りまたは15R第5大当りとなった場合には、特定領域39への遊技球の通過可能性が極めて高い態様で1ラウンド目と2ラウンド目のVラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。また、特別図柄当否判定の結果が2R第4大当りとなった場合には、15R第1大当りや15R第5大当りほどではないものの、特定領域39への遊技球の通過可能性がある態様で1ラウンド目と2ラウンド目のVラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができれば、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。
これに対して、特別図柄当否判定の結果が15R第2大当り、15R第3大当り又は15R第6大当りとなった場合には、1ラウンド目と2ラウンド目のVラウンドの開放時間が各0.1秒であるので、第2大入賞口へ遊技球を入球させるのが非常に困難となり、当該大当り遊技の実行中における特定領域39への遊技球の通過可能性は極めて低くなる(実質的に不可能となる)。このため、当該大当り遊技後の遊技状態は、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が非常に高い(低確率状態になるといってもよい)。
一方、小当り(第1小当り、第2小当り)は、見かけ上2R第4大当りと同じ開放パターンで大入賞口(第2大入賞口35)を開放させる当りである。すなわち小当りでは、特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる。しかしながら、小当り遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったとしても、小当り遊技の実行後の遊技状態は小当り遊技の実行前から変化しないものとなっている。そのため、小当り遊技の実行前の遊技状態が通常状態(低確率状態)であれば、小当り遊技の実行後の遊技状態も通常状態となる。そして遊技者から見れば、上記の2R第4大当りと小当りとは大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンを見ても区別することができない。すなわち遊技者は、特別図柄当否判定の結果が「2R第4大当り」になったのか「小当り」になったのかを認識するのが困難である。そのため、2R第4大当りとしての特別遊技中(大当り遊技中)に遊技球が特定領域39を通過したとしても、それだけでは、その後の遊技状態が高確率状態に移行したかどうかを認識するのは困難である。また、小当りとしての特別遊技中(小当り遊技中)に遊技球が特定領域39を通過したとしても、それだけでは、その後の遊技状態が通常状態のままか、高確率状態に移行したかを認識するのは困難である。その結果、小当りとなった場合および2R第4大当りになった場合には、高確率状態であるかもしれないという期待感を持ちつつ遊技を進行することができ、遊技興趣を高めることができる。尚、小当りにおいては大入賞口の開放回数をラウンド数とはいわず、単に開放回数という。
本実施例のパチンコ遊技機1における各大当り及び小当りとなったときの大入賞口の開放パターンは、図6のようになっている。すなわち、15R第1大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第1大当り図柄が停止表示された場合)および15R第5大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第5大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rでは第2大入賞口35(Vアタッカー)を最大28秒開放させ、3R〜15Rでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この大当りでは、1Rおよび2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々28秒あるため、そのラウンド中(Vラウンド中)に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高いものとなっている。
また、15R第2大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第2大当り図柄が停止表示された場合)と、15R第3大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第3大当り図柄が停止表示された場合)と、15R第6大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第6大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rでは第2大入賞口35を最大0.1秒開放させ、3R〜15Rでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この大当りでは、1Rおよび2R目における第2大入賞口35(Vアタッカー)の開放時間が夫々最大0.1秒と極短時間とされている(一瞬開閉)ため、そのラウンド中(Vラウンド中)に遊技球が特定領域39を通過することはほぼ不可能となっている。
このように本実施例では、15R第2,第3,第6大当り用の開放パターンと、15R第1,第5大当り用の開放パターンとでは、1R目および2R目(Vラウンド)の開放態様が異なっている。そして、15R第1,第5大当りでは、1R目と2R目に第2大入賞口35がそれぞれ28秒開放するため、当該Vラウンドでは、球詰まりや遊技球発射系のトラブル等が発生しない限り、略確実に遊技球が第2大入賞口35に入球して、高い確率で特定領域39を通過することとなる。これに対して、15R第2,第3,第6大当りでは、1R目と2R目に第2大入賞口35がそれぞれ0.1秒しか開放しないため、第2大入賞口35に遊技球が入球することは非常に困難である。従って、15R第2,第3,第6大当りに係る大当り遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は、15R第1,第5大当りに比してかなり低くなっており、実質的には通過不可能となっている。
尚、特定領域39への遊技球の通過可能性(V通過可能性)が極めて高い態様でVラウンドが実行される大当り(本例では15R第1大当り及び15R第5大当り)のことを「V通過予定大当り」ともいい、V通過可能性が極めて低い態様でVラウンドが実行される大当り(本例では15R第2大当り、15R第3大当り及び15R第6大当り)のことを「V非通過予定大当り」ともいう。
また、図6に示すように、2R第4大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに2R第4大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまで第2大入賞口35を最大0.9秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目の第2大入賞口35の開放時間の合計が最大で1.8秒となるため、そのラウンド中に遊技球を第2大入賞口35に入球させて特定領域39を通過させることが可能となっている。本実施例の本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で1個の遊技球が発射されるようになっているので、第2大入賞口35の開放時間が1.8秒あれば、第2大入賞口35へ遊技球を入球させて特定領域39への遊技球の通過を狙うことは十分に可能である。但し、2R第4大当りは、第2大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、他の15R大当りのように多くの賞球(遊技利益)を望めるものではない。すなわち他の大当りに比してほとんど賞球の獲得できない大当りである。
また、第1小当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに第1小当り図柄が停止表示された場合)と、第2小当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに第2小当り図柄が停止表示された場合)には、第2大入賞口35の最大0.9秒間の開放を2回行う。すなわち、2R第4大当りと同じ開放パターンにて大入賞口を開放させる。この小当りにおいても、第2大入賞口35の開放時間が合計1.8秒あるため、遊技球を第2大入賞口35に入球させて特定領域39を通過させることが可能となっている。しかし、前述の通り、小当り遊技にて特定領域39への通過があっても、小当り遊技の前後で遊技状態の変化はない。また、小当り遊技では、大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、2R第4大当りと同様に多くの賞球を望めるものではない。すなわち小当りは、遊技状態の移行という点についても、賞球という点についても、遊技者にとっての特典がほぼ無いもの(入球による賞球のみ)となっている。
本実施例では、第2大入賞口35の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能(通過容易)な第1の開放パターンと(15第1大当り、15R第5大当り)、遊技球が特定領域39を通過困難(通過不能)な第2の開放パターンと(15R第2大当り、15R第3大当り、15R第6大当り)、遊技球が特定領域を通過可能であって第1の開放パターンより通過可能性が低い第3の開放パターンと(2R第4大当り)、を有するものとすることができる。また、小当り用の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能であるが通過した場合であっても特典を付与しない(高確率状態を発生しない)第4の開放パターンを有するものとすることができる。この第4の開放パターンは、他の態様として特定領域39を通過不能な開放パターンとしてもよい。
第1特別図柄(特図1)の当否判定にて大当りとなった場合における各大当りへの振分確率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが20%、15R第3大当りが30%、2R第4大当りが10%となっている(図6の大当り種別決定用乱数の欄を参照)。これに対して、第2特別図柄(特図2)の当否判定にて大当りとなった場合における各大当りへの振分確率は、15R第5大当りが80%、15R第6大当りが20%となっている(図6の大当り種別決定用乱数の欄を参照)。この振分確率は、大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性、すなわち高確率状態となる確率を表しているものといえ、また、後述の開放延長機能が作動する高ベース状態となる確率を表しているものといえる。
すなわち、高確率状態となる確率については、第1始動口20への入球に基づく当否判定(第1特別図柄当否判定)で大当りとなった場合、その確率は少なくとも40%となっており、2R第4大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する場合を含めると、その確率は50%となっている。一方、第2始動口21への入球に基づく当否判定(第2特別図柄当否判定)で大当りとなった場合、その確率は80%となっている。
また、高ベース状態となる確率については、開放延長機能が作動していない遊技状態(低ベース状態)において第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合、その確率は60%となっており、高ベース状態において第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合の2R第4大当りを含めると、その確率は70%となっている。一方、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合、その確率は100%となっている。そして、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合には、第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合に発生し得る2R大当りが発生することはなく、必ず15R大当りとなる。
このように本実施例のパチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入球して行われる第1特別図柄当否判定(第1特別図柄の大当り抽選)において大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる第2特別図柄当否判定(第2特別図柄の大当り抽選)において大当りとなる方が、第1特別図柄当否判定で大当りとなる場合に比べ、高確率状態になる確率や高ベース状態になる確率、さらには15R分の賞球を獲得できる可能性が高くなっている。つまり、第2特別図柄当否判定で大当りとなる場合の方が、第1特別図柄当否判定で大当りとなる場合に比べ、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されており、第2特別図柄を変動表示させた方が、第1特別図柄を変動表示させるよりも遊技者にとって有利に働く可能性が高いものとなっている。このため、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行うこととなる。特に第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(高ベース状態)においては顕著である。尚、前述の振分確率は一例であり、遊技性やスペック等を考慮して任意に設定することができる。
また、本実施例では、第2特別図柄を第1特別図柄に比して優位にしていることから、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示が共に実行可能な場合、すなわち、第1特図保留と第2特図保留が共に「1」以上存在する場合には、第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)を第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)に優先して行うものとしている。これにより、第2始動口21への入球頻度が高まる高ベース状態は、第2特別図柄の変動表示の実行頻度が高まるので、遊技者にとって有利に遊技を進めることが可能な状態といえる。にもかかわらず、高ベース状態で第1特別図柄の変動表示が行われることは、遊技者にとっては、せっかくの有利な状態(高ベース状態)での遊技に水を差されることとなり、第1特別図柄の変動表示は第2特別図柄の変動表示に比べ不利に働く可能性もあることから、高ベース状態での第1特別図柄の変動表示は、遊技者にとって望ましいことではないといえる。
ここで、特別図柄の停止表示の態様として、大当り図柄のことを「特定態様」や「特定表示結果」ともいい、小当り図柄のことを「所定態様」や「所定表示結果」ともいい、外れ図柄のことを「非特定態様」や「非特定表示結果」ともいう。また、高ベース状態の設定契機とならない大当り図柄(例えば15R第3大当り図柄)や高確率状態の設定可能性(V通過可能性)が極めて低い(実質的にゼロである)大当り遊技の実行契機となる大当り図柄(例えば15R第2,第3,第6大当り図柄)、さらにはラウンド数が相対的に少ない大当り遊技の実行契機となる大当り図柄(例えば2R大当り図柄)のこと、すなわち遊技者にとっての有利度合が相対的に低い大当り図柄のことを「第1特定態様」や「第1特定表示結果」ともいい、このような有利度合が相対的に低い大当り図柄の停止表示を契機に実行される大当り遊技のことを「第1特別遊技」ともいう。
さらに、高ベース状態の設定契機とならない大当り図柄との比較で高ベース状態の設定契機となる大当り図柄(例えば15R第1,第2,第5,第6大当り図柄)や、高確率状態の設定可能性(V通過可能性)が極めて低い大当り遊技との比較で高確率状態の設定可能性(V通過可能性)が極めて高い大当り遊技の実行契機となる大当り図柄(例えば15R第1,第5大当り図柄)、さらには、ラウンド数が相対的に少ない大当り遊技の実行契機となる大当り図柄との比較でラウンド数が相対的に多い大当り遊技の実行契機となる大当り図柄(例えば15R大当り図柄)のこと、すなわち遊技者にとっての有利度合が相対的に高い大当り図柄のことを「第2特定態様」や「第2特定表示結果」ともいい、このような有利度合が相対的に高い大当り図柄の停止表示を契機に実行される大当り遊技のことを「第2特別遊技」ともいう。また、特別図柄の変動表示が実行可能な遊技状態であって、開放延長機能が作動しない遊技状態(低ベース状態)のことを「第1遊技状態」ともいい、開放延長機能が作動する遊技状態(高ベース状態)のことを「第2遊技状態」ともいう。
本パチンコ遊技機1では、大当りか小当りか外れかの判定は「特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう)」に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は「大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」、「図柄決定用情報」ともいう)」に基づいて行われる。図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0〜629」までの範囲で値をとり、大当り種別決定用乱数は「0〜99」までの範囲で値をとる。また、第1始動口20や第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数および大当り種別決定用乱数の他に「変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう)」がある。変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数であり、「0〜198」までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数であり、「0〜240」までの範囲で値をとる。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄に対する確率変動機能、普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能および開放延長機能の各機能が作動状態または非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態(「低確率状態」ともいう)」という。高確率状態では、特別図柄当否判定において大当りと判定される確率が通常状態よりも高くなっている。すなわち、通常状態では通常状態用の当り判定テーブルを用いて当否判定を行い、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が通常状態よりも多い高確率状態用の当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(図8(A)を参照)。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の表示結果が大当りとなる(停止図柄が大当り図柄となる)確率が高くなる。確率変動機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、特別図柄当否判定の当選確率(大当り確率)を低確率(第1確率)または高確率(第2確率)に設定可能な確率設定手段として機能するものである。
また、特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)について変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」や「短縮変動状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」や「通常変動状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなる。すなわち、時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図9を参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化ペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。変動時間短縮機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、特別図柄の変動時間が通常よりも短くなる短縮変動状態を設定可能な短縮変動状態設定手段として機能するものである。
特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)についての確率変動機能と変動時間短縮機能は同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しないものとなっている。このため、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなる。具体的に、時短状態では、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図8(C)を参照)。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図8(D)を参照)。さらに時短状態では、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。加えて時短状態では、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。具体的には、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22(第2始動口21)の可動部材23が0.2秒の開放動作を1回行い、時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22(第2始動口21)の可動部材23が2.0秒の開放動作を3回行うものとなっている。
普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能および開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21への遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」ともいい、作動していない状態を「低ベース状態」ともいう。また、高ベース状態では、第2始動口21への遊技球の入球頻度が高くなることから、これに伴って、特別図柄(ここでは第2特別図柄)の変動表示の実行頻度も高くなる。したがって、高ベース状態では、手持ちの遊技球(持ち球)を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能および開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口21が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
本実施例のパチンコ遊技機1では、15R第1,第5大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
また、15R第2,第6大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過することは極めて困難であることから特別図柄の通常状態となり、これに加えて特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるまでに大当りに当選して当該大当りに係る特別遊技(大当り遊技)が実行されることにより終了する。尚、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第2,第6大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は「高確高ベース状態」となる。また、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第1,第5大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は「低確高ベース状態」となる。
また、15R第3大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いことから、特別図柄の通常状態となり、これに加えて特別図柄の非時短状態かつ低ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態は、本パチンコ遊技機1において基本となる遊技状態、すなわち初期の遊技状態である。尚、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第3大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は、後述の「高確低ベース状態」となる。
また、低確低ベース状態において、2R第4大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の非時短状態かつ低ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「高確低ベース状態」という。高確低ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
この高確低ベース状態は、高確率状態であることが潜伏している状態、すなわち高確率状態であることが遊技者にとって認識困難な状態である。つまり高確低ベース状態は、いわゆる「潜伏確変状態(「確率非報知状態」ともいう)」である。これに対して、上記の高確高ベース状態は、高確率状態であることが遊技者にとって明らかな状態である。つまり高確高ベース状態は、いわゆる「確変遊技状態」である。
また、高ベース状態において、2R第4大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば「高確高ベース状態」となる(図6を参照)。すなわち、特別図柄の時短機能およびベース状態については、大当り遊技の実行前の状態と同じ状態とされる。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、第1始動口20への入球よりも第2始動口21への入球の方が容易となっているからである。そのため、高ベース状態では、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行うことで、左打ちを行うよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知する(右打ち指示報知)。
これに対して、高確低ベース状態や低確低ベース状態といった低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、第2始動口21への入球よりも第1始動口20への入球の方が容易となっているからである。そのため、低ベース状態では、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行うことで、右打ちを行うよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知する(左打ち指示報知)。
具体的に、発射方向表示器47は、「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
また、本実施例では、遊技領域3のうち左遊技領域3Aと右遊技領域3Bの何れに向けて遊技球を発射するかを指示する発射指示報知を、発射方向表示器47におけるLEDの表示態様だけでなく、画像表示装置7(表示画面7a)における発射指示画像(左打ち指示画像70、右打ち指示画像71)の表示によっても行うこととしている。一般に、遊技者にしてみれば、発射方向表示器47に比べ画像表示装置7(表示画面7a)の方が、表示内容を視認しやすく把握(理解)しやすいといえる。したがって、遊技者は、一般的には、画像表示装置7(表示画面7a)に表示される発射指示画像を見て、「左打ち」と「右打ち」の何れを行うべきなのか、つまり、現在の遊技状態が左打ちを行う「左打ち遊技状態」なのか、右打ちを行う「右打ち遊技状態」なのかを把握する。
以上のように、本実施例のパチンコ遊技機1においては、小当り遊技や大当り遊技が行われていない低確低ベース状態を基準とすると、この低確低ベース状態を「通常遊技状態」もしくは「通常状態」として捉えることができ、当該状態にて特別図柄を変動表示させる遊技を「通常遊技」として捉えることができる。
そして、大当り遊技は、特別図柄を変動表示させて大当り図柄が停止表示されることで実行され得る遊技であって、遊技者にとっては、大入賞口(第1大入賞口32、第2大入賞口35)への遊技球の入球により多量の賞球を得ることが可能な有利な遊技であることから、大当り遊技を「特別遊技」として捉えることができ、当該大当り遊技が行われる遊技状態を「特別遊技状態」として捉えることができる。
また、小当り遊技は、大当り遊技ほどではないものの、大入賞口(第1大入賞口32、第2大入賞口35)への遊技球の入球により賞球を得ることは可能なので、一応は、通常遊技に比べ遊技者に有利な遊技といえる。よって、小当り遊技も「特別遊技」として捉えることができ、当該小当り遊技が行われる遊技状態も「特別遊技状態」として捉えることができる。尚、大当り遊技としての特別遊技と、小当り遊技としての特別遊技を区別するため、小当り遊技としての特別遊技を「小利益特別遊技」として捉えることもできる。
さらに、本実施例では、前述のように、遊技状態が特別遊技状態(大当り遊技状態)や高ベース状態(高確高ベース状態、低確低ベース状態)にあるときに「右打ち」を行うことから、「右打ち遊技状態」は特別遊技状態や高ベース状態を指す。この「右打ち遊技状態」のことを「所定遊技状態」ともいい、「特別遊技状態」のことを「第1所定遊技状態」ともいい、「高ベース状態」のことを「第2所定遊技状態」ともいう。
[主制御メイン処理]
次に、図10〜図38に基づいて、遊技制御用マイコン81の動作(主制御部による制御処理)について説明する。尚、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、主制御基板80のROMから図10に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(S101)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。尚、初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S101)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。尚各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。尚、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず、出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。ここで出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄、変動パターン、各種入球口(始動口、大入賞口等)への遊技球の入球、ラウンド遊技の進行等に関する種々の情報が含まれる。尚、コマンドは、例えば2バイトの情報からなる。上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、一般入賞口センサ27a等、図5を参照)が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、第1始動口センサ20aや第2始動口センサ21aが遊技球を検知した場合、後述の始動入球時処理(S205)により、各始動口に対応する始動入球コマンドをRAMの出力バッファに記憶する。さらに、下皿62の満杯を検知する下皿満杯スイッチからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAMの出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、始動入球時処理(S205)、普図動作処理(S206)、特図動作処理(S207)、特定領域センサ検知処理(S208)、保留球数処理(S209)および電源断監視処理(S210)を実行する。この他、遊技を進行させる上で必要な「その他の処理」を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまで主制御メイン処理のS102〜S104の処理が繰り返し実行され(図10を参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[始動口センサ検知処理]
図12に示すように、始動口センサ検知処理(S204)では、まず、遊技球がゲート28を通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305の処理に移行し、ゲート28を遊技球が通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4未満であるか否か判定する(S302)。
普通図柄保留球数が4未満でなければ(S302でNO)、S305の処理に移行する。一方、普通図柄保留球数が4未満であれば(S302でYES)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
S305では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合(S305でNO)には、S309の処理に移行し、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S306)。そして、特図2保留球数が4未満でない場合(S306でNO)には、S309の処理に移行し、特図2保留球数が4未満である場合には(S306でYES)、特図2保留球数に1を加算する(S307)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
続いて第1始動口20に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口20に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には処理を終え、第1始動口20に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S310)。そして、特図1保留球数が4未満でない場合(S310でNO)には処理を終え、特図1保留球数が4未満である場合には(S310でYES)、特図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特図1関係乱数取得処理(S312)では、特図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)および変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部のうち現在の特図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
ここで、第1始動口20や第2始動口21への遊技球の入球に基づいて取得される各種の取得乱数値(取得情報)のうち、特別図柄当否判定において大当りと判定される値のことを「特定取得情報」ともいい、特別図柄当否判定において大当りと判定されない値(本実施例では外れ又は小当りと判定される値)のことを「非特定取得情報」ともいう。また、高ベース状態の設定契機とならない大当り(例えば15R第3大当り)や、高確率状態の設定可能性(V通過可能性)が極めて低いV非通過予定大当り(例えば15R第2,第3,第6大当り)、さらにはラウンド数が相対的に少ない大当り(例えば2R大当り)等、遊技者にとっての有利度合が相対的に低い大当りと判定される値のことを「第1特定取得情報」ともいい、高ベース状態の設定契機とならない大当りとの比較で高ベース状態の設定契機となる大当り(例えば15R第1,第2,第5,第6大当り)や、高確率状態の設定可能性が低いV非通過予定大当りとの比較で高確率状態の設定可能性が極めて高いV通過予定大当り(例えば15R第1,第5大当り)、さらには、ラウンド数が相対的に少ない大当りとの比較でラウンド数が相対的に多い大当り(例えば15R大当り)等、遊技者にとっての有利度合が相対的に高い大当りと判定される値のことを「第2特定取得情報」ともいう。
[始動入球時処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで始動入球時処理(S205)を行う。図13に示すように、始動入球時処理(S205)では、まず、特図2保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S315)。そして、特図2保留球数が「1」増加したと判定した場合(S315でYES)、S316の処理に移行する。これは、第2始動口に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS307で特図2保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、特図2保留球数が増加していないと判定した場合(S315でNO)、S319の処理に移行する。
S316では、直前の始動口センサ検知処理(S204)における特図2関係乱数取得処理(S308)で取得して第2特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出す(S316)。次いで、読み出した第2特別図柄に係る取得乱数値を判定する(S317)。S317では、読み出した取得乱数値のうち、特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)については、原則、現在の遊技状態(低確率状態か高確率状態か)に応じて大当りか外れかを判定し、当該判定の結果が大当りである場合には、さらに大当りの種別を判定する。このS317の処理は、後述の特図2当否判定処理(S1202)における当否判定(S1303,S1309)に先立って行う事前判定(所謂「保留先読み」)に相当するものである。
大当りか否かの事前判定は、大当り判定テーブル(図8(A)を参照)、すなわち、高確率状態であれば高確率状態用の大当り判定テーブル、通常状態(低確率状態)であれば通常状態用の大当り判定テーブルに基づいて、大当り判定値と一致するか否かを判定することが可能である。また、他の事前判定態様として、変動パターン情報を判定可能な変動パターン情報判定テーブルとして、通常状態用(低確率状態用)の変動パターン情報判定テーブルと、高確率状態用の変動パターン情報判定テーブルと、を有するものとする。そして、事前判定においては、取得乱数値(特別図柄当否判定用乱数カウンタの値等)と、遊技状態に応じた変動パターン情報判定テーブルと、に基づいて、所定の変動パターン情報を選択するものとすることが可能である。この選択した変動パターン情報から、大当りかどうかや大当り種別、大当り信頼度の高い遊技演出が実行されるかどうか等を識別可能とすることができる。
また、本実施例では、大当りか否かの事前判定に関し、現在(始動入球時)の遊技状態(確率状態)に応じた事前判定に加え、現在の遊技状態(確率状態)とは別の本パチンコ遊技機1が制御可能な遊技状態(確率状態)に応じた事前判定を行うことも可能となっている。すなわち、現在の遊技状態が低確率状態であるときには、遊技状態が高確率状態である場合を想定した事前判定を行うことが可能となっており、現在の遊技状態が高確率状態であるときには、遊技状態が低確率状態である場合を想定した事前判定を行うことが可能となっている。具体的に、現在の遊技状態が通常状態(低確率状態)であれば、通常状態用の大当り判定テーブルにより大当り判定値と一致するか否かを判定するとともに、高確率状態用の大当り判定テーブルによっても大当り判定値と一致するか否かを判定し、現在の遊技状態が高確率状態であれば、高確率状態用の大当り判定テーブルにより大当り判定値と一致するか否かを判定するとともに、通常状態用の大当り判定テーブルによっても大当り判定値と一致するか否かを判定する。これにより、事前判定が行われるときの遊技状態と、その後に事前判定の対象となった取得乱数値(取得情報)に基づく特別図柄当否判定が行われるとき(すなわち、特図保留消化時)の遊技状態とが異なるとしても、それを見越した事前判定を行うことが可能となり、その結果を、事前判定結果に基づく演出(保留先読み演出)に反映することが可能となっている。
次いでS318では、S317による事前判定の結果に係る遊技情報(事前判定情報)、具体的には、特別図柄当否判定用乱数値が大当り判定値と一致するか否かを示す情報(当否情報)や、大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)を示す情報、変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報等を含むコマンドデータを、特図2始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S318)。尚、特図2始動入球コマンドとして、S316で読み出した特図2取得乱数の値の一部または全部を、そのままサブ制御基板に送信するようにしてもよいし、特図2取得乱数の値はそのまま送信せず、特図2取得乱数の値に基づいて取得した遊技情報(例えば、前述の変動パターン情報等)を送信するようにしてもよい。
本実施例では、主制御部80から送信した特図2始動入球コマンドをサブ制御部90で解析することで、大当りに係る情報であるかどうか、大当り種別は何れであるか、変動パターンは何れであるか等を、サブ制御部90が識別できるものとされている。また、本実施例では、これに加えて、特図2始動入球コマンドを解析することで、取得した特図2取得乱数が高確率状態で判定した場合に大当りとなるかどうか、及び低確率状態で判定した場合に大当りとなるかどうか、を特定可能とされている。これにより、サブ制御部90は、受信した特図2始動入球コマンドを保留(演出保留情報)として記憶し、特定のタイミングで当該演出保留情報を事前判定し、低確率状態で当否判定した場合に大当りと判定される演出保留情報、高確率状態で当否判定した場合に大当りと判定される演出保留情報、および、低確率状態で当否判定した場合と高確率状態で当否判定した場合との双方で大当りと判定される演出保留情報が記憶されているかどうかを判定することが可能となる。
尚、不正防止の観点から、S316で読み出した取得乱数値のうち特別図柄当否判定用乱数値を、そのままサブ制御部に送信することはせず、その他の大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)と変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報と、事前判定の結果を示す情報とを含むコマンドデータを特図2始動入球コマンドとして生成し、これをセットすることが可能である。
次いでS319では、前述の特図2に係る処理と同様に、特図1保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S319)。そして、特図1保留球数が「1」増加したと判定した場合(S319でYES)、S320の処理に移行する。これは、第1始動口に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS311で特図1保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、S319で、特図1保留球数が増加していないと判定した場合(S319でNO)、そのまま処理を終える。
S320では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S320)、時短フラグがONである、すなわち高ベース状態であると判定した場合(S320でYES)、そのまま処理を終える。一方、S320で時短フラグがOFFである、すなわち低ベース状態であると判定した場合(S320でNO)、S321以降の事前判定に係る処理に進む。
S321〜S323の処理は、前述したS316〜S318と同様の処理を特図1について行うものである。すなわち、始動口センサ検知処理(S204)における特図1関係乱数取得処理(S312)で取得して第1特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出し(S321)、読み出した取得乱数値について事前判定を行う(S322)。そして、この事前判定に係る遊技情報を含むコマンドデータを特図1始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S323)。尚、S322の事前判定(保留先読み)は、後述の特図1当否判定処理(S1207)における当否判定(S1603,S1609)に先立って行うものである。
ここで、高ベース状態では、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能が作動しており、特図2の当否判定(図8(B)を参照)が行われやすい状態、換言すると、第2特別図柄の変動表示が高頻度で実行される状態となっている。また、本実施例では、後述するように特図2保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を特図1保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行するものとしている。このような構成において、例えば、特図1の事前判定を行い、その結果を予告等の演出により遊技者に報知し、その事前判定の結果が大当りであることが明示された場合、遊技者は、特図2保留消化の優先を利用して、任意のタイミングで特図2保留を意図的に無くして(「0」にして)、事前判定の結果が示された特図1に係る大当りを意図的に発生させるといった技術介入が可能となる。このように大当りの発生タイミングを遊技者が調整できることは、遊技の公平性の観点から好ましくない。
そこで、本実施例では、現在の遊技状態が高ベース状態である場合には(S320でYES)、S321以降の特図1の事前判定に係る処理を行わないこととしている。つまり、特図1保留に係る事前判定(特図1事前判定)を、高ベース状態では行わずに低ベース状態で行うこととし、特図2保留に係る事前判定(特図2事前判定)については、低ベース状態であるか高ベース状態であるかを問わず行うこととしている。また、本実施例のパチンコ遊技機1では、後述するように、大当り遊技中は低確低ベース状態に制御されるが、大当り遊技中に遊技球が第1始動口20に入球して特図1保留球数が「1」増加したとしても、S321〜S323の処理(特図1事前判定処理)は行わないものとなっている。
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動入球遊技処理(S206)に次いで、図14に示す普図動作処理(S207)を行う。普図動作処理(S207)では、普通図柄表示器42および可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「普図動作ステータス」が「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「普図動作ステータス」が「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「普図動作ステータス」が「3」である場合には(S401,S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「普図動作ステータス」が「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。尚普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[普通図柄待機処理]
図15に示すように、普通図柄待機処理(S402)では、まず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)、この処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行い(S502)、次いで、普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、図8(D)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。普通図柄変動パターン選択処理(S503)を終えたら、後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行い、次いで、普通図柄変動開始処理(S505)を行い、処理を終える。普通図柄変動開始処理では、S503で選択した普通図柄変動パターンに基づいて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また、普通図柄変動開始処理では、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
[普通図柄当否判定処理]
図16に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)では、まず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONであるか否か(すなわち遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。S602で、時短フラグがONである、すなわち時短状態であると判定した場合(S602でYES)、図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」〜「239」)に基づく高確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。一方、S602で、時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態であると判定した場合(S602でNO)、図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S603)、S605の処理に移行する。そして、普図当否判定(S603,S604)の結果が当り(普図当り)であるか否かを判定し(S605)、外れと判定された場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)と判定された場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
[普通図柄乱数シフト処理]
図17に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)では、まず、普通図柄保留球数を1デクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
[普通図柄変動中処理]
図18に示すように、普通図柄変動中処理(S404)では、まず、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)、処理を終える。一方、経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットする(S802)とともに、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行って(S804)、この処理を終える。
[普通図柄確定処理]
図19に示すように、普通図柄確定処理(S406)では、まず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、この処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、続いて時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中か否かを判定する(S902)。そして、時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、2.0秒の開放を3回繰り返す開放パターンである。従って、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「3」をセットする。
これに対して、非時短状態中であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、0.2秒の開放を1回行う開放パターンである。従って、第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
[普通電動役物処理]
図20に示すように、普通電動役物処理(S407)では、まず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中か否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)、処理を終え、至っていれば(S1003でYES)、第2始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)、第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
そして、第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1デクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行う(S1009)とともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)処理を終える。尚、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第2始動口21の開放(可動部材23の開放動作)が3回なされると「0」になり、非時短状態中であれば第2始動口21の開放が1回なされると「0」になる。
これに対して、S1001において普図当り終了フラグがONであれば(S1001でYES)、S903またはS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFにするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFにし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(図13)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
[普通電動役物処理]
図20に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中か否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)処理を終え、至っていれば第2始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
そして、第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1デクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行う(S1009)とともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)処理を終える。尚、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第2始動口21の開放(可動部材23の開放動作)が3回なされると「0」になり、非時短状態中であれば第2始動口21の開放が1回なされると「0」になる。
これに対して、S1001において普図当り終了フラグがONであれば(S1001でYES)、S903またはS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFにするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFにして(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(図13)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
[特図動作処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S206)に次いで特図動作処理(S207)を行う。図21に示すように、特図動作処理(S207)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4、5」を割り当てている。そして、特図動作ステータスが「1」である場合(S1101でYES)には特別図柄待機処理(S1102)を行い、特図動作ステータスが「2」である場合(S1101でNO、S1103でYES)には特別図柄変動中処理(S1104)を行い、特図動作ステータスが「3」である場合(S1101,S1103で共にNO、S1105でYES)には特別図柄確定処理(S1106)を行い、特図動作ステータスが「4」である場合(S1101,S1103,S1105で共にNO、S1107でYES)には大当り遊技としての特別電動役物処理1(S1108)を行い、特図動作ステータスが「5」である場合(S1101,S1103,S1105,S1107の全てがNO)には小当り遊技としての特別電動役物処理2(S1109)を行う。尚、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]
図22に示すように、特別図柄待機処理(S1102)では、まず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特図2保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1206)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1206でYES)、即ち、第1始動口20への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1211)、処理中であれば(S1211でYES)、処理を終え、処理中でなければ(S1211でNO)、待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
S1201において特図2保留球数が「0」でない場合(S1201でNO)、即ち、第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図2当否判定処理(S1202)、特図2変動パターン選択処理(S1203)、特図2乱数シフト処理(S1204)、特図2変動開始処理(S1205)をこの順に行う。また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)、即ち、第2始動口21に係る乱数カウンタ値の記憶はないが、第1始動口20への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。このように本実施例では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、特図2保留球数が「0」の場合(S1201でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)は、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行される。そして、本実施例では、第2特図保留に基づく当否判定の方が、第1特図保留に基づく当否判定よりも、遊技者にとって利益の大きい大当りになりやすくなっている(図8(B)を参照)。
[特図2当否判定処理]
図23に示すように、特図2当否判定処理(S1202)では、まず、判定値として、RAMの第2特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第2特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)を読み出す(S1301)。次いで、確変フラグがONであるか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち通常状態であれば、当り判定テーブル(図8(A)を参照)のうち通常状態用の当り判定テーブル(大当り判定値が「3」、「397」)に基づいて当否判定を行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、当り判定テーブル(図8(A)を参照)のうち高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行う(S1309)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値が「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。
当否判定(S1303,S1309)の結果が「大当り」であると判定した場合(S1304でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)を読み出して、図8(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1310)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1311)、大当りフラグをONにして(S1312)、処理を終える。尚、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。そして、第1特別図柄(特図1)の当否判定にて大当りと判定した場合は、15R第1大当り、15R第2大当り、15R第3大当り及び2R第4大当りのうち何れかとされ、第2特別図柄(特図2)の当否判定にて大当りと判定した場合は、15R第5大当りまたは15R第6大当りとされる(図8(B)を参照)。
このことに対応して、本実施例では、大当りフラグとして、大当りの種別が15R第1大当り、15R第2大当り、15R第3大当り、15R第5大当り又は15R第6大当りであった場合にONにする長当りフラグと、2R第4大当りであった場合にONにする短当りフラグと設けている。そして、2R第4大当りとなって短当りフラグがONにされると、2R第4大当り図柄が確定表示するタイミングで、ラウンド表示器45の2R用ランプ(図4を参照)の方が点灯表示される。具体的には、「2R▲15R△」(例えば、▲:点灯、△:消灯とする)の様な表示態様となる。また、15R第1大当り、15R第2大当り、15R第3大当り、15R第5大当り及び15R第5大当りの何れかとなって長当りフラグがONにされると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、15R用ランプ(図4を参照)の方が点灯表示される。具体的には、「2R△15R▲」の様な表示態様となる。
ここで、大当り判定(特別図柄当否判定)や大当り種別決定判定を、夫々「判定」といってもよいし、大当り判定を行い何れの大当り図柄となるかを含めて「判定」といってもよい。また、これらの結果を「判定結果」ということもある。
一方、当否判定(S1303,S1309)の結果が「大当り」でないと判定した場合(S1304でNO)、小当りであるか否かを判定する(S1305)。すなわち、特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)が、小当り判定値である「101」〜「105」の何れかと一致するか否かを判定する(図8(A)を参照)。そして、「小当り」でないと判定した場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1308)、処理を終える。つまり、当否判定(S1303,S1309)の結果が「大当り」でもなく「小当り」でもない場合は、その結果は「外れ」となる。一方、小当り判定(S1305)の結果が「小当り」であると判定した場合(S1305でYES)、小当り図柄を決定し(S1306)、小当りフラグをONにして(S1307)、処理を終える。尚、小当りか否かを決める乱数を、特別図柄当否判定用乱数とは別に設けてもよい。
[特図2変動パターン選択処理]
特別図柄待機処理(図22)では、特図2当否判定処理(S1202)に次いで、特図2変動パターン選択処理を行う(S1203)。図24及び図25に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1203)では、まず、遊技状態が時短状態であるか否か(時短フラグがONであるか否か)を判定する(S1401)。その結果、時短状態でなければ(S1401でNO)、すなわち非時短状態であれば、大当りフラグがONであるか否かを判定し(S1402)、ONであれば(S1402でYES)、非時短状態中大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。本実施例では、非時短状態中大当り用テーブルは、大当りが長当り(15R大当り)か短当り(2R大当り)かによっても分かれている(図9を参照)。しかし、本処理は、特図2についての変動パターン選択処理であり、特図2の抽選にて当選する大当りには15R第5大当り(長当り)しか存在しない(図6を参照)。したがって、本処理にて参照される箇所は、常に長当りの箇所となり、変動パターンP1またはP2が選択される。変動パターンが決まれば変動時間も決まる。尚、非時短状態中大当り用テーブルは、長当り用と短当り用とに分かれていなくてもよい。これは後述の時短状態中大当り用テーブルについても同様である。
一方、S1402で、大当りフラグがONでないと判定した場合(S1402でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S1405)。そして、小当りフラグがONであれば(S1405でYES)、非時短状態中小当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ小当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。非時短状態中の小当りでは、必ず変動パターンP4が選択される。これに対し、小当りフラグがONでなければ(S1405でNO)、大当りでもなく小当りでもない外れということになり、この場合、第2特別図柄の保留数が「1」又は「2」であるか否かを判定する(S1406)。ここでいう保留数とは、本処理により変動パターンを決定している情報も含めた記憶数であるので、保留記憶の数は「1」〜「4」の何れかの値とされる。そして、S1406で、保留数が「1」又は「2」であると判定した場合(S1406でYES)、非時短状態中第1保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「1,2」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。ここでは、変動パターンP5〜P8の何れかが選択される。
一方、S1406で、保留数が「1」又は「2」でない、すなわち「3」又は「4」であると判定した場合(S1406でNO)、非時短状態中第2保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「3,4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1408)。本実施例では、変動パターンP9〜P12の何れかが選択される。ここで、非時短状態中の第1保留数外れ用テーブルは、第2保留数外れ用テーブルよりも、比較的長時間の変動時間の変動パターンを選択する可能性が高く設定されている。また、選択可能な最短の変動時間(12000ms)も、第2保留数外れ用テーブルのもの(4000ms)よりも長い時間とされている。つまり、外れ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっており、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「1」又は「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。
また、前述のS1401において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1401でYES)、大当りフラグがONであるか否かを判定する(図25のS1410)。そして、大当りフラグがONであると判定した場合(S1410でYES)、時短状態中大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1411)。前述したように、本処理は、特図2についての変動パターン選択処理であり、特図2の抽選にて当選する大当りには15R第5大当り(長当り)しか存在しないことから(図6を参照)、S1411では、長当りに対応する変動パターンP13またはP14が選択される。
一方、S1410で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1410でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S1412)。そして、小当りフラグがONであれば(S1412でYES)、時短状態中小当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ小当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1416)。時短状態中の小当りでは、必ず変動パターンP16が選択される。
また、S1412で小当りフラグがONでないと判定した場合(S1412でNO)、すなわち外れの場合、第2特別図柄の保留数が「1」であるか否かを判定する(S1413)。ここでいう保留数も前述と同様であり、保留数は「1」〜「4」の何れかの値とされている。そして、保留数が「1」であると判定した場合(S1413でYES)、時短状態中第3保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「1」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1414)。本実施例では、変動パターンP17〜P20の何れかが選択される。一方、S1413で、保留数が「1」でない、すなわち、保留数が「2」〜「4」の何れかであると判定した場合(S1413でNO)、時短状態中第4保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「2〜4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1415)。ここでは、変動パターンP21〜P24の何れかが選択される。
このように、時短状態中の変動パターンテーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)では、外れ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が、保留球数「2」〜「4」のときに働く。また、大当りのうち長当りに当選した場合に、非時短状態中よりも変動時間の短い変動パターンが選択され易くなっている。つまり、時短状態中の変動パターンテーブルは、非時短状態中の変動パターンテーブルよりも特別図柄の変動時間の平均値が短くなるようなテーブルとなっている。これにより、時短状態においては、非時短状態(通常状態)に比して、特図保留の消化スピードが早まる(時短中の遊技が迅速に進行していく)ものとなっている。
以上のようにして変動パターンの選択を行った後は、図24に示すその他の処理(S1404)を行って、本処理を終える。その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンド(特図2対応の変動パターン指定コマンド)をRAMの出力バッファにセットする等の処理を行う。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送信される。
[特図2乱数シフト処理]
図26に示すように、特図2乱数シフト処理(S1204)では、まず、特図2保留球数を1デクリメントする(S1501)。次いで、第2特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば第2特図保留記憶部がアドレス「0000」〜「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、第2特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第2特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1503)、この処理を終える。
特図2乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、図22に示す特別図柄待機処理(S1102)の中の特図2変動開始処理(S1205)を実行する。特図2変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。
また、図22の特別図柄待機処理(S1102)において、特図2保留球数が「0」であり、かつ、特図1保留球数が「0」でない場合には(S1201でYES、S1206でNO)、特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
[特図1当否判定処理]
図27に示すように、特図1当否判定処理(S1207)では、図23に示した特図2当否判定処理(S1202)と同様の流れで処理(S1601〜S1612)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略するが、本処理は特図1に関する処理であるので、S1601では、RAMの第1特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)を読み出して処理を行う。また、S1610における大当りの種別判定では、15R第1大当り、15R第2大当り、15R第3大当り及び2R第4大当りのいずれとも判定される可能性がある(図8(B)を参照)。図8(B)の第1特別図柄(特図1)の欄に示すように、各大当りの振分率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが20%、15R第3大当りが30%、2R第4大当りが10%となっている。この大当りの種別判定で15R第1大当り、15R第2大当り及び15R第3大当りの何れかと判定した場合には、S1612において大当りフラグとして長当りフラグをONする。一方、2R第4大当りと判定した場合には、S1612において大当りフラグとして短当りフラグをONする。
[特図1変動パターン選択処理]
図28及び図29に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1208)では、図24及び図25に示した特図2変動パターン選択処理(S1203)と同様の流れで処理(S1701〜S1720)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略するが、本処理は特図1に関する処理であるので、S1702(図28)でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)には、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、15R第3大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S1703)。そして、15R大当り(長当り)である場合には(S1703でYES)、非時短状態中15R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ長当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1704)。具体的には、変動パターンP1またはP2が選択される。
一方、S1703において15R大当りでないと判定した場合(S1703でNO)、即ち2R第4大当り(短当り)である場合には、非時短状態中2R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ短当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1706)。具体的には、変動パターンP3が選択される。
また、この特図1変動パターン選択処理では、S1712(図29)でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)にも、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、15R第3大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S1713)。そして15R大当り(長当り)である場合には(S1713でYES)、時短状態中15R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ長当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1714)。具体的には、変動パターンP13またはP14が選択される。
一方、S1713において15R大当りでないと判定した場合(S1713でNO)、即ち2R第4大当り(短当り)である場合には、時短状態中2R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ短当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1715)。具体的には、変動パターンP15が選択される。
この特図1変動パターン選択処理において、変動パターンの選択を行った後は、その他の処理(S1705、図28)を行って、この処理を終える。その他の処理(S1705)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンド(特図1対応の変動パターン指定コマンド)をRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送信される。
[特図1乱数シフト処理]
図30に示すように、特図1乱数シフト処理(S1209)では、まず、特図1保留球数を1デクリメントする(S1801)。次いで、第1特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S1802)。そして、第1特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1803)、この処理を終える。
特図1乱数シフト処理(S1209)を実行した後は、図22の特図1変動開始処理(S1210)を実行する。特図1変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
[特別図柄変動中処理]
図31に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)では、まず、特別図柄の変動時間、すなわち、前述のS1203又はS1208で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間(図9を参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。そして、確変フラグがONであるか否かを判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1905)。S1905で確変カウンタが「0」であると判定した場合、確変フラグをOFFにして(S1906)、S1907の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合(S1903でNO)、または確変カウンタが「0」でないと判定した場合には(S1905でNO)、S1907の処理に移行する。
また、S1906にて確変フラグをOFFにした場合、遊技状態が高確率状態(確変遊技状態)から低確率状態(通常遊技状態)に移行(変化)することを示す状態変化コマンド(遊技状態変化情報)を、次の特別図柄の変動表示の開始に係る変動開始コマンドに含めてRAMの出力バッファにセットする。本実施例では、大当り遊技の終了に際し、後述するS2203の処理にて確変カウンタをセットする場合、そのセットする値(設定値)を「100」としているため、当該大当り遊技の終了後、次の大当りが発生することなく特別図柄の変動表示が100回行われると、確変カウンタの値が「0」となる。尚、状態変化コマンドを、変動開始コマンドと別コマンドとしてRAMの出力バッファにセットする(サブ制御基板に送信する)ことも可能である。
S1907では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S1907)、時短フラグがONであると判定した場合(S1907でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定し(S1909)、「0」であれば(S1909でYES)、時短フラグをOFFにして(S1910)、S1911の処理に進む。また、時短フラグがONでないと判定した場合(S1907でNO)、または時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合には(S1909でNO)、S1911の処理に進む。
S1910にて時短フラグをOFFにした場合、遊技状態が高ベース状態(時短遊技状態)から低ベース状態(通常遊技状態)に移行(変化)することを示す状態変化コマンド(遊技状態変化情報)を、次の特別図柄の変動表示の開始に係る変動開始コマンドに含めてRAMの出力バッファにセットする。本実施例では、大当り遊技の終了に際し、後述するS2208の処理にて時短カウンタをセットする場合、そのセットする値(設定値)を「100」としているため、当該大当り遊技の終了後、次の大当りが発生することなく特別図柄の変動表示が100回行われると、時短カウンタの値が「0」となる。尚、遊技状態が時短遊技状態から通常状態に移行する場合においても、前述したように、状態変化コマンドを変動開始コマンドと別コマンドとしてRAMの出力バッファにセットする(サブ制御基板に送信する)ことが可能である。
S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた結果で停止させる等のその他の処理を行い(S1912)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]
図32に示すように、特別図柄確定処理(S1106)では、まず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、確定した大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、15第3大当り及び15R第5大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S2002)。そして、15R大当りであれば(すなわち長当りフラグがONであれば)、大当り遊技中に実行するラウンド(1ラウンド1回開放の態様では、1回のラウンドは大入賞口の開放から閉鎖まで)の回数をカウントするラウンドカウンタの値を「15」にセットするとともに、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンとして(図6を参照)、15R第1大当りであれば15R第1大当り用の開放パターン、15R第2大当りであれば15R第2大当り用の開放パターン、15R第3大当りであれば15R第3大当り用の開放パターン、15R第5大当りであれば15R第5大当り用の開放パターン、15R第6大当りであれば15R第6大当り用の開放パターンを、それぞれセットする(S2003)。
一方、S2002において15R大当りでないと判定した場合(すなわち短当りフラグがONである場合)、大当り種別は2R第4大当りということになるため、ラウンドカウンタの値を「2」にセットするとともに、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンとして、2R第4大当り用の開放パターン(図6を参照)をセットする(S2004)。
S2003又はS2004の処理を終えたら、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットする(S2005)。本実施例では、大当りのオープニングコマンドとして、15R第1大当りに対応する第1オープニングコマンド、15R第2大当りに対応する第2オープニングコマンド、15R第3大当りに対応する第3オープニングコマンド、2R第4大当りに対応する第4オープニングコマンド、15R第5大当りに対応する第5オープニングコマンドおよび15R第6大当りに対応する第6オープニングコマンドの計6種類が設けられている。S2005では、今回確定した大当り(開始する大当り)の種別に応じたオープニングコマンドがセットされる。S2005にてオープニングコマンドをセットしたら、大当り遊技のオープニング期間を開始し(S2006)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2007)。
また、S2001において大当りフラグがONでないと判定した場合(S2001でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S2008)。その結果、小当りフラグがONであれば(S2008でYES)、小当り遊技中における大入賞口(第2大入賞口35)の開放回数をカウントする小当り用開放カウンタの値を「2」にセットするとともに、大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンとして、小当り用の開放パターン(図6を参照)をセットする(S2009)。そして、小当り遊技を開始するべく、小当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2010)、小当り遊技のオープニング期間を開始し(S2011)、特図動作ステータスを「5」にセットする(S2012)。尚、S2008において小当りフラグがONでなければ(S2008でNO)、大当り遊技も小当り遊技も開始しないため、特図動作ステータスを「1」にセットし、処理を終える。
ここで、主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、S2005又はS2010でセットしたオープニングコマンドを、出力処理(S201)により、所定のタイミングでサブ制御部90に対して送信する。そして、当該オープニングコマンドを受信したサブ制御部90は、当該オープニングコマンドに基づいて所定の遊技演出の実行処理を行う。
尚、オープニング期間は、大当り遊技における大入賞口の最初の開放動作を開始する前であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行不能とした後に設定される期間であり、「開始期間」ともいう。また、この「開始期間」において実行する演出を「開始演出(オープニング演出)」ともいう。本実施例では、確定した大当りの種別と、その大当りが確定したとき(つまり、大当り図柄が停止表示されたとき)の遊技状態とによって、オープニング期間(オープニング時間)が決まるものとなっており、前述のオープニングコマンドによってオープニング期間が特定可能となっている。よって、オープニングコマンドを受信したサブ制御部90は、当該オープニングコマンドにより特定される大当り種別およびオープニング期間に基づいて、オープニング演出を行うことが可能となっている。
以上の特別図柄確定処理(S1106)において、遊技状態を特別遊技状態(大当り遊技または小当り遊技を実行する状態)とするための処理(S2001〜S2012)を実行する遊技制御用マイコン81は「遊技状態制御手段」として機能するものといえる。
[特別電動役物処理1(大当り遊技)]
図33に示すように、特別電動役物処理1(S1108)では、まず、確変フラグがONであるか否かを判定し(S2101)、ONであると判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFにして(S2102)、次いで、時短フラグがONであるか否かを判定する(S2103)。S2103で、時短フラグがONであると判定した場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFにし(S2104)、S2105の処理に移行する。一方、S2101で確変フラグがONでないと判定した場合(S2101でNO)、S2102の処理を行うことなくS2103の処理に移行し、S2103で時短フラグがONでないと判定した場合(S2103でNO)、S2104の処理を行うことなくS2105の処理に移行する。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態かつ非時短状態に制御される。本実施例では、非時短状態中は常に低ベース状態であるので、大当り遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放が全て終了(大当り遊技が終了)したことを示すフラグである。大当り終了フラグがONでなければ(S2105でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放中であるか否かを判定する(S2106)。開放中でなければ(S2106でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわちラウンドの開始時期であるか否かを判定する(S2107)。ここでは、大当りのオープニングの時間が経過して1ラウンド目を開始する時期に至ったか否か、又は、ラウンド間のインターバルの時間が経過して次ラウンド(次の開放)を開始する時期に至ったか否かを判定する。これは、前述した大当り種別毎に設定した大入賞口開放パターンに基づいて判定する。例えば、1ラウンド目の開始前であれば、オープニング期間が終了して1ラウンド目の最初の開放処理を実行するタイミングであるか否かによって判定する。また、既に1ラウンド目を開始した後であれば、前のラウンドが終了し、かつ、所定のインターバル期間が終了している否かによって判定する。尚、ラウンドを、単に「R」ともいい、「ラウンド遊技」ともいう。
S2107にてラウンド開始時期でないと判定した場合(S2107でNO)、そのまま処理を終える。一方、S2107にてラウンド開始時期でないと判定した場合(S2107でYES)、これから実行される(開始する)ラウンドが1ラウンド目及び2ラウンド目の何れかであるか否か、すなわち、Vラウンドであるか否かを判定する(S2108)。これは、大当り種別毎に、ラウンドカウンタの値を用いて判定してもよいし、別途実行するラウンドが何ラウンド目かをカウントするラウンドカウンタを設けて判定してもよい。実行されるラウンドがVラウンドでない場合(S2108でNO)、すなわち、3R〜15Rの何れかである場合、S2109の処理を行うことなくS2110に進んで、大当りの種類に応じた開放パターン(図6を参照)に従って第1大入賞口30を開放させるべく、第1大入賞装置31を作動させる(S2110)。一方、実行されるラウンドがVラウンド(1ラウンド目又は2ラウンド目)であると判定した場合(S2108でYES)、V有効期間設定処理(S2109)を行ってからS2110に進んで、大当りの種類に応じた開放パターン(図6を参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく、第2大入賞装置36を作動させる(S2110)。
また、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放する際、すなわちラウンドを開始する際には、対応するラウンドのラウンド開始コマンドをセットする。例えば、1ラウンド目の開始であれば「1R開始コマンド」、2ラウンド目の開始であれば「2R開始コマンド」のように、開始するラウンドを特定可能なラウンド開始コマンドをセットする。セットしたラウンド開始コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部90に送信される。
V有効期間設定処理(S2109)では、Vラウンド(本実施例では1ラウンド又は2ラウンド)における第2大入賞口35の開放中及び第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間に相当)に設定する。尚、本実施例ではこれ以外の期間(小当り中や特別遊技を実行していないときも含む)は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間に相当)に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONする(後述の特定領域センサ検知処理のS2401〜S2403を参照)ということであり、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONにしないということである。
ここで、特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、遊技状態表示器46を所定の表示態様とし、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となることを報知する。具体的には、遊技状態表示器46は「a1a2a3」の3個のLEDで構成されている。そして、本実施例では、通常状態(低確率状態)においては、「a1□a2□a3□」(例えば、□:消灯、■:点灯)の表示態様とされる。また、大当り遊技中の特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、「a1■a2■a3■」の表示態様とされる。そして、大当り遊技が終了し、遊技状態が高確率状態に設定されると「a1□a2□a3□」の表示態様とされる。また、遊技状態表示器46の点灯制御タイミングはこのようなタイミングに限定されず、大当り遊技中は、遊技球が特定領域を通過しても「a1□a2□a3□」の表示態様のままとし、大当り遊技終了後の高確率状態へ移行するタイミングで「a1■a2■a3■」とし、高確率状態から低確率状態に移行するタイミングで「a1□a2□a3□」の表示態様としてもよい。
すなわち、後述の特定領域センサ検知処理(S208)では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。尚、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる、すなわち大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理を参照)。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち不正に高確率状態に設定されることのないようにしている。
また、大当り遊技のVラウンド(1R目または2R目)でV通過があれば、当該大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定する一方、小当り遊技中にV通過があっても、小当り遊技前の遊技状態が通常状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態も通常状態とし、小当り遊技前の遊技状態が高確率状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態も高確率状態とする。つまり、小当り遊技の前後で当否判定確率を変化させないようにしている。
尚、本実施例では、V有効期間設定処理(S2109)において、大当りの種類にかかわらず特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間)に設定するものとしているが、他の態様として、V非通過予定大当りの場合は、Vラウンドにおいて第1期間を設定しないものとしてもよい。すなわち、V非通過予定大当りの場合はVラウンドを第2期間に設定するようにしてもよい。V非通過予定大当りに係る大当り遊技では、第2大入賞口35の開放時間を0.1秒と極短時間に設定しているため遊技球が第2大入賞口35へ入球する可能性は限りなく低いが、第2期間に設定しておけば、万が一入球した場合でもVフラグがONになることはない。これにより、不正にVフラグをONにしたり、まれな入球によりVフラグがONになったりしてしまうのを防止することができる。尚、本実施例では1ラウンドと2ラウンドをVラウンドとし、当該Vラウンドにおいて特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効としているが、Vラウンドの場所はこれに限らなくてもよい。
次に、S2106において大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放中であると判定した場合(S2106でYES)、そのラウンドにおける大入賞口への入球個数が規定の最大入球個数(本実施例では1ラウンド当り10個)に達しているか否かを判定する(S2111)。規定入球個数に達していなければ(S2111でNO)、大入賞口を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図6を参照)が経過したか否かを判定する(S2112)。そして、大入賞口の開放時間が経過していなければ(S2112でNO)、処理を終える。
これに対して、規定入球個数に達している場合(S2111でYES)、又は大入賞口の開放時間が経過した場合(S2112でYES)、すなわち2つのラウンド終了条件のうちのいずれかが成立した場合には、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖する(S2113)。そして、ラウンドカウンタの値を1デクリメントし(S2114)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2115)。「0」でないと判定した場合(S2115でNO)、次のラウンドを開始するため、処理を終える。また、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖する際、すなわちラウンドを終了する際には、対応するラウンドのラウンド終了コマンドをセットする。例えば、1ラウンド目の終了であれば「1R終了コマンド」、2ラウンド目の終了であれば「2R終了コマンド」のように、終了するラウンドを特定可能なラウンド終了コマンドをセットする。このセットしたラウンド終了コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部90に送信される。尚、ラウンド終了コマンドは、大当り遊技の最終ラウンドを除くラウンドの終了の際、すなわち、S2115でラウンドカウンタの値が「0」でないと判定した場合に送信される。例えば、実行する大当り遊技のラウンド数が15R大当り遊技であれば、14Rの終了まではラウンド終了コマンドが送信されるが、15Rの終了に際しては送信されない。最終ラウンドの終了に際しては、後述するS2116の処理でセットするエンディングコマンドが送信されるからである。
一方、ラウンドカウンタの値が「0」であると判定した場合(S2115でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理として、大当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2116)、大当りのエンディング演出を開始する(S2117)。そして、大当り終了フラグをセットし(S2118)、処理を終える。尚、ラウンドカウンタは、長当り(15R大当り)であれば大入賞口の開放が15回実行されると「0」になり、短当り(2R大当り)であれば大入賞口の開放が2回実行されると「0」になる。
また、S2105において大当り終了フラグがONであると判定した場合(S2105でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間(エンディング時間)が経過したか否かを判定し(S2119)、エンディング時間が経過していなければ(S2119でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2119でYES)、大当り終了フラグをOFFにした後(S2120)、後述の遊技状態設定処理(S2121)を行う。そして、大当りフラグをOFFにし(S2122)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2123)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(S207)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。以上の特別電動役物処理1(S1108)を実行する遊技制御用マイコン81は「特別遊技実行手段」として機能するものといえる。
[遊技状態設定処理]
図34に示すように、遊技状態設定処理(S2121)では、まず、VフラグがONであるか否かを判定する(S2201)。Vフラグは後述の特定領域センサ検知処理(図36)にてONされるフラグである。そして、VフラグがONであれば(S2201でYES)、確変フラグをONにするとともに(S2202)、確変カウンタに「100」をセットし(S2203)、VフラグをOFFにして(S2204)、S2205の処理に進む。一方、VフラグがOFFであれば(S2201でNO)、確変フラグをONにすることなく、S2205の処理に進む。すなわち、本パチンコ遊技機1では、この遊技状態設定処理においてVフラグがONになっているか否かに基づいて、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定するか否かを決めている。
S2205では、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りであるか否かを判定する。そして、15R大当りであると判定した場合(S2205でYES)、その15R大当りが15R第3大当りであるか否かを判定し(S2206)、15R第3大当りであれば(S2206でYES)、そのまま処理を終え、15R第3大当りでない、すなわち、15R第1,第2,第5大当りの何れかであれば(S2206でNO)、時短フラグをONにするとともに(S2207)、時短カウンタに「100」をセットし(S2208)、処理を終える。ここで、今回の大当り遊技が15R第1大当り又は15R第5大当りに係るものであれば、当該大当り遊技中に遊技球が特定領域39(V通過)を通過してVフラグがONになっている筈なので(S2201でYES)、この場合の大当り遊技終了後の遊技状態は高確高ベース状態になる。また、今回の大当り遊技が15R第2大当りに係るものであれば、当該大当り遊技中にV通過せずVフラグがONになっていない筈なので(S2201でNO)、この場合の大当り遊技終了後の遊技状態は低確高ベース状態になる。また、今回の大当り遊技が15R第3大当りに係るものであれば、当該大当り遊技中にV通過せずVフラグがONになっていない筈なので(S2201でNO)、この場合の大当り遊技終了後の遊技状態は低確低ベース状態になる。
一方、S2205で、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りでない、すなわち、2R第4大当りであると判定した場合(S2205でNO)、今回の大当り遊技開始前の遊技状態、すなわち2R第4大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったか否かを判定し(S2209)、時短状態でなかったと判定した場合(S2209でNO)、時短フラグをONにすることなく、そのまま処理を終える。これにより、今回の大当り遊技でVフラグがONにならなかった場合(S2201でNO)、大当り遊技終了後の遊技状態は低確低ベース状態となり、今回の大当り遊技でVフラグがONになった場合(S2201でYES)、大当り遊技終了後の遊技状態は高確低ベース状態となる。
一方、S2209で、2R第4大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったと判定した場合(S2209でYES)、時短フラグをONにするとともに(S2207)、時短カウンタに「100」をセットし(S2208)、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技でVフラグがONにならなかった場合(S2201でNO)、大当り遊技終了後の遊技状態は低確高ベース状態となり、今回の大当り遊技でVフラグがONになった場合(S2201でYES)、大当り遊技終了後の遊技状態は高確高ベース状態となる。以上の遊技状態設定処理(S2121)を実行する遊技制御用マイコン81は「遊技状態制御手段」として機能するものといえる。また、VフラグがONとなっていること(V通過)に基づいて確変フラグをONにする処理(S2201でYES→S2202)を行う遊技制御用マイコン81は「特典付与手段」として機能するものといえる。
尚、高確高ベース状態、低確高ベース状態および高確低ベース状態は、いずれも、特別図柄が100回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。また、2R第4大当りに係る大当り遊技開始前の遊技状態が時短状態かどうかを判定する処理(S2209)を行うのは、当該大当り遊技前後の時短機能および高ベース機能の作動状態を、小当りが発生した場合の状態(条件)と同じにするためである。これらの作動状態が2R第4大当りの場合と小当りの場合とで異なっていると、大入賞口の開放パターンで何れの当りかを認識し難くしたとしても、その後の遊技状態(時短機能および高ベース機能の作動状態)によって、何れの当りかが容易に判別可能となってしまうからである。これにより、2R第4大当りと小当りとを大入賞口の開放パターンによって判別し難くすると共に、その後の時短機能や高ベース発生機能の作動状態によっても判別し難くするものとしている。
[特別電動役物処理2(小当り遊技)]
図35に示すように、特別電動役物処理2(S1109)では、まず、小当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当り終了フラグは、小当り遊技において第2大入賞口35の開放が全て終了したことを示すフラグである。小当り終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35を開放中であるか否かを判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大入賞口開放時期であるか否かを判定する(S2303)。ここでは、小当りのオープニングの時間が経過して1回目の開放を開始する時期に至ったか否か、又は、複数回にわたる開放の間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2303)。S2303にて大入賞口開放時期でないと判定した場合(S2303でNO)、そのまま処理を終える。一方、大入賞口開放時期であると判定した場合(S2303でYES)、V無効期間設定処理(S2304)を行ってから、S2305に進み、小当りの開放パターン(図6を参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく第2大入賞装置36を作動させる。
V無効期間設定処理(S2304)では、小当り遊技における第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間)に設定する。また、本実施例では、前述のV有効期間設定処理(S2109)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間(第2期間)とされている。従って、このV無効期間設定処理では、有効期間となっていないか、すなわち無効期間に設定されているかを確認する。具体的には、V有効期間の経過をカウントダウンにて計測するVタイマ(主制御基板80のRAMに設けられている)が「0」(すなわち有効期間無しの状態)に設定されているかを確認する。Vタイマが「0」でなければVタイマに「0」をセットする。尚、Vタイマが「0」か否かを確認することなく、Vタイマに「0」をセットする即ち有効期間無しの状態に設定するようにしてもよい。これにより、小当り遊技中にV通過があっても、小当り遊技開始前の遊技状態が通常状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態は高確率状態に移行しないようになる。尚、本実施例では、前述のV有効期間設定処理(S2109)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間であるため、S2304の処理を省略してもよい。
S2302において第2大入賞口35の開放中であると判定した場合(S2302でYES)、今回の小当り遊技での第2大入賞口35への入球個数、すなわち第2大入賞口35の2回の開放において入球した遊技球を全て足した数が、規定の最大入球個数(本実施例では10個)に達しているか否かを判定する(S2306)。規定入球個数に達していなければ(S2306でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時期に至ったか否か、すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図6参照)が経過したか否かを判定する(S2307)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2307でNO)、処理を終える。
これに対して、今回の小当り遊技での第2大入賞口35への入球個数が規定入球個数に達している場合(S2306でYES)、第2大入賞口35を閉鎖し(S2314)、S2311の小当り終了処理に移行する。一方、S2307で、第2大入賞口35の開放時間が経過したと判定した場合(S2307でYES)には、第2大入賞口35を閉鎖する(S2308)。そして、小当り用開放カウンタの値を1デクリメントし(S2309)、小当り用開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2310)。S2310で「0」でないと判定した場合(S2310でNO)、次の開放を開始するため、そのまま処理を終える。
一方、S2310で「0」であると判定した場合(S2310でYES)、S2311の小当り終了処理に移行する。S2311では、小当り遊技を終了させる小当り終了処理として、小当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2311)、小当りのエンディング演出を開始する(S2312)。そして、小当り終了フラグをセットし(S2313)、処理を終える。尚、小当り用開放カウンタは、第2大入賞口35の開放が2回なされると「0」になる。
S2301において、小当り終了フラグがONであれば(S2301でYES)、2回の開放が終了しているので、小当りのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2315)、エンディング時間が経過していなければ(S2315でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2315でYES)、小当り終了フラグをOFFにするとともに(S2316)、小当りフラグをOFFにし(S2317)、さらに、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2318)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(S207)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
尚、小当り遊技の開始に際して確変フラグや時短フラグをONからOFFに切り変えることはしない。また、小当り遊技の終了に際しては、遊技状態設定処理(S2121、図36)を行わない。すなわち、本パチンコ遊技機1では、小当り遊技の実行前と実行後において遊技状態を変化させない。以上の特別電動役物処理2(S1109)を実行する遊技制御用マイコン81は「小利益特別遊技実行手段」として機能するものといえる。
[特定領域センサ検知処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S207)に次いで特定領域センサ検知処理(S208)を行う。図36に示すように、特定領域センサ検知処理(S208)では、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定し(S2401)、検知がないと判定した場合(S2401でNO)、処理を終了する。一方、S2401で検知があると判定した場合(S2401でYES)、V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間は、前述の特別電動役物処理1(S1108)におけるV有効期間設定処理(S2109)にて設定される期間である。本実施例では、V有効期間は、大当り遊技における1ラウンド目と2ラウンド目に設定される。
また、S2402でV有効期間中であると判定した場合(S2402でYES)、VフラグをONにすると共に(S2403)、現在実行中の大当り遊技が2R大当り(2R第4大当り)であるか否かを判定する(S2404)。そして、2R大当りでないと判定した場合(S2404でNO)、すなわち15R大当りであれば、第1V通過コマンドをセットし(S2405)、処理を終える。一方、2R大当りであると判定した場合(S2404でYES)、第2V通過コマンドをセットし(S2406)、処理を終える。主制御基板80のCPUは、所定のタイミングでこのV通過コマンドをサブ制御基板90に送信し、サブ制御基板90は受信したV通過コマンドの種別によって、画像表示装置7等で遊技演出を実行する。
また、S2402でV有効期間中でないと判定した場合(S2402でNO)、VフラグをONにすることなく、第3V通過コマンドをセットし(S2407)、処理を終える。尚、第1V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を行わせるためのコマンドである。これに対して、第2V通過コマンド及び第3V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を原則行わせないためのコマンドである。また、遊技制御用マイコン81は、このような特定領域センサ検知処理(S208)やV有効期間設定処理(S2109)を実行することにより、特定領域39への遊技球の通過の有効無効を切り替える手段(特定領域状態切替手段)として機能する。
[保留球数処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特定領域センサ検知処理(S208)に次いで保留球数処理(S209)を行う。図37に示すように、保留球数処理(S209)では、まず、主制御基板80のRAMに記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、その保留球数のデータ(その保留球数情報をサブ制御基板90等に送信するための保留球数コマンド)を、RAMの出力バッファにセットする(S2502)。この保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)は、次回の割り込み処理(S105)での出力処理(S201)によって出力され、割り込み処理毎に、保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)の出力バッファへのセット(S2502)と、出力処理(S201)とが順次行われる。
保留球数コマンドを受信したサブ制御部90は、受信した保留球数コマンドに基づいて特図保留球数に増減が生じたと判断した場合、これに応じて、画像表示装置7の表示画面7aにおける演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d)の表示内容を更新する。具体的には、例えば、特図1保留球数が「3」から「4」に1増加した場合、その増加した分の特図1保留球数「4」に対応する第1演出保留9aを第1演出保留表示領域9cに追加表示する。また、特図1保留球数が「2」から「1」に1減少した場合(つまり、第1特図保留が消化された場合)、第1演出保留表示領域9cの左端(特図1保留球数「1」に対応する箇所、図3を参照)に表示されている第1演出保留9aを変動保留表示領域9e(図3を参照)に移動するとともに、これに伴って第1演出保留表示領域9cに表示されている第1演出保留9aを左側に1つ移動(シフト)する。さらに、第2特図保留球数の増減についても、第1演出保留9a(第1特図保留)と同様にして第2演出保留9bの表示内容を更新することができる。
尚、特図保留球数が加算された際の特図保留球数のデータ、すなわち始動入球(始動入賞)の発生に伴う特図保留球数のデータについては、前述の始動入球コマンドに含めるか、加算後(始動入球後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを始動入球コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。また、特図保留球数が減算された際の保留球数のデータ、すなわち特別図柄の変動開始(特図保留の消化)に伴う特図保留球数のデータについては、前述の変動開始コマンドに含めるか、減算後(特図保留消化後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを変動開始コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。
[電源断監視処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S209)に次いで電源断監視処理(S210)を行う。図38に示すように、電源断監視処理(S210)では、まず、電源断信号の入力の有無を判定し(S2601)、入力がなければ(S2601でNO)、処理を終了する。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(確変かどうか、当り遊技中かどうか、保留球数はいくつか、確変・時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶するとともに(S2602)、電源断フラグをONし(S2603)、その後は割り込み処理(図11)に戻ることなくループ処理をする。
[サブ制御メイン処理]
次に、図39〜図47に基づいて、演出制御用マイコン91の動作(サブ制御部90による制御処理)について説明する。尚、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ、タイマ等は、サブ制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、サブ制御基板90のROMから図39に示すサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まず、CPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
続いて、S4002で、電源断信号がONでかつサブ制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。この判定結果がNOであれば(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMを初期化し(S4003)、S4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、サブ制御基板90のRAMを初期化することなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMを初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。尚、このS4001〜S4003の処理は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。また、本実施例では、演出制御用マイコン91においても、図11に示す遊技制御用マイコン81による電源断監視処理(S210)と同様の処理を行うこととしており、停電などで電源断信号がONになると、そのときの演出制御に係るデータがサブ制御基板90のRAMに記憶されるものとなっている。つまり、停電などの電源断発生時における演出制御に係るデータがバックアップされるものとなっている。このため、停電等の電源断から復帰した後の電源投入時(電断復帰時)に、サブ制御基板90のRAMの初期化(S4003)が行われない限り、演出制御用マイコン91による演出制御の状態は電源断発生前の状態に復帰する。
S4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値はサブ制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。尚、演出決定用乱数には、実行する演出図柄遊技演出の態様(変動演出パターン)を決定する変動演出決定用乱数や予告演出の態様(予告演出パターン)を決定する予告演出決定用乱数、演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。尚、乱数の更新に際して、乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これらの演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。この取得タイミングとしては、例えば、主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたとき、あるいは後述の変動演出パターンを決定するときなどとすることができる。また、取得した演出決定用乱数の格納場所は、サブ制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM内の出力バッファ(「サブ出力バッファ」ともいう)に格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106およびランプ制御基板107のうち、対応するコマンド送信先となる制御基板に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従い各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出や予告演出、当り遊技に伴う特別遊技演出等)を実行する。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)、及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7a(演出図柄表示領域7b)上で実行される演出図柄等の表示制御や、各種ランプの点灯制御や、可動装飾部材の動作制御や、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。
[受信割り込み処理]
受信割り込み処理(S4008)では、図40に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONであるか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、S4101で、ストローブ信号がONでないと判定した場合(S4101でNO)、処理を終える。一方、S4101で、ストローブ信号がONであると判定した場合(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをサブ制御基板90のRAMに格納し(S4102)、処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される処理である。
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図41に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)では、まず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。次いで、枠ランプ66や盤面ランプ5等の各種電飾部材を発光させるためのランプデータを出力するランプデータ出力処理(S4202)と、可動装飾部材14(電気的駆動源)を駆動するための駆動データを出力する駆動データ出力処理(S4203)とを行う。ランプデータおよび駆動データは、後述の10msタイマ割り込み処理で作成される。そして、最後にウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S4204)。
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図42に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)では、まず、後述する受信コマンド解析処理(S4302)を行う。次いで、2msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてサブ制御基板90のRAMに格納するスイッチ状態取得処理を行い(S4303)、当該スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4304)。その後、前述のランプデータや駆動データを作成したり、演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行する(S4305)。
[受信コマンド解析処理]
図43に示すように、受信コマンド解析処理(S4302)では、まず、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したか否かを判定し(S4390)、始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4390でNO)、S4401の処理に移行し、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4390でYES)、演出保留情報記憶処理(S4395)と保留予告設定処理(S4400)を行って、S4401の処理に移行する。
演出保留情報記憶処理(S4395)は、S4390で受信した始動入球コマンド(特図1始動入球コマンド又は特図2始動入球コマンド)に含まれる各種情報(事前判定結果、大当り種別決定用乱数値、変動パターン乱数値等の遊技情報)を、特別図柄の種類(第1特別図柄、第2特別図柄)及び始動入球コマンドの送受信時(コマンド生成時)の特図保留球数に応じて、シフトメモリ形式でサブ制御基板90のRAMの所定の演出保留情報記憶領域に記憶する。前述したように、主制御基板80から送られてくる始動入球コマンド(特図1始動入球コマンド、特図2始動入球コマンド)には、始動入球に基づく事前判定(図13を参照)が行われた際の当該事前判定の結果に関する情報(「保留先読み情報」ともいう)、具体的には、特別図柄当否判定に係る当否情報や大当り種別決定用乱数値を示す大当り種別情報、変動パターン乱数値を示す変動パターン情報等が含まれているので、これらの情報を演出保留情報として記憶する。
例えば、受信した始動入球コマンドが特図1の保留球数「4」に対応する特図1始動入球コマンドである場合、その特図1始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や当り種別等の保留先読み情報を、特図1演出保留情報記憶領域のうち保留数4に対応する領域に、特図1演出保留情報として記憶する。こうして記憶される演出保留情報(保留先読み情報)は、後述する変動演出や予告演出、演出モード等の各種演出の実行に用いることが可能である。サブ制御基板90における演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)は、前述の主制御基板(主制御部)80における特図保留記憶部(第1特図保留記憶部、第2特図保留記憶部)の記憶内容(取得情報)と一致するものである。このことから、サブ制御基板90の演出保留情報記憶領域も「取得情報記憶手段」といえる。
また、保留予告設定処理(S4400)は、画像表示装置7の表示画面7a上の演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d)や変動保留表示領域9eに表示される演出保留(第1演出保留9a、第2演出保留9b)を用いて行う予告演出(保留予告演出)に関する設定を行う処理である。ここで、本実施例では、保留予告演出として、演出保留の表示態様を通常と異なる表示態様(予告表示態様)に変化させる保留変化予告を実行することが可能となっている。すなわち、演出保留表示領域等に表示可能な演出保留として、表示態様が異なる複数の演出保留を有しており、複数の演出保留には、通常の表示態様とされる通常演出保留(通常記憶表示)と、通常の表示態様とは異なる予告表示態様とされる特定演出保留(特定記憶表示)が含まれている。そして、始動入球により特図保留(第1特図保留または第2特図保留)が記憶された場合、演出保留表示領域には、普段、演出保留として通常演出保留が表示されるのであるが、保留予告演出(保留変化予告)の実行により、演出保留として特定演出保留が表示されるものとなっている。本実施例では、第1演出保留9aと第2演出保留9bの夫々について、通常演出保留および特定演出保留を設けており、第1演出保留9aを対象にした保留変化予告と、第1演出保留9aを対象にした保留変化予告を、実行することが可能となっている。このような本実施例の保留予告演出(保留変化予告)および保留予告設定処理(S4400)についての詳細は後述する。
次に、S4401では、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S4401)、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、後述する変動演出開始処理(S4402)を行って、S4406の処理に移行し、変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、変動演出開始処理を行うことなく、S4406の処理に移行する。S4406では、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S4406)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4406でYES)、演出図柄8を停止表示して変動演出を終了させる変動演出終了処理を行う(S4407)。変動演出終了処理(S4407)では、演出図柄8を停止表示して変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをサブ出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7a上で変動表示していた演出図柄8を停止表示して、変動演出(演出図柄遊技演出)を終了させる。一方、S4406で、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4406でNO)、変動演出終了処理を行うことなく、S4408の処理に移行する。尚、変動演出とは、特別図柄の変動表示と同期して行われる演出を指し、主として、演出図柄の変動表示やこれに付随する演出(リーチ演出、キャラクタ演出、変動中の予告演出など)を指す。
続いて、S4408では、主制御基板80から大当り遊技関連コマンドを受信したか否かを判定する(S4408)。ここで、大当り遊技関連コマンドとは、遊技制御用マイコン81(主制御部80)により制御される遊技状態が特別遊技状態となり、当該特別遊技状態における大当り遊技(ラウンド遊技)の実行にあたり、主制御基板80から送信されるコマンドのことである。具体的には、大当り遊技(特別遊技状態)の開始に際して送信されるオープニングコマンド、ラウンドの開始に際して送信されるラウンド開始コマンド、ラウンドの終了に際して送信されるラウンド終了コマンド、大当り遊技の終了に際して送信されるエンディングコマンド等が該当する。S4408では、これらの大当り遊技関連コマンドの何れかを受信したか否かを判定し、受信していれば(S4408でYES)、大当り遊技関連演出処理(S4409)を行って、S4412の処理に移行し、受信していなければ(S4408でNO)、大当り遊技関連演出処理(S4409)を行うことなくS4412の処理に移行する。
大当り遊技関連演出処理(S4409)では、例えば、受信したコマンドがオープニングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたオープニング演出を指定するオープニング演出コマンドをサブ出力バッファにセットし、ラウンド開始コマンドであれば、当該コマンドに基づき特定されるラウンドに応じたラウンド演出を指定するラウンド演出コマンドをサブ出力バッファにセットし、エンディングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたエンディング演出を指定するエンディング演出コマンドをサブ出力バッファにセットする。これらのセットした大当りに係る各種の演出コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信したコマンドに基づいて、大当り遊技の進行状況に即したオープニング演出やラウンド演出等の大当り遊技に関連する演出(大当り遊技演出)を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
ここで、本実施例では、遊技状態が低確低ベース状態(通常遊技状態)にあるとき、すなわち「左打ち遊技状態」にあるときに、特別図柄当否判定の結果が大当りとなって(所謂「初当り」)、当該大当り(初当り)に係るオープニングコマンドをサブ制御基板90が受信すると、これに対応する初当りオープニング演出コマンドが画像制御基板100に送信される。これを受けて、画像表示装置7の表示画面7aでは、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)に遊技球を入球させるべく右打ちを行うことを遊技者に指示する右打ち指示報知を含むオープニング演出(「初当りオープニング演出」ともいう)が実行される。本実施例の初当りオープニング演出(図示せず)では、初当りに係る大当り遊技開始時の右打ち指示報知(「初当り用右打ち指示報知」ともいう)が実行される。本実施例の初当り用右打ち指示報知は、右遊技領域3Bに位置する大入賞口(本例では第1大入賞口30および第2大入賞口35)に遊技球が入球する様子を描いた動画像を表示画面7aの略中央に表示することにより行うものとしている。これにより、低ベース状態で左打ちを行って遊技(図柄変動遊技)を進めていた遊技者に対し、特別遊技状態(大当り遊技)では右打ちを行うこと(右遊技領域3Bに向けて遊技球を発射すること)を、積極的に促すことが可能となる。
また、初当りに係る大当り遊技の1ラウンド目の開始に際して、当該1ラウンド目のラウンド開始コマンド(1R開始コマンド)をサブ制御基板90が受信すると、これに対応する1R開始演出コマンドが画像制御基板100に送信される。これを受けて、画像表示装置7の表示画面7aでは、図52(a)に示すように、ラウンド数表示を含むラウンド演出表示が開始(実行)されるとともに、大当り遊技中(特別遊技状態中)の右打ち指示報知として右打ち指示画像71の表示が開始(実行)される。右打ち指示画像71は、初当りに係る大当り遊技が終了した後の高確高ベース状態や低確高ベース状態(つまり、右打ち遊技状態)においても継続して表示される(図52(b)を参照)。右打ち指示画像71の表示を開始する処理(右打ち指示画像表示処理)については後述する。尚、右打ち指示画像71の表示による右打ち指示報知のことを「所定指示報知」ともいう。
さらに、初当りに係る大当り遊技が終了した後の高確高ベース状態や低確高ベース状態(つまり、右打ち遊技状態)にて大当りが発生し(所謂「連チャン」)、当該大当り(連チャン)に係るオープニングコマンドをサブ制御基板90が受信すると、これに対応する連チャンオープニング演出コマンドが画像制御基板100に送信される。これを受けて、画像表示装置7の表示画面7aでは、前述の初当りオープニング演出とは異なる内容のオープニング演出(「連チャンオープニング演出」ともいう)が実行される。連チャンオープニング演出(図示せず)では、前述した初当りオープニング演出のような初当り用右打ち指示報知、すなわち、大入賞口に遊技球が入球する様子を描いた動画像の表示が実行されず、高ベース状態での遊技中に表示する右打ち指示画像71(図52(b)を参照)が、そのまま継続して表示される。高ベース状態は「右打ち遊技状態」であり、連チャンに係る大当り遊技の実行に際して遊技球の発射方向を変更する必要はないからである。
図44に戻り、S4412では、主制御基板80から第1V通過コマンドを受信したか否かを判定し(S4412)、第1V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4412でYES)、V通過報知コマンドをサブ出力バッファにセットし(4413)、S4414の処理に移行する。第1V通過コマンドは、V通過予定大当り(15R第1大当り、15R第5大当り)に係る大当り遊技でのV有効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったこと(V通過したこと)を主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。V通過報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100(画像制御部)等に送信されると、画像制御用マイコン101は、所定の画像情報を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて「V通過!」等の文字を表示する。これにより、遊技球が特定領域39を通過し、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態になることが遊技者に報知される。一方、S4412で、第1V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4412でNO)、V通過報知コマンドをセットすることなく、S4414の処理に移行する。
尚、「V通過!」の文字を表示することは、V通過報知態様の一つであるが、他の表示内容(例えば「V」の文字を模したオブジェクト画像を表示したり、「確変GET」の文字を表示したりする等)で、V通過を報知してもよい。これにより、実行中の大当り遊技(特別遊技)後の遊技状態が、高確率状態となることを遊技者に対して報知することが可能となる。
続いてS4414では、演出制御用マイコン91で、主制御基板80から第2V通過コマンド(S2406でセット)を受信したか否かを判定し(S4413)、第2V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4414でNO)、S4415の処理に移行して第3V通過コマンドを受信したか否かを判定する(S4415)。そして、S4414で第2V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4414でYES)と、S4415で第3V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4415でYES)との何れの場合もV通過非報知コマンドをサブ出力バッファにセットし(S4416)、S4417の処理に移行する。一方、S4415で、第3V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4415でNO)、V通過非報知コマンドをセットすることなく、S4417の処理に移行する。
ここで、第2V通過コマンドは、2R第4大当りにおいてV有効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。また第3V通過コマンドは、小当り中などのV無効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。
V通過非報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100等に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7aにおいて、「V通過!」等のV通過したことを示す文字の表示がない画面(すなわちV通過の報知が何もない画面)に、表示制御する。換言すれば、V通過非報知態様とするのである。従って、本実施例のパチンコ遊技機1では、2R第4大当りや小当りにおいて遊技球が特定領域39を通過しても、そのことは遊技者に報知されないものとされる。
尚、前述の特定領域センサ検知処理(図36)にてセットするコマンドを第1V通過コマンドのみとし、第2V通過コマンドや第3V通過コマンドをセットしないこととしてもよい。この場合、受信コマンド解析処理(S4302)では、前述のS4414〜S4416を実行しないこととする。このように構成しても、V通過予定大当りのV有効期間中にV通過があったときのみ、その旨が遊技者に報知されるパチンコ遊技機とすることができる。すなわち、V通過の報知のための演出をしない場合には、あえてコマンド(V通過非報知コマンド)をセットしなくてもよい。但し、本実施例のようにコマンドをセットしてそれに基づいて画像制御基板100を制御した方が、画像制御の安定性を増すことが可能となる。
最後にS4417の処理を行い、本処理を終える。S4417では、その他の処理として、前述した各種コマンドを除いた他の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理を行う(S4417)。
[保留予告設定処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)にて実行される保留予告設定処理(S4400)について説明する。本実施例では、前述したように、表示画面7a上の演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d)や変動保留表示領域9eに表示される演出保留(第1演出保留9a、第2演出保留9b)を用いた保留予告演出(本例では保留変化予告)を行うことが可能となっている。保留予告設定処理(S4400)は、その保留予告演出に関し、実行するか否かの決定および実行する場合の実行パターン(保留予告演出パターン)の選択・設定を行う処理である。
図45に示すように、保留予告設定処理(S4400)では、まず、現在の遊技状態が低ベース状態であるか否かを判定する(S4451)。この判定は、例えば、後述のS4503で参照するモードステータス(図46を参照)に基づいて行うことが可能である。詳細には後述するが、S4503で参照するモードステータスは、現在の演出モードを示すものであり、本実施例では、演出モードA〜Eの5つのモードのうち、演出モードA,D,Eを遊技状態が低ベース状態に制御されているときに実行し、演出モードB,Cを遊技状態が高ベース状態に制御されているときに実行するものとしている。これに準じて、S4451では、モードステータスを参照して現在の演出モードを特定し、それを基に現在の遊技状態が低ベース状態であるのか高ベース状態であるのかを判別する。
S4451にて、現在の遊技状態が低ベース状態であると判定した場合(S4451でYES)、先のS4390で受信した始動入球コマンドが特図1始動入球コマンドであるか否かを判定し(S4452)、特図1始動入球コマンドでなければ(S4452でNO)、S4454以降の処理を行うことなく本処理を終え、特図1始動入球コマンドであれば(S4452でYES)、S4454に進む。また、S4451にて、現在の遊技状態が低ベース状態でないと判定した場合(S4451でNO)、すなわち、現在の遊技状態が高ベース状態である場合、先のS4390で受信した始動入球コマンドが特図2始動入球コマンドであるか否かを判定し(S4453)、特図2始動入球コマンドでなければ(S4453でNO)、S4454以降の処理を行うことなく本処理を終え、特図2始動入球コマンドであれば(S4453でYES)、S4454に進む。
ここで、低ベース状態は、左打ちにより遊技を進める遊技状態(左打ち遊技状態)であり、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄の変動表示を主として進行する遊技状態である。したがって、低ベース状態にて受信した始動入球コマンドが特図1始動入球コマンドでない場合、すなわち特図2始動入球コマンドである場合(S4452でNO)、その始動入球は、低ベース状態では通常発生する可能性が低い第2始動口21への入球となり、いわばイレギュラー(例外的)な始動入球であるといえる。また、高ベース状態は、右打ちにより遊技を進める遊技状態(右打ち遊技状態)であり、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の変動表示を主として進行する遊技状態である。したがって、高ベース状態にて受信した始動入球コマンドが特図2始動入球コマンドでない場合、すなわち特図1始動入球コマンドである場合(S4452でNO)、その始動入球は、高ベース状態では通常発生する可能性が低い第1始動口20への入球となり、いわばイレギュラー(例外的)な始動入球であるといえる。本実施例では、そのような遊技状態に即さないイレギュラー(例外的)な始動入球に基づく特図保留について、これを対象とした保留予告演出を行わないようにすべく、S4452やS4453の処理を行うこととしている。尚、高ベース状態での特図1始動入球コマンドの受信に基づく保留予告演出を行わないこと(S4453でNO)については、特図1保留に係る事前判定(特図1事前判定)を高ベース状態では行わずに低ベース状態で行うこととした前述の始動入球時処理(S205)と合致するものである。
次いで、S4454では、保留予告演出の実行判定を行う(S4454)。この実行判定は、保留予告演出を実行可能とする条件(実行条件)を満たしているか否に基づいて行われるものである。本実施例では、保留予告演出の実行条件として2つの条件を設けており、そのうちの1つとして、今回の始動入球コマンドの受信(始動入球)が保留予告禁止期間中に発生したものでないことを定めている。詳細には後述するが、特別図柄の変動表示に伴う演出図柄8の変動表示(変動演出)では、遊技者の大当りに対する期待感を高めるための様々な演出が実行され得るものとなっており、その代表的な演出としてリーチ演出がある。リーチ演出とは、例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りであることを示す場合の演出図柄8の表示態様として、3個の演出図柄8L,8C,8Rがすべて同一(ゾロ目)となる態様(大当り態様、特定態様)を設けている場合において、3個の演出図柄8L,8C,8Rのうちの2個が大当り態様を構成する図柄で停止表示(仮停止)され、残り1個が変動表示を続けている状態で、残り1個の演出図柄が大当り態様を完成させる図柄で停止表示されるか否かを示す演出のことである。
本実施例のリーチ演出は、大別すると、ノーマルリーチ演出とスーパーリーチ演出に分けられ、後者の方が前者に比べ大当りに対する期待度(大当り信頼度)が高い演出となっている。本実施例では、そのスーパーリーチ演出を、変動時間が450000ms以上の特別図柄の変動表示(図9を参照)が行われる場合に、これに伴って実行するものとしており、当該変動表示は外れ変動の場合もあれば、大当り変動の場合もある。このような変動時間(演出時間)の比較的長いスーパーリーチ演出が行われたにもかかわらず、そのスーパーリーチ演出が外れ変動によるものであって最終的に外れ図柄が確定表示された場合には、遊技者にしてみれば、リーチ演出なしで外れ確定となる場合やノーマルリーチ演出を経て外れ確定となる場合に比べ、落胆は大きいと考えられる。そこで、スーパーリーチ演出が行われることとなる外れ変動(「外れスーパーリーチ変動」ともいう)に該当する特図保留を対象に保留予告演出を実行した場合、その保留予告演出の対象となった外れスーパーリーチ変動が終了した後の所定期間は、新たな保留予告演出の実行を禁止するものとしている。スーパーリーチ演出を経て外れ確定となった場合、保留予告演出により期待感を煽られた遊技者にしてみれば、保留予告演出による期待が裏切られた印象を受けやすく、保留予告演出に対する興趣が低下している可能性があり、このような状況下ですぐさま新たな保留予告演出を実行したとしても、十分な演出効果が得られる可能性は低いからである。
ここで、本実施例では、保留予告演出の対象となった外れスーパーリーチ変動が終了してからの変動回数を計数する減算式のカウンタ(「制限カウンタ」ともいう)を演出制御用マイコン91(サブ制御基板90)のRAMに設けており、当該制限カウンタが所定回数を計数するまで(カウント値が「0」になるまで)を、新たな保留予告演出の実行を禁止する保留予告禁止期間としている。演出制御用マイコン91は、外れスーパーリーチ変動を対象とする保留予告演出の実行パターンの設定(後述のS4456)を契機として、制限カウンタに所定値(所定回数)をセットするものとなっている。また、演出制御用マイコン91は、制限カウンタに所定値をセットした場合、当該所定値をセットする契機となった外れスーパーリーチ変動が終了した後、特別図柄(演出図柄8)の変動表示が行われる毎(例えば変動停止コマンドを受信する毎)に、制限カウンタの値を1減算するものとなっている。
本実施例では、制限カウンタにセットする所定値(所定回数)を、外れスーパーリーチ変動の変動時間に応じた値(可変値)としている。具体的に、外れスーパーリーチ変動の変動時間が45000msである場合には「10」としており、75000msである場合には「20」としている。これにより、保留予告演出の対象となった外れスーパーリーチ変動の変動時間が45000msであった場合には、その変動終了後、少なくとも10回の変動表示が行われる間、新たに保留予告演出が行われることはなく、また、75000msであった場合には、その変動終了後、少なくとも20回の変動表示が行われる間、保留予告演出が行われることはない。変動時間の長短によって回数を異ならせているのは、変動時間(演出時間)の長い変動演出の方が大当り信頼度の高い演出とされるのが一般的であり、そのような大当り信頼度がより高い変動演出で外れ確定となった場合には、遊技者に与える落胆もより大きくなると考えられるからである。
尚、制限カウンタをセット(保留予告禁止期間を設定)するにあたっての特図保留に係る変動パターン(変動時間)の種別の判断は、主制御基板80からの始動入球コマンドに含まれる変動パターン乱数値を示す情報(始動入球時に取得した変動パターン乱数の値)に基づいて行うことが可能である。また、制限カウンタにセットする値(保留予告禁止期間の長さ)は本実施例で示すものに限られるものではなく、任意に定めることが可能である。さらに、保留予告禁止期間は、特別図柄(演出図柄)の変動回数以外にも、例えば時間経過や所定演出の実行回数など期間設定に相応しい条件に基づき定めることが可能である。さらに、本実施例では、保留予告禁止期間中(制限カウンタ>0の場合)に大当りとなった場合、当該大当りに係る大当り遊技の実行を契機に制限カウンタをリセット(初期化)するものとしている。
S4454では、上記の制限カウンタを参照して、今回の始動入球コマンドの受信(始動入球)が保留予告禁止期間中のものであるか否か、すなわち、現在、保留予告禁止期間中であるか否かを判定する。その結果、保留予告禁止期間中であれば、保留予告演出の実行条件は成立しなかったもの(不成立)として(S4455でNO)、S4456以降の処理を行うことなく、本処理を終える。この場合、今回の始動入球に基づく保留予告演出は実行されないこととなる。一方、現在、保留予告禁止期間中でない場合、S4454では、さらに保留予告演出の実行抽選を行う。つまり、保留予告演出の実行条件として、保留予告禁止期間中でないこと(第1条件)に加え、保留予告演出の実行抽選に当選すること(第2条件)を定めている。
本実施例では、演出決定用乱数として、保留予告演出実行決定用乱数を設けており、当該乱数をS4454で取得して、その取得した乱数値を図示しない抽選テーブルに基づいて判定することで、保留予告演出の実行抽選(乱数抽選)を行う。当該抽選で用いる抽選テーブル(図示せず)は、例えば、今回の始動入球を契機とする新たな特図保留についての当否情報(大当り、小当り又は外れ)や変動パターン情報(変動時間の長短)に応じて(つまり、事前判定結果に応じて)、保留予告演出の実行可能性、すなわち当選確率が異なるように定められる。具体的に、例えば、新たに発生した(記憶された)特図保留が、15R大当り(長当り)に係る保留(15R大当り保留)である場合には、外れや小当りあるいは短当り(2R大当り)に係る保留である場合に比べて、保留予告演出の実行可能性が高くなるように定められる。また、新たに発生した(記憶された)特図保留が、変動時間が相対的に長い変動パターン(例えば45000ms以上)に係る保留である場合には、変動時間が相対的に短い変動パターン(例えば30000ms以下)に係る保留である場合に比べて、保留予告演出の実行可能性が高くなるように定められる。
そして、保留予告演出の実行抽選に落選した場合、保留予告演出の実行条件は成立しなかったもの(不成立)として(S4455でNO)、S4456以降の処理を行うことなく、本処理を終える。この場合、今回の始動入球に基づく保留予告演出は実行(開始)されないこととなる。一方、保留予告演出の実行抽選に当選した場合には、保留予告演出の実行条件をすべて満たしたこととなるので、この場合、保留予告演出の実行条件が成立したものとして(S4455でYES)、その保留予告演出の実行パターン(保留予告演出パターン)を決定(選択)し、これを設定する(S4456)。
尚、保留予告演出の実行条件を満たして保留予告演出の実行契機となった特図保留のことを「予告対象保留」ともいい、予告対象保留に係る取得情報のことを「予告対象取得情報」ともいう。また、上記した保留予告演出の実行条件はあくまでも一例であり、上記した条件以外の条件を定めることは勿論可能であり、条件の数(種類)も任意である。さらに、遊技状態(低ベース状態、高ベース状態等)に応じて、保留予告演出の実行条件を異ならせることも可能である。
S4456における保留予告演出の実行パターン(保留予告演出パターン)の決定(選択)および設定は、図48または図49に示す保留予告演出パターン決定テーブルと、S4456にて取得する保留予告演出決定用乱数とに基づいて行う。保留予告演出決定用乱数は、前述した予告演出決定用乱数の一種であり、本実施例では「0〜99」の範囲で値をとるものとなっている。現在の遊技状態が低ベース状態であり(S4451でYES)、今回受信した始動入球コマンドが特図1始動入球コマンドである場合(S4452でYES)、図48に示す特図1保留予告演出パターン決定テーブルA〜Cの何れかを用いて(参照して)特図1保留予告演出の実行パターンを決定(選択)する。一方、現在の遊技状態が高ベース状態であり(S4451でNO)、今回受信した始動入球コマンドが特図2始動入球コマンドである場合(S4453でYES)、図49に示す特図2保留予告演出パターン決定テーブルA〜Dの何れかを用いて(参照して)特図2保留予告演出の実行パターンを決定(選択)する。
図48及び図49に示すように、特図1保留予告演出パターン決定テーブル(単に「特図1保留予告テーブル」ともいう)と、特図2保留予告演出パターン決定テーブル(単に「特図2保留予告テーブル」ともいう)は、ともにテーブルA〜Cを備える点で共通しており、特図2保留予告テーブルが、特図1保留予告テーブルには存在しないテーブルDを備えている点で相違している。これらのテーブルは、何れも、先のS4390で受信した始動入球コマンドや先のS4395で記憶した演出保留情報(つまり、事前判定結果)に基づいて特定可能な「特別図柄当否判定の結果」(外れ、小当り、大当り)、「外れの場合のリーチ有無」(変動時間)および「大当りの場合の大当り種別」(短当り、長当り)の各々について、保留予告演出決定用乱数値(0〜99)を、選択可能な複数の保留予告演出パターンの何れかに割り当てたデータ構造となっている。
また、図48に示す特図1保留予告テーブルA〜Cと、図49に示す特図2保留予告テーブルA〜Cとでは、特図2保留予告テーブルA〜Cに「短当り」(2R大当り)の大当り種別が存在しない点を除いて、データ構造が同様となっており、それぞれ選択可能な保留予告演出パターンの種類、数および保留予告演出決定用乱数の振分率(乱数値の割り当て個数)は同様となっている。特図2保留予告テーブルに「短当り」(2R大当り)の大当り種別が存在しないのは、特図2に係る大当りの種別として「2R大当り」が設けられていないからである(図6、図8を参照)。これに対し、図49に示す特図2保留予告テーブルDについては、他の保留予告テーブルでは選択されることのない他の保留予告演出パターンが選択可能(選択対象)となっている。尚、図48及び図49に示すテーブルのうち、「−」は保留予告演出決定用乱数値を割り当てていないことを示しており、この部分については選択対象とならない(選択されない)。
具体的に、特図1保留予告テーブルで選択可能な特図1保留予告演出パターンの種類(「特図1保留予告種」ともいう)は、大別すると、特図1保留予告種A〜Cの3種類に分けられる。特図1保留予告種Aは、図48(a)に示す特図1保留予告テーブルAに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例では「パターンA1〜A4」によって構成される。また、特図1保留予告種Bは、図48(b)に示す特図1保留予告テーブルBに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例では「パターンB1〜B4」によって構成される。さらに、特図1保留予告種Cは、図48(c)に示す特図1保留予告テーブルCに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例では「パターンC1〜C7」によって構成される。
一方、特図2保留予告テーブルで選択可能な特図2保留予告演出パターンの種類(「特図2保留予告種」ともいう)は、大別すると、特図2保留予告種A〜Dの4種類に分けられる。特図2保留予告種Aは、図49(a)に示す特図2保留予告テーブルAに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例では「パターンA1〜A4」によって構成される。また、特図2保留予告種Bは、図49(b)に示す特図2保留予告テーブルBに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例では「パターンB1〜B4」によって構成される。さらに、特図2保留予告種Cは、図49(c)に示す特図2保留予告テーブルCに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例ではパターン「C1〜C7」によって構成される。また、特図2保留予告種Dは、図49(d)に示す特図2保留予告テーブルDに基づき選択可能な保留予告演出パターンによって構成されるもので、本実施例では「パターンD1〜D5」によって構成される。
特図1保留予告演出の実行に際しては(S4452でYES→S4454→S4455でYES)、S4456にて図48(a)〜(c)に示す特図1保留予告テーブルA〜Cの何れかをセットし、当該セットしたテーブルと、S4456にて取得した保留予告演出決定用乱数値とに基づいて、一の特図1保留予告演出パターンを選択し、これを設定する(S4456)。特図1保留予告テーブルA〜Cの何れをセットする(用いる)かは、第1始動入球の発生に伴い1増加した後の特図1保留球数が「1」であるのか「2」以上であるのかによって異なってくる。特図1保留球数が「1」である場合、特図1保留予告テーブルAをセットし、特図1保留球数が「2」以上である場合、特図1保留予告テーブルBまたはCをセットする。したがって、第1始動入球により特図1保留球数が「1」となり、これに伴い特図1保留予告演出を行う場合、その保留予告演出パターンは「パターンA1〜A4」のうちの何れか一のパターンとなる(S4456)。一方、第1始動入球により特図1保留球数が「2」以上となり、これに伴い特図1保留予告演出を行う場合、その保留予告演出パターンは「パターンB1〜B4」および「パターンC1〜C7」のうちの何れか一のパターンとなる(S4456)。
ここで、特図1保留球数が「2」以上である場合に、特図1保留予告テーブルBおよびCの何れをセットする(用いる)かは、例えば、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)で生成されるテーブル選択用乱数による乱数抽選によって決定したり、所定の使用順(交互、所定回数毎に交替など)に従って決定したりすることが可能であり、本例では乱数抽選により決定するものとしている。
また、特図2保留予告の実行に際しては(S4453でYES→S4454→S4455でYES)、S4456にて図49(a)〜(d)に示す特図2保留予告テーブルA〜Dの何れかをセットし、当該セットしたテーブルと、S4456にて取得した保留予告演出決定用乱数値とに基づいて、一の特図2保留予告演出パターンを選択し、これを設定する(S4456)。特図2保留予告テーブルA〜Dの何れをセットする(用いる)かは、第2始動入球の発生に伴い1増加した後の特図2保留球数が「1」であるのか「2」以上であるのかによって異なってくる。特図2保留球数が「1」である場合、特図2保留予告テーブルAまたはDをセットし、特図2保留球数が「2」以上である場合、特図2保留予告テーブルB〜Dの何れかをセットする。したがって、第2始動入球により特図2保留球数が「1」となり、これに伴い特図2保留予告演出を行う場合、その保留予告演出パターンは「パターンA1〜A4」および「パターンD1〜D5」のうちの何れか一のパターンとなる(S4456)。一方、第2始動入球により特図2保留球数が「2」以上となり、これに伴い特図2保留予告演出を行う場合、その保留予告演出パターンは「パターンB1〜B4」、「パターンC1〜C7」および「パターンD1〜D5」のうちの何れか一のパターンとなる(S4456)。
ここで、特図2保留球数が「1」である場合に、特図2保留予告テーブルAおよびDの何れをセットする(用いる)かや、特図2保留球数が「2」以上である場合に、特図2保留予告テーブルB〜Dの何れをセットする(用いる)かは、例えば、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)で生成されるテーブル選択用乱数による乱数抽選によって決定したり、所定の使用順(交互、所定回数毎に交替など)に従って決定したりすることが可能であり、本例では乱数抽選により決定するものとしている。
次いで、S4457では、S4456で設定した保留予告演出パターンの実行を指示する保留予告演出コマンドをサブ出力バッファにセットする(S4457)。S4457でセットした保留予告演出コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信した保留予告演出コマンドに基づき特定される保留予告演出パターン、すなわちS4456で設定された保留予告演出パターンに対応する保留予告演出用の画像データ(演出保留画像データ等)を画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる保留予告演出(保留変化予告)を、保留予告演出パターンにしたがって画像表示装置7の表示画面7a上(演出保留表示領域、変動保留表示領域)で実行する。すなわち、画像制御用マイコン101は、当該保留予告演出の実行(開始)契機となった予告対象保留が消化されるまで、演出図柄8(特別図柄)の変動表示の開始(例えば変動演出開始コマンドの受信)毎に演出保留の表示位置を移動させたり演出保留の表示態様を変化させたりする等の演出保留の表示制御を、保留予告演出パターンにしたがって実行する。
以上の保留予告設定処理(S4400)によって実現される本実施例の保留予告演出について説明する。まず、第1特別保留に対応する第1演出保留9a(第1保留図柄)に関し、保留予告演出が行われていない通常(デフォルト)の第1演出保留9aは、図50(a)に示すように、表示色が「白色」の円形図柄となっている。第1演出保留9aは、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて特図1保留球数が増加することにより、画像表示装置7の表示画面7aにおける第1演出保留表示領域9cに追加表示される。一方、第1特別図柄の変動表示の開始(第1特図保留の消化)に伴い、第1演出保留表示領域9cに表示されている第1演出保留9aのうち、記憶順が最も古い第1特図保留に対応する第1演出保留9a(本例では第1演出保留表示領域9cの左端に表示される第1演出保留9a)が変動保留表示領域9eに移動表示されるとともに、これに伴って第1演出保留表示領域9cに表示されている他の第1演出保留9aがぞれぞれ左側に1つ移動表示(シフト表示)される(図50(a)を参照)。変動保留表示領域9eに表示される演出保留は、新たに変動表示を開始した当該変動表示中の特別図柄(「当該変動」ともいう)に対応するものであり、当該変動に係る変動表示が終了する前の所定時期に表示画面7a上(変動保留表示領域9e)から消去される。この消去については、例えば、前述した変動保留表示領域9eでの演出保留の表示終了条件の成立に基づいて行うことが可能である。
これに対し、第1演出保留9aを用いた保留予告演出(特図1保留予告演出)が行われる場合には、第1演出保留9aの表示色が、通常色(本例では白色)とは異なる所定の予告色(予告表示態様)に変化する。予告表示態様で表示される第1演出保留9aの表示色によって、これに対応する第1特図保留(予告対象保留)に基づく変動表示の表示結果が大当り(特定表示結果)となる可能性を示唆するものとなっている。本実施例の特図1保留予告演出では、第1演出保留9aの表示色が、通常の「白色」から、「青色」、「緑色」、「赤色」および「金色」の4色の何れかに変化して表示されるものとなっている。そして、4色の予告色(予告表示態様)のうち「金色」を大当り信頼度が最も高いものとしており、以下、「赤色」、「緑色」、「青色」の順で大当り信頼度が低くなるようにしている。本実施例では、このような演出保留の表示色変化による大当り信頼度の予告(保留変化予告)を保留予告演出として実行するものとなっており、この点は、第2演出保留9bを用いた保留予告演出(特図2保留予告演出)も共通している。
特図1保留予告演出パターンのうち「パターンA1〜A4」(特図1保留予告種A)および「パターンB1〜B4」(特図1保留予告種B)は、何れも、新たな第1始動入球(予告対象保留)の発生に基づいて、これに対応する第1演出保留9aを第1演出保留表示領域9cに表示(追加表示)する場合、その表示態様を、通常(本例では「白色」)と異なる「青色」、「緑色」、「赤色」および「金色」の何れかに変化させて表示するとともに、当該予告対象保留が消化されるまで、その表示態様を維持するパターンである。つまり、特図1保留予告種A,Bは、何れも「始動入球時保留変化予告」である。本実施例では、図48(a)及び(b)に示すように、第1演出保留9aを「青色」で表示するパターンを「パターンA1,B1」としており、第1演出保留9aを「緑色」で表示するパターンを「パターンA2,B2」としており、第1演出保留9aを「赤色」で表示するパターンを「パターンA3,B3」としており、第1演出保留9aを「金色」で表示するパターンを「パターンA4,B4」としている。
特図1保留予告種A(パターンA1〜A4)と特図1保留予告種B(パターンB1〜B4)とでは、各予告種を構成する個々の保留予告演出パターンに基づく保留予告演出(保留変化)の内容(実行態様、表示態様)が同様となっている。具体的に、例えば、第1始動入球が発生して特図1保留球数が「1」となり、これに伴って特図1保留予告演出がパターンA1(特図1保留予告種A)で実行される場合、図50(b)に示すように、第1演出保留表示領域9cの特図1保留球数「1」に対応する位置(ここでは左端)に、第1演出保留9aが「青色」で表示される。このような始動入球に伴う予告色(ここでは「青色」)による演出保留の表示は、保留予告演出の発生(開始)を意味する(以下同様)。 その後、当該第1演出保留9aに対応する第1特別図柄の変動表示の開始(予告対象保留の消化)に伴い、「青色」の第1演出保留9aがそのまま第1演出保留表示領域9cから変動保留表示領域9eに移動して表示される(図50(b)の下欄を参照)。また、例えば、第1始動入球が発生して特図1保留球数が「3」となり、これに伴って特図1保留予告演出がパターンB1(特図1保留予告種B)で実行される場合、図50(c)に示すように、第1演出保留表示領域9cの特図1保留球数「3」に対応する位置(ここでは左端から3番目の位置)に、第1演出保留9aが「青色」で表示される。その後、当該「青色」の第1演出保留9aより前に発生した2つの第1特図保留が消化される間も、「青色」の第1演出保留9aの表示態様は変化することなくその表示位置が移動(シフト)するだけである。そして、予告対象保留の消化に伴い、当該予告対象保留に対応する「青色」の第1演出保留9aがそのまま第1演出保留表示領域9cから変動保留表示領域9eに移動して表示される(図50(c)の下欄を参照)。
また、特図1保留予告演出パターンのうち「パターンC1〜C7」(特図1保留予告種C)は、第1始動入球に基づき新たに発生した(取得された)予告対象保留に係る第1演出保留9aを第1演出保留表示領域9cに表示(追加表示)する場合、その表示態様を、通常の「白色」か、あるいは、予告表示態様の「青色」、「緑色」および「赤色」の何れかに変化させて表示するとともに、当該予告対象保留の消化前までに、その表示態様を、当初よりも大当り信頼度の高い旨を示唆する色(「青色」、「緑色」、「赤色」および「金色」の何れか)に変化させるパターンである。つまり、特図1保留予告種Cは「始動入球時及び/又は消化時保留変化予告」である。本実施例では、図48(c)に示すように、第1演出保留9aを当初「白色」で表示した後に「青色」に変化させるパターンを「パターンC1」としており、第1演出保留9aを当初「白色」で表示した後に「緑色」に変化させるパターンを「パターンC2」としており、第1演出保留9aを当初「白色」で表示した後に「赤色」に変化させるパターンを「パターンC3」としており、第1演出保留9aを当初「青色」で表示した後に「緑色」に変化させるパターンを「パターンC4」としており、第1演出保留9aを当初「青色」で表示した後に「赤色」に変化させるパターンを「パターンC5」としており、第1演出保留9aを当初「緑色」で表示した後に「赤色」に変化させるパターンを「パターンC6」としており、第1演出保留9aを当初「赤色」で表示した後に「金色」に変化させるパターンを「パターンC7」としている。
具体的に、例えば、第1始動入球が発生して特図1保留球数が「3」となり、これに伴って特図1保留予告演出がパターンC5(特図1保留予告種C)で実行される場合、図50(d)に示すように、第1演出保留表示領域9cの特図1保留球数「3」に対応する位置に、第1演出保留9aが「青色」で表示される。その後、当該「青色」の第1演出保留9aより前に発生した2つの第1特図保留が消化されるまでに、第1演出保留9aの表示色が「青色」から「赤色」に変化する。すなわち、第1演出保留表示領域9c内で第1演出保留9aの表示色が「青色」から「赤色」に変化する(図50(d)の中欄を参照)。そして、予告対象保留の消化に伴い、当該予告対象保留に対応する「赤色」の第1演出保留9aがそのまま第1演出保留表示領域9cから変動保留表示領域9eに移動して表示される(図50(d)の下欄を参照)。尚、演出保留表示領域内で演出保留の表示色が変化する場合の変化時期(タイミング)は、保留予告演出パターンに予め定めておいたり、演出制御用マイコン91や画像制御用マイコン101の制御下でその都度決定したりすることが可能である(以下同様)。
特図1保留予告演出の実行に際しては、図48(a)〜(c)に示す特図1保留予告テーブルA〜Cの何れかに基づいて、上述した特図1保留予告演出パターンのうちの何れか一つが選択されるのであるが、各テーブルにおいて、第1演出保留9aの表示色が「金色」となるパターンは、予告対象保留に係る事前判定結果(保留先読み結果)が15R大当り(長当り)である場合に限り選択され得るものとなっている。つまり、第1演出保留9aの表示色が「金色」となるパターンA4,B4,C7は大当り確定パターン(15R大当り確定パターン)となっている。また、各テーブルにおいて、「金色」以外の特図1保留予告演出パターンについては、予告対象保留に係る事前判定結果が15R大当り(長当り)である場合には、第1演出保留9aの表示色が「赤色」となるパターンの選択可能性(選択率)が他のパターンに比して高くなるようになっており、以下、「緑色」となるパターン、「青色」となるパターンの順に選択可能性が低くなっている。
これに対し、予告対象保留に係る事前判定結果が2R大当り(短当り)、小当り又は外れである場合には、それぞれ、第1演出保留9aの表示色が「青色」となるパターンの選択可能性(選択率)が他のパターンに比して高くなるようになっており、以下、「緑色」となるパターン、「赤色」となるパターンの順に選択可能性が低くなっている。また、予告対象保留に係る事前判定結果が「リーチ無しの外れ」である場合には、第1演出保留9aの表示色が「青色」となるパターン及び「緑色」となるパターンの何れかが選択され得るものとなっており、それ以外のパターンは選択されないものとなっている。これにより、4色の予告色(予告表示態様)のうち「金色」は大当り信頼度「100%」(大当り確定)となり、「金色」以外の大当り信頼度は「赤色」が最も高く、以下、「緑色」、「青色」の順で大当り信頼度が低くなるように設定される。
尚、予告対象保留に係る事前判定結果が2R大当り(短当り)である場合(特図1保留)と小当りである場合(特図1保留、特図2保留)について、何れも当りであるにもかかわらず、外れである場合と同様に、「青色」となるパターンの選択可能性(選択率)を最も高くして、以下、「緑色」となるパターン、「赤色」となるパターンの順で選択可能性を低くしているのは、2R大当り(短当り)及び小当りは、遊技者にしてみれば、何れも多量の賞球獲得が期待できない当りであり、賞球面での利益がほぼ無いに等しいからである。
次に、第2特別保留に対応する第2演出保留9b(第2保留図柄)に関し、保留予告演出が行われていない通常(デフォルト)の第2演出保留9bは、図51(a)に示すように、表示色が「白色」の三角形図柄となっている。この他、特図2保留球数の増減に伴う通常の第2演出保留9bの表示態様(追加表示、移動表示、消去等)は、前述した第1演出保留9aの場合(図50(a)を参照)と同様であるので、説明を省略する。
また、第2演出保留9bを用いた保留予告演出(特図2保留予告演出)に関し、特図2保留予告種A〜Dのうち、特図2保留予告種A〜Cについては、保留予告演出パターンの種類(予告色の種類、数)、保留予告演出パターンに基づく保留予告演出の実行態様(表示色の変化態様)および保留予告演出パターンを選択するためのテーブル構造(各保留予告演出パターンの選択可能性)が、前述した特図1保留予告演出種A〜Cと同様であるので(図48(a)〜(c)、図49(a)〜(c)を参照)、これらの同様な部分についての説明は省略する。
一方、特図2保留予告演出に関し、特図1保留予告演出と異なる部分について説明すると、まず、特図2保留予告演出パターンに基づく保留予告演出の表示態様(特定記憶表示の表示態様)が、特図1保留予告演出パターンに基づく保留予告演出の表示態様(特定記憶表示の表示態様)と異なるものとなっている。すなわち、本実施例の特図2保留予告演出では、第2演出保留9bの表示色を保留予告演出パターンに基づく予告色とするだけでなく、図51(b)〜(d)に示すように、第2演出保留9bに対して所定画像を付加して表示するものとしている。本実施例では、その所定画像を、第2演出保留9bから煙(スモーク)が発生している様子を表現した煙画像Sとしている。この煙画像Sは、特図2保留予告演出の実行に際して、第2演出保留9bの表示色として設定される予告色と同色で表示されるものである(図51(b)〜(d)を参照)。このため、特図2保留予告演出では、特図1保留予告演出に比べ、表示色変化を伴う演出保留(特定演出保留)がより目立つ態様で表示されるものとなっている。
このように、特図2保留予告演出の表示態様(特定記憶表示の表示態様)を、特図1保留予告演出の表示態様(特定記憶表示の表示態様)に比べ目立たせる態様(強調表示態様)としているのは、特図2保留予告演出が実行される場合の遊技状態が高ベース状態であり、高ベース状態では第2特別図柄の変動表示の実行頻度が低ベース状態よりも高くなり、その結果、第2特図保留の消化スピードが、低ベース状態での第1特図保留の消化スピードよりも速くなるからである。つまり、特図2保留予告演出において、予告対象保留が消化されるまでの当該保留に対応する第2演出保留9bの表示期間は、特図1保留予告演出でのそれに比べて短いからである。
また、特図2保留予告演出パターンには、特図1保留予告演出パターンに存在しない特図2保留予告種Dの保留予告演出パターン(パターンD1〜D5)が含まれている(図49(d)を参照)。「パターンD1〜D5」(特図2保留予告種D)は、第2始動入球に基づき新たに発生した(取得された)予告対象保留に係る第2演出保留9bを第2演出保留表示領域9dに表示(追加表示)する場合、その表示態様を、通常の三角形から「星形」に変化させて表示するとともに、予告対象保留が消化されるまで「星形」の表示態様を維持し、予告対象保留の消化に際して第2演出保留9bが第2演出保留表示領域9dから変動保留表示領域9eに移動したタイミングで、星形の第2演出保留9bに対して稲妻が放たれる演出表示(稲妻画像Gの表示)を行い、それに伴って第2演出保留9bの表示態様を「星形」のままとするか、「青色」、「緑色」、「赤色」および「金色」の何れか)に変化させるパターンである(図51(e)を参照)。つまり、特図2保留予告種Dは「始動入球時保留変化予告」と「当該変動保留変化予告」との組合せによる保留予告演出である。尚、この場合、始動入球に伴う「星形」の演出保留の表示は、保留予告演出の発生(開始)を意味する。
本実施例では、図49(d)に示すように、第2演出保留9bを第2演出保留表示領域9dと変動保留表示領域9eの双方で「星形」として表示するパターンを「パターンD1」としており、第2演出保留9bを第2演出保留表示領域9dで「星形」として表示するとともに変動保留表示領域9eで「青色」として表示するパターンを「パターンD2」としており、第2演出保留9bを第2演出保留表示領域9dで「星形」として表示するとともに変動保留表示領域9eで「緑色」として表示するパターンを「パターンD3」としており、第2演出保留9bを第2演出保留表示領域9dで「星形」として表示するとともに変動保留表示領域9eで「赤色」として表示するパターンを「パターンD4」としており、第2演出保留9bを第2演出保留表示領域9dで「星形」として表示するとともに変動保留表示領域9eで「金色」として表示するパターンを「パターンD5」としている。
具体的に、例えば、第2始動入球が発生して特図2保留球数が「3」となり、これに伴って特図2保留予告演出がパターンD4(特図2保留予告種D)で実行される場合、図51(e)に示すように、第2演出保留表示領域9dの特図2保留球数「3」に対応する位置に、第2演出保留9bが「星形」で表示される。その後、当該「星形」の第2演出保留9bより前に発生した2つの第2特図保留が消化されるまで、第2演出保留9bが「星形」に維持される。すなわち、少なくとも第2演出保留表示領域9d内では第2演出保留9aの表示態様が「星形」に維持される(図51(e)の上から2番目を参照)。そして、予告対象保留の消化に伴い、当該予告対象保留に対応する「星形」の第2演出保留9bがそのまま第2演出保留表示領域9dから変動保留表示領域9eに移動すると、変動保留表示領域9eに表示された「星形」の第2演出保留9bに対して稲妻が放たれる演出表示(稲妻画像Gの表示)が行われ(図51(e)の上から3番目を参照)、その稲妻により星形が破壊されて、変動保留表示領域9e上に第2演出保留9bが三角形の「赤色」で表示される(図51(e)の上から4番目を参照)。尚、パターンD1では、変動保留表示領域9eに表示された「星形」の第2演出保留9bに対して稲妻が放たれる演出表示(稲妻画像Gの表示)が行われるものの、その稲妻により星形が破壊されずに維持されるものとなっている。
特図2保留予告演出の実行に際しては、図49(a)〜(d)に示す特図2保留予告テーブルA〜Dの何れかに基づいて、複数ある特図2保留予告演出パターンのうちの何れか一つが選択されるのであるが、そのうち、特図2保留予告テーブルDにおいて、第2演出保留9bの表示色が最終的に「金色」となるパターンは、予告対象保留に係る事前判定結果が15R大当り(長当り)である場合に限り選択され得るものとなっている。つまり、第2演出保留9bの表示色が「金色」となるパターンD5は大当り確定パターンとなっている。また、特図2保留予告テーブルDにおいて、「金色」以外のパターンD1〜D4については、予告対象保留に係る事前判定結果が15R大当り(長当り)である場合には、第2演出保留9bの表示色が「赤色」となるパターンD4の選択可能性(選択率)が他のパターンに比して高くなるようになっており、以下、「緑色」となるパターンD3、「青色」となるパターンD2の順に選択可能性が低くなっており、さらに、第2演出保留9bが最後まで星形に維持されるパターンD1は選択されないものとなっている。
これに対し、特図2保留予告テーブルDにおいて、予告対象保留に係る事前判定結果が小当り又はリーチ有り外れである場合には、それぞれ、第1演出保留9aの表示色が「青色」となるパターンD2の選択可能性(選択率)が他のパターンに比して高くなるようになっており、以下、「緑色」となるパターンD3、「赤色」となるパターンD4の順に選択可能性が低くなっている。また、予告対象保留に係る事前判定結果が「リーチ無しの外れ」である場合には、第2演出保留9bが最後まで星形に維持されるパターンD1が選択され、それ以外のパターンは選択されないものとなっている。このパターンD1は、予告対象保留に係る事前判定結果が「リーチ無しの外れ」である場合にのみ選択されるものである。つまり、パターンD1は、いわゆる「ガセ」の保留予告演出である。
以上が本実施例に係る保留予告演出の一態様であるが、本実施例では、保留予告演出の実行中、その実行契機となった予告対象保留より前に消化される特図保留で大当りとなった場合、すなわち、演出保留を予告表示態様で表示している状態で大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機として保留予告演出を終了して、大当り遊技中はすべての演出保留を非表示とするように構成している。そして、大当り発生まで予告表示態様で表示していた演出保留については、大当り遊技の終了後、通常の表示態様で表示するものとしている。また、本実施例では、大当りの発生に伴い、少なくとも、サブ制御基板90の演出保留情報記憶領域の記憶内容(保留先読み情報)をすべて初期化するものとしている。このように大当りの発生を契機として演出保留情報記憶領域の初期化を行うのは、本パチンコ遊技機1が、特図2保留の消化を特図1保留の消化に優先して行う特図2保留優先消化(特図2優先変動)を採用していることから、遊技の公平性を担保するためである。尚、演出保留情報記憶領域の初期化は、本実施例のように、特図1保留に対応する特図1演出保留情報と特図2保留に対応する特図2演出保留情報のすべてを対象としたり、あるいは、優先消化されない特図保留に対応する演出保留情報(本実施例では特図1演出保留情報)だけを対象としたりすることが可能である。
ここで、通常の表示態様(本例では円形白色および三角形白色)で表示される演出保留(第1演出保留9a、第2演出保留9b)のことを「通常記憶表示」ともいい、予告表示態様(本例では青・緑・赤・金の4色、星形、煙画像S等)で表示される演出保留(第1演出保留9a、第2演出保留9b)のことを「特定記憶表示」ともいう。また、演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d)に表示される演出保留の表示態様が予告表示態様に変化する保留予告演出(例えば、図50(b)〜(d)、図51(b)〜(e)を参照)のことを「第1予告演出」ともいい、変動保留表示領域9eで演出保留の表示態様が変化する保留予告演出(例えば、図51(e)を参照)のことを「第2予告演出」ともいう。さらに、第2予告演出に関する態様として、第2予告演出が実行されない特図1保留予告種(低ベース状態での保留予告演出の態様)のことを「第1態様」ともいい、第2予告演出が実行され得る特図2保留予告種(高ベース状態での保留予告演出の態様)のことを「第2態様」ともいう。また、変動保留表示領域9eに表示される演出保留のことを「対応表示」ともいい、変動保留表示領域9eのことを「対応表示手段」ともいう。
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)にて実行される変動演出開始処理(S4402)について説明する。図46に示すように、変動演出開始処理(S4402)では、まず、変動演出決定用乱数や予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数処理(S4501)を行う。本実施例では、主制御部80から変動開始コマンドを受信したタイミングでS4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値を取得する。この取得した値(取得情報)に基づいて、実行する演出図柄遊技演出の態様(変動演出)や予告演出、停止表示する演出図柄等を決定する。
次いで、S4502では、受信した変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄または第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。そして、変動パターンを指定する情報には、図9に示す変動パターン情報(P1〜P24)や現在の遊技状態を指定する遊技状態情報、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の判定結果、当り種別を指定する図柄情報等が含まれている(図8を参照)。また、変動パターン指定コマンドには、第1特別図柄に対応するものと第2特別図柄に対応するものとが存在することから、変動パターン指定コマンドを解析することで、今回開始する演出図柄遊技演出(演出図柄の変動表示)が特図1に係るものなのか特図2に係るものなのかを判別することが可能となる。尚、変動パターン情報や遊技状態情報、図柄情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の処理においても利用可能である。
また、受信した変動開始コマンドに前述の「状態変化コマンド」が含まれている場合、遊技状態が変化したことを示す情報(遊技状態変化情報)が含まれていることとなる。ここで、状態変化コマンドは、前述したように、遊技状態が高確率状態から低確率状態に移行(変化)したり、高ベース状態から低ベース状態に移行(変化)したりすることを示すコマンドであり、例えば、高ベース状態の終了契機となる特別図柄の変動表示(例えば時短遊技状態での100回目の変動表示)に続く次の変動表示が開始されるタイミングで、主制御部80から送信されるものである。したがって、S4502による変動開始コマンドの解析の結果、当該変動開始コマンドに遊技状態変化情報が含まれているか否かによって、今回開始する特別図柄の変動表示(演出図柄の変動表示)が、高ベース状態から低ベース状態に移行した後の最初の変動表示に該当するか否かを判別することが可能となる。この結果、低ベース状態に移行後の最初の変動表示に該当する場合には、後述のS4507にて、左打ち指示画像の表示を指定するコマンド(左打ち指示画像表示コマンド)を変動演出開始コマンドに含めてサブ出力バッファにセットすべく、不図示の左打ち指示フラグをONにする。
次いで、S4503では、演出制御用マイコン91が現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。モードステータスは「1」〜「5」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA〜Eに対して割り当てられている。ここで、演出モードとは、画像表示装置7における演出の態様であり、演出モードが異なると、予告演出やリーチ演出等の遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なる等、画像表示装置7に表示される画像が異なり、演出図柄遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができる。また、複数の遊技演出(予告演出やリーチ演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる遊技演出を実行可能としてもよい。
ここで演出モードとは、画像表示装置7における演出の態様であり、演出モードが異なると、予告演出やリーチ演出等の遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、演出図柄8の表示態様(例えば、図柄デザイン、数字デザインなど)が異なったり、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なったりする等、画像表示装置7に表示される演出画像が演出モードによって異なるものとされる。また、演出図柄遊技演出や大当り遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができ、複数の遊技演出(予告演出やリーチ演出、ラウンド演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる遊技演出を実行可能とすることができる。
本実施例では、演出モードA(モードステータス1)は低確低ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードB(モードステータス2)は低確高ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードC(モードステータス3)は高確高ベース状態に制御されているときに実行される。従って、演出モードがA〜Cのいずれであるかを確認することで、遊技者は現在の遊技状態を把握することができる。また、演出モードD(モードステータス4)および演出モードE(モードステータス5)は、高確低ベース状態または低確低ベース状態に制御されているときに実行される。従って、演出モードがDまたはEであるときには、遊技者は演出モードを確認しても、特別図柄当否判定の確率状態が、高確率状態にあるのか低確率状態(通常状態)にあるのかを把握することは困難である。その意味において演出モードD,Eは「確率非報知モード」といえる。
尚、本実施例では、15R第1大当りおよび15R第5大当りに係る大当り遊技の終了後は演出モードCとなり、15R第2大当りおよび15R第6大当りに係る大当り遊技の終了後は演出モードBとなり、15R第3大当りに係る大当り遊技の終了後は演出モードAとなり、2R第4大当りに係る大当り遊技の終了後と、第1小当りおよび第2小当りに係る小当り遊技の終了後には演出モードDまたはEとなる。
次いで、S4504では、画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等を用いて行う変動演出のパターン(変動演出パターン)を決めるための図示しない変動演出パターン決定テーブルをセットする(S4504)。具体的には、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)と主制御部80から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、使用する変動演出パターン決定テーブルをセットする。例えば、受信した変動パターン指定コマンドが指定する変動パターン情報が「P1(変動パターンP1)」(図9を参照)であった場合、変動演出パターン決定テーブルとして、現在の演出モードに対応した当り時変動演出パターン決定テーブルがセットされる。本実施例では、演出モード(モードステータス)に対応した複数の変動演出パターン決定テーブルがサブ制御基板90のROMに予め格納されているので、S4504では、それらの変動演出パターン決定テーブルの中から、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)に対応するテーブルが選択されてセットされる。変動演出パターン決定テーブルは、主に、演出図柄遊技演出の実行態様(演出図柄の変動態様等)を決定するためのもので、複数の変動演出パターン決定テーブルがサブ制御基板90のROMに予め格納されている。S4504では、それら複数の変動演出パターン決定テーブルのうちの何れかをセットする。
次いで、S4505では、S4501において取得した変動演出決定用乱数およびS4504においてセットした変動演出パターン決定テーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合した変動演出パターンを選択し、これを設定する(S4505)。変動演出パターンとしては、演出図柄表示領域7bで表示される演出図柄8の変動態様(演出図柄遊技演出の実行態様)が設定される。これにより、演出図柄遊技演出(変動演出)において、リーチ演出を実行する場合(リーチ有演出図柄遊技演出)や、特定のキャラクタを用いて行うキャラクタ演出を実行する場合(キャラクタ演出図柄遊技演出)、リーチ演出やキャラクタ演出を実行しない場合(リーチ無演出図柄遊技演出)等が決定される。
また、S4505では、S4501において取得した演出図柄決定用乱数及び図示しない停止図柄決定テーブルに基づいて、停止表示する演出図柄(「停止演出図柄」ともいう)を決定し、これを設定する。演出図柄遊技演出の結果として停止表示される演出図柄は、特別図柄当否判定の結果が15R第1,第5大当り(つまり、V通過予定大当り)のときは「777」等の奇数図柄のゾロ目とされ、15R第2,第3,第6大当り(つまり、V非通過予定大当り)のときは「666」等の偶数図柄のゾロ目とされる。また、リーチ有り外れのときは「787」等の3個の演出図柄のうち1個の演出図柄が他の演出図柄と異なるバラケ目、リーチ無し外れのときは「635」等の3個の演出図柄のうち少なくとも1個の演出図柄が他の演出図柄が異なるバラケ目が選択されるようになっている。さらに、2R第4大当りや小当りのときは「135」等の予め定めたチャンス目や「3☆3」等の専用図柄を停止表示してもよい。すなわち、2R第4大当りのときと小当りのときとで、同じ演出図柄を停止表示するようになっている。このため、遊技者は、停止表示された演出図柄を確認しただけでは、2R第4大当りとなったのか、小当りとなったのかを判別することはできない。尚、前述の演出図柄8の停止表示態様(変動表示の表示結果)は一例であり、特別図柄当否判定の結果に応じた停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
本実施例のパチンコ遊技機1には、演出図柄8の変動態様(変動演出パターン)として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出等が設定されており、S4505で、変動演出パターン決定テーブルに基づいて、これらのうち何れの演出を行うか、又はこれらの演出を行わない(これを「ノーマル変動」ともいう)かが決定される。そして、リーチ有演出図柄遊技演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び変動演出パターン決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。ここで、演出図柄遊技演出として、スーパーリーチ演出が実行される場合には、ノーマルリーチ演出が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はリーチ(ノーマルリーチ)演出と比較して大当り信頼度(大当りとなる可能性)の高い遊技演出であるといえる。
尚、本実施例では、変動時間が30000ms以上の変動パターン(図9を参照)を指定する変動パターン指定コマンドを受信した場合に、リーチ演出を含む変動演出パターンが設定(実行)されるものとなっており、そのうち、変動時間が450000ms以上の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを受信した場合には、SPリーチを含む変動演出パターン(SPリーチ演出パターン)が設定(実行)される。つまり、主制御部80(遊技制御用マイコン81)による特別図柄の変動パターンの選択により、リーチ演出の有無が決まるものとなっており、特別図柄の変動パターンには「リーチ無変動パターン」と「リーチ有変動パターン」とが存在することとなる。本実施例では、リーチ無変動パターン(変動時間が30000ms未満の変動パターン)には「外れ変動パターン」しかなく、リーチ有変動パターンには「外れ変動パターン」と「小当り変動パターン」と「大当り変動パターン」がある。
次いで、S4506では、予告演出の設定に係る予告演出設定処理を行う(S4506)。この予告演出設定処理(S4506)は、先の保留予告設定処理(S4400)の対象である保留予告演出(保留変化予告)を除いた他の予告演出、すなわち、事前判定結果に基づく第1演出保留9aや第2演出保留9bによる予告演出以外の予告演出を対象とする処理である。以下では、予告演出設定処理(S4506)の対象となる予告演出のことを、保留予告演出と区別して表すために「変動予告演出」ともいう。本実施例では、事前判定結果に基づく予告演出(保留先読み予告)や、現在の特図変動表示(変動演出)に係る予告演出(当該変動予告)を、変動予告演出として実行することが可能となっている。変動予告演出としては、例えば、演出図柄の変動表示が複数回連続して行われるように見せる疑似連予告、所定の予告画像を段階的に表示していくステップアップ予告、背景画像を変化させる背景変化予告、所定のアイテム画像を表示するアイテム予告、所定のキャラクタ画像を表示するキャラ予告、演出ボタン63の操作に基づくボタン予告などがある。また、前述した保留予告演出(保留変化予告)を演出保留表示領域で実行しない場合であって、演出保留が通常の表示態様(円形白色、三角形白色)のまま演出保留表示領域9c(9d)から変動保留表示領域9eに移動表示し、その変動保留表示領域9e上で初めて演出保留の表示態様が所定の予告表示態様に変化する場合、当該保留変化は「当該変動予告」の一種として捉えることができるため、変動予告演出に含まれる。
S4506では、そのような各種の変動予告演出に関して実行するか否か(実行有無)を含めた予告演出の実行パターン(変動予告演出パターン)を設定する。具体的には、S4501において取得した予告演出決定用乱数やサブ制御基板90のROMに記憶された予告決定テーブル、演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)等に基づいて、変動予告演出パターンを変動予告演出の実行有無を含めて決定し、実行する場合のパターンを設定する。
尚、S4395で記憶される演出保留情報の記憶内容(演出保留情報記憶領域の記憶内容)や、S4502での変動開始コマンドの解析結果により特定される特別図柄当否判定の結果(今回の特図変動表示に係る当否判定の結果)、同じく変動開始コマンドの解析結果により特定される特別図柄の変動パターン情報(今回の特図変動表示に係る変動パターンや停止図柄)によって、S4506で設定する予告演出パターン、すなわち、実行する変動予告演出の種類(予告種)や態様、変動予告演出の有無等は、異なるものとなる。また、変動予告演出を実行する場合、複数の予告演出のうち、一の予告演出(一種類の予告演出)を行うこともあれば、二以上の予告演出(複数種の予告演出)を複合して行うこと、すなわち、一の変動表示中(変動演出中)に複数種の予告演出を各々の実行タイミングで行うこともある。
次いで、S4507では、S4505で設定した変動演出パターンおよびS4506で設定した予告演出パターン(変動予告演出パターン)に基づいて、演出図柄遊技演出(演出図柄8の変動表示、リーチ演出、予告演出等)を開始するための変動演出開始コマンドをサブ出力バッファにセットし(S4507)、変動演出開始処理を終える。S4507でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドに基づき特定される変動演出パターン、すなわちS4505で設定された変動演出パターンに対応する所定の変動演出用画像データと、変動演出開始コマンドに基づき特定される予告演出パターン、すなわちS4506で設定された予告演出パターンに対応する所定の予告演出用画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出表示や予告演出等を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。また、演出表示器102での2個のLEDによる変動表示(点滅表示)も実行する。
また、S4507では、左打ち指示フラグがONであるか否かを判定し、ONであれば、左打ち指示画像表示コマンドを変動演出開始コマンドに含めてサブ出力バッファにセットする。ここで、左打ち指示フラグは、前述のS4502にて変動開始コマンドを解析した結果、当該変動開始コマンドに遊技状態変化情報が含まれている場合、すなわち、遊技状態が高ベース状態(右打ち遊技状態)から低ベース状態(左打ち遊技状態)に移行(変化)する場合に、ONとなるフラグである。変動演出開始コマンドとともに左打ち指示画像表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、前述の変動演出用画像データや予告演出用画像データに加え、左打ち指示報知用画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出や予告演出、左打ち指示報知等を、画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。また、左打ち指示報知の実行(開始)に伴い、それまでの高ベース状態で表示していた右打ち指示画像71(図52(b)を参照)を、表示画面7a上から消去する。
尚、前述のS4502における変動開始コマンドの解析結果に基づきONとなった左打ち指示フラグは、左打ち指示画像表示コマンド(変動開始コマンド)をサブ出力バッファにセットすること、または、左打ち指示画像表示コマンド(変動開始コマンド)を画像制御基板100に送信することに基づいて、OFFとなる。また、これに伴い、演出制御用マイコン91は、後述する右打ち表示フラグをOFFにする。
ここで、本実施例の画像表示装置7(表示画面7a)で行われる左打ち指示報知は、図52(c)に示すように、表示画面7aに設けられる左打ち表示領域70cに、左遊技領域3Aに向けて遊技球を発射することを指示する左打ち指示画像70を表示することにより行われる。左打ち指示画像70は、「左打ちに戻してください」の文字を表す左打ち文字画像70aと、左打ち文字画像70aの上方に位置する3つの左矢印画像70bとからなる。本実施例では、この左打ち指示画像70を、遊技状態が高ベース状態から低ベース状態に移行して最初の演出図柄8の変動開始に伴って、表示画面7aの中央近傍(左打ち表示領域70c)に表示する。これにより、それまで高ベース状態にて右打ちを行って遊技(図柄変動遊技)を進めていた遊技者に対し、低ベース状態への移行に伴い左打ちを行う(左打ちに戻す)ことを積極的に促すものとなっている。尚、左打ち指示画像70は、表示画面7a(左打ち表示領域70c)に表示した後、所定時間(例えば5秒)が経過することで消去される(左打ち指示報知が終了する)。
[右打ち指示画像表示処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)における大当り遊技関連演出処理(S4409)のサブルーチンとして実行される右打ち指示画像表示処理(S4600)について説明する。図47に示すように、右打ち指示画像表示処理(S4600)では、まず、右打ち表示フラグがOFFであるか否かを判定する(S4601)。ここで、右打ち表示フラグとは、右打ち指示画像71を画像表示装置7の表示画面7a(右打ち表示領域71c)に表示中であるか否かを示す(判別する)ためのフラグであり、OFFの場合は表示していないことを示し、ONの場合は表示中であることを示す。S4601にて右打ち表示フラグがOFFでないと判定した場合(S4601でNO)、すなわち、右打ち表示フラグがONである場合には、右打ち指示画像71を表示中であるため、S4602以降の処理を行うことなく本処理を終える。
一方、S4601にて右打ち表示フラグがOFFであると判定した場合(S4601でYES)、先のS4405で受信した大当り遊技関連コマンドが1R開始コマンドであるか否かを判定する(S4602)。大当り遊技関連演出処理(S4409)は、前述のように大当り遊技関連コマンドの受信(S4408でYES)を契機として実行されるので、S4602では、そのS4408の処理の実行契機となった大当り遊技関連コマンドが1R開始コマンドであるか否かを判定する。その結果、1R開始コマンドでない場合は(S4602でNO)、S4603以降の処理を行うことなく本処理を終える。
一方、S4602にて1R開始コマンドであると判定した場合(S4602でYES)、右打ち指示画像表示開始コマンドをサブ出力バッファにセットし(S4603)、右打ち表示フラグをONにして(S4604)、本処理を終える。S4603でセットした右打ち指示画像表示開始コマンドは、1R開始コマンドの受信に基づくS4409の処理でサブ出力バッファにセットされる1R開始演出コマンドとともに、コマンド送信処理(S4006)によって画像制御基板100に送信される。これにより、画像表示装置7の表示画面7aでは、図52(a)に示すように、画面略全体でラウンド演出表示が行われるとともに、画面左上に設けられるラウンド数表示領域72aに現在のラウンド数を示すラウンド数画像72(ここでは「1R」)が表示され、画面右上に設けられる右打ち表示領域71cに右打ち指示画像71が表示される。ここで、本実施例の右打ち指示画像71は、図52(a),(b)に示すように、「右打ち」の文字を表す右打ち文字画像71aと、右打ち文字画像71aの下方に位置する1つの右矢印画像71bとからなる。この右打ち指示画像71は、前述した初当り用右打ち指示報知の動画像表示や左打ち指示画像70に比して表示サイズが小さいものとなっている。
また、本実施例の右打ち指示画像71は、前述のS4602およびS4603の処理により、大当り遊技の1ラウンド目の開始に伴って表示が開始された後、S4604の処理でONとなった右打ち表示フラグがOFFになるまで、その表示が継続される。右打ち表示フラグは、前述したように、高ベース状態にて特別図柄の変動表示が行われるなか、当該高ベース状態が終了することとなる回数の特別図柄の変動表示(例えば時短遊技状態での100回の変動表示)が行われ、遊技状態が低ベース状態(低確低ベース状態)となって最初の特別図柄の変動表示が開始されるタイミングでOFFとなる。したがって、本実施例における右打ち指示画像71の表示(画像表示装置7による右打ち指示報知)は、初当りに係る大当り遊技の1ラウンド目の開始から、その後に高ベース状態が所定回数の特別図柄の変動表示の実行に基づき終了するまで、表示画面7a上の右打ち表示領域71cにて行われる。本実施例では、大当り遊技後の遊技状態は、その大当りが確変大当りであれば確変遊技状態となり、非確変大当り(通常大当り)であれば時短遊技状態となるので、結局のところ、大当り遊技後は必ず高ベース状態となる。よって、初当り後、高ベース状態にて大当りが発生することなく高ベース状態が終了するまでは、右打ち指示画像71の表示(画像表示装置7による右打ち指示報知)が右打ち表示領域71cにて継続的に行われる。
具体的には、初当りに係る大当り遊技の1ラウンド目の開始に伴って右打ち表示領域71cにて右打ち指示画像71の表示が開始されると(図52(a)を参照)、この右打ち指示画像71の表示は、大当り遊技後の高ベース状態(高確高ベース状態または低確高ベース状態)においても継続される(図52(b)を参照)。その後、例えば、高ベース状態で大当り(つまり「連チャン」)となった場合、初当りに係る1ラウンド目から継続中の右打ち指示画像71の表示は、連チャンに係る大当り遊技のファンファーレ演出、ラウンド演出およびエンディング演出が画像表示装置7(表示画面7a)で実行される間も継続され、その後の高ベース状態(高確高ベース状態または低確高ベース状態)においても継続される。また、高ベース状態で大当りが発生することなく、高ベース状態の終了条件が成立した場合、例えば、高ベース状態にて特別図柄の変動表示が100回行われた場合、次の変動表示の開始に伴い右打ち指示画像71の表示が終了する(右打ち指示画像71が消去される)とともに、左打ち表示領域70cにて左打ち指示画像70の表示(画像表示装置7による左打ち指示報知)が行われる(図52(c)を参照)。
[実施例1の作用効果]
以上に説明した本実施例のパチンコ遊技機1では、遊技状態が低ベース状態(低確低ベース状態または高確低ベース状態)に制御されているときと、遊技状態が高ベース状態(低確高ベース状態または高確高ベース状態)に制御されているときとで、実行され得る保留予告演出の態様が異なるものとなっている。すなわち、低ベース状態(第1遊技状態)において実行され得る特図1保留予告演出では、第1演出保留9aを、通常の表示態様に対して表示色が異なる態様で表示するものとなっている(図50を参照)。一方、高ベース状態(第2遊技状態)において実行され得る特図2保留予告演出では、演出保留表示領域に表示される第2演出保留9bを、通常の表示態様に対して表示色が異なるとともに所定画像(本例では煙画像S)を含んだ態様で表示するものとなっており(図51(a)〜(d)を参照)、また、低ベース状態での特図1保留予告演出には存在しない変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)を含んだものとなっている(図51(e)を参照)。これにより、低ベース状態と高ベース状態とで、保留予告演出の差別化を図ることが可能となり、各遊技状態で保留予告演出に遊技者の興味を惹きつけることが可能となる。
特に、本実施例では、低ベース状態での特図1保留予告演出は、第1演出保留9aの表示態様変化(色変化)を主として行うものであり、第1演出表示領域9cから変動保留表示領域9eに移動した第1演出保留9aの表示態様変化(第2予告演出)を実行しない態様(第1態様)となっているのに対し、高ベース状態での特図2保留予告演出は、所定画像(本例では煙画像S)を含んだ第2演出保留9bの表示態様変化(本例では色変化)を主として行うとともに、これに加え、第2演出表示領域9dから変動保留表示領域9eに移動した第2演出保留9bの表示態様変化(第2予告演出)を実行することがある態様(第2態様)となっている。このため、低ベース状態における保留予告演出(特図1保留予告演出)と、高ベース状態における保留予告演出(特図2保留予告演出)とでは、前者に比べ後者の方が遊技者にインパクトを与えやすいものとなり、低ベース状態と高ベース状態とで保留予告演出の差別化をしっかりと図れるようになる。これにより、各遊技状態における保留予告演出に遊技者の興味を惹きつけることが可能となり、延いては、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、低ベース状態に比して特図保留の消化ペースが速くなる高ベース状態で保留予告演出を行う場合の演出保留(第2演出保留9b)の表示態様が、低ベース状態における保留予告演出での演出保留(第1演出保留9a)の表示態様に比して、より目立つ態様(強調表示態様)となっており、また、低ベース状態における保留予告演出では実行されることのない変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)が実行され得るものとなっている。このため、高ベース状態では、遊技者の興味をより保留予告演出に惹きつけやすくなり、飽きの生じ難い遊技を実現することが可能となる。これにより、特別図柄(演出図柄)の変動表示が短縮変動で繰り返されることで遊技が単調になりがちな高ベース状態の遊技興趣を高めることが可能となる。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、第1演出保留表示領域9cと第2演出保留表示領域9dの位置が遊技状態に応じて変化する(本例では上下入れ替わる)ものとなっている。具体的に、遊技状態が低ベース状態にあるときは、第1演出保留表示領域9cが第2演出保留表示領域9dの上方に位置し、遊技状態が後述の高ベース状態にあるときは、第2演出保留表示領域9dが第1演出保留表示領域9cの上方に位置するものとなっている。つまり、特図1保留の増加・減少(消化)が主となる低ベース状態と、特図2保留の増加・減少(消化)が主となる高ベース状態とで、主たる演出保留(第1演出保留9aまたは第2演出保留9b)に対応する演出保留の表示領域が、常に同じ位置(本例では上下に設けられる演出保留表示領域のうち上側の領域)となる。このように、遊技状態にかかわらず、主たる演出保留の表示領域が一定とされることで、演出保留の表示態様の変化(表示数の増減、表示色の変化、形状の変化など)を、遊技者により分かり易く伝えることが可能となる。これにより、各遊技状態における保留予告演出に遊技者の興味を惹きつけやすくなる。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、予告対象保留が外れスーパーリーチ変動に該当する場合、当該外れスーパーリーチ変動が終了した後の所定期間を保留予告禁止期間とし、その期間中は保留予告演出を実行(開始)しないものとなっている。このため、例えば、保留予告演出を伴って実行された高信頼度のスーパーリーチ演出で外れとなり、当該外れによって遊技者に大きな落胆を与えたとしても、その後しばらくの間は保留予告演出を実行しないようにすることで、保留予告演出に対する遊技者の信頼感や期待感が著しく損なわれることのないようにすることが可能となる。これにより、保留予告演出の演出効果が低下するのを抑制して、保留予告演出に対する興趣を持続させることが可能となる。
さらに、本実施例のパチンコ遊技機1では、遊技領域3のうち右遊技領域3B(所定の領域)に向けて遊技球を発射(右打ち)して遊技を行う右打ち遊技状態(所定遊技状態)として、少なくとも、特別遊技状態(第1所定遊技状態)と高ベース状態(第2所定遊技状態)とを備えるものとなっている。また、右遊技領域3Bに向けて遊技球を発射することを指示する右打ち指示報知(所定指示報知)を、特別遊技状態(大当り遊技)と高ベース状態(確変遊技状態、時短遊技状態)とで、同様の態様で実行することが可能となっている。これにより、遊技者にとっては、特別遊技状態と高ベース状態とで遊技状態は異なるものの、右打ち指示報知が同様の態様で実行されるので、特別遊技状態と高ベース状態の何れの遊技状態であっても、右打ち指示報知を認識し易いものとなる。
特に、本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技の1ラウンド目開始に伴って、画像表示装置7(表示画面7a)の右打ち表示領域71cに右打ち指示画像71を表示し、右打ち指示報知を開始(実行)するものとなっている。そして、当該右打ち指示報知(右打ち表示領域71cでの右打ち指示画像71の表示)を、大当り遊技が終了するまで(本例ではエンディング演出が終了するまで)継続して実行するとともに、大当り遊技後に遊技状態が高ベース状態(高確高ベース状態または低確高ベース状態)に移行した後も、継続して実行するものとなっている。つまり、右打ち表示領域71cに右打ち指示画像71を表示する態様(所定の態様)の右打ち指示報知を、大当り遊技の開始(1ラウンド目)から高ベース状態中にかけて継続的に実行するものとなっている。これにより、遊技者にとっては、遊技状態が特別遊技状態から高ベース状態に移行したとしても、その移行前後で右打ち指示報知が同様の態様で実行されることとなるので、右打ち指示報知を認識し易いものとなる。特に、特別遊技状態と高ベース状態とで、同じ右打ち指示画像71が同じ表示位置(右打ち表示領域71c)に表示されるので、右打ち指示報知の認識のし易さは、より顕著なものとなる。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、高ベース状態にて大当り(連チャン)となり、当該大当り(連チャン)に係る大当り遊技の実行に際し、高ベース状態中に行っていた右打ち指示報知(右打ち表示領域71cでの右打ち指示画像71の表示)を、その連チャンに係る大当り遊技においても継続して実行するものとなっている。つまり、右打ち表示領域71cに右打ち指示画像71を表示する態様(所定の態様)の右打ち指示報知を、高ベース状態から大当り遊技中にかけて継続的に実行するものとなっている。これにより、遊技者にとっては、遊技状態が高ベース状態から特別遊技状態に移行したとしても、その移行前後で右打ち指示報知が同様の態様で実行されることとなるので、右打ち指示報知を認識し易いものとなる。特に、高ベース状態と特別遊技状態とで、同じ右打ち指示画像71が同じ表示位置(右打ち表示領域71c)に表示されるので、右打ち指示報知の認識のし易さは、より顕著なものとなる。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、低確低ベース状態にて大当り(初当り)となった場合のオープニング演出として、初当り用右打ち指示報知を含む初当りオープニング演出を行うものとなっている。初当り用右打ち指示報知は、右遊技領域3Bの下部に位置する大入賞口30に遊技球が入球する様子を描いた動画像を表示画面7aの略中央に表示するものであり、右打ち表示領域71cに右打ち指示画像71を表示する右打ち指示報知に比して目立つ態様となっている。このため、低ベース状態で左打ちを行って遊技を進めてきた遊技者に対しは、大当り遊技の開始に際して右打ちを行うことを、積極的に促すことが可能となる。
一方、高ベース状態にて大当り(連チャン)となった場合のオープニング演出(連チャンオープニング演出)では、初当りオープニング演出のような初当り用右打ち指示報知(画面略中央での右打ちを促す動画像表示)を行わず、高ベース状態中に行っていた右打ち指示報知(右打ち表示領域71cでの右打ち指示画像71の表示)をそのまま行うものとなっている。これにより、連チャンを繰り返すことで大袈裟な右打ち指示報知が何度も行われることを回避して、遊技者に煩わしさを感じさせないようにすることが可能となる。特に、高ベース状態中の右打ち指示報知は、その高ベース状態に移行する前の特別遊技状態(大当り遊技時)から同じ態様(同じ画像、同じ表示位置)で継続して実行されているものなので、遊技者にしてみれば、連チャンが発生した時点では、右打ちを行うことを十分に認識している状況にあるといえる。このことからも、連チャンオープニング演出にて、初当りオープニング演出と同様な右打ち指示報知を行うことなく、高ベース状態中の右打ち指示報知をそのまま行うことは、遊技者心理を考慮した有効な指示報知であるといえる。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、初当りに係る大当り遊技の開始を契機として、その1ラウンド目の開始から、その後の高ベース状態が所定回数の特別図柄の変動表示の実行に基づき終了するまで、右打ち表示領域71cに右打ち指示画像71を表示し続けるものとなっている。つまり、初当りに係る大当り遊技の1ラウンド目開始から連チャン期間の終了まで一貫して、表示画面7aの隅の方(本例では画面右上)に右打ち指示画像を画面サイズに比して小さく表示して、右打ち指示報知を目立ち過ぎない態様で行うものとなっている。これにより、画像表示装置7の表示画面7aで実行される大当り遊技演出や高ベース状態中の演出図柄遊技演出等の妨げになることを回避しつつ、遊技者に右打ちを行う遊技状態であることを十分に認識させる(印象付ける)ことが可能となる。
尚、前述の実施例1では、特図保留の事前判定結果に基づく保留予告演出(保留変化予告)を、主として、演出保留の表示色の違い(本例では白色、青色、緑色、赤色、金色)によって大当り信頼度を示唆するものとしていたが、保留予告演出にて大当り信頼度を示唆する態様(つまり、保留予告演出の態様)は、これに限定されるものではない。例えば、演出保留に「チャンス」や「激熱」等の大当り信頼度を示唆する文字を表示したり、その他の大当り信頼度を示唆する記号や図形などを表示したりするようにしてもよい。この場合、例えば、保留消化ペースが相対的に遅い低ベース状態では、演出保留による大当り信頼度の示唆を文字や記号等の表示で行い、保留消化ペースが相対的に速い高ベース状態では、前述の実施例1のように大当り信頼度の示唆を演出保留の表示色で行う等、遊技状態に応じて演出保留におる大当り信頼度の示唆の態様(保留予告演出の実行態様)を異ならせてもよい。こうすれば、遊技状態に適した保留予告演出が可能になるとともに、各遊技状態での保留予告演出の差別化を顕著にすることが可能となる。
また、前述の実施例1では、低ベース状態と高ベース状態とで、保留予告演出パターン(保留予告演出の実行態様)が一部同様となるように構成し(特図1保留予告種A〜C及び特図2保留予告種A〜C)、また、保留予告演出パターンを選択(決定)するためのテーブル(特図1保留予告テーブルA〜C及び特図2保留予告テーブルA〜C)についても、2R大当りの有無を除き、基本的には同様のデータ構造としていた(選択可能な保留予告演出パターンの種類、数、選択率など)。これに対し、低ベース状態と高ベース状態とで、保留予告演出パターンの設定(S4456)に際して用いる保留予告テーブルのデータ構造を異なるものとし、選択可能(実行可能)な保留予告演出パターンの種類を異ならせたり、選択可能(実行可能)な保留予告演出パターンの数を異ならせたり、保留予告演出パターンの選択率を異ならせたりしてもよい。この場合、例えば、保留消化ペースが相対的に遅い低ベース状態では、保留消化ペースが相対的に速い高ベース状態に比して選択可能(実行可能)な保留予告演出パターンの種類(数)を多くしたり、相体的に大当り信頼度の高い保留予告演出パターンの選択率を高くしたりすることが可能である。あるいは、これとは逆に、高ベース状態では、低ベース状態に比して選択可能(実行可能)な保留予告演出パターンの種類(数)を多くしたり、相体的に大当り信頼度の高い保留予告演出パターンの選択率を高くしたりすることも可能である。
また、前述の実施例1では、事前判定結果に基づく保留予告演出(保留変化予告)に本発明を適用したものを示したが、本発明は保留予告演出以外の予告演出にも適用可能である。例えば、前述の実施例1に係る保留予告演出に代えて又は加えて、事前判定結果に基づく予告演出(保留先読み予告)として、画像表示装置7の表示画面7a上(例えば背景表示領域7c)に、アイテムやキャラクタ等を示す所定の予告演出画像を表示するものとし、その予告演出画像により示されるアイテムやキャラクタ等の種類によって、大当り信頼度を示唆するものとしてもよい。
具体的には、例えば、予告演出画像として「キャラA〜キャラD」の4種類の夫々に対応する予告演出画像A〜Dを設け、前述した実施例1に係る保留予告演出での演出保留の表示色のうち「青色」に相当する位置付けのキャラクタを「キャラA」(予告演出画像A)、同じく「緑色」に相当する位置付けのキャラクタを「キャラB」(予告演出画像B)、同じく「赤色」に相当する位置付けのキャラクタを「キャラC」(予告演出画像C)、同じく「金色」に相当する位置付けのキャラクタを「キャラD」(予告演出画像D)とする。そして、予告対象保留の発生を契機に予告演出画像A〜Dの何れかを表示して、当該表示を予告対象保留の消化まで継続したり、当該表示から予告対象保留の消化までに予告演出画像を当初よりも大当り信頼度の高いものに変化(所謂ステップアップ)させたりする等、前述の実施例1と同様に様々な予告演出画像の表示パターン(予告演出パターン)を設ける。これによっても、低ベース状態と高ベース状態とで予告演出画像の表示パターンを異ならせることで、予告演出の実行に際して表示可能な予告演出画像の種類や数を遊技状態によって異ならせたり、予告演出の実行に際して予告演出画像が予告対象保留の消化までに段階的に変化していく場合の変化の態様を異ならせたりすることが可能となる。その結果、各遊技状態における予告演出に遊技者の興味を惹きつけることが可能となり、延いては、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
あるいは、予告対象保留の発生を契機に一の予告演出画像を表示し、その後、予告対象保留の消化までに、表示される予告演出画像の数を変化(例えば増加)させたり、表示される予告演出画像の表示サイズを変化(例えば拡大)させたりすることで、大当り信頼度を示唆することとし、その変化の態様や表示する画像の種類が異なる予告演出パターンを前述の実施例1と同様にして設けることとしてもよい。これによっても、各遊技状態における予告演出に遊技者の興味を惹きつけることが可能となり、延いては、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。また、本発明を背景変化予告に適用することも可能である。すなわち、前述した複数の予告演出画像(例えば予告演出画像A〜D)を背景画像とすることも可能である。これによっても、低ベース状態と高ベース状態とで背景変化予告の態様を異ならせることで、各遊技状態における予告演出に遊技者の興味を惹きつけることが可能となる。
また、前述の実施例1では、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)に関し、遊技状態が低ベース状態に制御されているときの特図1保留予告演出では、第1演出保留表示領域9cから変動保留表示領域9eに移動した第1演出保留9aの表示態様変化を変動保留表示領域9eで実行しない態様となっており、遊技状態が高ベース状態に制御されているときの特図2保留予告演出では、第2演出保留表示領域9dから変動保留表示領域9eに移動した第2演出保留9bの表示態様変化を変動保留表示領域9eで実行し得る態様となっている。つまり、低ベース状態での特図1保留予告演出は、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)を実行しない態様(第1態様)となっており、高ベース状態での特図2保留予告演出は、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)を実行し得る態様(第2態様)となっている。
これに対して、低ベース状態での特図1保留予告演出を、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)を実行し得る態様(第2態様)とし、高ベース状態での特図2保留予告演出を、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)を実行しない態様(第1態様)とすることも可能である。こうすれば、高ベース状態に比べて特図保留の消化スピードが遅く、その結果、演出保留の表示期間(表示時間)が相対的に長くなる低ベース状態において、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)にも遊技者の興味を惹きつけることが可能となる。
あるいは、低ベース状態での特図1保留予告演出と、高ベース状態での特図2保留予告演出との双方について、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化(第2予告演出)を実行し得る態様(第2態様)とすることも可能である。この場合、低ベース状態と高ベース状態とで、変動保留表示領域9eでの演出保留の表示態様変化の態様(「変動保留変化態様」ともいう)が異なるように構成する。変動保留変化態様としては、例えば、「演出保留の表示色変化」、「演出保留の形状変化」、「演出保留のサイズ変化」等が挙げられ、低ベース状態では「演出保留の表示色変化」、高ベース状態では「演出保留の形状変化」とする等、遊技状態によって変動保留変化態様を異ならせることが可能である。また、図51(e)に示す稲妻画像Gの表示等の保留変化に関与する演出の有無によって変動保留変化態様を異ならせることも可能である。こうすれば、低ベース状態と高ベース状態とで、変動保留表示領域9eでの保留予告演出(保留変化)について差別化を図ることが可能となり、当該保留予告演出に遊技者の興味を惹きつけることが可能となる。