JP2018046672A - 直流配電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】直流の電力伝送、電圧変換などが容易になったこと、家庭等において発電がおこなわれるようになったこと、電気機器の電力効率が向上し、交流と直流の相互変換に要する損失等が問題視されるようになったことなどから、直流による配電が検討される状況となった。しかし、直流の放電は停止しないこと、交流電源に接続できない直流専用の電気機器は普及しないことなど、直流配電の導入には多くの課題があった。【解決手段】直流電気機器の電源入力にダイオード82を備え、直流電源1にも交流電源2にも接続可能な電気機器6を考案し、直流の配電盤3内部で電子スイッチ84により短時間の切断を加えること等により、発生した放電が停止する条件を備えるとともに、直流用のコンセント4、プラグ5、交直両挿しコンセント4A、倍電圧コンセント4Wなどを考案し、交流電源2との上位互換性を確保するとともに、直流配電に関する複数の提案を行った。【選択図】図2

Description

本発明は、一般家庭などエンドユーザー内の電力の供給方式を交流方式に代わって、直流方式により行う、直流配電に関するものである。
一般家庭への商用電力の供給は、50Hzまたは60Hzの100V〜200Vの交流が使われている。トランスを使用して電圧の変換が容易にできるからである。
電子回路技術が進み、直流の電力伝送、電圧変換などが容易になったこと、使用される電気機器の内部では直流を使用していること、家庭等において直流電源が使用されるようになったこと、電気機器の電力効率が向上し、交流と直流の相互変換に要する損失等が問題視されるようになったことなどから、直流による配電が検討される状況となった。
特開2013−66167広域減衰促進線適用によるスタブ型フィルタ
同クラッドアルミ線の高周波抵抗の理論解析(国立大学法人千葉大学) 国内規格http://www.yukita.co。jp/main/wp−content/themes/yukita_sample/img/products/mold.pdf
直流の電力伝送・配電を行うためには、いくつかの課題を解決する必要がある。
直流の電力伝送を行う際の最大の問題点は、放電が始まると、止まらないことである。
交流電圧では、電圧が0Vとなる瞬間が周期的に存在するので、放電が停止する機会が存在するが、直流ではこれを望めない。
放電は、火災の原因となることがあるため、解決することが必要である。
また、放電や漏電が発生した場合、問題のある配線を正確に検出し、即座に遮断することが必要であるが、関係のない正常な回線までも含めて、建物全体を遮断する構成となっていることも望ましくない。
さらに、供給電力が不足する、建物が浸水するなどの状況下においても、警報器、照明器具、通信機、情報処理機器など小電力機器に優先順位を与えて、個々の配線が正常であれば、継続して利用できるようにすることが望ましい。
太陽光発電設備等を導入した場合であっても、一旦パワーコンディショナーによって交流に変換した後、エアーコンディショナー等の内部において交流を整流して直流を得ているため、交流と直流の変換回数が多くなり、電力の利用効率が低くなる。直流で直接駆動できることが望まれる。
交流で動作する電気機器の内部は、直流で動作していることが殆どである。その機器の内部で使用する電圧は、機器毎に様々な電圧が用いられている。
また、スイッチング方式の電源は、電圧安定化機能が含まれるので入力電圧範囲が広いのが一般的であり、配電する電圧が定電圧である必要性は少ないと考えられる。
現在交流電源に用いられるコンセント及びプラグの形状は、一定の互換性を保ちながら多様な形状のものが使われている。
現行の交流配電システムと互換性を保ちながら直流配電の普及を進めることが求められる。
新たに直流用のコンセント及びプラグを提案するにあたり、現行の交流配電部品に対して上位互換性があり、かつ、多様な要求を満たすことが必要である。
直流の電力伝送を行う際の最大の問題点は、放電が始まると、止まらないことである。
直流電流を一定の時間間隔で断続して、放電を生じても停止する機会を備えることである。
途切れた部分は、受電機器内部でコンデンサーなどを使用して補う、あるいは、配線を二重化して供給する。
多くの電気機器の交流電源には、整流器と平滑コンデンサーを有しているので、回路構成を工夫して、交流電源との互換性を保つとともに、途切れた直流電流を補うことが容易にできる。
図1(a)に、トランスレス方式の交流機器に用いられる整流回路の一例として、交流電源に接続された両波整流器24と平滑コンデンサーを示す。
回路の構成方式は多様なものが存在するが、図1(a)の両波整流回路24と平滑回路が用いられているものとして説明を進める。
図1(b)に、直流電源にスイッチを介して電流を断続し、整流器24と平滑コンデンサーにより直流電流を補う回路構成例を示している。
直流電流を断続する電子スイッチ84には、内部抵抗が極めて小さいパワーMOSFET85を用いている。
電子スイッチ84は、安全ブレーカー31の遮断スイッチとして構成しているものであり、放電を停止するために使用することができる。
整流を行うダイオードにも、パワーMOSFET85を用いて理想ダイオード82iを作成することが可能で、損失の少ない整流回路を構成することができるとともに、断続された直流電流を効率よく補うことができる。電子スイッチ84や理想ダイオード82i、ならびにこれらを駆動するための電源(フローティング電源)が必要である。
図2は、1つの直流電源を2つの電線を用いて伝送しようとするもので、図3に示すように2回線を並列にして、異なるタイミングで直流電流を断続する方法であり、実質的な電流の断続がなく、平滑する必要が無い構成とすることができる。
図には、配電盤3の1系統に対して、電気機器6を1つだけ記述しているが、一般的に1つの回線に複数のコンセント4が配線され、複数のプラグ5及び電気機器6が接続される。
図3には、一定の時間間隔で0になるような波形を書いているが、断続した直流電流の途切れた期間の電圧は、不定である。
図3には示していないが配線間の静電容量C、絶縁抵抗R、ダイオード等の漏れ電流などから決まる時定数τで変化する他、切断時の負荷電流の大きさにより配線の誘導成分の影響を大きく受けるため、電圧は不定である。
電極間で放電があるときは、電子スイッチ84がOFFの期間に、線間の静電容量Cに蓄積された電荷が放電することで、線間の電圧が低下することが期待でき、放電終止電圧以下になると放電は停止する。
図2において保安線gとの間で漏電または放電を生じた場合は、保安線gに流れる電流から漏電または放電の有無を検出することができる。
漏電または放電を検出した場合は、パワーMOSFET85などを使用した配電盤3の安全ブレーカー31の電子スイッチ84をOFFにすることで、放電を止めることができる。
また、一定時間後に自動的に回復するが、放電等が連続的に生じて回復できない場合は、自動復帰しないで、漏電や放電の警報を発するように構成することもできる。
図には示していないが、コンセント4側の放電を生じ良い箇所に保安電極4gを設ける、コンセント4内に電子スイッチ84を設け、コンセント4の単位で放電を検出して停止するような構成方法も考えられる。
共通極4c、4dには、電子スイッチ84を設けず、並列接続として配線している例である。
図4は、交流単相3線に相当する直流配電の基本構成を示している。
直流の単電圧電源1を2基直列に接続し、正極側と負極側に電子スイッチ84を設け、共通極c、dには、電子スイッチ84を設けていない。共通極c、dと正極側a、b若しくは負極側e、fとの間は、単電圧として、正極側a、bと負極側e、fの間は、倍電圧を供給する。
多くの場合、配電盤3からコンセント4まで、共通線c、dを使用することで配線材料の削減や、倍電圧コンセント4Wを単電圧コンセント4として利用できることの利便性が提供できる。
図5(a)〜(d)に直流配電で使用するコンセント4及びプラグ5の形状を示す。
図5(b)のプラグ5は、絶縁体でできた舌片(プラグ差込部分)5pの片面に2極、両面に4極の電力供給用の電極5a〜5dと、両面または片面に保安電極5gを設け、プラグ5に持ち手部分5qを設けて、配線材81の接続部としている。
図5(a)のコンセント4は、絶縁体でできたコンセント筐体4qに、プラグの舌片部分5pが差し込まれる穴40があり、プラグの電極5a〜5dに接触する電力供給用の電極4a〜4dと、保安電極4gを配置している。
図6(a)及び(b)は現行の交流プラグ5Aの形状及び寸法を示しており、(d)及び(e)に示す直流用のプラグ5の形状及び寸法に示すとおり、直流プラグ5の舌片5pの長辺は、交流プラグ5Aの刃の外側の寸法と同じであるが、直流プラグ5の舌片5pの短辺は、交流プラグ5Aの刃の長辺寸法より小さく、誤って挿入することを防いでいる。
図6(c)は、交直両挿しコンセント4Aの挿入口4Iの形状は英字のI型をしており、交流用プラグ5A及びプラグ5の何れでも挿入できる形状となっている。
図7(a)は、直流電源1、電子スイッチ84、及び、直流コンセント4までの結線、(b)は、プラグ5に接続された理想ダイオード82iまでの結線、(c)は、交直両挿しコンセント4Aの結線、(d)は、交流電源2に接続したプラグ5及び整流器24までの等価な結線を示している。
交直両挿しコンセント4Aは、交流プラグ5Aを挿入出来る他、図7(b)の直流プラグ5を挿入した場合、電気機器6内部の理想ダイオード82iを通して両波整流器24を構成するので、直流電源1を用意する必要がない。
図7(e)は、交直両挿しコンセント4Aの挿入部の形状、(f)は、倍電圧コンセント4Wの形状、(g)は、西欧で多く用いられる交流コンセント4acに直流コンセント開口部40を配置した交直両挿しコンセント4Eの形状を示している。
西欧の交流コンセント4acは、日本の交流用コンセント5Aより大きいため、直流コンセント開口部40をその内側に配置できる。結線は、図に示していないが、(c)と同様に交流電源2に結線することができ、直流電源1を用意する必要がない。
安全ブレーカー31に内蔵する電子スイッチ84で過大電流の他、電流を断続することで放電を停止する保護方式の提案であり、安全ブレーカー31の単位で漏電に対する遮断も行うことができる。
交流電源に必須の整流回路を使用して、直流電源との切り替えや互換性を確保することができる。
現行の交流用と上位互換性を確保したコンセント4及びプラグ5形状の提案であるから、現行の交流配電システムと上位の互換性を保ちながら、直流化を推進することが可能である。
(a)整流回路 (b)直流配電の基本回路 直流配電の基本構成 電流断続のイメージ図 単相3線に相当する直流配電の基本構成 (a)直流コンセント4 (b)直流プラグ5 (c)断面形状A-B (d)断面形状C-D (a)交流プラグ挿入部断面形状 (b)交流プラグの形状 (c)交直両挿しコンセント挿入口4I (d)直流コンセント挿入部断面5p (e)直流コンセント5の形状 (a)直流電源1〜直流コンセント4の結線 (b)プラグ5〜電気機器6の結線 (c)交流電源2〜交直両差しコンセント4Aの結線 (d)交流電源2〜電気機器6の結線 (e)交直両挿しコンセント4Aの挿入部4Iの形状 (f)倍電圧コンセント4Wの挿入部40 (g)交直両挿しコンセント4E(欧)の挿入部形状 (a)防塵蓋4p付きコンセント断面図 (b)防水ピストン4P付きコンセント断面図5 太陽電池を含む直流配電の例 簡易な直流配電の導入例 海外(200V〜250V)の基本構成 (a)コンセント4及びプラグ5の電極 (b)プラグの挿入抵抗 (a)ダイオード・理想ダイオードの記号、(b)理想ダイオードの構成例、 (c)電子スイッチの記号、(d)電子スイッチの構成例 電力線搬送:(a)電線縦断面、(b)電線横断面、(c)スタブの例、 (d)配電回路の例
表1の優先順位の表は、上段が電気機器の優先順位、下段が電源機器の優先順位の例である。
電力が不足するときは電圧が下がり、電力供給が十分であるときは電圧が上がることが自然である。警報機器や非常灯は、最後まで使用できることが望ましいので高い優先順位としている。
電力が不足し電圧が低下した時は、優先順位の低いエアーコンディショナーや床暖房など多くの電力を消費する機器から順に動作を停止する。(表1の電気機器の動作電圧は、標準電圧が100V〜140Vであることを前提としている。この標準電圧は、AC100Vを整流したときの平均電圧〜無負荷時の電圧をその範囲とした。)
表1 優先順位
表1の下段の電源機器の優先順位は、優先順位が高い太陽電池11が稼働しているときは、その電力を優先的に使用し、優先順位が低い非常用バッテリーは、他の電源全てが使用できなくなった後に使用することを示している。(表1の電源機器の動作電圧は、標準電圧が200V〜280Vであることを前提としている。この標準電圧は、AC200Vを整流したときの平均電圧〜無負荷時の電圧を範囲とした。)
電圧が「電力の受給状態」を表すので、電力供給・消費状況を計測しコンピューターで複雑な判断する必要もなく、複数のメーカの機器が混在している場合でも、単純な取り決めだけでほぼ適切な電力制御を行うことができると考えられる。
単電圧(100V〜140V)と倍電圧(200V〜280V)との間は、直流の電圧変換を要する。(単方向または双方向、商用電力低下時を除く一定範囲の電圧安定化を行う。)
コンセント4及びプラグ5の基本的な構造の他、単電圧コンセント4、倍電圧コンセント4W及びプラグ5Wなど多様な提案をした。
図8に、コンセント4の防塵構造(a)と防水構造(b)を示す。
プラグ5は、スリムなプラグ形状であり、突起物が無いので他を傷付けることがない形状である。
現行の交流配電部品は、多様なものが作られているが、それ以上に直流配電部品にも多様性が必要である。
直流コンセント4の形状は、挿入口が大きく異物が入りやすいので、図8(a)に示すように、防塵蓋4pが必要である。(図には示していないが、プラグ5の挿入により、防塵蓋4pは、後方または側方に逃げる構造になっている。)
災害時にも可能な限り電源が利用できることが望ましいので、図8(b)に示すように、防塵蓋4pを防水ピストン4Pに替え、柔らかい樹脂製の防水リング4wを設けて水の浸入を避ける構造としている。
プラグ5の先端形状とコンセント4の防水ピストン4Pの表面の形状が一致し、挿入時の水分の侵入を可能な限り防止する。コンセント4の表側の防水リング4wを二重にするとともに、防水ピストン4Pを背面に露出させて内圧の変化を避けているが、内部に漏水を生じ、保安電極4gで漏電を検出した時は、電子スイッチ84を遮断して電力供給を絶つ。
コンセント4の内部に侵入した水分の除去、内圧を維持等ができれば、水中でのプラグ脱着の可能性がある。
図9は、太陽電池11を含む直流配電の実施例である。
太陽電池11を導入した一般家庭では、パワーコンディショナー13で交流に変換してその一部を家庭内で消費して残りを電力会社等に売電している。従ってパワーコンディショナー13と電気機器6の内部の整流による二重の損失が加わっている。
図9の実施例では、太陽電池11の出力を、直流で動作可能なエアーコンディショナー(倍電圧機器62)に、直接供給する実施例を示している。
エアーコンディショナー(倍電圧機器62)は、倍電圧のコンセント4Wに接続し、同時に単相3線で供給された2つの商用電力21を両波整流器24で整流した直流電力(200V〜280Vの脈流の電圧)を供給するとともに、太陽電池11の直流電力(倍電圧の標準電圧より高い400V〜500Vの変動する電圧。)を供給している。
太陽電池11の出力電圧が高いときは、太陽光発電の電力が優先的に使用され、商用電力の電圧以下に低下したときは、商用電力21に自然に切り替わる。
複数の倍電圧機器62に並列接続して、太陽電池11の電力を供給することができる。
また、パワーバランサー24を通してプラス側及びマイナス側の単電圧に変換して供給でき、商用電力21を整流した直流電力(100V〜140Vの脈流の電圧)より電圧が高い場合は、太陽電池11の電力が優先的に使用される。
図10は、簡易な直流配電の実施例である。
太陽電池11の電力を直流動作が可能なエアーコンディショナー(倍電圧機器62)に直接供給している実施例である。
当該屋内配線のみを新たに配線することで、直流動作が可能なエアーコンディショナー(倍電圧機器62)を導入することができる。
太陽電池11の直流回路と、商用電力22の200Vを両波整流器24で整流した脈流を含む直流回路を、倍電圧直流コンセント4Wに直接配線している。
この接続では、倍電圧コンセント4Wの一方に単電圧プラグ5を挿入しても、接続されている両波整流器24とダイオード82iの向きが異なるため、挿入したことにより単電圧電気機器61が故障に至ることは無い。(挿入しても電流は流れないから、電力を得ることはできない。)
図11は、交流電圧が200V〜250Vである海外における直流配電の実施例を示している。
この交流電圧を整流した220V〜500Vの倍電圧を基調にした配線構成としているが、小型の電気機器6には電圧が高過ぎるので、電圧変換を行って直流の単電圧を供給するように構成している。
表2の上段は、日本、米国、西欧で使われているコンセントの形状と交流電圧並びに直流化したときの単電圧、倍電圧の電圧範囲を一覧にしたものである。
表2 コンセント・プラグの形状、供給電圧一覧
表2の下段は、交流プラグ及び直流プラグの各種コンセントに対する互換性を一覧にしたものである。○印は使用可能、×印は使用不可、○or×印は、図10に示すような簡易接続を行ったコンセントでは使用できないことを示す。
交流コンセントを交直両挿しコンセント4A、4Eに替えるだけで、直流対応の電気機器6が使用できるようになる。これは直流電源1を用意する必要がないので、導入の負担が少ない。
直流対応の電気機器6は、当初は変換プラグまたは交直両挿しコンセント4A,4Eを使用することになる。電気的には交流電源2にも直流電源1にも接続できるから、直流配電の普及状況を心配することなく直流対応の電気機器6を供給することができる。
図12(a)は、コンセント4の電極4a〜4fとプラグ5の電極5a〜5dの接触構造を示している。プラグ5の先端5pが、コンセント4内のピストン4pを、矢印1の方向に押し、図にはその機構を示していないが、その力を使って電極4a〜4fを、矢印2及び3の方向に押し付けている。
図12(b)は、プラグ5の挿入に伴う電極に加えられる圧力を示している。
プラグ5がピストン4pを押し込む力を使って、十分挿入された時点で電極に圧力が急激に増加するようになっている。一定量引き抜くことで、電極を押し付ける圧力が無くなり、容易に引き抜くことができる。
プラグ5を抜いたときに、コンセント4内の電極4a〜4fの間隔を広げる構造にすることもできる。
使用電力の大きいプラグ5は、0.1mm厚く、使用電力の小さいプラグは、0.1mm薄くすることで、電極の十分な接触圧力を得る、あるいは、引き抜き易いプラグ5を提供できる。
平滑な電極である場合、最大2.5A/mmの電流を流せるとされる。電極が2mm×10mmの大きさがあるが、接触する面積が10mmと見積盛ると、1つの電極で最大25Aまで流せる計算になる。
図13は、(b)は、(a)に対応したNchパワーMOSFET85を使用して理想ダイオード82iを構成している。
シリコンダイオードの順方向電圧が0.6Vであるから、100Vの電圧の回路では、消費電力の約1.2%を消費することになる。図13(b)のパワーMOSFET85を使用した理想ダイオード82iでは、0.01V程度に低減することができるので、損失を減らすことができる。
MOSFET85のドレインとソース間の電圧を電圧極性検出器84Dで監視し、順方向である場合はMOSFET85を導通させる。電圧が反転したときは、速やかにパワーMOSFET85を遮断する。
これらの半導体には、高電圧、大電流を扱うから、炭化シリコンなどが適していると考えられる。
回路に電流が流れていないときに理想ダイオード82iを構成する電圧極性検出器84Dなどを駆動することは、無駄に電力を消費することになるので、アイドリング状態などの稼働状態においては、パワーMOSFET85及びその駆動回路を作動させないで、寄生ダイオード82pを整流用のダイオード82として使用する。(電流が少ないときは、整流回路自体の損失が駆動回路の消費電力より少ない。)
パワーMOSFET85が溶断した時に、溶解した金属が電極を短絡すると電流が流れ続けることになるので、半導体のパッケージ内部に溶解した物質を受けるポケットを設けるなど、確実に回路を遮断できる内部構造にしておく必要がある。
(d)は、(c)の電子スイッチ84に相当するパワーMOSFET85を使用した電子スイッチ84の回路構成を示す。周期パルス発生器84Pにより、パワーMOSFET85を一定の時間間隔で遮断する他、過電流検出器84I及び保安電極電流検出器84gで規定値を超えた電流を検出した場合にもパワーMOSFET85を遮断することで、配下の配線81及び電気機器6の保護を行う。
安全ブレーカー31の他、コンセント4に設けて、障害を局所化することができる。
電気機器6が接続されていないときは、周期パルス発生器84Pの遮断する時間を増やして、電力消費を減らすこともできる。既定より低い直流電圧を電極に加えるなどして、電気機器6の接続を検出すると通常の電圧に戻す。
図14(a)は、使用する配線材81のうちの電線1本の縦断面を、(b)は、横断面を示している。中心の導体81cの周囲にテープ状の炭素繊維などでできた抵抗膜81rを巻き、絶縁体81iで覆っている。
配線材81の引張強度を上げるとともに、導体表面の導電率が低下するので高い周波数の電流を表皮効果により減衰させるので、電流の断続等による不要な電磁波の輻射を抑制する。
(c)は、高周波伝送路に設けたスタブの例を示す。分岐線路(先端を開放したものと短絡したものがある。)の長さLが4分の1波長の整数倍となる周波数で、インピーダンスが0または無限大となり、特に0となる周波数では高周波伝送路(A-B間)の通過帯域に減衰極を与える。
(d)に示すように屋内配線は、多数の配線の分岐を伴っている。
屋内配線は、長さの異なる多数のスタブの合成であるから、2点間の伝達特性に多数の周波数において減衰極を与え、長い分岐はより低い周波数の減衰極となる。
抵抗膜81rを巻かれた電線では、線路の高周波の減衰が大きくなるため、反射波も減衰するから、減衰極は浅くなる。伝達特性に周波数変動は残るが、通過帯域幅を広げることができる。
交流配電においては、既設の配線が深い減衰極の原因となり得るが、抵抗膜81rを必須にした直流配電では、減衰極の影響は減少すると期待できる。
配線に流れる高調波の一部を減衰するので、不要な電波の輻射を減らせると期待される。
表3は、直流化後に導入可能な電力線搬送の一覧を示している。
表の上段は、低速の信号伝送である。
信号変調器84mを周期パルス発生器84Pに接続し、電子スイッチ84(SaまたはSb)の電流断続の時刻を変化させ、電気機器6の理想ダイオード82i(Da,Db)のパワーMOSFET85のゲート電圧(極性検出器82Dの出力電圧)の時間変化を信号検出器82dで検出する。ジッタとして観測される断続時刻の変化を利用して、断続の周期前後の低速信号を伝送することができる。
表3 電力線搬送
低速の信号は、配電盤3の安全ブレーカー31の配下の配線を単位として信号を送る。
逆方向の信号伝達は、保安電極3g〜5gを経由して、漏電検出電流値の15mAより十分に少ない例えば1mAの電流を使用して信号を送り返し、保安電極電流検出器84gに接続した信号検出器84dを使用して信号を受信することができる。
低速の電力線搬送は、主に接続機器の稼働状況の収集、制御等に使用する。
電気機器6に対してIDを要求し、合致する場合のみ電力を供給するということも可能である。
表3の下段は、高速の電力線搬送である。
電力伝送に使用する電線の数が増加したので、互いに干渉しない3種類の伝送方法があるが、a−b間では一方の電線を遮断しているときは、信号を伝送することができない。c-d間は、共通線を使用するが、共通線を1本にして配線したときは、信号伝送路として使用することができない。
高速伝送は、配電盤3に接続される電気機器6の相互間で直接信号が送受され、配電盤3の直流入力には、信号を遮断するフィルター3fを備えて、高速伝送の信号の漏えいを抑えている。
ここに提案した直流配電の方法では、定電圧で動作する白熱電球や電熱器などの旧世代の電気機器は接続することができない。
現在の技術では、広い電圧範囲で動作するように設計することが可能であるから、定電圧動作の旧世代の電気機器は、切り捨てても問題はないとの考えである。
また、プラグ5と電気機器6との間の配線が4線ではなく2線のみ配線した場合、小電力であれば大きな支障は生じないが、直流ではプラグ6の逆挿入ができない、交流では導通角が半減することになる。ダイオード82、82iをプラグ5内に配置する方法も考えられるが、電気機器6にコネクターを設ける場合、放電に対する保護の対象から外れる。
配電盤3からコンセント4までの間の共通線(コールド側は、電子スイッチ84が無い。)については、1線で配線すること、電極4cと4dに接続することによる支障は無いと考えられる。
安全ブレーカー31のホット側の1極を1線で配線をして、コンセント4の電極4aと4bに接続することができるが、電源供給の切断期間が残る。電気機器6内部で平滑できれば支障は生じない。
安全ブレーカー31のホット側の2極3aと3b(または3eと3f)を短絡接続すると、切断期間が無くなり、放電を停止することが出来なくなる。
直流配電の普及は、太陽電池11など直流電源1がある環境で、大きな電力を消費する倍電圧機器62の導入である。
次に小型の交直両用電気機器6と交直両挿しコンセント4A、4Eの普及である。
直流電源1がある環境では、直流コンセント4の普及も期待できる。
太陽光発電設備等の電力は、一旦パワーコンディショナーによって交流に変換した後、エアーコンディショナー等の内部において整流して直流を得るため、変換回数が多くなり電力の利用効率が低くなることなどから、直流配電の実現が望まれている。
放電を停止でき、整流回路やスイッチング電源装置の特徴を生かした交直両用電気機器の他、互換性を有するコンセント、プラグを提案しているので、直流配電の普及に有効である。
1 直流電源 11 太陽電池 12 充電池 13 パワーコンディショナー
14 パワーバランサー(双方向直流電圧変換器) 15 直流電圧変換器

2 交流電源 21 商用電源(単電圧) 22 商用電源(倍電圧) 24 両波整流器

3 配線盤 3x 電極 3a 相1正極 3b 相2正極 3c、3d 共通極
3e 相1負極 3f 相2負極 3g 保安電極
30 メインブレーカー 31 安全ブレーカー 3f フィルター

4 コンセント 4x 電極 4a 相1正極 4b 相2正極 4c、4d 共通極
4e 相1負極 4f 相2負極 4g 保安電極
4p 防塵蓋 4P 防水ピストン 4q コンセント筐体
4w 防水パッキン
4A 交直両挿しコンセント(日米) 4ac 交流プラグ用電極
4E 交直両挿しコンセント(欧)
40 長方形開口部 4I I型開口部 4W 倍電圧コンセント

5 プラグ 5x 電極 5a 相1正極 5b 相2正極
5c 相1負極 5d 相2負極 5g 保安電極
5p 舌片/プラグ挿込部分 5q プラグ持ち手部分 5W 倍電圧プラグ
5A 交流プラグ(日米)

6 電気機器 61 単電圧機器 62 倍電圧機器 69 電気機器内部回路

8 部品 81 配線材 81c 導体 81i 絶縁体 81r 抵抗膜(炭素繊維など)
82 ダイオード 82p 寄生ダイオード
82i 理想ダイオード(Da〜Dd) 82D 極性検出器
82d 周期変動検出器
84 電子スイッチ(Sa〜Sf) 84P 周期パルス発生器
84I 過電流検出器 84g 保安電極電流検出器
84m 信号変調器 84d 信号検出器
85 パワーMOSFET(Nch)

9 その他 90 接地(大地) 91 筐体
1 直流電源 11 太陽電
(変換器) 13 パワーコンディショナー(直流交流変換器)
14 パワーバランサー(双方向直流電圧変換器)15 直流電圧変換器

2 交流電源 21 商用電源(単電圧) 22 商用電源(倍電圧
(整流器) 24 両波整流器

3 配線盤 3x 電極 3a 相1正極 3b 相2正極 3c、3d 共通極
3e 相1負極 3f 相2負極 3g 保安電極
30 メインブレーカー 31 安全ブレーカー 3f フィルター

4 コンセント 4x 電極 4a 相1正極 4b 相2正極 4c、4d 共通極
4e 相1負極 4f 相2負極 4g 保安電極
4p 防塵蓋 4P 防水ピストン 4q コンセント筐体
4w 防水パッキン
4A 交直両挿しコンセント(日米) 4ac 交流プラグ用電極
4E 交直両挿しコンセント(欧)
40 長方形開口部 4I I型開口部 4W 倍電圧コンセント

5 プラグ 5x 電極 5a 相1正極 5b 相2正極
5c 相1負極 5d 相2負極 5g 保安電極
5p 舌片/プラグ挿込部分 5q プラグ持ち手部分 5W 倍電圧プラグ
5A 交流プラグ(日米)

6 電気機器 61 単電圧機器 62 倍電圧機器 69 電気機器内部回路

8 部品 81 配線材 81c 導体 81i 絶縁体 81r 抵抗膜(炭素繊維など)
82 ダイオード 82p 寄生ダイオード
82i 理想ダイオード(Da〜Dd) 82D 極性検出器
82d 周期変動検出器
84 電子スイッチ(Sa〜Sf) 84P 周期パルス発生器
84I 過電流検出器 84g 保安電極電流検出器
84m 信号変調器 84d 信号検出器
85 パワーMOSFET(Nch)

9 その他 90 接地(大地) 91 筐体

Claims (10)

  1. 配電盤3に電子スイッチ84、及び、周期パルス発生器84Pを、並びに、電気機器6の電源入力にダイオード82(理想ダイオード82iであるものを含む。)を備え、
    電子スイッチ84を周期パルス発生器84Pにより間欠的に短時間の切断を繰り返し、
    配電盤3から電気機器6までの配線区間内で発生した放電を停止させることを特徴とする直流配電システム。
  2. 2つの電子スイッチ84を備え、間欠的に異なる時刻に短時間の切断を繰り返し、電気機器6の電源供給に切断期間を生じないことを特徴とする請求項1の直流配電システム。
  3. 配電盤3に配置した安全ブレーカー31に、過大電流検出器84I及び保安電極電流検出器84gの内1つ以上を備え、及び、
    コンセント4に電子スイッチ84の他、周期パルス発生器84P、過大電流検出器84I及び保安電極電流検出器84gの内1つ以上を備え、
    過大電流、放電、漏電等を検出したときに電子スイッチ84を遮断して、
    安全ブレーカー31、及び、コンセント4の配線の単位で、回路を保護することを特徴とする請求項1から2の直流配電システム。
  4. 電源入力にダイオード82(理想ダイオード82iであるものを含む。)を備え、交流電源及び直流電源の何れにも接続できる電気機器6であることを特徴とする請求項1から3の直流配電システム。
  5. コンセント4及び4Aは、
    交流電源1に接続する場合は、交流電源の1つの極を電極4a及び隣接する電極4cに、交流電源の他の極を電極4b及び隣接する電極4dに接続し、
    直流電源2に接続する場合は、直流電源のプラス極を電極4a及び対角に位置する電極4bに、直流電源のマイナス極を電極4c及び対角に位置する電極4dに接続し、
    プラグ5の電極5a及び対角に位置する電極5bを電気機器6のプラス極に、電極5c及び対角に位置する電極5dを電気機器6のマイナス極にそれぞれダイオード82(理想ダイオード82iであるものを含む。)を経由して接続した(プラグ5を逆挿入したときは、電極5aと5bとが、電極5cと5dとがそれぞれ入れ替わる。)、
    直流電源1及び交流電源2の何れにも接続可能なコンセント4、4A及びプラグ5を備えることを特徴とする請求項1から4の直流配電システム。
  6. 配線材81の導体81cに巻き付けた抵抗膜81rを備え、表皮効果を効果的に発生させて高周波電流を減衰するとともに、配線材81の引っ張り強度を向上したことを特徴とする請求項1から5の直流配電システム。
  7. 電子スイッチ84の周期パルス発生器84Pに信号変調器84mを備え、電流の断続に時間的変動を加え、電気機器6の理想ダイオード82iの極性検出器82Dに信号検出器82dを備え、電流の断続の時間的変動を検出することで、デジタル信号の電力線搬送を行うことを特徴とする請求項1から6の直流配電システム。
  8. 交流電源1及び直流電源2の何れにも接続可能な電気機器6に使用するプラグ5であって、差込部5pの長辺が14.2mm±0.1mmであり、短辺が5.5mm±0.1mmの矩形の形状を有することを特徴とする請求項1から7の直流配電システム。
  9. 交流電源1及び直流電源2の何れにも配線可能なコンセント4であって、開口部が矩形の形状を備え、プラグ5は挿入できるが、交流プラグ5Aが挿入できない形状であることを特徴とする請求項1から8の直流配電システム。
  10. 交流電源1のみに配線するコンセント4Aであって、開口部が英字のI形の形状を備え、交流プラグ5A及びプラグ5の両方共に挿入可能であることを特徴とする請求項1から8の直流配電システム。
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