JP2018044830A - 荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉 - Google Patents

荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉 Download PDF

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Abstract

【課題】 直径1μmに絞った2本の荷電粒子ビームを衝突させることによって、軸方向の長さを荷電粒子の平均自由行程の長さより長くすることにより、細長い領域において核融合を発生することによって、核融合反応を発生させる基本的な条件を見出すことが出来た。(特願2015−000007)しかしながら、平均自由行程を超える長さに亘り荷電粒子ビームを重ねる必要があり、荷電粒子バンチ全体を高い精度で衝突させる必要があるので、未反応粒子が多くなり、加速に要したエネルギーが無駄となる欠点があった。【解決手段】 荷電粒子ビームの1つを低速で、他方の荷電粒子ビームを高速で発射して衝突させることにより、低速のビームの直径と粒子数を増加することで、高い確度でビームを衝突させることができるとともに、高速の荷電粒子を無駄なく核融合反応させることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、最初の燃料として重水素のみを使用し、D−D反応を発生させ、核融合エネルギーによる発電を行うとともに、核融合により生成した三重水素を使用してD−T反応を発生させ、三重水素を直ちに消滅させるとともに、安全な核融合燃料として知られるヘリウム3を生産すること、及び、そのヘリウム3を核融合燃料としたD−3He反応(3He−3He反応も可能)を使用する放射性物質を伴わない核融合炉、並びに、核融合推進機に関するものである。
核融合反応を利用してエネルギーを得る技術は、磁気閉じ込め型、慣性閉じ込め型などが世界中で精力的に研究が進められているが、実用化の見通しを確立した核融合方式は、未だ存在していない。
磁気閉じ込め核融合のプラズマ密度は、1014/cm前後とされ、これは大気の10万分の1であり、炉の大きさに比べて核融合反応で生じた荷電粒子の平均自由行程の方が大きい。
また、慣性核融合についても燃料ペレットの直径が1〜5mmであり、1°Kまで冷却した燃料(常温の300倍の密度と仮定する。)ペレットをレーザー光などで1000倍に圧縮することが出来たとしても、圧縮後の燃料ペレットの直径と比べて、燃料内部における荷電粒子の平均自由行程の方が長い。
これらのことから、核融合反応を生じたとしても、核融合生成粒子がプラズマとなった原子核に衝突することなくすり抜けてしまうことから、プラズマを加熱することが期待できないと考えられる。
荷電粒子ビームを使用する研究もされているが、核融合プラズマやペレットを加熱・点火するためであり、荷電粒子ビーム同士を衝突させることで核融合反応を発生させようとする研究は、素粒子研究の分野以外では、見当たらない。
特願2015−000007 荷電粒子ビーム衝突型核融合炉 特許5663124号 容積可変軸流ネジポンプ、流体機関並びに熱機関 特許5711865号 容積可変軸流ネジポンプ及び外燃機関 特願2015−149058 可変容積進行型ポンプ(多段ポンプ)
分散型荷電粒子加速器概要http://www.emcube.co.jp/acceleratorsummary.html
特許文献1においては、2本の荷電粒子ビームを直径1μmに絞り、荷電粒子の平均自由行程を超える長さに亘って衝突させることによって、細長い領域において有効な核融合反応を発生させる基本的な条件を見出すことが出来たが、核融合を実現するために次の課題を解決する必要がある。
・その1(ビーム衝突精度)
2本の荷電粒子ビームを、平均自由行程を超える長さに亘り、対向して重ねる必要があるから、0.1μm程度の極めて高い精度が求められることになる。
・その2(未反応粒子の増加)
核融合発生領域を限定するため、荷電粒子ビームを軸方向にも圧縮し、荷電粒子をバンチ状にしなければならないが、荷電粒子のバンチの後方は、互いに衝突する粒子が減少するため、後半ほど核融合を生じなかった未反応燃料粒子が増加してしまうので、荷電粒子をバンチにしたことによって、未反応粒子の加速に要したエネルギーが無駄になる。
・その3(核融合生成粒子の発散性)
さらに、核融合生成粒子は、核融合反応点を中心にあらゆる方向に等方に飛翔するため、直接電力変換、粒子の弁別、荷電粒子の回収等を困難なものにしている。
・その4(生成粒子の分離能力)
未反応粒子及び核融合生成粒子に含まれる三重水素3H(トリチウムT)を、他の核種の荷電粒子と混合した後では、その中から電荷質量比の違いによって、特定の核種を分離することが困難になっていた。
・その5(直接電力変換)
静電型の直接電力変換は、部品点数が多くなること、出力電圧が高くなってしまうなどの問題があった。
・その6(燃料の管理)
中性子を発生しない核融合燃料である重水素2H(デューテリウムD)及びヘリウム3(3He)は、核融合爆弾(水素爆弾)の原料であるから、その取扱いについて十分な管理が要求される。
また、使用環境において存在する荷電粒子や中性子による燃料の変質、核反応を防止する必要性がある。
・その1(ビーム衝突精度・未反応粒子対策)
荷電粒子の衝突方式として、一方が低速で大量の、他方が高速で少量の荷電粒子を衝突(以下「非対称衝突」と呼ぶ。)させさせることにより、衝突誤差δの許容値を大きく確保するとともに、高速の荷電粒子を無駄なく核融合させ、加速に要したエネルギーの無駄を減らすことができる。
表1は、荷電粒子の速度と粒子個数、質量、加速に要するエネルギー等を一覧にしたものである。
4種類の核融合反応について、高速の粒子がほぼ全て核融合反応をすると仮定し、100倍多いため、低速粒子の99%が未反応粒子となる非対称衝突方式と、対称衝突させる場合とを比較した。
表1 非対称衝突と対称衝突の比較
粒子数が100倍多い低速の荷電粒子ビーム1は、核融合反応率が低いが、加速に要するエネルギーを1400分の1(D−D反応の場合)と少なくすることができる。ビーム径を10倍に大きくすることができるので、衝突誤差δの許容値を対称衝突させる場合と比較して、10〜100倍程度まで緩和することができる。
低速の荷電粒子をさらに低速にすることによって、加速に要するエネルギーを減らすことができるが、荷電粒子の収束状態の維持とトレードオフとなると考えられる。
なお、D−D,D−T及びD−3Heは、重水素2H(デューテリウムD)を共通の低速粒子とし、3He−D及び3He-3Heは、ヘリウム3(3He)を共通の低速粒子として用いることを考えている。
低速粒子を重水素2H(デューテリウムD)とする核融合は、ヘリウム3(3He)の入手が困難な地球上において、D−D反応から核融合を開始することができ、ヘリウム3を生産できる。宇宙開発が進み、ヘリウム3(3He)を入手できるようになった後は、放射性物質を発生しない安全なD−3He反応に移行することが望まれる。
低速粒子をヘリウム3(3He)とする核融合は、宇宙においてヘリウム3(3He)が豊富な環境で有利と考えられる。
D-D反応では、加速に要するエネルギーが0.34から0.15と半減し、無効となるエネルギーは0.058から0.024まで減少している。
D−T及びD−3He反応は、対称衝突と比較して非対称衝突の方が、無効となるエネルギーが増大することになるが、D−D反応と同時に使用する場合は、未反応の低速の重水素原子核2H粒子に衝突させるので、無効エネルギーが増大することにはならない。
また、効率が高いとされる分散型加速器(非特許文献1参照)使用した場合、60%以上の効率が得ることができるから、加速に要するエネルギーより大きな核融合エネルギーを回収することができると期待できる。
また、D−D反応の核融合断面積が0.13〜0.2barnであるのに対して、D−T及びD−3He反応では、1〜5barnと高く、核融合反応率も高くなるので、低速ビームの粒子数を減少するなど、さらなる最適化の余地がある。
3He−3He反応については、核融合反応断面積が0.01barnと小さく、高い核融合反応率を確保するために、他の反応と比較して荷電粒子バンチの圧縮度を高くする必要がある。
・その2(生成粒子の収束と弁別)
核融合生成粒子が核融合反応点を中心にあらゆる方向に等方に飛翔することから、直接電力変換、粒子の弁別及び回収を困難なものにしている。
楕円形状を基調とする内面を有するセラミック等の絶縁体で作成した荷電粒子収束器を使用して、多面体(切頂20面体等)の面を単位として配置することにより、それぞれの方向に飛散した粒子を荷電粒子収束器ごとに収束することができる。
生成粒子が混合した後に分離するのではなく、表2に示すように核融合生成粒子の核種ごとの飛翔速度の違いを利用して、分離することができる。
表2 核融合反応生成粒子の飛翔速度等一覧
表2のD−D反応における三重水素3H(トリチウムT)と水素1H(プロトンp)の比軌道半径が2.22と同一であることから、固定した磁界では分離できないことが解る。粒子の飛翔速度が異なるので、到達時間が異なることを利用して、磁界若しくは電界を変化させて分離する必要がある。
三重水素3H(トリチウムT)とヘリウム3(3He)の飛翔速度の比率は、約10%程度と僅かであるが異なっている。核融合生成粒子のパルス幅(時間幅)が13nSである場合、1m以上離れた地点で混合を遁れて分離することができる計算となる。
・その3(直接電力変換)分離能力・
磁気結合による直接電力変換を行うことで、低い電圧による電気エネルギーに直接変換することができる。
荷電粒子収束筒63hで収束し、核種分離後、荷電粒子の流れに平行に導体を配置し、その周囲を磁性体で取り囲み磁気結合することで、導体に電流を誘起することで、荷電粒子の運動エネルギーから直接電力変換を行うことが出来る。核融合生成粒子のパルス幅と同等のパルス状の電流を得る。
真空容器内に散乱した荷電粒子は、増加すると目的外の核融合反応を生じる可能性もあるので、炉内全体に配置した電位勾配及び重力の加速を受けて、低速の荷電粒子とともに炉の下部に設けたイオン回収路68に誘導し、回収する。
低速ビームの粒子と散乱粒子を容易に回収するため、重力により粒子が下方へ向かい易いことから、炉の上方から真空容器の下部に向かって低速および高速の荷電粒子ビームを発射し、炉の下部にイオン回収路68を設けることとした。
さらに、図に示していないが、真空容器内部に、荷電粒子を下方に誘導する電界を与える電極を絶縁容器の外側に配置する。
中性子は、電磁界の影響を受けにくいこと、物質の透過力が高いため、荷電粒子との分離は容易である。
・その4(燃料管理)
GPS等位置情報取得機能を内蔵して、運搬状況を記録する他、ブラックボックスで知られるような航空機の運行情報を含めた記憶装置を内蔵した核融合燃料カセットを使用し、核融合燃料の位置管理と核融合燃料が飛行計画のとおりに使用されたか否かを管理する。
荷電粒子の衝突方式として、一方が低速で大量の荷電粒子と、他方が高速で少量の荷電粒子を衝突(以下「非対称衝突」と呼ぶ。)させ、高速の荷電粒子を無駄なく核融合反応させ、加速に要したエネルギーの無駄を減らすことができるとともに、衝突誤差δの許容値を大きく確保できる。
また、核融合生成粒子の核種ごとの飛翔速度の違いを利用して、減速する前に核種を分離することで、分離を容易にすることができる。
磁気結合による直接電力変換を行うことで、低い電圧の電気エネルギーに直接変換することができる。
非対称衝突型核融合炉60uの説明図 簡易型の非対称衝突型核融合炉60uの説明図 粒子飛翔図:(a)D−D反応、(b)D−T反応、(c)D−3He反応 粒子衝突図:(a)衝突直前、(b)一部衝突、(c)衝突後期、(d)衝突直後、(e)核融合生成粒子の飛翔状態、(f)複合衝突(衝突直前) (a)電界ピストン型粒子加速器62t、(b)加速電圧波形、(c)加速電圧、(d)イオン回収チューブ68t (a)回転楕円体の内面反射の特性、(b)荷電粒子収束筒63h、(c)核融合生成荷電粒子の収束と弁別 (a)荷電粒子減速器65R、(b)磁気結合回生減速器65g、(c)時限回生減速器65h、(d)静電結合回生減速器65e 磁気弁別器64R:(a)横断面図、(b)縦断面図 荷電粒子圧縮ポンプ62p:(a)断面図、(b)ステーター62s、(c)ローター62r (a)分割式の中性子熱交換器57c、(b)噛合せ、(c)熱駆動ポンプ66(可変容積進行型ポンプ)の縦断面図、(d)ピストン66pの縦断面図、(e)ピストン66pの外観図 宇宙往還機:(a)上面図、(b)正面図、(c)縦断面図 加熱型原子力エンジン81(a)配置図、(b)説明図、(c)粒子衝突図、(d)熱交換室57を含む横断面図 宇宙往還機の運行形態図:(a)水平離着陸、(b)垂直離着陸、(c)スカイクレーン、(d)人工重力の生成、(e)大気圏突入、(f)大気圏突入時の断面図 核融合燃料カセット97
核融合発電
図1は、荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60uを使用した実施例1の核融合発電炉の説明図である。
図2は、荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60uを使用した実施例2の簡易型の核融合発電炉の説明図であり、中性子及び放射性物質を生成しない、D−3He及び3He−3He反応専用の核融合炉である。
荷電粒子の衝突方式として、一方が低速で大量の、他方が高速で少量の荷電粒子を衝突(以下「非対称衝突」と呼ぶ。)させ、衝突誤差δの許容値を緩和するとともに、高速の荷電粒子を無駄なく核融合反応させるように構成している。
図1及び図2の右下の重水素2H(デューテリウムD)タンクから荷電粒子発生装置62によりイオン化し、荷電粒子ポンプ62pによりイオンタンク59iに蓄積する。
2つの粒子加速器62(電界ピストン型粒子加速器62t)により、重水素2H原子核を加速し、時間差を付けて、電子レンズ63(キャピラリー63c)により収束して、核融合炉の中心に向かって発射する。
先に粒子の多い低速のビーム1を、次に粒子の少ない高速のビーム2を発射し、炉の中心で衝突するように発射時刻と方向を調整する。
図3は、燃料粒子および生成粒子の飛翔状況の説明図である。(表2の非対称衝突燃料粒子および生成粒子の飛翔状態を図に示したものである。)
図3(a)は、D−D反応の粒子飛翔図である。
遅い重水素2H(デューテリウムD)ビーム1に、高速の重水素2H(デューテリウムD)ビーム2が衝突し、核融合反応で生成した粒子が、1m離れた地点に、水素1H(プロトンp)、中性子n、三重水素3H(トリチウムT)及びヘリウム3(3He)の順に到達する。
図3(b)は、D−T反応の粒子飛翔図である。
遅い重水素2H(プロトンp)ビーム1に、高速の三重水素3H(トリチウムT)ビーム2が衝突し、核融合反応で生成した粒子が、1m離れた地点に、中性子n及びヘリウム4Heの順に到達する。
図3(c)は、D−3He反応の粒子飛翔図である。
遅い重水素2Hビーム1に、高速のヘリウム3(3He)ビーム2が衝突し、核融合反応で生成した粒子が、1m離れた地点に、水素1H及びヘリウム4Heの順に到達する。
3He−D反応については(c)の燃料粒子を入れ替えたものであり、3He−3He反応については、粒子放出順序により飛翔粒子のエネルギーに相違が生じるので粒子飛翔図は省略した。
D−D、D−T及びD−3Heの3種類の核融合反応を同時に行ったとき、粒子は、水素1H,ヘリウム4(4He)、三重水素3H(トリチウムT)及びヘリウム3(3He)の順序で到達する。(中性子nは、電荷質量比による分離の対象外であるから、到達順序から外した。)
核融合生成粒子の核種ごとの飛翔速度の違いを利用して、混合する前に到達時間差で核種を分離することが可能であることが解る。
図4(a)〜(e)は、D−D反応、すなわち、重水素2H(デューテリウムD)同志の粒子衝突及び飛翔の様子を示している。
(a)は、衝突直前、(b)は、一部衝突、(c)は、衝突終了、(d)は、衝突終了直後、(e)は、核融合生成荷電粒子である水素原子核1H(p),三重水素3H(T)及びヘリウム3(3He)が分離して球殻状に広がっていく様子を表している。(中性子nも飛翔しているが、図には描いていない。)
図4(b)〜(d)に示すように、ビーム2の高速の燃料粒子の移動に伴って、低速燃料粒子の上部から下部に向かって核融合反応が進む。
衝突時に下方に向かう運動エネルギーが存在するため、上方に向かう粒子は遅く、下方に向かう粒子の速度は相加するので速くなる。
また、低速のビーム1のバンチの上から下に向かって衝突が進行することから、上側に飛翔する生成粒子の半径方向の幅が広く、下側に向かう粒子の半径方向の幅が狭くなる。
燃料粒子同士は、高い衝突率を確保でき、燃料粒子が直径1〜10μm前後の細長い領域に集中しているから、生成粒子は瞬時に燃料粒子ビームの外に達するので、生成粒子と燃料粒子との衝突率は極めて低いと考えられること、生成粒子は等方に拡がり、急速に粒子密度を下げるので、先に生成した三重水素3H(トリチウムT)に、直後に生成したより高速の水素1H(プロトンp)等が衝突するといった事象はほぼ無視できると考えられる。
図4(f)は、高速の荷電粒子ビーム2を2本使用するため、二種類の粒子を低速粒子に衝突する様子を示している。三重水素3H(トリチウムT)の方が重水素2H(デューテリウムD)より低速であるから、三重水素3H(トリチウムT)を先に衝突させているが、三重水素3H(トリチウムT)の核融合断面積が大きいから、逆順にした方が総合的な反応率が向上すると考えられる。

逆順とした場合、低速粒子に衝突する直前に、高速の粒子同士が相対速度差の400keVで衝突してD−3He反応を生じるので、核融合生成粒子の分離への影響を考慮する必要がある。
なお、図4(a)から(f)のビームの太さを強調して描かれているが、低速のビーム1の太さは10μm前後、長さは3.9cm前後である。
図5(a)は、電界ピストン型粒子加速器62tの説明図である。
電界ピストン型粒子加速器62tは、石英やセラミックなどの丈夫な絶縁体でテーパー状に形成された容器の外側に多数の環状の電極を設け、内部に電気的に絶縁された複数の加速グリッド62aを設けている。
絶縁体の容器の内面が帯電することにより、次第に荷電粒子が反発するようになり、荷電粒子が内壁や加速グリッド62aに衝突しなくなる。
加速グリッド62aは、荷電粒子のエミッションを増加させないように、荷電粒子を正確に容器の先端に向けて加速するために設けている。容器の直径が小さい部分では、加速グリッド62aを省略している。
電界ピストン型粒子加速器62tの周囲に設けた電極及び加速グリッド62aに、図5(b)に示すように、ノードNの電極から順に最初に負電圧(−)を加え、一定の時間後に正電圧(+)を加えて、荷電粒子をノード番号の大きい方向へ誘導している。
ノード番号が大きくなるほど両極性パルスの負電圧が加えられる時刻が遅延し、正電圧を加えるまでの時間間隔を短くしている。
荷電粒子は、電極及び加速グリッド62aの負の電圧に引かれ、正の電圧に反発して電界ピストン型粒子加速器62tの先端に向かって加速する。
先行する負のパルス電圧より、後の正のパルス電圧の立ち上がりの方が速く、負電圧が加えられている区間が徐々に狭くなるから、この区間に捉えられた荷電粒子は、容器のテーパー形状に従い断面積を縮小しながら加速するとともに、軸方向にも圧縮し、荷電粒子のバンチを形成して所定の速度で打ち出す。

両極性パルスの電圧波形は、正と負の高電圧を炭化シリコンなどの半導体スイッチSa、Sdを介して電極に印加して作成している。
電圧を反転する際は、図5(c)に示すように、残った電荷をダイオードD、インダクタンスL及びスイッチSb、Scを経由して放電し、電圧を反転した後に、スイッチSa、Sdを導通して高電圧Vhを加えることで、電界ピストン型粒子加速器62tの動作の効率化を図っている。
図5(d)は、イオン回収チューブ68tの構成を示す。外側に荷電粒子を誘導する電極を設け、3つの相(φ0、φ1及びφ2)からなるプラスまたはマイナスの高電圧を一定の周期で順次加えることで、荷電粒子を移送する。
イオン回収チューブ68tは、イオン回収路68に接続して荷電粒子を回収し、磁気弁別器64Rに送っている。イオンを輸送する他、帯電を除去することができ、特にメンテナンスに際して帯電した三重水素3H(トリチウムT)を除去することが要求される。

また、この方法は、管内壁の帯電量を調整する方法として用いることができる。
水素原子の大きさが極めて微小であることから、帯電した水素原子が管の構成原子の隙間を抜けて外側に漏出することが考えられる。三重水素3H(トリチウムT)の漏出を防ぐため、管の内壁に水素H、重水素2Hなどの原子核をあらかじめ帯電しておく方法も考えられる。
さらに、管壁内に予め帯電させた金属などを埋め込む方法も考えられる。
図6(a)は、楕円の内面形状による粒子の収束原理を説明している。
楕円は、2つの焦点を持ち、1つの焦点から発した粒子は、楕円の内側(図のa点)で反射(θ1=θ)して、他の焦点に収束する性質がある。
図6(b)に示すように核融合反応点70を焦点とする複数の荷電粒子収束器63hを配置することで、全方位に広がる荷電粒子を、荷電粒子収束器63hごとに収束することができる。
また、荷電粒子が荷電粒子収束器63hの内側の壁面に浅い角度θで衝突するので、直角または直角に近い角度で衝突する場合と比較して、壁面への衝撃が大きく緩和される。
荷電粒子収束器63hの核融合反応点70に近い側は、荷電粒子収束器63hの壁面が重複することになるので、重複部分(破線で作図している部分)の壁面を取り去った形状にして、切頂二十面体などの多面体の構成面ごとに荷電粒子収束器63hを配置している。
荷電粒子収束器63hの核融合反応点70から遠い方の焦点付近の形状は、徐々に細くなるキャピラリー63cの形状とし、ゆるやかに荷電粒子を収束している。
なお、図1及び図2には、荷電粒子収束器63h、回生減速器65以下を1組のみを示し、他は記載を省略している。
荷電粒子収束器63hは、荷電粒子の照射に耐える強靭なセラミックなどを用い、中性子を伴う反応を利用する場合は、中性子を透過し易いジルコニウムなどを含む材料を用いる。
核融合で生成した荷電粒子は、より軽い粒子から順に荷電粒子収束器63hに到達するが、粒子を弁別するためには、それぞれの粒子を異なる流路に誘導する必要がある。
表2のD−D反応によって生じる水素1H(プロトンp)と三重水素3H(トリチウムT)は、偏向磁界に対する軌道半径が2.22(ヘリウム3に対する比で表している。)と同一であるため、偏向を加えても同じ流路に到達してしまうから分離することができない。
このため、どちらか一方の粒子を減速するか、または、偏向磁界を増減して、異なる流路に誘導する必要がある。
図6(c)は、収束した生成粒子が種類ごとに異なる時間差で到達すること及び電荷質量比の違いを利用して、偏向器64により分離する方法を説明している。
到達した粒子毎に時限回生減速器65hにより到達時刻により異なる制動を加えて飛翔速度を調整し、磁気偏向器64により異なる方向に偏向する。
あるいは、生成粒子の到達時刻ごとに偏向磁界を変更することで、粒子の飛翔方向を調整し弁別する方法もある。
弁別後の荷電粒子は、磁気結合回生減速器65gにより十分減速し、荷電粒子のままでイオンタンク59iに回収する。ただし、三重水素3H(トリチウムT)は、タンクに蓄積せずに直ちに加速して核融合炉に打ち込み、消滅するように構成している。
図7(a)は、荷電粒子減速器65Rの説明図である。
丈夫な絶縁体で形成された筒状の容器の外側に導体65cを配置し、当該導体を容器から離れた位置でループにして接続し、荷電粒子による誘導電流Iを導くことができる。容器から離れた位置で適当な電気抵抗を持たせることで熱に変換し、容器の局所的な過熱を避けつつ効果的な熱交換を行うことができる。
図7(b)は、磁気結合回生減速器65gの説明図である。
円環状の磁心65mの中を通過する荷電粒子の流れと逆方向に内側に配置した電極65tに誘導電流が流れ、荷電粒子の減速を行うとともに電気エネルギーに直接エネルギー変換を行っている。
ロゴスキーコイルの構成とすることもできる。
図7(c)は、可変回生減速器65hの説明図である。
磁気結合回生減速器65gの電気出力に電力変換器65pを経由して電気エネルギーを取り出すが、スイッチする小さな容量のコンデンサーまたはインダクターを負荷とするなど、電力変換器65pの変換係数を瞬時に変化することで、磁気結合回生減速器65gによって取り出す電力量及び減速量を調整する。
核融合生成粒子は、極めて短い時間間隔で順次到来するから、それぞれの粒子のバンチ形状を崩さずに、前後の異なる核種の粒子と混合しないように、かつ、瞬時に減速量を調整しなければならない。
図7(d)は、静電結合回生減速器65eの説明図である。狭い流路に荷電粒子を通して、電極に誘導電流を整流して取り出すように構成している。遅延回路を使用しないので、部品点数を減少できる。
図1の非対称衝突型核融合炉60uの上側と下側では、核融合生成粒子の到達時刻及び速度が異なるから、荷電粒子収束器63h毎に、時限回生減速器65hの設定が異なるものとなる。
なお、図1には、荷電粒子収束器63h、可変回生減速器65h、粒子分離器64x(偏向器64)及び磁気結合回生減速器65gを一組のみ記載するに止めており、他の荷電粒子収束筒63hについては外形のみを鎖線で描画している。
また、図2のD−3He及び3He−3He反応専用の簡易型の核融合発電炉60uでは、核融合生成粒子の分離を行う必要が無いから、可変回生減速器65h及び粒子分離器64x(偏向器64)は必要ない。
さらに、核融合生成粒子は、全て荷電粒子であるから、壁面への衝突などによる損失を除けば、荷電粒子の運動エネルギーは全て直接電力変換の対象であるから、極めて高い電力への変換効率が期待できる。
図1の電荷質量分離器64xで分離された粒子は、磁気結合回生減速器65gにより減速され、三重水素3H(トリチウムT)を除き、核種ごとに用意されたイオンタンク59iに蓄積、または、気体に戻して回収ガスボンベ68Vに蓄積する。
回収した三重水素3H(トリチウムT)は、粒子加速器62(電界ピストン型粒子加速器62t)により加速し、低速及び高速の重水素2H(デューテリウムD)ビーム1及び2と時間差を付けて、図4(f)に示すように非対称衝突型核融合炉60uの中心で衝突するように発射する。
図4(f)のビームの太さは強調して描かれている。(ビーム1の太さは10μm、長さは3.9cm前後である。)
ヘリウム3(3He)は、通常は使用せずに気体にして回収ガスボンベ68Vに保存するが、非対称衝突型核融合炉60uを停止するとき(緊急停止するときを含む。)は、D−D反応を停止し、D−3He反応を継続しながら、三重水素3H(トリチウムT)の消滅運転を行い、三重水素3H(トリチウムT)を十分に消滅した後に運転を停止する。
地震等を検出した場合も、自動的に三重水素3H(トリチウムT)の消滅運転に入るが、この場合は、D−3He反応による運転を継続して出力を維持し、一定時間経過後、炉の損傷の危険が無くなったと判断した時点でD−D反応を含む運転に復帰する。
図1及び図2の非対称衝突型核融合炉60uの上部のキャピラリー63cから発射した燃料粒子のうち、核融合反応をしなかった未反応粒子68nは、非対称衝突型核融合炉60uの下部に設けたイオン回収路68から回収する。
回収した未反応粒子68nは、再度加速して低速の荷電粒子ビーム1として再利用するが、核融合反応生成粒子との衝突や散乱により、重水素2H(デューテリウムD)粒子以外の粒子が混入し、徐々に増加するため、核融合反応率が低下する原因等となる。
このため磁気弁別器64Rに送り、重水素2H(デューテリウムD)粒子のみを弁別する必要がある。
図8は、磁気弁別器64Rの説明図である。
並行磁界の中に未反応粒子68nを導き、電荷質量比の違いを利用して、重水素2H(デューテリウムD)粒子から、混入した水素1H(プロトンp)、三重水素3H(トリチウムT)、ヘリウム3(3He)及びヘリウム4Heを分離する。
図8(a)は、核種ごとに異なる半径の軌跡を描き、半回転したところで分離・回収を行うが、(b)に示すように粒子数の多い重水素2H(デューテリウムD)の一部を先行して分離し、残りの粒子は、磁界中を何度も回転させて分離精度を高めている。図には示していないが粒子の分離を促す整流板を配置するなどして分離を促している。
図9は、荷電粒子圧縮ポンプ62pの縦断面図(a)、ステーター62sの外観図(b)及びローター62rの外観図である。(偏心回転を行う駆動機構が必要であるが、記載を省略している。)
特許文献2及び3に示す可変容積一軸偏心ネジポンプ(アルミナなどの絶縁性の高い強靭な材料で作製したモーノポンプ)で、機械的な回転力により荷電粒子を圧縮する。
ステーター62sとローター62rとが作る密閉された空間であるキャビティーは、ローター62rの偏心回転に伴い、その容積を減じながら軸方向に移動する。
荷電粒子圧縮ポンプ62pは、荷電粒子を加速することはできないが、ステーター62sとローター62rとの間の隙間の表面に帯電した荷電粒子が互いに接近して電位が高くなり、電気的な斥力で密閉しているので、ローター62rの偏心回転に伴い、キャビティー内の荷電粒子の密度を高めることができる。

なお、荷電粒子圧縮ポンプ62pの先端B(図9(a)に示す。)が開いた瞬間に荷電粒子が勢い良く飛散することになるので、円筒形状のイオンタンク59iの内部で荷電粒子が回転するように導き、荷電粒子同志の衝突をさけて核融合反応が生じないように導入している。
荷電粒子圧縮ポンプ62pの回転に伴い、間欠的に圧縮された荷電粒子が出力されるので、イオンタンク59iに蓄積し荷電粒子の安定供給を行う構成にしている。
なお、荷電粒子圧縮ポンプ62pの使い方は、図1及び図2のとおりである必要はない。
複雑になることから図示していないが、電界ピストン型粒子加速器62tの直前に荷電粒子圧縮ポンプ62pを挿入する構成方法(荷電粒子圧縮ポンプ62pと電界ピストン型粒子加速器62tを直列に接続する。)も考えられる。
また、図には示していないが、ステーター62sの外側には、メンテナンス等が容易に行い得るように、帯電を除去するための電極を配置する。
さらに、荷電粒子の流路を構成する部材に帯電除去のための電極を配置する他、絶縁体の厚み(電極までの距離)を調整することで帯電量を調整し、荷電粒子の流れを調整し安定化する。
核融合で生成された中性子nは、荷電粒子収束器63hの壁面を透過し、熱交換室57に満たした中性子減速材(水)10によって減速され、熱に変換される。
熱交換室57は、全体形状が球殻状で、図10(a)に示すような円環状(ドーナッツ状)の熱交換器57cを複数組み合わせた形状で、内部の高い圧力に耐えるようになっている。
中性子nの照射を受ける個所には、十分な強度があり、中性子nに対する反応断面積の小さなジルコニウムなどを用いる。
図10(b)は中性子熱交換器57の断面図を示す。
真空容器55を取り囲むように配置した中性子熱交換器57cは、保守作業のために一部を取り外すことが可能であり、接合箇所から中性子が漏出しない形状とする必要がある。
保守管理のために中性子熱交換器57cを分解して任意に取り外すことができる構造としている。
荷電粒子収束筒63hの取り出し部分等から、中性子nが外部に漏れないように対策が必要である。
複数の中性子熱交換器57cを経由し中性子減速材10を下から上に向かって循環し、中性子nの照射を受けて熱せられる。高温になった中性子減速材10は、上部の中性子熱交換器57cから取り出し、タービン86を回して発電機88を駆動している。

図1の中性子熱交換器57と真空容器55(63h)との間、または、図2の熱交換室57は、空冷とし、気体を循環して、熱駆動ポンプ66(特許文献4の可変容積進行型ポンプ等)に導き、熱を回転力に変換し、発電機88を駆動して発電する。
中性子熱交換器57の内部で中性子減速材10(水)が気化するなどして密度が低下し、中性子nの遮蔽力が低下しないように注意が必要である。
図には示していないが、中性子減速材10に三重水素3H(トリチウムT)が多く含まれる場合は、漏えいを減少させるため、必要に応じて熱交換器を挿入する。
中性子減速材10は、冷却した後、中性子熱交換器57cの下部に戻し、循環している。
また、中性子減速材10を使用するのではなく、リチウム6などの中性子吸収材を使用し、三重水素3H(トリチウムT)を生産する方法も考えられるが、確実かつ瞬時に三重水素3H(トリチウムT)を回収する必要がある。
Li+ n → He(3.5MeV) + T(2.7MeV)

この反応に適切な速度まで中性子nを減速することが必要であること、生成した三重水素3H(トリチウムT)を収集しなければならないこと、三重水素3H(トリチウムT)の取扱量が増加するとともに、装置が複雑になるため、望ましい方法ではないと考えられる。
さらに、ヘリウム3(3He)を中性子吸収材として用いることが可能だが、トリチウムTに変化するため、ヘリウム3(3He)の生産量が減少するとともに、三重水素3H(トリチウムT)の取り扱い量が増加することになる。
3He + n → T

やはり、中性子減速材10として軽水を用いるのがベストと考えられ、中性子捕獲の結果、ガンマー線γを放出して、重水素2H(デューテリウムD)に変換されるから、精製して燃料の一部に加えることができる。
1H + n → 2H + γ
図2の簡易型の非対称荷電粒子ビーム衝突方式核融合炉60uでは中性子熱交換器57cを記載していない。使用するヘリウム3(3He)に重水素2H(デューテリウムD)や三重水素3H(トリチウムT)等の異原子が含まれていると、中性子nが発生する反応が生じるので、混入の度合いにもよるが中性子減速材10等で遮蔽する必要がある。
また、荷電粒子が壁面等に衝突することなどで発熱があるため、図2には、熱交換室57としてのみ示しているが、少なくとも冷却を行う必要がある。
簡易型の非対称荷電粒子ビーム衝突方式核融合炉60uは、粒子の弁別装置を持たないから、ヘリウム4(4He)や水素1H(プロトンp)とともにイオンタンク59i、回収ガスボンベ68Vに回収する。
図10(c)は、可変容積進行型ポンプ66の縦断面図である。分割式の中性子熱交換器からの熱源流体(高温になった中性子減速材10等)をAから導入し、シリンダー66c壁を通して熱交換し、Bから排出して、熱交換器57cへ循環している。

可変容積進行型ポンプ66の作動流体をCから導入し、複数のピストン66pで構成する気筒を順次移動しながら加熱を受けることで膨張し、回転しながら往復運動するピストン66pを駆動する。膨張を終えた作動流体は、Dからシリンダー66c壁を通して再度熱交換し、熱エネルギーを十分回収してEから排出している。
弁66vは、ピストン66pが図の右方向に移動するときは閉じ、左方向に移動するときは開く動作をする。弁66vを通過した作動流体は、ピストン66pとシリンダー66sの間隙を通過しながら加熱を受ける。(動作の詳細は、特許文献4を参照)

作動流体が空気である時は図には示していないが予め圧縮して用いる。水などのバイナリ流体は圧縮することなく用いることができる。
流路AからBと、流路CからEは、互いに分離されており、混合しないので、流路AからBに流す熱源流体に放射性物質が含まれていた場合でも漏えいを低く抑えることができる。
表3は、図1の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60uを使用した実施例1の核融合発電量の概算である。
全ての反応において、毎秒7.28×1019個の粒子が衝突する条件で検討し、生成粒子の損失がないものとして計算した。

電力に換算して505.5MWの出力があり、ヘリウム3(3He)を燃焼せずに蓄積した場合は、290.4MWの出力となる。D−T反応205.1MW及びD−3He反応215.2MWと比較して、D−D反応による出力は、85.2MWと総発電量に対する占める割合が少ない。
表3 D−D反応による核融合発電量
荷電粒子として312.8MWの出力があり、直接発電の効率が85%であると仮定すると、265.9MWの電気出力が得られ、損失となった46.9MWの熱出力と、中性子の持つエネルギー192.7MWと合わせて、239.6MWの発熱量がある。この熱から効率60%の発電を行うことで、143.8MWの電気出力を得ることができるので、直接発電と合わせて409.6MWの電力を得ることができることになる。
加速された高速粒子のエネルギーは11.7MWであり、効率60%の分散型加速器を使用した場合、19.4MWの電力を要するから、差引、390.2MWの電力が得られる計算になる。
なお、低速粒子の加速エネルギーは、117kW(194kW)と少ないため、無視した。
熱効率ηを60%として計算を示したが、熱出力は、熱交換器の耐熱温度まで上げることができるから、カルノーサイクルの理論熱効率から高温源Tが1300°Kであれば77%、Tが1800°Kであれば80%を超える熱効率ηが期待できる。
η=1−(T/T
表4は、図2の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60uを使用した実施例2の簡易型の核融合発電量の概算である。
D−3He反応による215.2MWの電力換算出力があり、直接発電の効率が85%であると仮定すると、182.9MWの電気出力が得られ、損失となった32.3MWの熱出力から熱効率60%の発電を行うことで、19.4MWの電気出力を得ることができるから、合計202.3MWの電力を得ることができる。

粒子を加速するために4.7MWを要し、効率60%の分散型加速器を使用した場合、7.8MWの電力を要するから、差引、194.5MWの電力が得られる計算になる。
表4 D−3He反応による核融合発電量
図11は、実施例2の電気出力を下げ、荷電粒子減速器65Rの要素を増やすなどして、熱出力を増加した構成の実施例3の簡易型の非対称荷電粒子ビーム衝突方式核融合炉60uを搭載した核融合推進機(航空機・宇宙往還機・惑星間航行機)80の説明図である。
D-3He反応または3He−3He反応を利用した中性子が発生しない核融合を用いる。
表5 D-3He反応による核融合推進
D−3He反応による215.2MWの電力換算出力がある想定であるが、直接発電は10%の21.5MWに抑え、193.7MWを熱に変換して、空気を加熱して噴射することで、核融合推進機80の駆動力にしている。(全てを熱出力とし、タービンを駆動して発電する方法も考えられる。)
粒子の衝突エネルギーに4.7MWを要し、効率60%の分散型加速器を使用した場合、7.8MWの電力を要するから、直接発電で得た電力を投入して賄う。
図11(a)は、核融合推進機80の上面図である。折たたむことができる主翼82及び尾翼83を備えている。
図11(b)は、核融合推進機80の正面図である。核融合推進機80の上面に大気圏突入シールド80sを構成している。機体の底面には、車輪を収納する必要があり、継ぎ目が存在するため大気圏突入シールドを底面に設けることは望ましくないからである。

また、貨物室85の扉を背面に設ける場合は、クレーンなどを使用して荷を釣り上げて積み込む必要があるが、貨物室85の扉を底面に設け、内蔵のクレーン97を設けているから、自力で荷の積み下ろしができる。
核融合推進機80が空中分解したときにも乗員を保護可能な、大気圏突入時に回転可能なコックピット80c、及び、航行記録装置を内蔵し、燃料の使用状況を検証可能な核融合燃料カセット79を搭載する。
図11(c)は、核融合推進機80の縦断面図である。
貨物室85には、貨物モジュール95または回転可能な乗員モジュール96等を搭載することができ、乗員モジュール96は、国際結合機構80CBMを備えコックピット80cや宇宙ステーションとドッキングすることができる。
図12(a)は、簡易型の非対称衝突型核融合炉60uを使用した加熱型原子力エンジン81の配置図である。D-3He反応を利用した核融合では、中性子の発生は無い筈であるが、ヘリウム3(3He)に不純物として重水素2H(デューテリウムD)粒子などが含まれていると、中性子が発生するため、安全のため乗員に対して距離を取る配置となっている。
図12(b)は、簡易型の非対称衝突型核融合炉60uを使用した加熱型原子力エンジン81及びノズル93の縦断面図である。
矢印は、空気の流れを示している。取り込んだ空気をタービン86で圧縮し、簡易型の非対称衝突型核融合炉60uの熱交換室57に送り、加熱して高温になった空気を後方のタービン86に送り拡張し、ノズル93から後方に噴射する。
高温の空気をタービン86の前で分岐し、前方のノズルから下方に噴射するとともに、後方のノズル93の方向を下向きに変え、荷が軽量である場合に垂直離着陸を可能にしている。
宇宙空間では、タービン86を駆動する必要が無いから、機体内に蓄積した推進剤50(空気50a、水50w等を含む。)を換気口56から熱交換室57に導入し、タービン86をバイパスして噴射する。
火星以下の天体に垂直離着陸可能な推力が必須である。
図12(c)は、燃料荷電粒子の衝突状態の説明図である。低速の重水素2H(デューテリウムD)粒子のビーム1と高速のヘリウム3(3He)粒子のビーム2とを非対称衝突させるが、荷電粒子ビームは、下向きではなく、後方に向けて打ち出している。
エンジンが稼働中は、前方に向けた加速が伴うので、イオン回収路68を後方に配置し未反応燃料68n及び散乱粒子の回収を行うことは有効と考えられる。
なお、図12(c)の荷電粒子ビーム1及び2は、太さを強調して描かれているが、この例ではビーム1の太さは10μm前後であり、長さは3から10cmであることを想定している。
核融合反応点70は、荷電粒子の発射間隔を調整することで、細長い核融合炉の中心軸上の任意の位置、あるいは、複数個所で核融合反応を発生することができ、簡易型の非対称衝突型核融合炉60uを取り囲む熱交換室57の表面温度分布を制御する。
図12(d)は、加熱型原子力エンジン81の簡易型の非対称衝突核融合炉60uの横断面図である。
ヘリウム3(3He)を用いる核融合では、核融合生成粒子の分離を行う必要がないこと、中性子nの発生が少ないこと、並びに、荷電粒子ビームのバンチを軸方向に長くすることができることなどから、炉の設計が容易になる。
核融合生成粒子1H及び4Heは、図12(d)に示すように放射方向の断面形状が楕円を基調とした反射面(荷電粒子の帯電を考慮した形状)を有する荷電粒子収束器63hを構成しており、収束した荷電粒子は、円筒形の回収路68に導かれ、回転運動をしながら減速され、運動エネルギーを熱に変換する。(回転半径が小さいと荷電粒子の急激な減速を行うこととなり、放射光の発生を伴う。)
円筒形の回収路68は、図12(b)の右方向に向けて直径が増大しており、回転運動する荷電粒子は、次第に右方向に向きを変え、磁気結合回生減速器65gに導かれる。(円筒形の回収路68の詳細な形状は、図12(b)に示していない。同じ符号68を付した燃料である荷電粒子ビームの回収路68とは異なる。)
取り入れた空気をタービン86で圧縮し、非対称衝突核融合炉60uの熱交換室57に送り、加熱する。
熱交換室57の軸方向の形状は、明確に示していないが、熱交換室57を螺旋状にすることで、空気との熱交換の効率を向上させることも考えられる。
磁気結合回生減速器65gに達した核融合生成粒子は、運動エネルギーの一部を電力に変換するとともに、減速を行い、燃料粒子を加速するための電力を得ている。
減速した荷電粒子は、回収する。あるいは、核融合炉の真空容器55に空気が逆流しない状況が確保できた場合は、図には示していないが減速した荷電粒子をノズルから混合加熱室58に噴射して熱交換室57を通過した空気と混合し、直接的な加熱を行うこともできる。
膨張した空気をタービン86に導き、ノズル93から噴射して推力を得ている。
3He−3He反応を利用可能なように設計することも可能である。
重水素2H(デューテリウムD)燃料は、繰り返し使用されるので、散乱した核融合生成粒子である水素1H、ヘリウム4He等の粒子が累積すると、核融合反応率が低下することになる。
水素1H、ヘリウム4He等の累積の状況にもよるが、磁気弁別器64Rなどを用いて、イオン回収路68から回収した未反応燃料68nを弁別しながら再使用するか、エンジンの使用時間が短い場合は、使い捨てる方法(核融合燃料カセット79に回収し精製し再利用する。)も考えられる。
弁別し取り除いた粒子は、核融合燃料カセット79に回収し、燃料の消費状況の記録と照合し、核融合燃料(重水素2H及びヘリウム3(3He))が奪取されていないことを検証する必要がある。
航行終了後は、残った低速用の重水素2H(デューテリウムD)粒子も核融合燃料カセット79に回収する。
ヘリウム3(3He)を用いる核融合反応では、核融合反応断面積が大きく、基本的に三重水素3H(トリチウムT)や中性子nの発生が極めて少ないと考えられるため、核融合生成粒子の分別を省略することができ、中性子nの遮蔽を削減することができるので、簡易型の非対称衝突核融合炉60uは、より小型かつシンプルな構成とすることが出来る。
図11から13は、核融合推進機(航空機・宇宙往還機・惑星間航行機)80用のエンジンとして構成例を示しているが、磁気結合回生減速器65gの他、MHD発電などを加えて直接電力変換を強化する方法の他、この図には示していないがタービン86に発電機を接続することもできるから、三重水素3H(トリチウムT)や中性子nを発生しない核融合発電設備を構成することも可能である。
核融合推進機80は、大気圏外においては、図には示していないが、空気取り入れ口を閉ざし、機体内に蓄積した圧縮空気や水などを換気口56から導入し、推進剤50として簡易型の非対称衝突核融合炉60uの熱交換室57に導き、タービン86をバイパスし、膨張した推進剤50を後方又は下方に噴射して推力を得ることができる。
大気圏外で使用するエンジンは、宇宙空間専用のエンジンとして設計する方法もある。
図13は、核融合推進機80の運行形態の説明図である。
図13(a)は、滑走路を使用して水平離着陸を、図13(b)は、荷が軽いときは、垂直離着陸を、図13(c)は、荷を下ろすだけのときは、内蔵のクレーン97によるスカイクレーン方式による運行を行うことができることを示している。
図13(d)は、宇宙空間においては、乗員モジュール96を核融合推進機80から離れた位置で内蔵のクレーン97等を用いて結合し、互いに回転することで人工重力を発生することができることを示している。
図13(e)は、背面の大気圏突入シールド80sを突入方向に向け、主翼82及び尾翼83を折りたたみ、背面から大気圏突入を行うことを示している。
核融合推進機80の背面に大気圏突入シールド80sを配置することにより、貨物室の扉などの継ぎ目を設ける必要が無いので、壊れにくい大気圏突入シールド80sを実現している。
図13(f)は、大気圏突入時には、重力(制動)の方向に合わせてコックピット80c及び乗員モジュール96を貨物室85内で回転することが可能であることを示している。
図14は、核融合燃料カセット79の説明図である。
核融合燃料カセット79は、重水素ガス(D)、ヘリウム3ガス(3He)のボンベの他、回収した水素ガス51(H)、重水素ガス52(D)及びヘリウムガス54(4He)を収容する回収ガスボンベ68V、並びに、電子装置79e、電源79dなどを内蔵している。
水素ガス51(H)及び重水素ガス52(D)は、水素吸蔵合金59mとヒーター59hを内蔵している。
荷電粒子は、金属で囲うことで遮蔽できる。
燃料ボンベに圧入したヘリウム3ガス53が、中性子nによって三重水素3H(トリチウムT)に変化すること防ぐため、中性子n遮蔽材(ホウ素など)によって囲むこと、並びに、回収ボンベ68vや燃料ボンベ52の重水素2H(デューテリウムD)がボンベ材料の金属原子間を浸透して、ヘリウム3(3He)ガス53に混入しないようにするため、多重構造にしたボンベ間に真空00を設ける構造としている。
回収ガスボンベ68vは、処理可能な工場において回収するときのみ回収ガスのヒーター59hを稼働することができる仕組みとなっている。
各ガスタンクは、電子装置79eによって制御される弁79vで開閉され、認証を行う。
核融合燃料カセット79の内側を低圧とし、外部から穴を開けられたことを検出する。
電子装置には、非対称衝突核融合炉60uの運転状況を記録(核融合推進機80の航行記録を含む。)する他、GPS等受信機を内蔵し、独自に測位して位置を記録するほか、追跡用の電波を発信することができる。複数の核融合燃料カセット79を装備し、異常発生時にそれまでの運転記録を放出する。
航空機としての利用にあたっては、燃料の供給を受けることが出来ない空港では、核融合燃料を積載しているため、乗員が核融合推進機80から離れることも出来ない。
燃料や機の盗難・奪取を避けるため、積載モジュール(貨物モジュール95、乗員モジュール96)の交換を短時間で行い、安全を優先する運行を行う。
地球上に豊富にある重水素2H(デューテリウムD)を最初の燃料として核融合を発生させ、発電を行うとともに、核融合生成粒子のうちヘリウム3(3He)を分別して回収し、放射能を外部に排出しない理想的な核融合燃料及び発電装置、宇宙機、航空機等の動力装置を提供することができる。
00 真空 1H 水素原子核(陽子、プロトン粒子p) 10 中性子減速材(水等)
2H 重水素原子核(D) 3H 三重水素原子核(T) 32 多面体(切頂二十面体等)
3He ヘリウム3原子核 4He ヘリウム原子核(アルファ粒子α)

50 推進剤(冷却材) 50a 空気 50b 粉体 50w 水
51 水素ガス 52 重水素ガス 53 ヘリウム3ガス 54 ヘリウム4ガス
55 真空容器 56 換気口 57 熱交換室 57c 中性子熱交換器
57o 開口部 58 混合反応室
59t タンク 59i イオンタンク 59m 水素吸蔵合金 59h ヒーター

60u 非対称ビーム衝突型核融合炉 61 荷電粒子発生器
62 粒子加速器 62a 加速グリッド 62t 電界ピストン型粒子加速器
62p 荷電粒子圧縮ポンプ(可変容積一軸偏心ネジポンプ)
62r ローター 62s ステーター
63 電子レンズ 63c キャピラリー 63h 荷電粒子収束器
64 偏向器 64R 磁気弁別器 64x 電荷質量分離器
64N 磁極N 64S 磁極S

65 回生減速器 65c 導体 65e 静電結合回生減速器 65g 磁気結合回生減速器
65h 可変回生減速器 65m 磁心 65P 電力変換器 65R 荷電粒子減速器
65t 電極
66 熱駆動ポンプ(可変容積進行型ポンプ) 66c シリンダー 66g 案内ピン
66l ピストンリング 66p ピストン 66s 回転軸 66t 案内溝 66v 弁
68 イオン回収路 68n 未反応燃料 68t イオン回収チューブ
68V 回収ガスボンベ

70 核融合反応点
79 核融合燃料カセット 79b 内蔵ボンベ 79c 接続装置
79d 内蔵電源 79e 内蔵電子装置 79v 弁

80 核融合推進機 80c コクピット 80CBM 共同結合機構CBM
80s 大気圏突入シールド 81 加熱型原子力ジェットエンジン
82 主翼 83 尾翼 84 エンジンフラップ
85 貨物室 85d 貨物室ドア 86 タービン 88 発電機

93 噴射ノズル 94 乗降スロープ 94g 着陸脚 94h ロボットアーム
95 貨物モジュール 96 乗員モジュール 97 内蔵のクレーン
また、中性子減速材10を使用するのではなく、リチウム6(6Li)などの中性子吸収材を使用し、三重水素3H(トリチウムT)を生産する方法も考えられるが、確実かつ瞬時に三重水素3H(トリチウムT)を回収する必要がある。
6Li + n → He(3.5MeV) + 3H(2.7MeV)
この反応に適切な速度まで中性子nを減速することが必要であること、生成した三重水素3H(トリチウムT)を収集しなければならないこと、三重水素3H(トリチウムT)の取扱量が増加するとともに、装置が複雑になるため、望ましい方法ではないと考えられる。
さらに、ヘリウム3(3He)を中性子吸収材として用いることが可能だが、トリチウムTに変化するため、ヘリウム3(3He)の生産量が減少するとともに、三重水素3H(トリチウムT)の取り扱い量が増加することになる。
3He + n → 3H(0.19MeV) + 1H(0.57MeV)
やはり、中性子減速材10として軽水を用いるのがベストと考えられ、中性子捕獲の結果、ガンマー線γを放出して、重水素2H(デューテリウムD)に変換されるから、精製して燃料の一部に加えることができる。
1H + n → 2H + γ
・その3(直接電力変換
磁気結合による直接電力変換を行うことで、低い電圧による電気エネルギーに直接変換することができる。
荷電粒子収束器で収束し、核種分離後、荷電粒子の流れに平行に導体を配置し、その周囲を磁性体で取り囲み磁気結合することで、導体に電流を誘起することで、荷電粒子の運動エネルギーから直接電力変換を行うことが出来る。核融合生成粒子のパルス幅と同等のパルス状の電流を得る。
真空容器内に散乱した荷電粒子は、増加すると目的外の核融合反応を生じる可能性もあるので、炉内全体に配置した電位勾配及び重力の加速を受けて、低速の荷電粒子とともに炉の下部に設けたイオン回収路に誘導し、回収する。
低速ビームの粒子と散乱粒子を容易に回収するため、重力により粒子が下方へ向かい易いことから、炉の上方から真空容器の下部に向かって低速および高速の荷電粒子ビームを発射し、炉の下部にイオン回収路を設けることとした。
さらに、図に示していないが、真空容器内部に、荷電粒子を下方に誘導する電界を与える電極を絶縁容器の外側に配置する。
中性子は、電磁界の影響を受けにくいこと、物質の透過力が高いため、荷電粒子との分離は容易である。
非対称衝突型核融合炉60uの説明図 簡易型の非対称衝突型核融合炉60uの説明図 粒子飛翔図:(a)D−D反応、(b)D−T反応、(c)D−3He反応 粒子衝突図:(a)衝突直前、(b)一部衝突、(c)衝突後期、(d)衝突直後、(e)核融合生成粒子の飛翔状態、(f)複合衝突(衝突直前) (a)電界ピストン型粒子加速器62t、(b)加速電圧波形、(c)加速電圧、(d)イオン回収チューブ68t (a)回転楕円体の内面反射の特性、(b)荷電粒子収束63h、(c)核融合生成荷電粒子の収束と弁別 (a)荷電粒子減速器65R、(b)磁気結合回生減速器65g、(c)可変回生減速器65h、(d)静電結合回生減速器65e 磁気弁別器64R:(a)横断面図、(b)縦断面図 荷電粒子圧縮ポンプ62p:(a)断面図、(b)ステーター62s、(c)ローター62r (a)分割式の中性子熱交換器57c、(b)噛合せ、(c)熱駆動ポンプ66(可変容積進行型ポンプ)の縦断面図、(d)ピストン66pの縦断面図、(e)ピストン66pの外観図 宇宙往還機:(a)上面図、(b)正面図、(c)縦断面図 加熱型原子力エンジン81(a)配置図、(b)説明図、(c)粒子衝突図、(d)熱交換室57を含む横断面図 宇宙往還機の運行形態図:(a)水平離着陸、(b)垂直離着陸、(c)スカイクレーン、(d)人工重力の生成、(e)大気圏突入、(f)大気圏突入時の断面図 核融合燃料カセット97
荷電粒子収束器63hの核融合反応点70に近い側は、荷電粒子収束器63hの壁面が重複することになるので、重複部分(破線で作図している部分)の壁面を取り去った形状にして、切頂二十面体などの多面体の構成面ごとに荷電粒子収束器63hを配置している。
荷電粒子収束器63hの核融合反応点70から遠い方の焦点付近の形状は、徐々に細くなる形状とし、ゆるやかに荷電粒子を収束している。
図6(c)は、収束した生成粒子が種類ごとに異なる時間差で到達すること及び電荷質量比の違いを利用して、偏向器64により分離する方法を説明している。
到達した粒子毎に可変回生減速器65hにより到達時刻により異なる制動を加えて飛翔速度を調整し、磁気偏向器64により異なる方向に偏向する。
図1の非対称衝突型核融合炉60uの上側と下側では、核融合生成粒子の到達時刻及び速度が異なるから、荷電粒子収束器63h毎に、可変回生減速器65hの設定が異なるものとなる。
なお、図1には、荷電粒子収束器63h、可変回生減速器65h、粒子分離器64x(偏向器64)及び磁気結合回生減速器65gを一組のみ記載するに止めており、他の荷電粒子収束63hについては外形のみを鎖線で描画している。
図10(b)は中性子熱交換器57の断面図を示す。
真空容器55を取り囲むように配置した中性子熱交換器57cは、保守作業のために一部を取り外すことが可能であり、接合箇所から中性子が漏出しない形状とする必要がある。
保守管理のために中性子熱交換器57cを分解して任意に取り外すことができる構造としている。
荷電粒子収束63hの取り出し部分等から、中性子nが外部に漏れないように対策が必要である。
表3は、図1の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60uを使用した実施例1の核融合発電量の概算である。
D−D反応は、毎秒1.46×10 20 個の粒子が、D−T及びD−3He反応において、毎秒7.28×1019個の粒子が衝突する条件で検討し、未反応粒子及び生成粒子の損失がないものとして計算した。
電力に換算して505.5MWの出力があり、ヘリウム3(3He)を燃焼せずに蓄積した場合は、290.4MWの出力となる。D−T反応205.1MW及びD−3He反応215.2MWと比較して、D−D反応による出力は、85.2MWと総発電量に対する占める割合が少ない。
表3 D−D反応による核融合発電量

Claims (10)

  1. 打ち出す2本の核融合燃料である荷電粒子ビームが
    双方共に重水素原子核2H(デューテリウムD)であるもの、
    重水素原子核2H(デューテリウムD)と三重水素原子核3H(トリチウムT)であるもの、
    重水素原子核2H(デューテリウムD)とヘリウム3原子核3Heであるもの、及び、
    双方共にヘリウム3原子核3Heであるものであって、
    これらの核融合燃料である荷電粒子をクーロン力により加速してパルス状の荷電粒子ビームのバンチにする粒子加速器62(分散型加速器を含む。)、荷電粒子ビームを収束する電子レンズ63(キャピラリー63cにより収束するものを含む。)からなる「荷電粒子ビーム発生器」を備え、一方が低速の荷電粒子ビームを、他方が高速の荷電粒子ビームを発生し、
    真空容器55を備え、その中心に向けて2つの荷電粒子ビームを発射し、核融合燃料の組み合わせによって決まる核融合反応断面積が大きくなる適切な相対速度(加速に要するエネルギーに対して核融合エネルギーが大きくなる速度。)で一の軸上で衝突させて、細長い領域で核融合反応を発生させ、
    核融合により生成した荷電粒子の運動エネルギーを熱及び直接電気エネルギーとして取り出すことを特徴とする荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u。
  2. 高速の核融合燃料より低速の核融合燃料の粒子数を増やした荷電粒子ビームを使用することで、衝突を容易にするとともに、高速の核融合燃料粒子の核融合反応率を向上し、加速に要するエネルギーの無駄を低減するとともに、未反応粒子回収路68を備え、低速の未反応燃料粒子の荷電粒子を回収して再使用する構成としたことを特徴とする請求項1の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u。
  3. セラミックなどの強靭な絶縁体材料で作成した一方が細くなったテーパー形状の容器に、
    軸方向に複数の加速電極(直径が大きい部分には、加速グリッド62aを加える。)を配置し、
    電極に一定の間隔で順次負の電圧を印加し、次に早い間隔で順次正の電圧を印加することで、
    先端ほど先行する立下り波形より立ち上がり波形が早く印加されることによって、
    クーロン力により荷電粒子を加速するとともに、進行方向に圧縮し、
    容器の形状に従い半径方向にも圧縮して、
    荷電粒子ビームのバンチを打ち出すことができる電界ピストン型加速器62tを備えることを特徴とする、請求項1から2の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u。
  4. 楕円を基調とする内面形状で、楕円の焦点の1つを核融合反応点70に置き、
    他の焦点付近では緩やかに絞るキャピラリーの形状を有し、
    核融合反応点70を取り囲む様に配置することで、等方に輻射し飛翔する荷電粒子を、
    分担して収束する荷電粒子収束器63hを備えることを特徴とする、
    請求項1から3の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u。
  5. 核融合により生成しパルス状に飛翔する荷電粒子の流れに磁気結合した導体65cに誘起する誘導電流から、荷電粒子の運動エネルギーを直接電力としてエネルギーを取得するとともに荷電粒子を減速する、回生減速器65(磁気結合回生減速器65g、可変回生減速器65h、静電結合回生減速器65eを含む。)を備えることを特徴とする
    請求項1から4の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u。
  6. セラミックなどの絶縁材料で作成した筒状の容器の外側に電極を設け、位相の異なるプラスまたはマイナスの高電圧を一定の周期で加えることで、
    荷電粒子の状態で移送するイオン回収チューブ68tを備えることを特徴とする
    請求項1から5の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u。
  7. 雌ねじ形のステーター62sと雄ネジ形のローター62rとを備え、断面形状がハイポサイクロイドあるいはエピサイクロイドで規定される形状(修正した形状を含む。)で、互いに嵌合して密閉されたキャビティーを1つ以上構成するとともに、
    偏心半径e、ローターとステーターの断面形状によって決まる形状係数T、波長λ(ピッチ)のうち、任意の1つ、2つ、あるいは全部の要素を、軸方向に変化させることで、ローター62rが偏心回転することにより、密閉されたキャビティーがその容積を減じながら軸方向に移動する、
    セラミックなどの強靭な絶縁体材料で作成した容積可変一軸偏心ネジポンプであって、
    絶縁体材料の表面に帯電した荷電粒子の反発力によりキャビティーの密閉を行い、機械的な回転力により荷電粒子を圧縮する、荷電粒子圧縮ポンプ62pを備えることを特徴とする
    請求項1から6の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u
  8. 核融合生成粒子の電荷質量比及び到達時間の違いを利用して、電界または磁界(強度を変化するものを含む。)により偏向する電荷質量分離器64xを備え、
    核融合生成粒子の電荷質量比及び到達時間の違いを利用して、荷電粒子を核種ごとに分離することを特徴とする
    請求項1から7の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u
  9. 中性子を透過し良い強靭な材料で作製した、高い圧力に耐えられる形状の中性子熱交換器57cであって、核融合によって生成し飛翔する中性子nを減速するとともに、その運動エネルギーを熱に変換する中性子減速材10を満たし、真空容器55を取り囲むように配置した中性子熱交換室57を備えることを特徴とする、
    請求項1から8の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u
  10. 熱交換室57(中性子熱交換室57を含む。)に推進剤50(50a、50b及び50wを含む。)を送り込んで加熱し、
    外部に噴射することで推進力を得る加熱型原子力ジェットエンジン81、
    発電機88を駆動するタービン86、及び
    発電機88を駆動する熱駆動ポンプ66の内1つ以上を備えること特徴とする
    請求項1から9の荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合炉60u
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