JP2018040028A - 金属積層造形用ジルコニウム合金粉末、及びそれを使用したインプラントの製造方法 - Google Patents

金属積層造形用ジルコニウム合金粉末、及びそれを使用したインプラントの製造方法 Download PDF

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Takao Hanawa
隆夫 塙
野村 直之
Naoyuki Nomura
直之 野村
祐介 堤
Yusuke Tsutsumi
祐介 堤
壽 土居
Hisashi Doi
壽 土居
川崎 亮
Akira Kawasaki
亮 川崎
井上 貴之
Takayuki Inoue
貴之 井上
広幸 高橋
Hiroyuki Takahashi
広幸 高橋
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【課題】弾性率及び磁化率が共に低く、容易に所望の形状を有するインプラントを製造することが可能な金属粉末等を提供する。【解決手段】高エネルギーを与えて金属を瞬間的に溶融・凝固させて金属を積層して生体内に埋め込まれるインプラントを成形するための原料である金属粉末であって、Zrを主成分として含有し、Mo、Nb、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を0.5〜15質量%含有する金属積層造形用ジルコニウム合金粉末である。【選択図】図1

Description

本発明は、骨折治療等に際して用いられるインプラントを成形するための原料となる合金粉末、及びインプラントの製造方法に関する。
転倒や交通事故によって、骨折したり、脊椎の並びが不安定になって麻痺が生じることがある。こうした際には、金属製プレート、スクリュー、ロッドなどの固定具を埋め込んで骨等を固定することによって、固定具に骨の荷重支持機能を代替させる治療が行われる。また、歯が欠損した際には、あごの骨に人工的な歯冠と固定用のボルトとを備える義歯を固定する治療が行われる。
上記の固定具や義歯等は、体内に埋め込まれることからインプラントと呼ばれている。インプラントは、一般的に、生体適合性の高いステンレス鋼やチタン基合金など生体用金属材料から構成される。生体適合性とは、生体内に異物が混入するとそれを除去しようと生体が応答するがその応答反応が少ない性質のことである。
しかしながら、ステンレス鋼やチタン基合金のような金属材料では磁化率が高い。磁化率とは物質の磁気的性質のことで、値が大きいほど磁化しやすくなる。例えば、患者の検査を行うために磁気共鳴画像(MRI)診断装置を用いた際に、診断画像におけるインプラントの周囲にアーチファクトと呼ばれる偽像が生じ、正しい造影とそれにも基づく診断とが妨げられる問題がある。
特許文献1には、Zr(ジルコニウム)を主成分として含有し、副成分としてTi(チタン)、Mo(モリブデン)などの長周期型元素周期表における第6族の主遷移金属を0.5〜15質量%含有する生体用金属材料が記載されている。この生体用金属材料によれば、磁気共鳴画像診断においてアーチファクトの発生を確実に抑制し得る体内埋め込み物が得られるとされている。
特開2010−75413号公報
上述の通り、ステンレス鋼やチタン基合金のような金属材料は磁化率が高いためMRI診断でアーチファクトが生じやすく、これに加えて、MRI検査を行う際にインプラントが発熱しやすい。このため、このような金属材料でインプラントを作製した場合は、正確な診断が妨げられたり被検者が火傷を負う可能性があった。
また、ステンレス鋼やチタン基合金のような金属材料で成形したインプラントは、その弾性率が骨の弾性率に比べて高いため、骨に比べて変形し難い。このため、例えば、上記金属材料で成形したインプラントで骨を固定した場合、骨に隣接するインプラントに優先的に体重等による力が伝達されてしまう。一方で、インプラントで固定された骨の領域では、骨への刺激が少なくなり、骨吸収(ストレスシールディング)が生じて、骨が委縮する原因となることがある。
特許文献1の生体用金属材料によれば、磁化率が低い医療器具を製造し得る。ところが、インプラントは、金属材料の塊を切削、研磨して成形したり、金型を利用したプレス成型で所望の形状に加工することが一般的であるところ、Zr基合金は延性が低い傾向があり加工が難しい。このため、ステンレス鋼やチタン基合金に比べて、生産性が劣る傾向がある。
本発明は、弾性率及び磁化率が共に低く、容易に所望の形状を有するインプラントを製造することが可能な金属粉末を提供することを目的とする。そして、当該金属粉末を使用してインプラントを製造する方法と、その方法で製造されたインプラントを提供することを目的とする。
高エネルギーを与えて金属を瞬間的に溶融・凝固させて金属を積層して生体内に埋め込まれるインプラントを成形するための原料である金属粉末であって、Zrを主成分として含有し、Mo、Nb(ニオブ)、及びSn(スズ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を0.5〜15質量%含有する金属積層造形用ジルコニウム合金粉末(以下、単に合金粉末と称することがある。)によって、上記の課題を解決する。また、Zrを主成分として含有し、Mo、Nb、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を0.5〜15質量%含有する金属積層造形用ジルコニウム合金粉末に対して高エネルギーを与えて前記合金粉末を瞬間的に溶融・凝固させて、溶融・凝固した金属を積層して生体内に埋め込まれるインプラントを成形するジルコニウム合金からなるインプラントの製造方法によって、上記の課題を解決する。前記合金粉末に与えられるエネルギー密度は、20〜55J/mmであることが好ましい。
上記の合金粉末は、例えば、三次元プリンタを使用して、金属粉末を溶融させながら積層することによって所望の立体形状を有するインプラントを製造することができる。金属を溶融させて積層することにより、延性が低いZr基合金を原料として使用しても、所望の形状を有するインプラントを容易に得ることが可能になる。また、上記合金粉末を溶融させて積層すれば、弾性率及び磁化率が共に低いインプラントを得ることが可能になる。これによって、ストレスシールディング、アーチファクト、及び熱の発生をそれぞれ低減することが可能になる。
上記の合金粉末の酸素及び窒素の含有量は、それぞれ0.1質量%以下とすることが好ましい。これによって、上記合金粉末を溶融させて積層して成形する際に、インプラントの機械的強度および破断伸びが低下することを防ぐことができる。
上記の合金粉末の粒子径は、100μm以下であることが好ましい。これによって、より精密な形状を有するインプラントを製造することが可能になる。
本発明によれば、弾性率及び磁化率が共に低く、容易に所望の形状を有するインプラントを製造することができる金属粉末を提供することが可能である。そして、当該金属粉末を使用してインプラントを製造する方法を提供することが可能である。
実施例に挙げた金属積層造形用ジルコニウム合金粉末(粒径45μm未満)を電子顕微鏡で観察した画像である。 実施例に挙げた金属積層造形用ジルコニウム合金粉末(45μm<粒径<100μm)を電子顕微鏡で観察した画像である。 実施例で作製した試験片の形状を示す正面図である。
本発明は、高エネルギーを与えて金属粉末を瞬間的に溶融・凝固させて金属を積層して生体内に埋め込まれるインプラントを成形するための原料である金属粉末であって、Zrを主成分として含有し、Mo、Nb、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、副成分という。)を0.5〜15質量%含有する金属積層造形用ジルコニウム合金粉末である。主成分とは、合金に含まれる各元素成分の中で、最も含有率が高い成分のことをいう。
Zrは、第4族遷移金属に属する元素である。Zrはチタンと同様に、生体適合性の高い材料であり、体内組織に直接埋め込まれる金属材料として好適に使用することができる。また、Zrを主成分として配合し、0.5〜15質量%のMoなどの副成分を配合し、これを瞬間的に溶融・凝固させて金属を順次積層することによって、ステンレス鋼やチタン基合金と比較して、弾性率及び磁性率を共に低くして、機械的強度は同程度又はそれ以上としたインプラントを得ることが可能である。
一方で、Zr単体では機械的強度が低く、脆い。例えば、骨折治療使用されるインプラントのように骨の荷重支持機能を代替する部品が体内で荷重に耐えきれずに破損すると非常に危険である。このためZr単体は、荷重支持機能を代替する部品には適していない。0.5〜15質量%のMoなどの副成分を配合することで、Zr単体の場合と比べて、弾性率及び磁性率は低くなり、機械的強度および破断伸びは向上する。
従来のインプラントの製造方法では、ドリルなどの工具を利用して、鋳造又は鍛造によって成形した金属の成形体から余分な部分を削り落として、所望の形状とする工程を採っている。しかしながら、ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金を使用して鍛造又は鋳造した場合、インプラントとして必要な機械的強度を確保しようとすると破断伸びが小さくなり、ドリル等の工具を利用して機械加工を行うと割れや欠けといった脆性的な特徴が顕著に現れ、加工は難しくなる。
上記の観点から、ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金粉末を瞬間的に溶融させて、溶融状態の合金を凝固させて、これを繰り返すことによって金属を順次積層して生体内に埋め込まれるインプラントの形状にする方法を採用することが好ましい。溶融状態の合金を積層して所望の立体形状に成形することで、機械加工による成形の困難性や歩留まりの低下を解消することができる。溶融状態の合金を積層して所望の立体形状に成形するには、三次元プリンターを使用することが好ましい。三次元プリンターは、パウダーベット方式、又はデポジション方式によって、合金粉末を立体形状に成形するものであることが好ましい。
ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金粉末を溶融させるには、当該合金粉末に高エネルギーを与えて加熱する。エネルギー源としては、例えば、電子ビーム又はレーザービームが挙げられる。レーザービームは、電子ビームに比べて、スポット径が小さいため、より精密な立体形状を得ることができるので好ましい。
ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金粉末に与えられるエネルギー密度は、20〜55J/mmとすることが好ましく、30〜45J/mmとすることがより好ましい。これによって、従来の生体用金属材料に比べて、得られるインプラントの弾性率をより低減させて、得られるインプラントの物理的な強度をより向上させることが可能になる。
ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金は、Zrと副成分とが溶融する温度まで加熱して、溶融したZrと副成分とを混合することが好ましい。溶融した金属の混合物(溶湯)は、例えば、溶湯の流れに対してジェット流体を吹き付けることによって、溶湯を微小な液滴にして凝固させるガスアトマイズ法によって、粉末化することが可能である。金属の混合物は、鋳型に流し込んで冷却・固化させて、いったん金属塊とした後に、上記のガスアトマイズ法などの方法によって金属塊を粉末化させてもよい。この方法を採用する場合は、金属塊の表面を削り落とすことが好ましい。これによって、金属塊に含まれる酸素と窒素の量を減じることが可能である。
ガスアトマイズ法では、溶湯の流れに対して酸素、水、又は不活性ガスのジェット流体を吹き付けて、微小な液滴を形成する。ジェット流体として不活性ガスを使用すれば、合金粉末に持ち込まれる酸素や窒素の量を減じることが可能である。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスやヘリウムガスなどが挙げられる。
ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金粉末に含まれる窒素及び酸素の量は、0.1質量%以下であることが好ましい。下限値については、酸素ができるだけ少ない方が好ましいことから、0%以上であることが好ましい。酸素及び窒素の含量を少なくすることで、酸素及び窒素がインプラントに混入することに起因して、インプラントが脆化することを防止することができる。上記の合金粉末に含まれる窒素及び酸素の量を低減するには、例えば、窒素及び酸素の含有量が小さい高純度Zrや高純度Moなどの副成分を使用する方法が挙げられる。また、上述の通り、Zrと副成分との混合物を加熱溶融した後に得られる金属塊の表面を削り落として取り除くことで酸素及び窒素の含量を低減することができる。
第4族遷移元素であるZrにおいては、酸素と窒素の含有量が物性に大きく影響する。酸素及び窒素の含有量が多くなると、インプラントの伸びが著しく低下して、脆性的な挙動を示すようになる。例えば、下肢に使用されるインプラントを例に説明すると、歩行や階段の昇り降りなどによって下肢に衝撃的な力が加わりやすい。そのインプラントが骨折の治療に使用される場合は、インプラントが骨の荷重支持機能を代替しているために、衝撃力が直接にインプラントに作用するようになる。したがって、インプラントに使用される材料には、ある程度の伸びを許容する延性的な性質や靭性が必要になる。
しかしながら、ZrとMoとを上記のように配合した合金粉末を加熱・溶融させたのち三次元プリンター等を使用して積層してインプラントに成形する際に、空気中に含まれる酸素及び窒素がインプラント中に混入することが避けられない。三次元プリンターにおいては、気密に構成したチャンバー内で合金粉末を溶融してインプラントに成形する。エネルギー源としてレーザービームを使用する場合は、チャンバー内の空気をAr(アルゴン)ガスなどの不活性ガス(他の物質との反応性が低い気体)で置換した状態でレーザービームを照射する。また、エネルギー源として電子ビームを使用する場合は、チャンバー内の空気を吸引して真空状態に近い状態で電子ビームを照射する。しかしながら、Arガスで置換する場合及び真空状態にする場合、共に酸素及び窒素の含量をゼロにすることはできない。
そこで、ZrとMoなどの副成分とを上記のように配合した合金粉末そのものの酸素と窒素の含量を低く抑えておくことで、仮に三次元プリンター等で合金粉末を加熱・溶融させる際に雰囲気中の酸素及び窒素の含有量が増加したとしても、成形されたインプラント中の酸素と窒素の含量を低くすることができる。三次元プリンター等で合金粉末を加熱・溶融させる際の雰囲気に含まれる酸素及び窒素の含有量は、例えば、それぞれ0.4質量%と以下とすることが可能である。雰囲気に含まれる酸素及び窒素の含有量は、できるだけ少ないことが好ましく、0質量%以上とすることが好ましい。
ZrとMoなどとを上記のように配合した合金粉末の粒径は、100μm以下であることが好ましい。その下限値はできるだけ小さいことが望ましく、風散などの影響を考慮すると1μm以上であることが好ましい。このようにすることによって、微細な構造も精密に造形することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
[金属積層造形用ジルコニウム粉末の作製]
本実施例では、混合物の質量に対するMoの質量が1質量%となるように高純度Zrと高純度Moと計量して混合し、混合物を高周波真空誘導溶解炉に入れて、昇温して溶解させた。次に、溶解させた混合物(溶湯)を鋳型に流し込み、溶湯を冷却し凝固させた。鋳型から冷却した金属塊を取り出し、円柱状の試料(直径40mm、長さ700mm)を得た。円柱状の試料の表面に存在する酸化物等を削り落とすことにより除去して清浄化した後、高周波ガスアトマイズ方式により粉末化し、図1に示すような金属積層造形用ジルコニウム合金粉末を作製した。同方式では、金属塊を再び溶融して溶湯とし、その溶湯の流れに対してアルゴンガス(純度99.995%以上、JISK1105 2級(2005))のジェット流体を吹き付けて微粉末化する。
表1に本実施例で作製した金属積層造形用ジルコニウム合金粉末の化学分析結果を示す。本実施例では、上述の通り、混合物の質量に対するMoの質量が1質量%となるように高純度Zrと高純度Moと計量して混合した。表1では副成分であるMoの配合量を示すため、Zr-1Moと記載した。また、表1のdは金属積層造形用ジルコニウム合金粉末の粒子径を示しており、篩によって45μm未満の合金粉末と、100μm未満から45μmより大きい粒径の合金粉末とに分級した。「棒材」は円柱状の試料を分析した結果を示す。
表1に示したように、本実施例では、高純度Zrと、高純度Moとを使用し、円柱状の試料を得た後に表面の酸化物を削り落としているため、酸素と窒素の含有量が極めて小さくなっている。
上記の合金粉末とは別に、Zrを主成分として含有し、Nb及びSnを副成分として含有するZr基合金粉末を作製した。作製方法は、Moに替えて、混合物の質量に対するNbの質量が9質量%、Snの質量が3質量%となるように高純度Zrと高純度NbおよびSnと計量して混合したこと以外は、上述のZr−1Mo合金の製造方法と同様にした。表2に示すように、Zr−9Nb−3Snにおいても酸素と窒素含有量が極めて小さい金属積層造形用ジルコニウム合金粉末を得ることができた。
[試験片の成形]
次に、表1に示した粒径が45μm未満の金属積層造形用ジルコニウム合金粉末を原料として使用し、以下の表3の実施例のNo.1からNo.6に示すように、スキャン速度とハッチ距離を変更して、三次元プリンター(機種:Concept Laser社製、MLab R)により図3に示す形状の試験片(ASTM-E 8M試験片)を成形した。三次元プリンターのチャンバーは気密に構成されており、酸素含量が0.1%以下のArガスでチャンバー内の空気を置換してある。各試験片の物性を表2に示す。引張強度及び破断伸びについては、引張試験機(株式会社島津製作所AG-I 50kN)を使用して引張強度及び破断伸びをそれぞれ算出した。弾性率は自由共振型ヤング率測定装置(日本テクノプラス株式会社JE-RT3)を使用して測定した。
本実施例では、三次元プリンターの方式として選択的レーザー溶融法を採用した。三次元プリンターのパラメータとしてレーザーのスキャン速度、ハッチ距離(レーザーを走査する際の間隔)を選択し、エネルギー密度(レーザーにより投入された単位面積当たりの熱エネルギー)を変化させて成形した。レーザー出力は一定にして、スキャン速度が早ければエネルギー密度は小さくなり、ハッチング距離が小さければエネルギー密度は大きくなる。
[比較例]
表3には、比較例1としてチタン基合金(Ti-6Al-4V ELI伸展材)、比較例1及び比較例2として二つのZr基合金の機械的性質を示した。表3において「(As-cast Zr-1Mo」と記載したものが比較例2であり、鋳造により成形したものであり、Zrを主成分とし1質量%Moを配合してなる合金である。表2において「HIPed Zr-1Mo)」と記載したものが比較例3であり、鍛造後にHIP処理(Hot isostatic press)をおこなったもので、静水圧下で加熱して内部欠陥等を除去する処理を施したものであり、Zrを主成分とし1質量%Moを配合してなる合金である。なお、比較例2に係るチタン基合金は、Suyalatu et al., Acta Biometer., 2011;7:4259-4266に開示されている。比較例3に係るチタン基合金は、M.Ashida et al.,Mater Trans.,2015;9:1544-1548に開示されている。
本実施例では、三次元プリンターの方式として選択的レーザー溶融法を採用した。形体内の構造欠陥(造形体内の空孔)の有無などの成形体の機械的性質は、成形体に投入された熱エネルギーにも依存し、エネルギー密度を20〜55J/mmとすると、比較例1から3と比較して、各実施例に係る試験片では同程度又はそれ以上の引張強度が得られることがわかった。また、各実施例に係る実施例では、比較例1よりも低い弾性率が得られることがわかった。したがって、各実施例の試験片ではストレスシールディングの低減が期待できる。破断時伸びに関しては、各実施例の試験片は、比較例1より低いものの、比較例2よりも高い伸びを示しており、衝撃荷重が作用する下肢インプラントにも適用可能である。
本実施例では、三次元プリンターのチャンバー内の空気を酸素の含有量が0.1質量%以下のArガスで置換した。これを酸素の含有量が0.3質量%のArガスに替えて、図3に示す試験片を製造したところ、酸素の含有量が0.1質量%の場合と比較して、試験片の物性に顕著な違いは見られなかった。これは、金属積層造形用ジルコニウム合金粉末そのものに含まれる酸素と窒素の量を極小まで低減したことによるものと考えられる。
各実施例の試験片1について、両端の拡径部11と中央の小径部12の接合部分の角を目視で確認したところ、CAD図面で描画していた通り精密に造形されていることが確かめられた。これは微細な粒径の金属積層造形用ジルコニウム合金粉末を使用したことによるものと考えられる。試験片の製作における歩留まりも良好であり、CAD図面で描画していた通りの形状の試験片を容易に得ることができた。
本実施例の合金粉末は、金属粉末を溶融させながら積層して所望の形状に成形する三次元プリンターに使用することが可能であり、三次元プリンターを使用して容易に所望の形状に成形することが可能であった。本実施例の合金粉末及びそれを使用した製造方法によれば、従来の生体用金属材料に比べて、弾性率及び磁化率が低く、同程度かそれ以上の機械的強度を備える成形体を得ることが可能であった。このため、本実施例の合金粉末とそれを使用したインプラントの製造方法によれば、MRI検査を行ったときに偽像、発熱、及びストレスシールディングが生じることを防いで、骨の荷重支持機能を代替することが可能なインプラントを提供することができる。
表2に示した割合でNb及びSnを含有する合金粉末を使用して、三次元プリンターで上記と同様にして試験片を製造したところ、Moを含有する合金粉末を使用して試験片を製造した場合と同様に、容易に図3に示す精密な形状を有する試験片を製造することができた。

Claims (5)

  1. 高エネルギーを与えて金属を瞬間的に溶融・凝固させて金属を積層して生体内に埋め込まれるインプラントを成形するための原料である金属粉末であって、
    Zrを主成分として含有し、Mo、Nb、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を0.5〜15質量%含有する金属積層造形用ジルコニウム合金粉末。
  2. 酸素及び窒素の含有量がそれぞれ0.1質量%以下である請求項1に記載の金属積層造形用ジルコニウム合金粉末。
  3. 粒子径が100μm以下である請求項1又は2に記載の金属積層造形用ジルコニウム合金粉末。
  4. Zrを主成分として含有し、Mo、Nb、及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を0.5〜15質量%含有する金属積層造形用ジルコニウム合金粉末に対して高エネルギーを与えて前記合金粉末を瞬間的に溶融・凝固させて、
    溶融・凝固した金属を積層して生体内に埋め込まれるインプラントを成形するジルコニウム合金からなるインプラントの製造方法。
  5. 前記合金粉末に与えられるエネルギー密度は、20〜55J/mmである請求項4に記載のジルコニウム合金からなるインプラントの製造方法。
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