JP2018037573A - トランス及びこれを用いた共振形コンバータ - Google Patents
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Abstract
Description
スイッチング損失を低減させる方法としては、この他に,SiCやGaNなど新材料パワー半導体を用いた高効率パワーデバイスの研究,開発が盛んに行われている(非特許文献3、4)。この高効率パワーデバイスは、従来のSiパワー半導体を用いたデバイスと比較して電力損失が極めて低いため,スイッチング損失の低減が可能である。
また、トランスの鉄損の低減については、コアに用いる磁性材料が検討されている。トランスのコアに多く用いられているMnZnフェライトは,MHz帯では損失が増加するため,MHz帯駆動に適さない。MHz帯で使用するためのコアとして,鉄系メタルコンポジット鉄心がある。鉄系メタルコンポジット鉄心は金属磁性紛と樹脂前駆体を混合・攪拌した混合スラリを鋳型で焼成して製作する。数μmの磁性紛を用いることで,渦電流損を低減し,金属磁性紛間に樹脂前駆体によるギャップが生じるため,磁気飽和しにくいコアとなる。
本発明は、駆動周波数の高周波数化を可能とし部品点数を削減することによりコンバータの小型化を可能にする、新規な構成に係るトランス及びこれを用いた共振形コンバータを提供することを目的とする。
なお、一次側のコイルと二次側のコイルを巻回するコアの形状はとくに限定されるものではなく、E形のコア、トロイダル形のコア等のコアを用いることができる。
また、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルとが、前記コアの中心線の方向に、交互に配置されている構成とすること、また、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルが、オープン型のコイルの一方側の複数のコイルからなるコイル群と、他方側の複数のコイルからなるコイル群に形成され、前記一方側のコイル群と他方側のコイル群が、前記コアの中心線の方向に交互に配置されていることにより、一次側のコイルと二次側のコイルとの間の結合容量を大きくすること、または結合容量を調節することができ、さらに、コイル間の磁束が打ち消される作用により、近接効果に起因する抵抗を低減して、コンバータの効率を向上させることができる。
また、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルは、螺旋形、平面コイル形、積層巻形等の適宜形態に形成することができる。
図1に本発明に係る電磁界結合形トランスの構成例を示す。図1に示すトランスは、磁性材からなるコア5の中心コア部5aに、一次側コイル10a、10bと、二次側コイル20a、20bを巻回して形成されている。このトランスでは、一次側コイル10a、10bの端子1、1’間に交流電圧V1を印加することにより、二次側コイル20a、20bの端子2、2’間から交流電圧V2が出力される。
また、一次側コイル10aの巻回方向と一次側コイル10bは、一次側コイル10aと一次側コイル10bの開放端を結んで一連のコイルとしたときに、巻き始めと巻き終わりまで巻回方向が同一になるように設定されている。言い換えれば、一次側のコイルの端子1、1’間に交流電圧V1を印加したときに、一次側コイル10aと一次側コイル10bから発生する磁界の向きが一致するように設定されている。
また、二次側コイル20aと二次側コイル20bの巻回方向は、コイルを平面方向から見たときに同一方向となるように設定されている。すなわち二次側コイル20aと20bから発生する磁界の向きが同じ向きになる。
なお、図示例では、二次側コイル20a、20bの巻回方向は一次側コイル10a、10bの巻回方向とは逆方向であるが、二次側コイル20a、20bと一次側コイル10a、10bの巻線方向は逆方向であっても同一方向であってもよい。コイルの巻回方向が一次側と二次側で逆方向であっても同一方向であっても、一次側のコイルによって発生する磁界を妨げる方向に二次側のコイルで電圧が発生する。
図3では、図1に示した一次側のコイルと二次側のコイルについて、それぞれのインダクタンス、キャパシタンス、レジスタンスを以下のように記載している。
一次側コイル10a:インダクタンスLp1 キャパシタンスCp1 レジスタンスRp1
一次側コイル10b:インダクタンスLp2 キャパシタンスCp2 レジスタンスRp2
二次側コイル20a:インダクタンスLs1 キャパシタンスCs1 レジスタンスRs1
二次側コイル20b:インダクタンスLs2 キャパシタンスCs2 レジスタンスRs2
また、一次側コイル10aと一次側コイル10bとの間の結合キャパシタンスをCrp、漏れインダクタンスをLsh1とし、二次側コイル20aと二次側コイル20bとの間の結合キャパシタンスをCrs、漏れインダクタンスをLsh2とした。
一次側と二次側とを共振させた状態、すなわち一次側と二次側とを同一の周波数により駆動することにより、最も効率的にエネルギーを伝送することができる。
図6(a)は実際に試作した電磁界結合形トランスの構造を示す平面図、図6(b)は図6(a)のA−A’線断面図である。図7はトランスに装着するコイルの巻線構造を示す。
この試作例のトランスは、コア30の中心の円柱形の中心コア部30aに螺旋状に導線を巻いて形成したものである。
図8に、本試作例での一次側と二次側のコイルの構成を抜き出して示す。図8では説明上、一次側と二次側のコイルを平面コイルとして表している。
図8において、一次側のコイルは、オープン形の一次側コイル10a、10bと一次側コイル10c、10dであり、二次側のコイルは、オープン形の二次側コイル20a、20bと二次側コイル20c、20dである。
一次側のコイルと二次側のコイルを交互に配置するため、コイルの中心線の方向に、一次側コイル10a、10b、二次側コイル20a、20b、一次側コイル10c、10d、二次側コイル20c、20dの順に交互にコイルを配置する。
本試作例のように、一次側と二次側について複数組のコイルを並列接続することにより、コイルの全抵抗値を低減させることができ、また複数組のコイルを交互に配置することにより、一次側と二次側の結合性を向上させることができ、トランスの効率を向上させることが可能になる。
また、一次側と二次側のコイルを交互に配置することにより、コイルに電流が流れたとき,各コイルに流れる電流の向きは逆向きとなり、コイルの中心線方向に磁束を打ち消しあう。これにより、他の巻線に作用する磁束が減少するため、近接効果に起因する抵抗の低減が可能である。
上述した試作例のトランスについてインピーダンス特性を測定した結果について説明する。インピーダンス特性の測定にはインピーダンスアナライザ(Agilent:4294A)を用いた。
図11はインピーダンス-周波数特性、図12はトランスの位相-周波数特性の測定結果を示す。一次側のコイル、二次側のコイルの結合容量とインダクタンスの直列共振周波数はそれぞれ7.7 MHz,7.3 MHzであった。また、浮遊容量とインダクタンスの並列共振の周波数は30MHz以上であった。
図13はトランスの抵抗-周波数特性について測定した結果を示す。駆動周波数を7.5 MHzとしたとき、一次側のコイル、二次側のコイルの抵抗はそれぞれ0.75Ω、0.7Ωであった。
図14はトランスの伝送効率-周波数特性である。一次側のコイル、二次側のコイルの共振周波数である7.5 MHzで反射を含めたときの伝送効率は93.9 %となった。
図15に上述したトランスを実装した共振形コンバータの回路構造を示す。この回路では、インバータ部はFET Q1、Q2を接続したハーフブリッジ構成とした。FETのドレイン-ソース間のダイオードは寄生ダイオードである。二次側はブリッジ整流回路を接続し、出力抵抗RLである。インバータのFETはGaN、整流用ダイオードにはSiCを用いた。
本実施形態のトランスはその構造から、キャパシタ成分を有するから、共振形コンバータに用いる際に回路素子として別途キャパシタを設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、回路の小型化を図ることができる。
トロイダル形のコアの場合も、一次側と二次側のコイルの中心線とコアの中心線を一致させる配置とし、一次側と二次側のコイルを複数組(複数対)のコイルとし、一次側と二次側のコイルをそれぞれ並列接続することにより、コイルの抵抗値を低減させることができ、一次側と二次側のコイルを交互配置とすることにより一次側と二次側のコイルの結合容量を大きくすることができる。
図16〜24に、平角線を用いてオープン形コイルを構成した例を示す。図16〜18は、オープン形の一つのコイルを使用した例、図19〜24は、オープン形の2つ(複数対)のコイルを使用した例である。図16〜24では、オープン形のコイルで一次側のコイルを構成した例であるが、二次側のコイルについてもまったく同様の形態に構成することができる。
図16は、螺旋形にコイルを形成した例である。図16(a)、(b)、(c)、(d)が、それぞれ、斜視図、平面図、A-A’線断面図、側面図である。以下、各図とも、(a)、(b)、(c)、(d)は、斜視図、平面図、A-A’線断面図、側面図に対応する。
平面視の状態で同一の円形状となるように、一対のオープン形コイルのうち、一方のコイル10aと他方のコイル10bを、導通しないように重ね合わせる配置として巻回する。図では、コイル10aを薄色、コイル10bを濃色で示す。
コイル10aの端部に端子11が設けられ、コイル10bの端部に端子12が設けられる。
図17は、平面形のコイルとして形成した例である。平面コイルとして形成した場合は、図17(c)、(d)に示すように、コイル10aとコイル10bが平行に対向して離間した配置になる。コイル10aとコイル10bの離間間隔を調節することによりコイル間の結合容量を調整することができる。
図18は、コイルの面方向と平角線の面方向とが垂直向きになるように、コイルを形成した例(積層巻という)である。図16、17に示した例は、平角線の面方向とコイルの面方向が平行で、このような形状のコイルは製作が難しい。これに対し、図18のように平角線を積層巻きすることは容易である。図18では、外側がコイル10a、内側がコイル10bとなるように平角線を巻いている。コイルの最も外側に端子11、コイルの中心側に端子12が設けられている。
図19は、オープン形コイルを2つ組み合わせた例で、コイル10a、10bと、コイル10c、10dをそれぞれ並列接続して、螺旋形に形成した例である。
この例では、コイルの中心線の方向に、コイル10a、10b→コイル10c、10d→コイル10a、10bの順に交互に繰り返して積層している。コイル10aとコイル10cの端部を端子11に接続し、コイル10bとコイル10dの端部を端子12に接続している。
コイル(10a、10b)とコイル(10c、10d)を積層方向に交互に配置することにより、コイル間の結合容量を大きくすることができる。
図20は、構成例4と同様に螺旋形に形成した例である。この構成例では、オープン形コイルの対になる一方側のコイル10a、10bを積層したコイル群10Gと、他方側のいコイル10c、10dを積層したコイル群11Gとを、コイル群同士で積層した構成としたものである。
この構成例において、一対のコイル間の結合容量についてみると、コイル群10Gとコイル群11Gとは、対向する個所が一個所のみであるため、構成例4のようにコイルを完全に交互に配置する例とくらべて、結合容量は小さくなる。オープン形のコイルの用途によっては、必ずしも大きな結合容量を必要としない場合がある。そのような場合には、図20に示すような構成を選択することができる。
また、図20では、対となるコイルの一方側と他方側を一つのコイル群としたが、一方側と他方側を複数のコイル群として、それぞれのコイル群を単位として交互に配置することにより、結合容量を調整することも可能である。
図21は、平面形コイルとして形成した例で、図21(c)に示すように、コイル10a、10bとコイル10c、10dを積層して形成している。コイル10aと10cを端子11に接続し、コイル10bと10dを端子12に接続して並列接続とした。
(構成例7)
図22は、平面形コイルとして形成した例で、図22(d)に示すように、オープン形コイルの一方側のコイル10a、10cからなる群コイル10Gと、他方側のコイル10b、10dからなる群コイル11Gを、群コイルを単位として積層した構成としたものである。
図23は、平角線を積層巻きとした例である。コイル10a、10b→コイル10c、10d→コイル10a、10bのように、一方のオープン形コイルと他方のオープン形コイルを交互に巻回したものである。
(構成例9)
図24は、積層巻きの例で、オープン形コイルの一方側のコイル10a、10cと、他方側のコイル10b、10dを群コイル10G、11Gとして群コイルを単位として巻回したものである。
また、一次側と二次側のコイルを組み合わせる場合には、一次側あるいは二次側のみについて、上述したようなコイルの配置について種々の組みわせが可能であることに加えて、一次側と二次側のコイルの組み合わせ方によって、さらにさまざまな組み合わせとすることが可能である。
5a 中心コア部
10 一次側のコイル
10a 一次側コイル
10b 一次側コイル
10c 一次側コイル
10d 一次側コイル
11 端子
12 端子
20 二次側のコイル
20a 二次側コイル
20b 二次側コイル
20c 二次側コイル
20d 二次側コイル
30 コア
30a 中心コア部
Claims (6)
- 一次側のコイルと、二次側のコイルと、コアとからなるトランスであって、
前記一次側のコイルと前記二次側のコイルは、ともにコイルの終端が開放した一対のコイルからなるオープン形のコイルとして形成され、
前記一次側のコイルと前記二次側のコイルは、前記コアの中心線と、それぞれのコイルの中心線を一致させて前記コアに巻回されていることを特徴とするトランス。 - 前記一次側のコイルが複数対のオープン形のコイルからなるとともに、前記二次側のコイルが前記一次側のコイルと同数の複数対のオープン形のコイルからなり、
前記一次側の複数対のコイルと前記二次側の複数対のコイルが、それぞれ並列に接続されていることを特徴とする請求項1記載のトランス。 - 前記一次側のコイルと前記二次側のコイルが、前記コアの中心線の方向に、交互に配置されていることを特徴とする請求項2記載のトランス。
- 前記一次側のコイルと前記二次側のコイルが、オープン型のコイルの一方側の複数のコイルからなるコイル群と、他方側の複数のコイルからなるコイル群に形成され、
前記一方側のコイル群と他方側のコイル群が、前記コアの中心線の方向に交互に配置されていることを特徴とする請求項3記載のトランス。 - 前記一次側のコイルと前記二次側のコイルが、螺旋形、平面コイル形、積層巻形のいずれかの形態に巻回されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のトランス。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載のトランスを実装したことを特徴とする共振形コンバータ。
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