JP2018034152A - 多電子酸化還元触媒 - Google Patents

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浩良 川上
Hiroyoshi Kawakami
浩良 川上
陸 窪田
Riku Kubota
陸 窪田
谷口 秀明
Hideaki Taniguchi
秀明 谷口
大河 高部
Taiga Takabe
大河 高部
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Abstract

【課題】高い酸化還元反応性を示す多電子酸化還元触媒の提供。
【解決手段】7〜14員環のククルビット構造を有する環状化合物に包摂される嵩高化合物とからなる触媒であって、嵩高化合物は、下記化学式で表される金属ポルフィリン化合物と、金属ポルフィリン化合物、下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(II)、及び金属ビピリジン化合物(III)からなる群より選択される化合物との2分子が包摂されている多電子酸化還元触媒。

【選択図】なし

Description

本発明は多電子酸化還元触媒に関し、さらに詳しくは、金属ポルフィリン二核錯体あるいは金属ポルフィリン及び金属ビピリジン錯体からなる二核錯体が、ククルビット[10]ウリル等の環状化合物内部に包摂された新規な超分子系の多電子酸化還元触媒に関する。
石油資源の枯渇、地球温暖化、産油国の政情不安等、エネルギーに係る世界規模の問題は深刻化しつつある。近年、石油資源に依存しない新たなエネルギー源として水素が注目されている。水素をエネルギー源として有効活用する水素社会の実現は、慢性的なエネルギー不安からの脱却、再生可能エネルギーを利用すれば発電時の二酸化炭素排出を抑制することができる、燃料電池における高い電気エネルギー発生効率等といった利点がある。また、水素利用技術に関しては、我が国は世界をリードしており、水素社会が実現すれば日本経済の活性化や雇用拡大も期待され、社会的意義も極めて大きい。
一方、水素社会の実現を学術的な観点から議論すると、様々な酸化還元反応を高効率で起こすことのできる多電子酸化還元触媒が不可欠である。なぜなら、多電子酸化還元触媒は、人工光合成系(水の酸化反応及び二酸化炭素の還元)、水素発生反応、二酸化炭素の固定化反応及び酸素還元反応(燃料電池のカソード反応)等、水素社会の実現に係る重要な酸化還元反応を起こすので、水素社会の実現のために極めて重要なためである。
多電子酸化還元触媒の従来のアプローチは、天然の多電子酸化還元酵素が有する構造を人工的に模倣するものである。天然には、同一金属種あるいは異種金属種から構成される多電子酸化還元酵素が存在するが、従来の人工的アプローチでは、金属種の制御を能動的に行うのは極めて困難であるのが現状である。
また、水素社会の実現には、環境負荷低減の観点から、水系溶媒中において様々な構造を有する多電子酸化還元触媒を容易に形成でき、かつ水系溶媒中において高い触媒活性を示すことが求められている。
さらに、資源の枯渇を避けるという観点から、天然に豊富に存在する金属種を用いて高い触媒活性を示すことが求められる。
そこで、種々提案がなされており、例えば非特許文献1では、水の酸化反応を起こす多電子酸化還元触媒として、希少金属であるルテニウムを用いた錯体が提案されている。また、非特許文献2では、酸素還元反応を起こす多電子酸化還元触媒として、ルテニウム及びイリジウムからなる二核錯体が提案されている。
特開2002−179635号公報
L.Duan et al., Nature Chemistry 4,418〜423(2013) S.Fukuzumi et al.,J.Am.Chem.Soc.,132,11866〜11867(2010)
しかしながら、従来提案されている酸化還元触媒は、上述した特性を呈するには至っていない。また希少金属を用いるのは触媒の安定供給の観点から問題があり、希少金属を用いずに高い触媒活性を示す触媒の開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、水系溶媒中において様々な構造を容易に形成でき、かつ天然に豊富に存在する金属種を用いて高い酸化還元反応性を示す多電子酸化還元触媒を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、金属イオンが多様な酸化還元状態を取ることができ、二つの金属イオンを有する金属二核錯体は、複数の酸化還元状態を経ることで多電子酸化還元触媒としての機能を示すことに着目し、種々化合物の金属二核錯体について検討したところ、ククルビット化合物で包摂した金属錯体が高い触媒効果を呈することを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1. 7〜14員環のククルビット構造を有する環状化合物と、
該環状化合物中に包摂される嵩高化合物とからなる触媒であって、
該嵩高化合物は、下記化学式で表される金属ポルフィリン化合物と、該金属ポルフィリン化合物、下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(II)、及び下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(III)からなる群より選択される化合物との2分子が包摂されていることを特徴とする多電子酸化還元触媒。
また、R〜R12は、それぞれ同一または異なる置換基であって、それぞれ、−H,−OCH,−NH,−OH,又は−Clを示し、
およびMは、それぞれ同一または異なる原子であって、2H、遷移元素、卑金属元素を示す。
nは、金属の酸化数であって、0〜5の整数を示す。
2. 上記金属ビピリジン化合物(II)及び金属ビピリジン化合物(III)のR〜R12は、同一または異なる置換基であって、−H,−OCH又は−OHであり、
上記Mおよび上記Mは、2H、Mn、Fe、Cu、Co、Zn又はMgである、1記載の多電子酸化還元触媒。
本発明の多電子酸化還元触媒は、希少金属を用いることなく、高い酸化還元反応性を示すものであり、異なる構造を有する金属ポルフィリン錯体および金属ビピリジン錯体を用いて合成可能であり、さらに水系溶媒中において酸化還元触媒としての機能を示す。
図1(a)及び(b)は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図2(a)及び(b)は、実施例2で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図3(a)及び(b)は、実施例3で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図4(a)及び(b)は、実施例4で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図5(a)及び(b)は、実施例5で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図6(a)及び(b)は、実施例6で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図7は、実施例7で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図8は、実施例8で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図9は、実施例9で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図10は、実施例10で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図11(a)及び(b)は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図12(a)及び(b)は、実施例12で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図13(a)〜(d)は、実施例13で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図14(a)及び(b)は、実施例14で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図15(a)及び(b)は、実施例15で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図16(a)及び(b)は、実施例16で得られた多電子酸化還元触媒におけるFeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10]錯体形成にともなう吸収スペクトル変化を示すチャートである。 図17(a)及び(b)は、実施例17で得られた多電子酸化還元触媒におけるMndMImPP/Mg−porphine/CB[10]錯体形成にともなう吸収スペクトル変化を示すチャートである。 図18(a)及び(b)は、実施例18で得られた多電子酸化還元触媒におけるMndMImPP/Cu(bpy)/CB[10]錯体形成にともなう吸収スペクトル変化示すチャートである。 図19(a)及び(b)は、実施例2で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、aは、酸化還元反応状態を示すチャート、bは、アスコルビン酸濃度の減少を示すチャートである。 図20は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の酸素還元反応の結果を示すチャートである。 図21は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、酸素還元反応に伴うアスコルビン酸濃度の減少を示すチャートである。 図22は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の酸素還元反応を示すチャートである。 図23は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、酸素還元反応に伴うアスコルビン酸濃度の減少を示すチャートである。 図24は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の電気化学特性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]のサイクリックボルタモグラムを示すチャートである。 図25は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の電気化学特性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]のサイクリックボルタモグラムを示すチャートである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の多電子酸化還元触媒は、環状化合物と、該環状化合物中に包摂される嵩高化合物とからなる。
<環状化合物>
本発明において上記環状化合物として用いられる化合物は、7〜14員環、好ましくは10〜14員環、最も好ましくは10員環のククルビット構造を有する化合物(以下「ククルビット化合物」という)である。
上記ククルビット化合物としては、ククルビット[10]ウリル(以下、「CB[10]」という)、ククルビット[8]ウリル(以下、「CB[8]」という)、ククルビット[7]ウリル(以下、「CB[7]」という)、ククルビット[14]ウリル(以下、「CB[14]」という)等を挙げることができる。CB[10]の構造式を以下に示す。
上記ククルビット化合物は、公知の手法、たとえば実施例に記載の方法などを用いて得ることができる。
<嵩高化合物>
本発明において用いられる上記嵩高化合物は、下記化学式で表される金属ポルフィリン化合物と、該金属ポルフィリン化合物、下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(II)、及び下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(III)からなる群より選択される化合物との2分子が包摂されている。
また、R〜R12は、それぞれ同一または異なる置換基であって、それぞれ、−H、−OCH、―NH、−OH、−Clを示し、特に好ましくは−H,−OCH又は−OHである。
およびMは、それぞれ同一または異なる原子であって、遷移元素、卑金属元素または2Hを示す。
また、nは金属の酸化数であって、0〜5の整数を示す。
上記遷移元素としてはFe,Ni,Cu,Ru,Ir,Pt,Au,Os,Re等を挙げることができ、上記卑金属元素としては、Zn,Mg,Mn,Co,Mo,Sn等を挙げることができる。上記Mおよび上記Mはとしては、特に好ましくは2H、Mn、Fe、Cu、Co、Zn又はMgである。
上記嵩高化合物は、それぞれ実施例に記載の手法などを用いて得ることができる。
上記嵩高化合物としては、具体的には以下の化合物などを挙げることができる。

<具体例>
本発明の多電子酸化還元触媒としては以下の構造式で表される化合物等が挙げられる。
<製造方法>
本発明の多電子酸化還元触媒は、一つの嵩高化合物の水溶液に環状化合物を添加し、0〜100℃にて1〜60分間、超音波処理する等して反応を行った後、得られた水溶液にもう一つの嵩高化合物の水溶液を加え、緩衝液を添加して撹拌混合することで、反応を行い、得ることができる。
<使用方法・効果>
本発明の多電子酸化還元触媒は、各種酸化還元反応において触媒として用いることができるが、特に、下記する反応系において好ましく用いることができ、これらの反応系においては触媒を用いない場合に比して数倍の反応効率の向上を図ることも可能である。
(反応系)
酸素を原料とし、アスコルビン酸を還元剤とする反応系(酸素の四電子還元反応)
水素燃料電池用電極触媒(カソード電極における酸素の四電子還元反応)
水素イオンを基質とし、電気化学的に水素ガスを発生させる反応系
二酸化炭素とエポキシ化合物を原料とし、シクロカーボネートを目的物とする反応系
二酸化炭素を電気化学的に還元する反応系
水の分解により水素と酸素を発生させる電気化学反応系
水の分解により水素と酸素を発生させる光化学反応系
水とアルコールを原料とし、二酸化炭素と水素を目的物とする反応系
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、多電子酸化還元触媒の合成確認には、汎用性の高い手法であるUV/visスペクトル測定を用いた。(たとえば、当該UV/visスペクトル測定の先行論文として S.Liu et al.,Angew. Chem. Int. Ed.,2008,47,2657〜2660を参照)
〔実施例1〕
FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]からなる本発明の多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Mn(bpy)の合成、(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成
出発原料として、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(Aldrich社製)、p−トルエンスルホン酸メチル(東京化成社製)、塩化鉄(II)(Aldrich社製)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラキス(N−メチルピリジニウム−4−イル)−21H,23H−ポルフィン(HTM−4−PyP)の合成

50mgの5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(0.081mmol)と10mLのp−トルエンスルホン酸メチル(66.3mmol)を、窒素雰囲気下30mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中110℃で24時間加熱還流した。
24時間後、反応の進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。DMFはエバポレートにより除去し、未反応のp−トルエンスルホン酸メチルは分液(クロロホルム/水)により除去した。分液後、水層にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物HTM−4−PyPを得た。収量は45.2mg、収率は68.2%であった。
合成の確認は、公知の論文において発表されている報告(以下、「先行報告」という)に従いH−NMRにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b) Fe(III)−5,10,15,20−テトラキス(N−メチルピリジニウム−4−イル)−ポルフィン(FeTM−4−PyP)の合成

TM−4−PyP(50mg, 0.061mmol)と塩化鉄(II)(773mg,6.1mmol)を20mLの水に溶解させ、塩酸を用いてpH4に調整し、窒素雰囲気下100℃で加熱還流した。反応進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、析出した赤褐色沈殿をろ過により除去し、ろ液にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物FeTM−4−PyPを得た。収量は35.0mg、収率は62.9%であった。合成の確認は、先行報告に従いUV/visスペクトル測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成
出発原料として、グリコールウリル(Aldrich社製)、パラホルムアルデヒド(Aldrich社製)、シアヌル酸クロリド(東京化成社製)、4−[(N−Boc)アミノメチル]アニリン(Aldrich社製)を用いた。
(a)CB[5]@CB[10]の合成
グリコールウリル(53g,0.37mol)とパラホルムアルデヒド(23.6g,0.79mol)を粉末状態でよく混合した。4℃に冷却した濃塩酸75.3mLを加え。アイスバス中で溶液がゲル化するまで攪拌した。次に、オイルバス中110℃で17時間加熱還流した。
反応後、反応溶液を水で10倍に希釈し、析出した白色固体をろ過により回収し、真空オーブン中50℃で一晩乾燥した。得られた固体を濃塩酸中100℃で繰り返し再結晶することにより、目的物であるCB[5]@CB[10]を得た。収量は0.8g、収率は2%であった。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)内部CB[5]を除去するゲスト分子(中間体2)の合成
(i)中間体1の合成
4−[(N−Boc)アミノメチル]アニリン(1.0g,4.5mmol)を3.3mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。シアヌル酸クロリド(0.40g,2.2mmol)と0.67mLのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを溶液に添加し、0℃で2時間攪拌し、さらに室温で24時間攪拌した。反応後,反応液を濾過し溶媒をエバポレートし、目的物である中間体1を得た。収量は0.95g、収率は86.4%であった。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(ii)中間体2の合成
中間体1(0.3g,0.54mmol)を、水5mL/トリフルオロ酢酸3mLの混合溶媒に溶解させ、85℃で10時間加熱還流した。反応後、反応液を室温まで放冷し、冷蔵庫中(4℃)で1日間静置した。析出した結晶を濾過により回収し、目的物である中間体2を得た。収量は280mg、収率は92%であった。合成の確認は、先行報告に従いH NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(c)CB[10]の合成
CB[5]@CB[10](0.70g,0.26mmol)と中間体2(0.73g,1.3mmol)を170mLの水に溶解させ90℃で30分間加熱還流した。反応後、溶液を空冷し濾液を濾過により回収した。濾液を40mLまで濃縮し冷蔵庫(4℃)中で2時間静置、濾過し濾液を回収した。濾液をエバポレートにより乾固し、得られた固体を50mLのメタノールで繰り返し洗浄することで、CB[10]・中間体2(0.39g,0.18mmol)を得た。
CB[10]・中間体2(0.37g,0.17mmol)を10mLの無水酢酸に懸濁させ100℃で16時間加熱還流した。沈殿を遠心分離により回収し、20mLのメタノール、20mLのジメチルスルホキシド、及び20mLの水で洗浄した。固体を真空オーブン中で乾燥させることで、目的物であるCB[10](200mg,0.12mmol)を得た。収率は73%であった。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(3)Mn(bpy)の合成
2,2’−ビピリジン(0.984g,6.3mmol)のエタノール溶液に、塩化マンガン(II)四水和物(0.50g,2.5mmol)を添加し、ウォーターバス中40℃で30分間加熱した。析出した黄色沈殿を濾過により回収、少量のエタノールで洗浄し、真空乾燥させることで目的物であるMn(bpy)を得た。
合成の確認は、先行報告に従い元素分析により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。FeTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトルにより行った。
(5)FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の合成は、Mn(bpy)の水溶液をFeTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に50mMリン酸緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)50mMリン酸緩衝液(pH7.4)(なお、反応系内では上記反応式に示すように25mMとなる)
2)水
3)Mn(bpy) の300μM水溶液を調製した。
4)FeTM−4−PyP/CB[10]の200μM水溶液を調製した。
そして、1)を300μL、2)をXμL、3)を(270−X)μL、4)を30μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のMn(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜270まで変化させた。従って、添加したMn(bpy)の濃度は、0〜135μMであった。結果を図1(a)及び(b)に示す。
図1(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、濃度一定のFeTM−4−PyP/CB[10]に対して、異なる濃度のMn(bpy)を添加した結果、極大吸収波長である423nm及び590nmにおいて吸収スペクトルの大きな変化が観測された。また、430nm〜500nmでは吸収スペクトルのブロード化が観測された。この現象は、FeTM−4−PyP単体とMn(bpy)を混合したのみでは起こらなかった。これらの結果は、CB[10]内部環境が錯体形成に寄与していることを示している。また、Job’s plot(図1(b)に示すチャート)により量論比を算出した結果、CB[10]内部でFeTM−4−PyPとMn(bpy)が二核錯体を形成していることがわかった。
〔実施例2〕
FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]からなる本発明の多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Cu(bpy)の合成、(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Cu(bpy)の合成

2,2’−ビピリジン(234.3mg,1.5mmol)と硫酸銅(II)五水和物(187.3mg,0.75mmol)を15mLメタノール中、室温で24時間攪拌した。析出した青白色沈殿を濾過により回収、少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥させることで目的物であるCu(bpy)を得た。収量は350.8mg、収率は85.8%であった。合成の確認は先行報告に従い元素分析により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(5)FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]の合成は、Cu(bpy)の水溶液をFeTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2)水
3)Cu(bpy)の300μM水溶液を調製した。
4)FeTM−4−PyP/CB[10]の180μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)をXμL、3)を(510−X)μL、4)を30μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCu(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜510まで変化させた。従って、添加したCu(bpy)の濃度は、0〜255μMであった。結果を図2(a)及び(b)に示す。
図2(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、濃度一定のFeTM−4−PyP/CB[10]に対して、異なる濃度のCu(bpy)を添加した結果、極大吸収波長であるQ帯(550〜700nm)において吸収スペクトルの大きな変化が観測された(図2(b)に示すチャート)。また、430nm〜550nmでは吸収スペクトルのブロード化が観測された。この現象は、FeTM−4−PyP単体とCu(bpy)を混合したのみでは起こらなかった。これらの結果は、CB[10]内部環境が錯体形成に寄与していることを示している。また、Job’s plotにより量論比を算出した結果、CB[10]内部でFeTM−4−PyPとCu(bpy)が二核錯体を形成していることがわかった。
〔実施例3〕
FeTM−4−PyP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Cu(6,6’−dhbp)の合成、(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)FeTM−4−PyP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成は、、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Cu(6,6’−dhbp)の合成
6,6’−dhbp(100mg,0.53mmol)と硫酸銅(II)五水和物(67mg,0.27mmol)を10mLエチレングリコール中160℃で16時間加熱した。反応中、反応溶液を徐々に濃縮した。反応後、ジクロロメタン/メタノールの1:1混合溶媒を加え、析出した固体を濾過により回収した。合成の確認は、先行報告に従い元素分析により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の合成は、、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(5)FeTM−4−PyP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]の合成の合成は、Cu(6,6’−dhbp)の水溶液をFeTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Cu(6,6’−dhbp)の300μM水溶液を調製した。
4)FeTM−4−PyP/CB[10]の130μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)をXμL、3)を(510−X)μL、4)を30μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCu(6,6’−dhbp)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜510まで変化させた。従って、添加したCu(6,6’−dhbp)の濃度は、0〜255μMであった。結果を図3(a)及び(b)に示す。
図3(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、濃度一定のFeTM−4−PyP/CB[10]に対して、異なる濃度のCu(6,6’−dhbp)を添加した結果、極大吸収波長であるQ帯(550〜650nm)において吸収スペクトルの変化が観測された(図3(b)に示すチャート)。また、430nm〜550nmでは吸収スペクトルのブロード化が観測された。この現象は、FeTM−4−PyP単体とCu(6,6’−dhbp)を混合したのみでは起こらなかった。これらの結果は、CB[10]内部環境が錯体形成に寄与していることを示している。また、Job’s plotにより量論比を算出した結果、CB[10]内部でFeTM−4−PyPとCu(6,6’−dhbp)が二核錯体を形成していることがわかった。
〔実施例4〕
MnTDMImP/Mn(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「MnTDMImP/Mn(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)MnTDMImPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Mn(bpy)の合成、(4)MnTDMImP/CB[10]の調製、(5)MnTDMImP/Mn(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)MnTDMImPの合成
出発原料として、1−メチル−2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich社製)、ピロール(関東化学社製)、ヨードメタン(関東化学社製)、酢酸マンガン(II)四水和物(関東化学社製)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラキス(1−メチルイミダゾール−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTMImP)の合成
1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.2g,20mmol)を、還流した50mLプロピオン酸に添加した。ピロール(1.4mL,20mmol)を添加し、さらに4時間加熱還流した。反応後、プロピオン酸は減圧蒸留により除去した。得られた黒色固体は、クロロホルムを移動相、塩基性アルミナ(Activity I)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、二番目に抽出される茶褐色のバンドを回収した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒(98:2)を移動相、中性アルミナ(Activity III)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、最初に抽出される赤褐色のバンドを回収した。溶媒をエバポレートし、目的物であるHTMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定によりおこなった。
(b)5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTDMImP)の合成
123mgのHTMImPを50mLクロロホルムに溶解させた。7.4mLのヨードメタンを加え40℃で24時間加熱還流した。反応後、析出した固体を濾過し、クロロホルムで洗浄、乾燥させることで、HTDMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行った。
(c)Mn(III)−5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−ポルフィリン(MnTDMImP)の合成
TMImP(50mg,0.042mmol)と酢酸マンガン(II)四水和物(10.2mg,0.042mmol)を10mLメタノール中で加熱還流した。反応が定量的に進行するまで加熱還流を続けた。反応進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、溶媒をエバポレートし、得られた固体を水に溶解させ、イオン交換樹脂(IRA−400J CL,ORGANO corp)によりカウンターアニオンをClに変えた。水をエバポレートし、目的物であるMnTDMImPを得た。収率は定量的であった。合成の確認は、先行報告に従いUV/visスペクトル測定より行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Mn(bpy)の合成、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(4)MnTDMImP/CB[10]の合成
MnTDMImP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、MnDTMImP/CB[10]を水溶液として得た。MnTDMImP/CB[10]形成は定量的に進行した。
(5)MnTDMImP/Mn(bpy)/CB[10]の合成
MnTDMImP/Mn(bpy)/CB[10]の合成は、Mn(bpy)の水溶液をMnTDMImP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。尚、上記の反応式においてはククルビット化合物を省略して示している。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Mn(bpy)の300μM水溶液を得た。
4)MnTDMImP/CB[10]の200μM水溶液を得た。
1)を60μL、2)をXμL、3)を(510−X)μL、4)を30μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のMn(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜510まで変化させた。従って、添加したMn(bpy)の濃度は、0〜255μMであった。その結果を図4(a)及び(b)に示す。
図4(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、濃度一定のMnTDMImP/CB[10]に対して、異なる濃度のMn(bpy)を添加したことで、250〜300nmの大きな吸収がみられる場合があり、これは過剰に存在するMn(bpy)由来の吸収である。極大吸収波長であるQ帯(530〜620nm)において吸収スペクトルの変化が観測された(図4(b)に示すチャート)。この現象は、MnTDMImP単体とMn(bpy)を混合したのみでは起こらなかった。これらの結果は、CB[10]内部環境が錯体形成に寄与していることを示している。従って、CB[10]内部においてMnTDMImPとMn(bpy)が二核錯体を形成していることがわかった。
〔実施例5〕
FeTDMImP/Cu(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTDMImP/Cu(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTDMImPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Cu(bpy)の合成、(4)FeTDMImP/CB[10]の調製、(5)FeTDMImP/Cu(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTDMImPの合成
出発原料として、1−メチル−2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich)、ピロール(関東化学)、ヨードメタン(関東化学)、塩化鉄(Aldrich)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラキス(1−メチルイミダゾール−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTMImP)の合成
1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.2g,20mmol)を、還流した50mLプロピオン酸に添加した。ピロール(1.4mL,20mmol)を添加し、さらに4時間加熱還流した。反応後、プロピオン酸は減圧蒸留により除去した。得られた黒色固体は、クロロホルムを移動相、塩基性アルミナ(Activity I)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、二番目に抽出される茶褐色のバンドを回収した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒(98:2)を移動相、中性アルミナ(Activity III)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、最初に抽出される赤褐色のバンドを回収した。溶媒をエバポレートし、目的物であるHTMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTDMImP)の合成
123mgのHTMImPを50mLクロロホルムに溶解させた。7.4mLのヨードメタンを加え40℃で24時間加熱還流した。反応後、析出した固体を濾過し、クロロホルムで洗浄、乾燥させることで、HTDMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(c)Fe(III)−5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−ポルフィリン(FeTDMImP)の合成
TMImP(50mg,0.042mmol)と塩化鉄(II)(532mg,4.2mmol)を10mL水中で加熱還流した。反応が定量的に進行するまで加熱還流を続けた。反応進行はシリカTLC (アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、赤褐色沈殿を濾過により除去した。濾液をエバポレートし、得られた固体を水に溶解させ、イオン交換樹脂(IRA−400J CL, ORGANO corp)によりカウンターアニオンをClに変えた。水をエバポレートし、目的物であるFeTDMImPを得た。収率は定量的であった。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行った。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Cu(bpy)の合成は、上述の実施例2と同様にして行い、目的物を得た。
(4)FeTDMImP/CB[10]の合成
FeTDMImP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeDTMImP/CB[10]を水溶液として得た。FeTDMImP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行った。
(5) FeTDMImP/Cu(bpy)/CB[10]の合成
FeTDMImP/Cu(bpy)/CB[10]の合成の合成は、Cu(bpy)の水溶液をFeTDMImP/CB[10]に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。尚、上記反応式においてはククルビット化合物を省略した形で示す。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2)水
3)Cu(bpy)の300μM水溶液を得た。
4)FeTDMImP/CB[10]の150μM水溶液を得た。
1)を60μL、2)をXμL、3)を(510−X)μL、4)を30μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCu(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜510まで変化させた。従って、添加したCu(bpy)の濃度は、0〜255μMであった。その結果を図5(a)及び(b)に示す。
図5(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、濃度一定のFeTDMImP/CB[10]に対して、異なる濃度のCu(bpy)を添加したことで250〜330nmの大きな吸収が見られ、これは過剰に存在するCu(bpy)由来の吸収である。極大吸収波長であるSoret帯(390〜420nm)において、等吸収点を保ちながら有意な吸収スペクトル変化が観測された(図5(b)に示すチャート)。この現象は、FeTDMImP単体とCu(bpy)を混合したのみでは起こらなかった。これらの結果は、CB[10]内部環境が錯体形成に寄与していることを示している。従って、CB[10]内部においてFeTDMImPとCu(bpy)が二核錯体を形成していることがわかった。
〔実施例6〕
FeTDMImP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTDMImP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTDMImPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Cu(6,6’−dhbp)の合成、(4)FeTDMImP/CB[10]の調製、(5)FeTDMImP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTDMImPの合成
出発原料として、1−メチル−2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich)、ピロール(関東化学)、ヨードメタン(関東化学)、塩化鉄(II)(Aldrich)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラキス(1−メチルイミダゾール−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTMImP)の合成
1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.2g,20mmol)を、還流した50mLプロピオン酸に添加した。ピロール(1.4mL,20mmol)を添加し、さらに4時間加熱還流した。反応後、プロピオン酸は減圧蒸留により除去した。得られた黒色固体は、クロロホルムを移動相、塩基性アルミナ(Activity I)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、二番目に抽出される茶褐色のバンドを回収した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒(98:2)を移動相、中性アルミナ(Activity III)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、最初に抽出される赤褐色のバンドを回収した。溶媒をエバポレートし、目的物であるHTMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTDMImP)の合成
123mgのHTMImPを50mLクロロホルムに溶解させた。7.4mLのヨードメタンを加え40℃で24時間加熱還流した。反応後、析出した固体を濾過し、クロロホルムで洗浄、乾燥させることで、HTDMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(c)Fe(III)−5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−ポルフィリン(FeTDMImP)の合成
TMImP(50mg,0.042mmol)と塩化鉄(II)(532mg,4.2mmol)を10mL水中で加熱還流した。反応が定量的に進行するまで加熱還流を続けた。反応進行はシリカTLC (アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、赤褐色沈殿を濾過により除去した。濾液をエバポレートし、得られた固体を水に溶解させ、イオン交換樹脂(IRA−400J CL, ORGANO corp)によりカウンターアニオンをClに変えた。水をエバポレートし、目的物であるFeTDMImPを得た。収率は定量的であった。合成の確認は、先行報告に従い元素分析、UV/visスペクトル測定により行った。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Cu(6,6’−dhbp)の合成、上述の実施例3と同様にして行い、目的物を得た。
(4)FeTDMImP/CB[10]の合成
FeTDMImP 1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeDTMImP/CB[10]を水溶液として得た。FeTDMImP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行った。
(5)FeTDMImP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]の合成
FeTDMImP/Cu(6,6’−dhbp)/CB[10]の合成は、Cu(6,6’−dhbp)の水溶液をFeTDMImP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2)水
3)Cu(6,6’−dhbp)の300μM水溶液を調製した。
4)FeTDMImP/CB[10]の150μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)をXμL、3)を(510−X)μL、4)を30μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCu(6,6’−dhbp)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜510まで変化させた。従って、添加したCu(6,6’−dhbp)の濃度は、0〜255μMであった。その結果を図6(a)及び(b)に示す。
図6(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、濃度一定のFeTDMImP/CB[10]に対して、異なる濃度のCu(6,6’−dhbp)を添加したことで300〜380nmの大きな吸収が生じる場合があり、これはCu(6,6’−dhbp)由来の吸収である。従って、CB[10]内部においてFeTDMImPとCu(bpy)が二核錯体を形成していることがわかった。二核錯体形成は、FeTDMImP/CB[10]とCu(6,6’−dhbp)が何も相互作用していないと仮定したときの足し合わせスペクトルと、FeTDMImP/CB[10]とCu(6,6’−dhbp)を実際に混合した際の差スペクトルをとることで検討した(図6(b)に示すチャート)。その結果、380nm付近において錯形成由来の新しい吸収が観測された。これより、CB[10]内部においてFeTDMImPとCu(6,6’−dhbp)が二核錯体を形成していることがわかった。
〔実施例7〕
MgTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「MgTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)MgTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Co(bpy)の合成、(4)MgTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)MgTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)MgTM−4−PyPの合成
出発原料として、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(Aldrich)、p−トルエンスルホン酸メチル(東京化成)、硫酸マグネシウム(東京化成)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラ(4−メチルピリジニウム)−21H,23H−ポルフィン(HTM−4−PyP)の合成
50mgの5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(81μmol)と10mLのp−トルエンスルホン酸メチル(66mmol)を、窒素雰囲気下30mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中110℃で24時間加熱還流した。
24時間後、反応の進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。DMFはエバポレートにより除去し、未反応のp−トルエンスルホン酸メチルは分液(クロロホルム/水)により除去した。分液後、水層にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物HTM−4−PyPを得た。収量は45.2mg、収率は68.2%であった。
合成の確認は、先行報告に従いH−NMRにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)MgTM−4−PyPの合成
TM−4−PyP(100mg,0.122mmol)と硫酸マグネシウム(293.7mg,2.44mmol)を25mLの水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH8.0に調整し、窒素雰囲気下100℃で加熱還流した。反応進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、析出した赤褐色沈殿をろ過により除去し、ろ液にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物FeTM−4−PyPを得た。収量は52.6mg、収率は51%であった。合成の確認は、先行報告に従いUV/visスペクトル測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Co(bpy)の合成
塩化コバルト(II)六水和物(1.0g,4.2mmol)の10mL水溶液に塩酸を滴下し酸性にしたのち、2,2’−ビピリジン(1.25g,8.0mmol)と塩化カリウム(2.0g,27mmol)を加え、ウォーターバス中40℃で40分間加熱した。析出した淡赤沈殿を濾過により回収、少量のエタノールとジエチルエーテル(1:1)混合溶媒で洗浄し、真空乾燥させることで目的物であるCoCl(bpy)を得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMRにより行い、先行報告と同様の結果を得た。
(4)MgTM−4−PyP/CB[10]の合成
MgTM−4−PyP(0.7mg,1μmol)を1mLの水に溶解させた。溶液にCB[10](2mg,1.2μmol)を添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、MgTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。MgTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。
(5) MgTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の合成
MgTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10] の合成は、Co(bpy)の水溶液をMgTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Co(bpy)の20μM 水溶液を調製した。
4)MgTM−4−PyP/CB[10]10μM水溶液を調製した。
1)を300μL、2)をXμL、3)を(200−X)μL、4)を100μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCo(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜200まで変化させた。従って、添加したCo(bpy)の濃度は、0〜6.7μMであった。その結果を図7に示す。
図7に示す結果から明らかなように、ビピリジン錯体の添加によりポルフィリン由来のSoret帯および、Q帯のUV−Visスペクトルの変化が見られたことから、ククルビット化合物内部においてポルフィリンとビピリジン錯体が電子的相互作用をしていることが明らかであり、目的の多電子酸化還元触媒が得られていることがわかった。
〔実施例8〕
ZnTDMImP/Co(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「ZnTDMImP/Co(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)ZnTDMImPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Co(bpy)の合成、(4)ZnTDMImP/CB[10]の調製、(5)ZnTDMImP/Co(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(a)5,10,15,20−テトラキス(1−メチルイミダゾール−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTMImP)の合成
出発原料として、1−メチル−2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich)、ピロール(関東化学)、ヨードメタン(関東化学)、塩化亜鉛(II)(関東化学)を用いた。
1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.2g,20mmol)を、還流した50mLプロピオン酸に添加した。ピロール(1.4mL,20mmol)を添加し、さらに4時間加熱還流した。反応後、プロピオン酸は減圧蒸留により除去した。得られた黒色固体は、クロロホルムを移動相、塩基性アルミナ(Activity I)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、二番目に抽出される茶褐色のバンドを回収した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒(98:2)を移動相、中性アルミナ(Activity III)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、最初に抽出される赤褐色のバンドを回収した。溶媒をエバポレートし、目的物であるHTMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTDMImP)の合成
123mgのHTMImPを50mLクロロホルムに溶解させた。7.4mLのヨードメタンを加え40℃で24時間加熱還流した。反応後、析出した固体を濾過し、クロロホルムで洗浄、乾燥させることで、HTDMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(c)Zn(II)−5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−ポルフィリン(ZnTDMImP)の合成
TMImP(50mg,0.042mmol)と塩化亜鉛(II)(5.7mg,0.042mmol)を10mL水中で加熱還流した。反応が定量的に進行するまで加熱還流を続けた。反応進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、溶媒をエバポレートし、得られた固体を水に溶解させ、イオン交換樹脂(IRA−400J CL, ORGANO corp)によりカウンターアニオンをClに変えた。水をエバポレートし、目的物であるZnTDMImPを得た。収率は定量的であった。合成の確認は、先行報告に従いUV/visスペクトル測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Co(bpy)の合成、上述の実施例7と同様にして行い、目的物を得た。
(4)ZnTDMImP/CB[10]の合成
ZnTDMImP(0.5mg,0.6μmol)を5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10](2mg,1.2μmol)を添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、ZnTDMImP/CB[10]を水溶液として得た。ZnTDMImP/CB[10]形成は定量的に進行した。
(5)ZnTDMImP/Co(bpy)/CB[10]の合成
ZnTDMImP/Co(bpy)/CB[10]の合成は、Co(bpy)の水溶液をZnTDMImP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Co(bpy)の28μM水溶液を調製した。
4)ZnTDMImP/CB[10]の14μM水溶液を調製した。
1)を300μL、2)をXμL、3)を(200−X)μL、4)を100μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCo(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜200まで変化させた。従って、添加したCo(bpy)の濃度は、0〜9.3μMであった。その結果を図8に示す。
図8に示す結果から明らかなように、ビピリジン錯体の添加によりポルフィリン由来のSoret帯および、Q帯のUV−Visスペクトルの変化が見られたことから、ククルビット化合物内部においてポルフィリンとビピリジン錯体が電子的相互作用をしていることがわかった。
〔実施例9〕
CoTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「CoTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)CoTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Co(bpy)の合成、(4)CoTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)CoTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)CoTM−4−PyPの合成
出発原料として、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(Aldrich)、p−トルエンスルホン酸メチル(東京化成)、塩化コバルト(II)六水和物(和光純薬)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラ(4−メチルピリジニウム)−21H,23H−ポルフィン(HTM−4−PyP)の合成
50mgの5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(81μmol)と10mLのp−トルエンスルホン酸メチル(66mmol)を、窒素雰囲気下30mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中110℃で24時間加熱還流した。
24時間後、反応の進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。DMFはエバポレートにより除去し、未反応のp−トルエンスルホン酸メチルは分液(クロロホルム/水)により除去した。分液後、水層にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物HTM−4−PyPを得た。収量は45.2mg、収率は68.2%であった。
合成の確認は、先行報告に従いH−NMRにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)CoTM−4−PyPの合成
TM−4−PyP50mg(0.061mmol)と塩化コバルト(II)六水和物145mg(0.61mmol)を20mLの水に溶解させ、塩酸を用いてpH4に調整し、窒素雰囲気下100℃で加熱還流した。反応進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、ろ液にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物CoTM−4−PyPを得た。合成の確認は、先行報告に従いUV/visスペクトル測定により行った。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Co(bpy)の合成
塩化コバルト(II)六水和物(0.12g,0.5mmol)の水溶液に、2,2’−ビピリジン(0.26g,1.7mmol)を添加し、完全に溶解するまで加熱した。この黄色溶液に30%過酸化水素水0.5mL、濃塩酸0.5mLを加え粘性が出るまでエバポレーションした。つづいて、10mLの水を加え飽和ヘキサフルオロリン酸ナトリウム水溶液を加え、析出した黄色沈殿を濾過により回収、少量の水、エタノール、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させることで目的物であるCo(bpy)を得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)CoTM−4−PyP/CB[10]の合成
CoTM−4−PyP(3mg,3.3μmol)を10mLの水に溶解させた。溶液にCB[10](8mg,4.8μmol)を添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、CoTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。CoTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。
(5)CoTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の合成
CoTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の合成は、Co(bpy)の水溶液をCoTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に50mMリン酸緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)50mM リン酸緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Co(bpy)の17μM水溶液を調製した。
4)CoTM−4−PyP/CB[10]の30μM水溶液を得た。
1)を300μL、2)をXμL、3)を(200−X)μL、4)を100μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCo(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜200まで変化させた。従って、添加したCo(bpy)の濃度は、0〜5.7μMあった。その結果を図9に示す。
図9に示す結果から明らかなように、ビピリジン錯体の添加によりポルフィリン由来のSoret帯および、Q帯のUV−Visスペクトルの変化が見られたことから、ククルビット化合物内部においてポルフィリンとビピリジン錯体が電子的相互作用をしていることがわかった。
〔実施例10〕
TM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「HTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)HTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Co(bpy)の合成、(4)HTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)HTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)HTM−4−PyPの合成
出発原料として、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(Aldrich)、p−トルエンスルホン酸メチル(東京化成)を用いた。
5,10,15,20−テトラ(4−メチルピリジニウム)−21H,23H−ポルフィン(HTM−4−PyP)の合成
50mgの5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン(81μmol)と10mLのp−トルエンスルホン酸メチル(66mmol)を、窒素雰囲気下30mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中110℃で24時間加熱還流した。
24時間後、反応の進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。DMFはエバポレートにより除去し、未反応のp−トルエンスルホン酸メチルは分液(クロロホルム/水)により除去した。分液後、水層にヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を添加し、紫色固体を得た。紫色固体をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロリド添加により生じた紫色固体をろ過により回収し、目的物HTM−4−PyPを得た。収量は45.2mg、収率は68.2%であった。
合成の確認は、先行報告に従いH−NMRにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Co(bpy)の合成
塩化コバルト(II)六水和物(0.12g,0.5mmol)の水溶液に、2,2’−ビピリジン(0.26g,1.7mmol)を添加し、完全に溶解するまで加熱した。この黄色溶液に30%過酸化水素水0.5mL、濃塩酸0.5mLを加え粘性が出るまでエバポレーションした。つづいて、10mLの水を加え飽和ヘキサフルオロリン酸ナトリウム水溶液を加え、析出した黄色沈殿を濾過により回収、少量の水、エタノール、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させることで目的物であるCo(bpy)を得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)HTM−4−PyP/CB[10]の合成
TM−4−PyP(3mg,4μmol)を5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10](8mg,4.8μmol)を添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、HTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。HTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。
(5)HTM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10]の合成
TM−4−PyP/Co(bpy)/CB[10] の合成は、Co(bpy)の水溶液をHTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に50mM リン酸緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)50mMリン酸緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Co(bpy)の160μM水溶液を調製した。
4)HTM−4−PyP/CB[10]の18μM水溶液を得た。
1)を300μL、2)をXμL、3)を(200−X)μL、4)を100μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCo(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜200まで変化させた。従って、添加したCo(bpy)の濃度は、0〜53.3μMであった。その結果を図10に示す。
図10に示す結果から明らかなように、ビピリジン錯体の添加によりポルフィリン由来のSoret帯および、Q帯のUV−Visスペクトルの変化が見られたことから、ククルビット化合物内部においてポルフィリンとビピリジン錯体が電子的相互作用をしていることがわかった。
〔実施例11〕
FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Fe(bpy)の合成、(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Fe(bpy)の合成
2,2’−ビピリジン(1.55g,10.0mmol)のメタノール溶液に、塩化鉄(III)(0.80g,5.0mmol)を添加し撹拌した後、酢酸ナトリウム(0.2g、2.4mmol)を加え、常温で数日間静置した。析出した沈殿物を濾過により除き、酢酸エチルを加え沈殿させた褐色の沈殿物を濾過で回収し、真空乾燥させることで目的物少量のエタノールで洗浄し、真空乾燥させることで目的物であるFe(bpy)を得た。収量は1.55g、収率は70.8%であった。合成の確認は、先行報告に従い元素分析により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の合成、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(5)FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の合成は、Fe(bpy)の水溶液をFeTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.4)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.4)
2)水
3)Fe(bpy)の570μM水溶液を調製した。
4)FeTM−4−PyP/CB[10]の160μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)を(480−X)μL、3)をXμL、4)を60μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のFe(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜34まで変化させた。従って、添加したFe(bpy)の濃度は、0〜32μMであった。その結果を図11(a)及び(b)に示す。
図11(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、、FeTM−4−PyP/CB[10]単核錯体へのFe(bpy)の添加に伴い、FeTM−4−PyP由来の吸収であるSoret帯(450〜500nm)のブロードニングを伴う低下とQ帯(550〜650nm)の短波長シフトが確認された。これはCB[10]内部でのビピリジン骨格とFeTM−4−PyPの電子的相互作用に由来し、二核錯体が形成されていることがわかった。
〔実施例12〕
TDMImP/Co(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「HTDMImP/Co(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)HTDMImPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Fe(bpy)の合成、(4)HTDMImP/CB[10]の調製、(5)HTDMImP /Co(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)HTDMImPの合成
出発原料として、1−メチル−2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich)、ピロール(関東化学)、ヨードメタン(関東化学)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラキス(1−メチルイミダゾール−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTMImP)の合成
1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.2g,20mmol)を、還流した50mLプロピオン酸に添加した。ピロール(1.4mL,20mmol)を添加し、さらに4時間加熱還流した。反応後、プロピオン酸は減圧蒸留により除去した。得られた黒色固体は、クロロホルムを移動相、塩基性アルミナ(Activity I)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、二番目に抽出される茶褐色のバンドを回収した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒(98:2)を移動相、中性アルミナ(Activity III)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、最初に抽出される赤褐色のバンドを回収した。溶媒をエバポレートし、目的物であるHTMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTDMImP)の合成
123mgのHTMImPを50mLクロロホルムに溶解させた。7.4mLのヨードメタンを加え40℃で24時間加熱還流した。反応後、析出した固体を濾過し、クロロホルムで洗浄、乾燥させることで、HTDMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Co(bpy)の合成は、2,2’−ビピリジン(0.260g,1.7mmol)のエタノール溶液に、塩化コバルト(II)・六水和物(0.12g,0.5mmol)を添加し、ウォーターバス中40℃で30分間加熱した。30% H水溶液を0.5mLと12M HClを0.5mL加え、常温で4時間撹拌した。溶液をエバポレートした後、水を10mL加えて溶解させ、NHPF飽和溶液を加えて沈殿させ、濾過で回収した。水、エタノール、ジエチルエーテルで洗浄し真空乾燥させることで目的物であるCo(bpy)を得た。収量は0.405g、収率は84%であった。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)HTDMImP/CB[10]の合成
TDMImP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、HDTMImP/CB[10]を水溶液として得た。HTDMImP/CB[10]形成は定量的に進行した。
(5)HTDMImP/Co(bpy)/CB[10]の合成
TDMImP/Co(bpy)/CB[10]の合成は、Co(bpy)の水溶液をHTDMImP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.0)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1) 100mM HEPES緩衝液(pH7.0)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2) 水
3) Co(bpy)の30μM水溶液を調製した。
4) HTDMImP/CB[10]の60μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)をXμL、3)を(480−X)μL、4)を60μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCo(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜480まで変化させた。従って、添加したCo(bpy)の濃度は、0〜24μMであった。その結果を図12(a)及び(b)に示す。
図12(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、HTDMImP/CB[10]単核錯体へのCo(bpy)の添加に伴い、HTDMImP由来の吸収であるSoret帯(350〜450nm)の上昇が確認された。これはCB[10]内部でのビピリジン骨格とHTDMImPの電子的相互作用に由来するものであり、二核錯体が形成されていることがわかる。
〔実施例13〕
FeTM−4−PyP/Ru(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Ru(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Ru(bpy)の合成、(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)FeTM−4−PyP/Ru(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成は、上述した実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Ru(bpy)の合成
2,2’−ビピリジン(1.56g,10.0mmol)と塩化ルテニウム(III)(0.1g,0.48mmol)を水/エタノール(25mL/25mL)に溶解させ、3時間還流した。反応溶液にNHPF飽和溶液を加え、沈殿物をろ過で回収し乾燥させる。乾燥させた沈殿物をアセトンに溶解させ、テトラブチルアンモニウムクロライドを加えて沈殿させた。沈殿物をろ過で回収し真空乾燥させることで目的物であるRu(bpy)を得た。収量は0.266g、収率は86.1%であった。合成の確認は、先行報告に従いUV/visスペクトル測定により行い、同様の結果を得た。
(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。FeTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトルにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(5)FeTM−4−PyP/Ru(bpy)/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP/Ru(bpy)/CB[10]の合成は、Ru(bpy)の水溶液をFeTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.0)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1) 100mM HEPES緩衝液(pH7.0)
2) 水
3) Ru(bpy)の42μM水溶液を調製した。
4) FeTM−4−PyP/CB[10]の329.1μM水溶液を得た。
1)を60μL、2)を(520−X)μL、3)をXμL、4)を20μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のRu(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜380まで変化させた。従って、添加したRu(bpy)の濃度は、0〜27μMであった。その結果を図13(a)〜(d)に示す。
図13(a)〜(d)に示す結果から明らかなように、FeTM−4−PyP/CB[10]単核錯体へのRu(bpy)の添加に伴い、FeTM−4−PyP由来の吸収であるSoret帯(350〜450nm)の差スペクトルにおいて変化が観察された。これからCB[10]内部でのビピリジン骨格とFeTM−4−PyPの電子的相互作用に由来し、二核錯体が形成されていることがわかった。
〔実施例14〕
FeTM−4−PyP/Mn−porphine/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Mn−porphine/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Mn−porphineの合成、(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(5)FeTM−4−PyP/Mn−porphine/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成は、上述した実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Mn−porphineの合成
(a)Free−base porphineの合成
Mgポルフィン(33mg,0.099mmol)を1M HCl/ジクロロメタン混合溶媒中、室温で攪拌した。シリカTLC(クロロホルム)によりMgの脱離を確認した。反応後、HClを炭酸水素ナトリウムにより中和、水/クロロホルムで分液し、有機相を回収した。シリカカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により、最初のバンドを回収し、目的物であるFree−baseポルフィンを得た。収率は86.3%であった。合成の確認は、先行報告に従いH−NMRにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)Mn−porphineの合成
Free−baseポルフィリン(27.6mg,0.09mmol)と酢酸マンガン(II)四水和物(22.1mg,0.09mmol)をクロロホルム/メタノール混合溶媒中加熱還流した。シリカTLCにより反応進行を確認した。反応後、イオン交換樹脂(IRA−400J CL, ORGANO corp)によりカウンターアニオンをClに変換した。
収率は定量的であった。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(4)FeTM−4−PyP/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。FeTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトルにより行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(5)FeTM−4−PyP/Mn−porphine /CB[10]の合成
FeTM−4−PyP/Mn−porphine/CB[10]の合成は、Mn porphineの水溶液をFeTM−4−PyP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.0)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1) 100mM HEPES緩衝液(pH7.0)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2) 水
3) Mn−porphineの37.2μM 水溶液を調製した。
4) FeTM−4−PyP/CB[10]の214.8μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)を(520−X)μL、3)をXμL、4)を20μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のRu(bpy)3を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜264まで変化させた。従って、添加したMn−porphineの濃度は、0〜16.4μMであった。その結果を図14(a)及び(b)に示す。
図14(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、FeTM−4−PyP/CB[10]単核錯体へのMn−porphineの添加に伴い、差スペクトルにおいてMn−porphine由来の吸収であるSoret帯(450nm付近)の大幅な低下が確認された。これはCB[10]内部でのMn−porphineとFeTM−4−PyPの電子的相互作用に由来し、二核錯体が形成されていることがわかる。
〔実施例15〕
FeTDMImP/Fe(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTDMImP/Fe(bpy)/CB[10]」の調製。
合成は、(1)FeTDMImPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)Fe(bpy)の合成、(4)FeTDMImP/CB[10]の調製、(5)FeTDMImP/Fe(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)FeTDMImPの合成
出発原料として、1−メチル−2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich)、ピロール(関東化学)、ヨードメタン(関東化学)、塩化鉄(II)(Aldrich)を用いた。
(a)5,10,15,20−テトラキス(1−メチルイミダゾール−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTMImP)の合成
1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.2g,20mmol)を、還流した50mLプロピオン酸に添加した。ピロール(1.4mL,20mmol)を添加し、さらに4時間加熱還流した。反応後、プロピオン酸は減圧蒸留により除去した。得られた黒色固体は、クロロホルムを移動相、塩基性アルミナ(Activity I)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、二番目に抽出される茶褐色のバンドを回収した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒(98:2)を移動相、中性アルミナ(Activity III)を固定相としたカラムクロマトグラフィーにより分離し、最初に抽出される赤褐色のバンドを回収した。溶媒をエバポレートし、目的物であるHTMImPを得た。合成の確認は、先行報告に従いH−NMR測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(b)5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−21H,23H−ポルフィリン(HTDMImP)の合成
123mgのHTMImPを50mLクロロホルムに溶解させた。7.4mLのヨードメタンを加え40℃で24時間加熱還流した。反応後、析出した固体を濾過し、クロロホルムで洗浄、乾燥させることで、HTDMImPを得た。合成の確認は、H−NMR測定により行った。
(c)Fe(III)−5,10,15,20−テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリウム−2−イル)−ポルフィリン(FeTDMImP)の合成
TMImP(50mg,0.042mmol)と塩化鉄(II)(532mg,4.2mmol)を10mL水中で加熱還流した。反応が定量的に進行するまで加熱還流を続けた。反応進行はシリカTLC(アセトニトリル/水/KNOaq)=(8/2/1)により確認した。
反応後、赤褐色沈殿を濾過により除去した。濾液をエバポレートし、得られた固体を水に溶解させ、イオン交換樹脂(IRA−400J CL, ORGANO corp)によりカウンターアニオンをClに変えた。水をエバポレートし、目的物であるFeTDMImPを得た。収率は定量的であった。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行った。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)Fe(bpy)の合成、上述の実施例11と同様にして行い、目的物を得た。
(4)FeTDMImP/CB[10]の合成
FeTDMImP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeDTMImP/CB[10]を水溶液として得た。FeTDMImP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行った。
(5)FeTDMImP/Fe(bpy)/CB[10]の合成
FeTDMImP/Cu(bpy)/CB[10]の合成は、Fe(bpy)の水溶液をFeTDMImP/CB[10]水溶液に加え、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.0)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.0)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2)水
3)Fe(bpy)の250.4μM水溶液を調製した。
4)FeTDMImP/CB[10]の45μM水溶液を調製した。
1)を60μL、2)を(440−X)μL、3)をXμL、4)を100μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のFe(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜270まで変化させた。従って、添加したFe(bpy)の濃度は、0〜113μMであった。その結果を図15(a)及び(b)に示す。
図15(a)及び(b)に示す結果から明らかなように、FeTDMImP/CB[10]単核錯体へのFe(bpy)の添加に伴い、差スペクトルの300nm付近で吸光度の増加が確認された。これはCB[10]内部でのFe(bpy)とFeTDMImPの電子的相互作用に由来し、二核錯体が形成されていることがわかった。
〔実施例16〕
FeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「FeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10]」の調製。Mg−porphineは東京化成より購入した。
合成は、(1)FeTM−4−PyPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)FeTM−4−PyP/CB[10]の調製、(4)FeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10]の調製の4ステップで行った。
(1)FeTM−4−PyPの合成は、上述した実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)FeTM−4−PyP@CB[10]の合成
FeTM−4−PyP1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、FeTM−4−PyP/CB[10]を水溶液として得た。FeTM−4−PyP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトルにより行った。
(4)FeTM−4−PyP/Mg−Porphine/CB[10]の合成
FeTM−4−PyP@CB[10]の100μM水溶液に紫色粉末のMg−Porphineを過剰量添加し、室温で10分間超音波処理をした。未反応Mg−Porphineをフィルター濾過により除去し、FeTM−4−PyP/Mg−Porphine/CB[10]を水溶液として得た。合成の確認は、UV/visスペクトルにより行った。結果を図16(a)及び(b)に示す。
Mg−PorphineとFeTM−4−PyP@CB[10]錯体との混合前後における吸収スペクトルを比較したところ図16(a)及び(b)に示すように、Mg−Porphine混合後では、400nm付近に新たな吸収帯が観測された((FeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10])錯体の形成確認)。差スペクトルを用いた解析の結果、400nm付近ではMg−porphineのSoret帯に由来する吸収が観測され、500〜600nm付近ではMg−porphineのQ帯及びFeTM−4−PyPとの相互作用に由来する吸収が観測された。即ち、FeTM−4−PyP@CB[10]存在下では、Mg−Porphineは水に対して溶解性を示した。一方、Mg−porphineは、FeTM−4−PyP@CB[10]非存在下では水に対して溶解性を示さなかった。これらの結果は、FeTM−4−PyP@CB[10]がMg−porphineの水溶性を付与していることを意味する。従って、CB[10]の内部空間にMg−porphineが存在することがわかる。以上より、FeTM−4−PyP/Mg−porhine/CB[10]二核錯体が水中で形成されたことがわかる。
〔実施例17〕
MndMImPP/Mg−porphine/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「MndMImPP/Mg−porphine/CB[10]」の調製
合成は、(1)MndMImPPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)MndMImPP/CB[10]の調製、(4)FeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10]の調製の4ステップで行った。
(1)MndMImPPの合成
(a)HMImPP(5,10,15−triphenyl−20−(1−methylimidazole−2−yl)−21H,23H−porphyrin)の合成
1−メチル2−イミダゾールカルボキシアルデヒド(1.91g,17.4mmol)、ベンズアルデヒド(4.86mL,47.6mmol)を300mLプロピオン酸中170℃で加熱還流した。ピロール(4.8mL,68.6mmol)を滴下し、1時間加熱還流した。反応終了後、反応液を約90℃まで放冷し、エチレングリコール100mLを加え室温まで放冷後、冷凍庫(−20℃)で一晩静置した。冷却した反応液を濾過し、固体をメタノールで洗浄することで、紫色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=20/1)により分離し、2番目のバンドを回収、溶媒をエバポレートし、目的化合物であるHMImPPを得た。合成の確認は、H−NMR測定により行い、目的物が得られていることを確認した。
(b)HdMImPP(5,10,15−triphenyl−20−(1,3−dimethylimidazolium−2−yl)−21H,23H−porphyrin)の合成
MImPP(100mg,0.162mmol)とヨードメタンをクロロホルム10mL中40℃で18時間還流した。反応の進行は、シリカゲルTLC(CHCl/MeOH=5/1)により確認した。反応収量後、ジエチルエーテルを加え、析出した沈殿を濾過により回収、乾燥させることで目的物であるHdMImPPを得た。収率は定量的であった。合成の確認は、H−NMR測定により行った。
(c)MndMImPP(Mn(III)−5,10,15−triphenyl−20−(1,3−dimethylimidazolium−2−yl)−porphyrin)の合成
dMImPPと酢酸マンガン四水和物をメタノール中60℃で加熱還流した。反応の進行は、UV/visスペクトル測定及びシリカゲルTLC(MeCN/HO/KNOaq=8/1/1)により確認した。反応終了後、溶媒をエバポレートし、固体を水に溶解させた。ヘキサフルオロリン酸アンモニウムを加え、析出した沈殿を濾過により回収、乾燥した。得られた沈殿をメタノールに溶解させ、イオン交換樹脂(IRA400J Cl)によりカウンターアニオンをClに交換した。イオン交換樹脂を濾過により除去し、濾液をエバポレートすることで、目的物であるMndMImPPを得た。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行い、先行報告と同様の結果を得、目的物が得られていることを確認した。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様にして行い、目的物を得た。
(3)MndMImPP@CB[10]の合成
MndMImPP 1.0mgを5mLの水に溶解させた。溶液にCB[10]2.6mgを添加し、室温で10分間超音波処理した。未反応のCB[10]をフィルター濾過により除去し、MndMImPP/CB[10]を水溶液として得た。MndMImPP/CB[10]形成は定量的に進行した。合成の確認は、UV/visスペクトル測定により行った。
(4)MndMImPP/Mg−porphine/CB[10]の合成
MndMImPP@CB[10]の100μM水溶液に紫色粉末のMg−porphineを過剰量添加し、室温で10分間超音波処理をした。未反応Mg−porphineをフィルター濾過により除去し、MndMIMPP/Mg−porphine/CB[10]を水溶液として得た。合成の確認は、UV/visスペクトルにより行った。結果を図17(a)及び(b)に示す。
Mg−porphineとMndMImPP@CB[10]錯体との混合前後における吸収スペクトルを比較したところ、図17(a)及び(b)に示すように、Mg−porphine混合後では、400nm付近に新たな吸収帯が観測された。差スペクトルを用いた解析の結果、400nm付近ではMg−porphineのSoret帯に由来する吸収が観測され、500〜600nm付近ではMg−porphineのQ帯及びMndMImPPとの相互作用に由来する吸収が観測された。即ち、MndMImPP@CB[10]存在下では、Mg−porphineは水に対して溶解性を示した。一方、Mg−porphineは、MndMImPP@CB[10]非存在下では水に対して溶解性を示さなかった。これらの結果は、MndMImPP@CB[10]がMg−porphineの水溶性を付与していることを意味する。従って、CB[10]の内部空間にMg−porphineが存在することがわかる。以上より、MndMImPP/Mg−porhine/CB[10]二核錯体が水中で形成されたことがわかる。
〔実施例18〕
MndMImPP/Cu(bpy)/CB[10]からなる多電子酸化還元触媒「MndMImPP/Cu(bpy)/CB[10]」の調製
合成は、(1)MndMImPPの合成、(2)CB[10]の合成、(3)MndMImPP/CB[10]の調製、(4)Cu(bpy)の合成(5)MndMImPP/Cu(bpy)/CB[10]の調製の5ステップで行った。
(1)MndMImPPの合成は、上述の実施例17と同様の方法で行い、目的物を得た。
(2)CB[10]の合成は、上述の実施例1と同様の方法で行い、目的物を得た。
(3)MndMImPP/CB[10]の合成は、上述の実施例17と同様の方法で行い、目的物を得た。
(4)Cu(bpy)の合成は、上述の実施例2と同様の方法で行い、目的物を得た。
(5)MndMImPP/Mn(bpy)/CB[10]の合成
MndMImPP/Mn(bpy)/CB[10]の合成は、Cu(bpy)の水溶液とMndMImPP/CB[10]水溶液を混合し、これらの混合液に100mM HEPES緩衝液(pH7.0)を添加することで反応を行い、目的物を得た。本実施例では合成確認として紫外・可視吸収スペクトルを用いた測定を行うため、以下の水溶液を調製した。
1)100mM HEPES緩衝液(pH7.0)(なお、反応系内では上記反応式に示すように10mMとなる)
2)水
3)Cu(bpy)の600μM水溶液
4)MndMImPP@CB[10]の100μM水溶液
そして、1)を60μL、2)を(480−X)μL、3)をXμL、4)を60μL添加し、合計600μLで一定とした。Xの値を変化させることで、異なる濃度のCu(bpy)を添加した際の吸収スペクトル変化を追跡した。Xの値は0〜30まで変化させた。従って、添加したCu(bpy)の濃度は、0〜30μMであった。結果を図18(a)及び(b)に示す。
図18(a)及び(b)に示すように、MndMImPP/CB[10]水溶液にCu(bpy)水溶液を添加することで、吸収スペクトルの明らかな変化が観られた。ポルフィリン環特有の吸収であるSoret帯の吸収は463nmから462nmへシフトした。これは、MndMImPPとCu(bpy)がCB[10]内部で電子的に相互作用しているためである。従って、MndMImPP/Cu(bpy)/CB[10]二核錯体が形成されたことがわかる。
〔試験例19〕
触媒反応の例として、FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]の水中における酸素還元反応を評価した。
(酸素還元反応評価)
20μMのFeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10](実施例2で得られた多電子酸化還元触媒)0.9mLをクラーク型酸素電極の反応チャンバーに充填し、さらに、還元剤であるアスコルビン酸(Asc)水溶液0.1mLを添加し、Asc添加後の水溶液中の溶存酸素の減少を経時的に追跡した。溶存酸素濃度減少が飽和した後、残存Asc濃度を極大吸収波長265nm(ε265=16500cm−1−1)を用いて定量した。消費された酸素濃度とAscの濃度比から、酸素の還元電子数を算出した。測定条件を以下に示す。
(酸素還元反応測定条件)
温度:25℃
測定時間:5分
サンプル混合比:9.1(FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]水溶液: アスコルビン酸水溶液)
最終濃度: FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]:18μM
アスコルビン酸:2mM
結果を図19(a)及び(b)に示す。
図19(a)に示すように、FeTM−4−PyP/Cu(bpy)/CB[10]存在下、Asc添加後溶存酸素濃度の低下が観られ、Asc添加5分後において酸素濃度の減少は180μMで飽和した。一方、図19(b)に示すように、酸素濃度の減少に伴いAscの消費が観られた。本測定条件では、これは720μMのAscの減少に相当し、酸素に対して4当量のAscが消費されたことがわかる。このことから、本発明の多電子酸化還元触媒が優れた酸化還元触媒活性を有し、Ascを還元剤とした酸素の四電子還元反応(O+4H4e→2HO)が起きていることがわかる。
〔実施例20〕
触媒反応の例として、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の水中における酸素還元反応を評価した。
(酸素還元反応評価)
20μMのFeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10](実施例11で得られた多電子酸化還元触媒)0.9mLをクラーク型酸素電極の反応チャンバーに充填し、さらに、還元剤であるアスコルビン酸(Asc)水溶液0.1mLを添加し、Asc添加後の水溶液中の溶存酸素の減少を経時的に追跡した。溶存酸素濃度減少が飽和した後、残存Asc濃度を極大吸収波長265nm(ε265=16500cm−1−1)を用いて定量した。消費された酸素濃度とAscの濃度比から、酸素の還元電子数を算出した。測定条件を以下に示す。
(酸素還元反応測定条件)
温度:25℃
測定時間:5分
サンプル混合比:9.1(FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]水溶液: アスコルビン酸水溶液)
最終濃度:FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]:18μM
アスコルビン酸:2mM
結果を図20及び21に示す。
図20に示すように、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]存在下、Asc添加後溶存酸素濃度の低下が観られ、Asc添加5分後において酸素濃度の減少は190μMで飽和した。一方、図21に示すように、酸素濃度の減少に伴いAscの消費が観られた。本測定条件では、これは450μMのAscの減少に相当し、酸素に対して2.4当量のAscが消費されたことがわかる。このことから、本発明の多電子酸化還元触媒が、Ascを還元剤とした酸素の四電子還元反応(O+4H4e→2HO)及び二電子還元反応(O+2H+2e→H)を起こしていることがわかる。
〔実施例21〕
触媒反応の例として、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の水中における酸素還元反応を評価した。
(酸素還元反応評価)
20μMのFeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10](実施例1で得られた多電子酸化還元触媒)0.9mLをクラーク型酸素電極の反応チャンバーに充填し、さらに、還元剤であるアスコルビン酸(Asc)水溶液0.1mLを添加し、Asc添加後の水溶液中の溶存酸素の減少を経時的に追跡した。溶存酸素濃度減少が飽和した後、残存Asc濃度を極大吸収波長265nm(ε265=16500cm−1−1)を用いて定量した。消費された酸素濃度とAscの濃度比から、酸素の還元電子数を算出した。測定条件を以下に示す。
(酸素還元反応測定条件)
温度:25℃
測定時間:5分
サンプル混合比:9.1(FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]水溶液:アスコルビン酸水溶液)
最終濃度:FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]:18μM
アスコルビン酸:2mM
結果を図22及び23に示す。
図22に示すように、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]存在下、Asc添加後溶存酸素濃度の低下が観られ、Asc添加5分後において酸素濃度の減少は200μMで飽和した。一方、図23に示すように、酸素濃度の減少に伴いAscの消費が観られた。本測定条件では、これは600μMのAscの減少に相当し、酸素に対して3当量のAscが消費されたことがわかる。このことから、本発明の多電子酸化還元触媒が、Ascを還元剤とした酸素の四電子還元反応(O+4H4e→2HO)及び二電子還元反応(O+2H+2e→H)を起こしていることがわかる。四電子還元反応の選択性は50%と高選択的であり、本発明の多電子酸化還元触媒は、水中における優れた酸素の四電子還元触媒であることがわかる。
〔実施例22〕
電気化学反応の例として、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の水中における電気化学特性をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定により評価した。
(電気化学特性評価)
FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10](実施例11で示し多電子酸化還元触媒)の1mM水溶液1mLを電気化学セルに充填した。支持電解質として硫酸ナトリウム50mMを加え、窒素パージを10分以上行い溶存酸素を除去した。グラッシーカーボンを作用電極、コイル状白金をカウンター電極、銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を参照電極に用いた。−0.5V〜+0.5V(vs Ag/AgCl)の電位領域において掃引速度0.1V/sでCV測定を行った。結果を図24に示す。
図24に示すように、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)/CB[10]の酸化波及び還元波は超分子錯体形成によりブロード化した。また、酸化波、還元波ともに2本観測された。このことから、Fe2+⇔Fe3+での酸化還元がCB[10]内部において多段階で起きていることがわかる。このような電気化学的特性から、本発明の多電子還元触媒は、多段階の触媒反応を経由して多電子酸化還元反応を起こす触媒として機能することがわかる。
〔実施例23〕
電気化学反応の例として、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の水中における電気化学特性をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定により評価した。
(電気化学特性評価)
FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10](実施例1で示した多電子酸化還元触媒)の1mM水溶液1mLを電気化学セルに充填した。支持電解質として硫酸ナトリウム50mMを加え、窒素パージを10分以上行い溶存酸素を除去した。グラッシーカーボンを作用電極、コイル状白金をカウンター電極、銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を参照電極に用いた。−0.5V〜+0.5V(vs Ag/AgCl)の電位領域において掃引速度0.1V/sでCV測定を行った。結果を図25に示す。
図25に示すように、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)/CB[10]の酸化波及び還元波は超分子錯体形成によりブロード化した。また、酸化波、還元波ともに2本観測された。このことから、二核錯体の酸化還元がCB[10]内部において一段階で起きていることがわかる。このような電気化学的特性から、本発明の多電子還元触媒は、一段階の触媒反応を経由して多電子酸化還元反応を起こす触媒として機能することがわかる。
〔実施例24〕
触媒反応の例として、FeTM―4―PyP/fe(bpy)/CB[10]の水中における電気化学的二酸化炭素還元反応を評価した。
(二酸化炭素還元反応評価)
1mMのFeTM―4―PyP/fe(bpy)/CB[10](実施例11で得られた多電子酸化還元触媒)1mLを電気化学セルに充填した。支持電解質として硫酸ナトリウム100mMを加え、窒素パージを10分以上行うことで溶存酸素を除去し、次いで二酸化炭素パージを30以上行うことで溶液を二酸化炭素で飽和させた。グラッシーカーボンを作用電極、コイル状白金をカウンター電極、銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を参照電極に用いた。―1.7V〜―1.1V(vs Ag/AgCl)の電位領域において掃引速度0.1V/sで二酸化炭素還元反応を評価した。結果を図26に示す。
図26に示すように、FeTM―4―PyP/fe(bpy)/CB[10]は−1.7V〜−1.3V(vs Ag/AgCl)の電位領域において還元反応に由来する応答電流(約−400μA)が観測された。従って、FeTM―4―PyP/fe(bpy)/CB[10]は電気化学的な二酸化炭素還元反応を触媒していることがわかる。なお、生成物としては少なくとも一酸化炭素かギ酸が得られていると考えられる。応答電流がシャープであることから、競合反応として想定される水素発生反応(2H+2e→H)は起きていないことがわかる。これらのことから、本発明の多電子酸化還元触媒は、水中において選択的かつ電気化学的に二酸化炭素を還元する優れた触媒であることがわかる。


図1(a)及び(b)は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図2(a)及び(b)は、実施例2で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図3(a)及び(b)は、実施例3で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図4(a)及び(b)は、実施例4で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図5(a)及び(b)は、実施例5で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図6(a)及び(b)は、実施例6で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図7は、実施例7で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図8は、実施例8で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図9は、実施例9で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図10は、実施例10で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図11(a)及び(b)は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図12(a)及び(b)は、実施例12で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図13(a)〜(d)は、実施例13で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図14(a)及び(b)は、実施例14で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図15(a)及び(b)は、実施例15で得られた多電子酸化還元触媒の錯体形成挙動の追跡チャートである。 図16(a)及び(b)は、実施例16で得られた多電子酸化還元触媒におけるFeTM−4−PyP/Mg−porphine/CB[10]錯体形成にと もなう吸収スペクトル変化を示すチャートである。 図17(a)及び(b)は、実施例17で得られた多電子酸化還元触媒におけるMndMImP3P/Mg−porphine/CB[10]錯体形成にともなう吸収スペクトル変化を示すチャートである。 図18(a)及び(b)は、実施例18で得られた多電子酸化還元触媒におけるMndMImP3P/Cu(bpy)2/CB[10]錯体形成にともなう吸収スペクトル変化示すチャートである。 図19(a)及び(b)は、実施例2で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、aは、酸化還元反応状態を示すチャート、bは、アスコルビン酸濃度の減少を示すチャートである。 図20は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)2/CB[10]の酸素還元反応の結果を示すチャートである。 図21は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、酸素還元反応に伴うアスコルビン酸濃度の減少を示すチャートである。 図22は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)2/CB[10]の酸素還元反応を示すチャートである。 図23は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の触媒活性を示すチャートであり、酸素還元反応に伴うアスコルビン酸濃度の減少を示すチャートである。 図24は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の電気化学特性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Fe(bpy)2/CB[10]のサイクリックボルタモグラムを示すチャートである。 図25は、実施例1で得られた多電子酸化還元触媒の電気化学特性を示すチャートであり、FeTM−4−PyP/Mn(bpy)2/CB[10]のサイクリックボルタモグラムを示すチャートである。 図26は、実施例11で得られた多電子酸化還元触媒の電気化学特性を示すチャートであり、FeTM―4―PyP/fe(bpy)2/CB[10]の二酸化炭素還元反応を示すチャートである。

Claims (2)

  1. 7〜14員環のククルビット構造を有する環状化合物と、
    該環状化合物中に包摂される嵩高化合物とからなる触媒であって、
    該嵩高化合物は、下記化学式で表される金属ポルフィリン化合物と、該金属ポルフィリン化合物、下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(II)、及び下記化学式で表される金属ビピリジン化合物(III)からなる群より選択される化合物との2分子が包摂されていることを特徴とする多電子酸化還元触媒。
    また、R〜R12は、それぞれ同一または異なる置換基であって、それぞれ、−H,−OCH,−NH,−OH,又は−Clを示し、
    およびMは、それぞれ同一または異なる原子であって、2H、遷移元素、卑金属元素を示す。
    nは、金属の酸化数であって、0〜5の整数を示す。
  2. 上記金属ビピリジン化合物(II)及び金属ビピリジン化合物(III)のR〜R12は、同一または異なる置換基であって、−H,−OCH又は−OHであり、
    上記Mおよび上記Mは、2H、Mn、Fe、Cu、Co、Zn又はMgである
    請求項1記載の多電子酸化還元触媒。
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