JP2018033393A - 自閉症スペクトラム障害の判定方法と判定用キット - Google Patents

自閉症スペクトラム障害の判定方法と判定用キット Download PDF

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Abstract

【課題】自閉症スペクトラム障害(ASD)の判定方法および判定用キットを提供する。【解決手段】対象由来の生体材料のヒドロキシラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性およびアルコキシラジカル消去活性からなる群より選択される少なくとも2以上の活性酸素消去活性の測定値を、前記各活性酸素消去活性に対応する判定値と比較し、当該比較結果に基づき、前記対象がASDに罹患している可能性を求める判定工程を含むことを特徴とする。対象のヒドロキシラジカル消去活性値が前記判定値未満、スーパーオキシド消去活性値が前記判定値以上、アルコキシラジカル消去活性値が前記判定値以上のいずれか2以上を満たす場合に、ASDに罹患している可能性ありと判断する。【選択図】なし

Description

本発明は、被験者由来の生体材料に含まれる活性酸素消去活性を測定することを特徴とする、自閉症スペクトラム障害の判定方法および判定用キットに関する。
自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder、以下単にASDと称する。)とは、従来、自閉性障害、アスペルガー障害、小児崩壊性障害、レット障害、特定不能の5つの広汎性発達障害を、2013年5月に発表された米国精神医学会診断基準の改訂第5版(DSM−5)にて、遺伝要因が明確であるレット障害を除いた4つを一つの連続した包括概念として新たに分類した名称である。コミュニケーション能力や社会性、想像性、さらに行動・興味・活動における限定的かつ反復的なパターンに特異が観察される。欧米ではおよそ68人に1人がASDと報告され、頻度の高い発達障害である。ASDを含む発達障害に対する「療育」の開始時期は早い方が効果的であり、ASDの症状が初めて現れる2歳前後から就学までに「療育」を開始できることが好ましい。
現在、ASDの診断にはDSM−5における診断基準が用いられている。この基準は、社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害や限定された反復する様式の行動、興味、活動等の観察に基づくものであり、客観的・生物学的な審査判定基準ではない。また、未就学児は本来言語表現等も未発達であり、児童精神医学に関する豊富な経験を有する医師による高度に専門的な判断が要求されるため、ASDの早期発見を困難にする一因となっている。
ASDの早期発見のため、母親由来の生物試料に含まれる特定バイオマーカーへの抗体を指標とする方法も開発されている。具体的には、当該生物試料に含まれる、乳酸脱水素酵素、グアニン脱アミノ酵素、コラプシン反応媒介タンパク質1、ジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2、ストレス誘導性リンタンパク質1、及びYボックス結合タンパク質1からなる群から選択される1以上のポリペプチドへの抗体を指標とするものであり、当該母親が生む胎児がASDを発症する可能性を決定することができるという(特許文献1)。
また、ASDの原因を、乳幼児期の酸化ストレスや活性酸素消去活性の異常と結びつける報告もある(非特許文献1)。酸化ストレスの異常として、(1)グルタチオン系の異常に関し、グルタチオンの減少、その代謝関連酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼの活性低下、その代謝関連物質であるメチオニンおよびシステインの減少、酸化型グルタチオンの増加、(2)メチレンテトラヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子(MTHFR)におけるC677Tアレルの異常、(3)ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEの異常があるという。
特許第5823964号公報
Frustaci A,etc. "Oxidative stress−related biomarkers in autism: systematic review and meta−analyses."Free Rad. Biol. Med. Vol.52(2012),p2128−2141 玉田紘太等、「自閉症ヒト型モデルマウスの開発」、2011年、生化学第83巻第9号、p841−845
特許文献1に示す方法は、妊娠の有無にかかわらずある女性がASD児を出産する可能性を推定するものであり、その女性が産んだ子供が実際にASDであるか否かを判定するものではない。ASDの臨床診断について、社会的コミュニケーションや相互関係の持続性などの観察のみに依拠した判定法に依存すると、言語能力の発達が十分でない乳幼児のASDの早期発見に対応できない場合が生じる。また、聴覚障碍者や視覚障碍者によるASDの診断が困難となる場合がある。したがって、生体材料を使用し、客観的にASD罹患の可能性を判定しうる方法の開発があれば、聴覚障碍者や視覚障碍者によるASDの判定が可能となり、便宜である。
また、非特許文献1に示すように、ASDを酸化ストレスと結びつける報告もあるが、活性酸素消去活性に基づいてASD罹患可能性を判定する方法は存在しない。活性酸素には、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシド、アルコキシラジカル、ペルオキシラジカル、一重項酸素等があり、特にラジカルの測定は容易でないという問題もある。複雑な酸化ストレス関連反応を多元的に評価することは容易でなく、臨床診断として用いることができるような十分な感度や特異度、尤度比の特定も困難だからである。したがって、各種活性酸素消去能とASDとの関連を明らかにし、対象由来の生体材料の各種活性酸素の消去活性に基づき、簡便にASD罹患可能性を判定しうる方法の開発が望まれる。
また、被験者由来の生体材料の各種活性酸素の消去活性に基づき、簡便にASD罹患可能性を判定しうる方法、および判定用キットの開発が望まれる。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、被験者の生体材料に含まれる活性酸素消去活性を指標にしたASD罹患可能性の判定方法を提供することを目的とする。
また、ASDの判定用キットを提供することを目的とする。
本発明は、電子スピン共鳴によるスピントラップ法によれば、対象由来の生体材料に含まれるヒドロキシラジカル、アルコキシラジカル、スーパーオキシド、アルコキシラジカル、ヒドロキシラジカル、ペルオキシラジカル、一重項酸素などの活性酸素種の消去活性の測定が可能であること、これら測定値とASD罹患者との間に一定の関係があることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の観点に係るASDの判定方法は、対象由来の生体材料のヒドロキシラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性およびアルコキシラジカル消去活性からなる群より選択される少なくとも2以上の活性酸素消去活性の測定値を、前記各活性酸素消去活性に対応する判定値と比較し、当該比較結果に基づき、前記対象がASDに罹患している可能性を求める判定工程を含むことを特徴とする。
また、前記活性酸素消去活性が、ペルオキシラジカル消去活性および/または一重項酸素消去活性をさらに含むことを特徴とする。
前記判定工程では、前記比較結果が、以下の判定要件を満たすか否かを示すものであり、前記判定要件は、
前記ヒドロキシラジカル消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記ヒドロキシラジカル消去活性の判定値未満であるという第1の判定要件、
前記スーパーオキシド消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記スーパーオキシド消去活性の判定値以上であるという第2の判定要件、
前記アルコキシラジカル消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記アルコキシラジカル消去活性の判定値以上であるという第3の判定要件、
前記ペルオキシラジカル消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記ペルオキシラジカル消去活性の2つの判定値の間にあるという第4の判定要件、および、
前記一重項酸素消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記一重項酸素消去活性の2つの判定値の間にあるという第5の判定要件、を含むことを特徴とする。
前記判定工程では、前記比較結果が、前記第1の判定要件、第2の判定要件および第3の判定要件のいずれか2つ以上満たす場合に前記対象はASDに罹患している可能性ありと判定することを特徴とする。
前記判定工程では、前記比較結果が、前記第1の判定要件、前記第2の判定要件、および前記第3の判定要件のうち2つ以上満たし、且つ、前記第4の判定要件または前記第5の判定要件を満たす場合に前記対象はASDに罹患している可能性がより高いと判定することを特徴とする。
前記判定工程は、前記各活性酸素消去活性の前記測定値を、対応する1つ以上の前記判定値と比較し、当該比較結果に基づいて前記各活性酸素消去活性にスコアを割り付け、ASDへの罹患可能性を前記スコアの合計値として求めることを特徴とする。
また、前記各活性酸素消去活性は、電子スピン共鳴によるスピントラップ法で測定されることを特徴とする。
更に、前記判定値は、定型発達群および/またはASD群での前記活性酸素消去活性の測定値に基づき予め決定されることを特徴とする。
好ましくは、前記生体材料は、血液、唾液、涙、汗、リンパ液、尿、髄液、口腔粘膜、毛根、皮膚および大便からなる群から選択されるいずれか1種以上である。
本発明の第2の観点に係るASDの判定キットは、活性酸素発生剤と、スピントラップ剤とを、対象由来の生体材料に含まれる活性酸素消去活性の測定試薬として含むことを特徴とする。
本発明によれば、対象に由来する生体材料に含まる複数の活性酸素消去能を測定し、予め設定した判定値と比較することで、客観的にASDの罹患可能性を判定することができる。
実施例1で測定した各種活性酸素消去活性の定型発達群とASD群との群間比較を示す図である。 実施例1で統計的有意差が検出された、ヒドロキシラジカル、アルコキシラジカル、スーパーオキシドの事前確率と事後確率との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)活性酸素消去活性の測定
本発明に係るASDの判定方法では、各活性酸素消去活性の測定値を使用する。活性酸素とは、酸素がより反応性の高い分子種であるスーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素などに変化した場合の呼称である。フリーラジカルとは不対電子を有する分子のことをいい、スーパーオキシドやヒドロキシルラジカルなどがある。活性酸素消去活性として、ヒドロキシラジカル消去活性、アルコキシラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性がある。更に、ペルオキシラジカル消去活性および/または一重項酸素消去活性を測定することが好ましい。活性酸素種は反応性が高く、常温常圧では安定に存在する時間(寿命)が短いが、電子スピン共鳴装置(Electron Spin Resonance:以下、単にESRと称する)を用いたスピントラップ法で測定することができる。一定量の活性酸素が生成できる溶液に試料を加え、発生する活性酸素量が減少すれば活性酸素消去活性ありと評価することができる。
ESRスピントラップ法では、試料に、活性酸素種を安定で長寿命のフリーラジカルに変換するためのスピントラップ剤を添加する。スピントラップ剤が不安定な活性酸素と反応してより安定なフリーラジカルであるスピンアダクトを生成し、ESRによる検出が可能となる。例えば、使用できるスピントラップ剤としてCYPMPO(5-(2,2-dimethyl-1,3-propoxycyclophosphoryl)-5-methyl-1-pyrroline-N-oxide)がある。CYPMPOを用いると、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシド、アルコキシラジカルおよびペルオキシラジカルなどがCYPMPOと反応し、それぞれのスピンアダクトを生成する。スピンアダクトのESRスペクトルの特性から活性酸素種を区別し、かつそれらの消去活性を定量することができる。このように、ESRを用いれば、フリーラジカルの有無の確認と定量が可能である。また、一重項酸素はフリーラジカルではないが、スピントラップ剤として4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine(以下、4−OH−TEMPと称す。)を用いることにより、ESRを用いて定量が可能である。本発明の活性酸素消去活性の測定で使用できるスピントラップ剤は、不安定なフリーラジカルや一重項酸素から安定なスピンアダクトを生成できれば、上記に限定されるものではない。また、活性酸素発生剤も特に限定されるものではない。
活性酸素の消去活性は、所定の抗酸化物質による消去活性の相当量で評価することができる。例として、ヒドロキシラジカル消去活性測定法を下記に示す。試料を含有しないフリーラジカル生成溶液に含まれるヒドロキシラジカル由来のスピンアダクトのピーク高さ(I0)を定量し、次いで、前記フリーラジカル生成溶液に試料を添加して同様にヒドロキシラジカル由来のスピンアダクトのピーク高さ(IS)を定量し、I0/(IS−1)を算出すれば、ヒドロキシラジカル消去活性比を得ることができる。一方、予めサンプルに代えて測定する活性酸素に対して特異性の高い抗酸化物質(本例示の場合はグルタチオン(以下、GSHと称す。)がこれに相当する)を用いて、上記と同様に操作してGSH量とヒドロキシラジカル消去活性比の検量線を作成しておく。この検量線を用いれば、サンプルのヒドロキシラジカル消去活性比をGSH相当量として算出することができる。このようにして得られたGSH相当量を、「ヒドロキシラジカル消去活性」とする。他の活性酸素消去活性も、対応する消去活性評価物質の相当量を算出し、消去活性とする。
ESRスピントラップ法では、活性酸素を発生させる物質を変更することで、特定の活性酸素種を生成させることができる。例えば、ヒドロキシラジカルを生成するために、過酸化水素と紫外光の照射を組み合わせることができる。このような物質や電磁波の種類は、各活性酸素に応じて適宜選択することができる。また、検量線作成に使用するGSHなどの消去活性評価物質も、各活性酸素表比活性の定量性が確保できればよく、特に制限はない。消去活性評価物質として、GSHの他、スーパーオキシド不均化酵素(以下、SODと称す)、トロロクス、α−リポ酸などを使用することができる。
(2)判定値
「判定値」とは、対象の活性酸素消去活性の測定値を所定の区分に割り振るための数値である。活性酸素消去活性毎に1個以上を設定することができる。
定型発達群とASD群のヒドロキシラジカル消去活性を比較したところ、後記する実施例1に示すように、ASD群はp<0.05の統計的有意差で定型発達群より低値であった。一方、スーパーオキシド消去活性は、p<0.01の統計的有意差で定型発達群より高値であり、アルコキシラジカル消去活性も、p<0.05の統計的有意差で定型発達群より高値であった。更に、ペルオキシラジカル消去活性や一重項酸素消去活性について定型発達群とASD群との群間比較を行ったところ、ペルオキシラジカル消去活性および一重項酸素消去活性は定型発達群とp<0.05の統計的有意差は検出されなかったが、所定範囲で同等性が認められた。そこで、各種活性酸素消去活性を指標とするASD罹患の判定が可能であるかを検討したところ、活性酸素消去活性毎に判定値を設定し、測定値を判定値で区分することで、ASDの罹患可能性を判定しうることが判明した。
(3)判定要件を用いた判定
本方法は、対象由来の測定値と判定値とを比較し、その比較結果に基づき、対象がASDに罹患している可能性を求める判定工程を含む。判定工程では、比較結果が、(i)対象のヒドロキシラジカル消去活性の測定値がヒドロキシラジカル消去活性の判定値未満という第1の判定要件、(ii)対象のスーパーオキシド消去活性の測定値がスーパーオキシド消去活性の判定値以上という第2の判定要件、(iii)対象のアルコキシラジカル消去活性の測定値がアルコキシラジカル消去活性の判定値以上という第3の判定要件の、いずれか2つ以上満たす場合に前記対象はASDに罹患している可能性ありと判定する。上記第1〜第3の判定要件に加え、(iv)ペルオキシラジカル消去活性の測定値を含む場合には、対象の測定値がペルオキシラジカル消去活性の2つの判定値の間にあるという第4の判定要件、および(v)一重項酸素消去活性の測定値を含む場合には、対象の測定値が一重項酸素消去活性の2つの判定値の間にあるという第5の判定要件の、いずれか1つ以上満たす場合に、より高確率でASDに罹患している可能性が高いと判断する。
上記判定要件に使用する判定値は、ASD群由来の生体材料と、定型発達群由来の生体材料についてそれぞれ各活性酸素消去活性を測定し、その測定値が定型発達群とASD群とで統計的有意差がある場合はカットオフ値を求め、これを判定値とすることができる。また、ASD群と定型発達群との間に統計的有意差が無い場合は、所定の信頼区間を設定し同等性検定を行い、優越性が無く同等性を示す上限値と下限値をそれぞれ判定値として用いることができる。例えば、両群の95%信頼区間などを元に同等とみなす区間を設定し、この区間を用いてある対象の活性酸素消去活性が同等であるか否かを判定してもよい。同等とみなす区間は、任意に設定できるが、例えば、定型発達群とASD群の95%信頼区間全体を所定のマージンを挟んで含む区間や、定型発達群とASD群を一群とした時の平均値±2SDを上限値及び下限値とする区間などに設定してもよい。これ以外に、各活性酸素消去活性の測定値に基づいてASD罹患可能性を判定できるのであれば、他の方法を用いて判定値を設定してもよい。
上記判定要件を導入すると、対象の測定値を、判定要件を具備する区分と、判定要件を具備しない区分の2区分に分割するだけで、ASD罹患可能性を判定することができる。表1に、判定値、判定値による区分を例示する。対象由来のヒドロキシラジカル消去活性が判定値H未満の場合は区分Aに、H以上の場合は区分Bに割り振られ、対象由来のペルオキシラジカル消去活性が判定値PnとPmの間の場合は、区分Aに割り振られる。なお、本明細書において、Pn〜Pm等で示す範囲は、下限値および上限値を含むものとする。
ASD罹患可能性の判定に際し、ヒドロキシラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性、およびアルコキシラジカル消去活性を測定した場合に、ヒドロキシラジカル消去活性は重要度が高いため、ヒドロキシラジカル消去活性が前記判定値未満(第1の判定要件を満たす)であり、かつスーパーオキシド消去活性が前記判定値以上(第2の判定要件を満たす)である場合を「疑い例」と判定し、更にアルコキシラジカル消去活性が前記判定値以上(第3の判定要件を満たす)である場合を「確実例」と判定してもよい。「疑い例」や「確実例」を設けることで、ASD罹患可能性をより確実に判定することができる。
(4)スコアによる判定
各活性酸素消去活性を判定値によって区分に割り振り、各区分にスコアを割り付け、スコアの合計でASD罹患可能性を判定することもできる。各前記活性酸素消去活性の前記測定値を、各活性酸素消去活性毎に対応する1つ以上の前記判定値と比較していずれかの区分に振り分け、各活性酸素消去活性のスコアの合計から、ASDへの罹患可能性を判定する。
スコアは、各活性酸素消去活性の各区分毎に設定することができる。スコアを付した1例を表2に示す。X、X、・・・X11で示されるスコアは、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。表2では、ヒドロキシラジカル消去活性に2個の判定値を導入し、対象の測定値を3つに区分する例を示した。区分数は、各活性酸素毎に同じでも異なっていてもよい。表2では、5種の活性酸素を対象としたが、少なくともヒドロキシラジカル、スーパーオキシドおよびアルコキシラジカルのいずれか2種を用いればよく、5種に限定されるものではない。
各区分に割り振るスコアは、各活性酸素消去活性値とASDとの関連性の重要度、実施例1に示す感度、特異度、陽性尤度比などを参照し、判定目的と使用状況に応じ決定することができる。たとえば、偽陽性の検出を避けたい場合には高いスコア値を導入し、偽陰性の検出を避けたい場合には低いスコア値を導入することができる。その他、予めASD群と定型発達群の生体材料を用いて活性酸素消去活性を測定し、判定目的や使用状況に応じたASD罹患可能性が判定できるスコアを適宜選択することができる。
使用する判定値は、前記した判定要件に用いる判定値を用いてもよく、異なる判定値を使用してもよい。予め、ASD群と定型発達群の生体材料を用いて各活性酸素消去活性を測定値し、所定の数値を用いて測定値を区分し、感度、特異度、陽性尤度比などを算出し、判定目的や使用状況に応じたASD罹患可能性を判定できる数値を判定値として選択することができる。
表2において、対象由来の生体材料の合計スコアの最大値が、例えば13の場合、合計スコアに応じて、合計スコアが8以上をASD罹患陽性などと設定することができる。また、合計スコアに基づいて、5未満を陰性、5以上6未満を偽陰性、6以上8未満を偽陽性、8以上を陽性などと判定してもよい。スコアは、数値に限定されるものではなく、「+」や「−」といった定性的な符号を使用してもよく、「+」や「−」の数に応じて、ASD罹患の可能性を判定してもよい。
(5)対象
ASDを判定する対象は、ヒトの他、マウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類、サルなどの霊長類であってもよい。これらは非特許文献2に示すようにASDのモデル動物として使用される場合がある。モデル動物構築の指標として、本方法の判定方法を適用することができる。また、対象がヒトの場合、年齢に制限はない。言語能力等が未発達な幼児や小児を対象に含めることができる。
本方法で使用できる生体材料としては、末梢血、静脈血、動脈血などの血液、涙、汗、リンパ液、髄液などの体液、毛根、皮膚、口腔粘膜などの細胞組織、尿、唾液、大便などの排泄物がある。血液は、全血でも血清でもよい。
(6)判定用キット等
本発明のASDの判定用キットは、活性酸素発生剤と、スピントラップ剤とを、対象由来の生体材料に含まれる活性酸素消去活性の測定試薬として含む。活性酸素発生剤としては、過酸化水素、リボフラビン、2,2’−アゾビス[2−アミノジプロパン]ジヒドロクロライド(2,2’-azobis[2-aminodipropane]dihydrochloride(以下AAPHと称す。)、t-butylhydroperoxide(以下t−BuOOHと称す)およびロゼベンガルなどがあり、スピントラップ剤としては、CYPMPO、4−OH−TEMPなどがある。ただし、活性酸素の発生法やスピントラップ剤にはこれらに限定されるものではない。
本発明の判定方法を組み込んだ判定装置を構築することもできる。ESRからの測定値を記憶する記憶装置、測定値と判定値とを比較し、上記判定要件の具備を判断する分析回路、および結果を出力する出力装置を連設させればよい。ESRに記憶装置、分析回路、出力装置などを配設してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、活性酸素消去活性は以下の方法で測定し、感度、特異度、陽性尤度比は以下の方法で算定した。
(I)活性酸素消去活性の測定方法
各種活性酸素消去活性は、表3に記載する活性酸素発生法、スピントラップ剤を使用し、ESRによるスピントラップ法で測定し、表3に記載する消去活性評価物質の相当量に換算した。
(1)ヒドロキシラジカルの測定
超純水に活性酸素発生剤として過酸化水素およびCYPMPOを各々最終濃度10mMとなるように加えた。これを、ESR(ラジカルリサーチ社製、商品名「RRX−1X」)キャビティー内にセットした測定用セルに導入し、波長300〜400nmの紫外光を5秒間照射してヒドロキシラジカルを発生させた。生成したフリーラジカルを、CYPMPOでスピントラップしてCYPMPO−OHを生成させ、ESR解析用ソフトウエア(ラジカルリサーチ社製、商品名「WIN−RAD」)でCYPMPO−OH信号の波高を測定した。この信号値を(I0)とする。
ついで、サンプルを最終濃度10%となるように、上記過酸化水素およびCYPMPOを各々最終濃度10mM含有する溶液に添加し、上記と同様に操作し、CYPMPO−OH信号の波高を測定した。この信号値を(IS)とし、I0/(IS−1)の値を算出した。
一方、上記サンプルに代えて抗酸化物質としてGSHを用い、上記過酸化水素およびCYPMPOを各々最終濃度10mM含有する溶液に添加し、上記と同様に操作し、CYPMPO−OH信号の波高を測定し、信号値を(IG)とした。複数濃度のGSHで測定し、GSH濃度をX軸、IO/(IG−1)をY軸にプロットして検量線を作成した。この検量線を用い、サンプルのヒドロキシラジカル消去活性であるI0/(IS−1)を、対応するGSHの相当量で算出した。
(2)スーパーオキシドの測定
過酸化水素に代えて最終濃度20μMのリボフラビンを加え、および紫外光照射に代えて波長500〜600nmの可視光を60秒照射した以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作し、信号値(IS)を測定し、およびI0/(IS−1)を算出した。次いで、GSHに代えてスーパーオキシド不均化酵素(SOD)を使用した以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作して検量線を作成し、サンプルのスーパーオキシド消去活性であるI0/(IS−1)を、対応するSODの相当量で算出した。
(3)アルコキシラジカルの測定
過酸化水素に代えて、最終濃度1mMのAAPHを加えた以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作し、信号値(IS)を測定し、およびI0/(IS−1)を算出した。次いで、GSHに代えてトロロクスを使用した以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作して検量線を作成し、サンプルのアルコキシラジカル消去活性であるI0/(IS−1)を、対応するトロロクスの相当量で算出した。
(4)ペルオキシラジカルの測定
過酸化水素に代えて、最終濃度10mMのt−BuOOHを加えた以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作し、信号値(IS)を測定し、およびI0/(IS−1)を算出した。次いで、GSHに代えてα−リポ酸を使用した以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作して検量線を作成し、サンプルのペルオキシラジカル消去活性であるI0/(IS−1)を、対応するリポ酸の相当量で算出した。
(5)一重項酸素の測定
過酸化水素最終濃度200μMのロゼベンガルを加え、および紫外光に代えて波長500〜600nmの可視光を60秒照射し、CYPMPOに代えて4−OH−TEMPを用いた以外は(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作し、信号値(IS)を測定し、およびI0/(IS−1)を算出した。次いで、(1)のヒドロキシラジカルの測定と同様に操作して検量線を作成し、サンプルの一重項酸素消去活性であるI0/(IS−1)を、対応するGSHの相当量で算出した。
(II)判定値の算出方法
定型発達群とASD群を所定の判定値で区分すると、表4に示すようにTN(真陰性)、TP(真陽性)、FN(偽陰性)およびFP(偽陽性)の4区分に分画される。TNは、ヒドロキシラジカル消去活性が、カットオフ値を超える定型発達群であり、またスーパーオキシドおよびアルコキシラジカル消去活性においてカットオフ値を下回る定型発達群であり、定型発達群が正常であると判定される区分である。また、TPは、ヒドロキシラジカル消去活性においてカットオフ値を下回るASD群であり、またスーパーオキシドおよびアルコキシラジカル消去活性においてカットオフ値を超えるASD群であり、ASD群がASDであると判定される区分である。一方、FNはASDでありながら正常と判定される区分、同様にFPは正常であるにも関わらずASDと判定される区分である。
感度(SN)とは、ASD群が陽性になる確率を意味し、SN=TP/(TP+FN)で算出される。また、特異度(SP)とは、定型発達群が陰性になる確率であり、SP=TN/(FP+TN)で算出される。陽性尤度比(LR+)とは、真陽性(TP)の割合と偽陽性(FP)の割合の比であり、LR+=(TP/(TP+FN))/(FP/(FP+TN))=SN/(1−SP)で算出される。
定型発達群とASD群において有意差が存在する場合、カットオフ値を変数として、X軸に(1−SP)、Y軸に感度(SN)をプロットして受信者動作特性曲線(ROC曲線)を作成し、(SN/(1−SP))が最大値となるYouden Indexをカットオフ値として特定した。なお、前記ROC曲線の曲線下面積をAUC(area under curve)と称する。所定の検査方法において、定型発達群とASD群の間で検査結果に差が検出される場合、AUCは0.5〜1.0となる。AUCが0.9〜1.0の場合、前記所定の検査方法は高い正確性を有すると考えられ、0.7〜0.9の場合、その正確性は中等度と考えられている。
一方、定型発達群とASD群において有意差がない場合は、両群の95%信頼区間を元に同等とみなす区間を設定し、この区間を用いてある対象の活性酸素消去活性が同等であるか否かを判定した。
(III)事後確率の算出
事前確率とは、条件付確率の一種で、ある変数について知られていることを確率として表現したものであり、当該方法を用いる前の段階でASDと考えられる確率である。また、事後確率とは、事前確率の判断の後に当該方法を用い陽性と判断された場合ASDを有する確率であり、例えば、当該方法を用い陽性と判断された場合にASDを有する確率である。
また、事前確率より事前オッズを計算し、事前オッズに陽性尤度関数を掛けることで事後オッズが得られ、事後オッズから事後確率を得ることができる。事前オッズは「事前確率/(1−事前確率)」、事後オッズは「事後確率/(1−事後確率)」で表される。陽性尤度比とは検査が陽性だった場合の尤度の比であり、大きいほど疾病確定判定方法にすぐれることを意味する。
なお、事後オッズ算出の際の陽性尤度比は、測定対象の反応機構が独立している場合、各機構に基づく陽性尤度比の積で算出することができる。例えば、活性酸素種の消去機構がそれぞれ独立している場合、A活性酸素消去能に基づく陽性尤度比AとB活性酸素消去能に基づく陽性尤度比Bを求め、事後オッズ=陽性尤度比A×陽性尤度比B×事前オッズとして算出することができる。
(実施例1)
児童精神医学専門医の診察を受けた5歳以下のASD(n=22〜23)および定型発達児(n=33〜34)の末梢血液を採取した。生体成分に含まれるヒドロキシラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性、アルコキシラジカル消去活性、ペルオキシラジカル消去活性および一重項酸素消去活性を上記したESRによるスピントラップ法により測定した。
各種活性酸素消去活性のt検定による群間比較の結果を図1に示す。図1に示すように、ASD群は定型発達群に比べ、ヒドロキシラジカル消去活性が有意に低下した。一方、スーパーオキシドおよびアルコキシラジカル消去活性は有意に上昇していた。ペルオキシラジカルおよび一重項酸素に対する消去活性は両群で差が認められなかった。
ヒドロキシラジカル、スーパーオキシド、およびアルコキシラジカルの消去活性は、ASD群と定型発達群との間に統計学的有意差が検出され、判定値としてカットオフ値を用いた。統計学的有意差を示さない活性酸素種、すなわちペルオキシラジカル、一重項酸素については、判定要件として95%信頼区間をもとに設定した同等とみなす区間の間にあるものとし、判定値は、前記区間の上限値と下限値とした。表5に、判定値、判定要件、感度、特異度、陽性尤度比、AUC、各群の95%信頼区間を示す。
ヒドロキシラジカル消去活性に関し、ASD群を5.3mMGSH相当未満とした場合
感度(SN)=TP/(TP+FN)=13/22=0.59
特異度(SP)=TN/(TN+FP)=26/33=0.79
陽性尤度比=SN/(1−SP)=(13/22)/(7/33)=2.79
AUC=0.85
スーパーオキシド消去活性に関し、ASD群を9.35U/mlSOD相当以上とした場合
感度(SN)=TP/(TP+FN)=16/23=0.70
特異度(SP)=TN/(TN+FP)=32/33=0.97
陽性尤度比=SN/(1−SP)=(16/23)/(1/33)=23.0
AUC=0.87
アルコキシラジカル消去活性に関し、ASD群を1.95mMトロロクス相当以上とした場合
感度(SN)=TP/(TP+FN)=15/23=0.65
特異度(SP)=TN/(TN+FP)=25/34=0.74
陽性尤度比=SN/(1−SP)=(15/23)/(9/34)=2.46
AUC=0.86
ペルオキシラジカル消去活性に関し、ASD群を0.24〜1.08mMα−リポ酸相当とした場合
感度(SN)=TP/(TP+FN)=18/23=0.78
特異度(SP)=TN/(TN+FP)=23/33=0.70
陽性尤度比=SN/(1−SP)=(18/23)/(10/33)=2.58
一重項酸素消去活性に関し、ASD群を13〜21μMGSH相当とした場合
感度(SN)=TP/(TP+FN)=9/23=0.39
特異度(SP)=TN/(TN+FP)=27/33=0.81
陽性尤度比=SN/(1−SP)=(9/23)/(6/33)=2.15
図2に、ヒドロキシルラジカル消去活性測定、アルコキシラジカル消去活性測定、およびスーパーオキシド消去活性測定に基づく事前確率と事後確率との関係を示し、それぞれ曲線I、II、IIIで示した。更に、ヒドロキシルラジカル消去活性測定とアルコキシラジカル消去活性測定に基づく事前確率と事後確率との関係を曲線I+IIに、ヒドロキシルラジカル消去活性測定、アルコキシラジカル消去活性測定、およびスーパーオキシド消去活性測定に基づく事前確率と事後確率との関係を曲線I+II+IIIに示す。
ASDにおける各活性酸素種の消去機構はそれぞれ独立しているため、ヒドロキシルラジカル消去活性に基づく陽性尤度度、アルコキシラジカル消去活性に基づく陽性尤度比から、ヒドロキシルラジカル消去活性における陽性尤度比×アルコキシラジカル消去活性における陽性尤度比×事前オッズ=事後オッズと算出することができる。表5を参照すれば、曲線I+IIの事後オッズは、2.79×2.46×事前オッズ=6.86×事前オッズと算出される。同様にヒドロキシルラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性、およびアルコキシラジカル消去活性の3種類に基づいて評価した場合、曲線I+II+IIIの事後オッズは、2.79×23.0×2.46=157.9×事前オッズと算出される。血清のヒドロキシルラジカル消去活性、アルコキシラジカル消去活性およびスーパーオキシド消去活性を測定し、いずれも検査陽性であった場合には、図2に示すように事前確率が50%のときの事後確率は99%であり、ASDの判定に際し非常に有用な方法であることが判明した。
図1を加味すれば、ペルオキシラジカルおよび一重項酸素が基準範囲内にある場合には、特異度を100%とすることができる。
(実施例2)
実施例1のASD(n=22〜23)および定型発達児(n=33〜34)の末梢血液について、実施例1の判定値を使用して各活性酸素消去活性値を区分し、各区分に表6に記載のスコアを付した。
対象由来の生体材料のヒドロキシラジカル消去活性が5mMGSH相当、スーパーオキシド消去活性が10U/mlSOD相当、アルコキシラジカル消去活性が2mMトロロクス相当、ペルオキシラジカル消去活性が0.7mMα−リポ酸相当、一重項酸素消去活性が15μMGSH相当の場合、スコアの合計は11となる。スコア値6.5以上を陽性とした場合、この対象は感度65%(95%信頼区間42〜83%)、特異度97%(95%信頼区間84〜99%)、陽性尤度比22.17の状況において陽性とされ、すなわちASDに罹患している可能性が高いと判断することができる。

Claims (10)

  1. 対象由来の生体材料のヒドロキシラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性およびアルコキシラジカル消去活性からなる群より選択される少なくとも2以上の活性酸素消去活性の測定値を、前記各活性酸素消去活性に対応する判定値と比較し、当該比較結果に基づき、前記対象が自閉症スペクトラム障害に罹患している可能性を求める判定工程を含むことを特徴とする自閉症スペクトラム障害の判定方法。
  2. 前記活性酸素消去活性は、ペルオキシラジカル消去活性および/または一重項酸素消去活性をさらに含む、請求項1に記載の判定方法。
  3. 前記判定工程では、前記比較結果が、以下に列記する判定要件、
    前記ヒドロキシラジカル消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記ヒドロキシラジカル消去活性の判定値未満であるという第1の判定要件、
    前記スーパーオキシド消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記スーパーオキシド消去活性の判定値以上であるという第2の判定要件、
    前記アルコキシラジカル消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記アルコキシラジカル消去活性の判定値以上であるという第3の判定要件、
    前記ペルオキシラジカル消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記ペルオキシラジカル消去活性の2つの判定値の間にあるという第4の判定要件、および、
    前記一重項酸素消去活性の測定値を含む場合、当該測定値が前記一重項酸素消去活性の2つの判定値の間にあるという第5の判定要件、を満たすか否かを示すものである、請求項1または2に記載の判定方法。
  4. 前記判定工程では、前記比較結果が、前記第1の判定要件、第2の判定要件および第3の判定要件のいずれか2つ以上満たす場合に前記対象は自閉症スペクトラム障害に罹患している可能性ありと判定する、請求項3に記載の判定方法。
  5. 前記判定工程では、前記比較結果が、前記第1の判定要件、前記第2の判定要件、および前記第3の判定要件のうち2つ以上満たし、且つ、前記第4の判定要件または前記第5の判定要件を満たす場合に前記対象は自閉症スペクトラム障害に罹患している可能性がより高いと判定する、請求項3に記載の判定方法。
  6. 前記判定工程は、前記各活性酸素消去活性の前記測定値を、対応する1つ以上の前記判定値と比較し、当該比較結果に基づいて前記各活性酸素消去活性にスコアを割り付け、自閉症スペクトラム障害への罹患可能性を前記スコアの合計値として求める、請求項1または2に記載の判定方法。
  7. 前記各活性酸素消去活性は、電子スピン共鳴によるスピントラップ法で測定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の判定方法。
  8. 前記判定値は、定型発達群および/または自閉症スペクトラム障害群での前記活性酸素消去活性の測定値に基づき予め決定される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の判定方法。
  9. 前記生体材料は、血液、唾液、涙、汗、リンパ液、尿、髄液、口腔粘膜、毛根、皮膚および大便からなる群から選択されるいずれか1種以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の判定方法。
  10. 活性酸素発生剤と、スピントラップ剤とを、対象由来の生体材料に含まれる活性酸素消去活性の測定試薬として含む、自閉症スペクトラム障害の判定用キット。
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