JP2018030919A - グリコクラスター化合物、アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体、分散剤及び包接錯体 - Google Patents

グリコクラスター化合物、アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体、分散剤及び包接錯体 Download PDF

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宏亮 北岸
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征来 平田
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Kota Kimura
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Abstract

【課題】疎水性物質全般に対して少ない選択性で相互作用して、疎水性物質に対する分散剤として機能するグリコクラスター化合物、これと関係するアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体、分散剤、及び包接錯体の提供。【解決手段】式(II)で表されるグリコクラスター化合物。前記化合物を含む疎水性物質の分散剤。前記化合物と、テトラキス(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン、プロトポルフィリンIX、ヘミン、フラーレンから選択される疎水性物質とを含む包接錯体。(nは6〜8の整数;Rは各々独立にH、CH3、C2H5、C3H6OH又はCH2CH(OH)CH3;Acはアセチル基。)【選択図】なし

Description

本発明は、複数のオリゴ糖を一つの分子に凝集したグリコクラスター化合物、その合成中間体であるアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体、グリコクラスター化合物を有効成分とする分散剤、グリコクラスター化合物と疎水性物質との包接錯体に関する。
疎水性の高い物質は、水などの極性溶媒中では分子会合し易く、分子会合によって物質本来の特性を損ねるだけでなく、不溶性固体となって沈殿する傾向がある。例えば、ポルフィリン類やフタロシアニン類等の芳香族化合物の色素分子、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素材料などのπ共役系の機能性物質は、一般的に疎水性が高くて沈殿形成し易い。そして、これら機能性物質の沈殿形成は、基礎研究及び材料開発研究の際の大きな妨げとなっていた。そこで、これら機能性物質を極性溶媒中に均一に分散させる技術が従来から研究されている。
例えば、疎水性物質を包接化合物によって極性溶媒中で包接し、極性溶媒に可溶化する方法などが挙げられる。なお、包接化合物としては、シクロデキストリン(CD)が例示でき、CDは製剤分野などで広く使用されている(非特許文献1を参照)。
CDは、ナノサイズの疎水空洞を有しており、疎水空洞のサイズに見合った分子だけを包接するため、選択性に優れるとの利点がある。ただ、これは逆に言えば、CDの包接対象となる物質の分子サイズには制限があるため、CDは汎用性に劣るという問題点があった。
Uekama, K.; Hirayama, F.; Irie, T. Chem. Rev. 1998, 98, 2045-2076
本発明は、疎水性物質全般に対して少ない選択性で相互作用して、疎水性物質に対する分散剤として機能するグリコクラスター化合物、その合成中間体であるアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体、グリコクラスター化合物を有効成分とする分散剤、及びグリコクラスター化合物と疎水性物質との包接錯体を提供することを課題とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、CDからアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体を合成し、これをアジド化合物に導入することによって、オリゴ糖誘導体を一つ分子に集積化したグリコクラスター化合物が得られることを見出した。そして、発明者らは、このグリコクラスター化合物が、疎水性物質全般に対して少ない選択性で相互作用し、多種多様な疎水性物質に対する分散剤として機能することを見出して、本発明のグリコクラスター化合物を完成させた。
すなわち、本発明のアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体は、下記一般式(I)で表されるものである。なお、一般式(I)において、n=7であり、Rの全てがCH3であるものが好ましい。
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
本発明のグリコクラスター化合物は、下記一般式(II)で表されるものである。なお、一般式(II)において、n=7であり、Rの全てがCH3であるものが好ましい。
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
本発明の分散剤は、本発明のグリコクラスター化合物を有効成分とするものである。また、本発明の包接錯体は、本発明のグリコクラスター化合物と、グリコクラスター化合物に包接された疎水性物質とを含むものである。
なお、疎水性物質としては、公知の疎水性物質であれば特に限定されないが、中でも、π共役系の広い色素であるテトラキス(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(以下、TPPSと略記する。) 等のポルフィリン類やフタロシアニン類などの芳香族化合物、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素材料などが好ましい。
本発明のアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体は、様々なアジド化合物に対して容易に導入できるため、様々なグリコクラスター化合物を合成する際の原料として使用できる。また、本発明のグリコクラスター化合物は、疎水性物質が水中で会合するのを防ぎ、疎水性物質を極性溶媒に分散できる優れた分散剤である。そのため、本発明のグリコクラスター化合物は、疎水性物質の蓄積により誘発される疾患の治療薬や、電池等で使われる炭素電極を調製する際の分散剤などに使用できる。
図1は、本発明に係るグリコクラスター化合物(2)の合成経路の一例を示す図である。 図2は、合成中間体であるアルキン修飾マルトヘプタオース(1)の同定結果を示すMALDI-TOFマススペクトルである。 図3は、本発明に係るグリコクラスター化合物(2)の同定結果を示すMALDI-TOFマススペクトルである。 図4は、一定濃度のTPPSに対してグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、UV-visスペクトルの変化を測定した結果を示すグラフである。 図5は、TPPSに対してアルキン修飾マルトヘプタオース(1)又はグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、UV-visスペクトルの変化を測定し、吸光度変化を加えた濃度に対してプロットした結果を示すグラフである。 図6は、一定濃度のプロトポルフィリンIXに対してグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、UV-visスペクトルの変化を測定した結果を示すグラフである。 図7は、プロトポルフィリンIXに対してアルキン修飾マルトヘプタオース(1)、グリコクラスター化合物(2)又はTMe-β-CDを段階的に加え、UV-visスペクトルの変化を測定し、吸光度変化を加えた濃度に対してプロットした結果を示すグラフである。 図8は、一定濃度のヘミンに対してグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、UV-visスペクトルの変化を測定した結果を示すグラフである。 図9は、グリコクラスター化合物(2)のフラーレン(C60)に対する水への分散挙動を示す写真である。
1.アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体
本発明のアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体は、本発明のグルコクラスター化合物の合成中間体であり、下記一般式(I)で表されるものである。
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
ここで、原料となるβ-CDが入手容易であり、β-CDを開裂するとn=7であるため、n=7が好ましい。また、疎水性物質をよく包接するO-メチル化β-CDを原料として使用するため、Rは全てメチル基(CH3)であるのが好ましい。
2.グルコクラスター化合物
本発明のグルコクラスター化合物は、下記の一般式(II)で表される化合物である。
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
ここで、アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体と同様に、原料となるβ-CDが入手容易であり、β-CDを開裂するとn=7であるため、n=7が好ましい。また、疎水性物質とよく包接するO-メチル化β-CDを原料として使用するため、Rは全てメチル基(CH3)であるのが好ましい。
2.グルコクラスター化合物の製造方法
本発明のアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体及びグルコクラスター化合物は、例えば、以下に示す(A)〜(C)の化学反応をこの順番で組み合わせて合成する。なお、本発明のグルコクラスター化合物は、以下の合成法により製造されたものに限定しない。
(A)直鎖状オリゴ糖誘導体の合成
直鎖状オリゴ糖誘導体は、例えば、文献記載の方法(A. Kikuzawa, et al., J. Org. Chem. 2005, 70, 1253-1261) によって合成する。具体的には、下記の化学式(III)に示すように、シクロデキストリン誘導体aの一所を開裂して、直鎖状オリゴ糖誘導体bを合成する。
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
(B)アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体の合成
アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体は、例えば、文献記載の方法(I. Otsuka, et al., Langmuir 2010, 26(4), 2325-2332)によって合成する。具体的には、下記の化学式(IV)に示すように、直鎖状オリゴ糖誘導体bの一端に適切な化学修飾により末端アルキン基を導入したのち、不安定部分をアセチル化によって保護することにより、アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体cを合成する。
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
(C)グリコクラスター化合物の合成
1,3,5-tris(azidomethyl)benzeneは、例えば、文献記載の方法(S. Cecioni, et al., New J. Chem. 2009, 33, 148-156)によって合成する。また、グリコクラスター化合物の合成、すなわち、アルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体と1,3,5-tris(azidomethyl)benzene(アジド化合物)のクリック反応による縮合反応は、例えば、文献記載の方法(F. Chai, et al., Chem. Comm. 2015, 51, 2421-2424)によって合成する。具体的には、下記の化学式(V)に示すように、不安定部分がアセチル保護されているため化学的に安定なアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体cとアジド化合物とから、Cu(I)を触媒にして、グリコクラスター化合物dを合成する
(式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
3.分散剤
本発明の分散剤は、グリコクラスター化合物を有効成分とする疎水性物質の分散剤である。また、本発明の分散剤は、本発明のグリコクラスター化合物単独であってもよく、グリコクラスター化合物を、リン酸塩等の固体と混ぜて製造してもよく、水、リン酸緩衝液などの液体に溶解して製造してもよい。なお、本発明の分散剤は、この他に必要に応じて保存料などを含んでいてもよい。
4.包接錯体
本発明の包接錯体は、本発明のグリコクラスター化合物と、グリコクラスター化合物に包接された疎水性物質とを含む包接錯体である。なお、疎水性物質としては、極性溶媒に溶解しにくい公知の物質であれば特に限定することなく使用できる。具体的には、テトラキス(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン、プロトポルフィリンIX、ヘミン、フラーレン等が挙げられる。また、本発明の包接錯体におけるグリコクラスター化合物と疎水性物質の量比は、グリコクラスター化合物と疎水性物質の種類や包接錯体の用途に応じて、自由に変えることができる。
本発明の包接錯体は、例えば、本発明のグリコクラスター化合物と疎水性物質とを水中で混ぜ合わせることにより製造できる。なお、本発明の包接錯体は、この他に必要に応じて保存料などを含んでいてもよい。
以下、この発明について実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、この発明の特許請求の範囲は、以下の実施例によって如何なる意味においても制限されない。
1.グリコクラスター化合物(2)の合成
図1に示すように、トリメチル-β-シクロデキストリン(以下、TMe-β-CDと略記する。)から、メチル化マルトヘプタオース誘導体、アルキン修飾マルトヘプタオース(1)を経て、グリコクラスター化合物(2)を合成した。そこで、各合成段階について以下に詳説する。
1−1.メチル化マルトヘプタオース誘導体の合成
500mLナスフラスコに30%過塩素酸水溶液270mLを加え、15℃の恒温槽に浸した。そこへTMe-β-CDを3.01g(2.11mmol)加え、5日間撹拌した。5日後、溶液をクロロホルム300mLで3回抽出して、水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄したのち、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液をエバポレーターで減圧留去して得られた残さを、湿式シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=30/1)にて精製し、白色の固体を得た(収量1.8g、1.2mmol、収率57%)
1−2.アルキン修飾マルトヘプタオース(1)の合成
50mLナスフラスコにマルトヘプタオース誘導体0.300g(0.21mmol)とプロパルギルアミン0.9mL(14.0mmol)を加え、55℃で24時間加熱還流した。TLC(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=30/1)で反応の進行が確認できたため、反応を停止した。溶液をエバポレーターで減圧留去し、ナスフラスコにクロロホルム20mLを加え、分液漏斗を使用して20%酢酸水溶液20mLで10回、水酸化ナトリウム水溶液10mLで5回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、溶液をエバポレーターで減圧留去し、黄色の固体を得た。
その固体に、無水酢酸4mL(42.4mmol)、トリエチルアミン7.2mL(51.8mmol)を加え、55℃で24時間加熱還流した。溶液をエバポレーターで減圧留去したのち、得られた残さを湿式シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム→クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製した。クロロホルム/メタノールの展開溶媒を流したときに得られた溶液をエバポレーターで減圧留去し、茶色の固体を得た(収量0.20g、0.13mmol、収率61%)。
なお、得られたアルキン修飾マルトヘプタオース(1)は、MALDI-TOFマススペクトル(autoflex(登録商標)speed、Bruker Daltonics、マトリックス;α-CHCA, positive mode)の測定結果から同定した。その結果を図2に示す。
1−3.グリコクラスター化合物(2)の合成
アルキン修飾マルトヘプタオース(1)誘導体103.8mg(66.2μmol)と1,3,5-tris(azidomethyl)benzene 3.46μL(18.2μmol)をDMF 2 mLに溶かし、溶液aを得た。また、硫酸銅(II)五水和物13.9mg(55.8μmol)及びリガンド(TBTA-OH,26.8mg,55.0μmol)を水1mLに溶かし、溶液bを得た。なお、リガンド(TBTA-OH)は、先行技術文献(Hong, V.; Presolski, S. I.; Ma, C.; Finn, M. G. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 9879-9883)に従って合成したものを使用した。さらに、アスコルビン酸ナトリウム 21.9mg(124μmol)を水1mLに溶かし、溶液cを得た。
アルゴン雰囲気下で20mLの二口反応容器に、溶液a、溶液b、溶液cをこの順番で加え、55℃で一晩撹拌した。その後、TLC(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=30/1)で反応の進行が確認できたため、反応を停止した。
溶液をエバポレーターで減圧留去したのち、得られた残さに蒸留水を15mL加え、クロロホルム20mLで6回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、溶液をエバポレーターで減圧留去した。得られた残さを湿式シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトン/ヘキサン=2/1→クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製した。クロロホルム/メタノールの展開溶媒を流したときに得られた溶液をエバポレーターで減圧留去し、白色の固体を得た(収量0.025g、0.05mmol、収率26%)
なお、グリコクラスター化合物(2)は、MALDI-TOFマススペクトル(autoflex(登録商標) speed、Bruker Daltonics、マトリックス;α-CHCA, positive mode)の測定結果から同定した。その結果を図3に示す。
2.グリコクラスター化合物(2)の疎水性相互作用
実施例1で合成したグリコクラスター化合物(2)と疎水性物質の疎水性相互作用を、 UV-visスペクトル変化等によって調べた。以下に詳説する。
2−1.TPPSとの相互作用
グリコクラスター化合物(2)が、水溶液中においてTPPSと包接錯体を形成するかを調べた。具体的には、一定濃度のTPPS(1.7μM)を含むリン酸緩衝液(pH7)に対してグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、その際のUV-visスペクトル変化を25℃で測定(UV-2450、SHIMADZU)した。その結果を図4(a)に示す。また、加えたグリコクラスター化合物(2)に対して吸光度変化をプロットした滴定曲線を図4(b)に示す。
図4から、吸収スペクトルは等吸収点を示しながら変化し、加えたグリコクラスター化合物(2)の濃度比がTPPSに対して約1:1となった時点で、吸光度変化が飽和することが観察された。この結果から、グリコクラスター化合物(2)は、TPPSと1:1包接錯体を形成すると考えられた。得られた滴定曲線を1:1の錯体形成に基づく理論式を使って解析した結果、相互作用に関する平衡定数はK=3x105M-1であった。
このように、TPPSとグリコクラスター化合物(2)とが強い相互作用を示すことが明らかになった。そこで、グリコクラスター化合物(2)の前駆体であるアルキン修飾マルトヘプタオース(1)についても、有意な相互作用を示すかどうかを同様の方法で調べ、その結果をグリコクラスター化合物(2)と比較した。その結果を図5に示す。図5に示すように、TPPSとアルキン修飾マルトヘプタオース(1)との相互作用は弱かった。この結果から、グリコクラスター化合物(2)はそのオリゴ糖の集積効果によって、TPPSと強い相互作用を示すようになることが明らかになった。
2−2.プロトポルフィリンIXとの相互作用
グリコクラスター化合物(2)が、水溶液中においてプロトポルフィリンIXと包接錯体を形成するかを調べた。具体的には、一定濃度のプロトポルフィリンIX(14μM)を含む炭酸緩衝液(pH9)に対してグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、その際のUV-visスペクトル変化を25℃で測定(UV-2450,SHIMADZU)した。その結果を図6(a)に示す。また、加えたグリコクラスター化合物(2)に対して吸光度変化をプロットした滴定曲線を図6(b)に示す。
図6から、吸収スペクトルは等吸収点を示しながら大きく変化し、加えたグリコクラスター化合物(2)の濃度比がプロトポルフィリンIXに対して約3:1となった時点で、吸光度変化が飽和することが観察された。この結果から、プロトポルフィリンIXはグリコクラスター化合物(2)と強く相互作用することが明らかになった。
そこで、グリコクラスター化合物(2)の前駆体であるアルキン修飾マルトヘプタオース(1)、さらにその前駆体であるTMe-β-CDについても、プロトポルフィリンIXと有意な相互作用を示すかどうかを同様の方法で調べ、その結果をグリコクラスター化合物(2)と比較した。その結果を図7に示す。
図7に示すように、プロトポルフィリンIXと、アルキン修飾マルトヘプタオース(1)及びTMe-β-CDとの相互作用は弱かった。この結果から、グリコクラスター化合物(2)は、TMe-β-CDとは異なる非環式構造のため柔軟であり、これに加えて、オリゴ糖の集積効果を有するため、プロトポルフィリンIXと有意な相互作用を示すようになることが明らかになった。
2−3.ヘミンとの相互作用
グリコクラスター化合物(2)が、水溶液中においてヘミンと包接錯体を形成するかを調べた。具体的には、一定濃度のヘミン(20μM)を含むリン酸緩衝液(pH7)に対してグリコクラスター化合物(2)を段階的に加え、その際のUV-visスペクトル変化を25℃で測定(UV-2450,SHIMADZU)した。その結果を図8(a)に示す。また、加えたグリコクラスター化合物(2)に対して吸光度変化をプロットした滴定曲線を図8(b)に示す。
図8から、吸収スペクトルは等吸収点を示しながら大きく変化し、加えたグリコクラスター化合物(2)の濃度比がヘミンに対して約2:1となった時点で吸光度変化が飽和することが観察された。この結果から、ヘミンはグリコクラスター化合物(2)と相互作用することが示された。
2−4.フラーレン(C60)との相互作用
サンプル瓶にグリコクラスター化合物(2)(5.3mg、1.07μmol)と蒸留水1mL、フラーレン(C60,7.2mg,10.0μmol)を加え、一晩室温で撹拌した。また、別途、サンプル瓶に蒸留水1mLとフラーレン7.2mg(10.0μmol)を加え、一晩室温で撹拌した。撹拌後の溶液の様子を図9に示す。グリコクラスター化合物(2)とフラーレンの溶液は褐色の溶液に変化し、フラーレンのみの溶液は無色で変化しなかった。このことから、グリコクラスター化合物はC60を水に分散させる効果を有することが明らかになった。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されるアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体。
    (式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
  2. n=7であり、Rの全てがCH3である請求項1に記載のアルキン修飾直鎖状オリゴ糖誘導体。
  3. 下記一般式(II)で表されるグリコクラスター化合物。
    (式中、nは6〜8の何れかの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH2OH、CH2CH(OH)CH3の何れかを表す。Acはアセチル基を表す。)
  4. n=7であり、Rの全てがCH3である請求項3に記載のグリコクラスター化合物。
  5. 請求項3又は請求項4の何れかに記載のグリコクラスター化合物を有効成分とする疎水性物質の分散剤。
  6. 請求項3又は請求項4の何れかに記載のグリコクラスター化合物と、グリコクラスター化合物に包接された疎水性物質とを含む包接錯体。
  7. 疎水性物質が、テトラキス(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン、プロトポルフィリンIX、ヘミン、フラーレンからなる群れから選ばれた少なくとも1つの化合物である請求項6に記載の包接錯体。
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