JP2018029573A - 鶏舎のワクモの駆除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来、鶏舎内のワクモ駆除の主たる手段は、高圧水洗浄と殺虫剤散布であった。殺虫剤散布は、殺虫剤に耐性を持つ害虫の出現、鶏卵、鶏肉の殺虫剤汚染、授業員の健康への影響などが懸念される。
【解決手段】ワクモの卵、幼虫、成虫の潜みやすい場所にホウ酸ナトリウ水溶液を散布し、あるいはホウ酸ナトリウム水溶液で処理した空隙構造体を飼育環境内に設置することで鶏舎のワクモを駆除することができる。また、ホウ酸ナトリウム水溶液に水と反応して次亜塩素酸を発生する化合物を添加して散布すれば鶏舎を消臭、殺菌することができる。
【解決手段】ワクモの卵、幼虫、成虫の潜みやすい場所にホウ酸ナトリウ水溶液を散布し、あるいはホウ酸ナトリウム水溶液で処理した空隙構造体を飼育環境内に設置することで鶏舎のワクモを駆除することができる。また、ホウ酸ナトリウム水溶液に水と反応して次亜塩素酸を発生する化合物を添加して散布すれば鶏舎を消臭、殺菌することができる。
Description
本発明は鶏舎のワクモを駆除する方法に関する。
ワクモは、ダニの一種で、昼間は物陰に潜み、夜になるとニワトリに寄生し吸血する。長さ1mmの小さな動物であるが、大量に増殖すると吸血されたニワトリはストレスや貧血で産卵が低下する。また、ワクモは病原菌やウィルスを伝播する危険性がある。
鶏舎のワクモを駆除する方法としては、これまで、鶏舎の洗浄と殺虫剤の散布が主たるものであった。農場に持ち込まれるすべての器具、資材はできる限り高温高圧洗浄機で洗浄する。殺虫剤としては、有機リン系、カーバメイト系、ピレスロイド系などが用いられている。
最近、駆除に使われる殺虫剤に抵抗性を持つワクモが報告されている。また、食品の殺虫剤汚染を防ぐためポジティブリスト制度が導入された結果、養鶏場における合成殺虫剤の使用を制限する動きも始まっている。
鶏舎のようにある程度閉ざされた環境内で合成殺虫剤を散布することは、作業員の健康管理の面でも問題がある。防御用具、防御服を着用した専門知識を有する作業員なら問題は少ないが、不慣れな人間が消毒を行う場合、誤って薬剤に暴露する可能性がある。
本発明の課題は、合成殺虫剤を使用することなく鶏舎のワクモを駆除する手段を提供することである。本発明者は鋭意検討の結果、ホウ酸ナトリウムを利用することにより、ワクモの卵および孵化後間もない幼虫を死滅しうることを発見した。
第一の本発明は、ニワトリの飼育環境を構成するケージ、棚、床等の材料の表面および鶏糞やワクモの集塊等などワクモの成虫、幼虫、卵の潜みやすい場所にホウ酸ナトリウム水溶液を吹付けることを特徴とする鶏舎のワクモの駆除方法である。
第二の本発明は、第一の本発明において、ホウ酸ナトリウム水溶液に水と反応して次亜塩素酸を生成する化学物質を添加することを特徴とする鶏舎のワクモの駆除方法である。
第三の本発明は、ホウ酸ナトリウム水溶液で処理した空隙構造体をニワトリの飼育環境に設置することを特徴とする鶏舎のワクモの駆除方法である。
本発明でいうホウ酸ナトリウム水溶液は、オルトホウ酸(H3BO3)とホウ砂(Na2B4O7・nH2O:n=5または10)の混合物を水に溶解して得られる中性に近い(pH=6.0〜8.5)水溶液である。混合物の代わりに市販の八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT:Na2B8013・4H2O)を使用してもよい。
本発明でいう水と反応して次亜塩素酸を発生する化学物質の例としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムがあげられる。
本発明でいうホウ酸ナトリウム水溶液の濃度は厳密な制限はないが、ホウ素濃度で5000ppm以上が望ましい。これより低い場合は、ホウ酸ナトリウムがワクモの卵の内部に拡散する速度が低下するとともに、幼虫の食餌に浸透した場合の毒性が不十分になる可能性がある。
本発明でいう空隙構造体とは、ハネカムや段ボール板のように隙間の多い構造体であり、構成する材質は木質材料、紙、布のように柔らかで吸湿性のものがよい。
ホウ酸ナトリウムの散布によってワクモの卵や幼虫が死滅するメカニズムは、次のように想定される。ホウ酸ナトリウム水溶液がワクモの卵に付着すると、ホウ酸ナトリウムはB(OH)3の形で卵膜を透過し卵内部に拡散する。卵内部のホウ酸濃度が一定の水準に達すると卵は代謝阻害により死滅する。ホウ酸塩の毒性は細胞内での基本的な化学反応と関係するため、耐性害虫が出現しないという長所がある。
孵化した幼虫は、1−2日間は吸血せず、母ダニの血糞などを摂食して成長すると推定されるが、散布したホウ酸ナトリウム水溶液は、幼虫の食餌にも付着浸透する。ホウ酸塩の付着、浸透した食餌を摂食した幼虫は代謝阻害で死滅する。卵が孵化せず幼虫が死滅すれば、ワクモの生活環は断ち切られ、ワクモ全体が駆除される。
養鶏場や鶏舎では、鶏糞が発する臭気とワクモが持ち込む病原菌が問題になる。本発明のホウ酸ナトリウム水溶液のpHは、7〜8で中性に近く、またホウ酸ナトリウムの緩衝作用により少量の酸やアルカリを添加してもpHは変化しにくい。中性に近い水溶液中で発生する次亜塩素酸は高度の殺菌、消臭効果を有する。散布により満足な消臭、殺菌効果を得るためには、水溶液中の次亜塩素酸濃度が100ppm以上になるように次亜塩素酸発生化合物を添加する。
吸水性の材料から構成される空隙構造体をホウ酸ナトリウム水溶液に浸漬、あるいは散布したのち乾燥すると、ホウ酸ナトリウムは材料の表面および内部に沈積する。ワクモは暗い隙間などに潜んで産卵する性質がある。空隙構造体に入り込んだワクモがホウ酸ナトリウム処理した材質の上に産卵するとホウ酸ナトリウムは卵膜を通して拡散し卵の孵化を阻止する。また、親ワクモの血糞などの湿気を含んだ物体にもホウ酸ナトリウムが拡散浸透するため、これを摂食する幼虫は、吸血する前に死滅する。
本発明は、卵や幼虫をホウ酸ナトリウムの食毒作用で殺すことにより、鶏舎のワクモの生活環を断ち切り、ワクモの繁殖を抑制する効果がある。ホウ酸ナトリウムは、化学的に安定で蒸散しないため、繁殖抑制効果は長期間持続する。また次亜塩素酸が鶏舎の臭気を抑え、ワクモの持ち込む病原菌を殺菌することで、衛生的な作業環境を維持することができる。さらに、毒性の懸念される合成殺虫剤を使用しないため、殺虫剤の取り扱いに不慣れな従業員でも、ワクモ駆除を安全に実施することができる。
本発明のホウ酸ナトリウム水溶液を調製するには、30〜50Lのポリプロピレン容器に所定量のホウ酸及びホウ砂を投入し、これに50℃以上の温水を加え、透明な溶液になるまで攪拌する。ホウ酸及びホウ砂の混合物の代わりに、市販の八ホウ酸二ナトリウム四水和物を使用してもよい。消臭殺菌効果を付与するには、水溶液30Lに対して、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム錠剤1−5gを投入する。
調製したホウ酸ナトリウム水溶液は、ガーデニング用の噴霧機などに入れ、鶏舎のケージや鶏糞、ワクモ集塊、床やコンクリートのクラックや隙間に向けて散布する。作業者は、ウィルス用マスク、長袖シャツ、長ズボンを着用する。
市販の八ホウ酸二ナトリウム四水和物500gを温水に溶解し、5kgのDOT水溶液を調合した。段ボール箱を構成する厚さ5mmの段ボール板から10cm角の段ボール片50枚を切り出し、このうち25枚を上記のDOT水溶液に2分間浸漬した後、全自動洗濯機の脱水機能を利用して脱水した。脱水直後の重量測定から、段ボール片は処理前の重量に対して105%のホウ酸ナトリウム水溶液を吸収していることが分かった。処理した段ボール片は2日間天日で乾燥した。
前項で製作したホウ酸ナトリウム処理した段ボール片と未処理の段ボール片(コントロール)をワクモの繁殖が顕著なケージの側面、床の隅および天井に洗濯ばさみで固定し、1週間放置した後回収した。回収した段ボール片は、21×14×7(深さ)cmのポリプロピレン製容器に入れ、水とエチルアルコールとの等容混合物に1分間浸漬した後、段ボールをはがして内部をよく洗い、段ボールの成分を回収した。
ついで、液体部分をブフナーロートでろ過し、ろ紙上の残渣を実体顕微鏡で観察した。コントロールにはワクモの卵、3対の脚を持つ幼虫が観察されたが、ホウ酸ナトリウム処理した段ボール片では卵だけしか見られなかった。ホウ酸ナトリウム処理した段ボール片の内部で産卵したワクモの卵は、孵化が阻止されることが理解できた。
市販のオルトホウ酸(純度99.9%)1.80kgとホウ砂五水和物(純度99.0%)2.12kgを60℃の温水に溶解してホウ素濃度31,000ppmのホウ酸ナトリウム水溶液20Lを調製した。さらに、上記水溶液の一部を水で希釈することにより、ホウ素濃度15,500ppm、7,750ppmのホウ酸ナトリウム水溶液を調製した。
ワクモの被害を受けている採卵鶏舎の2段ケージの針金接合部に形成されたワクモの集塊20個を選び、4グループに分け、それぞれのグループに上記の3濃度水準のホウ酸ナトリウム水溶液および水(コントロール)を散布した。散布は、ホウ酸ナトリウム水溶液がワクモ集塊を濡らし、一部が流れ落ちる時点で中止した。散布1時間後に、ワクモ集塊を採取し、内寸約20x14x15(深さ)cmの蓋付きのポリプロピレン容器に入れて4日間保管した。
養鶏場のワクモを駆除し、ワクモの持ち込む病原菌を殺菌することにより鶏卵、鶏肉の生産性を高めるとともに、安全、健康な作業環境を実現できる。
Claims (3)
- ニワトリの飼育環境を構成するケージ、棚、床等の材料の表面および鶏糞やワクモの集塊等などワクモの成虫、幼虫、卵の潜みやすい場所にホウ酸ナトリウム水溶液を吹付けることを特徴とする鶏舎のワクモの駆除方法
- 請求項1において、ホウ酸ナトリウム水溶液に水と反応して次亜塩素酸を生成する化学物質を添加することを特徴とする鶏舎のワクモの駆除方法
- ホウ酸ナトリウム水溶液で処理した空隙構造体をニワトリの飼育環境に設置することを特徴とする鶏舎のワクモの駆除方法
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JP2016175956A JP2018029573A (ja) | 2016-08-24 | 2016-08-24 | 鶏舎のワクモの駆除方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020138323A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 四国ケージ株式会社 | 殺有害生物剤を含有する散布剤 |
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WO2020138323A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 四国ケージ株式会社 | 殺有害生物剤を含有する散布剤 |
JPWO2020138323A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2021-09-09 | 四国ケージ株式会社 | 殺有害生物剤を含有する散布剤 |
JP7038441B2 (ja) | 2018-12-28 | 2022-03-18 | 四国ケージ株式会社 | 殺有害生物剤を含有する散布剤 |
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