JP2018029017A - 耐衝撃蓄電モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、衝撃・振動による応力が両端部の蓄電素子に集中することを抑制し、長期の安全性を向上させた蓄電モジュールを提供することを目的とする。【解決手段】セルスタック2と、セルスタック2の積層方向の両端に設置される一対のエンドプレート3と、エンドプレート3とセルスタック2の間に設置されるスライダー4と、エンドプレート3に接続されてセルスタック2に加圧力Fを与える締結体5とを有する蓄電モジュール10が、スライダー4とエンドプレート3の間、またはスライダー4とセルスタック2の間のいずれかの有効接触面積A、スライダー4の摩擦係数μ、セルスタック2のための金属ラミネート樹脂フィルム製外装体の断面積a、及び前記金属ラミネート樹脂フィルムの降伏応力Hについて、μAF<Haの関係を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電モジュールに関する。
太陽光発電、風力発電等の負荷平準化装置、瞬時電圧低下対策装置、電気自動車又はハイブリッドカーのエネルギー回生装置等のような蓄電システムにおいては、エネルギー容量が大きくて且つ急速充放電が可能な蓄電素子が必要とされている。
近年、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電素子を用いた蓄電モジュールが開発されている。蓄電モジュールは、複数の蓄電素子が直列又は並列接続された蓄電体を含み、高電圧又は大容量の状態で充放電することができるため、電源装置として様々な用途に用いられている。
蓄電モジュールは、蓄電池を厚み方向に積層し、蓄電池同士を電気的に接続して、外装部品等によって締結保持されて構成されている。平板形状の蓄電池の内、金属ラミネート樹脂フィルムを用いたパウチ型の外装体で作製される蓄電池は、その作製が容易であり、かつ薄型化及び軽量化し易いといった利点と、それ自体が薄型の為に放熱性に優れるといった利点とを有する。
一方で、パウチ型の外装体であるため、耐振動性が低く、また金属材料が外装であるので、絶縁性を確保し辛いといった課題も有している。そのため、耐振動性を改善した蓄電モジュールが提案されている(特許文献1及び2)。
特開2011−34821号公報 国際公開第2014/034350号
蓄電モジュールは、構造的に最も強度を有する外装部品であるエンドプレートを、蓄電モジュール以外の部分(例えば、自動車の車体や、電源装置のフレームなど)にボルト締結などの方法で固定する。この状態で、例えば、蓄電素子の積層方向に垂直な方向に振動や衝撃が加わったとき、積層された蓄電素子は、特許文献1の図4に示されるように、両端が固定された梁のような形状になる。特許文献1の段落[0009]、[0030]及び[0050]には、蓄電素子と蓄電素子の間、または蓄電素子と保持板の間では、摩擦力によって蓄電素子の積層のズレが生じることなく耐衝撃性を有すると記載されているが、本件発明者らの検討によると蓄電素子の内部において、負極電極体、正極電極体、セパレータなどを積層した電極積層体が衝撃によってずれてしまい、負極電極体と正極電極体が接触して蓄電素子内部で短絡する可能性があることが明らかになっている(第一の課題)。
更に、特許文献1の図4に示されるような両端が固定された梁形状になることによって、衝撃・振動の応力は、梁形状の付け根に位置する両端部の蓄電素子に集中してしまい、長時間の衝撃・振動が加わると金属ラミネート樹脂フィルム製の外装体に亀裂が生じて、電解液が漏液する可能性がある(第二の課題)。
第一の課題を解決する方法として、例えば特許文献2のように、金属ラミネート樹脂フィルム製の外装材の内層と電極積層体の最外層との間の静止摩擦係数などの特定の条件を満足させることによって、衝撃・振動による電極積層体のズレを抑制する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の蓄電モジュールも第二の課題については未だに改良の余地がある。
本発明は第二の課題に鑑み、衝撃・振動による応力が両端部の蓄電素子に集中することを抑制し、長期の安全性を向上させた蓄電モジュールを提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
[1]
複数の金属ラミネート樹脂フィルム製の外装体にそれぞれ収納されている扁平形状を有する蓄電素子を複数積層して成るセルスタックと、
前記セルスタックの積層方向の両端に設置される一対のエンドプレートと、
前記エンドプレートと前記セルスタックの間に設置されるスライダーと、
前記エンドプレートに接続されて前記セルスタックに加圧力Fを与える締結体と、
を有する蓄電モジュールであって、
前記スライダーと前記エンドプレートの間または前記スライダーと前記セルスタックの間のいずれかの有効接触面積Aと、
前記スライダーの摩擦係数μと、
前記外装体の断面積aと、
前記金属ラミネート樹脂フィルムの降伏応力Hと、
の間に、μAF<Haの関係を有することを特徴とする蓄電モジュール。
[2]
前記スライダーは、絶縁性を有し、かつ前記エンドプレートと前記セルスタックを絶縁する、[1]に記載の蓄電モジュール。
[3]
前記セルスタックは、前記締結体に係止される、[1]または[2]に記載の蓄電モジュール。
[4]
前記締結体と前記セルスタックの間は、絶縁体を介して係止される、[3]に記載の蓄電モジュール。
[5]
隣り合う複数の前記蓄電素子が接着されて積層して成る、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
[6]
隣り合う複数の前記蓄電素子の間に、保持板が配置され、其々が接着されて積層して成る、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
[7]
隣り合う複数の前記蓄電素子の間に、保持板が配置され、其々が接着されて積層して成り、かつ前記保持板は、前記締結体と前記絶縁体を介して係止される、[4]に記載の蓄電モジュール。
本発明に依れば、蓄電モジュールは、蓄電素子を積層して成るセルスタックと、セルスタックを積層方向の両端に設置される一対のエンドプレートとの間にスライダーを設置し、μAF<Ha(式中の各記号は、上記で定義されたとおりである)の条件を満たし、外部から衝撃が加わったときにスライダーとエンドプレートの間、またはスライダーとセルスタックの間のいずれかで滑ることによって、蓄電素子の金属ラミネート樹脂フィルム製の外装体の破れを抑制し、安全性の高い蓄電モジュールを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電モジュール10の一例を示す側面概略図である。 図2(a)は、衝撃Gが加わったときに、スライダーを配置しない状態の蓄電モジュールの概念図であり、かつ図2(b)は、衝撃Gが加わったときに、スライダー4を配置した状態の蓄電モジュール10の概念図である。 図3は、セルスタック2が締結体5に係止される態様を示した蓄電モジュール10の斜視図である。 図4は、サポート部品A7を取り付けた状態のセルスタック2が締結体5に係止される態様を示した蓄電モジュール10の斜視図である。 図5は、保持板8が配置された態様を示した蓄電モジュール10の側面図である。 図6は、保持板8が締結体5とサポート部品B9を介して係止される態様を示した蓄電モジュール10の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
[蓄電モジュールの構成]
図1は、本実施の形態に係る蓄電モジュール10の一例を示しており、蓄電モジュール10は、蓄電素子1を厚み方向に12個積層して成るセルスタック2と、セルスタック2の積層方向の両端に設置される一対のエンドプレート3と、エンドプレート3とセルスタック2との間に設置されるスライダー4と、エンドプレート同士を連結するように接続される締結体5から構成される。また、図示されていない外装ケース、蓄電素子電圧制御回路基板、外部端子などが蓄電モジュール10に取り付けられてもよい。尚、セルスタック2は、12個の蓄電素子1を積層して成るが、蓄電素子1の数は限定されるものではない。
蓄電素子1は、例えばリチウムイオンを含む有機電解液および電極積層体が密封された、例えばアルミ箔を樹脂フィルムでラミネートした金属ラミネート樹脂フィルムの気密性軟包装材料を外装とする。また、蓄電素子1は、電極積層体に電気的に接続された電極リード6を有している。
電極積層体は、負極電極体とセパレータと正極電極体とが複数積層されたものであり、負極電極体は、銅箔などから成る負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有する。
正極電極体は、アルミニウム箔などから成る正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有する。電極積層体の積層方向を蓄電素子1の厚み方向と定義する。
尚、電極積層体は上記の構造の他に、シート状負極電極体とシート状正極電極体との間にセパレータが配置されて積層したものを巻回して、圧縮されて成る構造を有する積層体も含む。
外装体(図示せず)を構成する金属ラミネート樹脂フィルムは、一例として、PP材(ポリプロピレン)、アルミニウム箔、ナイロン材、PET材(ポリエチレンテレフタレート)などを積層した複合フィルムを用いて成形されている。この複合フィルムの面内方向に引張応力を加えると、或る応力値までは弾性変形し、降伏応力値(降伏点)に達した後に塑性変形していく。外装体に降伏応力Hを超える応力が加わる場合は、金属ラミネート樹脂フィルムが塑性変形を起こしてしまう為、蓄電素子1が内包する電極積層体の位置ずれ又は内部短絡を引き起こす原因となる。更に、降伏応力Hを超える応力が繰り返し印加されると金属ラミネート樹脂フィルムが変形・破断して、蓄電素子1が内包する有機電解液が漏れ出す可能性がある。これを防止するための方法を後述する。
金属ラミネート樹脂フィルムの降伏応力Hの測定方法を説明する。降伏応力Hの測定は、JIS K7161及びJIS K7127を参考にして、短冊状の金属ラミネート樹脂フィルム(幅10mm×長さ100mm×厚み0.15mm)に、引張試験機を用いて2.0mm/minの速度で引張応力を加えた。5個の試験片で測定を行い、その平均値を降伏応力Hとして算出する。本実施形態において使用される金属ラミネート樹脂フィルムを測定した結果、実施例において示されるとおり、降伏応力H=30.7MPaであった。
積層されている複数の蓄電素子については、蓄電素子1とそれに隣り合う他の蓄電素子1とは、電極リード6を介して電気的に直列または並列の関係になるように接続されており、積層方向の両端に位置する蓄電素子1は、電極リード6を介して、図示されていない外部電極に接続されている。蓄電素子1の電極リード6とそれに隣り合う他の蓄電素子1の電極リード6の接続方法は、図示していないが、溶接やねじ締結、リベット締結、はんだ付けなどの方法によって接続することができる。本実施の形態では、電極リード同士をねじ締結によって接続した。
また、蓄電素子とそれに隣り合う他の蓄電素子とは、対面する厚み方向に垂直な面同士で重ね合わされているが、これらの面は接着によって接合されていてもよい。接着の方法は、アクリル樹脂材料やエポキシ樹脂材料などを用いた接着剤によって接着するか、または粘着性を有する粘着テープによって接着することができる。本実施の形態では、アクリル樹脂材料を用いた両面粘着テープによって、互いに隣り合う蓄電素子同士を接着した。
締結体5は、セルスタック2の両端に位置する一対のエンドプレート3に締結され、セルスタック2の蓄電素子1の積層方向に加圧力Fを掛けるようにエンドプレート3を締結固定する。そのとき、エンドプレート同士が略平行になるように固定する。セルスタック2への加圧力Fは、例えば耐衝撃性を考慮して、0.01MPa〜0.055MPaの範囲内で適宜印加することができる。本実施の形態では、0.03MPaで加圧した。
スライダー4とエンドプレート3の間、またはスライダー4とセルスタック2の間は、ある有効接触面積A(cm)で接触している。有効接触面積とは、実質的に加圧力Fが掛けられている面積と定義する。一例として図1に示す蓄電モジュールで説明すると、スライダー4の蓄電素子1の積層方向に垂直な面において加圧力Fが掛けられている面積は、蓄電素子1の電極積層体が密封された部分の面積とほぼ等しい。更に、セルスタック2の両側にそれぞれ加圧力Fが掛かっている為、有効接触面積A=2×電極積層体の面積、とすることができる。本実施の形態では、電極積層体の面積が100cmの蓄電素子1を選択し、有効断面積Aは200cmとした。
締結体5とエンドプレート3との締結方法の一例としては、円柱状や板状の締結体5を用いてボルトやネジによってエンドプレート3と締結固定する方法や、円柱状や板状の締結体5の先端をエンドプレート3にかしめて締結固定する方法や、バンド状の締結体5を用いてエンドプレート3とセルスタック2の周囲を束ねるように締結固定する方法や、エンドプレート3と締結体5とを溶接によって固定する方法や、またはこれらの方法を複合的に合わせて固定する方法などが挙げられる。また締結体5の数に特に指定は無いが、対称性を考慮した一例として、4つの締結体5をエンドプレート3の4つの隅に配置して締結固定するか、または一対のエンドプレートが向かい合う面に垂直な面に、2つの幅広な板状の締結体5を向かい合うように配置してエンドプレート3と締結固定する方法が挙げられる。本実施の形態では、4本の円柱状の締結体5を用いてエンドプレート3にボルト締結によって固定した。
[スライダーの構成]
一対のエンドプレート3とセルスタック2との間には、滑り性を有するスライダー4が配置される。スライダー4はエンドプレート3かセルスタック2のいずれか一方に接着や粘着などの方法で固定されるが、両方には固定されない。またスライダー4は、鉄、アルミニウム、銅などを主成分とする金属材料か、もしくは樹脂材料によって構成される板状もしくはフィルム状の部材であり、その表面に滑り性を有している。
本明細書では、「滑り性を有する」とは、スライダー4の表面の摩擦係数が低い状態であることである。摩擦係数はボールオンプレート型摩擦係数測定法によって測定することができる。この方法は、測定対象に対してSUJ2材(炭素クロム鋼)の球(直径10mm)を荷重200gで押し当てた状態で、測定対象を荷重方向に垂直な方向に10mm/秒の速度で移動させるときに必要な力を測定することによって摩擦係数を評価するものである。
複数種類の材料について、ボールオンプレート型摩擦係数測定法で測定した摩擦係数μの値を下記表1に示す。尚、表1中の振動試験の結果は、後述する蓄電モジュールの振動試験の結果を示しており、蓄電素子に損傷がない場合は○を、損傷がある場合は×を示している。
本発明のスライダー4では、一例として、厚さ0.5mmのポリカーボネート製のスライダーで摩擦係数μが0.47のものを選択し、セルスタック2の両端に固定した。
[スライダー4の有効性]
ここで蓄電モジュール10に掛かる衝撃について説明する。蓄電モジュール10は、使用される環境に対応した耐衝撃性を有することが求められている。例えば、自動車や建設機械などの用途では急速な加減速・慣性によって、蓄電モジュール10に激しい衝撃が加わることが想定されるが、この衝撃の最大値を衝撃Gとする。
衝撃Gが掛かる方向は、蓄電モジュール10に対してお互いに直交する3つの軸方向に分解することが出来る。蓄電素子1の積層方向をx軸とし、x軸に直交して蓄電素子1の電極リード6が設置されている方向(図1における紙面上下方向)をz軸とし、x軸とz軸に直交する方向をy軸とすると、y軸及びz軸の方向の衝撃G及びGは、蓄電素子1の外装体に引張応力を与える衝撃となる。
そこで、滑り性を有するスライダー4を配置することによって、衝撃G及びGが加わったときにセルスタック2全体がエンドプレート3に対して変位することで、外装体に引張応力が印加されることを防止できる。
図2(a)は、衝撃G及びGが加わったときにおけるスライダー4を配置しない状態の蓄電モジュール10の概念図である。説明を簡略化するため、締結体5と電極リード6は図示していない。衝撃Gが加わるときは、一般的に蓄電モジュール10のエンドプレート3が固定されて固定端となる。また、衝撃Gが加わるとセルスタック2全体は、例えば図2(a)の矢印方向に加わる荷重によってたわみが生じる。このとき、エンドプレート3は固定端であるため、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1は、エンドプレート3側の面は変位せず、その対面側が衝撃Gによって変位する。その結果、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1は、蓄電素子1の内部の電極積層体に応力が加わり、積層がずれて内部短絡を生じてしまう。
図2(b)は、衝撃Gが加わったときにおけるスライダー4を配置した状態の蓄電モジュール10の概念図である。説明を簡略化するため、締結体5と電極リード6は図示していない。衝撃Gが加わるときは、一般的に蓄電モジュール10のエンドプレート3が固定されて固定端となる。例えば図2(b)の矢印方向に衝撃Gが加わった場合、エンドプレート3とスライダー4との間で滑りが生じ、セルスタック2全体が一体となって矢印方向へ変位するため、外装体に引張応力が加わることを防止することができる。
これらの現象を数式を用いて整理する。スライダー4は、有効接触面積A(cm)、摩擦係数μを有し、蓄電素子1の積層方向に加圧力F(MPa)が加えられている為、衝撃G及びGが掛かる方向には、μAFの力で拘束されていることになる。
衝撃G及びGによる衝撃力がμAF以上であれば、スライダー4の表面で滑りを起こすことが出来るが、衝撃力がμAF未満である場合は、スライダー4の表面は滑らずに、外装体に引張応力が生じる。よって、繰り返しの衝撃によって金属ラミネート樹脂フィルム製の外装体が破断しないようにするには、μAFの値を降伏応力Hの値未満にすること(μAF<Ha)が必要である。
外装体の断面積aは、蓄電素子1のスライダー4と接触する外装体の面において、衝撃G及びGが印加される方向の断面積を指す。
尚、外装体に引張応力が加わることを防止する方法として、本発明のスライダー4の表面で滑りを生じさせる方法の他に、積層される蓄電素子と蓄電素子の間で滑りを生じさせて、前述の梁形状になることを抑制する方法が考えられる。しかし、蓄電素子と蓄電素子とは、電極リードによって接続させている為、これらの間で滑りを生じさせると電極リードの接続部に変形応力が生じてしまう為、好ましくない。
摩擦係数μについては、下記表1に示すスライダー4の材料の摩擦係数と後述する振動試験の結果より、摩擦係数が0.7以下であると良好な結果であることを示している。
さらに、スライダー4を絶縁化することによって、エンドプレート3とセルスタック2との間を電気的に絶縁することができ、高耐電圧な蓄電モジュールを構成することができる。スライダー4を絶縁化する方法としては、スライダー4の構成材料が金属材料または合金材料の場合は、表面を絶縁樹脂コーティングするか、または表面を絶縁性の別の部品でカバーして絶縁化することができる。また、スライダー4の構成材料が樹脂材料の場合は、高絶縁性の材料を選択することで絶縁化することができる。
[セルスタックと締結体の係止関係]
図3はセルスタック2が締結体5に係止される様子を示した斜視図である。説明を簡略化する為、電極リード6とエンドプレート3は図示していない。セルスタック2は、外部から蓄電モジュール1に衝撃・振動が加わったとき、セルスタック2が大きく変位して破損しないようにする為に、締結体5に係止されている。スライダー4はセルスタック2の両端に接着固定されている。セルスタック2は、蓄電素子1の周囲に位置するアルミラミネートフィルム材を融着シールしている部分にU字型の切欠きが設けられており、その部分で4本の円柱状の締結体5と係止されている。
さらに、融着シール部分のU字型の切欠き部を補強して、且つ締結体5と蓄電素子1とを絶縁するために、絶縁性樹脂から成るサポート部品Aを切欠き部に取り付けてもよい。図4はサポート部品A7を取り付けた状態のセルスタック2が締結体5に係止される様子を示した斜視図である。尚、サポート部品Aの形状はU字型に限定されず、O型や四角型などであってもよい。また、サポート部材で無くとも、締結体5の周囲に絶縁性の部品を配置することで、蓄電素子1と締結体5の間の絶縁性を確保することができる。
[保持板の構成]
図5は、保持板8が配置された蓄電モジュール10の側面図を示している。保持板8は、蓄電素子1と隣り合う蓄電素子1との間に配置され、保持板8と蓄電素子1とは接着されている。接着の方法は、前述の蓄電素子1と蓄電素子1の接着の方法と同じであるが、保持板8に用いられる材質によって適宜、接着剤成分を選択することができる。本実施の形態では、アクリル樹脂材料を用いた両面粘着テープによって接着した。尚、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1とスライダー4との間に保持板8を配置してもよい。
図6は、保持板8が締結体5と絶縁体を介して係止される様子を示した斜視図である。保持板8は主に、鉄、アルミニウム、銅などを主成分とする金属材料によって成っており、衝撃・振動に耐える十分な強度を有していることが好ましい。また、保持板8と締結体5の間には絶縁性のサポート部品B9が配置されており、これによって蓄電素子1、保持板8と締結体5の間の絶縁性を確保することができる。さらに、保持板8を十分な機械的強度を有する絶縁性樹脂などで作ることによって、サポート部品B9が無くても蓄電素子1、保持板8と締結体5の間の絶縁性を確保することができる。
[実施例1]
[振動試験]
上記で説明した蓄電モジュール10(特に図6の形態)で振動試験を実施した。このときのμ、A及びFの各値は、μ=0.47、A=200cm、F=0.03MPaであり、μAF=282Nである。
また、H=30.7MPa、a=13.8mmであり、Ha=423.7Nである。
振動試験条件は、正弦波形の対数掃引とし、振動数7Hzから100Hzに上昇させ再び7Hzに戻すことを15分間で掃引する。蓄電モジュール10の互いに垂直な3方向(x軸、y軸、z軸)それぞれについてこのセットを12回繰り返す。対数掃引の条件は、7Hzから約18Hzに達するまではピーク加速度を1m/sとし、その後は全振幅を1.6mmにし、ピーク加速度が8m/sに達するまで振動を増加させる。その後振動が100Hzに上がるまで8m/sのピーク加速度を維持する。尚、加速度が5m/sのときに、蓄電素子の外装体の降伏応力Hに相当する衝撃G及びGが印加される。スライダーの表面は加速度が4.6m/s以上のときに滑るように設計されている。また、各軸方向の振動回数は約4.7×10回である。
蓄電モジュール10のz軸の方向に振動を与えて衝撃Gを印加した。この試験の結果、衝撃が印加されたときにスライダーの表面で滑ることにより、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1は損傷することがなく、安全性の高い蓄電モジュールが提供された。
[実施例2、3]
スライダー4の材料及び摩擦係数を変更すること以外は実施例1と同様の方法で振動試験を実施した。各条件と振動試験の結果の一覧を下記表1に示す。振動試験の結果が○であることは、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1に損傷が無いことを示している。本実施例の結果、μAF<Haの範囲で安全性の高い蓄電モジュールが提供された。
[実施例4,5,6]
実施例1,2,3の蓄電モジュールの形態において、振動試験の振動方向をy軸に替えて衝撃Gを印加した。このとき、蓄電素子の外装体に加わる衝撃方向も変化するため、外装体の断面積aは16.8mmであった。これら以外は実施例1,2,3と同様の方法で振動試験を実施した。各条件と振動試験の結果の一覧を下記表1に示す。振動試験の結果が○であることは、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1に損傷が無いことを示している。本実施例の結果、μAF<Haの範囲で安全性の高い蓄電モジュールが提供された。
[比較例1]
スライダー4の材料をアルミニウム合金板(A5052P)に変更すること、及びそれに伴う摩擦係数を変更すること以外は実施例1と同様の方法で振動試験を実施した。各条件と振動試験の結果を下記表1に示す。振動試験の結果が×であることは、不良が生じたことを示している。振動試験の結果、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1は、外装体が損傷し、内部の電極積層体がずれていた。
[実施例7]
比較例1の蓄電モジュールの形態において、実施例4,5,6と同様の試験方法で、衝撃Gを印加した。各条件と振動試験の結果の一覧を下記表1に示す。振動試験の結果が○であることは、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1に損傷が無いことを示している。本実施例の結果、μAF<Haの範囲で安全性の高い蓄電モジュールが提供された。
[比較例2]
実施例1の蓄電モジュールの形態において、スライダー4を配置せずに、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1をエンドプレート3に両面粘着テープを用いて接着固定した状態で実施例1に記載の振動試験を実施した。尚、両面粘着テープの表面の摩擦係数を測定した結果、μ=1.48であった。また、加圧力Fを0.02MPaに変更した。尚、加圧力Fの値は蓄電素子1の充放電性能及び劣化特性に影響を与えることから、0.02MPa未満の値にすることはできなかった。各条件と振動試験の結果を下記表1に示す。振動試験の結果が×であることは、不良が生じたことを示している。振動試験の結果、セルスタック2の両端に位置する蓄電素子1は、外装体が損傷し、内部の電極積層体がずれていた。
以上の実施例により、本実施の形態に係る蓄電素子は、衝撃・振動に対する優れた耐久性を有する。その結果、安全性の高い蓄電モジュールを提供することができる。
Figure 2018029017
本発明の蓄電素子及び蓄電モジュールは、例えば、自動車における内燃機関、燃料電池、又はモーターと、蓄電素子と、を組み合わせたハイブリット駆動システムの分野;瞬間電力ピーク時のアシスト電源用途等として、好適に利用することができる。
1 蓄電素子
2 セルスタック
3 エンドプレート
4 スライダー
5 締結体
6 電極リード
7 サポート部品A
8 保持板
9 サポート部品B
10 蓄電モジュール

Claims (7)

  1. 複数の金属ラミネート樹脂フィルム製の外装体にそれぞれ収納されている扁平形状を有する蓄電素子を複数積層して成るセルスタックと、
    前記セルスタックの積層方向の両端に設置される一対のエンドプレートと、
    前記エンドプレートと前記セルスタックの間に設置されるスライダーと、
    前記エンドプレートに接続されて前記セルスタックに加圧力Fを与える締結体と、
    を有する蓄電モジュールであって、
    前記スライダーと前記エンドプレートの間または前記スライダーと前記セルスタックの間のいずれかの有効接触面積Aと、
    前記スライダーの摩擦係数μと、
    前記外装体の断面積aと、
    前記金属ラミネート樹脂フィルムの降伏応力Hと、
    の間に、μAF<Haの関係を有することを特徴とする蓄電モジュール。
  2. 前記スライダーは、絶縁性を有し、かつ前記エンドプレートと前記セルスタックを絶縁する、請求項1に記載の蓄電モジュール。
  3. 前記セルスタックは、前記締結体に係止される、請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
  4. 前記締結体と前記セルスタックの間は、絶縁体を介して係止される、請求項3に記載の蓄電モジュール。
  5. 隣り合う複数の前記蓄電素子が接着されて積層して成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
  6. 隣り合う複数の前記蓄電素子の間に、保持板が配置され、其々が接着されて積層して成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
  7. 隣り合う複数の前記蓄電素子の間に、保持板が配置され、其々が接着されて積層して成り、かつ前記保持板は、前記締結体と前記絶縁体を介して係止される、請求項4に記載の蓄電モジュール。
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