JP2018025958A - タッチ検出回路、タッチ検出プログラム及びタッチ検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印加される検出信号に応じてセンサ容量から得られる応答信号を測定することによって、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ検出において、応答信号のS/N比を向上する。【解決手段】変換回路とタッチ判定回路に接続可能なタッチ検出回路であって、以下のように構成される。変換回路は、応答信号を周波数ドメインに変換することにより、検出信号の周波数における応答信号ベクトルを算出する。前記タッチ検出回路は、基準ベクトルを保持するための基準ベクトル管理回路とベクトル減算回路とを備え、変換回路から入力された応答信号ベクトルと前記基準ベクトルとの差分ベクトルを算出する。タッチ判定回路は、算出された差分ベクトルに基づいてセンサ容量への導電物体の接近を検知する。【選択図】図5

Description

本発明は、タッチ検出回路、タッチ検出プログラム及びタッチ検出方法に関し、特に印加される検出信号に応じてセンサ容量から得られる応答信号を測定することによって、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ検出に好適に利用できるものである。
容量方式のタッチ検出には、自己容量方式と相互容量方式があるが、いずれの方式においても、センサ容量に所定の検出信号を印加してセンサ容量及びタッチによって増減した容量成分を充放電し、それに応じて得られる応答信号を受信し、その大きさを測定することによって、タッチの有無を検出する。このとき、検出感度を向上する技術が種々、提案されている。
例えば特許文献1には、相互容量方式のタッチ検出回路が開示されている。検出信号を矩形波としてその立上りエッジに対応する応答信号と、立下りエッジに対応する応答信号を、互いに極性を反転した上で積分することによって、検出感度を向上している。
特開2014−106864号公報
特許文献1について本発明者が検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。
特許文献1において、検出信号として矩形波を用いる場合には、応答信号の極性を反転させるタイミングに十分な余裕があるが、検出信号として正弦波や三角波などを用いる場合には、応答信号の極性を反転させるタイミングに十分な余裕がない。応答信号の極性を反転させるタイミングに十分な余裕がないと、本来正側の応答信号が負側の応答信号として積分され、または逆に本来負側の応答信号が正側の応答信号として積分され、その結果、検出精度を保つことができない場合がある。即ち、応答信号に重畳される位相ノイズ成分が検出精度を劣化させるという問題がある。
このような問題に対して一般的には、応答信号の位相変化が十分に小さく抑えられるように、検出信号の周波数を低くすることによって、応答信号の振幅成分に対する位相ノイズ成分の寄与を抑える、即ち、周波数領域を制約することによって必要なS/N(Signal / Noise)比を確保する設計が採用されている。
本願の発明者らは、応答信号をフーリエ変換等することによって、振幅成分を位相成分とは分離して取り出すことにより、S/N比を向上して検出感度を高める発明をし、本願に先立って特許出願した(特願2016−107263号;本願の出願時点で未公開)。
本願の発明者らは、この考え方をより深く検討し、以下のような新たな課題を見出した。
図1は、タッチ検出のための応答信号(Sensor response)を、周波数ドメインで表現したベクトル図である。タッチ検出のための応答信号に限らずあらゆる信号は、振幅(amplitude)と位相(phase)を(または実数軸と虚数軸を)直交する軸とした2次元の周波数ドメインにおいて、ベクトルで表現することができる。このとき、図示されるように、センサ容量へのタッチの有無に応じて、振幅が変化するとともに位相も変化する。
図2は、応答信号ベクトルとベクトル差分を示す、ベクトル図である。センサ容量へのタッチがある場合の応答信号ベクトルと、タッチがない場合の応答信号ベクトルとに位相変化がない場合には、振幅の差分がベクトル差分(A delta of vector)であり、タッチ検出の際の信号成分である。スカラのみで行うタッチ検出に相当する。位相変化がないことを前提とするため、位相変化を生じないか生じても無視できる程度に十分に小さくなるように、検出信号の周波数が制限される。なお、図2では、タッチがある場合の応答信号ベクトルとタッチがない場合の応答信号ベクトルとが重なることを明示し、2つのベクトルを区別するために、タッチがある場合の応答信号ベクトルを白抜きの幅の広い矢印に変更して表現した。
図3は、検出信号の周波数が低い場合の、応答信号ベクトルとベクトル差分を示す、ベクトル図である。検出信号の周波数が低い場合には、2つのベクトルの振幅の差分がそのままベクトル差分の大きさになる。したがって、タッチ検出には、振幅のみの差を利用すればよい。
図4は、検出信号の周波数が高い場合の、応答信号ベクトルとベクトル差分を示す、ベクトル図である。検出信号の周波数が高くなると、2つのベクトルの位相差も大きくなり、振幅成分の差分とベクトル差分の大きさとの間の差が大きくなることがわかった。
センサ容量へのタッチの有無に応じて、振幅が変化するとともに位相も変化するのであるから、ベクトル差分全体が信号成分であると考えるべきである。これに対して振幅成分のみを取り出してタッチの有無を検出しようとすると、位相成分の変化が無視されることにより、その分の信号成分が減少してS/N比が低下する。
本発明の目的は、応答信号のS/N比を向上することにある。
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、下記の通りである。
すなわち、印加される検出信号に応じてセンサ容量から得られる応答信号を測定することによって、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するためのタッチ検出回路であって、変換回路とタッチ判定回路に接続可能であり、以下のように構成される。
変換回路は、応答信号を周波数ドメインに変換することにより、検出信号の周波数における応答信号ベクトルを算出する。前記タッチ検出回路は、基準ベクトルを保持するための基準ベクトル管理回路とベクトル減算回路とを備え、変換回路から入力された応答信号ベクトルと前記基準ベクトルとの差分ベクトルを算出する。タッチ判定回路は、算出された差分ベクトルに基づいてセンサ容量への導電物体の接近を検知する。
前記一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、応答信号のS/N比を向上することができる。
図1は、タッチ検出のための応答信号を、周波数ドメインで表現したベクトル図である。 図2は、応答信号ベクトルとベクトル差分を示すベクトル図である。 図3は、検出信号の周波数が低い場合の、応答信号ベクトルとベクトル差分を示すベクトル図である。 図4は、検出信号の周波数が高い場合の、応答信号ベクトルとベクトル差分を示すベクトル図である。 図5は、本発明に係るタッチ検出回路の一構成例を示すブロック図である。 図6は、容量方式のタッチ検出の原理を簡単に示す説明図である。 図7は、本発明のタッチ検出回路において、検出信号の周波数を変えた場合の、タッチ検出回路の特性を示す特性図である。 図8は、本発明のタッチ検出回路において、検出信号の周波数を変えた場合の、応答信号の強度を示す特性図である。 図9は、本発明に係るタッチ検出回路の別の構成例を示すブロック図である。 図10は、本発明に係るタッチ判定回路におけるタッチ判定アルゴリズムの原理を説明する上で、特に、真にタッチが存在する領域を示すための説明図である。 図11は、本発明に係るタッチ判定回路におけるタッチ判定アルゴリズムの原理を説明する上で、特に、位相情報を無視して絶対値のみでタッチの有無を判定する場合のタッチ判定領域を示すための説明図である。 図12は、本発明に係るタッチ判定回路におけるタッチ判定アルゴリズムの原理を説明する上で、特に、絶対値に位相情報を組み合わせてタッチの有無を判定する場合のタッチ判定領域を示すための説明図である。 図13は、タッチ判定回路において、偏角マスクを定めるキャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。 図14は、タッチ判定回路によって実行されるタッチ判定処理の一例を示すフローチャートである。 図15は、偏角マスクを定めるキャリブレーション処理のための説明図である。 図16は、タッチ判定処理の判定手順を説明するための説明図である。 図17は、相互容量方式のタッチパネル及びタッチコントローラの構成例を模式的に示すブロック図である。 図18は、自己容量方式のタッチパネル及びタッチコントローラの構成例を模式的に示すブロック図である。 図19は、本発明に係るタッチ検出回路に搭載される変換回路(Touch AFE)1の基本的な動作を示す説明図である。
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕[Baseline Manager] + [ベクトル減算回路]
印加される検出信号(Sensing Wave)に応じてセンサ容量(CB)から得られる応答信号(Sensor Response)を測定することによって、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ検出回路であって、以下のように構成される。
タッチ検出回路は、変換回路(1)とタッチ判定回路(5)に接続可能である。
前記変換回路は、前記応答信号を周波数ドメインに変換することにより、前記応答信号の前記検出信号の周波数における応答信号ベクトル(Sensed Vector, S=(Sx0, Sx1))を算出可能である。
前記タッチ検出回路は、基準ベクトル(Baseline Vector, B=(Bx0, Bx1))を保持するための基準ベクトル管理回路(2)と、前記変換回路から入力された前記応答信号ベクトルと前記基準ベクトルとの差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))を算出するためのベクトル減算回路(3)とを備える。
前記タッチ判定回路は、前記差分ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知する。
これにより、応答信号のS/N比を実質的に向上し、タッチ検出の感度を高めることができる。
〔2〕:〔1〕+ [Demax]
〔1〕において、前記タッチ検出回路は、前記応答信号ベクトルと前記差分ベクトルのうちのいずれかを、前記タッチ判定回路に供給するためのデマルチプレクサ(4)をさらに備える。
これにより、基準ベクトルが生成される以前、または基準ベクトルが一時的に使用に適さなくなったときに、応答信号ベクトルを使ったタッチ検出に切り替えることができる。
〔3〕:〔1〕+ [応答信号ベクトル用絶対値回路] + [差分ベクトル用絶対値回路] + [Demax]
〔1〕において、前記タッチ検出回路は、前記応答信号ベクトルの絶対値に対応する応答信号スカラ値を算出するための第1絶対値算出回路(6)と、前記差分ベクトルの絶対値に対応する差分信号スカラ値を算出するための第2絶対値算出回路(7)と、前記応答信号スカラ値と前記差分信号スカラ値のうちのいずれかを、前記タッチ判定回路に供給するためのデマルチプレクサ(4)をさらに備える。
これにより、タッチ判定回路に供給するデータの量を減らすことができる。また、応答信号の位相成分を使わず振幅成分のみを使う、従来のタッチ判定回路にも接続することができる。このとき、タッチ判定回路が従来方式であっても、供給されるデータが差分信号のスカラ値であるから、応答信号の位相成分を既に織り込み済みであり、応答信号の振幅成分のみの場合よりも、S/N比が向上されている。
〔4〕:〔1〕+ [Touch Detection]
〔1〕において、前記タッチ判定回路は、2次元の周波数ドメインにおける基準領域とタッチ判定領域とをそれぞれ示す基準領域データとタッチ判定領域データとを保持し、前記基準領域を始点としたときの前記差分ベクトルの終点が前記タッチ判定領域内にあるときに、前記センサ容量へ導電物体が接近したものと判定する。
これにより、タッチ判定を簡略な回路で実現することができる。
〔5〕タッチ判定領域
〔4〕において、タッチ判定領域は、前記基準領域を中心とする円の径と中心角のそれぞれの範囲で規定される。
これにより、タッチ判定をさらに簡略な回路で実現することができる。
〔6〕検出信号の周波数を向上
〔1〕から〔5〕のうちのいずれか1項において、前記タッチ検出回路は、前記検出信号を供給する検出信号駆動回路(101)をさらに備え、前記検出信号の基本周波数(fk)は、前記センサ容量の充放電時定数の3倍の逆数(1/(3×RB・CB))よりも高い。
これにより、S/N比をさらに向上することができる。環境から外来するノイズレベルが高い周波数領域よりも高い周波数領域に、検出信号の周波数を設定することができるので、ノイズレベルを抑えることができるからである。一方、検出信号の周波数を高くすると応答信号の位相成分が大きくなるが、振幅成分と位相成分の両方を含むベクトルを信号成分として利用するので、S/N比における信号成分は低下しない。よって、S/N比はより向上する。
〔7〕タッチコントローラIC
〔1〕から〔6〕のうちのいずれか1項において、前記タッチ検出回路は、前記変換回路とともに、同一の半導体基板上に形成される。
これにより、タッチ検出感度の高いタッチコントローラICを提供することができる。
〔8〕[Touch Detection]を含むタッチコントローラIC
〔7〕において、前記半導体基板上には、さらに前記タッチ判定回路が形成される。
これにより、タッチ検出感度の高くかつ高集積のタッチコントローラICを提供することができる。
〔9〕タッチ検出プログラム
印加される検出信号(Sensing Wave)に応じてセンサ容量(CB)から得られる応答信号(Sensor Response)に基づいて、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するために、プロセッサ(11)で実行される、タッチ検出プログラムであって、以下の各ステップを含んで構成される。
前記応答信号を周波数ドメインに変換することにより、前記応答信号の前記検出信号の周波数における応答信号ベクトル(Sensed Vector, S=(Sx0, Sx1))が入力される入力ステップ。
前記応答信号ベクトルと基準ベクトル(Baseline Vector, B=(Bx0, Bx1))との間の減算(3)を行って差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))を算出する差分ベクトル算出ステップ。
前記差分ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ判定ステップ(5)。
これにより、応答信号のS/N比を実質的に向上し、タッチ検出の感度を高めることができる。
〔10〕:〔9〕+ [Demax]
〔9〕に記載されるタッチ検出プログラムにおいて、前記タッチ判定ステップは、前記応答信号ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するステップを実行可能とされ、前記差分ベクトルまたは前記応答信号ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知する。
これにより、基準ベクトルが生成される以前、または基準ベクトルが一時的に使用に適さなくなったときに、応答信号ベクトルを使ったタッチ検出で代替させることができる。
〔11〕:〔9〕+ [応答信号ベクトル用絶対値算出] + [差分ベクトル用絶対値算出] + [Demax]
〔9〕において、前記タッチ検出プログラムは、さらに以下の各ステップを含んで構成される。
前記応答信号ベクトルの絶対値に対応する応答信号スカラ値を算出(6)する第1絶対値算出ステップ。
前記差分ベクトルの絶対値に対応する差分信号スカラ値を算出(7)する第2絶対値算出ステップ。
前記応答信号スカラ値と前記差分信号スカラ値のうちのいずれかを、前記タッチ判定ステップに供給するための選択ステップ(4)。
このとき、前記タッチ判定ステップは、前記応答信号スカラ値または前記差分信号スカラ値に基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知する。
これにより、タッチ判定ステップに供給するデータの量を減らすことができる。また、応答信号の位相成分を使わず振幅成分のみを使う、従来のタッチ判定プログラムを組み合わせることができる。このとき、タッチ判定プログラムが従来方式であっても、供給されるデータが差分ベクトルのスカラ値であるから、応答信号ベクトルの位相成分を既に織り込み済みであり、応答信号の振幅成分のみの場合よりも、S/N比が向上されている。
〔12〕:〔9〕+ [Touch Detection]
〔9〕に記載されるタッチ検出プログラムにおいて、前記タッチ判定ステップは、2次元の周波数ドメインにおける基準領域とタッチ判定領域とをそれぞれ示す基準領域データとタッチ判定領域データとを保持し、前記基準領域を始点としたときの前記差分ベクトルの終点が前記タッチ判定領域内にあるときに、前記センサ容量へ導電物体が接近したものと判定する。
これにより、タッチ判定を簡略なアルゴリズムで実現することができる。
〔13〕:〔12〕+ [Touch Detection]
〔12〕に記載されるタッチ検出プログラムにおいて、タッチ判定領域は、前記基準領域を中心とする円の径と中心角のそれぞれの範囲で規定される。
これにより、タッチ判定をさらに簡略なアルゴリズムで実現することができる。
〔14〕検出信号の周波数を向上
〔9〕から〔13〕のうちのいずれか1項に記載されるタッチ検出プログラムにおいて、前記検出信号の基本周波数は、前記センサ容量の充放電時定数の3倍の逆数よりも高い。
これにより、S/N比をさらに向上することができる。環境から外来するノイズレベルが高い周波数領域よりも高い周波数領域に、検出信号の周波数を設定することができるので、ノイズレベルを抑えることができるからである。一方、検出信号の周波数を高くすると応答信号の位相成分が大きくなるが、振幅成分と位相成分の両方を含むベクトルを信号成分として利用するので、S/N比における信号成分は低下しない。よって、S/N比はより向上する。
〔15〕タッチ検出方法=[フーリエ変換] + [差分ベクトル算出] + [タッチ判定]
印加される検出信号(Sensing Wave)に応じてセンサ容量(CB)から得られる応答信号(Sensor Response)に基づいて、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するために、信号処理回路またはプログラムが実行可能なプロセッサ(11)で実行される、タッチ検出方法であって、以下の各ステップを含んで構成される。
前記応答信号を周波数ドメインに変換(1)することにより、前記応答信号の前記検出信号の周波数における応答信号ベクトル(Sensed Vector, S=(Sx0, Sx1))を算出するフーリエ変換ステップ。
前記応答信号ベクトルと基準ベクトル(Baseline Vector, B=(Bx0, Bx1))との間の減算(3)を行って差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))を算出する差分ベクトル算出ステップ。
前記差分ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ判定ステップ(5)。
これにより、応答信号のS/N比を実質的に向上し、タッチ検出の感度を高めることができる。
〔16〕:〔15〕+ [Demax]
〔15〕に記載されるタッチ検出方法おいて、前記タッチ判定ステップは、前記応答信号ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するステップをさらに含む。
これにより、基準ベクトルが生成される以前、または基準ベクトルが一時的に使用に適さなくなったときに、応答信号ベクトルを使ったタッチ検出方法で代替させることができる。
〔17〕:〔15〕+ [応答信号ベクトル用絶対値算出] + [差分ベクトル用絶対値算出] + [Demax]
〔15〕において、前記タッチ検出方法は、さらに以下の各ステップを含んで構成される。
前記応答信号ベクトルの絶対値に対応する応答信号スカラ値を算出(6)する第1絶対値算出ステップ。
前記差分ベクトルの絶対値に対応する差分信号スカラ値を算出(7)する第2絶対値算出ステップ。
前記応答信号スカラ値と前記差分信号スカラ値のうちのいずれかを、前記タッチ判定ステップに供給するための選択ステップ(4)。
これにより、タッチ判定ステップに供給するデータの量を減らすことができる。また、応答信号の位相成分を使わず振幅成分のみを使う、従来のタッチ判定プログラムを組み合わせることができる。このとき、タッチ判定プログラムが従来方式であっても、供給されるデータが差分ベクトルのスカラ値であるから、応答信号ベクトルの位相成分を既に織り込み済みであり、応答信号の振幅成分のみの場合よりも、S/N比が向上されている。
〔18〕:〔15〕+ [Touch Detection]
〔15〕に記載されるタッチ検出方法おいて、前記タッチ判定ステップは、2次元の周波数ドメインにおける基準領域とタッチ判定領域とをそれぞれ示す基準領域データとタッチ判定領域データとを保持し、前記基準領域を始点としたときの前記差分ベクトルの終点が前記タッチ判定領域内にあるときに、前記センサ容量へ導電物体が接近したものと判定する。
これにより、タッチ判定を簡略なアルゴリズムで実現することができる。
〔19〕:〔18〕+ [Touch Detection]
〔18〕に記載されるタッチ検出方法おいて、前記タッチ判定領域は、前記基準領域を中心とする円の径と中心角のそれぞれの範囲で規定される。
これにより、タッチ判定をさらに簡略なアルゴリズムで実現することができる。
〔20〕検出信号の周波数を向上
〔15〕から〔19〕のうちのいずれか1項に記載されるタッチ検出方法において、前記検出信号の基本周波数は、前記センサ容量の充放電時定数の3倍の逆数よりも高い。
これにより、S/N比をさらに向上することができる。環境から外来するノイズレベルが高い周波数領域よりも高い周波数領域に、検出信号の周波数を設定することができるので、ノイズレベルを抑えることができるからである。一方、検出信号の周波数を高くすると応答信号の位相成分が大きくなるが、振幅成分と位相成分の両方を含むベクトルを信号成分として利用するので、S/N比における信号成分は低下しない。よって、S/N比はより向上する。
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
〔実施形態1〕
図5は、本発明に係るタッチ検出回路の一構成例を示すブロック図である。本発明に係るタッチ検出回路は、印加される検出信号(Sensing Wave)に応じてセンサ容量(センサノードとも称す)CBから得られる応答信号(Sensor Response)を測定することによって、センサ容量CBへの導電物体の接近を検知する。タッチ検出回路は、基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)2とベクトル減算回路3とデマルチプレクサ4とを備え、変換回路(Touch AFE: Touch Analog Front End)1とタッチ判定回路(Touch Detection)5に接続される。なお、図5に図示される信号は、1本または複数の配線からなる1〜多数ビットのディジタル信号であるが、バス表記は省略されている。この点は、本願で開示する他の実施形態、及び、引用する他のブロック図等についても同様である。
変換回路(Touch AFE)1は、応答信号(Sensor Response)を周波数ドメインに変換することにより、検出信号(Sensing Wave)の基本周波数における応答信号ベクトル(Sensed Vector, S=(Sx0, Sx1))を算出する。例えば、A/D(Analog to Digital)変換回路とフーリエ変換回路とによって構成することができる。
基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)2は、基準ベクトル(Baseline Vector, B=(Bx0, Bx1))を保持する。基準ベクトル(Baseline Vector)とは、センサ容量CBへ指などの導電物体が接近していない状態での、応答信号(Sensor Response)に対応する応答信号ベクトル(Sensed Vector)である。基準ベクトル(Baseline Vector)は、センサ容量CBの容量値などのタッチパネルの電気的特性によって決まり、タッチパネルの製造ばらつきに依存し、電源電圧、温度などの環境の影響で変動するので、起動などの機会に初期化され、その後随時更新される。
ベクトル減算回路3は、応答信号ベクトル(Sensed Vector)と基準ベクトル(Baseline Vector)との差分である、差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))を算出する。
タッチ判定回路(Touch Detection)5は、基本的には、この差分ベクトル(Delta Vector)に基づいて、センサ容量CBへ導電物体の接近を検知する。
これにより、応答信号(Sensor Response)の振幅成分のみに基づいたタッチ検出よりも、S/N比を実質的に向上し、タッチ検出の感度を高めることができる。図3,4に示すように、応答信号ベクトル(Sensed Vector)と基準ベクトル(Baseline Vector)の振幅成分のみの差よりも、ベクトルとしての差分の方が、S/N比の信号成分Sが大きくなるからである。
図5に示すように、タッチ検出回路はデマルチプレクサ4をさらに備えると好適である。デマルチプレクサ4は、応答信号ベクトル(Sensed Vector)と差分ベクトル(Delta Vector)のうちのいずれかを、タッチ判定回路(Touch Detection)5に供給する。例えば、タッチ判定回路5が判定モード(Detection Mode)としてフルベクトル(Full vector)を指定したときには応答信号ベクトル(Sensed Vector)を選択し、差分ベクトル(Delta Vector)を指定したときには差分ベクトル(Delta Vector)を選択し、応答結果ベクトル(Sensed Result, R=(Rx0, Rx1))として、タッチ判定回路5に供給する。
これにより、基準ベクトル(Baseline Vector)が生成される以前、または基準ベクトルが一時的に使用に適さなくなったときに、応答信号ベクトル(Sensed Vector)を使ったタッチ検出に切り替えることができる。
本発明によって奏される効果について、詳しく説明する。
タッチ検出回路において、センサ容量CBへの導電物体の接近(即ち、タッチの有無)による応答信号の差分ベクトル(Delta Vector)は、検出条件に応じた振幅(Amplitude)と偏角(Argument)を持つ。つまり、応答信号の差分ベクトルの偏角情報を用いることでホバーなどの振幅変化が少ない現象についてのノイズと真の信号との分離や、差分ベクトルの時間変化からホバーからタッチ着地への状態遷移の検出に利用することができる。
図6は、容量方式のタッチ検出の原理を簡単に示す説明図である。センサ容量CBに検出信号(Sensing Wave)が印可され、その応答信号(Sensor Response)を測定することによって、センサ容量CBへの導電物体の接近を検知する。抵抗RBは、検出信号(Sensing Wave)から応答信号(Sensor Response)に至る信号伝搬経路に分散する抵抗成分を、集中定数の抵抗として等価的に表したものである。センサ容量CBに指などの導電物体が接近すると、周囲の電界が影響を受けてセンサ容量CBの値が変化する。図6では容量Cfが並列接続されるように示したが、変化の方向は増加方向には限られない。CB、Cf、RBの符号は、容量や抵抗といった素子を指し示すために付された符号として用いられるとともに、それぞれの値を表す。なお、図中では「B」、「f」などは下付き文字で表記したが、明細書では標準位置に表記する。
検出信号(Sensing Wave)の波形は任意であるが、その基本周波数はfk、角周波数はω=2πfkとする。検出信号(Sensing Wave)から応答信号(Sensor Response)に至る信号伝搬経路は、センサ容量CBの充放電時定数τB=RB・CBを持ち、導電物体の接近により時定数τB=RB・(CB+Cf)に変化する。
図7は、本発明のタッチ検出回路において、検出信号の周波数を変えた場合の、タッチ検出回路の特性を示す特性図である。
横軸は容量比(Capacitance Ratio)a=Cf/CBである。導電物体が全くない状態が容量比a=0で、導電物体が近づくほどまた導電物体が大きいほど、容量比aは大きくなる。容量比aが小さい方から順に「領域1」、「領域2」、「領域3」と呼ぶことにする。上側のグラフの縦軸は、差分ベクトル(Delta Vector)の規格化された振幅(Normalized Amplitude)であり、下側のグラフの縦軸は、差分ベクトル(Delta Vector)の偏角(Argument)である。
検出信号(Sensing Wave)の角周波数ωと時定数τB=RB・CBとの積をパラメータとして、ωτB=1/4、1/2、1、2の4通りの場合について示す。
導電物体が近づくことによる応答信号の差分ベクトル(Delta Vector)の変化の特徴について説明する。
領域1に示すように、物体が小さいか遠く容量の変化が小さい場合は、検出信号の角周波数ωに応じた偏角をもち、容量比aに振幅が比例して変化する。
導電物体がさらに近づき、乃至は接触し、容量比aがある程度の大きさになった場合は、領域2に示すように、容量比aに振幅が比例するだけでなく偏角も変化する。
さらに大きな物体が近づき、乃至は接触し、巨大な容量変化があって、容量比aが非常に大きくなった場合には、領域3に示すように、容量比aの増加に対して振幅が飽和し偏角のみが変化する。
このように、容量の変化量(容量比a)に応じた差分ベクトルの特徴から、導電物体との距離の変化を検出したり、遠い或いは小さい導電物体を検出したりすることが可能になる。
さらに、検出信号(Sensing Wave)の角周波数ωを従来よりも高い周波数に設定することにより、特に偏角の変化の寄与が大きい場合に、より効率よくタッチ有無による応答信号の変化を検出することができる。
図8は、本発明のタッチ検出回路において、検出信号の周波数を変えた場合の、応答信号の強度を示す特性図である。横軸は検出信号(Sensing Wave)の周波数fkである。角周波数ωではなく周波数fkとし、キロヘルツ(kHz)単位の絶対値を示す。縦軸は、応答信号の差分ベクトル(Delta Vector)による検出(Vector sensing)と振幅検出(Amplitude sensing)の検出信号の比である。応答信号の差分ベクトル(Delta Vector)による検出(Vector sensing)の場合には、応答信号ベクトル(Sensed Vector)と基準ベクトル(Baseline Vector)とのベクトル空間内での差分である差分ベクトル(Delta Vector)を求めた上で、その絶対値が検出信号となる。一方、振幅検出(Amplitude sensing)では、応答信号ベクトル(Sensed Vector)と基準ベクトル(Baseline Vector)のそれぞれの絶対値の差が検出信号である。
100kHzを超える高い周波数領域において、応答信号の差分ベクトル(Delta Vector)による検出(Vector sensing)を行う方が、振幅検出(Amplitude sensing)よりも、大きな信号量を得ることができることがわかる。この例はτB=1/500kHzとしたもので、従来の振幅検出(Amplitude sensing)では、検出信号(Sensing Wave)の周波数fkの上限は約160kHzである。一方、本発明では、それを超える周波数の検出信号(Sensing Wave)を採用することが可能で、それにより振幅検出(Amplitude sensing)の場合よりも、より大きな信号量を得ることができ、S/N比を実質的に向上し、タッチ検出の感度を高めることができる。
本願の発明者らは、さらに、検出信号(Sensing Wave)の周波数fkについて検討した。「発明が解決しようとする課題」で述べたような理由から、従来の検出信号の周波数は、位相ノイズを低減するために、比較的低い周波数に制限されている。例えば、検出信号駆動回路の出力抵抗または検出回路の入力抵抗とセンサ容量との積で与えられる検出対象が持つ時定数から算出されるカットオフ周波数は、500kHz〜1MHzであるので、検出信号の周波数は約160kHzが上限であるといわれている。この上限の周波数は、時定数の約3倍の逆数に相当する。従来の検出回路は、周波数領域ではなく時間領域での検出原理に基づいているので、積分回路で構成されるものとして理解される。検出信号をステップ波形とし、そのときのステップ応答波形は、一般に、e=e0(1−exp(−t/τ))で表現される。即ち、時刻t=τに応答波形eはフル振幅e0の63.2%(1−exp(−1))に達し、時刻t=2τに86.5%(1−exp(−2))に達し、時刻t=3τには95.0%(1−exp(−3))に達する。積分回路における積分時間を時定数の3倍としたときに、フル振幅の95.0%の振幅値が観測され、この時の誤差−5.0%が概ね許容可能な誤差の上限とされている。したがって、検出信号駆動回路の出力抵抗または検出回路の入力抵抗とセンサ容量との積で与えられる検出対象が持つ時定数から算出されるカットオフ周波数は、500kHz〜1MHzであるので、検出信号の周波数は、その時定数の3倍の逆数として算出される、約160kHzが上限とされている。
これに対して、タッチセンサが置かれる環境においては、電源回路や充電器に搭載されるスイッチングレギュレータから発生される電源ノイズが50kHz〜100kHzであるなど、タッチ操作を行うユーザなどの人体を経由するノイズの周波数のほとんどは1MHz未満に集中している。
このため、検出信号(Sensing Wave)の周波数fkを、100kHzを超える高い周波数、特に、センサ容量CBの充放電時定数τBの3倍の逆数(1/(3×τB))を超える周波数、例えば160kHzを超える周波数とすることによって、1MHz未満に集中している50kHz〜100kHzの電源ノイズが存在しないか極めてノイズレベルの小さい周波数領域とすることができる。これにより、S/N比のノイズ成分Nが小さくなり、S/N比をさらに向上し、タッチ検出の感度を高めることができる。
〔実施形態2〕
図9は、本発明に係るタッチ検出回路の別の構成例を示すブロック図である。図5に示したタッチ検出回路に加えて、応答信号ベクトル(Sensed Vector, S=(Sx0, Sx1))の絶対値|S|に対応する応答信号スカラ値を算出するための絶対値算出回路6と、差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))の絶対値|D|に対応する差分信号スカラ値を算出するための絶対値算出回路7とを備える。これに伴って、デマルチプレクサ4は、算出された応答信号スカラ値または差分信号スカラ値の何れかを、応答結果(Sensed Result, R)としてタッチ判定回路(Touch Detection)5に供給する。他の構成と動作は実施形態1で説明した通りであるので、説明を省略する。
なお、ベクトル(x0,x1)の絶対値は、数学的にはx0成分の自乗とx1成分の自乗の和の平方根で定義されるが、応答信号スカラ値や差分信号スカラ値は、必ずしもこの数学的な定義に厳密に従う必要はない。例えば、平方根を省略してもよいし、さらには自乗和に代えて単純な和を用いてもよい。これによって、絶対値算出回路6、7が簡略化され、回路規模を抑えることができる。ソフトウェアによって実装する場合にも、実行ステップ数を抑えることができる。ただし、平方根を省略する場合には、それに応じてタッチ検出アルゴリズムを若干調整すればよいが、自乗和に代えて単純な和を用いる場合にはこれに起因する誤差を評価したうえで採否を判断する必要がある。
これにより、タッチ判定回路に供給するデータの量を減らすことができる。また、応答信号の位相成分を使わず振幅成分のみを使う、従来のタッチ判定回路にも接続することができる。このとき、タッチ判定回路が従来方式であっても、供給されるデータが差分信号のスカラ値であるから、応答信号の位相成分を既に織り込み済みであり、応答信号の振幅成分のみの場合よりも、S/N比が向上されている。
〔実施形態3〕
タッチ判定回路(Touch Detection)5の動作について、さらに詳しく説明する。
図10〜12は、本発明に係るタッチ判定回路におけるタッチ判定アルゴリズムの原理を説明するための説明図である。すべて、検出信号(Sensing wave)の基本周波数fkでの実数軸x0と虚数軸x1による2次元の周波数ドメインで表されている。タッチ判定回路(Touch Detection)5には、基本的には、応答信号の差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))が入力されるが、基準ベクトル(Baseline Vector, B=(Bx0, Bx1))との関係で示す。
図10には、基準ベクトル領域(An area of baseline)10と、真のタッチが存在する領域(An area of touch exists)11と、真のタッチの位相反転現象が存在する領域(An area of invert-phase phenomena exists)12とが示される。基準ベクトル領域10は、原点から基準ベクトル(Baseline Vector, B=(Bx0, Bx1))によって示される領域である。真のタッチが存在する領域11と真のタッチの位相反転現象が存在する領域12は、基準ベクトル領域10から一定範囲の距離(絶対値)と一定範囲の偏角で規定される領域であるとすることができる。
図11には、位相情報を無視して絶対値のみでタッチの有無を判定する場合の、タッチ判定領域(An area of touch may exists)21と、位相反転現象についてのタッチ判定領域(An area of invert-phase phenomena may exists)22とが示される。どちらも基準ベクトル領域10を中心とする円の半径の範囲で規定され、ともにドーナツ状となって明確な境界は存在しない。タッチ判定領域21と22は、真のタッチが存在する領域11と真のタッチの位相反転現象が存在する領域12を包含するように設定される。
図12には、絶対値に位相情報を組み合わせてタッチの有無を判定する場合の、タッチ判定領域(An area of touch may exists)31と、位相反転現象についてのタッチ判定領域(An area of invert-phase phenomena may exists)32とが示され、さらに、非タッチ判定領域(An area of touch never exists)33が示される。タッチ判定領域31とその位相反転現象についてのタッチ判定領域32とは、どちらも基準ベクトル領域10を中心とする円の半径の範囲と中心角の範囲とによって規定される。非タッチ判定領域33は、タッチ判定領域31、32と同じ円の半径の範囲でタッチ判定領域31、32の中心角の範囲以外の中心角の範囲とによって規定される。即ち、基準ベクトル領域10を中心とする円の半径の一定の範囲で規定されるドーナツ状の領域のうち、真のタッチが確実に存在しない領域を、非タッチ判定領域33として除外することによって、タッチ判定領域31、32が規定される。このとき、タッチ判定領域31と32は、真のタッチが存在する領域11と真のタッチの位相反転現象が存在する領域12とを、それぞれ包含するように設定される。
図11に示すようにタッチ判定領域21と22を設定してタッチ判定を行えば、図7,8を引用して説明したように、応答信号の差分ベクトル(Delta Vector)による検出(Vector sensing)を行った結果、振幅検出(Amplitude sensing)の場合よりもS/N比が向上するので、タッチ検出の感度を向上することができる。
さらに、図12に示すように絶対値に位相情報を組み合わせてタッチの有無を判定すると、真のタッチが確実に存在しない領域33を除外することができるので、タッチ検出の精度が向上する。これを「偏角マスク(argument-mask)による除外」と呼ぶことにする。例えば、ノイズに起因する差分ベクトル(Delta Vector)の絶対値が、タッチ判定領域31、32と同じ半径の範囲にあったとしても、中心角の範囲が異なれば、誤ってタッチと判定する誤検出を回避することができる。
図11のタッチ判定アルゴリズムは、図5と図9に示したいずれのタッチ検出回路においても採用することができるが、図12の偏角マスク33による除外を行うためには、図5のタッチ検出回路を採用する必要がある。
タッチ判定回路(Touch Detection)5の実装例について説明する。上述したタッチ判定アルゴリズムは、例えば、CPUで実行されるプログラムによって実現される。タッチ判定を実行するためのプログラムは、偏角マスク33を定めるキャリブレーションと、実際のタッチ判定処理に分けられる
図13は、タッチ判定回路において、偏角マスク33を定めるキャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。
まず、タッチ/非タッチのデータ収集を行う(S1)。(図では「collect touch and non-touch data」と英文で表記されている。)想定されうるすべての導電物体の接近状態を網羅するため、導電物体の大きさ、センサ容量CBからの距離、温度、電源電圧、ノイズ環境等から、実験等によって予め必要な数の代表的なタッチサンプル、非タッチサンプルを、定めておくとよい。
次に、タッチデータが存在する偏角の範囲を決定する(S2)。(図では「To define an argument range of touch exits」と英文で表記されている。)
図15は、偏角マスクを定めるキャリブレーション処理のための説明図である。第1ステップ(S1)で収集した、タッチサンプルに対応するデータと、非タッチサンプルに対応するデータとを、周波数ドメインにマッピングする。まず、非タッチサンプルに対応するデータに基づいて基準ベクトル領域10を規定する。次に、基準ベクトル領域10を通り、タッチサンプルに対応するデータの存在する領域41とその位相反転現象によるデータが存在する領域42の境界を規定する、2本の直線51と52を規定する。この2本の直線によって規定される偏角の範囲から、偏角マスク33を規定する。偏角マスク33は適切なマージンを含んで規定されるとよい。
図14は、タッチ判定回路によって実行されるタッチ判定処理の一例を示すフローチャートである。入力された差分ベクトル(Delta Vector, D=(Dx0, Dx1))について、以下の処理を実行する。
まず、差分ベクトルの振幅が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(S11)。(図では「amplitude is bigger than threshold?」と英文で表記されている。)ここで、所定の閾値は、基準ベクトル領域10を中心とする円を仮定した場合のタッチ判定領域31までの半径(図12)に相当する値であり、例えば、図13を引用して説明したキャリブレーション動作内で、第1ステップ(S1)で収集したデータに基づいて規定される。
その結果、差分ベクトルの振幅が閾値よりも大きくない場合には、応答信号ベクトルは非タッチであると判定して終了する(S12)。(図では「sensed response may be not touch」と英文で表記されている。)
差分ベクトルの振幅が閾値よりも大きくない場合には、差分ベクトルの偏角が偏角マスク33の範囲内か否かを判定する。(図では「argument is in range of mask?」と英文で表記されている。)偏角マスク33の範囲内である場合には応答信号ベクトルは非タッチであると判定して終了し(S12)、偏角マスク33の範囲内ではない場合には、応答信号ベクトルはタッチであると判定して終了する(S14)。(図では「sensed response may be touch」と英文で表記されている。)
図16は、タッチ判定処理の判定手順を説明するための説明図である。図15と同様の周波数ドメインで、基準ベクトル領域10と、基準ベクトル領域10を中心とし上記閾値を半径とする円50と、偏角マスク33を規定する2本の直線51と52と、3本の差分ベクトル61,62,63が示されている。差分ベクトル61,62,63のそれぞれについて、図14に示したタッチ判定回路によって実行されるタッチ判定処理を行うと、以下のように判定される。
差分ベクトル61については、円50の内側にあって、その振幅が閾値よりも小さいことが分かるので、S11で「差分ベクトルの振幅が閾値よりも大きくない」と判定され、S12で応答信号ベクトルは非タッチであると判定されて終了する。
差分ベクトル62については、終点が円50の外側に達しており、その振幅が閾値よりも大きいことが分かるので、S11で「差分ベクトルの振幅が閾値よりも大きい」と判定されるが、S13で「偏角マスク33の範囲内である」と判定されるので、S12で応答信号ベクトルは非タッチであると判定されて終了する。
差分ベクトル63については、終点が円50の外側に達しており、その振幅が閾値よりも大きいことが分かるので、S11で「差分ベクトルの振幅が閾値よりも大きい」と判定され、S13で「偏角マスク33の範囲内ではない」と判定されるので、S14で応答信号ベクトルはタッチであると判定されて終了する。
〔実施形態4〕
本発明のタッチ検出回路は、相互容量方式と自己容量方式のタッチパネルとそのタッチコントローラのいずれにも適用することができる。
図17は、相互容量方式のタッチパネルとタッチコントローラの構成例を模式的に示すブロック図である。
相互容量方式のタッチパネル301では、センサ容量CBは、検出信号配線G1〜GYと応答信号配線S1〜SXとが交差する位置に、マトリックス状に配置される。タッチコントローラIC(Integrated Circuit)201は、検出信号配線G1〜GYを駆動する検出信号駆動回路(SD)101と、応答信号配線S1〜SXにそれぞれ接続されるタッチ検出回路(TS)100_1〜100_Xと、インターフェース(I/F)102とを備える。インターフェース(I/F)102を介して接続されるマイクロコントローラ(MCU)401は、タッチコントローラIC201を制御するとともに、タッチ検出回路100_1〜100_Xによって観測されるセンサ容量CBの容量値の変化からタッチ座標を求める。相互容量方式では、検出信号配線G1〜GYを順次駆動し、それに伴ってセンサ容量CBの容量値に応じた充放電電流が応答信号配線S1〜SXに現れるので、その電流値をタッチ検出回路100_1〜100_Xが測定する。応答信号の電流値は、センサ容量CBの容量値の変化に対応して増減するので、ユーザの指などの導電物体が接近することによるセンサ容量CBの容量値の減少を検知することができる。
図5と図9に示した検出信号(Sensing Wave)は、検出信号駆動回路(SD)101によって、順次検出信号配線G1〜GYを介して、センサ容量CBに印可される。検出信号配線G1〜GYのうち、検出信号(Sensing Wave)が印可された検出信号配線に接続されている、センサ容量CBがセンシングの対象である。タッチ検出回路(TS)100_1〜100_Xには、それぞれ変換回路(Touch AFE)1と基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)2とベクトル減算回路3とデマルチプレクサ4が実装される。図9に示した絶対値算出回路6と7も合わせて実装されてもよい。タッチ判定回路(Touch Detection)5は、マイクロコントローラ(MCU)401にソフトウェアとして実装される。実施形態1(図5)のタッチ検出回路を実装する場合にはベクトル情報である応答結果(Sensed Result)が、実施形態2(図9)のタッチ検出回路を実装する場合にはスカラ情報である応答結果(Sensed Result)が、インターフェース(I/F)102を介してマイクロコントローラ(MCU)401に伝送される。
タッチ判定回路(Touch Detection)5の一部またはすべての機能を、タッチ検出回路(TS)100_1〜100_Xにハードウェアで実装してもよい。或いは、タッチコントローラIC201内にタッチ検出回路(TS)100_1〜100_Xに共通の1個のハードウェアとして実装してもよい。また、タッチ判定回路(Touch Detection)5の一部の機能は、マイクロコントローラ(MCU)401と通信することができる他のプロセッサ、例えば、タッチパネル301とタッチコントローラIC2とマイクロコントローラ(MCU)401等が搭載される装置のアプリケーションプロセッサで実行されるプログラムの機能の一部とされてもよい。
基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)2の機能の一部は、タッチ判定回路(Touch Detection)5の機能とともに、マイクロコントローラ(MCU)401にソフトウェアとして実装されてもよいし、タッチコントローラIC201内にタッチ検出回路(TS)100_1〜100_Xに共通の1個のハードウェアとして実装してもよい。
図18は、自己容量方式のタッチパネルとタッチコントローラの構成例を模式的に示すブロック図である。
自己容量方式のタッチパネル302では、センサ容量CBは検出信号(Sensing Wave)が印加され、応答信号(Sensor Response)が現れる配線T1〜TZ毎に配置される。タッチコントローラIC202は、配線T1〜TZ毎に接続される検出信号駆動回路(SD)101_1〜Zとタッチ検出回路100_1〜100_Zと、インターフェース(I/F)102とを備える。インターフェース(I/F)102を介して接続されるマイクロコントローラ(MCU)401は、タッチコントローラIC202を制御するとともに、タッチ検出回路100_1〜100_Zによって観測されるセンサ容量CBの容量値の変化からタッチ座標を求める。自己容量方式では、配線T1〜TZを介して検出信号駆動回路(SD)101_1〜Zによりセンサ容量CBを充電し、それに伴ってセンサ容量CBの容量値に応じた放電電流が同じ配線T1〜TZに現れるので、その電流値をタッチ検出回路100_1〜100_Zが測定する。応答信号の電流値は、センサ容量CBの容量値の変化に対応して増減するので、ユーザの指などの導電物体が接近することによるセンサ容量CBの容量値の増加を検知することができる。
なお、説明を簡略化するために、センサ容量CBとタッチ検出回路の数を同数として説明したが、マルチプレックスなどによって時分割で動作させてもよい。
図5と図9に示した検出信号(Sensing Wave)は、検出信号駆動回路(SD)101_1〜Zによって、配線T1〜TZを介して、センサ容量CBに印可される。タッチ検出回路(TS)100_1〜100_Zには、それぞれ変換回路(Touch AFE)1と基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)2とベクトル減算回路3とデマルチプレクサ4が実装される。図9に示した絶対値算出回路6と7も合わせて実装されてもよい。タッチ判定回路(Touch Detection)5は、マイクロコントローラ(MCU)401にソフトウェアとして実装される。実施形態1(図5)のタッチ検出回路を実装する場合にはベクトル情報である応答結果(Sensed Result)が、実施形態2(図9)のタッチ検出回路を実装する場合にはスカラ情報である応答結果(Sensed Result)が、インターフェース(I/F)102を介してマイクロコントローラ(MCU)401に伝送される。
タッチ判定回路(Touch Detection)5の一部またはすべての機能を、タッチ検出回路(TS)100_1〜100_Zにハードウェアで実装してもよい。或いは、タッチコントローラIC202内にタッチ検出回路(TS)100_1〜100_Zに共通の1個のハードウェアとして実装してもよい。また、タッチ判定回路(Touch Detection)5の一部の機能は、マイクロコントローラ(MCU)401と通信することができる他のプロセッサ、例えば、タッチパネル301とタッチコントローラIC2とマイクロコントローラ(MCU)401等が搭載される装置のアプリケーションプロセッサで実行されるプログラムの機能の一部とされてもよい。
基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)2の機能の一部は、タッチ判定回路(Touch Detection)5の機能とともに、マイクロコントローラ(MCU)401にソフトウェアとして実装されてもよいし、タッチコントローラIC201内にタッチ検出回路(TS)100_1〜100_Zに共通の1個のハードウェアとして実装してもよい。
いずれの方式を採用しても、タッチ検出回路100は、印加される検出信号(Sensing Wave)に応じてセンサ容量CBから得られる応答信号(Sensor Response)を測定することによって、センサ容量CBへのユーザの指などの導電物体の接近を検知することができる。
また、いずれの方式を採用しても、タッチコントローラIC201、202は、特に制限されないが、例えば、公知のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor field effect transistor)LSI(Large Scale Integrated circuit)の製造技術を用いて、シリコンなどの単一半導体基板上に形成される。表示ドライバ回路と同一の半導体チップに集積されても良い。表示タッチパネルのガラス基板上にフリップチップ実装されることにより、表示タッチパネルの実装・配線面積を低減して、狭額縁化に寄与することもできる。
図19は、本発明に係るタッチ検出回路に搭載される変換回路(Touch AFE)1の基本的な動作を示す説明図である。検出信号(Sensing Wave)は図17に示した相互容量方式の場合、検出信号配線G1〜GYに順次印加されるので、検出信号G1についてみれば、図示されるように周期t0即ち基本周波数fk=1/t0の信号が、所定周期Tの期間だけ印加される。図19には、周期Tに4周期の正弦波が含まれる検出信号G1が示されているが、これは単なる一例である。即ち、周期Tに含まれる信号波形の繰り返しは任意の回数でよく、その波形も正弦波、余弦波ばかりではなく、台形波、矩形波、三角波等、如何なる波形でも良い。この例では応答信号(Sensor Response)も同じ基本周波数fkを持つ信号となる。検出信号よりもむしろ応答信号が正弦波、余弦波となるように検出信号の波形を調整してもよい。
変換回路(Touch AFE)1は、例えば、A/D変換回路とフーリエ変換回路とによって構成され、A/D変換回路を使って、アナログ信号として入力される応答信号(Sensor Response)をサンプリングしてディジタル値に変換し、時系列の応答データR(0)〜R(N)としてフーリエ変換回路に出力する。この例では周期Tの期間中にN+1回のサンプリングを行うものとして説明する。N+1個の時間ドメインの応答データR(0)〜R(N)が得られることとなる。これをフーリエ変換回路によって離散フーリエ変換して周波数ドメインに変換する。その結果、周波数ドメインの応答信号F(0)〜F(N)が得られる。
離散フーリエ変換の基本的な変換式を以下に示す。
Figure 2018025958
Figure 2018025958
Figure 2018025958
式1は、周波数ドメインの信号F(0)〜F(N)と時間ドメインの信号R(0)〜R(N)の関係を示す変換式である。式2はこれを書き換えて、時間ドメインの信号R(0)〜R(N)から、周波数ドメインの信号F(0)〜F(N)を算出する形式に変形した変換式である。ここで図14に例示するように、周期Tの期間に基本周波数fk=1/t0の信号が4周期分含まれると仮定すると、周波数fkの周波数ドメインの信号成分F(fk)は、式3のように表される。このように、応答信号に含まれる全ての周波数成分ではなく、基本周波数fkの成分の計算のみとすることにより、演算量は大幅に削減され、例えば高速フーリエ変換回路を搭載するよりも回路規模を抑えることができる。なお、基本周波数fkのみに限定する必要はなく、2倍、3倍の高調波成分まで含めて良いし、他の特徴的な周波数成分のみを算出するように変更してもよい。
周波数ドメインの応答信号F(0)〜F(N)は式3に示す通り複素数で表現されるので、実数軸と虚数軸の2次元の複素周波数空間ではベクトル表示される。これが、応答信号ベクトル(Sensed Vector, S=(Sx0, Sx1))である。
各実施形態では、いずれも離散フーリエ変換をハードウェアで実現するとして説明したが、ソフトウェアで実現してもよい。例えば、図17に示したタッチ検出回路(TS)100_1〜100_Xや図18に示したタッチ検出回路100_1〜100_Zは、単純なA/D変換のみとし、すべての時間ドメインの応答データR(0)〜R(N)をマイクロコントローラ(MCU)401に伝送し、或いは、マイクロコントローラ(MCU)401に代わるプロセッサをタッチコントローラIC201または202に内蔵して、離散フーリエ変換を初めとするその後の信号処理をすべてソフトウェアで処理することもできる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、ブロック図に示したブロック分割は、単なる一例に過ぎず、1つのブロックの一部または全部の機能を他のブロックの機能と渾然一体に実現した別のブロックに変更して実現するなどの変更は、適宜任意に行うことができる。
CB センサ容量
1 変換回路(Touch AFE)
2 基準ベクトル管理回路(Baseline Manager)
3 ベクトル減算回路
4 デマルチプレクサ
5 タッチ判定回路(Touch Detection)
6、7 絶対値算出回路
10 基準ベクトル領域(An area of baseline)
11 真のタッチが存在する領域(An area of touch exists)
12 真のタッチの位相反転現象が存在する領域(An area of invert-phase phenomena exists)
21、31、41 タッチ判定領域(An area of touch may exists)
22、32、42 位相反転現象についてのタッチ判定領域(An area of invert-phase phenomena may exists)
33 偏角マスク(argument-mask)、非タッチ判定領域(An area of touch never exists)
50 閾値
51,52 タッチデータが存在する領域の境界を規定する直線
61,62,63 差分ベクトル
100 タッチ検出回路(TS: Touch Sensor)
101 検出信号駆動回路(SD: Sensing Wave Driver)
102 インターフェース(I/F)
201、202 タッチコントローラIC
301 相互容量方式タッチパネル
302 自己容量方式タッチパネル
CB センサ容量
401 マイコン(MCU: Micro Controller Unit)

Claims (20)

  1. 印加される検出信号に応じてセンサ容量から得られる応答信号を測定することによって、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するためのタッチ検出回路であって、
    変換回路とタッチ判定回路に接続可能であり、
    前記変換回路は、前記応答信号を周波数ドメインに変換することにより、前記応答信号の前記検出信号の周波数における応答信号ベクトルを算出可能であり、
    前記タッチ検出回路は、基準ベクトルを保持するための基準ベクトル管理回路と、前記変換回路から入力された前記応答信号ベクトルと前記基準ベクトルとの差分ベクトルを算出するためのベクトル減算回路とを備え、
    前記タッチ判定回路は、前記差分ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知する、
    タッチ検出回路。
  2. 請求項1において、
    前記タッチ検出回路は、前記応答信号ベクトルと前記差分ベクトルのうちのいずれかを、前記タッチ判定回路に供給するためのデマルチプレクサをさらに備える、
    タッチ検出回路。
  3. 請求項1において、
    前記タッチ検出回路は、前記応答信号ベクトルの絶対値に対応する応答信号スカラ値を算出するための第1絶対値算出回路と、前記差分ベクトルの絶対値に対応する差分信号スカラ値を算出するための第2絶対値算出回路と、前記応答信号スカラ値と前記差分信号スカラ値のうちのいずれかを、前記タッチ判定回路に供給するためのデマルチプレクサをさらに備える、
    タッチ検出回路。
  4. 請求項1において、
    前記タッチ判定回路は、2次元の周波数ドメインにおける基準領域とタッチ判定領域とをそれぞれ示す基準領域データとタッチ判定領域データとを保持し、前記基準領域を始点としたときの前記差分ベクトルの終点が前記タッチ判定領域内にあるときに、前記センサ容量へ導電物体が接近したものと判定する、
    タッチ検出回路。
  5. 請求項4において、
    タッチ判定領域は、前記基準領域を中心とする円の径と中心角のそれぞれの範囲で規定される、
    タッチ検出回路。
  6. 請求項1において、
    前記タッチ検出回路は、前記検出信号を供給する検出信号駆動回路をさらに備え、
    前記検出信号の基本周波数は、前記センサ容量の充放電時定数の3倍の逆数よりも高い、
    タッチ検出回路。
  7. 請求項1において、
    前記変換回路と同一の半導体基板上に形成される、
    タッチ検出回路。
  8. 請求項7において、
    前記タッチ判定回路が、前記半導体基板上にさらに形成される、
    タッチ検出回路。
  9. 印加される検出信号に応じてセンサ容量から得られる応答信号に基づいて、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するために、プロセッサで実行される、タッチ検出プログラムであって、
    前記応答信号を周波数ドメインに変換することにより、前記応答信号の前記検出信号の周波数における応答信号ベクトルが入力される入力ステップと、
    前記応答信号ベクトルと基準ベクトルとの間の減算を行って差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出ステップと、
    前記差分ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ判定ステップと、を備える、
    タッチ検出プログラム。
  10. 請求項9において、
    前記タッチ判定ステップは、前記応答信号ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するステップを実行可能とされ、前記差分ベクトルまたは前記応答信号ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知する、
    タッチ検出プログラム。
  11. 請求項9において、前記タッチ検出プログラムは、
    前記応答信号ベクトルの絶対値に対応する応答信号スカラ値を算出する第1絶対値算出ステップと、
    前記差分ベクトルの絶対値に対応する差分信号スカラ値を算出する第2絶対値算出ステップと、
    前記応答信号スカラ値と前記差分信号スカラ値のうちのいずれかを、前記タッチ判定ステップに供給するための選択ステップとをさらに備え、
    前記タッチ判定ステップは、前記応答信号スカラ値または前記差分信号スカラ値に基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知する、
    タッチ検出プログラム。
  12. 請求項9において、
    前記タッチ判定ステップは、2次元の周波数ドメインにおける基準領域とタッチ判定領域とをそれぞれ示す基準領域データとタッチ判定領域データとを保持し、前記基準領域を始点としたときの前記差分ベクトルの終点が前記タッチ判定領域内にあるときに、前記センサ容量へ導電物体が接近ものと検知する、
    タッチ検出プログラム。
  13. 請求項12において、
    タッチ判定領域は、前記基準領域を中心とする円の径と中心角のそれぞれの範囲で規定される、
    タッチ検出プログラム。
  14. 請求項9において、
    前記検出信号の基本周波数は、前記センサ容量の充放電時定数の3倍の逆数よりも高い、
    タッチ検出プログラム。
  15. 印加される検出信号に応じてセンサ容量から得られる応答信号に基づいて、前記センサ容量への導電物体の接近を検知するために、信号処理回路またはプログラムが実行可能なプロセッサで実行される、タッチ検出方法であって、
    前記応答信号を周波数ドメインに変換することにより、前記応答信号の前記検出信号の周波数における応答信号ベクトルを算出するフーリエ変換ステップと、
    前記応答信号ベクトルと基準ベクトルとの間の減算を行って差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出ステップと、
    前記差分ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するタッチ判定ステップと、を備える、
    タッチ検出方法。
  16. 請求項15において、
    前記タッチ判定ステップは、前記応答信号ベクトルに基づいて前記センサ容量への導電物体の接近を検知するステップをさらに含む、
    タッチ検出方法。
  17. 請求項15において、前記タッチ検出方法は、
    前記応答信号ベクトルの絶対値に対応する応答信号スカラ値を算出する第1絶対値算出ステップと、
    前記差分ベクトルの絶対値に対応する差分信号スカラ値を算出する第2絶対値算出ステップと、
    前記応答信号スカラ値と前記差分信号スカラ値のうちのいずれかを、前記タッチ判定ステップに供給するための選択ステップとをさらに備える、
    タッチ検出方法。
  18. 請求項15において、前記タッチ検出方法は、
    前記タッチ判定ステップは、2次元の周波数ドメインにおける基準領域とタッチ判定領域とをそれぞれ示す基準領域データとタッチ判定領域データとを保持し、前記基準領域を始点としたときの前記差分ベクトルの終点が前記タッチ判定領域内にあるときに、前記センサ容量へ導電物体が接近したものと判定する、
    タッチ検出方法。
  19. 請求項18において、
    前記タッチ判定領域は、前記基準領域を中心とする円の径と中心角のそれぞれの範囲で規定される、
    タッチ検出方法。
  20. 請求項15において、
    前記検出信号の基本周波数は、前記センサ容量の充放電時定数の3倍の逆数よりも高い、
    タッチ検出方法。
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