JP2018023958A - アンモニア性窒素含有排水の処理装置及び処理方法 - Google Patents

アンモニア性窒素含有排水の処理装置及び処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アンモニア性窒素含有排水を処理するにあたり、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との比率の調整を容易にし、かつ、排水中に含まれるアルカリ度を最大限に利用する。【解決手段】部分亜硝酸化リアクタ(10)は、互いに並列した亜硝酸化槽(1A、1B)と、各亜硝酸化槽(1A、1B)から流出した排水を合流させる合流配管(5)と、合流配管(5)にて合流された排水の亜硝酸性窒素濃度に応じて、亜硝酸化槽(1A、1B)間で、排水の流入量を変えて供給する流入水量可変供給機構(4)と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、アンモニア性窒素含有排水の処理装置及び処理方法に関する。
排水中に含まれるアンモニア性窒素は、環境中に流出すると、河川、湖沼及び海洋等での富栄養化を引き起こす。加えて、例えば日本国においては、環境省の排水基準等によって排出量が厳しく制限されている。つまり、排水に含まれるアンモニア性窒素の除去は、環境上の見地からも法制上の見地からも、解決の望まれる問題である。
従来、嫌気性消化汚泥等から発生する、高濃度のアンモニア性窒素を含有し、かつ低濃度の有機物を含有する排水は、アンモニア性窒素を、亜硝酸性窒素を経て硝酸性窒素まで酸化し、その後、還元して窒素ガス化する、硝化脱窒法で処理されてきた。しかし、本方法は、脱窒工程にメタノール等の有機物の添加が必要となり、運用コストが増大する点が課題とされていた。
一方、有機物の添加を必要としない脱窒方法の一例として、独立栄養細菌であるアナモックス(Anammox)細菌を利用したアナモックス法と呼ばれる嫌気性アンモニア酸化法が、近年注目を集めている。アナモックス細菌による脱窒反応では、亜硝酸性窒素の還元により、ほぼ同量のアンモニア性窒素が酸化されることにより、窒素ガスが生成し、排水中から窒素が除去される。このため、従属栄養細菌である一般の脱窒菌群が行うような、硝酸性窒素を有機物によって還元し、窒素ガス化する反応とは異なり、アナモックス法は、反応過程において有機物の添加を必要としないことが特徴である。また、アナモックス細菌を用いた処理では、その前処理の段階でアンモニア性窒素を酸化するに際し、全体のほぼ半量を亜硝酸性窒素に酸化するのみでよいので、従来の硝化脱窒法と比較して、前処理の工程の曝気風量が少なくて済む。
ところで、アナモックス細菌による脱窒工程(アナモックス処理工程)は、総体として以下の化学反応式式(1)に従うと考えられている。同式が示す通り、アナモックス法においては、アナモックス処理工程に入る排水のアンモニア性窒素濃度と亜硝酸性窒素濃度との比率を適切な値(1:1.32)に保つことが技術上の課題である。それゆえ、嫌気性アンモニア酸化法では、下記式(1)に示すアナモックス細菌による脱窒過程の前処理として、排水中のアンモニア性窒素(NH )の一部を亜硝酸(NO )に変換する処理を行う。そして、その後、排水中のアンモニア性窒素及び亜硝酸を窒素ガスに変換する嫌気性アンモニア酸化処理を行うことにより、窒素を除去している。
1.0NH +1.32NO +0.066HCO +0.13H → 1.02N+0.26NO +0.066CH0.50.15+2.03HO (1)
上述したアナモックス(Anammox)細菌を利用した嫌気性アンモニア酸化技術は、例えば特許文献1及び2に開示されている。
図9は、特許文献1に開示された嫌気性アンモニア酸化処理システム(アナモックス処理システム)の構成を示す系統図である。嫌気性アンモニア酸化処理システム100では、廃水は原水槽114から分配槽115に供給された後、一部が亜硝酸化槽116を経由して調整槽117へ、残部が原水バイパス水路を経由して調整槽117へ供給される。その後、調整槽117へ導入された廃水は、嫌気性アンモニア酸化槽118へ供給され、脱窒される。
このように嫌気性アンモニア酸化処理システム100では、廃水の一部を、原水バイパス水路を経由することにより、亜硝酸化槽116を迂回させている。そして、完全に亜硝酸化された廃水と、未処理の廃水とを混合することにより、亜硝酸性窒素(NO−N)濃度とアンモニア性窒素(NH−N)濃度との比率を好適な値に保っている。
また、図10は、特許文献2に開示された窒素除去装置の構成図である。窒素除去装置200では、廃水の全量を硝化槽212へ導き、廃水中のアンモニア性窒素(NH−N)の一部を、アンモニア酸化細菌を用いて亜硝酸性窒素(NO−N)に部分酸化している。次いで、脱窒槽218にてアナモックス細菌を用いて、アンモニア性窒素を亜硝酸性窒素により嫌気的に酸化し、窒素ガスの形態にして処理している。
特開2012− 20262号公報(2012年 2月 2日公開) 特開2003−211177号公報(2003年 7月29日公開)
図9に示された嫌気性アンモニア酸化処理システム100では、亜硝酸化槽116に導入される廃水の量と、原水バイパス水路を流れる廃水の量との比率を制御することにより、容易に亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素との比率を、理論値である1:1.32付近に制御することができる。しかし、亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素との比率を、理論値に近づけるため、亜硝酸化槽116に導入される廃水の量は、全量の0.57(≒1.32/(1+1.32))に過ぎない。このとき、アンモニア酸化細菌による亜硝酸化のために利用できるアルカリ度の量は、分配槽115から流出する廃水全量の約半分(57%)に限られることになる。このため、理想量の亜硝酸性窒素を生成するために必要なアルカリ度の量に対し、廃水に含まれるアルカリ度では補いきれない量が比較的大きくなる。そして、廃水に由来するアルカリ度が槽内で枯渇することにより、アンモニア酸化細菌による亜硝酸化に伴い生成する水素イオンを緩衝する効果が低下する。そして、この緩衝効果の低下により生じるpH低下を補うために添加されるアルカリ薬剤の量が多くなるという問題がある。
また、図10に示す特許文献2の窒素除去装置200では、硝化槽212に廃水の全量を導入しているので、アンモニア酸化細菌による亜硝酸化のために、排水全量に含まれる炭酸成分等に起因するアルカリ度を最大限有効に利用することができる。このため、pH調整剤として添加されるアルカリ薬剤の量を比較的に小さく抑えることができる。その反面、硝化槽内の各種設定により、亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素との比率を、理論値である1:1.32付近に制御することは困難である。
以上のように、従来の排水処理システムでは、容易に亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素との比率を、理論値である1:1.32付近に制御でき、かつ、亜硝酸化槽に添加されるアルカリ薬剤の量を小さく抑えることが困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との比率の調整を容易にし、かつ、アンモニア性窒素含有排水中に含まれるアルカリ度相当の炭酸成分を最大限に利用できる、処理装置及び処理方法を提供することにある。
本発明者らは、2槽以上の亜硝酸化槽を並列に配置し、各亜硝酸化槽に流入するアンモニア性窒素含有排水の流量を可変とすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の処理装置は、上記課題を解決するために、アンモニア性窒素含有排水を部分亜硝酸化処理する部分亜硝酸化リアクタを備えた、処理装置であって、上記部分亜硝酸化リアクタは、互いに並列して配置された複数の亜硝酸化槽と、上記複数の亜硝酸化槽それぞれから流出した部分亜硝酸化水を合流させる合流設備と、上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍になるように、上記複数の亜硝酸化槽間で、アンモニア性窒素含有排水の流量を変えて供給するための流入水量可変供給機構と、を備えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、部分亜硝酸化リアクタは、互いに並列して配置された複数の亜硝酸化槽を備えており、アンモニア性窒素含有排水の全量が複数の亜硝酸化槽それぞれに流入する構成となっている。そして、上記流入水量可変供給機構により、上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍になるように、複数の亜硝酸化槽それぞれに流入するアンモニア性窒素含有排水の流量比を制御することによって、複数の亜硝酸化槽それぞれにおける亜硝酸性窒素の生成量が制御されている。それゆえ、1つの部分亜硝酸化槽にて部分亜硝酸化処理する従来の排水処理システム(例えば図10に示されたシステム)と比較して、部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素との比率を、容易に最適化することが可能になる。
また、上記の構成によれば、複数の亜硝酸化槽それぞれにおいて、アンモニア性窒素含有排水中のアルカリ度は、アンモニア酸化細菌により消費される。このように、上記の構成によれば、アンモニア性窒素含有排水をバイパスする従来の排水処理システム(例えば図9に示されたシステム)と異なり、アンモニア酸化細菌による消費のために、アンモニア性窒素含有排水の全量に含まれるアルカリ度を無駄なく利用することができる。このため、アンモニア性窒素含有排水をバイパスする従来の排水処理システムと比較して、pH調整のために添加されるアルカリ薬剤の量を低く抑えることができる。
以上のように、上記の構成によれば、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との比率の調整を容易にし、かつ、アンモニア性窒素含有排水中に含まれるアルカリ度を最大限に利用できる、処理装置を実現できる。
本発明の処理装置では、上記複数の亜硝酸化槽それぞれは、アンモニア性窒素濃度計と、亜硝酸性窒素濃度計と、を備えたことが好ましい。
上記の構成によれば、アンモニア性窒素濃度及び亜硝酸性窒素濃度を容易に測定することができる。
本発明の処理装置では、上記複数の亜硝酸化槽間の連通と遮蔽とを切り替える切替部を備えたことが好ましい。
上記の構成によれば、上記複数の亜硝酸化槽間の連通と遮蔽とを切り替える切替部を備えているので、例えば、上記複数の亜硝酸化槽間の亜硝酸性窒素生成能力に差が生じた場合、切替部を開放することにより上記複数の亜硝酸化槽間の亜硝酸性窒素生成能力を均質化することができる。
本発明の処理装置では、上記複数の亜硝酸化槽それぞれは、アンモニア酸化細菌群を担持している流動担体を備え、上記複数の亜硝酸化槽間での上記流動担体の移動及び分離を切り替える切替部を備えたことが好ましい。
上記の構成によれば、上記複数の亜硝酸化槽間で、アンモニア酸化細菌群を担持している流動担体の移動がスムーズであるので、上記複数の亜硝酸化槽間の亜硝酸性窒素生成能力に差が生じた場合、切替部を開放することにより効率的に上記複数の亜硝酸化槽間の亜硝酸性窒素生成能力を均質化することができる。
本発明の処理装置では、上記部分亜硝酸化リアクタは、互いに容量が等しい2つの亜硝酸化槽を備えていることが好ましい。
これにより、上記流入水量可変供給機構による上記流量比の調節が容易になる。
本発明の処理方法は、上記の課題を解決するために、上述の処理装置を用いたアンモニア性窒素含有排水の処理方法であって、上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍よりも大きくなったとき、上記流入水量可変供給機構により、上記複数の亜硝酸化槽のうち1つの第1の亜硝酸化槽に対して、当該第1の亜硝酸化槽から流出する部分亜硝酸化水のアンモニア性窒素が残留しないように、アンモニア性窒素含有排水を供給する一方、上記第1の亜硝酸化槽以外の第2の亜硝酸化槽に対して、残りのアンモニア性窒素含有排水を供給することを特徴としている。
上記の構成により、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との比率の調整を容易にし、かつ、アンモニア性窒素含有排水中に含まれるアルカリ度を最大限に利用できる、処理方法を実現できる。
本発明の処理方法では、上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍以下になったとき、上記流入水量可変供給機構により、上記複数の亜硝酸化槽それぞれに対し、流入量が全て等しくなるようにアンモニア性窒素含有排水を供給することが好ましい。
本発明の処理方法では、上記複数の亜硝酸化槽それぞれでは、アンモニア酸化細菌群を担持している流動担体により部分亜硝酸化処理をしており、上記処理装置は、上記複数の亜硝酸化槽間での上記流動担体の移動及び分離を切り替える切替部を備え、上記複数の亜硝酸化槽間で亜硝酸性窒素生成能力に差が生じたときに、上記切替部を開放することにより、上記複数の亜硝酸化槽間で上記流動担体を均質化し、上記複数の亜硝酸化槽それぞれの亜硝酸性窒素生成能力を平均化することが好ましい。
本発明によれば、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との比率の調整を容易にし、かつ、アンモニア性窒素含有排水中に含まれるアルカリ度を最大限に利用できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る処理装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る処理装置に備えられた部分亜硝酸化リアクタの、概略構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る処理装置に備えられた部分亜硝酸化リアクタの第1の運転方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る処理装置に備えられた部分亜硝酸化リアクタの第2の運転方法を実施する前の状態を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る処理装置に備えられた部分亜硝酸化リアクタの第2の運転方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る処理装置に備えられた部分亜硝酸化リアクタの第3の運転方法を説明するための模式図である。 部分亜硝酸化リアクタの第2の運転方法において、流量減少側の部分亜硝酸化槽に流入するアンモニア性窒素含有排水の流量の下限値を決定する方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る処理装置を用いたアンモニア性窒素含有排水の処理方法の一例を示すフローチャートである。 特許文献1に開示された嫌気性アンモニア酸化処理システム(アナモックス処理システム)の構成を示す系統図である。 特許文献2に開示された窒素除去装置の構成図である。
まず、本発明の説明に用いる用語を定義する。
本明細書において、用語「アンモニア性窒素」とは、水中でアンモニア(NH)又はアンモニウムイオン(NH )として存在する窒素を意図する。本明細書において用語「亜硝酸性窒素」とは、水中で亜硝酸(HNO)又は亜硝酸イオン(NO )として存在する窒素を意図する。本明細書において用語「硝酸性窒素」とは、水中で硝酸(HNO)又は硝酸イオン(NO )として存在する窒素を意図する。
アンモニア性窒素濃度、亜硝酸性窒素濃度、硝酸性窒素濃度はそれぞれ、公知の方法により測定される。
排水処理における亜硝酸化の工程は、全てのアンモニア性窒素を亜硝酸化する「全量亜硝酸化」と、一部のアンモニア性窒素のみを亜硝酸化する「部分亜硝酸化」とに大別される。本発明の処理装置又は処理方法によって部分亜硝酸化されたアンモニア性窒素含有排水は、アナモックス処理工程へと導入される部分亜硝酸化水として好適である。
本明細書において、用語「アルカリ度」とは、水中に含まれる炭酸水素塩、炭酸塩又は水酸化物等のアルカリ分を意図する。アルカリ度は上記アルカリ分に対応する炭酸カルシウム(CaCO)の濃度に換算して表され、試料となる水が酸を中和する能力の指標となる。
アルカリ度は、例えば、JIS規格「JIS K 0102−15.1」において「酸消費量」として規定された公知の方法により測定される。
ここで、アナモックス法では、亜硝酸化槽に導入される排水は、pHを維持する緩衝作用を有する成分として、炭酸塩又は炭酸水素塩等に由来するアルカリ度が含まれている。このような条件を満たす、本発明の処理装置及び処理装置に適用可能なアンモニア性窒素含有排水の具体例としては、下水処理場で発生した汚泥(例えば初沈汚泥、余剰汚泥)を嫌気性消化して得られる嫌気性消化汚泥から、水分を抽出した脱水分離液が挙げられる。例えば、排水がアンモニア性窒素を1000mgN/L(「mgN/L」は有機体窒素換算の窒素濃度)含む消化脱水分離液である場合、一般的に、排水中に3000〜4000mg/L(CaCO換算)のアルカリ度が含まれる。
本明細書において、用語「アナモックス反応」とは、無酸素条件下でアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とを窒素ガス(N)へと変換する反応を意図する。本明細書において、用語「アナモックス細菌」とは、アナモックス反応を示す独立栄養細菌の一群(例えばCanditaus.Brocadia、Canditaus.Kueneia他の5属が提唱されている)を意図する。本明細書において用語「アナモックス処理」とは、アナモックス細菌を利用して排水に含有される窒素を除去する処理を意図する。一般的に、排水をアナモックス処理する際には、前工程に亜硝酸化工程が必要となる。
次に、図面を参照しながら、本発明のアンモニア性窒素含有排水の処理装置及び方法の実施形態を説明する。
〔処理装置〕
本発明の一実施形態を、図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る処理装置50の概略構成を示す模式図である。
処理装置50は、アンモニア性窒素含有排水をアナモックス処理し脱窒処理するための装置である。処理装置50は、アンモニア性窒素を含む排水が導入される部分亜硝酸化リアクタ10と、部分亜硝酸化リアクタ10にて排出した部分亜硝酸化水が導入されるアナモックスリアクタ20と、を少なくとも備えている。アナモックスリアクタ20の後段には、アナモックスリアクタ20から排出された脱窒処理水を貯留する処理水槽30が備えられていてもよい。
部分亜硝酸化リアクタ10に排水が導入されると、排水中のアンモニア性窒素の一部は、アンモニア酸化細菌により、亜硝酸性窒素に変換される。アンモニア酸化細菌は、好気性の独立栄養細菌であり、例えば、Nitrosomonas属等が挙げられる。部分亜硝酸化リアクタ10では、亜硝酸性窒素が硝酸性窒素に変換されるのを抑えるために、リアクタ内の水温が30℃以上、pHが7.8程度に維持されている。また、後段のアナモックスリアクタ20でのアナモックス処理のために、部分亜硝酸化リアクタ10では、排出される部分亜硝酸化水におけるアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との比率が1:1.32付近になるよう制御されている。アナモックスリアクタ20では、部分亜硝酸化水のアナモックス処理が行われる。すなわち、嫌気条件下にてアナモックス細菌により、部分亜硝酸化水中のアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素が窒素ガスに変換され、脱窒される。
本実施形態に係る部分亜硝酸化リアクタ10は、図1に示されるように、2つの亜硝酸化槽1A及び1Bが並列された構成である。部分亜硝酸化リアクタ10では、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれにアンモニア性窒素を含む排水が導入される。そして、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれから排出された部分亜硝酸化水は、合流してアナモックスリアクタ20に導入される。
図2は、本実施形態に係る部分亜硝酸化リアクタ10の概略構成を示す模式図である。図2に示されるように、部分亜硝酸化リアクタ10は、互いに並列した2つの亜硝酸化槽1A及び1Bと、散気装置3と、流入水量可変供給機構4と、合流配管5(合流設備)と、開閉ゲート6と、担体流出防止機構7と、アルカリ薬剤供給設備8と、槽内水質検知部9と、を備えている。合流配管5は、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれから排出した部分亜硝酸化水を合流する配管である。
亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとは、互いに同容量の処理槽であり、それぞれの槽に流動担体2が投入されている。また、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれには、散気装置3、担体流出防止機構7、アルカリ薬剤供給設備8及び槽内水質検知部9が設けられている。
流動担体2は、アンモニア酸化細菌(亜硝酸菌)群を保持する微生物担体であり、亜硝酸化槽1A及び1B内にて流動するように構成されている。流動担体2としては、例えば、特開平10−180278で開示された、繊維束を熱融着で成形した生物処理用担体が挙げられる。流動担体2の材料は、繊維束に限定されず、微生物が保持されやすく、かつ空隙率が高い材料であればよく、例えば、樹脂材料、またはゲル状の担体であってもよい。
散気装置3は、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれの底部に設置され、アンモニア酸化細菌群による亜硝酸化反応に必要な酸素を供給するとともに、流動担体2を流動させる。また、担体流出防止機構7は、部分亜硝酸化水の出口を覆うように設けられている。担体流出防止機構7により、流動担体2が亜硝酸化槽1A及び1Bから流出するのを防止する。
槽内水質検知部9は、亜硝酸化槽1A及び1B内の水質を監視する計測器を備えている。槽内水質検知部9は、例えば、pHセンサ9a、亜硝酸性窒素濃度計9b、及びアンモニア性窒素濃度計9cを備えている。亜硝酸化槽1A及び1B内では、槽内のpHは、7.8(程度)に維持される必要がある。pHセンサ9aは、亜硝酸化槽1A及び1B内のpHを監視し、制御値に応じてアルカリ薬剤の供給の開始または停止を判断するためのセンサである。また、亜硝酸性窒素濃度計9bは、亜硝酸化槽1A及び1B内の亜硝酸性窒素の濃度を測定するイオン電極を備えた機器であり、アンモニア性窒素濃度計9cは、亜硝酸化槽1A及び1B内のアンモニア性窒素の濃度を測定するイオン電極を備えた機器である。pHセンサ9a、亜硝酸性窒素濃度計9b、及びアンモニア性窒素濃度計9cは、従来公知の測定機器であれば、特に限定されない。また、槽内水質検知部9の部分亜硝酸化リアクタ10における配置は、亜硝酸化槽1A及び1B内の水質を検出することができれば、限定されない。例えば、槽内水質検知部9は、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれと合流配管5との間の配管に配置されていてもよい。
また、槽内水質検知部9は、亜硝酸性窒素濃度計9b及びアンモニア性窒素濃度計9cを必ずしも備えている必要はない。槽内水質検知部9が亜硝酸性窒素濃度計9b及びアンモニア性窒素濃度計9cを備えていない場合、亜硝酸化槽1A及び1B内の処理水のサンプルを採取し、分析室にてアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度を測定することもできる。また、亜硝酸性窒素濃度計9b及びアンモニア性窒素濃度計9cの両方を用いる以外にも、硝酸性窒素が発生しないとの前提下なら、アンモニア性窒素濃度計9cの示す数値から亜硝酸性窒素濃度を算出してもよい。本実施形態に係る処理装置50において、アンモニア性窒素濃度及び亜硝酸性窒素濃度は急激には変化しないため、サンプルを採取してそれぞれの濃度を調査してもよい。
アルカリ薬剤供給設備8は、亜硝酸化槽1A及び1B内それぞれに設けられ、亜硝酸化槽1A及び1B内のpHが7.8(程度)よりも低下したときに、亜硝酸化槽1A及び1Bへアルカリ薬剤を添加するように構成されている。なお、アルカリ薬剤は、強アルカリ溶液であれば、特に限定されず、例えば、苛性ソーダが挙げられる。
また、開閉ゲート6(切替部)は、亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとの間を連通し、開閉の切り替えにより、亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとの間の流動担体2の行き来(移動)を調節するゲートである。すなわち、開閉ゲート6は、亜硝酸化槽1A及び1B間での流動担体2を含む亜硝酸化槽内水の移動及び分離を切り替える切替部である。部分亜硝酸化リアクタ10では、通常運転中、開閉ゲート6は閉じた状態である。
切替部としての開閉ゲート6は、亜硝酸化槽1A及び1B間の連通と遮蔽とを切り替える機能を有する。換言すると、開閉ゲート6は、その開閉切替動作と流入水量可変供給機構4の動作とを組み合わせることにより、亜硝酸化槽1A及び1B間において、アンモニア性窒素負荷/亜硝酸菌量の比率に差を設ける、あるいは、比率を均一にする機能を有する。
流入水量可変供給機構4は、合流配管5により合流された部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の1.32±0.10倍になるように、亜硝酸化槽1A及び1B間で、アンモニア性窒素含有排水の流量を変えて供給するものである。流入水量可変供給機構4は、合流配管5により合流された部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度に応じて、亜硝酸化槽1Aに流入するアンモニア性窒素含有排水の流量と、亜硝酸化槽1Bに流入するアンモニア性窒素含有排水の流量との流量比を調節する。
流入水量可変供給機構4の構成としては、例えば、流量計、及び弁(バルブ)を備えた構成が挙げられる。この構成の場合、流量計は、アンモニア性窒素含有排水を亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとに分岐する手前位置の配管、および亜硝酸化槽1A・1Bそれぞれへの分岐後の2つの配管の計3箇所のうち、少なくとも2箇所に設けられている。また、弁(バルブ)は、亜硝酸化槽1A・1Bそれぞれへの分岐後の2つの配管の少なくとも1箇所に設けられている。このような構成では、弁の開度により亜硝酸化槽1A・1Bそれぞれへの流量は制御される。流入水量可変供給機構4の流量計および弁として、例えば電磁流量計および電動弁を用いれば、設定流量が得られるよう弁の開度を自動調整することも可能である。
部分亜硝酸化リアクタ10では、アンモニア性窒素含有排水は、流入水量可変供給機構4を経て、所定の流量比にて、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれに供給される。そして、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれにて処理された部分亜硝酸化水は、合流配管5にて合流し、アナモックスリアクタ20へ送られる。アナモックスリアクタ20は、従来公知の構成であれば、特に限定されない。例えば、特開平08-238495号公報に記載されたマット状の不織布を成型した固定床を充填したリアクタが挙げられる。
なお、部分亜硝酸化リアクタ10では、アンモニア酸化細菌を担持するために流動担体2を用いている。ここで、流動担体2を用いる方法以外に、アンモニア酸化細菌を蓄積する方法として、細菌自体がフロックを形成する浮遊汚泥法と、固定担体(固定床)を用いる方法との2つがある。アンモニア酸化細菌を蓄積する方法は、特に限定されないが、開閉ゲート6を備えた処理装置50では、開閉ゲート6を開くことにより各亜硝酸化槽の間を自由に移動できる流動担体2による蓄積方法が好適に用いられる。浮遊汚泥法によりアンモニア酸化細菌を蓄積する場合、処理装置50は、部分亜硝酸化リアクタ10とアナモックスリアクタ20の間に、浮遊汚泥を沈殿するための沈殿槽が設けられ、沈殿槽から浮遊汚泥を部分亜硝酸化リアクタ10へ返送する構成となる。しかし、本発明の処理装置50は、2つ以上の亜硝酸化槽を備えているので、浮遊汚泥法では運転が複雑になり、好ましくない。
〔処理方法〕
ここで、部分亜硝酸化リアクタ10に流入するアンモニア性窒素含有排水は、炭酸成分(CO 2−)を主体とするアルカリ度を有する。この炭酸成分は、排水中のpHを維持する緩衝作用を有するとともに、アンモニア酸化細菌が消費する炭素源でもある。より具体的には、アンモニア酸化細菌(亜硝酸化菌)群は、アンモニア性窒素から亜硝酸性窒素を1g生成するのに、アルカリ度7.14g(CaCO換算)を消費する。それゆえ、亜硝酸化槽1A及び1B内では、アンモニア酸化細菌による亜硝酸化によりアルカリ度が消費され、pH緩衝作用が低下する。その結果、亜硝酸化槽1A及び1Bでは、アンモニア酸化細菌による亜硝酸の生成により、pHが低下する。このため、亜硝酸化槽1A及び1Bでは、槽内のpHを適正範囲に維持するために、アルカリ薬剤供給設備8からアルカリ薬剤が添加される。
添加されるアルカリ薬剤の量は、アンモニア酸化細菌が理想量の亜硝酸性窒素を生成するために必要なアルカリ度と、亜硝酸化槽に含まれる排水中のアルカリ度との差に依存して、大きくなる。
部分亜硝酸化リアクタ10では、アンモニア性窒素含有排水の全量が亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれに流入する構成となっている。そして、流入水量可変供給機構4により、亜硝酸化槽1Aへ流入するアンモニア性窒素含有排水と、亜硝酸化槽1Bへ流入するアンモニア性窒素含有排水との流量比を制御することによって、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれにおける亜硝酸性窒素の生成量が制御されている。それゆえ、図10に示された従来の窒素除去装置200と比較して、部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素との比率を、容易に最適化することが可能になる。
また、部分亜硝酸化リアクタ10では、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれにおいて、アンモニア性窒素含有排水中のアルカリ度は、アンモニア酸化細菌により消費される。このように、部分亜硝酸化リアクタ10では、図9に示された従来の嫌気性アンモニア酸化処理システム100と異なり、アンモニア酸化細菌による消費のために、アンモニア性窒素含有排水の全量に含まれるアルカリ度を無駄なく利用することができる。このため、図9に示された従来の嫌気性アンモニア酸化処理システム100と比較して、pH調整のために添加されるアルカリ薬剤の量を低く抑えることができる。
以下に、部分亜硝酸化リアクタ10を用いたアンモニア性窒素含有排水の処理方法(すなわち、部分亜硝酸化リアクタ10の運転方法)について、図3〜8に基づいて説明する。図3は、部分亜硝酸化リアクタ10の第1の運転方法を説明するための模式図である。第1の運転方法は、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水中の亜硝酸化窒素濃度がアンモニア性窒素濃度に対して1.32倍以下である場合の、部分亜硝酸化リアクタ10の運転方法である。なお、ここでいう「1.32倍」とは、亜硝酸化窒素濃度及びアンモニア性窒素濃度の測定限界内で「1.32倍」を意味しており、1.32±0.10倍である。
合流配管5を通過する部分亜硝酸化水は、図3に示された状態では、アナモックス反応に対し、理想的な亜硝酸性窒素濃度/アンモニア性窒素濃度の比から亜硝酸性窒素が不足した状態となっている。すなわち、部分亜硝酸化リアクタ10に流入するアンモニア性窒素含有排水のアンモニア性窒素濃度をCとすると、
合流配管5を通過する部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度≦0.57C
合流配管5を通過する部分亜硝酸化水のアンモニア性窒素濃度≧0.43C
である。
図3に示される状態の下では、亜硝酸化槽1A及び1B間にて反応条件を揃え、亜硝酸化槽1A及び1Bの両方において同時に亜硝酸化反応を促進する必要がある。このため、亜硝酸化槽1A及び1Bへのアンモニア性窒素含有排水供給量を、それぞれ等量の0.5Qとなるように、流入水量可変供給機構4により流量比を調整する。更に、例えば水温を30℃、pHを7.8(程度)に制御する等の方法により、亜硝酸化槽1A及び1Bにおける硝酸菌群による硝酸性窒素生成反応を抑制する。以上の処理方法によって、亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度に対して1.32倍になるように(すなわち合流配管5を通過する部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度=0.57Cとなるように)制御する。
図4は、部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法を実施する前の状態を示す模式図である。図5は、部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法を説明するための模式図である。
例えば、図3に示された運転方法を継続することにより、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水中の亜硝酸化窒素濃度がアンモニア性窒素濃度に対して1.32倍を超えた状態となる。
すなわち、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水は、図4に示されるように、部分亜硝酸化リアクタ10に流入するアンモニア性窒素含有排水のアンモニア性窒素濃度をCとし、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度をcとすると、
合流配管5を通過する部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度c>0.57C
合流配管5を通過する部分亜硝酸化水のアンモニア性窒素濃度C−c<0.43C
となる。部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法は、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水中の亜硝酸化窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の1.32倍よりも大きい場合の、部分亜硝酸化リアクタ10の運転方法である。
図5に示されるように、部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法では、亜硝酸化槽1Aへ供給するアンモニア性窒素含有排水の流入量を、亜硝酸化槽1Aから排出される部分亜硝酸化水中のアンモニア性窒素が残留しないように、流入水量可変供給機構4により0.5Qからqへ減少させている。これにより、亜硝酸化槽1Aでは、流入するアンモニア性窒素含有排水中のアンモニア性窒素が全量亜硝酸性窒素に変換される。このため、亜硝酸化槽1Aから排出される部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度は、流入するアンモニア性窒素含有水のアンモニア性窒素濃度Cと等しくなる。その結果、亜硝酸化槽1Aにおける亜硝酸性窒素の生成量は、C*qとなる(「*」は「×」と同義)。ここで、「部分亜硝酸化水中のアンモニア性窒素が残留しない」とは、アンモニア性窒素の検出限界内で検出されないことを意味し、検出されるアンモニア性窒素濃度が15mg/L以下である状態をいう。
また、部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法では、残りのアンモニア性窒素含有排水を亜硝酸化槽1Bへ流入させている。すなわち、亜硝酸化槽1Bへ供給するアンモニア性窒素含有排水の流入量は、0.5QからQ−qへ増加している。亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸性窒素の生成量は、流動担体2に担持されているアンモニア酸化細菌群の量と活性とにより決定される。このため、亜硝酸性窒素の生成量は、短期間(各種条件によって異なるが、1〜2日程度)では変化しない。したがって、亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸性窒素の生成量は、第2の運転方法を実施する前の状態(すなわち、図4の状態)から変化せず、c*0.5Qである。
ここで、亜硝酸化槽1Aへ流入するアンモニア性窒素含有排水の流量qは、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度/アンモニア性窒素濃度の比が1.32となるように調節される。流量qの算出方法について、以下に説明する。
まず、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度Aは、(亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれにおける亜硝酸性窒素の生成量)/全流量であるので、以下の式(2)
A=(C*q+c*0.5Q)/Q (2)
により表される。
理想的な亜硝酸性窒素濃度/アンモニア性窒素濃度の比である場合、亜硝酸性窒素濃度Aは0.57Cとなる。式(2)に代入することにより、流量qは、以下の式(3)
q=Q×(0.57C−0.5c)/C (3)
q:流量調節後の亜硝酸化槽1Aに流入するアンモニア性窒素含有排水の流量
Q:部分亜硝酸化リアクタ10に流入するアンモニア性窒素含有排水の流量
C:部分亜硝酸化リアクタ10に流入するアンモニア性窒素含有排水のアンモニア性窒素濃度
c:流量調節直前における、亜硝酸化槽1Bから排出される部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度
により算出される。
部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法では、合流配管5を通過する部分亜硝酸化水中の亜硝酸化窒素濃度がアンモニア性窒素濃度に対して1.32倍を超えた場合、亜硝酸化槽1A及び1B間でのアンモニア性窒素含有排水の流量比を流入水量可変供給機構4により変更する。このとき、流入量を減少させる側の亜硝酸化槽1Aへ流入する流量qを上記式(2)に従って設定することにより、試行錯誤によることなく、アナモックス処理工程に好適な部分亜硝酸化水を得ることができる。また、部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法では、アンモニア性窒素含有排水をバイパスさせることなく、全量を亜硝酸化槽1A及び1Bへ供給させている。このため、アンモニア酸化細菌による亜硝酸化反応のために、アンモニア性窒素含有排水に含まれるアルカリ度を最大限利用することができるので、添加するアルカリ薬剤の量を削減することができる。
図6は、部分亜硝酸化リアクタ10の第3の運転方法を説明するための模式図である。例えば、上記第2の運転方法を長期間(1か月程度)継続すると、アンモニア性窒素含有排水の流入量を減少させた亜硝酸化槽1Aに存在するアンモニア酸化細菌群が減少する一方、アンモニア性窒素含有排水の流入量を増加させた亜硝酸化槽1Bに存在するアンモニア酸化細菌群が増加すると考えられる。このため、亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとの間で、流動担体2の亜硝酸性窒素生成能力に差が生じる。部分亜硝酸化リアクタ10の第3の運転方法は、このように亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとの間で亜硝酸性窒素生成能力に差が生じた場合の対応方法である。
図6に示されるように、部分亜硝酸化リアクタ10の第3の運転方法では、開閉ゲート6を開放することにより、亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとの間で流動担体2を相互に移動させる。その結果、亜硝酸化槽1Aと亜硝酸化槽1Bとの間で、アンモニア酸化細菌群が均一に分布するようになり、亜硝酸性窒素の生成能力が均一化する。
なお、開閉ゲート6は、亜硝酸化槽1Aおよび1Bそれぞれに存在する流動担体2が亜硝酸化槽1Aおよび1B間を相互に移動できる構成であればよい。好ましくは、開閉ゲート6は、亜硝酸化槽1A及び1Bそれぞれにおいて、少なくとも1か所、好ましくは2か所設けられている。
次に、部分亜硝酸化リアクタ10の第2の運転方法において、亜硝酸化槽1Aに流入するアンモニア性窒素含有排水の流量qの下限値について説明する。
上記第3の運転方法にて開閉ゲート6を開放し亜硝酸化槽1A及び1B間で亜硝酸性窒素生成能力が均一化した結果、部分亜硝酸化リアクタ10では、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との好適な比率を達成できるだけの亜硝酸性窒素生成能力が保障されることが望ましい。亜硝酸化槽1Aへ流入する流量qが極めて小さい場合、亜硝酸化槽1Aでの亜硝酸性窒素生成能力が極めて低くなる。このため、上記第3の運転方法にて開閉ゲート6を開放しても、亜硝酸性窒素濃度とアンモニア性窒素濃度との好適な比率を達成できるだけの亜硝酸性窒素が生成されないおそれがある。
それゆえ、流量を減少させる亜硝酸化槽1Aの流量qの下限値は、次の事項を条件として、決定される。流量qの下限値は、上記第3の運転方法にて亜硝酸化槽1A及び1B間で流動担体2の均一化操作を行った後の亜硝酸化速度が、後段のアナモックス反応にて必要とされる亜硝酸性窒素濃度の亜硝酸性窒素を生成可能な値であるということが条件となる。
ここで、上記第2の運転方法での流量調整の結果、流量増加側の亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸化能力が最大値となる一方、流量減少側の亜硝酸化槽1Aにおける亜硝酸性窒素生成能力が最小値となる状態を想定する。ここで、亜硝酸性窒素生成能力とは、流入するアンモニア性窒素含有排水のアンモニア性窒素濃度が律速要因にならない(亜硝酸化槽で処理された部分亜硝酸化水からアンモニア性窒素が検出される状態である)亜硝酸化速度である。すなわち、常にアンモニア性窒素が残留する状態である流量増加側の亜硝酸化槽1Bでは、亜硝酸性窒素生成能力は常に亜硝酸化速度に等しくなる。一方、全量亜硝酸化によりアンモニア性窒素が残留しない処理を前提とする亜硝酸化槽1Aでは、亜硝酸性窒素生成能力は亜硝酸化速度よりも大きい場合がある。亜硝酸性窒素生成能力が最小値となる状態とは、亜硝酸化槽1Aへのアンモニア性窒素流入負荷量と亜硝酸化槽1Aの亜硝酸性窒素生成能力が等しくなり、部分亜硝酸化水にアンモニア性窒素がわずかに検出される程度となった状態である。
また、上記第2の運転方法を実施するためには、流量qの下限値は、上記のように想定した状態から、亜硝酸化槽1A及び1B間にて流動担体2を均一化したとき、均一化された流動担体2による亜硝酸化速度により、後段のアナモックス反応にて必要とされる亜硝酸性窒素濃度以上の亜硝酸性窒素が生成されることを条件として、決定されることが望ましい。また、上記条件は、流量増加側の亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸化能力が最大値となる状態にて流動担体2を均一化して得られる亜硝酸化速度にて亜硝酸化処理すると、常に、後段のアナモックス反応にて亜硝酸性窒素が不足しないことを意味する。
以下、図7を参照して、流量qの下限値の決定方法を説明する。図7は、流量qの下限値の決定方法を説明するための模式図であり、第2の運転方法での流量調整の結果、流量増加側の亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸化速度が最大値となる一方、流量減少側の亜硝酸化槽1Aにおける亜硝酸性窒素生成能力が最小値となる状態を示している。
まず、流量増加側の亜硝酸化槽1Bの亜硝酸化能力の最大値は、流動担体2の保持できるアンモニア酸化細菌群の最大量に依存する。このため、流入するアンモニア性窒素含有排水の流量条件に関わらず、ほぼ一定の値となる。すなわち、亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸性窒素生成速度は、アンモニア性窒素負荷の増加に伴い徐々に上昇する可能性があるが、最終的には一定の値に収束する。当該値は、流動担体2の表面積及び材質、並びに部分亜硝酸化リアクタ10への流動担体2の添加率により上下するが、概ね1〜2kgN/m−槽・日の範囲となり、槽に固有の値(μ)として定められる。
一方、亜硝酸化槽1Aでは、常にアンモニア性窒素が全量亜硝酸化される(完全亜硝酸化されるともいう)。このため、亜硝酸化槽1Aは、該亜硝酸化槽1Aが本来有する亜硝酸性窒素生成能力よりも小さいアンモニア性窒素負荷にて運転されることになる。この結果、亜硝酸化槽1Aの亜硝酸性窒素生成能力は、流入水量可変供給機構4の流量調整によるアンモニア性窒素負荷の減少に応じて、徐々に減少する可能性がある。それゆえ、亜硝酸化槽1A内でアンモニア性窒素の全量亜硝酸化が維持できることを条件とすると、亜硝酸化槽1Aから流出する部分亜硝酸化水に、アンモニア性窒素がわずかに検出されている状態が亜硝酸化能力の最小値が得られている状態となる。
図7を参照すると、亜硝酸化槽1Aでの亜硝酸性窒素生成能力の最小値μは、亜硝酸化槽1A及び1Bの容量をVとすると、以下の式(4)
μ=q×C/V (4)
により表される。
また、亜硝酸化槽1Bの亜硝酸化能力の最大値μは、一定値である。
そして、開閉ゲート6により流動担体2を均一化した後の亜硝酸化槽1A及び1Bにおける亜硝酸化速度μは、亜硝酸化槽1A及び1Bの亜硝酸化能力の算術平均であり、下記式(5)
μ=(μ+ μ)/2=(q×C/V+μ)/2 (5)
により表される。
そして、式(5)により表される亜硝酸化速度μについて、後段のアナモックス反応にて必要とされる亜硝酸性窒素濃度以上の亜硝酸性窒素が生成されるという条件を適用すると、下記式(6)
μ≧0.57Q×C/2V (6)
が成立する。
式(5)及び(6)から、流量qについて、下記式(7)
q≧0.57Q−V×μ/C (7)
が得られる。式(7)から、流量qの最小値qminは、アンモニア性窒素含有排水の流量Q及びアンモニア性窒素濃度Cと、亜硝酸化槽1A及び1Bの容量V、並びに亜硝酸化槽1Bの亜硝酸化速度の最大値μから、固有の値として算出することが可能である。
例えば、部分亜硝酸化リアクタ10に流入するアンモニア性窒素含有排水の、流量Qが200m/日、アンモニア性窒素濃度Cが1.00kgN/m、亜硝酸化槽1Bにおける亜硝酸化窒素生成速度の最大値(μi)が1.50kgN/m−槽・日である場合、式(7)から、
q≧0.57×200−50×1.50÷1=39(m/日)
という条件が得られ、流量qの下限値qminが39m/日となる。
したがって、上述の条件下では、亜硝酸化槽1Aで全量亜硝酸化が行われている限り、流量qを39m/日まで減少させたとしても、上記第3の運転方法により流動担体2を均一化させれば亜硝酸性窒素濃度の不足を招くことはない。一方、上記流量qを39m/日よりも減少させた場合は、上記第3の運転方法により流動担体2を均一化させても亜硝酸性窒素濃度の不足を招く可能性がある。この状態は、アンモニア酸化細菌が再度増殖するまでに時間を要することになる。
本実施形態に係る処理装置50を用いたアンモニア性窒素含有排水の処理方法では、アナモックス反応に必要な部分亜硝酸化水を得るために、亜硝酸性窒素濃度に応じて、上述した第1〜第3の運転方法を適宜選択する。図8は、本実施形態に係る処理方法の一例を示すフローチャートである。
図8に示される処理方法では、まず、2つの亜硝酸化槽間で均一化した担体で同量の原水(アンモニア性窒素含有排水)を処理する(工程S1)。具体的には、工程S1では、上述した第1の運転方法を実施する。
そして、工程S1を継続した結果、2槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が過剰となる(アンモニア性窒素濃度の1.32倍よりも大きくなる)場合、工程S2にて、2つの亜硝酸化槽間において流入する原水の流量に差を設ける。具体的には、工程S2では、上述した第2の運転方法を実施する。
そして、工程S2を継続した結果、2槽間で亜硝酸性窒素生成能力の差が大きくなり、槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が不足する(アンモニア性窒素濃度の1.32倍以下となる)場合、次の2つの処理の何れかを実施する。1つ目の処理は、開閉ゲートを開いて流動担体を均一化した(すなわち、上述した第3の運転方法を実施した)後、工程S1を実施する処理である。2つ目の処理は、工程S3を実施する処理である。工程S3では、流量減少側の亜硝酸化槽内で完全亜硝酸化される範囲で、2槽間の流量差を小さくする。より具体的には、工程S3では、上述した第2の運転方法において、亜硝酸化槽1Aにてアンモニア性窒素全量が亜硝酸化される範囲内で、流入水量可変供給機構4により、流量減少側の亜硝酸化槽1Aへ流入するアンモニア性窒素含有排水の流量qと、流量増加側の亜硝酸化槽1Bへ流入するアンモニア性窒素含有排水の流量Q−qとの差を小さくする。
また、工程S2を継続した結果、槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が過剰となる場合、工程S4を実施する。工程S4では、2槽間の流量差を大きくする(流量減少側の槽への流量qが下限値qminよりも小さくならない範囲で)。より具体的には、工程S4では、上述した第2の運転方法において、亜硝酸化槽1Aに流入するアンモニア性窒素含有排水の流量qが下限値qminよりも小さくならない範囲で、流入水量可変供給機構4により、流量減少側の亜硝酸化槽1Aへ流入するアンモニア性窒素含有排水の流量qと、流量増加側の亜硝酸化槽1Bへ流入するアンモニア性窒素含有排水の流量Q−qとの差を大きくする。
工程S3を継続した結果、槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が不足する場合、再度、工程S3を実施する。また、工程S3を継続した結果、槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が過剰となる場合、工程S4を実施する。
また、工程S4を継続した結果、2槽間で亜硝酸性窒素生成能力の差が大きくなり、槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が不足する場合、工程S3を実施するか、あるいは、開閉ゲートを開いて流動担体を均一化した(すなわち、上述した第3の運転方法を実施した)後、工程S1を実施する。また、工程S4を継続した結果、槽合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度が過剰となる場合、再度、工程S4を実施する。
〔シミュレーションによる比較〕
以下のシミュレーション1及びシミュレーション2により、本実施形態に係る処理方法と従来の処理方法とを比較した。
<シミュレーション1:バイパスを利用する方法との比較>
シミュレーション1では、本実施形態に係る処理方法と、バイパスを利用した処理方法(例えば、図9に示される処理方法)との間で、必要とされるアルカリ薬剤の投入量を比較した。
本シミュレーションでは、供給されるアンモニア性窒素含有排水の総量(Q)を200m/日、当該アンモニア性窒素含有排水のアンモニア性窒素濃度(C)を1000mgN/L、アルカリ度を3000mg/Lとする。この場合、部分亜硝酸化リアクタに流入するアンモニア性窒素の負荷量は200kgN/日、アルカリ度の負荷量は600kgCaCO/日となる。合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度は、アンモニア性窒素濃度の1.32倍とする。すなわち、亜硝酸性窒素生成量は114kgN/日とする。
[本実施形態に係る処理方法の場合]
以下、再び図3に基づいて、本シミュレーションについて説明する。本シミュレーションにおいて、亜硝酸化槽1A及び1Bへのアンモニア性窒素含有排水の流入量は、0.5Q=100m/日・槽ずつとする。亜硝酸化槽1A及び1Bの容量(V)を50mとすると、上述の亜硝酸性窒素生成量を達成するために必要な亜硝酸性窒素生成速度は、亜硝酸化槽1A及び1B共に1.14kgN/m・日である(亜硝酸性窒素生成速度の単位におけるmは、亜硝酸化槽の容量1mあたりを表している)。この亜硝酸性窒素生成速度であれば、亜硝酸化槽1A及び1Bからは、それぞれ50×1.14=57kgN/日、合計114kgN/日の亜硝酸性窒素が生成されることになる。
ここで、本シミュレーションでは、亜硝酸性窒素の生成に消費されるアルカリ度を亜硝酸性窒素量×7.14としている。それゆえ、814kg/日のアルカリ度が亜硝酸性窒素の生成に消費される。このうち600kg/日は、亜硝酸化槽1A又は1Bに流入するアンモニア性窒素含有排水に含まれているため、214kg/日のアルカリ度をアルカリ薬剤の投入によって補う必要がある。
[バイパスを利用する方法の場合]
例えば、図9に示されるシステムにおいて、亜硝酸化槽116の容量をV=100mとする。また、亜硝酸化槽116における亜硝酸化速度は、本実施形態に係る処理方法と同じ1.14kgN/m・日とする。この条件において、亜硝酸化槽116へのアンモニア性窒素含有排水流入量を114m/日、原水バイパス水路へのアンモニア性窒素含有排水量を86m/日とすれば、上述の亜硝酸性窒素生成量を達成できる。この時、亜硝酸化槽へは114kgN/日のアンモニア性窒素が流入し、一方、上記亜硝酸化槽の亜硝酸性窒素生成能力は1.14×100=114kgN/日であるので、理想的な亜硝酸性窒素生成量114kgN/日が達成されうる。
この場合、アンモニア性窒素含有排水に含まれるアルカリ度として利用できる量は、亜硝酸化槽116へ流入するアンモニア性窒素含有排水に含まれる342kg/日にとどまるため、472kg/日のアルカリ度をアルカリ薬剤の投入で補う必要がある。
したがって、本実施形態に係る処理方法によれば、バイパスを利用する方法と比較して2分の1以上アルカリ薬剤の投入量を削減できる。
<シミュレーション2:亜硝酸化槽が1槽である方法との比較>
シミュレーション2では、本実施形態に係る処理方法と、亜硝酸化槽が1槽である従来の方法(例えば、図10に示される処理方法)との間で、亜硝酸が過剰である状態からの回復過程を比較した。
本シミュレーションでは、供給されるアンモニア性窒素含有排水(Q)の総量を200m/日、当該アンモニア性窒素含有排水のアンモニア性窒素濃度(C)を1000mgN/L、アルカリ度を3000mg/Lとする。この場合、アンモニア性窒素の総量は200kgN/日、アルカリ度の総量は600kg/日となる。合流後の部分亜硝酸化水において、理想的な亜硝酸性窒素濃度はアンモニア性窒素濃度の1.32倍とする。すなわち、理想的な亜硝酸性窒素生成量は114kgN/日とする。
本シミュレーションでは、当初の亜硝酸化速度を1.30kgN/m・日とする。この場合、理想的な114kgN/日よりも多い、130kgN/日の亜硝酸性窒素が生成されていることになる。
[本実施形態に係る処理方法の場合]
以下、図5を再び参照して、本シミュレーションを説明する。亜硝酸化槽1A及び1Bの容量(V)を50mとする。そして、亜硝酸化槽1A(流量減少側)へ流入させるアンモニア性窒素含有排水の流量qを49m/日、亜硝酸化槽1B(流量増加側)へ流入させるアンモニア性窒素含有排水の流量を151m/日に調整する。すると、亜硝酸化槽1Aからは49kgN/日、亜硝酸化槽1Bからは65kgN/日の亜硝酸性窒素が生成されることになり、理想的な亜硝酸性窒素生成量である114kgN/日が達成される。
この場合、アンモニア性窒素含有排水に含まれるアルカリ度600kg/日の全てを亜硝酸化工程に利用できるため、214kg/日のアルカリ度をアルカリ薬剤の投入によって補う必要がある。
[亜硝酸化槽が1槽である方法の場合]
亜硝酸化槽が1槽のみの場合、アンモニア性窒素含有排水の全量を亜硝酸化槽へ導入し続けながら、亜硝酸性窒素濃度を好適な状態へ戻すことは困難である。最も単純な手段の1つに、アンモニア性窒素含有排水の一部をバイパスさせる手段がある。この場合、亜硝酸化槽へは114m/日、バイパスへは86m/日のアンモニア性窒素含有排水を流入させると、理想的な亜硝酸性窒素生成量が達成される。この時、亜硝酸化槽へは114kgN/日のアンモニア性窒素が流入し、一方上記亜硝酸化槽の亜硝酸性窒素生成能力は1.30×100=130kgN/日であるので、全量亜硝酸化が行われ、全てのアンモニア性窒素が亜硝酸性窒素に変換されている。
この場合、アンモニア性窒素含有排水に含まれるアルカリ度のうち、亜硝酸化槽へ流入する342kg/日しか亜硝酸化工程には利用できないので、472kg/日のアルカリ度をアルカリ薬剤で補わねばならない。
このように、本実施形態に係る処理方法は、アンモニア性窒素含有排水に含まれるアルカリ度を最大限に活用しながら、理想的な亜硝酸性窒素生成量を達成しうる。
なお、本実施形態では、部分亜硝酸化リアクタ10が2つの亜硝酸化槽1A及び1Bを備えた構成について説明した。しかし、亜硝酸化槽は、複数並列して配置していればよく、亜硝酸化槽の個数は特に限定されない。
なお、部分亜硝酸化リアクタ10では亜硝酸化槽1A及び1B間の流動担体2の移動に切替部として、常に位置が固定されている開閉ゲート6が用いられていた。しかし、本実施形態における部分亜硝酸化リアクタ10の切替部の構成は、亜硝酸化槽間の連通と遮蔽とを切り替える機能を有していれば、特に限定されない。例えば、切替部を、亜硝酸化槽を任意の比率で(または、あらかじめ設定された比率で)分割できる、取り外し可能な仕切りとすることもできる。この場合、上記仕切りを取り外し、亜硝酸化槽1A及び1Bを分割されていない単一の亜硝酸化槽とすることにより、開閉ゲート6の開放と同様の効果が得られる。また、上記仕切を備えた構成においては、流量比ではなく、槽容量を任意に変えることで、分割された各亜硝酸化槽へのアンモニア性窒素負荷量を調整できるため、流動担体以外に固定担体をも好適に用いることができる。
また、流入水量可変供給機構4は、合流配管5により合流された部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の1.32倍になるように、亜硝酸化槽1A及び1B間で、アンモニア性窒素含有排水の流量を変えて供給するものであった。すなわち、亜硝酸性窒素濃度/アンモニア性窒素濃度の比率をアナモックス反応に最適な1.32としていた。しかし、亜硝酸性窒素濃度/アンモニア性窒素濃度の比率は、1.32に限定されず、アンモニア性窒素含有排水の処理技術に応じて適宜、所定の比率に設定可能である。
〔実施例:亜硝酸濃度の調整〕
散気装置(エアストーン)及びpHコントローラーを備えた5Lの水槽を2槽用意した。また、pH制御のためのアルカリ薬剤として苛性ソーダを使用した。両水槽に、流動担体(繊維から製造)に活性汚泥(汚泥再生処理センターから採取)を吸収させたものを、みかけ体積で1.5Lずつ投入した。これらを2槽に並列された亜硝酸化槽とした。
塩化アンモニウム、重炭酸カリウム、及び微量金属を水道水に溶解させ、アンモニア性窒素濃度を1000mgN/L、アルカリ度を3000mg/Lとした液体を、アンモニア性窒素含有排水として調製した。上記アンモニア性窒素含有排水を、各亜硝酸化槽へ常に同量ずつ供給し、かつ、槽内のpHを7.9±0.1の範囲で制御した。
2ヶ月間の馴致期間中、供給するアンモニア性窒素含有排水量を徐々に増加させ、最終的に供給するアンモニア性窒素含有排水量を6L/日・槽、水理学的滞留時間を20時間、供給窒素負荷を1.2gN/L・槽とした。この時点における、上記各亜硝酸化槽での亜硝酸化処理後の部分亜硝酸化水の水質は差が小さく、アンモニア性窒素濃度は290〜300mgN/L、亜硝酸性窒素濃度は690〜700mgN/L、硝酸性窒素濃度は10mgN/Lであった。
上記部分亜硝酸化水の水質は、アナモックス反応にとっては亜硝酸性窒素が過剰となっている。このため、流量を減少させる槽の流量qを、式(3)に各値を代入した以下の式(8)に従って求めた。
q=12×(0.57×1000−0.5×700)/1000=2.64(L/日) 式(8)
流量を減少させる亜硝酸化槽への供給アンモニア性窒素含有排水量を式(8)で得られた2.64L/日とし、流量を増加させる亜硝酸化槽への供給アンモニア性窒素含有排水量を12−2.64=9.36L/日として各亜硝酸化槽を稼働させ、得られた結果を表1に示す。
Figure 2018023958
表1に示された通り、合流後の部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度は、アンモニア性窒素濃度の1.28倍となり、アナモックス反応に対して理想的な1.32倍に近づけることができた。
以上のように、本発明の処理装置及び処理方法によれば、特に亜硝酸性窒素が過剰に生成されている場合における、理想的な亜硝酸性窒素生成量への調整が容易である。加えて、アンモニア性窒素含有排水の全量が部分亜硝酸化リアクタ10へ流入し、アンモニア性窒素含有排水中に含まれるアルカリ度を最大限利用できるため、アルカリ薬剤の投入量が削減される。
本発明は、高濃度のアンモニア性窒素を含有する排水の処理に利用できる。
1A、1B 亜硝酸化槽
2 流動担体
3 散気装置
4 流入水量可変供給機構
5 合流配管(合流設備)
6 開閉ゲート(切替部)
7 担体流出防止機構
8 アルカリ薬剤供給設備
9 槽内水質検知部
10 部分亜硝酸化リアクタ
20 アナモックスリアクタ
50 処理装置

Claims (8)

  1. アンモニア性窒素含有排水を部分亜硝酸化処理する部分亜硝酸化リアクタを備えた、処理装置であって、
    上記部分亜硝酸化リアクタは、
    互いに並列して配置された複数の亜硝酸化槽と、
    上記複数の亜硝酸化槽それぞれから流出した部分亜硝酸化水を合流させる合流設備と、
    上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水の亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍になるように、上記複数の亜硝酸化槽間で、アンモニア性窒素含有排水の流量を変えて供給するための流入水量可変供給機構と、
    を備えたことを特徴とする処理装置。
  2. 上記複数の亜硝酸化槽それぞれは、アンモニア性窒素濃度計と、亜硝酸性窒素濃度計と、を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
  3. 上記複数の亜硝酸化槽間の連通と遮蔽とを切り替える切替部を備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の処理装置。
  4. 上記複数の亜硝酸化槽それぞれは、アンモニア酸化細菌群を担持している流動担体を備え、
    上記複数の亜硝酸化槽間での上記流動担体の移動及び分離を切り替える切替部を備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の処理装置。
  5. 上記部分亜硝酸化リアクタは、互いに容量が等しい2つの亜硝酸化槽を備えていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の処理装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理装置を用いたアンモニア性窒素含有排水の処理方法であって、
    上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍よりも大きくなったとき、上記流入水量可変供給機構により、
    上記複数の亜硝酸化槽のうち1つの第1の亜硝酸化槽に対して、当該第1の亜硝酸化槽から流出する部分亜硝酸化水のアンモニア性窒素が残留しないように、アンモニア性窒素含有排水を供給する一方、
    上記第1の亜硝酸化槽以外の第2の亜硝酸化槽に対して、残りのアンモニア性窒素含有排水を供給することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の処理方法。
  7. 上記合流設備により合流された部分亜硝酸化水における亜硝酸性窒素濃度がアンモニア性窒素濃度の所定倍以下になったとき、上記流入水量可変供給機構により、
    上記複数の亜硝酸化槽それぞれに対し、流入量が全て等しくなるようにアンモニア性窒素含有排水を供給することを特徴とする請求項6に記載のアンモニア性窒素含有排水の処理方法。
  8. 上記複数の亜硝酸化槽それぞれでは、アンモニア酸化細菌群を担持している流動担体により部分亜硝酸化処理をしており、上記処理装置は、上記複数の亜硝酸化槽間での上記流動担体の移動及び分離を切り替える切替部を備え、
    上記複数の亜硝酸化槽間で亜硝酸性窒素生成能力に差が生じたときに、上記切替部を開放することにより、上記複数の亜硝酸化槽間で上記流動担体を均質化し、上記複数の亜硝酸化槽それぞれの亜硝酸性窒素生成能力を平均化することを特徴とする請求項6または7に記載のアンモニア性窒素含有排水の処理方法。
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