JP2018023619A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波診断装置の通常モードまたは高画質モードの動作の切り換えを容易にする。
【解決手段】超音波診断装置は、通常モードまたは高画質モードのいずれかのモードで動作する。動作モードを切り換える処理は探触子14の動きに応じて行われる。通常モードで動作する超音波診断装置は、探触子14が被検体18に接触した状態で静止したことを認識すると、動作モードが通常モードから高画質モードに切り換わる。そして、探触子14が動き始めたことを認識すると、超音波診断装置は、高画質モードから通常モードに切り換わる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、探触子の状態に応じて動作状態を切り換える処理に関する。
被検体を観測する装置として超音波診断装置が広く用いられている。超音波診断装置は、超音波の送受信によって被検体の断層画像を生成し、モニタに表示する。超音波診断装置では、探触子が被検体の適切な位置に接触することで、被検体の関心部位に対して超音波が送受信され、関心部位の断層画像が表示される。
超音波診断装置には高画質モードでの動作が可能なものがある。高画質モードでは、通常モードで表示される断層画像に比べて解像度が高い等、詳細な観測に適した断層画像が表示される。一方、通常モードでは、高画質モードに比べて、断層画像の変化が探触子または生体組織の動きに迅速に追従する。そのため、一般には、探触子の適切な位置および姿勢を定めるときに超音波診断装置は通常モードに設定され、探触子の位置および姿勢が定められた後に、超音波診断装置が高画質モードに設定される。
超音波診断装置の動作モードを切り換えるため、超音波診断装置には、キーボード、スイッチ、マウス、トラックボール等の入力デバイスが設けられている。ユーザは、モニタに表示された画像を参照しながら、被検体の適切な位置に適切な姿勢で探触子を接触させ、入力デバイスを操作して超音波診断装置を通常モードから高画質モードに切り換える。
超音波画像の画質に関連する技術として、特許文献1には空間的コンパウンド画像を生成する超音波診断装置が記載されている。空間的コンパウンド画像は、複数の異なるビーム方向から受信された超音波を合成することで生成される画像であり、一方向のビーム方向から受信された超音波に基づく画像よりも高画質である。特許文献2には、超音波ビームの形成に際して被検体の脂肪層の厚みに応じた処理を実行することで、超音波画像の画質を向上させる技術が記載されている。また、特許文献3〜6には、探触子を入力デバイスとして用いる技術が記載されている。
特表2007−504876号公報 特開2015−136449号公報 特開2005−279096号公報 特開平9−238944号公報 特開2008−295859号公報 国際公開パンフレット2014−112242号公報
上記のように、被検体の関心部位を高画質モードで観測するためには、モニタを参照しながら探触子の位置および姿勢を決定し、さらには入力デバイスを操作して動作モードを切り換えるという作業が要される。したがって、入力デバイスの操作時に手振れ等によって、一度適切に位置および姿勢が決定された探触子が動いてしまうことがある。
本発明は、超音波診断装置の動作の切り換えを容易にすることを目的とする。
本発明は、超音波診断装置において、被検体で反射し探触子で受信された超音波に基づく受信信号を生成する受信部と、前記受信信号に基づいて画像データを生成する画像生成部と、前記受信信号に基づいて前記探触子が静止したか否かを判定する静止判定部と、を備え、前記画像生成部は、通常モードまたは高画質モードのいずれかで動作し、前記通常モードで動作しているときに、前記探触子が静止したと判定された場合には、前記通常モードから前記高画質モードに切り換わることを特徴とする。
本発明によれば、探触子が静止したと判定された場合に、画像生成部が通常モードから高画質モードに切り換わる。したがって、画質のモードを切り換えるためにユーザが探触子以外の入力デバイス等を操作しなくてもよく、画質のモードの切り換えが容易になる。一般に、ユーザは、探触子が適切な位置および姿勢に設定された状態で高画質な画像を参照することが多い。本発明によれば、高画質の観測に適合した条件の下で、画質のモードが通常モードから高画質モードに切り換わる。
望ましくは、前記画像生成部は、所定のフレームレートで時間経過と共に順次画像データを生成し、前記通常モードでのフレームレートが、前記高画質モードでのフレームレートよりも大きい。
これによって、通常モードでは、画像データの変化が探触子の動きや被検体の動きに迅速に追従する。したがって、ユーザが関心部位を探索し、探触子の位置および姿勢を設定することが容易となる。
また、本発明は、超音波診断装置において、被検体で反射し探触子で受信された超音波に基づく受信信号を生成する受信部と、前記受信信号に基づいて、前記被検体の弾性データを生成する弾性データ生成部と、前記受信信号に基づいて前記探触子が静止したか否かを判定する静止判定部と、前記探触子が静止したと判定された場合に、前記弾性データに基づいて、前記被検体の脂肪組織を検出する脂肪組織検出部と、前記脂肪組織が検出された領域に応じて前記受信信号に対する処理を実行して、前記探触子に受信ビームを形成する受信ビーム形成部と、を備え、前記受信部は、前記受信ビームによって前記探触子に超音波を受信させることを特徴とすることを特徴とする。
本発明によれば、脂肪組織が検出された領域に応じた処理に基づき受信ビームが形成される。これによって、受信信号は、適切な部位から反射した超音波に基づく信号となり、受信信号に基づく画像データが示す画像の質が向上する。
また、本発明は、超音波診断装置において、被検体で反射し探触子で受信された超音波に基づく受信信号を生成する受信部と、前記受信信号に基づいて、前記被検体の弾性データを生成する弾性データ生成部と、前記受信信号に基づいて前記探触子が静止したか否かを判定する静止判定部と、前記探触子が静止したと判定された場合に、前記弾性データに基づいて、前記被検体の脂肪組織を検出する脂肪組織検出部と、前記被検体に剪断波を発生させる弾性測定用超音波を前記探触子に送信させる送信部と、前記脂肪組織が検出された領域に応じて前記送信部を制御して、前記探触子に送信ビームを形成する送信ビーム形成部と、を備え、前記送信部は、前記送信ビームによって前記弾性測定用超音波を前記探触子に送信させることを特徴とする。
本発明によれば、脂肪組織が検出された領域に応じた処理に基づいて送信ビームが形成される。これによって、弾性測定用超音波を被検体の適切な部位に向けて送信することができる。
本発明によれば、超音波診断装置の動作の切り換えを容易にすることができる。
基本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。 超音波診断装置の動作例を示すタイミングチャートである。 第2実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。 被検体の観測面を模式的に示す図である。 超音波診断装置の動作例を示すタイミングチャートである。 超音波診断装置の動作例を示すタイミングチャートである。 超音波診断装置の動作例を示すタイミングチャートである。
1.基本実施形態
(1)超音波診断装置の構成および基本的な動作
図1には基本実施形態に係る超音波診断装置の構成が示されている。超音波診断装置は、送受信制御部10、送信部12、探触子14、受信部20、整相加算部22、バッファメモリ24、断層画像生成部26、画像処理部28、フレーム間相関演算部30、静止判定部32、装置制御部34、表示部36、およびシネメモリ38を備える。これらの構成要素のうち、送受信制御部10、整相加算部22、断層画像生成部26、画像処理部28、フレーム間相関演算部30、静止判定部32および装置制御部34は、例えば、プロセッサ等の演算処理デバイスによって構成される。演算処理デバイスは、プログラムによって各構成要素を構成するものであってもよい。なお、これらの構成要素のそれぞれを、ハードウエアとしてのディジタル回路によって個別に構成してもよい。
超音波診断装置は、探触子14によって被検体18に対して超音波を送受信し、モニタとしての表示部36に断層画像(Bモードでの画像)を表示する。また、探触子14における受信超音波に基づく指令が超音波診断装置に与えられ、探触子14の動きに応じて超音波診断装置に指令が与えられる。なお、本願明細書では、受信された超音波に基づき超音波診断装置内で伝送されるあらゆる信号またはデータを受信信号と定義する。
断層画像を表示する構成および処理について説明する。探触子14は、複数の振動素子16を備えている。複数の振動素子16は、被検体18に接触させる面に沿ったx軸方向に配列されている。
被検体18の観測に際して、探触子14は被検体18の表面に接触した状態とされる。各振動素子16は、送信部12から出力された送信信号に応じて超音波を発生する。送受信制御部10および送信部12は、送信ビーム形成部として機能する。すなわち、送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、各振動素子16に出力する送信信号の遅延時間を調整し、探触子14において送信ビームを形成し、さらに、その送信ビームを被検体18に対して走査する。送信ビームは、例えば、放射方向をy軸正方向に向けてx軸方向に直線状に走査してもよい。また、送信ビームの放射点を探触子14上の固定端として、送信ビームを回転走査(セクタ走査)してもよい。
また、後述する空間コンパウンド処理を実行する場合、送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、超音波ビーム(送信ビームまたは受信ビーム)の各走査方向または各走査位置について、異なる複数の方向に送信ビーム形成する。
その他の送受信態様として、探触子14から被検体18に平面波が送信されるように、送信部12が各振動素子16に送信信号を出力してもよい。例えば、複数の振動素子16が直線状に配列されている場合には、各振動素子16に出力される送信信号の強度および出力タイミングを同一とし、各振動素子16に同一強度の超音波を同時に発生させる。これによって、探触子14の接触面と平行な波面を有する平面波が発生する。
被検体18内で反射した超音波が探触子14の各振動素子16で受信されると、各振動素子16は、受信された超音波に応じた電気信号を受信部20に出力する。受信部20は、送受信制御部10の制御に従い、各振動素子16から出力された各信号に対して増幅、直交検波等の処理を施す。これによって、受信部20は、複数の振動素子16に対応する複数チャネルの受信ベースバンド信号を生成し、整相加算部22に出力する。
受信部20および整相加算部22は受信ビームデータ生成部として機能する。整相加算部22は、複数チャネルの受信ベースバンド信号を整相加算して、複数の受信ビームに対応する複数の受信ビームデータを生成する。例えば、y軸方向に向けられた送信ビームがx軸方向に直線走査される場合、整相加算部22は、各送信ビームと同一方向に向けられた各受信ビームを送受信制御部10の制御に従って形成し、各受信ビームに対応する受信ビームデータを生成する。
送受信制御部10、送信部12、探触子14、および受信部20は、断層画像が観測される観測面に対し超音波ビームの走査を繰り返し行う。整相加算部22は、繰り返し行われる超音波ビームの走査に対応して、時間経過と共に順次フレームデータを生成し、バッファメモリ24に出力する。バッファメモリ24は、整相加算部22から時間経過と共に順次出力されたフレームデータを記憶する。バッファメモリ24は、整相加算部22から最新のフレームデータが出力された時から過去に遡って所定フレーム数(最新のフレームを含む。)のフレームデータを記憶する。この所定フレーム数のフレームよりも先に記憶されたフレームデータは、新たなフレームデータが記憶されるごとに削除されてもよい。
断層画像生成部26は、バッファメモリ24から時間経過と共に順次フレームデータを読み出し、各フレームデータに対し、ゲイン補正、ログ圧縮、フィルタ処理等の視認性を調整する信号処理を施して、縦方向および横方向に配列された複数の画素を表す断層画像データを生成し、画像処理部28に出力する。画像処理部28は、断層画像データを、画像表示を行うためのビデオ信号に変換して装置制御部34に出力する。装置制御部34は、画像処理部28から順次出力された断層画像データに基づく画像を、動画像として表示部36に表示させる。
装置制御部34は、表示対象となっている断層画像データから過去に遡って所定フレーム数の断層画像データをシネメモリ38に記憶させる。装置制御部34は、シネメモリ38に記憶された各断層画像データに基づく画像を、ユーザの操作に基づいて、静止画像または動画像として表示部36に表示してもよい。
(2)画質切り換え処理
本実施形態に係る超音波診断装置は、通常モードまたは高画質モードのいずれかのモードで動作する。動作モードを切り換える処理は探触子14の動きに応じて行われる。通常モードで動作する超音波診断装置は、探触子14が被検体18に接触した状態で静止したことを認識すると、動作モードが通常モードから高画質モードに切り換わる。そして、探触子14が動き始めたことを認識すると、超音波診断装置は、高画質モードから通常モードに切り換わる。
(2−1)画質切り換え処理を実行するための構成
画質切り換え処理は、探触子14が静止しているか否かの判定に基づいて行われる。この判定は、時間経過と共に順次生成されたフレームデータについて、時間的に隣接する2つのフレームデータの間の相関値を求め、この相関値に基づいて行われる。相関値が所定値を超えた場合には、探触子14が静止しているものとして、通常モードから高画質モードへの切り換えが行われる。
フレーム間相関演算部30は、異なる時間に生成された複数フレームのフレームデータをバッファメモリ24から読み込み、これら複数フレームのフレームデータの近似度を表すフレーム間相関値を求める。
フレーム間相関演算部30は、例えば、最新のフレームデータと1フレーム前のフレームデータをバッファメモリ24から読み込み、最新のフレームデータと1フレーム前のフレームデータについてフレーム間相関値を求める。相関演算は、例えば、観測面上の同一位置のデータ値を乗算し、各位置について求められた乗算値を加算合計する演算として定義される。フレーム間相関値は、0以上1以下の値となるように規格化されてもよい。また、フレーム間相関値は、予め観測面上に設定された関心領域について求められてもよい。このように定義されたフレーム間相関値は、値が大きい程、2つのフレームデータが近似していることを意味する。被検体18内の生体組織が動かないという条件下では、探触子14の動きが遅い程、フレーム間相関値が大きくなる。フレーム間相関演算部30は、整相加算部22からバッファメモリ24に新たにフレームデータが出力されるごとにフレーム間相関値を生成し、静止判定部32に出力する。
なお、フレーム間相関値は、バッファメモリ24に記憶された複数フレームのフレームデータから、その他の規則性に基づいて選択された複数フレームのフレームデータに基づき生成してもよい。例えば、最新のフレームデータとNフレーム前のフレームデータに基づいてフレーム間相関値を求めてもよい。ここでNは2以上の任意の整数である。また、複数フレームのフレームデータのうち時間的に隣接する2つのフレームデータの組のそれぞれについて仮のフレーム間相関値を求め、これら仮のフレーム間相関値に対する重み付け平均化(移動平均化)によって得られた値がフレーム間相関値として求められてもよい。
静止判定部32は、フレーム間相関値が所定の静止閾値以上である場合には、探触子14が静止している旨の静止判定をし、その旨を示す静止情報を装置制御部34に出力する。また、静止判定部32は、フレーム間相関値が所定の静止閾値未満である場合には、探触子14が動いている旨の運動判定をし、その旨を示す運動情報を装置制御部34に出力する。
装置制御部34は、超音波診断装置の動作モードの設定、表示部36に表示する画像に関する処理等、超音波診断装置に対する全体的な制御を行う。装置制御部34は、静止判定部32から出力される情報が運動情報から静止情報に変化した場合には、超音波診断装置を通常モードから高画質モードに設定する。また、装置制御部34は、静止判定部32から出力される情報が静止情報から運動情報に変化した場合には、超音波診断装置を高画質モードから通常モードに設定する。
(3)高画質モード
高画質モードでの動作では、以下に列挙するように、空間コンパウンド処理の実行、周波数コンパウンド処理の実行、ダイナミックレンジの拡大、パーシスタンスの強化、画素密度の増加、パルスインバージョン法を用いたティシュー・ハーモニック・イメージ処理、超音波ビームの多段フォーカス化等の手法によって、詳細な観測に適した断層画像が表示される。高画質モードでは、これらの高画質化手法のうち少なくとも1つが採用される。
(3−1)空間コンパウンド処理の実行
空間コンパウンド処理では、異なる複数の方向に超音波ビームが形成され、その複数の超音波ビームが走査される。空間コンパウンド処理については特許文献1にも記載されている。超音波ビームをリニア走査する場合には、異なる複数の方向に形成された複数の超音波ビームがリニア走査される。超音波ビームをセクタ走査する場合には、異なる複数の方向に形成された複数の超音波ビームがセクタ走査される。そして、異なる複数の方向に形成された超音波ビームに対応して複数フレームのフレームデータが生成される。異なる複数の方向について生成されたフレームデータは、バッファメモリ24に記憶される。断層画像生成部26は、異なる複数の方向について生成された複数フレームのフレームデータを合成して1フレームのフレームデータを生成し、断層画像データを生成する。空間コンパウンド処理によれば、断層画像に現れるノイズやアーチファクトが抑制される。
(3−2)周波数コンパウンド処理の実行
周波数コンパウンド処理では、周波数が異なる複数種の超音波を送受信し、各周波数についてフレームデータが生成される。すなわち、周波数が異なる複数種の超音波のそれぞれについてフレームデータが生成され、バッファメモリ24に記憶される。断層画像生成部26は、異なる複数の周波数について生成された複数フレームのフレームデータを合成して1フレームのフレームデータを生成し、断層画像データを生成する。周波数コンパウンド処理によれば、空間コンパウンド処理と同様、断層画像に現れるノイズやアーチファクトが抑制される。
(3−3)ダイナミックレンジの拡大
断層画像生成部26は、フレームデータの各画素値に対し、断層画像データの各画素値を対応付ける。断層画像データの各画素値については、小さい値(低輝度)から大きい値(高輝度)へと段階的に複数の値が定められている。このような階調数が多い程、すなわち、ダイナミックレンジが広い程、断層画像の解像度が向上する。高画質モードでは、通常モードよりもダイナミックレンジを拡大してもよい。
(3−4)パーシスタンスの強化
断層画像生成部26は、バッファメモリ24に記憶された複数フレームのフレームデータのうち、最新のものを含めて過去に遡ってMフレームについて移動平均化を行う。すなわち、現時点から過去に遡って自らが生成したMフレーム分のフレームデータのそれぞれにつき適切な重み付け係数を乗じて、各位置における画素値の重み付け平均値を求める。この場合、観測面上の各位置における画素値の重み付け平均値を観測面上の各位置における移動平均化処理後の画素値とする。例えば、最新の観測面上のある位置の画素値をP(0)、1枚前の画素値をP(1)、2枚前の画素値をP(2)、・・・・・、M−1枚前の画素値をP(M−1)としたときに、重み付け平均値Aは、次の(数1)で表される。
Figure 2018023619
ここで、Wiは重み付け係数であり、この値を適宜設定することで、過去の断層画像を反映させる度合いが設定される。Wiを1とした場合、重み付け平均値は、通常の平均値と同一となる。
移動平均化処理を用いることにより断層画像の変化が平滑化され、ノイズが低減する。また、最新の断層画像には過去の断層画像の残像が含まれる。そのため、生体組織が急激に変位したり、探触子14が急激に動いたりした場合であっても、断層画像の変化が滑らかとなる。このような過去の断層画像の影響度は、一般にパーシスタンスと称される。高画質モードでは、通常モードに比べてパーシスタンスを強くしてもよい。(数1)におけるMが大きい程、パーシスタンスが強いといえる。また、過去の断層画像についての重み付けを大きくすることでパーシスタンスが強くなる。
(3−5)画素密度(デンシティ)の増加
高画質モードでは、通常モードよりもフレームデータに含まれる画素値の数を多くしてもよい。すなわち、超音波ビームの空間的な走査間隔を狭くし、受信ビームデータのビーム方向の分解能を増加させることで、フレームデータに含まれる画素値の数を多くしてもよい。このように画素密度が増加することで、断層画像の解像度が向上する。
(3−6)ティシュー・ハーモニック・イメージ処理
超音波診断装置では、ティシュー・ハーモニック・イメージ処理(THI:Tissue Harmonic Image)を実行してもよい。この処理では、倍高調波を含む超音波を送信し、被検体内で反射した超音波を受信し、さらに、受信信号から倍高調波を抽出することでフレームデータを生成する。ティシュー・ハーモニック・イメージ処理によれば、断層画像の解像度が向上する。
高画質モードでは、倍高調波を抽出する際に、パルスインバージョン法を用いてもよい。パルスインバージョン法では、連続して2回に亘って送信する超音波パルスの位相を互いに逆位相とする。連続して2回に亘って受信された信号を受信部20において加算することで倍高調波が抽出される。パルスインバージョン法では、フィルタを用いて倍高調波を抽出する場合に比べてフレームレートが2分の1に減少するものの、フィルタ処理が簡略化されるという利点がある。
(3−7)超音波ビームの複数フォーカス化
高画質モードでは、探触子14において形成される送信ビームおよび受信ビームに複数のフォーカス点を設定してもよい。送信ビームのフォーカス点では、各振動素子16から送信された超音波が互いに強め合う。受信ビームのフォーカス点で反射し、各振動素子16で受信された超音波に基づく各受信信号は、整相加算部22において互いに強め合う。複数のフォーカス点を適切な位置に設定することで、断層画像の解像度が向上する。
(4)通常モード
通常モードでの動作では、以下に列挙するように、高コントラスト化、パーシスタンスの弱化、画素密度の減少、フィルタ法を用いたティシュー・ハーモニック・イメージ処理、超音波ビームの単一フォーカス化等の手法によって、迅速な観測に適した断層画像が表示される。通常モードでは、これらの高速化手法のうち少なくとも1つが採用される。
(4−1)高コントラスト化
上述のように断層画像生成部26は、フレームデータの各画素値に対し、断層画像データの各画素値を対応付ける。断層画像データの画素値について定められた階調数が多い程、断層画像が詳細に表される。一方、断層画像データの画素値について定められた階調数が少ない程、すなわち、高コントラストである程、明暗が明確に区別される。高コントラスト化によって、ユーザが探触子14を動かしながら被検体18の特定の部位を探し出すのに適した断層画像が表示される。
(4−2)パーシスタンスの弱化
通常モードでは、高画質モードに比べてパーシスタンスを弱くしてもよい。(数1)におけるMが小さい程、パーシスタンスが弱いといえる。また、iが小さい値であるほど重み付けを小さくすることでパーシスタンスが弱くなる。パーシスタンスを弱くすることで、生体組織の変位や探触子14の急激な動きに断層画像の変化が迅速に追従する。
(4−3)画素密度の減少
通常モードでは、高画質モードよりもフレームデータに含まれる画素値の数を少なくしてもよい。すなわち、超音波ビームの空間的な走査間隔を広くし、受信ビームデータのビーム方向の分解能を減少させることで、フレームデータに含まれる画素値の数を少なくしてもよい。このように画素密度が減少することで、断層画像データを生成するために要される処理量が減少する。これによって、生体組織の変位や探触子14の急激な動きに断層画像の変化が迅速に追従する。
(4−4)ティシュー・ハーモニック・イメージ
上述のように、超音波診断装置では、ティシュー・ハーモニック・イメージ処理を実行してもよい。通常モードでは、ティシュー・ハーモニック・イメージ処理において倍高調波を抽出する際にフィルタ法を用いてもよい。フィルタ法では、受信部20において受信信号にフィルタ処理を施すことで倍高調波を抽出する。フィルタ法では、1回の超音波パルスの送信に対して倍高調波が抽出されるため、パルスインバージョン法よりも迅速に断層画像データが生成される。これによって、生体組織の変位や探触子14の急激な動きに断層画像の変化が迅速に追従する。
(4−5)超音波ビームの単一フォーカス化
通常モードでは、探触子14において形成される送信ビームおよび受信ビームに、高画質モードよりも少ない数のフォーカス点を設定してもよい。フォーカス点の数を少なくすることで、高画質モードに比べて迅速に断層画像データが生成される。これによって、生体組織の変位や探触子14の急激な動きに断層画像の変化が迅速に追従する。
(5)動作例
図2には、超音波診断装置の動作例を示すタイミングチャートが示されている。図2(a)は、フレームデータが生成されるタイミングをパルスによって概念的に表したものである。図2(a)に示されている「SC」は、送信ビームおよび受信ビームを走査しているスキャン状態を示し、「FR」はスキャンによって生成されたフレームデータに対する処理を実行している状態を示す。図2(b)は、静止判定部32が判定を行うタイミングをパルスによって概念的に示したものである。パルスの下方に示されている符号「Y」は、静止判定部32が静止判定をしたことを示す。パルスの下方に示されている符号「N」は、静止判定部32が運動判定をしたことを示す。時間t2、t3およびt4においては静止判定がされ、時間t2から時間t3までの時間帯、時間t3から時間t4までの時間帯、および時間t4から時間t5までの時間帯は、フレームデータに対する処理を実行する時間間隔が他の時間帯よりも長くなっており、フレームレートが小さくなっている。これらの時間帯は、静止判定がされた後に続く時間帯であり高画質モードで動作している。一方、図2に示されている時間t0から時間t1までの時間帯、時間t1から時間t2までの時間帯、時間t5から時間t6までの時間帯、時間t6から時間t7までの時間帯、および時間t7から時間t8までの時間帯は、通常モードで動作している。
(6)効果
本実施形態に係る超音波診断装置は、探触子14が静止したと判定された場合に、通常モードから高画質モードに切り換わる。したがって、画質のモードを切り換えるためには探触子14を被検体18上で静止させるだけでよく、探触子14以外の入力デバイスを操作しなくてもよい。これによって画質のモードの切り換えが容易になる。一般に、ユーザは、探触子14が適切な位置および姿勢に設定され、探触子14が静止した状態で高画質な画像を参照することが多い。したがって、本実施形態に係る超音波診断装置によれば、高画質の観測に適合した条件の下で、画質のモードが通常モードから高画質モードに切り換わる。また、通常モードにおいて高フレームレートによって画像表示が行われる場合には、小さな病変の発見が容易となり、見落しを防ぐことができる。
2.弾性画像を表示する実施形態
(1)超音波診断装置の構成および基本的な動作
弾性画像を表示する実施形態について説明する。図3には、断層画像と弾性画像との合成画像を表示する超音波診断装置の構成が示されている。この超音波診断装置では、図1に示された超音波診断装置に対し、弾性画像生成部40を追加したものである。また、探触子14には、被検体18に剪断波を発生させるプッシュ超音波パルス(弾性測定用超音波)を送信可能なものが用いられる。
断層画像データを生成する処理は基本実施形態と同様であるため、ここでは弾性画像データを生成する処理について説明する。送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、各振動素子16に出力する送信信号の遅延時間を調整する。これによって、探触子14において送信ビームが形成されプッシュ超音波パルスが送信される。そして、被検体18内に剪断波が発生し、生体組織は剪断波によって変位する。
プッシュ超音波パルスを送信した後、送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、探触子14から被検体18に平面波を繰り返し送信する。
被検体18内で反射した超音波が探触子14の各振動素子16で受信されると、各振動素子16は、受信された超音波に応じた電気信号を受信部20に出力する。受信部20は、送受信制御部10の制御に従い、各振動素子16から出力された各信号に対して増幅、直交検波等の処理を施す。これによって、受信部20は、複数の振動素子16に対応する複数チャネルの受信ベースバンド信号を生成し、整相加算部22に出力する。
断層画像データを取得する処理と同様、整相加算部22は、繰り返し行われる平面波の送信に対応して、時間経過と共に順次フレームデータを生成し、バッファメモリ24に出力する。弾性画像生成部40は、バッファメモリ24から時間経過と共に順次フレームデータを読み出し、各フレームデータに基づいて、被検体18の観測面における剪断波の速度分布を求める。そして、時間経過と共に順次求められた速度分布に基づいて、弾性率の分布を表す弾性画像データを時間経過と共に順次求め、画像処理部28および装置制御部34に出力する。
断層画像データを取得する処理と弾性画像データを取得する処理は、時分割で行われる。例えば、断層画像生成部26および弾性画像生成部40は、予め定められたフレーム数毎に交互に断層画像データおよび弾性画像データを画像処理部28に出力する。画像処理部28は、断層画像データおよび弾性画像データに基づいて、時間的に対応する断層画像および弾性画像を重ねた合成画像を表すデータを生成する。そして、この合成画像データをビデオ信号に変換して装置制御部34に出力する。装置制御部34は、画像処理部28から順次出力された合成画像データに基づく画像を、動画像として表示部36に表示させる。
なお、探触子14から平面波を送信して弾性画像データを生成する処理の他、x軸上の2つの異なる位置に時間的に交互にトラッキングビームを形成し、各トラッキングビームに対応する超音波の送受信に応じて弾性画像データを生成してもよい。この場合、プッシュ超音波パルスを送信した後、送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、探触子14において第1送信トラッキングビームを形成し、受信部20は、第1送信トラッキングビームに対して探触子14で受信された超音波に応じて、複数チャネルの受信ベースバンド信号を整相加算部22に出力する。整相加算部22は、複数チャネルの受信ベースバンド信号のそれぞれの遅延時間を調整して整相加算し、探触子14において第1受信トラッキングビームを形成する。
同様に、送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、探触子14において第2送信トラッキングビームを形成する。受信部20は、第2送信トラッキングビームに対して探触子14で受信された超音波に応じて、複数チャネルの受信ベースバンド信号を整相加算部22に出力する。整相加算部22は、複数チャネルの受信ベースバンド信号のそれぞれの遅延時間を調整して整相加算し、探触子14において第2受信トラッキングビームを形成する。第1送信トラッキングビームおよび第1受信トラッキングビームは同一の位置に形成され、第2送信トラッキングビームおよび第2受信トラッキングビームは同一の位置に形成される。また、第1送信トラッキングビームと第2送信トラッキングは、異なる位置に形成される。第1トラッキングビーム(第1送信トラッキングビームおよび第1受信トラッキングビーム)に対応する超音波の送受信と、第2トラッキングビーム(第2送信トラッキングビームおよび第2受信トラッキングビーム)に対応する超音波の送受信は時間的に交互に行われる。
整相加算部22は、第1トラッキングビームに対応して時間経過と共に順次生成された第1受信データをバッファメモリ24に出力する。同様に、整相加算部22は、第2トラッキングビームに対応して生成された第2受信データをバッファメモリ24に出力する。弾性画像生成部40は、時間経過と共に順次バッファメモリ24記憶された第1受信データと、時間経過と共に順次バッファメモリ24に記憶された第2受信データとに基づいて、第1トラッキングビームと第2トラッキングビームに挟まれた関心領域における弾性率を求める。弾性画像生成部40は、関心領域における弾性率を表す弾性画像データを生成する。
(2)脂肪組織の領域に応じた超音波ビームの形成
本実施形態に係る超音波診断装置では、静止判定部32によって静止判定がされたときには、脂肪組織検出部として機能する装置制御部34が被検体18内の脂肪組織を検出し、脂肪組織の領域に応じた処理に基づき超音波ビームを形成する。すなわち、送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、各振動素子16に出力する送信信号の遅延時間を脂肪組織の領域に応じて調整し、探触子14において送信ビームを形成する。また、整相加算部22は、脂肪組織の領域に応じて複数チャネルの受信ベースバンド信号のそれぞれの遅延時間を調整して整相加算し、探触子14において受信ビームを形成する。このような技術は、特許文献2にも記載されている。
装置制御部34は、静止判定部32から出力される情報が運動情報から静止情報に変化した場合には、弾性画像生成部40から出力される弾性画像データに基づいて脂肪組織を検出する。脂肪組織の検出は、例えば、脂肪組織と他の組織との境界を検出することで行われる。また、弾性画像データに代えて断層画像データに基づいて脂肪組織の検出が行われてもよい。この場合、弾性画像生成部40は、画像処理部28のみならず装置制御部34にも断層画像データを出力する。
図4には、被検体18の観測面が模式的に示されている。被検体18は、皮膚層42、脂肪組織44、および関心組織49を有している。これらの組織は、表面から深い方向に向かって皮膚層42、脂肪組織44、および関心組織49(非脂肪組織)の順に重なる。また、図4には、各振動素子16に対する超音波の送受信経路48が示されている。これらの送受信経路48が形成する送信ビームおよび受信ビームには、フォーカス点46が形成されている。
装置制御部34は、弾性画像データに基づいて皮膚層42、脂肪組織44および関心組織49の各領域を特定し、脂肪組織44の厚み50を測定する。そして、脂肪組織44の厚み50を送受信制御部10に与える。
送受信制御部10は、脂肪組織44の厚みに基づいて各振動素子16に対する遅延時間を設定する。すなわち、送受信制御部10は、関心組織49については伝搬速度を所定の標準速度とし、脂肪組織44については伝搬速度を脂肪用速度として求めた遅延時間に、各振動素子16に対する遅延時間を設定し、送信部12および整相加算部22を制御する。なお、脂肪組織44が皮膚層42よりも十分に厚い場合には、皮膚層42の影響を遅延時間の設定に反映しなくてもよい。
また、脂肪組織44の厚み対して、各振動素子16に対する遅延時間を対応付けた遅延時間テーブルを装置制御部34が記憶していてもよい。遅延時間テーブルでは、関心組織49については伝搬速度として所定の標準速度を用い、脂肪組織44については伝搬速度として脂肪用速度を用いて、各振動素子16に対する遅延時間が求められている。この場合、装置制御部34は遅延時間テーブルを参照して、脂肪組織44の厚み50に対応する各振動素子16に対する遅延時間を求め、各遅延時間を送受信制御部10に与える。送受信制御部10は、装置制御部34から与えられた各遅延時間に基づいて、各振動素子16に対する遅延時間を設定し、送信部12および整相加算部22を制御する。
送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、各振動素子16に出力する送信信号の遅延時間を調整する。これによって、送信部12は、探触子14において送信ビームを形成し、探触子14にプッシュ超音波パルス、弾性画像データを取得するための超音波、または、断層画像データを取得するための超音波を送信させる。
また、整相加算部22は、送受信制御部10による制御に従い、複数チャネルの受信ベースバンド信号のそれぞれの遅延時間を調整して整相加算し、探触子14において受信ビームを形成する。
一般に、肝臓等の関心組織での超音波の伝搬速度と、脂肪組織での超音波の伝搬速度とは異なる。送受信制御部10は、このような伝搬速度の相違に応じて各振動素子16に対する遅延時間を調整し、探触子14における送信ビームおよび受信ビームを形成する。これによって、脂肪組織の存在を考慮した上で良好にフォーカス点を設定し、良好な超音波ビームを形成することができる。したがって、脂肪組織の存在によってフォーカス点が形成されない、脂肪組織の存在によってフォーカス点の位置が所望の位置からずれる等の問題が生じる頻度が低くなる。これによって、弾性画像および断層画像の画質が向上する。
(3)動作例
図5には、超音波診断装置の動作例を示すタイミングチャートが示されている。図5(a)は、フレームデータが生成されるタイミングをパルスによって概念的に表したものである。図5(a)に示されている「SC」は、送信ビームおよび受信ビームを走査しているスキャン状態を示し、「FR」はスキャンによって生成されたフレームデータに対する処理を実行している状態を示す。図5(b)は、装置制御部34が脂肪組織を検出するタイミングを示す。図5(b)に記載されている「ON」は装置制御部34が脂肪組織を検出する動作状態を示し、「OFF」は装置制御部34が脂肪組織を検出する動作状態でない動作状態を示す。図5(c)は、静止判定部32が判定を行うタイミングをパルスによって概念的に示したものである。パルスの下方に示されている符号「Y」は、静止判定部32が静止判定をしたことを示す。パルスの下方に示されている符号「N」は、静止判定部32が運動判定をしたことを示す。
時間t1、時間t2、時間t3および時間t4の直後において、静止判定部32は静止判定をし、静止判定をする元となったフレームデータに対する処理を実行する時間帯に、装置制御部34は脂肪組織を検出する。超音波診断装置では、脂肪組織が検出されるごとに、脂肪組織の厚みに応じた超音波ビームが形成される。先に検出された脂肪組織の厚みに基づく各振動素子16に対する遅延時間が、次に脂肪組織が検出されるまで用いられる。
図6には、脂肪組織を検出するのに要される時間が、送信ビームを走査するのに要される時間よりも長い場合の動作例を示すタイミングチャートが示されている。図6(a)は、フレームデータが生成されるタイミングをパルスによって概念的に表したものである。図6(a)に示されている「NE」は、スキャン状態およびフレームデータを生成する状態のいずれでもない状態を示す。この状態において、装置制御部34は脂肪組織を検出する処理を実行してもよい。図6(b)に記載されている「ON」は装置制御部34が脂肪組織を検出している状態を示し、「OFF」は装置制御部34が脂肪組織を検出していない状態を示す。図6(c)は、静止判定部32が判定を行うタイミングをパルスによって概念的に示したものである。
時間t1、時間t2、時間t3および時間t4の直後において、静止判定部32は静止判定をし、静止判定をする元となったフレームデータに対する処理を実行する時間帯に、装置制御部34は脂肪組織を検出する。さらに、静止判定をする元となったフレームデータに対する処理を実行する時間帯が終了し、次にフレームデータが生成される時間帯までの間、送信ビームの走査およびフレームデータの生成のいずれも実行していない状態(NE)となる。装置制御部34は、NEで示される時間帯に脂肪組織の検出を続行し、時間ta、時間tb、時間tc、および時間tdに脂肪組織の検出を完了する。
図7には、プッシュ超音波パルスを送信して生体組織に剪断波を発生させると共に、超音波の送信および受信によって弾性率の分布を測定する場合の動作例を示すタイミングチャートが示されている。図7(a)には、リファレンス超音波r(α)およびr(β)が送信される時間帯、プッシュ超音波パルスPが送信される時間帯、ならびに、トラッキング超音波k(β)が送信される時間帯が概念的に表されている。ここで、リファレンス超音波は、剪断波の基準位置を測定するために送信される超音波であり、トラッキング超音波は、剪断波の伝搬位置を測定するために送信される超音波である。リファレンス超音波およびトラッキング超音波は、平面波であってもよい。
スキャン状態での時間帯Δ0〜時間帯Δ2のそれぞれでは、リファレンス超音波r(α)が送信される。さらに、リファレンス超音波r(α)に応じて生体組織で反射した超音波が受信され、剪断波の基準位置を測定するためのフレームデータが生成される。
図7(c)は、静止判定部32が判定を行うタイミングをパルスによって概念的に示したものである。時間t2の直後において静止判定部32は静止判定をし、静止判定をする元となったフレームデータに対する処理を実行する時間帯に、装置制御部34は脂肪組織を検出する。超音波診断装置は、検出された脂肪組織の厚みに基づいて各振動素子16に対する遅延時間を設定する。すなわち、時間帯Δ3では、時間t2の直後における静止判定に伴って検出された脂肪組織の厚みに応じて各振動素子16に対する遅延時間が設定される。そして、この遅延時間に基づいて、リファレンス超音波r(β)に応じた複数チャネルの受信ベースバンド信号が整相加算され、剪断波の基準位置を測定するためのフレームデータが生成される。なお、図中の符号「α」は、各振動素子16に対する遅延時間が更新される前の超音波であることを示し、符号「β」は、各振動素子16に対する遅延時間が更新された後の超音波であることを示している。
超音波診断装置は、さらに、検出された脂肪組織の領域に応じた処理によって送信ビームを形成し、時間t3にプッシュ超音波パルスを送信する。時間t3より後のスキャンでは、トラッキング超音波k(β)が送信される。また、時間t2の直後の静止判定に応じて各振動素子16に対する遅延時間が設定されている。この遅延時間に基づいて、トラッキング超音波k(β)に応じた複数チャネルの受信ベースバンド信号が整相加算され、剪断波の伝搬位置を測定するためのフレームデータが生成される。超音波診断装置は、剪断波の基準位置を測定するためのフレームデータ、および、剪断波の伝搬位置を測定するための各フレームデータに基づいて剪断波の伝搬速度の分布を求める。さらに、剪断波の伝搬速度の分布に基づいて、生体組織における弾性率の分布を求める。
一般に、探触子からプッシュ超音波パルスを送信して剪断波を発生させる測定法では、ユーザが探触子を被検体上で静止させる。本実施形態によれば、探触子を被検体上で静止させるという操作に伴って、探触子が備える各振動素子に対する遅延時間が適切に設定され、脂肪組織の領域に応じた送信ビームの形成、および、脂肪組織の領域に応じた整相加算が適切なタイミングで行われる。
(4)効果
本実施形態に係る超音波診断装置は、探触子14が静止したと判定された場合に脂肪組織の検出が行われ、その後のスキャンでは、脂肪組織の厚さに応じた処理によって超音波ビームが形成される。脂肪組織の検出は探触子14が静止した状態で行われるため、適切な条件下で脂肪組織の検出が行われる。さらに、脂肪組織の検出の後に、脂肪組織の厚みに応じて形成された送信ビームによってプッシュ超音波パルスが送信され、脂肪組織の厚みに応じて形成された超音波ビームの走査によって断層画像データおよび弾性画像データが生成される。このように超音波ビームが形成されることで、断層画像および弾性画像の質が向上する。
10 送受信制御部、12 送信部、14 探触子、16 振動素子、18 被検体、20 受信部、22 整相加算部、24 バッファメモリ、26 断層画像生成部、28 画像処理部、30 フレーム間相関部、32 静止判定部、34 装置制御部、36 表示部、38 シネメモリ、40 弾性画像生成部、42 皮膚層、44 脂肪組織、46 フォーカス点、48 送受信経路、50 脂肪組織の厚み。

Claims (4)

  1. 超音波診断装置において、
    被検体で反射し探触子で受信された超音波に基づく受信信号を生成する受信部と、
    前記受信信号に基づいて画像データを生成する画像生成部と、
    前記受信信号に基づいて前記探触子が静止したか否かを判定する静止判定部と、を備え、
    前記画像生成部は、
    通常モードまたは高画質モードのいずれかで動作し、前記通常モードで動作しているときに、前記探触子が静止したと判定された場合には、前記通常モードから前記高画質モードに切り換わることを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記画像生成部は、所定のフレームレートで時間経過と共に順次画像データを生成し、
    前記通常モードでのフレームレートが、前記高画質モードでのフレームレートよりも大きいことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 超音波診断装置において、
    被検体で反射し探触子で受信された超音波に基づく受信信号を生成する受信部と、
    前記受信信号に基づいて、前記被検体の弾性データを生成する弾性データ生成部と、
    前記受信信号に基づいて前記探触子が静止したか否かを判定する静止判定部と、
    前記探触子が静止したと判定された場合に、前記弾性データに基づいて、前記被検体の脂肪組織を検出する脂肪組織検出部と、
    前記脂肪組織が検出された領域に応じて前記受信信号に対する処理を実行して、前記探触子に受信ビームを形成する受信ビーム形成部と、を備え、
    前記受信部は、前記受信ビームによって前記探触子に超音波を受信させることを特徴とする超音波診断装置。
  4. 超音波診断装置において、
    被検体で反射し探触子で受信された超音波に基づく受信信号を生成する受信部と、
    前記受信信号に基づいて、前記被検体の弾性データを生成する弾性データ生成部と、
    前記受信信号に基づいて前記探触子が静止したか否かを判定する静止判定部と、
    前記探触子が静止したと判定された場合に、前記弾性データに基づいて、前記被検体の脂肪組織を検出する脂肪組織検出部と、
    前記被検体に剪断波を発生させる弾性測定用超音波を前記探触子に送信させる送信部と、
    前記脂肪組織が検出された領域に応じて前記送信部を制御して、前記探触子に送信ビームを形成する送信ビーム形成部と、を備え、
    前記送信部は、前記送信ビームによって前記弾性測定用超音波を前記探触子に送信させることを特徴とする超音波診断装置。
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