JP2018015361A - 医療用発泡ポリウレタンシート及びその使用方法 - Google Patents

医療用発泡ポリウレタンシート及びその使用方法 Download PDF

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Naohisa Yahagi
直久 矢作
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裕也 竹内
後藤 修
Osamu Goto
修 後藤
平田 利雄
Toshio Hirata
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Abstract

【課題】手術時、特に鏡視下手術において、切除した部位を一時的に載置可能とすると共に、健全な組織への影響を極力抑えることができる医療用シート及びその使用方法を提供する。【解決手段】本発明の医療用シートは、独立気泡体構造を有する医療用発泡ポリウレタンシートであって、圧縮永久歪が2.0〜10.0であるため、復元力が高いので、シートを丸めて体腔内に挿入した場合であっても、瞬時に形状が平らな状態に復元する。また、本発明の医療用シートは、独立気泡体構造を有しているため、血液や体液等がシート内に浸透しない。また、静摩擦係数が0.2〜2.0であり、表面が平滑なシート等に比べて高ので、切除した病巣部等を載置した際に、載置したものが滑りにくい。【選択図】図2

Description

本発明は、手術の際等に用いられる医療用の発泡ポリウレタンシート及びその使用方法に関する。
腫瘍等の切除を行う手術においては、切除した病巣部等を健全な組織から隔離する必要がある。従来においては、切除した病巣部等を健全な組織から隔離するために、臓器回収袋等を用いて切除部分を処理している。
しかしながら、腹腔鏡手術等のいわゆる鏡視下手術においては、医療用回収袋を用いる際に、トロカール等の処置具挿通具から体内に臓器回収袋を挿入し、腹腔内で臓器回収袋を広げ、その中に切除した部位を入れなければならない。その際、処置具挿通具の1つが臓器回収袋用に使用されているため、他の腹腔鏡手術用鉗子等を挿通するための通路の数が減少することとなり、手技が困難になる。
また、腫瘍等の切除を行う手術においては、病巣部の切除の際に周辺の臓器を圧排する必要があり、鏡視下手術用の圧排器具として、下記特許文献1のような器具が提案されている。当該特許文献1に記載の器具は、多孔性のポリウレタンフォームを用いた圧排器具であり、連続気泡を有するポリウレタンフォームであるため、体液等を吸収できるものとなっている。
しかしながら、このような圧排器具では、病巣部を切除した際の血液や体液が当該圧排器具によって吸収されるが、ポリウレタンフォーム内にこれらの血液等が浸透して他の臓器に接触するおそれがある。
また、腫瘍等の治療の際に複数回の手術を行う際、手術とその後の手術との期間内において、病巣部と健全な組織とを隔離した状態に保つ必要がある場合が生じる。
しかしながら、現在手術の際に用いられているガーゼや医療用スポンジ等では、病巣部から漏出する体液等が当該ガーゼに浸透して、健全な組織に接触することになる。また、体内に留置する合成樹脂製フォームからなる部材が特許文献2に開示されているが、当該部材も体液等が浸透するものであるため、病巣部と健全な組織とを隔離することはできない。
また、非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(NEWS)において、例えば胃の内部で発見された腫瘍を内視鏡で切除する場合、安全・確実・簡単にスペースを見つけられること、及び予め腹腔鏡で縫合しておいた糸を内側から切らないこと等が求められている。
WO2009/084688号公報 特表2006−519633号公報
本発明は、手術時、特に鏡視下手術において、切除した部位を一時的に載置可能とすると共に、健全な組織への影響を極力抑えることができるシートを提供することを目的とする。本発明の他の目的は、臓器の圧排の際に容易に圧排ができ、容易に病巣部と健全な組織とを隔離することができるシートを提供することである。また、本発明は、NEWSの手技においても有用であり、体外でも使用可能な医療用シートを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記医療用シートの好適な使用方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートは、手術の際に用いられる医療用発泡ポリウレタンシートであって、独立気泡体構造を有し、圧縮永久歪が2.0〜10.0であることを特徴とする。
本発明の医療用発泡ポリウレタンシートによれば、独立気泡体構造を有しているため、血液や体液等がシート内に浸透しない。また、圧縮永久歪が2.0〜10.0であるため、復元力が高いので、シートを丸めて体腔内に挿入した場合であっても、瞬時に形状が平らな状態に復元する。
従って、鏡視下手術においてシートを丸めて処置具挿通具を介して体腔内に挿入した際に、すぐに広がってシート上に切除した部位を載置することができる。また、シートの弾性で容易に臓器の圧排を行うことができる。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートにおいては、静摩擦係数が0.2〜2.0であることが好ましい。静摩擦係数を0.2〜2.0とすると、表面が平滑なシート等に比べて静摩擦力が高くなるので、組織上に載置された際に、多少の傾斜があってもずれることがない。また、シートの上に切除した病巣部等を載置した際に、載置したものが滑りにくい。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートにおいては、繰返し圧縮永久歪が1.0〜10.0であることが好ましい。繰返し圧縮永久歪は、シートを繰返し圧縮した状態での復元性を示すものであり、この値は低いほど復元性、特に復元速度が高いことを示す。本発明では、繰返し圧縮永久歪を1.0〜10.0とすることにより、シートを変形させた場合であっても、瞬時に元の形状に復元する。また、繰返し荷重がかかった場合であっても復元するため、例えば、シートを折り曲げた状態で繰返し荷重が発生する臓器間に留置した場合であっても、所望の弾性が長期間保たれるので、臓器の隔離用のシートとして好適である。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートにおいては、前記独立気泡体の気泡径が150〜300μmであることが好ましい。独立気泡体の気泡径を当該範囲とすることにより、静摩擦係数、圧縮永久歪、繰返し圧縮永久歪等を上記範囲に容易に変更することができる。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートにおいては、アスカーC硬度を20〜90とすることが好ましい。発泡ポリウレタンシートをこのような固さにすることにより、縫合用の針でも刺しにくくすることができる。また、メス等の処置具によって破損しにくくすることができる。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートにおいては、引き裂き強度が35〜260N/cmであることが好ましい。このように、シートの引き裂き強度を35〜260N/cmとすることにより、使用時にハサミ等で切った場合でも切りくずが出にくく、手術での使用時に鉗子等が接触した場合であっても、容易に破れて破損することがない。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートにおいては、日本色研配色体系(PCCS)の色相環における9:gYから16:gBの間の色彩に形成されていることが好ましい。この色相環における9:gYから16:gBの間の色彩は、緑、或いは緑青等と呼ばれる緑系の色彩である。患者の体内組織の色は概ね色相環における2:Rから7:rYに当てはまるが、本発明のシートを、これらの色と補色の関係に近い範囲の9:gYから16:gBとすることにより、手術時に非常に目立つため、手術を行う箇所のマーキングとして好適である。
また、本発明の医療用発泡ポリウレタンシートは、少なくとも細胞毒性試験及び発熱性物質試験のいずれの試験も合格となるよう形成されていることを特徴とする。少なくとも当該試験で合格することにより、シートを手術時に体内に載置し、或いは留置することができる。さらに、試験としては、急性全身毒性試験、或いは皮内反応試験についても合格となるよう形成されていることが好ましい。
また、前記医療用発泡ポリウレタンシートの使用方法としては、前記医療用発泡ポリウレタンシートを折りたたんだ状態で筒状の挿入補助具に装着し、前記挿入補助具を所望の位置に移動した後に前記医療用発泡ポリウレタンシートを前記挿入補助具から外部に出し、平らな状態に復元させることが好ましい。
当該使用方法によれば、例えば前記医療用発泡ポリウレタンシートを体内に挿入する際に、前記挿入補助具内に小さく折りたたんで挿入することができ、体腔内等の所望の位置で平らな状態に復元することができるので、内視鏡手術やNEWSを含む腹腔鏡手術等の低襲撃性の手術に好適である。ここで、折りたたむとは、文字通りシートを折り曲げてたたむ場合の他、丸めてロール状に折りたたむことを含む概念である。
本発明の医療用発泡ポリウレタンシートの一例を示す説明図。 図1の医療用発泡ポリウレタンシートの表面の状態を示す拡大写真。 日本色研配色体系における色相環を示す説明図。 腹腔鏡手術の状態を示す説明図。 腹腔鏡手術で、適用部位に医療用発泡ポリウレタンシートを用いている状態を示す説明図。 内視鏡手術の状態を示す説明図。 内視鏡手術で、病巣部分を摘出している状態を示す説明図。
次に、本発明の医療用発泡ポリウレタンシート及びその使用方法の実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態の医療用発泡ポリウレタンシート1(以下「医療用シート1」と言う。)は、図1に示すように、ポリウレタンフォームで形成された厚さが1.0mmのシートである。手術で用いられる際には、手術の目的に応じて、必要な大きさと形状に切り取って使用される。医療用シート1の厚さは、用途に応じて0.5mm〜2.0mmの間とすることができる。
医療用シート1は、独立気泡体の気泡の径が150〜300μmに調整される。図2は、平均気泡径が約300μmの独立気泡が形成された独立気泡体の表面を拡大した写真である。図2に示すように、本実施形態の医療用シート1は、気泡が完全に独立している完全独立気泡体となっている。医療用シート1の発泡は、従来より公知の化学発泡、機械的発泡、中空ビーズを用いた発泡、マイクロバブル発泡等の各手法を用いることができる。気泡径の調整はそれぞれの方法によって異なるが、手法としては周知であるので詳細な説明は省略する。
医療用シート1の圧縮永久歪は2.0〜10.0に調整される。この圧縮永久歪は、JIS K 6382(クッション用フォームラバー)により求める。この永久圧縮歪は、数値が低いほど圧縮後の復元性が高いことを意味する。なお、この永久圧縮歪は、通常のゴムシートであれば20を超える値となる。
医療用シート1の表面における静摩擦係数は0.2〜2.0、好ましくは0.6〜1.2に調整される。この医療用シート1の静摩擦係数は、原料の配合割合や気泡径等によって異なる。例えば、原料としては、ポリオールとポリイソシアネートとの混合割合、触媒又は整泡剤の相違等により異なる。気泡径としては、気泡径が上記範囲で小さいほど静摩擦係数が低くなる傾向にある。よって、医療用シート1の表面の静摩擦係数を上記範囲とするために、原料の配合割合、触媒又は整泡剤と、気泡径を変更することにより調整すればよい。
この静摩擦係数はオイラーのベルト式測定方法で測定を行う。このオイラーのベルト式測定方法では、静摩擦係数を測定する試験体をローラ状に形成し、ローラにベルトを所定の巻き付け角度θで巻き付け、ベルトの一端に所定質量の荷重Wをかけて、ベルトを試験体に摺動させながら引っ張る際の張力Wを求め、次の式から求められる。
μ=(1/θ)・ln(T/W)
ここで、μは静摩擦係数、θは巻付け角(ラジアン)、Wは荷重(kg)、Tは張力(kg)である。
次に、医療用シート1の繰返し圧縮永久歪については1.0〜10.0に調整される。この繰返し圧縮永久歪は、JIS K 6767(発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法)に準じて、毎分60回の速さで、試験片の初めの厚さの25%だけ連続100万回繰返し圧縮し、標準状態の場所で24時間放置後、前と同じ箇所の厚さを測ることにより行う。なお、この圧縮永久圧縮歪についても、通常のゴムシートであれば20を超える値となる。
上記圧縮永久歪及び繰返し圧縮永久歪の調整は、原料の配合割合、触媒又は整泡剤と、気泡径を変更することにより行う。
また、本実施形態の医療用シート1は、アスカーC硬度が20〜90度に調整される。このアスカーC硬度は、数値が大きいほど硬度が高いことを示す。医療用シート1としては、硬度が20度程度から使用することができ、60度以上が好ましい。ただし、硬度が90度を超えると、小さくたたむことが困難になる等の不都合が生じる。
また、本実施形態の医療用シート1は、引き裂き強度が35〜260N/cmに調整される。この引き裂き強度も、従来より公知のウレタンフォームと同様に、原料の配合割合、添加剤の組合せ、及び気泡径の変更等によって調整を行う。通常のゴムシートの場合、この引き裂き強度は20〜30N/cm程度である。
さらに、本実施形態の医療用シート1は緑色に着色されており、体内組織の色に対して、図3に示す日本色研配色体系(PCCS)の色相環における補色に当たる色彩に近い色彩が採用されている。体内組織の色は概ね2:Rから7:rY(図3におけるC’)に当てはまるが、医療用シート1は、これらの色と補色の関係にある色彩を含む9:gYから16:gB(図3におけるC)の間の色に調整する。
次に、本実施形態の医療用シート1を、非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(NEWS)で使用した場合の使用例について説明する。NEWSとは、腹腔鏡手術と内視鏡手術とのコンビネーションにより、胃であれば胃壁に極力穴を開けずに腫瘍等の病巣部を摘出する手術である。
例えば、胃壁内部に病巣部がある患者の場合、図4に示すように、手技者は、腹腔鏡2を用いて胃壁3の外部から病巣部3aの裏側まで切開を行う。この場合、腹腔鏡2による切開であるので切開幅は非常に小さい。なお、手技者は、必要に応じて鉗子4等を用いて手技を行うことができる。
次に、図5(A)に示すように、手技者は、病巣部3aの裏側の部分の胃壁3の表面に、病巣部3aよりも少し広めの範囲で電気メス5によって切れ目3bを入れる。一方で、手技者は、医療用シート1を病巣部3aや切れ目3bの形状に合わせて切り取っておく。この場合、病巣部3aよりも多少広めにしておくことが好ましい。
次に、図5(B)に示すように、手技者は、医療用シート1を内径が約5mmの筒状体であるシート挿入補助具6を用いて体内に挿入する。医療用シート1は、シート挿入補助具6の先端部に丸めてロール状に折りたたまれた状態で装着される。また、その状態でシート挿入補助具6によって体内に挿入され、図示しないプッシュロッドにより押し出されて体内に投入される。
本実施形態の医療用シート1は、圧縮永久歪が2.0〜10.0に調整されており、一般のウレタンフォーム製のシートやゴムシートに比べて復元力が高い。よって、シート挿入補助具6内に丸められた状態で保持されていた場合であっても、シート挿入補助具6から押し出された際には、即座に平らな状態に復元する。このため、手技者は、手術の際に医療用シート1の形状の復元を待つ必要がなく、迅速な手技を行うことができる。
次に、手技者は、図5(C)に示すように、体内に挿入された医療用シート1を、図示しない鉗子等を用いて病巣部3aの裏側の位置に載置する。ここで、医療用シート1は、表面の静摩擦係数が1.0〜2.0となっており、PET製のシート等に比べて静摩擦係数が高いので、組織上に載置した場合であっても滑ることがない。
その後、図5(C)に示すように、手技者は、鉗子等を用いて切れ目3bの部分から胃壁3の筋層を引き寄せ、図5(D)に示すように、図示しない縫合用の針を用いて医療用シート1が筋層内に埋まるように縫合する。
ここで、胃壁3の筋層の縫合の際、腹腔鏡2から延びる縫合用の針(図示省略)で縫合を行うが、針の先端が医療用シート1に当たった場合でも、医療用シート1のアスカーC硬度が20〜90と高いため、針が医療用シート1に入り込まない。
次に、図6及び図7に示すように、内視鏡7を用いて、病巣部3aの切除を行う。本実施形態の医療用シート1は、体内組織の色と補色関係にある色を採用しているため、内視鏡7のカメラで臓器内を見ているときに、胃壁を介して医療用シート1を確認することができるので、病巣部3aの発見を迅速に行うことができる。
次に、内視鏡7の先端から電気メス8を延ばして病巣部3aの周囲を切除する。その際、胃壁3外側に載置されている医療用シート1が病巣部3aよりも広く形成しておくと、仮に電気メス8の先端が胃壁3を貫通した場合でも、電気メス8は医療用シート1に当接する。
医療用シート1は、独立気泡体であって、連続気泡体のように内部に体液等が浸透することがない。また、医療用シート1の素材がポリウレタンであるため、素材自体にも体液等が浸透しない。このため、仮に電気メス8の先端が医療用シート1の表面に当接した場合であっても、医療用シート1の絶縁性が確保されているため、当該医療用シート1が焼き切れることがない。
従って、電気メス8の先端が胃壁3を貫通した場合であっても、その背後の筋層を傷つけることはない。その後、図7(B)に示すように、電気メス8で病巣部3aを切除し、切除した部位は内視鏡7によって体外に搬出される。
本実施形態の医療用シート1は、上記NEWSの手技の他に、開胸手術又は開腹手術の際に、切除した部位を一時的に載置する台として用いてもよい。このとき、医療用シート1は、表面の静摩擦係数が1.0〜2.0となっており、摩擦係数が高いので、術野に載置した場合であっても組織上を滑ることがない。
また、医療用シート1の上に載置された部位も、医療用シート1の上を滑ってシートから落ちる可能性は極めて低い。また、医療用シート1は独立気泡体であるため、その上に病巣部を載せた場合であっても、シート内部に体液等が浸透しない。よって、切除された部位が健全な組織への接触を防ぐことができる。
また、手術と手術との間、病巣部と他の臓器とを隔離しておきたい場合、本実施形態の医療用シート1を隔離したい臓器間に挿入することにより、確実に隔離を行うことができる。このとき、医療用シート1の静摩擦係数が高いため、医療用シート1を臓器に縫合しなくても、載置された位置に止まることができる。
また、医療用シート1の引き裂き強度が35〜260N/cmと高いため、使用時にハサミで切った場合でも切りくずが出にくい。また、手術での使用時に鉗子等が接触した場合であっても、容易に破れて破損することがない。
また、医療用シート1は、繰返し圧縮永久歪については1.0〜10.0となっており、数多く折りたたまれた場合であっても、へたることなく平らな状態に復元する。よって、医療用シート1が手術の際に、鉗子等により多数回折りたたむ必要がある手技にも用いることができる。
また、本実施形態の医療用シート1は、体内での使用のみならず、手術室の処置台等の上に敷き、その上に鉗子やメス等の処置具を載置するように使用してもよい。医療用シート1は、上記の通り、高い静摩擦係数と高い強度を備えているため、メス等を載置しても滑りにくく、且つ破損しにくいので、医師や助手等処置具の取扱を容易にすることができる。
次に、本実施形態の医療用シート1の製造方法について説明する。ポリウレタンシートは、ポリオールとポリイソシアネートとを主成分としており、これに触媒及び整泡剤等を添加したものを金型内に注入し、加熱・発泡及び加硫が行われて製造される。
本実施形態の医療用シート1に用いられるポリオール及びポリイソシアネートは、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、ポリオールとしては、ポリエーテル系ポリオールでもポリエステル系ポリオールでもよい。耐加水分解性、低温特性に優れたものとしては、ポリ−ε−カプロラクトン系ジオールを主成分としたもの、または、多官能のポリエーテル系グリコールにポリ−ε−カプロラクトン系ジオールを添加したもの等が好適である。
また、ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)及びそれらの誘導体を使用することができる。
ポリオールとポリイソシアネートとの配合割合も従来から公知であり、例えば、ジオールの水酸基などの活性水素とイソシアネート基とがほぼ等モルとなるように配合する。
また、触媒及び整泡剤等も従来と同様なものを使用すればよい。例えば、触媒としては、トリエタノールアミン(TEA)、1,4−ジアザ[2,2,2]ビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等を使用することができる。また、整泡剤としては、シリコーンオイルや反応型有機変性シリコーンオイル等を使用することができる。
次に、本発明の好適な実施例について説明する。実施例1の医療用シート1は、以下の成分で構成されている。
原料となるポリイソシアネートとして、東ソー株式会社製のコロネートT−80を用いた。また、ポリオールとして、東ソー株式会社製のニッポラン4002を用いた。触媒は株式会社日本触媒製のエタノールアミンを用いた。整泡剤としては、東レ・ダウコーニング株式会社製のウレタンフォーム用シリコーンオイル整泡剤SH193を用いた。
実施例1の医療用シート1は、独立気泡体の気泡の径が150μmであり、表面における静摩擦係数は0.8である。また、医療用シート1の圧縮永久歪は10.0であり、繰返し圧縮永久歪は6.0であり、引き裂き強度は65N/cmである。
また、実施例1の医療用シート1は、アスカーC硬度は60であった。また、医療用シート1の色は、緑色の12:Gとなるように調整した。
医療用シート1は、体内に載置された際、或いは体内に留置された際に、有害物質が漏出する等の不都合がないようにする必要がある。本実施形態においては、原材料及び各種添加剤について、医療用に用いることができるものを選択して用いている。
次に、医療用シート1の生体適合性試験の結果について説明する。試験実施基準(GLP)は、「医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成17年3月23日 厚生労働省令第37号)、及び「医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令」(平成20年6月13日 厚生労働省令第115号)を用いた。
また、試験法ガイドラインとしては、「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」(平成24年3月1日薬食機発0301第20号)を用いた。また、試験は、動物愛護について、試験施設の標準操作手順書(動物実験倫理規定)に準拠して行った。
試験結果としては、V79細胞を用いる細胞毒性試験では、医療用シート1の抽出液に細胞毒性がないという結果を得た。また、発熱性物質試験において、医療用シート1の生理食塩液抽出液をウサギの耳介静脈内に投与して、発熱性物質の有無について検討した結果、発熱性物質は存在しないという結果を得た。
同様に、マウスを用いる急性全身毒性試験において、医療用シート1の抽出液をマウスに単回投与して3日間観察し、急性全身毒性の有無について検討した結果、急性全身毒性はないと判定した。さらに、ウサギを用いる皮内反応試験において、医療用シート1の抽出液の皮内投与における皮内に対する影響の有無を、ウサギを用いて検討した結果、抽出液はウサギの皮内に対して影響を与えないという結果を得た。
以上の通り、実施例1の医療用シート1は、V79細胞を用いる細胞毒性試験、発熱性物質試験、マウスを用いる急性全身毒性試験、及びウサギを用いる皮内反応試験において全て合格しているため、安全に人体の内部に載置或いは留置することができる。
1…医療用シート(医療用発泡ポリウレタンシート)、2…腹腔鏡、3…胃壁、3a…病巣部、4…鉗子、5,8…電気メス、6…シート挿入補助具、7…内視鏡。

Claims (9)

  1. 手術の際に用いられる医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    独立気泡体構造を有し、圧縮永久歪が2.0〜10.0であることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  2. 請求項1に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    静摩擦係数が0.2〜2.0であることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  3. 請求項1又は2に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    繰返し圧縮永久歪が1.0〜10.0であることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    前記独立気泡体の気泡径が150〜300μmであることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    アスカーC硬度が20〜90であることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    引き裂き強度が35〜260N/cmであることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    日本色研配色体系(PCCS)の色相環における9:gYから16:gBの間の色彩に形成されていることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の医療用発泡ポリウレタンシートであって、
    少なくとも細胞毒性試験及び発熱性物質試験のいずれの試験も合格となるよう形成されていることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシート。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の医療用発泡ポリウレタンシートの使用方法であって、
    前記医療用発泡ポリウレタンシートを折りたたんだ状態で筒状の挿入補助具に装着し、前記挿入補助具を所望の位置に移動した後に前記医療用発泡ポリウレタンシートを前記挿入補助具から外部に出し、平らな状態に復元させることを特徴とする医療用発泡ポリウレタンシートの使用方法。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10168215A (ja) * 1996-12-06 1998-06-23 Sekisui Plastics Co Ltd 熱可塑性ポリウレタン発泡シート及びその製造法
JP2006519633A (ja) * 2003-01-09 2006-08-31 ポリガニックス ビー. ブイ. 生体医用フォーム
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