JP2018013246A - アングル弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】スラリーが流れるアングル弁内部の摩耗を効果的に抑制することができるアングル弁を提供する。【解決手段】スラリー流入口から受け入れたスラリーをスラリー流出口11Bへと向きを変えながら排出する弁本体11と、弁本体の内部に流れ方向に摺動可能なように配設されスラリー流出口の開閉を制御するプラグ12とを備えたものであって、プラグは、プラグ本体21と、プラグ本体を先端に接続したプラグステム22とから構成され、弁本体の内部において、少なくとも、プラグ本体の上面部と、プラグステムを摺動可能に案内保持するボンネット13におけるスラリーとの接液部13tに、タングステンカーバイドが肉盛溶接されており、プラグステムとボンネットとの間にはシール材13sが設けられ、プラグステムにおいては、プラグ本体が接続された根元部22rにのみ、タングステンカーバイドが肉盛溶接されている。【選択図】図3
Description
本発明は、アングル弁に関するものであり、より詳しくは、例えば高温高圧の酸性スラリーの移送を調整するスラリー調節弁として用いられるアングル弁に関する。
高圧酸浸出(High Pressure Acid Leach、以下「HPAL」という)法を用いた低品位ニッケル鉱の精錬では、スラリー化された鉱石(以下、「鉱石スラリー」という)からニッケルとコバルトとを選択的に浸出するために、その鉱石スラリーを段階的に昇温昇圧してオートクレーブへ移送している。
オートクレーブでは、硫酸等が添加されて浸出処理が施され、その後、鉱石スラリーは段階的に降温降圧されて次工程へと移送される。浸出処理後の鉱石スラリーには、ニッケルを含まない硬度の高い粒子を多く含んでいる。
HPAL法における降温降圧の処理工程は、例えば図1に示す降温降圧の処理システム50にあるように、オートクレーブの吐出配管51から内圧により押し上げられる鉱石スラリーを、直列に設置した3つの圧力容器(以下、「フラッシュタンク」という)52(52a,52b,52c)において段階的に降温降圧する工程である。降温降圧の処理工程では、フラッシュタンク52を通過した鉱石スラリーが、最終的に100℃以下の温度まで降温され、圧力は大気圧まで降圧される。
フラッシュタンク52で段階的に鉱石スラリーを降圧するにあたっては、各フラッシュタンク52の上部に設置した調節弁53(53a,53b,53c)により、前段に設置されているオートクレーブの液位とフラッシュタンク52aの液位とを一定に制御して、連続的に鉱石スラリーの抜き取りを行う。鉱石スラリーは、フラッシュタンク52間の圧力差により高温かつ高速で移送されることから、高い摩耗性を有する。また、鉱石スラリーは、オートクレーブにて添加される硫酸により酸性となることから、高い腐食性も有する。
フラッシュタンク52の上部の調節弁53としては、スラリーや腐食性流体、高温高圧流体等の使用に適したアングル弁が用いられる。その調節弁53の構造上、摩耗の進行が速いプラグ本体やシート部品の材質には、耐摩耗性に優れるセラミック材料が一般的に使用されている。一方で、弁本体(ボディ)や、プラグの軸を構成するプラグステム、そのプラグステムの上下摺動を案内保持するボンネットといった、セラミック材料の使用が難しい接液部には、耐腐食性に優れるチタン材料が使用されている。
しかしながら、アングル弁の内部には、高温でかつ高速に流れるスラリーにより、使用を継続すれば必然的に摩耗が進行し、その摩耗が原因となって、弁本体を貫通してスラリーが噴出するという事態も生じ得ることになる。摩耗の進行は、操業状態により大きく変化するため、そのアングル弁を定期的に取り外し、弁内部の状態点検や、摩耗状態に応じた補修、部品交換が必要とされる。
具体的に、弁内部の摩耗は、スラリーの流れが乱れるプラグ本体の周辺やプラグステムの周辺において局部的に進行し、従来、ボンネットのプラグ挿入部の摩耗やプラグステムの根元部の摩耗によって、プラグやボンネットの交換が頻繁に行われる。また、これら部位の摩耗の進行によっては、軸シール部の不良による外部へのスラリー漏れが発生する可能性もある。そして、このような弁の部品交換にあたっては、設備立ち下げ時の降温降圧や設備立ち上げ時の昇温昇圧のために、長時間の設備停止が必要となることから、弁内部の摩耗を抑制して、点検周期と部品交換頻度を低減することが望まれている。
ここで、アングル弁内部の耐摩耗性を高めるために、一般的には、グラスライニングやセラミック溶射による保護被膜を形成する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、弁内部にグラスライニングを施し、耐食性、耐摩耗性を向上したスラリー用アングル弁について開示されている。しかしながら、弁内部におけるグラスライニングは、温度変化により破損するおそれがあることのほか、配管内に付着したスケール物やタンクの内壁にライニングされた煉瓦の破片等がスラリーと共に弁内部に流入して内壁に衝突し、その衝突によって、グラスライニングは安易に破損し、十分な耐摩耗性を発揮し得ない。
また、特許文献2には、セラミックを溶射し保護皮膜を被着したスラリー用調節弁において、保護皮膜の被着端部を露出しない構造とすることで剥離を防止するスラリー調節弁が開示されている。しかしながら、この方法を可能とした場合においても、グラスライニング同様に、スケール物や煉瓦の衝突によって、セラミック保護皮膜は安易に破損する。
このように、従来の技術では、弁内部の摩耗を十分に抑制することができない。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、スラリーが流れるアングル弁内部の摩耗を効果的に抑制することができるアングル弁を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、弁本体と、その弁本体の内部に上下に摺動可能なように配設されスラリーの流出を制御するプラグとを備えたアングル弁において、弁本体の内部におけるスラリーとの接液部に、タングステンカーバイドによる肉盛溶接を施すことにより、弁内部の局部的な摩耗を効果的に抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、スラリー流入口から受け入れたスラリーをスラリー流出口へと向きを変えながら排出する弁本体と、該弁本体の内部に流れ方向に摺動可能なように配設され該スラリー流出口の開閉を制御するプラグとを備えたアングル弁であって、前記プラグは、プラグ本体と、該プラグ本体を先端に接続したプラグステムとから構成され、前記弁本体の内部において、少なくとも、前記プラグ本体の上面部と、前記プラグステムを摺動可能に案内保持するボンネットにおけるスラリーとの接液部に、タングステンカーバイドが肉盛溶接されており、前記プラグステムと前記ボンネットとの間には、シール材が設けられ、前記プラグステムにおいては、前記プラグ本体が接続された根元部にのみ、タングステンカーバイドが肉盛溶接されている、アングル弁である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記スラリーは、高圧酸浸出して得られた高温高圧の酸性スラリーである、アングル弁である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記弁本体の内部における前記接液部は、耐腐食性及び耐熱性を有する金属材料により構成されている、アングル弁である。
本発明に係るアングル弁によれば、スラリーが流れるアングル弁内部の局部的な摩耗を効果的に抑制することができる。これにより、摩耗に起因するアングル弁のトラブルを防ぐことができるとともに、補修等にかかる費用を低減し、また操業の効率性を高めることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.アングル弁の構成≫
本実施の形態に係るアングル弁は、例えば図1に示すような、フラッシュタンクの上部に設置され、そのフラッシュタンク間におけるスラリーの移送を制御する調節弁である。
本実施の形態に係るアングル弁は、例えば図1に示すような、フラッシュタンクの上部に設置され、そのフラッシュタンク間におけるスラリーの移送を制御する調節弁である。
スラリーとしては、特に限定されないが、例えば、HPALプロセスに用いられるニッケル酸化鉱石のスラリーであって、高温高圧下で硫酸により浸出処理を施して得られた高温状態であり酸性のスラリーを挙げることができる。上述したように、HPALプロセスにおいては、高温高圧の状態にあるスラリーを、複数のフラッシュタンクを使用して段階的に降温降圧させていくが、フラッシュタンク間の移送にあたっては、その圧力差により、スラリーが高速に流れていく。
なお、スラリーとしては、上述した鉱石のスラリーに限られるものではなく、如何なる種類のものであっても適用することができる。また、本実施の形態に係るアングル弁は、例えば、腐食性の流体、上述したスラリー以外の高温高圧の流体等の移送を制御するための調節弁としても有効に適用することができ、ここではこれらの流体も「スラリー」との用語の意味に含まれるものとする。
図2は、アングル弁の構成を示す断面図である。図2に示すように、アングル弁1は、弁本体11と、弁本体11の内部において上下に摺動可能なように配設されたプラグ12とを備えている。弁本体11は、水平方向に開口するスラリー流入口11Aと、鉛直方向に開口するスラリー流出口11Bとを有しており、スラリー流入口11Aから流入したスラリーが弁本体11の内部を流れて、スラリー流出口11Bを介して流出する。
また、プラグ12は、弁本体11の内部において上下(図2中の矢印X)に動くことによって、弁本体11のスラリー流出口11Bの開閉を制御する。なお、図2は、プラグ12により、スラリー流出口11Bが閉状態となっている様子を示す。
そして、このアングル弁1においては、弁本体1の内部におけるスラリーとの接液部に、窒化チタンによる表面処理加工が施されていることを特徴としている。ここで、弁本体1の内部における「接液部」とは、圧力差に基づいて弁本体1を高速に流れるスラリーが接する部位をいい、特に、耐摩耗性を有するセラミック等の材料により構成されていない部位をいう。
[弁本体]
弁本体11は、アングル弁1の本体を構成するものであり、その内部をスラリーが流れる。弁本体11には、上述したように、水平方向に開口したスラリー流入口11Aと、鉛直方向に開口したスラリー流出口11Bとが設けられ、スラリー流入口11Aから流入したスラリーが、弁本体11の内部を高速に流れて、スラリー流出口11Bから流出する。
弁本体11は、アングル弁1の本体を構成するものであり、その内部をスラリーが流れる。弁本体11には、上述したように、水平方向に開口したスラリー流入口11Aと、鉛直方向に開口したスラリー流出口11Bとが設けられ、スラリー流入口11Aから流入したスラリーが、弁本体11の内部を高速に流れて、スラリー流出口11Bから流出する。
弁本体11において、少なくともその内部におけるスラリーとの接液部は、所定の金属による溶接が可能な金属材料から構成されている。また、その金属材料としては、耐腐食性及び耐熱性を有するものであることが好ましい。例えば、HPALプロセスにより硫酸による浸出処理が施されて得られた、高温でかつ酸性のスラリーを移送するにあたっては、弁本体11の内部の接液部が、耐腐食性及び耐熱性を有する金属材料等で構成されていることにより、腐食や熱による劣化や摩耗等を防ぐことができる。また、このような金属材料であることにより、後述するように窒化チタンの肉盛溶接による表面処理加工を効率的に行うことが可能となる。
弁本体11において、スラリー流出口11Bでは、後述するプラグ12による開閉制御が行われている。具体的には、プラグ12が上下動することによって、スラリー流出口11Bの開口部にプラグ本体21が接触することで閉状態となり、スラリー流出口11Bの開口部にプラグ本体21が離れることで開状態となる。
弁本体11のスラリー流出口11Bでは、このように、プラグ12(プラグ本体21)の接触又は非接触による開閉制御が行われていることから、そのスラリー流出口11Bの開口部の内壁には、例えばセラミック材料等からなるシート部材11sが設けられており、耐摩耗性を高めるようにしている。また、このように開口部の内壁にシート部材11sを設けることで、高速に流出するスラリーによる摩耗を抑制することもできる。
なお、スラリー流出口11Bには、スラリーを後段のフラッシュタンク等に移送するための接続配管40が連結されている。接続配管40の内壁にも、セラミック材料等からなるシート部材40sを設けることができる。
[プラグ]
プラグ12は、弁本体11の内部にて上下動(図2中の矢印X)することで、スラリー流出口11Bを介したスラリーの流出(移送)を制御する。プラグ12は、プラグ本体21と、プラグ本体21をその先端に接続したプラグステム22とから構成されている。
プラグ12は、弁本体11の内部にて上下動(図2中の矢印X)することで、スラリー流出口11Bを介したスラリーの流出(移送)を制御する。プラグ12は、プラグ本体21と、プラグ本体21をその先端に接続したプラグステム22とから構成されている。
(プラグ本体)
プラグ本体21は、例えば、テーパを有する逆山型の形状や逆円錐形の形状を有している。このプラグ本体21は、上述した弁本体11のスラリー流出口11Bの開口部に接触することによって、その開口部を塞ぐようにし、これによりスラリーの流出を止める。プラグ本体21は、例えばセラミック等の材料から構成され、あるいは、金属材料の表面にセラミック等からなる被覆が施されて、その耐摩耗性が高められている。
プラグ本体21は、例えば、テーパを有する逆山型の形状や逆円錐形の形状を有している。このプラグ本体21は、上述した弁本体11のスラリー流出口11Bの開口部に接触することによって、その開口部を塞ぐようにし、これによりスラリーの流出を止める。プラグ本体21は、例えばセラミック等の材料から構成され、あるいは、金属材料の表面にセラミック等からなる被覆が施されて、その耐摩耗性が高められている。
(プラグステム)
プラグステム22は、棒状等の形状からなってプラグ12の軸を構成するものであり、その先端にプラグ本体21を接続させて、上方又は下方への摺動によりプラグ本体21を上下動させる。プラグステム22は、弁本体11の内部にあるボンネット13に環囲されており、そのボンネット13による案内保持により、上下に摺動可能となっている。
プラグステム22は、棒状等の形状からなってプラグ12の軸を構成するものであり、その先端にプラグ本体21を接続させて、上方又は下方への摺動によりプラグ本体21を上下動させる。プラグステム22は、弁本体11の内部にあるボンネット13に環囲されており、そのボンネット13による案内保持により、上下に摺動可能となっている。
ここで、プラグステム22と、プラグステム22を摺動可能に案内保持するボンネット13との間には、その隙間からのスラリーの噴き出しを防ぐためのシール部材(軸シール部材)13sが円周上に設けられている。軸シール部材13sは、例えばパッキン等により構成することができ、プラグステム22とボンネット13との間のシール性を高める一方で、プラグステム22の摺動を阻害しないものであれば、その材質としては特に限定されない。例えば、ゴム等の有機材料やセラミック等の無機材料等により構成することができ、耐熱性を有するものであれば特に好ましい。
≪2.接液部における表面処理加工≫
本実施の形態に係るアングル弁1においては、上述したように、その弁本体11の内部におけるスラリーとの接液部に、窒化チタンによる表面処理加工が施されていることを特徴としている。具体的には、弁本体11の内部における所定の接液部に、窒化チタンが肉盛溶接されている。
本実施の形態に係るアングル弁1においては、上述したように、その弁本体11の内部におけるスラリーとの接液部に、窒化チタンによる表面処理加工が施されていることを特徴としている。具体的には、弁本体11の内部における所定の接液部に、窒化チタンが肉盛溶接されている。
図3は、図2に示したアングル弁1の特定部分における拡大断面図であり、弁本体11内部の接液部における表面処理加工の様子を説明するための図である。図3に示すように、アングル弁1では、弁本体11の内部におけるスラリーとの接液部に、窒化チタン30が肉盛溶接されている。窒化チタンは、優れた耐摩耗性を有するとともに、耐腐食性及び耐熱性を有する材質である。スラリーとの接液部において、窒化チタンを肉盛溶接する表面処理加工を施すことで、弁本体11の内部を高速に流れ、高温で、しかも酸性の強いスラリーによる摩耗を効果的に抑制することができる。
例えば、表面処理加工を施す接液部としては、図3に示すように、少なくとも、プラグ本体21の上面部21tと、プラグステム22を摺動可能に案内保持するボンネット13におけるスラリーとの接液部13tであることが好ましい。なお、プラグ本体21の上面とは、プラグステム22が接続されている面をいう。プラグ本体21の上面部21tと、ボンネット13におけるスラリーとの接液部13tとは、高速に流れるスラリーとの接触頻度が高く、しかもスラリーの流れが乱れる箇所であり、そのスラリーにより摩耗が生じやすい。また、これらの箇所は、プラグ12の上下動に伴って相互に衝突接触する箇所であり、スラリーによる摩耗だけでなく、相互接触による劣化摩耗が生じやすい。したがって、このような箇所に、窒化チタン30を肉盛溶接して形成することで、弁本体11の内部の摩耗をより効果的に抑制することができる。
また、プラグ本体21の上面だけでなく、図3に示すように、プラグステム22の根元部22r、すなわちプラグステム22においてプラグ本体21が接続された根元の部分にも、肉盛溶接による表面処理加工を施して窒化チタン30を形成することができる。
ここで、プラグステム22は、ボンネット13により案内保持されて上下に摺動するものであり、弁本体11の内部を流れるスラリーとも接触することから、そのプラグステム22の表面のほぼ全てに亘って表面処理加工を施すことが望ましいとも考えられる。ところが、プラグステム22とボンネット13との間においては、スラリーの噴き出しを防ぐ観点からシール性を確保することが必要となり、その隙間には軸シール部材13sが設けられている。そのため、プラグステム22の表面のほぼ全面に亘って窒化チタンを溶接した場合、その肉盛溶接された窒化チタンにより、上下への摺動に伴って軸シール部材13sを損傷させる可能性がある。そこで、プラグステム22においては、プラグ本体21が接続された根元部22rにのみ、窒化チタンが肉盛溶接されている状態とすることで、プラグステム22の摩耗を有効に抑制できるとともに、軸シール部材13sの損傷も防いで、スラリーの噴き出しを効果的に防ぐことが可能となる。
プラグステム22の根元部22rに、肉盛溶接により窒化チタンを形成する場合において、その窒化チタンの形成高さ(プラグステム22の軸方向における窒化チタンの形成高さ)としては、特に限定されないが、プラグ本体21の径の15%〜25%程度の長さに相当する高さとする。具体的な長さ数値としては、アングル弁1の大きさにも依存するため一概には定義できないが、0.5mm〜50mm程度の高さとすることができる。
肉盛溶接の表面処理加工により形成される窒化チタン30の厚み(形成厚み)としては、特に限定されずアングル弁1の大きさに応じて適宜調整することが好ましいが、例えば、0.5mm〜2.5mm程度であることが好ましく、1.0mm〜2.0mm程度であることがより好ましい。窒化チタン30の厚みが0.5mm未満であると、十分な耐摩耗性を発揮させることができない可能性があり、部品の交換頻度を有効に低減することができない。一方で、厚みが2.5mmを超えると、コストが高まり、また弁本体11の内部におけるスラリーの流路を狭めてしまう可能性がある。
以上詳述したように、本実施の形態においては、弁本体11と、その弁本体11の内部に上下に摺動可能なように配設されスラリー流出口11Bの開閉を制御するプラグ12とを備えたアングル弁1において、その弁本体11の内部におけるスラリーとの接液部に、窒化チタン30が肉盛溶接されている。このようなアングル弁1によれば、高速で流れる高温のスラリーによる摩耗を効果的に抑制することができる。このことにより、摩耗に起因するアングル弁1のトラブルを防ぐことができるとともに、補修等にかかる費用を低減し、また操業の効率性を高めることができる。
なお、本実施の形態においては、弁本体11の内部におけるスラリーとの接液部に窒化チタン30が肉盛溶接されている態様について説明したが、窒化チタンに代えて、例えば、タングステンカーバイド(WC)等の合金材料を肉盛溶接した態様であっても、同様にして、スラリーによる摩耗を効果的に抑制することができる。
1 アングル弁
11 弁本体
12 プラグ
13 ボンネット
21 プラグ本体
22 プラグステム
30 窒化チタン
11 弁本体
12 プラグ
13 ボンネット
21 プラグ本体
22 プラグステム
30 窒化チタン
Claims (3)
- スラリー流入口から受け入れたスラリーをスラリー流出口へと向きを変えながら排出する弁本体と、該弁本体の内部に流れ方向に摺動可能なように配設され該スラリー流出口の開閉を制御するプラグとを備えたアングル弁であって、
前記プラグは、プラグ本体と、該プラグ本体を先端に接続したプラグステムとから構成され、
前記弁本体の内部において、少なくとも、前記プラグ本体の上面部と、前記プラグステムを摺動可能に案内保持するボンネットにおけるスラリーとの接液部に、タングステンカーバイドが肉盛溶接されており、
前記プラグステムと前記ボンネットとの間には、シール材が設けられ、
前記プラグステムにおいては、前記プラグ本体が接続された根元部にのみ、タングステンカーバイドが肉盛溶接されている
アングル弁。 - 前記スラリーは、高圧酸浸出して得られた高温高圧の酸性スラリーである
請求項1に記載のアングル弁。 - 前記弁本体の内部における前記接液部は、耐腐食性及び耐熱性を有する金属材料により構成されている
請求項1又は2に記載のアングル弁。
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