〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて、詳細に説明する。
(太陽光発電システム100の構成)
図1は、本実施形態に係る太陽光発電システム100の斜視図である。図1に示すように、太陽光発電システム100は、土地の設置面上に立設された複数の太陽電池アレイ構造体2を備えている。太陽光発電システム100では、複数の太陽電池アレイ構造体2が、設置面上に平面的に、つまり縦横に配列されている。各太陽電池アレイ構造体2は、少なくとも、受光面が設置面にほぼ垂直な状態となるように傾動可能であり、さらに、受光面が常に太陽を向くように、受光面の向きを変化させる構成を備えていてもよい。なお、図3に示すように、太陽電池アレイ構造体2は、複数枚の太陽電池パネルがタイル状に接続された太陽電池アレイ80を備えている。
ここで、従来の太陽光発電システム(例えば、特許文献1および2参照)では、隣り合う太陽電池アレイ構造体の太陽電池アレイの間には、太陽電池アレイ構造体の敷設、保守、点検等に必須のものとして、1〜2m幅の通行スペース、または作業用車両が通行できる間隔(例えば、約4m)が設けられる。一方、太陽光発電システム100では、隣り合う太陽電池アレイ構造体2の太陽電池アレイ80の間には、作業用車両が通行できる通行スペース未満の間隔、より好ましくは、作業者が作業を行うための作業スペース未満の間隔、さらに好ましくは、作業者が通行できないほど狭い間隔が空いている。この間隔が狭いほど、土地の単位領域に設置することができる太陽電池アレイ構造体2の総数が増大し、太陽電池の設置容量が増える。
一例として、東西方向に隣り合う太陽電池アレイ80の間隔は、300〜500mmであってよい(後述する図6の(a)(b)参照)。また、南北方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体2の太陽電池アレイ80の間隔も、300〜500mmであってよい。この間隔は、複数の太陽電池アレイ構造体2を土地の設置面に縦横に配列させる敷設工事に必要なマージンとなる。また、この間隔は、地震または大風によって、隣り合う太陽電池アレイ80の接触または衝突を回避するためのマージンともなる。
(太陽光発電システム100の変化)
太陽光発電システム100が備えた各太陽電池アレイ構造体2は、太陽電池アレイ80の傾斜角度、つまり設置面に対する受光面の向きを変化させることが可能である。図1及び図2に示す例では、少なくとも受光面を東に向けるように、太陽電池アレイ80を傾斜させることができる。太陽電池アレイ80の傾斜角度が大きくなるほど、つまり、受光面が設置面に対して垂直に近づくほど、隣り合う太陽電池アレイ構造体2の間隔が広くなるので、太陽光発電システム100には、所定値以上の幅を備える作業者の作業スペース(図2のW1およびW2)、通行スペース、または作業用車両の通行スペースが一時的に形成される。上記所定値は、作業者が作業を行うための作業スペースの幅の下限、または、作業者が通行するための通行スペースの幅の下限よりも大きければよく、例えば、1.5mであってよい。なお、本明細書において、通行スぺースは、ある方向に延伸する通路状のスペースであり、作業スペースは、局所的なスペースを意味する。図2の場合、通行スペースは南北方向に延びている。
なお、太陽電池アレイ80の傾斜角度は、作業者の手作業によって変化されてもよいし、太陽電池アレイ構造体2に取り付けられたアクチュエータ(図示せず)等をコンピュータ制御することによって変化されてもよい。また、太陽光発電システム100の全ての太陽電池アレイ80が傾動可能に構成されていなくてもよく、作業スペースまたは通行スペースを作りたい領域の太陽電池アレイ80が傾動可能に構成されていればよい。
図2を用いて、太陽光発電システム100において、太陽電池アレイ80の傾斜角度がどのように変化して、作業者のための一時的な作業スペースが形成されるのかを説明する。図2は、太陽光発電システム100の斜視図である。図2に示す太陽光発電システム100では、一部の太陽電池アレイ構造体2’の太陽電池アレイ80を傾動させることによって、太陽電池アレイ80の傾斜角度を、他の太陽電池アレイ80の傾斜角度(図1に示す太陽電池アレイ80の傾斜角度と同じである)よりも大きくしている。
図2に示すように、傾斜角度の大きい太陽電池アレイ構造体2’の近傍には、作業者が少なくとも入ることができる作業スペースW1、W2(W1>W2)が形成されている(図2では、作業スペースW1、W2は、南北方向に延びる通行スペースの一部である)。なお、作業スペースを挟んで隣り合う2つの太陽電池アレイ構造体2’において、それぞれの太陽電池アレイ80の傾斜角度を大きく変えた場合には、間隔の広い作業スペースW1が形成される。一方、作業スペースを挟んで隣り合う2つの太陽電池アレイ構造体2’において、一方の太陽電池アレイ80の傾斜角度を大きく変え、他方の太陽電池アレイ80の傾斜角度を変えないか、または小さく変えた場合には、間隔が作業スペースW1より狭い作業スペースW2が形成される。
このように、太陽電池アレイ80の傾斜角度を大きくするほど、太陽電池アレイ80が設置面上で占有する領域が一時的に縮小する。太陽電池アレイ80が設置面上で一時的に占有しなくなった領域が、作業スペースW1またはW2になり、一列に配列された複数の太陽電池アレイ80が設置面上で一時的に占有しなくなった領域、つまり隣り合う複数の作業スペースW1またはW2が連続した領域が、通行スペースとして形成される。
作業スペースW1またはW2は、少なくとも作業者が作業スペース内に入ることができる程度に広く形成できればよいが、作業者が作業スペース内でメンテナンス{太陽電池アレイ80の清掃や点検(外観の異常や故障の有無の確認)、日射計の清掃、除草作業、雪かき等}を行うことができる程度に広く形成できることが好ましく、作業スペースが広くなるほど作業性は向上する。また、太陽光発電システム100の規模が大きく、作業者の移動距離が長くなる場合や、メンテナンスのときに必要な太陽電池パネルなどの交換部品や作業機器を運搬することを考慮すると、少なくとも軽トラックのような車両が作業スペースW1またはW2内に入って通行できる程度に広く形成できることがさらに好ましい。具体的には、一時的に形成される作業スペースW1またはW2は、作業者の作業と通行を考慮すると、1.5m以上の幅は必要である。また、複数の作業者がすれ違ったり、メンテンスのときに太陽電池パネルや作業機器を運搬することを考えると、2m以上の幅を有することが好ましく、車両の通行を考慮した場合には4m程度の幅を有することが好ましい。1つの太陽電池アレイ構造体2の近傍に形成される作業スペースW1またはW2の幅に直交する方向(図2では南北方向)の長さは、1つの太陽電池アレイ構造体2の(南北方向の)長さ(例えば、約9m)によっておおよそ決定される。
(太陽電池アレイ構造体2)
図3および図4を用いて、太陽光発電システム100を構成する太陽電池アレイ構造体2の構造および変形動作を説明する。図3は、太陽電池アレイ80の裏面側から見た太陽電池アレイ構造体2を示す。図4は、太陽電池アレイ構造体2が備えた太陽電池アレイ80の傾斜角度の変化を示す。
図3を参照して、本実施形態に係る太陽電池アレイ構造体2の構成を説明する。図3は、太陽電池アレイ構造体2の構成を示す図であり、太陽電池アレイ構造体2を太陽電池アレイ80の裏面側から見た図である。太陽電池アレイ構造体2は、支柱30の上方で太陽電池アレイ80を、太陽電池アレイ80の長手方向(つまり、南北方向)に沿った軸の周りに回転させるシャフト部40を備えている。
図3に示すように、太陽電池アレイ80が載置される載置台10は、縦桟20Aおよび横桟20Bを格子状に組み合わせることによって形成されている。載置台保持部60a(可動部)は、略台形状の板部材である保持板61と連結バー62とを備えている。保持板61は、シャフト部40の設置面側に垂下状に取り付けられている。また、複数の保持板61が、シャフト部40の延伸方向に、互いの間隔を空けて設けられている。連結バー62は、隣り合って対をなす2枚の保持板61の各対向面間に差し渡され、各対向面に固定されている。対をなす2枚の保持板61に対して、例えば2本の連結バー62が設けられている。2枚の保持板61と2本の連結バー62によって1組の載置台保持部60aを構成しており、合計4組の載置台保持部60aがシャフト部40に対して設けられている。
複数の載置台保持部60aは、それぞれ、連結バー62の周りに回転可能に取り付けられたアーム部70を介して縦桟20Aと連結されることによって、載置台10を支持している。アーム部70は、1組の載置台保持部60aに対して2本ずつ設けられている。その2本のアーム部70は、縦桟20Aの延伸方向の一端側と他端側とに開くように、連結バー62から上斜めに延び出し、その上端部(連結バー62に取り付けられていない端部)は、縦桟20Aの下面に回動可能に取り付けられている。対をなす2本のアーム部70は、手動によって、載置台10の変形と連動して、開き角度を変えるように連結バー62を中心として回動する。
図4は、本実施形態に係る太陽電池アレイ構造体2の動作を説明する図である。図4に示すように、太陽電池アレイ構造体2が備えた載置台保持部60aは、シャフト部40の回転に伴って、例えば東西方向を含む面に沿って、シャフト部40を中心とする回転運動をすることによって、載置台10および太陽電池アレイ80の向きを変化させることができる。言い換えると、載置台保持部60aは、載置台10に載置される太陽電池アレイ80の法線の向きを、例えば東西方向を含む面に沿って変化させることができる。図4は、太陽電池アレイ80の受光面が西向きと東向きとの間で変化する場合を示している。
なお、太陽電池アレイ80が太陽追尾動作を行う構成を備えていない場合、太陽光発電システム100が発電を行う状態において、太陽電池アレイ80の受光面に例えば東向きに緩やかな傾斜を持たせることが好ましい。これは、受光面に降り注いだ雨水が受光面上を流れながら、受光面上に載った土埃または砂埃などを自然に洗い流す自浄作用を太陽電池アレイ80に持たせるためである。そのような緩やかな傾斜角度は、例えば、約0.5度から60度の範囲内であればよい。
本実施形態の構成によれば、時間とともに太陽の位置が変化するのに対応して、太陽電池アレイ80が太陽を追尾するように、太陽電池アレイ80の受光面の向きを調整することによって、太陽電池アレイ80の受光量を増大させることができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5〜図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
前記実施形態1で説明した太陽光発電システム100では、太陽電池アレイ80の傾斜角度を変化させることによって、一時的な作業者の作業スペースW1またはW2を形成した(図2参照)。一方、本実施形態で説明する太陽電池アレイ80は、後で詳述するが、図10に示すように、図4に示すシャフト部40に相当する回転軸を中心として第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bに分離しており、分離した2つの太陽電池アレイ80A、80Bが、それぞれ、設置面に対する傾斜角度が大きくなるように回動する。つまり、分離した2つの太陽電池アレイ80A、80Bは、図9および図10に示す支柱30を挟むように折り畳まれる。例えば、本実施形態の太陽電池アレイ構造体は、傘が展開したり、閉じたりするかのように変形する。
(太陽光発電システム200の構成)
図5は、本実施形態に係る太陽光発電システム200の俯瞰図である。図5に示すように、太陽光発電システム200では、複数の太陽電池アレイ構造体1が、設置面上に平面的に、つまり縦横に配列されている。図5は、通常時、つまり太陽電池アレイ構造体1が発電を行っているときの、太陽光発電システム200を示す。
図6の(a)は、図5に示す視点Aから矢印で示す方向に見た太陽光発電システム200を示す。また、図6の(b)は、図5に示す視点Bから矢印で示す方向に見た太陽光発電システム200を示す。図6の(a)に示すように、東西方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体1の太陽電池アレイ80の間隔は約500mmであってよい。図6の(b)に示すように、南北方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体1の太陽電池アレイ80の間隔は、約300mmであってよい。また、一構成例では、設置面から太陽電池アレイ80までの高さは1449mm、東西方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体1の支柱30の間の距離は3668mm、また南北方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体1の支柱30の間の距離は4159mmであってよい。しかしながら、上述した数値は、太陽電池アレイ構造体1のサイズ等によって異なってよい。
図6の(a)(b)に示すように、太陽電池アレイ構造体1では、土地の設置面に立設された支柱30の上に、載置台保持部60(可動部)が配置されている。載置台保持部60の上に、太陽電池アレイ80が載置されている。各太陽電池アレイ構造体1の載置台保持部60の長手方向(軸方向)は南北方向に一致している。
太陽電池アレイ80を構成する第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bのうち、載置台保持部60に対して東側(図6の(a)の右側)にある第2太陽電池アレイ80Bは、東方向に若干傾斜しており、載置台保持部60に対して西側(図6の(a)の左側)にある第1太陽電池アレイ80Aは、西方向に若干傾斜している。つまり、図6の(a)に示すように、各太陽電池アレイ構造体1の南側から北向きに太陽電池アレイ構造体1を見たとき、各太陽電池アレイ構造体1の太陽電池アレイ80は、緩やかな山型または波型に傾斜している。そのため、太陽光発電システム200の南側から北向きに太陽光発電システム200を見たとき、複数の太陽電池アレイ80の受光面が、東西方向に一定の周期で、さざ波のように緩やかに上下を繰り返している。太陽電池アレイ80は、太陽電池アレイ80上に落下した雨が、太陽電池アレイ80上のほこり等の異物を取り込みながら、太陽電池アレイ80の受光面の勾配に沿って流れ、太陽電池アレイ80の端から、太陽電池アレイ80の下に落下するような傾斜角度を有することが好ましい。この場合、太陽電池アレイ80は自浄作用を有するので、作業者が太陽電池アレイ80を清掃する頻度を減少させることができる。太陽電池アレイ80Aは、例えば、設置面に対して、約0.5度以上60度以下、太陽電池アレイ80Bは、例えば、設置面に対して、約−0.5度以上−60度以下の傾斜角度を有していていれば、水がそれぞれの受光面上を流れながら、受光面上に載った土埃または砂埃などを自然に洗い流す自浄作用を持つことができる。
なお、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bが、それぞれ上記自浄作用を持つように上記の傾斜角度を持った状態(図6に示す状態)のことを、太陽光発電システム200の太陽電池アレイ80が展開した状態と呼ぶ。太陽電池アレイ80が展開した状態において、図4に示すように、載置台保持部60が、回転運動をすることによって、載置台10および太陽電池アレイ80の向きを、太陽を追尾するように変化させてもよい。
第1太陽電池アレイ80Aと第2太陽電池アレイ80Bとが同一面を構成している状態、言い換えると太陽電池アレイ80が山型になっていない形態と比較して、太陽電池アレイ80が設置面上で占有する領域は小さい。そのため、設置面の単位領域あたりに配置することができる太陽電池アレイ80の数を増加させることができるので、太陽電池の設置容量を増加させることができる。換言すれば、太陽光発電システム200は、従来の太陽光発電システムよりも、発電によって得られる電力量を増加させることができる。例えば、太陽光発電システム200と同じ大きさの領域に、太陽電池アレイが平板状である太陽電池アレイ構造体が配列された太陽光発電システムであって、従来のように隣り合う太陽電池アレイ構造体の間に作業スペースが設けられた太陽光発電システムと比較して、太陽光発電システム200は、約1.6倍の電力が得られる可能性があることが、発明者によって計算されている。
上記の表は、本発明に係る太陽光発電システムの設置形態A,Bと、従来の太陽光発電システムの設置構造との比較結果を示す。発明者は、いずれの太陽光発電システムも敷地面積は同一であるという条件の下で、各太陽光発電システムについて、太陽電池の設置容量、および、設置可能な太陽電池パネルの枚数を比較した。表中の「設置形態A」は、前記実施形態1に係る太陽光発電システム100における太陽電池アレイ構造体2の設置構造に対応する。また、表中の「設置形態B」は、本実施形態2に係る太陽光発電システム200における太陽電池アレイ構造体1の設置構造に対応する。
設置形態Aでは、前記実施形態1に係る太陽光発電システム100と同様に、太陽電池パネル(アレイ)が傾斜した状態で配置されている。設置形態Aでは、太陽電池パネルの傾斜方向に隣接する太陽電池アレイ構造体2の間に、隣接する太陽電池アレイ構造体2の影が太陽電池パネルにかからないようにして、できるだけ太陽電池アレイ構造体2同士を近接させるように、約2mの間隔が設けられている。発電時、設置形態Aにおける太陽電池パネルの傾斜角度は10度である。
設置形態Bでは、本実施形態2に係る太陽光発電システム100と同様に、太陽電池パネル(アレイ)が設置面である地面にほぼ平行になるように設置されているが、太陽電池パネル上から水が流れ落ちるように、太陽電池パネルに小さな傾斜(水勾配)をつけて、山型または波型(図6の(a)参照)を形成している。設置形態Bでは、太陽電池パネルの傾斜方向に隣接する太陽電池アレイ構造体1の間に、500mmの間隔が設けられている。発電時、設置形態Bにおける太陽電池パネルの水勾配のための傾斜角度は一例として、ここでは5度としている。
比較例である従来の太陽光発電システムでは、設置形態Aと同様に、太陽電池パネル(アレイ)が傾斜した状態で配置されている。また、従来の太陽光発電システムでも、太陽電池パネルの傾斜角度は10度である。しかし、従来の太陽光発電システムでは、設置形態Aとは異なり、太陽電池パネルの傾斜方向に隣接する太陽電池アレイ構造体の間に、作業者が太陽電池アレイ構造体の間で作業をしたり、太陽電池アレイ構造体の間を通行したりするために、3mの間隔が設けられている。
表から分かるように、設置形態Aでは、従来の太陽光発電システムの設置構造よりも、太陽電池の設置容量、および、設置可能な太陽電池パネルの枚数の両方が増加し、設置形態Bでは、その両方が設置形態Aよりさらに増加する。つまり、本発明に係る太陽光発電システムの設置形態A,Bでは、太陽電池アレイ構造体を、従来よりも狭い間隔で配列することができるため、従来の太陽光発電システムの設置構造と比較して、より多くの太陽電池パネルを設置することができ、その結果、発電によってより多くの電力を得ることができる。
(太陽光発電システム200の変化)
太陽光発電システム200では、第1太陽電池アレイ80Aの基端部(回動機構部50と接続する部分)を支点として、第1太陽電池アレイ80Aの末端部(回動機構部50から遠い端部)が支柱30に近づくように、第1太陽電池アレイ80Aが回動するとともに、第2太陽電池アレイ80Bも、同様に、第2太陽電池アレイ80Bの末端部が支柱30に近づくように回動する。第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bは、互いに連動して、同じ角度で回動してもよいし、異なる角度で別個に回動してもよい。太陽電池アレイ構造体1は、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bのそれぞれが設置面に対して約90度になるまで回動することによって、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bが支柱30を挟んだ状態、すなわち「閉じた状態」とすることができる。なお、太陽電池アレイ構造体1は、作業者によって閉じられてもよいし、太陽電池アレイ構造体1に取り付けられたアクチュエータ(図示せず)等をコンピュータ制御することによって閉じられてもよい。
図7は、一部の太陽電池アレイ構造体1が「閉じて」いるときの太陽光発電システム200の俯瞰図である。図7では、展開した太陽電池アレイ構造体1を符号1で示し、閉じた太陽電池アレイ構造体1を符号1’で示す。太陽光発電システム200では、一部または全部の太陽電池アレイ構造体1を閉じることが可能である。
図8は、図7に示す矢印の方向に見た太陽光発電システム200を示す図である。図8に示すように、閉じた太陽電池アレイ構造体1の近傍には、作業者が太陽電池アレイ構造体1のメンテナンスを行うための作業スペースWが、一時的に形成されている。つまり、太陽電池アレイ構造体1が閉じたとき、該太陽電池アレイ構造体1の太陽電池アレイ80が設置面上で占有する領域が縮小する。その結果、太陽電池アレイ構造体1’の太陽電池アレイ80が設置面上で占有しなくなった領域が、作業者の作業スペースWになる。なお、作業スペースWは、少なくとも作業者が作業スペースW内に入ることができる大きさを有していればよい。図8に示す作業スペースWの東西方向の幅は、約3mであってよい。隣り合う作業スペースWが連続して形成される通行スペースの南北方向の長さは、太陽電池アレイ構造体1の南北方向の長さの整数倍になるが、作業対象にする太陽電池アレイ構造体1の数によって変わる。例えば、南北方向に1列に配列された太陽電池アレイ構造体1の数が100であるとすれば、通行スペースの南北方向の長さは、作業対象にする太陽電池アレイ構造体1の数が1〜100のどれになるかに応じて変化する。
図7および図8に示すように、東西方向の同じ列に並んだ複数の太陽電池アレイ構造体1が、同時に閉じ、それらの受光面同士が向かい合った場合、閉じた複数の太陽電池アレイ構造体1’の近傍に形成される作業スペースWが結合することによって、東西方向の幅が作業スペースWの幅の約2倍になる作業スペースが形成される。
通行スペースを形成するように、一時的な作業スペースが連続する方向は、太陽電池アレイ構造体1および1’の載置台保持部60の軸の方向によって決まる。図8では、太陽電池アレイ構造体1および1’の載置台保持部60の軸は南北方向に延伸しているので、南北方向に延伸する通行スペースが形成されている。作業者または作業用車両は、通行スペースを通って、通行スペース沿いにある任意の太陽電池アレイ構造体1’の近傍まで移動することができる。特に、通行スペースが、北または南の端にある太陽電池アレイ構造体1’に到達している場合、作業者は、太陽電池アレイ構造体1および1’が設置されている領域の外部から、通行スペースを通って、該領域の内部にある(つまり、他の太陽電池アレイ構造体1または1’によって囲まれている)太陽電池アレイ構造体1’の近傍まで、移動することができる。
(太陽電池アレイ構造体1の構成)
図9〜図11を用いて、前述した太陽光発電システム200を構成する太陽電池アレイ構造体1の構造および変形動作を説明する。図9は、太陽電池アレイ80の裏面側から見た太陽電池アレイ構造体1を示す図である。なお、図9では、太陽電池アレイ構造体1の構成が分かり易いように、太陽電池アレイ80が平板状であるときの太陽電池アレイ構造体1を示している。図10の(a)(b)は、太陽電池アレイ構造体1の斜視図であり、図11の(a)(b)は、太陽電池アレイ構造体1の正面図である。図10の(a)および図11の(a)は、「展開した」状態(図6の(a)(b)参照)と「閉じた」状態との中間状態になっている太陽電池アレイ構造体1を示す。また、図10の(b)および図11の(b)は、「閉じた」太陽電池アレイ構造体1を示す。なお、太陽電池アレイ80の傾斜角度は、図6に示す「展開した」状態と、図11の(b)に示す「閉じた」状態との間で、多段階に調節できるようになっていてよい。
図9に示すように、太陽電池アレイ構造体1は、縦桟20A、横桟20B、支柱30、回動機構部50(可動部)、載置台保持部60、およびアーム部70を備えている。これらは、太陽電池アレイ構造体1の架台を構成する。太陽電池アレイ構造体1の架台の上には、複数の太陽電池パネルで構成された太陽電池アレイ80が載置されている。
縦桟20Aおよび横桟20Bは、格子状に組み合わされることによって、太陽電池アレイ80を載置される載置台10を形成している。より詳細には、図11の(a)(b)に示すように、載置台10は、分離した載置部10Aおよび載置部10Bからなる載置台10を形成する。載置部10Aには、複数の太陽電池パネルで構成された前記第1太陽電池アレイ80Aが載置され、載置部10Bには、複数の太陽電池パネルで構成された前記第2太陽電池アレイ80Bが載置されている。本実施形態において、第1太陽電池アレイ80A、80Bは、それぞれ、載置部10A、10Bに搭載された4枚の太陽電池パネルで構成されている。
図10の(a)および図11の(a)に示すように、第1太陽電池アレイ80Aの受光面は、回動機構部50と連結された基端部において最も高く、反対側の末端部に向かって、緩やかに下っている。また、第2太陽電池アレイ80Bの受光面も、回動機構部50と連結された基端部において最も高く、反対側の末端部に向かって、緩やかに下っている。第2太陽電池アレイ80Bの受光面が傾斜する方向は、第1太陽電池アレイ80Aの受光面が傾斜する方向とは反対である。
なお、縦桟20Aおよび横桟20Bのいずれか一方は省略されてもよい。また、載置台10が回動機構部50と、縦桟20Aまたは横桟20Bのいずれか一方とで構成されていてもよいし、縦桟20Aまたは横桟20Bのいずれか一方の上にのみ、太陽電池アレイ80が載置されていてもよい。
載置部10Aおよび載置部10Bは、載置台保持部60の上方において、載置台保持部60と並列に延伸する回動機構部50と接続されている。載置台10は、手動で、回動機構部50を中心に屈曲(回動)する。言い換えると、図10の(b)および図11(b)に示すように、回動機構部50を回転軸として、縦桟20Aが回動することによって、載置台10は、載置部10Aと載置部10Bとが、「展開した状態」(図6の(a)(b)参照)から、回動機構部50を頂部とする山形を形成した「閉じた状態」へと変形するように屈曲する。回動機構部50は、例えば蝶番機構によって実現される。なお、図9〜図11(a)(b)に示す太陽電池アレイ構造体1は、縦桟20A、横桟20Bに沿う方向での太陽電池アレイ80全体の中央付近に1つの回動機構部50を備えているが、その代わりに、複数の回動機構部50を備えていてもよい。例えば、隣接する縦桟20Aの間に、それぞれ1つの回動機構部50が配置されていてもよい。この構成では、回動機構部50を境に分離した複数の太陽電池パネルがそれぞれ回動する。
載置部10Aを構成する複数の縦桟20Aおよび載置部10Bを構成する複数の縦桟20Aは、それぞれ回動機構部50と各縦桟20Aの端部で接続されている。さらに、載置部10A側の縦桟20Aと載置部10B側の縦桟20Aとは、載置台保持部60の延伸方向において位置をずらして接続されている。これによって、回動機構部50を回動させた際に、載置部10A側の縦桟20Aと載置部10B側の縦桟20Aとが接触しないので、載置部10Aおよび載置部10Bの角度が設置面に対して垂直(すなわち90度)に近くなるまで、載置部10を折り畳むことができ、これにより、載置部10A、10B上に搭載された第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bの受光面を、設置面に対して垂直に近付けることができる。
支柱30は、太陽電池アレイ構造体1が設置される設置面(本実施形態では設置面)上に理設されている。支柱30上には、載置台保持部60が固定されている。本実施形態では、載置台保持部60は、設置面に対して平行な方向に延伸している。載置台保持部60には、複数のアーム部70が取り付けられている。
載置台保持部60には、アーム部70の一方の端部が回転可能に取り付けられており、アーム部70の他方の端部が縦桟20Aの下面に回動可能に取り付けられている。これによって、載置台保持部60は載置台10を支持している。載置台保持部60から、載置部10A側の縦桟20Aに向けて延設されたアーム部70と、載置部10B側の縦桟20Aに向けて延伸するアーム部70とが一組となって、載置台保持部60に設けられている。対をなす2本のアーム部70は、手動によって、載置台10の変形と連動して、第1太陽電池アレイ80Aと第2太陽電池アレイ80Bとがなす角度を変えるように回動する。
なお、載置台保持部60、および2本のアーム部70を全て含んだものを保持部と呼称してもよい。その場合、2本のアーム部70が接続される載置台保持部60を保持部本体と呼称してもよい。
(太陽電池アレイ構造体1の動作)
図10の(a)(b)および図11の(a)(b)を用いて、太陽電池アレイ構造体1の動作を説明する。
対をなす2本のアーム部70がなす角を、図10の(a)および図11の(a)に示す角度よりも小さくすることにより、第1太陽電池アレイ80Aと第2太陽電池アレイ80Bとが、急峻な山形を形成するように変形する。これにより、図10の(b)および図11の(b)に示すように、太陽電池アレイ構造体1は閉じた状態になる。本実施形態においては、例として、太陽電池アレイ80A、80Bの受光面の設置面に対する角度を80度以上とした場合を、太陽電池アレイ構造体1が閉じた状態としており、太陽電池アレイ構造体1がこの状態を保持することとしている。第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bの各傾斜角度が大きいほど、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bが設置面上で占有する領域が狭くなる。
載置台保持部60は、通常期において、太陽電池アレイ構造体1が閉じた状態であるときよりも、回動機構部50を低い位置で保持している。なお、2本のアーム部70のなす角は、図示しない作動手段によって保持されていてもよいし、図示しない角度固定具によって固定されていてもよい。
また、図10の(a)および図11の(a)では、回動機構部50の周りで、縦桟20Aが屈曲することによって、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bが、回動機構部50を頂部とする山型を形成する。2本のアーム部70がなす角度を小さくすることによって、縦桟20Aが屈曲しながら、アーム部70が縦桟20Aとの連結部を上方に持ち上げる。この結果、載置台保持部60は、回動機構部50を、図11の(a)に示す位置よりも高い位置で保持することができる(図11の(b)参照)。
図11の(b)に示すように、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bが急峻な山型を形成しているとき、横桟20Bが支柱30の側面に設けられた補助支持部90に当接することによって、第1太陽電池アレイ80Aおよび第2太陽電池アレイ80Bと、2つの載置部10A、10Bとが、補助支持部90にて支持されてもよい。これにより、太陽電池アレイ構造体1に横から風が吹き付けたとき等に、載置部10Aおよび10Bから支柱30へ向かう方向へかかる負荷を、補助支持部90で受け止めることができるので、アーム部70にかかる負荷を分散させることができる。なお、横桟20Bと補助支持部90とに凹凸が嵌まり合うような係合構造を設け、横桟20Bを補助支持部90で固定できるようにしてもよい。それによって、載置部10A、10Bが支柱30に固定されるので、太陽電池アレイ構造体1が閉じた状態を保持することが容易になる。また、補助支持部90は支柱30に限られず、載置台保持部60に設けられていてもよい。
なお、太陽電池アレイ構造体1を閉じた状態で保持するために、載置部10A、10Bの動きを規制して、上述のように支柱30に各載置部10A、10Bを固定してもよい。あるいは、例えば、太陽電池アレイ構造体1が閉じた状態で、回動機構部50の回転軸をネジで締め付けるなどの手段を用いて、回動機構部50の回動を規制するようにしてもよいし、太陽電池アレイ構造体1が閉じた状態で、載置部10A、10Bを係合部材を用いて互いに係合することで、載置部10A、10Bそれぞれの動きを規制してもよいし、2本のアーム部70を互いに係合する係合部材を用いたり、2本のアーム部70を回動機構部50または載置台保持部60に係合して固定する係合部材を用いたりしても、回動機構部50の回動を規制することができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図12〜図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
前記実施形態2に係る太陽光発電システム200では、全ての太陽電池アレイ構造体1の長手方向が同じである(図7参照)。つまり、前記実施形態2の太陽光発電システム200の全ての太陽電池アレイ構造体1の載置台保持部60の軸は南北方向に延伸している。一方、本実施形態では、長手方向が互いに異なる太陽電池アレイ構造体を含む太陽光発電システムを説明する。
(太陽光発電システム300の構成)
図12は、本実施形態に係る太陽光発電システム300の俯瞰図である。図12に示すように、太陽光発電システム300は、長手方向が南北方向である太陽電池アレイ構造体1Aと、長手方向が東西方向である太陽電池アレイ構造体1Bとを含む。図12は、通常時、つまり太陽光発電システム300の太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bが発電を行っているときの、太陽光発電システム300を示す。
(太陽光発電システム300の変化)
太陽光発電システム300では、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bがそれぞれ変形する。すなわち、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bは、前記実施形態1で説明したように、それぞれ、「展開した」状態(図6の(a)(b)参照)または「閉じた」状態(図10の(b)および図11の(b)参照)を取ることができる。太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bは、作業者によって閉じられてもよいし、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bに取り付けられたアクチュエータ(図示せず)等をコンピュータ制御することによって閉じられてもよい。
図13は、太陽電池アレイ構造体1Bが「閉じて」いるときの太陽光発電システム300の俯瞰図である。図13では、閉じた太陽電池アレイ構造体1Bを符号1B’で示す。なお図13では、太陽電池アレイ構造体1Aは展開しているが、太陽光発電システム300は、太陽電池アレイ構造体1Aが閉じた状態になることも可能である。
図14は、図13に示す矢印の方向(東西方向)に見た太陽光発電システム300を示す図である。図14に示すように、閉じた太陽電池アレイ構造体1B’の近傍には、作業者が太陽電池アレイ構造体1のメンテナンスを行うための一時的な作業スペースWが形成されている。作業スペースWは、少なくとも作業者が作業スペースW内に入ることができる大きさを有していればよい。例えば、前記実施形態2で説明した作業スペースWと同じ大きさ(図8参照)を有していてもよい。
本実施形態の構成によれば、互いに異なる方向(図13では、南北方向および東西方向)に延伸する複数の通行スペースを形成することができる。したがって、作業者の利便性が向上する。例えば、作業者が太陽光発電システム300の南側または北側から反対側に移動する場合、南北方向に一列に配列された太陽電池アレイ構造体1Bを閉じることによって、南北方向に延伸する通行スペースを形成する。これにより、作業者は、南北方向に延伸する通行スペースを通り抜けることもできるし、他の太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bによって囲まれた太陽電池アレイ構造体1Aの近傍へ移動することもできる。また、作業者が太陽光発電システム300の東側または西側から反対側へ移動したい場合、東西方向に一列に配列された太陽電池アレイ構造体1Aを閉じることによって、東西方向に延伸する通行スペースを形成する。これにより、作業者は、東西方向に延伸する通行スペースを通り抜けることもできるし、他の太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bによって囲まれた太陽電池アレイ構造体1Bの近傍へ移動することもできる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図15〜図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、前記実施形態3で説明した太陽光発電システム300(図12および図13参照)において、南北方向に配列した太陽電池アレイ構造体1Aと、東西方向に配列した太陽電池アレイ構造体1Bとが交差する位置に、交差スペースが設けられた太陽光発電システムについて説明する。
(太陽光発電システム400の構成)
図15は、本実施形態に係る太陽光発電システム400の俯瞰図である。図15に示すように、太陽光発電システム400は、前記実施形態3で説明した太陽光発電システム300と同様に、長手方向が南北方向である太陽電池アレイ構造体1Aと、長手方向が東西方向である太陽電池アレイ構造体1Bとを含む。図15は、通常時、つまり発電を行っているときの、太陽光発電システム400を示す。図15に示すように、太陽光発電システム400では、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bによって囲まれた交差スペースSが設けられている。交差スペースSには、太陽電池アレイ構造体1Aも太陽電池アレイ構造体1Bも配置されていない。なお、図15中にある白い建造物は、パワーコンディショナ(直流交流変換機)またはトランス(電圧変換機)を表す。このような建造物を交差スペースS内に設置することにより、例えば、作業者は、パワーコンディショナのチェックを行う際に、交差スペースS内に入って、パワーコンディショナの収納庫の扉を容易に開け閉めすることができる。また、これらの建造物はサイズが大きいので、メンテナンスには作業用車両を必要とすることが多い。したがって、交差スペースSは、作業用車両が方向転換するためにも利用される。建造物が交差スペースSの内側にある場合、建造物の影が、交差スペースSの外側にある太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bの受光面を覆うこともない。したがって、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bの発電効率が低下することがない。
なお、図15では、太陽光発電システム400内にただ1つの交差スペースSが設けられているが、太陽光発電システム400は、複数の交差スペースSを有していてもよい。例えば、太陽光発電システム400が備えた太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bの数が膨大である場合、太陽光発電システム400は、それら太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bを複数のグループに分割し、それぞれのグループの発電容量に対応した、複数のパワーコンディショナおよび/またはトランスを用いて、それぞれのグループの発電によって得られる直流を交流に変換したり、電圧を調節したりする。その場合、太陽光発電システム400には、複数の交差スペースSが設けられ、それらの交差スペースSの一部または全部に、それぞれパワーコンディショナおよび/またはトランスが配置されてよい。
(太陽光発電システム400の変化)
前記実施形態3で説明した太陽光発電システム300(図13および図14参照)と同様に、太陽光発電システム400では、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bがそれぞれ「閉じ」てよい。
図16は、一部の太陽電池アレイ構造体1Aと、全部の太陽電池アレイ構造体1Bとが「閉じて」いるときの太陽光発電システム400の俯瞰図である。閉じた太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bを、それぞれ符号1A’および1B’で示す。図16では、閉じた太陽電池アレイ構造体1A’および1B’の近傍に、作業者の一時的な作業スペースW1〜W4が形成されている。作業スペースW1は、太陽光発電システム400の東の端にある太陽電池アレイ構造体1B’の近傍から、交差スペースSの東側まで延伸する通行スペースを形成する。作業スペースW2は、太陽光発電システム400の西の端にある太陽電池アレイ構造体1B’の近傍から、交差スペースSの西側まで延伸する通行スペースを形成する。作業スペースW3は、太陽光発電システム400の南の端にある太陽電池アレイ構造体1A’の近傍から、交差スペースSの南側まで延伸する通行スペースを形成する。作業スペースW4は、太陽光発電システム400の北の端にある太陽電池アレイ構造体1A’の近傍から、交差スペースSの北側まで延伸する通行スペースを形成する。そのため、作業者は、太陽光発電システム400の東西南北のどちら側からでも、いずれかの通行スペースを通って、交差スペースSまで移動することができる。例えば、作業者は、交差スペースS内にあるパワーコンディショナ等の点検やメンテナンスをするために、太陽光発電システム400の外側から、作業スペースW1〜W4が形成する通行スペースを通って、交差スペースSへ移動してもよい。また、太陽電池パネルやパワーコンディショナ等の大きく重い部品を交換したり修理したりする場合、部品を積載した作業用車両が、上記通行スペースを通行してもよい。
図17は、図16に破線で示す太陽光発電システム400の一部領域を拡大した斜視図である。図17に示すように、作業用車両は、作業スペースW1〜W4のいずれかを通って、東西南北のいずれかの方向から、交差スペースSに入ることができる。また、交差スペースSに入った作業用車両は、作業スペースW1〜W4のいずれかに移動することができる。換言すれば、作業用車両は、作業スペースSを介して、ある作業スペースから他の作業スペースへ簡単に移動することができる。なお、太陽光発電システム400に交差スペースSが設けられていない太陽光発電システムでは、交差スペースSの代わりに、太陽電池アレイ構造体1Aまたは1Bが配置される。その場合、作業スペースW1〜W4のどれかは連通しなくなるため、作業用車両または作業者にとって、自分がいる作業スペースから移動することができない他の作業スペースが存在することになる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、図18〜図21に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、前記実施形態4で説明した太陽光発電システム400が備えた太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bの一部が、「閉じる」ことができない太陽電池アレイ構造体、つまり太陽電池アレイ80の傾斜角度が固定された固定型太陽電池アレイ構造体に置換された構成を説明する。
(例1)
図18の(a)〜(c)および図19の(a)〜(c)を用いて、太陽電池アレイ80の傾斜角度が可変である太陽電池アレイ構造体1と、太陽電池アレイ80の傾斜角度が固定されている太陽電池アレイ構造体9(固定型太陽電池アレイ構造体)とを備えた太陽光発電システム500Aの構成の一例を説明する。図18の(a)〜(c)は、太陽電池アレイ構造体1が「展開して」いるときの太陽光発電システム500Aを示す。図19の(a)〜(c)は、太陽電池アレイ構造体1が「閉じて」いるときの太陽光発電システム500Aを示す。例えば、太陽電池アレイ構造体9のみを備えたと仮定した太陽光発電システムにおいて、一時的な作業スペースWを形成する位置を予め決定し、決定した位置に作業スペースWを形成するために、太陽光発電システムの太陽電池アレイ構造体9を太陽電池アレイ構造体1と置換することによって、太陽電池アレイ構造体1と太陽電池アレイ構造体9とが混在した太陽光発電システム500Aを構成してもよい。
図18の(a)は、太陽電池アレイ構造体1が展開しているときの太陽光発電システム500Aの俯瞰図である。図18の(b)は、図18の(a)に示す太陽光発電システム500Aの一部の拡大図である。図18の(c)は、図18の(a)に示す太陽光発電システム500Aの一部の斜視図である。図18の(a)において、破線で囲った領域内には、太陽電池アレイ80の傾斜角度が可変である太陽電池アレイ構造体1が配列されている。また、破線で囲った領域の外側には、太陽電池アレイ80の傾斜角度が固定された太陽電池アレイ構造体9が配列されている。図18の(b)(c)に示すように、太陽電池アレイ構造体1が展開しているとき、東西方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体1と太陽電池アレイ構造体9との間には、作業者が通行可能である、上記所定値以上の幅を備える作業スペースまたは通行スペースが存在しない。また、太陽電池アレイ構造体9は、東西方向に、他の太陽電池アレイ構造体9と連結している。
図19の(a)は、太陽電池アレイ構造体1が閉じたときの太陽光発電システム500Aである。図19の(b)は、図19の(a)に示す太陽光発電システム500Aの一部の拡大図である。図19の(c)は、図19の(a)に示す太陽光発電システム500Aの一部の斜視図である。図19の(b)(c)に示すように、閉じた太陽電池アレイ構造体1’の近傍に、南北方向に延伸する一時的な作業スペースWが形成される。図19の(a)に示すように、作業スペースWによって形成された通行スペースは、太陽光発電システム500Aの南の端にある太陽電池アレイ構造体1’の位置から、太陽光発電システム500Aの北の端にある太陽電池アレイ構造体1’の位置まで延伸している。また、上記通行スペースの1つは、前記実施形態4で説明した交差スペースSを通っている。なお、太陽光発電システム500Aと比較するために、太陽光発電システム500Aが太陽電池アレイ構造体9のみを備えた構成を考えると、太陽光発電システム500Aの外側から、交差スペースSへ移動するための通行スペースを形成することができない。その場合、作業者は、太陽光発電システム500Aの外側から作業スペースSへ移動することはできないことは明らかであろう。
なお、図19の(a)〜(c)に示す太陽光発電システム500Aにおいて、太陽電池アレイ構造体1’と、南北方向に隣接する他の太陽電池アレイ構造体1’との間、および、太陽電池アレイ構造体9と、南北方向に隣接する他の太陽電池アレイ構造体9との間には、それぞれ、少なくとも作業者または作業用車両が通行可能な間隔が設けられていてもよい。この構成では、太陽光発電システム500には、東西方向に延伸する通行スペースが設けられる。そのため、作業者または作業用車両は、上記東西方向に延伸する通行スペースを通って、メンテナンス対象である太陽電池アレイ構造体9の近傍まで移動することもできる。さらに、図19の(b)を見ればわかるように、作業者は、作業スペースWと、上記東西方向に延伸する通行スペースとの間を自由に移動することもできる。
(例2)
図20の(a)〜(c)および図21の(a)〜(c)を用いて、太陽電池アレイ80の傾斜角度が可変である太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bと、太陽電池アレイ80の傾斜角度が固定されている太陽電池アレイ構造体9とを備えた太陽光発電システム500Bの構成の一例を説明する。図20の(a)〜(c)は、太陽電池アレイ構造体1が「展開して」いるときの太陽光発電システム500Bを示す。図21の(a)〜(c)は、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bが「閉じて」いるときの太陽光発電システム500Bを示す。前記実施形態4および5で説明したように、太陽電池アレイ構造体1Aの長手方向は、南北方向に延伸しており、太陽電池アレイ構造体1Bの長手方向は、東西方向に延伸している。
図20の(a)は、太陽電池アレイ構造体1が展開しているときの太陽光発電システム500Bの俯瞰図である。図20の(b)は、図20の(a)に示す太陽光発電システム500Bの一部の拡大図である。図20の(c)は、図20の(a)に示す太陽光発電システム500Bの一部の斜視図である。図20の(a)において、符号1Aで示す破線で囲った領域内には、太陽電池アレイ80の傾斜角度が可変である太陽電池アレイ構造体1Aが配列されている。符号1Bで示す破線で囲った領域内には、太陽電池アレイ80の傾斜角度が可変である太陽電池アレイ構造体1Bが配列されている。また、符号1Aまたは1Bで示す破線で囲った領域の外側には、太陽電池アレイ80の傾斜角度が固定された太陽電池アレイ構造体9が配列されている。図20の(b)(c)に示すように、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bが展開しているとき、東西方向に隣り合う太陽電池アレイ構造体1Aまたは1Bと太陽電池アレイ構造体9との間には、作業者が通行可能な作業スペースが存在しない。また、太陽電池アレイ構造体9は、東西方向に、他の太陽電池アレイ構造体9と連結している。
図21の(a)は、太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bが閉じたときの太陽光発電システム500Bである。図21の(b)は、図21の(a)に示す太陽光発電システム500Bの一部の拡大図である。図21の(c)は、図21の(a)に示す太陽光発電システム500Bの一部の斜視図である。図21の(b)(c)に示すように、閉じた太陽電池アレイ構造体1B’の近傍に、東西方向に延伸する一時的な作業スペースW1およびW2が形成される。また、閉じた太陽電池アレイ構造体1A’の近傍に、南北方向に延伸する一時的な作業スペースW3およびW4が形成される。図21の(a)に示すように、作業スペースW1〜W4によって形成された通行スペースは、いずれも、前記実施形態4で説明した交差スペースSと接続している。
なお、太陽光発電システム500Bの外周縁部に太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bを配置しているのは、通常、太陽光発電システム500Bの外周縁部を囲うように防護柵が設けられるからである。すなわち、外周縁部に配置した太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bを閉じることによって、防護柵と太陽光発電システム500Bの外周縁部との間に、作業スペースを形成することができる。
本実施形態の構成によれば、太陽光発電システム500Bは、傾斜角度が可変である太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bに加えて、太陽電池アレイの傾斜角度が固定された太陽電池アレイ構造体9を備えている。そのため、太陽光発電システム500Bは、前記実施形態5で説明した太陽光発電システム500Aと同様に、傾斜角度が可変である太陽電池アレイ80を備えた太陽電池アレイ構造体1Aおよび1Bのみを備えた構成と比較して、コストを削減することができる。
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
前記実施形態1〜5において説明した太陽光発電システム100〜400、500A、500Bに適用可能な太陽電池アレイ構造体は、前記実施形態1〜5で説明した太陽電池アレイ構造体1および2に限定されない。太陽光発電システム100〜400、500A、500Bは、少なくとも一部の太陽電池アレイ構造体として、太陽電池アレイ80の傾斜角度を変化させることが可能な構成を備えた太陽電池アレイ構造体1または2を備えており、太陽電池アレイ80の傾斜角度を大きくすることによって、太陽電池アレイ構造体1または2の近傍に、少なくとも作業者が通行できる作業スペースを一時的に形成することができればよい。
(例1)
前記実施形態1〜5で説明した太陽光発電システム100〜400、500A、500Bが備えた太陽電池アレイ構造体1および2は、設置面に直接的に立設されていた。しかしながら、太陽光発電システム100〜400、500A、500Bは、コンクリート等で形成された基礎の上に立設された太陽電池アレイ構造体を備えていてもよい。
図22の(a)(b)は、太陽光発電システム100〜400、500A、500Bに適用可能な太陽電池アレイ構造体3の一例を示す。図22の(a)(b)に示すように、太陽電池アレイ構造体3は、前記実施形態2で説明した太陽電池アレイ構造体1と同じ構成(図10の(a)(b)および図11の(a)(b))に加えて、太陽電池アレイ構造体3の支柱30を支持するための基礎部30Aをさらに備える。基礎部30Aは、例えば、コンクリート製であってよい。図22の(a)は、太陽電池アレイ構造体3が展開しているときよりも少し太陽電池アレイ80Aおよび80Bの傾斜角度が大きい太陽電池アレイ構造体3を示す。また、図22の(b)は、「閉じた」太陽電池アレイ構造体3’を示す。
基礎部30Aは、閉じた太陽電池アレイ構造体3’の近傍に一時的に形成される作業スペースWと重ならないように、閉じた太陽電池アレイ構造体3’と同程度以下の幅を有することが望ましい。また、基礎部30Aは、ボルト等で設置面に固定されていてもよいし、何にも固定されず、単に設置面上に置かれてもよい。また、基礎部30Aの一部または全部が設置面中に埋設されていてもよい。基礎部30Aは、設置面に固定されない場合、風圧等によって太陽電池アレイ構造体1が移動しないように、十分な重量を備えることが望ましい。
(例2)
前記実施形態1〜5で説明した太陽光発電システム100〜400、500A、500Bは、太陽電池アレイ構造体1および2の代わりに、上記特許文献3や上記特許文献4に記載された太陽電池アレイ構造体を備えていてもよい。
特許文献3に記載された太陽電池アレイ構造体は、太陽電池アレイの中心部に当接する支柱と、該支柱に取り付けられた補助支柱とを備えている。補助支柱は伸縮可能な構造を有する。また、補助支柱が太陽電池アレイに当接する位置(あるいは補助支柱が太陽電池アレイを支持する位置)を変化させることができる。補助支柱の長さと、補助支柱が太陽電池アレイに当接する位置とを調整することによって、太陽電池アレイの傾斜角度が変化する。例えば、補助支柱が、太陽電池アレイの前端部側で太陽電池アレイに当接しており、かつ、補助支柱が太陽電池アレイに当接する位置が、支柱が太陽電池アレイに当接する位置よりも低い場合、太陽電池アレイは、該太陽電池アレイの後端部が高く前端部が低くなるように傾斜する。また、補助支柱が、太陽電池アレイの後端部側で太陽電池アレイ80に当接しており、かつ、補助支柱が太陽電池アレイに当接する位置が、支柱が太陽電池アレイ80に当接する位置よりも低い場合、太陽電池アレイは後端部が低く前端部が高くなるように傾斜する。
特許文献4に記載された太陽電池アレイ構造体は、2本の支柱を備え、太陽電池アレイの前端部および後端部をそれぞれ1本の支柱によって支持する。上記太陽電池アレイ構造体は、太陽電池アレイの前端部を支持する支柱を折り畳む。これにより、太陽電池アレイの前端部が後端部に対して低くなるので、太陽電池アレイが傾斜する。
〔実施形態7〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
前記実施形態1〜6で説明した太陽光発電システム100〜400、500A、500Bのメンテナンスは、作業者によって実行される。作業者は、人間であってもよいし、自律型ロボット、またはコンピュータ制御される作業用機械であってもよい。太陽光発電システム100〜400、500A、500Bのメンテナンス方法は、複数配列された太陽電池アレイ構造体1、2、または3のうちの少なくとも1つの太陽電池アレイ構造体1、2、または3において、設置面に対する太陽電池アレイ80の傾斜角度を変化させて、太陽電池アレイ構造体1、2または3を閉じることにより、前記実施形態1等で説明した作業スペースW(図2等参照)または通行スペースを一時的に形成するステップを含む。
作業者は、このようにして一時的に形成された作業スペースWまたは通行スペースを通って、作業の対象である太陽電池アレイ構造体1、2、または3の近傍、または作業を行う場所まで移動する。作業者が太陽電池アレイ構造体1、2、または3に対して行う作業には、例えば、太陽電池アレイ構造体1、2、または3の点検(外観異常や故障の有無の確認)や清掃の他、日射計の清掃、除草、雪かきが含まれる。作業が完了した後、作業者、または、太陽電池アレイ構造体1、2、または3に取り付けられたアクチュエータ等が、閉じた太陽電池アレイ構造体1、2、または3を再び展開させる。これにより、作業スペースWまたは通行スペースは消滅する。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る太陽光発電システム(100〜400、500A、500B)の設置構造では、複数の太陽電池パネルを接続した太陽電池アレイ(80)と、当該太陽電池アレイを固定した架台とを備えた太陽電池アレイ構造体(1〜3)が、複数配列されており、隣り合う太陽電池アレイ構造体同士の間に形成された間隔は、作業者が作業を行うための作業スペースの幅未満、または、上記作業者が通行するための通行スペースの幅未満に設定され、上記隣り合う太陽電池アレイ構造体の少なくとも一方は、上記架台の設置面に対する上記太陽電池アレイの傾斜角度を変化させることにより、上記間隔を上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上に広げる可動部(回動機構部50、載置台保持部60、載置台保持部60a)を備えている。
上記の構成によれば、太陽光発電システムが通常の発電を行う状態では、太陽電池アレイ同士の間に、作業者または作業用車両が作業をしたり通行をしたりするためのスペースがなくてよい。そのため、隣り合う太陽電池アレイ構造体同士を従来よりも近づけて配置することができ、太陽電池の設置容量を増加させることができる。
一方、少なくとも1つの太陽電池アレイ構造体に対する修理、清掃または除草などのメンテナンスを行いたいときには、メンテナンス対象の上記太陽電池アレイ構造体と、それと隣り合う太陽電池アレイ構造体との間隔を、上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上に広げる。そのためには、メンテナンス対象である太陽電池アレイ構造体と、それと隣り合う太陽電池アレイ構造体とのうち、可動部を備えた一方または両方の太陽電池アレイ構造体が備えた太陽電池アレイの傾斜角度を変化させればよい。これにより、メンテナンス対象の上記太陽電池アレイ構造体の近傍に、作業者のための作業スペースを一時的に形成することができる。
本発明の態様2に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1において、ある方向に配列された複数の上記太陽電池アレイ構造体は、それぞれ上記可動部を備えており、上記可動部を備えた上記太陽電池アレイ構造体の上記太陽電池アレイの傾斜角度を、上記可動部によってそれぞれ変化させることにより、上記ある方向に延び、幅が上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上である通路を一時的に形成してもよい。
上記の構成によれば、作業者または作業用車両が作業したり通行したりするために使用できる通路を、隣り合う太陽電池アレイ構造体の間に一時的に形成することができる。
本発明の態様3に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1または2において、上記隣り合う太陽電池アレイ構造体の両方が、上記可動部を備えており、上記各可動部によって、上記隣り合う太陽電池アレイ構造体の太陽電池アレイの受光面同士が対面するように、上記隣り合う太陽電池アレイ構造体の太陽電池アレイの各傾斜角度を変化させることにより、上記間隔を、上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上に広げてもよい。
上記の構成によれば、隣り合う太陽電池アレイ構造体の太陽電池アレイの受光面同士の間に、作業者が作業したり通行したりすることが可能なスペースを一時的に形成することができる。この場合、隣り合う太陽電池アレイ構造体の一方の太陽電池アレイの受光面を傾斜させることによって形成されるスペースよりも広いスペースを形成することができる。
本発明の態様4に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記太陽電池アレイ構造体は、上記設置面に立設される支柱(30)を備え、上記可動部は、上記支柱を挟むように上記太陽電池アレイを折り畳む構造を備えていてもよい。
上記の構成によれば、メンテナンス対象である太陽電池アレイ構造体、またはそれに隣り合う太陽電池アレイ構造体が備えた太陽電池アレイを、支柱を挟むように折り畳むことによって、メンテナンス対象である太陽電池アレイ構造体の近傍に、作業者が作業したり通行したりすることが可能なスペースを一時的に形成することができる。
また、太陽電池アレイを、支柱を挟むように折り畳む構成では、太陽電池アレイを構成する複数枚の太陽電池パネルの全てが設置面に近い位置に移動することになる。この結果、作業者が、太陽電池アレイを構成する全ての太陽電池パネルを点検したり、メンテナンスしたりすることが容易になる。
本発明の態様5に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記太陽光発電システムが発電を行う状態では、上記設置面に対する上記太陽電池アレイの傾斜角度は0.5度以上60度以下に設定されていてよい。
上記の構成によれば、太陽電池アレイ上に落ちた雨が、太陽電池アレイ上のほこり等の異物を取り込みながら、太陽電池アレイの受光面の勾配に沿って流れ、太陽電池アレイの端から、太陽電池アレイの下に落下する。すなわち、太陽電池アレイは自浄作用を有するので、作業者が太陽電池アレイを清掃する頻度を減少させることができる。
本発明の態様6に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様4において、上記太陽電池アレイは、第1太陽電池アレイ(80A)と第2太陽電池アレイ(80B)とを備え、上記太陽電池アレイが折り畳まれた状態では、上記第1太陽電池アレイと上記第2太陽電池アレイとが上記支柱を挟み、上記太陽電池アレイが折り畳まれない状態では、上記設置面に対する上記第1太陽電池アレイの傾斜角度は、0.5度以上60度以下に設定されている一方、上記設置面に対する上記第2太陽電池アレイの傾斜角度は、−0.5度以上−60度以下に設定されていてよい。
上記の構成によれば、上記態様6と同様に、太陽電池アレイが自浄作用を有するので、作業者が太陽電池アレイを清掃する頻度を減少させることができる。
また、第1太陽電池アレイと第2太陽電池アレイとが、緩やかな山型を形成するので、第1太陽電池アレイおよび第2太陽電池アレイが占有する面積は、1つの平面になる形態の第1太陽電池アレイと第2太陽電池アレイとが占有する面積と比較して、小さくなる。したがって、太陽光発電システムを設営する全体面積に対して、太陽電池アレイの設置数を増やすことができるので、太陽電池の設置容量を増加させることができる。
本発明の態様7に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1から6のいずれかにおいて、複数配列された上記太陽電池アレイ構造体には、上記可動部を備えない固定型太陽電池アレイ構造体(太陽電池アレイ構造体9)であって、太陽電池アレイの傾斜角度が固定された固定型太陽電池アレイ構造体が含まれていてもよい。
上記の構成によれば、太陽光発電システムは、傾斜角度が可変である可動型太陽電池アレイ構造体に加えて、傾斜角度が固定された固定型太陽電池アレイ構造体を備えている。固定型太陽電池アレイ構造体は、通常、可動型太陽電池アレイ構造体よりもコストが低い。そのため、可動型太陽電池アレイ構造体のみを備えた太陽光発電システムと比較して、太陽光発電システムの設営コストを削減することができる。固定型太陽電池アレイ構造体は、例えば、太陽光発電システムにおいて、一時的な作業スペースまたは通行スペースを形成する必要がない位置に配置されてよい。
本発明の態様8に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1から7のいずれかにおいて、互いに異なる方向に配列された複数の上記太陽電池アレイ構造体が上記可動部を備え、形成しようとする複数の通路が交差または接続する位置に、上記太陽電池アレイ構造体が配置されていないスペース(交差スペースS)が設けられており、互いに異なる方向に配列された上記太陽電池アレイの傾斜角度を上記可動部によってそれぞれ変化させることにより、上記スペースから互いに異なる上記方向に延び、幅がそれぞれ上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上である複数の上記通路が一時的に形成されてよい。
上記の構成によれば、作業者は、異なる方向に延びる複数の通路の各々を通って、メンテナンス対象である太陽電池アレイ構造体の近傍まで移動することができる。さらに、太陽光発電システムに設けられたスペースには、太陽電池アレイ構造体が配置されていないので、作業者は、スペースを介して、複数の通路の間を、太陽電池アレイ構造体によって妨げられることなく、自由に移動することができる。
本発明の態様9に係る太陽光発電システムの設置構造は、上記態様1から8のいずれかにおいて、上記作業スペースまたは上記通行スペースは、1.5m以上の幅を備えていてもよい。上記の構成によれば、作業者が、一時的に形成される作業スペース内で作業を行ったり、または、一時的に形成される通行スペースを通行したりすることができる。
本発明の態様10に係る太陽光発電システムの設置構造に対するメンテナンス方法は、太陽光発電システム(100〜400、500A、500B)の設置構造に対するメンテナンス方法であって、上記太陽光発電システムでは、複数の太陽電池パネルを接続した太陽電池アレイ(80)と、当該太陽電池アレイを固定した架台とを備えた太陽電池アレイ構造体(1〜3)が、複数配列され、かつ、隣り合う太陽電池アレイ構造体同士の間に形成された間隔は、作業者が作業を行うための作業スペースの幅未満、または、上記作業者が通行するための通行スペースの幅未満に設定されており、上記隣り合う太陽電池アレイ構造体の少なくとも1つにおいて、上記架台の設置面に対する上記太陽電池アレイの傾斜角度を変化させることにより、上記間隔を、上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上に広げるステップを含む。
上記の構成によれば、上記態様1に係る太陽光発電システムの設置構造と同様の効果を奏することができる。
本発明の態様11に係る太陽光発電システムの設置構造に対するメンテナンス方法は、上記態様10の上記ステップにおいて、ある方向に配列された複数の上記太陽電池アレイ構造体がそれぞれ備えた上記太陽電池アレイの傾斜角度を変化させることにより、上記ある方向に延び、幅が上記作業スペースの幅以上または上記通行スペースの幅以上である通路を一時的に形成してもよい。
上記の構成によれば、上記態様2に係る太陽光発電システムの設置構造と同様の効果を奏することができる。
なお、上記態様1〜9に係る太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ構造体は、太陽電池アレイを載置され、屈曲するように変形可能な屈曲部を有する載置部と、上記載置部を保持する保持部と、を備え、上記保持部は、上記載置部の変形と連動して動作し、上記載置部が屈曲しているときには上記載置部の上記屈曲部を、上記載置部が屈曲していないときよりも高い位置で保持してもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。