JP2018009986A - 睡眠評価用マーカー及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】非侵襲的に取得でき、簡易に、かつ、客観的に睡眠の質を評価可能な睡眠評価方法に利用することができる睡眠評価用マーカーを提供すること。【解決手段】N−アセチルヒスタミン、アラントイン酸、テアニン、アンセリン、タウリン及びヒポタウリンからなる群から選択される少なくとも一種の成分である睡眠評価用マーカー。【選択図】なし

Description

本発明は、睡眠評価用マーカー及びその用途に関する。
厚生労働省の平成25年の国民健康・栄養調査報告によると、約70%の人が睡眠に関して何らかの問題を抱えていると答えており、睡眠障害が大きな社会問題として捉えられている。
睡眠障害としては入眠困難(寝つきの悪い状態)、睡眠維持障害(一度寝付いても度々起きてしまう)、早朝覚醒(朝早くに目が覚めてしまう)、熟眠障害(眠りが浅い)、といった症状がある。これらの症状に対し、睡眠薬による治療が一般的に行われている。しかしながら、副作用や服用に対する不安などの問題があることから、十分な解決策とはなっていないのが現状である。
そこで、食品由来の機能性成分を有効成分として含有する睡眠改善剤が望まれている。これまでに、テアニンを含有する睡眠改善剤や、グリシンを有効成分として含有する睡眠改善剤、そして清酒酵母を有効成分として含有する睡眠改善剤などが報告されている。
睡眠薬や睡眠改善剤を摂取することで睡眠の質が改善されたか否かは、現在、非侵襲的に測定できる終夜の脳波による判定や、OSA睡眠調査票等のアンケートによる記載により評価されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−214518号公報
しかしながら、脳波による睡眠の測定は、被験者の負担が小さくないという問題がある。また、OSA睡眠調査票等のアンケートによる記載は、被験者の主観的な評価である。睡眠に何らかの問題を抱えている人が多いという現在の社会の実情を考慮すると、睡眠の質が改善されたか否かをより簡便に、かつ、客観的に評価可能な技術の開発が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易に、かつ、客観的に睡眠の質を評価可能なマーカー物質を提供することである。
本発明者らは下記の〔1〕〜〔14〕を提供する。
〔1〕N−アセチルヒスタミン、アラントイン酸、テアニン、アンセリン、タウリン及びヒポタウリンからなる群から選択される少なくとも一種の成分である睡眠評価用マーカー。
〔2〕被験者から第一の生体試料を採取して、前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、前記被験者に、睡眠改善物質を投与し、前記睡眠改善物質を投与した被験者から第二の生体試料を採取して、前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量と、前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量を比較して、上記〔1〕に記載の睡眠評価用マーカーを同定するスクリーニング方法。
〔3〕前記第一の生体試料及び前記第二の生体試料が、尿又は唾液である上記〔2〕に記載のスクリーニング方法。
〔4〕前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量の測定及び前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量の測定を、質量分析法及び免疫測定法の少なくともいずれかの方法により行う上記〔2〕又は上記〔3〕に記載のスクリーニング方法。
〔5〕睡眠障害を有する動物から採取した第一の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、前記動物に、睡眠改善物質を投与し、前記睡眠改善物質を投与した動物から採取した第二の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、前記第一の生体試料に含まれる上記〔1〕に記載の睡眠評価用マーカーの含有量と、前記第二の生体試料に含まれる上記〔1〕に記載の睡眠評価用マーカーの含有量を比較して、睡眠の質の改善効果を判定するモニター方法。
〔6〕前記第一の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はテアニンの含有量が、前記第二の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はテアニンの含有量より多い場合、前記睡眠の質として、深睡眠度が改善されたと判定する上記〔5〕に記載のモニター方法。
〔7〕前記第一の生体試料に含まれるアラントイン酸及び/又はアンセリンの含有量が、前記第二の生体試料に含まれるアラントイン酸及び/又はアンセリンの含有量より少ない場合、前記睡眠の質として、深睡眠度が改善されたと判定する上記〔5〕に記載のモニター方法。
〔8〕前記第一の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンの少なくとも一種の成分の含有量が、前記第二の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンの少なくとも一種の成分の含有量より多い場合、前記睡眠の質として、睡眠感が改善されたと判定する上記〔5〕に記載のモニター方法。
〔9〕前記第一の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はヒポタウリンの含有量が、前記第二の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はヒポタウリンの含有量より多い場合、前記睡眠の質として、中途覚醒度が改善されたと判定する上記〔5〕に記載のモニター方法。
〔10〕前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量の測定及び前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量の測定を、質量分析法及び免疫測定法の少なくともいずれかの方法により行う上記〔5〕〜〔9〕のいずれかに記載のモニター方法。
〔11〕前記動物が、ヒトである上記〔5〕〜〔10〕のいずれかに記載のモニター方法。
〔12〕前記第一の生体試料及び前記第二の生体試料が、尿又は唾液である上記〔5〕〜〔11〕のいずれかに記載のモニター方法。
〔13〕上記〔1〕に記載の睡眠評価用マーカーに結合する抗体若しくはアプタマー、又は前記抗体若しくは前記アプタマーが担体に固相化されたマイクロアレイを含む、睡眠評価用キット。
〔14〕ガムを更に含む、上記〔13〕に記載の睡眠評価用キット。
本発明によれば、睡眠の質をより簡便に、かつ、客観的に判定することができる。本発明を利用して、医者の診断に先だって睡眠の質の評価を行えば、睡眠と関連する健康変動のチェッカーとして利用することができ、健康維持に有用である。
図1は、実施例における対照食と被験食を摂取時の第1周期デルタパワー値(デルタ波電圧値とも呼ばれる。脳波測定から得られる睡眠の深さの指標)を示すグラフである。 図2は、実施例における対照食と被験食を摂取時のOSA睡眠調査票のアンケート結果を示すグラフである。 図3は、実施例における生体試料(尿)中の成分の分析方法を示すフローチャートである。 図4は、実施例における生体試料(尿)中の成分の含有量の解析方法を示すフローチャートである。 図5は、実施例における生体試料(唾液)中の成分の含有量の分析方法を示すフローチャートである。
(1)睡眠
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があり、睡眠中にはレム睡眠とノンレム睡眠とが交互に訪れる。睡眠周期とは、あるレム睡眠が終了してから次のレム睡眠が終了するまでの期間をいう。特に、睡眠第1周期とは、入眠後最初の睡眠周期をいう。
レム睡眠とは、全身が脱力状態にあるが、脳の一部は活発に活動しており、急速眼球運動を伴う睡眠状態をいう。ノンレム睡眠とは、大脳がほとんど活動せず、急速眼球運動を伴わない睡眠状態をいう。ノンレム睡眠は、ポリソムノグラフ解析(脳波測定、眼電図、筋電図など)により判定することができる。脳波としてはアルファ波、デルタ波が例示される。アルファ波(ヒトでは例えば8〜13Hz)の減少、及び/又は、デルタ波(ヒトでは例えば0.5〜4.5Hz)の増加がみられる場合、ノンレム睡眠であると判定することができる。測定した脳波をSleepSign(登録商標)などの自動解析ソフトを用いても、ノンレム睡眠であるか否かを判定することができる。
ノンレム睡眠は、睡眠の深さによって、睡眠の浅い順に、I層、II層、III層及びIV層の4段階に分けられる。そして、I層からIV層のうち、III層及びIV層にある睡眠を、特に「深睡眠」という。深睡眠であることは、例えば、脳波全体(0.5〜20Hz)に対するデルタ波(0.5〜4.5Hz)の占有率が一定以上であることにより確認することができる。また、デルタパワー値が高いことを確認することによっても判定することができる。
本発明において睡眠とは、好ましくは自然睡眠をいう。「自然睡眠」とは、正向反射消失を生じない睡眠のことをいう。「正向反射」とは、重力の方向に対して頭部を正常の位置に回復するようにする反射運動であり、立ち直り反射ともいわれる。
マウス、ラット等のげっ歯類動物における正向反射消失は、例えば、仰臥位又は背位に置かれたマウス又はラットが、30秒以内に復位に戻らない状態として確認し得る。睡眠状態にある該動物を仰臥位又は背位に置いた時に、即座に睡眠から目覚めたり、又は速やかに復位に戻ったりするような場合、その睡眠は、正向反射を消失していない睡眠である。ヒトでは、動物で定義されている「正向反射」に相当する言葉はない。しかしながら、ヒトにおいて「正向反射を消失しない」状態は、例えば、肩を叩かれた際にすぐに目が覚める等、容易に覚醒可能な睡眠が該当し、自然睡眠と定義することができる。
(2)本発明の睡眠評価用マーカー
本発明の睡眠評価用マーカーは、N−アセチルヒスタミン、アラントイン酸、テアニン、アンセリン、タウリン及びヒポタウリンからなる群から選択される少なくとも一種の成分である。各化合物の構造を以下に示す。
N−アセチルヒスタミン(N−Acetylhistamine、C11O)
アラントイン酸(Allantoic acid、C
テアニン(Theanine、C14
アンセリン(Anserine、C1016
タウリン(Taurine、CNOS)
ヒポタウリン(Hypotaurine、CNOS)
本発明の睡眠評価用マーカーは上記のN−アセチルヒスタミン、アラントイン酸、テアニン、アンセリン、タウリン及びヒポタウリンからなる群から選択される成分のうち、1成分からでも睡眠の質の評価を行うことができる。ただし、睡眠の質の評価の信頼性をより高めるという観点や、睡眠の質の評価項目を増やすという観点から、2成分以上であることが好ましく、N−アセチルヒスタミンを含む2成分以上であることが更に好ましい。
(化合物と睡眠について)
N−アセチルヒスタミン、アラントイン酸及びヒポタウリンに関して、睡眠との関係を示す技術文献は知られていない。
アンセリン及びテアニンを、睡眠改善のための成分として配合した組成物が開示されている(特開2015−110564号公報、特開2008−88162号公報、特開2008−513200号公報)。しかしながら、これらの組成物は、摂取することで睡眠を改善することを目的とするものである。そのため、組成物を摂取した後、代謝される作用機序は開示されておらず、これらの化合物が生体試料中の含有量に影響があるかは不明であり、睡眠の質を評価するバイオマーカーとしての利用可能性は記載されていない。
タウリンは、断眠時に尿中で量が増加することが開示されている(Sci Rep,volume 5,2015,Article number 14843)。しかしながら、睡眠により、尿中の量が変動することは記載されておらず、睡眠の質を評価するバイオマーカーとしての利用可能性は記載されていない。
(3)本発明のスクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、以下に記載する手法により上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーを同定する方法である。まず、被験者から第一の生体試料を採取して、第一の生体試料に含まれる成分の含有量を測定する。次に、被験者に、睡眠改善物質を投与する。その後、睡眠改善物質を投与した被験者から第二の生体試料を採取して、第二の生体試料に含まれる成分の含有量を測定する。最後に、第一の生体試料に含まれる成分の含有量と、第二の生体試料に含まれる成分の含有量を比較して、上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーの同定を行う。
本発明において、睡眠改善物質は、睡眠安定剤や睡眠補助剤等、従来から睡眠の改善のために使用される物質をいう。睡眠改善物質を被験者に投与することで、第一の生体試料と第二の生体試料に含まれる成分のうち、睡眠の質の改善を評価可能な成分である上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーの含有量の差が比較容易なほど明確になる。
生体試料としては、被験者から採取可能な生体試料であれば特に限定されない。具体的には、血液(全血、血漿、血清等)、尿、唾液、汗、涙等の体液を挙げることができる。但し、被験者の負担を軽減する観点から、非侵襲的かつ常時採取可能な生体試料が好ましく、起床時に採取し易いという理由で、尿又は唾液であることが更に好ましい。なお、睡眠の質を評価することを考慮すれば、生体試料は起床時に採取されたものである。また、第一の生体試料と第二の生体試料は同一種類の生体試料である。
生体試料として尿を用いる場合、各成分の含有量の測定の前に、前処理を行う。前処理は測定方法により異なるが、通常、限外ろ過によりタンパクを除去した後、希釈、抽出、誘導体化等を行う処理である。なお、生体試料として尿を用いる場合、尿量による含有量の変動を回避するためにクレアニチン量で補正を行うことが好ましい。
唾液には非刺激唾液と刺激唾液とがある。生体試料として唾液を用いる場合、どちらの唾液を用いても良い。刺激唾液は、パラフィンガムを咀嚼することで容易に採取することができる。また、非刺激唾液は安静時において自然に分泌される唾液を回収することによって採取することができる。
本発明のスクリーニング方法において、生体試料に含まれる成分の含有量の測定は、例えば、抗体又はアプタマーを用いる免疫測定法、マイクロアレイを用いる免疫測定法、質量分析法、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着法)、ECLIA(電気化学発光免疫測定法)等によって行うことができる。これらの中でも、多数の成分の含有量の測定を容易に行うことができるという点では、質量分析法が好ましく、簡便に採取可能な唾液を用いて含有量の測定を行うという点では、抗体若しくはアプタマーを用いる免疫測定法、又はマイクロアレイを用いる免疫測定法が好ましい。
質量分析法による測定の際には各種の質量分析装置を利用することができる。例えば、GC−MS、LC−MS、FAB−MS、EI−MS、CI−MS、FD−MS、MALDI−MS、ESI−MS、HPLC−MS、FT−ICR−MS、CE−MS、ICP−MS、Py−MS、TOF−MS等がある。これらのいずれも利用可能である。
抗体又はアプタマーを用いて生体試料中の成分の含有量を測定する一例を以下に示す。まず、抗体又はアプタマーをマイクロタイタープレート等の担体に、物理的吸着、官能基を利用した共有結合等、公知の方法により吸着させる。生体試料を必要に応じて希釈した後、添加してインキュベーションする。次に、蛍光発光物質、化学発光物質又は酵素を結合させた2次抗体を加えインキュベーションする。検出はそれぞれの基質を加えた後、蛍光若しくは化学発光物質又は酵素反応による可視光を計測することによって測定を行うことができる。
マイクロアレイを用いて生体試料中の成分の含有量を測定する一例を以下に示す。まず、マイクロアレイ上に、固相化された抗体またはアプタマーに、生体試料を添加し、生体試料中のマーカーペプチドを結合させ、次に蛍光発光物質、化学発光物質、または酵素を結合させた2次抗体を加えインキュベーションする。検出はそれぞれの基質を加えた後、蛍光もしくは化学発光物質または酵素反応による可視光を計測することで測定を行うことができる。
生体試料中の成分の同定は、次のように行うことができる。例えば、CE−MS法で成分の同定を行う場合、「標準となる化合物」及び「一般公開データベース(KEGG、HMDB、NIST 11ライブラリー)」等の既知のデータと比較して行うことができる。また、GC−MS法で成分の同定を行う場合、一般公開データベースの既知のデータと比較して行うことができる。なお、成分に既知のデータが存在しない場合、分取型のHPLC等で単離した後、核磁気共鳴装置(NMR)等で解析を行うことで未知の成分を同定することができる。
(4)本発明のモニター方法
本発明のモニター方法は、下記に記載する手法により、睡眠の質の改善効果を判定する方法である。先ず、睡眠障害を有する動物から採取した第一の生体試料に含まれる成分の含有量を測定する。次に、動物に、睡眠改善物質を投与する。その後、睡眠改善物質を投与した動物から採取した第二の生体試料に含まれる成分の含有量を測定する。最後に、第一の生体試料に含まれる上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーの含有量と、第二の生体試料に含まれる上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーの含有量を比較して、睡眠の質の改善効果を判定する。
睡眠の質の改善効果の判定の精度は、通常、統計学的に優位な割合の被験者において、睡眠の質の改善を正しく判定できる程度であり、例えば、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上の被験者において、睡眠の質の改善を正しく判定できる程度である。本発明のモニター方法は、医師による睡眠障害の診断前の予備的な判定方法として有用である。
睡眠の質とは、客観的な睡眠の状態、主観的な睡眠感の満足度、及びこれらの両方により左右されるものである。具体的には、ノンレム睡眠の時間、深睡眠度、中途覚醒度(中途覚醒回数および時間)、睡眠感(起床時の眠気)、起床時の疲労感、寝つき、熟眠感、夢見、睡眠時間等で評価されるものである。
ノンレム睡眠の時間、深睡眠度、および中途覚醒度は、通常、脳波測定機器を用いた脳波により評価している。一方、本発明のモニター方法によれば、被験者の生体試料中の成分の含有量で睡眠の質が改善されたか否かの判定を行うことが可能となる。そのため、従来の測定方法より簡便に睡眠の質を評価可能となる。
睡眠感、起床時の疲労感、寝つき、熟眠感、夢見や睡眠時間は、通常、OSA睡眠調査票MA版(山本由華吏,田中秀樹,高瀬美紀,山崎勝男,阿住一雄,白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化.脳と精神の医学 10:401−409,1999.)を用いて被験者の主観で評価している。一方、本発明のモニター方法によれば、睡眠の質を改善する物質が同定され、被験者の生体試料中の成分の含有量で睡眠の質が改善されたか否かの判定を行うことが可能となる。そのため、客観的に睡眠の質を評価可能となる。
睡眠の質が改善されたか否かの判定の詳細として次のことが言える。第二の生体試料中のN−アセチルヒスタミン及びテアニンの少なくともいずれかの含有量が第一の生体試料中の同成分の含有量より少ない場合、又は第二の生体試料中のアラントイン酸及びアンセリンの少なくともいずれかの含有量が第一の生体試料中の同成分の含有量より多い場合、深睡眠度が改善されたと判定する。第二の生体試料中のN−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンの少なくともいずれかの含有量が第一の生体試料中の同成分の含有量より少ない場合、睡眠感が改善されたと判定する。第二の生体試料中のN−アセチルヒスタミン及びヒポタウリンの少なくともいずれかの含有量が第一の生体試料中の同成分の含有量より少ない場合、中途覚醒度が改善されたと判定する。
「深睡眠度が改善された」とは、1)深睡眠の状態がより長時間観測されること、2)深睡眠の深さがより深まること、又は、3)深睡眠への移行がより円滑に進むこと、のいずれかの効果を生じることをいう。「睡眠感が改善された」とは、起床時の眠気が軽くなることをいう。また、「中途覚醒度が改善された」とは、1)中途覚醒回数が減少すること、2)中途覚醒の時間が短縮すること、のいずれかの効果を生じることをいう。
本発明のモニター方法において、生体試料に含まれる成分の含有量の測定及び睡眠改善物質については、上記(3)のスクリーニング方法に記載した内容と同じことが言える。
本発明のモニター方法によれば、被験者の睡眠の質が改善されたか否かを、生体試料中の成分の含有量から簡便に判定できるので、医師の診断前の予備的な検査として、実施可能である。また、睡眠に何らかの問題がある被験者に治療を行い、治療が効果を奏した場合、生体試料中の各成分の含有量も低下ないしは増加する。よって、治療と共に生体試料中の成分の含有量を測定することにより、治療効果の評価判定を行うこともできる。従って、本発明のモニター方法は、睡眠の質の改善に資する薬剤の投与効果等の治療効果を判定する方法としても有用である。
判定においては、各成分の含有量を変数とする多変量解析を行ってもよい。多変量解析としては例えば、ロジスティック回帰分析、重回帰分析、主成分分析、独立成分分析、因子分析、判別分析、数量化理論、クラスター分析、コンジョイント分析および多次元尺度構成法(MDS)がある。
動物の具体例としては、ヒト、実験動物(マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等)を挙げることができ、好ましくはヒトである。
(5)本発明の睡眠評価用キット
本発明の睡眠評価用キットは、上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーに結合する抗体若しくはアプタマー、又は抗体若しくはアプタマーが担体に固相化されたマイクロアレイを含む。
抗体又はアプタマーは、上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーに結合する抗体又はアプタマーである。抗体又はアプタマーを用いることにより、上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーの含有量を測定することができる。
抗体又はアプタマーは、常法により作製すればよい。
マイクロアレイは、上記(2)に記載の睡眠評価用マーカーに結合する抗体又はアプタマーが固相化されているマイクロアレイである。
マイクロアレイとは、担体(基材)上に測定しようとする物質に結合し得る物質を整列し、固定化させたデバイスを総称していう。マイクロアレイの担体の材料としては、ガラス等の無機材料、ニトロセルロース等の有機材料のいずれであってもよい。マイクロアレイの担体の形状としては、膜、ビーズ、プレートのいずれであってもよい。
マイクロアレイは、抗体又はアプタマーを担体に固定化して製造することができる。固定化の際には、マイクロアレイヤー、スポッター等の機器を用いてもよい。
本発明の睡眠評価用キットは、ガムを更に含むことが好ましい。これにより、生体試料として刺激唾液を用いる場合、採取が容易になる。なお、ガムは、刺激唾液採取用に通常用いられているガム(パラフィンガム等)であればよい。
(実施例1〜11:睡眠評価用バイオマーカーの同定とその用途の妥当性)
(1)清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験
ピッツバーグ睡眠調査票により、日常的に睡眠に不満を感じる男女(同調査票での得点が5点以上、合計68名)を被験者に選定した。この68名の被験者に、清酒酵母含有食品の睡眠の質に対する機能性評価試験(清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験)を実施した。なお、試験手法は2重盲検クロスオーバー試験とした。
具体的には、月曜日から木曜日までの4日間、被験者は被験食(清酒酵母含有タブレット:「グッスミン 酵母のちから」(ライオン社製))と対照食(清酒酵母非含有タブレット:清酒酵母を配合せず、香料及び着色料を配合したこと以外は同一材料で作製したプラセボタブレット)のいずれかを摂取した。3日間の非摂取期間を設けた後、2週目の月曜日から木曜日までの4日間、各被験者は1週目で摂取していない被験食又は対照食を摂取した。摂取期間中、各被験者は、被験食・対照食の摂取の有無と摂取した時間、自覚症状、仮眠の有無、生活の変化、他の医薬品・健康食品・アルコール類・カフェイン飲料の摂取の有無についての生活習慣記録を毎日記載した後、就寝時に脳波計(スリープ スコープ:医療機器承認番号225ADBZX00020000)を装着して就寝した。翌朝の起床時、OSA睡眠調査票のアンケートへの記載と採尿を行った。
OSA睡眠調査票の項目は、起床時眠気、入眠と睡眠維持、夢み、疲労回復、睡眠時間である。また、生活習慣記録の項目は、医薬品の服用、飲酒量、運動量、疲労度記録、精神的疲労感、その他睡眠に関連する生活の変化である。
清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験の結果、清酒酵母の摂取により、深睡眠の指標である第1周期デルタパワー値の増加、及び睡眠感(起床時の眠気)の改善が観察された。図1に対照食と被験食を摂取時の第1周期デルタパワー値を示すグラフを示し、図2に対照食と被験食を摂取時のOSA睡眠調査票のアンケート結果を示すグラフを示す。なお、図1及び図2中、プラセボとは対照食を摂取時のデータを意味し、清酒酵母とは被験食を摂取時のデータを意味する。
(2)生体試料(尿)中の代謝物(成分)の測定試験方法
上記(1)清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験で変化の認められた、深睡眠度(第1周期デルタパワー値)及び睡眠感(起床時の眠気)の変化を反映する代謝物を選定することを目的とし、上記(1)清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験で採取した生体試料(尿)中に存在する成分の網羅的解析を行った。なお、解析には、23名の被験者の、被験食と対照食を摂取した2日目の尿を用いた。生体試料(尿)中の成分の分析方法のフローチャートを図3に示す。
具体的には、生体試料(尿)を前処理し、キャピラリー電気泳動−質量分析法(CE−MS法)、ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC−MS法)により分析した。CE−MS法に供した生体試料(尿)は、限外ろ過によりタンパクを除去した後に、内部標準物質を含む水溶液で10倍に希釈して前処理を行った。GC−MS法に供した生体試料(尿)は、限外ろ過(分子量5000以上を除く)によりタンパクを除去した後に内部標準物質を添加し、有機溶剤により親水性代謝物を抽出し、メトキシ化及びトリメチルシリル化誘導体化により前処理を行った。なお、CE−MS法はCE−TOFMS system(Agilent社製)、GC−MS法はGCMS−QP2010Ultra(Shimadzu社製)を用いて測定を行った。
(3)生体試料(尿)中の成分の同定
CE−MS法、GC−MS法では分析手法の特性上、生体試料(尿)中の多くの成分が検出されるので、GC−MS法は「標準となる化合物」及び「一般公開データベース(KEGG(2015年10月27日時点)、HMDB(2015年10月27日時点)、NIST 11ライブラリー等)」、GC−MS法は上記の一般公開データベースを基に成分を同定した。
CE−MS法では、589種の成分について「標準となる化合物」を用いて比較、分析した。CE−MS法、GC−MS法で検出された未知成分(「標準となる化合物」及び「一般公開データベース」から成分の同定が行えなかったもの)については、通し番号を付けて解析した。
CE−MS法及びGC−MS法で検出されたピーク(成分)の中で、少なくとも1人の被験者の「被験食摂取の生体試料(尿)」及び「対照食摂取の生体試料(尿)」のどちらからも検出された成分は468種(既知成分:363種、未知成分:105種)であった。その中で19名(80%)以上の被験者の「被験食摂取の生体試料(尿)」及び「対照食摂取の生体試料(尿)」のどちらからも検出された成分は365種(既知成分:261種、未知成分:104種)であった。
(4)生体試料(尿)中の成分の含有量の解析
CE−MS法では、各ピーク(成分)を内部標準物質のピークに対する相対面積値で表し、「標準となる化合物」の測定値から作成される1点検量線法にて各成分の含有量をμMで算出した。また、標準となる化合物がない成分については、得られた各ピーク(成分)の内部標準物質のピークに対する相対面積値を成分の含有量とした。GC−MS法では、内部標準物質のピークに対する相対ピーク(各代謝物のピーク)の高さを成分の含有量とした。なお、生体試料(尿)中の成分の含有量を求める場合、尿量による変動を回避するためクレアチニン補正を行うことが一般的であり、当該算出に際しても同様に各成分の含有量をクレアチニン量で除することにより補正した。生体試料(尿)中の成分の含有量の解析方法のフローチャートを図4に示す。
(5)睡眠評価用バイオマーカーとしての同定
清酒酵母の摂取により変化した「第1周期デルタパワー値(深睡眠度)」、「睡眠感(起床時の眠気)の改善度」、および「中途覚醒度(中途覚醒時間、回数)」に相関する尿中の成分を下記に記す方法で選抜し、睡眠評価用バイオマーカーとして同定した。
i)「深睡眠度」
第1周期デルタパワー値の変化量と生体試料(尿)中の成分の変化量の相関性を解析し、相関係数を基に、相関のある成分を選抜した。統計解析手法には、ピアソンの相関係数を用い、有意水準を両側5%とした。なお、変化量は「被験食摂取後の生体試料(尿)」と「対照食摂取後の生体試料(尿)」を比較した場合の増減量(差分)とした。選抜した成分の名称と、相関解析の結果を表1に記す。
表1の結果からわかるように、N−アセチルヒスタミン及びテアニンについては、深睡眠度の改善と化合物の含有量が負の相関関係にあることがわかる。即ち、深睡眠度が改善された場合、N−アセチルヒスタミン及びテアニンの減少が認められた。一方、アラントイン酸及びアンセリンについては、深睡眠度の改善と化合物の含有量が正の相関関係にあることがわかる。即ち、深睡眠度が改善された場合、アラントイン酸及びアンセリンの増加が認められた。なお、いずれの化合物についても、p値は0.05以下であり、データの有意性が認められる。
ii)「睡眠感」
OSA睡眠調査票(起床時の眠気)のスコアの変化量と、生体試料(尿)中の成分の変化量の相関性を解析し、相関係数を基に、相関のある成分を選抜した。統計解析手法には、スピアマンの順位相関係数を用い、有意水準を両側5%とした。なお、変化量は「被験食摂取後の生体試料(尿)」と「対照食摂取後の生体試料(尿)」を比較した場合の増減量(差分)とした。選抜した成分の名称と、相関解析の結果を表2に記す。
表2の結果からわかるように、N−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンについては、睡眠感の改善と化合物の含有量が負の相関関係にあることがわかる。即ち、睡眠感が改善された場合、N−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンの減少が認められた。なお、いずれの化合物についても、p値は0.05以下であり、データの有意性が認められる。
iii)「中途覚醒度」
中途覚醒度(中途覚醒回数および時間(分))の変化量と生体試料(尿)中の成分の変化量の相関性を解析し、相関係数を基に、相関のある成分を選抜した。統計解析手法には、ピアソンの相関係数を用い、有意水準を両側5%とした。なお、変化量は「被験食摂取後の生体試料(尿)」と「対照食摂取後の生体試料(尿)」を比較した場合の増減量(差分)とした。選抜した成分の名称と、相関解析の結果を表3に記す。
表3の結果からわかるように、N−アセチルヒスタミン及びヒポタウリンについては、中途覚醒度と化合物の含有量が正の相関関係にあることがわかる。即ち、中途覚醒度が改善された場合、N−アセチルヒスタミン及びヒポタウリンの減少が認められた。なお、いずれの化合物についても、p値は0.05以下であり、データの有意性が認められる。
(実施例1,5,8,10及び比較例1〜8)
ヒスタミン及びその代謝物である1−メチルヒスタミンが、睡眠の質と相関関係があるか否か調べることを目的として、上記実施例1〜11と同様にして試験を行い、睡眠の質と生体試料(尿)中の含有量に相関関係があるか否か検討を行った。相関解析の結果を表4〜6に記す。
表4からわかるように、生体試料(尿)中のヒスタミン及び1−メチルヒスタミンの含有量と、深睡眠度の改善について何ら相関関係がないことがわかる。
表5からわかるように、生体試料(尿)中のヒスタミン及び1−メチルヒスタミンの含有量と、睡眠感の改善について何ら相関関係がないことがわかる。
表6からわかるように、生体試料(尿)中のヒスタミン及び1−メチルヒスタミンの含有量と、中途覚醒度の改善について何ら相関関係がないことがわかる。
ヒスタミンは脳内の覚醒物質であり、1−メチルヒスタミン(tele−メチルヒスタミン)はヒトで産生され、尿中に排泄されるヒスタミンの代謝物であることが知られている。一方、N−アセチルヒスタミンはヒスタミン代謝産物であるが、ヒトの体内ではなく、主に腸内細菌で産生されることが知られている(Agents and Actions, vol. 22, 1/2 (1987))。当該試験結果から、脳内の覚醒物質及びその代謝物と、睡眠の質の評価に何ら関連はなく、生体試料中のどの成分がバイオマーカーとして利用できるか想定できるものではないことがわかった。
(実施例12:唾液検体を用いた睡眠の質変化を反映する物質の評価とその用途の妥当性)
(1)唾液検体における睡眠の質変化を反映する代謝物の妥当性検証試験
健常者である男女(合計8名)を被験者に選定した。この8名の被験者に、前記清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験で見出した、睡眠の質変化を反映する代謝物に対して、唾液検体での妥当性検証試験を実施した。なお、試験手法は、単純盲検試験とした。
具体的には、2週間継続的に、被験者は被験食(清酒酵母含有タブレット:「グッスミン 酵母のちから」(ライオン社製))を摂取した。摂取期間中、各被験者は、被験食の摂取の有無と摂取した時間、自覚症状、仮眠の有無、生活の変化、他の医薬品・健康食品・アルコール類・カフェイン飲料の摂取の有無についての生活習慣記録を毎日記載した後就寝した。翌朝の起床時、OSA睡眠調査票等のアンケートへの記載を行った。
なお、摂取前の週及び摂取2週間後において、1日のみ起床時の唾液の回収を行った。
(2)生体試料(唾液)中の代謝物(成分)の測定試験方法
上記(1)清酒酵母の睡眠改善機能性評価試験で変化の認められた、睡眠感(起床時の眠気)の変化を反映するタウリンに着目し、唾液中のタウリン含有量と睡眠の質変化に相関性を有するか検証した。検証は、上記(1)唾液検体における睡眠の質変化を反映する代謝物の妥当性検証試験で採取した生体試料(唾液)中に存在するタウリン含有量の解析により行った。解析には、8名の被験者の、被験食摂取前と、継続摂取2週間後の唾液を用いた。生体試料(唾液)中のタウリン含有量の分析方法のフローチャートを図5に示す。
具体的には、唾液検体を前処理し、ELISA法によりタウリン濃度を分析した。前処理として、融解した唾液を20秒間超音波処理し、遠心分離(1000g、4℃、15min)を行った後に、上清を回収してから解析に供した。なお、ELISA法はHuman Taurine ELISA kit(My BioSource社;MBS756338)を用い、推奨プロトコルに従い、抗体反応を進めた。反応終了後、SpectraMax M5(Molecular Devices社製)を用い、各サンプルの吸光度を測定し(測定波長:450nm、補正波長:590nm)、唾液中のタウリン含有量を測定した。
(3)睡眠評価用バイオマーカーとしての同定
睡眠感(起床時の眠気)の変化量と生体試料(唾液)中のタウリンの変化量の相関性を解析した。統計解析手法には、ピアソンの相関係数を用い、有意水準を両側5%とした。なお、変化量は「被験食摂取前の生体試料(唾液)」と「被験食摂取2週間後の生体試料(唾液)」を比較した場合の増減量(差分)とした。相関解析の結果を表7に記す。
表7の結果からわかるように、唾液中のタウリンは、睡眠感(起床時眠気)の改善度とタウリンの含有量が負の相関関係にあることがわかる。即ち、睡眠感(起床時眠気)が改善された場合、タウリンの減少が認められた。なお、p値は0.05以下であり、データの有意性が認められる。

Claims (14)

  1. N−アセチルヒスタミン、アラントイン酸、テアニン、アンセリン、タウリン及びヒポタウリンからなる群から選択される少なくとも一種の成分である睡眠評価用マーカー。
  2. 被験者から第一の生体試料を採取して、前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、
    前記被験者に、睡眠改善物質を投与し、
    前記睡眠改善物質を投与した被験者から第二の生体試料を採取して、前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、
    前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量と、前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量を比較して、請求項1に記載の睡眠評価用マーカーを同定するスクリーニング方法。
  3. 前記第一の生体試料及び前記第二の生体試料が、尿又は唾液である請求項2に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量の測定及び前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量の測定を、
    質量分析法及び免疫測定法の少なくともいずれかの方法により行う請求項2又は3に記載のスクリーニング方法。
  5. 睡眠障害を有する動物から採取した第一の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、
    前記動物に、睡眠改善物質を投与し、
    前記睡眠改善物質を投与した動物から採取した第二の生体試料に含まれる成分の含有量を測定し、
    前記第一の生体試料に含まれる請求項1に記載の睡眠評価用マーカーの含有量と、前記第二の生体試料に含まれる請求項1に記載の睡眠評価用マーカーの含有量を比較して、睡眠の質の改善効果を判定するモニター方法。
  6. 前記第一の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はテアニンの含有量が、前記第二の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はテアニンの含有量より多い場合、
    前記睡眠の質として、深睡眠度が改善されたと判定する請求項5に記載のモニター方法。
  7. 前記第一の生体試料に含まれるアラントイン酸及び/又はアンセリンの含有量が、前記第二の生体試料に含まれるアラントイン酸及び/又はアンセリンの含有量より少ない場合、
    前記睡眠の質として、深睡眠度が改善されたと判定する請求項5に記載のモニター方法。
  8. 前記第一の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンの少なくとも一種の成分の含有量が、前記第二の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン、タウリン及びヒポタウリンの少なくとも一種の成分の含有量より多い場合、
    前記睡眠の質として、睡眠感が改善されたと判定する請求項5に記載のモニター方法。
  9. 前記第一の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はヒポタウリンの含有量が、前記第二の生体試料に含まれるN−アセチルヒスタミン及び/又はヒポタウリンの含有量より多い場合、
    前記睡眠の質として、中途覚醒度が改善されたと判定する請求項5に記載のモニター方法。
  10. 前記第一の生体試料に含まれる成分の含有量の測定及び前記第二の生体試料に含まれる成分の含有量の測定を、質量分析法及び免疫測定法の少なくともいずれかの方法により行う請求項5〜9のいずれか1項に記載のモニター方法。
  11. 前記動物が、ヒトである請求項5〜10のいずれか1項に記載のモニター方法。
  12. 前記第一の生体試料及び前記第二の生体試料が、尿又は唾液である請求項5〜11のいずれか1項に記載のモニター方法。
  13. 請求項1に記載の睡眠評価用マーカーに結合する抗体若しくはアプタマー、又は前記抗体若しくは前記アプタマーが担体に固相化されたマイクロアレイを含む、睡眠評価用キット。
  14. ガムを更に含む、請求項13に記載の睡眠評価用キット。
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