JP2018005296A - デマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラム - Google Patents
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具体的には、アグリゲート事業者(アグリゲータ)が、料金設定を行ったり、ピーク時に使用を控えた需要家に対して対価を支払ったりするなどの方法でネガワット(Negative Watt)を需要家から収集することで、電力削減を促している。ここで、ネガワットとは、通常の電力需要(正の電力)と対比する意味で、電力需要の減少分(負の電力)をいう。
しかしながら、例えば、失敗時(=デマンドレスポンス要請に応えられない場合)のペナルティ条件がある場合には、需要家優先度に応じてデマンドレスポンス要請対象の需要家を選択しても、アグリゲート事業者が負担するペナルティが大きくなり、非効率なデマンドレスポンス計画となってしまう虞があった。
次に図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態の電力需給システムの概要構成ブロック図である。
電力需給システム100は、大別すると、電力供給事業者として発電電力を供給する発電事業者が運用を行い発電を行う発電事業者システム111と、電力供給事業者として商用電力を供給する系統事業者が運用を行い商用電力を供給する系統事業者システム112と、複数の需要家がそれぞれ運用を行う需要家システム114と、需要家114に対し、電力供給事業者からのデマンドレスポンス要請を実行するアグリゲート事業者が運用を行うアグリゲート事業者システム115と、電力取引市場を運営する電力取引所が運用する電力取引所システム116と、を備えている。
図3は、電力削減要請データの一例の説明図である。
電力削減要請データ41は、電力削減要請対象の日付が格納された日付データ42と、要請対象の電力削減の実施時間帯を格納した一又は複数の実施時刻データ43と、各実施時刻データ43にそれぞれ対応する一又は複数の削減目標データ44と、を備えている。
図4においては、理解の容易のため、需要家として四需要家(需要家A〜需要家D)が存在する場合を例として説明する。
図5においても、理解の容易のため、需要家として四需要家(需要家A〜需要家D)が存在する場合を例として説明する。
デマンドレスポンス要請データ60は、大別すると、デマンドレスポンス要請対象の需要家を示す要請対象データ61と、デマンドレスポンス要請データ62と、を備えている。
これらの結果、要請通りの電力削減がなされれば、合計2000.0(=700.0+500.0+800.0)kwhの電力削減が行えることとなる。
図7は、実施形態の動作フローチャートである。
まず最適デマンドレスポンス計画選択部34は、需要家の最適組合せを格納する集合S*を空集合(=φ)とし、デマンド要請におけるペナルティ最小値(=優先度ペナルティと達成度ペナルティの和)を格納する変数であるペナルティ最小値LeastCostを無限大(+∞)の値に設定する初期化を行う(ステップS1)。
すなわち、
S←S0
とする。
需要家組合せSの作成方法としては、ランダムに作成したり、全ての組合せをしらみつぶしに作成するようにしたり、直前に作成した需要家組合せSに近い組合せ(需要家の一部を他の需要家と置き換えたり、削除したり、新たな需要家を追加する等)を選択したりするようにしてもよい。あるいは、シミューレーティッドアニーリング、タブーサーチ、遺伝的アルゴリズム等の公知のメタヒューリスティック手法を用いて作成するようにしてもよい。
需要家優先度は、デマンドレスポンス要請を行うに際して、優先的にデマンドレスポンス要請を行う度合いを示すものであり、本実施形態では、より需要家優先度の値が小さいほど優先度が高いものとする。
以下の説明においては、需要家として、需要家A〜需要家Eの5つの需要家がいるものとする。
すなわち、優先度は、需要家Aが一番高く、需要家A→需要家B→需要家C→需要家D→需要家Eの順番で低くなるものとする。
まず、図8に示した様に需要家優先度が設定されている場合に、デマンドレスポンス要請候補の需要家を需要家A、需要家B及び需要家Cとした場合の優先度ペナルティPriorityPenaltyの計算例を説明する。
図9は、マンドレスポンス要請候補の需要家を需要家A、需要家B及び需要家Cとした場合の優先度ペナルティPriorityPenaltyの計算例の説明図である。
本実施形態においては、各需要家の優先度ペナルティは、予め設定された需要家優先度の値と、各需要家をデマンドレスポンス要請候補として設定した順番である事後優先度の値の差として定義し、優先度ペナルティPriorityPenaltyは、各需要家の需要家優先度と事後優先度の値との差の自乗値の和と定義している。
従って、図9に示すように、需要家Aの需要家優先度=1とし、需要家Bの需要家優先度=2とし、需要家Cの需要家優先度=3とし、需要家Dの需要家優先度=4とし、需要家Eの需要家優先度=5に対し、要家Aの事後優先度=1となり、需要家Bの事後優先度=2となり、需要家Cの事後優先度=3となり、需要家Dの事後優先度=4となり、需要家Eの事後優先度=5となった場合に、デマンドレスポンス要請候補の需要家を需要家A、需要家B及び需要家Cとした場合の優先度ペナルティPriorityPenalty(S)は、
PriorityPenalty(S)=0
となる。
図10に示すように需要家Aの事後優先度=1となり、需要家Bの事後優先度=4となり、需要家Cの事後優先度=2となり、需要家Dの事後優先度=3となり、需要家Eの事後優先度=5となった場合に、デマンドレスポンス要請候補の需要家を需要家A、需要家C及び需要家Dとした場合の優先度ペナルティPriorityPenalty(S)は、
PriorityPenalty(S)
=(1−1)^2+(2−4)^2+(3−2)^2
+(4−3)^2+(5−5)^2
=0+4+1+1+0
=6
となる。
従って、図11に示すように需要家Aの事後優先度=1となり、需要家Cの事後優先度=2となり、需要家Cの事後優先度=2となり、需要家Dの事後優先度=3となり、需要家Eの事後優先度=3となった場合に、デマンドレスポンス要請候補の需要家を需要家A、需要家C及び需要家Eとした場合の優先度ペナルティPriorityPenaltyは、
PriorityPenalty(S)
=(1−1)^2+(2−4)^2+(3−2)^2
+(4−5)^2+(5−3)^2
=0+4+1+1+0
=10となる。
まず最適デマンドレスポンス計画選択部34、需要家の電力削減状態(例えば、電力削減失敗時)に対応するペナルティ関数を作成する(ステップS12)。
ここで、ペナルティ関数としては、削減目標に対する削減実績の平均二乗誤差関数を用いる場合、削減目標を中心値とする井戸型関数を用いる場合、削減目標未達の場合にのみペナルティを課す関数等が挙げられる。
この場合において、需要家ごとに独立に分布関数を推定する手法を用いてもよいし、需要家の各組合せに対する分布関数を推定する手法を用いてもよい。また、ヒストグラムを作ってそのまま削減量をサンプリングに用いる手法を使ってもよいし、正規分布などの関数形を仮定してパラメータ推定した上でサンプリングする手法を用いてもよい。
需要家組合せS(k)の作成方法としては、ランダムに作成したり、全ての組合せをしらみつぶしに作成するようにしたり、直前に作成した需要家組合せS(k−1)に近い組合せ(需要家の一部を他の需要家と置き換えたり、削除したり、新たな需要家を追加する等)を選択したりするようにしてもよい。あるいは、シミューレーティッドアニーリング、タブーサーチ、遺伝的アルゴリズム等の公知のメタヒューリスティック手法を用いて作成するようにしてもよい。
ここで、t回目の需要家iの削減量をxtiとする。
このとき需要家の削減量の合計量は、次式で表される。
Penalty<penalty_min
Penalty<penalty_min
を満たしていると判別した場合には(ステップS17;Yes)、ペナルティ最小値penalty_minにステップS16で計算したペナルティ期待値Penaltyを代入して置き換え、集合S*を需要家組合せS(k)とする(ステップS18)。
penalty_min←Penalty
S*←S(k)
そして、処理を再びステップS15に移行し、k=k+1とし、k=kmaxとなるまで同様の処理を繰り返す。
Penalty≧penalty_min
の場合、すなわち、
Penalty<penalty_min
を満たしていないと判別した場合には(ステップS17;No)、処理を再びステップS15に移行し、k=k+1とし、k=kmaxとなるまで同様の処理を繰り返す。
説明の簡略化のため、全体として5つの需要家A〜Eのうち、需要家A、C、Dにデマンドレスポンス要請を行って電力を削減する場合を例として説明する。
また、各スロットにおける削減目標値は、説明の簡略化のため、全て100kWhであるものとする。
第1スロットから第6スロットにおける自乗誤差の和を求め、さらに自乗和の平方根をとることで、達成度ペナルティTargetPenalty(S)を求めている。
達成度ペナルティTargetPenalty(S)
=√(5625+5625+25+900+900+900)
=118.2
となっている。
LeastCost≧PriorityPenalty(s)
+TargetPenalty(S)
を満たしているか否かを判別する。
LeastCost≧PriorityPenalty(s)
+TargetPenalty(S)
を満たしている場合には(ステップS6;Yes)、ペナルティ最小値LeastCostを更新する(ステップS7)。
LeastCost=PriorityPenalty(s)
+TargetPenalty(S)
とし、需要家の最適組合せを格納する集合S←需要家組合せパラメータSとして処理をステップS8に移行する。
LeastCost≧PriorityPenalty(s)
+TargetPenalty(S)
を満たしていない場合には、すなわち、
LeastCost<PriorityPenalty(s)
+TargetPenalty(S)
である場合には(ステップS6;No)、需要家組合せの次候補N(s)を作成して、需要家組合せパラメータSに設定する(ステップS8)。
そして、再び処理をステップS3に移行し、ループパラメータnがnの最大値Nmaxとなるまで同様の処理を繰り返すこととなる。
図14に示すように、n=1〜5までの範囲で、すなわち、需要家組合せパラメータS=S0〜S4の範囲で、優先度ペナルティPriorityPenalty(s)及び達成度ペナルティTargetPenalty(S)の和(ペナルティ合計)は、
91.5→107.4→131.1→91.0→77.4
と変化しており、この範囲で、ペナルティ最小値LeastCostは、
91.5→91.5→91.5→91.0→77.4
と変化して、徐々にペナルティ最小値LeastCostが更新されていることとなる。
また、需要家の電力需要を賄いつつ、より一層の収益を上げることが可能となる。
となる。
以上の説明においては、アグリゲート事業者に課される優先度ペナルティ及び達成度ペナルティの和(例えば、ペナルティ金額)を最小化する手法について述べたが、電力会社から得られる金額、需要家に支払うインセンティブ額もしくはアグリゲート事業者として受け取るインセンティブ額または支払う罰金額を考慮して、「アグリゲート事業者が得る金額−アグリゲート事業者が支払う罰金額」を最大化するような最適化を実施しても構わない。この場合、実施形態におけるステップS4及びステップS5の処理において、期待値計算部分を入れ替えるだけで実現可能である。
デマンドレスポンス計画装置10は、CPUなどの制御装置71と、キーボードやマウスなどの入力装置72と、ディスプレイ装置などの表示装置73と、通信ネットワークなどを介して外部装置と通信を行う通信装置74と、ROM、RAMなど半導体記憶装置あるいは、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置を含む記憶装置75と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
11 デマンドレスポンス計画最適化部
12 通信I/F部
13 操作入力部
14 表示部
15 入出力I/F部
16 履歴情報作成部
17 需要家履歴データベース
18 優先度計算部
19 削減目標情報データベース
21 契約情報データデータベース
21A 実施時刻データ
21B 電力削減可能量データ
31 目標達成度ペナルティ計算部
32 優先度ペナルティ計算部
33 組合せ作成部
41 電力削減要請データ
42 日付データ
43 実施時刻データ
44 削減目標データ
51 日付データ
52 実施時刻データ
53 電力削減データ
54 平均削減量データ
55 標準偏差データ
60 デマンドレスポンス要請データ
61 要請対象データ
62 デマンドレスポンス要請データ
71 制御装置
72 入力装置
73 表示装置
74 通信装置
75 記憶装置
100 電力需給システム
111 発電事業者システム
112 系統事業者システム
114 需要家システム(需要家)
115 アグリゲート事業者システム
116 電力取引所システム
PriorityPenalty(s) 優先度ペナルティ
TargetPenalty(S) 達成度ペナルティ
Claims (8)
- 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置であって、
前記デマンドレスポンスの要請に際し、前記デマンドレスポンスの要請を行う需要家の優先度を表す需要家優先度を予め格納した需要家優先度に関する情報を予め記憶する優先度情報記憶部と、
需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との差に基づいて課されると予測される達成度ペナルティ期待値及び前記需要家優先度を満たしていない場合に課される優先度ペナルティ期待値に基づいてペナルティ期待値を算出するペナルティ算出部と、
前記ペナルティ期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する計画作成部と、
を備えたデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記達成度ペナルティ期待値に達成度ペナルティ重みを乗じた重み付け達成度ペナルティ期待値及び前記優先度ペナルティ期待値に優先度ペナルティ重みを乗じた重み付け優先度ペナルティ期待値を算出し、
前記計画作成部は、前記重み付け達成度ペナルティ期待値及び前記重み付け優先度ペナルティ期待値の和を最小化する場合を前記前記ペナルティ期待値を最小化する場合とする、
請求項1に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づいて、前記達成度ペナルティの期待値を算出する、
請求項1又は請求項2に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づいて、電力削減量の予測分布を作成し、作成した前記予測分布に基づいて前記達成度ペナルティの期待値を算出する、
請求項2記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 前記ペナルティ算出部は、前記需要家の過去の需要電力削減の履歴に基づくとともに、前記需要家の電力需要の削減量の共分散を考慮して電力削減量の予測分布を作成し、作成した前記予測分布に基づいて前記ペナルティの期待値を算出する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - アグリゲート事業者に課されるペナルティ金額を最小化する場合を前記期待値の最小化とし、あるいは、前記作成したデマンドレスポンス計画の実行に伴って前記アグリゲート事業者が得られる金額から前記アグリゲート事業者が支払う金額を差し引いた金額を最大化する場合を前記期待値の最小化とした、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のデマンドレスポンス計画装置。 - 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置で実行される方法であって、
前記デマンドレスポンスの要請に際し、前記デマンドレスポンスの要請を行う需要家の優先度を表す需要家優先度を予め格納した需要家優先度に関する情報を予め記憶する過程と、
需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との差に基づいて課されると予測される達成度ペナルティ期待値及び前記需要家優先度を満たしていない場合に課される優先度ペナルティ期待値に基づいてペナルティ期待値を算出する過程と、
前記ペナルティ期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する過程と、
を備えた方法。 - 電力供給事業者からの要求に基づいて複数の需要家のうちから選択した需要家に対して需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンスを計画するデマンドレスポンス計画装置をコンピュータにより制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記デマンドレスポンスの要請に際し、前記デマンドレスポンスの要請を行う需要家の優先度を表す需要家優先度を予め格納した需要家優先度に関する情報を予め記憶する手段と、
需要電力の削減要請対象の前記需要家の組合せ毎に前記電力供給事業者との契約情報及び前記需要家との契約情報に基づいて前記需要電力の削減目標と前記需要家の組合せ毎の需要電力の削減予測量との差に基づいて課されると予測される達成度ペナルティ期待値及び前記需要家優先度を満たしていない場合に課される優先度ペナルティ期待値に基づいてペナルティ期待値を算出する手段と、
前記ペナルティ期待値を最小化する前記需要家の組合せに対応する需要家に需要電力の削減を要請するためのデマンドレスポンス計画を作成する手段と、
して機能させるプログラム。
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JP2016126936A JP6725336B2 (ja) | 2016-06-27 | 2016-06-27 | デマンドレスポンス計画装置、方法及びプログラム |
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CN113033953A (zh) * | 2021-02-07 | 2021-06-25 | 国网浙江省电力有限公司金华供电公司 | 一种基于大数据的用户侧需求响应决策建议方法 |
JP7482012B2 (ja) | 2020-12-04 | 2024-05-13 | 株式会社東芝 | 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム |
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2016
- 2016-06-27 JP JP2016126936A patent/JP6725336B2/ja active Active
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CN113033953A (zh) * | 2021-02-07 | 2021-06-25 | 国网浙江省电力有限公司金华供电公司 | 一种基于大数据的用户侧需求响应决策建议方法 |
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