JP2018004483A - 磁気特性測定方法および磁気特性測定装置 - Google Patents

磁気特性測定方法および磁気特性測定装置 Download PDF

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成弘 岩田
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一彦 野口
智裕 尾崎
Tomohiro Ozaki
智裕 尾崎
由紀 小池
Yuki Koike
由紀 小池
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Abstract

【課題】測定対象を破壊することなく外部磁場にも影響されにくい磁気特性測定方法及び磁気特性装置を提供する。
【解決手段】磁気特性測定方法は、励磁コイル11が巻回された磁性体からなる励磁用部材10の2つの端部10A、10Bを測定対象200に接触させ、励磁コイル11に供給する電流を変化させながら測定対象200の表面に誘起される電位差を探針対21で測定し、励磁コイル11に供給する電流の変化に対する測定対象200の表面の電位差の変化に基づいて測定対象200の磁気特性を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気特性の測定方法および測定装置に関する。
磁性材料の磁気特性を測定する方法として、例えばリング状試験やエプスタイン試験等が広く利用されている。具体的にはリング状試験は、測定対象の磁性材料で形成されたリング状(トロイダル状)の試験片に励磁コイルを巻回し、その励磁コイルに電流を供給することで試験片の内部に磁場を発生させる。そしてリング状試験は、同じく試験片に巻回した検出コイルに誘起される電圧を検出することにより、印加磁場に対する磁束密度を算出して磁性材料のB−H特性を評価する。またエプスタイン試験は、磁性材料で形成された短冊状の測定対象試験片を励磁、検出コイルが巻かれた試験枠の中に井桁状となるよう組み、リング状試験と同様の方法により磁性材料の磁気特性を測定する。
上述のような磁気特性の測定方法は、磁性材料の磁気特性を正確に測定できる反面、磁性材料を所定の形状に加工する必要がある。すなわちリング状試験やエプスタイン試験は、例えばモータやトランス等の電磁機器を構成する磁性材料の磁気特性を測定しようとする場合、その磁性材料をリング状や短冊状に切り出して試験片を作製する必要がある。またリング状試験は、磁気特性を測定する度に試験片に励磁コイル及び検出コイルを巻回する必要がある。さらに磁性材料の磁気特性は、例えばその磁性材料を用いて製造された電磁機器の製造過程で変化してしまうことがある。そのため完成品としての電磁機器の磁気特性は、試験片により測定された磁気特性とは異なる可能性がある。よってこのような場合には完成品を破壊することなく磁気特性を直接測定することが好ましい。
特開2011−27475号公報
測定対象の磁気特性を非破壊で測定可能な方法として、探針及びコイルを備えた磁気測定センサが公知である(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に記載された先行技術は、より具体的には、測定対象の電磁鋼板を交流励磁し、そのときに鋼板の表面に生じる電位差を探針によって測定して磁束密度を算出するとともに、電磁鋼板の表面から生じる磁場の強さをコイルによって測定して磁場の強さを算出している。尚、特許文献1には測定対象を励磁する具体的な方法は記載されていない。
しかしながら特許文献1に記載された先行技術は、測定対象から発生する磁場の強さを測定するためのコイルを設け、そのコイルを測定対象の表面付近に配置している。そのため特許文献1に記載された先行技術は、例えば測定対象の表面のうち測定箇所以外から発生する磁場や、測定対象以外から発生する磁場の影響を受けてしまう虞が生じる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、測定対象を破壊することなく外部磁場にも影響されにくい磁気特性測定方法及び磁気特性装置を提供することにある。
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、励磁コイルが巻回された磁性体からなる励磁用部材の両端部を測定対象に接触させ、前記励磁コイルに供給する電流を変化させながら前記測定対象の表面に誘起される電位差を探針対で測定し、前記励磁コイルに供給する電流の変化に対する前記測定対象の表面の電位差の変化に基づいて前記測定対象の磁気特性を求める、磁気特性測定方法である。
磁性体からなる励磁用部材の両端部を測定対象に接触させた状態で、励磁用部材に巻回された励磁コイルに電流が供給されることにより、励磁用部材は、両端部を磁極として内部に磁場が発生する。このとき測定対象は、励磁用部材の両磁極が接触する表面の2箇所を結ぶように測定対象の内部に磁場が発生する。つまり励磁用部材の一端から測定対象の内部を通って励磁用部材の他端に戻る経路が形成され、それによって閉磁路が構成される。
そして測定対象の内部に発生する磁場の強さは、閉磁路において磁気飽和が起こらない限り、励磁コイルに供給する電流によって制御される。一方、このときの測定対象の内部における磁束密度は、測定対象自体の磁気特性に依存するとともに、その状態に応じて変化する電位差を測定対象の表面に誘起する。このため測定対象の表面に配置した探針対によってその電位差の変化を測定することにより、測定対象の内部における磁束密度を算出することができる。
ここで測定対象の電位差は、具体的には、測定対象の内部に形成された磁束の向きと垂直な方向に離間した探針対を測定対象の表面に接触させることにより測定することができる。したがって励磁コイルに供給する電流の変化に対する測定対象の表面の電位差の変化に基づいて、測定対象の磁場の強さと磁束密度との関係、すなわちその測定対象の磁気特性としてのB−H特性が求められることになる。それによって例えば、測定対象が強磁性体、反磁性体、常磁性体のいずれであるかをその磁気特性に基づいて判定することができる。また当該手法は、事前に試験片を用意する必要がなく、磁場を測定するためのコイルを使用する必要もない。
これにより本発明の第1の態様によれば、測定対象を破壊することなく外部磁場にも影響されにくい磁気特性測定方法を提供することができるという作用効果が得られる。
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、磁気特性が既知である磁性体について前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定し、磁気特性が未知の磁性体で形成された測定対象について前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定し、前記磁気特性が既知である磁性体の既知の磁気特性と測定値との関係に基づいて前記測定対象の測定値から前記測定対象の磁気特性を求める、磁気特性測定方法である。
磁気特性が既知である磁性体に励磁用部材を接触させ、励磁コイルに供給される電流を変化させることによって、その磁性体の内部に発生する磁場の強さを変化させる。そして励磁コイルに供給される電流の変化と、その磁性体の表面に配置された探針対によって測定された電位差の変化との関係から、その磁性体の内部における磁束密度を算出することができる。これにより磁気特性が既知である磁性体は、測定によって磁気特性としてのB−H特性が求められる。
また磁気特性が既知である磁性体は、磁気特性としてその内部における磁場の強さと磁束密度との関係が既知である。そのため既知である磁気特性と測定によって求められた磁気特性とを比較することによって、それらの相対関係を算出することができる。そしてこの相対関係は、既知の磁気特性を真の磁気特性と見なしたときに、測定によって求められた磁気特性が真の磁気特性に対してどのように誤差を生じるかを示すことになる。そのため磁気特性が未知である磁性体で形成された測定対象に対して磁気特性を測定し、例えば測定値を前述の相対関係に基づいて補正することにより、その測定対象についてのより正確なB−H特性を求めることができる。それによって例えば、測定対象の磁性体についての磁気特性として、保磁力、残留磁束密度、透磁率、ヒステリシス損等のB−H特性を求めることができる。
これにより本発明の第2の態様によれば、前述した本発明の第1の態様による作用効果に加え、測定対象の磁性体についてのより多様な磁気特性を求めることができる。
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1又は2の態様において、前記測定対象の表面に誘起される電位差を複数の前記探針対で測定する、磁気特性測定方法である。
測定対象の表面に誘起する電位差を複数の探針対で測定することにより、例えばそれらの複数の電位差の平均値を算出することによって各探針対で測定されるノイズ成分が相殺され、より高い精度で電位差を測定することができる。
これにより本発明の第3の態様によれば、前述した本発明の第1又は2の態様による作用効果に加え、より精度の高い磁気特性の測定が可能になる。
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第1〜3のいずれかの態様において、前記探針対の探針間隔は前記励磁用部材の厚みよりも短くして前記測定対象の電位差を測定する、磁気特性測定方法である。
測定対象の内部の磁場は、励磁用部材の両磁極が接触する表面の2箇所を結ぶように測定対象の内部に発生するため、励磁用部材の厚みに応じた幅をもつことになる。そのため探針対の探針間隔を励磁用部材の厚みよりも短くすることによって、探針対は、その厚み方向に対して湾曲することなく均一な磁束の部分において測定対象の表面の電位差を測定することができる。
これにより本発明の第4の態様によれば、前述した本発明の第1〜3の態様による作用効果に加え、より精度の高い磁気特性の測定が可能になる。
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、励磁コイルと、前記励磁コイルが巻回された磁性体からなり、両端部が測定対象に接触した状態で前記励磁コイルに電流が供給されることで前記測定対象を励磁する励磁用部材と、前記測定対象が励磁されることにより前記測定対象の表面に誘起される電位差を測定する探針対を含むプローブと、前記励磁コイルに供給する電流を変化させながら前記測定対象の表面に誘起される電位差を探針対で測定し、前記励磁コイルに供給する電流の変化に対する前記プローブで測定した電位差の変化に基づいて前記測定対象の磁気特性を求める制御装置と、を備える磁気特性測定装置である。
本発明の第5の態様によれば、この磁気特性測定装置を用いて測定対象の磁気特性を求めることにより、前述した本発明の第1の態様と同様の作用効果が得られる。
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第5の態様において、前記制御装置は、前記プローブで測定した電位差の変化を記憶する記憶部を備え、前記記憶部は、磁気特性が既知である磁性体について、その既知の磁気特性と前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定した測定値との関係を示す情報を予め記憶し、前記制御装置は、磁気特性が未知の磁性体で形成された測定対象について前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定し、前記記憶部に記憶している情報に基づいて前記測定対象の測定値から前記測定対象の磁気特性を求める、磁気特性測定装置である。
本発明の第6の態様によれば、この磁気特性測定装置を用いて測定対象の磁気特性を求めることにより、前述した本発明の第2の態様と同様の作用効果が得られる。
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、前述した本発明の第5又は6の態様において、前記プローブは、複数の前記探針対を含む、磁気特性測定装置である。
本発明の第7の態様によれば、この磁気特性測定装置を用いて測定対象の磁気特性を求めることにより、前述した本発明の第3の態様と同様の作用効果が得られる。
<本発明の第8の態様>
本発明の第8の態様は、前述した本発明の第5〜7のいずれかの態様において、前記プローブは、前記励磁用部材の厚みよりも前記探針対の探針間隔が短く形成される、磁気特性測定装置である。
本発明の第8の態様によれば、この磁気特性測定装置を用いて測定対象の磁気特性を求めることにより、前述した本発明の第4の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第1実施例に係る磁気測定装置の斜視図を含む構成図である。 本発明の第1実施例に係るプローブのX−Z平面における断面図である。 本発明の第1実施例に係る励磁用部材及びプローブの平面図である。 本発明の第3実施例に係るプローブの構成を示す斜視図である。 励磁用部材が発生させる磁場の時間変化を示すグラフである。 プローブで測定される電位差の時間変化を示すグラフである。 測定された電位差に基づいて算出された磁束密度の時間変化を示すグラフである。 本発明に係る磁気測定装置によって求められたB−H特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ここで図1〜図3、図4において三次元空間の各方向を符号X、Y、Zで示す。
<第1実施例>
図1は、本発明の第1実施例に係る磁気特性測定装置100の斜視図を含む構成図である。
磁気特性測定装置100は、励磁用部材10、励磁コイル11、プローブ20、制御装置30を備える。測定対象200は、磁気特性が未知の磁性体からなり、この磁気特性測定装置100によって磁気特性が求められる。
励磁用部材10は、本実施例では積層された珪素鋼板からなり、両端部が測定対象200の表面の2箇所にそれぞれ面接触する形状の磁性体である。また励磁用部材10は、2つの端部10A、10Bが形成され、それらが測定対象200に接触するように配置される。
励磁コイル11は、励磁用部材10に巻回されるコイルであり、電流が供給されることにより励磁用部材10の内部に磁場を発生させる。このとき励磁用部材10は、2つの端部10A、10Bが磁極となって測定対象200を励磁し、2つの端部10A、10Bを結ぶように測定対象200の内部に磁場を発生させる。それにより励磁用部材10及び測定対象200には、図1において破線で示されるように閉磁路Mcが形成される。
図2は、本発明の第1実施例に係るプローブ20のX−Z平面における断面図である。
プローブ20は、図2に示すように、測定対象200の表面に設置される探針対21と、その探針間隔を保持する探針保持部材22からなる。そして測定対象200の内部に発生する磁場を構成する磁束Mfは、測定対象200の内部において探針対21を結ぶ経路23で形成されるループに鎖交することによって、ファラデーの法則に従って測定対象200の表面に電位差を誘起する。プローブ20は、その電位差の変化を探針対21で測定する。
図3は、本発明の第1実施例に係る励磁用部材10及びプローブ20の平面図である。
より詳しくは、図3は、励磁用部材10をZ方向から見た平面図を表す。そして図3に示すようにプローブ20は、励磁用部材10の2つの端部10A、10Bの間における測定対象200の表面上に設置される。このときプローブ20は、励磁用部材10の2つの端部10A、10Bが互いにY方向に離間するように配置された本実施例において、探針対21の探針間隔が互いにX方向に離間するように配置される。
測定対象200に発生する磁束Mfは、図3に一点鎖線で示されるように測定対象200の内部において励磁用部材10の2つの端部10A、10Bを結ぶように発生する。このとき2つの端部10A、10BのX方向の側端付近に生じる磁束は、図のように湾曲する。そのため探針対21は、励磁用部材10のX方向の厚みよりも探針間隔を短く形成するのが好ましい。それによって探針対21は、X方向に対して湾曲することなく均一な部分の磁束Mfに対してその表面の電位差を測定することができる。
制御装置30は、公知のマイコン制御回路であり、電源部31、測定部32、演算部33、記憶部34を含む。
電源部31は、励磁コイル11の両端に接続される2つの電源端子(図示せず)を備え、励磁コイル11に電流を供給するとともに、その電流を制御する。電源部31から励磁コイル11に供給される電流の変化と、それに対応して励磁用部材10が発生させる磁場の強さの変化との対応関係は、公知のホール素子等を用いて予め測定された上で記憶部34に記憶される。
測定部32は、プローブ20の探針対21にそれぞれ接続される2つの測定端子(図示せず)を備え、探針対21が測定した測定対象200の表面の電位差を取得する。
演算部33は、詳細を後述するように、電源部31が励磁コイル11に供給する電流の変化と測定部32が測定する電位差の変化とに基づいて、測定対象200の磁気特性を算出する。
記憶部34は、前述のように電源部31から励磁コイル11に供給される電流の変化と、それに対応して励磁用部材10が発生させる磁場の強さの変化との対応関係を記憶する。そして電源部31は、励磁コイル11に電流を供給するときに、記憶部34から読み出したその対応関係に基づいて電流を変化させる。
つづいて磁気特性測定装置100を用いた磁気特性測定の測定手順について説明する。
まず制御装置30は、測定対象200に励磁用部材10及びプローブ20が設置された後に、その磁気特性を測定する制御を開始する。
制御装置30が制御を開始すると、電源部31は、記憶部34に予め記憶された励磁用部材10についての電流の大きさと磁場の強さとの関係に基づいて、励磁コイル11に対して三角波状に変化する電流を供給する。これにより励磁用部材10は、測定対象200を励磁して内部に三角波状に変化する磁場を発生させる。
測定部32は、電源部31が励磁コイル11に電流を供給している間、プローブ20を介して測定対象200の表面の電位差を測定する。
ここで測定部32が測定する電位差は、図2に示すように測定対象200の内部において探針対21を結ぶ経路23で形成されるループに鎖交される磁束の変化に伴ってファラデーの法則に従って誘起される。すなわちこの電位差は、測定対象200の内部の磁束に対する時間微分として誘起される。
演算部33は、測定部32が測定した電位差を時間積分することにより、測定対象200の内部における磁束の大きさを算出する。また演算部33は、算出した磁束の大きさを、その磁束が鎖交する前述のループの面積で割ることにより測定対象200の内部における磁束密度を算出する。ただし前述のループの面積は未知であるため、演算部33は、その面積に替えて例えば励磁用部材10の断面積で代用することにより、測定対象200の内部における磁束密度を算出する。これにより演算部33は、測定対象200の磁気特性として磁場の強さと磁束密度との関係、すなわちB−H特性を求めることができる。
上記説明したように磁気特性測定装置100は、励磁用部材10及びプローブ20を測定対象200の表面に設置し、励磁コイル11に供給する電流の変化に対する測定対象200の表面の電位差の変化を測定する。それによって磁気特性測定装置100は、測定対象200の磁気特性としてB−H特性を求めることができる。また磁気特性測定装置100は、試験片を切り出して作製する必要がないため、測定対象200の磁気特性を非破壊で測定することができる。さらに磁気特性測定装置100は、磁場の強さを測定するためのコイルを使用しないため、測定対象の表面のうち測定箇所以外から磁場が発生する場合や測定対象以外から磁場が発生する場合であっても、その影響をほとんど受けることなく磁気特性を測定することができる。
このようにして本発明によれば、測定対象を破壊することなく外部磁場にも影響されにくい磁気特性測定方法及び磁気特性装置を提供することができる。
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例の磁気特性測定装置100は、第1実施例における測定対象200の磁気特性の測定手順において、磁気特性が既知である磁性体についての情報に基づいて、測定結果を補正する点が第1実施例の磁気特性測定装置100と異なる。以下、第1実施例と異なる部分について説明することとし、第1実施例と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例の磁気特性測定装置100は、磁気特性が未知である磁性体で形成された測定対象200の磁気特性を測定する前に、磁気特性が既知である磁性体(図示せず。以下、「既知磁性体」と言う。)についての情報を予め以下の手順で取得する。ここで既知の磁気特性とは、その磁性体のB−H特性を指す。
まず制御装置30は、測定対象200に替えて既知磁性体に励磁用部材10及びプローブ20が設置された後、その磁気特性を測定する制御を開始する。
制御装置30が制御を開始すると、電源部31は、記憶部34に予め記憶された励磁用部材10についての電流の大きさと磁場の強さとの関係に基づいて、励磁コイル11に対して三角波状に変化する電流を供給する。これにより励磁用部材10は、既知磁性体を励磁して内部に三角波状に変化する磁場を発生させる。
電源部31が励磁コイル11に電流を供給している間、測定部32は、プローブ20を介して既知磁性体の表面の電位差を測定する。
演算部33は、前述の測定対象200に対する磁気特性測定と同様の測定手順により、測定部32が測定した電位差から既知磁性体の内部における磁束密度を算出する。これにより演算部33は、測定によって既知磁性体の磁気特性を求めることができる。
また演算部33は、既知磁性体の既知の磁気特性と前述の測定によって求められた磁気特性とを比較することにより、測定によって求められた磁気特性にどのように誤差が生じるかを算出する。より具体的には、測定により算出された磁束密度の値と既知の磁気特性が示す磁束密度の値との比を同一の磁場の時間変化に対して求める。この比が例えば1対2の比である場合、測定によって算出された磁束密度は、本来の磁束密度の1/2の値として測定されていることになる。この場合、演算部33は、磁気特性が未知の磁性体に対して磁気特性を求める際には、測定によって算出された磁束密度を2倍に補正することによって、より正確な磁束密度を算出することができる。
記憶部34は、既知磁性体の既知の磁気特性と前述の測定によって求められた磁気特性との関係を示す情報を記憶する。尚、記憶部34が記憶するこの情報は、探針対21の探針間隔を変更しない限り、基本的には予め1回だけ測定して記憶すればよく、磁気特性を測定する対象を変更する度に測定する必要はない。
次に磁気特性測定装置100は、本発明の第1実施例と同様の手順によって測定対象200の磁気特性を求める。また演算部33は、記憶部34に記憶した情報を読み出し、その情報に基づいて測定対象200の磁束密度を補正する。より具体的には演算部33は、既知磁性体の測定により算出された磁束密度の値と既知の磁気特性が示す磁束密度の値との比(例えば1対2)の情報を記憶部34から読み出す。そして演算部33は、測定により算出された測定対象200についての磁束密度を2倍に補正することで、より正確な磁束密度を算出する。それによって演算部33は、測定対象200のB−H特性をより正確に求めることができる。
このように本発明に係る磁気特性測定装置100は、磁気特性が既知である磁性体についての情報に基づいて測定結果を補正することにより、測定対象200の磁気特性をより正確に求めることができる。それによって例えば、測定対象200の磁気特性として、保磁力、残留磁束密度、透磁率、ヒステリシス損等のB‐H特性を求めることができる。
<第3実施例>
次に、本発明の第3実施例について説明する。本実施例の磁気特性測定装置100は、第1実施例におけるプローブ20及び測定部32の構成が第1実施例の磁気特性測定装置100と異なる。以下、第1実施例と異なる部分について説明することとし、第1実施例と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図4は、本発明の第3実施例に係るプローブ40の構成を示す斜視図である。
プローブ40は、探針41a〜41f、探針保持部材42を備える。探針41a〜41fは、本実施例では三対の探針対(41aと41b、41cと41d、41eと41f)からなり、測定対象200の表面に接触することによりその電位差を測定する。また探針保持部材42は、探針41a〜41fの探針間隔を保持する。
測定部32は、3つの電圧計32A〜32Cを含む。電圧計32Aは、一端が探針41aに接続され、他端が探針41bに接続されている。電圧計32Bは、一端が探針41cに接続され、他端が探針41dに接続されている。電圧計32Cは、一端が探針41eに接続され、他端が探針41fに接続されている。それによって測定部32は、上記の三対の探針対でそれぞれの電位差を測定することができる。
これにより本発明の第3実施例に係るプローブ40は、測定対象200の電位差を複数の探針対で測定することができるため、例えばそれらの複数の電位差の平均値を算出することによって各探針対で測定されるノイズ成分が相殺され、より精度の高い磁気特性の測定が可能になる。
<確認実験>
出願人らは、本発明の作用効果を確認すべく、本発明の第1実施例について、磁気特性測定装置100を用いて測定対象200のB−H特性を測定する実験を行った。
1.実験条件
励磁用部材10は、X方向の長さが20mm、Y方向の長さが150mm、Z方向の長さが113mm、断面が20mm四方、端部10Aと端部10Bとの間隔が110mmとなるように形成された珪素鋼板とした。励磁コイル11は、励磁用部材10に対してY方向に100回、等間隔かつ密に巻回した。プローブ20の探針対21は、SK鋼からなる2つの探針の探針間隔が7mmになるように設定した。測定対象200は、X方向の長さが100mm、Y方向の長さが200mm、Z方向の長さが20mmの鉄系の材料からなる鋼板とした。
2.実験手順
図5は、励磁用部材10が発生させる磁場の時間変化を示すグラフである。図5において横軸は時間、縦軸が磁場の強さをそれぞれ示す。電源部31が励磁コイル11に電流を供給する時間を約5秒間とし、その5秒間の間に、励磁用部材10が測定対象200の内部に発生させる磁場を図5のように三角波状に変化させた。
電源部31が励磁コイル11に電流を供給している間、プローブ20を介して測定対象200の表面の電位差を測定した。このとき測定対象200の表面の電位差は、サンプリング周波数を100kHzとして測定した。
3.実験結果
図6は、プローブ20で測定される電位差の時間変化を示すグラフである。図6は、横軸は時間、縦軸は電位差をそれぞれ示し、より詳しくは、励磁用部材10が測定対象200の内部に三角波状に変化する磁場を発生させる期間において、測定対象200の表面に誘起される電位差が変化する状態を示す。
図7は、測定された電位差に基づいて算出された磁束密度の時間変化を示すグラフである。図7において横軸は時間、縦軸は磁束密度をそれぞれ示し、より詳しくは、励磁用部材10が測定対象200の内部に三角波状に変化する磁場を発生させる期間において、測定対象200の内部の磁束密度が時間変化する状態を表す。
図8は、本発明に係る磁気特性測定装置100によって求められたB−H特性を示すグラフである。図8は、横軸は磁場の強さ、縦軸は磁束密度をそれぞれ示し、励磁用部材10が測定対象200の内部に発生させた磁場の強さ(図5)とそのときの磁束密度(図7)との対応関係を表す。図8において測定対象200のB−H特性の波形は、いわゆる磁気ヒステリシスループを描き、測定対象200として強磁性体である鉄系鋼板の磁気特性を測定したことに整合する結果が得られた。つまり本発明に係る磁気特性測定装置100によって測定対象200の磁気特性を測定できることが実験を通して確認された。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではない。例えば前述の第1実施例において磁気特性測定装置100は、励磁用部材10及びプローブ20を測定対象200の表面に沿って変位させる機構を別途備えてもよい。それによって磁気特性測定装置100は、固定した測定対象200に対して部分ごとの磁気特性を測定することができる。
10 励磁用部材
10A、10B 端部
11 励磁コイル
20、40 プローブ
21 探針対
22、42 探針保持部材
30 制御装置
31 電源部
32 測定部
32A〜32C 電圧計
33 演算部
34 記憶部
41a〜41f 探針
100 磁気特性測定装置
200 測定対象

Claims (8)

  1. 励磁コイルが巻回された磁性体からなる励磁用部材の両端部を測定対象に接触させ、
    前記励磁コイルに供給する電流を変化させながら前記測定対象の表面に誘起される電位差を探針対で測定し、
    前記励磁コイルに供給する電流の変化に対する前記測定対象の表面の電位差の変化に基づいて前記測定対象の磁気特性を求める、磁気特性測定方法。
  2. 請求項1に記載の磁気特性測定方法において、磁気特性が既知である磁性体について前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定し、
    磁気特性が未知の磁性体で形成された測定対象について前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定し、
    前記磁気特性が既知である磁性体の既知の磁気特性と測定値との関係に基づいて前記測定対象の測定値から前記測定対象の磁気特性を求める、磁気特性測定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気特性測定方法において、前記測定対象の表面に誘起される電位差を複数の前記探針対で測定する、磁気特性測定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気特性測定方法において、前記探針対の探針間隔は前記励磁用部材の厚みよりも短くして前記測定対象の電位差を測定する、磁気特性測定方法。
  5. 励磁コイルと、
    前記励磁コイルが巻回された磁性体からなり、両端部が測定対象に接触した状態で前記励磁コイルに電流が供給されることで前記測定対象を励磁する励磁用部材と、
    前記測定対象が励磁されることにより前記測定対象の表面に誘起される電位差を測定する探針対を含むプローブと、
    前記励磁コイルに供給する電流を変化させながら前記測定対象の表面に誘起される電位差を探針対で測定し、前記励磁コイルに供給する電流の変化に対する前記プローブで測定した電位差の変化に基づいて前記測定対象の磁気特性を求める制御装置と、を備える磁気特性測定装置。
  6. 請求項5に記載の磁気特性測定装置において、前記制御装置は、前記プローブで測定した電位差の変化を記憶する記憶部を備え、
    前記記憶部は、磁気特性が既知である磁性体について、その既知の磁気特性と前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定した測定値との関係を示す情報を予め記憶し、
    前記制御装置は、磁気特性が未知の磁性体で形成された測定対象について前記励磁コイルに供給する電流の変化に対するその表面の電位差の変化を測定し、
    前記記憶部に記憶している情報に基づいて前記測定対象の測定値から前記測定対象の磁気特性を求める、磁気特性測定装置。
  7. 請求項5又は6に記載の磁気特性測定装置において、前記プローブは、複数の前記探針対を含む、磁気特性測定装置。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の磁気特性測定装置において、前記プローブは、前記励磁用部材の厚みよりも前記探針対の探針間隔が短く形成される、磁気特性測定装置。
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