JP2018002611A - 分級方法および分級装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノサイズの粒径を有する粒子を効率よく分離して回収すること。
【解決手段】分級装置10は、バブル1の乾燥物(異なる粒径を有する複数の粒子の集合物)に対して外力を付与することにより、ナノバブルの乾燥物(ナノサイズの粒径を有する粒子)を分離する分離手段40と、分離されたバブル1を回収する回収手段50とを有している。また、分離手段40は、集合物に対して外力を付与することにより、ナノバブルの乾燥物を空中に浮揚させるのが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、分級方法および分級装置に関する。
近年、医療、食品、魚介類の養殖、排水処理等の様々な分野において、マイクロサイズ(数百マイクロメートル程度)、または、ナノサイズ(数百ナノメートル程度)の粒径を有するバブルの利用が検討されている。一般に、バブルは、タンパク質や脂質等から構成された外殻と、外殻内に封入されたガスとで構成されている。
特に、医療分野では、かかるバブルを超音波造影剤として用いて、胸部や腹部等の診断対象部位を診断する超音波診断が知られている。超音波診断では、バブルを血管内へ注入し、バブルが集積した診断対象部位に超音波を照射して、診断対象部位からの反射波(反射エコー)を画像化して診断する。
また、近年では、バブルを用いた超音波治療も検討されている(例えば、特許文献1)。超音波治療では、遺伝子や薬剤(薬物)を封入したバブルを血管内へ注入し、血流により患部にまで搬送する。そして、バブルが患部付近に到達した際に、超音波をバブルに照射して、バブルを破裂させる。これにより、バブルに封入された薬物を患部に選択的に供給することができる。
種々のサイズの粒径を有するバブルの中でも、ナノサイズの粒径を有するバブル(ナノバブル)は、マイクロサイズの粒径を有するバブル(マイクロバブル)と比べて安定性が高い。このため、ナノバブルを用いることにより、超音波診断においては、より正確な診断が可能となり、超音波治療においては、より確実な治療が可能となることが期待される。
バブルの製造方法としては、過飽和バブル発生法、気液2相流旋回法が知られている。過飽和バブル発生法は、バブルの構成材料と生理食塩水とを含む混合液中にガスを高圧下で溶解させた後、減圧することにより混合液中にバブルを生成させる方法である。また、気液2相流旋回法は、上記混合液を高速で攪拌することにより、混合液の渦流を発生させて、渦流の中に十分にガスを巻き込んだ後、この渦流の発生を停止することにより混合液中にバブルを生成させる方法である。
しかしながら、これらの方法では、ナノバブルを選択的に製造することは困難であり、ナノバブルとマイクロバブルとの混合物が生成する。そこで、かかる混合物からナノバブルを効率よく分離して回収し得る方法(分級方法)、および、かかる方法を実施可能な装置(分級装置)の開発が要望されている。
特開2002−209896号公報
本発明の目的は、ナノサイズの粒径を有する粒子を効率よく分離して回収し得る分級方法および分級装置を提供することにある。
このような目的は以下の(1)〜(20)の本発明により達成される。
(1) 異なる粒径を有する複数の粒子の集合物に対して外力を付与することにより、ナノサイズの粒径を有する粒子を分離する工程と、
分離された粒子を回収する工程とを有することを特徴とする分級方法。
(2) 前記集合物にガスを供給することにより、前記集合物に対して前記外力として前記ガスの圧力を付与する上記(1)に記載の分級方法。
(3) 前記集合物に対して前記外力として振動を付与する上記(1)に記載の分級方法。
(4) 前記振動は、超音波による振動である上記(3)に記載の分級方法。
(5) 前記集合物に対して前記外力を付与することにより、前記ナノサイズの粒径を有する粒子を空中に浮揚させる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の分級方法。
(6) 前記集合物に対して前記外力として遠心力を付与する上記(1)に記載の分級方法。
(7) 前記集合物を搬送媒体により渦巻き状をなす管体内を通過させることにより、前記集合物に対して前記遠心力を付与する上記(6)に記載の分級方法。
(8) 前記分離された粒子を吸引および/または吸着することにより回収する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の分級方法。
(9) 前記粒子は、中空粒子の乾燥物である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の分級方法。
(10) 前記中空粒子は、主としてタンパク質、ポリカチオン性脂質、リン脂質、高級脂肪酸、胆汁酸、糖類、ステロール類、界面活性剤、天然および合成高分子のうちの少なくとも1種を含む両親媒性材料で構成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の分級方法。
(11) 異なる粒径を有する複数の粒子の集合物に対して外力を付与することにより、ナノサイズの粒径を有する粒子を分離する分離手段と、
分離された粒子を回収する回収手段とを有することを特徴とする分級装置。
(12) 前記分離手段は、前記集合物に対してガスを供給して、前記外力として前記ガスの圧力を付与するガス供給手段を備える上記(11)に記載の分級装置。
(13) 前記分離手段は、前記外力として振動を付与する振動付与手段を備える上記(11)に記載の分級装置。
(14) 前記振動は、超音波による振動である上記(13)に記載の分級装置。
(15) 前記分離手段は、前記集合物に対して前記外力を付与することにより、前記ナノサイズの粒径を有する粒子を空中に浮揚させる上記(11)ないし(14)のいずれかに記載の分級装置。
(16) 前記分離手段は、前記集合物に対して前記外力として遠心力を付与する遠心力付与手段を備える上記(11)に記載の分級装置。
(17) 前記遠心力付与手段は、渦巻き状をなす管体を備え、前記集合物を搬送媒体により前記管体内を通過させることにより、前記集合物に対して前記遠心力を付与する上記(16)に記載の分級装置。
(18) 前記回収手段は、前記分離された粒子を吸引する吸引手段および/または前記分離された粒子を吸着する吸着手段を備える上記(11)ないし(17)のいずれかに記載の分級装置。
(19) 前記粒子は、中空粒子の乾燥物である上記(11)ないし(18)のいずれかに記載の分級装置。
(20) 前記中空粒子は、主としてタンパク質、ポリカチオン性脂質、リン脂質、高級脂肪酸、胆汁酸、糖類、ステロール類、界面活性剤、天然および合成高分子のうちの少なくとも1種を含む両親媒性材料で構成されている上記(11)ないし(19)のいずれかに記載の分級装置。
本発明によれば、ナノサイズの粒径を有する粒子を効率よく分離して回収することができる。
乾燥前のバブルの一部を切断した状態を示す斜視図である。図1(a)は、外殻内にガスが封入されたバブルの一部を切断した状態を示しており、図1(b)および図1(c)は、外殻内にガスおよび薬物が封入されたバブルの一部を切断した状態を示す。 本発明の分級装置の第1実施形態を概念的に示す側面図である。 本発明の分級装置の第2実施形態を概念的に示す側面図である。 本発明の分級装置の第3実施形態を概念的に示す側面図である。 本発明の分級装置の第4実施形態の一部を概念的に示す側面図である。 本発明の分級装置の第5実施形態の一部を概念的に示す平面図である。 本発明の分級装置の第6実施形態を概念的に示す側面図である。 本発明の分級装置の第7実施形態を概念的に示す側面図である。 本発明の分級装置の第8実施形態を概念的に示す側面図である。
以下、本発明の分級方法および分級装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明の分級方法および分級装置による分離対象物として、バブルの乾燥物を一例に説明するが、まず、乾燥前のバブル(中空粒子)の構成について説明する。
図1は、乾燥前のバブルの一部を切断した状態を示す斜視図である。なお、図1(a)は、外殻内にガスが封入されたバブルの一部を切断した状態を示しており、図1(b)および図1(c)は、外殻内にガスおよび薬物が封入されたバブルの一部を切断した状態を示す。
まず、図1(a)に示すバブル1について説明する。
図1(a)に示すバブル1は、バブル本体を構成する外殻2(球状の膜)と、外殻2内に封入されたガス3とで構成されている。このようなバブル1は、医療、食品、魚介類の養殖、排水処理等の様々な分野に用いることができる。本実施形態では、バブル1を超音波診断用の超音波造影剤として用いる場合について説明する。以下、バブル1を構成する各成分について説明する。
外殻2は、その内側に封入されるガス3を保持する機能を有し、主として1つの分子中に疎水性と親水性との両方の性質(置換基)を有する両親媒性材料(外殻材料)で構成されている。両親媒性材料としては、特に限定されないが、例えば、アルブミンのようなタンパク質、ポリカチオン性脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチダルエタノールアミンのようなリン脂質、パルミチン酸、ステアリン酸のような高級脂肪酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸のような胆汁酸、ガラクトースのような糖類、コレステロール、シトステロールのようなステロール類、界面活性剤、天然または合成高分子、蛍光色素、抗体、標識金属等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、図1には示されていないが、外殻2を構成する両親媒性材料は、水性媒体中において、疎水基が内側に、親水基が外側になるようにして球状に配置される。この性質により、外殻2は、両親媒性材料の分子の単層で構成されるミセルや、両親媒性材料の分子の二重層で構成されるリポソーム(球状の分子膜)となる。
ガス3は、バブル1の外殻2を安定化させる機能を有し、バブル1を製造する際の温度(20℃程度)において、気体状の物質である。また、ガス3は、バブル1を血管内(体内)に注入した状態において、すなわち、体内の温度(37℃程度)においても、気体状を維持し得る物質である。
このようなガス3としては、特に限定されないが、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトンのような不活性ガス、六フッ化硫黄、十フッ化二硫黄、トリフルオロメチル硫黄ペンタフルオリドのようなフッ化硫黄、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、エチレン、プロピレン、プロパジエン、ブテン、アセチレン、プロピン、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタンのような低分子量炭化水素類またはこれらのハロゲン化物、ジメチルエーテルのようなエーテル類、ケトン類、エステル類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの物質の中でも、特に、六フッ化硫黄、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタンが好ましい。これらのガスが封入されたバブル1は、体内において安定性が高く、血管を通して患部(治療対象部位)または診断対象部位までより確実に搬送される。
これらの成分で構成されたバブル1の粒径は、後述するバブルの製造方法の各工程の条件を変更することにより変化する。また、製造されるバブル1は、マイクロサイズ(数百マイクロメートル程度)の粒径を有するマイクロバブルと、ナノサイズ(数百ナノメートル程度)の粒径を有するナノバブルとの混合物となる。
このようなバブル1(外殻2)は、主に10nm〜1000μm程度の範囲の粒径を有する。上記範囲の粒径を有するバブル1は、注射により血管内に注入した際に、血流により血管内を円滑に搬送される。特に、ナノバブルは、血管内での安定性が高いため、ほぼ消滅することなく、目的の部位まで確実に搬送される。
一般的に、気体を内包するバブルは、外殻と気体との界面において効率良く超音波を反射する性質を有している。そのため、上記範囲の粒径を有するバブル1は、外殻2とガス3との界面の面積が十分に大きく、超音波造影剤として有効に用いられる。特に、ナノバブルは、安定性が十分に高いため、超音波造影剤としての用途のみならず、上述したような様々な分野で積極的に用いることができる。
次に、図1(b)および図1(c)に示すバブル1について説明する。
図1(b)および図1(c)に示すバブル1は、バブル本体を構成する外殻2と、外殻2内に封入されたガス3および薬物4とで構成されている。このようなバブル1は、超音波治療および超音波診断に好適に用いられる。なお、図1(b)では、薬物4が気体状態あるいは固体状態で外殻2内に封入されているバブル1を示しており、図1(c)では、薬物4が液体状態で外殻2内に封入されているバブル1を示している。
外殻2は、その内側に封入されるガス3や薬物4をバブル1内に保持し、患部に搬送されるまで薬物4を保護する機能を有している。外殻2の構成材料としては、前述した図1(a)に示すバブル1の外殻2の構成材料と同様の材料を用いることができる。ガス3は、バブル1の外殻2を安定化させる機能を有し、前述した図1(a)に示すバブル1のガス3と同様の物質を用いることができる。
また、薬物4としては、例えば、前立腺癌、子宮筋腫、心筋梗塞、脳梗塞等の様々な疾病の治療に有効な成分を用いることができる。薬物4は、外殻2内に封入された状態で患部にまで運搬され、超音波照射により患部付近で外殻2を破裂させることにより、患部に供給される。なお、薬物4は、ガス3とともに外殻2内に封入されてもよいし、外殻2自体に含有または吸着されてもよい。
このような薬物4としては、例えば、ペプチド、抗体、オリゴ糖、多糖、遺伝子、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム、トリプルヘリックス分子、ウイルスベクター、プラスミド、低分子有機化合物、抗癌剤、金属等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
薬物4とガス3との体積比率は、1:99〜90:10程度であるのが好ましく、10:90〜70:30程度であるのがより好ましく、40:60〜60:40程度であるのがさらに好ましい。薬物4とガス3との体積比率が上記範囲内であれば、バブル1の安定性が向上し、患部付近までより確実にバブル1を搬送することができる。また、患部付近で外殻2を破裂させた際に、十分な量の薬物4を患部に対して供給することができ、患部をより効果的に治療することができる。
なお、薬物4の種類や含有量は、疾病の種類、患部の大きさ等に応じて適宜決定される。
これらの成分で構成されたバブル1の粒径は、図1(a)に示すバブル1と同様に、後述するバブルの製造方法の各工程の条件を変更することにより変化する。
ここで、癌細胞が存在する患部では、その周囲の正常血管から癌細胞へと、正常血管よりも細径の新生血管が伸びているが、平均粒径が200〜300nm程度のバブル1であれば、新生血管内をも円滑に搬送され、癌細胞にまで到達させることができる。すなわち、かかるバブル1は、癌治療に好適に用いることができる。また、一部のバブル1を、血管壁を通過させて、癌細胞に取り込ませることもできる。
また、平均粒径が600〜900nm程度のバブル1は、脳の血管内を円滑に搬送させるとともに、その位置を超音波画像において確実に特定することができる。すなわち、かかるバブル1は、脳治療(例えば、脳血管内治療等)に好適に用いることができる。
なお、図1(a)〜(c)に示すバブル1の平均粒径は、例えば、レーザー回折・散乱法、ナノ粒子トラッキング解析法、電気抵抗法、AFM(Atomic Force Microscope)、レーザー顕微鏡による観測等により測定することができる。また、AFMを測定する装置としては、例えば、Malvern社製の共振式粒子計測システム(商品名:アルキメデス)を用いることができる。
このようなバブル1は、前述したような過飽和バブル発生法および気液2相流旋回法、Precision NanoSystems社製の「NanoAssemblr」のような超高速ナノ医薬作製装置等を用いる方法の他、例えば、以下に記載する方法により製造することができる。
まず、外殻2の構成材料(外殻材料)および/または薬物4を水性媒体に溶解させた混合液を用意する。なお、薬物4自体が外殻2を構成する場合、混合液は、外殻材料を含有しなくてもよい。次に、この混合液とガスとを密閉容器内に充填した後、混合液が容器の内面に繰り返し衝突するように密閉容器を激しく振動させるか、あるいは混合液に超音波を付与する。
混合液が外殻材料を含有する場合、混合液中の外殻材料の含有量は、外殻材料と水性媒体との組み合わせによっても若干異なるが、臨界ミセル濃度(CMC)以上であるのが好ましい。具体的には、混合液中の外殻材料の含有量は、0.01〜50wt%程度であるのが好ましく、0.1〜20wt%程度であるのがより好ましい。
また、混合液が薬物4を含有する場合、混合液中の薬物4の含有量は、0.1〜50wt%程度であるのが好ましく、20〜50wt%程度であるのがより好ましい。これにより、製造されるバブル1に十分な量の薬物4を含有させることができる。その結果、バブル1の患部に対する治療効果をより向上させることができる。
水性媒体としては、特に限定されないが、例えば、水(蒸留水)、生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水)、ショ糖と蒸留水とを混合したショ糖溶液等を用いることができる。
なお、密閉容器内の圧力を1.0atmよりも大きい値に設定することにより、混合液中に生成するバブル1の粒径および数(含有量)を調整することができる。
密閉容器を振動させる場合、例えば、ビーズ方式の高速細胞破砕システム(ホモジナイザー)を用いることができる。このシステムの具体例としては、バーティンテクノロジーズ(bertin Technologies)社製のプレセリーズ(Precellys)等が挙げられる。
また、混合液が密閉容器に衝突する際に発生する衝撃波の圧力は、40kPa〜1GPa程度であるのが好ましい。これにより、混合液中により微細かつ均一なバブル1を生成させることができる。なお、衝撃波の圧力が大きくなるほど、より微細なバブル1を生成させることができる。一方、混合液に超音波を付与する場合、その周波数は、20kHz〜10MHz程度(特に、200kHz〜1MHz程度)、その強度は、10mW/cm〜1000W/cm程度(特に、100mW/cm〜100W/cm程度)であるのが好ましい。
このような方法によれば、大掛かりなシステムを必要とせず、バブル1を容易かつ大量に製造することができる。また、バブル1の製造に密閉容器(気密容器)を用いるため、混合液およびガスを密閉容器内に充填した後、例えばγ線滅菌等による滅菌処理を施しておけば、バブル1を滅菌環境下で製造することができる。したがって、このようにして製造されたバブル1は、食品分野や医療分野等に好適に用いることができる。
また、得られたバブル1は、混合液中で安定的に存在することができる。そのため、得られたバブル1を収納した密閉容器は、室温にて6〜24か月間もの長期間にわたって保存することができる。また、長期間保存後も、混合液中のバブル1の数が実質的に減少しないため、使用前に、再度、密閉容器を振動させたりする必要がない。よって、かかるバブル1を収納した密閉容器は、医療機関等にとっては取扱い易い。また、容量が小さい密閉容器を用いることができるので、密閉容器の単価を抑えることもできる。
得られたバブル1は、患者の超音波診断に用いられる。
具体的には、まず、注射器の注射針を密閉容器のゴム栓に穿通する。次に、密閉容器内からバブル1を含有する混合液を注射器内に吸引する。注射針をゴム栓から抜去した後、患者の血管(例えば静脈)に穿刺して、混合液を血管内に注入する。これにより、バブル1は、血流により患部(診断対象部位)に搬送される。
次いで、バブル1が診断対象部位に到達するタイミングで、外殻2が破裂しない程度の周波数および強度を有する診断用超音波をバブル1に照射(放射)する。その後、診断対象部位から反射される信号(反射エコー)を受信して、データ処理することにより、診断対象部位を画像化する。これにより、超音波診断を行うことができる。
なお、超音波の照射およびバブル1からの反射波を受信するデバイスとしては、公知の超音波探触子を用いることができる。
さらに薬物4を含有するバブル1は、超音波治療に用いることができる。この場合、バブル1が患部付近に到達した際に、外殻2が破裂する程度の周波数および強度を有する治療用超音波を照射して外殻2を破裂させる。これにより、外殻2内の薬物4を患部に選択的に供給(付与)して、患部を治療することができる。
また、この場合、超音波治療と超音波診断とを組み合わせて行うのも有効である。具体的には、血管内のバブル1に対して、診断用超音波を照射して、その反射波をモニタリングする。これにより、バブル1の血管内(体内)での位置や挙動を正確に把握することができる。バブル1が目的の患部付近に到達したときに、治療用超音波を照射してバブル1を破裂させる。これにより、患部に対して、より正確かつ選択的に薬物を供給して、治療することができる。
なお、治療用超音波の強度は、0.1〜30W/cm程度であるのが好ましく、0.5〜10W/cm程度であるのがより好ましい。治療用超音波の強度を上記範囲内とすることにより、より確実にバブル1を破裂させることができるとともに、患部周辺の正常細胞へ与えるダメージを無くすか低減することができる。なお、治療用超音波の強度が上記範囲内である場合、その照射時間は、10〜120秒程度であるのが好ましく、30〜60秒程度であるのがより好ましい。
また、治療用超音波の周波数は、100kHz〜10MHz程度であるのが好ましく、700kHz〜1MHz程度であるのがより好ましい。治療用超音波の周波数を上記範囲内とすることにより、より低い強度の超音波でバブル1を破裂させることができる。
なお、ガス3として、前述した水性媒体に溶解性の高い成分(例えば、二酸化炭素等)を用いる場合には、バブル1を製造してから所定の時間経過すると、外殻2内のガス3が水性媒体中に溶け出す。その後、外殻2内のガス3が完全に水性媒体中に溶け出すと、外殻2内に薬物4のみが封入された状態となる。すなわち、このようなバブル1は、外殻2内に薬物4のみが封入されるリポソームまたはミセルとなる。したがって、これらをそのまま薬剤として用いることもできる。
また、バブル1は、超音波診断および超音波治療以外にも、様々な分野で用いることができる。例えば、バブル1は、水や食材に対する殺菌効果を有するとともに、食材の鮮度を維持する効果を有する。さらに、バブル1、水および油分(疎水性成分)を含む液体中では、水に対して多量の油分を混合することができる。この効果を利用して、食材中の水分と油分との分離を抑制して調理することも可能である。したがって、バブル1を含有する混合液を食品分野に用いることも可能である。
前述したように、バブル1の高い安定性、優れた治療効果等を得る観点から、マイクロバブルよりもナノバブルを使用する方が有利である。したがって、本発明では、得られたバブル1からナノバブルを効率よく分離して回収する方法(分級方法)、および、かかる方法を実施可能な装置(分級装置)を提供する。
以下、本発明の分級方法および分級装置について詳述する。
<第1実施形態>
まず、本発明の分級方法および分級装置の第1実施形態について説明する。
図2は、本発明の分級装置の第1実施形態を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
図2に示す分級装置10は、チャンバ20と、バブル1の乾燥物(異なる粒径を有する複数の粒子の集合物)を載置する載置部30と、バブル1の乾燥物に対して外力を付与することにより、ナノバブルの乾燥物(ナノサイズの粒径を有する粒子)を分離する分離手段40と、分離されたバブル1の乾燥物を回収する回収手段50とを有している。
なお、バブル1の乾燥物は、上述のようにして得られたバブル1を含有する混合液を、例えば、Michael Wiggenhorn, “Scale-Up of Liposome Manufacturing: Combining High Pressure Liposome Extrusion with Drying Technologies”, Ludwig-Maximilians-Universitat, 2007、J. G. Day, et al., “Cryopreservation and Freeze Drying Protocols Second Edition”, Methods In Molecular Biology, Volume 368, Humana Press, 2007、J. Dua, et al., “Liposome: methods of preparation and applications”, Int. J. Pharm. Stud. Res., 2012, p. 14-20等に記載の凍結乾燥法を用いて乾燥させることにより容易に得ることができる。
また、以下では、バブル1の乾燥物を単に「バブル1」と、ナノバブルの乾燥物を単に「ナノバブル」と言う。
本実施形態では、分離手段40は、バブル1に対してガスGを供給して、外力としてガスGの圧力を付与するガス供給手段で構成されている。ガスGをバブル1に向かって供給(噴射)すると、バブル1の一部(すなわちナノバブル)が空中に浮揚する。また、回収手段50は、分離されたナノバブルを吸引して回収する吸引手段で構成されている。
以下、分級装置10を構成する各部について、順次説明する。
載置部30は、チャンバ20内の底部に設けられている。この載置部30は、上面に凹没して形成され、バブル1を載置(収納)する凹部310を備える載置容器31で構成されている。凹部310に載置されたバブル1に向かって、分離手段40(ガス供給手段)からガスGが噴射され、ナノバブルを空中に浮揚させることにより分離する。本実施形態では、凹部310の底面311は、湾曲凹面で構成されている。これにより、ナノバブルを横方向より上方向に向かって優先的に浮揚させることができ、ナノバブルの回収率を向上させることができる。
分離手段40は、チャンバ20内において、載置部30の鉛直上方に設けられた噴射ノズル41と、チャンバ20外に設けられたガスボンベ42と、噴射ノズル41とガスボンベ42とを接続するガス供給ライン43と、ガス供給ライン43の途中に設けられたバルブ44とを備えている。なお、ガス供給ライン43のチャンバ20内の部分は、噴射ノズル41をチャンバ20に固定するための固定部を構成している。また、バルブ44は、ガスボンベ42のガス供給ライン43との接続部に設けるようにしてもよい。
かかる分離手段40によれば、ガスボンベ42内に収納されたガスGは、ガス供給ライン43を介して噴射ノズル41に供給され、噴射ノズル41の先端からバブル1に向かって噴射(供給)される。これにより、バブル1に対してガスGの圧力(ガス圧)による外力を付与することができる。なお、バルブ44の開度を変更することにより、ガスGの噴射速度、すなわち、バブル1に付与されるガス圧を調節することができる。その結果、浮揚するナノバブルのサイズを設定することができる。
具体的には、バルブ44の開度を大きくすれば、ガスGの噴射速度(バブル1に付与されるガス圧)が高くなり、浮揚するナノバブルのサイズ(平均粒径)が大きくなる。一方、バルブ44の開度を小さくすれば、ガスGの噴射速度が低くなり、浮揚するナノバブルのサイズが小さくなる。なお、ガスGの噴射速度は、浮揚させるべき(回収すべき)ナノバブルのサイズ、バブル1(外殻2)の質量等に応じて適宜設定される。
ガスGとしては、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、フッ素、フッ素系ガス、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトンのような不活性ガス、フッ素系ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、ガスGは、そのまま噴射してもよいが、プラズマ化して噴射するようにしてもよい。ガスGをプラズマ化する場合、分級装置10には、噴射ノズル41内に設けられた一対の電極と、これらの電極に電力を供給する電源とを備えるプラズマ化手段がさらに設けられる。
かかるプラズマ化手段を設けることにより、用いるガスGの種類に応じて、ナノバブルの表面に各種特性を付与することができる。例えば、酸素およびアルゴンを含有するガスGを用いれば、発生する酸素プラズマによりナノバブルの表面の親水性を向上させることができる。また、例えば、フッ素および窒素を含有するガスGを用いれば、発生するフッ素プラズマによりナノバブルの表面の撥液性を向上させることができ、その結果、ナノバブルの凝集を効果的に抑制することができる。
なお、噴射ノズル41は、移動機構を介してチャンバ20内に設け、載置部30に対して接近および離間可能(鉛直方向に沿って移動可能)となっていてもよい。これにより、バルブ44の開度を変更するとともに、噴射ノズル41と載置部30との離間距離を変更することにより、バブル1に付与されるガス圧をより多段階で調節することができるようになる。
回収手段50は、チャンバ20の天井に設けられた受け部51と、チャンバ20外に設けられた吸引ポンプ52と、受け部51と吸引ポンプ52とを接続する回収ライン53と、回収ライン53途中に設けられた捕集器54とを備えている。また、捕集器54内の出口付近には、回収すべきナノバブルの最小粒径とほぼ等しいか若干小さい開口サイズのフィルタ541が設けられている。
かかる回収手段50によれば、吸引ポンプ52によりチャンバ20内のガスを吸引すると、浮揚したナノバブルがガスごと回収ライン53を介して、捕集器54に搬送されて補集(回収)される。
受け部51のチャンバ20側の開口面積は、回収ライン53側の開口面積より大きくなっており、受け部51の内周面は、テーパ面(円錐台側面または角錐台側面)を構成している。これにより、ナノバブルをチャンバ20内から回収ライン53内へ円滑に誘導することができる。
ここで、回収されるナノバブルは、全てがナノサイズの粒径を有するバブル1であるのが好ましいが、若干マイクロバブル(マイクロサイズの粒径を有するバブル1)を含んでいてもよい。なお、受け部51のチャンバ20側に、1μm程度の開口サイズのフィルタを設けることにより、回収されるナノバブル中にマイクロバブルが混在するのをより確実に抑制または防止することができる。
したがって、回収すべきナノバブルの平均粒径は、特に限定されないが、200〜900nm程度であるのが好ましい。上述したように、平均粒径が200〜300nm程度の粒径を有するナノバブルは、癌治療に好適に用いることができる。また、平均粒径が600〜900nm程度の粒径を有するナノバブルは、脳治療(例えば、脳血管内治療等)に好適に用いることができる。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、分級装置10を用いて、バブル1からナノバブルを分離して回収する方法(本発明の分級方法)について説明する。
[1] まず、図示しないチャンバ20の開閉部を開いて、バブル1を載置容器31に供給する。これにより、バブル1を凹部310内に載置(収納)する。その後、チャンバ20の開閉部を閉じる。
また、このとき、チャンバ20内に、バブル1が内包するガス3と同一または同種のガスを充填するようにしてもよい。これにより、バブル1内からガス3が抜け出すことを効果的に防止することができる。
[2] 次に、バルブ44を開放する。これにより、ガスボンベ42内のガスGがガス供給ライン43を介して噴射ノズル41に供給され、噴射ノズル41の先端からバブル1に向かって噴射される。このとき、ガスGの噴射速度、すなわち、バブル1に付与されるガス圧に応じて、所定の粒径を有するナノバブルが空中に浮揚して分離される。
[3] 次に、バルブ44を閉塞するとともに、吸引ポンプ52を作動させる。これにより、チャンバ20内のガス(ガスGを含む)が吸引され、このガスとともにナノバブルが回収ライン53を搬送されて、捕集器54に到達する。
このとき、ガスは、フィルタ541を通過するが、ナノバブルの大部分は、フィルタ541を通過することができず、捕集器54に補集される。
なお、前記工程[2]において、バブル1に付与されるガス圧によっては、ナノバブルのみならず、マイクロバブルも若干空中に浮遊する場合がある。このため、バルブ44を閉塞して所定時間経過後に、吸引ポンプ52を作動させるようにするのが好ましい。これにより、マイクロバブル(粒径の大きいバブル1)が沈降することで、浮揚するバブル1の大部分がナノバブルとなる。
この所定時間は、特に限定されないが、1〜60秒程度であるのが好ましく、5〜45秒程度であるのがより好ましい。なお、バルブ44を閉塞した直後に、吸引ポンプ52を作動させるようにしてもよく、バルブ44を閉塞することなく、吸引ポンプ52を作動させるようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図3は、本発明の分級装置の第2実施形態を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図3中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
第2実施形態の分級装置10では、噴射ノズル41および受け部51の配置位置が異なること以外、前記第1実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図3に示す分級装置10では、噴射ノズル41がチャンバ20内の右側にズレた位置に配置され、かつ、その先端が内側を向くように傾斜している。また、受け部51がチャンバ20の左側壁の上側に配置されている。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、前記第1実施形態の工程[1]と同様の工程を行う。
[2] 次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様の工程を行う。本実施形態では、噴射ノズル41の先端から左斜め下方に向かって噴射されたガスGにより、ナノバブルが左斜め上方(左側壁)に向かって浮揚する。
[3] 次に、前記第1実施形態の工程[3]と同様の工程を行う。
なお、噴射ノズル41は、回動機構を介してチャンバ20内に設け、鉛直方向に対する傾斜角度が変更可能となっていてもよい。これにより、バルブ44の開度を変更するとともに、噴射ノズル41の傾斜角度を変更することにより、ナノバブルが浮揚する方向を多段階で調節することができるようになる。
<第3実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第3実施形態について説明する。
以下、第3実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4は、本発明の分級装置の第3実施形態を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
第3実施形態の分級装置10では、回収手段50の構成が異なること以外、前記第1実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図4に示す回収手段50は、分離されたナノバブルを吸着して回収する吸着手段で構成されている。この回収手段50(吸着手段)は、チャンバ20の天井部に固定された静電チャック55と、静電チャック55の内部電極551に接続され、この内部電極551に電圧を印加する直流電源56と、内部電極551と直流電源56との間に設けられたスイッチ57とを備えている。また、直流電源56は、接地されている。
静電チャック55には、ジョンソン・ラーベック力型静電チャックまたはクーロン力型静電チャックのいずれを用いてもよい。また、図4に示す静電チャック55は、単極方式の静電チャックであるが、双極方式の静電チャックであってもよい。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、前記第1実施形態の工程[1]と同様の工程を行う。
[2] 次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様の工程を行う。
[3] 次に、バルブ44を閉塞するとともに、スイッチ57をオンする。これにより、直流電源56から内部電極551に電圧が印加される。このとき、直流電源56の正負の向きおよび静電チャック55の種類に応じて、静電チャック55の下面が所定の極性(正または負)に帯電する。これにより、帯電したナノバブルを、静電チャック55の下面に電気的な吸着により保持することができる。例えば、アルブミンで構成されるナノバブルは、負に帯電しているため、静電チャック55の下面は、正に帯電するように設定される。
その後、チャンバ20の開閉部を開いて、静電チャック55の下面に保持されたナノバブルを回収する。
なお、吸着手段は、例えばシリコーン樹脂で形成された吸着板で構成することもできる。この場合、吸着板をチャンバ20の天井部に着脱自在に配置するようにすればよい。また、吸着板の下面(吸着面)に、回収すべきナノバブルに対応する幅を有する少なくとも1本の溝を形成しておくことにより、ナノバブルの回収効率を高めることができる。溝の平面視での形状は、直線状、曲線状(例えば、波状または渦巻状等)、折線状等とすることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第4実施形態について説明する。
以下、第4実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図5は、本発明の分級装置の第4実施形態の一部を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
第4実施形態の分級装置10では、分離手段40の構成が異なること以外、前記第1実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図5に示す分離手段40は、噴射ノズル41の先端に接続された直線状をなす管体45を備えている。噴射ノズル41は、その先端が鉛直上方を向くように配置され、管体45は、その長手方向を鉛直方向として配置されている。
また、本実施形態では、チャンバ20は、省略されている。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、図示しない管体45の開閉部を開いて、バブル1を管体45の噴射ノズル41側の端部(下端部)に供給する。その後、管体45の開閉部を閉じる。
[2] 次に、バルブ44を開放するとともに、吸引ポンプ52を作動させる。これにより、噴射ノズル41からガスGが鉛直上方に向かって噴射される。このとき、バブル1は、空中に浮揚するが、粒径の差(すなわち質量の差)に応じて、分離される。
具体的には、質量が大きいバブル1(マイクロバブル)は、重力の影響で管体45の下端部に留まり、質量が中程度のバブル1は、重量およびガスGの圧力が均衡して管体45の中央部に留まり、質量が小さいバブル1(ナノバブル)は、重力に抗して管体45の受け部51側の端部(上端部)までガスGにより搬送される。
そして、管体45の上端部まで搬送されたナノバブルは、回収手段50により吸引されて回収される。
なお、管体45の長手方向の途中には、所定の粒径のバブル1のみの通過を許容するフィルタを1枚以上配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、噴射ノズル41および管体45の双方が鉛直方向に沿って配置されているが、水平方向(鉛直方向と直交する方向)に沿って配置してもよい。
ただし、前者の場合、バブル1の分離に重力を利用することができるので、ナノバブルをより効率よく分離することができる。一方、後者の場合、バブル1の分離に重力を利用することができないので、重力に代わる遠心力を利用するため、管体45は、渦巻き状とするのが好ましい。この例について次の第5実施形態に示す。すなわち、第5実施形態の分離手段40は、バブル1に対して外力として遠心力を付与する遠心力付与手段を構成している。
<第5実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第5実施形態について説明する。
以下、第5実施形態について、前記第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6は、本発明の分級装置の第5実施形態の一部を概念的に示す平面図である。
第5実施形態の分級装置10では、管体45の形状と、噴射ノズル41および管体45の双方の配置方法とが異なること以外、前記第4実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図6に示す分離手段40では、管体45が渦巻き状をなし、かつ、噴射ノズル41および管体45の双方が水平方向に沿って配置されている。また、管体45の中心側の一端部が噴射ノズル41の先端に接続され、他端部が分岐して複数の分岐部451を構成している。そして、管体45の他端部の各分岐部451には、回収手段50が接続されている。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、前記第4実施形態の工程[1]と同様の工程を行う。
[2] 次に、前記第4実施形態の工程[2]と同様の工程を行う。このとき、バブル1は、ガスGにより管体45内を搬送されるが、粒径の差(すなわち質量の差)に応じて、バブル1にかかる遠心力が異なってくる。
このため、質量が大きいバブル1(マイクロバブル)は、遠心力の影響で管体45の壁面側に集まり、質量が小さいバブル1(ナノバブル)は、質量が大きいバブル1に押しやられて、管体45の中心軸側に集まり、質量が中程度のバブル1は、これらの間に集まる。したがって、管体45の中心軸側に集まったバブル1を回収手段50により回収すれば、ナノバブルを得ることができる。
なお、各分岐部451には、捕集器54を直接接続するようにしてもよい。
<第6実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第6実施形態について説明する。
以下、第6実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7は、本発明の分級装置の第6実施形態を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
第6実施形態の分級装置10では、載置部30および分離手段40の構成が異なること以外、前記第1実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図7に示す分級装置10では、載置部30は、載置板(振動板)32と載置板32を支持して、チャンバ20に固定する基台33とを備えている。また、分離手段40は、バブル1に対して外力として振動を付与する振動付与手段で構成されている。
この分離手段40(振動付与手段)は、基台33内に設けられた振動素子46と、振動素子46に電力を供給する交流電源47と、振動素子46と交流電源47との間に設けられたスイッチ48とを備えている。
かかる構成の分離手段40によれば、振動素子46により載置板32を振動させると、載置板32(振動素子46)の振動数に等しいか近い固有振動数を有するバブル1が共振により、空中に浮揚する。したがって、回収すべきナノバブルの固有振動数と等しいか近い振動数で、載置板32を振動させることにより、そのナノバブルを選択的に浮揚させることができる。
かかる振動素子46としては、例えば、圧電素子、磁歪素子、偏心モーター、リニア・バイブレータ、スピーカー(パラメトリックスピーカー)等を用いることができる。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、前記第1実施形態の工程[1]と同様の工程を行う。
[2] 次に、スイッチ48をオンする。これにより、振動素子46が振動する。さらに、振動素子46の振動により、載置板32が振動する。このとき、載置板32(振動素子46)の振動数に応じて、ナノバブルが共振により空中に浮揚して分離される。
[3] 次に、スイッチ48をオフするとともに、吸引ポンプ52を作動させる。これにより、ナノバブルが回収手段50により回収される。
<第7実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第7実施形態について説明する。
以下、第7実施形態について、前記第6実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8は、本発明の分級装置の第7実施形態を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図8中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
第7実施形態の分級装置10では、分離手段40(振動付与手段)の構成が異なること以外、前記第6実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図8に示す分級装置10では、分離手段40は、振動素子46である4つのパラメトリックスピーカー(指向性の高い超音波スピーカー)と、対応するパラメトリックスピーカーに接続された4つの交流電源47とを備えている。
2つのパラメトリックスピーカーは、紙面の左右方向に対向して配置され、残りの2つのパラメトリックスピーカーは、紙面の前後方向に対向して配置されている。
かかる分離手段40によれば、4つのパラメトリックスピーカーから放射される超音波を干渉させることにより、ナノバブルを所定高さに位置するように浮揚(音響浮揚)させることができる。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、前記第6実施形態の工程[1]と同様の工程を行う。
[2] 次に、各スイッチ48をオンする。これにより、4つのパラメトリックスピーカーを作動させ、これらから放射される超音波を干渉させる。その結果、ナノバブルが所定高さに浮揚して分離される。
[3] 次に、スイッチ48をオフするとともに、吸引ポンプ52を作動させる。これにより、ナノバブルが回収手段50により回収される。
<第8実施形態>
次に、本発明の分級方法および分級装置の第8実施形態について説明する。
以下、第8実施形態について、前記第6実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図9は、本発明の分級装置の第8実施形態を概念的に示す側面図である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」または「上方」と、下側を「下」または「下方」と言う。
第8実施形態の分級装置10では、載置部30および回収手段50(吸引手段)の構成が異なること以外、前記第6実施形態の分級装置10と同様である。
すなわち、図9に示す分級装置10では、載置部30は、基台33に支持された前記第1実施形態の載置容器31を備えている。また、回収手段50は、回収ライン53の吸引ポンプ52と反対側の端部に接続された吸引ノズル58を備えている。なお、吸引ノズル58は、図示しない移動機構により鉛直方向(または鉛直方向および水平方向)に移動可能となっている。
次に、このような分級装置10の使用方法(作用)、すなわち、本発明の分級方法について説明する。
[1] まず、スイッチ48をオンする。これにより、振動素子46が振動する。さらに、振動素子46の振動により、載置容器31が振動する。なお、本実施形態では、バブル1(ナノバブル)が空中に浮揚しない程度に、振動素子46を振動させる。この振動により、バブル1は、粒径に応じて分離される。
具体的には、ブラジルナッツ効果(ミューズリー効果)により、粒径が小さいバブル1(ナノバブル)は、凹部310の底部に集まり、粒径が大きいバブル1(マイクロバブル)は、凹部310の上部に集まり、粒径が中程度のバブル1は、これらの間に集まる。
[2] 次に、スイッチ48をオフするとともに、吸引ポンプ52を作動させる。また、このとき、吸引ノズル58を所定位置まで下降させる。これにより、ナノバブル以外のバブル1が回収手段50により回収され、ナノバブルが載置容器31の凹部310内に残存する(回収される)。
なお、回収ライン53の吸引ポンプ52と反対側の端部を、載置容器31の底部に接続して、回収手段50によりナノバブルを選択的に回収するように構成してもよい。
以上、本発明の分級方法および分級装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の分級方法は、任意の目的の1以上の追加の工程を含んでいてもよい。また、本発明の分級装置を構成する各部は。同様の機能を発揮する任意の構成と置換することができ、任意の構成が付加されてもよい。
さらに、本発明では、前記第1〜第8実施形態の任意の構成を組み合わせることもできる。
また、前記各実施形態では、分離対象(分級対象)をバブルの乾燥物(中空粒子の集合物)として説明した。しかしながら、分離対象は、中実粒子の集合物であってもよい。かかる中実粒子としては、医薬粉体を構成する粒子、各種用途で用いられる着色粒子(染料粒子、顔料粒子)等が挙げられる。さらに、分離対象は、中空粒子と中実粒子との混合物(集合物)であってもよい。
なお、中空粒子の強度は、中実粒子の強度に比べて一般に低いことが想定されるが、本発明によれば、緩和な条件で中空粒子の分離を行うことができるため、崩壊(破裂)する中空粒子の数を低減することができる。
また、同種かつ同程度の粒径を有する粒子において、中空粒子の密度は、中実粒子の密度より低い。このため、本発明によれば、この密度の違いを利用して、中空粒子と中実粒子とを効率よく分離することが可能である。粒子を特に超音波造影剤として用いる場合には、中空粒子でないと造影効果が期待できないが、中空粒子を効率よく分離(回収)可能な本発明は有効な手段である。
1…バブル 2…外殻 3…ガス 4…薬物 10…分級装置 20…チャンバ 30…載置部 31…載置容器 310…凹部 311…底面 32…載置板 33…基台 40…分離手段 41…噴射ノズル 42…ガスボンベ 43…ガス供給ライン 44…バルブ 45…管体 451…分岐部 46…振動素子 47…交流電源 48…スイッチ 50…回収手段 51…受け部 52…吸引ポンプ 53…回収ライン 54…捕集器 541…フィルタ 55…静電チャック 551…内部電極 56…直流電源 57…スイッチ 58…吸引ノズル

Claims (20)

  1. 異なる粒径を有する複数の粒子の集合物に対して外力を付与することにより、ナノサイズの粒径を有する粒子を分離する工程と、
    分離された粒子を回収する工程とを有することを特徴とする分級方法。
  2. 前記集合物にガスを供給することにより、前記集合物に対して前記外力として前記ガスの圧力を付与する請求項1に記載の分級方法。
  3. 前記集合物に対して前記外力として振動を付与する請求項1に記載の分級方法。
  4. 前記振動は、超音波による振動である請求項3に記載の分級方法。
  5. 前記集合物に対して前記外力を付与することにより、前記ナノサイズの粒径を有する粒子を空中に浮揚させる請求項1ないし4のいずれかに記載の分級方法。
  6. 前記集合物に対して前記外力として遠心力を付与する請求項1に記載の分級方法。
  7. 前記集合物を搬送媒体により渦巻き状をなす管体内を通過させることにより、前記集合物に対して前記遠心力を付与する請求項6に記載の分級方法。
  8. 前記分離された粒子を吸引および/または吸着することにより回収する請求項1ないし7のいずれかに記載の分級方法。
  9. 前記粒子は、中空粒子の乾燥物である請求項1ないし8のいずれかに記載の分級方法。
  10. 前記中空粒子は、主としてタンパク質、ポリカチオン性脂質、リン脂質、高級脂肪酸、胆汁酸、糖類、ステロール類、界面活性剤、天然および合成高分子のうちの少なくとも1種を含む両親媒性材料で構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の分級方法。
  11. 異なる粒径を有する複数の粒子の集合物に対して外力を付与することにより、ナノサイズの粒径を有する粒子を分離する分離手段と、
    分離された粒子を回収する回収手段とを有することを特徴とする分級装置。
  12. 前記分離手段は、前記集合物に対してガスを供給して、前記外力として前記ガスの圧力を付与するガス供給手段を備える請求項11に記載の分級装置。
  13. 前記分離手段は、前記外力として振動を付与する振動付与手段を備える請求項11に記載の分級装置。
  14. 前記振動は、超音波による振動である請求項13に記載の分級装置。
  15. 前記分離手段は、前記集合物に対して前記外力を付与することにより、前記ナノサイズの粒径を有する粒子を空中に浮揚させる請求項11ないし14のいずれかに記載の分級装置。
  16. 前記分離手段は、前記集合物に対して前記外力として遠心力を付与する遠心力付与手段を備える請求項11に記載の分級装置。
  17. 前記遠心力付与手段は、渦巻き状をなす管体を備え、前記集合物を搬送媒体により前記管体内を通過させることにより、前記集合物に対して前記遠心力を付与する請求項16に記載の分級装置。
  18. 前記回収手段は、前記分離された粒子を吸引する吸引手段および/または前記分離された粒子を吸着する吸着手段を備える請求項11ないし17のいずれかに記載の分級装置。
  19. 前記粒子は、中空粒子の乾燥物である請求項11ないし18のいずれかに記載の分級装置。
  20. 前記中空粒子は、主としてタンパク質、ポリカチオン性脂質、リン脂質、高級脂肪酸、胆汁酸、糖類、ステロール類、界面活性剤、天然および合成高分子のうちの少なくとも1種を含む両親媒性材料で構成されている請求項11ないし19のいずれかに記載の分級装置。
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