JP2017533951A - 経腸栄養不耐性の処置 - Google Patents

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Abstract

経腸栄養不耐性(EFI)は、ウリモレリンの治療上有効量を8時間ごとに(1日3回)投与することによって効果的に処置することができる。治療利益は、1週間までまたはそれよりも長い間を含む、単回および連続の1日投与によって得ることができる。

Description

本発明は、一般に、経腸栄養不耐性処置のための製剤、システムおよび方法に関する。
胃運動障害によって引き起こされる経腸栄養不耐性(EFI)は、栄養投与する能力を制限している集中治療室(ICU)に入っている重症疾患の患者における重篤な症状である。多くのICU患者に対して、食物は、経鼻胃管または同様の装置を介して与えられる(「経腸栄養」)。ICUにおけるタンパク質栄養障害を含む栄養障害は、死亡率増加を含む、より不良の長期アウトカムに関連する(非特許文献1を参照)。栄養投与に関連するアウトカムの改善についての臨床学的証拠は、評価可能な患者462人の前向き無作為化比較対照臨床試験であるACCEPT研究において確立されており、この試験は、ICU栄養の改善(プロトコル化された処置アルゴリズムによって可能になった)により入院期間が短縮され(p=0.003)、死亡率が低下した(傾向、p=0.058)ことを示している(非特許文献2を参照)。同様に、三次紹介病院にてICU患者113人に対して行われた前向きコホート観察研究において、タンパク質およびアミノ酸の供給が高いほど、より低い死亡率に関連していた(非特許文献3)。
胃運動障害は、患者が一般的により健康である他の環境において問題であり、種々の機能調整(promotility)薬が研究されてきた。これらのうちの1つであるウリモレリン(図1を参照)は、ヒトにおいて広く研究されてきたが、ヒトへの使用についてまだ承認されていない。糖尿病性胃アトニー患者における第2相試験においてウリモレリンを1日1回30分静脈(IV)注入として投与した場合、胃運動および薬力学的(PD)応答によって測定される機能的活性が観察され(非特許文献4を参照)、術後イレウスの患者の第2相試験において1日1回投与(qD)を7日間まで行った後、最初の腸管運動(BM)までの時間短縮が観察された(非特許文献5を参照)。これらの第2相試験において、リモレリンは、固体および液体食物の胃排出を促進し(糖尿病性胃アトニー患者10人)、大腸の部分切除を受けた対象体(術後イレウスの患者168人)において胃腸(GI)機能回復を促進したことが観察された。糖尿病性胃アトニー患者のさらなる第2相試験は、GCSI食欲喪失および嘔吐スコアの改善を示した(非特許文献6を参照)。残念なことに、これら初期成果は、1日1回7日間まで投与した場合に術後イレウス患者集団の2つの大規模前向き無作為二重盲検対照主要第3相試験においては再現されなかったので、一般化されなかった。これらの大規模試験において、ウリモレリンは、腸の部分切除を受けた患者におけるGI運動の目標臨床エンドポイントを達成しなかった。
ICU内のEFIをもつ危篤状態の(critically ill)患者は、一般に、上記のウリモレリン第3相試験で研究された患者よりも重病である。該患者の重度の病状および該患者へ経腸栄養を供給することの重要さの一般的な認識を考慮すれば、現行の投薬が満足できないものあっても、これらの患者には、しばしば、胃運動および胃排出を回復させるための薬が処方される。この臨床的適応症について、食品医薬品局(FDA)またはEMEAによって承認された薬物はないので、現行の投薬の選択肢は制限されている。一般的に使用されている薬物としては、メトクロプラミドおよびエリスロマイシンが挙げられ、非常に程度は低いが、アルビモパン(Entereg(登録商標))およびメチルナルトレキソン(Relistor(登録商標))も挙げられる。医師は、5〜7日間までのコース、場合によってはこれらの投薬によるさらなるコース反復を用いて処理することができるが、一方、臨床試験は、メトクロプラミドおよびエリスロマイシンの両者の最大効力が過剰の胃内残存量(GRV)の解消に制限されるだけではなく、このような効力の期間が短寿命であり、典型的には7日間より短く、しばしば、わずか1〜2日間程度であることを示している(非特許文献7を参照)。他の安全に対する不安の中で、メトクロプラミドは、CNS毒性についてUS FDAから黒枠警告が出ており、抗生物質であるエリスロマイシンの非感染性目的の使用は、抗生物質に対する細菌耐性を導く可能性がある。これらの安全問題はいずれも、EFI治療対象集団(intent-to-treat population)
において望ましくない。
Malnutrition and Outcomes, Kenneth B. Christopher, M.D., International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine, Brussels, Belgium, March 18-21, 2014 Multicentre, Cluster-Randomized Clinical Trial Of Algorithms For Critical-Care Enteral And Parenteral Therapy (ACCEPT), Martin et al., CMAJ, JAN. 20, 2004; 170 (2) Allingstrup et al. 2012 Clinical Nutrition 31 (2012) 462e468 Ejskjaer et al., Aliment Pharmacol Ther 29, 1179-1187 Dis Colon Rectum 2010; 53: 126 -134) Ejskjaer et al., Neurogastroenterol Motil (2010) 22, 1069-e281 Nguyen et al., Crit Care Med 2007 Vol. 35, No. 2
したがって、危篤状態であるこれらの患者における場合、および/またはICUのような特殊な治療施設における場合を含む、EFIの処置のための新しい治療薬の満たされていない緊急の要求が依然としてある。本発明は、この要求を満たすものであり、ICUおよび他の環境におけるEFIの安全かつ効果的な処置のための方法ならびに医薬製剤および単位投与剤形を提供する。
第一の態様において、本発明は、EFIの処置方法であって、該処置を必要とする患者に治療有効量のウリモレリンを投与することを含む、方法を提供する。1つの実施態様において、本発明は、危篤状態の患者におけるEFIの処置方法であって、該処置を必要とする患者に治療有効量のウリモレリンを投与することを含む、方法を提供する。かくして、本発明に従って、ウリモレリンは、危篤状態の患者における経腸栄養不耐性の処置に適応される。別の実施態様において、ウリモレリンは、本発明に従って、経腸栄養に耐えられない危篤状態の患者における胃アトニーおよび/または胃排出遅延の処置に適応される。ICUにおけるEFIの処置のために、本発明に従って、ウリモレリンの静脈TID投与は、これらの危篤状態の患者に重要な治療効果を提供する。EFIが解消した後、ある程度の期間、ウリモレリンの投与を、場合によっては1日2回(BID)またはqD投与で、継続することができて、ここに記載されているように投与した場合にウリモレリンの同化効果による治療効果を提供し続けることができる。
本明細書に記載のとおり投与されたウリモレリンは、より高いカロリーおよび/またはより高いタンパク質の提供;レベルの有益な急上昇によるものを含む成長ホルモン(GH)の増加;および交感神経緊張度の減少および/または副交感神経緊張度の増大によるものを含む炎症の減少を包含する、多数の有益な同化効果を発揮し、EFI解消後に治療効果を持続させるために投薬を続けることができる。したがって、本発明の一の実施態様において、ウリモレリンは、治療担当医によって不健康であると認められた異化状態の患者への処置を提供することである。この実施態様(EFIは解消したが、ウリモレリン投与をqD、BIDまたはTIDで継続している)において、ウリモレリンは、患者の処置のための同化利益をもたらす。
利益を得る患者としては、カロリーおよび/またはタンパク質の欠乏に起因するか、および/または、例えば、限定されないが、外傷、敗血症、心肺疾患、腫瘍(neoplasm)、肺炎および/または他の重症感染症、手術、および/または胃腸疾患などの重症疾患によって引き起こされる全身性炎症に起因する、除脂肪体重(LBM)減少の結果として、またはLBM減少の可能性として、同化刺激を必要としている患者が挙げられるが、これらに限定されない。ウリモレリンによってもたらされる同化利益は、EFIの処置中およびEFIの解消後または経腸栄養の停止後のどちらの場合も患者に享受される。一の実施態様において、患者は不健康な異化状態である。別の実施態様において、患者は悪液質または他の同様の状態に苦しんでいる。これらの実施態様のいずれかにおいて、本発明によるウリモレリンの投与により生じる成長ホルモンレベルの増加(および対応する下流メディエーターの反応)および/または正味の交感神経緊張度の低下は、タンパク質代謝回転に対して有益な作用を提供することができるか、または除脂肪体重減少を低下させることができる。したがって、EFIを有する患者および同化効果のために薬物を投与されている患者(どちらも危篤状態の患者および重症疾患から回復中の患者を包含する)のどちらについても、本発明は、生存の可能性の増大、短いICU滞在期間、安いICU滞在もしくは全入院総費用、および/または短いフォローアップケア期間もしくは安いフォローアップケア総費用、またはこれらの利益もしくはその他の利益の組合せの観点から、重要な治療効果を提供する。
別の態様において、本発明は、ICU内の患者に抗異化利益をもたらすための方法、および/またはICU患者の安静時エネルギー消費の上昇を逆転させるための方法、および/またはこのようなICU患者へ心保護効果をもたらすための方法を提供する。本発明は、如何なる理論または推定的作用機序によっても縛られないが、これらの利益は、現在はICU患者においてβ遮断薬の使用によって行われているのと同じように、ウリモレリンが過剰な交感神経緊張度による健康への悪影響を予防または改善する能力から生じると考えられる。したがって、450μg/kg TID〜600μg/kg TID(またはそれ以上)の範囲の投与量で本明細書に記載されるとおりにウリモレリンを投与することによって、有意な抗異化利益をもたらすこと、患者の安静時エネルギー消費上昇を逆転させるかまたは少なくとも軽減させること、および/またはICU患者もしくはかかる治療効果を必要とする他の患者に心保護効果をもたらすことができる。
ウリモレリンは、本発明により、1日3回(TID)投与によって得られ得る治療有効量で投与した場合、危篤状態の患者を含むEFIを有する患者に有効な薬物である。本明細書で用いられる場合、TIDとは、1日に3回の投与を意味する。多くの実施態様において、3回の投与は、8時間スケジュール(q8H)で行われ、すなわち、各投与は、前の投与から約8時間後に行われる。一般に、各投与量は、投与1回につき80μg/kg〜約1200μg/kg以下まで(240〜3600μg/kg/日)の範囲である。多くの実施態様において、各投与量は、投与1回につき150μg/kg〜約300μg/kg以下まで(450μg/kg/日〜900μg/kg/日)の範囲である。しかしながら、多くの患者は、投与1回につき300μg/kg〜約1200μg/kg以下まで(900〜3600μg/kg/日)の範囲の投与量から利益を受ける。例えば、患者によっては、投与1回につき300μg/kg以下の範囲の投与量と比べて、投与1回につき約600μg/kg以下まで(900〜1800μg/kg/日)を受けることによってさらなる利益を受ける。患者によっては、450μg/kg〜600μg/kg TIDの範囲の投与量から利益を受ける。しかしながら、以下に記載するように、ある種の患者は、さらに高い投与量、例えば、投与1回につき600μg/kg(1800μg/kg/日)〜約1200μg/kg(3600μg/kg/日)以下までの投与量によって、さらなる利益を体験する。
同化利益または他の栄養利益を患者に与えるためにEFIが解消した後に投与を続ける場合、投与は、qD、BIDまたはTIDで行うことができ、TID投与に関しては、各個の投与は一般的に同範囲(1回の投与につき、および総日用量の両方)である。典型的な患者は、BIDで投与される場合、例えば600μg/kg/日〜1200μg/kg/日の総日用量を投与され得る。典型的な患者は、qDで投与される場合、300μg/kg〜600μg/kgを包含する総日用量を投与され得る。
種々の実施態様において、本発明によるウリモレリンの連日投与は、典型的には、連続数日間、しばしば少なくとも3、4または5日間、または1週間もしくは数週間までをも含むそれ以上の間、行われる。このような実施態様は、EFIだけの処置を受けている患者およびEFIの処置を受けて治療効果を継続するためにEFI解消後に治療を続ける患者を包含する(この後者の類いの患者は、平均して、長くICU滞在する)。ウリモレリンは、一旦使用が承認されるとすぐに、患者の臨床経過、他の医学的問題、およびICU滞在期間に依存して処方されることができ、医師の判断および臨床的状況に応じて1日または2日程度の短い期間使用されることができる。当業者には当然のことであるが、一旦EFIであると診断されるとすぐに、医師は、患者が経腸栄養中の間ずっと、本明細書に記載されるようなウリモレリン処置を処方することになる。
上記のように、EFIが解消された後、医師は、該薬物の同化効果の処置を続けることを選択でき、一方、患者は、なおもICU内にいる。これについての1つの理由は、他にもあるが、胃排出障害の解消が1日または2日以内に起こり得るためである。別法として、医師は、典型的には6〜9日間であるが1日程度の短い期間または数週間もしくは数ヶ月間の長い期間であり得るEFI患者のICU滞在期間全体にわたって、ウリモレリンを処方することを選択することができる。種々の実施態様において、ウリモレリンは、5日間まで、または7日間まで、この単回もしくは複数回反復コース、または連続で、もしくは投薬中止期間を介在させて、例えば、1〜4日間の投薬中止期間を介在させて同様の期間、投与するという選択肢をもって、投与される。一例ではあるが、患者にEFIのために一定期間、すなわち、5〜7日間ウリモレリンを処方することができるが、医師は、陽性治療効果が見られた後、患者がICUを出るまで、またはICUもしくは病院から退院するまで、投薬を継続することを指図することができる。
一の実施態様において、本発明は、EFIの処置を必要とする患者において効力を増強し、かつ、望ましくない副作用を軽減する方法であって、まず、α1酸性糖タンパク質(AAGP)レベルを測定するか、または治療開始と同時もしくは直後に該レベルを測定すること、および患者のAAGPレベルおよび本明細書の記載を考慮して、該患者においてどの程度の薬物遊離濃度が達成されるかの決定に基づいて、所定の患者に対する投与量を調節することによる方法を提供する。これらの実施態様において、ウリモレリンの治療有効量は、極めて高いAAGPレベルの患者について、1200μg/kgよりも高くてよく、2400μg/kgまでの投与量を含む。関連する実施態様において、本発明は、患者のAAGPレベルに従って患者のための投与量推奨を与える予め決定された値または値の表に従って投与量を決定するための方法を提供する。一の実施態様において、医師に、AAGPレベルについて2〜4つの値または値の範囲を示す表を、各範囲または値について対応する薬物投与量とともに提供することができる。
有意には、本発明の種々の態様および実施態様の全てにおいて、また、例えば、治療上有効な方法で薬物を投与するのに必要な可変タンパク質結合相互作用(特に、AAGPとの)などの薬物動態の複雑さ、特に遊離(非結合)ウリモレリンがそのCmax(すなわち、Cmaxfree)を達成する速度および程度を最適化することによって最大治療効果を得る特定の必要性、ならびに、解明が不完全な経路によってAAGPを変えることができる変動条件(および、かくしてCmaxfreeに到達する速度)にもかかわらず、有意な数の患者が、標準的な投与量、例えば、500μg/kg TID〜600μg/kg TID(EFIのため)またはTID/BID/qD(EFI後の同化処置のため)を投与されることによって利益を得ることができる。さらにまた、医師は、本明細書の記載を考慮して、(最初から、または600μg/kgもしくは他の開始用量での多少短い処置期間の後のいずれかで)より高い投与量またはより低い投与量からより多くの利益を得ると思われる患者に関してそれらをガイドする方針を得る。
これらおよび他の本発明の態様および実施態様を以下にさらに詳しく説明する。
図1は、本明細書においてTZP−101、NK42308またはLP101とも称されるウリモレリンの構造を示す。
図2は、実施例1に記載されるように、内在性グレリン血中濃度が、1日3回食前には鋭く上昇し、食後には低下するパルス状であることを表すデータを示すグラフである。
図3は、実施例2に記載されるように、総血漿タンパク質、精製ヒトα1酸性糖タンパク質(1000μg/mL AAGP)およびアルブミン(4%w/v HSA)に結合するウリモレリンを表すデータを示すグラフである。
図4は、実施例3に記載されるように、600μg/kg ウリモレリンの30分IV注入後に健康な対象体において測定された総血漿濃度および遊離血漿濃度がお互いにどの程度追跡できるかを表すデータを示すグラフである。
図5は、実施例3に記載されるように、20ng/mLのCpfreeを維持するのに必要な投与量を予測することができる投与量とAAGP濃度との理論的な関係を表すデータを示すグラフである。
図6Aおよび6Bは、1日目および4日目(それぞれ、パートAおよびB)における、Cmaxfree(最大Cpfreeが見られる時点であるTmaxでのCpfree)対健康なボランティアの胃排出によって測定された効果(実施例5を参照)を表すデータを示すグラフである。
図1に関して、グレリンアゴニストであるウリモレリン(別称:TZP−101、LP101、NK42308;米国特許第8,334,256号の化合物298を参照、出典明示により本明細書の一部を構成する)は、本発明に従って、EFI再発を含むEFIの予防または処置および重症疾患の異化効果の予防または処置に用いられるホルモン模倣物である。経腸栄養は、ICU環境内の多くの患者にとって不可欠であり、EFIは、死亡率上昇に関連する状態であって、その有効処置は、少なくともICU滞在期間の短縮および/またはフォローアップ回復促進または他の利益のような他の臨床的に有意義な患者の利益を提供しないとしても、命を救うことができる。本明細書で用いる場合、「ICU」とは、重病または危篤状態の患者にケアを提供するあらゆる病院環境をいう。例えば、限定されないが、「やけど治療室」またはあらゆる隔離病棟(すなわち、移植後)は、本発明の目的のための「ICU」である。
当業者は、この記載をじっくりと考えると、ウリモレリンは、本明細書に記載に従って投与された場合(IV投与、TID、患者の体重1kgにつき約80μg〜1200μgの投与量)、胃排出に対して直接的なその有益な効果に加えて、より高いカロリーおよび/またはより高いタンパク質の提供;GHレベルの有益な急上昇によるものを含むGHの増加;および/または交感神経緊張度の減少および/または副交感神経緊張度(「正味の交感神経緊張度」と称される全体バランス)の増大によるものを含む炎症の減少を包含する、多数の有益な同化効果を発揮するということを理解する。EFIの患者は本明細書の記載に従って投与されたウリモレリンのこれら活性から恩恵を被るが、同患者は、EFIが解消した後もなお、本明細書に記載の薬物継続投与から継続中のさらなる治療効果(EFIの再発予防を含む)を受けることができる。
したがって、本発明によるウリモレリン投与の同化効果は、さらなる利益を提供して、経腸栄養が中止された後またはEFIがもはや存在しなくなった後でさえ、本発明によるウリモレリンの投与は、異化状態の患者に治療効果を与えることができる。このような患者としては、食欲障害もしくは摂食障害;限定されないがGH分泌障害などの内分泌性調節障害;炎症媒介異化作用;または同化作用障害の患者が挙げられるが、これらに限定されず、当業者は、このような患者はEFIが予防的に処置されていない患者を含むことを理解する。
かくして、本明細書により投与されるウリモレリンは、胃運動および排出を刺激するかまたは回復させ、また、抗異化および抗代謝(まとめると、同化)効果を有する。本発明は、推定的作用機序の面からは限定されないが、これらの利益のいくつかは成長ホルモンのようなホルモンによって媒介され、一方、他の利益は、より一般的には、単に、より高いタンパク質または栄養の提供から、一般的には、本明細書に記載されるようなウリモレリンの投与から得られる。この処置は、実際に、このような処置を必要とする患者に、より高いカロリーおよびタンパク質を与えることができ、筋肉、除脂肪体重、および/または体重の増大またはその損失の減少を促進する該栄養の有益な使用を促進することができる。本発明によるウリモレリンによる処置は、下記のものの1つ以上または全てが挙げられるがこれらに限定されない有益なアウトカムを患者にもたらすことができる:ウリモレリンで処置していない患者と比べた場合の、過剰なGRV(または等価な)測定のエピソードの減少;タンパク質要求量が挙げられるがこれに限定されない患者の標的カロリー処方の提供のより高い成功率;有益なタンパク質代謝回転の向上;除脂肪体重(LBM)の増加;人工呼吸器なしの日の増加;再挿管エピソードの回数、重症管理室滞在期間、入院期間、院内感染、および/または短期死亡率(例えば、30日および60日)の減少;ならびに入院中の筋肉強度および/または機能測定値、および/または退院後の機能状態の測定値の種々の測定値の向上、患者によって自己報告されたものおよび管理人によって報告されたもの、例えば日常生活動作(ADL)および生活の質(QOL)などを含む。
当業者は、前記のこと、ならびに本明細書に記載された記載内容およびデータから、本発明はLBMの減少を遅延させる方法、LBM減少を予防する方法、およびLBMを増加させる方法も提供すると認識する。本発明のこの態様の利益は処置の初期に発生し始めるが、有意な効果は、現れるのに1〜4週間かかる可能性がある;患者によっては、非常に長い間、すなわち、90日以上の間、治療を維持する。医師は、LBM減少を予防または軽減するためにより短い治療過程が指示されるが、より長い処置期間が、LBMを、例えばLBM減少の危険にさらした損傷または疾患の前の患者のLBMまで、増加または回復させると理解する。かかる患者としては、例えば、多くの例のほんの一例として、高齢の患者、および長い疾患/損傷後回復およびリハビリテーション期間が予測される患者、すなわち、股関節骨折の患者が挙げられる。
本発明の方法は、一部分においては、救命救急施設内でEFIを処置するために、治療活性なグレリンアゴニストの機能調整効果(正常な胃排出の促進および/または胃排出障害または遅延の回復の両者を包含する)は、急速に最大血漿濃度(Cmaxfree)に達した後に急速に下降する場合に特に有効であるという発見から生じる。正常なボランティアにおける本発明によるグレリンアゴニストウリモレリンのIV投与(実施例5を参照)は、約0.3ng/mL(80μg/kg投与量の推定Cmaxfree)〜約125ng/mL(30分間の注入後に1200μg/kg単回投与を投与している対象体において測定した)の範囲のCmaxfreeレベルを生じ、約1時間の平均有効半減期(T1/2α)をもつ。本発明によるウリモレリンの投与は、治療有効な血液レベルおよび速度をもたらす。
約1ng/mLのCmaxfreeを達成することにより、投与初日にほとんどの患者において有意義な治療効果が得られる(実施例5で報告されている研究では、2人の健康なボランティアは、約0.5ng/mLのCmaxfreeをもって、1日目に胃排出において、それぞれ25%および40%向上を示した)。連日投与後、ウリモレリンのCmaxfreレベルは、一般的に、1日目に観察されたものよりも上昇する。当業者は、本明細書に記載のデータから、本発明は開業医に強力で安全な薬物を提供すると理解する。これは、0.5〜5ng/mLのCmaxfreeをもたらす投与量で有意な治療効果が達成されるが、125ng/mL(コホートの平均値が75ng/mLであった単回用量漸増(SAD)研究において測定された)のCmaxfreeをもたらす投与量は、健康なボランティア集団において耐容性があったからである。正常なAAGPレベルの患者への投与初日に、0.5〜1ng/mLのCmaxfreeは、胃排出の有意な促進および/または向上をもたらす。胃排出の有意な促進および/または向上を達成するために、一般的に、4日目までに、より高いレベル、例えば3〜10ng/mLが必要とされる。
本研究のデータ解析は、30ng/mL〜125ng/mLの血中レベルが心拍数の減少と相関関係にあり、心拍数が低下した全ての対象体が無症状であったことを示した。約30ng/mL未満のCmaxfreeは、また、わずかな心拍数低下と相関関係にあるが、見た場合には、このような低下は、臨床的に有意であるとは考えられず、PK/PDモデリングは、このようなCmaxfreeでの心拍数低下が10%未満であると予測する。かくして、医師は、遅くなった胃排出を促進する有意義な効果が見られ、治療対象集団において重要な安全性の問題が生じないという信頼性をもって必要または所望に応じて用量が30ng/mLのCmaxfreeレベルまで上昇することができるという確信をもって治療対象集団において、確信をもって、少なくとも1日目に0.5〜1mg/mL、4日目に3〜10ng/mLのCmaxfreeをもたらす用量を投与することができる。約75ng/mL〜125ng/mLのCmaxfree値に導く用量を含む高用量は耐容性を示すが、このようなレベルは、ある種の心血管疾患、または心拍数低下が懸念される他の状態を有する患者においては避けられ得るが、低用量での適正な治療効果を受けていない他の患者においては安全かつ有効である。実施例5に記載されている健康なボランティアにおける研究からのデータは、モデル化された場合、EFIについて標準的な450μg/kg TID療法を受けている、正常なAAGPレベルを有する患者が一般的に10〜80ng/mL(推定平均値約25ng/mL)の範囲のCmaxfree値を有することを示す。当業者がこの記載を考慮して理解するように、450μg/kg TID療法は、以下に記載するように、心拍数がわずかに減少しても耐えられない、AAGPレベルが非常に低い患者を潜在的に除いて、EFI集団全体にわたって安全である。
さらにまた、500μg/kg〜600μg/kg TIDの標準的な用量は、心拍数がわずかに減少しても耐えられない、AAGPレベルが非常に低い患者を潜在的に除いて、一般的にEFI集団の全体にわたって安全かつ有効であるが、ただし、AAGPレベルが非常に高い患者は、特に正味の交感神経緊張度の低下に関して、最適な効果のために、より高い用量、例えば、750μg/kg TID以上を必要とすることがある。600μg/kg以上の用量では、軽度の心拍数低下およびこのような低下が1つの徴候である根底にある生理学的変化が、連日投与について見られる場合(健康な対象体において、軽度の心拍数低下は600μg/kgのSADまでは現れなかった)、ICU内のある種の患者について重要な治療効果をもたらすことは明らかである。この軽度の心拍数低下およびこのような低下が1つの徴候である根底にある生理学的変化は、実際に患者に抗異化利益を与えることができる。一の態様において、本発明は、ICU内の患者に抗異化利益を与えるための方法を提供する。関連する態様において、本発明は、このような患者の安静時エネルギー消費の上昇を逆転させる方法を提供する。さらに別の関連する態様において、本発明は、このような患者に心保護効果を与える方法を提供する。理論によって縛られることを望まないが、本発明者らは、本発明のこの態様は過剰な交感神経緊張度による健康への悪影響を予防または改善するウリモレリンの能力に関するものであると考える。
繰り返すためには、正常なAAGPレベルと比べてAAGPレベルが低いかまたは非常に高い患者に対しては用量調節が必要であるが、500μg/kg TID〜600μg/kg TIDの範囲の用量での本明細書に記載されるようにウリモレリンを投与することはEFIを有する患者の処置に有効である。重要なことに、患者によっては、治療範囲の上限、例えば750μg/kg〜1200μg/kg TIDでウリモレリンを投与することは、抗異化療法を必要とするかまたは特にAAGPが上昇した場合に安静時エネルギー消費の低下により恩恵を受ける患者に有意な抗異化利益を提供することができる。本発明者らは、プロプラノロール(交感神経緊張度を低下させ、副交感神経緊張度対交感神経緊張度の相対的な生理学的バランス、すなわち「正味の交感神経緊張度」を副交感神経緊張度の方へシフトさせ、それによって軽度の心拍数低下を引き起こす非選択的βアンタゴニスト)によるようなβ遮断薬療法は、栄養状態の改善に関連しているという周知の知見を指摘している。治療対象集団において過剰の正味の交感神経緊張度が、不健康な異化作用および代謝亢進を引き起こす可能性があることは当業者には明白である。実際に、やけどを負った小児において、例えば、プロプラノロールによる処置は、代謝亢進を弱め、筋肉−タンパク質異化作用を逆転させるために使用されており、これらの患者は、同様に、本発明の治療から恩恵を得る。さらにまた、短時間作用性β遮断薬エスモロールを投与されている集中治療室の重篤な敗血症性ショック患者の非盲検無作為化第2相試験において、28日死亡率が対象群において80.5%であるのに対してエスモロールグループにおいて49.4%であることは、この治療アプローチが有意に有望であることを示した。本発明に従って、この利益を得るために、ウリモレリンは、例えば、600μg/kg〜1200μg/kg TIDまたはそれ以上の用量で、特に750μg/kg〜1200μg/kg TIDの範囲の用量で投与することができる(EFIが解消された後、qDまたはBID投与を用いることもできる)。
本発明は作用機序の理論によって制限されないが、また、現在、医師はEFIを処置するためのその使用経験が無いが、本発明者らは、承認および広範囲の使用によって、2つの一般的なタイプの治療計画が広く実践され得ると考える。徐脈が問題または懸念事項である、EFIおよび他の関連する状態および/または合併症を有する患者について、EFIは、正味の交感神経緊張度の若干の低下が心拍数低下を引き起こさないかまたはほんの軽度の低下しか引き起こさない場合には軽度の心拍数低下でさえ引き起こす可能性がない有効な投与量で処置される(例えば、150μg/kg〜300μg/kg TID、または、特にAAGPが上昇する場合には600μg/kgまででも)。もちろんICU集団において一般的ではないが、AAGPレベルが低いかまたは正常である場合、投与量は、典型的にはこの範囲のより下部で用いられる。しかしながら、このような懸念事項がなく、および/またはここで投与されるようなウリモレリンによってもたらされる軽度の心拍数低下がそれ自体にとっておよび正味の交感神経緊張度の低下が達成されたシグナルとして望ましい患者に対して、上記の理由によって、医師は、600μg/kg TID以上で約1200μg/kg TIDまで、例えば750μg/kg〜1200μg/kg TIDを投与することができる。例えば、限定されないが、敗血症性ショックのような高い交感神経ストレスの症状を有する患者を包含する、750μg/kg TID以上の用量を投与される患者は、正味の交感神経緊張度の低下から有意に恩恵を受ける、すなわち、副交感神経緊張度に対する交感神経緊張度の相対的なバランスがより副交感神経緊張度の方へシフトするが、ただし、しかしながら、AAGPレベルが例外的に高い患者は、この利益を得ることができない可能性がある(正味の交感神経緊張度低下)。
本発明に従ってEFIを処置するために、目標Cmaxfreeを急速に達成することが望ましく、この目的のために、IV投与が用いられる。グレリンは、2種類のGIホルモンのうちの1つであり(もう1つはモチリンである)、空腹状態で放出されて強収縮群(migrating motor complex)(MMC)メカニズムおよび関連メカニズムによってGI運動を刺激する。グレリンIV注射は、ヒトにおいて食事の胃排出を促進する(Binn et al., 2006, Peptides, 27(7): 1603-1606)。本発明の方法のIV投与は、救命救急施設内での胃排出障害において、経口薬物のGI吸収は処置しようとしているものと同じ根底にある運動問題によって損なわれるという点で、経口療法と比べて有利である。
皮下療法と比べて、IV投与は、皮下経路の薬物動態学的制限を回避する。特に、皮下吸収は、他にも要因はあるが、例えばシャント術、局所的もしくは全身的低血圧または循環虚脱のような血行動態不安定に起因する一般的に障害された皮下組織灌流に起因して、ICUのEFI患者において信頼できない可能性がある(Fries, 2011, Wien Med Wochenschr 161/3-4: 68-72)。上記の欠点に加えて、経口投与は、治療対象集団におけるさまざまに変化する吸収動態およびその結果としての血中濃度動態を考慮すれば、さらに望ましくない。IV投与は、その結果として、薬物療法を通して、胃および上部GI筋群に、薬物によって達成され得るように自然のヒトの薬理学において生じるものとほぼ同時であるMMCによるものを包含する影響を及ぼす。類似の薬物動態学が、おそらく、吸入投与によって達成されるが、これは、このような処方が利用可能であった場合でさえ、治療対象集団(その多くが人工呼吸器を使用している)に有用ではない。故に、危篤状態のEFI患者において胃排出を回復させるためのウリモレリンの投与について、本発明のIV経路は、他の投与経路よりも明白な利点を有する。
本発明の該方法に従って、ウリモレリンは、30分静脈(IV)注入として1日3回(TID)、典型的には約8時間間隔(q8H)で、投与され得る。このような投与回数は、特にIV投与によって行われた場合、危篤状態の患者がボーラス、連続点滴、またはそれらの組合せによって栄養補給されているかどうかに関わらず、ヒトにおける1日3回(すなわち、食事関連)のグレリンサージの自然な状態を最もよく模倣する。胃は、一般に、約1リットルの食物を保持することができる(Sherwood, Lauralee (1997), Human Physiology: From Cells to Systems. Belmont, CA: Wadsworth Pub. Coを参照)。ICUないでの典型的な経腸栄養は、最大注入速度80〜100mL/時で、または8時間にわたって640〜800mLが投与される。栄養補給がボーラスによって行われている場合、典型的なボーラスは、250mLを超えない。かくして、q8HまたはTID投与計画は、ほとんどの患者について、投与間に与えられる食物の体積が胃の本来の能力を超えないことを確実にするのに十分な胃排出事象およびその頻度をもたらす;投与回数が多ければ、患者のケアに費用および複雑さを加え、潜在的なリスクを加え、予想される付加的な利益もない。
典型的には、各投与量は、150μg/kg〜300μg/kgおよび300μg/kg〜600μg/kgの投与量でウリモレリンを投与することにより恩恵を受けているさまざまな実質的な患者群について、80μg/kg〜1200μg/kgの範囲内である。一般的に、AAGPレベルが「正常な」範囲以上の患者は、300μg/kg〜1200μg/kgの範囲の用量を投与され、多くの患者は500μg/kg TID〜600μg/kg TIDを投与されている。しかしながら、ほとんどの患者が標準的な500μg/kg〜600μg/kg TID範囲の用量を投与される場合でさえ、300μg/kg TIDの投与量、または300μg/kg TID〜600μg/kg TIDのいずれの投与量も、多くの患者にとって有効である。例えば、ほとんどの患者は、AAGPレベルが例外的に高い場合、600μg/kg TID以上を投与され得る。AAGPレベルが正常よりも低い患者については、治療担当医は、80μg/kg〜300μg/kgの範囲の用量を投与することを選択することができ、多くの患者は300μg/kg TIDを投与される。薬物代謝/排泄(クリアランス)を実質的に変える病気または疾患を有する患者については、医師は、代わりに、上記のとおり、用量を投与し、投与された用量が安全であることを確実にするためおよび効力に必要なCmaxfreeを達成するためにCmaxfreeを測定することを選択することができる。
患者によっては、ウリモレリンは、80μg/kg、150μg/kg、300μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、600μg/kg、750μg/kg、900μg/kgまたは1200μg/kgで30分静脈(IV)注入q8H(TID)として投与される。他の患者については、ウリモレリンは、予め決定された「正常な」レベルを有意に超える個々のAAGPレベルに基づいて決定された1200μg/kgよりも高い用量で30分注入q8HまたはTIDとして投与される。注入回数および手法は、医師の診断手法に従って異なる;ガイダンスは、ここで、当業者が、IVバッグの使用またはシリンジポンプの使用が挙げられるがこれらに限定されない慣用の注入手法を用いることができるようにする。他の患者、すなわち、経腸栄養中ではないかもしくはもはやその必要がない患者、または経腸栄養に対してもはや不耐性ではないがなおも異化状態であるかまたは治療担当医が本発明によるウリモレリンの投与の同化効果が治療効果をもたらすと考える他の状態にある患者は、上記のとおり、BIDまたはqDで投与されるこれらの同じ用量(または1日総量)を投与されることによって恩恵を受ける。
本発明の方法による救命救急施設におけるEFIの処置は、ウリモレリンが機能調整薬として投与された場合に患者にさらなる利益を与えるという点で特に有益である。ウリモレリンは、多くのこのような患者が経験する可能性があるものである、このような患者における異化状態の発生に対抗する。適切な栄養が供給されない場合に、このような患者は、除脂肪体重が1日あたり1kgも失われ得る。食事が与えられている場合でさえ、病態の亢進、およびそれに付随する修復および治癒しようとする身体の労力、ならびに高異化状態および/または過剰な正味の交感神経緊張度を駆動する頻繁な炎症状態に起因して、除脂肪体重の喪失は、生じることがあり、短期および長期のどちらでも、有意であり得、かつ、衰弱させ得る。
ウリモレリンは、胃排出を回復させる抗異化特性および抗炎症特性の両方を有する治療薬であり、したがって、特に、ICU環境内での処置を含むEFIの処置に有効であり、ICU環境(EFIの間およびその後)またはその他の環境のどちらであっても同化利益の提供および/または過剰な正味の交感神経緊張度の低下に有効である。かくして、本発明の一の実施態様において、ウリモレリンは、高異化状態(医師が不健康であると認める異化状態)の患者に投与され、モチリンアゴニストおよび5HT−4アゴニストなどの別の薬剤と比べて高い治療効果を与えることができるが、このような薬剤は、付加的治療効果を与えるために本発明に従ってウリモレリンと組み合わせて使用され得る。典型的には、これら別の薬剤は、機能調整利益のみを提供する。
かくして、本発明の一の重要な実施態様において、ウリモレリンは、EFIを処置するために投与される。下記の実施例5は、本明細書に記載のウリモレリンの投与が、ベースライン測定値を超えるプラセボと比べて、液体胃排出を実質的に改善したことを示した健康なボランティアにおける研究を記載している(下記の記載を参照)。当業者には当然のことであるが、ベースラインで正常な胃排出が正常な健康なボランティアについて、「改善」は、ベースライン生理学的レベル以上の胃排出速度(時間の単位で測定された)の促進として測定され、これは、治療対象集団、すなわち胃排出障害および/または遅延を有する患者において、胃排出時間の、患者の発病前の状態のものまたはそれに近いものへの回復と変換できる。健康なボランティアにいて見られる上部GI運動における顕著な促進(本発明に従って使用した場合のウリモレリンの消化管運動改善効果(prokinetic effect))は、最適化されたCmaxfree速度およびレベルの達成がEFIを処置するためにウリモレリンを成功裏に使用するための重要な要件であるという知見と一致する。
本発明の方法において、少なくとも約0.5ng/mL〜1ng/mLのCmaxfreeを達成するのが望ましいが、典型的には、約125ng/mLを超えず、これは、心拍の過剰な減少によって害を及ぼす可能性がある患者において重篤な副作用の過度のリスクを伴わない治療効果にとって重要である。かくして、一の実施態様において、本発明は、本明細書に記載のウリモレリンの投与を含む、胃排出の改善(促進)を必要とする患者における胃排出の改善(促進)のための方法であって、典型的には、治療過程においてCmaxfreeがいつ測定されたかに応じて、投与後ごとに1〜30ng/mLの範囲のCmaxfreeを生じる方法を提供する。これらの方法は、EFI患者、およびウリモレリンの消化管運動改善効果が本明細書に記載の量および処置計画で治療的に有益である他の徴候の患者の処置における使用に適している。
本発明の別の態様において、ウリモレリンは、治療担当医によって有害と認められる異化状態(それ自体が、根底にある炎症状態に起因するかまたは該炎症状態によって悪化するかもしれない)の患者に投与される。ウリモレリンは、カロリーの提供を改善するため、胃運動を改善するため、除脂肪体重の維持もしくはその減少の低下を促進するため、外傷、敗血症、心肺疾患、腫瘍(neoplasm)、肺炎および他の重症感染症、手術および/または胃腸疾患が挙げられるがこれらに限定されない重症疾患によって引き起こされる全身性炎症のような異化状態の一因となる根底にある炎症状態を軽減するため、異化状態を直接的に処置するため、ならびに除脂肪体重の維持の改善によって得られるような有益なアウトカムを促進するために、本発明に従って使用することができる。治療を受けていないかまたはこれらの利益を提供しない別の治療を受けているICU内のEFI(および他の)患者と比べると、ウリモレリンを投与されている患者は、一般に、ICU滞在または他の病気を耐え抜く可能性が高く、耐え抜く患者については、短期間の経腸栄養および/または救命救急治療を必要とする可能性が高い。このような患者としては、食欲障害もしくは摂食障害;内分泌性調節障害、限定されないが、例えばGH分泌障害;炎症媒介異化作用;または、同化作用障害を有する障害を有する患者が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、当業者には当然ことであるが、このような患者は、以前にEFIの処置を受けていない患者を包含する。本発明の理論によって縛られることを望まないが、これらの利益は、少なくとも部分的には、本発明の方法によるウリモレリンの投与に付随するGHレベルの増加により生じると考えられる。
本発明によるウリモレリンの投与は、GHレベルの「急上昇」をもたらし、150μg/kg TIDを投与されている健康なボランティアにおいて、1日目にGHレベルが男性および女性においてそれぞれ約11μg/Lおよび約19μg/Lに急上昇したが、このレベルは経時的に下降し(実施例5を参照)、反復投与後に見られた急上昇は臨床的に有意なままであった。かくして、本発明の方法は、重篤な副作用の過度のリスクなしで、治療的に有意義な抗異化(同化)効果を提供する。かくして、一の実施態様において、本発明は、本明細書に記載のウリモレリンの投与を含む、GHレベルの増加を必要とする患者におけるGHレベルを増加させる方法であって、少なくとも約2μg/L(男性)および約6μg/L(女性)の投与後ごとにGH急上昇を生じる方法を提供する。いくつかの実施態様において、該患者のGHレベルは、ほぼ正常レベル(男性においては0〜0.8μg/L、女性においては0〜8μg/L)に戻る。これらの方法は、治療担当医によって有害と認められる異化状態の患者および悪液質を有する患者を包含する、同化効果を必要とする患者において同化効果をもたらすための使用に適している。これらの方法において、ウリモレリンは、本明細書に記載した量および治療計画(典型的には、EFIにも罹患している患者の場合はTID;罹患していない場合はqD、BIDまたはTID)で投与される。
本発明のこれらの態様のいずれものさまざまな実施態様において、本発明は、本発明による使用の表示を付したガラスバイアルに、緩衝化された注射用水中5%デキストロース中2mg/mLとして約10.5mL/バイアル、典型的には10〜11mL/バイアルを充填した、本発明の単位投与剤形である、本発明における使用のために提供されるウリモレリン薬品濃縮物の使用に関する。本発明は、IV投与に適しているウリモレリン製剤および該製剤を含有する医薬品の、他の多くの有用な実施態様を提供する。
かくして、本発明によって提供されるウリモレリン薬品濃縮物は、例えば20mL、25mL、50mLおよび100mL/バイアル容量ならびに対応する充填量、またはこれらの量の間の値でのより高い充填容量を提供する、より大容量の単位投与剤形(バイアル)およびパッケージングを含み;本発明は、また、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mLまたは6mg/mLのようなより高濃度で製剤をパッケージングする約10mL/バイアル容量中の医薬品(drug product)を提供し;3mg/mL、4mg/mL、5mg/mLまたは6mg/mLのようなより高濃度の製剤、ならびにより大容量のパッケージングおよび対応するより高い充填量、例えばバイアル1個につき約20mL、25mL、50mLおよび100mLまたはこれらの量の間の値を有する医薬品を提供する。これらの濃縮物は、当該薬物(下記を参照)および類似の可溶性塩の注射製剤についてTZP−101という。本発明に従って、より濃縮された薬物溶液が望まれる場合に使用することができる他のウリモレリン塩の製剤が提供される。本発明のこれらの実施態様における使用に適している、溶解度がより高く、治療上有効な別のウリモレリン塩としては、コハク酸塩およびリンゴ酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、本発明は、このような塩のための医薬品、およびそれらを含有する製剤を提供する。
一の実施態様において、本発明の方法において使用されるウリモレリンは、LP101と表示された注射用のTZP−101として提供される。この製剤を使用して、下記の実施例5において報告される結果が得られた。TZP−101製剤は、バイアル中2mg/mLである。「そのまま(neat)」投与することができるが、しばしば、(実施例5における試験の場合のように)使用前に希釈される。より濃縮された製剤は、本発明の別の医薬品を調製するために使用することができる。注射用TZP−101は、10mM酢酸塩緩衝液でpH4.5に緩衝化されており、浸透圧調整のためにデキストロースを含有する、ウリモレリン・塩酸塩・一水和物の注射用水中滅菌パイロジェンフリー溶液(ウリモレリン遊離塩基2mg/mLと等価)である。さらに以下に記載されるように、これらまたは別の賦形剤を用いて、本発明の別の医薬製剤を調製することができる。
当業者にとって当然のことであるが、本発明は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、TZP−101を含有する種々のエナンチオマー混合物、または類似の生物活性を有する近縁構造類似物(およびエナンチオマー的に純粋なものおよび混合物)を用いて実施することができる。好適なこのような混合物および近縁構造類似物は、例えば、限定されないが、米国特許第7,452,862号、第7,521,420号、第8,129,561号、第8,334,256号および第8,440,851号;米国特許出願公開第20080194672号;ならびに国際公開第2005/012331号、第2006/009645号および第2006/009674号に記載されている(出典明示により本明細書の一部を構成する)。
注射製剤TZP−101について、該医薬製剤(または、場合によっては「医薬中間体」)は、溶液10mL(10.5mL)を充填し、ゴム栓およびアルミニウムフリップオフシールで密閉した、透明バイアルである。該医薬品は、必要に応じて所望の濃度に希釈され、シリンジポンプ(通常の技能を有する医師のパーソナルプラクティスおよび患者の要求に基づいて、本明細書の記載を考慮して、容易に別のデバイスを代用することができる)を使用して30分間にわたってIV注入することによって投与されることを意図されている。30分間の注入時間によって達成された薬物動態は、所望の速度で所望のCmaxfreeを提供して、EFI患者へ治療効果をもたらすことができる。当業者にとって当然のことであるが、30分間の注入時間にガイドされた場合、医療提供者によって与えられる薬物の実際の送達時間は、典型的には、+/−5分以内で変化し得る。
好適な注入濃度は、例えば、0.15mg/mL〜1.00mg/mLの範囲内であり得る。別の実施態様において、好適な注入濃度は、1.00mg/mL〜2.00mg/mLの範囲内であり得る。注入温度は、典型的には、室温であり(注入バッグは、冷凍保存されていてもよいか、または室温で保存されていてもよく、LP101は、典型的には室温制御下で保存される)、注入物は、典型的には、pHが約4.5(実施例5で使用した注入剤のおおよそのpH)である。注入のためのカニューレは、22ゲージまたはそれ以上(成人用)であり得る。所定の注入で生じる静脈炎は、優れた臨床診療または中心ラインからの注入によって予防することができる。
本発明の方法および医薬品の典型的な適用において、EFI処置を必要とする患者の体重を測定または推定して、薬物投与ごとに実際の用量を算出する。本明細書に記載の投与量について、医師は、全体重を用いると考えられる。しかしながら、医師によっては、患者が特に太っている場合に「理想体重」投与を用いたり、または、特に太っている患者に対する臨床診療においてしばしば行われるように体重を指標としない他の調節を行ったりできる。同様に、医師によっては、患者が特に衰弱している場合に「理想体重」を用いることができる。さらなる実施態様において、医師によっては、自身の臨床判断によって導かれる場合、例えば、非限定的な例であるが、不安定な心血管状態の患者の蘇生の間に生じ得るような水分過剰の測定した体重に対する影響を考慮して、発病前の体重(「通常の体重」)に従って投与することができる。これらのようなケースにおいて、発病前の体重は、典型的には、測定した体重よりも低い。しかしながら、本明細書に記載されるような他の状況(例えば、AAGPレベルの変動など)がない限り、本明細書で提供される投与量は、例えば、医師が特に太っている患者に理想体重投与を使用することまたは例えば体液過剰の患者に発病前投与を使用することなどに起因して、十分な効果が見られない場合に増量することができ、同様に、医師が、例えば衰弱した患者に理想体重投与を用いた後、血中濃度が非常に高くなるのではないかと疑った場合には、下方調整することができるので、重量メトリック(weight metric)が用いられるか否かに関係なく、一般に適している。
投与量を決定したら、投与のための製剤を調製する。例えば、EFIの処置を必要とする70kgの患者において600μg/kgの投与を行うためには、ウリモレリン薬品濃縮物21mL(上記のとおり2mg/mL)を水中5%デキストロース(D5W)100mLで希釈し、次に、30分間にわたって定速注入として投与する。同様に、300μg/kg、500μg/kg、900μg/kg、1200μg/kgまたは2400μg/kgの投与レベルについては、ウリモレリン薬品濃縮物10.5mL、17.5mL、31.5mL、42mLまたは84mLをD5W 50mL、所望によっては最大約100mLで希釈し、次に、30分間にわたって定速注入として投与する。当業者にとって当然のことであるが、総注入量50mLもしくは100mL、または実際には別の容量(それよりも少ない容量、例えば10〜15mL程度の少ない容量を含む;これら少ない容量のいくつかは「正味」を与えられる用量についてであり得る)の選択は、限定されないが、より一般的な患者の体液要求または制限を含む他の要因によって決定され得、医師は、好ましい総容量を決定するために適当な臨床判断を用いることができる。これは、5〜7日までの間、または摂食目的が達成されるまでもしくは臨床的に指示されるとおり長い間、おおよそ8時間ごと(q8H)に繰り返される。もちろん、ここでは、個々の医師(医師の指示の下に運用する他の医療従事者を含む)の実施も、本発明の範囲を逸脱しない限り広く変化することができる。例示的に挙げるが、医師は、異なる容量、例えば50mL対100mLまたは他の量を使用すること;希釈剤をもちいないこと(すなわち、「正味」の投与を用いること);または乳酸リンゲル生理食塩水または生理食塩水(Normal Saline)のような別の希釈剤を使用することを選択することができる。
患者によっては患者のα1酸性糖タンパク質(AAGP;別称:オロソムコイド)レベルに従って調整された投与から利益を受けることがあり、本発明は、このような患者の処置に有用な方法および医薬品を提供する。健康な対象体においては、約550〜1400μg/mLのAAGP範囲が報告されている(Israili and Dayton, Drug Metabolism Reviews, 33(2), 161-235 (2001);Kremer et al., Pharmacol. Rev. 1988, 40, 1-47;Lentner, C. Documenta Geigy Scientific Tables, Physical Chemistry, Blood, Somatometric Data, 8th Ed., Ciba Geigy Corporation: West Caldwell, NJ, 1984: Vol. 3, 135-137, 140-142;Schmeling et al., Exp. Clin. Immunogenet, 1986, 13, 78-83.159;Lyngbye and Kroll, Clin. Chem. 1971, 17, 495-500.160;Blain et al., Br. J. Clin. Pharmacol. 1985, 20, 500-502.161;およびIsraili et al., [abstract]. Fed. Proc. 1985, 44, 1124を参照)。
しかしながら、AAGPは、急性期反応タンパク質であり、レベルは、危篤状態の患者を含む患者において大幅に変化することがある。陽性急性期応答タンパク質は、報告によれば、応答の間にアップレギュレートされ、血中濃度の増加は、1回の炎症性刺激から数時間以内に測定できるようになる(上掲のIsraili and Dayton;Gruys et al., J Zhejiang Univ SCI 2005 6B(11):1045-1056を参照)。1回の刺激の後、これらのタンパク質のレベルは、報告によれば、少なくとも24時間上昇し続け、典型的には、約48時間後に減少し始めるが、アップレギュレーションを引き起こす医学的状態が持続する場合には、AAGPレベルは、それよりも長い間、一般的には該状態が解消するまで、上昇し続け得る[上掲のGruys et al.]。
AAGPの血漿中レベルは、報告によれば、さまざまな病態(急性疾患、感染、さまざまな種類の癌、心血管疾患、中枢神経系障害、腎臓、肝臓および肺の疾患、慢性炎症性疾患など)において増加する(Boucher et al., Crit Care Clin 22 (2006) 255-271;Taguchi et al., Chapter 6: Molecular Aspects of Human Alpha-1 Acid Glycoprotein - Structure and Function, from Acute Phase Proteins, edited by Sabina Janciauskiene, InTech, 2013;上掲のIsraili and Dayton;および上掲のGruys et al.を参照)。AAGPレベルは、報告によれば、肥満の個体、損傷、外傷および重度のやけどの患者、ならびに骨髄移植および臓器移植を受けた患者において、より高い(上掲のIsraili and Dayton;Eap et al., Clin. Pharmacol. Ther. 1990, 47, 338-346;Benedek et al., Br. J. Clin. Pharmacol. 1984, 18, 941-946;Bloedow et al., J. Clin. Pharmacol. 1986, 26, 147-151;Macfie et al., 1992, 69, 447-450;Wilkinson, Drug Metab. Rev. 1983, 14, 427-465;Raynes, 1982, 36, 77-86.;Booker et al., Br. J. Anaesth. 1996, 76, 365-368;およびComments in Br. J. Anaesth. 1996, 77, 130を参照)。急性疾患、または慢性疾患の悪液質を有する高齢の患者もまた、報告によれば、AAGPレベルが高い(上掲のIsraili and Dayton;Lyngbye and Kroll, Clin. Chem. 1971, 17, 495 500;およびVerbeeck et al., Eur. J. Clin. Pharmacol. 1984, 27, 91-97)。AAGPのレベルは、報告によれば、手術後に上昇し、術後3〜4日目にピークとなり、その後、2〜4週間後に基底値まで下降する(上掲のIsraili and Dayton;Hanada et al., Int J Clin Pharmacol Ther 2011, 49(7):415-421;Comments in Br. J. Anaesth. 1996, 77, 130;Garfinkel et al., Ann. Intern. Med. 1987, 107, 48-50;およびJungbluth et al., J. Pharm. Sci. 1989, 78, 807-811)。
患者によっては、急性期応答は、報告によれば、不完全であるか、または存在しないかのいずれかである。正常よりも低いAAGP血漿中レベルは、報告によれば、膵癌、肝硬変症、肝炎、甲状腺機能亢進症および栄養障害の患者に見られる(上掲のIsraili and Dayton;Trautner et al., Scand. J. Urol. Nephrol. 1980, 14, 143-149;Pacifici et al., Ther. Drug. Monit. 1986, 8, 259-263;およびO'Connor and Feely, Clin. Pharmacokinet. 1987, 13, 345-364)。
本発明者らは、ウリモレリンの治療上有効な用量を達成するために、重要なPKパラメータは、総薬物のCmaxではなく、著しく短い半減期(effective half−life、T1/2 alpha、of 約one hour)を有する遊離した非結合形態のCmax(Cmaxfree)であることを認識した最初の者であった。したがって、ウリモレリンがCmaxfreeを迅速に達成するためにウリモレリンを投与しなければならないだけではなく、上記のとおり、一般に、Cmaxfreeが0.5〜125ng/mLの範囲内でなければならない。しかしながら、上記のとおり、2つの一般的クラスの患者が存在し得る:主にEFIの処置を受ける患者と、医師が正味の交感神経緊張度の軽減が治療上重要であると考えられるEFIの処置を受ける患者。典型的に300μg/kg〜600μg/kg TIDを受けている前者のグループについて、正常なAAGPレベルを有する患者については、平均Cmaxfree(定常状態で)は、約10〜45ng/mLの範囲であると予想される(AAGPレベルが正常値の2倍である場合には、この投与量範囲でのCmaxfreeは、5〜25ng/mLの範囲であると予想される)。典型的に750μg/kg TID〜1200μg/kgを受けている後者のグループについて、平均Cmaxfreeは、典型的には、非常に高くなり、例えば、この範囲の上限の容量を投与されている個々の患者によっては、そのCmaxfreeが125ng/mLを超える場合がある。
患者におけるAAGPレベルの増加は、ウリモレリンの遊離血漿中濃度を減少させることによって効力を低下させ得る。AAGPレベルの減少は、安全な投与限度を低下させることがあり、ウリモレリンの遊離血漿中濃度を増加させることによって毒性を引き起こす可能性がある。本発明に従って、投与のすぐ後にCmaxfreeを達成することが重要であるが、毒性のリスクがこのような高用量を投与することの潜在的な利益よりも上回るレベルを超えないことも重要である。1200μg/kg(1回)までの用量が正常な健康なボランティアに投与されており、安全かつ十分に認容性を示したが、約30ng/mLのCmaxfreeで始まる用量関連心拍数低下が見られ、また、この低下は、これが観察された試験における有害事象の基準を満たさなかったが、SAD試験において600μg/kg、900μg/kgおよび1200μg/kg用量を投与されている対象体は、低下の亢進を示し(実施例5を参照)、より高い用量で徐脈が生じる可能性があることを示した。
当業者は、徐脈が治療対象集団のサブセットにおいて安全性への懸念を認める臨床的に有意義な所見であり得るが、病因は、迷走神経媒介(すなわち、副交感神経系)緊張の誇張した薬理学または逆に低下した交感神経緊張度に起因しそうであることを認識する。この心拍数の低下は、薬物離脱または時間の経過または他の手段(例えば、アトロピン)のいずれかによって、予測可能で、観察可能で、処置可能で、治療可能であり、臨床診療の不利益となる可能性は低い。さらにまた、上記のとおり、正味の交感神経緊張度の低下を示している健康なボランティアにおいて見られる軽度の低下は、結果として、重要な抗異化効果および/または安静時エネルギーレベル低下へと変換することができ、これは多くのICU患者にとって望まれることであり、心機能を改善するために作用することもできる。それにもかかわらず、ある患者にとって有益であり得る用量は、別の患者にとって最適な用量ではないかもしれない。患者によっては、所定の日に安全かつ効果的に投与され得る用量が、別の日には安全かつ効果的に投与されなくなることもあり、これは、ICU内での治療経過の間の患者のAAGPレベルの介入性増減の可能性を考慮すると、ウリモレリンに特に懸念されることである。
病気および傷害を負った患者においてAAGPレベルが変動する可能性が知られていることを考慮すれば、ウリモレリンによる処置を受ける予想されるICU(または別の治療対象)集団におけるAAGPの範囲の測定は、AAGPレベルが正常な範囲よりも高い(または低い)患者の集団および/またはサブセットの理解を助け、その結果、AAGP調整投与から利益を得ることができ、該用量と比べてAAGPレベルが患者において低い(または高い)場合には、その患者は投与される。当業者にとって当然のことであるが、本発明のこの態様およびこれらの実施態様は、ICUにおけるEFIの処置に関して記載されているが、これらは、EFIの処置を必要としているがICUにいない患者およびEFIに苦しんでいない場合でさえその同化効果のための本発明の方法に従ってウリモレリンを投与されている患者にも同等に適用できる。
本発明者らは、彼ら自身の試験に取り組んで、これらの知見が文献で報告されたAAGPレベルとは著しく異なることを見出した。例えば、ランドックス(Randox)アッセイは、50〜120mg/dLの「正常な」レベルを引用しているが、このアッセイを用いて試験された健康なボランティア集団のもの(実施例5に記載されるような)は、該対象体の約70%が40〜60の値(約30〜約80mg/dLの範囲)を有しており、120もの高い数値が正常であるのか本発明者に疑問を抱かせた。しかしながら、おもしろいことに、AAGPに基づく投与の複雑さはいくつかの小サブセットの患者にとって重要であり得るが、本明細書に示される結果は、150μg/kg〜600μg/kgの範囲内の標準用量によって有意な治療効果が多数の患者に与えられ得、ほとんどの患者が300μg/kg〜600μg/kgの範囲(EFIのためにはTID、またはEFI後の同化効果のためにはqD、BIDもしくはTID)の投与、500μg/kg TID〜600μg/kg TIDの投与(例えばEFIのために好ましい標準的な600μg/kg用量TIDを包含する)から利益を得ることを示している。
本発明の一部は、ウリモレリンによる有効な胃排出が薬物の適切な最大遊離濃度、Cmaxfree(少なくとも0.5〜1ng/mL;下記実施例5を参照)を必要とすること、およびAAGPと結合した薬物が受容体標的との相互作用に利用できないことを見出したことから生じる。さらにまた、遊離薬物(AAGPから遊離された)は、急速に排出される。さらにまた、本発明者は、幅広いが特徴に乏しい治療対象集団におけるAAGPの変動を考慮すれば、標準投与を受けている有用な数の患者においてCmaxfreeを達成することへのさらなる挑戦があると認識した。本発明者らは、遊離薬物(AAGPと結合していない)の半減期を算出した最初の者であり、総血清中薬物(total serum drug)の半減期よりも有意に短いことを示している;本明細書で提供されるように適正な用量が投与された場合に、1日中、十分な機能調整効果を奏するので、この算出は、かれらの方法によって必要とされるTID投与がEFI患者に最適であることを示している。さらに重要なことに、治療対象集団におけるAAGPレベルの可変性の新たな理解およびその意義、ならびに予想外の広い範囲の治療上有効かつ安全なCmaxfreeの新たな理解をもって、本発明者らのその後の努力は、ほとんどのEFI患者が本明細書に記載されるような標準投与(500μg/kg TID〜600μg/kg TID)によって処置できることを示している。
それにもかかわらず、多くの患者は、AAGPレベルの測定を必要とせずに本発明によるウリモレリンによる処置(例えば、ウリモレリン80〜1200μg/kgのq8H − TID − IV投与、例えば300μg/kg〜600μg/kg TID)によって効果的に処置され得るが、AAGPレベルが変わった患者によっては、薬物がその患者へ安全および/または有効に投与されることを確実にするために、測定したAAGPレベルに基づいて用量を調節することによって利益を得る場合がある。この方法によって、治療効果を改善することができ、有害事象の可能性を低下させることができる。オロソムコイドとしても知られているAAGPのレベルは、他の目的のために医師によって慣用的に測定されている(炎症性腸疾患のようなある種の障害の予後要因または管理要因として;Kjeldsen et al., Scan. J. Gastroenterol. 1997, 32, 933-941;Gupta et al., Journal of Medical Microbiology (2010), 59, 400-407を参照)。
本発明に従って、AAGPレベルは、本明細書に記載によるウリモレリンの処置の経過の間に測定される場合、いつでも、すなわち、ウリモレリンの最初の投与の直前、初期投与と同時、または最初の(またはその後の)投与の後に、測定することができる(すなわち、試験は、「投与の間じゅう」または投与と同時に行われる)。本発明による使用に適しているAAGPまたはオロソムコイドのレベルを決定するアッセイは、ELISAまたは比濁分析のような技術を用いて慣用的に臨床サンプルを分析する施設で容易に商業的に入手可能である(Genway Biotech, Human Orosomucoid (Alpha-1-Acid Glycoprotein) ELISA Quantitation Kit (http://www.genwaybio.com);Randox, Alpha-1-Acid Glycoprotein (AGT) RX Series (www.randox.com)を参照)。
かくして、ウリモレリンの用量は、ウリモレリンの目的の遊離血漿中濃度(Cpfree)を達成するために、測定されたAAGPレベルに基づいて本発明に従って調整することができる(このような算出の例として、Freilich and Giardina, Clinical Pharmacology and Therapeutics (1984) 35, 670-674(出典明示により本明細書の一部を構成する)を参照;実施例3も参照)。ウリモレリン濃度が増加すると、遊離フラクションも増加し、所定の遊離フラクションを生じるウリモレリン/AAGPの比を決定することができる。したがって、この比は、必要な場合または役立つ場合には、AAGPレベルが低いかまたは高い患者における用量を調節することによって、本発明に従って維持することができる。
目的Cpfree(Cmaxfree)は、AAGPレベルを毎日測定することによって患者において維持され得るが(まれに1日2回以上、ほとんど1日2〜3回、指示に応じて投与を調整)、他の患者は、AAGPレベルを2〜3日に1回測定することが必要であるか、または特にかれらの合併した臨床状態が適切に安定化している場合には週1回の頻度で可能である。一の実施態様において、各用量または総日用量は、予め決定された用量とAAGPレベルとの直線関係を適用することによって調整される:例えば、用量(μg/kg)=m*[AAGP(μg/mL)]+b(ここで、目的Cpfree、および用量とAAGPレベルとの直線関係(勾配(m)、およびy切片(b))は、臨床試験から決定される(下記の実施例3および4を参照)。
しかしながら、このようにガイドされた投与をさらに詳しく記載する前に、AAGPレベルの測定を必要とせずにウリモレリンの処置から利益を得ることを理解することが重要である。かくして、実施例5は、ウリモレリンのIV投与を受けている正常なヒトボランティアにおける胃排出のシンチグラフィー測定に基づいて、治療効果が、ウリモレリン80μg/kg、150μg/kgおよび300μg/kgのTID投与による処置の1日目および4日目の胃排出T50(胃が食事から半分空になるまでに要する時間、「GET50」)の改善の形態で達成され得ることを示している。特に、これは、「液体の食事」排出を用いて示された。経腸栄養を受けている患者に典型的に与えられている「食物」は、健康なボランティア(HV)臨床試験において与えられているものと類似の液体またはスラリー形態のものであり、したがって、本明細書において液体食事と称する。この利益、すなわち、HVにおけるこの試験で測定された排出の促進は、投与前ベースラインと比べて、どちらの処置群も、1日目には30%を超え、4日目には20%を超えた。
かくして、一の実施態様において、本発明は、胃排出の改善を必要とする患者における胃排出を改善する方法であって、本明細書に記載のとおりのウリモレリンの投与を含む方法を提供し、該方法は、処置の1日目に少なくとも10、20、30%またはそれ以上のGET50改善をもたらし、続く投与の2日後、3日後および4日以上後でも、同様の改善をもたらす。これらの方法は、EFIの患者およびウリモレリンの消化管運動改善効果が本明細書に記載の量および処置計画で治療的に有益である他の適応症の患者の処置における使用に適している。実施例5に記載の試験は、また、GET25(25%排出までの時間)およびGET90(90%排出までの時間であるが、この時点に到達した対象体はあまりいなかった)での有意義な改善を示した。
さらにまた、これらの正常なボランティアにおけるAAGPレベルは、ICU患者のものと比べて、一般的に(実施例4および以下の記載を参照)、ウリモレリンが150μg/kgおよび300μg/kg(およびそれ以上)の用量での正常なボランティアにおける有意な胃排出を与える程度を考慮すれば、また、より高い用量に認容性があることを考慮すれば、ほとんどの患者が、80μg/kg〜150μg/kg;150μg/kg〜300μg/kg;225μg/kg〜550μg/kg;300μg/kg〜500μg/kg;および500μg/kg〜600μg/kg(BIDまたはTIDのIV投与)のような範囲での標準投与から安全に利益を得ることを示している。しかしながら、これらの「標準的な」範囲の1つにおける投与が所望の利益を与えない場合には、医師は、ガイドされた本発明の投与方法の1つに進むことを選択することができる。
本発明に従ってガイドされたAAGP投与の説明は、以下のとおりである。血漿中で結合していない、したがって、その標的、すなわちグレリン受容体と自由に相互作用するウリモレリンのパーセントは、ウリモレリンの総血漿中濃度および血漿中AAGP濃度に依存し、それにより、ウリモレリン濃度が固定AAGP濃度で血漿中にて増加するので、遊離フラクションも増加する。同様に、例えば損傷または疾患に応答して、ウリモレリンの固定総血漿中濃度でAAGP濃度が増加すると、遊離フラクションは減少する。そこで、3000μg/mLの「正常」よりも約3倍以上のAAGPレベルの仮説の患者を検討する(実施例3を参照)。この患者は、例えば1000μg/mL(この数値は、科学文献においてこれまでに定義されている「正常なAAGPレベル」である;以下の記載および実施例4を参照)のAAGP濃度を有する健康な対象体よりも実質的に低い遊離フラクションを有し、したがって、同じ用量で低い非結合(または遊離)血漿中濃度を有する。したがって、該用量が目的Cpfreeに適合するように調整された場合、この対象体は、ウリモレリンのより高い効果(より高い治療効果)を有することができた。理論的なCpfree目標が20ng/mLであり、20ng/mLのCpfreeを達成するための用量とAAGP濃度との関係が用量=0.6×[AAGP](この説明のために、Y切片を0と想定する)であった場合、1000μg/mLのAAGP濃度を有する健康な対象体における600μg/kgと比べて、3000μg/mLのAAGPレベルを有する上記架空患者は、安全または効果的な投与のためには、ウリモレリン1800μg/kgの用量を必要とする(実施例3を参照)。この理論的な算出は、目的Cmaxfree、正常なAAGPを有する対象体における有効な用量、および患者AAGPレベルの組合せに適用され得るが、本発明の投与方法の利点を考慮すれば、このようなガイドされた用量算出は、ほとんどの患者に必要ない。
さまざまな商業的アッセイは、「正常な範囲」のAAGPを約50〜120(ng/mL)と記載している。一の試験で評価された健康なボランティア(HV)(下記の実施例5を参照)は、約10の標準偏差をもって平均値約50のAAGPレベル測定値を有し、、これらの数を使用して、このアッセイを使用してこれらのHVの約70%が約40〜60「正常な」AAGPを有すると合理的に予測することができる。さらに、ICU患者の試験における0日目(ベースライン)、4日目および7日目のAAGPレベルの分析(下記の実施例4を参照)は、測定することができる最高レベルが、患者に依存して、1日目に生じることができ、すなわち、特定のICU患者について最高のAAGPレベルが達成されると予測することができなくなることを示した。当業者にとって当然のことであるが、ピークAAGPレベルは臨界PKパラメータであるCmaxfreeに最も影響を与えるので、この複雑さが懸念されている。
50を平均「正常」AAGPレベルと仮定し(病気でもなく、損傷を負ってもいない成人対象体)、分母として正常なAAGPを使用し、このICU患者試験から各患者の正常値対ピーク値の比、いわゆる「相乗比(Multiple Ratio)」を算出することができる。平均AAGPレベル(すなわち、40)の別の合理的仮定を用いて、同様に相乗比を算出することができ、結論に達することができる。しかしながら、50を用いた場合、例えば、90のAAGPは「正常」の1.8倍(90/50)であるが、320のAAGPは正常の6.4倍である。この特定の試験について(実施例4を参照)、中間分析は、危篤状態の患者の27%が正常の1.9倍まで、62%が2.9倍まで、94%が4.9倍までのAAGPレベルを有していることを示した。
当業者にとって当然のことであるが、より大きな投与範囲の調節は、商業的または物流的視点から禁止され得る。本発明は部分的に、ある設定された用量および用量範囲が大部分の治療対象集団を適切に処置するという発見から生じた。上記の分析は、健康なボランティアからの有効性データと一緒になって、ある「設定された」用量、すなわち、投与1回につき150μg/kg(450μg/kg/日)、投与1回につき300μg/kg、投与1回につき500μg/kg、および投与1回につき600μg/kgが、AAGPレベルの前知識なしで大部分のAAGP集団を処置するために使用され得、投与(TID)1回につき300μg/kg〜600μg/kgの範囲の用量が非常に一般的な用量であることを示している。逆に、より高い用量(600μg/kgよりも高い)は、AAGPレベルが正常よりも非常に高い場合に投与され得る(実施例4を参照)。
上記の記載は、正常よりも高いAAGPレベルに焦点を当てているが、本発明はまた、AAGPレベルが正常よりも低い患者集団も対象としている。このような患者集団は、乳児、特に、一般的に、場合によっては必要な経腸栄養を阻害するかまたはそれに害を及ぼす障害を包含するGI(胃腸)機能に障害を持っている早産児(しばしば「未熟児」と称される)を包含する。本発明は、GI機能障害に起因する処置を必要とするこれらの患者に利益を与えることができる。特に利益を得る未熟児のサブセットは、現在の年齢が26〜36週齢(受胎から計算して)である未熟児のセットである。これよりも若い未熟児は、しばしば、栄養摂取量だけを必要とする(したがって、経腸栄養に対する不寛容は、医療介護者が十分であると思う食物の量の送達に該を及ぼさない)。26週齢に達した後、または供給目標が栄養供給を超えて前進している別の時点で、EFI(存在すれば)は、このような目標を達成するのを阻害し、医師は、EFIを処置するために治療薬を処方することを選択することができる。36週齢以上に達した未熟児は、典型的には、全体的なGI管発達および機能的成熟に起因して急速にEFIから逃れることができる。EFIを有するある種の未熟児において、ウリモレリンによって与えられる有益な効果の組合せ、特に機能調整および同化効果の両者は、消化管運動改善効果だけを与える他の薬物療法によって与えられる利益よりも遊離である。もちろん、ウリモレリンは、本明細書において関心のあるこの(および他の)適応症において、他の消化管運動改善薬物療法と組み合わせて用いることができる。
科学文献には、ある試験において、正常な期間の乳児は、出生時に、成人の正常範囲のほぼ半分のAAGPのレベルを有することが報告されている(AAPS PharmSci. 2002 Mar;4(1): 19-26を参照)。別の試験において、新たに生まれた正常胎児におけるAAGPレベルは、平均で、その母親のレベル(49.6±6.5mg/100mL)のほぼ3分の1であった(15.3±4.7mg/100mL)(p<0.002)(Clin Pharmacol Ther. 1981 Apr;29(4):522-6を参照)。早産児対乳児対18歳におけるAAGPの試験は、AAGPレベルは年齢の増加とともに有意に増加することを示した(Clin Pharmacol Ther. 1989 Aug;46(2):219-25を参照)。
典型的な成人のAAGPレベルのおおよそ3分の1〜2分の1を有する、満期またはその近くで生まれたかまたはしたがって早産の初期の後に発達した幾人かの晩期の未熟児について、所定のウリモレリン用量から得られた薬物の遊離フラクションは、類似の逆因子によって成人によりも高い(すなわち、前者の場合はおおよそ3倍高く、後者の場合は2倍高い)。したがって、本発明に従って投与される安全かつ有効な用量は、相対的なAAGP減少とおおよそ同じ要因によって減少し、その結果、成人の用量が300μg/kgである場合、AAGPについて特異的に調整して、該用量は、それぞれ、おおよそ100μg/kgまたは150μg/kgである。本質的にAAGPを持たずに生まれた非常に早期の未熟児について、投与された実質的に全てのウリモレリンは、未結合のままであり(かくして活性なままであり)、ウリモレリンの安全かつ有効な用量は、正常な成人についての体重ベースの用量の1/100〜1/10の範囲内である可能性がある。さらにまた、成人における体重によって投与される薬物(例えば本発明の方法におけるウリモレリンについて、μg/kg)について典型的であるように、小児患者(早産児を包含する)によっては、体重ベースの用量を増加させるように作用する代謝翻訳因子(metabolic translational factor)を適用できる場合があり、すなわち、成人への用量が150μg/kgである場合、このような翻訳因子を適用する医師によって処置される未熟児への用量は1.5〜10倍高い(すなわち、μg/kgにおける用量225〜1500μg/kg);しかしながら、ただし、そうであれば、このような用量は、正常な成人よりも低いAAGPレベルを有する未熟児のものを説明するための下方調整される必要がある。
当業者は、市販のモデリングソフトウェアを用いてこのような翻訳因子を容易に算出することができると認識する。
未熟児におけるAAGPレベルにおける潜在的な変動、すなわち未熟児が完全な妊娠期間と同等まで進行するにつれて漸増するベースラインレベルを考慮すれば、本明細書に記載されるように行うAAGPの測定およびウリモレリンの調整は、安全かつ有効な投与を確実にするために使用され得る。かくして、適当なウリモレリン用量は、測定されたAAGPから算出することができる;該用量は、未熟児患者によっては1時間に1回または毎日の頻度で調整され得る場合があるが、より典型的には、ほとんどのEFI患者についてそのように調整され得、仮に測定されたとしても、AAGPは、1回、またはこの程度長くもしくはそれ以上の長く処置を続ける患者については1週間に1または2回だけ測定される。未熟児について、該用量は、成人の体重ベースの用量のわずか1/100から該成人の用量の半分もの量までの範囲であり得る;また、代謝翻訳因子が用いられる場合、該用量は、1.5〜10倍(μg/kgの用量)上方調整され得る。
利益を受けている患者が経鼻胃栄養管または類似の栄養デバイスを装着しており、治療担当医がEFIを懸念している本発明の様々の実施態様すべての説明的な例として、以下は本発明による処置によって利益を受けることができる典型的な患者の説明である。このような典型的な患者は、集中治療室に入ることができ、高い頻度でそうであるように患者自身で食べることができない。これは、限定されないが医学的に誘導された昏睡もしくは鎮痛薬(sedating pain medication)によるような鎮痛、せん妄、または人工呼吸器の提供のための気管内チューブの存在を包含する多くの異なる原因に起因し得る。典型的なプラクティスにおいて、最初の1〜72時間以内に、または介護者が受け入れると認識した時点で、経鼻胃管または類似の管は、このような患者に挿入され、これを介して、一般的な液体栄養処方が、ボーラスにおいて、連続点滴として、またはボーラスによることが可能である間欠的な連続点滴として、送達され得る。
典型的には、ある量が注入された後、連続点滴による場合には典型的には4〜8時間後、与えられた量のGRVを決定する試験が行われ、その間、栄養が中断される。いくつかの実施態様において、一定の時間、例えば約30分間が経過した後、胃の残留物を注射器または類似の方法によって吸引する。GRV(または他のEFI指標)が介護者の判断で過剰であると思われた場合、非限定的な例として典型的には200〜500mLまたはそれ以上の量を超えている場合、栄養は保留される。
一定の時間が経過した後、典型的には、GRV(または他のEFI指標)が再チェックされ、栄養は、評価の間、同じ速度かまたはそれよりも低い速度で再開されるか、または栄養は、評価の間、保留される。GRV(または他のEFI指標)が十分に低い(すなわち、例えば、上記の範囲の下限またはそれよりも低い)と認められたら、栄養は再開される。GRV(または他のEFI指標)読みの数はしばしば1または2であるが、介護者が測定したGRV(または他のEFI指標)読みの数が過剰に高いと認められた後は、患者は、経腸栄養に不耐性であると宣言され、すなわち、該患者は、本明細書に記載のようにEFIの処置から利益を得ることができる。
当業者にとって当然のことであるが、さまざまな医師がさまざまな方法でEFIについての治療介入の必要性を決定し、本明細書に記載された方法は例示的なものである。例えば、多くの医師は、GRV測定を一回だけ行った後にEFIを診断し、是正措置を講じる。さらにまた、腹部膨満または嘔吐の観察、パラセタモール吸収速度論的試験の使用、シンチグラフィーの使用などの、個々の医師がGRV測定を行わずにEFIの診断を行うことができる様々な方法がある。特定の診断方法論は、しばしば患者の状態を考慮に入れる;かくして、例えば、GRV測定は昏睡状態の患者に適しているが、他の方法、例えばシンチグラフィーは、外来患者に対して、より適切である。当業者にとって当然のことであるが、医師の診療パターンの変動性およびEFI診断の実施に関する優先度にもかかわらず、根底にある運動性障害である胃排出障害は、このような患者すべてに共通しており、したがって、ウリモレリンの治療的機能調整利益が一般に適用される。
特に、GRV測定は、どの程度の量の食物が胃内に残っているかについての情報を提供するが、EFIを診断する別の方法は、シンチグラフィーによって行われる胃排出測定を含む(Abell et al., Am. J. Gastroenterol. 2008; 103:753-763を参照、出典明示により本明細書の一部を構成する)。シンチグラフィーは、実施例5に記載のHV試験において胃排出を測定するために用いられたが、ICU内で行うことの困難さのために、ICU集団における臨床診療については理想的ではない。さらにまた、当業者にとって当然のことであるが、健康なボランティアにおいてシンチグラフィーによって測定されるように胃排出時間を促進する薬物は、同様に、シンチグラフィー測定がこれらの患者に行われるか否に関わらず、危篤状態の患者を含む患者における胃排出の障害、遅延または停止を促進または回復させ、さらにまた、所定の期間、医療介護者が提供することができて患者が耐えることができる経腸栄養の量の測定のような、胃排出活性の同様に有効な代用物として機能することができる他の手段があ。
かくして、悪心もしくは嘔吐、腹部膨張、または他の類似のGI関連性のあるものなど単純に症状単独についての診断を含EFIの診断はGRV測定を使用せずに行うことができるか、または胃排出シンチグラフィーのような他の測定から推測されるが、依然としてより優れた処置方法が必要とされており、その必要性が比較的大きい:最近の研究は、EFIを有すると分類されたICU患者のほぼ30%の有病率を引用している(Gungabissoon et al.; JPEN J Parenter Enteral Nutr 2014 Mar 17を参照)。
本発明の他の実施態様において、EFIが解消されたか、または経腸栄養が停止された後、該患者へ継続して同化利益を与えるために、医師は、本明細書に記載の用量で、qD、BIDまたはTID投与を使用してウリモレリンの投与を続けることができる。EFIの処置において、該治療担当医は、該薬物の機能調整効果と同化利益との両方を望むことができる。危篤状態のEFI患者の危篤状態に対して特に有益であり、本明細書でウリモレリンについて記載したような適正かつ理想的に投与(IV)されたグレリンアゴニストの使用により生じる、これらの合わせた特徴は、「消化管運動改善プラス」利益を患者に与え、それにより、このような処置は、どちらか一方の利益だけを与える治療薬と区別される。下記の実施例において示されるとおり、本発明に従って正常な対象体に投与されたウリモレリンは、処置を必要とする異化状態の患者における有益な治療効果を有する成長ホルモンの急上昇を引き起こす。
介護者が処置の必要性を決定したら、患者は、TIDスケジュールで、投与1回につき80μg/kgから投与1回につき約1200μg/kg以下(240〜3600μg/kg/日)の用量でIV投与によってウリモレリンの投与を受ける。多くの実施態様において、各用量は、投与1回につき300μg/kgから投与1回につき約600μg/kg以下(900μg/kg/日〜1800μg/kg/日)の範囲であり、多くの患者は、投与1回につき500μg/kgから投与1回につき約600μg/kg以下(1500〜1800μg/kg/日)の範囲の用量で利益を受ける。TIDで600μg/kgを超える用量を投与されている患者は、治療対象集団中の患者であっても、通常、高いAAGPレベルを有する。ほとんどの患者は、EFIについてTIDで、所望によりqDまたはBIDで、投与される投与1回につき500μg/kg〜600μg/kgの範囲の設定用量を受け、同化効果についても同様である。他の実施態様において、患者は、投与1回につき300μg/kg〜1200μg/kgの用量を受けることにより利益を受ける。処置は、少なくとも1日間、典型的には少なくとも連続2日間、しばしば少なくとも連続4日間またはそれ以上続ける。場合によっては、処置は、患者のその後のICU滞在期間毎日施される。患者によっては、AAGP血中濃度を決定し、投与または用量調節をガイドするために使用する場合がある。
EFIについて処置された患者は、ウリモレリンをTID受けている。タフィラキシーの結果としての副作用もしくは効果の減少に起因するかまたは介護担当者の都合もしくは優先に起因するかにかかわらずTID投与が最適ではないEFI患者において、該薬物は、上記の範囲内の用量でのBID投与によって投与され得るが、TID(160μg/kg/日〜2400μg/kg/日)の代わりにBID投与される。すなわち、BID投与は、いずれかの理由で当該投与のほうがTIDよりも優れていると治療担当医が考えた患者に実施され得るが、BID投与法は、使用するとしたら、EFIについて処置されていない患者に、すなわち、同化および/または抗悪液質(anti-cachexic)効果が望まれる主要な利益である場合に、より適している。本発明のさまざまな実施態様において、例えば、EFIについて処置されている患者は、同化利益を与えるためにEFIが解消した後もウリモレリンを受け続ける。このEFI処置後シナリオにおいて、投与は、医師が選択した場合にはqD、BIDまたはTIDであってよく、個々の用量は、TIDについて上記した範囲、例えば、80μg/kg〜1200μg/kgの範囲である。
上記で手短におよび詳細に記載した本発明は、ここで、下記の実施例において例示されるが、これに限定されない。
実施例1は、ヒトのグレリン血中濃度がパルス状に変動すること、典型的には、正常な個体において、1日3回、定型の食事探索行動前に明らかな鋭いピークへと上昇し、食事後に低下することを示している。本発明の方法は、少なくとも部分的には、この自然に生じる正常なヒトのグレリンレベルのサイクル(食事時間に、例えば、約4〜6時間ごとに、生じる1日3回の急上昇)を模倣するq8H(TID)投与の使用に起因して、従来の方法よりも優れた効果を奏する。加えて、TID投与は、短いウリモレリン遊離薬物半減期を補うことができる(ほとんど結合(不活性)薬物からなる血清中総薬物半減期は、約15時間である)。
実施例2は、ウリモレリンが、ウリモレリンを結合する急性期反応タンパク質であるAAGPに広く結合することを示しており、該遊離血漿中濃度Cpfreeを低下させると、AAGPレベルは、病気また損傷のある患者において、しばしば実質的に高く、有意により変化すると報告されている。AAGPレベルは、治療経過を通じて変化することができ、より低いかまたはより高いウリモレリンの遊離血漿中濃度を引き起こし、対応する小さいかまたは大きい効果を及ぼす。
実施例3は、患者において測定したAAGPレベルに基づいてウリモレリンの用量を調節し、効果を最大限にするためにTmax(Cmaxfree)で目標Cpfreeを達成する方法を提供する。
実施例4は、標的集団においてAAGPの予測される範囲を推定するためにICU患者から得た試料をどのように使用することができるかを記載しており、この試験から得た結果を記載している。
実施例5は、本発明の方法がEFIの処置において安全かつ効果的であることを示すために行ったかまたは行われるべきである臨床試験を記載しており、HV(正常なAAGPレベルを有することが示された)に本明細書に記載の範囲内の用量でウリモレリンを投与することによって得られた結果を含む。
これらの結果および上記の例および図の説明における記載は、本明細書のすべての態様に適用でき、本発明によるウリモレリンの処置が胃排出を改善し、Cmaxfreeが所望の治療域(therapeutic window)であることを確実にし、GHレベルを増加させることによって治療効果を与えることを示している。実施例4および5に示され、本明細書に記載されるデータおよび分析は、記載された用量でのウリモレリンの治療効果および全体としての集団および治療対象集団におけるAAGP変動性は、有意な数のICU患者が、AAGPレベル測定なしで、本明細書に記載の標準的な投与計画(すなわち、適応症に依存して、および現存する患者の特性を提示して、BIDまたはTIDでの150μg/kg、300μg/kg、500μg/kgまたは600μg/kgで投与する)から利益を得るようなものであること示している。
本発明に従って処置され得る他の適応症としては、危篤状態の患者と、危篤状態はないが急性期治療施設または長期治療施設にいて静脈内投与を必要とする患者の両者において、上部および下部GI運動状態、ならびに過剰な異化作用または不適切な同化作用の状態、悪液質を含む何らかの理由による不適切な食物摂取が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような状態としては、以下のモノを包含する:経腸栄養不耐性;糖尿病性胃アトニー、神経因性胃アトニー、特発性胃アトニー、薬物誘発性胃アトニー、ウイルス性胃アトニー、肥満誘発性胃アトニーの患者を包含するがこれらに限定されない胃アトニー、オギルビー症候群、非中毒性巨大結腸(non-toxic megacolon)、偽性閉塞、神経学的障害(パーキンソン病または多発性硬化症または精神遅滞(mental retardation)または脊髄損傷を包含する)に関連する胃アトニーまたはイレウスまたは巨大結腸、3〜5日のような術後イレウス状態からの回復の間の典型的なタイムラインが適合しない遅延性術後イレウス、1次的または2次的な状態(後者について1つの非限定的な例が膵炎誘発性イレウスである)としての胃腸運動障害の他の状態を包含する術後イレウス。
本明細書、ならびに米国特許第7,491,695号(再発行特許第42,624号)、第8,349,887号および第8,450,258号(出典明示により本明細書の一部を構成する)の記載を熟考した当業者にとっては当然のことであるが、本発明は、多くの実施態様において、これらの特許に記載されているが、ウリモレリン(または類似の活性を有する治療上同等な製剤または分子)が本明細書に記載の用量で、例えば250μg/kg〜600μg/kgでTIDにてIV投与される方法を包含する。
したがって、本発明は、本明細書および特許請求の範囲に記載の投与計画に記載の適応症の処置または予防において用いるためのウリモレリンを対象とする。
本発明のこれらおよび他の態様および実施態様は、以下の実施例の考慮の後、より理解され得る。
実施例1 − ヒトグレリン放出
内在性グレリン血中濃度はパルス状である。グレリンは、食事前に鋭く上昇し、食後に下降する。これは、健康な個体においては1日に約3回起こる(Cummings et al., Diabetes 50: 1714-1719, 2001を参照)。図2を参照すると、朝食、昼食および夕食を食べた10人のヒト対象体における24時間にわたる平均血漿中グレリンが示されている。血漿試料を回収し、点線によって示された時点、すなわち、0800、1200、および1730で試験した[図2は、上掲のA Preprandial Rise in Plasma Ghrelin Levels Suggests a Role in Meal Initiation in Humans, Cummings et al.から適応された]。
実施例2 − AAGPへの結合
表1および図3に示されるとおり、ウリモレリンは、臨床的に観察された血漿中濃度を包含する15μMおよびそれ以下の濃度でヒト血漿タンパク質に広く(約95〜99%)結合している。AAGPは、ヒト血漿におけるウリモレリンに対する主要な結合タンパク質であり、ヒト血清アルブミン(HSA)は、全血漿中タンパク質結合へのマイナーな寄与因子であるると特定された。インビトロで、ウリモレリンのフラクションは、5〜100μMの範囲のウリモレリン濃度、および健康なヒトにおける正常な範囲の代表例である1mg/mLのAAGP濃度で、>99%〜<50%の範囲のAAGPに結合した。HSAに結合したウリモレリンのフラクションは、約30%であり、試験した濃度範囲(5〜100μM)の全域でウリモレリン濃度と無関係であった。
Figure 2017533951
実施例3 − AAGPレベルによる用量の調整
この実施例は、EFI患者の血清AAGP濃度(レベル)が測定され、目的Cpfreeに基づいてウリモレリンの投与を調整するために使用される本発明の方法を例示する。Tmax(Cmaxfree)でのCpfreeを、全QT(Thorough QT)(TQT)試験(表2および図4)において記録された健康なボランティアから得た血漿の透析試験により600μg/mLで約10〜25ng/mLであると決定し、理論的な目的Cpfree)として20ng/mLを使用した(実際の値は、EFI集団における臨床試験において決定され得る。遊離フラクションは、AAGPレベルに対する総薬物の比に依存するので、総用量は、所望の比を維持するように調整することができ、かくして、Cpfree。図5における理論的なプロットは、用量が所定のCpfreeについてのAAGP濃度と直線的に変化することを示している。この「理想的な」例において、用量を調整する因子は、用量(μg/kg)=0.6*[AAGP(μg/mL)]である。これは、ほんの一例である;実際の関係は、実施例4に記載されるように、EFI患者集団およびこれらの集団のサブセットにおける臨床試験によって決定され得る。
健康なボランティアにおけるAAGPレベルに対する総薬物レベルおよび遊離薬物レベルの関係は、実施例5に記載の第1相試験において用量レベル全体にわたって確立された。さらにまた、Cmaxfreeの増加対用量は、指数関数であることが確立され、予測可能だった。健康な対象体において、該用量の1つである150μg/kgでのCmaxfreeは、胃排出に効果的であり安全であると認められ、Tmax(Cmaxfree)薬物レベルでのCpfreeとAAGPレベルとの関係は、Cmaxfree=−0.099*AAGP+6.22(R2〜0.7)と記載することができた。これにより、AAGPレベル変化として、用量と一緒に用量とCmaxfreeとの用量比例関係を採用した場合に必要な用量または用量調整の推定を可能にする、生じた所望のCmaxfreeを決定することができることが確認される。実施例4に記載されるように、相乗比(Multiple Ratios)(患者のAAGP対正常なAAGP)と関連して、これらの基本的な関係(Cmaxfree対用量、およびCmaxfree対AAGPレベル)により、ヒトにおいて、EFIの処置に有効であるとして本明細書に記載の用量で、例えば、80μg/kg〜1200μg/kgで、AAGPに対するウリモレリンのほぼ一定の比を考慮すると、ほぼ一定の遊離フラクションが維持されることが確認される。例えば、患者の相乗比(Multiple Ratio)が4である場合、正常なAAGPの人における150μg/kgの用量によって達成されるほぼ同じCmaxfreeに達するために、調整した患者用量は、150μg/kg×4、すなわち600μg/kgとなる。所定の患者において達成された実際のCmaxfreeのさらなる評価を決定することができ、したがって、必要に応じて、用量を調整することができる。
Figure 2017533951
実施例4 − さまざまな健康集団および患者集団における参照AAGPレベルの決定および有効な投与との相関
この実施例は、ある集団から得られたウリモレリン効果の結果を別の集団からのものに翻訳するため、および最適な投与レベルを推測するために使用することができる参照レベルを決定するために、正常なレベルを有する健康なボランティアおよび特定の治療対象集団の両者を含むさまざまな集団におけるAAGPレベルを決定するためにどのように試験を行うことができるかを説明する。この実施例において、正常な健康個体におけるAAGPレベルおよびさまざまな集団におけるAAGPレベルの公表された報告と比べたさまざまなICU(または他の危篤状態の)患者集団におけるAAGPレベルの分析(実施例5を参照)を行った。この結果の検討は、本明細書に記載の用量が、ICU標的集団におけるAAGPレベルの変動性にもかかわらず、EFI患者の大多数において治療上有効であることを示している。
不均一で広く認められている代表的な診断を有するICU患者の先の臨床試験の間に回収された血漿試料(N Engl J Med 2013; 368: 1489-1497を参照)を分析して、この試料セットにおけるAAGPの変動性を評価した。これらの患者は、治療対象患者処置集団におけるものの代表であるが、患者試料は、患者が経腸栄養を受けているか否かに関係なく、本発明の方法について含まれていた。評価された変動性は、有意な割合の患者を処置するため本明細書に記載の固定用量(すなわち、投与1回につき、150μg/kg、300μg/kg、500μg/kgおよび600μg/kg)を使用することができることを示すために、ならびに、安全かつ最も有効な投与を確実にするために該薬物を投与する前かまたは該薬物の投与を続ける前に特定の患者におけるAAGPレベルを測定する時、これを測定するかどうか、およびどのように測定するかに関してガイダンスを与えるために、例示目的で使用される。本明細書に記載された結果は、以下に検討されるように処置決定をガイドするために使用され得る;さらにまた、この方法論は、他のグループの患者(EFI患者を含む)を分析して、治療担当医が関心をもっている患者集団について推奨用量および処置計画を与えるために使用され得る。
試験のうちの1つにおいて使用された153個の試料(患者63人から)(公表されたREDOXS試験から)は、特に肺炎(感染性および誤嚥性)、腫瘍(新生物)、薬物過量、外傷、さまざまな胃腸障害、敗血症、心肺疾患(例えば、心原性ショック、心筋症、急性心筋梗塞、呼吸停止、およびうっ血性心不全)を含む診断を認めたICU患者ならびに様々なタイプの手術を受けた術後の患者からの試料であった。REDOXS試験に加えて、ICUにいるやけどの患者の先の臨床試験の間に回収した約80個の血漿試料(29人の患者から)(RE−ENERGIZE試験)を分析して、第2の試験においてこの特定の患者処置集団におけるAAGPの変動制を評価した。
REDOXS試験においてAAGPについて分析した試料は、試験に入った時(典型的には、ICUに入った直後、すなわち、「ベースライン」)、ならびに4日目および7日目に採取した。RE−ENERGIZE試験からの試料は、4日目、7日目、14日目および21日目に採取した。さまざまな時点でのいくつかの試料(および、したがって、データ)は、両方の試験における患者についてなかった。ずべての試料は、Randox Laboratory, Ltd.のα1酸性糖タンパク質(AGT)キット(カタログ番号AG2472)を使用して商業実験室(LGC、UK)において分析した。
これらの患者試料におけるAAGPレベルの変動および傾きを評価するために、該データを分析して、高いおよび低い値を決定し、個々の患者のAAGPレベルがICU滞在中に予測可能な方法で変化するかどうかを決定した。測定したすべての時点ですべての患者試料から、最低のAAGPレベルは、ベースライン時点で得られた試料からの44であった。次に低いものは、7日目に採取した試料からの45および46の2つであった。4日目の試料からの最低読み取りは、56であった。全ての時点ですべての試料から、最高のAAGPは、4日目の読み取りの390であった。最高のベースライン読み取りは291であった。7日目の試料からの最高読み取りは、360であった。読み取りの変動性は、見られた場合には高い読み取りの程度およびタイミングに関して、また、健康なボランティアにおいて見られた値に近かった予測不可能に低い値の存在に関して、著しくて、予測不可能であった(実施例5)。しかしながら、一般的に、明確に認められている患者グループの各々における大多数の患者(すなわち、例えば、術後、敗血症、腫瘍(新生物))は、AAGPレベルが高かった(約40〜60mg/dlの「正常な」範囲と比べて)。
データの傾きは、一般的に、ICU患者が健康なボランティアよりも著しく高いAAGPレベルを有していること、ならびに、ある患者、特に、持続性な病気、例えば、感染性疾患を有するもの、および手術から回復しているこれらの患者が有意に高いレベルを有すると合理的に予測され得ることを示した。術後患者について、ピークレベルは、典型的に4日目および7日目の試料に見られ、急性期反応物として、AAGPが炎症誘発事象(手術のような)の後に増加し、炎症状態が存在する限り高いままであるかまたはさらに増加するという予測と一致する。興味深いことには、永続的な圧倒的な疾患に起因することを含む炎症応答を起こす能力を損なった患者は、高いAAGPレベルを有する可能性はない。
2つの試験からのデータを、1日目および7日目に、ウリモレリン安全性、PK、およびPD効果の第1相試験において登録された健康なボランティアからの試料からのAAGPレベルと比較した(実施例5を参照)(再度、すべての患者がすべての時点で試料を提供したわけではない)。30人以上の患者からの少なくとも70個の試料を試験した。AAGP値の範囲は、32〜77mg/dL(例えば、約30〜80mg/dL)であり、約50±10mg/dLの平均および標準偏差を有した。
本発明の方法に対するこれらのデータの重要さを決定するために、正常なAAGPレベルについての誘導値に対する所定の時間での所定の患者のAAGPレベルの比を算出することによって、REDOXSおよびRE−ENERGIZE患者からおよび健康なボランティアからのAAGP値を比較することができる。この比較を行うための1つの方法は、分子として患者のAAGPレベルを、分母として正常レベル値を使用することであり、このようなフラクションを本明細書において「相乗比(Multiple Ratio)」と称する。該相乗比は、所定の患者のAAGP読み取りがどのくらいの倍数で正常よりも上(または下)であるかを示している。また、本実施例で行われるように、ミラー治療対象集団を意図される試料を使用して得られた相乗比の分布が分かることによって、所定の時間での所定に患者がこのような比を有するという可能性を分布的に推測することができ(それは1である、すなわち、正常なレベル、または患者のAAGPレベルが正常よりも低いかもしくは高いかに依存して低いもしくは高い値)、かくして、所定のウリモレリン用量からの該患者についてのCmaxfreeが同用量を投与された健康な正常な人に典型的に見られるものとは異なるという可能性を予測することができる。
当業者にこれをより容易に説明するために、例えば、1〜<2のような相乗比の範囲を定義することができる。このような範囲は、スタンドアロンであり得、所定の患者が特定の範囲(例えば、1〜<2の範囲、または2〜<3の範囲)、、または、本発明の目的のためにより有用には、累積定な、例えば、1〜<3、または1〜<4においてAAGPレベルを有するという可能性を推測することができる。正常なAAGPレベルの値が50mg/dL(健康なボランティア試験において決定された)で設定される場合、表3は、特定の範囲のAAGP値を有するICU集団の累積的パーセントを与える。
Figure 2017533951
AAGPレベルは、どのくらい多くの所定のウリモレリン用量が未結合(遊離)形態 − EFIについての所望の薬理効果を発揮する形態のままであるかを指示する。AAGPが高いほど、または別の言い方であるが同じ意味合いで、相乗比が高いほど、遊離形態である投与された総薬物の割合が低く(すなわち、理論的に活性)、特に、低いCmaxfreeが存在する(これらの真実とは逆)。相乗比の範囲となるこれら2つのICU試験からの患者の割合は、一般的なICU治療対象集団についてのものと類似であり、上記の表は、その割合を推測するために使用され得る。重要なことに、この同じプロセスは、所定の「正常な」AAGP値のために使用され得る;かくして、本実施例は正常値として50を使用するが、別の合理的な値、すなわち、40〜60mg/dlを用いて類似の算出を行うことができる)。
表3において、各々の得られたカットオフ範囲となることを示されるさまざまな比は、所定のICU患者が特定の用量で投与されたウリモレリンからの最大治療効果を受けるという可能性と関係する(EFIについて、または続く同化効果について)。例えば、上記の表から、試験した患者の62%が1〜2.9(すなわち、1〜<3)の累積的範囲の相乗比を有することを考慮すれば、例えば、治療担当医は、該担当医の管理下にある特定の患者が所定の時間でこの同じ累積的相乗比の範囲内のAAGPを有する可能性は約62%であると合理的に推論することができる。
上記のように、ウリモレリンを受けている健康なボランティアからのCmaxfreeデータ(実施例5にて提供される)と合わせて回収し分析したデータは、実際に、3という高さの相乗比をもって、500μg/kg〜600μg/kgの範囲における用量からのCmaxfreeが1ng/mL以上に維持されることを示している。したがって、この用量について、ICUでEFIを処置する際に最大治療効果を達成する可能性は非常に高い。一般に低いAAGPを有すると予想される非ICU患者について、該用量は、さらにより望ましい。500μg/kg〜600の範囲の用量が、相乗比1〜2.9内のAAGP値について、一般的に(投与することは安全であるが)最小の有効レベル以上のCmaxfreeを生じることを考慮すれば、医師は、特定の患者のAAGPレベルを知ることの必要性なしで、この用量を投与した場合に有効な(かつ安全な)Cmaxfreeを達成する可能性が62%あることが分かる。さらにまた、データは、EFIの処置に十分な治療効果が、Cmaxfreeが単純に最小の有効レベル以上のままである患者に生じ得ることを示しているので、所定のAAGP上昇(すなわち、所定の相乗比>1)のCmaxfree低下効果が一般的にこの最小の有効レベル以下になるCmaxfreeを生じない限り、ウリモレリンの用量は、治療目的を達成するのに十分有効である。
当業者は、本実施例およびデータの熟考および本明細書に示された分析によって、本発明よりも前に、ICU患者にウリモレリンを投与することによりどのようなCmaxfree値が得られるかを自信を持って推測することは、当業者が総薬物レベルの代わりにCmaxfreeに焦点を充てたとしても、不可能であったことを理解することができる。科学文献は、広範囲の「正常な」および高いAAGPレベルを報告しており、報告された「正常な」レベルは、典型的には、正常値の下限で(または未満でさえ)50mg/dLを示している;例えば、Randoxアッセイは、50〜120mg/dLの正常な範囲を報告している。しかしながら、本明細書における分析は、注意深く行った試験において、正常なレベルが比較的緊密に中心にある約50mg/dLであることを示しており、以下の実施例で示されるCmaxfreeおよび胃排出データを考慮すれば自信をもって推測することができる。任意にまたは別の試験の知見から異なる「正常な」値を選択することができたとしても、類似の分析を用いて、本明細書に記載の用量、特に150〜600μg/kgの範囲内の用量が治療対象集団の有意な割合において有効であることを示すことができる。例えば、正常な値を40と想定し、上記と同じ計算を行った場合、患者の少なくとも約40%が1〜2.9の相乗比を有し、有利に本明細書に記載の用量に応答すると予想される。また、正常なAAGPレベルについてより高い値、例えば60を用い、このデータセットにそれらを適用した場合するので、該割合は上がり(すなわち、患者の80%が1〜2.9の相乗比を有すると予想される)、さらに多くの患者が標準投与から、すなわち、150μg/kg〜600μg/kgの範囲のTIDで、利益を得ることを意味する。これらの推定は、控えめであるが、4以上という高い相乗比を有する患者は、調整なしで本明細書に記載の用量に有利に応答する可能性があるが、調整が必要であるとすれば、実施例3からの知見が該集団のサブセットに適用され得る。
本明細書に記載の結果に基づいて、健康なボランティアの限定された集団からであるにもかかわらず、「正常な」AAGPの定義が文献で引用されたものよりも低く、かわりに、一般に40〜60mg/dL、平均50mg/dL(本明細書で引用したRandoxアッセイによって測定)であると結論付けることができ。この健康なボランティア集団試験から得られた全ての値は、約30〜80mg/dLであった。(同一Randoxアッセイによって測定された)REDOXSおよびRE−ENERGIZE試験における同様に有用であるが限定された患者集団試験に基づいて、治療対象集団の大多数が高いAAGPレベルを有する可能性が高いことが明らかである。実際、特にこの特定の分析の目的で、AAGPレベルつにて正常の上限として80mg/dLを用いた場合、治療対象集団中の患者の87%が、正常よりも高くて、異常に高いレベルである300mg/dLまでのAAGPを有すると予測することができる。したがって、これらの少数でかつ限定された試験をもってでさえ、当業者は、本明細書の記載を読めば、ICUのEFI患者の有意な割合が500〜600μg/kg TIDの範囲の標準投与により治療効果を引き出すと結論付ける。
それが予測するこの分析力および高い割合は、治療担当医に所定のEFI患者についての治療上有効な用量への明確な道、ならびに実施例6に示されるように、初期の処置後に有利に予測されるほどには応答しないこれらの患者についての用量を安全に増加または減少させる方法を与える。しかしながら、最初に、本発明に従って投与した場合のウリモレリンの治療域を示す結果、有意な胃排出効果、および成長ホルモンレベル増加は、下記の実施例に示される。
実施例5 − 臨床試験結果
健康な対象体においてウリモレリンの安全性、認容性、PKおよびPDを評価するための無作為二重盲検プラセボ対照単回および複数回漸増IV用量(SADおよびMAD)、群逐次試験を以下のとおり開始して行った。18〜55歳の健康な男性および女性ボランティアが試験に参加した。この試験の目的は、以下のことであった:先の試験におけるよりも高い用量のウリモレリンの単回および複数回漸増IV用量の安全性、認容性およびPKを評価すること;胃排出および成長ホルモンレベルの変化によって評価されたウリモレリンの単回および複数回漸増IV用量のPDを評価すること;ならびにAAGPレベルと総/遊離ウリモレリン血漿中濃度との関係を研究すること。これらのコホートは、試験のSADからMADまでの部分のクロスオーバー計画に登録された。試験された用量は、7日間、SAD:600、1200および900μg/kg、MAD:300、150および80μg/kg q8Hであった。
以下のエンドポイントが測定された:安全性、PK(総および遊離ウリモレリン濃度)、AAGPレベルおよびPD(シンチレーショングラフィー画像による胃排出(MAD部分の間のみ)および成長ホルモンレベル)。この試験は、本発明によるウリモレリン投与が胃排出の促進において安全かつ有効であることを示すと予測し、それを示した。
医薬「中間体」の定量的組成(バイアルは単位投与剤形であるが、最終医薬品は注入によって送達される)は、以下のとおりである(10.5mLバイアルについて):遊離塩基としてのウリモレリン・塩酸塩・一水和物21mg、氷酢酸6.3mg、無水デキストロース504mg、pH4.5となるまで適量の水酸化ナトリウム(1M)、および10.5mLとなるまで適量の注射用水(WFI)。投与のための滅菌条件下で、IVバッグ中にて、DPIを5%デキストロースで希釈した。全ての注入が30分間にわたって起こり、各用量グループにおける各対象体について正常な用量を達成させるために容量および濃度を調整した。
1200μg/kgまでの単回用量および300μg/kgまでの複数回用量は安全であり、十分に認容性があったが、用量関連心拍低下が見られ、これは有害事象(AE)についての基準を満たさないが、より高い用量で徐脈が生じることがあることを示唆した。毒性を制限する用量は、試験のSAD部分において達成されなかったが、少なくとも2つの対象体における同SOC(器官別大分類(system organ class))において中程度のAE、特に注入部位刺激症状として定義されるプロトコルで定義された停止基準は、300μg/kg q8Hで達成された。試験された用量で、平均Cmaxfreeは、約1〜79ng/mLの範囲であった。
表4を参照して、胃内容物の25%を排出するのに要した時間(T25%、別称:GET25)および50%を排出するのに要した時間(T50%、別称:GET50)によって測定された胃排出は、80μg/kg〜300μg/kg q8Hの範囲の用量で改善され、1日目および4日目に150μg/kgおよび300μg/kgで統計学的有意さを満たした(80μg/kgでは統計学的検定を行わなかった)。本発明のさまざまな実施態様において、投与された用量は、約0.5〜1ng/mLよりも高く、約125ng/mLよりも低い関心のある特定の対象体において、遊離ウリモレリンレベルについて与える本明細書に記載の範囲内である。Cmaxfree対胃排出(T50%)のPK−PDモデリングは、ロバスト活性(robust activity)が1日目の約0.5〜1ng/mL、4日目に3ng/mLまたはそれ以上のCmaxfreeレベルで生じるという結論を支持する。PK−PDは、胃排出の約50%改善の最大効果を有し、約30ng/mLのCmaxfreeレベルでプラトーとなるEmaxモデルによって十分に記載される。図6Aおよび6Bを参照。
Figure 2017533951
表5を参照して、健康なボランティアにおける成長ホルモンレベルは、ウリモレリン投与後に急上昇した。1日目のレベルは、いずれの時点でも、プラセボ対象体で見られたものよりも有意義に大きかった(プールされたプラセボ平均GHレベルは3.2μg/Lであり、約0.1〜11μg/Lの範囲であった)。経時的に、GHレベルの急上昇は減少したが、依然として測定可能であり、該アッセイの予想された生理学的範囲(男性については0〜0.8μg/L、女性については0〜8μg/L)内またはそれよりもわずかに高いままであった。
Figure 2017533951
na:適用できない;*:n=1。
表4および5からのデータは、まだ完了していない第1相試験からのものである。さらなる第4の健康なボランティアコホートは、さらなる第1相試験において試験されるべきであり、承認は、現在、600μg/kg TIDでそのコホートに投与することを規制当局(Investigation Review Board、すなわち、IRB)から求められている。治療対象集団における患者において。かかる患者における典型的に高いAAGPレベルおよび典型的に高い交感神経緊張度を考慮すれば、この用量は、血圧に対する心拍遅延の洗剤的な影響に関して安全であると予期される。しかしながら、第4の健康なボランティアコホート(すなわち、第2の第1相試験)について、正常なAAGPレベルおよび正常な基底交感神経緊張度を考慮すれば、IRBは、この用量が試験について過剰であると認めることが可能である。そうであれば、500μg/kg TID投与は、かかる健康なボランティアにおいて試験される。さらにまた、IRBによって承認された場合であっても、600μg/kg TID投与は、理論上、特に異常値対象体において、起立性低血圧症の存在によって示されるように、心拍の低下だけではなく血圧の低下も生じるのに十分高いCmaxfreeを生じることができる。これは非常にありえそうもなく、予想されないが、該試験の実施中に許容できないと認められる程度に生じるとすれば、該用量を600μg/kg TIDから500μg/kg TIDに減少させる。
EFIの患者におけるウリモレリン(LP101)の1日複数回静脈(IV)投与の有効性、安全性および薬物動態学的の第2a相多施設無作為二重盲検比較対照試験は、経腸栄養不耐性(EFI)の患者におけるウリモレリンの1日複数回IV投与の安全性および認容性を評価することを主な目的として行うことができる。副次目的としては以下のことが挙げられる:EFI患者におけるウリモレリンの1日複数回IV投与後の薬力学的(PD)−薬物動態学的(PK)関係を評価すること、ならびに胃排出およびタンパク質代謝回転(合成/消化)に対するウリモレリンの効果を評価すること。
患者を、8時間ごとに5〜7日間、ウリモレリン(例えば、300μg/kg TIDの低い用量と500μg/kg〜600μg/kg、TIDの高い用量を含む2つの異なる用量で)または(対照アームについて)メトクロプラミド(10mg)、次に、所望により、さらなる24〜48時間の観察および評価に無作為抽出する。以下のエンドポイントの1つ以上、または類似のエンドポイントは、以下の評価をもって測定することができる:5日目(または、長期試験の場合にはそれよりも遅く)の主たるエンドポイントの評価:1日目〜5日目に達成された経腸栄養の標的1日容量の1日平均割合;4日目の液体胃排出(t1/2、2時間保持、4時間保持)(分);4日目のタンパク質代謝回転(合成/消化);1日目〜5日目にわたって経腸栄養の処方された目標率の80%以上を達成する患者の割合と定義される摂食成功の栄養患者の割合;人工呼吸器を取り付けている日数;ICUにいる日数;および/または予め定義された基準によって記録される、肺感染を経験している患者の%。
このような第2a相試験が成功裏に完了すれば、すなわち、この試験が、予測されたように、600μg/kg用量で治療対象集団における胃排出に対して安全性および臨床的に有意義な効果を示すならば、臨床的利益が生じると考える理由があれば、次の第2b相試験は、これらよりも高い、例えば750μg/kgまたはそれ以上の用量を探究することができる。逆に、第2b相試験および続く試験は、第2a相試験で試験されたものよりも上の範囲で続けることができる。
当業者は、本明細書の記載を読めば、栄養障害およびEFIからのリスクが最も高いため、本発明にしたがって投与されるウリモレリンからの最大の治療効果を受けることができるこのような試験における登録に適格な患者を同定するために、APACHEおよび栄養上のリスクスコア、除脂肪体重、ならびに応答および濃縮ストラテジーのバイオマーカーを使用することができる。
表6は、このような臨床試験についてのガイド情報、ならびに栄養妥当性(NA)の絶対的増加、統計学的有意さで栄養上の目標の割合として送達される高いカロリーのプロキシによって示されるEFIを処置するためのウリモレリンの効力を示すための処置アームあたりの患者数を示し、本発明の方法がICU集団におけるEFIの処置に安全かつ有効であることを示し、NAの目標増加をもたらすことに力を与える臨床試験をデザインするのに有用であり得る。
Figure 2017533951
同様に、本発明の方法によってもたらされるEFIの有効な処置は、経時的に、場合によっては、本発明を選択しているこれらのICUおよび他の救命救急治療室についての死亡率の低下および人工呼吸器を付けない日数(VED)の増加を含む患者アウトカムの改善をもたらす。表7は、本発明の方法がEFIの処置に有効であり、それにより、ICU集団における死亡率が低下し、VEDの数が減少することを示すことと一致する結果を示す。特に、本発明によるウリモレリンによる処置が与えることができる患者における潜在的に有益なアウトカムの例として、以下の表は、オッズ比、相対的なリスク、および60日死亡率の低下の絶対値、ならびにウリモレリンによるEFIの処置によって可能になる人工呼吸器を付けない日数(VED)の増加をもってICUにおける栄養妥当性率の絶対的な増加と関係がある。
Figure 2017533951
本発明に従って投与されたウリモレリンは、栄養妥当性(同期間、典型的には1日にわたって、目標カロリー処方に対する期間にわたって投与されたカロリーの割合)に顕著に有益な影響を与え、このような効果をもたらすことによって死亡率の低下おぼいVEDの減少における顕著な改善ももたらす。
実施例6 − EFI患者の処置
本実施例は、例示的患者の例について、どのようにして担当医師が本発明に従って患者を診断し、処置することができるかを示す。
実施例4は、医師が、有意な数のEFI患者が、AAGP変動性にもかかわらず、ウリモレリンの単回投与によって安全かつ有効に投与されることを、合理的に予測することができることを示している。さらにまた、多くの患者において、投与される初期用量は、特に明白な胃排出効果をもたらす。言い換えると、この最初の用量からのCmaxfreeは、定常状態のCmaxfreeよりも低い場合であっても、用量が数回投与された後よりも胃排出の深い改善をもたらす。したがって、実際には、開始用量は、測定された場合にAAGPレベルが、次の用量の上方調整を正当化する場合であっても、十分な効果を発揮すると予測される。したがって、医師は、最初にAAGPをチェックしない場合でさえ、治療を開始することを選択することができる。このような場合、EFIのICU患者を処置する医師は、300μg/kgで、より典型的には600μg/kgで投与を始めることができる。場合によっては、医師は、EFIの解消によって示されるような効果および安全性を満足した場合、AAGPを全くチェックせずに投与を続けることを選択することができ、ここで、前者の評価は、典型的には、(GRV、腹部膨満、または本明細書で別に引用される他の方法によって測定される、しかしながら、医師が測定することを選択する)EFIの再発を引き起こさずに所望の注入速度(mL/時またはいくつかの機能的に類似の指標)で経腸栄養を成功裏に与える能力を記すことによって行われ、後者の評価は、ウリモレリンの副作用であるもの以外の他の明らかな原因がない望ましくない心拍遅延がないことによって行われる。
医師が効果に満足しないか、安全性についての懸念をいだくか、または例えば、以下に記載するような患者の臨床コースに関する他の理由でAAGPの測定を選択する場合には、該医師は、場合によっては、処置中の如何なる時点でもそれを行うことができる。他の実施態様において、医師は、特に、患者が、心拍の中程度の遅延の悪影響に苦しんでいるために正常な血圧よりも高いことを予測する心臓疾患を持っている場合には、かくして患者が他の認容されたCmaxfreeについて認容性を持たないことを示唆する場合には、治療の開始とほぼ同時に(またはその直前または直後に)AAPGをチェックしておくことができる。一の実施態様において、試験または再試験の目的は、医師がAAGPが、投与された用量が望ましいが過剰ではないCmaxfreeを達成していることを確実にすることができるような範囲であるという安心を得るためである。いくつかの実施態様において、目的は、AAGPが、医師が上方または下方の用量調整が助言されないことを確実にすることを分かっている範囲であることを確認することである。AAGPがチェックされる場合はいつでも、結果が正常以下のAAGPである場合、医師は、非限定的な例であるが、例えば600μg/kgの開始用量から150μg/kg〜300μg/kgの範囲の用量に、用量を減らすことを選択することができる。結果が、250または300mg/dLのように特に正常よりも高いAAGPである場合(該ケースは5または6の本明細書で用いられる相乗比と等しい)には、医師は、ウリモレリンの用量を、比限定的な例であるが、600μg/kgから、約1200μg/kg TIDまでを含む高い用量に増やすことを選択することができる。ほとんどの患者は1〜5の相乗比に対応する50〜250の範囲のAAGPレベルを有するので、医師は、600μg/kgの開始用量を使用した場合、特に正味の交感神経緊張度の有意な低下を達成する投与とは対照的に胃排出効果について主に処置する場合には、このような調整が必要ないことを、容易に予測することができる。
当然のことであるが、別法において、医師は、同様に、効果について最小必要量よりも高く、安全性について最大値よりも低いことを確実にするために、患者のウリモレリンCmaxfreeを測定することができ、この測定は、医師が患者の血液中で達成された処方薬物のレベルを測定することに慣れるので、より直感的な利点を有する。AAGPレベルは、低いか正常であるかまたは高いかに関わらず、典型的には、とにかくウリモレリンCmaxfree用量を変化させないので、また、一旦上昇すると、AAGPは、非常に一過性の事象であるCmaxfreeとは異なり、少なくとも数時間から数日程度までの間、高いままである傾向にあるので、CmaxfreeよりもむしろAAGPのチェックは、特に、特定の薬物注入事象のタイミングの付近での血液試料回収の時間を測定しなければなない要求を欠くという利点を有する(すなわち、得られたCmaxfreeを獲得するために)。
AAGPを再試験する頻度、または最初の段階で試験するという決定の頻度は、最終的に医師の好みであるが、臨床事象および知見によっては、特に、増加または減少に関わらず、AAGPレベルの変化と関係する事象は、それらの発生により、試験または再試験する価値を示唆することができる。このような事象の1つは、外科手術である。他は、新たな有意な感染または既知の感染の有意な悪化、例えば、限定されないが、肺炎または敗血症の発症である。有意な炎症要素をもつ医学的状態の悪化または新しい発症は、このような他の例である。いくつかの実施態様において、これらような医学的状態は、特定の開始用量を選択するように医師にガイドすることができ、一の実施態様において、限定されないが600μg/kgよりもむしろ750μg/kgのようなより高い開始用量を選択するように医師をガイドすることができる。ICUに移る前の既存の疾患の期間は、予想によればAAGPが上昇するので低い用量よりもむしろ高い用量で開始する潜在的な理由である;実際、医師は、治療開始の前、同時、または直後にAAGPのチェックによってこれを確認することを選択することができる。したがって、別の実施態様において、本明細書に記載の臨床コースを有する患者を処置する場合、医師に高いAAGPを示唆する他の理由で、医師は、高いAAGPの予測を考慮すれば、投与開始時にAAGPを実際にチェックするかどうかに関わらず、例えば750μg/kgでの投与を開始するか、またはこの用量に変更することを選択することができる。
初期のAAGPを再試験する他の理由は、単純に、初期試験が異常であったことである。逆に、初期AAGPが40〜60の範囲、すなわち正常の範囲であったか、または100まで、すなわち2以下の相乗比であった場合、医師は、特に上記したような介入性の医学的発展(intercurrent medical development)がない場合、AAGPを再試験しないこと、またはあまり頻繁にはそれを行わないことを選択することができる。再試験の頻度は、もしあれば、典型的には毎日、2〜4日に1回、1週に1回まで、またはあまり頻繁ではなくてよい。再試験をする特定の理由は、典型的には、試験の回数が多くなる。
さらにまた、AAGPを試験するかどうかに関わらず、本発明は、医師に、処方した用量が十分であるか、高すぎるか、低すぎるかを評価するために、患者の臨床コースに従う方法を提供する。その時に与えられた初期用量に関係なく、該用量が最適よりも高い、すなわち高すぎるCmaxfreeをもたらす場合、患者は、用量投与の完了直後に(すなわち、Cmaxfreeを達成する時間またはその付近で)心拍の中程度の遅延を発症する傾向が高い。このような遅延は、望ましくない場合には、次の用量を、例えば限定されない例であるが600μg/kgから300μg/kgへ、300μg/kgから150μg/kgへ、減らすことを医師にガイドすることができる。この現象の意識は、医師にガイドすることができ、ICUスタッフが注入の完了時付近で行うために標準臨床診療を使用して患者の心拍(HR)に注意を払うことを支持することをガイドすることができる。望ましくないHR遅延のエビデンスは、さらに、(始めから、または以前に上昇した後に正常に向かうかまたは正常以下となることに起因して)AAGPが予測よりも低い場合があるので、AAGPのチェックが助言され得ることを示唆する。患者の臨床コースが最適な投与について評価するために使用され得る、関連する実施態様において、AAGP(またはCmaxfree)のチェックの有無に関係なく効果を評価するために、医師は、単純に、望まれるEFI解消についての臨床コースに従うことができる。
治療担当医が疑わしいと思うか、または不健康なおよび/または患者に有害であると認められ得る過剰な交感神経緊張度のレベルのエビデンスを有する患者において、医師は、心拍の中程度の低下を生じるために、および投与を続けるために、または実際にこのような低下を引き起こすレベルで最初から投与するために十分に高い用量で、ウリモレリンの傾向から利益を誘導することを選択することができる。過剰なレベルの交感神経緊張度は、危篤状態の患者に共通している。理論によって縛られることを望まないが、心拍を遅延させるウリモレリンの効果は、少なくとも部分的に、迷走神経(副交感神経)活性(緊張度)の増大および/または交感神経緊張度の低下によって、すなわちより副交感神経緊張度にシフトして(かくして交感神経緊張度がより低い)副交感神経緊張度対交感神経緊張度のバランスを傾けることによって、発揮される。副交感神経緊張度が高ければ、心拍が低くなる。同様に、ウリモレリンによる処置に起因して、心拍遅延が大きくなれば、副交感神経緊張度が高くなる。βブロッカーを使用する心拍の低下が多くの危篤状態の患者において安全に行われることができること、および、そうすることが利益として以下のことを提供することは知られている:心保護効果を発揮すること、異化応答を弱めること、および安静時エネルギー消費の上昇を逆転すること。これらはすべて、危篤状態の患者のICU臨床コースおよび/または長期アウトカムに有益であることを証明することができる。ウリモレリンの高い迷走神経活性は、特に副交感神経緊張度対交感神経緊張度のバランスに関するβブロッカーの活性と機能的に同じである。したがって、すなわち、βブロッカーの利益を考慮すれば、医師は、ウリモレリン処置を受けている危篤状態の患者における心拍のマイナーな低下を無視することを選択することができるだけではなく、心保護のために、および/または薬物が高い副交感神経緊張度のさらなる利益を与えているサインとして、このような低下を達成することを求めることを選択することもできる。このような場合、医師は、ウリモレリン用量を変更することなく、すなわち記録された軽度の心拍数低下にもかかわらず、処置を続けることができる。同様に、医師は、用量を変更するつもりはなく、もちろん医師が例えば胃排出に対する薬物の効果に対する不満のような用量を調節したい別の理由を持っていないかぎり、AAGPレベルを知ることが必要ではないので、医師は、AAGPレベルをチェックしないことを選択することができる。
本発明は、本明細書および特許請求の範囲に広く記載されるように、その構造、方法または他の本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態に組み込むことができる。記載された実施態様および例は、あらゆる点で、単なる例示としてであり、制限しようとするものではない。したがって、本発明の範囲は、上記の記載内容によるよりもむしる特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と同等の意味および範囲の範囲内となる全ての変更は、それらの範囲に包含されるべきである。

Claims (41)

  1. 経腸栄養不耐性(EFI)の処置を必要とする患者における経腸栄養不耐性(EFI)の処置方法であって、該患者に、連続1日以上、1日3回静脈注入によってウリモレリン(LP101)の治療上有効量を投与することを含む、方法。
  2. 1回の注入につき投与されたウリモレリンの用量が80μg/kg〜1200μg/kgの範囲内または300μg/kg〜900μg/kgの範囲内である、請求項1記載の方法。
  3. 用量が300〜750μg/kgである、請求項2記載の方法。
  4. 用量が500μg/kg〜600μg/kgである、請求項2記載の方法。
  5. α1酸性糖タンパク質(AAGP)レベルがウリモレリンの投与の前または間に測定される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 経腸栄養不耐性を処置する方法であって、該処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与して、少なくとも0.5ng/mLであるが125ng/mL未満であるCmaxfreeを達成することを含む、方法。
  7. 患者において胃排出速度を促進させるか、または胃排出遅延を処置するための方法であって、該処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することを含む、方法。
  8. 不健康な異化状態の患者を処置するか、および/または同化利益を与える方法であって、処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することを含む、方法。
  9. 患者における除脂肪体重減少を予防または遅延させる方法であって、処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することを含む、方法。
  10. 患者における正味の交感神経緊張度を低下させる方法であって、処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することを含む、方法。
  11. 患者が経腸栄養不耐性に苦しんでいるかまたは経腸栄養中である、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 患者が経腸栄養を受けていない、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  13. 患者が早産児である、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  14. 患者が悪液質に苦しんでいる、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  15. ウリモレリンが900μg/kg/日〜3600μg/kg/日の用量で投与される、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  16. 患者の体重1kgにつき80μg/日(μg/kg/日)〜1200μg/kg/日の範囲内の用量で静脈投与によって経腸栄養不耐性を処置するためのウリモレリンの使用。
  17. 患者の体重1kgにつき80μg/日(μg/kg/日)〜1200μg/kg/日の範囲内の用量で静脈投与によって患者における胃排出速度を促進させるためまたは胃排出遅延を処置するためのウリモレリンの使用。
  18. 患者の体重1kgにつき80μg/日(μg/kg/日)〜1200μg/kg/日の範囲内の用量で静脈投与によって不健康な異化状態の患者を処置するためおよび/または同化利益を与えるためのウリモレリンの使用
  19. 患者の体重1kgにつき80μg/日(μg/kg/日)〜1200μg/kg/日の範囲内の用量で静脈投与によって患者における除脂肪体重減少を予防もしくは遅延するため、または除脂肪体重を増加させるためのウリモレリンの使用。
  20. 患者の体重1kgにつき80μg/日(μg/kg/日)〜1200μg/kg/日の範囲内の用量で静脈投与によって患者における正味の交感神経緊張度を低下させるためのウリモレリンの使用。
  21. 経腸栄養不耐性に苦しんでいる患者への静脈投与に適しているウリモレリンの製剤であって、患者の体重1kgにつき80μg/日(μg/kg/日)〜1200μg/kg/日の範囲内の用量で投与される、製剤。
  22. 経腸栄養不耐性(EFI)の処置を必要とする患者に、連続1日以上、1日3回静脈注入によってウリモレリン(LP101)の治療上有効量を投与することによる該患者において経腸栄養不耐性(EFI)の処置に使用するためのウリモレリン。
  23. 1回の注入につき投与されるウリモレリンの用量が80μg/kg〜1200μg/kg、または300μg/kg〜900μg/kgの範囲内である、請求項22に記載の使用のためのウリモレリン。
  24. 用量が500μg/kg〜600μg/kgである、請求項22に記載の使用のためのウリモレリン。
  25. 用量が600μg/kgである、請求項22に記載の使用のためのウリモレリン。
  26. α1酸性糖タンパク質(AAGP)レベルがウリモレリンの投与の前または間に測定される、請求項22〜25のいずれかに記載の使用のためのウリモレリン。
  27. 経腸栄養不耐性の処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与し、少なくとも0.5ng/mLであるが125ng/mL未満であるCmaxfreeを達成することによる経腸栄養不耐性の処置に使用するためのウリモレリン。
  28. 方法が、処置を必要とする患者に、1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することを含む、患者における胃排出速度の促進または胃排出遅延の処置に使用するためのウリモレリン。
  29. 処置を必要とする患者に1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することによって不健康な異化状態の患者の処置および/または同化利益の提供に使用するためのウリモレリン。
  30. 処置を必要とする患者に1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することによって患者における除脂肪体重減少の予防もしくは遅延、または除脂肪体重の増加に使用するためのウリモレリン。
  31. 処置を必要とする患者に1日3回静脈注入によってウリモレリンを投与することによって患者における正味の交感神経緊張度の低下に使用するためのウリモレリン。
  32. 患者が経腸栄養不耐性に苦しんでいるかまたは経腸栄養中である、請求項28〜31のいずれかに記載の使用のためのウリモレリン。
  33. 患者が経腸栄養を受けている、請求項28〜31のいずれかに記載の使用のためのウリモレリン。
  34. 患者が早産児である、請求項28〜33のいずれかに記載の使用のためのウリモレリン。
  35. 患者が悪液質に苦しんでいる、請求項28〜34のいずれかに記載の使用のためのウリモレリン。
  36. ウリモレリンが900μg/kg/日〜1350μg/kg/日の用量、または1500μg/kg/日〜1800μg/kg/日の用量、または2250μg/kg/日〜3600μg/kg/日の用量で投与される、請求項1〜35のいずれかに記載の使用のためのウリモレリン。
  37. 投与1回につき患者の体重1kgにつき80μg〜1200μgの範囲内の用量での静脈注入による経腸栄養不耐性に使用するためのウリモレリン。
  38. 投与1回につき患者の体重1kgにつき80μg〜1200μgの範囲内の用量での静脈注入による患者における胃排出速度の促進または胃排出遅延の処置に使用するためのウリモレリン。
  39. 投与1回につき患者の体重1kgにつき80μg〜1200μgの範囲内の用量での静脈注入による不健康な異化状態の患者の処置および/または同化利益の提供に使用するためのウリモレリン。
  40. 患者の体重1kgにつき80μg/日〜投与1回につき患者の体重1kgにつき1200μgの範囲の用量での静脈注入による患者における除脂肪体重減少の予防もしくは遅延に使用するためのウリモレリン。
  41. 患者の体重1kgにつき80μg/日〜投与1回につき患者の体重1kgにつき1200μgの範囲の用量での静脈注入による患者における正味の交感神経緊張度の低下に使用するためのウリモレリン。
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