結果として、関連技術の以下の教示、技術および知識に見合う変更および修正は、本発明の範囲内である。本明細書に記載の実施形態によって、本発明を実施することについて知られているモードを説明し、そのような実施形態または他の実施形態において、本発明の特定のアプリケーションまたは利用に必要とされる様々な変更を加えて他の当業者に本発明を利用させることをさらに意図している。
図1は、構造物105内に位置する受信機100を示す。例えば、受信機100は、受信機100を取り囲む構造物105を含む建物内に位置する屋内受信機であってもよい。この点に関して、構造物105は、1つ以上の建材を含み、各建材は、信号が建材を通過する際に信号に影響(例えば、信号電力の対応する減衰)を及ぼし得る。さらに、信号が受信機100で受信される入射方向に応じて受信機100に対して異なる信号損失値が経験されるように、様々な異なる建築材料は、受信機100に対して異なる相対位置に配置されている。例えば、受信機100で受信される第1の信号は、受信機によって受信される前にガラス窓を通過し、受信機100で受信される第2の信号は、金属、木材、および/または他の建築材料を含む構造物の他の部分を通過してもよい。このように、第1の信号は、第2の信号とは異なる信号損失を受けることがある。一実施形態では、受信機100は、構造物105内に静止していてもよい。例えば、受信機100は、構造物105内に比較的永続的に配置されてもよい。以下により詳細に説明するように、このことは、比較的長い継続時間にわたって受信される測定信号(sounding signal)を許容する。
図1は、受信機100に対して異なる相対位置にある複数の測定送信機(sounding transmitter)110をさらに示す。具体的には、測定送信機110a、110bおよび110cが示されている。各測定送信機は、対応する測定信号112a、112b、および112cをブロードキャストする。一実施形態では、測定送信機110a、110b、および110cはそれぞれ、受信機に対してそれぞれ異なる位置にある異なる送信機であってもよい。これに加えて又はこれに代えて、送信機110a〜110cは、対応する3つの異なる時間に受信機100に対して3つの異なる相対位置に配置される単一の送信機110であってもよい。例えば、測定送信機110は、送信機110aによって示された位置にあるときに、第1の時間に、測定信号112aを送信する。次いで、測定送信機110は、測定送信機110bとして示される第2の位置に移動し、第2の時間に第2の測定信号112bをブロードキャストする。測定送信機110は、測定送信機110cとして示される第3の位置にさらに移動し、第3の時間に第3の測定信号112cをブロードキャストする。さらに、複数の異なる測定送信機110は、受信機100によってそれぞれ受信される異なる位置から異なる時間に測定信号112をそれぞれブロードキャストすることができる。好ましくは、多数の測定信号112が受信機100に対して多数の位置から送信機において受信されて、受信機100に対するロバストな減衰プロファイルを提供する。
いずれにしても、測定送信機110a、110b、および110cの位置は、既知であるか、または決定可能であってもよい。例えば、測定送信機110a〜110cは、エフェメリスデータ(ephemeris data)を受信機100にブロードキャストするGPS空間飛行体(space vehicle)を備えることができる。これに関して、エフェメリスデータは、受信機100によって利用されて、測定信号112のブロードキャストの時点のGPS空間飛行体の位置を決定する。代替的には、1つまたは複数の測定送信機110a、110bおよび110cのいずれかは、構造物105および構造物105内の受信機100に対して移動可能な飛行体(例えば、無人航空機または「ドローン(drone)」)を含むことができる。測定送信機110a、110b、および110cは、所与の測定信号112がブロードキャストされる時に送信機110a〜110cの位置を決定するために使用され得る位置認識(location aware)(例えば、GPS受信機を含む)であり得る。
さらに、異なるタイプの空間飛行体(すなわち、衛星)が、測定送信機として利用されてもよい。例えば、GPS衛星は、受信機に対して軌道上に少なくともいくつかの制限を有することがある。このように、GPS衛星が測定信号を提供することができない受信機に対する「死角(blind spots)」が存在する可能性がある。次に、第1のタイプの空間飛行体(例えば、GPS衛星)と共に、別のタイプの空間飛行体(例えば、通信衛星配置、研究衛星配置などのような異なる衛星配置から)が用いられて、受信機に対する測定信号の入射方向の全範囲を提供する。1つの特定の例では、衛星のイリジウム配置(iridium constellation of satellites)は、本明細書に提示された概念に従って使用するための既知の位置からの測定信号を提供するように動作することができる。
さらに、自由空間における受信機100に対する各測定信号112a、112b、および112cの信号電力レベルが知られている。自由空間における受信機100に対する電力レベルによって、送信機110と受信機100との間の自由空間のみを伝搬する信号に対する信号電力レベルが既知であることを意味する。これは、受信機100に到達するための地球の空間および/または大気層を介した伝播を含む。例えば、測定送信機110がGPS空間飛行体を含み、測定信号112がGPS空間飛行体からブロードキャストされたナビゲーション信号である場合には、受信機における信号電力は、グローバル・コントロール・グラウンド・ネットワーク(global control ground network)およびマスターコントロールセグメントを利用して米国空軍によって正確に制御され得る信号が伝播する大気以外のソースからの減衰がない。すなわち、地球の表面またはその近くのGPS信号の信号電力は、信号電力にいかなる外部減衰も存在しないようにしっかりと制御される。さらに、測定送信機が飛行機などである場合、自由空間における受信機での測定信号112の電力レベルが決定されるように、ブロードキャストの電力レベルが制御され得る。
これに関して、受信機100において測定信号112a〜112cを受信すると、測定信号の電力は、受信機100によって受信されたときに測定され得る。構造物105は、受信機100において受信される信号の電力レベルを少なくとも部分的に低減するため、受信機100は、各測定信号112a〜112cの受信電力レベルを、自由空間における受信機に対する測定信号の既知の信号電力レベルと比較することができる。信号電力の定量化された損失は、各測定信号112a〜112cの信号損失値を生成するために使用され得る。信号損失値は、受信機100で受信する前に、測定信号が受ける減衰量または信号電力損失を表す定量化された値であってもよい。さらに、各測定信号が測定送信機110の異なる既知の位置から異なる方向から受信された場合、各測定信号112の対応する信号減衰値は、測定信号112の入射方向に関連付けられる。例えば、測定送信機110aからの測定信号112aが使用されて、(信号112aの入射方向に対して水平方向から測定された角度として図1に示されている)入射方向114aに関連付けられた信号損失値を生成することができる。測定送信機110bからの測定信号112bを使用して、入射方向114bに関連付けられた信号損失値を生成することができる。さらに、測定送信機110cからの測定信号112cは、入射方向114cと関連付けられてもよい。測定送信機110aは、測定信号112aが構造物105の側壁を通過し、測定信号112bおよび112cが構造物105の屋根をそれぞれ通過するように、受信機100に対して仰角(elevation)にあり得ることに留意されたい。このように、測定信号112のそれぞれ異なる信号は、構造物105の異なる部分を通過し、受信機100における信号112の減衰が異なる可能性がある。図1に示す2次元表示では、入射方向114は、受信機100に対して構成された既知の座標系102に対して単一の測定値を含むことができる。2次元表示の内容では、入射方向は、受信機100に対して配置された平面に関連する方向として説明されている。例えば、この平面は、受信機の位置で地球の表面にほぼ接線方向に(tangential)配向することができる。このように、2次元表現は、信号の減衰の測定に加えて、平面内の入射方向の測定(例えば、受信機に対する機首方位測定(heading measure)など)を含むことができる。この種の表現は、例えば以下でより詳細に説明する図5に示されている。しかし、以下にさらに詳細に説明するように、所与の測定信号112の入射方向114は、3次元座標系に関して説明されている。そのような1つの例は、入射方向が、受信機100に対する角度で測定された方位角測定(例えば、機首方位)および仰角測定(例えば、仰角)を含むことができる球座標システムであってもよい。この例では、半径方向の寸法は、本明細書に記載されたアプローチのいずれかを使用して定量化された減衰量を表すことができる。このアプローチを図6,7A,および7Bを参照して以下に詳細に説明する。このように、受信される測定信号は、受信機に対して3次元で絶対的に記述されてもよい。
測定信号112が受信機100で受信されるとき、受信機100で無線周波数信号の受信および/または認識を支援する技術は、受信機100で測定信号112を受信することに関連して使用されてもよい。例えば、信号取得は、コヒーレントな積分区間(coherent integration interval)を介して信号を認識するために、コヒーレントな積分の使用によって改善されることが多い。このようなコヒーレント積分は、当該技術分野において知られており、受信機100で受信される低電力信号に対してより高い感度を提供することができる。さらに、複数のコヒーレント積分区間にわたって受信された信号が非コヒーレントに合計される非コヒーレント積分技術(non-coherent integration technique)を、受信機100における信号感度を促進するために適用することもできる。これに関して、多くの信号処理技術が、信号の受信感度を向上させるのに役立つように用いられる。次に、測定信号は、受信機のための少なくとも2つ以上のコヒーレント積分区間を含むことができる比較的長い持続時間にわたって受信され得る。さらに、2014年5月1日に出願された共同所有の米国特許出願第14/267,629号に記載されている技術は、「位置決めシステムの受信機のための均質な統合時間」と題し、全体が参照により本明細書に組み込まれ、受信機の信号感度を改善するように用いられる。さらに、受信機の感度を改善することができる任意の他の既知の信号処理技術を、制限なく使用することができる。
さらに、少なくとも1つの実施形態では、測定信号112は、GNSSナビゲーション信号を含むことができることが理解されよう。従って、GNSS空間飛行体からのナビゲーション信号のための補助信号取得に関する既知の手法は、例えば、受信取得を改善するために受信機が受信するナビゲーション信号に関するアルマナックデータ(almanac data)を受信することを含む。この点に関して、(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)共同所有の米国特許第7,961,717号に記載された手法は、受信機100での信号捕捉を改善するため、支援されたGPS技術において利用され得る。受信機でのアルマナックおよび/またはエフェメリスデータの同期化および/または受信を含むことができる他の適切な支援されたGPS取得技術を使用することができる。さらに、上述したように、複数のコヒーレント積分区間にわたって広がることができる時間拡散取得技術(time spread acquisition technique)を利用することができる。この点に関して、時間拡散取得技術に関連する比較的長い期間の信号取得にわたって受信機のバイアス(bias)を解決することができることが理解されよう。これに関して、全体が参照により本明細書に組み込まれる「GNSS擬似信号の統合処理」と題された共同所有の米国特許出願第14/285,770号は、複数のコヒーレントな積分区間にわたるGNSS信号の時間拡散取得を容易にするために使用され得る。これに関して、信号の時間拡散取得は、数秒、数分、数十分、数時間、数日、またはさらに数ヵ月以上のオーダーのような比較的長い期間にわたって延ばしてもよい。時間拡散による信号のバイアスを低減するための他の技術を用いてもよく、限定するものではないが、バイアスを低減するために受信機を測定送信機のクロックに同期させることを含む。
図2をさらに参照すると、受信機100での信号損失値を決定するための方法200を示すフローチャートが示されている。方法200は、受信機において測定信号を受信するステップ212を含む。上述したように、測定信号は、少なくとも1つの実施形態では、GPS空間飛行体などを介して提供されるナビゲーション信号であってもよい。方法200は、受信機において測定信号の受信電力レベルを測定するステップ214をさらに含む。次に、方法200は、測定された受信電力レベルと、測定信号の既知の受信電力レベルに基づいて、測定信号の信号損失値を計算するステップ216を含む。例えば、信号損失値は、自由空間において受信機によって受信されることになる全電力信号(full power signal)に対する構造物内の受信機で受信される信号の電力レベルの割合を決定するための測定された受信電力レベルと既知の受信電力レベルとの関係を定量化する比率であり得る。あるいは、信号損失値は、自由空間内の信号と測定された信号との搬送波対熱雑音電力比の定量的な比較を含むことができる。すなわち、信号損失値は、自由空間における測定信号の既知の信号対雑音比(signal to noise ratio : SNR)に対する測定信号の測定された信号対雑音比に基づいて導き出された測定値を含むことができる。信号損失値に対する他の適切な値は、構造物105および/または受信機100を取り囲む環境に起因する信号の電力損失量を定量化することを制限することなく利用することができる。
方法200は、さらに、測定信号の入射方向を決定するステップ218を含む。測定送信機の位置は、既知であっても、または決定可能であってもよい。決定するステップは、測定送信機に関して提供されたデータに基づいて、測定送信機の位置を決定するステップを含むことができる。したがって、測定送信機の位置が、受信機の位置に関連して用いられて、送信機からの測定信号に対する受信機への入射方向を生成することができる。したがって、方法200は、測定信号について計算された信号損失値を測定信号の入射方向と関連付けるステップ220をさらに含む。
方法200は、受信機100において局所的に実行されてもよい。代替的にまたは追加的に、方法200のステップの少なくとも一部は、リモートリソース(remote resources)によって実行されてもよい。例えば、受信機100は、サーバ、リモートプロセッサ、または当技術分野で知られている他のデバイスなどのリモートリソースと動作可能に通信することができる。受信機100とリモートリソースとの間の通信は、(例えば、インターネットのような広域ネットワークを介した)ネットワーク化された通信によるものであってもよい。次に、方法200の1つまたは複数のステップは、受信機から遠隔で実行されてもよい。例えば、測定ステップ214、計算ステップ216、判定ステップ218、および/または関連付けステップ220の一部または全部は、受信機100から遠隔で実行されてもよい。
方法200はさらに、複数の測定信号に対して繰り返されてもよい。したがって、受信機に対する複数の入射方向から受信された複数の測定信号に対する複数の信号損失値が生成され得る。このように、受信機100の信号損失プロファイルは、受信機が構造物105内に位置する2次元または3次元空間に対して生成され得る。すなわち、信号損失は他の入射方向と比較して特定の入射方向で大きくなる可能性があるので、信号損失値は、受信機100を取り囲む構造物105による信号損失のプロファイルを生成するために対応する入射方向に関連付けられる。したがって、受信機100を取り囲む構造物105による信号損失は、受信機100を実質的に取り囲むように決定されてもよい。一実施形態では、信号損失は、損失の2次元表現である信号損失プロファイルに説明することができる。すなわち、単一の寸法が、測定送信機と受信機との間の入射方向に対応する2次元放射線で記載して提供されてもよい。例えば、受信機に対する方位角が(例えば、受信機において地球の表面と平行な2次元平面等の受信機に対する単一の2次元平面で全体的に表された信号損失プロファイルに起因する)2次元の入射方向を記載して提供される。一実施形態では、信号損失プロファイルの信号損失は、信号損失の3次元表現であってもよい。このように、信号損失は、測定送信機と受信機との間の入射方向に対応する3次元放射線の3次元表現を完全に表す2つの次元で記載されている(例えば、3つの受信機に対する三次元空間において示された信号損失プロファイルに起因する)。例えば、受信機に対する入射方向の3次元方向を表す方位角及び仰角が提供される。
例えば、受信機100を取り囲む領域は、図3に図示された球面座標系(spherical coordinate system)300によって示される。球面座標系は、所与の入射方向に対する仰角および方位角の測定値を含むことができる。仰角は、高角(angle of elevation)(すなわち、受信機に対する水平または垂直からのずれ)を表してもよく、方位角は機首方位を示し、信号は機首方位から受信される。この点に関して、受信機の信号損失値が決定される領域は、360°の方位角範囲および180°の仰角範囲を含むことができる。この点に関して、360°の方位角範囲(すなわち、0°〜360°)および180°の仰角範囲(すなわち、−90°〜90°)は、受信機100を囲む球面領域全体を画定することができる。しかしながら、受信機100(例えば、比較的高いオフィスビルなどにあっても)受信機100の下から(すなわち地球に近い)信号を受信することは考えにくい。この点に関して、信号損失値が決定される領域は、(例えば360°の方位角範囲および0°から90°の仰角範囲を有する)球座標系300のグリッドによって図3に示されるように受信機100に対して少なくとも半球領域を含むことができる。測定送信機110を備えるGPS衛星の場合、このような1つまたは複数のGPS衛星は、信号損失値が受信機100に対する領域内に広がる球面座標系300の大部分にわたって受信機に対して生成されるように、ある期間にわたって比較的多数の測定信号を受信機100に供給することができる。
図3に示す球面座標系300は、受信機100に対する損失プロファイルを定量化するのに使用するために、「ピクセル(pixel)」302に分割することができる。各ピクセルは、受信機100に対する方位角304および仰角306の範囲として説明することができる。このように、各ピクセルは、受信機100に対して仮想分析球面部分を含む。この点で、複数の測定信号112が、受信機100に対して球座標系300のピクセル302内に入る入射方向114から受信される。ピクセル302のサイズは、受信機100に対する信号損失プロファイルの粒状性(granularity)の所望のレベルを提供するように選択されてもよい。例えば、ピクセルサイズは、約0.5度以上約20度以下の方位角範囲と、約0.5度以上約20度以下の仰角範囲とを含むことができる。したがって、各ピクセル302は、それぞれのピクセル302内に入る入射方向114で受信された複数の測定信号112に関連付けられる。この点に関して、ピクセル302内の電話の入射方向(direction of incidence phone)114を有する各測定信号112の信号損失値は、ピクセル302の統計的損失値を生成するために用いられる。このように、ピクセル内の入射方向の各信号損失値を統計的に分析して、受信機100に対して分析面を形成する。例えば、ピクセル302内に入る入射方向114の複数の測定信号112を処理して、所与の各ピクセル302に対して統計的損失値を生成することができる。追加の測定信号112によって、統計的に安定した損失値が取得される。例えば、所与のピクセル内の入射方向で受信される測定信号112内のわずかな変動が経験され得る。しかしながら、統計的に取得された統計的損失値は、所与のピクセル302についての統計的に安定した値を集合的に決定するために所与のピクセル302についての信号損失値の一般的な特性であってもよい。これに関して、受信機100の周囲の結果としての信号損失プロファイルは、各ピクセル302について生成されて、各ピクセル302の統計的損失値を使用して受信機100に関して説明された信号損失プロファイルを展開する。所与のピクセル302に対して生成された統計的損失値の例は、ピクセル302内の入射方向を有する各測定信号に対する信号損失値の平均信号損失値および/または標準偏差を含むことができる。
図6、7A、および7Bは、信号損失プロファイル600および700の別の表示を示す。図7Aおよび図7Bは、異なる視点における同じ信号損失プロファイルを示す。図から分かるように、顕著なバンドシェル効果(band shell effect)が信号損失プロファイル700に存在し、したがって、受信機に対する潜在的または非対称または形状の信号損失プロファイルを実証する。
これに関して、受信機100の導出された信号損失プロファイルは、多くの状況において利用され得る。特定の状況は、図4に示すような共用スペクトルシステム400に関連する受信機100のための信号損失プロファイルの利用を含む。共用スペクトルシステム400は、測定送信機110から測定信号112を受信する受信機100を含むことができる。測定信号112は、受信機100が配置された構造物105を通過し、構造物105によって電力損失を受ける。減衰された電力測定信号112’は、受信機100によって(例えば、受信機100のアンテナ102で)受信されてもよい。受信機100は、受信された測定信号112’を損失判定モジュール120に供給することができる。損失判定モジュール120は、受信機100に配置されるか、または受信機100から遠隔に配置される。この後者に関しては、損失判定モジュール120は、ネットワーク通信を介して受信機100と通信動作可能にすることができる。損失決定モジュール120は、前述の説明に従って信号損失プロファイルを生成することができる。
受信機100の信号損失プロファイルは、共用スペクトルシステム400内の無線通信に使用する共用スペクトルリソースを割り当てる際に使用される共用スペクトルコントローラ150に送信される。共用スペクトルリソースは、送信機、受信機、および/または送受信機を含む無線デバイス160に割り当てられるか、または許可される。無線デバイス160は、受信機100と並設されてもよい。配置されることにより、無線デバイス160が受信機160の十分近くにあり、受信機100の信号損失プロファイルを無線デバイス160に確実に帰属させる。したがって、一実施形態では、無線デバイス160は、受信機100と一体的に提供されてもよい。あるいは、無線デバイス160は、受信機100の所定の距離内にあって、受信機100の信号損失プロファイルを無線装置160に確実に帰属させることができる。この所定の距離は、信号損失プロファイル(例えば、信号損失プロファイルの特性など)、受信機100および/または無線デバイス160の送信/受信パラメータ、受信機および/または無線デバイス100が位置される構造物105に関する既知の情報100、または他のパラメータに依存する。
さらに別の実施形態では、両方のデバイスがローカルエリアネットワークなどの共通ネットワークのメンバーである場合、受信機100は、無線デバイス160と並設されているとみなされてもよい。このように、受信機100と無線デバイス160との間の配置は、デバイス間の厳密で正確な位置決めを必要としないが、受信機100の信号損失プロファイルは、無線デバイス160に対して正確であると仮定することができる予め設定された距離の範囲内である。
一実施形態では、損失決定モジュール120および/または共用スペクトルコントローラ150は、受信機100の信号損失プロファイルからの信号損失値を、無線デバイス160の推定または予測される信号損失値に外挿するように動作することができる。例えば、受信機100は、第1の周波数で測定信号120を受信することができる。無線デバイス160は、第1の周波数とは異なる第2の周波数で信号を送信および/または受信することができる。このように、無線装置160の推定された信号損失は、異なる周波数に対する既知の損失差に基づいて外挿される。例えば、公表されている信号損失対周波数関係が提供されてもよい。そのような公表された関係表の1つのそのような例は、米国国家規格協会によって公表されている。いずれにせよ、信号損失プロファイルは、測定信号112の周波数とは異なる周波数で動作する無線デバイス160を考慮して外挿することができる。一実施形態では、測定信号112は、無線デバイス160が動作する周波数よりも低い周波数にあり得る。例えば、測定信号がGNSSナビゲーション信号である例では、信号はおよそ1〜1.5GHzであってもよい。無線デバイス160は、2.4GHz以上で動作することができる。これらの例が提供されているが、測定信号112および/または無線デバイス160の他の動作周波数範囲が考慮されることは理解されよう。別の実施形態では、測定信号112の異なる周波数および無線デバイス160の動作周波数にもかかわらず、測定信号112に基づいて生成された信号損失プロファイルは、異なる周波数での無線デバイス160の信号損失プロファイルと同一であってもよい。すなわち、周波数の差による損失の差は、少なくともいくつかの実施形態では無視することができる。
一実施形態では、損失決定モジュール120によって提供される信号損失プロファイルに少なくとも部分的に基づいて、いくつかの無線パラメータを無線デバイス160に割り当てることができる。そのような無線パラメータの例は、搬送波周波数、帯域幅、指向性アンテナ構成、および局送信電力を含む。さらに、これらのパラメータは、共用スペクトルコントローラによって動的に割り当てられてもよいし、共用スペクトルシステム400に参加する要求の形態で提供されてもよく、共用スペクトルシステム400は、信号損失プロファイルに少なくとも部分的に基づいて共用スペクトルコントローラ150によって承認又は非承認される。これに関して、共用スペクトルコントローラ150は、本明細書で生成されるような1つ以上の信号損失プロファイルを少なくとも部分的に使用して共用スペクトルリソースを管理することができる。
また、共用スペクトルコントローラ150は、データ記憶装置152および154と通信動作可能にすることができる。データ記憶装置152は、共用スペクトルシステム400内で動作するレガシーサービス(legacy service)に関する情報を含むことができる。上述したように、そのようなレガシーサービスは、放送局、レーダー設備、または他の優先順位の高いスペクトル用途を含むが、これに限定されないライセンスされたスペクトル使用および/または高優先順位スペクトル使用を含むことができる。データストア154は、スペクトルリソースの使用に関する第三者の要求に関する情報を含むことができる。そのような第三者の要求の中には、無線デバイス160よりもスペクトルリソースの使用がより高いかまたはより低い優先順位を有するものがある。いずれにしても、共用スペクトルコントローラ150は、スペクトルリソース利用のレガシーサービスおよび/または第三者の要求に関する情報を考慮して、無線パラメータ160または無線デバイス160の割り当ておよび/承認を管理する。したがって、共用スペクトルコントローラ150は、リンク性能および/または共用スペクトル性能に関してスペクトルリソースを最適化することができる。これに関して、無線デバイス160のリンク性能の最適化および/または共用スペクトル性能の最適化は、例えば、電力レベル、搬送波周波数、帯域幅、指向性アンテナ構成、または共用スペクトルリソースの1以上のユーザの他のパラメータの最適化を含み、少なくとも部分的には、信号損失プロファイル、レガシーサービス、および/またはリソースの第三者ユーザに基づくことができる。
例えば、スペクトルリソースの割り当てに対する従来のアプローチは、自由空間における送信機の範囲を近似することを含むことができるが、そのような近似は、リソースの最適化が達成されないように過度に制約され得る。しかしながら、信号損失プロファイルが与えられると、無線デバイス160から生じる信号伝播のより精密な推定が達成され得る。すなわち、信号損失プロファイルを生成するために、配置された受信機100で使用される信号に構造物105が及ぼす影響に基づいて、無線デバイス160からの信号の伝搬に対する構造物105の影響についての仮定がなされる。上述のように、少なくともいくつかの実施形態では、そのような仮定は、異なる周波数の無線周波数信号間の既知の関係によって増強されてもよい。
さらに、共用スペクトルコントローラ150による信号損失プロファイルの使用は、所与のスペクトルにおけるスペクトルの使用のライセンスおよび/または一時的な許可を提供するために利用されてもよく、および/または2人の既存の認定ユーザ間でスペクトルの使用を調整するために利用されてもよい。すなわち、例えば、TVWSスペクトルのライセンス供与において、本明細書で説明されるような信号損失プロファイルの使用は、TVWSにおけるスペクトルの使用のための初期認定および/または許可のために利用され得る。追加的または代替的に、共用スペクトルコントローラは、信号損失プロファイルに基づいて、2人の既存のライセンス保持者間のスペクトルの使用を調整することができる。この後者に関しては、2人の既存のライセンス保有者が、スペクトルリソースの最大化のために(例えば、共用スペクトルコントローラ150によって)他の既存のライセンス保持者と調整することによって、所与のスペクトルライセンスの使用を最大にすることができる。したがって、共用スペクトルコントローラ150は、ライセンスエンティティまたはスペクトル使用をライセンスすることができないが、スペクトル使用効率を高めるためにライセンス使用を指示することができる他のパーティによって操作されてもよい。
いずれにしても、上述の説明に従って決定され得る所与の受信機100の信号損失プロファイルは、共用スペクトルパラメータを無線デバイス160に割り当てる際の利用のために提供されてもよい。したがって、無線伝播の自由空間推定を使用するのではなく、無線装置160からの信号の無線伝播は、信号損失プロファイルを使用してモデル化されてもよい。共用スペクトルシステム400の管理と関連した信号損失プロファイルの使用が、図5に示されている。図5は、(例えば、共用スペクトルコントローラ150によって管理される)共用スペクトルリソースを共に利用する第1の位置510および第2の位置520を表現した上方視点の図を示す。第1の位置510は、共用スペクトルシステム400への参加を要求する無線デバイス160および配置された受信機100に対応することができる。第1の位置510からの信号伝播の自由空間推定値(例えば、無線デバイス160からの信号伝播の自由空間推定)は、第1の位置510を取り囲む円512によって表すことができる。すなわち、第1の位置510における無指向性アンテナからの自由空間推定信号伝播を使用して、信号伝播が、線512によって表される推定自由空間境界に及ぶと推定することができる。第2の位置520は、保護境界522内の干渉が許可されないように、レガシーシステムまたはより高い優先順位のリソースを備える。理解されるように、第1の位置510での無線伝播の自由空間推定512は、保護境界522を横切ることができる。次に、従来のアプローチでは、第1の位置510は、保護境界522に対する自由空間推定512を用いた干渉の可能性のために、共用スペクトルリソースを利用することができない。
しかし、第1の位置510の信号損失プロファイルを作成することができる。したがって、第1の位置510での構造物によって影響を受ける信号の実際の伝播は、減衰された伝播パターン514によって表すことができる。すなわち、減衰された伝播パターン514は、第1の位置510で生成された信号損失プロファイルに基づいて、第1の位置510からの調整された伝播パターンを表すことができる。第1の位置510からの減衰された伝播514は、保護境界522を横切っていない。これに関して、第1の位置510に共用されたスペクトルリソースを割り当てることは、第1の位置510に対して生成された信号損失プロファイルを利用して決定された減衰伝播パターン514に少なくとも部分的に基づいて許容され得る。
このような信号損失プロファイルの使用は、共用スペクトルリソースを割り当てる際に大幅なかつ重要な利点を提供することができる。例えば、共用スペクトルシステムに参加している小型のセルステーション(small cell station)は、アプリケーションの90%以上で屋内に設置される可能性が高いと推定されている。さらに、ビルディングアイソレーションは、ビルディングを通過する信号において10〜40dBの電力低減に寄与する可能性がある。これは、10〜10,000倍の電力低減を表す。これらの損失が考慮されない場合、大部分ではないにしても多くの小型のセルステーションは、それに関連する信号伝播の自由空間推定に基づいて十分に活用されないであろう。このように、本明細書に記載されているような信号損失プロファイルの利用は、共用スペクトルリソースの利用において重要かつ劇的な改善を有することができる。
信号損失プロファイルの使用は、有益な数の他の内容でもあり得る。例えば、ビルディング特性とビルディングによる信号減衰との間で相関をとることができる任意のアプリケーションは、信号損失プロファイルの生成から利益を得ることができる。想定される1つのアプリケーションには、建物の完全性監視(integrity monitoring)が含まれる。この用途では、建物内に静止している受信機によって生成された信号損失プロファイルは、経時的に監視されて、経時的な信号損失プロファイルの変化に反映される建物特性の変化を判定することができる。さらに、無線周波数信号損失と赤外線エネルギーとの間の相関は、建物に対するエネルギー効率の評価を可能にするかもしれない。すなわち、建物における無線周波数信号損失に関連する信号損失プロファイルは、建物に対する赤外線または熱エネルギーの衝突に関する有益な情報を提供し得る。建物パラメータにおける無線周波数信号損失の間の相関が行われ得る他の任意の用途は、本明細書に記載されるような信号損失プロファイルの使用により恩恵を受けることができる。
所与の位置での信号損失プロファイルの生成は、周囲の構造物による減衰に起因する信号損失だけでなく、音響信号が反射される際および/または受信機100に到達する前に反射される際のマルチパス損失(multipath losses)に起因する信号損失を考慮しても良い。マルチパス損失は重要なものであり、(例えば、受信機100と並設された無線デバイス160によって送信されるような)構造物から発せられるアウトバウンド信号(outbound signal)によっても生じる可能性がある。いずれにしても、受信された測定信号の信号特性は、信号が何らかのマルチパス損失を受けたかどうかについての洞察(insight)を提供することができる。例えば、受信された測定信号の位相、偏波および/または他の特性を分析して、直接経路またはマルチパス損失が信号によって経験されたかどうかを判定することができる。いずれにせよ、マルチパス損失の形式で付与される損失は、所与の受信機100に対して生成される信号損失プロファイルによって反映され得る。
本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、そのような図示および説明は、例示的なものであり、限定的ではないと考えられるべきである。例えば、上で説明した特定の実施形態は、他の記載された実施形態と組み合わせることができ、および/または他の方法で配置することができる(例えば、プロセス要素は他の順序で実行することができる)。したがって、好ましい実施形態およびその変形形態のみが示され、記載され、本発明の精神内にある全ての変更および修正が保護されることが望ましいことを理解されたい。