本発明は、ドルテグラビルナトリウムの新規な水和物およびこの調製方法に関する。具体的には、本発明は、請求項1、5および6のそれぞれに記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態を提供し、好ましい実施形態は、サブクレーム2に示されている。本発明は、請求項3、7および8のそれぞれに記載の調製方法も提供し、好ましい方法の実施形態は、サブクレーム4に示されている。さらに本発明は、請求項9および16に記載の使用、請求項10に記載の医薬組成物、ならびにサブクレーム11および12に記載のこれらの好ましい実施形態を提供する。本発明は、請求項13に記載の医薬組成物の調製方法と、サブクレーム14に記載のこの方法の好ましい実施形態も提供する。治療的使用のための医薬組成物は、請求項15に示されている。
この新規な水和物は、広範囲にわたる湿度範囲で物理的および化学的に安定であり、水分にさらされたときに、少量の水の取り込みのみを示し、乾燥状態であっても安定である。従って、この新規な水和物は、例えば、時間および費用の観点で、医薬組成物の調製に特に適している。
特に、結晶形態HxAは、医薬組成物において形態HxAの改善された調合を可能にする改善された特性を示すことがわかっている。
これに加え、本発明は、初めてこの新規な水和物の1つを調製することができ、そのため、価値ある中間体であるドルテグラビルナトリウムの新規な結晶形態に関する。
本発明の態様、有用な特徴、ならびに好ましい実施形態は、以下の項目にまとめられている。
(1)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、12.8±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、20.0±0.2°、20.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、25.2±0.2°、26.0±0.2°、27.1±0.2°、28.4±0.2°および/または29.4±0.2°から選択される2θ角に少なくとも5個の特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxA。
(2)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、7.9±0.2°、9.4±0.2°、12.5±0.2°、15.9±0.2°および20.8±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxA。
(3)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、11.4±0.2°、11.6±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、26.0±0.2°および/または27.1±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(2)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxA。
(4)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、11.6±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、24.4±0.2°および/または26.0±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(2)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxA。
(5)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、20.8±0.2°、24.4±0.2°および26.0±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(2)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxA。
(6)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、20.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、26.0±0.2°および27.1±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(2)または項目(5)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxA。
(7)相対湿度30%から70%、且つ温度25±0.1℃で測定するとき、式(I)のドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.2mol当量から0.7mol当量の水を含む、項目1から6のいずれかに記載の結晶形態HxA。
(8)項目1から7のいずれか1つに記載の結晶形態HxAを調製するための方法であって、
(i)溶媒中にドルテグラビルを含む懸濁液または溶液、好ましくは、少なくとも90体積%のメタノール、さらに好ましくは、少なくとも約95体積%のメタノール、最も好ましくは、少なくとも約99体積%のメタノールを含む懸濁液または溶液を提供する工程であって、この懸濁液または溶液は、好ましくは、溶媒1リットルあたり、50gより多く、好ましくは、少なくとも75g、さらに好ましくは、約75gから95g、さらになお好ましくは、約75gから85g、最も好ましくは、約75gから80gのドルテグラビルを含む工程、
(ii)好ましくは、30℃以下、好ましくは、約20℃以下、さらに好ましくは、約10℃以下、最も好ましくは約5℃以下の温度で、好ましくは、約1時間から24時間、さらに好ましくは、約1時間から12時間、最も好ましくは、約1時間から2時間、好ましくは攪拌状態でドルテグラビルとナトリウムメトキシドとを反応させる工程、
(iii)場合により、反応温度を、好ましくは、約10℃から30℃まで、さらに好ましくは、約15℃から30℃まで、最も好ましくは、約20℃から25℃まで上げ、前記懸濁液または前記溶液をこの適用した温度に、好ましくは約1時間から48時間、さらに好ましくは、約1時間から24時間、最も好ましくは約1時間から12時間、好ましくは攪拌状態で維持する工程、および
(iv)ドルテグラビルナトリウムを沈殿させる工程を含む、方法。
ナトリウムメトキシドは、固体として、またはメタノール溶液として適用してもよい。溶液は、好ましくは、ナトリウムメトキシド濃度が約1重量%から30重量%、好ましくは、約10重量%から25重量%、さらに好ましくは約20重量%から25重量%、最も好ましくは、約25重量%である。使用されるドルテグラビルとナトリウムメトキシドの比率は、約1.0:1.0から1.1であり、好ましくは1.0:1.0の比率がこの反応に使用される。
(9)(v)好ましくは、濾過または遠心分離によって、さらに好ましくは濾過によって、項目1から7のいずれか1つに記載のドルテグラビルナトリウムの結晶形態HxAの少なくとも一部分を母液から分離することによってドルテグラビルナトリウムを単離する工程をさらに含む、項目8に記載の方法。
(10)(v)濾過または遠心分離によって、好ましくは濾過によって、得られたドルテグラビルナトリウムを単離する工程をさらに含む、項目8に記載の方法。
(11)工程(v)で得られるドルテグラビルナトリウムの結晶形態を、80℃以下、好ましくは、約50℃以下、さらに好ましくは、約40℃以下、最も好ましくは、約15℃から25℃の温度、100mbar以下、さらに好ましくは、約50mbar以下、最も好ましくは、約30mbar以下の減圧状態で乾燥させる工程をさらに含む、項目9または項目10に記載の方法。
(12)ドルテグラビルナトリウムを沈殿させる工程によって、レーザー回折によって決定されると、5μmから10μm未満の範囲の平均体積粒径分布(PSD)d0.9(μm)が得られる、項目8から11のいずれかに記載の方法。
(13)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.3±0.2°、7.4±0.2°、10.9±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°、16.2±0.2、18.6±0.2°、18.8±0.2°、19.7±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°、22.1±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および/または26.5±0.2°から選択される2θ角に少なくとも5個の特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態Hy1B。
(14)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.3±0.2°、7.4±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°および16.2±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態Hy1B。
(15)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、10.9±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、19.7±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°、22.1±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および/または26.5±0.2°の2θ角に1つ以上のさらなる特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(14)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態Hy1B。
(16)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、10.9±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°および/または23.0±0.2°の2θ角に1つ以上のさらなる特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(14)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態Hy1B。
(17)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.3±0.2°、7.4±0.2°、10.9±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°、16.2±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°および23.0±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(14)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態Hy1B。
(18)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.3±0.2°、7.4±0.2°、10.9±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°、16.2±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、19.7±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°、22.1±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および26.5±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(14)または項目(16)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態Hy1B。
(19)相対湿度30%から90%、且つ温度25±0.1℃で測定するとき、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.7mol当量から1.3mol当量の水を含む、項目13から18のいずれかに記載の結晶形態Hy1B。
(20)項目13から19のいずれかに1つに記載の結晶形態Hy1Bを調製するための方法であって、項目21から27のいずれか1つに記載の結晶形態SEtOH/H2Oを、少なくとも75±5%の相対湿度の大気、且つ少なくとも40℃の温度に、好ましくは約12時間から168時間、さらに好ましくは、約12時間から72時間、最も好ましくは、約12時間から24時間さらすことを含む、方法。
(21)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.5±0.2°、7.0±0.2°、10.6±0.2°、11.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°、20.8±0.2°および/または22.6±0.2°から選択される2θ角に少なくとも5個の特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2O。
(22)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.5±0.2°、7.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°および22.6±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2O。
(23)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、10.6±0.2°、11.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°および/または20.8±0.2°の2θ角に1つ以上のさらなる特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(22)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2O。
(24)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、10.6±0.2°、11.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°および/または20.3±0.2°の2θ角に1つ以上のさらなる特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(22)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2O。
(25)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.5±0.2°、7.0±0.2°、10.6±0.2°、11.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°および22.6±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(22)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2O。
(26)好ましくはCu−Kα線で測定するとき、さらに好ましくは室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定するとき、6.5±0.2°、7.0±0.2°、10.6±0.2°、11.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°、20.8±0.2°および22.6±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる、項目(22)または項目(25)に記載の化合物ドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2O。
(27)相対湿度25%、且つ温度15℃から25℃で測定するとき、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.3mol当量のエタノールと0.2mol当量の水を含む、項目21から26のいずれかに記載の結晶形態SEtOH/H2O。
(28)項目21から27のいずれかに記載の結晶形態SEtOH/H2Oを調製するための方法であって、
(i)少なくとも90体積%のエタノール、好ましくは、少なくとも約96体積%のエタノール、さらに好ましくは、少なくとも約99体積%のエタノールを含む溶媒中、溶媒1リットルあたり、好ましくは約10gから100g、さらに好ましくは、約10gから50g、最も好ましくは、約10gから25gのドルテグラビルを含む、ドルテグラビルの懸濁液または溶液を提供する工程、
(ii)45℃以下、好ましくは、40℃以下、好ましくは、約35℃以下、最も好ましくは約30℃以下の温度で、好ましくは、約1時間から24時間、さらに好ましくは、約1時間から12時間、さらになお好ましくは、約1時間から6時間、最も好ましくは、約1時間から2時間、好ましくは攪拌状態でドルテグラビルとナトリウムエトキシドとを反応させる工程、
(iii)ドルテグラビルナトリウムを沈殿させる工程を含む、方法。
ナトリウムメトキシドは、固体として、またはメタノール溶液として適用してもよい。溶液は、好ましくは、ナトリウムメトキシド濃度が約1重量%から25重量%、好ましくは、約10重量%から21重量%、最も好ましくは、約21重量%である。使用されるドルテグラビルとナトリウムエトキシドの比率は、約1.0:0.8から2.0であり、好ましくは、約1.0:0.9から1.5、さらに好ましくは、約1.0:0.9から1.2、最も好ましくは、1.0:1.0の比率が使用される。
(29)(iv)好ましくは、濾過または遠心分離によって、さらに好ましくは濾過によって、項目21から27のいずれか1つに記載のドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2Oの少なくとも一部分を母液から分離することによってドルテグラビルナトリウムを単離する工程をさらに含む、項目28に記載の方法。
(30)(iv)濾過または遠心分離によって、好ましくは濾過によって、得られたドルテグラビルナトリウムを単離する工程をさらに含む、項目28に記載の方法。
(31)工程(iv)で得られるドルテグラビルナトリウムの結晶形態SEtOH/H2Oを、80℃以下、好ましくは、約50℃以下、さらに好ましくは、40℃以下、最も好ましくは、約15℃から25℃の温度、且つ100mbar以下、さらに好ましくは、約50mbar以下、最も好ましくは、約30mbar以下の減圧状態で乾燥させる工程をさらに含む、項目29または項目30に記載の方法。
(32)医薬組成物を調製するための、項目1から7のいずれか1つに記載の結晶形態HxAまたは項目13から19のいずれか1つに記載の結晶形態Hy1B、またはこれらの混合物の使用。
(33)医薬組成物を調製するための、項目8から11または項目20のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるか、もしくは得られる結晶形態、またはこれらの混合物の使用。
(34)有効量の、項目1から7のいずれか1つに記載の結晶形態HxAまたは項目13から19のいずれか1つに記載の結晶形態Hy1B、またはこれらの混合物と、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
(35)有効な量の項目8から11または項目20のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるか、もしくは得られる結晶形態、またはこれらの混合物と、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
(36)ヒトにおけるヒト1型免疫不全ウイルス(HIV−1)感染を治療する治療のための方法に使用するための項目34または項目35に記載の医薬組成物。
(37)項目12から18のいずれか1つに記載の結晶形態Hy1Bを調製するための、項目20から26のいずれか1つに記載の結晶形態の使用。
(38)項目13から19のいずれか1つに記載の結晶形態Hy1Bを調製するための、項目28から31のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるか、または得られる結晶形態の使用。
(39)治療に有効な量の項目1から7に記載の結晶形態と、希釈剤/充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤および界面活性剤からなる群から選択される1つ以上の医薬として許容される賦形剤とを含む、項目34に記載の医薬組成物。
(40)希釈剤/充填剤は、糖、セルロースまたはこの誘導体、デンプン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムおよびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、希釈剤/充填剤は、微結晶性セルロースおよび/またはD−マンニトールであり;
結合剤は、ポビドン、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、アルファ化デンプン、ゼラチンおよびセルロース誘導体からなる群から選択され、好ましくは、結合剤がポビドンであり;
崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、架橋したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルグリコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クエン酸および炭酸水素ナトリウムからなる群から選択され、好ましくは、崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウムであり;
滑沢剤は、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(R))、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールおよび二酸化ケイ素からなる群から選択され、好ましくは、滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウムであり;
界面活性剤は、ツイーン80のようなツイーン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびラウリル硫酸ナトリウムからなる群から選択され、好ましくは、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである、項目39に記載の医薬組成物。
(41)請求項1から7に記載の結晶形態が存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の5重量%から30重量%、好ましくは、10重量%から25重量%、さらに好ましくは、12重量%から20重量%、最も好ましくは、15重量%から19重量%の量で存在し;
希釈剤/充填剤が、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から90重量%、好ましくは、20重量%から80重量%、さらに好ましくは、40重量%から70重量%、最も好ましくは、50重量%から70重量%の量で存在し;
結合剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から40重量%、好ましくは、1重量%から20重量%、さらに好ましくは、2重量%から10重量%、最も好ましくは、3重量%から8重量%の量で存在し;
崩壊剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から40重量%、好ましくは、1重量%から20重量%、さらに好ましくは、2重量%から10重量%、最も好ましくは、3重量%から8重量%の量で存在し;
滑沢剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から10重量%、好ましくは、0.1重量%から8重量%、さらに好ましくは、1重量%から5重量%、最も好ましくは、1重量%から3重量%の量で存在し;
界面活性剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から5重量%、好ましくは、0.5重量%から4重量%、さらに好ましくは、1重量%から3重量%、最も好ましくは、1重量%から2重量%の量で存在する、項目39または40に記載の医薬組成物。
(42)前記組成物中に存在する医薬として許容される賦形剤が、少なくとも1つの希釈剤/充填剤、結合剤、崩壊剤および滑沢剤であり、それぞれの賦形剤が、互いに異なっている、項目39から41のいずれかに記載の医薬組成物。
(43)前記組成物が、マンニトール、好ましくは、D−マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムを医薬として許容される賦形剤として含む、項目42に記載の医薬組成物。
(44)医薬組成物を調製するための方法であって、
(I)項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態を提供する工程;
(II)工程(I)の結晶形態と、項目40から43に定義されるような医薬賦形剤とを混合する工程;
(III)医薬組成物を得る工程を含む、方法。
(45)工程(II)が、
(II−1)項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態と少なくとも1つの希釈剤/充填剤とを一緒に混合する工程;
(II−2)工程(II−1)で得られた混合物を適切なメッシュ径で、好ましくは、0.5mmから2.0mm、さらに好ましくは、0.7mmのメッシュ径でふるい分けする工程;
(II−3)結合剤および崩壊剤を加える工程;
(II−4)工程(II−3)の混合物を混合する工程;
(II−5)ふるい分けした滑沢剤を加える工程;および
(II−6)工程(II−5)の混合物をブレンドする工程を含む、項目44に記載の方法。
(46)経口剤形、好ましくは固体の経口剤形の形態である、項目39から43のいずれかに記載の医薬組成物。
(47)経口剤形が、固体の経口剤形、好ましくは、カプセル、錠剤、ペレットまたは小袋であり、さらに好ましくは、固体の経口剤形が錠剤である、項目46に記載の経口剤形。
(48)0.9%NaCl、pH6.8のリン酸バッファーおよび水の中で、50rpmでUSP paddle Apparatus 2を用いて測定するとき、剤形中に存在するドルテグラビルの合計量の少なくとも75%の項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムが、45分以下で溶解する、項目46または47に記載の経口剤形。
(49)経口剤形を調製するための方法であって、
(i)項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態と、項目40から43のいずれかに定義されるような医薬賦形剤を提供する工程と;
(ii)工程(i)の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態と医薬賦形剤を経口剤形に調合する工程であって、工程(ii)において、湿式造粒工程が適用されず、好ましくは、造粒工程が全く適用されず、さらに好ましくは、工程(ii)は、直接的な圧縮行程を含む、工程と;
(iii)前記経口剤形を得る工程を含む、方法。
項目49の工程(i)は、項目44および45に記載の方法に従って行うことができる。
(50)経口剤形が、固体の経口剤形、好ましくは、カプセル、錠剤、ペレットまたは小袋であり、さらに好ましくは、固体の経口剤形が錠剤である、項目49に記載の方法。
(51)さらなる工程(iv)において、工程(iii)で得られる経口剤形にコーティングが塗布される、項目50に記載の方法。
(52)経口剤形が、フィルムコーティングされた錠剤である、項目51に記載の方法。
(53)この方法が、項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態の大きさを小さくすることを目的とする工程、例えば、微粒子化工程を含まない、項目44または45、または項目49から52のいずれかに記載の方法。
(54)項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態が、項目8から11のいずれかに記載の方法によって調製される、項目44または45、または項目49から53のいずれかに記載の方法。
(55)工程(i)で提供される項目1から7に記載の式(I)のドルテグラビルナトリウムの結晶形態と医薬賦形剤が、項目39から43のいずれかに記載の医薬組成物、または項目46に記載の経口剤形、または項目47または48に記載の固体の経口剤形に対応する、項目44または45、または項目49から54のいずれかに記載の方法。
(56)ヒトにおけるヒト1型免疫不全ウイルス(HIV−1)感染を治療するための方法に使用するための項目39から43のいずれかに記載の医薬組成物、または項目46から48のいずれかに記載の剤形。
本発明の内容において、以下の省略語は、他の意味であると明記されていない限り、以下に示す意味を有する。
PXRD 粉末X線回折/回折図
TGA 熱重量分析
DSC 示差走査熱量測定
GMSD 水分脱着の重量測定
1H−NMR プロトン核磁気共鳴
RT 室温
RH 相対湿度
m 質量
V 体積
MH 一水和物
MeOH メタノール
conc. 濃度
PSD 粒径分布
DLG ドルテグラビル
LC 液体クロマトグラフィー
本発明は、実施形態によって限定されることなく、以下に実施形態によってさらに詳細に記載される。
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、適用される温度が重要ではなく、正確な温度値を維持する必要はないことを示す。通常、「室温」は、15℃から25℃の温度を意味すると理解される[例えば、European Pharmacopoeia 8.2、1.2(2014)を参照]。
本明細書で使用される「ピーク」という用語は、XRPDの分野での典型的な意味に対応する。一般的に、XRPDパターンで明確に見ることができるピークを意味してもよい。さらに、「ピーク」は、対応するXRPDパターンにおいて、所与の特定の位置にある単一のピークのようであってもよく、または示される「ピーク」の所与の特定の(中央)値の周囲にある二重ピークまたは多重ピークを表していてもよい。
PXRDを参照しつつ、「本質的に同じ」という用語は、ピーク位置およびピークの相対強度の変動が考慮されることを意味する。例えば、2θ値の典型的な正確さは、±0.2°の2θの範囲である。従って、通常は9.4°の2θに現れる形態HxAの回折ピークは、例えば、標準条件でのほとんどのX線回折計で、9.2°から9.6°の2θに現れることがある。さらに、当業者は、相対ピーク強度が装置間で変動を示し、結晶度(好ましくは、配向)、サンプル調製および当業者に知られている他の因子に起因する変動を示し、定性的な測定のみを行うべきであることを認識している。
「一次粒子」という用語は、集合していない粒子か、またはまだ集合していない粒子を意味する。特徴的には、例えば、弱凝集物または強凝集物を生成するために、一次粒子が集合する。従って、弱凝集物は、一次粒子の集合であってもよく、一次粒子が共通の結晶線構造を形成し始めると、強凝集物が成長する場合がある。言い換えると、強凝集物は、一緒に成長し、そして整列して集合した一次粒子の集合体である。
ある態様において、本発明は、上または以下に記載され、形態HxAと呼ばれるドルテグラビルナトリウムの新規な水和物に関する。
形態HxAは、ドルテグラビルのモノナトリウム塩である。ドルテグラビルとナトリウムのモル比は、典型的には、また、好ましくは、約1.0:0.9から1.1の範囲、さらに好ましくは、約1.0:1.0である。
形態HxAは、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、12.8±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、20.0±0.2°、20.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、25.2±0.2°、26.0±0.2°、27.1±0.2°、28.4±0.2°および/または29.4±0.2°から選択される2θ角に少なくとも5個のピークを含むPXRDによって特徴付けることができる。
好ましくは、形態HxAは、7.9±0.2°、9.4±0.2°、12.5±0.2°、15.9±0.2°および20.8±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。形態HxAは、さらに、11.4±0.2°、11.6±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、26.0±0.2°および/または27.1±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含むPXRDによって特徴付けられてもよい。好ましくは、形態HxAは、さらに、11.6±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、24.4±0.2°および/または26.0±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含むPXRDによって特徴付けられてもよい。
さらに好ましくは、形態HxAは、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、20.8±0.2°、24.4±0.2°および26.0±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。
さらになお好ましくは、形態HxAは、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、20.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、26.0±0.2°および27.1±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。
さらになお好ましくは、形態HxAは、7.9±0.2°、9.4±0.2°、11.4±0.2°、11.6±0.2°、12.5±0.2°、12.8±0.2°、13.6±0.2°、15.2±0.2°、15.9±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、19.8±0.2°、20.0±0.2°、20.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°、25.2±0.2°、26.0±0.2°、27.1±0.2°、28.4±0.2°および29.4±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。
上の態様の形態HxAのXPRDは、好ましくは、Cu−Kα線で、さらに好ましくは、室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定される。
形態HxAの代表的なPXRDは、本明細書の図1に示される。さらに、形態HxAは、0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で、室温で測定するとき、図1に示されるのと本質的に同じPXRDを示すことによって特徴付けることができる。
さらに、RH約30%およびRTで平衡状態にした形態HxAの代表的なDSC曲線を本明細書の図2に示す。形態HxAのDSC曲線は、約330℃から355℃に吸熱を示し、それぞれ溶融および分解に起因して、約338℃に開始温度、約348℃にピーク最大値を有する。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態HxAは、10℃/分の加熱速度で測定するとき、330℃から355℃に吸熱を含むDSC曲線によって特徴付けることができる。
これに加え、RH約30%およびRTで平衡状態にした形態HxAの代表的なTGA曲線を本明細書の図3に示す。形態HxAのTGA曲線は、25℃から120℃で約0.9%の重量減少を示す。RH約30%およびRTで平衡状態にした形態HxAのカールフィッシャー電量滴定から、含水量が約0.9%であることがわかり、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.2molの水に対応している。1H−NMRによって、有機溶媒、特に、メタノールは検出することができなかった。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態HxAは、0.5%以下、好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.2%以下、例えば、0.1%以下の有機溶媒を含むことによって特徴付けることができる。これに代えて、またはこれに加え、形態HxAは、0.3%以下、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下のメタノールを含むことによって特徴付けることができる。
形態HxAの代表的な水分脱着の重量測定の等温線は、本明細書の図10に示される。形態HxAは、例えば、25±0.1℃の温度で測定されると、RH約30%で含水量が約0.9%であることを示し、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.2molの水に対応しており、RH約70%で含水量が2.9%から3.0%であり、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.7molの水に対応している。RH95%、25±0.1℃で、このサンプルは、最大の含水量である約3.8%を示し、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.9molの水に対応している。本明細書の図10に示すGMSD等温線から、水の取り込みおよび損失はそれぞれ可逆性であり、形態HxAの含水量は、周囲の大気の相対湿度に依存することが明らかになり、これは、非化学量論的な水和物に典型的である。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態HxAは、相対湿度30%から70%、且つ温度25±0.1℃で測定するとき、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.2molから0.7molの水を含むことによって特徴付けることができる。
さらに、さらなる態様において、本発明は、ドルテグラビルナトリウムの形態HxAを調製するための方法であって、
(i)メタノールを含む溶媒中のドルテグラビルの懸濁液または溶液を提供する工程であって、この懸濁液または溶液は、溶媒1リットルあたり、50gより多く、好ましくは少なくとも75gのドルテグラビルを含む工程、
(ii)約30℃以下の温度でドルテグラビルとナトリウムメトキシドとを反応させる工程、および
(iii)ドルテグラビルナトリウムを沈殿させる工程を含む、方法に関する。
ドルテグラビルは、形態HxA製造のための出発物質として使用され、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kまたは3aから3kに開示される手順に従って調製することができる。
第1の工程において、メタノールを含む溶媒中のドルテグラビルの懸濁液または溶液、好ましくは懸濁液を調製する。好ましくは、この混合物を調製するために使用される溶媒のメタノール濃度は、少なくとも約90体積%、さらに好ましくは少なくとも約95体積%、最も好ましくは少なくとも約99体積%である。さらに、溶媒の含水量は、好ましくは、約10体積%以下、さらに好ましくは、約5体積%以下、最も好ましくは、約1体積%以下である。
本質的に、初期の懸濁液または溶液は、溶媒1リットルあたり、50gより多く、好ましくは、少なくとも約75g、例えば、約75gから100g、さらに好ましくは、約75gから95g、さらになお好ましくは、約75gから85g、最も好ましくは、約75gから80gのドルテグラビルを含み、これが適用されてもよい。
次の工程において、上述の懸濁液または溶液にナトリウムメトキシドを加えることによって、または逆に加えることによって、ドルテグラビルをナトリウムメトキシドと反応させる。ナトリウムメトキシドは、固体として、またはメタノール溶液として適用してもよく、一方、この方法に適用され得る溶液は、好ましくは、ナトリウムメトキシド濃度が約1重量%から30重量%、好ましくは、約10重量%から25重量%、さらに好ましくは、約20重量%から25重量%、最も好ましくは、約25重量%である。使用されるドルテグラビルとナトリウムメトキシドの比率は、約1.0:1.0から1.1であり、好ましくは1.0:1.0の比率がこの反応に使用される。
本質的に、ナトリウムメトキシドとドルテグラビルを合わせるとき、反応温度は、約30℃以下、好ましくは、約20℃以下、さらに好ましくは、約10℃以下、最も好ましくは、約5℃以下に維持される。懸濁液または溶液は、好ましくは、約1時間から24時間、さらに好ましくは、約1時間から12時間、最も好ましくは、約1時間から2時間、好ましくは攪拌状態で、この適用した温度に維持される。その後、反応温度を、好ましくは、約10℃から30℃まで、さらに好ましくは、約15℃から30℃まで、最も好ましくは、約20℃から25℃まで上げる。懸濁液または溶液を、この適用した温度に、好ましくは約1時間から48時間、さらに好ましくは、約1時間から24時間、最も好ましくは約1時間から12時間、好ましくは攪拌状態で維持する。
その後、得られたドルテグラビルナトリウム結晶の少なくとも一部分は、濾過または遠心分離のような任意の従来の方法によって、好ましくは濾過によって集められてもよい。
最後に、単離されたドルテグラビルナトリウム結晶を約80℃以下、好ましくは約60℃以下、さらに好ましくは、約50℃以下の温度で乾燥させてもよく、最も好ましくは、結晶を約40℃以下の温度、例えば、ほぼ室温で乾燥させる。乾燥は、約1時間から72時間、好ましくは、約2時間から48時間、さらに好ましくは、約4時間から24時間、最も好ましくは、約6時間から18時間行われてもよい。乾燥は、減圧下、好ましくは、約100mbar以下、さらに好ましくは、約50mbar以下、最も好ましくは、約30mbar以下、例えば、約20mbarから30mbarで行われてもよい。
好ましくは、ドルテグラビルナトリウム(形態HxA)を沈殿させた後に得られる結晶は、d0.9(μm)の平均体積粒径分布(PSD)が、5μmから10μm未満の範囲である。平均体積粒径分布(PSD)は、一般的なレーザー回折によって決定することができる。特に、ドルテグラビル粒子を、ドルテグラビル粒子が溶解しない媒体(例えば、ヘキサン、シリコーンまたはパラフィン油)に分散させ、適切な界面活性剤(例えば、DSSS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム))を加え、一次粒子を適切に分散させる。
図14に示されるように、形態HxAは、一次粒子の薄板状の形態を有する。この結晶構造は層状であり、粒径は約5μmである。HxAのこの異なる外観は、擬多形に関係がある。
形態HxAの結晶のこの小さな粒径の一次粒子は、形態HxAの改善された特性をもたらし、医薬組成物においてドルテグラビル(それぞれ形態HxA)の改善された調合を可能にするため、好都合である。例えば、現時点で上市されているドルテグラビルナトリウム(TIVICAY)製剤において、d(0.9)の平均体積粒径の仕様である10μm未満に達するために、微粒子化工程(粒径を小さくする工程)を行うことが必要である。このような小さな粒径は、例えば、溶解および/またはバイオアベイラビリティに関し、薬物性能の要求を満たすために必要である(Regulatory Assessment Reports for Tivicay、例えば、EPARまたはAUSPARを参照)。
驚くべきことに、結晶形態HxAの一次粒子は、既に、10μm未満の平均体積PSDを示すことができる。従って、得られたドルテグラビルナトリウム粒子に、一般的な例であり、API粒径を小さくするために使用されることが多い微粒子化(例えば、エアジェットによる粉砕)のような粒径を小さくする工程を行う必要はない。API粒子に、粒子を小さくする工程を行うと、API自体(例えば、物理化学特性に悪い影響を与える)、APIの化学安定性および/または物理安定性だけではなく、APIの製剤に関し、悪い影響を与えることがある。粒径を小さくする工程は、例えば、流動性および接着性といった特徴に悪い影響を与えることがあり、直接的な圧縮のような単純な調合工程を適用することは、可能であったとしても、困難である。最後に、粒径を小さくする工程のようなさらなる処理工程を行うには時間がかかり、材料の損失を伴い、製造費用が高くなる。しかし、新規な形態HxAを提供することによって、粒径を小さくする工程を省くことができる。
さらに、結晶形態HxAの優れた特性に起因して、直接的な圧縮を適用することができる。これにより、例えば、費用および時間の観点で、特に、湿式造粒のような代替的な調合工程と比較すると、改善された調合工程を適用することができるだろう。通常、特に、剤形あたりのAPI投薬量がかなり少ないときに、APIの均質さを確保するために、または、錠剤用混合物の適切な流動性および圧縮性を確保するために、調合工程に湿式造粒が適用される。しかし、新規な結晶形態HxAは、HxAを調合するときに湿式造粒工程を省くことが可能な、優れた有益な特性を示す。
さらに、別の態様において、本発明は、本明細書で上および以下のドルテグラビルナトリウムの新規な水和物(Hy1Bとも呼ばれる。)に関する。
形態Hy1Bは、ドルテグラビルのモノナトリウム塩である。ドルテグラビルとナトリウムのモル比は、典型的には、また、好ましくは、約1.0:0.9から1.1の範囲、さらに好ましくは、約1.0:1.0である。
形態Hy1Bは、6.3±0.2°、7.4±0.2°、10.9±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°、16.2±0.2、18.6±0.2°、18.8±0.2°、19.7±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°、22.1±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および/または26.5±0.2°から選択される2θ角に少なくとも5個のピークを含むPXRDによって特徴付けることができる。
好ましくは、形態Hy1Bは、6.3±0.2°、7.4±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°および16.2±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。形態Hy1Bは、さらに、10.9±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、19.7±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°、22.1±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および/または26.5±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含むPXRDによって特徴付けられてもよい。好ましくは、形態Hy1Bは、さらに、10.9±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°および/または23.0±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含むPXRDによって特徴付けられてもよい。
さらに好ましくは、形態Hy1Bは、6.3±0.2°、7.4±0.2°、10.9±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°、16.2±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°および23.0±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。
さらになお好ましくは、化合物ドルテグラビルナトリウムの形態Hy1Bは、6.3±0.2°、7.4±0.2°、10.9±0.2°、11.1±0.2°、12.7±0.2°、16.2±0.2°、18.6±0.2°、18.8±0.2°、19.7±0.2°、20.5±0.2°、21.0±0.2°、22.1±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および26.5±0.2°の2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折図によって特徴付けられる。
上の態様の形態Hy1BのXPRDは、好ましくは、Cu−Kα線で、さらに好ましくは、室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定される。
形態Hy1Bの代表的なPXRDは、本明細書の図4に示される。さらに、形態Hy1Bは、0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で、室温で測定するとき、図4に示されるのと本質的に同じPXRDを示すことによって特徴付けることができる。
さらに、RH約30%およびRTで平衡状態にした形態Hy1Bの代表的なDSC曲線を本明細書の図5に示す。形態Hy1BのDSC曲線は、約60℃から90℃に第1の吸熱を示し、約77℃にピーク最大値を有し、これは、水の放出に起因する。約237℃にピーク最大値を有する220℃から250℃の第2の吸熱は、溶融によって生じる。約275℃から約300℃で起こり、約289℃にピーク最大値を有する発熱は、WO2010/068253A1の無水形態が溶融物から結晶化することを示す。開始温度が約350℃であり、約358℃にピーク最大値を有する約340℃から370℃の最後の吸熱は、WO2010/068253A1の得られた無水物形態の溶融および分解それぞれに起因する。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態Hy1Bは、10℃/分の加熱速度で測定するとき、約60℃から90℃の吸熱および/または約220℃から250℃の吸熱を含むDSC曲線によって特徴付けることができる。形態Hy1Bは、さらに、10℃/分の加熱速度で測定するとき、約275℃から300℃のさらなる発熱を含むDSC曲線によって特徴付けることができる。
これに代えて、またはこれに加え、形態Hy1Bは、10℃/分の加熱速度でDSCを用いて測定するとき、約220℃から250℃の範囲で溶融することによって特徴付けることができる。
これに加え、RH約30%およびRTで平衡状態にした形態Hy1Bの代表的なTGA曲線を本明細書の図6に示す。形態Hy1BのTGA曲線は、25℃から150℃で約3.3%の重量減少を示す。RH約30%およびRTで平衡状態にした形態Hy1Bのカールフィッシャー電量滴定から、含水量が約3.3%であることがわかり、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.8molの水に対応している。1H−NMRによって、有機溶媒、特に、エタノールは検出することができなかった。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態Hy1Bは、0.5%以下、好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.2%以下、例えば、0.1%以下の有機溶媒を含むことによって特徴付けることができる。これに代えて、またはこれに加え、形態Hy1Bは、0.5%以下、好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.2%以下、例えば、0.1%以下のエタノールを含むことによって特徴付けることができる。
形態Hy1Bの代表的な水分脱着の重量測定の等温線は、本明細書の図11に示される。形態Hy1Bは、例えば、25±0.1℃の温度で測定されると、RH約30%で含水量が約2.8%から3.5%であることを示し、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.7molから0.9molの水に対応しており、RH約80%で含水量が約4.4%から4.8%であり、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、1.1molから1.2molの水に対応している。RH90%、25±0.1℃で、このサンプルは、最大の含水量である約5.1%を示し、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、1.3molの水に対応している。GMSD実験によれば、形態Hy1Bは一水和物である。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態Hy1Bは、ドルテグラビルナトリウムの一水和物であると特徴付けることができる。
これに代えて、またはこれに加え、形態Hy1Bは、相対湿度30%から90%、温度25±0.1℃で測定するとき、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.7molから1.3molの水を含むことによって特徴付けることができる。
なおさらなる態様において、本発明は、本発明のドルテグラビルナトリウム形態SEtOH/H2Oを、少なくとも約75±5%の相対湿度、少なくとも約40℃の温度の大気にさらすことを含む、ドルテグラビルナトリウムの形態Hy1Bを調製するための方法に関する。
形態SEtOH/H2Oから形態Hy1Bへの変換の実際の持続時間は、さまざまであってもよく、主に、サンプルの量、粉末層の厚み、粒径、比表面積のようなパラメータに依存する。通常、この変換は、約12時間から168時間、好ましくは、約12時間から120時間、さらに好ましくは、約12時間から72時間で完結し、最も好ましくは、この変換は、約12時間から24時間で完結する。
なおさらなる態様において、本発明は、本明細書で上および以下のドルテグラビルナトリウムの新規な結晶形態(以下、形態SEtOH/H2Oとも呼ばれる。)に関する。
形態SEtOH/H2Oは、ドルテグラビルのモノナトリウム塩である。ドルテグラビルとナトリウムのモル比は、典型的には、また、好ましくは、約1.0:0.9から1.1の範囲、さらに好ましくは、約1.0:1.0である。
形態SEtOH/H2Oは、6.5±0.2°、7.0±0.2°、10.6±0.2°、11.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°、20.8±0.2°および/または22.6±0.2°から選択される2θ角に少なくとも5個のピークを含むPXRDによって特徴付けることができる。
好ましくは、形態SEtOH/H2Oは、6.5±0.2°、7.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°および22.6±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。形態SEtOH/H2Oは、さらに、10.6±0.2°、11.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°および/または20.8±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含むPXRDによって特徴付けられてもよい。好ましくは、形態SEtOH/H2Oは、さらに、10.6±0.2°、11.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°および/または20.3±0.2°の2θ角に1個以上のさらなる特徴的なピークをさらに含むPXRDによって特徴付けられてもよい。
さらに好ましくは、形態SEtOH/H2Oは、6.5±0.2°、7.0±0.2°、10.6±0.2°、11.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°および22.6±0.2°の2θ角に特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。
さらになお好ましくは、形態SEtOH/H2Oは、6.5±0.2°、7.0±0.2°、10.6±0.2°、11.0±0.2°、13.3±0.2°、16.0±0.2°、18.0±0.2°、19.1±0.2°、20.3±0.2°、20.8±0.2°および22.6±0.2°の2θに特徴的なピークを含むPXRDによって特徴付けられる。
上の代替例の形態SEtOH/H2OのXPRDは、好ましくは、Cu−Kα線で、さらに好ましくは、室温で0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で測定される。
形態SEtOH/H2Oの代表的なPXRDは、本明細書の図7に示される。さらに、形態SEtOH/H2Oは、0.15419nmの波長を有するCu−Kα1,2線で、室温で測定するとき、図7に示されるのと本質的に同じPXRDを示すことによって特徴付けることができる。
さらに、RH約25%およびRTで平衡状態にした形態SEtOH/H2Oの代表的なDSC曲線を本明細書の図8に示す。形態SEtOH/H2OのDSC曲線は、約110℃から185℃に第1の吸熱を示し、約159℃にピーク最大値を有し、これは、それぞれエタノールと水の放出に起因する。約220℃から約250℃で起こり、約238℃にピーク最大値を有する第2の吸熱は、溶融によって生じる。約285℃から約320℃で起こり、約306℃にピーク最大値を有する発熱は、WO2010/068253A1の無水物形態が溶融物から結晶化することを示す。開始温度が約350℃であり、約358℃にピーク最大値を有する約340℃から370℃の最後の吸熱は、WO2010/068253A1の得られた無水物形態の溶融および分解それぞれに起因する。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態SEtOH/H2Oは、10℃/分の加熱速度で測定するとき、約110℃から185℃の吸熱および/または約220℃から250℃の吸熱を含むDSC曲線によって特徴付けることができる。形態SEtOH/H2Oは、さらに、10℃/分の加熱速度で測定するとき、約285℃から320℃のさらなる発熱を含むDSC曲線によって特徴付けることができる。
これに代えて、またはこれに加え、形態SEtOH/H2Oは、10℃/分の加熱速度でDSCを用いて測定するとき、約220℃から250℃の範囲で溶融することによって特徴付けることができる。
これに加え、RH約25%およびRTで平衡状態にした形態SEtOH/H2Oの代表的なTGA曲線を本明細書の図9に示す。形態SEtOH/H2OのTGA曲線は、25℃から120℃で約3.4%の重量減少を示す。RH約25%、且つ室温で平衡状態にした形態SEtOH/H2Oのカールフィッシャー電量滴定から、含水量が約0.9%であることがわかり、この値は、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.2molの水に対応している。1H−NMRによってエタノールが検出された。TGA、カールフィッシャー滴定、1H−NMRからの結果を合わせ、形態SEtOH/H2Oは、RH約25%およびRTで測定するとき、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.3molのエタノールに対応する約2.5%のエタノールと、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.2molの水に対応する約0.9%の水を含むと結論付けることができる。
従って、これに代えて、またはこれに加え、形態SEtOH/H2Oは、ドルテグラビルナトリウムのエタノレート/水和物であると特徴付けることができる。
これに代えて、またはこれに加え、形態SEtOH/H2Oは、RH約25%および室温で測定するとき、ドルテグラビルナトリウム1molあたり、0.3molのエタノールと0.2molの水を含むことによって特徴付けることができる。
なおさらなる態様において、本発明は、
(i)少なくとも90体積%のエタノールを含む溶媒中のドルテグラビルの懸濁液または溶液を提供する工程、
(ii)45℃以下の温度で、ドルテグラビルとナトリウムエトキシドとを反応させる工程、
(iii)ドルテグラビルナトリウムを沈殿させる工程を含む、ドルテグラビルナトリウムの形態SEtOH/H2Oを調製するための方法に関する。
ドルテグラビルは、形態SEtOH/H2O製造のための出発物質として使用され、WO2010/068253A1の実施例1aから1kまたは3aから3kに開示される手順に従って調製することができる。
第1の工程において、エタノールを含む溶媒中のドルテグラビルの懸濁液または溶液を調製する。好ましくは、この混合物を調製するために使用される溶媒のエタノール濃度は、少なくとも約90体積%、さらに好ましくは少なくとも約96体積%、最も好ましくは少なくとも約99体積%である。さらに、溶媒の含水量は、好ましくは、約10体積%以下、さらに好ましくは、約4体積%以下、最も好ましくは、約1体積%以下である。
適用される初期の懸濁液または溶液は、溶媒1リットルあたり、約10gから100g、好ましくは、約10gから75g、さらに好ましくは、約10gから50g、最も好ましくは、約10gから25gのドルテグラビルを含むものが使用される。
次の工程において、上述の混合物にナトリウムエトキシドを加えることによって、または逆に加えることによって、ドルテグラビルをナトリウムエトキシドと反応させる。ナトリウムエトキシドは、固体として、またはエタノール溶液として適用してもよく、一方、この方法に適用され得る溶液は、濃度が約1重量%から25重量%、好ましくは、約10重量%から21重量%、さらに好ましくは、約15重量%から21重量%、最も好ましくは、約21重量%である。使用されるドルテグラビルとナトリウムエトキシドの比率は、約1.0:0.8から2.0であり、好ましくは約1.0:0.9から1.5、さらに好ましくは、約1.0:0.9から1.2、最も好ましくは、1.0:1.0の比率が使用される。
本質的に、ナトリウムエトキシドとドルテグラビルを合わせるとき、反応温度は、約45℃以下、好ましくは、約40℃以下、さらに好ましくは、約35℃以下、最も好ましくは、約30℃以下に維持される。懸濁液または溶液は、約1時間から24時間、好ましくは、約1時間から12時間、さらに好ましくは、約1時間から6時間、最も好ましくは、約1時間から2時間、好ましくは攪拌状態で、この適用した温度に維持される。
その後、得られたドルテグラビルナトリウム結晶の少なくとも一部分は、濾過または遠心分離のような任意の従来の方法によって、好ましくは濾過によって集められてもよい。
最後に、単離されたドルテグラビルナトリウム結晶を約80℃以下、好ましくは約60℃以下、さらに好ましくは、約50℃以下の温度で乾燥させてもよく、最も好ましくは、結晶を約40℃以下の温度、例えば、ほぼ室温で乾燥させる。乾燥は、約1時間から72時間、好ましくは、約2時間から48時間、さらに好ましくは、約4時間から24時間、最も好ましくは、約6時間から18時間行われてもよい。乾燥は、減圧下、好ましくは、約100mbar以下、さらに好ましくは、約50mbar以下、最も好ましくは、約30mbar以下、例えば、約20mbarから30mbarで行われてもよい。
SEtOH/H2Oを手にしたことで、初めて、本発明の新規な一水和物Hy1Bを調製することができる。形態Hy1Bは、SEtOH/H2O結晶を高湿高温にさらすことによって調製することができる。従って、形態SEtOH/H2Oは、本発明の形態Hy1Bを調製するための価値ある中間体である。
従って、第8の態様において、本発明は、ドルテグラビルナトリウム形態Hy1Bを調製するためのドルテグラビルナトリウム形態SEtOH/H2Oの使用に関する。
WO2010/068253A1は、ドルテグラビルナトリウムの一水和物を開示しており、この水和物から、本発明の非化学量論量の水和物HxAは、例えば、12.5および20.8±0.2°の2θのPXRDピークを含むことによって区別することができ、一方、この既知の一水和物は、この領域に顕著なピークを示さない。一方、本発明の一水和物Hy1Bは、例えば、6.3および7.4±0.2°の2θのPXRDピークを含むことによって、WO2010/068253A1に開示される一水和物とは異なり、一方、この既知の一水和物は、この領域に顕著なピークを示さない。その代わり、WO2010/068253A1の一水和物は、例えば、8.0および9.3±0.2°の2θにPXRDピークを示し、一方、本発明の一水和物Hy1Bは、この領域にピークを示さない。
WO2010/068253A1のドルテグラビルナトリウム一水和物と、形態HxAおよび形態Hy1Bと呼ばれる本発明の水和物を用い、25±0.1℃での水分脱着の相対的な重量測定実験を行った。WO2010/068253A1の一水和物について得られた脱着等温線を図12に示し、一方、本発明の非化学量論量の水和物HxAおよび一水和物Hy1Bの等温線を、それぞれ図10および図11に開示する。
RH30%未満で、WO2010/068253A1のドルテグラビルナトリウム一水和物は、無水物形態への可逆的な脱水を示す。一方、60%を超える相対湿度で、この一水和物は、RH95%で、ドルテグラビルナトリウム1molあたり5.6molの水に対応する含水量約21.8%に達するまで、過剰に水を取り込む。この水の取り込みは、湿度が低下するとき、可逆的であるが、RH約40%から90%の領域での脱着等温線のヒステリシスは、顕著な構造変化を示す。従って、WO2010/068253A1のドルテグラビルナトリウム一水和物は非常に吸湿性であり、RH30%から60%の狭い範囲でのみ結晶構造を保持すると結論付けることができる。
これとは対照的に、本発明の形態HxAは、RH95%で含水量が3.9%に達するまで、吸着サイクルでわずかな水の取り込みのみを示す。この吸着サイクル中の水の取り込みは、湿度が低下するとき、可逆的である。脱着等温線のヒステリシスが存在しないことは、実験全体で結晶構造が安定なまま維持されていることを示し、これは水分に依存するPXRDによって確認された。まとめると、本発明のドルテグラビルナトリウム形態HxAは、RH約0%から95%まで安定であり、この結晶構造を保持しており、WO2010/068253A1の一水和物よりも顕著に吸湿性が低い。
形態Hy1Bも、RH90%で含水量が5.1%に達するまで、吸着サイクルでわずかな水の取り込みのみを示す。この水の取り込みは、湿度が低下するとき、可逆的である。脱着等温線の顕著なヒステリシスが存在しないことは、RH10%から90%で結晶構造が安定なまま維持されていることを示し、これは水分に依存するPXRDによって確認された。RH10%未満でのみ、ドルテグラビルナトリウムの無水物形態への可逆的な脱水を観測することができる。従って、本発明のドルテグラビルナトリウム形態Hy1Bは、RH10%から90%まで安定であり、この結晶構造を保持しており、WO2010/068253A1の一水和物よりも顕著に吸湿性が低い。
GMSD実験の結果も、以下の表1にまとめている。
従って、本発明の範囲は、水分にさらされたとき、わずか少量の水を吸収し、湿潤状態および乾燥状態で結晶構造を保持するドルテグラビルナトリウムの新規な水和物を提供することである。この水和物の優れた特性に起因して、本発明の水和物は、制御された様式で簡単に調合し、包装し、保存することができる。
従って、さらなる態様において、本発明は、医薬組成物を調製するためのドルテグラビルナトリウムの形態HxAおよび/または形態Hy1Bの使用に関する。
これに加え、本発明は、有効な量のドルテグラビルナトリウムの形態HxAおよび/または形態Hy1Bと、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
固体の医薬剤形は、1つ以上のさらなる医薬として許容される賦形剤、例えば、希釈剤、/充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、界面活性剤および流動制御剤を含んでいてもよい(「Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie、Kosmetik und angrenzende Gebiete」、H.P.Fiedler編集、第5版および「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第6版、Arthur H.Kibbe編集、American Pharmaceutical Association、ワシントン、USAおよびPharmaceutical Press、ロンドン)。
好ましくは、医薬組成物は、ドルテグラビルナトリウム形態HxAと、希釈剤/充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤および界面活性剤からなる群から選択される1つ以上の医薬として許容される賦形剤とを含む。好ましい実施形態において、希釈剤/充填剤は、糖、セルロースまたはこの誘導体、デンプン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムおよびこれらの混合物から選択され、好ましくは、希釈剤/充填剤は、微結晶性セルロースおよび/またはD−マンニトールであり;結合剤は、ポビドン、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、アルファ化デンプン、ゼラチンおよびセルロース誘導体からなる群から選択され、好ましくは、結合剤はポビドンであり;崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、架橋したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルグリコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クエン酸および炭酸水素ナトリウムからなる群から選択され、好ましくは、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムであり;滑沢剤は、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(R))、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールおよび二酸化ケイ素からなる群から選択され、好ましくは、滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムであり;界面活性剤は、ツイーン80のようなツイーン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびラウリル硫酸ナトリウムからなる群から選択され、好ましくは、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。好ましくは、医薬組成物は、さらに、ステアリン酸マグネシウム、Aerosil(R)(コロイド状二酸化ケイ素)、デンプンおよびタルクから選択される少なくとも1つの流動促進剤を含んでいてもよい。
さらに好ましい実施形態において、ドルテグラビルナトリウム形態HxAは、存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の5重量%から30重量%、好ましくは、10重量%から25重量%、さらに好ましくは、12重量%から20重量%、最も好ましくは、15重量%から19重量%の量で存在し;希釈剤/充填剤が、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から90重量%、好ましくは、20重量%から80重量%、さらに好ましくは、40重量%から70重量%、最も好ましくは、50重量%から70重量%の量で存在し;結合剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から40重量%、好ましくは、1重量%から20重量%、さらに好ましくは、2重量%から10重量%、最も好ましくは、3重量%から8重量%の量で存在し;崩壊剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から40重量%、好ましくは、1重量%から20重量%、さらに好ましくは、2重量%から10重量%、最も好ましくは、3重量%から8重量%の量で存在し;滑沢剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から10重量%、好ましくは、0.1重量%から8重量%、さらに好ましくは、1重量%から5重量%、最も好ましくは、1重量%から3重量%の量で存在し;界面活性剤は、医薬組成物中に存在する場合には、コーティングを含まない医薬組成物の合計重量の0重量%から5重量%、好ましくは、0.5重量%から4重量%、さらに好ましくは、1重量%から3重量%、最も好ましくは、1重量%から2重量%の量で存在する。
特に好ましくは、前記医薬組成物中に存在する(好ましくは唯一の)医薬として許容される賦形剤は、少なくとも1つの充填剤/希釈剤、好ましくはマンニトール、さらに好ましくは、D−マンニトールおよび/または微結晶性セルロース;結合剤、好ましくは、ポビドン、例えば、Plasodone K29/32;崩壊剤、好ましくは、デンプングリコール酸ナトリウム、例えば、Primojel;および滑沢剤、好ましくは、フマル酸ステアリルナトリウムであり;それぞれの賦形剤は、互いに異なっている。従って、このような特に好ましい医薬組成物の一例は、結晶形態HxAナトリウムに加え、D−マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンフマル酸ナトリウムを医薬として許容される賦形剤として含み、好ましくは、これらからなる組成物である。この医薬組成物が、コーティングのような1つ以上の外側層を含むことは除外されない。
医薬組成物は、経口剤形の形態で、好ましくは、カプセル、錠剤、ペレットまたは小袋のような固体の剤形の形態で存在していてもよい。さらに好ましくは、医薬組成物は、錠剤の形態で存在する。
適切な溶解試験を行うと、結晶形態HxAと医薬として許容される賦形剤とを含む経口剤形(好ましくは錠剤)は、例えばFDA Guidance for Industry(Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms)で管理されるような、即時放出性錠剤の薬物制御性能の要求事項を満たす溶解プロフィールを示すことがわかるだろう。本発明で行われた適切な溶解試験は、「US paddle Apparatus 2」を適用する溶解試験であり、US paddle Apparatus 2は、標準化された装置であり、United States Pharmacopoeia General Chapter<711>Dissolutionに明記されている。実施例15の表12からわかるように、45分後、結晶形態HxAの少なくとも75%が溶解する。従って、好ましくは、USP paddle Apparatus 2を50rpmで用い、0.9%NaCl、pH6.8、リン酸バッファーおよび水中で測定するとき、剤形中に存在する結晶形態HxAの合計量の少なくとも75%の結晶形態HxAが45分以内に溶解する。
本発明にさらに示されるように、結晶形態HxAを含む固体剤形の含量均一性は、参照形態「形態I」と比較して、向上している(表13)。形態Iを含む固体の経口剤形は、湿式造粒によって調製され(技術的な理由に起因して、直接的な圧縮は不可能であった:以下の実施例14に関する説明を参照)、一方、形態HxAを含む固体の経口剤形が、直接的な圧縮によって調製されたため、このことは全て、驚くべきことであり、好都合である。通常、適切な均質さを容易にし、確保するために、中でも湿式造粒が適用される。しかし、形態HxAを含む固体剤形の特性は、上市された形態(TIVICAY)で使用される形態Iと比較して、例えば、含量均一性の観点で優れている。
ストレス安定性に関しても、形態HxAを含む剤形は、優れた化学安定性を示した(実施例15の表14を参照)。
本発明は、さらに、形態HxAを含む医薬組成物を調製するための方法であって、
(I)結晶形態HxAを提供する工程;
(II)形態HxAを含む医薬組成物に関連して、結晶形態HxAと、上に定義される医薬賦形剤とを混合する工程;
(III)医薬組成物を得る工程を含む方法を指す。
好ましい実施形態において、工程(II)は、
(II−1)形態HxA、好ましくは、本明細書に定義される方法によって調製される形態HxAと、少なくとも1つの希釈剤/充填剤とを一緒に混合する工程;
(II−2)工程(II−1)で得られた混合物を適切なメッシュ径で、好ましくは、0.5mmから2.0mm、さらに好ましくは、0.7mmのメッシュ径でふるい分けする工程;
(II−3)結合剤および崩壊剤を加える工程;
(II−4)工程(II−3)の混合物を混合する工程;
(II−5)ふるい分けした滑沢剤を加える工程;および
(II−6)工程(II−5)の混合物をブレンドする工程を含む。
本発明は、さらに、経口剤形を調製するための方法であって、
(i)結晶形態HxAと、上に開示した医薬賦形剤とを提供する工程;
(ii)工程(i)の結晶形態HxAと医薬として許容される賦形剤を経口剤形に調合する工程であってし、好ましくは、工程(ii)において、湿式造粒工程を用いず、さらに好ましくは、造粒工程を全く用いず、さらになお好ましくは、工程(ii)は、直接的な圧縮行程を含む、工程;
(iii)前記経口剤形を得る工程を含む。
第1の工程において、結晶形態HxAと、少なくとも1つの希釈剤/充填剤を一緒に混合し、適切なふるい径(即ち、0.5mmから2.0mm、さらに好ましくは、0.7mmのメッシュ径)でふるい分けする。このふるい分け工程を用い、API/賦形剤の保存中に生成し得る大きな粒径(例えば、1から2cm)の軽い弱凝集物を除外する(塊除去工程とも呼ばれる。)。一次粒径は、この工程によって影響を受けない。次いで、結合剤および崩壊剤を加え、さらに混合してもよい。次いで、ふるい分けされた滑沢剤(適切なメッシュ径、例えば、0.5mmによってふるい分けされた。)を加えてもよく、得られた混合物をさらにブレンドしてもよい。好ましくは、少なくとも1つの希釈剤/充填剤、結合剤および崩壊剤は、結晶形態HxAを含む医薬組成物と組み合わせて、上に定義されるとおりである。
次の工程において、工程(i)後に得られた結果として生じたブレンドを経口剤形に調合する(工程(ii))。この工程は、当業者に知られている任意の適切な方法によって行うことができるが、有利な実施形態において、湿式造粒が除外される。工程(ii)は、直接的な圧縮または乾式造粒を含んでいてもよく、好ましくは、工程(ii)は、直接的な圧縮を含む。さらに好ましい実施形態において、工程(ii)は、直接的な圧縮である。調合工程(ii)は、当業者に知られている任意の適切なプロトコルに従って行うことができる。好ましくは、工程(ii)は、当業者に知られている任意の適切な錠剤生成装置を用いることによって行われる。例えば、直接的な圧縮は、回転錠剤生成装置によって行うことができ、使用される錠剤生成用パンチは、10mmの丸パンチである。しかし、任意の適切な錠剤生成用パンチを使用してもよい。工程(ii)を行った後、経口剤形(好ましくは錠剤)が得られる。
さらなる工程(iv)において、工程(iii)の後に得られた経口剤形にコーティングが塗布されることも可能であり、好ましくは、膜コーティングされた錠剤が得られる。
好ましい実施形態において、本発明の経口剤形を調製するための方法は、結晶形態HxAの粒径を小さくする工程を含まず、好ましくは、この工程を含まず、必要でもない。結晶形態HxAの平均体積PSDが、剤形に調合することができるような、さらなる処理を行うのに既に十分に小さく、同時に、例えば、調合に関し、少なくとも十分に良好な、好ましくは優れた特性を示す結晶形態HxAを与えるからである。
さらに好ましい実施形態において、結晶形態HxAは、本明細書に開示されるように調製される。
最後に、本発明は、ヒト1型免疫不全ウイルス(HIV−1)感染の治療に使用するための有効な量のドルテグラビルナトリウム形態HxAおよび/または形態Hy1Bを含む、本明細書に開示されるような、医薬組成物または剤形に関する。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の侵入によって、後天性免疫不全症候群(AIDS)が引き起こされる場合がある。この場合には、有機体(例えば、ヒト)の免疫系は、この系がさらなる生命を脅かす日和見感染と戦うことができないほど弱くなる。現在、HIV感染は、治癒不可能であると言われており、この結果、主な標的は、対応するウイルスの増殖を抑制するか、または少なくとも顕著に遅らせることである。HIV感染の治療は非常に複雑であるため、併用療法が提案されてきた。併用療法は、2つ以上の医薬活性薬剤を使用する治療である。例えば、臨床治験において、50mgのドルテグラビル、300mgのラミブジンおよび600mgのアバカビルを含む「572−Trii」と呼ばれる組み合わせが、非常に有望なようである。
本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、本明細書に開示されるドルテグラビルに加え、好ましくは、形態HxAに加え、1つ以上のさらなるAPIを含有していてもよい。このさらなるAPIは、通常インテグラーゼ阻害剤の群に属するAPIと組み合わせる任意のAPI(例えば、ドルテグラビルと組み合わせる別のAPI)であってもよい。このようなさらなるAPIは、好ましくは、逆転写酵素阻害剤(ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)および/または非ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NNRTI))、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤(FI)、CCR5アンタゴニスト、およびドルテグラビル以外のインテグラーゼ阻害剤(INI)からなる群から選択される。
逆転写酵素阻害剤の例は、ジドブジン;ジダノシン;スタブジン;ラミブジン;アバカビル;アデホビル;ロブカビル;エンテカビル;アプリシタビン;エムトリシタビン;ザルシタビン;デキセルブシタビン;アロブジン(alovudine);アムドキソビル;エルブシタビン;テノホビル;フェスチナビル;ラシビル;レルシビリン;リルピビリン;エトラビリン;SP1093Vおよびスタンピジン、またはこれらの医薬として許容される塩である。
プロテアーゼ阻害剤の例は、サキナビル;リトナビル;ネルフィナビル;アムプレナビル;ロピナビル、インジナビル;ネルフィナビル;アタザナビル;ラシナビル;パリナビル;フォサムプレナビル;ダルナビル;およびチプリナビルである。
APIとの不適合性が観察される場合、この不適合性を克服するための当業者に知られている適切な措置を行うことができる。このような適切な測定としては、製剤からAPIを物理的に分離すること、または低水分を維持すること(例えば、調合中の水を避けることによって、および/または水分保護パッケージで製品を保存することによって)が挙げられる。
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、フォサムプレナビルおよびアタザナビル(またはこれらの医薬として許容される塩)からなる群から選択される1つ以上のさらなるAPIを含有していてもよい。
さらに好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、リルピビリン、アバカビル、ラミブジン、テノホビル、リトナビル、エムトリシタビン、エトラビリン、ロピナビル、ダルナビル(またはこれらの医薬として許容される塩)からなる群から選択される1つ以上のさらなるAPIを含有していてもよい。
さらなる実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、
・ジドブジン;ジダノシン;スタブジン;ラミブジン;アバカビル;アデホビル;ロブカビル;エンテカビル;アプリシタビン;エムトリシタビン;ザルシタビン;デキセルブシタビン;アロブジン(alovudine);アムドキソビル;エルブシタビン;テノホビル;フェスチナビル;ラシビル;レルシビリン;リルピビリン;エトラビリン;SP1093Vおよび/またはスタンピジンを含む少なくとも1つの逆転写酵素阻害剤、および/または
・サキナビル;リトナビル;ネルフィナビル;アムプレナビル;ロピナビル、インジナビル;ネルフィナビル;アタザナビル;ラシナビル;パリナビル;フォサムプレナビル;ダルナビルおよび/またはチプリナビルを含む少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤から選択されるさらなるAPIを含有していてもよい。
さらに好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、ラミブジンおよびアバカビル(またはこれらの医薬として許容される塩)を含有していてもよい。
さらに好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビン(またはこれらの医薬として許容される塩)を含有していてもよい。
さらに好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、テノホビルアラフェナミドおよびエムトリシタビン(またはこれらの医薬として許容される塩)を含有していてもよい。
さらに好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物または剤形、好ましくは、形態HxAを含む医薬組成物または剤形は、さらに、塩酸リルピビリンを含有していてもよい。
特に好ましい組み合わせは、以下のものである。
・Trii−572として知られる組み合わせ:ドルテグラビル/ラミブジン/アバカビル(50mg/300mg/600mg)
・組み合わせ:ドルテグラビル/エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル(50mg/200mg/300mg)
・組み合わせ:ドルテグラビル/エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル(50mg/100mg/150mg)。
さらなるドルテグラビルとの組み合わせは、例えば、WO2011/094150、WO2014/064409、WO2014/184553およびWO2015/022351に開示される。
以下の非限定的な例は、本開示の実例である。
透過幾何形状のシータ/シータ結合ゴニオメーター、プレートホルダを有するプログラミング可能なXYZステージ、収束鏡Cu−Kα1,2線源(波長0.15419nm)を取り付け、入射光側に収束鏡、0.5°の発散スリット、0.02°のソーラースリットコリメーター、0.5°の散乱防止スリット、回折光側に2mmの散乱防止スリット、0.02°のソーラースリットコリメーター、Niフィルターおよび固体状態のPIXcel検出器を備える、X’Pert PRO回折計(PANalytical、アルメロ、オランダ)を用い、PXRDを得た。管電圧40kV、管電流40mAで、2°から40°の2θ角範囲で、0.013°ずつ変えた2θを各工程40秒適用し、ディフラクトグラムを室温で記録した。2θ値の典型的な正確さは、±0.2°の2θ範囲である。従って、例えば、9.4°の2θに現れる形態HxAの回折ピークは、標準的な条件を用い、ほとんどのX線回折機で9.2°から9.6°の2θに現れるだろう。
Mettler Polymer DSC R装置でDSCを行った。サンプルを、穴をあけたアルミニウム製蓋を有する40μlのアルミニウム皿で、10℃/分の速度で25℃から380℃まで加熱した。窒素(パージ速度50mL/分)をパージガスとして使用した。
TGAをMettler TGA/ DSC 1装置で行った。サンプルを、アルミニウム製蓋を有する100μLのアルミニウム皿で加熱した。測定開始時に蓋に自動的に穴をあけた。サンプルを10℃/分の速度で25℃から250℃まで加熱した。窒素(パージ速度50mL/分)をパージガスとして使用した。
カールフィッシャー電量滴定をMetrohm 831 KF Coulometerで行った。
さまざまな相対湿度での水値は、SPS−11水分吸着分析機(MD Messtechnik、Ulm、D)で水分の脱着等温線を記録することによって得た。Teflonサンプルホルダにサンプルを入れ、秤量した。WO2010/068253A1の水和物および本発明の非化学量論的な水和物HxAの測定サイクルを、RH43%で開始し、RH40%まで下げ、10%工程においてRH10%までさらに下げ、5%工程でRH0%まで下げ、5%工程でRH10%まで上げ、10%工程でRH90%までさらに上げ、その後、RH95%まで上げ、再びRH90%まで下げ、10%工程において、RH10%まで下げ、5%工程においてRH0%までさらに下げ、再び、5%工程において10%まで上げ、その後、10%工程においてRH40%まで上げ、最後に、RH43%まで上げた。本発明の一水和物Hy1Bの測定サイクルは、RH40%で開始し、10%工程においてRH0%まで下げ、10%工程においてRH90%まで上げ、10%工程においてRH0%まで下げ、最後に、10%工程においてRH40%まで上げた。それぞれの工程の平衡化条件は、60分間で質量不変性が±0.005%であると設定された。温度は25±0.1℃であった。水分脱着実験の後、TGA 7システム(Perkin Elmer、ノーウォーク、Ct.、USA)で、Pyris 2.0ソフトウェアを用い、サンプルの含水量を決定した。Al皿(50μL)にサンプルを入れて秤量した。乾燥窒素をパージガスとして使用した(パージ速度:20mL/分)。加熱速度10℃/分を用い、サンプルを25℃から200℃まで加熱した。
Bruker Avance 500装置で、1H−NMRスペクトルを500MHzで記録した。内部標準としてテトラメチルシランを含む重水素化ジメチルスルホキシド(99.9%D)を溶媒として使用した。
[実施例1]:ドルテグラビルナトリウム形態HxAの調製
ドルテグラビル(6.006g、14.3mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)のメタノール78mLの懸濁液を5±1℃まで冷却した。冷蔵したナトリウムメトキシドのメタノール溶液(25重量%、3.282mL、14.4mmol)を攪拌しつつ滴下し、得られた懸濁液を5±1℃でさらに2時間攪拌した。その後、懸濁液の温度を1時間で25±1℃まで上げ、同じ温度でさらに21時間攪拌した。最後に、濾過によって結晶を集め、減圧下(20−30mbar)、RTで21.5時間乾燥させ、5.843gのドルテグラビルナトリウム形態HxAを得た。
収率:理論的に92%。
得られたサンプルのPXRDを図1に示し、対応するピークリストを以下の表2に提示する。
[実施例2]:ドルテグラビルナトリウム形態HxAの調製
ドルテグラビル(1.007g、2.4mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)のメタノール13mLの懸濁液を25±1℃の温度に調節した。固体ナトリウムメトキシド(評価:95%、0.136g、2.4mmol)を加え、得られた懸濁液を25±1℃でさらに2時間攪拌した。最後に、濾過によって結晶を集め、減圧下(20−30mbar)、RTで19時間乾燥させ、0.965gのドルテグラビルナトリウム形態HxAを得た。
収率:理論的に91%;カールフィッシャー滴定:0.9%;TGA:−0.9%(25−120℃、10℃/分)。
[実施例3]:異なる反応温度でのドルテグラビルナトリウム形態HxAの調製
ドルテグラビル(1.0g、2.4mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)のメタノール13mLの懸濁液を、表3の温度に調節した。固体ナトリウムメトキシド(評価:95%、0.136g、2.4mmol)を加え、得られた懸濁液を、適用した温度でさらに2時間攪拌した。最後に、濾過によって結晶を集め、減圧下(20−30mbar)、RTで19時間乾燥させた。得られた物質をPXRDによって観察し、結果を表3にまとめている。
[実施例4]:異なる濃度でのドルテグラビルナトリウム形態HxAの調製
表4の量のメタノール中、ドルテグラビル(1.0g、2.4mmol、それぞれ0.5g、1.2mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)の懸濁液を25±1℃に調節した。固体ナトリウムメトキシド(評価:95%、0.136g、2.4mmol、それぞれ0.068g、1.2mmol)を加え、得られた懸濁液を25±1℃でさらに2時間攪拌した。最後に、濾過によって結晶を集め、減圧下(20−30mbar)、RTで19時間乾燥させた。得られた物質をPXRDによって観察し、結果を表4にまとめている。
[実施例5]:ドルテグラビルナトリウム形態Hy1Bの調製
ドルテグラビルナトリウム形態SEtOH/H2O(本明細書の実施例6に従って調製)を、温度約40℃、且つ相対湿度約75%の大気に5日間さらし、形態Hy1Bを定量的に得た。
カールフィッシャー滴定:3.3%;TGA:−3.3%(25−140℃;10℃/分)。
得られたサンプルのPXRDを図4に示し、対応するピークリストを以下の表5に提示する。
[実施例6]:ドルテグラビルナトリウム形態SEtOH/H2Oの調製
ドルテグラビル(2.004g、4.8mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)のエタノール80mLの懸濁液を25±1℃の温度に調節した。固体ナトリウムエトキシド(評価:95%、0.516g、7.2mmol)を加え、得られた懸濁液を25±1℃でさらに2時間攪拌した。最後に、濾過によって結晶を集め、減圧下(20−30mbar)、RTで42時間乾燥させ、2.105gのドルテグラビルナトリウム形態SEtOH/H2Oを得た。
収率:理論的に96%;カールフィッシャー滴定:0.9%;TGA:−3.4%(25−120℃、10℃/分)。
得られたサンプルのPXRDを図7に示し、対応するピークリストを以下の表6に提示する。
[実施例7]:異なる反応温度でのドルテグラビルナトリウム形態SEtOH/H2Oの調製
ドルテグラビル(0.5g、1.2mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)のエタノール50mLの懸濁液を、表7の温度に調節した。固体ナトリウムエトキシド(評価:95%、0.085g、1.2mmol)を加え、得られた懸濁液を、適用した温度でさらに2時間攪拌した。最後に、濾過によって結晶を集め、減圧下(20−30mbar)、RTで20時間乾燥させた。得られた物質をPXRDによって観察し、結果を表7にまとめている。
(参照例1−WO2010/068253A1のドルテグラビルナトリウム一水和物の調製)
40mLのTHF/水(8:2=V:V)中のドルテグラビル(1.998g、4.8mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)の混合物を温度30℃に調節した。2.4mLの2N NaOHを添加した後、混合物を25±1℃で2時間攪拌した。得られた結晶を濾過によって集め、10mLのTHF/水(8:2=V:V)で洗浄し、減圧下(20−30mbar)、85℃で18時間乾燥させ、WO2010/068253A1に開示される一水和物の形態のドルテグラビルナトリウムを1.845g得た。
[実施例8]:ドルテグラビルナトリウムの調製
形態I(即ち、WO2010/068253A1に開示されるドルテグラビルナトリウムの無水物形態):
DLG遊離酸(31.21g;74.4mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)を、エタノール/水9:1混合物(1500ml)中、環流温度で加熱した。水酸化ナトリウム(1M;75ml)溶液を加えた。「形態I」が沈殿し始める前に、懸濁液は容易に透明になる。懸濁液を周囲温度まで冷却し、次いで、濾過し(エタノールで洗浄)、減圧下、周囲温度で乾燥させ、生成物を得た。
形態HxA(例えば、上述の実施例1および2に開示される手順に従って調製したもの)
:
DLG遊離酸(50.33g;120mmol、例えば、WO2010/068253A1の実施例1aから1kに開示される手順を用いて調製したもの)を、メタノール(650ml;77mg/ml)に懸濁させ、0−5℃まで冷却し、その後、冷却した(5℃)NaOMe溶液(MeOH溶液;25重量%)をゆっくりと加えた(20’)。懸濁液を0−5℃で2時間攪拌し、その後、周囲温度で一晩攪拌した。懸濁液を濾過し、減圧下、周囲温度で乾燥させ、生成物を得た。
実施例8に記載したように調製した形態Iおよび形態HxAを以下の実施例9から16に使用した。
[実施例9]:形態Iおよび形態HxAの粒子形状の決定
形態Iおよび形態HxAの形状の図を、異なる倍率で図13(形態I)および図14(形態HxA)に示す(500倍(形態I)、1500倍(形態Iおよび形態HxA)、5000倍(形態HxA))。
それぞれの図からわかるように、ドルテグラビルの形態Iは、針長が約70μmの長い針状結晶のようである。このような針状結晶は、一般的に、流動特性が悪く、粉末混合物では凝縮特性および接着特性がさらに強調され、分解段階での弱い粒子接触および大きな弾性緩和に関連する不十分な圧縮性および成形性に起因して、直接的な圧縮に適していないことが知られている(Rasenack N、Muller BW、Crystal habit and tableting behavior、Int.J.Pharm 244(2002))。
これとは対照的に、HxA形態は、薄板状の形状の一次粒子を含む。この結晶構造は層状であり、粒径は約5μmである。HxAのこの異なる外観は、擬多形に関係があると思われる。薄板状結晶は、針状結晶と比較して、大きな高密度化および塑性変形を受け、これは圧縮中の凝集圧縮物の生成に利点があるだろう。さらに、HxA形態の結晶は、1個の粒子の形状に関しても、さらに均質であり、さらに均一な粒径分布を有する。この粒子は、弱く凝集しているのみであり、これらの弱凝集物は、全体的に均一な外観を有する。
[実施例10]:粒径の決定
レーザー回折法によって決定されるようなドルテグラビルの形態Iおよび形態HxAの粒径を表8にまとめている。粒径分布は、適切な界面活性剤(例えば、DSSS(ナトリウムスルホコハク酸ジオクチル))を加えたドルテグラビルが溶解しない媒体(例えば、ヘキサン、シリコーンまたはパラフィン油)に分散した粒子のレーザー回折法によって決定し、一次粒子を適切に分散させた。ドルテグラビル分散物を3分から5分、音波処理した。
HxAドルテグラビルの粒径は、SEM観察によれば、10μmより十分に小さい。この粒径は、結晶化だけで達成され、即ち、微粒子化のような粒径を小さくする工程を適用することなく達成された。技術常識として、粒径を小さくする工程、特に、微粒子化工程は、変動する場合があり(PSDにおけるバッチ間変動が大きい。)、接着特性および静電特性を有する弱凝集物が生成することがある。
[実施例11]:異なるドルテグラビルナトリウム形態の圧縮性試験
直接的な圧縮は、最も単純な錠剤調製方法であり、経済性が高く、熱および水分の観点で成分へのストレスが低い。しかし、首尾良い錠剤生成工程のために、粉末混合物の良好な流動特性が必要である。直接的な圧縮のために、良好な流動特徴を有する基質(APIおよび賦形剤)が必要である。粉末混合物の流動性が十分でない場合、錠剤製造のために他の(さらに時間がかかる)製造技術、例えば、湿式造粒または乾式造粒を使用する必要がある。
50ミクロン未満の粒子を含む粉末は、一般的に、不規則性を示すか、または流動しない。一方、粒径の増加は、(特定の寸法までは)粉末の流動性の増加と比例するだろう。粒径に加え、粒子の形状も粉末の流動性に大きな影響を与える。球状の粒子が多いほど、流動性が良い。従って、細長い粒子径状および小さな粒径は、錠剤生成中に困難な問題を引き起こし、錠剤の重量と強度が大きく変動し、受け入れられない含量均一性を引き起こす場合がある(Shayne、Cox、Gad;2008 Pharmaceutical Manufacturing Handbook:Production and Processes;John Wiley&Sons;233−265;879−931))。従って、適切な賦形剤の選択と組み合わせて、適切な粒径および形状を有するAPIを設計することで、一般的に、錠剤調製を単純化することができる。
上の実施例8に記載したように、ドルテグラビルのナトリウム塩を2つの多形形態(形態Iおよび形態HxA)で調製した。予想できないことだが、両形態で顕著に異なる粒子デザインが観察された。上に概説したように(実施例9を参照)、形態HxAは、板状の形状を有し、形態Iの針状結晶と比較して、良好な流動特性および高い高密度化特性を有する。両形態の流動性/圧縮性を評価するために、ドルテグラビルAPIの両形態について、圧縮性指数のような一般的な指数を測定した。圧縮性指数は、粒径、形状、表面積、凝集性などの異なる粉末特性の指標であった(PhEur)。両形態の幾つかのバッチについて、バルク体積(Vb)およびタップした体積(Vt)を測定し、圧縮性指数(%)をVbおよびVtに基づいて決定する。重量が約25gの試験サンプルを入れた250mLのメスフラスコを使用した。圧縮性指数を、式((Vb−Vt)/Vb)に従って計算した。結果を表9に提示する。
ドルテグラビルナトリウムのHxA形態は、(PhEurの流動性スケールに従って)「悪い」から「許容範囲」の流動する粉末であると考えられ、良好な流動特性を有しており(22−29の範囲の圧縮性指数)、一方、形態Iは、非常に悪い流動特性を有する(32−35の範囲の圧縮性指数;表9)ことがわかるだろう。驚くべきことに、HxAの粒径はミクロン範囲である(実施例10を参照)が、良好な圧縮性指数および粉末流動性を有し、これは、板状結晶の接着性が低いことを暗示している(表9および11)。さらに、HxA形態の方が、バルク体積およびタップした体積が低く、これは、板状結晶の良好な粒子充填性および高い高密度化に関係がある。この予想されない特性は、密な粒子間接触が多くなるので、密な錠剤を生成するため、圧縮に有益である。
[実施例12]:ドルテグラビルNaの形態HxAおよび形態Iと、選択した賦形剤との粉末混合物の特性決定
API粉末の特徴(上の実施例11を参照)に加え、API/賦形剤混合物の特性も試験した。API(形態IまたはHxA)を賦形剤と混合し、即時放出性の固体剤形(希釈剤/充填剤、結合剤、崩壊剤など)に使用した(表10)。
圧縮性指数に加え、オリフィスを通る粉末混合物の粉末流動性および安息角を測定した(表11)。オリフィスを通る粉末流動性および安息角は、錠剤生成工程の前に粉末混合物を評価するために一般的に用いられるさらなる指数である。これらの試験からの結果は、通常、ある粉末混合物を直接的な圧縮に使用することができるかどうかの予測を与える。オリフィスを通る粉末流動性および安息角は、Ph.Eurに従って測定された(10mmの注入ノズルと100mlのプラスチック漏斗を備えるPharmatest PTG−2を用いる。)。
ドルテグラビルAPI(形態Iおよび形態HxA)と他の賦形剤(ある種の充填剤は、錠剤生成を容易にするために粉末の特徴を改良するように設計されている。)との粉末混合物について、流動性の向上がみられたが、形態Iを用いた混合物の流動性は、まだ「悪い」であると考えられ、一方、形態HxAでは、「許容範囲」であった。
[実施例13]:ドルテグラビルナトリウム形態HxA(実施例8)を用いた固体剤形の製剤の調製
ドルテグラビルナトリウムHxA、マンニトールおよびセルロースを一緒に混合し、0.7mmメッシュのふるいでふるい分けした。ポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを加え、さらに混合した。次いで、ふるい分けしたフマル酸ステアリルナトリウムを加え、混合物をさらにブレンドした。最終的なブレンドを、10mmの丸パンチを用い、直接的に圧縮して錠剤にした。
[実施例14]:ドルテグラビルナトリウム形態I(実施例8)を用いた固体剤形の製剤の調製
形態Iを用いた参照例の粉末混合物の直接的な圧縮は、錠剤生成ダイへの粉末の充填性が悪いため、不可能であった。遅い錠剤生成速度であっても、十分な錠剤質量を得ることができなかった。ドルテグラビルナトリウム形態Iを用いた粉末混合物の圧縮性および流動特徴が悪いことに起因して、首尾良い錠剤生成のための良好に流動する材料を得るために、湿式造粒が必要であった。ドルテグラビルNa、マンニトールおよびセルロースを一緒に混合し、0.7mmメッシュのふるいでふるい分けした。ポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを加え、さらに混合した。粉末混合物を水で造粒し、顆粒物のLOD(乾燥時の損失)が1%未満になるまで乾燥させた。顆粒物をふるい分けし、ふるい分けしたフマル酸ステアリルナトリウムを加え、混合物をさらにブレンドした。最終的なブレンドを、10mmの丸パンチを用い、直接的に圧縮して錠剤にした。
[実施例15]:溶解試験、含量均一性アッセイおよびストレス安定性試験の結果
Apparatus 2を用い、50rpmで分析した0.9%NaCl、pH6.8リン酸バッファーおよび水媒体中、相対的な溶解試験を行った。結果を以下の表に提示する。
表12に示されるように、ドルテグラビルナトリウム形態HxAを含む固体の医薬剤形は、驚くべきことに、上市されている参照製品TIVICAY(形態Iのドルテグラビルナトリウムを含む。)と比較して、迅速な溶解に達する。
さらに驚くべきことに、結晶形態HxAを含む固体剤形の含量均一性は、参照形態「形態I」と比較して向上している(表13)が、形態Iを含む固体の経口剤形は、湿式造粒によって調製された(適切な均質さを容易にし、確保するために特に適用される。)。
さらに、ストレス安定性に関し、形態HxAを含む剤形は、優れた化学安定性を示した(実施例15、表14を参照)。
(アッセイおよび不純物のためのLC法)
1個の50mg錠剤を100mlの溶媒に溶解し、以下の実験条件で液体クロマトグラフィーによって分析した。
移動相:酢酸アンモニウムバッファーpH=4.8(0.77g/l)およびアセトニトリル、勾配溶出液。C18型の1.7マイクロメートルの粒子を含み、カラム寸法100×2.1mm。カラムを40℃に維持し、流量:0.3ミリリットル/分、注入体積1マイクロリットル。検出には紫外線検出器を用い、定量は外部標準を基準とする。
[実施例16]:ドルテグラビル形態HxAと他のAPIの適合性
ドルテグラビル形態HxAと他のAPIとの適合性を評価するために、さらなる実験を行った。この目的のために、ドルテグラビルナトリウムHxAとAPIとの二成分混合物を製造し、ストレス試験(60℃、2種類の水分レベル:29% RHおよび75% RH)を7日間行った。この結果は、ドルテグラビルナトリウムが、多くのAPIと適合性であり(表15)、異なるHIV基質との1錠剤治療として調合されてもよいことを示す。興味深いことに、ドルテグラビルNa(形態HxA)は、テノホビルジイソプロキシルフマレートと不適合性であることがわかり、この不適合性は、水分によって強調された。ドルテグラビルナトリウム(形態HxA)とテノホビルジイソプロキシルフマレートを単一の剤形に調合するために、この不適合性を考慮すべきである。例えば、製剤の中で両APIを物理的に分離することによって、または低水分に維持することによって(例えば、調合中の水を避けることによって、および水分保護パッケージで製品を保存することによって)、克服することができる。