JP2017521277A - データキャリア - Google Patents

Abstract

本発明はデータキャリア（１）、特に、パスポートまたは運転免許証などの身分証明カード、クレジットカードおよびキャッシュカードなどのセキュリティドキュメントに関し、このデータキャリアは個人化されたデータを含む認証データ（２０、３０）と、セキュリティ機能として、前記認証データ（２０、３０）のうち少なくとも１つの認証データの像を所定の視覚からのみ提供するように構成された、レンズ状要素配列（５）とを含む。データキャリア（１）のコピーおよび偽造を不可能または少なくとも非常に困難にするために、レンズ状要素配列（５）には、さらなるセキュリティ機能を提供する複合構造が備わる。

Description

本発明は、セキュリティドキュメントなどのデータキャリア内に見られるセキュリティ機能に関する。より具体的には、本発明は、データキャリア、特に、パスポートまたは運転免許証などの身分証明カード、クレジットカードおよびキャッシュカードなどのセキュリティドキュメントに関し、このデータキャリアは個人化（パーソナライズ）されたデータを含む認証データと、セキュリティ機能として、前記認証データのうち少なくとも１つの認証データの像を所定の視角からのみ提供するように構成された、レンズ状要素の配列とを含む。レンズ状要素は、レンティキュラーレンズとも呼ばれ得る。

身分証明カードおよびクレジットカードなどのデータキャリアは、様々な目的のために一般的に、また多く使用されるようになってきている。識別子を提供するという機能に起因して、データキャリアは偽造行為に対する優れたセキュリティを提供すべきである。データキャリアは偽造が不可能か、または少なくとも非常に困難であるべきという要件にもかかわらず、大量生産に適するべきである。問題は、データキャリアはときに、様々な手法によって比較的簡単に偽造できることである。例えば、純正なレンズ状要素配列は真正なデータキャリアから（例えばナイフで）切り取られて別のデータキャリアに移植されることで、前記別のデータキャリアに真正な像を作成して、不正な識別情報を提供することができる。データキャリアは、真正なデータキャリアの純正なレンズ状要素配列を偽造データキャリアの中に模倣することによっても偽造されてきた。偽造データキャリアの中では、純正なレンズ状要素配列は、玩具およびグリーティングカードなどの市販物品から取られた同様な外見のレンズ配列を使用して模倣されてきた。

本発明の目的は、実際に偽造することが不可能か、少なくとも非常に困難なタイプのデータキャリアを提供することである。本発明のデータキャリアは、レンズ状要素配列がさらなるセキュリティ機能を提供する複合構造を備えること特徴とする。複合構造という表現の意味は、本明細書で開示される本発明の様々な実施形態の構造を定めるための総称である。総じて、前記の表現を使って、互いに隣接して配列された直線的で平行な多数の同じレンズ状要素からなるよく知られた規則的で単純なパターンと、それぞれが球体、角形、またはハニカム設計を有する同じマイクロレンズによって形成される単純で規則的なパターンのどちらにも従わない構造を意味することができる。

本発明の根本概念の１つは、さらなるセキュリティ機能を形成するために、従来技術のデータキャリアで使用される通常タイプのレンズ状要素配列を修正することである。

好ましくは、複合構造はレンズ状要素配列の中の少なくとも１つのレンズ状要素に施されるマーキングの形をとり、このマーキングは好ましくは拡大鏡によって識別可能な微小構造、または微小構造の形をとる。レンズ状要素配列上の微小構造のタイプおよび詳細は極めて多様となり得るので、本質的にコピーすることが難しい。真正なデータキャリアの純正なレンズ状要素配列が偽のデータキャリアへ移植されないようにするため、また、純正なレンズ状要素配列が偽のデータキャリアに移植されたか簡単に検査できるようにするために、真正なデータキャリアでは、レンズ状要素配列領域の外側にあってその領域を直接取り囲む表面領域に、その少なくとも１つのレンズ状要素内のマーキングへの延長部分を形成するマーキングが備わり、前記レンズ状要素配列領域を取り囲む前記表面領域内のマーキングが、少なくとも１つのレンズ状要素に施されたマーキングに結合するようになっている。

あるいは、または加えて、このさらなるセキュリティ機能は、この複合構造をレンズ状要素配列の中のレンズ状要素の巨視的造形という形で含み、前記巨視的造形は、直線とは異なる線を形成する複数のレンズ状要素から形成され、これらの線は共に、肉眼で見える巨視的効果を提示する。そのような巨視的造形は、コピー、模倣、複製などが困難である。そのような巨視的造形は、レンズ状要素のうち少なくとも１つに施された、例えば微小サイズのマーキングなどのマーキングをさらに含んでもよく、これによりデータキャリアのコピーがさらに困難になる。好ましくは、そのようなレンズ状要素配列、および、レンズ状要素配列内の個々のレンズ状要素の形状は、レンズ状要素配列の下の前記認証データの少なくとも１つに同じ深度で光の焦点を合わせる焦点距離を提供するように設計される。レンズ状要素のそのような設計により、前記認証データの少なくとも１つに高品質および鮮明な像が与えられ、この像は通常、肉眼で見ることのできる文字列および／もしくは数字、または写真である。

本発明の好ましい実施形態が、添付の特許請求範囲の従属項に提示される。

本発明によるデータキャリアの利点は、偽造が困難であり、通常、レンズ状要素配列を有する従来技術のデータカードより安全なデータカードを提供することである。本発明のデータキャリアは、高セキュリティデータキャリアまたは高セキュリティドキュメントと呼ばれ得る。本発明の好ましい実施形態は、肉眼では識別できない巧みに隠されたセキュリティ機能を含むデータキャリアを提供する。本発明のデータキャリアは、本発明の様々な実施形態による複数のセキュリティ機能を含んでもよく、それにより非常に高いセキュリティ水準が提供される。

本発明について、添付図面を参照しながら説明がなされる。

レンズ状要素配列を含む身分証明カードの形でのデータキャリアを示す図である。 図１の線分ＩＩ−ＩＩに沿う断面の拡大図である。 図２の線分ＩＩＩ−ＩＩＩに沿う断面図である。 図１の身分証明カードに見られるレンズ状要素配列の第１の変形態様を示す図である。 図１の身分証明カードに見られるレンズ状要素配列の第２の変形態様を示す図である。 図１の身分証明カードに見られるレンズ状要素配列の第３の変形態様を示す図である。 図１の身分証明カードに見られるレンズ状要素配列の第４の変形態様を示す図である。 図１の身分証明カードに見られるレンズ状要素配列の第５の変形態様を示す図である。 図１の身分証明カードに見られるレンズ状要素配列の第６の変形態様を示す図である。 レンズ状要素の断面の造形を示す図である。 図７に示される実施形態の変形態様を示す図である。

図１は、身分証明カード１の形でのデータキャリアを示す。身分証明カード１はそのサブ領域２に、個人化データの形での認証データ２０として肖像を含む。身分証明カードのサブ領域３は、さらなる（第２の）認証データ３０として個人化データを含み、これは通常、少なくとも肖像に示された人物の名前である。

サブ領域４は、身分証明カード１によって画定される平面と平行な平坦面を画定する、レンズ状要素（レンティキュラーレンズ）配列５を含む。サブ領域４は、身分証明カードのさらなる認証データ６０として（図２および図３を参照）、肉眼で見える１つまたは複数の像、すなわち巨視的な像を含む。これらの像は、例えばサブ領域２の肖像に示された人物の生年月日などの個人化データを提供してもよい。サブ領域４内の個人化データは、サブ領域２の肖像に示された人物のミニ肖像、すなわち小さいサイズの肖像であることもできる。

レンズ状要素配列５は、可変レーザ像配列（ＣＬＩ）である。レンズ状要素配列５の特性によって、サブ領域４に含まれる前記個人化データ（または他の認証データ）（すなわち、生年月日および／またはミニ肖像）は、レンズ状要素配列の平面に対する所定の角度からのみ識別することができる。例えば図２の角度αなどを参照されたい。よって、人は、例えば生年月日を角度αから識別することができ、ミニ肖像を角度βから見ることができる。レンズ状要素配列は、３つ以上の角度から個人化されてもよく、かつ／または、複数の異なる角度から作られる複数の像／微小像を併用して、アニメーション、拡大、３Ｄ像、および、モアレレンズで知られるその他の効果を形成してもよい。図２および図３では、さらなる認証データ６０は複数の微小像６ａを含み、これらは共に、身分証明カードのサブ領域４に見られる１つまたは複数の巨視像の形での個人化データ（前記生年月日の識別情報および前記ミニ肖像）を形成する。レンズ状要素配列５の下にある認証データ６０は、様々な異なる方法で作成され得る。レーザによって作成する代わりに、例えば型押し、彫刻、印刷（例えばオフセット印刷）によって作成され得る。

前記個人化データはレンズ状要素配列の平面に垂直な角度からは見えない。よって、ゼロックスコピーでは、サブ領域４に含まれる認証データを、少なくとも適当にキャプチャまたは複製することはできない。そのおかげで、レンズ状要素配列５は、そのようにして身分証明カードにセキュリティ機能を提供する。このセキュリティ機能は、一般に身分証明ドキュメントで知られる。身分証明カードの製造方法、特に身分証明カードの製造方法の詳細なステップは、当業者にはよく知られているので、本明細書では説明されない。基本的な製造方法には、ラミネーション工程、あるいは、表面にレンズ状要素のレンズ輪郭が準備されたダイカスト工具を使用したレンズ輪郭のホットスタンピングがある。いくつかの会社が、ＣＬＩ機能を有するラミネーションプレートを提供している。

図２および図３で、参照符号７は透明な上部層７を表し、この層上にレンズ状要素配列５が構成される。参照符号５ａはレンズ状要素配列５内の単一のレンズ状要素を示す。図３から、レンズ状要素５ａは縦型レンズであることが分かる。参照番号８は、例えば白色などの不透明の、または半透明のコアを指す。あるいは、コア８は全体として、またはデータキャリアの一部分のみにおいて、透光性であることができる。レンズ状要素配列は、データキャリアの前記一部分に配置され得る。そのような場合は、レンズ状の像は必ずしもレーザ印刷によって作成されなくてもよく、例えば、熱転写印刷によって作成されてもよい。コアは１つまたは複数の層を含んでもよく、そのすべてが白色であることができる。あるいは、１つもしくは複数、またはすべての層が透明なプラスチック層であることもできる。コア層のうち１つまたは複数が電子構成要素（例えば、非接触マイクロチップおよびアンテナ）を含んでもよい。透明な底部層に参照番号９が付けられている。上部層７、コア８および底部層９は、好ましくはポリカーボネイト（ＰＣ）で作られる。あるいは、それらはポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）で作られることもできる。それ以外の材料、例えばポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）などを使用することも可能である。コア８は、ＴＥＳＬＩＮという商標を有する材料（ＰＰＧ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｓにより製造される）で作られることもできる。Ｔｅｓｌｉｎは、例えば運転免許証などに使用される非常に強靱な再生可能材料である。コア８はまた、紙製であることもできる。ＴＲＩＴＡＮという商標を有する材料（Ｅａｓｔｍａｎ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙにより製造される）もまた、使用され得る。Ｔｒｉｔａｎはポリエステルに類似した性質を有し、ポリエステル用の工具がＴｒｉｔａｎに使用され得る。

図４は、図１の身分証明カード１に使用され得るレンズ状要素配列５の一実施形態を示す。レンズ状要素配列５には、レンズ状要素のいくつか、例えばレンズ状要素５ａに、肉眼では識別できないが拡大鏡または顕微鏡で識別できる微小構造の形でマーキング１３ａを追加することによって複合構造が提供されている。より具体的には、微小構造は微小な文字列の形でマーキング１３ａを含む。単一の文字のサイズは、好ましくは５０から１５０μｍの範囲内であることができる。ただし、この範囲はさらに広く、例えば１０μｍから５００μｍ、またさらには１０μｍと２ｍｍの間であることもできる。あるいは、または加えて、微小構造は、数字または任意のコードであることもできる。図では、距離Ｌ１は５００μｍである。

前記微小文字列（ｍｉｃｒｏ ｔｅｘｔ）または微小テクスチャ（ｍｉｃｒｏ ｔｅｘｔｕｒｅ）は、身分証明カード１にさらなるセキュリティ機能を提供する。微小構造は肉眼には全く見えないので、微小構造（例えば微小文字列）の存在を知らずにコピーされた身分証明カードは、顕微鏡を使用して純正な身分証明カードと比較すると、偽物であると識別することができる。さらに、例えば微小文字列などの複合構造をコピーしようとしても、複雑な製造技術および製造装置を使用しなければならないために、コピーは非常に困難になる。微小文字列（または他の複合構造）は、好ましくは、ラミネーションプレート（図示せず）に高出力、小スポットサイズのレーザ切除を施すことによりピコ秒レーザ彫刻の装備を利用して製造され得る。より具体的には、好ましい製造プロセスは、微小構造を含むレンズ状要素の形状を創作することと、次にその形状をデータキャリアのプラスチック面に複製することの組み合わせである。形状の創作は、好ましくは、高出力、小レーザスポットサイズの装備を使用した金属面のレーザ切除を使用して行われる。そのような装備で使用されるレーザの好ましい一例は、ピコ秒レーザである。身分証明カードを製造するとき、ラミネーション工程によって微小文字列の形状がラミネーションプレートからレンズ状要素に転写される。コア８に上部層７をラミネートするには、通常、型押しが使用されてよい。コア８への上部層７のラミネーションは、好ましくは、上部層７にレンズ状要素配列が付与されると同時に行われる。

あるいは、微小文字列（または他の複合構造）をラミネーションプレートに製造するために、フライス（ｍｅｃｈａｎｉｃａｌ ｍｉｌｌｉｎｇ）、ガルバニック処理、リソグラフィ、材料付加、および直接印刷の製造技法が使用され得る。しかし、最も好ましい製造方法はレーザ切除である。

図５は、レンズ状要素配列５’に適用され得る第２のタイプのマーキング１３ａ’を示す。図５では、レンズ状要素５ａ’に微小構造の形でマーキング１３ａ’が付与されており、この微小構造はテクスチャの形である。図５に示されるテクスチャは、レンズ状要素５ａ’の縦方向に対してある角度を形成する、複数の不透明な線を含む。距離Ｌ２は５００μｍである。

図６は、一例として、レンズ状要素配列５’’に適用され得るさらなるタイプのマーキング１３ａ’’を示す。図６では、レンズ状要素５ａ’’に、１つまたは複数のドット列を備える微小構造の形でマーキング１３ａ’’が付与されている。単一のドットのサイズは、例えば約１から２μｍでしかない。実際には、ドットはレンズ状要素５ａ’’の光学的性質を全く変えない。このドットは意図的な誤りとも呼ばれ得るもので、第３および第４レベルの（フォレンジック）セキュリティ機能の達成が可能な非常に高いセキュリティ水準を提供することもある。図６で、距離Ｌ３は１００μｍである。

図７は、レンズ状要素配列５’’’に施されるさらなるタイプのマーキング１３ａ’’’を示す。図７では、レンズ状要素配列５’’’の領域１１’’’の外側にあってその領域を直接取り囲むデータキャリアの表面領域１０’’’に、レンズ状要素配列５’’’に施されたマーキング１３ａ’’’に前記表面領域１０’’’内のマーキング１２’’’が結合するように、レンズ状要素配列５’’’に施されたマーキング１３ａ’’’への延長部分を形成するマーキング１２’’’が提供されている。マーキング１３ａ’’’および１２’’’は、例えば微小文字列などの微小構造の形をとる。図７の実施形態は特に、真正な身分証明カード１からレンズ状要素配列５’’’のみを切り取って偽のカードに移植することに基づく偽造に対して安全性を提供する。そのような、切り取られたレンズ状要素配列５’’が、周辺領域（領域１０’’’を参照）内にマーキング（マーキング１２’’’を参照’）のない偽のカードに実装された場合は、例えば拡大鏡によって、またはマーキングのサイズによっては肉眼でも、偽の身分証明カードを簡単に検出することができる。図７で、マーキング１２’’’は、身分証明カードの大部分に延在してもよく、その外周部にまで延在してもよい。図７が、レンズ状要素配列とレンズ状要素配列を取り囲むデータキャリアの領域との間の境界を消失させるための多くの方法のうち単に１つを示していることに留意されたい。

図８は、レンズ状要素配列５^ＩＶに施されるさらなるタイプのマーキング１３ａ^ＩＶを示す。図８で、マーキング１３ａ^ＩＶは複数のレンズ状要素５^ＩＶ上に延在し、肉眼で見える巨視的な効果または巨視的な像を提示する。図８で、巨視的効果は正方形様の形状を有するが、原理的には、この巨視的効果はどのような形状であることもできる。図８で、距離Ｌ４は５００μｍである。図８の実施形態では、その巨視的効果（正方形）を肉眼で素早く識別することができ、その身分証明カードの真正性を確認するために拡大鏡または顕微鏡でさらに詳細にマーキングを調べたい場合には、その巨視的効果を形成する微小構造、すなわち微小文字列、コードまたはテクスチャを点検することができるので、この実施形態は非常に有利である。

図９は、データキャリアに施され得るさらなるタイプの複合構造を示す。図９で、複合構造は、レンズ状要素配列５^Ｖ内のレンズ状要素５ａ^Ｖの巨視的な造形を含む。巨視的な造形は線を形成する複数のレンズ状要素５ａ^Ｖによって形成され、この線は直線とは異なり、かつ肉眼で見える巨視的効果を提示する。図９で、巨視的効果は波状パターンである。あるいは、巨視的効果は、例えば、レンズ状要素のジグザグパターンまたは、単純な屈折／曲線であることもできる。

好ましくは、図９のレンズ状要素配列５^Ｖおよび個々のレンズ状要素５ａ^Ｖの形状は、レンズ状要素配列の下の前記認証データ６０（特に図示せず）の少なくとも１つに同じ深度で光の焦点を合わせる焦点距離を提供するように設計される。レンズ状要素のそのような設計により、前記認証データ６０の少なくとも１つに高品質および鮮明な像が与えられ、この像は通常、肉眼で見える文字列および／もしくは数字、または写真もしくは指紋である。

複数のレンズ状要素で形成される複合構造は、巨視的造形がロゴおよび国章などの識別可能な形状（図示せず）を生成するように、様々な角度に光を反射してもよい。

図１０は、レンズ状要素配列５^ＶＩの一実施形態の断面を示す。図から分かるように、レンズ状要素５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、および５ａ４^ＶＩの断面は様々であり、すなわち、断面は異なった幾何学形状を有する。このように、同じレンズ状要素配列５^ＶＩ内にあるレンズ状要素５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、および５ａ４^ＶＩの曲率および／または半径は様々である。この実施形態ではまた、レンズ状要素配列５^ＶＩおよび個々のレンズ状要素５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、および５ａ４^ＶＩの形状は、レンズ状要素配列の下の少なくとも１つの認証データ（図１０には図示せず。図２の認証データ６０を参照）に同じ深度で光の焦点を合わせる焦点距離を提供するように設計される。レンズ状要素５ａ３^ＶＩの曲率はレンズ状要素５ａ２^ＶＩの曲率とは異なる。また、レンズ状要素５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、および５ａ４^ＶＩの半径は様々であることができる。例えば、レンズ状要素５ａ２^ＶＩの半径はレンズ状要素５ａ１^ＶＩの半径とは異なる。よって、レンズ状要素配列５^ＶＩの複合構造は、同じレンズ状要素配列の中で、５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、および５ａ４^ＶＩが異なる幾何学形状を有することによって実現され得る。

図１０のレンズ状要素５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、および５ａ４^ＶＩは、さらに、前述した種類の微小構造、すなわち微小文字列、コード、テクスチャ、ドットおよび／または巨視的造形の形のマーキング、の形で複合構造を有することもできる。

図１１は、レンズ状要素配列とデータキャリアの周囲領域との間の境界を消失させるための、図７とは別の方法を示す。図１１には、図９と同様にレンズ状要素配列５^ＶＩＩ内のレンズ状要素の巨視的造形を含み、レンズ状要素５ａ^ＶＩＩの１つまたは複数は、レンズ状要素配列５^ＶＩＩの領域１１^ＶＩＩを取り囲む表面領域１０^ＶＩＩにまで延在する。レンズ状要素５ａ^ＶＩＩの輪郭は修正されてよく、また、周囲の表面レリーフパターンに統合させるように作られ得る。レンズ状要素の１つまたは複数は、さらに、微小構造の形でマーキング（図１１には図示せず。図７の微小構造を参照）が備えられてもよい。

本発明について、本発明の好ましい実施形態を成すいくつかの例を参照しながら前記に開示がされてきた。本発明は、特許請求の範囲内で多くの異なる様式で実現され得ることに留意されたい。例えば、微小構造（存在する場合）がレンズ状要素の表面に追加されてよく、それにより型押しされた微小構造（微小文字列、微小数字列、コード、テクスチャ、ドット）を提供することができ、あるいは、微小構造がレンズ状要素の表面に彫刻（凹部）として追加されてもよい。同じレンズ状要素配列の中にある微小構造が、型押しと彫刻の両方を含んでもよい。さらに、レンズ状要素配列は、そのレンズ状要素配列によって画定される平面に垂直な方向でレンズ状要素配列を見たときに、個人化データ（または他の認証データ）の像を提供するように設計され得る。そのようなレンズ状要素配列を前記垂直方向から外れた方向から見たときは、個人化データ（または他の認証データ）は見えない。データキャリアのサブ領域の数は様々でもよいが、原理的に、いくつかの適用例に対して１つのサブ領域のみが十分なセキュリティを提供することができる。

Claims (15)

1. データキャリア（１）であって、特に、パスポートまたは運転免許証などの身分証明カード、クレジットカードおよびキャッシュカードなどのセキュリティドキュメントであって、個人化されたデータを含む認証データ（２０、３０、６０）と、セキュリティ機能として、前記認証データ（２０、３０、６０）のうち少なくとも１つの認証データ（６０）の像を所定の視角（α、β）からのみ提供するように構成された、レンズ状要素配列（５、５’、５’’、５’’’、５^ＩＶ、５^Ｖ、５^ＶＩ、５^ＶＩＩ）とを含み、レンズ状要素配列（５、５’、５’’、５’’’、５^ＩＶ、５^Ｖ、５^ＶＩ、５^ＶＩＩ）に、さらなるセキュリティ機能を提供する複合構造が備わることを特徴とする、データキャリア。
2. 複合構造がレンズ状要素配列（５、５’、５’’、５’’’、５^ＩＶ、５^Ｖ、５^ＶＩ）のレンズ状要素（５ａ、５ａ’、５ａ’’、５ａ’’’、５ａ^ＩＶ、５ａ^Ｖ、５ａ１^ＶＩ）のうち少なくとも１つに施されるマーキング（１３ａ、１３ａ’、１３ａ’’、１３ａ’’’、１３ａ^ＩＶ）の形であることを特徴とする、請求項１に記載のデータキャリア（１）。
3. マーキング（１３ａ、１３ａ’、１３ａ’’、１３ａ’’’、１３ａ^ＩＶ）が拡大鏡または顕微鏡で識別可能な微小構造の形であることを特徴とする、請求項２に記載のデータキャリア（１）。
4. マーキング（１３ａ、１３ａ’、１３ａ’’、１３ａ’’’、１３ａ^ＩＶ）が微小文字列、コード、またはテクスチャの形であることを特徴とする、請求項２または３に記載のデータキャリア（１）。
5. マーキング（１３ａ’’’）がレンズ状要素配列（５’’’）の複数のレンズ状要素（５ａ’’’）の上に延在し、線を形成することを特徴とする、請求項２から４のいずれか一項に記載のデータキャリア（１）。
6. レンズ状要素配列（５’’’）の領域（１１’’’）の外側にあってその領域（１１’’’）を直接取り囲むデータキャリアの表面領域（１０’’’）に対し、レンズ状要素配列の前記領域を取り囲む前記表面領域（１０’’’）におけるマーキングが少なくとも１つのレンズ状要素に施されたマーキング（１３ａ’’’）に結合するように、少なくとも１つのレンズ状要素配列（５’’’）におけるマーキング（１３ａ’’’）への延長部分を形成するマーキング（１２’’’）が提供されていることを特徴とする、請求項２から５のいずれか一項に記載のデータキャリア（１）。
7. マーキング（１３ａ^ＩＶ）が複数のレンズ状要素（５ａ^ＩＶ）上に延在し、肉眼で見える巨視的効果を提示することを特徴とする、請求項２から５のいずれか一項に記載のデータキャリア（１）。
8. 複合構造が、肉眼で見える巨視的効果を共に提示する、直線とは異なる線を形成する、複数のレンズ状要素（５ａ^Ｖ、５ａ^ＶＩＩ）によって形成される巨視的造形を含むことを特徴とする、請求項１に記載のデータキャリア（１）。
9. 前記線が曲線であるかまたはジグザグパターンを提示することを特徴とする、請求項８に記載のデータキャリア（１）。
10. レンズ状要素配列および個々のレンズ状要素の形状が、レンズ状要素配列の下の前記少なくとも１つの認証データに同じ深度で光の焦点を合わせる焦点距離を提供するように設計されることを特徴とする、請求項８または９に記載のデータキャリア（１）。
11. 複合構造が、肉眼に見える識別可能な形状の形での巨視的効果を共に提示する、様々な角度に光を反射する複数のレンズ状要素により形成された巨視的造形を含むことを特徴とする、請求項１に記載のデータキャリア（１）。
12. 識別可能な形状がロゴまたは国章の形であることを特徴とする、請求項１１に記載のデータキャリア（１）。
13. 複合構造が、レンズ状要素（５ａ１^ＶＩ、５ａ２^ＶＩ、５ａ３^ＶＩ、５ａ４^ＶＩ）の断面が異なる幾何学形状を有するレンズ状要素配列（５^ＶＩ）を含むことを特徴とする、請求項１に記載のデータキャリア（１）。
14. セキュリティドキュメントが、コア（８）およびコアに取り付けられた透明の上部層（７）を含むカードの形であり、透明の層が前記レンズ状要素配列（５、５’、５’’、５’’’、５^ＩＶ、５^Ｖ、５^ＶＩ、５^ＶＩＩ）を含むことを特徴とする、請求項１から１３のいずれか一項に記載の、セキュリティドキュメントの形のデータキャリア（１）。
15. 上部層（７）が、肉眼に見え、かつ複数の微小像（６ａ）によって形成される前記少なくとも１つの認証データ（６０）を含むことを特徴とする、請求項１４に記載のデータキャリア（１）。

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