JP2017520537A - 脊椎圧迫骨折の非外科的修復のための方法 - Google Patents

脊椎圧迫骨折の非外科的修復のための方法 Download PDF

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Abstract

本明細書には、骨粗しょう症、骨折、及び関連する状態の治療のための、PTH及び間葉系幹細胞(MSC)を用いる方法並びに組成物が記載される。PTH及びMSCの両方の投与は、椎骨及び肋骨の骨折部位へのMSCのホーミングの増加に繋がる。記載される方法及び組成物は、幹細胞の再生及び修復に関する能力に一部依拠する治療手段を提供する。いずれかの治療単独よりも有意に優れる骨再生能力を生み出すPTH+MSC併用療法によって、骨形成及び骨折修復の増進に関する潜在能力が、骨粗しょう症患者における予防的及び一時緩和的治療の両方を可能にし得る。

Description

発明の分野
骨折及び関係する状態に対する方法及び組成物が記載される。副甲状腺ホルモン及び間葉系幹細胞の投与が、骨の修復に関係する治療法を改善する。
背景
米国において、おおよそ1000万人が骨粗しょう症と診断されており、それに加えて3400万人が低骨量であると分類されている。骨粗しょう症関連脊椎圧迫骨折(OVCF)は米国における最も一般的な脆弱性骨折であり、年当たりおおよそ700,000件の傷害数を占め、これは股関節部骨折の割合の倍である。各年に、おおよそ70,000件のVCFが、患者当たり平均8日の病院への滞在での入院に繋がる。それ故に、骨粗しょう症に起因する脆弱性骨折は膨大な医療資源を消費し、骨粗しょう症患者にとって重大な健康上の危険要素となる。骨粗しょう症患者の治療は、殆どが、主としてアレンドロン酸塩及び副甲状腺ホルモン(PTH)などの比較的新しい薬剤を用いることによる、OVCFの予防に重点が置かれる。しかしながら、OVCFが実際に起こった場合に利用可能な治療の選択肢は殆どない。骨粗しょう症患者の集団において、外科手術は、病的状態になること及び移植不全の大きな危険性を伴い、患者の圧倒的多数に対して、通常は薬物治療及び固定具などの非外科的治療が推奨される。とはいうものの、多数の患者が難治性疼痛及び種々の活動への復帰ができないことを訴えている。これらの限界が、崩壊した脊柱の椎体中へのポリメタクリル酸メチル(PMMA)の経皮注射による、椎体形成術及びballoon tamp整復術の手法を含む、新たな、侵襲性を最小限にした外科的技法の開発を助長してきた。合成による非生物学的な材料は脊柱中で永続的な異物である固定具のままであるとの点で、依然として重大な欠点が存在するように思われ、また、いくつかの研究が、PMMA椎体形成術による治療は、疑似治療以上に有効ではないと報告している。従って、本技術分野において、OVCFの治療に関する有効な生物学的解決手段に関して大きなニーズが存在する。
本明細書においては、PTHと間葉系幹細胞(MSC)との併用療法に依拠する、改善された治療方法が開示される。PTHの投与が椎骨骨折部位へのMSCのホーミングの増加をもたらすことができることを示す発見に基づいて、記載される方法及び組成物は、幹細胞の再生及び修復に関する能力に一部依拠する治療手段を提供する。MSCの骨芽細胞への最終分化を促進するPTHの活性に基づいて、いずれかの治療単独よりも有意に優れる骨再生能力を生み出すPTH+MSC併用療法によって、骨形成及び骨折修復の増進に関する潜在能力が、骨粗しょう症患者における予防的及び一時緩和的治療の両方を可能にし得る。間葉系幹細胞及び副甲状腺ホルモン治療薬の全身的投与が、小型の骨粗しょう症の動物及び大型の非骨粗しょう症の動物において、骨の修復を加速する相乗効果を示す。
フローサイトメトリーを用いて評価した、ヒト(hBM−MSC)による表面MSCマーカーの発現を示す図である。上記細胞の95%超が、それらのMSC表現型、すなわちCD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+を示す、広く認知されたMSC表面マーカーを発現する。 図2(A)〜図2(C)は、hBM−MSCの分化多能性を示す図である。hBM−MSCはイン・ビトロで脂肪生成系統(A)へと分化した。脂肪生成誘導に続いて、上記細胞をOil Red Oで染色し、光学密度を用いて染色を定量化した(A)。 hBM−MSCはイン・ビトロで骨形成系統(B)へと分化した。骨形成誘導に続いて、ALP比色アッセイ(B)を用いて上記分化を評価した。ALP=アルカリホスファターゼ。 hBM−MSCはイン・ビトロで骨形成系統(C)へと分化した。骨形成誘導に続いて、骨形成遺伝子の発現(C)を用いて上記分化を評価した。OPN=オステオポンチン、Col1=コラーゲンI型、OC=オステオカルシン。 図3(A)〜図3(B)は、骨修復におけるMSCの役割を示す図である。(A)以前の研究によって、骨形成因子との更なる組み合わせを含むMSCの投与が、骨密度及び骨組織の劇的な改善に繋がり得ることが示されている。BMP6を過剰発現するhBM−MSCを用いたイン・ビボ骨形成。hBM−MSCにhBMP6をヌクレオフェクションによって遺伝子導入することができ、2.5×10細胞をNOD/SCIDマウスに筋内注射した。注射後2週及び4週に、μCTを用いて骨形成を評価した。(B)MSC及び副甲状腺ホルモン(PTH)を含む更なる調査のための概括的な実験設計。 脊椎の欠損部を有する骨粗しょう症ラットの腰部へのLuc2−hMSCのホーミングの長期的監視及び定量化(n=5、p<0.05)を示す図である。腰椎部からの生物発光シグナル値を、それぞれの動物において内部の関心領域(ROI)に対して較正してもよい。 脊椎の欠損部を有する骨粗しょう症ラットの腰部へのLuc2−hMSCのホーミングの長期的監視及び定量化を示す図である。生物発光画像法を用いて、骨粗しょう症ラットの腰部へのMSCのホーミングを監視した。「全身的」=静脈内注射したMSC、「局所的」=椎骨の欠損部に直接移植したMSC。腰椎部からの生物発光シグナル値が、それぞれの動物において内部の関心領域(ROI)に対して較正された。 骨粗しょう症ラットの脊椎の欠損部へのLuc2標識MSCのホーミングに関するPTH投与の効果を示す図である。脊椎の欠損部を有する骨粗しょう症ラットに5×10のLuc2−MSCを注射し、3週間毎日0、0.4、4及び40ugr/KgのPTHで治療した。BLIを用いて、57日の期間にわたって腰部への細胞のホーミングを監視した。グラフは群当たりの経時的な全生物発光シグナルを示す。 欠損部が設けられ、Luc2標識MSCとPTHとを組み合わせた治療が施された後の、ラットの脊椎骨の免疫組織学的蛍光染色を示す図である。円筒形は骨の欠損部位を示す。細胞核がDAPI(青色)によって染色された。注射したMSCがDiI(赤色)またはルシフェラーゼ(緑色)のいずれかによって標識された。BSP陽性の細胞は桃色に見え、オステオカルシン陽性の細胞は緑色に見える。重なった像は、やはりBSP及びオステオカルシンを発現する多数の標識細胞を示す。BSP及びオステオカルシンを発現する非標識細胞も存在する。これらは骨修復過程に寄与する宿主細胞である可能性がある。 脊椎の欠損部へのMSCのホーミングは、おそらくはSDF−1/CXCR4系によって媒介される。欠損部位においてSDF−1に対して陽性に染色(緑色)された細胞を示す、免疫蛍光を示す図である。また、DiI標識MSC(赤色)はCXCR4(桃色)に対して染色された。対照の脊椎骨はこれらのいずれのマーカーに対しても染色されなかった。 MSCまたはMSC+PTH治療後の、損傷したラットの脊椎骨の骨量の分析を示す図である(MSC注射1回=MSCの単回静脈内注射、MSC複数回=MSCの5回の注射、対照=治療なし)。 MSCまたはMSC+PTH治療後の、損傷したラットの脊椎骨の小柱の厚さの分析を示す図である(MSC注射1回=MSCの単回静脈内注射、MSC複数回=MSCの5回の注射、対照=治療なし)。 併用での全身的なADSC+PTH治療が、術後4週といった早期に、ブタモデルにおける脊椎の欠損部の治癒に関して相乗効果を有することを示す図(μCT画像法)である。 図12(A)〜図12(F)は、実験設計及びモデルの構築を示す図である。ヒト骨髄MSCを単離し、標識してレポータ遺伝子Lucを発現させ、DiIで染色した(A)。卵巣摘出した無胸腺ラットにおいて、4ヶ月のLCD後に複数の脊椎の欠損部を設けた。これらのラットに毎日PTHまたはPBSを投与し、5回のhMSCまたは生理食塩水の静脈内注射を与えた。BLIを用いて脊椎の欠損部への細胞のホーミングを追跡し、μCTを用いて骨再生を分析した。術後12週で脊椎骨を回収して、組織学的分析及び免疫蛍光分析を行った。 ミニブタに複数の腰椎の欠損部を設けた(B)。これらのミニブタにPTHまたはビヒクルを投与し、4回のpMSCまたは生理食塩水の静脈内注射を与えた。X線蛍光透視法及びμCTを用いて骨再生を監視した。術後5週で脊椎骨を回収して、組織学的分析及び免疫蛍光分析を行った。 卵巣摘出及びLCDは、無胸腺ラットにおいて有意且つ不可逆な骨の減少を誘導する(C)。 卵巣摘出及びLCDは、無胸腺ラットにおいて有意且つ不可逆な骨の減少を誘導する。定量的μCT分析によって、4ヶ月のLCD後に無傷の腰椎において骨量密度及び見掛け密度が低下すること、及び、ラットが通常の食餌に戻った後は更なる骨の減少はないことが実証される(D)(n=10)。 卵巣摘出及びLCDは、無胸腺ラットにおいて有意且つ不可逆な骨の減少を誘導する。定量的μCT分析によって、4ヶ月のLCD後に無傷の腰椎において骨量密度及び見掛け密度が低下すること、及び、ラットが通常の食餌に戻った後は更なる骨の減少はないことが実証される(E)(n=10)。 H&Eで染色したラットの脊椎骨の組織学的切片によって、上記骨粗しょう症モデルにおける小柱骨の有意な減少が実証される(F)。 図13(A)〜図13(D)は、PTHが、脊椎の欠損部へのMSCのホーミングを増進させることを示す図である。レンチウィルスベクターUb−Luc2を用いてヒトMSCに形質導入した。Luc2の発現を、イン・ビトロBLIを用いて(A)、6継代にわたって(B)確認した。最初の細胞の注射後8週にわたって、脊椎の欠損部へのhMSC−Luc2のホーミングを追跡し、脊椎の欠損部を覆う生物発光シグナルを測定することによってこれを定量した(赤丸、(C))。各時点での平均のΣ合計のフラックスを算出し、2要因分散分析を用いて比較を行った(D)(n=5)。 図14(A)〜図14(C)は、MSC−PTH療法が、骨粗しょう症ラットにおいて脊椎の欠損部を再生させることを示す、μCT分析の図である。椎骨の空隙を、ldPTH、hdPTH、またはPBS、及びMSCまたは生理食塩水によって治療した。これらのラットを、術後1日並びに2週、4週、8週及び12週にμCTを用いて撮像した。(A)様々な時点における各群についての代表的な脊椎の欠損部を、赤色で示される空隙における骨形成を伴う冠状面の三次元画像(左側)、矢状面の二次元画像(右上)、及び体軸面の二次元画像(右下)として、各コマに示す。 空隙における骨形成の定量的な分析を行い、骨量密度(B)を算出し、2要因分散分析を用いて比較を行った(n=10)。 空隙における骨形成の定量的な分析を行い、見掛け密度(C)を算出し、2要因分散分析を用いて比較を行った(n=10)。 図15(A)〜図15(B)は、MSC−PTH療法が、骨粗しょう症ラットにおいて脊椎の欠損部を再生させることを示す、組織学的分析及び免疫蛍光分析の図である。損傷した脊椎骨を回収し、脱灰し、パラフィン中に包埋し、切片化し、標準的なH&Eによって染色し、光学顕微鏡法によって撮像する(A)か、または骨形成マーカーOc及びBSPに対する免疫蛍光染色によって処理し、共焦点顕微鏡法によって撮像する(B)かのいずれかを行った。ldPTH及びMSCの投与を受けた動物または受けていない動物の間で、代表的な脊椎の欠損部において治癒の差異が見られる(A)。上記骨形成マーカーは、一部がDAPI染色した核、及び全身的投与の前にMSCを標識するのに使用したDiI蛍光色素と共局在化することができた(B)。 図16(A)〜図16(B)は、PTHが、欠損部位へのMSCのホーミングを2種の経路で増進させることを示す、免疫蛍光染色の共焦点撮像の図である。損傷したラットの脊椎骨を回収し、脱灰し、パラフィン中に包埋し、切片化し、MSCホーミングを検出するためのSDF1及びCXCR4マーカーに対する免疫蛍光染色によって染色し、共焦点顕微鏡法を用いて撮像した(A)。 組織を含む別の一連のスライドガラス試料を、EGFR及びアンフィレギュリン(Amp)に対する免疫蛍光染色によって染色した(B)。両方の経路のホーミングのマーカーは、DAPI染色した核、及び全身的投与の前にMSCを標識するのに使用したDiI蛍光色素と共局在化することができ、。 図17(A)〜図17(C)は、MSC−PTH療法がミニブタの脊椎の欠損部を再生させることを示す、イン・ビボX線及びμCT画像法の図である。MSCまたは生理食塩水、及びPTHまたはPBSで治療した椎骨の空隙を、術後第1週及び第5週に、X線蛍光透視法を用いてイン・ビボで、並びにμCTを用いてエクス・ビボで撮像した。(A)各コマに、空隙を指す白色の矢印及び、左上の挿入画像中のこれらの空隙の1つの拡大図と共に、各群についてのL2〜4の代表的なX線画像を示す。代表的な冠状面、矢状面、及び体軸面の二次元μCT画像も各群について示す。 空隙における骨形成の定量的な分析を行い、骨量密度(B)を算出し、2要因分散分析を用いて比較を行った(n=9)。 空隙における骨形成の定量的な分析を行い、見掛け密度(C)を算出し、2要因分散分析を用いて比較を行った(n=9)。 図18(A)〜図18(B)は、MSC−PTH療法が、ミニブタにおいて脊椎の欠損部を再生させることを示す、組織学的分析及び免疫蛍光分析の図である。損傷した脊椎骨を回収し、脱灰し、パラフィン中に包埋し、切片化し、標準的なH&Eで染色して光学顕微鏡法によって撮像する(A)か、または骨形成マーカーOc及びBSP並びにレポータ遺伝子Lucに対する免疫蛍光染色で処理して、共焦点顕微鏡法によって撮像する(B)かのいずれかを行った。 PTH及びMSC有りまたはなしの種々の群において、代表的な脊椎の欠損部が治癒過程を示す(B)。上記骨形成マーカーは、一部がDAPI染色した核、及び全身的投与の前にMSCを標識するのに使用したDiI蛍光色素と共局在化することができた(B)。 卵巣摘出したヌードラットにおける骨粗しょう症誘導プロトコルの構築を示す図である。定量的μCT分析によって、2ヶ月、4ヶ月、及び8ヶ月のLCD後に無傷の腰椎において骨量密度及び見掛け密度が低下することが実証される。p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001、****p≦0.0001。 図20(A)〜図20(B)は、全身的投与後の細胞の生体内分布を示す図である。ラットの組織(脳、骨髄、心臓、肺、筋肉、脾臓、及び肝臓)を死後に回収し、生検を行って、術後12週(最後の幹細胞注射の9週後)でのhMSCの生体内分布を調べた。DNAを抽出し、レポータ遺伝子Lucに関するPCRを用いてドナー細胞DNAの有無を評価した(A)。ミニブタの組織(脳、骨髄、心臓、肺、筋肉、脾臓、及び肝臓)を死後に回収し、生検を行って、種々の治療群における、術後5週(最後の幹細胞注射の1週後)でのpMSCの生体内分布を調べた。DNAを抽出し、レポータ遺伝子Lucに関するPCRを用いてドナー細胞DNAの有無を評価した(B)。p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001、****p≦0.0001。 図21(A)〜図21(E)は、MSC−hdPTH療法が、骨粗しょう症ラットにおいて脊椎の欠損部を再生させることを示す、組織学的分析及び免疫蛍光分析の図である。損傷した脊椎骨を回収し、脱灰し、パラフィン中に包埋し、切片化し、標準的なH&Eによって染色した(A)。術後1週及び5週で抜き出したミニブタの血液を、リン(A)に関して試験した。 骨形成マーカーであるオステオカルシン(Oc)及び骨シアロタンパク質(BSP)に対して染色した組織を含むスライドガラスが、上記マーカーは、一部がDAPI染色した核、及びMSCの全身的投与の前にMSCを標識するDiI蛍光色素と共局在化したことを示した(B)。術後1週及び5週で抜き出したミニブタの血液を、カルシウム(B)に関して試験した。 SDF1/CXCR4経路(C)の両方のホーミングマーカーに対して染色した組織を含むスライドガラスもまた、それらのマーカーが、一部DAPI染色した核、及びhMSCの全身的投与の前にhMSCを標識するDiI蛍光色素と共局在化したことを示した。術後1週及び5週で抜き出したミニブタの血液を、ALP(C)に関して試験した。 Amp/EGFR経路(D)の両方のホーミングマーカーに対して染色した組織を含むスライドガラスもまた、それらのマーカーが、一部DAPI染色した核、及びhMSCの全身的投与の前にhMSCを標識するDiI蛍光色素と共局在化したことを示した。術後1週及び5週で抜き出したミニブタの血液を、クレアチニン(D)に関して試験した。 術後1週及び5週で抜き出したミニブタの血液を、アルブミン(E)に関して試験した。 図22(A)〜図22(D)は、MSC−hdPTH療法が、骨粗しょう症ラットにおいて脊椎の欠損部を再生させることを示す、組織学的分析及び免疫蛍光分析の図である。損傷した脊椎骨を回収し、脱灰し、パラフィン中に包埋し、切片化し、標準的なH&Eによって染色した(A)。 骨形成マーカーであるオステオカルシン(Oc)及び骨シアロタンパク質(BSP)に対して染色した組織を含むスライドガラスが、上記マーカーは、一部がDAPI染色した核、及びMSCの全身的投与の前にMSCを標識するDiI蛍光色素と共局在化したことを示した(B)。 SDF1/CXCR4経路(C)の両方のホーミングマーカーに対して染色した組織を含むスライドガラスもまた、それらのマーカーが、一部DAPI染色した核、及びhMSCの全身的投与の前にhMSCを標識するDiI蛍光色素と共局在化したことを示し。 Amp/EGFR経路(D)の両方のホーミングマーカーに対して染色した組織を含むスライドガラスもまた、それらのマーカーが、一部DAPI染色した核、及びhMSCの全身的投与の前にhMSCを標識するDiI蛍光色素と共局在化したことを示した。 図23(A)〜図23(C)は、肋骨骨折モデルを示す図である。ラットに挿管して陽圧の呼吸圧を生じさせ、胸郭を露出する。2本の隣接する肋骨を脊柱からおおよそ1cmの所で骨折させる(A)。 手術の2週間後にイン・ビボuCTを実施し、ここに示す、外側面からの三次元再構成画像を作成した(B)。 欠損部位の三次元再構成画像において、ブリッジングは見られなかった(C)。 図24(A)〜図24(C)は、細胞及びPTHの投与による肋骨の再生を示す図である。ヒト骨髄細胞を単離し、レンチウィルスベクターを用いてルシフェラーゼ遺伝子を移入し、ルシフェラーゼの発現をイン・ビトロで確認した(A)。上記細胞を尾静脈から全身的に投与し、PTH療法を施した。術後1週で、骨折部位において局在化した生物発光シグナルを観測した(B)。マイクロCT画像法において、hMSC及びPTHによって治療したラットにおいて、対照と比較して、骨のブリッジングが見られる(C)。
本明細書には、対象を選択する段階と、ある量の間葉系幹細胞(MSC)及びある量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階とを含み、MSC及びPTHの両方の投与が上記対象において骨組織を調節する、骨組織を調節するための方法が記載される。他の実施形態において、MSC及びPTHの投与は同時である。他の実施形態において、上記方法は更なるPTHの投与を含む。他の実施形態において、上記MSC及びPTHの投与は逐次的である。他の実施形態において、上記MSCの投与は上記対象への静脈内注射を含む。他の実施形態において、上記PTHの投与は上記対象への皮下注射を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10または5×10細胞を含む。他の実施形態において、PTHの量は、0.1〜1、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、または少なくとも40ug/kgを含む。他の実施形態において、骨組織を調節することは、小柱の厚さ及び/または骨密度の変化を含む。他の実施形態において、上記小柱の厚さ及び/または骨密度の変化は脊椎骨におけるものである。他の実施形態において、上記脊椎骨は腰椎骨である。他の実施形態において、骨組織を調節することは、1本または複数本の肋骨における小柱の厚さ及び/または骨密度の変化を含む。他の実施形態において、上記MSCは異種タンパク質を発現する。他の実施形態において、異種タンパク質は骨形態形成タンパク質(BMP)を含む。他の実施形態において、上記BMPはBMP−2、BMP−6、またはそれらの両方を含む。
本明細書には、対象を選択する段階と、ある量の間葉系幹細胞(MSC)及びある量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階とを含み、MSC及びPTHの両方の投与が上記対象においてMSCのホーミングを増加させる、間葉系幹細胞のホーミングの増加方法が更に記載される。他の実施形態において、MSCのホーミングは脊椎骨において起こる。他の実施形態において、上記脊椎骨は腰椎骨である。他の実施形態において、MSCのホーミングは1本または複数本の肋骨において起こる。他の実施形態において、ある量のMSCの投与は、上記対象への少なくとも1×10細胞の静脈内注射を含み、ある量のPTHの投与は、上記対象への少なくとも0.1ug/kgのPTHの注射の皮下注射を含む。他の実施形態において、少なくとも1週間、2週間、または3週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与。他の実施形態において、上記MSCは異種タンパク質を発現する。他の実施形態において、上記異種タンパク質は骨形態形成タンパク質(BMP)を含む。他の実施形態において、上記BMPはBMP−2、BMP−6、またはそれらの両方を含む。他の実施形態において、上記MSCはヒト型であり、骨髄または脂肪組織由来である。他の実施形態において、上記MSCは、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+の1種または複数種を発現する。他の実施形態において、上記MSCはCXCR4+を発現する。
本明細書には、ヒト対象を選択する段階と、少なくとも1×10の量のヒト間葉系幹細胞(MSC)及び少なくとも0.1ug/kgの量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階と、少なくとも1週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与とを含み、ヒトMSCの投与が静脈内注射を含み、PTHの投与が皮下注射を含み、MSC及びPTHの両方の投与が骨粗しょう症関連の状態を治療した、骨粗しょう症関連の状態の治療方法も記載される。他の実施形態において、上記PTHの量は1〜5ug/kgを含む。他の実施形態において、上記MSCは骨髄または脂肪組織由来であり、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+を発現する。他の実施形態において、上記骨粗しょう症関連の状態は脊椎圧迫骨折を含む。
詳細な説明
本明細書において引用される全ての参照文献は、全文が記載されるのと同様に、それらの全てが参照により援用される。別段の定義がなされない限りにおいて、本明細書に用いられる技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同様の意味を有する。Allen et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy 22nd ed.,Pharmaceutical Press(September 15,2012);Hornyak et al.,Introduction to Nanoscience and Nanotechnology,CRC Press(2008);Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,revised ed.,J. Wiley & Sons(New York,NY 2006);Smith,March's Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 7th ed.,J. Wiley & Sons(New York,NY 2013);Singleton,Dictionary of DNA and Genome Technology 3rd ed.,Wiley−Blackwell(November 28,2012);並びにGreen and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2012)が、当業者にとって、本願で用いられる用語の多くに対する手引きとなる。参考までに、抗体の調製方法に関しては、Greenfield,Antibodies A Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Press(Cold Spring Harbor,NY 2013);Kohler and Milstein,Derivation of specific antibody−producing tissue culture and tumor lines by cell fusion,Eur. J. Immunol. 1976 Jul,6(7):511−9;Queen and Selick,Humanized immunoglobulins,米国特許第5,585,089号(1996年12月);並びにRiechmann et al.,Reshaping human antibodies for therapy,Nature 1988 Mar 24,332(6162):323−7を参照されたい。
世界中で2億人を超える人々が骨粗しょう症に罹っている。その病因は骨形成と骨吸収の間の不適当な均衡に起因し、骨量の低下、骨構造の障害、及び骨折の危険性の増加をもたらす。現在の骨粗しょう症の治療は、低下した骨量を修復することなく、骨吸収を抑制する薬物が主流をなす。
骨粗しょう症は、多くの場合、骨折が起こるまで無症候性のままである。最も一般的な脆弱性骨折が骨粗しょう症関連脊椎圧迫骨折(OVCF)であり(米国において750,000件超の骨折/年)、著しく高い罹患率及び死亡率を伴う。150,000件もの多くのOVCFが入院を要し、通常は長期の床上安静及び鎮痛剤の静脈内(IV)投与を伴い、この鎮痛剤の投与は根本原因である骨粗しょう症を悪化させる場合がある。骨粗しょう症の患者に対しては、これらの患者の椎骨の低密度に起因して、手術は選択肢ではない。椎体形成術などの侵襲性を最小限にした外科的技法は、報告によれば疑似手術以上に有効ではない。従って、新たな、OVCFを治療するための非侵襲性の療法の開発に関して明確な医療的ニーズが存在する。
骨粗しょう症関連脊椎圧迫骨折は股関節部骨折の2倍の頻度で起こるが、利用可能な治療の選択肢が殆どない。組換え型副甲状腺ホルモンは、間葉系幹細胞(MSC)を活性化することによって健康な動物における骨折の修復を加速する。しかしながら、MSCがより少ない及び/または機能が損なわれている骨粗しょう症の患者においては、組換え型副甲状腺ホルモンは効果がより低いことが判るであろう。
更に、米国における全ての外傷による死亡の25%は胸部への外傷の結果である。これらの患者の2/3超で肋骨骨折(RF)が起こる。高齢の患者においては、これらの骨折が高い罹患率及び死亡率を伴い、20%にも達する場合がある。残念ながら、現在のRFの治療は疼痛管理に限定され、多くの場合、何ヶ月もの間機能障害を防止せず、死すら防ぐことがない。これまでに、複数のRFを治療するための良好な医学的解決法は存在しない。
本発明者らは、PTH療法との併用でのMSCの静脈内注射が、損傷部位へのMSCの動員を誘導し、骨形成の増進、延いては欠損部の修復に繋がるのではないかとの仮説を立てた。この仮説を検証するために、本発明者らは、骨粗しょう症ラットに椎骨の欠損部を設け、該欠損部を、ヒトMSCの静脈内注射及びrPTHの間欠的な投与によって治療した。動物がこのMSC−PTH併用治療を受けた場合、いずれかの単独での治療を受けたまたは治療を全く受けなかった動物と比較して、上記脊椎の欠損部が速やかに且つ効率的に修復された。本発明者らは、rPTHが細胞の腰部へのホーミングを有意に増進し、腰部においてMSCが増骨細胞へと分化したことを見出した。興味深いことに、複数の肋骨骨折があるラットモデルを用いた、MSCの全身的な静脈内投与及びPTH療法から構成される、RFを治療するための新規な併用手法が、更に、治療を受けていないラットと比較して、hMSC及びPTHによる治療を受けたラットにおける骨折修復を伴う、肋骨骨折部位への細胞のホーミングを観測した。最後に、本発明者らは、複数の椎骨の欠損部を有するミニブタをMSC−rPTH併用療法で治療した場合に、顕著な骨再生を観測した。
骨組織は、生得の再生能力をもつ特化された形態の結合組織である。それにも拘わらず、全骨折の5〜10%、且つ持病をもつ患者の30%もの多くが治癒不全及び重篤な病的状態に直面し、このことは一方で経済的負担にもなり得る。外科手術は、骨粗しょう症の患者では病的状態になること及び移植不全の大きな危険性を伴い、それ故に、患者の圧倒的多数に対して、通常は薬物治療及び固定具などの非外科的治療が推奨される。残念ながら、多数の患者が難治性疼痛及び種々の活動への復帰ができないことを訴えている。これらの限界が、新たな、侵襲性を最小限にした外科的技法への関心の増大を助長してきた。
骨折の生物力学は主として小柱微小構造の破壊によって決定され、継続する症状は効果のない構造的な修復及び運動と関係する場合がある。椎体の生物力学的特性を取り戻すために、新たな非生物学的方法が開発されている。これらの方法は、崩壊した脊柱の椎体中へのポリメタクリル酸メチル(PMMA)の経皮注射による椎体形成術及びballoon tamp整復術の、侵襲性を最小限にした手法を含む。最近の研究により、骨粗しょう症の脊椎骨中へのPMMAの予防的注射は、骨折後の注射よりもより良好に脊椎骨の剛性を維持することが示唆されるが、合成による非生物学的な材料は再吸収されず、脊柱中で永続的な異物である固定具のままであるとの点で重大な欠点が存在するように思われる。例えば、いくつかの研究が、PMMA椎体形成術による治療は、疑似治療以上に有効ではないと報告している。外科的且つ非生物学的な技法のこれらの限界に鑑みて、骨粗しょう症患者を治療するための生物学的方法の開発は、重要な目標のままである。
これまで、自家骨移植が、椎間板変性症の症例において、偽関節骨折部位及び脊椎の固定を促進するために用いられる、「至適基準」の生物学的方法であり続けている。しかしながら、度重なる介入に起因する合併症と共に、30%に及ぶ高い失敗率が挙げられている。説得力のある代替手段は間葉系幹細胞(MSC)の使用である。MSCは種々の成体組織(それらの中には骨髄(BM)及び脂肪組織がある)から単離されており、これらの細胞は骨形成系統、軟骨形成系統及び脂肪生成系統にうまく分化することができる。この、MSCが骨細胞に分化する能力によって、骨の減少を補償する治療材料として有望な手段が提供される。実際、MSCの直接的な移植が、数種の骨減少のモデル及び数ヶ所の異なる骨部位(例えば、長骨、頭蓋冠、及び脊柱)においてイン・ビボで、速やかな骨再生及び骨折修復を誘導することが示されている。説得力のある証拠によって、MSCは肺の中に閉じ込められてもよいが、異なる実験モデルにおいて、全身的に投与されたMSCが優先的に損傷部位に遊走することも示されている。更に、骨形態形成タンパク質(BMP)などの因子を組み込むように遺伝子改変された場合に、これらの多能性細胞は、複数の動物モデルにおいてイン・ビボで骨を形成及び再生する能力を示しており、臨床整形外科的適用のための遺伝子媒介性及び細胞媒介性の療法を提供する。MSCによる最適な骨再生の促進における骨誘導因子の役割により、骨粗しょう症患者を治療するための潜在的に効能のある組み合わせとして、ヒドロキシアパタイト骨格などの物質、またはBMP及び/若しくは副甲状腺ホルモン(PTH)などの骨形成タンパク質の組み込みが示唆される。
間葉系幹細胞(MSC)は、骨芽細胞、軟骨細胞、及び脂肪細胞に分化することができる。全身的に投与されたMSCは、種々の疾患モデルにおける損傷部位に優先的に遊走する。この活性の正確な機序は完全には解明されていないが、炎症部位への白血球の動員に見られる機序と同様に、損傷を受けた組織がMSCのホーミング、付着、及び浸潤を促進する特定のリガンドを分泌するものと思われる。MSCは、自家移植片としてドナーに再導入する、または他のレシピエントを治療するための同種異系細胞として用いることができる。残念ながら、自家MSCはOVCFに対して好適な治療法ではない場合がある。というのも、骨粗しょう症の患者は、より少ないMSC、または骨芽細胞へと増殖及び分化し難く、その結果骨を形成し難いMSCしか有していないからである。同種異系MSCは各患者に対する細胞の単離段階を必要とせず、免疫調節性であると考えられることから、それらの使用は、臨床的環境に対して好都合と見なされる。実際、同種異系MSCは、様々な疾患に対する全身的療法として多くの臨床試験において評価されている。
幹細胞の全身的投与に続いて効率的な組織再生を達成するためには、十分な供給量の細胞が損傷部位へとホーミングし、続いてその位置で分化する必要がある。FDA認可の骨同化剤であるPTHの1−34部分は、損傷部位への内因性MSCの遊走を増加させ、骨芽細胞前駆細胞の増殖及び分化を促進し、且つ骨芽細胞のアポトーシスを減少させた。しかし、これらの結果をもたらした前臨床研究で用いられたPTH投与量は極めて高く、臨床的に用いられる投与量及び本研究における投与量のおおよそ140倍であった。
ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)は、カルシウム恒常性の維持に重要な役割を果たす84アミノ酸ペプチドホルモンである。hPTHは標的細胞表面のG−タンパク質結合型hPTH/hPTHrP受容体に結合し、これがアデニル酸シクラーゼ及びホスホリパーゼの活性化並びに環状AMP及びカルシウムの細胞内濃度の増加をもたらす。皮下注射によって与えられた間欠的なhPTHは、骨格に対して強力な同化作用を発揮することが示されており、2種の形態の組換え型hPTH、hPTH(1−34、テリパラチドとしても知られる)及び完全な84アミノ酸形態であるhPTH(1−84)が、臨床治験において評価されている。テリパラチドは、重度の骨粗しょう症の治療における同化剤としての使用に対してFDAの認可を受けている。これらの患者において骨折を整復するその顕著な有効性に基づいて、骨折における偽関節を治療するためにテリパラチドを用いることに今大きな関心が寄せられている。hPTH(1−84)はC末端を含み、別個の生物学的特性を有することがあり得、それ故に、hPTH(1−34)とは異なる生物学的活性を有することがあり得る。様々な前臨床研究において、PTHは、対照と比較して、骨折仮骨の質を向上させ、骨塩含量及び密度を増加させ、且つ軟骨内骨化を加速することが実証されている。報告されている他の類似する利点としては、ウサギの脛骨の骨幹端骨切断モデルにおける治癒の加速、骨塩含量の増進及び骨断面積の増加が挙げられている。
これらの治療効果の基礎として、hPTHは骨の再構築の速度を増加させ、結果として正の再構築の均衡をもたらし、より厚い骨単位(再構築された骨の構造単位)に繋がるものと思われる。新骨形成は不動性の表面上で起こり、結果として、小柱構造は正常な骨により酷似することとなる。hPTH(1−34)は新たな骨膜の骨付加を誘導し、これが、橈骨などの管状骨の外周の拡大をもたらす。この骨付加は、骨芽細胞のアポトーシスの減少と前骨芽細胞から骨芽細胞への分化の増進に起因する。これとは対照的に、ビスホスホネートなどのこれに代わる治療組成物は、既存の骨格の微小構造を維持はするが、より正常な構造に向けて該微小構造を修復することはない。それよりも、ビスホスホネートによる骨量の増加は、予め形成された骨単位の二次的な石灰化の増進に起因する可能性が最も高い。
重要なことは、PTHが、骨芽細胞におけるCXCL12/SDF1の発現を誘導することによって、間葉系幹細胞(MSC)の骨への動員を刺激することが、研究によって実証されていることである。しかしながら、臓器再生の過程では、損傷した組織に由来する局所的MSC及び循環性MSCの両方が、損傷を受けた器官の治癒に共同して作用することが実証されている。この能力においては、SDF−1のCXCR4への結合は、細胞膜表面上での接着分子の発現の増加による幹細胞の付着に繋がり、局所的及び循環性幹細胞は、ホーミング及び血管外漏出を通じて修復及び再生を必要とする組織の部位に動員される。骨組織損傷部位における細胞は、骨芽細胞を介してSDF−1リガンドを分泌し得るので、これが受容体CXCR4を発現するMSCを当該損傷部位へと誘引し、該部位において、それに続く、当該組織損傷傷害部位への接着、遊走及びホーミングを促進するSDF−1とCXCR4との相互作用、並びにおそらく、化学誘引物質SDF1を介する組織特異的分化。従って、PTHは、特に骨粗しょう症の患者において見られるMSC数の減少、機能不全に陥ったMSC、またはそれらの両方に鑑みて、骨損傷部位へのMSC遊走を促進するための有望な機序を提供する。例えば、PTH療法と組み合わせたMSCの静脈内(IV)注射に依拠する併用療法は、これらの患者における複数の骨折の治療に特に有効な療法を提供することができ、更に侵襲性を最小限にした技法とのニーズを更に満たす。
本明細書には、骨粗しょう症の動物における骨分化及び結果として起こる骨折の修復を含む、外因性MSCの全身注射と毎日のPTHの間欠的投与とを組み合わせて、肋骨骨折及び脊椎骨折を含む骨折へのMSCのホーミングを増進させることの治療結果が記載される。示したように、MSC−PTH併用療法は、骨再生に対して相乗効果をもたらし、いずれかの治療単独よりも優れることとなる。PTHは、おそらくは、PTHの十分に確立された骨同化作用に加えて、複数の経路を介して骨の欠損部へのMSCのホーミングに対して有意な効果を有することが示される。重要なことは、本明細書に記載の結果に基づいて、PTHが、複数回の全身的な細胞の注射のホーミング及び分化を支援するために必要な最小限の期間での最小限の投与量に基づいて、幹細胞療法におけるアジュバントの役割を果たすことができることである。hMSCは、PTHの投与に応答して、用量依存的な形態で欠損部位にホーミングする能力を有するものとして示されるが、より低い用量を適用する場合に、有意により高いMSCのホーミングを誘導するための治療効果を得ることができる。更に、かかる手法は、肋骨骨折及び脊椎骨折などの異なる種類の骨折にわたって、幅広い拡張性をもつ。
本明細書には、対象を選択する段階と、ある量の間葉系幹細胞(MSC)及びある量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階とを含み、MSC及びPTHの両方の投与が上記対象において骨組織を調節する、骨組織を調節するための方法が記載される。他の実施形態において、上記MSC及びPTHの投与は同時である。種々の実施形態において、MSCは、骨芽細胞(骨細胞)、軟骨細胞(chondrocytes)(軟骨細胞(cartilage cells))、及び脂肪細胞(adipocytes)(脂肪細胞(fat cells))を含む、様々な細胞の種類に分化することができる多能性間質細胞であることが理解される。他の実施形態において、上記方法は更なるPTHの投与を含む。これは、例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間またはそれを超える間のPTHの投与を含んでもよい。他の実施形態において、上記MSC及びPTHの投与は逐次的である。他の実施形態において、上記MSCの投与は上記対象への静脈内注射を含む。他の実施形態において、上記PTHの投与は上記対象への皮下注射を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10または5×10細胞を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも6×10、7×10、8×10、9×10または10細胞またはそれを超える量の細胞を含む。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、または少なくとも40ug/kgを含む。これは、例えば、0.1〜1μg/kg、1〜1.75μg/kg、1.75〜3μg/kg及び3〜5μg/kgを含む。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100ug/kg以上を含む。例えば、これは、少なくとも1×10の量のヒト間葉系幹細胞(MSC)及び少なくとも0.1ug/kgの量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階と、少なくとも1週間、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与とを含んでもよく、ヒトMSCの投与は静脈内注射を含み、PTHの投与は皮下注射を含む。他の実施形態において、上記方法は更なるPTHの投与を含む。これは、例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間またはそれを超える間のPTHの投与を含んでもよい。他の実施形態において、骨組織を調節することは、小柱の厚さ及び/または骨密度の変化を含む。他の実施形態において、上記小柱の厚さ及び/または骨密度の変化は脊椎骨におけるものである。他の実施形態において、上記脊椎骨は胸椎骨、頸椎骨または腰椎骨である。他の実施形態において、上記脊椎骨は腰椎骨である。他の実施形態において、骨組織を調節することは、例えば肋骨骨折を始めとする肋骨において起こる。他の実施形態において、上記MSCは異種タンパク質を発現する。種々の実施形態において、上記異種タンパク質はウィルス感染法、トランスフェクション法またはヌクレオフェクション法などの本技術分野で公知の多数の技法のいずれかによって導入される。他の実施形態において、上記異種タンパク質は骨形態形成タンパク質(BMP)を含む。他の実施形態において、上記BMPはBMP−2、BMP−6、またはそれらの両方を含む。他の実施形態において、上記MSCはヒト型であり、骨髄または脂肪組織由来である。他の実施形態において、上記MSCは、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+の1種または複数種を発現する。他の実施形態において、上記MSCはCXCR4+を発現する。他の実施形態において、上記MSCは、CD11b、CD14、CD19、CD34、CD45、CD79a及びHLA−DRの1種または複数種の発現を欠いていてもよい。他の実施形態において、上記PTHは、完全長の内因性PTHの活性なフラグメント、例えば、PTH1−34(PTHの最初の34アミノ酸、テリパラチドとしても知られる)である。
本明細書にはまた、対象を選択する段階と、ある量の間葉系幹細胞(MSC)及びある量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階とを含み、MSC及びPTHの両方の投与が上記対象においてMSCのホーミングを増加させる、間葉系幹細胞のホーミングの増加方法も記載される。他の実施形態において、上記MSCのホーミングは骨において起こる。他の実施形態において、上記MSCのホーミングは、例えば肋骨骨折を始めとする肋骨において起こる。他の実施形態において、上記MSCのホーミングは脊椎骨において起こる。他の実施形態において、上記脊椎骨は胸椎骨、頸椎骨または腰椎骨である。他の実施形態において、上記脊椎骨は腰椎骨である。他の実施形態において、上記ある量のMSCの投与は、上記対象への少なくとも1×10細胞の静脈内注射を含み、ある量のPTHの投与は、上記対象への少なくとも0.1ug/kgのPTHの注射の皮下注射を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10または5×10細胞を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも6×10、7×10、8×10、9×10または10細胞またはそれを超える量の細胞を含む。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、または少なくとも40ug/kgを含む。これは、例えば、0.1〜1μg/kg、1〜1.75μg/kg、1.75〜3μg/kg及び3〜5μg/kgを含む。他の実施形態において、更なる毎日の。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100ug/kg以上を含む。例えば、これは、少なくとも1×10の量のヒト間葉系幹細胞(MSC)及び少なくとも0.1ug/kgの量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階と、少なくとも1週間、2週間、または3週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与とを含んでもよい。他の実施形態において、上記方法は更なるPTHの投与を含む。これは、例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間またはそれを超える間のPTHの投与を含んでもよい。他の実施形態において、上記MSCは異種タンパク質を発現する。種々の実施形態において、上記異種タンパク質はウィルス感染法、トランスフェクション法またはヌクレオフェクション法などの本技術分野で公知の多数の技法のいずれかによって導入される。他の実施形態において、上記異種タンパク質は骨形態形成タンパク質(BMP)を含む。他の実施形態において、上記BMPはBMP−2、BMP−6、またはそれらの両方を含む。他の実施形態において、上記MSCはヒト型であり、骨髄または脂肪組織由来である。他の実施形態において、上記MSCは、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+の1種または複数種を発現する。他の実施形態において、上記MSCはCXCR4+を発現する。他の実施形態において、上記MSCは、CD11b、CD14、CD19、CD34、CD45、CD79a及びHLA−DRの1種または複数種の発現を欠いていてもよい。例えば、組織部位としてのCXCR4+細胞の数の増加はMSCのホーミングの増加を示す。他の実施形態において、上記PTHは、完全長の内因性PTHの活性なフラグメント、例えば、PTH1−34(PTHの最初の34アミノ酸、テリパラチドとしても知られる)である。
本明細書には更に、ヒト対象を選択する段階と、少なくとも1×10の量のヒト間葉系幹細胞(MSC)及び少なくとも0.1ug/kgの量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階と、少なくとも1週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与とを含み、ヒトMSCの投与が静脈内注射を含み、PTHの投与が皮下注射を含み、MSC及びPTHの両方の投与が骨粗しょう症関連の状態を治療した、骨粗しょう症関連の状態の治療方法が記載される。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10または5×10細胞を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも6×10、7×10、8×10、9×10または10細胞またはそれを超える量の細胞を含む。他の実施形態において、上記MSCは骨髄または脂肪組織由来であり、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+を発現する。他の実施形態において、上記MSCはCXCR4+を発現する。他の実施形態において、上記MSCは、CD11b、CD14、CD19、CD34、CD45、CD79a及びHLA−DRの1種または複数種の発現を欠いていてもよい。他の実施形態において、上記方法は更なるPTHの投与を含む。これは、例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間またはそれを超える間のPTHの投与を含んでもよい。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、または少なくとも40ug/kgを含む。これは、例えば、0.1〜1μg/kg、1〜1.75μg/kg、1.75〜3μg/kg及び3〜5μg/kgを含む。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100ug/kg以上を含む。他の実施形態において、上記PTHは、完全長の内因性PTHの活性なフラグメント、例えば、PTH1−34(PTHの最初の34のアミノ酸、テリパラチドとしても知られる)である。他の実施形態において、上記骨粗しょう症関連の状態は脊椎圧迫骨折を含む。他の実施形態において、上記骨粗しょう症関連の状態は股関節部骨折を含む。種々の実施形態において、PTHを投与することは従来の療法に対するアジュバントである。
本明細書には更に、ヒト対象を選択する段階と、少なくとも1×10の量のヒト間葉系幹細胞(MSC)及び少なくとも0.1ug/kgの量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階と、少なくとも1週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与とを含み、ヒトMSCの投与が静脈内注射を含み、PTHの投与が皮下注射を含み、MSC及びPTHの両方の投与が骨折を治療する、骨折の治療方法が記載される。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10または5×10細胞を含む。他の実施形態において、上記MSCの量は、少なくとも6×10、7×10、8×10、9×10または10細胞またはそれを超える量の細胞を含む。他の実施形態において、上記MSCは骨髄または脂肪組織由来であり、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+を発現する。他の実施形態において、上記MSCはCXCR4+を発現する。他の実施形態において、上記MSCは、CD11b、CD14、CD19、CD34、CD45、CD79a及びHLA−DRの1種または複数種の発現を欠いていてもよい。他の実施形態において、上記方法は更なるPTHの投与を含む。これは、例えば、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間またはそれ以上の間のPTHの投与を含んでもよい。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、または少なくとも40ug/kgを含む。これは、例えば、0.1〜1μg/kg、1〜1.75μg/kg、1.75〜3μg/kg及び3〜5μg/kgを含む。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100ug/kg以上を含む。他の実施形態において、上記骨折は、肋骨、股関節部、腕、脚または他の骨折しやすい骨の骨折を含む。これは、例えば、0.1〜1μg/kg、1〜1.75μg/kg、1.75〜3μg/kg及び3〜5μg/kgを含む。他の実施形態において、上記PTHの量は、0.1〜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100ug/kg以上を含む。他の実施形態において、上記PTHは、完全長の内因性PTHの活性なフラグメント、例えば、PTH1−34(PTHの最初の34のアミノ酸、テリパラチドとしても知られる)である。種々の実施形態において、PTHを投与することは従来の療法に対するアジュバントである。
実施例1
動物MSCの単離及び培養
動物実験用に、間葉系幹細胞(MSC)は、安楽死させたブタ(体重35〜40kg、平均年齢1.5歳)の肋骨の骨髄(BM)及び皮下脂肪組織から単離することができる。例えば、脂肪組織及び肋骨BMを無菌的に採取した。上記脂肪組織を小片(5mm 5mm以下)に切断し、1%のBSA PBS(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州カールズバッド)で洗浄し、0.075%のコラゲナーゼで、37℃において1時間処理する。BMを含有する肋骨を掻き取り、PBSで洗い、900gで10分間遠心分離する。沈渣をPBS中に再懸濁してもよく、その後これをリンパ球分離培地(ICNファーマシューティカルス社、米国オハイオ州ブライアン)上に積層し、30℃で30分間、900gで破壊することなく遠心分離する。
単離過程の終了時に更なる培養のために、両方の組織から単離した単核細胞を、5%CO/95%空気中、37℃で、1cm当たり0.4×10細胞の密度で組織培養皿に播種する。培地としては、2mMのL−グルタミン、100Umlのペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロジェン社)、及び10%のウシ胎児血清(インビトロジェン社)を補足した高グルコースのダルベッコ改変イーグル培地(インビトロジェン社)を挙げることができる。かかる培地は、72時間後及びその後3〜4日毎であってもよい。コンフルエンスに達した後、細胞を0.25%のトリプシン−EDTA(インビトロジェン社)を用いてトリプシン処理し、増殖のために1cm当たり7×l0細胞の密度で再度播種する。細胞を第5継代まで培養において増殖させ、イン・ビトロ及びイン・ビボでの分化の調査に用いることができる。
実施例2
ヒトMSCの単離及び培養
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、ヒト骨髄外科廃棄物の外植片から単離することができ、hMSCはイン・ビトロで増殖する能力を有する。例えば10mlの骨髄穿刺液を6000Uのヘパリン入りチューブ中に採取し、PBSで洗浄し、回収した細胞を900gでの遠心分離によって採取する。次いで、採取した細胞をパーコール溶液(密度1.073g/ml)にロードする。1100g(20uCで30分間)で遠心分離することによって細胞の分離を実施する。あるいは、細胞は、プラスチック付着プロトコルを用いて単離することができる。採取した有核細胞をPBSで2回洗浄し、次いで培養し、10%のウシ胎児血清(FCS)を補足したダルベッコ最小必須培地(DMEM)(低グルコース)中で培養及び継代する。Turgeman,G.et al.,Engineered human mesenchymal stem cells:a novel platform for skeletal cell mediated gene therapy. J Gene Med,2001.3(3):p.240−51に提示される例を始めとする、MSCを単離及び培養するための様々な手法がよく理解されており、該文献は参照により本明細書にその全体が援用される。
異種遺伝子発現または標識による調査のために、イン・ビトロで、80%コンフルエンスのhMSCに、rhBMP−2(Ad−BMP−2)及びLacZ(Ad−LacZ)をコードする組換えアデノウィルスを、感染多重度(MOI)100で、PBS中2時間、感染させることができ、その後前記培地を3日間添加する。感染の効率は、感染後にX−gal染色を用いてAd−LacZによって推定する。X−gal組織学的染色は以下のようにして実施することができる。すなわち、細胞を、0.25%のグルタルアルデヒド、0.1MのNaPO(pH8.3)、5mMのエチレングリコール−ビス(b−アミノエチルエーテル)(EGTA)及び2mMのMgClで30分間固定化する。次いで、細胞を(0.1MのNaPO、2mMのMgCl、0.1%のデオキシコール酸塩、0.2%のNonident P40で)3回洗浄し、X−gal溶液(1mg/ml)、5mMのKFe(CN)、5mMのKFe(CN)e3HO、0.1MのNaPO、2mMのMgCl、0.1%のデオキシコール酸塩、0.2%のNonident P40で、暗所、室温(RT)で終夜染色する。
hMSCをAd−BMP−2及びAd−LacZの両方に感染させるために、細胞を、上述のものと同様の条件で増殖させ、それぞれのウィルスベクターについてMOI 50で、両方のアデノウィルスベクターで感染させることができる。
実施例3
ヒトMSCの特徴づけ及び分化
ヒトMSCは、種々の抗原表面マーカーまたは他の発現産生物に従って特徴づけすることができる。骨髄由来ヒトMSCは、それらのMSC表現型を裏付けるCD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+を含む5種のMSC表面マーカーのパネルを示す(図1)。記載した単離技法を用いて、単離された内の95%を超える、この発現パネルを含む細胞を得ることができる。
MSCのアイデンティティは、分化の調査によって更に確認することができる。例えば、hBM−MSCは、イン・ビトロで脂肪生成系統(図2A)及び骨形成系統(図2B〜C)の両方に分化する能力を有していた。脂肪生成の誘導後に、当該細胞をOil Red Oで染色し、光学密度を用いて該染色を定量した(図2A)。骨形成の誘導後に、ALP比色アッセイ(図2B)及び骨形成遺伝子発現(図2C)によって、系統分化が成功したことが示される。OPN=オステオポンチン、ALP=アルカリホスファターゼ、Col1=コラーゲンI型、OC=オステオカルシン
実施例4
PTHは椎骨の欠損部へのMSCのホーミングを増進
簡潔に説明すると、調査のモデルは、卵巣摘出及び4ヶ月の低カルシウム食餌を用いた免疫不全ラットにおける骨減少症を含むことができ、骨減少症ラットの腰椎において複数の脊椎の欠損部を生じさせることができ、ヒト骨髄由来のMSCが、イン・ビボでの追跡のためのレポータ遺伝子で標識される。腰椎の欠損部を有するラットを、1.標識した幹細胞の単回若しくは複数回の静脈内注射及び毎日のPTH(40ug/Kg体重)の真皮下注射、2.MSCの注射のみ、3.PTHの注射のみ、または4.対照としての生理食塩水の注射、のいずれかで治療することができる。細胞の生存及び欠損部位へのホーミングを、非侵襲的な光学的画像法及び核画像法、並びにそれらに続く免疫組織化学的分析を用いて監視するか、または脊椎骨の修復を、マイクロCT走査を用いて毎週監視する。
より詳細には、ヒトMSCを、記載したプロトコルに従って骨髄試料から単離する。当該細胞に、ルシフェラーゼ2(Luc2)をコードするレンチベクターを用いて感染させ、次いで、それぞれ2箇所の、腰部の骨の欠損部を有する骨粗しょう症ヌードラットに、尾静脈を介して10のLuc2標識hMSCを注射する。上記細胞は、腰部の骨の欠損部の発生の7日後に注射する。1群の動物をPTH(40mg/kg/日、皮下)で3週間治療し、別の群を対照としてPBSの注射で治療する。ラットを種々の時点で、麻酔下で生物発光画像法(BLI)に供する。発光シグナルはラットの体内の多数の部位からは検出されず、腰部で検出することができた。測定値を定量化したが、該測定値は注射の55日後に依然として検出可能である(図4)。興味深いことに、動物にPTHを投与した場合に、細胞注射後2週で有意により多いLuc2シグナルを検出し、これは、PTHが細胞の腰部へのホーミングを増進させたことを示す。
最後に、本発明者らは、脊椎の欠損部へのMSCのホーミングに対する、種々のPTH用量の効果を評価した。骨粗しょう症ラットにLuc2標識MSCを5回注射し、0.4ugr/Kgまたは4ugr/KgのPTHを3週間毎日投与する。BLIを種々の時点で実施し、画像解析を用いて各動物の腰部のLuc2シグナルを定量化する。比較のために、経時的な生物発光シグナルの合計を各群で算出する。0または40ugr/kgのPTHを投与した従前の結果と比較した場合、MSCのホーミングは、PTH用量と相関して増加した。4及び40ugr/Kg用量のPTHは、MSCのホーミングに対して同様の効果を誘導した(図6)。
実施例5
PTHは静脈内注射したMSCの骨形成分化を誘導
MSCの静脈内注射及びPTHの皮下投与によって治療した脊椎の欠損部を有するラットを屠殺し、手術した脊椎骨を切除し、切片化し、免疫蛍光分析に用いた。本発明者らは、抗ルシフェラーゼ抗体を用いて細胞を検出し、抗骨シアロタンパク質(BSP)または抗オステオカルシン(OC)を用いて骨形成系統への細胞の分化を実証した。共焦点画像法によって、Luc発現細胞が、骨の欠損部位に生成した新しい骨組織に一体化していることが示された。更に、同一の細胞が、BSP及びOCに対して陽性に染色されたことから、骨細胞に分化したことも明らかであった(図7)。
実施例6
SDF−1/CXCR4分子はPTHによって誘導されるMSCのホーミングに関与
本発明者らはまた、MSCの脊椎の欠損部へのホーミングの背後にある機序及びこの過程に対するPTHの作用を説明することができる可能性がある、ある特定の分子の発現についても評価を行った。記載するように、SDF−1/CXCR4系は、それによって造血剤及びMSCも特定の位置に遊走することが知られる、最も広範に報告されている経路である。
本発明者らは、DiI(蛍光性、親油性、色素)標識MSC及びPTHで治療した骨粗しょう症ラットから回収した脊椎骨の組織学的切片上での抗SDF−1及びCXCR4抗体を介した免疫蛍光染色を用いて、脊椎の欠損部位における多くの細胞がSDF−1を発現している一方、DiI標識MSCはCXCR4受容体を発現していることを見出した(図8)。MSC及びPTHで治療していない対照の欠損部は、これらのマーカーのいずれに対しても陽性染色を示さなかった。
実施例7
MSC−PTH治療は骨粗しょう症動物に設けた脊椎の欠損部の骨修復を増進
更なる調査において、本発明者らは、骨粗しょう症ヌードラットの腰部に椎骨の欠損部(ラット当たり2箇所の欠損部)を設けた。術後1週で、ラットを、3週間、毎日のPTH皮下注射(0、0.4、4及び40ug/kg)、または5×10のhMSCを用いた注射された静脈内注射+PTH療法のいずれかによって治療するか、または治療しない。術後第1日並びにその後第2週、第8週及び第12週に、イン・ビボマイクロCTを用いてラットを走査する。
定量分析によって、未治療群では術後8週であっても脊椎の欠損部が視認される状態が維持される一方、PTH及びMSC+PTH(40ug/kg)で治療したラットは、これらの部位において非常に高い骨形成が見られることが示される。骨量密度の変化に基づいて、(第1日との比較での)脊椎欠損部位における骨形成を算出したところ、MSC+PTH群は、MSCで治療したかまたは未治療のままかのいずれかの群と比較して、有意に高い値を有することが見出された(図9)。更に、小柱の厚さもMSC+PTHでの治療によって有意に増加した(図10)。
この手法の変化形は、更に、脊椎の欠損部における骨の修復に対して、より低用量のPTH(0.4及び4ug/kg)並びにMSCを適用することができるが、それというのも、これらの特定の用量は、現在骨粗しょう症患者に対して脆弱性骨折の予防のために用いられている臨床上の用量により近いからである。
実施例8
脂肪由来MSC(ADSC)及びPTHの併用治療は、椎骨骨折のブタモデルにおいて骨再生の加速を誘導
ミニブタの腰椎において骨に空隙部(直径4mm、深さ15mm)を設けた。記載のプロトコルに従ってブタADSCを単離した。各ブタに、4週間、週に1回5000万のADSCを静脈内注射する。更に、上記ブタに、PTHを40ugr/kg/日で4週間またはPBSのいずれかを注射する。更に2つの群のブタには、PBSのみまたはPTHのいずれかを与える。脊椎の欠損部の修復を監視し、且つX線画像法及び組織学的分析を用いて分析する。マイクロCT分析によって、早くも手術後4週で上記欠損部の顕著な治癒が示された(図11)。特に併用でのADSC−及び−PTH療法は、両方の単独での治療よりも大幅に効率的な形態で欠損部を再生させることに成功した。
実施例10
考察
卵巣摘出及び低カルシウム食餌により、ラットの腰椎において、骨塩量が15〜20%減少し、且つ小柱の厚さが30%超低下した。光学的画像法及び核画像法によって、静脈内送達後数日で、注射した幹細胞の動物の腰部へのホーミングが検出される。更に免疫組織化学的分析によって、注射した幹細胞は脊椎の欠損部位にホーミングするだけでなく、骨形成細胞に分化することも実証される。最終的に、併用での幹細胞−及び−PTH療法で治療した骨量減少ラットの脊椎の欠損部は、MSC単独で治療した欠損部と比較した場合に、治療後2ヶ月で骨量密度が2倍増加するとの結果となった。
これらの結果は、1ヶ月以内での椎骨の欠損部の完全な修復によって示されるように、特に骨粗しょう症患者における脊椎骨及び他の複雑骨折の治療に対して、間欠的なPTH投与と併用されるMSCの複数回静脈内注射が有効となり得るとの証左を提供する。これらの顕著な結果は、PTH単独またはMSC単独で治療した動物における骨の欠損部に勝り、上記単独での治療においては、有意に劣る骨修復が見られた。
実施例11
追加の研究設計
本発明者らは、初めに骨粗しょう症の免疫不全状態のラットモデル、その後ミニブタモデルにおいて、本発明者らの仮設を検証した(図12A、B)。ラットモデルにおいて、ldPTHまたはhdPTHのいずれかと併用で、hMSCを全身的に注射した。光学画像法及び免疫蛍光法を用いて、脊椎損傷部位へのhMSCのホーミングの度合い及びこの活性に関する可能性のある機序を評価した。ラットモデルにおいてイン・ビボμCTを用いることにより、且つミニブタモデルにおいてイン・ビボX線画像及びエクス・ビボμCT画像を用いることにより骨再生を定量し、組織学的分析を行うことによって再生を検証した。MSCの生体内分布及び本治療の可能性のある全身作用も同様に評価した。
実施例12
MSCの培養及びレポータ遺伝子による標識化
新しいヒト骨髄をロンザ社(メリーランド州ウォーカーズビル)から購入し、hMSCを標準的な手順に従って単離した。簡潔に説明すると、骨髄単核細胞を採取し、2×10細胞/cm2の密度で播種した。既報に従ってpMSCをブタ脂肪組織から単離した。簡潔に説明すると、安楽死させミニブタから皮下脂肪組織を回収し、その後酵素消化を用いて単核細胞を回収し、次いで10細胞/cm2の密度で播種した。両方の細胞型に用いた培地は週2回交換した。
構成的ユビキチンプロモーター下にLuc2を内包するレンチウィルスベクターでhMSCに形質導入した一方、前記ユビキチンプロモーター下に緑色蛍光タンパク質(GFP)及びホタルルシフェラーゼ(Luc)を内包するレンチウィルスベクターでpMSCに形質導入した。プラスミドは、Joseph Wu博士(スタンフォード大学、カリフォルニア州スタンフォード)及びEduardo Marban博士(シーダーズ・サイナイ医療センター、カリフォルニア州ロサンゼルス)から好意により提供を受けた。両ベクターは、それらの形質導入前に293HEK細胞中で作製した。GFP発現はフローサイトメトリーを用いて検証し、Lucの発現はイン・ビトロBLI(ゼノジェンIVISスペクトラム、パーキンエルマー社、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて実証した。顕微鏡での細胞識別のために、上記細胞を前述のようにして、注射直前にVibrant−CM−DiI(インビトロジェン、ライフテクノロジーズ、ニューヨーク州グランドアイランド)で標識した。
実施例13
脊椎の欠損部を設けたモデル
この調査で記載される全ての手順は、シーダーズ・サイナイIACUCによる認可を受けた。複数の脊椎の欠損部を、骨減少症ラット及び健康なミニブタの腰椎に設けた。これらの手順は補足資料中に詳述している。
ラット:麻酔後に、滅菌した手術用メスを用いて、各ラットの皮膚に5cmの切開口を設け、滅菌した濡れガーゼを用いて内臓を包んだ。次に、L4及びL5椎体を露出させた。1.8mm径の滅菌したトレフィン・ドリル刃先を装着したマイクロモータードリル(Stoelting社、イリノイ州)を用いて、椎体の中心を通る深さ2.5mmの、骨の欠損部を設けた。吸収性バイクリル3−0編糸(エチコン社)を用いて皮下組織層を連続的なパターンで縫合し、非吸収性エチロン2−0単糸を用いて皮膚を皮内のパターンで縫合した。最後に、皮膚領域を滅菌ガーゼ及び0.5%グルコン酸クロルヘキシジン溶液で清浄にした。
ブタ:術前18時間の絶食の後に、各ブタを筋内注射の薬剤(アセプロマジン0.25mg/kg、ケタミン20mg/kg、及びアトロピン0.02〜0.05mg/kg)で鎮静させ、それに続いて、動物にプロポフォール(2mg/kg)を静脈内注射して全身麻酔を誘導した。麻酔が効いた後気管に挿管し、処置の期間中、この気管内チューブを介して吸入させた1〜3.5%のイソフルランを用いて麻酔を維持した。腰部(L2〜5)上で20cmの後側部皮膚切開を行い、次いでL2〜5を側方腰筋横断後腹膜アプローチ(lateral transpsoas retroperitoneal approach)によって露出させた。各脊椎骨に、臨界的な大きさの、円筒状の骨の欠損部、深さ15mm、直径4mmを設けた。術後、吸収性皮下縫合糸で皮下組織を閉鎖し、吸収性皮内縫合糸で皮膚を閉鎖した。動物に周術期予防的抗菌剤投与及び術後鎮痛を施した。
実施例14
MSC及びPTHによる全身的治療
ラットに、術後第3日に開始して3週間毎日、皮下(SQ)投与によってPTHまたはPBSを与えた。2種の異なる投与量のテリパラチド(フォルテオ(商標)、イーライリリー社、インディアナ州インディアナポリス)、0.4μg/kg/日(ldPTH)または4μg/kg/日(hdPTH)を用いた。ブタには、術後第5日に開始して4週間、0.9%のNaCl溶液(pH5に調整)中に再懸濁した研究用グレードのPTH(1.75μg/kg/日)及び加熱不活性化した(56℃、1時間)2%のブタ血清(シグマ−アルドリッチ社)または薬物ビヒクルを投与した。全身的なMSC治療を受けるラットを2〜3%のイソフルランの吸入により麻酔し、これらに尾静脈を介してhMSC−Luc2を静脈内注射した。各ラットに、術後第3日に開始して3〜4日毎に、注射当たり2×10細胞で、計5回の注射を与えた。全身的なMSC治療を受けるブタには、pMSC−Lucを静脈内注射した。各ブタに、術後第5日に開始してその後週に1回、計4回の注射を与えた。各注射に関しては、50×10細胞を5mlの滅菌生理食塩水に懸濁し、耳静脈を介して注射し、追加の5mlの生理食塩水で流し込んだ。
実施例15
イン・ビボでMSCが脊椎の欠損部にホーミングする際のMSCの撮像
前述したように、欠損部位におけるルシフェラーゼの発現を、BLIシステムを用いて定量化した。簡潔に説明すると、光検出の前に、100%酸素と混合した1〜3%のイソフルランの連続投与によってラットを麻酔した。撮像の10分前に、ラットに、PBS中の126mg/kgのルシフェリン(プロメガ社、ウィスコンシン州マディソン)を腹腔内注射した。IVISスペクトルを用いて発光を評価した。露光時間を自動的に設定し、生物発光を、露光時間及び対象とする領域の面積に対して正規化したシグナルの合計として定量化した。
実施例16
未処置及び手術した脊椎骨のμCT分析
イン・ビボマイクロ・コンピュータ化断層撮影分析。コーンビーム・イン・ビボμCT撮像システム(vivaCT40、Scanco Medical社、スイス国ブリュッティーゼレン)を用いて脊椎骨を評価した。55kVp電位のX線管を用いてマイクロ断層撮影スライスを取得し、35μmのボクセルサイズで再構築した。
脊椎の欠損部修復の評価。組織形態計測的三次元評価を、全脊椎骨の小柱領域を含む関心体積(VOI)で行った。拘束三次元ガウシアンフィルタ(σ=0.8、サポート=l)を用いて部分的にVOIノイズを抑制した。グローバル閾値法を用いることによって、小柱骨組織を骨髄及び軟組織から分割した。直接三次元形態計測を用いて、マイクロ断層撮影データセットに基づいたBVD及びADの定量的評価を作成した。
脊椎の欠損部修復の評価。ラット:治癒を分析するために、欠損部の形成後の第1日並びに第2週、第4週、第8週及び第12週に再び、動物を撮像した。欠損部の縁の位置を第1日の走査で確認し、これらを基準の位置に合わせ、円筒状のVOI(直径1.68mm、高さ2.52mm)を三次元組織形態計測的評価のために規定した。各ラットにおいて得られた後続のμCT走査(術後第2週、第4週、第8週及び第12週に得られた走査)を、Analyze画像法ソフトウェア(AnalyzeDirect社、カンザス州)を用いて、自動的に対応する第1日の走査に対して規定された基準の位置に登録した。上記登録操作によって得られた解剖学的な一致によって、本発明者らは、残りの全ての時点に対して事前に規定した第1日の正確なVOIを適用することができた。当該VOIの骨量密度(BVD)及び見掛け密度(AD)を用いて新たな骨形成を評価した。
ブタ:治癒を分析するために、術後1週及び5週でX線フィルムを得た。ブタをケタミン(10mg/kg)及びデクスメデトミジン(0.08mg/kg)の筋内投与によって鎮静化させた。INFX−8000F DP−Iシステム(東芝、日本国)を用いて蛍光透視画像を得た。動物を横臥位に載置して回転撮影を行った。ブタを麻酔からの回復中に監視した。第2の一連の画像を得た直後にブタを安楽死させ、脊椎骨を切除した。当該の脊椎骨をμCTで走査し、前述の方法で評価した。各欠損部を基準の位置に合わせ、円筒状のVOI(4mm×l5mm)を三次元組織形態計測的評価のために規定した。当該VOIのBVD及びAD両方を用いて新たな骨形成を評価した。
実施例17
組織学的分析及び免疫蛍光画像法
術後12週(実験の終了時点)で回収したラットの脊椎骨、及び5週後に回収したブタの脊椎骨に対して、組織学的分析を実施した。これらの脊椎骨を前述のように、形態学的分析用に、切片化しH&Eを用いて染色した。免疫蛍光染色のために、組織を脱パラフィン化し、予備加温したTarget Retrieval Solution(商標)(Dako社、カリフォルニア州カーピンテリア)中、37℃、45分間のインキュベーションによって抗原を回収した。血清を含まないブロッキング溶液(Dako社)を塗布することによって非特異的抗原をブロックした。スライドガラスを、骨形成分化を調べるためにヒトBSP及びOcに対する一次抗体で染色し、MSCホーミングの機序を判別するために、SDF1、CXCR4、EGFR、及びアンフィレギュリンで染色した。一次抗体をスライドガラスに塗布して4℃で終夜インキュベートし、PBSを用いて洗浄除去し、当該スライドガラスを二次抗体(表1)と共に室温で1時間インキュベートし、その後PBSで洗浄除去した(表1)。次いで、スライドガラスを、暗所にて5分間、4',6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI、1μg/ml)で染色し、その後これらを再度PBSで3回洗浄した。VectaMountマウンティング培地(ベクターラボラトリーズ社、カリフォルニア州バーリンゲーム)を組織に塗布した。4チャンネルレーザー走査顕微鏡780(ツァイス社、カリフォルニア州プレザントン)を、倍率20倍、zスタック、及び5×5のタイル走査で用いて、スライドガラスを撮像した。ズームイン画像に関しては、単一のzスタック画像を作成した。全ての試料を同一のゲイン及び露出設定を用いて走査した。
(表1)免疫蛍光分析に用いる抗体
Figure 2017520537
実施例18
骨粗しょう症ラット脊椎骨骨折モデル:追加処置
骨粗しょう症の誘導:卵巣を外科的に除去した46週齢の雌の無胸腺ラット(Hsd:RH−Foxn1rnu)をハーランラボラトリーズ社(インディアナ州インディアナポリス)から購入した。本発明者らの施設に到着後、ラットを術前の4ヶ月間、0.01%のカルシウム及び0.77%のリン酸塩からなる低カルシウム食餌(LCD)(Newco Distributors社、カリフォルニア州)とし、その後通常の食餌を自由に与えた。(図19に示すデータは、上記LCDを8ヶ月間維持したラットにおいて得られたものであり、これらの動物は例外であった。)
術前ケア及び外科麻酔:各ラットを2-3%のイソフルランの投与により麻酔し、37℃の加温パッド上に背殿位で載置した。腰部上の皮膚を清浄にし、体毛を刈り込み、Betadine(登録商標)、続いてアルコールで3回拭った。術前に、動物にカルプロフェン(5mg/kg)を皮下注射した。
外科的処置:腹部正中切開を行い、白線に沿って腹腔内にまで拡げ、L1〜5脊椎骨上の内臓を露出させた。鈍的切開により、滅菌した手術用ハサミを使用して、所望の進入部位上で正中切開を行った。鈍的切開は、出血を最小限に抑え、血腫及び感染の危険性を減少させ、創傷治癒を容易にすることから、切断よりもより効率的である。更に、必要な場合には、手術中の血液損失を最小化するために焼灼器を用いた。内臓を慎重に露出させ、脇にずらして、脊椎の前部へ接近できるようにした。脱水を避けるために、滅菌した濡れガーゼを用いて内臓を包んだ。鈍的切開を用いて、脊柱の前縁部を、隣接する結合組織及び筋肉から単離した。3%過酸化水素溶液が最大限満たされた滅菌綿棒を用いて、残留した血液及び組織をL4及びL5椎骨から除去した。1.8mmの滅菌したトレフィン・ドリル刃先を装着したマイクロモータードリル(Stoelting社、イリノイ州)を用いて、各椎体の中心を通って深さ2.5mmの単一の骨の欠損部を設け、ラット当たり合計で2箇所の骨の欠損部とした。骨の欠損部形成が完了した後、腱及び組織を所定の位置に戻した。次いで、臓器を所定の位置に戻し、吸収性縫合糸で白線を閉鎖した。吸収性の合成単糸である外科用縫合糸で皮下組織層を閉鎖し、非吸収性の単糸縫合糸を用いて皮膚を閉鎖した。最後に、当該皮膚部位を滅菌ガーゼ及びBetadine(登録商標)、続いてアルコールで清浄にした。少量のDermabond Advanced(商標)(エチコン社、オハイオ州)を切開部に塗布して、いずれの感染をも低減させた。
実施例19
ブタ脊椎骨折モデル
動物モデル。合計12頭の成体の雌ユカタンミニブタ(S&S Farms社、カリフォルニア州)を用いた。これらの動物の平均体重±標準偏差は45.0±3.6kg、平均月齢±は9.2±1.2ヶ月であった。
術前ケア及び外科麻酔。術前18時間、ブタを絶食させた。疼痛を防ぐために、手術日の朝に鎮痛剤(カルプロフェン、4mg/kg)を経口投与した。薬物(アセプロマジン0.25mg/kg、ケタミン20mg/kg、及びアトロピン0.02〜0.05mg/kg)の筋内注射によって、各動物を鎮静化及び不動化させた。電気バリカンを用いて腰部から体毛を除去した。動物を加温した手術台上に側臥位で載置し、プロポフォール(2mg/kg)を静脈内注射して全身麻酔した。動物の気管に挿管し、治療の期間中、この気管内チューブを介して吸入させた1〜3.5%のイソフルランによって麻酔を維持した。Wet PVPI Preoperative Skin kit(CareFusion社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて手術部位の準備を行った。中心に孔のある完全滅菌した覆布を動物上に載置し、手術部位をPovidine(Jorgensen Labs社、コロラド州)を含有する滅菌済の粘着性外科用覆布で覆った。
外科治療及び術後ケア。腰部(L1〜L5)上で20cmの後側部皮膚切開を行い、次いで側方腰筋横断後腹膜アプローチによって露出させた。各脊椎骨(L2、L3、L4)に1箇所の、臨界的な大きさの円筒状の骨の欠損部、深さ15mm、直径4mmを設け、ブタ1頭当たり計3箇所の骨の欠損部とした。欠損部が確実に同一になるように、特注のドリル刃先ストッパーを装着した整形外科用ドリルを用いた。術後、吸収性縫合糸を用いて単純な連続縫合パターンで、皮下及び表皮下組織の両方を閉鎖し、ナイロン縫合糸を用いて、単純な結節縫合の技法で皮膚を閉鎖した。動物に周術期予防的抗菌剤投与及び術後鎮痛(カルポフェン(carpofen)及びブプレノルプニン(buprenorpnine))を施した。
脊椎の欠損部の自然再生の分析。脊椎の欠損部の自然再生を分析するために、欠損部を設けた後の第1日並びに第2週、第4週、第8週及び第12週に動物を撮像した。欠損部位における骨修復を評価するために用いたμCT操作は前述している。第1日の走査で見られた欠損部の縁の位置を確認し、これらを基準の位置に再度配置し、円筒状のVOI(直径1.68mm、高さ2.52mm)を三次元組織形態計測的評価のために規定した。各ラットにおいて、第2週、第4週、第8週、及び第12週に得られた後続のμCT走査を、新規な複数画像登録アルゴリズムを用いることによって、同一のラットにおいて第1日の走査に対して規定された基準の位置に自動的に登録した。上記アルゴリズムは、MATLABコードで実行され、当該脊椎骨に属する全てのセグメント化されたボクセルの点群に対して主成分分析を適用することによって初期登録近似を行い、それに続いて、類似性の尺度としての正規化された相互相関及び最適化手法としてのダウンヒル降下法(downhill descent)による、登録の体積に基づく微調整を行う。(有限会社Ixico、英国ロンドンからのライセンスに基づき、The Image Registration Toolkitを使用した。)上記登録操作を用いることによって得られた解剖学的な一致によって、本発明者らは、残りの全ての時点に対して事前に規定した第1日の正確なVOIを適用することができ、経時的に高精度の三次元組織形態計測的分析をもたらした。当該VOIのBVD及びADを用いて新たな骨形成を評価した。
ブタにおける血清学的分析。PTH治療の可能性のある悪影響を検証するために、ブタを、1μg/kg、1.75μg/kg、及び5μg/kgの3種の異なる用量のPTHのうちの1種、またはPTHなしで28日間治療した。2つの時点、すなわち治療の前後で、頸静脈穿刺によって上記のブタから無菌的に血液を採取した。4mlの血液を各ブタから採取し、Corvac一体型血清分離管に入れた。全ての試料をAntech Diagnostic社(カリフォルニア州アーバイン)に送り、全化学項目の分析を行った。
実施例20
統計的分析
グラフパッドプリズム5.0bソフトウェア(グラフパッドプリズム社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて上記データを解析した。結果を、平均値±標準誤差、P≦0.05、**P≦0.01、***P≦0.001、****P≦0.0001;ns 有意ではない、として示す。反復測定及びボンフェローニ事後検定と共に1要因分散分析または2要因分散分析を用いて、長期のデータ解析を行った。有意性を評価するために、P<0.05を統計的に有意と見なした。
実施例21
骨粗しょう症ラットの調査結果
卵巣切除と低カルシウム食餌(LCD)との組み合わせにより、ヒト細胞の移植を維持することができる免疫不全状態のラットにおいて、閉経後の骨粗しょう症ラットモデルを生み出した。類似のモデルは、免疫応答性ラットを用いて既報であった。卵巣摘出及び4ヶ月のLCDが十分に骨粗しょう症を誘発したことを確認した後(図19)、異なる群のラットにこの誘導プロトコルを与え、その後通常の食餌に切り替えた(LCD後)。マイクロ・コンピュータ化断層撮影(μCT)を用いて、LCDの開始前並びにLCD後第0日及び第8週及び第12週に再びこれらのラットを走査し、自発的な骨量増加を殆ど伴わない骨粗しょう症の持続を確認した(図12C〜E)。ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色によって、4ヶ月のLCD後に、動物の腰椎における小柱骨成分の劇的な減少を更に検証した(図12F)。その結果、4ヶ月のLCDが、最大限の不可逆的な骨粗しょう症を得るために最適と判断され、研究を通してこれを用いた。
実施例22
椎骨の欠損部へのMSCのホーミング
構成的ユビキチンプロモーター下にレポータ遺伝子ルシフェラーゼ2(Luc2)を内包するレンチウィルスベクターを、ヒトMSC(hMSC)に感染させて、ホーミング活性のイン・ビボでの撮像を可能にした。安定なhMSC−Luc2の遺伝子導入及びLuc2の構成的発現を、6継代にわたって定量的生物発光画像法(BLI)を実施することにより検証した(図13A、B)。その後の継代においてはLuc2発現の有意な変化は見られず(P>0.05)、このことはBLIがイン・ビボでhMSC−Luc2を追跡するために用いることができることを示す。
各骨粗しょう症ラットの2箇所の腰椎体に円筒状の欠損部を設けた。次いでこのラットに、合計5回の生理食塩水またはhMSC−Luc2のIV注射及び、術後第3日に開始して毎日、PBS、低用量PTH(ldPTH)、または高用量PTH(hdPTH)のいずれかを与えた(図12A)。これらラットを術後56日間、BLIを用いて監視した。各時点で腰部を覆う生物発光シグナルを定量した(図13C)。次に、生物発光シグナル(Σ全光束)の和を、異なる治療群に関して、時間に対してプロットした(図13D)。結果は、56日の調査の間、hMSC−Luc2群に関してΣ全光束の直線的な増加(r2=0.92)を示し、このことは、この群におけるhMSCが腰部へのホーミング及び生着の両方を起こしたことを示す。hMSC−Luc2+hdPTHで治療したラットに関しては、有意により高いΣ全光束が術後7日(p≦0.05)という早い段階及びその後の全ての時点で見られたのに対して(p≦0.01)、hMSC−Luc2+ldPTHで治療したラットにはこれが見られなかった。全体として、MSC−Luc2+hdPTHで治療した動物におけるMSCの蓄積の傾向は対数的であり(r2=0.98)、一方、PTHで治療していない動物では上記傾向は直線的であり、このことは、骨折部位へのMSCの動員及び上記細胞のその後の生存のパターンに大きな変化を示す。
実施例23
hMSC−PTH治療の椎骨の欠損部再生に対する効果
2種のPTH投与量(ldPTH及びhdPTH)を用いて、MSC−PTH併用療法の治療効果を評価した。次いで、上記効果を、各治療単独での効果及び治療なしでの効果(以下、「対照」と称する。)と比較した。イン・ビボμCTを実施することによって、術後のいくつかの時点で脊椎の欠損部における骨再生を監視した(図14A)。これらの走査を解析することにより、発明者らは、骨形成の指標である骨量密度(BVD、図14B)、及び骨質の指標である見掛け密度(AD、図14C)を定量化することができた。これらの結果は、対照群及びhMSC群においては、術後最初の2週の間に僅かに骨が再生すること及びその後の時点では更に骨は再生しないことを示した(図14C)。新骨は殆どが欠損部の縁部に形成された(図14A)。いずれの時点においても、上記2群の間に、BVDまたはADのいずれかにおける有意差は見られなかった(p>0.05)。ldPTHで治療したラットにおいて、対照群と比較して骨形成の有意な増進は見られなかった(p>0.05、図14B)。hMSC+ldPTHで治療したラットにおいてのみ、術後第2週という早い段階で、二次元断層画像上及び三次元再構成画像上の両方で、明らかな皮質骨及び小柱骨の形成が増加した(図14A)。この時点で、対照群及び単一治療群におけるよりも、hMSC+ldPTH群において、有意により高いBVD(p≦0.05、図14B)及びAD(p≦0.01、図14C)の値が見られた。両方のhMSC+PTH治療は、術後4週におけるBVDにおいて、hdPTH単独以外の全ての他の治療よりも優れていた(図14B、p≦0.01)。第8週までに、hMSC+ldPTH群における骨形成が十分となり、皮質が完全に再生し且つ脊椎骨の構造上の完全な状態を取り戻した一方、対照群のラットにおいては、皮質の不連続性及びより低い骨量が明らかに見られた(図14A)。興味深いことに、hMSC+hdPTH群とldPTH群との間にはいずれの時点でもBVDにおける有意差が見られなかった(p>0.05、図14B)一方で、第8週でこれらの2群の間にADにおける有意差が見られた(p≦0.01、図14C)。組織学的分析によって、対照群及びMSC群においては、再成長が非常に少なく、皮質または小柱帯を再生させることができないことが示された(図15A)。ldPTHで治療した動物において欠損部が部分的に再生はしたが、hMSC+ldPTHで治療した動物(図15A)においてのみ、皮質及び小柱帯の両方が再生した。hdPTH群及びhMSC+hdPTH群についても同様の傾向が見られた(図20A)。
実施例24
IV注射したhMSCの行く末
脊椎の欠損部再生に対する、全身的に投与したMSCの寄与を調査するために、本発明者らは、注射の前にこれらの細胞をDiIで標識し、後に回収した組織切片を、骨形成マーカーである骨シアロタンパク質(BSP)及びオステオカルシン(Os)に対する免疫蛍光抗体で染色した。本発明者らは、ヒト骨形成マーカーに対する抗体を用いたが、ラットのタンパク質と一部交差反応が予想され、そのため、全ての骨形成細胞はDiI染色したドナーのヒト細胞と共局在化してはおらず(図15B)、このことは宿主細胞の寄与を示す。上記DiI染色細胞は全てのMSC注射を行った群の脊椎の欠損部に見られたが、細胞の存在量は、PTHによる治療も受けた動物で定性的により高いように思われた。多くの注射した細胞は海綿骨中に見られ、この海綿骨では新たな組織が形成されたが、皮質領域中には見られなかった。DiI染色した細胞とOc及びBSPとの共局在化によって、注射した細胞の一部は分化マーカーのいずれかまたは両方を発現した一方、その他の細胞はどちらも発現しなかったことが示された。骨形成マーカーに対する一部の染色がPTH治療群で観察され、これはおそらくPTHの同化作用に起因する。重要なことは、MSC−PTH治療を受けたラットの再生した欠損部に、より多くの細胞が視認されたことである。欠損領域における顕微鏡によるMSCの検出に加えて、Luc2に対するPCRを用いてこれらの細胞の全身的な生体内分布を評価した。MSCの形跡は唯一動物の肺に見られた(図20)。
実施例25
細胞遊走及び化学誘引分子の発現
PTHに誘導される脊椎の欠損部への幹細胞のホーミングの機序を調べるために、本発明者らは、前に調査した細胞遊走の2種の経路の活性化を評価した。まず、本発明者らは、最も広範に研究されている幹細胞の損傷部位への動員及びホーミングの経路であり、PTH療法によって増進されることが知られているSDF1/CXCR4系を調査した。この調査において、本発明者らは、欠損部位における宿主細胞によるSDF1の発現及び、SDF1に対する受容体であり、報告によればホーミングする細胞によって発現されるとされるCXCR4の発現を測定するために、回収した脊椎骨切片を染色した。本発明者らは、PTHで治療し、且つhMSCで治療したまたはhMSCによらない治療を受けた動物の脊椎の欠損部においてSDF−1を発現する細胞を認めたが、対照群においてはSDF−1の発現は見られなかった。CXCR4に関して、本発明者らは、hMSC治療群の動物由来の組織において多少の陽性細胞を検出したことから、その一部はDiI標識ドナー細胞と共局在化することができた(図16A)。MSC−PTH治療群において、本発明者らは、多くの、CXCR4を共発現するDiI標識MSCを認めた一方、SDF1の発現は、欠損部内部及び欠損部の縁にある宿主細胞に限定されていた。本発明者らは、PTH治療群においてCXCR4の発現は認めなかった。そのPTHはまた、骨芽細胞及び骨細胞の両方において、EGF受容体(EGFR)を介してシグナルを送る上皮成長因子(EGF)様リガンドであるアンフィレギュリンの発現を刺激することによって、MSCを損傷部位へと誘引することが報告されている。ここで、本発明者らは、分泌されたリガンド(アンフィレギュリン)及び受容体(EGFR)の両方に対する抗体を用いて、脊椎の欠損部位を染色した。SDF1/CXCR4の発現と同様に、アンフィレギュリンはPTH群において検出され、EGFR染色はDiI標識MSCと共局在化していた(図16B)。
実施例26
予備的なブタの調査
上記のラットの調査結果に従って、本発明者らは、免疫応答性の大型動物モデルにおける椎骨再生に対するMSC−PTH併用治療の効果を調査した。上述のものと同様にして、ミニブタの腰椎に骨の欠損部を設けた(図12B)。上記ミニブタを、週に一度で4回の、同種異系のブタMSC(pMSC)またはPBSのIV注射のいずれか、及び4週間、毎日のPBSまたは1.75μg/kgのPTHの皮下(SQ)注射で治療した。骨形成をイン・ビボX線蛍光透視法、それに続いてエクス・ビボμCT走査を用いて監視した。本発明者らは、各群(それぞれ3箇所の欠損部を有する3頭のブタ)について9箇所の欠損部を解析した。
実施例27
ミニブタの脊椎の欠損部における骨再生
術後数日で得た側位X線フィルムは、大きさ及び解剖学的位置(図17A)が類似したX線透過性の欠損部を示した。術後第5週では、全ての対照群において、欠損部は明確に視認される状態を維持していたが、pMSC+PTH群においては視認されなかった。対照群において、放射線不透過性の周縁部は欠損部位の外周における骨形成を示したが、欠損部の周囲の組織よりもより放射線透過性の状態を維持していたことから、欠損部自体が治癒しているようには見えなかった。これとは対照的に、pMSC+PTHで治療したミニブタにおいては、欠損部位自体が周囲の損なわれていない組織よりもより放射線不透過性であり、このことは、以前に欠損した骨が、元来の椎骨よりもより大きな骨塩量で再生したことを示す。X線の所見はμCT分析によって裏付けられ、該μCT分析は、pMSC+PTHで治療した欠損部位のBVD(p≦0.05、図17B)及びAD(p≦0.05、図17C)が、対照において測定されたBVD及びADよりも約2倍高いことを示した。結論として、両方のpMSC+PTHで治療したミニブタのみが骨の欠損部の完全な治癒を示した一方で、単独でのいずれの治療もが、治癒過程に影響を及ぼしたとは思われなかった(p>0.05、図17B、C)。組織学的分析によって、対照群においては、欠損部の縁部で密な骨の皮質様の形成があったのに対して、MSC−PTH治療群においては、欠損部位が、周囲の損なわれていない椎骨よりもより高密度の小柱骨によって充填されたことが示された(図18A)。
実施例28
IV注射したpMSCの行く末
骨の欠損部の再生に対する同種異系のブタMSCの寄与を、蛍光顕微鏡及びIV注射したDiI標識細胞の撮像を用いて検出した(図18B、C)。上記ラットモデルと同様に、投与した細胞は、殆どが欠損の領域、新たに形成された骨組織の骨髄中に認められ、小柱骨組織自体には組み込まれていなかった。また、上記ラットと同様に、細胞の一部がOs発現細胞と共局在化し、このことは骨形成分化を示す。欠損部位で認められたMSCに加えて、他のMSCが脾臓及び肝臓において検出されたが、pMSC+PTHで治療したブタにおいては検出されなかった(図21)。
実施例29
骨粗しょう症を誘導するために最適な低カルシウム食餌の期間の判定
LCDの最適な期間を判定するために、卵巣摘出ラットを8ヶ月のLCDに供し、その期間に、マイクロ・コンピュータ化断層撮影法(μCT)を用いて、損傷を与えていない脊椎骨における骨塩減少を評価した。2ヶ月のLCD後に有意な骨量密度(BVD)及び見掛け密度(AD)の減少が観察された(図19)。BVDは更に2ヶ月間(すなわち、合計で4ヶ月間のLCD)減少し続けた一方、ADは2ヶ月後にほぼ一定のままであった。LCDを8ヶ月維持したところ、4ヶ月継続したLCDと比較した場合、骨密度や他の構造上のパラメータへの影響に有意差を生じなかった。従って、卵巣を摘出したヌードラットにおいて骨粗しょう症を誘発させるために、4ヶ月間のLCDが選択された。
実施例30
MSCの生体内分布アッセイ
動物を安楽死させた直後に種々の器官(脳、骨髄、肝臓、肺、心筋、骨格筋、及び脾臓)を生検し、これらを急速冷凍した。次いで、上記組織を均質化し、DNA抽出キット(キアゲン社、カリフォルニア州バレンシア)を用いてDNAを抽出した。ラット及びブタの両方が、ルシフェラーゼ(Luc)を発現するように形質導入されたMSCの全身的投与を受けていることから、DNA試料を、定量的PCRを用いてLuc発現について試験し、18Sハウスキーピング遺伝子に正規化した。
実施例31
代謝バイオマーカーに対するPTH治療の影響
高カルシウム血症は、PTH治療後の主要な懸念事項である。従って、上記ブタを4週間、種々の用量のPTH(最大5μg/kg)で治療し、それらの血清を分析した。いずれの治療群においても、カルシウム及びリン酸塩の血清濃度に変化は認められなかった。血清中クレアチニン濃度は治療を通じて維持され、これは正常な腎機能を示す。ブタの代謝バイオマーカーのいずれにおいても変化は観測されなかった。上記の治療はアルカリホスファターゼ(ALP)またはアルブミンの濃度に影響を及ぼさず、これらはそれぞれ、肝機能または骨代謝回転に障害がないことを示す(図22A〜E)。これらの結果は、短期間に投与される、投与量が増加するPTHは、全身的な影響を生じることなく良好な忍容性を示し、それ故に安全であることを示している。
実施例32
hdPTHで治療した骨粗しょう症ラットにおけるhMSCの行く末
2種の異なる投与量のテリパラチド(フォルテオ(商標)、イーライリリー社、インディアナ州インディアナポリス)、0.4μg/kg/日(ldPTH)または4μg/kg/日(hdPTH)によって骨粗しょう症ラットを治療した。全身的に投与したhMSCの、脊椎の欠損部再生に対する寄与を調査するために、本発明者らは、注射の前にこれらの細胞をDiIで標識し、後に回収した組織切片を、骨形成マーカーである骨シアロタンパク質(BSP)及びオステオカルシン(Os)に対する免疫蛍光抗体で染色した。更に、PTHに誘導される、脊椎の欠損部への幹細胞のホーミングの機序を調べるために、本発明者らは、前に調査した細胞遊走の2種の経路、すなわち、SDF1/CXCR4及びAmp/EGFRの活性化を評価した。結果は、両方のPTHの用量において、本発明者らが、DiI標識hMSCが上記骨形成マーカー並びにCXCR及びEGF受容体を共発現することを見出したことを示した。
実施例33
考察
本発明者らの結果は、骨粗しょう症ラット及び健康なブタに設けた脊椎の欠損部が、MSC+PTH併用治療の結果、効率的に修復されたことを示した。これは、単独での治療のいずれかを受けたまたは治療を受けていない動物における結果と対照的である。更に、PTHの投与は、椎骨の欠損部へのhMSCのホーミングを増進させた。
現在の骨粗しょう症の患者の治療は、殆どがアレンドロン酸ナトリウム及びPTHなどの薬剤を用いたOVCFの予防に重点を置いている。テリパラチド(PTHの1−34部分)は唯一のFDA認可骨粗しょう症の同化剤である。前臨床試験は、骨折の治療法としてのPTHの可能性を裏付ける。Einhorn及び共同研究者らは、PTHが骨折仮骨の質を向上させ、骨塩含量及び密度を増加させ、且つラットの大腿骨骨幹部骨折モデルにおける軟骨内骨化を加速することを実証した。ある研究者らは、40μg/kgのPTHまたは生理食塩水で7日間治療したマウス由来のMSCの表現型を評価することによって、PTHによって加速される長骨骨折修復の根本的な機序を調査した。彼らの結果は、これらのマウスにおいて、PTHが、MSC中に骨芽細胞転写因子Osx及びRunx2を誘導し、骨芽細胞の成熟及び骨折の治癒を加速することを示した。他の報告では、PTHが、骨芽細胞中でのCXCL12及びSDF1の発現を誘導することによって、骨へのMSCの動員を刺激することが実証された。
しかしながら、PTHを、骨折治癒を援助するために試験した無作為化臨床治験において、矛盾する結果が認められた。結果の違いは、骨折部位及びPTH投与量を含む研究デザインの違いに関係している可能性があり、従って、テリパラチド単独で骨折修復を加速するかどうかを知るためには、より多くの証左が必要となる。本研究において、本発明者らは、骨粗しょう症のラットモデルにおいて、臨床的に妥当なPTHの投与量は椎骨修復に対して限定的な影響しか有しておらず、PTH及びMSCの併用療法に対して著しく劣ることを示した。
PTHの同化作用としては、骨格量、骨代謝回転、及び骨強度の増加が挙げられる。しかし、骨形成よりも骨吸収がより刺激されるために、副甲状腺機能亢進症において起こるような過剰な内因性PTHの連続放出は、骨格に対して有害である場合があり、このことが安全な治療の継続期間を制限する。従って、PTHの投与量及び断続的な投与期間は、治療結果に重要な役割を果たす。現在、FDA認可の治療は、20μg/日(約0.3〜0.5μg/kg)で最長2年間である。骨折修復を高めるために前臨床試験で用いられる投薬量は、小動物において0.4μg/kg〜40μg/kg、大型動物において1μg/kg〜5μg/kgである。いくつかの研究は、PTHに対して明確な用量応答性を示したのに対して、他の研究は、より高い投与量のPTHが必ずしもより良好な結果を与えないことを示した。後者の研究における知見と一致して、本発明者らの結果は、0.4μg/kg(ldPTH、20μg/日の臨床投与量に相当)の投与量が、骨粗しょう症ラットにおける骨の欠損部の修復を加速する上でより好結果であることを示した。ブタにおける本発明者らの結果は、より高投与量(1.75μg/kg)を用いて達成したものであるが、これは、他の大型動物での研究において報告されたものよりも大幅に低い投与量である。
この研究は、非侵襲性の全身的幹細胞及びホルモン療法を用いることによる、圧迫骨折を模倣する脊椎の欠損部の有効な再生を実証する。数週間のPTH療法と組み合わせたIVでの細胞投与のいくつかのセッションは、げっ歯類(図14、15)及び大型動物のブタ(図17、18)モデルにおいて、脊椎の欠損部の顕著な再生に繋がった。げっ歯類モデルによって、本発明者らは、骨の欠損部の治癒が著しく損なわれる骨粗しょう症の動物における発明者らの仮説を検証することができた。上記併用療法が好結果でこの障害を克服したことから、本発明者らは、骨粗しょう症の患者における同様の治療が、同様に成功することが証明できると考える。更に、免疫不全状態の動物を用いて、本発明者らは、ヒトMSCのホーミング及び分化を試験することができた。ここで、本発明者らは、骨格の大きさと人間の骨格の大きさとの間の類似性を利用して、ミニブタを用いた。全てのブタは健康であったが、対照群の動物は、5週間以内に欠損部を再生しなかった(図17、18)。更に、ブタの調査で利用したMSCは同種異系であり、MSCは、その免疫特権的特性及び免疫調節特性で知られることから、如何なる免疫抑制療法も用いずに注射を行った。この研究の結果は、同種異系MSCは、免疫抑制療法なしで全身的に用いることができることの積み重ねの証拠を補強し、このことは、ヒトの臨床診療における将来の治療のための利点を有する。
驚くべきことに、上記ラットの脊椎の欠損部中に形成された殆どの骨が、骨量の定量試験の結果から明らかなように、術後最初の2〜4週間の間に認められた(図14B)。ところが、上記治療の骨塩量に対する効果は、殆どが長期において明確となった(図14C)。
脊椎の欠損部の再生に対するMSCの寄与が明らかであった。投与した細胞のどの程度の割合が実際に目的の部位にホーミングするかを推定することは困難であるが、イン・ビボ画像法及びIHF分析の両方が、欠損部及び近傍に存在する細胞の顕著な数を検出した。興味深いことに、DiIを用いて検出された殆どのドナー細胞は、骨細胞として新たな骨に取り込まれておらず、新たな骨の骨髄に認められ、このことは、骨細胞への分化及びマトリックス分泌ではなく、再生過程におけるより調節的な役割を示す。
DiI染色細胞と骨形成マーカーとの共局在化は、ドナー細胞が、その分化に同期していない、すなわち、一部の細胞は上記マーカーの一方を発現し、一部の細胞は両方の上記マーカーを発現し、一部の細胞は全く発現しないことを示した。この知見は、おそらく、投与した細胞が治療における異なる段階で欠損部位にホーミングし、従って分化の異なる段階にあったという事実に起因する。
以前の研究では、IV注射したMSCの一部について、骨へのホーミング及び標的化を増進させるための低分子の使用を調査した。しかしながら、これらの研究において、研究者らは、損傷モデルにおける骨再生を誘導するMSCの能力ではなく、無傷の骨構造を増強するMSCの能力を調査した。ここで本発明者らは、PTHが、椎骨の欠損部へのMSCのホーミングに対する有意な効果を有することを示した。PTHによって増進することができるホーミングの機序はまだ完全には記載されていないが、その要素のいくつかを調査し、確認している。本発明者らの結果は、PTHが、PTHの十分に確立された骨同化効果に加えて、おそらく複数の経路を介して宿主MSCの損傷部位へのホーミングを増加させることを示している。発明者らの知見と以前の報告の知見との間の主要な違いは、本発明者らが、PTHは、幹細胞療法においてアジュバントの役割を果たし、複数の全身的な細胞の注射のホーミング及び分化を支援するために必要な最小限の期間で最小限の投与量で与えることができることを見出したことである。本発明者らの結果は、hMSCが損傷した脊椎骨にホーミングし、骨芽細胞に分化したことを示している。興味深いことに、hMSCは、PTHの投与に応答して用量依存的な形態で欠損部位にホーミングした。しかし、MSCの有意により高いホーミングを誘導した投与量(4μg/kg)の治療効果は、より低い投与量(0.4μg/kg)と有意には異ならなかった。本発明者らはブタにおける細胞のホーミングを直接測定することはできなかったが、本発明者らは、ブタにPTHを与えた場合に、MSCが脾臓ないし肝臓に認められなかったことを見出し(SF2)、このことは、PTHが非特異的な体内分布を減少させ、MSCの損傷部位へのホーミングを増加させることを示唆する。
本研究の限界は、骨粗しょう症の大型動物において発明者らの結果を検証することができない点にある。骨粗しょう症のブタを生み出す試みは殆どなされておらず、これまでのところこのようなブタは完全に確立されてはおらず、極度に高価である。発明者らの安全性試験により、投与したMSCは意図した椎体中のみに留まることが示され、また、治療での1.75μg/kgよりも高い用量においてさえも、PTHの毒性の兆候は示されていない。但し、これらは非常に限られた調査であり、本療法を臨床における使用に供するためには、拡大する必要がある。
本研究は、特に骨粗しょう症の患者における、脊椎骨及びその他の複雑骨折の治療に革命をもたらす可能性がある、将来の療法に関する証左を提供する。これは、OVCFを治療するための治療薬候補として、同種異系MSCの開発に向けた重要なステップである。同種異系細胞の利点は、該細胞が、患者が骨髄吸引などの追加の医療処置を受けることを必要としないことである。この全身的な手法は、複数のOVCFの非侵襲的な治療を初めて可能にする、更なる歴史的な利点を有する。
実施例34
生命に危険が及ぶ肋骨骨折に対する全身的MSC及びPTH療法
本発明者らは、全身的なMSC及びPTH治療薬の静脈内投与からなる、RFを治療するための新規な併用手法を開発した。まず、本発明者らは、複数の肋骨骨折があるラットモデルを創り出し(図23A)、仮骨の顕著な形成を観測した(図23B)。それにも拘わらず、欠損部の縁は統合されなかった(図23C)。
実施例35
肋骨骨折部位におけるMSCホーミング及び修復の増加
次に、ヒト骨髄からMSCを採取し、構成的ルシフェラーゼ発現を用いてタグ付けを行った(図24A)。210のhMSCを、術後3日、7日、10日、14日及び17日に繰り返しラット尾静脈に注射した。並行して、これらのラットに、毎日4ug/kgのPTH類似体(テリパラチド)の皮下注射を与えた。術後1週で、顕著な生物発光シグナルが骨折部位において検出され(図24B)、これは骨折部位への細胞のホーミングを示す。術後14日に、イン・ビボuCT分析によって、未治療のラットと比較して、hMSC及びPTHで治療したラットにおいて骨折の修復が見られ、未治療のラットにおいては、骨折がブリッジングされていないままであった。
上述の種々の方法及び技法は、本発明を実施する多くのやり方を提供する。当然のことながら、記載する全ての目的または利点が、本明細書に記載のいずれかの特定の実施形態に従って必ずしも達成されない場合もあることを理解する必要がある。従って、例えば、当業者は、本方法が、本明細書に教示され若しくは示唆される場合がある他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示される1つの利点若しくは利点の群を達成するまたは最適化する形態で実施することができることを認識するであろう。種々の有利な及び不利な選択肢が本明細書に記述される。いくつかの好ましい実施形態が具体的に1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を含む一方、他の実施形態は具体的に1つの、別の、またはいくつかの不利な特徴を含み、一方更に他の実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を含むことによって、具体的に現在の不利な特徴を軽減することを理解する必要がある。
更に、当業者は、異なる実施形態からの種々の特徴の適用可能性を認識することとなろう。同様に、様々な要素、上述の特徴及びステップ、並びにかかる各要素、特徴またはステップに関する他の公知の等価物は、この技術分野の当業者によって、混ぜ合わされ調和されて、本明細書に記載の原理に従った方法を実行することができる。様々な要素、特徴、及びステップの中で、多様な実施形態において、あるものは具体的に取り込まれ、他のものは具体的に排除されることとなる。
本発明をある特定の実施形態及び実施例の文脈で開示してきたが、本発明の実施形態は、具体的に開示した実施形態を超えて、他のこれらに代わる実施形態及び/または使用及びそれらの改変及び均等物にまで拡張されることは、当業者によって理解されよう。
本発明の実施形態には、多くの変化形及び代替要素が開示されてきた。なお更なる他の変化形及び代替要素が当業者には明らかとなろう。これらの変化形の中には、限定するものではないが、骨粗しょう症の患者及び骨折などの関連する状態の予防方法または治療方法、記載の技法において用いられる間葉系幹細胞の単離方法または改変方法、治療薬及び/または上述の技法によって生起される間葉系幹細胞の組成物、それらにおいて用いられる溶液の技法及び組成物及び使用、並びに本発明の教示によって創生される生成物の特定の使用がある。本発明の様々な実施形態は、具体的には、これらの変化形若しくは要素のいずれかを含むまたは除外することができる。
いくつかの実施形態において、本発明のある特定の実施形態を説明及び権利請求するために用いられる、成分の量、濃度、反応条件などの特性を表す数値は、ある場合には、用語「約(about)」によって修飾されるものとして理解される必要がある。従って、いくつかの実施形態において、明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、且つ通常の数値の丸め技法を適用することによって解釈する必要がある。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにも拘わらず、特定の例に示される数値が可及的に正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態において提示される数値はそれらのそれぞれの試験測定に存在する標準偏差に必然的に起因する、ある特定の誤差を含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の特定の実施形態を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲のある特定の文脈において)用いられる用語「一つの(a)」及び「一つの(an)」及び「その(the)」並びに類似の言及は、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈することができる。本明細書における値の範囲の記述は、当該範囲内の各個々の値に個別に言及する簡略表記法としての役割を果たすことを単に意図する。本明細書において別段の表示がない限りにおいて、各個別の値は、それが本明細書に個々に記述されているのと同様に、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書において別段の表示または別段の文脈による明確な矛盾がない限りにおいて、任意且つ適宜な順序で行うことができる。本明細書においてある特定の実施形態に関して提供されるいずれかの及び全ての例、または例示的な語法(例えば「など」)は、単に本発明をより明らかにすることを意図しているのであって、別段に権利請求される本発明の範囲に限定を設けるものではない。本明細書中の語法はいずれも、本発明の実施に必須の、任意の権利請求していない要素を示すものと解釈されるべきでない。
本明細書に開示される発明の代替の要素または実施形態の群化は、限定と解釈されるべきではない。群の各構成員は、個別にまたは当該群の他の構成員若しくは本明細書に存在する他の要素との任意の組み合わせで言及するあるいは権利請求することができる。群の1または複数の構成員は、便宜のため及び/若しくは特許性のために、群に含めることまたは群から削除することができる。何らかのかかる含めることまたは削除することが発生した場合には、本明細書は、ここで、その群を修正されたものとして含み、その結果添付の特許請求の範囲で用いられる全てのマーカッシュ群の記載を満たすと見なされる。
本明細書には、発明者が知得している、本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が記載される。当業者にとって、上述の説明を読んだ後には、これらの好ましい実施形態の変化形が明らかとなろう。当業者が適宜にかかる変化形を採用することができること、及び本発明が本明細書に具体的に記載されたもの以外の形態で実施することができることが企図される。従って、本発明の多くの実施形態は、適用法令により許可される、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載の主題の全ての改変及び均等物を包含する。更に、それらの全ての可能な変化形における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段の表示または別段の文脈による明確な矛盾がない限りにおいて、本発明に包含される。
更に、本明細書を通して、特許及び刊行物に関して多数の参照が行われている。上記に引用した参考文献及び刊行物のそれぞれは、参照によりそれらの全体が個別に本明細書に援用される。
最後に、本明細書に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることが理解される必要がある。採用することができる他の改変は本発明の範囲内とすることができる。このように、限定としてではなく例として、本発明の代替的な構成を、本明細書の教示に従って利用することができる。従って、本発明の実施形態は、厳密に示した及び説明した通りのものに限定されるものではない。

Claims (31)

  1. 対象を選択する段階;および
    ある量の間葉系幹細胞(MSC)及びある量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階
    を含む、骨組織を調節するための方法であって、
    MSC及びPTHの両方の投与が前記対象において骨組織を調節する、方法。
  2. 前記MSC及びPTHの投与が同時である、請求項1に記載の方法。
  3. 更なるPTHの投与を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記MSC及びPTHの投与が逐次的である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記MSCの投与が前記対象への静脈内注射を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記PTHの投与が前記対象への皮下注射を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記MSCの量が、少なくとも1×10、2×10、3×10、4×10または5×10細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記PTHの量が、0.1〜1、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、または少なくとも40ug/kgを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 骨組織を調節することが、小柱の厚さ及び/または骨密度の変化を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記小柱の厚さ及び/または骨密度の変化が脊椎骨におけるものである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記脊椎骨が腰椎骨である、請求項10に記載の方法。
  12. 骨組織を調節することが、1本または複数本の肋骨における小柱の厚さ及び/または骨密度の変化を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記MSCが異種タンパク質を発現する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記異種タンパク質が骨形態形成タンパク質(BMP)を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記BMPがBMP−2、BMP−6、またはそれらの両方を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 対象を選択する段階;および
    ある量の間葉系幹細胞(MSC)及びある量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階
    を含む、間葉系幹細胞のホーミングを増加させるための方法であって、
    MSC及びPTHの両方の投与が前記対象においてMSCのホーミングを増加させる、方法。
  17. 前記MSCのホーミングが脊椎骨において起こる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記脊椎骨が腰椎骨である、請求項17に記載の方法。
  19. MSCのホーミングが1本または複数本の肋骨において起こる、請求項16に記載の方法。
  20. ある量のMSCの投与が、前記対象への少なくとも1×10細胞の静脈内注射を含み、ある量のPTHの投与が、前記対象への少なくとも0.1ug/kgのPTHの注射の皮下注射を含む、請求項16に記載の方法。
  21. 少なくとも1週間、2週間、または3週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記MSCが異種タンパク質を発現する、請求項16に記載の方法。
  23. 前記異種タンパク質が骨形態形成タンパク質(BMP)を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記BMPがBMP−2、BMP−6、またはそれらの両方を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記MSCがヒト型であり、かつ骨髄または脂肪組織由来である、請求項16に記載の方法。
  26. 前記MSCが、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+のうち1種または複数種を発現する、請求項16に記載の方法。
  27. 前記MSCがCXCR4+を発現する、請求項16に記載の方法。
  28. ヒト対象を選択する段階;
    少なくとも1×10の量のヒト間葉系幹細胞(MSC)及び少なくとも0.1ug/kgの量の副甲状腺ホルモン(PTH)を投与する段階;および
    少なくとも1週間の、少なくとも0.1ug/kgのPTHの更なる毎日の投与
    を含む、骨粗しょう症関連の状態を治療するための方法であって、
    ヒトMSCの投与が静脈内注射を含み、PTHの投与が皮下注射を含み、MSC及びPTHの両方の投与が骨粗しょう症関連の状態を治療した、方法。
  29. 前記PTHの量が1〜5ug/kgを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記MSCが骨髄または脂肪組織由来であり、CD90+、CD44+、CD29+、CD73+、及びCD105+を発現する、請求項28に記載の方法。
  31. 骨粗しょう症関連の状態が脊椎圧迫骨折を含む、請求項28に記載の方法。
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