JP2017513839A - 凍結融解後に薬物ナノ結晶を形成するリポソーム - Google Patents

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Abstract

表面活性剤および凍結保存剤を含むリポソームを製剤化するための方法が提供され、該リポソームが、長期安定性のために凍結されることができ、かつ融解すると即時放出送達および持続放出送達のプロファイルを提供する。具体的なリポソーム製剤は抗感染薬を含み、かつ、気道感染症および他の医学的状態の治療のためのそれらの送達、ならびにそれらと関連して使用される装置および製剤が記載されている。

Description

発明の分野
本発明は、例えば、様々な微生物または細胞内病原体によって引き起こされる気道感染症を治療するための、薬学的組成物に関する。特に、本発明は、凍結融解後に、改変された放出プロファイルを有し、該放出プロファイルが抗感染薬などの薬物の即時放出および持続放出を提供する、製剤に関する。これらは、様々な方法によって送達することができる。例えば、これらの製剤は、嚢胞性線維症(CF)、非CF性気管支拡張症、COPD、および非結核性抗酸菌(NTM)を含む細胞内肺感染症の治療、ならびにバイオテロリズム感染症、特に、吸入によって伝染し得るもの、例えば、炭疽、野兎病、肺ペスト、類鼻疽、およびQ熱の予防および治療のために、吸入によって送達することができる。
発明の背景
感染症は、様々な微生物によって引き起こされる。医療界にとっては治療の負担および費用の増大を含み、患者にとっては、より侵襲的な治療パラダイムおよび深刻な疾患またはさらには死亡の可能性という点で、無数の結果を、持続性の感染症は招く。微生物に既に感染している患者の感染症を根絶する速度または有効性を高めるだけでなく、感染しやすい患者が感染症にかかるのを防止することを目的とする予防処置を提供するために、改良された治療パラダイムが利用可能であれば、有益であると考えられる。
特に、嚢胞性線維症(CF)は、P.エルギノーサ(aeruginosa)(PA)を含む持続性または治りにくい(tenacious)気道感染症に患者がしばしばかかる疾患の一例である。再発性PA肺感染症に関連している別の疾患は、非CF性気管支拡張症である。また、COPD患者の一部は、PA肺感染症に罹患し、多くは気管支拡張症に罹患している。
速度の速いコロニー形成、および嚢胞性線維症(CF)患者のPA感染症をうまく取り扱うという難題により、安全かつ有効な抗生物質を探すことが必要となっている。現在、吸入用のトブラマイシン、コリスチン、またはアズトレオナムが、CFの標準治療である。現在、NTM感染症患者の治療のため、または非CF性気管支拡張症患者のために、認可されているものはない。
アジスロマイシンは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)に対する活性を有しているが、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、または他のグラム陰性非発酵菌に対する直接的活性は有していない(Lode H et al., 1996)。トブラマイシンは、P.エルギノーサに対する活性を有するが;しかし、継続治療すると耐性分離株を有する患者数が3ヶ月後に約10%から80%に増加したため(Smith AL et al., 1989)、28日間治療し、その後、治療を28日間中断する、間欠的な投薬計画に至った。抗感染性治療物質(therapy)を継続的に送達し、同時に耐性分離株の発生を引き続き阻害する治療計画を開発することにより、改良された治療パラダイムを提供することができる。慢性のPA気道感染症が、依然としてCF患者の病的状態および死亡の主な原因であることは、注目すべきことである。患者が肺増悪を経験する場合、β-ラクタムおよびアミノグリコシドからなることが多い抗シュードモナス全身療法を用いることで、臨床的改善および細菌量の減少がもたらされる場合がある。しかし、感染症の根絶は、極めてまれである。
CF気道において、PAは、最初は非粘液性の表現型を有するが、最終的には粘液性菌体外多糖を産生し、有機的にまとまってバイオフィルムになり、これは気道感染症が急性から慢性に進行したことを示す。バイオフィルム中の細菌は嫌気性環境のせいで増殖が非常に遅く、休止状態の細胞は浮遊状態で増殖する細胞よりもはるかに感受性が低いため、抗微生物剤に対して本質的に耐性である。バイオフィルム細胞は抗菌剤に対する耐性が少なくとも500倍強いことが報告されている(Costerton JW et al., 1995)。したがって、粘液性表現型への移行およびバイオフィルムの生成は、細菌を宿主防御から保護し、細菌細胞への抗生物質の送達を妨害することにより、慢性感染を起こしているCF患者におけるPAの存続に寄与している。CFに罹患している個体の看護および治療を改善するために多くの努力がなされており、平均寿命は延びているが、CFに罹患している人達の生存年齢の中央値は、30歳代後半までにすぎない(CF Foundation web site, 2006)。
非結核性抗酸菌(NTM)による肺感染症もまた、治療が困難であることで悪名が高い。それらの菌は、マクロファージ内部およびバイオフィルム中を含む様々な形態で肺中に存在する。これらの場所は、抗生物質を用いて接近することが特に難しい。さらに、NTMは、休眠期(休止状態(sessile)と呼ばれる)または複製期のいずれかであってよく、有効な抗生物質治療は、どちらの時期も標的とするはずである。
マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)亜種ホミニスイス(hominissuis)(以後、M.アビウムと呼ぶ)およびマイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscessus)による肺感染症は、重要な医療問題であり、現行の治療法には大きな制限がある。非TBマイコバクテリア(NTM)による肺感染症の発病率は増加しており(Adjemian et al., 2012; Prevots et al, 2010)、特にM.アビウムおよびM.アブセサスによる(Inderlied et al, 1993)。米国におけるNTMの約80%は、M.アビウムに関連している(Adjemian et al., 2012; Prevots et al, 2010)。M.アブセサスは、最も有毒なタイプの1つであり、発生率が2位である(Prevots et al, 2010)。両方のマイコバクテリアによって引き起こされる疾患は、慢性肺疾患、例えば、肺気腫、嚢胞性線維症、および気管支拡張症の患者に好発する(Yeager and Raleigh, 1973)。これらはまた、重度の呼吸器疾患、例えば気管支拡張症を起こす場合もある(Fowler et al, 2006)。これらの感染症は、環境由来であり、肺の進行性障害(compromising)を引き起こす。
現行の治療法は、多くの場合、有効性が不十分であるか、または重大な副作用を伴う。通常、M.アビウム感染症は、マクロライド(クラリスロマイシン)またはアザライド(アジスロマイシン)をエタンブトールおよびアミカシンと組み合わせて用いる全身療法によって治療される。シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシンなどの経口キノロンまたはIVキノロンは、他の化合物と一緒に使用され得る(Yeager and Raleigh, 1973)が、有効性を最大にするためには、高い細胞内薬物レベルを達成する必要がある。経口シプロフロキサシンは、マクロライドまたはアミノグリコシドと組み合わせて投与された場合のみ、M.アビウムに対する臨床的有効性を有する(Shafran et al 1996; de Lalla et al, 1992; Chiu et al, 1990)。インビトロおよびマウスでの研究により、経口シプロフロキサシン単独での活性が限定的であることは、シプロフロキサシンが感染部位で殺菌濃度を達成できないことに関係していることが示唆されている(Inderlied et al, 1989);実験モデルおよびヒトにおいて、最小発育阻止濃度(MIC)が5μg/mlであるのに対し、臨床血清Cmaxが4μg/mlであることから、有効性が限定的であることが明らかである(Inderlied et al, 1989)。M.アブセサスは、しばしば、クラリスロマイシンに耐性である。唯一の利用可能な治療代替手段であることが多いIVアミノグリコシドまたはIVイミペネムを適用する必要があり、これらは、IV投与に伴う外傷および費用だけでなく、重大な副作用の可能性を有する。クロファジミン、リネゾリド、およびセフォキシチンもまた、処方されることがあるが、毒性および/またはIV投与の必要性から、これらの化合物の使用は限定される。したがって、利用可能な治療法が著しく不足しており、より良いアプローチが必要とされている。
また、最近の研究では、M.アビウム感染症およびM.アブセサス感染症のどちらも、顕著なバイオフィルム形成に関連していることが示された(Bermudez et al, 2008; Carter et al, 2003):M.アビウムのバイオフィルム関連遺伝子の欠失は、実験動物モデルにおいてこの細菌がバイオフィルムを形成し、肺感染症を引き起こす能力に強い影響を与えた(Yamazaki et al, 2006)。
ミストまたはエアロゾルの形態での微生物病原体(microbial agent)の計画的な放出は、深刻なバイオテロリズムの脅威を与える。バイオテロリズム感染症、特に、炭疽、野兎病、肺ペスト、類鼻疽、およびQ熱などの吸入によって伝染し得るものの予防および治療のためのより効果的な方法が、望ましい。融解されて特性が望ましい薬剤を形成し得る凍結製剤の形態でそれらを備蓄することは、特に魅力的であると考えられる。
したがって、特に吸入によって投与するための、抗感染薬の改良製剤が、引き続き必要とされている。本発明はこの必要性に対処している。
シプロフロキサシンは、嚢胞性線維症患者でよく起こる、PAに起因する下気道感染症の治療に適応される、フルオロキノロン抗生物質である。シプロフロキサシンは、広域性であり、PAに加えて、いくつかの他のタイプのグラム陰性菌およびグラム陽性菌に対して活性である。これは、細菌の複製、転写、修復、および組換えに必要とされる酵素であるトポイソメラーゼII(DNAギラーゼ)およびトポイソメラーゼIVを阻害することによって作用する。この作用機序は、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、およびテトラサイクリンのものとは異なり、したがって、これらのクラスの薬物に耐性である細菌は、シプロフロキサシンに感受性であり得る。したがって、アミノグリコシドトブラマイシンに対する耐性を持つようになったCF患者は、おそらく、シプロフロキサシンで引き続き治療できる可能性が高い。シプロフロキサシンと他のクラスの抗微生物剤の間には、公知の交差耐性はない。
魅力的な抗微生物特性があるものの、シプロフロキサシンは、胃腸管(GIT)不耐症(嘔吐、下痢、腹部不快感)、ならびにめまい、不眠症、易刺激性、および不安レベルの増大などの厄介な副作用をもたらす。衰弱を引き起こすこれらの副作用をもたらさずに長期にわたって使用することができる、改良された治療レジメが必要とされていることは明らかである。
吸入エアロゾルとしてのシプロフロキサシンの送達により、一次感染部位である気道中での薬物の送達および作用を区画に分けることによってこれらの懸念に対処できる見込みがある。
現在、気道中の一次感染部分へと直接的に抗生物質送達を導くことができる、ヒト使用向けに規制当局の認可を受けているエアロゾル化形態のシプロフロキサシンはない。この原因は、一つには、この薬物は溶解性が乏しく苦いため、吸入に適した製剤の開発が妨げられていたことにある(Barker et al, 2000)。さらに、シプロフロキサシンの組織分布は非常に速いため、肺中の薬物滞留時間が短すぎて、経口経路またはIV経路によって投与された薬物を上回る付加的な治療恩恵を提供できない(Bergogne-Berezin E, 1993)。
多くの薬物の治療特性は、リポソーム中に組み入れることによって改善する。薬物送達系としてのリン脂質ビヒクルは、1965年に「リポソーム」として再発見された(Bangham et al., 1965)。一般用語の「リポソーム」は、様々な構造物を包含するが、いずれも、シプロフロキサシンのような親水性薬物を封入できる水性空間を囲い込む1つまたは複数の脂質二重層からなる。リポソーム封入をすると、変更された薬物の薬物動態および体内分布、担体からの持続的薬物放出、疾患部位への送達の促進、および分解からの活性薬物種の保護を含むいくつかのメカニズムを介して、生物薬剤学的特徴が改良される。抗癌剤ドキソルビシン(Myocet(登録商標)/Evacet(登録商標)、Doxyl(登録商標)/Caelyx(登録商標))、ダウノルビシン(DaunoXome(登録商標))、抗真菌剤アムホテリシンB(Abelcet(登録商標)、AmBisome(登録商標)、Amphotec(登録商標))、およびベンゾポルフィリン(Visudyne(登録商標))のリポソーム製剤は、この二十年間に米国、ヨーロッパ、および日本の市場に売り出されて成功している製品の例である。最近、ビンクリスチン(Marqibo(登録商標))のリポソーム製剤が、腫瘍に適応するために認可された。脂質ベースの担体は、安全性および有効性が証明されているため、これらは医薬の製剤にとって魅力的な候補となっている。
リポソーム製剤がエアロゾル化工程に対して安定である場合には、吸入によるリポソーム製剤の送達は、多くの魅力的な特徴を提供する(Niven and Schreier, 1990; Cipolla et al, 2013)。したがって、現行のシプロフロキサシン製剤と比較して、リポソームシプロフロキサシンエアロゾル製剤は、次のいくつかの恩恵を与えるはずである:(1)高い薬物濃度、(2)感染部位での持続放出による、薬物滞留時間の延長、(3)副作用の減少、(4)嗜好性の向上、(5)細菌中への上手な進入(penetration)、および(6)細菌に感染した細胞中への上手な進入。リポソームに封入されたフルオロキノロン抗生物質の吸入が肺感染症の治療に有効である場合があることが、以前に示されている。F.ツラレンシス(tularensis)のマウスモデルにおいて、リポソームに封入されたフルオロキノロン抗生物質の方が、生存者を増やしたという点で、遊離または未封入フルオロキノロンより優れていることが示された(CA2,215,716、CA2,174,803、および CA2,101,241)。
米国特許第8,071,127号、同第8,119,156号、同第8,268,347号、および同第8,414,915号は、吸入される液滴または粒子からなるエアロゾルを説明している。これらの液滴または粒子は、封入されておらず、かつシプロフロキサシンであってよい遊離薬物(例えば、抗感染化合物)を含む。さらに、これらの粒子は、同じくシプロフロキサシンであってよい、抗感染化合物のような薬物を封入するリポソームを含む。遊離薬物およびリポソームに封入された薬物は、エアロゾル化送達用に配合される薬学的に許容される賦形剤の中に含まれる。さらに、これらの粒子は、遊離および/またはリポソーム中であってよく、かつ第1の薬物と異なる任意の薬学的に活性な薬物であってよい、付加的な治療物質を含んでもよい。これらの特許のリポソームは、単層の小胞(平均粒子サイズ75〜120 nm)である。シプロフロキサシンは、肺中で約10時間の半減期でこれらのリポソームからゆっくりと放出され(Bruinenberg et al, 2010 b)、これにより、1日に1回の投薬が可能になる。
さらに、インビトロおよびマウス感染モデルでの様々なリポソーム組成物を用いた研究によって、リポソームシプロフロキサシンが、M.アビウムを含むいくつかの細胞内病原体に対して有効であることが示された。吸入されたリポソームシプロフロキサシンはまた、患者のシュードモナス・エルギノーサ(PA)肺感染症を治療するにあたって有効である(Bilton et al, 2009 a, b, 2010, 2011; Bruinenberg et al, 2008, 2009, 2010 a, b, c, d, 2011; Serisier et al, 2013)。認可されている用量の経口シプロフロキサシンおよびIVシプロフロキサシンと比べて、吸入によって気道中に送達されるリポソームシプロフロキサシン製剤の方が、気道粘膜中およびマクロファージ内ではるかに高い濃度を達成し、その結果、臨床的有効性が向上する。治療用量のこのようなリポソームシプロフロキサシンを患者が吸入してから2時間後に、痰中のシプロフロキサシン濃度は200μg/mlを越え、20時間後(次の投与の2時間前)でさえ、濃度は20μg/mlより高く、耐性マイコバクテリアの上記最小発育阻止濃度を十分に上回っていた(ブレイクポイントは約4μg/ml)(Bruinenberg 2010b)。シプロフロキサシンを含むリポソームは、マクロファージによって貪欲に摂取されるため、シプロフロキサシンは細胞内病原体の極めて近くに運ばれ、したがって、抗マイコバクテリア濃度がさらに増加し、したがって、他の形態のシプロフロキサシンと比べて、吸入リポソーム製剤の有効性は向上するはずである。したがって、本発明者らは、耐性の高いNTMでさえ、このような吸入リポソームシプロフロキサシン製剤を用いて抑制できると考える。これらの患者では全身投与用の抗生物質を長期にわたって使用することが原因で、抗生物質に対するM.アビウムおよびM.アブセサスの耐性がよく起こるため、このことは意味がある。PAを用いた臨床経験からも、吸入リポソームシプロフロキサシン療法の後に明らかな耐性出現はないことが示されている。実際に、最初は耐性株も有していた患者さえ、治療法に良く応答した。これは、持続的に圧倒的濃度のシプロフロキサシンが存在することに起因する可能性が高い。さらに、嚢胞性線維症で他の抗シュードモナス薬であるトブラマイシンおよびコリスチメタートを用いた経験は、PAの耐性株を有する患者さえ、吸入形態のこれらの薬物に臨床的に良く応答するというものである(Fiel, 2008)。
いくつかのインビトロ研究により、リポソームシプロフロキサシンが細胞内病原体、すなわちM.アビウム感染に対して有効であることが実証されている:(1)ヒト末梢血単球/マクロファージ中で、0.1〜5μg/mlの濃度にわたって試験されたリポソームシプロフロキサシンは、同濃度の遊離薬物と比べて、細胞内のM.アビウム-M.イントラセルラーレ(intracellulare)複合体(MAC)コロニー形成単位(CFU)における濃度相関性の減少を引き起こした(Majumdar et al, 1992);(2)マウスのマクロファージ様細胞株J774において、リポソームシプロフロキサシンは、細胞に付随したM.アビウムのレベルを43分の1まで低下させ、これらの低下は、遊離シプロフロキサシンの場合より大幅であった(Oh et al, 1995)。
M.アビウムまたはM.アブセサスが単球/マクロファージに一度感染すると、次に、感染は、肺、肝臓、脾臓、リンパ節、骨髄、および血液に広がることができる。動物モデルでのM.アビウムまたはM.アブセサスに対するリポソームシプロフロキサシンの有効性に関して、公開されている研究はない。
いくつかのインビボ研究によって、リポソームシプロフロキサシンが細胞内病原体のF.ツラレンシスに対して有効であることが実証されている。吸入性(inhalational)野兎病(F.ツラレンシスLVSおよびSCHU S4)に対する、吸入または鼻腔内滴下によって肺に送達されたリポソームシプロフロキサシンの有効性がマウスにおいて実証され、その際、リポソームシプロフロキサシンをわずか1回投与しただけで、曝露後の100%の保護が実現し、既にかなりの全身感染が起こっていた動物に対する有効な曝露後治療さえ実現した(Blanchard et al, 2006; Di Ninno et al, 1993; Conley et al, 1997; Hamblin et al, 2011; Wong et al, 1996)。また、これらの研究から、吸入投与されたリポソームシプロフロキサシンが、吸入投与された未封入シプロフロキサシンおよび経口投与された未封入シプロフロキサシンのどちらよりも優れていることも判明した。
対照的に、(a)遊離シプロフロキサシンは、マイコバクテリア感染症のマクロファージモデルにおいて、リポソームシプロフロキサシンより劣っていた(Majumdar et al, 1992; Oh et al, 1995);(b)肺に送達された単独の遊離シプロフロキサシンは、F.ツラレンシス感染症のマウスモデルで試験した場合、血流中に急速に吸収されるため、遊離シプロフロキサシンより有効性が劣っていた(Conley et al, 1997; Wong et al, 1996)。遊離シプロフロキサシンとリポソームシプロフロキサシンの両方から構成された製剤は、BEにおいて実証されたように、最初に一過性の高濃度遊離シプロフロキサシンによって肺でのCmaxを増加させること、それに続いて、リポソーム成分からシプロフロキサシンをゆっくりと放出することという潜在的利点を組み合わたものである(Cipolla et al, 2011; Serisier et al, 2013)。遊離シプロフロキサシン成分もまた、望ましい免疫調節効果を有している(米国特許第8,071,127号、同第8,119,156号、同第8,268,347号、および同第8,414,915号)。
さらに、非経口的に注射されたリポソームシプロフロキサシンは、マクロファージを活性化して、その結果、抑制濃度以下でさえ、おそらくは免疫賦活効果によって、食作用、一酸化窒素生成、および細胞内微生物殺菌を増大させた(Wong et al, 2000)。野兎病での経肺送達されたCFIの全身作用によって示唆されているように、シプロフロキサシンを取り込んだ(loaded)マクロファージは、肺からリンパ管中に遊走して、肝臓中、脾臓中、および骨髄中の感染症を治療することができる(Di Ninno et al, 1993; Conley et al, 1997; Hamblin et al, 2011, Wong et al, 1996)。リポソームに封入された抗生物質はまた、肺中での細菌膜に、より上手に進入することが公知である(Meers et al, 2008)。したがって、肺に送達される新しい製剤の抗マイコバクテリア効果および免疫調節効果により、M.アビウムもしくはM.アブセサスに感染した患者にとって、既存の治療より優れた代替案が提供され得るか、または少しずつ改善するための補助剤が提供され得る。
リポソームシプロフロキサシンの薬物動態試験により、動物の肺胞マクロファージによる多量の取込みが実証された。おそらくは、このことが、マウスにおける吸入性野兎病の曝露後の予防および治療が著しく有効であることの理由である。シプロフロキサシンの血漿レベルは、リポソームシプロフロキサシンを気道投与した後に低かったものの、肺だけでなく、肝臓、脾臓、気管気管支リンパ節からの野兎病感染の減少が観察されたことから、リポソームシプロフロキサシンを取り込んだ肺胞マクロファージが、リンパ液を介して肺から肝臓中、脾臓中、およびリンパ節中へ遊走することが示された(Conley et al, 1997)。
リポソームに封入した抗生物質の貯蔵寿命を延長できることは、有益であると考えられる。しかし、リポソームシプロフロキサシン製剤のようなこうした製剤は、凍結融解の影響を受けやすいことで悪名高い。例えば、前述のリポソームシプロフロキサシン製剤の凍結融解後に、脂質の凝集物が観察されることから、これらのリポソームの多くは、凍結融解のストレスを受けると完全性を保持しないことが示される。これらの融解された製剤は、物理的凝集物が原因で、有効に使用、例えばエアロゾル化することができないことは確実である。
凍結融解後にその安定性および完全性を保持するリポソーム製剤を同定することが理想的であると考えられる。凍結製剤の方が、水および他の構成要素の可動性が低くなることにより分解プロセス(例えば脂質加水分解)の速度が低下するため、冷蔵製剤または室温製剤よりも貯蔵寿命が長いはずである。リポソームを凍結し、凍結融解後にリポソームの完全性を維持するという難題について説明している文献は多数ある。ジメチルスルホキシド、グリセロール、第4級アミン、および炭水化物などの凍結保護剤が、将来性を示している(Wolkers et al., 2004)。糖が、凍結時にリン脂質小胞を安定化でき、この安定化には、糖とリン脂質頭部基との直接的な相互作用が必要であることもまた、十分に確立されている(Strauss et al, 1986; Crowe et al, 1988; Izutsu et al, 2011; Stark et al, 2010, Siow et al, 2007; Siow et al, 2008)。リポソーム内(internal liposomal)流体およびリポソーム外(extraliposomal)流体の両方に糖、例えばポリオールを添加することにより、凍結融解に対するリポソームの頑丈さを改善し、リポソームの完全性を維持するのを助けることができる。しかし、すべてのリポソーム製剤が糖によって完全に保護されるわけではなく、多くの場合、完全性を完全に失う一部の小胞が存在し、凝集する他の小胞によって小胞のサイズが大きくなる。これらの事象はまた、封入された薬物の損失にも関連付けられている(Strauss et al, 1986; Crowe et al, 1988; Izutsu et al, 2011; Stark et al, 2010, Siow et al, 2007; Siow et al, 2008)。
凍結融解後のリポソーム製剤の特性を有益に改変できることも予想されていない。間違いなく、凍結融解後にリポソームを分解する可能性が高く、その結果、リポソームの完全性が損なわれる。しかし、薬物封入および薬物放出特性を有益な方法で同時に改変しつつ、凍結融解後のリポソーム完全性を保持することに関して公開されている報告はない。
さらに、凍結融解後に薬物ナノ結晶を含むリポソームの報告例もなかった。リポソーム内にナノ結晶の形態で薬物を存在させると、放出速度に影響を及ぼす因子または制約がこの時点で2つあるため、薬物の放出特性を変化させる可能性があると考えられ;すなわち、リポソーム膜が1つの障壁であり、脂質二重層を通って輸送される前に結晶形態からその薬物が溶解する必要があることが、2番目である。リポソーム中の結晶の大きさおよび形状を改変することにより、放出速度をさらに調整することが可能になると考えられる。結晶の大きさおよび形状は、製剤中の賦形剤の比率を変更することによって、すなわち、薬物、リポソーム脂質、凍結保存剤、および表面活性剤の濃度を増加または低下させることによって、調整することができる。リポソーム内部に薬物ナノ結晶を存在させると、安定性特質を含む、製剤の他の特性が改善する可能性がある。これらの改変は、合わさって、リポソーム製剤の治療的効果を向上させ得るか、または投与プロファイルの利便性の向上、例えば、投与頻度の減少を可能にし得る。改善された投与プロファイルにより、患者の服薬遵守が良くなり、したがって、有効性が高まる可能性がある。また、分解および放出が遅いために薬物濃度のピークが存在しないことによっても、ゆっくりと溶解する薬物結晶を用いて、望ましくない有害作用を減少または排除できる可能性がある。
別の機会は、持続放出プロファイルと組み合わせられた即時放出プロファイルを作成することである。製剤の融解後、リポソームから放出され、したがって、吸入時に直ちに利用可能となる一部の薬物が存在し得る。「遊離薬物」のこの比率は、製剤中の賦形剤の比率を調整することによって、すなわち、凍結保存剤および/または表面活性剤の濃度を増加または低下させることによって、1〜60%、または10〜50%、または20〜40%に調整することができる。凍結保存剤には、スクロース、トレハロース、ラクトース、マンニタール(mannital)などを含むポリオール、糖が含まれ得る。表面活性剤には、ポリソルベート20(tween20とも呼ばれる)のようなポリソルベートを含む非イオン性界面活性剤が含まれ得る。凍結保存剤は、リポソームの内部(リポソーム内に)およびリポソームの外部(リポソーム外に)のいずれかにまたは両方に存在してよい。
沈殿形態、ゲル形態、または結晶形態の薬物をリポソーム内に含むいくつかのリポソーム製剤が存在したが、これらの薬物沈殿物はすべて、最初の薬物添加工程中に作製される。例えば、イオン/pH勾配を利用した添加(ion/pH gradient loading)の後にリポソーム中で結晶化されたドキソルビシン(Lasic et al, 1992; Lasic et al, 1995; Li et al, 1998)、トポテカン(Abraham et al, 2004)、およびビノレルビン(Zhigaltsev et al. 2006)に関する報告がある(Drummond et al, 2008)。封入された薬物を含み、その薬物の一部が凍結融解後に薬物結晶を形成する、リポソームに関する報告はなかった。
リポソームを含む製剤が開示され、該リポソームが、薬学的に活性な薬物を取り囲む脂質二重層を含み、該薬物が、結晶の1つまたは複数の寸法において200ナノメートルまたはそれ未満、100ナノメートルまたはそれ未満、50ナノメートルまたはそれ未満、10ナノメートルまたはそれ未満の寸法を有するナノ結晶を含む。二重層は、トレハロースまたはスクロースなどのポリオールであってよい凍結保存剤を含んでもよく、さらに、ポリソルベート20またはBRIJ30などの非イオン性界面活性剤であってよい表面活性剤を含んでもよい。薬物は、シプロフロキサシンのような抗感染剤であってよい。
本発明はさらに、シプロフロキサシンのような薬物が、10mg/mLまたはそれ以上、25mg/mLまたはそれ以上、50mg/mLまたはそれ以上、100mg/mLまたはそれ以上、200mg/mLまたはそれ以上の範囲内の濃度で水溶液中に溶解され、リポソームの脂質二重層中に封入される特定の方法によって製造された、本発明の製剤を含む。次いで、リポソームは、抗感染薬を含んでよい溶液内に含められ、この抗感染薬は、リポソーム内に封入された抗感染化合物と同じでも異なっていてもよく、したがって、シプロフロキサシンであってよい。製剤は凍結され、例えば、-20℃〜-80℃の範囲内の極めて低い温度で凍結される。凍結された製剤は、例えば、1週間もしくはそれ以上、1ヶ月もしくはそれ以上、1年もしくはそれ以上保存するために長期間にわたって、凍結して維持されてもよいか、または使用するために直ちに再融解されてもよい。再融解すると、リポソーム内部の薬物は、ナノ結晶を形成する。投与すると、リポソームの周囲の溶媒担体中に溶解している薬物が、薬物の即時放出を提供し、続いて、リポソームが肺中で溶解する際に、薬物が放出され、続いて、ナノ結晶が溶解する際に、薬物が追加放出される。製剤は、肺でのシプロフロキサシンのような抗感染症薬の長期間にわたる制御放出を提供し、それによって、バイオフィルムとして発生する感染を効果的に根絶することを可能にする。
本発明の1つの局面は、凍結融解後に改変される特殊な放出プロファイルを有する製剤である。この製剤は、様々な方法で投与されてよい。例えば、続いてそれをエアロゾル化して、改変および/または前もって決定された放出プロファイルを有する吸入可能な液滴または粒子を作製することができる。これらの液滴または粒子は、薬物が封入されておらず、かつシプロフロキサシンであってよい遊離薬物(例えば抗感染化合物)を含む。さらに、これらの粒子は、同じくシプロフロキサシンであってよい抗感染化合物のような薬物を封入するリポソームを含み、封入された薬物の一部は、リポソーム内のナノ結晶として存在する。リポソーム内部のナノ結晶の形状および長さは、実施例で詳しく説明する選ばれた濃度で特定の凍結保存剤およびさらに表面活性剤を混合することによって、選択することができる。遊離薬物およびリポソームに封入された薬物は、エアロゾル化送達用に配合される薬学的に許容される賦形剤の中に含まれる。さらに、これらの粒子は、遊離および/またはリポソーム中であってよく、かつ第1の薬物と異なる任意の薬学的に活性な薬物であってよい、第2の治療物質を含んでもよい。
凍結は、様々な凍結速度および凍結温度で実施することができる。例えば、試料は、液体窒素を用いて急速に凍結し、次いで、-20℃、もしくは-50℃、もしくは-80℃、または0℃より低い別の温度で冷凍庫に保存することができる。また、凍結しようとする試料を、冷凍庫、例えば、-20℃、または-50℃、または-80℃の冷凍庫に直接入れ、冷凍庫の設計に応じて遅い凍結速度または速い凍結速度で凍結させることもできる。凍結速度はまた、凍結しようとする試料の体積およびその保存容器の熱伝達特性によっても左右されると考えられ、本発明は、50μLから最大で50Lもしくは100Lまたはそれ以上の体積範囲を予期する。より好ましくは、体積は、1mL〜10mLである。また、容器の材料の組成も、ガラスからプラスチック、金属、またはそれらの組合せまで、様々であってよい。
製剤および製剤がエアロゾル化される際に作製されて得られた粒子は、薬学的に許容される担体、凍結保存剤、遊離薬物、および、薬物ナノ結晶の形態でリポソーム内に封入された薬物を含む。いくつかの状況において、薬学的に許容される担体は、遊離薬物が液体状態である場合などには、完全に省くことができる。しかし、通常、担体は、遊離薬物のための溶媒を提供するために必要であり、その溶媒は、水、エタノール、水およびエタノールの組合せ、またはヒトおよび動物に有害ではない他の有用な溶媒であってよい。製剤中の溶媒の比率は、0重量%〜90重量%、1重量%〜50重量%、2重量%〜25重量%まで様々であってよいが、通常は、製剤のpHで溶解状態の薬物を維持するのに十分な高さであるレベルで保たれる。このレベルは、薬物によって異なり、pHが変わると変動する。担体は、10%重量、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%など、もしくはそれ以上の量で、またはそれらの間の任意の漸増量で製剤中に存在してよい。
製剤は、薬物を2つの異なる形態で含む。第1に、薬物は、液体であるか、または溶媒に溶解された、遊離型で存在する。第2に、薬物は、リポソーム中に封入されている。リポソーム中に封入されている薬物に対する遊離薬物の比率は様々であってよい。通常、遊離薬物は、製剤の0重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%など、最高で80重量%を占める。リポソーム内に存在する薬物が、製剤中に存在する薬物の残りの比率を占める。したがって、リポソーム中に存在する薬物は、製剤中に存在する薬物総量に対して20%から100%までの重量で存在してよい。リポソーム中に存在する薬物の一部は、薬物ナノ結晶の形態で存在する。
製剤のpHは6.0±20%であってよい。本発明のいくつかの局面において、製剤は、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、または5.5などの比較的低いpHで調製される。
製剤は、封入された薬学的に活性な薬物を有するリポソームを含み、この場合、リポソームは、薬物の制御放出を提供するように設計されている。本発明のこの局面の制御放出とは、薬物が、1〜24時間の期間にわたって1時間当たり約0.1%〜100%、または1〜12時間の期間にわたって1時間当たり0.5%〜20%の量で放出され得るか、あるいは約1〜6時間の期間にわたって1時間当たり約2%〜10%を放出することを示す。上記に提供した範囲の間にある、0.5パーセントの量および半時間の量ならびに他の漸増量の単位の、薬物の比率および時間数の観点からの漸増量は、本発明に包含されるものとする。
本発明の1つの局面は、ヒト患者の肺にエアロゾルによって送達されるリポソームを含む製剤であり、これらのリポソームは、遊離シプロフロキサシンおよび封入シプロフロキサシンまたは他の抗感染剤を含む。リポソームは、単層または多重層であってよく、かつ生体接着性で、ヒアルロン酸のような分子を含んでよい。また、遊離抗感染薬およびリポソームに封入された抗感染薬に加えて、少なくとも1つの治療物質が組成物中に含まれてもよい。その治療物質は、ヒト肺中への直接的吸入に役立つ薬学的に許容される担体と共に存在する遊離薬物または封入された薬物であってよい。
他の薬物には、DNアーゼのような粘液の粘弾性を低下させるための酵素もしくは他の粘液溶解剤;デュラマイシンのようなランチビオティックスを含む、塩素イオンチャネルを上方制御するか、もしくは細胞を通過するイオンの流れを増加させるための化学物質;上皮ナトリウムチャネル(ENaC)阻害物質もしくはデヌホソルのようなP2Y2アゴニストを含む、水分補給(hydration)もしくは粘液線毛クリアランスを促進するための作用物質;α-1抗トリプシン(AAT)を含むエラスターゼ阻害物質、気管支拡張薬、ステロイド、N-アセチルシステイン、インターフェロンγ、インターフェロンα、バイオフィルム細菌に対する抗生物質の活性を増強するサリチル酸ナトリウムのような作用物質(Polonio RE et al., 2001)、または当業者に公知の抗生物質が含まれ得る。気道の炎症および狭窄はまた、嚢胞性線維症およびその治療にも関連している。したがって、β2-アドレナリン受容体アゴニストおよび抗ムスカリン物質(antimuscarinic)などの気管支拡張薬、ならびに吸入コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、または合成阻害物質などを含む抗炎症剤もまた、抗感染薬と組み合わせられてよい。
本発明のさらなる局面は、リポソーム中に封入された抗感染薬、例えばシプロフロキサシンを含む製剤を患者に投与する段階を含む、患者の嚢胞性線維症を治療するための方法である。製剤は、好ましくは吸入によって患者に投与される。
本発明の別の局面は、細胞内肺感染症、特にNTM感染症を治療するための方法である。凍結融解後のリポソーム中に薬物ナノ結晶が存在することは、遅延放出プロファイルに関連付けられている。この遅延放出プロファイルは、感染細胞、特に肺胞マクロファージによるリポソーム取込みのために与える時間を長くし、それによって、細胞内感染症に送達される活性薬物の量を増加させるという別の恩恵を与える。別の恩恵は、感染細胞が、薬物ナノ結晶を含むリポソームを一度取り込むと、細胞内での薬物放出速度が持続期間の点で長くなり、それによって、治療の有効性が向上し得るということである。
本発明の別の局面によれば、遊離の抗感染薬および封入された抗感染薬の両方を含む製剤は、肺において、最初に高い治療レベルの抗感染薬を提供して、高濃度の薬物にのみ感受性である細菌を根絶し、一方で、短時間の高いピークよりも長い曝露への感受性の方が高い細菌に対して、抗感染薬の持続放出を長期にわたって維持する。また、リポソーム封入は、バイオフィルムへの進入を促進することもでき、曝露を長くすることは、休眠状態またはゆっくりと複製している細菌に対して、より有効である可能性が高い。バイオフィルム耐性のいくつかの特徴は十分に理解されていないが、主要なメカニズムは、(i)バイオフィルム内部での改変された栄養環境および増殖速度の抑制;(ii)拡散および利用能に影響を及ぼす、エキソポリマーマトリックスおよびそれらの構成要素と抗微生物剤との直接的相互作用;ならびに(iii)バイオフィルム/付着に特異的な表現型の発達に関連すると考えられている(Gilbert P et al., 1997)。したがって、抗感染薬、例えばシプロフロキサシンを即時放出する意図は、細菌を根絶するにあたっての困難を避けて、肺中の抗生物質濃度を治療レベルまで急速に増加させることである。また、バイオフィルム中へのリポソームのより上手な進入と組み合わせたこれらの高いピークによって、バイオフィルムへの、およびバイオフィルム内部での未封入抗生物質の拡散速度が低いという難題に取り組む。持続放出される抗感染薬、例えばシプロフロキサシンは、肺中で治療レベルの抗生物質を維持するのに役立ち、それによって、より長い期間にわたって継続される治療法を提供し、有効性を高め、投与頻度を減少させ、かつ耐性コロニーが形成する可能性を低くする。
抗感染薬の持続放出により、抗感染剤が抑制濃度以下を決して下回らないように徹底することができ、したがって、抗感染薬に対する耐性が生じる可能性が低下する。
本発明の別の局面は、細胞内感染症、特に、肺中のものを治療する方法に関する。いくつかのリポソーム製剤は、細胞内感染の部位である、マクロファージ、例えば、肺胞マクロファージによって取り込まれることが公知である。したがって、ある種のリポソーム製剤を用いる送達により、細胞内感染を含むマクロファージに封入薬物を導く能力が高まると考えられる。しかし、かなりの量の封入薬物が、噴霧工程中または気道中での沈着後、マクロファージによる取込みの前に、リポソームから放出される可能性がある。噴霧に対して安定であり、さらに、より長い期間、リポソーム内で保持される、リポソーム製剤を作製することによって、マクロファージまたは細胞内感染を有する他の細胞に封入薬物を導く能力を向上させることが可能である。比較的難溶性の薬物形態からなるナノ結晶中の薬物を含むリポソームは、リポソーム二重層を通過して輸送される前に結晶性薬物が溶解する必要があるため、リポソームからの放出速度は遅いと考えられる。したがって、このことは、インビボでの放出速度の低下につながり、それによって、本発明の製剤を用いて肺中の細胞内感染症を標的とする能力をさらに高めることもできると予想される。
シプロフロキサシンが、本発明において特に有用な抗感染薬であるが、本発明をシプロフロキサシンに限定したいという願望はない。他の抗生物質または抗感染薬、例えば、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、p-アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β-ラクタム、β-ラクタム阻害物質およびβ-ラクタマーゼ阻害物質、クロラフェニコール(chloraphenicol)、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、コルチコステロイド、プロスタグランジン、リノミシン(linomycin)、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン系抗真菌薬、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス(butoconazole ciclopirax)、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフタート、ナフチフィン、テルビナフィン、ペプチド抗生物質、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択されるものが、使用され得る。
本発明のある局面は、
脂質二重層と、
凍結保存剤と
を含み、薬学的に活性な薬物のナノ結晶が脂質二重層によって取り囲まれており、ナノ粒子が200nmまたはそれ未満の寸法を有する、リポソーム
を含む製剤である。
本発明の別の局面は、トレハロースおよびスクロースなどのポリオールである凍結保存剤と組み合わせて、非イオン性界面活性剤のような表面活性剤を含む、製剤である。
本発明の別の局面において、製剤は、薬学的に許容される担体を含み、担体は、代替的に、液体形態の薬学的に活性な薬物であるか、またはその中に溶解した薬物を含む水性担体であってよい。
本発明の別の局面において、薬学的に活性な薬物は、キノロン、スルホンアミド、アミノグリコシド、テトラサイクリン、パラアミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、β-ラクタム、β-ラクタム阻害物質およびβ-ラクタマーゼ阻害物質、クロラムフェニコール、マクロライド、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン系抗真菌薬、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフタート、ナフチフィン、テルビナフィン、ならびにそれらの組合せからなる群より選択されてよい、抗感染症薬である。
本発明の別の局面は、二重層が、脂肪酸;リゾ脂質;スフィンゴ脂質;スフィンゴミエリン;糖脂質;グルコリピド;スフィンゴ糖脂質;パルミチン酸;ステアリン酸;アラキドン酸;オレイン酸;スルホン化単糖、スルホン化二糖、スルホン化オリゴ糖、またはスルホン化多糖を有する脂質;エーテル結合およびエステル結合した脂肪酸を有する脂質、重合脂質、ジアセチルホスファート、ステアリルアミン、カルジオリピン、リン脂質、非対称アシル鎖を有する合成リン脂質;ならびに共有結合ポリマーを有する脂質からなる群より選択される脂質を含む、製剤である。
本発明の別の局面は、リポソームが、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるリン脂質を含み、該リン脂質が、コレステロール、ステアリルアミン、ステアリン酸、トコフェロール、およびそれらの混合物からなる群より選択される改質物質との混合物中に提供され、かつリポソームが単層または多重層である、製剤である。
本発明の別の局面は、ナノ結晶が、10ナノメートルまたはそれ未満の寸法を有し、凍結保存剤がスクロースまたはトレハロースであり、表面活性剤が、ポリソルベート20およびBRIJ30などのポリソルベート表面活性剤であり、かつ薬物が好ましくはシプロフロキサシンである、製剤を含む。
本発明の別の局面において、製剤はエアロゾル化されており、エアロゾル化粒子は1マイクロメートル〜12マイクロメートルの範囲内の空力学的直径を有し、かつ90%またはそれ以上、95%またはそれ以上、98%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に構造的完全性を維持する。
本発明の別の局面において、製剤は、-20℃〜-80℃の範囲まで温度を低下させることによって凍結され、1週間またはそれ以上保管され、続いて、5℃〜30℃の範囲内の温度で融解され、その後、90%もしくはそれ以上のリポソームが、構造的完全性を維持するか、または95%もしくはそれ以上、または98%もしくはそれ以上のリポソームが、構造的完全性を維持する。
本発明の別の局面は、薬物をその中に有する本明細書において説明される製剤のいずれかを使用すること、および所望の放出速度を得るために表面活性剤の量を調整することによって製剤の薬物放出プロファイルを調整する目的でその製剤を使用することである。
本発明の別の局面は、
第1の薬学的に活性な遊離薬物と、凍結融解後に形成されるナノ結晶の形態でリポソーム中に封入された第2の薬学的に活性な薬物とを含む製剤をエアロゾル化する段階;および
患者の肺にエアロゾルを吸入させる段階
を含み、遊離薬物が、製剤中の遊離薬物および封入薬物の両方の総量の1%〜50%を構成する、患者の感染症を治療する方法である。
別の局面は、感染症が、マイコバクテリア、P.エルギノーサ、およびF.ツラレンシスからなる群より選択される微生物による感染症である、前述の方法である。
本発明の別の局面は、90%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に完全性を維持し、肺組織に接触後、1時間当たり0.5%〜10%のシプロフロキサシン放出速度を実現する、方法である。
本発明の別の局面は、95%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に完全性を維持し、肺組織に接触後、1時間当たり1%〜8%のシプロフロキサシン放出速度を実現する、方法である。
本発明の別の局面は、リポソームが、29.4対70.6の割合のコレステロールおよび水素添加ダイズホスファチジルコリン(HSPC)を含み、単層であり、かつ98%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に完全性を維持し、1時間当たり2%〜6%のシプロフロキサシン放出速度を実現する、方法である。
本発明の別の局面は、リポソームが、0.1〜0.3%のポリソルベート20および200〜400mg/mLのスクロースをさらに含む、方法である。
本発明のある局面は、
請求項1および21のいずれかに記載の製剤に表面活性剤を添加し、かつ所望の薬物放出速度を得るために表面活性剤の量を調整する段階
を含み、
表面活性剤が非イオン性界面活性剤であり、かつ
表面活性剤が、ポリソルベート20およびBRIJ30からなる群より選択される、
薬物放出プロファイルを調整する方法である。
本発明の別の局面は、前述の任意の方法が、判定された患者の症状に基づいて実施され、かつ
製剤を投与する段階が、注射、吸入、経鼻投与、経口、およびIV輸注からなる群より選択される経路によって実施される、
治療方法である。
本発明のある局面は、
第1の薬学的に活性な遊離薬物と、凍結融解後に形成されるナノ結晶の形態でリポソーム中に封入された第2の薬学的に活性な薬物とを含む製剤をエアロゾル化する段階;および
患者の肺にエアロゾルを吸入させる段階
を含み、
遊離薬物が、製剤中の遊離薬物および封入薬物の両方の総量の1%〜50%を構成し、
感染症が、マイコバクテリア、P.エルギノーサ、およびF.ツラレンシスからなる群より選択される微生物による感染症である、
患者の感染症を治療する方法である。
本発明のある局面は、
30%の遊離シプロフロキサシンと70%のリポソーム封入シプロフロキサシンとを含む製剤をエアロゾル化する段階;および
患者の肺にエアロゾルを吸入させる段階であって、90%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化後に構造的完全性を維持する、段階
を含み、
抗生物質耐性感染症が、バイオフィルム中の微生物またはマクロファージに貪食された微生物を含み、
感染症が、バイオフィルム中の微生物による感染症であり、
感染症が、マクロファージに貪食された微生物による感染症であり、
感染症が、マイコバクテリア、P.エルギノーサ、およびF.ツラレンシスからなる群より選択される微生物による感染症であり、
リポソームが、約75nm〜約120nmの平均粒径を有し、かつ単層であり、
リポソームが、約30対70の割合(±10%)のコレステロールおよび水素添加ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、すなわち天然ダイズレシチンの全面的に水素添加された半合成誘導体を含み、
製剤が、酢酸ナトリウムおよび等張緩衝液を含む、経肺送達に適した賦形剤をさらに含み、
90%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に完全性を維持し、肺組織に接触後、1時間当たり0.5%〜10%のシプロフロキサシン放出速度を実現し、
95%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に完全性を維持し、肺組織に接触後、1時間当たり1%〜8%のシプロフロキサシン放出速度を実現する、
患者の抗生物質耐性感染症を治療する方法である。
本発明はさらに、リポソームが、29.4対70.6の割合のコレステロールおよび水素添加ダイズホスファチジルコリン(HSPC)を含み、単層であり、かつ98%またはそれ以上のリポソームが、エアロゾル化された際に完全性を維持し、1時間当たり2%〜6%のシプロフロキサシン放出速度を実現する、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明はさらに、リポソームが、0.1〜0.3%のポリソルベート20および200〜400mg/mLのスクロースをさらに含む、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明はさらに、エアロゾル化する段階および吸入させる段階が、7日間またはそれ以上の期間にわたって毎日1回、繰り返される、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明はさらに、エアロゾル化する段階および吸入させる段階が、7日〜56日の期間にわたって毎日1回、繰り返される、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明はさらに、製剤が、50mg〜500mgのシプロフロキサシンを含む、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明はさらに、製剤が、75mg〜300mgのシプロフロキサシンを含む、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明はさらに、製剤が、噴霧され、かつ150mgのシプロフロキサシンを含む、本明細書において説明する任意の方法も含む。
本発明のこれらおよび他の目的、利点、および特徴は、下記により完全に説明する製剤および方法論の詳細を読むと、当業者に明らかになると考えられる。
本発明の局面および態様は、以下の詳細な説明を添付図と一緒に読むと、最も良く理解される。慣例に従って、図面の様々な特徴は原寸に比例しないことが強調される。逆に言うと、様々な特徴の寸法は、明確にするために自由裁量で拡大または縮小されている。図面には次の図が含まれる。
リポソーム中の脂質に対する表面活性剤(ポリソルベート20)の比率の関数として、-50℃での凍結融解後のシプロフロキサシン封入を示すグラフである。様々な比率のスクロースと脂質(2:1、3:1、および4:1)および3種類の濃度のシプロフロキサシン(10、12.5、および15mg/mL)を用いて9種類の製剤を調査する。凍結融解後に達成できる薬物封入率には一定の範囲があると考えられる。したがって、表面活性剤の選択、表面活性剤濃度、リポソーム中の脂質に対する表面活性剤の比率、薬物濃度、糖の選択、糖濃度、およびリポソーム中の糖と脂質の比率に応じて、所望の封入%を製剤の設計に盛り込むことができる。 融解前に各製剤が6週間凍結されたままであった後であることを除いては、図1と同様のグラフである。様々な比率のスクロースと脂質(2:1、3:1、および4:1)および3種類の濃度のシプロフロキサシン(10、12.5、および15mg/mL)を用いて9種類の製剤を調査する。凍結融解後に達成できる薬物封入率には一定の範囲があると考えられる。したがって、表面活性剤の選択、表面活性剤濃度、リポソーム中の脂質に対する表面活性剤の比率、薬物濃度、糖の選択、糖濃度、およびリポソーム中の糖と脂質の比率に応じて、所望の封入%を製剤の設計に盛り込むことができる。 凍結融解後のリポソーム中のシプロフロキサシンナノ結晶の存在を示すクライオTEM顕微鏡写真である。スケールバーは100nmである。製剤は、67.5mg/mLスクロースおよび0.1%ポリソルベート20を含む12.5mg/mLリポソームシプロフロキサシンであった。脂質含有量は約22.5mg/mLであった。これは、スクロースと脂質の比率が重量基準で約3:1であることを意味する。クライオTEMは、試料を12.5mg/mLシプロフロキサシンから5mg/mLに希釈し、次いで、液体エタン中で試料を凍結し、ガラス化することによって実施した。 リポソーム中にナノ結晶も沈殿した薬物もないことを実証する、凍結融解前の同じリポソーム製剤のクライオTEM顕微鏡写真である。方法論は、図3で説明したとおりであった。 個々のリポソーム製剤からの封入シプロフロキサシンのインビトロ放出(IVR)速度のプロファイルを示す。IVR方法論は、Cipolla et al (2014)において説明されている。 個々のリポソーム製剤からの封入シプロフロキサシンのインビトロ放出(IVR)速度のプロファイルを示す。IVR方法論は、Cipolla et al (2014)において説明されている。 個々のリポソーム製剤からの封入シプロフロキサシンのインビトロ放出(IVR)速度のプロファイルを示す。IVR方法論は、Cipolla et al (2014)において説明されている。 個々のリポソーム製剤からの封入シプロフロキサシンのインビトロ放出(IVR)速度のプロファイルを示す。IVR方法論は、Cipolla et al (2014)において説明されている。 個々のリポソーム製剤からの封入シプロフロキサシンのインビトロ放出(IVR)速度のプロファイルを示す。IVR方法論は、Cipolla et al (2014)において説明されている。 凍結融解後のCFI製剤のクライオTEM画像を示す。 凍結融解後のCFI製剤のクライオTEM画像を示す。 凍結融解後のCFI製剤のクライオTEM画像を示す。 凍結融解し、その後、PARI eFlowネブライザーを用いてメッシュ噴霧した後の、図11のCFI製剤のクライオTEM画像を示す。
発明の詳細な説明
シプロフロキサシンを封入したリポソームを製剤化する本発明の方法、ならびに嚢胞性線維症および他の医学的状態の予防および/または治療のためのそれらの送達、ならびにそれらと関連して使用される装置および製剤を説明する前に、本発明は、説明される特定の方法論、装置、および製剤に限定されず、したがって、方法、装置、および製剤は、当然、変わり得ることを理解すべきである。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明することだけを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することは意図しないことも理解すべきである。
ある範囲の値が提供される場合、文脈において特に規定がない限り、その範囲の上限値と下限値の間にある、その下限値の単位の10分の1までの各介在値もまた、具体的に開示されることが理解される。記載範囲中の任意の記載値または介在値とその記載範囲中の他の任意の記載値または介在値との間の小さな各範囲は、本発明に包含される。これらの小さな範囲の上限値および下限値は、独立に範囲に含まれるか、または除外されてよい。これらの小さな範囲にいずれかの限界値が含まれるか、いずれの限界値も含まれないか、または両方の限界値が含まれる各範囲もまた、記載範囲中の特に除外される任意の限界値に従うことを条件として、本発明に包含される。記載範囲がこれらの限界値の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
他に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において説明されるものと同様または等価な任意の方法および材料を、本発明の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に説明する。本明細書において言及される刊行物はすべて、これらの刊行物が関連して引用される方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈において特に規定がない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「製剤(a formulation)」への言及は、複数のそのような製剤を含み、「方法(the method)」への言及は、1つまたは複数の方法および当業者に公知であるその等価物などへの言及を含む。
本明細書において考察される刊行物は、本出願の出願日より前にそれらの開示があったことを示すためだけに提供される。本明細書における何事も、以前の発明によるそのような刊行物に本発明が先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の出版日と異なる場合があり、別個に確認する必要がある場合がある。
本明細書において使用される場合、抗感染薬とは、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、マイコバクテリア感染症、または原生動物感染症などの感染症に対して作用する剤を意味する。
本発明に包含される抗感染薬には、キノロン(ナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、およびノルフロキサシンなど)、スルホンアミド(例えば、スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメタオキサゾール(sulfamethaoxazole)、スルフイソキサゾール、およびスルファセタミドなど)、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、およびカナマイシンなど)、テトラサイクリン(クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびミノサイクリンなど)、パラアミノ安息香酸、ジアミノピリミジン(スルファメトキサゾールおよびピラジナミドなどと一緒に使用されることが多いトリメトプリムなど)、ペニシリン(ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、およびピペラシリンなど)、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン(メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、およびナフシリンなど)、第1世代セファロスポリン(セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、セファロチン、セファピリン、およびセファゾリンなど)、第2世代セファロスポリン(セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セフィネタゾール(cefinetazole)、セフプロジル、ロラカルベフ、およびセフォラニドなど)、第3世代セファロスポリン(セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、およびセフチブテンなど)、他のβラクタム(イミペネム、メロペネム、アズトレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、およびタゾバクタムなど)、βラクタマーゼ阻害物質(クラブラン酸など)、クロラムフェニコール、マクロライド(エリスロマイシン、アジスロマイシン、およびクラリスロマイシンなど)、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、ポリミキシン類(ポリミキシンA、B、C、D、E1(コリスチンA)、またはE2、およびコリスチンBまたはCなど)コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、スルホン(ダプソンおよびスルホキソンナトリウムなど)、クロファジミン、サリドマイド、または脂質に封入され得る他の任意の抗菌剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。抗感染薬には、ポリエン系抗真菌薬(アムホテリシンB、ナイスタチン、およびナタマイシンなど)、フルシトシン、イミダゾール(ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、およびケトコナゾールなど)、トリアゾール(イトラコナゾールおよびフルコナゾールなど)、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフタート、ナフチフィン、テルビナフィン、または脂質に封入され得るか、もしくは複合され得る他の任意の抗真菌薬、およびそれらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらの組合せを含む、抗真菌剤が含まれ得る。考察および例は、主としてシプロフロキサシンを対象とするが、本出願の範囲は、この抗感染薬に限定されるものではない。薬物の組合せが、使用され得る。
バイオフィルムとは、表面で細胞が互いに接着する、微生物の任意の集団である。これらの接着細胞は、しばしば、細胞外高分子物質(EPS)からなる自己産生マトリックスの内部に埋もれ込んでいる。スライムとも呼ばれる(ただし、スライムと形容されるものすべてがバイオフィルムではない)バイオフィルム細胞外高分子物質は、細胞外DNA、タンパク質、および多糖類から通常は構成された高分子集塊である。バイオフィルムは、生物表面または非生物表面で形成することができ、自然環境、工業環境、および病院環境下で至るところに広がることができる。バイオフィルム中で増殖する微生物細胞は、同じ生物体の浮遊細胞とは生理学的に異なっており、浮遊細胞は、対照的に、液体媒体中で浮かび得るまたは浮遊し得る、単一細胞である。
バイオフィルムは、体内での多種多様の微生物感染症に、1つの概算では全感染症の80%に、関与していることが判明している。バイオフィルムが関係するとされている感染プロセスには、尿路感染症、カテーテル感染症、中耳感染症、歯垢の形成、歯肉炎、コンタクトレンズの被覆などのよく起こる問題、ならびに心内膜炎、嚢胞性線維症における感染症、および常時留置している装置、例えば人工関節および心臓弁の感染症など頻度は落ちるが致死性の高いプロセスが含まれる。最近になって、細菌バイオフィルムが、皮膚の創傷治癒を悪化させ、感染した皮膚創傷を治癒させるまたは治療する際に局所抗菌薬の効率を低下させる場合があることが注目されている。
本発明に包含される気管支拡張薬には、β2-アドレナリン受容体アゴニスト(アルブテロール、バンブテロール、サルブタモール、サルメテロール、フォルモテロール、アルホルモテロール、レボサルブタモール、プロカテロール、インダカテロール、カルモテロール、ミルベテロール、プロカテロール、およびテルブタリンなど)、および抗ムスカリン物質(トロスピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム、およびアクリジニウムなど)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。薬物の組合せが、使用され得る。
本発明に包含される抗炎症薬には、吸入コルチコステロイド(ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルチカゾン、エチプレドノール、およびモメタゾンなど)、ロイコトリエン受容体アンタゴニストおよびロイコトリエン合成阻害物質(モンテルカスト、ジレウトン、イブジラスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、アメルバント(amelubant)、およびチペルカストなど)、シクロオキシゲナーゼ阻害物質(イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、インドメタシン、ナプロキセン、ザルトプロフェン、ロルノキシカム、メロキシカム、セレコクシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、ピロキシカム、アンピロキシカム、シンノキシカム、ジクロフェナク、フェルビナク、ロルノキシカム、メサラジン、トリフルサール、チノリジン、イグラチモド、およびパミコグレルなど)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。薬物の組合せが、使用され得る。
本明細書において使用される場合、「製剤」とは、任意の賦形剤または付加的な有効成分を含む、乾燥粉末としての、または液体中に懸濁もしくは溶解された、リポソームに封入された抗感染薬を意味する。
「対象」、「個体」、「患者」、および「宿主」という用語は、本明細書において同義的に使用され、任意の脊椎動物、特に、任意の哺乳動物を意味し、最も具体的には、ヒト対象、農場動物、および哺乳動物ペットを含む。対象は、医師のような医療従事者の世話を受けていてよいが、必ずしもそうである必要はない。
「安定な」製剤とは、その中のタンパク質または酵素が、比較的高い温度にて保管および曝露された際に、その物理的および化学的な安定性および完全性を本質的に保持するものである。ペプチド安定性を測定するための様々な解析技術が当技術分野において利用可能であり、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Pubs. (1991)およびJones, A. (1993) Adv. Drug Delivery Rev. 10:29-90に総説がある。安定性は、選択した温度で、選択した期間、測定することができる。
治療のための「哺乳動物」とは、ヒト、家畜および農場動物、ならびに動物園の動物、スポーツ用の動物、またはペット動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、雌ウシなどを含む、哺乳動物に分類される任意の動物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「障害」とは、特許請求される方法および組成物を用いる治療の恩恵を受けると考えられる任意の状態である。
ポリソルベート20は表面活性剤であり、いくつかの一般的な市販用ブランド名にはAlkest TW 20およびTween 20が含まれる。化学的には、これは、その安定性および相対的な非毒性の寄与により薬理学的用途で使用できるポリソルベート表面活性剤である。これは、モノラウリン酸ソルビタンのポリオキシエチレン誘導体であり、ポリオキシエチレン鎖および脂肪酸エステル部分の長さによって、ポリソルベート部類の他のメンバーと区別される。
BRIJ 30は表面活性剤である。化学的には、これは、平均分子量が362であるポリオキシエチレン化直鎖アルコールである。これは、実験式
Figure 2017513839
を有する。
発明全般
シプロフロキサシンは、嚢胞性線維症患者でよく起こる、P.エルギノーサに起因する下気道感染症の治療に適応される、十分に定着しており手広く使用されている広域フルオロキノロン抗生物質である。吸入抗微生物剤の主な利点は、それらが一次感染部分へと抗生物質送達を導き、GIに関連する副作用を回避することであるが;しかし、この薬物は溶解性が乏しく苦いため、吸入に適した製剤の開発が制限されていた。さらに、シプロフロキサシンが急速に組織に分布するということは、肺中での薬物滞留時間が短くなることを意味し、したがって、経口薬物投与またはIV薬物投与を上回る治療恩恵は制限される。凍結でき、融解後に、改変された二相性放出プロファイルを提供する、シプロフロキサシンのリポソーム封入製剤は、改善された生物薬剤学的な特徴およびメカニズム、例えば、変更された薬物PKおよび体内分布、担体からの持続的薬物放出、疾患部位への送達の促進、および分解からの活性薬物種の保護を介して、これらの制限を減らし、CF患者におけるP.エルギノーサ肺感染に起因する肺感染症の治療技術を改善する。
本発明は、シプロフロキサシン(または異なる免疫抑制(immune blunting)剤、例えばジスロマック)を別の薬物、例えば、吸入経路によって送達されるリポソームシプロフロキサシンと組み合わせた製剤を含む。リポソームに封入されたシプロフロキサシンは、シプロフロキサシン以外の抗生物質で代用されてよく、リポソームを用いずに製剤化されてよい。他の薬物は抗生物質である必要はなく、肺に送達された際にいくつかの有益な特性を有すると考えられている任意の薬物であってよい。また、これらの薬物のうちの1つまたは複数は、凍結融解工程中に、リポソームに封入されたナノ結晶を形成する。
本発明は、PA肺感染症またはNTM肺感染症に罹患している患者の治療に限定されず、CF患者を含む、他の細胞内感染症および全身性肺感染症を含む。実際に、非CF性気管支拡張症、肺炎、および他の肺感染症を含む、この治療法が有益であり得る多くの患者および適応症が存在する。また、この治療パラダイムは、COPD、喘息、肺高血圧症などを含む他の肺疾患にも適用されると考えられ、その際、遊離シプロフロキサシンおよび封入シプロフロキサシンからなる製剤が、別の薬物と組み合わせて送達されて、他の薬物の高用量の投薬または他の薬物の安全な投与が可能になる。
本発明はまた、吸入によって与えられる他の薬物と組み合わせた、吸入される遊離シプロフロキサシン(または異なる免疫抑制剤、例えばジスロマック)の使用にも関する。これらの他の薬物には、ヌクレオチド(DNA、RNA、siRNA)、DNアーゼのような粘液の粘弾性を低下させるための酵素および他の粘液溶解剤;塩素イオンチャネルを上方制御するためもしくは細胞を通過するイオンの流れを増加させるための化学物質;ニコチン、P2Y2アゴニスト;α-1抗トリプシン(AAT)を含むエラスターゼ阻害物質;N-アセチルシステイン、抗生物質および陽イオン性ペプチド、例えばランチビオティクス、具体的にはデュラマイシン;短時間作用型気管支拡張薬(例えば、アルブテロールまたはインダカテロールのようなβ2-アドレナリン受容体アゴニスト)、M3ムスカリンアンタゴニスト(例えば、イパトロピウム(ipatropium)臭化物)、K+チャネル開口薬、長時間作用型気管支拡張薬(例えば、フォルモテロール、サルメテロール)、ステロイド(例えば、ブデソニド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、シクレソニドなど)、キサンチン、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えばモンテルカストナトリウム)、ホスホジエステラーゼ4阻害物質、アデノシン受容体アンタゴニスト、他の種々の抗炎症薬(例えば、Sykキナーゼ阻害物質(AVE-0950)、トリプターゼ阻害物質(AVE-8923およびAVE-5638)、タキキニンアンタゴニスト(AVE-5883)、誘導型一酸化窒素合成酵素阻害物質(GW-274150)など)、転写因子デコイ、TLR-9アゴニスト、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、DNA、CGRP、リドカイン、インバースβ2アゴニスト、抗感染性酸化的治療物質、サイトカインモジュレーター(例えば、CCR3受容体アンタゴニスト(GSK-766994、DPC-168、AZD-3778)、TNF-α産生阻害物質(LMP-160およびYS-TH2)、およびIL-4アンタゴニスト(AVE-0309))、IgEの低分子阻害物質、細胞接着分子(CAM) 阻害物質;VLA4受容体またはインテグリンα4β1を標的とする低分子(例えば、R-411、PS-460644、DW-908e、およびCDP-323);カルシニュリン(タクロリムス)、ヘパリン中和剤(タラクトフェリンα)、細胞質ゾルPLA2阻害物質(エフィプラジブ)、またはそれらの組合せの阻害によってT細胞シグナル伝達を妨害するものを含む免疫調節薬が、含まれ得る。組合せ製造物の送達は、これらの薬物を1つの安定な製剤にまとめるか、または投与時にまとめられるように別々の容器に入れてこれらの薬物を提供するか、あるいは製造物を逐次的に送達することによって、達成することができる。
本発明の組成物は、ポリオールおよび表面活性剤を含むリポソームの液体製剤から調製することができる。このような成分は、例えば、生物活性材料への保護、構造的安定性、向上した溶解性、および他の望ましい特徴を組成物に提供することができる。これらの組成物のポリオールは、約1重量パーセント〜最高で40重量パーセント、または約5重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲の量で、液体製剤中に存在することができる。「ポリオール」とは、複数のヒドロキシル基を有する物質であり、糖(還元糖および非還元糖)、糖アルコール、および糖酸を含む。本明細書において好ましいポリオールは、約600kDa未満(例えば、約120〜約400kDaの範囲)である分子量を有する。「還元糖」とは、金属イオンを減らすか、またはタンパク質中のリジン基および他のアミノ基と共有結合的に反応することができるヘミアセタール基を含むポリオールである。「非還元糖」とは、還元糖のこれらの特性を有していない糖である。還元糖の例は、フルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、およびグルコースである。非還元糖には、例えば、スクロース、トレハロース、ソルボース、メレチトース、およびラフィノースが含まれる。マンニトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、ソルビトール、およびグリセロールは、糖アルコールの例である。糖酸に関して、これらには、L-グルコン酸およびその金属塩が含まれる。ポリオールには、例えば、スクロース、トレハロース、ソルボース、メレチトース、ラフィノース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、ソルビトール、グリセロール、フルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、グルコース、および/またはL-グルコン酸などが含まれ得る。
これらの組成物の表面活性剤は、約0.01重量パーセント〜約2重量パーセントの範囲の量で、液体製剤中に存在することができる。表面活性剤には、例えば、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウラート(Tween 20またはポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80またはポリソルベート80)、BRIJ 30、および/またはポリエチレンとポリプロピレングリコールのブロック共重合体(プルロニック)などが含まれ得る。また、表面活性剤には、アルキルフェニルアルコキシラート、アルコールアルコキシラート、脂肪アミンアルコキシラート、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ヒマシ油アルコキシラート、脂肪酸アルコキシラート、脂肪酸アミドアルコキシラート、脂肪酸ポリジエタノールアミド、ラノリンエトキシラート、脂肪酸ポリグリコールエステル、イソトリデシルアルコール、脂肪酸アミド、メチルセルロース、脂肪酸エステル、シリコーンオイル、アルキルポリグリコシド、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールエーテルブロック共重合体、ポリアクリラート、アクリル酸グラフト共重合体、アルキルアリールスルホナート、フェニルスルホナート、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、アルキルエーテルスルファート、アルキルアリールエーテルスルファート、アルキルポリグリコールエーテルホスファート、ポリアリールフェニルエーテルホスファート、アルキルスルホスクシナート、オレフィンスルホナート、パラフィンスルホナート、石油スルホナート、タウリド、サルコシド(sarcoside)、脂肪酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグノスルホン酸、スルホン化ナフタレンの縮合物、リグニン-サルファイト廃液、リン酸アルキル、四級アンモニウム化合物、アミンオキシド、および/またはベタインなども含まれ得る。
組成物は、pH緩衝剤、他の薬物、および他の賦形剤など他の成分を含んでよい。組成物の緩衝剤には、pHを約pH3〜約pH8もしくは約pH4〜pH6、またはpH5前後に維持するための、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、リン酸塩、イミダゾール、コハク酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、および/または炭酸塩が含まれ得る。
本発明は、本発明の製剤が、注射、吸入、経鼻投与、経口、およびIV輸注など任意の公知の投与経路によって投与される、治療方法を含む。とはいえ、本発明は肺中のバイオフィルムの形態での感染症の治療に特に適しているため、好ましい投与方法は、吸入によるものである。本発明の製剤は、いくつかの理由から、肺中でバイオフィルムとして形成される感染症の根絶に特に適している。最初に、本発明のリポソームは、90%またはそれ以上、95%またはそれ以上、98%またはそれ以上のリポソームが構造的完全性を維持し、それによって、噴霧器または多孔膜の細孔を通過させることのいずれかによってエアロゾル化された後、その内部に入れられている薬物製剤を維持するという点で、エアロゾル化の際に特に破裂しにくい。製剤が肺組織に到達した後、比較的低いpH、例えば6.5またはそれ未満、6.0またはそれ未満、5.5またはそれ未満、5.0またはそれ未満の水性担体であってよい溶媒担体中に溶解された薬物では、その担体中の薬物が、即時放出され、細菌と接触する。その後、リポソームが溶解するか、またはそれらの二重層の透過性が高まり、リポソーム内に封入された製剤が放出される。その後、ナノ結晶がゆっくりと溶解する。したがって、本発明の製剤は、1日に1回送達され得、シプロフロキサシンのような薬物の長期間にわたる制御放出のために提供され得る。
バイオフィルムは、いくつかの要因から、抗生物質による根絶に対して耐性である。第1に、それらは通常、クラスとしてアミノグリコシドを含むいくつかの抗生物質がバイオフィルム中に拡散するのを阻害する、密集した菌体外多糖マトリックスに取り囲まれている。第2に、急成長する細菌細胞の外層もまた、バイオフィルムの内側の細胞を抗生物質曝露から「保護する」。第3に、バイオフィルムの内側の細胞は酸素が欠乏しており、それゆえ、ゆっくりと成長するか、または休眠状態であり、したがって、抗生物質曝露に対する感受性が本質的に低い。最後に、殺菌に対して不死身である「存続生物」細胞の存在に関する証拠があり、未知の他の耐性メカニズムもまた、存在する可能性がある。
I.シプロフロキサシンナノ結晶を含むリポソームの作製
ほとんどのリポソーム製剤は、凍結に対して安定ではない。バイアルに入れられた製剤が、氷点下の温度に供されると、冷たい表面(例えば、通常、バイアルの底または側面)と接触する水が優先的に凍り始めて水の結晶を形成し、その結果、製剤中の賦形剤および他の成分は、残存する液体体積において高濃度になる。時間とともに、液体すべてが最終的に凍るが、この濃縮効果は、多くの製造物の安定性を低下させることが公知である。pHも、凍結工程中および凍結状態において変化する場合があり、このこともまた、製剤の安定性に影響を及ぼし得る。最後に、凍結工程それ自体が、リン脂質超分子集合体に欠陥を生じさせる場合がある。リポソームは、脂質二重層の内部および外部の両方に水が存在するため、凍結工程に対して特に不安定である。脂質二重層は、水分子との水素結合を形成することができる。水結晶が形成すると、それらが原因となってリポソーム小胞が破裂する場合がある。融解の際、脂質成分は小胞に再編成されず、その代わりに、沈殿または凝集した状態で残る。
凍結乾燥または噴霧乾燥は、乾燥および再水和の最中にリポソーム融合および相分離を引き起こす場合がある。糖、例えば、スクロースおよびトレハロースの添加により、それぞれ昇華または蒸発によって水を除去する凍結乾燥または噴霧乾燥の最中、一部のリポソーム調製物を安定させることができる。凍結/凍結乾燥保護剤は、溶液をかさ高くして小胞同士が直接接触するのを防止し小胞の可動性を小さくすることにより、柔軟な状態で膜を維持することによって、凍結乾燥および再水和工程の最中に氷結晶が原因で生じる脂質二重層の機械的損傷および破裂を制限する。糖分子は、リポソームとの水素結合を形成することができ、したがって、リポソームの周りの水分子と「入れ替わる」。最初の実験により、糖添加は、凍結乾燥または噴霧乾燥に関してリポソーム製剤を安定化しないことが示された。しかし、さらに別の実験により、糖と表面活性剤、この場合ポリソルベート20の様々な組合せが、凍結に対してリポソームを本当に安定化したことが示されている。融解の際、調製物は、澄んだままであり、個々の添加濃度のポリソルベート20に対して、小胞平均サイズが数nmだけ、少し変化した。単層小胞は、特定の様式で糖および表面活性剤と共に製剤化された場合、凍結融解の際に多重層小胞を形成しなかった。このことは、吸入用リポソームシプロフロキサシン(CFI)製剤に糖のみが添加されたいくつかの場合において凍結融解後に形成した300〜700nmの大型多重層小胞とは対称的である。これらの小胞の多くは非常に不安定であったため、凝集物を形成し、溶液中から沈澱した。
驚くべきことに、本発明者らは、スクロースおよびポリソルベート20の組合せをCFI薬物製造物に添加すると、凍結され、融解時にその超分子リポソーム構造を維持することができ、小胞サイズの分布の変化が限定的で、封入された薬物の大部分を保持する製剤が得られることを発見した。スクロースも別の糖もなしで表面活性剤を単独で添加すると、リポソームは凍結融解後にその構造を保持することができなかった。トレハロースのような糖を含む、他の凍結保護剤もまた、Tween 20と組み合わせて作用することができた。このことはトレハロースについて実証された。本発明は、このような能力を有する唯一の表面活性剤としてTween 20に限定されるのではなく、むしろ、本明細書において示す目的のためのTween 20の使用は、本発明の例として提供される。
本発明の別の新規な局面は、製剤中の糖および表面活性剤の個々の濃度によって、凍結融解後にリポソームから放出される遊離薬物の量が決まるということである(図1)。これらの賦形剤濃度を適切な判断に基づいて選択することにより、最終的なバイアル中で多様な封入薬物および遊離薬物を作製することが可能になる。1つの態様は、融解後に既存の製剤、例えば約30%の遊離シプロフロキサシンおよび70%のリポソーム封入シプロフロキサシンの混合物(Pulmaquin(登録商標))の組成および固有の特性と合致する安定な凍結製剤を作製することである。これは、約0.1〜0.3%のTween20および200〜400mg/mLのスクロースを添加することによって達成することができた。
1回の長期安定性試験により、融解前にバイアルを6週間凍結しておいた場合、即時の凍結融解の場合のように、同様の比率の遊離薬物および封入薬物が得られることが実証された(図2)。したがって、本発明の別の局面は、リポソーム薬物製造物を何年にもわたって保管し、脂質の分解および物理的不安定性を減少する可能性である。
驚くべきことに、本発明者らは、スクロースおよび表面活性剤の特定の組合せについて、リポソームの内部に薬物ナノ結晶を生成することが可能であり得ることも発見した。糖濃度が、凍結融解後のリポソームの破壊および/または凝集を防止するのに適切な高さである場合、小胞内部にシプロフロキサシンのナノ結晶を形成させることができ、これが原因で、小胞は円形の形状を失い、楕円体の形状になる。ナノ結晶は、長さが100nmのオーダーであり得、リポソーム小胞の内部で形成し得る(図3)。リポソームの一部は、封入薬物含有量の一部または全体を失っている場合があり、遊離薬物の量は、添加された表面活性剤の量に依存する。図3は、封入薬物の一部またはすべてを失っていることと一致する、ナノ結晶を含まず、かつ密度が軽くなっているリポソームの存在を示す。凍結融解前の同じ製剤のクライオTEM顕微鏡写真は、ナノ結晶が存在しないことを示し(図4)、リポソームの陰影が濃いことから、内部に薬物が存在することが示唆される。これらの画像は、凍結融解に応答してナノ結晶が形成されることを裏付ける。
本発明の局面によれば、シプロフロキサシンおよび他の抗感染薬を、リポソーム中にこれらの薬物を封入することによって製剤化するための方法が提供される。生体適合性かつ生分解性である天然材料を含むため、リポソームは、様々な目的のために生物学的に活性な材料を封入するのに使用される。様々な層、サイズ、表面電荷、および組成物を有するため、リポソーム調製およびそれらの内部への薬物封入のための多数の手順が開発されており、それらの一部は、産業レベルまでスケールアップされている。リポソームは、持続放出薬物デポーとして作用するように、およびいくつかの用途では、細胞膜を通過しての薬物接近を手助けするように、設計することができる。
リポソームの持続放出特性は、脂質膜の性質によって、およびリポソームの組成中に他の賦形剤を含めることによって、調節することができる。薬物放出の速度は、リン脂質の性質、例えば、水素添加(--H)もしくは水素無添加(--G)、またはリン脂質/コレステロールの比率(この比率が高いほど、放出速度は速い)、活性成分の親水性/親油性特性を変更することによって、およびリポソーム製造の方法によって、主に制御されてきた。本発明者らの発明の重要な局面は、リポソーム内部にナノ結晶を形成させることによって、ならびにより具体的には、特定の製剤化道具および賦形剤を用いる凍結融解工程を通してそれらを形成させることによっても、薬物放出の速度を制御できることである。
II.シプロフロキサシン含有リポソームの薬学的製剤
好ましい態様において、リポソームに封入されたシプロフロキサシンは、エアロゾル吸入装置に入れて患者に投与されるが、IV経路によって、注射または別の送達経路によって投与されてもよい。いくつかの態様において、シプロフロキサシンは、同様に封入されている他の医薬と組み合わせてリポソーム中に封入される。いくつかの態様において、シプロフロキサシンは、封入されない他の医薬と組み合わせてリポソーム中に封入される。いくつかの態様において、封入されていないシプロフロキサシンと、封入されていない医薬と、またはそれらの様々な組合せと組み合わせて、リポソームは投与される。
薬物製剤の形態に関係なく、約0.5μm〜12μm、好ましくは1μm〜6μm、およびより好ましくは約2〜4μmの範囲内の液滴または粒子を吸入用に作製することが好ましい。サイズ範囲が比較的狭い吸入粒子を作製することによって、薬物送達系の効率をさらに高め、投薬の反復性を向上させることが可能である。したがって、粒子のサイズが0.5μm〜12μm、または2μm〜6μm、または約3〜4μmの範囲内であるだけでなく、平均粒子サイズが狭い範囲を越えず、その結果、患者に送達される粒子の80%またはそれ以上が、平均粒子サイズの±20%以内、平均粒子サイズの好ましくは±10%以内、およびより好ましくは±5%以内である粒子直径を有することが好ましい。
本発明の製剤は、使い捨ての容器および持ち運び可能な手持ち型の電池式装置、例えばAERx装置(米国特許第5,823,178号、Aradigm, Hayward, CA)を用いて患者に投与されてよい。あるいは、本発明の製剤は、機械的(非電子的) 装置を用いて実施されてもよい。従来のジェット噴霧器、超音波噴霧器、ソフトミスト吸入器、ドライパウダー吸入器(DPI)、定量吸入器(MDI)、および他の方式を含む他の吸入装置が、製剤を送達するのに使用され得る。好ましくは、封入シプロフロキサシンに対する遊離シプロフロキサシンの比率は、最初の比率と比べて、噴霧後も一定のままであるべきであり;すなわち、もし起これば、封入された抗生物質の一部分を時期尚早に放出する結果を招くと考えられる損傷が、噴霧中にリポソームに起こるべきではない。本発明者らの新規の製剤によって観察されたこの知見は、予想外である(Niven RW and Schreier H, 1990)が、この知見により、エアロゾルを吸入する動物またはヒトでは、再現可能な比率の遊離薬物と封入薬物が肺の全体にわたって沈着することが保証される。
エアロゾルは、細孔が約0.25〜6マイクロメートルの範囲内の大きさである膜の細孔に薬物を強制的に通すことによって、作製することができる(米国特許第5,823,178号)。細孔がこの大きさである場合、細孔を通って出てきてエアロゾルを生成する粒子は、0.5〜12マイクロメートルの範囲内の直径を有すると考えられる。薬物粒子は、このサイズ範囲内に粒子を保つように意図された空気流を用いて放出され得る。小さい粒子の作製は、約800〜約4000キロヘルツの範囲内の振動周波数を与える振動装置を用いることによって、容易にすることができる。いくつかの態様の目的が、約0.5〜12マイクロメートルの範囲内の直径を有するエアロゾル化粒子を提供することであることを念頭に置いて、薬物が放出される細孔の大きさ、振動周波数、圧力などのパラメーターならびに製剤の密度および粘度に基づく他のパラメーターにいくつかの調整を加えてよいことが、当業者には認識されよう。
リポソーム製剤は、低粘度の液体製剤であってよい。薬物それ自体または担体と組み合わせた薬物の粘度は、強制的に製剤を穴の外へ出してエアロゾルを形成できるように、例えば、20〜200psiを用いて、約0.5〜12マイクロメートルの範囲内の粒径を好ましくは有するエアロゾルを形成できるように、十分に低いことが望ましい。
1つの態様において、低沸点の揮発性が高い噴射剤が、本発明のリポソームおよび薬学的に許容される賦形と組み合わされる。リポソームは、噴射剤中の懸濁物もしくは乾燥粉末として提供されてよく、または別の態様において、リポソームは、噴射剤内で溶液に溶解される。これらの製剤のどちらも、唯一の開口部としてバルブを有する容器の中に容易に含めることができる。噴射剤は揮発性が高い、すなわち沸点が低いため、容器の内容物は加圧下にある。
別の製剤によれば、シプロフロキサシン含有リポソームは、凍結融解前に、溶液製剤として提供される。患者に吸入させ肺内経路を介して送達できる放出速度が変更されたエアロゾル化型のシプロフロキサシン含有リポソームを凍結融解後に製造することを可能にする任意の製剤が、本発明に関連して使用され得る。
III.投薬計画
上記に基づき、複数の異なる治療および投与手段が、ひとりの患者を治療するのに使用され得ることが、当業者に理解されると考えられる。したがって、例えば、静脈内シプロフロキサシンまたは抗生物質などとしてこのような医用薬剤を既に与えられている患者は、本発明の製剤の吸入の恩恵を受ける可能性がある。一部の患者は、吸入によってシプロフロキサシン含有リポソーム製剤のみを与えられる場合がある。このような患者は、嚢胞性線維症の症状を有しているか、細胞内感染症を含む肺感染症に罹患していると診断されているか、または患者へのシプロフロキサシンのような抗生物質の投与の恩恵を症状が受ける可能性がある医学的状態の症状を有している可能性がある。また、本発明の製剤は、診断に使用されてもよい。1つの態様において、例えば、患者は、肺感染症を診断するための手順の一環として本発明の製剤の投与を受けてよく、その場合、患者の症状のうちの1つまたは複数が、製剤に応答して改善する。
患者は典型的には、約0.01〜10mg/kg/日の用量のシプロフロキサシン±20%または±10%を与えられる。典型的には、この用量は、エアロゾル装置からの少なくとも1回、好ましくは数回の「ひと吹き」によって投与される。好ましくは、1日当たりの総用量は、1日当たり少なくとも1回投与されるが、1日当たり2つまたはそれ以上の用量に分割されてもよい。一部の患者は、高用量または数日もしくは数週間の期間にわたる頻度がより高い投与と、それに続く、減量した用量または維持用量を用いて、シプロフロキサシンを患者に「十分な程与える」期間によって、利益を得る場合がある。典型的には嚢胞性線維症は慢性病態であるため、患者は長期間にわたってそのような治療法を施されることが予想される。
リポソームに封入されたフルオロキノロン抗生物質の吸入が肺感染症の治療に有効である場合があり、F.ツラレンシスのマウスモデルにおいて遊離または未封入フルオロキノロンより優れていることが示されたことが、以前に示されている(CA2,215,716、CA2,174,803、およびCA2,101,241)。しかし、それらの著者らは、リポソーム製剤を凍結し、凍結融解後に改変された放出プロファイルを提供すること、特に、封入された薬物の放出を減らすかまたは改変するナノ結晶がリポソーム内に存在するリポソーム製剤の、潜在的恩恵を予期しなかった。本発明の1つの局面によれば、高濃度の抗生物質が即時送達されるのと同時に、数時間または1日にわたる治療的物質の持続放出も提供される。
したがって、上記に考察したように、本発明のいくつかの局面による製剤は、リポソームに封入されたシプロフロキサシンと組み合わせて、遊離または未封入のシプロフロキサシンを含む。このような製剤は、細菌コロニーまたはバイオフィルムを取り囲む肺液中の抗生物質濃度の急速な増加をもたらし、それらの生存能力を低下させる、遊離シプロフロキサシンによる即時の恩恵と、それに続く、細菌を死滅させるか、もしくはその繁殖能力を低下させ続けるか、または抗生物質耐性コロニーが発生する可能性を低下させる、封入シプロフロキサシンによる持続的恩恵とを、提供し得る。当業者は、医学的状態を患者ごとに治療する際に本発明の製剤の相対的優位を理解するであろう。
IV.併用療法
本発明のリポソーム製剤は、本明細書において説明する他の薬物と同時に投与されてよい。例えば、本発明のリポソームは、DNアーゼ、粘液溶解剤、塩素イオンチャネルを上方制御するか、もしくは細胞の上皮表面を通過するイオンの流れを増加させる化学物質;気管支拡張薬、ステロイド、P2Y2アゴニスト、α-1抗トリプシン(AAT)のようなエラスターゼ阻害物質、N-アセチルシステイン、バイオフィルム細菌に対する抗生物質の活性を増強するサリチル酸ナトリウムのような作用物質、インターフェロンγ、インターフェロンα;またはアミフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、イルロキサシン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ロソキサシン、ルフロキサシン、サラフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、およびトスフロキサシンからなる群より選択されるフルオロキノロン;またはトブラマイシン、コリスチン、アジスロマイシン、アミカシン、セファクロル(Ceclor)、アズトレオナム、アモキシシリン、セフタジジム、セファレキシン(Keflex)、ゲンタマイシン、バンコマイシン、イミペネム、ドリペネム、ピペラシリン、ミノサイクリン、もしくはエリスロマイシンの群より選択される抗生物質などの薬物と共に使用されてよい。
上記の内容は、本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書において明瞭に説明も示しもしないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な取り合わせを考え出せることが、認識されるであろう。さらに、本明細書において列挙する例および条件的な言い回しはすべて、本発明の原理および技術促進のために本発明者らが与えた概念を読者が理解するのを助けることを主に意図し、このような具体的に列挙される例および条件に限定されることはないと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、局面、および態様、ならびにそれらの具体的な例を列挙する本明細書の記載はすべて、それらの構造的等価物および機能的等価物の両方を包含することが意図される。さらに、このような等価物には、現在公知の等価物および将来開発される等価物、すなわち、構造に関わらず同じ機能を果たす、開発された任意の要素の両方が含まれると意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書において示し説明する例示的な態様に限定されるものではない。正しくは、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
V.治療方法
これまで、本発明者らは、嚢胞性線維症患者および非CF性気管支拡張症患者、ならびにNTM感染症に罹患している人において感染症を治療するための本発明の適用を主として考察してきた。しかし、本発明が、それらの様式以外でも有用であり利点があることは、当業者には明らかである。この治療方法は、人工呼吸器関連肺炎、市中肺炎、気管支肺炎、大葉性肺炎を非限定的に含む気管支拡張症、結核、肺炎を非限定的に含む鼻腔、気道、内耳、または肺の感染症;肺炎連鎖球菌、クラミジア(Chlamydia)、マイコプラズマ肺炎、ブドウ球菌(staphylococci)による感染症を伴う他の疾患状態に、感染が起こる可能性がある病態に対する、例えば、挿管された患者もしくは人工呼吸を施されている患者、肺移植患者における感染症、気管支炎、百日咳(百人咳)、内耳感染症、連鎖球菌咽頭感染症、吸入炭疽、野兎病、または副鼻腔炎に対する予防治療または予防に適用される。
実験
以下の実施例は、本発明を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために発表され、本発明者らが自分達の発明とみなすものの範囲を限定することも意図せず、下記の実施例が、実施される唯一の実験であると示すことも意図しない。使用する数値(例えば、量、温度など)に関しては正確性を徹底するよう努力を払ったが、いくつかの実験上の誤差およびずれは考慮されるべきである。別段の定めがない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度の単位は摂氏温度であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。
実施例1
シプロフロキサシン(50mg/mL)を、水素添加ダイズホスファチジルコリン(HSPC)(70.6mg/mL)、すなわち天然ダイズレシチン(SPC)の全面的に水素添加された半合成誘導体、およびコレステロール(29.4mg/mL)からなるリポソーム中に封入する。脂質を、75〜120nmの平均粒径を有する二重層の構造にする。無菌懸濁液を、等張緩衝液(25mMヒスチジン、145mM NaCl、pH6.0、300mOsm/kg)に懸濁する。これらのリポソームシプロフロキサシン調製物は、約1%の未封入シプロフロキサシンを含み、例えば噴霧によって患者にエアロゾルとして投与することができる。リポソームシプロフロキサシンはまた、酢酸ナトリウム緩衝液に溶かした20mg/mLの遊離シプロフロキサシンと組み合わせ、エアロゾルとして患者に投与することもできる。
実施例2
リポソームシプロフロキサシン(CFI)の調製物は、50mg/mLのバッチARA048、ARA51、およびARA52を用いて作製した。0.1%ポリソルベート20、90mg/mLスクロース、pH約5における最終濃度12.5mg/mLのCFIを得るために、0.5mLの180mg/mLスクロース、0.1mLの1%ポリソルベート20、0.1mLのpH4酢酸緩衝液、および0.05mLの水を用いて0.25mLの50mg/mLCFIを希釈することによって、12.5mg/mLのCFI製剤を調製した。
これらの調製物それぞれを含むバイアル1本を(液体窒素中で)凍結し、次いで、融解して、リポソーム内部にナノ結晶を形成させた。遊離薬物および薬物全体を測定することによって、CFI試料の封入率を決定した。遊離薬物は、約1〜約2mg/mLの範囲であり、これは、10〜18%の遊離薬物に相当した。したがって、封入率は、82〜90%の範囲であった。
(表1)遊離薬物および封入率
Figure 2017513839
これらの試料のインビトロ放出プロファイルを、凍結されず、したがってナノ結晶を含まない対照CFI試料のものと比較した。CFI試料はすべて(12μL、濃度12.5mg/mL)、ヘペス緩衝生理食塩水(HBS)3.0mL中に希釈して、最終濃度0.05mg/mLのCFIにした。Hyclone血清、ロット番号AWC99946、カタログ番号SH30075.03、(容器の混合物)2016年3月失効(3.0mL)を、希釈したCFIに添加し、混合後、チューブを氷水中で保存して、放出が始まるのを防いだ(0.025mg/mL CFI)。バイアルから0.5mLのアリコートを、各製剤について10個の個別のHPLCバイアルに移した。2つ1組のバイアルが、各時点に相当した。各製剤について2つのT=0バイアルを除いて、8×5=40個の残りのバイアルを37℃の振盪水槽に入れた。ストップウォッチを開始した。30分後、60分後、120分後、および240分後に、各製剤について2つ1組のバイアルを取り出し、氷水の水槽に浸して反応を終わらせた。試料0.5mLを含む各バイアルに、HBS緩衝液0.5mLを添加し、内容物を混合した(0.0125mg/mL CFI)。400μLアリコートを遠心分離フィルターに移し、10,000rcfで10分間回転させた。ろ液をHPLCバイアルに移して、遊離薬物をHPLCによって測定した。
凍結融解後のCFI調製物からの放出は、対照CFIと比べて放出プロファイルを遅らせるシプロフロキサシンナノ結晶の形成と一致している(図5)。T=0の放出は、インビトロ放出の前の封入薬物の量に相当し、これは、対照CFIの場合は1%未満であり、ナノ結晶製剤の場合は6〜9%の範囲であった。どの試料も、アッセイ法において4時間が経過する間に封入薬物の100%近くを最終的には放出した。しかし、対照CFIの場合の放出速度の方が速く、50分後に65%近くが放出されたのに対し、凍結融解後にナノ結晶を含む試料の場合には40%しか放出されなかった。
実施例3
実施例2の様式と同一の様式で調製したバッチARA051由来のCFI試料に対して、IVR実験を繰り返した。この結果を図6に示している。この事例において、凍結融解の前後のCFI試料のインビトロ放出プロファイルを報告した。凍結融解前のCFI試料は、対照CFIと同様であったのに対し、凍結融解後は、T=0での放出の1%から約12%への増加が認められ、次いで、その時点から、シプロフロキサシンナノ結晶の存在と一致する遅延放出プロファイルが認められた。
実施例4
この実験では、リポソーム内スクロースおよびリポソーム外スクロースの両方を含む2バッチのCFIを使用した。1バッチの50mg/mL CFI、ARA054-01は、内部に50mMスクロース(約17.1mg/mL)を有しており、一方、2つ目のARA054-02は、内部に150mMスクロース(約51.3mg/mL)を有していた。どちらも、25mMヒスチジンおよびリポソームの外部の300mMスクロース(約102.6mg/mL)、pH6.0中で調製した。0.25mL〜0.5mLの水および0.25mLの180mg/mLスクロースを添加することによって、これらのロットを4倍希釈して、外部スクロース濃度を最終的に約70.7mg/mLにした。これらの製剤はどれも、いかなる表面活性剤も含まなかった。2つ1組のバイアルを調製し、各製剤の1つのバイアルを液体窒素中で凍結し、次いで、融解して、それらの製剤が凍結融解工程に耐え得るか、およびまた、遅いIVRプロファイルに基づいてシプロフロキサシンナノ結晶が存在することに帰すことができるかどうかを確認した。対照CFIロット0060もまた使用した。
IVRアッセイ法は、実施例2で説明したようにして実施した。データを図7に示している。IVRアッセイ法において、対照CFI試料は、凍結融解前の2つの製剤と同等であった。表面活性剤の非存在下では、T=0での放出量は、凍結融解後も比較的不変であり、99%近くが封入されていた。50分間のインキュベーションの後、対照試料は、約60〜70%の放出を示したのに対し、凍結融解後のロットARA054-01およびARA054-02はそれぞれ30%および40%の放出を示した。両方のプロファイルは、遅延放出プロファイルの原因となるシプロフロキサシンナノ結晶の形成と一致している。バッチARA054-01の方が、バッチARA054-02よりも放出速度が遅かったことから、内部スクロースが少ないリポソーム中のナノ結晶の方が、内部スクロースが多いバッチの場合よりも放出が遅いことが示唆された。
実施例5
この実験では、リポソーム外の空間にのみ90mg/mLスクロースを含む1バッチのCFIを使用した。表面活性剤はリポソームに添加しなかった。2つ1組のバイアルを準備した。一方のバイアルは、液体窒素中で凍結し、次いで、融解した。他方のバイアルは凍結せず、対照としての機能を果たした。
IVRアッセイ法は、実施例2で説明したようにして実施した。データを図8に示している。IVRアッセイ法において、対照CFI試料は、IVRアッセイ法のこれまでの対照CFI製剤(実施例2〜4)の場合と同等であった。表面活性剤の非存在下では、T=0での放出量は、凍結融解後も比較的不変であり、99%近くが封入されたままであった。50分間のインキュベーションの後、対照試料は、約70%の放出を示したのに対し、凍結融解後の試料は30%の放出を示した。凍結融解後のCFI試料のIVRプロファイルは、遅延放出プロファイルの原因となるシプロフロキサシンナノ結晶の形成と一致している。
実施例6
この実験では、リポソーム外の空間にのみ90mg/mLスクロースを含む1バッチのCFIを使用した。ポリソルベート20の代わりに、様々な濃度(0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、および0.3%)のBRIJ 30をリポソームに添加した。各製剤のバイアル1本を液体窒素中で凍結し、次いで、融解した。BRIJ 30を含まず凍結融解に曝されていないCFIを、対照として使用した。
IVRアッセイ法は、実施例2で説明したようにして実施した。データを図9に示している。IVRアッセイ法において、対照CFI試料は、IVRアッセイ法のこれまでの対照CFI製剤(実施例2〜5)の場合と同等であった。表面活性剤の存在下では、T=0での放出量は、表面活性剤の量が増えるにつれて、増加した。50分間のインキュベーションの後、対照試料は、約70%の放出を示したのに対し、凍結融解後のBRIJ 30を含む試料は30〜60%の放出を示した。凍結融解後のCFI試料のIVRプロファイルは、遅延放出プロファイルの原因となるシプロフロキサシンナノ結晶の形成と一致している。
実施例7
この実験では、90mg/mLスクロースおよび0.05%ポリソルベート20(図10)、0.1%ポリソルベート20(図11)、または0.2%ポリソルベート20(図12)を含む、凍結融解後の12.5mg/mLリポソームシプロフロキサシン製剤のクライオTEM画像を撮影した。凍結融解後、0.1%ポリソルベート20を含むCFI製剤を、PARI eFlowメッシュネブライザーを用いて噴霧し、集めたエアロゾルも、クライオTEM画像法によって解析した(図13)。脂質含有量は約22.5mg/mLであった。これは、スクロースと脂質の比率が重量基準で約4:1であることを意味する。クライオTEMは、試料を12.5mg/mLシプロフロキサシンから5mg/mLに希釈し、次いで、液体エタン中で試料を凍結し、ガラス化することによって実施した。ポリソルベート20が最も少ない試料(図10)は、より長いナノ結晶を有する細長いリポソームが多いのに対し、0.1%ポリソルベート20を含む試料(図11)は、より短いナノ結晶を有する円形リポソームが多く、メッシュ噴霧の後でも未変化と考えられた(図13)。0.2%ポリソルベート20を含む試料の方が、多くの「空」リポソームを有しており、このことは、より多くの封入薬物が放出され、したがって、即時放出薬物の割り当てが増えていることと一致する。
本発明は、最も実用的で好ましい態様であるとみなされる様式で、本明細書においてを示されかつ説明されている。しかし、本発明の範囲内にある逸脱をそれからなされてもよいこと、および明らかな修正が本開示を読んだ際に当業者には想到されることが、認識される。
本発明をその特定の態様に関連して説明してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、かつ等価物は置き換えられてよいことが、当業者によって理解されるべきである。さらに、個々の状況、材料、組成物、工程、工程の1つまたは複数の段階を、本発明の目的、精神、および範囲に適応させるために、多くの修正が施されてもよい。このような修正はすべて、本発明に添付される特許請求の範囲に収まることが意図される。
参照文献
以下はそれぞれ参照により組み入れられる。
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Claims (15)

  1. 脂質二重層と、
    凍結保存剤と
    を含み、薬学的に活性な薬物のナノ結晶が該脂質二重層によって取り囲まれており、該ナノ結晶が200nmまたはそれ未満の寸法を有する、リポソーム
    を含む、製剤。
  2. 表面活性剤
    をさらに含み、かつ
    前記凍結保存剤がポリオールである、請求項1に記載の製剤。
  3. 前記ポリオールが、トレハロースおよびスクロースからなる群より選択され、かつ
    前記表面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項2に記載の製剤。
  4. 薬学的に許容される担体
    をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
  5. 前記担体中に溶解させた薬学的に活性な薬物
    をさらに含む、請求項4に記載の製剤。
  6. 前記リポソームがその中に分散されている、液状形態の薬学的に活性な薬物
    をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
  7. 前記薬物が抗感染症薬である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製剤。
  8. 前記抗感染症薬が、キノロン、スルホンアミド、アミノグリコシド、テトラサイクリン、パラアミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、β-ラクタム、β-ラクタム阻害物質およびβ-ラクタマーゼ阻害物質、クロラムフェニコール、マクロライド、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン系抗真菌薬、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス(butoconazole ciclopirax)、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフタート、ナフチフィン、テルビナフィン、ならびにそれらの組合せからなる群より選択され、
    前記脂質二重層が、脂肪酸;リゾ脂質;スフィンゴ脂質;スフィンゴミエリン;糖脂質;グルコリピド;スフィンゴ糖脂質;パルミチン酸;ステアリン酸;アラキドン酸;オレイン酸;スルホン化単糖、スルホン化二糖、スルホン化オリゴ糖、またはスルホン化多糖を有する脂質;エーテル結合およびエステル結合した脂肪酸を有する脂質、重合脂質、ジアセチルホスファート、ステアリルアミン、カルジオリピン、リン脂質、非対称アシル鎖を有する合成リン脂質;ならびに共有結合ポリマーを有する脂質からなる群より選択される脂質を含み、かつ
    前記リポソームが、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるリン脂質を含み;該リン脂質が、コレステロール、ステアリルアミン、ステアリン酸、トコフェロール、およびそれらの混合物からなる群より選択される改質物質との混合物中に提供され;かつ該リポソームが単層または多重層である、請求項7に記載の製剤。
  9. 前記ナノ結晶が、100ナノメートルまたはそれ未満の寸法を有し、
    前記脂質二重層がHSPCおよびコレステロールを含み、
    前記凍結保存剤が、スクロースおよびトレハロースからなる群より選択され、
    前記表面活性剤が、ポリソルベート20およびBRIJ30からなる群より選択され、かつ
    前記薬物がシプロフロキサシンである、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の製剤。
  10. リポソームが、1:10〜10:1(w/w)の比または好ましくは1:1〜5:1(w/w)の比で存在するポリオールおよびホスファチジルコリン豊富リン脂質を含み、
    前記ナノ結晶が、50ナノメートル〜75ナノメートルの寸法を有し、
    前記表面活性剤が、0.01%〜1%の量または好ましくは0.05%〜0.4%の量で存在し、
    リポソーム温度を-20℃〜-80℃の範囲内の低温まで低下させ、該リポソームを該低温で1週間またはそれ以上の期間該低温で保存し、そして該温度を5℃〜30℃の範囲内の温度まで上昇させることによって該リポソームを融解した場合に、90%またはそれ以上の該リポソームが構造的完全性を維持する、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤。
  11. 20ナノメートル〜1マイクロメートルの範囲内の直径を有するリポソームを有し、1マイクロメートル〜12マイクロメートルの範囲内の空力学的直径を有する粒子へとエアロゾル化されており、該リポソームの少なくとも90%が、エアロゾル化後に構造的完全性を該リポソームが維持することを可能にする組成物を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の製剤。
  12. 薬学的に活性な薬物の溶液を供給する段階;
    該溶液を囲む球形の脂質二重層を形成させ、それによって、溶液をリポソーム中に封入する段階;
    該リポソームを凍結する段階;
    凍結した該リポソームをある期間にわたって維持する段階;
    該リポソームの温度を、該溶液の凝固点を上回る温度〜該薬学的に活性な薬物のナノ結晶が形成される温度まで上昇させる段階であって、該ナノ結晶が、100ナノメートル〜50ナノメートルの寸法を有する、段階
    を含む方法によって製造されたリポソーム製剤。
  13. 凍結が、-20℃〜-80℃の温度までであり、かつ該凍結が、1週間またはそれ以上の期間維持され、
    前記リポソームが、凍結保存剤および表面活性剤を含み、
    該凍結保存剤が好ましくはポリオールであり、
    該ポリオールが好ましくは、スクロースおよびトレハロースからなる群より選択され、
    該表面活性剤が好ましくは非イオン性界面活性剤であり、かつ
    前記薬物が好ましくは抗感染症薬である、請求項12に記載の製剤。
  14. 前記抗感染症薬が、キノロン、スルホンアミド、アミノグリコシド、テトラサイクリン、パラアミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、β-ラクタム、β-ラクタム阻害物質およびβ-ラクタマーゼ阻害物質、クロラムフェニコール、マクロライド、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン系抗真菌薬、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフタート、ナフチフィン、テルビナフィン、ならびにそれらの組合せからなる群より選択され、
    前記脂質二重層が、脂肪酸;リゾ脂質;スフィンゴ脂質;スフィンゴミエリン;糖脂質;グルコリピド;スフィンゴ糖脂質;パルミチン酸;ステアリン酸;アラキドン酸;オレイン酸;スルホン化単糖、スルホン化二糖、スルホン化オリゴ糖、またはスルホン化多糖を有する脂質;エーテル結合およびエステル結合した脂肪酸を有する脂質、重合脂質、ジアセチルホスファート、ステアリルアミン、カルジオリピン、リン脂質、非対称アシル鎖を有する合成リン脂質;ならびに共有結合ポリマーを有する脂質からなる群より選択される脂質を含み、
    前記リポソームが、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるリン脂質を含み;該リン脂質が、コレステロール、ステアリルアミン、ステアリン酸、トコフェロール、およびそれらの混合物からなる群より選択される改質物質との混合物中に提供され;かつ該リポソームが単層または多重層である、請求項13に記載の製剤。
  15. 前記脂質二重層がHSPCおよびコレステロールを含み、
    前記凍結保存剤が、スクロースおよびトレハロースからなる群より選択され、
    前記表面活性剤が、ポリソルベート20およびBRIJ30からなる群より選択され、かつ
    前記薬物がシプロフロキサシンである、請求項12〜14のいずれか一項に記載の製剤。
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