JP2017512837A - ウイルス感染の治療または予防における使用のためのrnアーゼ - Google Patents
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Abstract
RNアーゼAスーパーファミリーのリボヌクレアーゼまたはその機能的誘導体は、哺乳類対象の、ボルティモアグループI、II、IVおよびVに分類されるウイルスによって引き起こされるウイルス感染の治療または予防に幅広く有用である。
Description
本発明はRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼの使用に関し、特に、哺乳類対象の、ボルティモア分類グループ(Baltimore Classification Group)V、IV、IIおよびIに分類されるウイルスによるウイルス感染の治療または予防のためのランピルナーゼの使用に関する。
ウイルス感染は肺および消化管などの異なる臓器に影響を与える場合があり、重篤な疾患または感染対象の死さえ引き起こす。
例えば、西アフリカで進行しているエボラ流行はこれまでのところ約10,000人の死を引き起こした。いくつかの実験的薬物が試験されているが、これまでのところ、エボラウイルスの感染に対する認可された治療はない。
別の例として、インフルエンザウイルスは毎年何百万の感染を引き起こし、1年につき世界で数千人が亡くなっている。インフルエンザ感染に対する有効な治療は得られていない。
したがって、ウイルス疾患を効果的に治療または予防するために使用することができる物質を同定する必要がある。
最近の実験で、ランピルナーゼは、治療に対して強い抵抗性を示すウイルス(例えば、MERS−CoVおよびEBOV)を含む驚くほど多くの異なるウイルスに対して、驚くほど強い抗ウイルス効果を示すことが示された。
したがって、本発明は、哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、ウイルスがボルティモア分類グループVに分類される、使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体に関する。
ボルティモア分類グループVに分類されるウイルスは、好ましくは、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)、パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、オルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)およびフィロウイルス科(filoviridae)からなる群から選択される科に由来し、さらに好ましくは、ウイルスは狂犬病ウイルス、インフルエンザAウイルス、はしかウイルス、エボラウイルスおよび呼吸器合胞体ウイルスからなる群から選択される。
別の実施形態において、本発明は、哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、ウイルスがボルティモア分類グループIVに分類され、デングウイルス、黄熱ウイルスおよび重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス以外である、使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体に関する。
ボルティモア分類グループIVに分類されるウイルスは、好ましくは、トガウイルス科(togaviridae)、コロナウイルス科(coronaviridae)およびピコルナウイルス科(picornaviridae)からなる群から選択される科に由来し、さらに好ましくは、ウイルスはMERS−CoV、チクングンヤ熱ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスおよびライノウイルス14からなる群から選択される。
さらに別の実施形態において、本発明は、哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、ウイルスがアデノウイルス科(adenoviridae)およびポックスウイルス科(poxviridae)からなる群から選択される科に由来する、使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体に関する。
好ましくは、ウイルスはワクシニアウイルスおよびアデノウイルス2からなる群から選択される。
さらに別の実施形態において、本発明は、哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、ウイルスがボルティモア分類グループIIに分類される、使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体に関する。
ボルティモア分類グループIIに分類されるウイルスは、好ましくは、パルボウイルス科(parvoviridae)に由来し、より好ましくは、ウイルスはイヌパルボウイルスである。
好ましくは、RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼは、配列番号1、2、3および4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、さらに好ましくは、ランピルナーゼのアミノ酸配列である配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。
別の好ましい実施形態において、哺乳類対象はヒトである。
また好ましくは、RNアーゼは全身投与され、さらに好ましくは、RNアーゼは静脈内投与、筋肉内投与、経口投与、直腸投与または経鼻投与によって投与される。
特に、本発明は哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼであって、ウイルスが狂犬病ウイルス、MERS−CoV、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、チクングンヤ熱ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、イヌパルボウイルス、アデノウイルス2、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス14およびワクシニアウイルスからなる群から選択される、使用のためのランピルナーゼに関する。
最近の実験で、ランピルナーゼは、治療に対して強い抵抗性を示すウイルス(例えば、MERS−CoVおよびEBOV)を含む驚くほど多くの異なるウイルスに対して、驚くほど強い抗ウイルス効果を示すことが示された。
本発明の驚くほど広範囲の活性スペクトルは、ランピルナーゼが様々な型のRNAを分解することによってもたらされると考えられる。
これまでに、3つのRNA分解機構が、ランピルナーゼを用いた抗ウイルス療法と関係があると考えられている。
これらの機構の1つ目は、tRNAの分解である。哺乳類細胞内でのtRNAの分解によって、細胞はいくつかのウイルス感染に対して抵抗性を持つ。これは、リボソームを用いたタンパク質合成によっていくつかのウイルスは複製し、タンパク質の合成に必要とされるアミノ酸を送るために転移RNAがリボソーム内に入らない限り、タンパク質合成ができないからである。よって、tRNAを分解する薬剤の全身投与は、いくつかのウイルスが非感染細胞に拡散することを阻止または少なくとも実質的に妨げる。哺乳類の宿主を危険にさらすのに十分なほどウイルスが広く拡散する前にこの投与を行う場合、ウイルスは最終的に死滅する。
2つ目の機構はウイルス二本鎖RNAの分解である。いくつかのウイルスは哺乳類細胞内で増殖プロセスの一部として二本鎖RNAを産生し、二本鎖RNAの破壊によってそのようなウイルスの複製を阻止または少なくとも実質的に妨げることができる。
3つ目の機構はマイクロRNAおよびsiRNAの分解である。二本鎖RNAを用いて増殖するいくつかのウイルスにおいて、二本鎖RNAはマイクロRNAまたはsiRNAが一本鎖RNAと相互作用することによって産生される。マイクロRNAまたはsiRNAの破壊によって、ウイルスが複製するウイルス二本鎖RNAの形成を阻止できる。
RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼは、いくつかの哺乳類およびいくつかの爬虫類の膵臓で多量に見つかった、ピリミジン特異的エンドヌクレアーゼである。これらは、2’,3’−環状リン酸エステル中間体を介して、3’−ホスホモノヌクレオチドおよびC−PまたはU−Pで終わる3’−ホスホオリゴヌクレオチドのヌクレオチド鎖切断開裂に関与する。このスーパーファミリーのメンバーには、ランピルナーゼおよびそのバリアント、アムヒナーゼ(amphinase)、rアムヒナーゼ2、ウシ精嚢および脳リボヌクレアーゼ;腎臓非分泌性リボヌクレアーゼ;肝臓型リボヌクレアーゼであるアンギオゲニン;好酸球陽イオンタンパク質、ならびにヒトおよびウシ膵臓リボヌクレアーゼを含む異なる種由来の膵臓リボヌクレアーゼが含まれる。
ランピルナーゼは米国特許第5,559,212号明細書に開示されている、ヒョウガエル(Rana pipiens)の卵母細胞から単離されたRNアーゼであり、Onconase(登録商標)としても知られている。ランピルナーゼのアミノ酸配列を配列番号1に示す。ランピルナーゼはRNAに対するその酵素活性によって、がん細胞に対して細胞毒性を有することが試験によりわかっている。
ランピルナーゼのバリアント(以下、「‘805バリアント」)が米国特許第5,728,805号明細書に開示されている。‘805バリアントもRNアーゼであり、同様にいくつかのがん細胞に対して細胞毒性を有することがわかっている。‘805バリアントはランピルナーゼの近縁のバリアントであり;そのアミノ酸配列は、ランピルナーゼのアミノ酸配列の、11番目がイソロイシンの代わりにバリン、20番目がアスパラギン酸の代わりにアスパラギン、および103番目がセリンの代わりにアルギニンである以外は、ランピルナーゼのアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態において、‘805バリアントは「Val11、Asn20、Arg103−ランピルナーゼ」と示される。‘805バリアントのアミノ酸配列を配列番号2に示す。
アムヒナーゼ2もまたRNアーゼである。米国特許第6,239,257号明細書に2325p4として同定されたタンパク質であり、がん細胞に対して細胞毒性を有することもわかっている。アムヒナーゼ2のアミノ酸配列を配列番号3に示す。
組み換えアムヒナーゼ2(「rアムヒナーゼ2」)はアムヒナーゼ2に類似するが、1番目にMet残基を有し、アムヒナーゼ2の27番目および91番目の糖鎖が欠損している。rアムヒナーゼ2については米国特許第7,229,824号明細書に記載されている。rアムヒナーゼ2のアミノ酸配列を配列番号4に示す。
用語「その機能的に同等」は、天然由来のRNアーゼと1つまたは複数のアミノ酸が異なるが、RNアーゼ活性を保持するタンパク質を含むことを示す。例えば、上記で説明した‘805バリアントはランピルナーゼの機能的誘導体と考えられ得る。
米国特許第5,559,212号明細書、第5,728,805号明細書、第6,239,257号明細書、第7,229,824号明細書、第8,518,399号明細書、第8,663,964号明細書、ならびに米国特許出願公開第2012−0003266号明細書および第2014−0037610号明細書の全体が、全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
ランピルナーゼはとても効果的にtRNAを分解することが知られている(Lin et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 201 (1), 156 - 162 (1994)を参照されたい)。正常哺乳類細胞は自然過程として約80%のtRNAを分解するので、細胞自体に何らかの害があるとしても、この分解はほとんど起こらない。結果として、ウイルス感染がかなり拡散して効果的に制御することができない場合を除いて、特に、ウイルス感染がかなり拡散する前のランピルナーゼの全身投与によって、ウイルスが感染する正常細胞を殺さずにウイルスを死滅させる。
本発明者らによって、ボルティモア分類グループV、IV、IおよびIIに分類されるウイルスを含むいくつかのウイルスの増殖に対して、ランピルナーゼは効果があることがわかった。
ウイルスのボルティモア分類は、ウイルスの遺伝子複製および発現の様式を基に、デービット・ボルティモアによって提案された(Baltimore (1971) Bacteriological Reviews 35: 235-241)。この分類によると、ウイルスを7つの異なるグループに分けることができる。
グループI:二本鎖DNAウイルス
グループII:一本鎖DNAウイルス
グループIII:二本鎖RNAウイルス
グループIV:プラス鎖RNAを有する一本鎖RNAウイルス
グループV:マイナス鎖RNAを有する一本鎖RNAウイルス
グループVI:DNA中間体を介して複製するプラス鎖一本鎖RNAウイルス
グループVII:一本鎖RNA中間体を介して複製する二本鎖DNAウイルス
グループI:二本鎖DNAウイルス
グループII:一本鎖DNAウイルス
グループIII:二本鎖RNAウイルス
グループIV:プラス鎖RNAを有する一本鎖RNAウイルス
グループV:マイナス鎖RNAを有する一本鎖RNAウイルス
グループVI:DNA中間体を介して複製するプラス鎖一本鎖RNAウイルス
グループVII:一本鎖RNA中間体を介して複製する二本鎖DNAウイルス
本出願には、ボルティモアグループI、II、IVおよびVに分類されるウイルス、特にボルティモアグループIVおよびVに分類されるウイルスによるウイルス感染の治療に対して、ランピルナーゼが広く適用できることを示しているデータを示す。
ボルティモア分類グループVには、マイナス鎖RNAを有する一本鎖RNAウイルスが分類される。これらのウイルスのRNAは宿主細胞の翻訳機構で直接使用することはできないが、ウイルスポリメラーゼの作用によってまずプラス鎖RNAに変換されなければならない。このグループのウイルス科には、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)、パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、オルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)、フィロウイルス科(filoviridae)、ブニヤウイルス科(bunyaviridae)およびアレナウイルス科(arenaviridae)が含まれる。本発明の範囲内で、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)、パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、オルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)またはフィロウイルス科(filoviridae)に由来するウイルスによるウイルス感染を治療または予防することが好ましい。
ラブドウイルス科(rhabdoviridae)には、リッサウイルス(Lyssavirus)属、エフェメロウイルス(Ephemerovirus)属、ノブラブドウイルス(Novirhabdovirus)属およびベシクロウイルス(Vesiculovirus)属が含まれる。狂犬病ウイルスはリッサウイルス(Lyssavirus)属に属する。したがって、本発明は、リッサウイルス(Lyssavirus)属のウイルス、特に狂犬病ウイルスによるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
フィロウイルス科(filoviridae)には、エボラウイルス属(Ebolavirus)、マールブルグウイルス属(Marburgvirus)、およびクウェバウイルス属(Cuevavirus)が含まれる。本明細書において、用語「エボラ(Ebola)」、「エボラウイルス(Ebola virus)」、および「エボラウイルス(Ebola viruses)」は、限定されないが、ブンディブギョウイルス(BDBV)、スーダンウイルス(SUDV)、タイ森林ウイルス(TAFV、Tai Forest virus、コートジボワールエボラウイルスとしても知られている)、エボラウイルス(EBOV、以前はザイールエボラウイルスとして知られていた)、およびレストンウイルス(RESTV)を含むエボラウイルス属のメンバー全てを示す。マールブルグウイルス属(Marburgvirus)には、マールブルグウイルス(MARV)が含まれ;およびクウェバウイルス属(Cuevavirus)にはルオヴュウイルス(LLOV、Lloviu virus)が含まれる。したがって、本発明は、エボラウイルス属(Ebolavirus)のウイルス、特にエボラウイルスによるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)には、パラミクソウイルス属(Paramyxovirus)、モルビリウイルス属(Morbillivirus)、およびニューモウイルス属(Pneumovirus)が含まれる。はしかウイルスはモルビリウイルス属(Morbillivirus)に属し、呼吸器合胞体ウイルスはニューモウイルス属(Pneumovirus)に属する。したがって、本発明はまた、モルビリウイルス属(Morbillivirus)またはニューモウイルス属(Pneumovirus)のウイルス、特にはしかウイルスまたは呼吸器合胞体ウイルス(RSV)によるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
オルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)にはインフルエンザA、BおよびCウイルス属が含まれる。本発明は、インフルエンザAウイルスによるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
ボルティモア分類グループIVには、プラス鎖RNAを有する一本鎖RNAウイルスが分類される。これらのウイルスのRNAは宿主細胞の翻訳機構で直接使用することができる。このグループのウイルス科には、トガウイルス科(togaviridae)、コロナウイルス科(coronaviridae)、ピコルナウイルス科(picornaviridae)、フラビウイルス科(flaviviridae)およびカリシウイルス科(calicivirus)が含まれる。本発明の範囲内で、トガウイルス科(togaviridae)、コロナウイルス科(coronaviridae)またはピコルナウイルス科(picornaviridae)に由来するウイルスによるウイルス感染を治療または予防することが好ましい。
トガウイルス科(togaviridae)には、アルファウイルス属(Alphavirus)およびルビウイルス属(Rubivirus)が含まれる。アルファウイルス属(Alphavirus)には、限定されないが、チクングンヤ熱ウイルス(CHIV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、シンドビスウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、エバーグレードウイルス(Everglades virus)、ムカンボウイルス(Mucambo virus)、ピクスナウイルス(Pixuna virus)、ミデルブルグウイルス(Middleburg virus)、アウラウイルス(Aura virus)、ワタロアウイルス(Whataroa virus)、ババンキウイルス(Babanki virus)、キジラガチウイルス(Kyzylagach virus)、ハイランドJウイルス(Highlands J virus)、フォートモーガンウイルス(Fort Morgan virus)、ヌドゥムウイルス(Ndumu virus)、バギークリークウイルス(Buggy Creek virus)、バーマ森林ウイルス、ベバルウイルス(Bebaru virus)、カバソウウイルス(Cabassou virus)、ゲタウイルス、マヤロウイルス、メトリウイルス(Me Tri virus)、リオネグロウイルス(Rio Negro virus)、トナテウイルス(Tonate virus)、トロカラウイルス(Trocara virus)、ウナウイルス(Una virus)、オニオニオンウイルス(O’nyong’nyong virus)およびセムリキ森林ウイルスを含むいくつかの種が含まれる。ルビウイルス属(Rubivirus)には、風疹ウイルス種が含まれる。したがって、本発明は、アルファウイルス属(Alphavirus)のウイルス、特に、チクングンヤ熱ウイルス(CHIV)またはベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)によるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
コロナウイルス科(coronaviridae)には、コロナウイルス属(Coronavirus)、ベータコロナウイルス属(Betacoronavirus)およびトロウイルス属(Torovirus)が含まれる。中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS−CoV)はベータコロナウイルス属(Betacoronavirus)に属する。したがって、本発明は、ベータコロナウイルス属(Betacoronavirus)のウイルス、特にMERS−CoVウイルスによるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
ピコルナウイルス科(picornaviridae)には、エンテロウイルス属(Enterovirus)、ライノウイルス属(Rhinovirus)、アフトウイルス属(Aphthovirus)、カルジオウイルス属(Cardiovirus)、およびA型肝炎ウイルス属(Hepatitis A)が含まれる。ライノウイルス14はライノウイルス属(Rhinovirus)に属する。したがって、本発明は、ライノウイルス属(Rhinovirus)のウイルス、特にライノウイルス14によるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
ボルティモア分類グループIには、二本鎖DNAウイルスが分類される。mRNAは、宿主細胞の翻訳機構を用いて、二本鎖DNAから通常の方法で転写される。このグループのウイルス科には、アデノウイルス科(Adenoviridae)、ポックスウイルス科(Poxviridae)、イリドウイルス科(Iridoviridae)、アフリカ豚コレラウイルス、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)およびヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)が含まれる。本発明の範囲内で、アデノウイルス科(Adenoviridae)またはポックスウイルス科(Poxviridae)に由来するウイルスによるウイルス感染を治療または予防することが好ましい。
アデノウイルス科(adenoviridae)には、マストアデノウイルス属(Mastadenovirus)およびアビアデノウイルス属(Aviadenovirus)が含まれる。アデノウイルス2はマストアデノウイルス属(Mastadenovirus)に属する。したがって、本発明は、マストアデノウイルス属(Mastadenovirus)のウイルス、特にアデノウイルス2によるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
ポックスウイルス科(poxviridae)には、オルトポックスウイルス属(Orthopoxvirus)、アビポックスウイルス属(Avipoxvirus)、カプリポックスウイルス属(Capripoxvirus)、レポリポックスウイルス属(Leporipoxvirus)およびパラポックスウイルス属(Parapoxvirus)が含まれる。ワクシニアウイルスはオルトポックスウイルス属(Orthopoxvirus)に属する。したがって、本発明は、オルトポックスウイルス属(Orthopoxvirus)、特にワクシニアウイルスによるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
ボルティモア分類グループIには、一本鎖DNAウイルスが分類される。このグループのウイルス科には、パルボウイルス科(Parvoviridae)、アネロウイルス科(Anelloviridae)およびサーコウイルス科(Circoviridae)が含まれる。本発明の範囲内で、パルボウイルス科(Parvoviridae)に由来するウイルスによるウイルス感染を治療または予防することが好ましい。
パルボウイルス科(Parvoviridae)には、パルボウイルス属(Parvovirus)およびディペンドウイルス属(Dependovirus)が含まれる。イヌパルボウイルスはパルボウイルス属(Parvovirus)に属する。したがって、本発明は、パルボウイルス属(Parvovirus)のウイルス、特にイヌパルボウイルスによるウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼにも関する。
1つの態様において、本発明は、ウイルスの増殖もしくは複製の阻害における使用、または細胞に感染するウイルスの能力の低減のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼであって、前記RNアーゼを細胞または組織と接触させる工程を含む、RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼに関する。
各試験化合物の抗ウイルス効果は50%有効濃度(EC50)値で評価してもよく、EC50はウイルスのみに感染させ、RNアーゼ処理していない培養と比較して、ウイルス転写量が50%に低下する濃度である。本明細書において、用語EC50は、AC50(50%活性濃度)と区別しないで用いられる。
各試験化合物の細胞毒性効果は50%細胞毒性濃度(CC50)で評価され、CC50は50%の宿主細胞の死が生じる濃度であり、例えば、トリパンブルー色素排除またはミトコンドリア機能(例えば、MTT)アッセイなどの標準細胞毒性アッセイで測定する。
国立アレルギー感染症研究所(NIAID)(国立衛生研究所の構成要素)は、選択指数(SI)の割合を共通の指標として用いて、試験化合物の効力を評価する。CC50/EC50(またはCC50/AC50)と等しいSIは、感染細胞を殺さずに、ウイルス感染の複製を阻害する試験用のRNアーゼの能力を測定する。SIが1を超える場合、試験用のRNアーゼが示されるウイルスに対して活性を有し、SI値が上がると活性が上がることを示す。SIは感染細胞自体を殺さずに、特定のウイルスの複製を阻害する試験物質の能力を測定するので、ウイルスに感染する生体を治療する物質の有用性とかなり相関がある。したがって、SI>1である試験結果は、試験したウイルスに感染した生体は、適切な用量の対応するRNアーゼを投与することによって治療することができることを示している。
いくつかの態様において、ランピルナーゼのSIの下限範囲は、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約4.0、約5.0、約6.0、約7.0、約8.0、約9.0、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、約300、約325、約350、約375、約400、約450、約500、約550または約600である。
いくつかの態様において、ランピルナーゼのSIの上限範囲は、約2.0、約2.5、約3.0、約4.0、約5.0、約6.0、約7.0、約8.0、約9.0、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、約300、約325、約350、約375、約400、約450、約500、約550または約600である。
特定の態様において、ランピルナーゼのSIは、約1.0から約600、約2.0から約450、約3.0から約400、約4.0から約300、約5.0から約250、約10から約100、約30から約100、約30から約50、または約40から約80である。
本明細書において、用語「約」は、示された量または数に当業者が近いと理解する量または数を示す。例えば、本明細書において用語「約」は、示された量または数のプラスマイナス10%以内の量を示す。
本明細書において、用語「治療する(treating)」および「治療(treatment)」は、ウイルスに感染した対象に、治療有効量のRNアーゼ、例えば、ランピルナーゼや、‘805バリアント、アムヒナーゼ2、またはrアムヒナーゼ2などのランピルナーゼバリアントを投与することを示す。本明細書において、用語「治療する(treating)」は、望ましい薬理および/または生理効果を招くいずれかのウイルス疾患の治療を包含し、疾患の進行を止めること、疾患の退行を招くこと、個体内での1つの細胞から別の細胞へのウイルスの拡散を制限すること、個体内でのウイルスの複製を制限すること、個体の細胞へのウイルスの侵入を制限すること、および個体またはその個体の組織内でのウイルスの数を低下させることを含む。
本明細書において、用語「予防(prevention)」および「予防する(preventing)」は、疾患またはその症状が、疾患または症状が進行するおそれがある対象で起こることを予防することを示すが、まだ疾患または症状があるとは診断されていない。
本明細書において、用語「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、用語「治療有効用量(therapeutically effective dose)」と区別しないで用いられ、疾患の症状または治療されるべき状態の改善(improvement)または改善(remediation)を招くRNアーゼの量を示す。1つの実施形態において、ランピルナーゼ、‘805バリアント、アムヒナーゼ2またはrアムヒナーゼ2などのRNアーゼの治療有効量は、対象のウイルス感染開始を遅らせるもしくは最小限に抑え、または対象のウイルス感染からの回復を早めまたは促進させる。別の実施形態において、ランピルナーゼ、‘805バリアント、アムヒナーゼ2またはrアムヒナーゼ2などのRNアーゼは、ウイルス感染の媒介による疾患全体の死亡率を低下させる。1つの実施形態において、RNアーゼは感染対象のウイルス力価を低下させる。別の実施形態において、RNアーゼは感染対象のウイルス力価が上昇することを防止する。1つの実施形態において、治療有効量のRNアーゼは、ウイルス感染またはウイルス媒介疾患での治療または管理において治療への利点を提供する。1つの実施形態において、治療有効量のRNアーゼは1つの細胞から別の細胞へのウイルスの拡散を低下させる。1つの実施形態において、治療有効量のRNアーゼは罹患率または死亡率を低下させる。治療有効量はまた、疾患を予防および/または症状の重症度を低下させ得る。
治療有効量は、日常の実験として当業者によって決定され得る。医薬組成物の治療有効投与量は当業者によって、例えば動物での検討から容易に決定され得る。さらに、ヒトの臨床研究によって、当業者がヒトにとって好ましい有効用量を決定し得る。そのような臨床研究は当技術分野では日常的であり、よく知られている。採用される正確な用量はまた、投与経路に依存する。有効用量は、インビトロまたは動物試験系に由来する用量反応曲線から推定され得る。RNアーゼは単回投与または複数回投与で、投与の必要がある対象に投与され得る。1つの実施形態において、RNアーゼは投与の必要がある対象に1日1回、または1日に複数回投与される。1つの実施形態において、症状が解決するおよび/または対象がウイルス感染する危険性がなくなるまで、RNアーゼを対象に投与する。
いくつかの実施形態において、治療有効量のRNアーゼ、特にランピルナーゼの投与は、RNアーゼで治療していないウイルスに感染した対照と比較して、ウイルス力価を少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも25%低下させる。ウイルス力価の測定については、Reischl, Front Biosci. 1996 Aug 1, 1:e 72-7, Application of molecular biology-based methods to the diagnosis of infectious diseasesで説明されている。
いくつかの実施形態において、治療有効量のRNアーゼ、特にランピルナーゼの投与は、検出レベル未満にウイルス力価を低下させる。
1つの実施形態において、治療有効用量は治療を必要とする対象の体重に基づいていてもよい。1つの実施形態において、治療有効用量は約0.001mg/kgから約1mg/kg、または約0.004から約0.5mg/kg、または約0.02から約0.1mg/kgの範囲であってもよい。1つの実施形態において、治療有効用量は約0.02mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、または約0.5mg/kgであってもよい。しかしながら、投与量は化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療対象の年齢および体重によって変化し得ることは明らかである。
いくつかの実施形態において、RNアーゼ、特にランピルナーゼは、ウイルス暴露後48時間以内に投与してもよい。他の実施形態において、RNアーゼは、ウイルス暴露後72時間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、14日間、3週間、4週間または2カ月以内に投与してもよい。
いくつかの実施形態において、RNアーゼ、特にランピルナーゼを複数回投与する。これらの複数回投与の頻度は、症状の重症度などの要因によって変化させてもよい。例えば、RNアーゼを月1回、月2回、隔週、週1回、週2回、週3回、週4回、隔日、1日1回、1日2回または1日3回投与してもよい。
RNアーゼ、特にランピルナーゼの投与持続期間、すなわちRNアーゼを投与する期間は、症状の重症度、患者の反応などの要因によって変化させることができる。例えば、RNアーゼを1日間、3日間、7日間、2週間、4週間、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月または6カ月またはそれ以上の期間にわたって投与することができる。
本明細書において、用語「対象」または「患者」はいずれかの哺乳類を示し、限定されないが、ヒト、ならびにチンパンジー、他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長類を含めた、他の霊長類を含む。ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなどの家畜;イヌおよびネコなどの家畜哺乳類;マウス、ラット(コットンラットを含む)およびモルモットなどの齧歯動物を含む実験動物;ならびにニワトリ、七面鳥、他の家禽の鳥、アヒル、ガチョウなどの家庭用、野生および狩猟用のトリを含めたトリも限定されない例である。成人および新生児個人も包含されることが意図される。
特に、本発明はヒト対象のウイルス感染の治療または予防に関する。治療対象のウイルス感染がイヌパルボウイルスによる感染の場合、対象は、好ましくはイヌである。治療対象のウイルス感染がベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)による感染の場合、対象は、好ましくはウマ、ロバまたはシマウマである。
用語「全身投与」は、医薬品、栄養物または他の物質のいずれかの投与経路を含むことが意図され、循環系に入れることによって全身が投与によって影響を受ける。対照的に、局所投与は投与部位のみで局所的に作用する。
一般に、当業者は、RNアーゼ、特にランピルナーゼが全身投与されるいずれの経路もウイルス感染の治療に適していると結論付ける(任意の特定の場合においては、1つの経路が別の経路に比べてより効果的であり得るが)。よって、腸内投与(限定されないが、経口投与および直腸投与を含む)および非経口投与(限定されないが、静脈内投与、筋肉内投与およびエアロゾル送達を含む)がRNアーゼ、特にランピルナーゼの投与に適した方法である。
ランピルナーゼの投与に関する追加の適切な例示方法には、経鼻投与、口腔投与、膣内投与、眼内投与、皮下投与、腹腔内投与、動脈内投与、脊髄投与、髄腔内投与、関節内投与、動脈内投与、くも膜下投与、舌下投与、口腔粘膜投与、気管支投与、リンパ管投与、子宮内投与、縫合などの埋め込み型装置もしくは埋め込み可能なポリマーなどの埋め込み型装置に統合された投与、硬膜内投与、皮質内投与、または経皮投与が含まれる。通常、そのような組成物は本明細書に記載される薬学的に許容できる組成物として投与される。
本明細書において、用語「医薬組成物」には哺乳類、特にヒトなどの対象への投与に適する組成物が包含される。一般に、「医薬組成物」は滅菌されており、対象内での望ましくない反応を誘発することができる汚染物質が存在しない。
本明細書において、用語「薬学的に許容できる担体」にはありとあらゆる溶媒、分散媒、被膜剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性のある物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は本技術分野でよく知られている。これらの薬剤は一般に、安全であり、毒性を示さず、生物学的および他の観点からも望ましいものである。従来の媒体または薬剤が本発明のベクターまたは細胞に不適合である場合を除いて、治療効果のある組成物への使用が予想される。追加の活性成分を組成物に組み込むこともできる。本明細書に示されるRNアーゼ、特にランピルナーゼおよびランピルナーゼバリアントは、他の生物学的に活性がある薬剤とともに投与してもよい。
多種多様の薬学的に許容できる賦形剤が本技術分野で知られているので、本明細書では詳細に説明しない。薬学的に許容できる賦形剤は、例えば、A. Gennaro (2000) "Remington: The Science and Practice of Pharmacy," 20th edition, Lippincott, Williams, & Wilkins; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H.C. Ansel et al., eds., 7th ed., Lippincott, Williams, & Wilkins; and Handbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A. H. Kibbe et al., eds., 3rd ed. Amer. Pharmaceutical Assoc.を含む様々な刊行物に詳細に記載されている。
RNアーゼ、特にランピルナーゼは任意の適切な手段を用いて対象に投与してもよく、ウイルス力価、ウイルス感染の症状などの望ましい低下をもたらすことができる。よって、RNアーゼは、治療のための投与に対する様々な製剤に組み込むことができる。より詳細には、RNアーゼは、適切な薬学的に許容できる担体または希釈剤と組み合わせることによって、医薬組成物に処方することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、粒剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体形態の製剤に処方してもよい。
限定として解釈してはならない以下の実施例により、本発明の態様をさらに説明する。本願全体を通して引用される全ての参考文献、特許および公開された特許出願の内容、ならびに図および配列表は、全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
(実施例)
(実施例)
MEM、EF、および、BSR細胞内の狂犬病ウイルス
図1に記載される実験において、各試験細胞株の密度を、最小必須培地(MEM)を用いて50,000細胞/mlに調整した。細胞をウェルに配置し、37℃および0.5%CO2で24時間インキュベートした。ランピルナーゼを10μM、3μM、900nM、270nM、81nM、および24nMの濃度に希釈してウェルに加え、細胞とともに37℃および0.5%CO2で24時間インキュベートした。
図1に記載される実験において、各試験細胞株の密度を、最小必須培地(MEM)を用いて50,000細胞/mlに調整した。細胞をウェルに配置し、37℃および0.5%CO2で24時間インキュベートした。ランピルナーゼを10μM、3μM、900nM、270nM、81nM、および24nMの濃度に希釈してウェルに加え、細胞とともに37℃および0.5%CO2で24時間インキュベートした。
そして、感染多重度(「MOI」)が0.1である狂犬病ウイルスを各ウェルに加え、ランピルナーゼおよび狂犬病ウイルスを含むウェルを37℃および0.5%CO2で72時間インキュベートした。
各ウェルのウイルスを、マウス神経芽腫細胞を用いて狂犬病ウイルスを導入してから24および48時間後に滴定し、その結果を図1に示す。
図1からわかるように、ランピルナーゼで処理した細胞にウイルスを導入してから24時間後に、示される哺乳類細胞株内の狂犬病ウイルスに対して、ランピルナーゼは並外れた活性を有する。
SIは感染細胞自体を殺さずに、特定のウイルスの複製を阻害する試験物質の能力を測定するので、ウイルスに感染した哺乳類対象を治療する物質の有用性とかなり相関がある。したがって、SI>1である試験結果は、狂犬病ウイルスに感染した哺乳類対象は、適切な用量のランピルナーゼを全身投与することによって治療することができることを示している。さらに、他の下記で開示した、VEEV、CHIVおよびEBOVの実験結果は、狂犬病感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
NHBE細胞内のMERS−CoV
図2に示される実験において、MERS−CoVウイルスに対するランピルナーゼの抗ウイルス活性を、2つの知られている抗ウイルス剤:SARSプロテアーゼ阻害剤およびインファージェンの活性と比較した。実験は正常ヒト気管支上皮(NHBE)細胞を用いて、各薬剤の4つの異なる濃度で行った。
図2に示される実験において、MERS−CoVウイルスに対するランピルナーゼの抗ウイルス活性を、2つの知られている抗ウイルス剤:SARSプロテアーゼ阻害剤およびインファージェンの活性と比較した。実験は正常ヒト気管支上皮(NHBE)細胞を用いて、各薬剤の4つの異なる濃度で行った。
より詳細には、NHBE細胞をHEPES緩衝食塩水中、37℃で7日間増殖させた。1日1回細胞を洗浄し、リフレッシュした(refresh)。以下の2つの対照を用いた:MERS−CoVウイルスが含まれる対照、および試験薬剤で処理した非感染NHBE細胞が含まれる対照。
8日目に、試験濃度の3つの試験薬剤を細胞および緩衝液に導入し、感染多重度(「MOI」)が0.01であるウイルスを導入した。次いで、ウイルスおよび薬剤を含む試料を37℃および5%CO2で72時間インキュベートし、培地は1日1回補充した。次いで、72時間後、試料を滴定し、ウイルス含有量を測定した。
様々な試験薬剤の抗ウイルス活性は、NHBE細胞でのウイルス産生に対する様々な試験薬剤で処理したNHBE細胞のウイルス産生(Vero76細胞のウイルス力価)を対照として用いて比較することによって測定した。
図2からわかるように、ランピルナーゼは、いずれの他の薬剤よりもMERS−CoVウイルスに対してさらにより活性が強かった。さらに、最小濃度のランピルナーゼの用量を除いて、P値が0.0001未満だったので、ランピルナーゼの活性は明らかに統計的に有意だった。
ランピルナーゼは、宿主細胞を殺さないで、NHBE細胞内のMERS−CoVウイルスの複製をとても効果的に阻害したので、本実験によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にMERS−CoVウイルスに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性が証明されている。さらに、他の下記で開示した、VEEV、CHIVおよびEBOVの実験結果は、MERS−CoV感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
NHBE細胞内のインフルエンザウイルス
図3に示される実験において、インフルエンザA/カリフォルニア/07/2009(H1N1)pdm09ウイルスに対する、様々な濃度のランピルナーゼ(5μg/ml「Ranp−5」、1μg/ml「Ranp−1」、0.5μg/ml「Ranp−0.5」、および0.1μg/ml「Ranp−0.5」)の抗ウイルス活性を、NHBE細胞を用いて、様々な濃度の2つの知られている抗ウイルス剤(リバビリン(320μg/ml「Riba−320」、100μg/ml「Riba−100」および10μg/ml「Riba−20」)、オセルタミビルカルボン酸塩(25μM「Osel−25」、10μM「Osel−10」および1μM「Osel−1」))の活性と比較した。3つの対照を用いた。1つ目の対照は、ウイルスに感染し、プラセボで処理したNHBE細胞であった(この対照を図3に示す)。2つ目の対照は、プラセボに「感染し」、試験薬剤で処理したNHBE細胞であった。3つ目の対照は、プラセボに「感染し」、プラセボで処理したNHBE細胞であった。
図3に示される実験において、インフルエンザA/カリフォルニア/07/2009(H1N1)pdm09ウイルスに対する、様々な濃度のランピルナーゼ(5μg/ml「Ranp−5」、1μg/ml「Ranp−1」、0.5μg/ml「Ranp−0.5」、および0.1μg/ml「Ranp−0.5」)の抗ウイルス活性を、NHBE細胞を用いて、様々な濃度の2つの知られている抗ウイルス剤(リバビリン(320μg/ml「Riba−320」、100μg/ml「Riba−100」および10μg/ml「Riba−20」)、オセルタミビルカルボン酸塩(25μM「Osel−25」、10μM「Osel−10」および1μM「Osel−1」))の活性と比較した。3つの対照を用いた。1つ目の対照は、ウイルスに感染し、プラセボで処理したNHBE細胞であった(この対照を図3に示す)。2つ目の対照は、プラセボに「感染し」、試験薬剤で処理したNHBE細胞であった。3つ目の対照は、プラセボに「感染し」、プラセボで処理したNHBE細胞であった。
NHBE細胞に、業者が所有する培養培地を供給し、37℃および5%CO2で少なくとも16時間平衡化した。平衡後、細胞を洗浄し、リフレッシュした。
そして、NHBE細胞に感染多重度のレベルが0.01であるインフルエンザA/カリフォルニア/07/2009(H1N1)pdm09ウイルスを感染させた。1時間の吸着期間後、ウイルス接種物を除去し、処理液を加えた。感染してから24時間後、処理液を補充した。感染してから48時間後、上清を回収した。そして、メイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞のウイルス力価を測定し、一元配置分散分析を用いて統計的有意性を解析した。
図3からわかるように、最小濃度の用量を除き、インフルエンザA/カリフォルニア/07/2009(H1N1)pdm09ウイルスに対するランピルナーゼの活性は統計的に有意であり、用量依存的であった。さらに、これらの実験によって、図2に示される実験結果が裏付けられ、いずれかの試験濃度のランピルナーゼでも、NHBE細胞の生存率は減少しなかった。
ランピルナーゼは、細胞自体を殺さないで、NHBE細胞内の試験インフルエンザウイルスの複製を阻害したので、本実験によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にインフルエンザウイルスに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性がさらに証明されている。さらに、他の下記で開示した、VEEV、CHIVおよびEBOVの実験結果は、インフルエンザ感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
VEEV、CHIV、およびEBOV(全てインビトロ)
方法
VEEV、CHIVおよびEBOVによる細胞感染を阻害するランピルナーゼの能力を評価するためにいくつかの検討を行った。ランピルナーゼ溶液(RAN)および粉末由来ランピルナーゼ(RAN−2)について試験した。粉末由来ランピルナーゼは、Tamir Biotechnology,Inc.が提供する凍結乾燥されたランピルナーゼであった。アッセイの品質管理は、陽性(中性)対照(n=16)または感染細胞+培地、非感染細胞(陰性対照)(n=16)、および対照阻害剤に対する用量反応(n=2または4)を用いて行った。中性対照および非感染細胞のZ’を計算した。データはプレートベースで正規化した。データ解析はGeneDataソフトウェアを用いて行い、ランピルナーゼのED50を測定するための用量反応曲線の解析は曲線適合法によるレーベンバーグ・マルカートアルゴリズム(LMA)を適用したGeneDataCondoseoソフトウェアを用いて行った。
方法
VEEV、CHIVおよびEBOVによる細胞感染を阻害するランピルナーゼの能力を評価するためにいくつかの検討を行った。ランピルナーゼ溶液(RAN)および粉末由来ランピルナーゼ(RAN−2)について試験した。粉末由来ランピルナーゼは、Tamir Biotechnology,Inc.が提供する凍結乾燥されたランピルナーゼであった。アッセイの品質管理は、陽性(中性)対照(n=16)または感染細胞+培地、非感染細胞(陰性対照)(n=16)、および対照阻害剤に対する用量反応(n=2または4)を用いて行った。中性対照および非感染細胞のZ’を計算した。データはプレートベースで正規化した。データ解析はGeneDataソフトウェアを用いて行い、ランピルナーゼのED50を測定するための用量反応曲線の解析は曲線適合法によるレーベンバーグ・マルカートアルゴリズム(LMA)を適用したGeneDataCondoseoソフトウェアを用いて行った。
アストロサイト内のVEEV
アストロサイトのVEEV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、ランピルナーゼ溶液(「RAN」)を10点用量反応で2回反復試験し、粉末由来ランピルナーゼ(図4における「RAN_2」、図5における「RAN−2」)は、3.5mg/mlでリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、単回用量反応についてのみ試験した。RANおよびRAN−2は2つの独立した実験で試験した。これらの実験において、アストロサイトを4,000および3,000 細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。感染多重度(「MOI」)が0.05で細胞を20時間感染させた。検討結果を図4に示す。
アストロサイトのVEEV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、ランピルナーゼ溶液(「RAN」)を10点用量反応で2回反復試験し、粉末由来ランピルナーゼ(図4における「RAN_2」、図5における「RAN−2」)は、3.5mg/mlでリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、単回用量反応についてのみ試験した。RANおよびRAN−2は2つの独立した実験で試験した。これらの実験において、アストロサイトを4,000および3,000 細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。感染多重度(「MOI」)が0.05で細胞を20時間感染させた。検討結果を図4に示す。
HeLa細胞のVEEV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、RANを10点用量反応で4回反復試験し(n=4)、2つの独立した実験(rep1およびrep2)を繰り返した。RAN−2はプレートでn=2用量反応で試験し、2つの独立した実験を繰り返した。HeLa細胞は4,000細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。MOIが0.05で細胞を20時間感染させた。検討結果を図5に示す。図5に示されるように、RANについてはSI値が10を超え、RAN−2についてはSI値が7.75を超えた。
U2OS細胞内のCHIV
U2OS細胞のCHIV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、ランピルナーゼ溶液を10点用量反応で4回反復試験し(n=4)、2つの独立した実験(rep1およびrep2)を繰り返した。RAN−2ストックはプレートでn=2用量反応で試験し、2つの独立した実験を繰り返した。U2OS細胞は3,000細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。MOIが0.4で細胞を24時間感染させた。検討結果を図6に示す。図6に示されるように、SI値が18を超えた。
U2OS細胞のCHIV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、ランピルナーゼ溶液を10点用量反応で4回反復試験し(n=4)、2つの独立した実験(rep1およびrep2)を繰り返した。RAN−2ストックはプレートでn=2用量反応で試験し、2つの独立した実験を繰り返した。U2OS細胞は3,000細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。MOIが0.4で細胞を24時間感染させた。検討結果を図6に示す。図6に示されるように、SI値が18を超えた。
HeLaおよびVeroE6細胞のEBOV
HeLaおよびVeroE6細胞のEBOV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、ランピルナーゼ溶液を10点用量反応で4回反復試験し(n=4)、2つの独立した実験(rep1およびrep2)を繰り返した。RAN−2ストックはプレートでn=2用量反応で試験し、2つの独立した実験を繰り返した。HeLa細胞およびVeroE6細胞をそれぞれ4,000細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。MOIが0.5(HeLa細胞)、0.5および0.75(VeroE6細胞)で細胞を48時間感染させた。HeLa細胞についての検討結果を図7、VeroE6細胞についての検討結果を図8に示す。SI値は予想外に高く、VeroE6細胞は40を超え、77も超えていた(図8)。
HeLaおよびVeroE6細胞のEBOV感染におけるランピルナーゼの効果を試験するため、ランピルナーゼ溶液を10点用量反応で4回反復試験し(n=4)、2つの独立した実験(rep1およびrep2)を繰り返した。RAN−2ストックはプレートでn=2用量反応で試験し、2つの独立した実験を繰り返した。HeLa細胞およびVeroE6細胞をそれぞれ4,000細胞/ウェルでプレートし、一晩インキュベートし、感染前に2時間ランピルナーゼで前処理した。MOIが0.5(HeLa細胞)、0.5および0.75(VeroE6細胞)で細胞を48時間感染させた。HeLa細胞についての検討結果を図7、VeroE6細胞についての検討結果を図8に示す。SI値は予想外に高く、VeroE6細胞は40を超え、77も超えていた(図8)。
VEEV、CHIVおよびEBOVのインビトロでの実験の要約
検討結果は、驚くほど低いAC50値および驚くほど高いSI値で、ランピルナーゼがVEEV、CHIVおよびEBOVを強く阻害したことを示した。図9はAC50の検討結果の全体の要約を示す。
検討結果は、驚くほど低いAC50値および驚くほど高いSI値で、ランピルナーゼがVEEV、CHIVおよびEBOVを強く阻害したことを示した。図9はAC50の検討結果の全体の要約を示す。
これらの実験は、細胞自体を殺さずに、様々な哺乳類細胞(アストロサイト、HeLa細胞、U2OS細胞、VeroE6細胞)内の試験用VEEV、CHIVおよびEBOVの複製をランピルナーゼが阻害したことを証明する。これらの実験によってさらに、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にVEEV、CHIVおよびEBOVに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性が証明されている。さらに、ランピルナーゼで既に処理された細胞にウイルスを導入したこれらの実験で、ランピルナーゼが予防的に用いられていたことに注目すべきである。したがって、これらの実験は、ランピルナーゼの抗ウイルス特性は予防的におよび治療に用いることができることを証明している。
マウス内のEBOV
EBOV感染マウスでのランピルナーゼの用量の範囲の効果を検討した。C57BL/6マウス(8から12週齢)に1000PFUのマウス適応ザイールEBOVを感染させた。感染は腹腔内注射(尾静脈注入)により行った。感染1時間前に、各マウスに0.9%生理食塩水(対照群;グループ1)、0.1mg/kgランピルナーゼ(グループ2)、0.02mg/kgランピルナーゼ(グループ3)、または0.004mg/kgランピルナーゼ(グループ4)を投与した。検討群を図10に示す。
EBOV感染マウスでのランピルナーゼの用量の範囲の効果を検討した。C57BL/6マウス(8から12週齢)に1000PFUのマウス適応ザイールEBOVを感染させた。感染は腹腔内注射(尾静脈注入)により行った。感染1時間前に、各マウスに0.9%生理食塩水(対照群;グループ1)、0.1mg/kgランピルナーゼ(グループ2)、0.02mg/kgランピルナーゼ(グループ3)、または0.004mg/kgランピルナーゼ(グループ4)を投与した。検討群を図10に示す。
マウスの生存をモニターし、各マウスの体重を感染させた日および感染後14日間毎日測定した。(図11および12は感染後12日間のデータを示すが、マウスのモニターはさらに2日間続けた。)各グループの生存数(グループ当たり10匹のマウス中)および各グループにおける生存率をそれぞれ図11および図12に示す。各グループのマウスの体重および出発体重からの変化率をそれぞれ以下の図13および14に示す。図15は図14のデータをグラフ表示したものである。
検討により、ランピルナーゼによってマウスにおいて致命的なエボラウイルス感染が防がれることが示された。特に、0.1mg/kgのランピルナーゼの用量で、感染後少なくとも14日間、70%のマウスが生存した。比較して、ランピルナーゼを投与しなかった対照マウスは、エボラウイルス感染で感染後7日目までに100%死んだ。さらに、0.1mg/kgのランピルナーゼを投与したグループで生存しているマウスは、感染後12日目で出発体重の92%以内の体重を維持していた。したがって、検討により、ランピルナーゼによってエボラウイルス感染マウスの生存を効果的に促進することが示された。さらに、本検討によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にエボラウイルスに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性が証明されている。さらに、上記の、VEEV、CHIV、およびEBOVの実験結果は、EBOV感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
NHBE細胞内のAV
NHBE細胞でのランピルナーゼの抗アデノウイルス(AV)活性を評価するために検討を行った。
NHBE細胞でのランピルナーゼの抗アデノウイルス(AV)活性を評価するために検討を行った。
ランピルナーゼストック溶液を200μMに調製し、アリコートで−80℃にて保存した。実験1日目に、1つのアリコートを解凍し、使用液はストック濃度を細胞培養培地で適切に希釈することによって調製した。使用液は使用前に、37℃に設定した水浴で15〜30分間予め温めた。
分化NHBE細胞(MatTek Corporation、Ashland、MA)を本検討で用いた。細胞は各12または24の組織インサート(tissue insert)で、キットで提供された。本検討で用いたキット(EpiAirway(商標)、それぞれAIR−110およびAIR−100)は、独身ヒトドナー、#9831、23歳、健康、非喫煙、白人男性に由来するものだった。到着してすぐに、組織インサートを製造業者の指示書に従って、6ウェルプレートの個別のウェルに移した。1mlのMatTek培養培地(AIR−100−MM/維持培地)を組織の基底外側に供給し、一方で頂端側は95%加湿空気/5%CO2の環境にさらした。細胞は実験開始前に少なくとも16時間、37℃で平衡化した。平衡期間後、細胞の頂端側から分泌されるムチン層を、500μlの予め温めた30mMのHEPES緩衝食塩水(Lonza、CC−5024/ロット0000354165)で慎重に繰り返し(3回)洗浄することによって除去し、培養培地を補充した。
ウイルス(アデノウイルス2、ATCCからのミラー株(strain Miller);力価6.7log10CCID50/0.1ml)は使用前に−80℃で保存した。アデノウイルスの用量レベルは0.1のMOIに相当した。
分化NHBE細胞を実験的にウイルスに感染させた。1時間の吸着期間後、ウイルス接種物を除去し、図16に示されるように処理液を加えた。感染してから24時間後、処理液を組織インサートの基底区画に補充した。感染してから5日後、上清を回収し、A−549細胞(ATCCからのヒト肺がん細胞)のウイルス力価を測定するまで−80℃で保存した。対照は以下の4つのグループからなる。
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
グループ4−陽性対照薬物としての2’,3’−ジデオキシシチジン
毒性対照は実験の最後に、組織および/または細胞の形態が変化する可能性について、顕微鏡で観察した。
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
グループ4−陽性対照薬物としての2’,3’−ジデオキシシチジン
毒性対照は実験の最後に、組織および/または細胞の形態が変化する可能性について、顕微鏡で観察した。
NHBE細胞は図16に示されるように、AVまたは細胞培地(偽)を頂端側にさらして接種させた。37℃および5%CO2で1時間±10分のインキュベーション後、ウイルス接種物または細胞培養培地を細胞から除去した。細胞の頂端側を500μlの予め温めたHEPES緩衝食塩水で1回洗浄した。
接種後、ランピルナーゼ、2’,3’−ジデオキシシチジンまたは細胞培養培地(プラセボ/細胞対照)を、細胞の頂端側および基底側の培地区画(basal medium compartment)に加え、細胞とともに1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、薬物を含む培地を頂端および基底チャンバーから除去した。培養培地のみ(プラセボ/細胞対照)または薬物を含む培養培地(試験条件)を底部チャンバーに加え、細胞を4日間インキュベートした。感染してから24時間後、薬物を含むまたは含まない細胞培養培地を基底区画に補充した。
感染および処理に続いて、細胞を気液界面で維持し、細胞培養物の上清を感染してから48時間後に回収した。37℃および5%CO2で30分間平衡化した、500μlの培養培地を加え収集することによって、NHBE細胞の頂端区画に放出されたウイルスを回収した。頂端区画からの培地を2つのアリコートに分け、後のウイルス力価の分析まで−80℃で保存した。
50%の細胞培養物を感染させることができるウイルス用量(CCID50)を評価するために、A−549細胞を96ウェルプレートに播種し、コンフルエンスに達するまで一晩増殖させ、次いで100μlの感染培地(50μl/mlのゲンタマイシンを加えたDMEM/EBSS)で2回洗浄した。ウェルを100μlの感染培地で満たした。NHBE細胞培養物からの頂端の洗浄液を感染培地で10倍に希釈し、100μlを96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移した。NHBE細胞からの各濃度のランピルナーゼ(6NHBE細胞ウェル/用量)を滴定して、1つの濃度につき6つの力価を求め(反復試験としての各処理NHBEウェル)、感染および感染/処理細胞からのウイルス収率を評価した。したがって、各濃度のランピルナーゼを合計6回滴定した。陽性対照である2’,3’−ジデオキシシチジンは、1つのウェルのNHBE細胞のみを各濃度に割り当てた。よって、各濃度は1回のみ滴定した。3つのウェルは未処理/感染対照に割り当てた。これらは1回滴定し、未処理/感染対照の力価を3回反復試験した。37℃および5%CO2で6日間のインキュベーション後、細胞を顕微鏡で観察し、ウイルス誘導細胞変性効果(「CPE」)を判定した。非感染対照と比較していずれかのCPE(一般的に細胞の細胞円形化または溶解)の跡が観察された場合、ウェルは陽性と判定した。CCID50はリード・ミュンヒ法(Reed-Muench method)で計算した。
検討結果を図17に示す。最小用量を除いて、全てのランピルナーゼ処理によって、検出不可能なレベルまでウイルス力価が減少した。この低下は50μMのランピルナーゼ処理でのウイルス力価のおよそ3の対数降下を示した(4つのアスタリスクは、プラセボと比較してp<0.0001であることを示す)。5および10μMランピルナーゼ処理では、未処理/感染対照ウェルから検出されるウイルス力価と比較して、検出されたウイルス力価は約1の対数低下であった(1つのアスタリスクはプラセボと比較してp<0.05であることを示す)。2’,3’−ジデオキシシチジンは予想通りにウイルス複製を阻害した。
非感染/ランピルナーゼ処理細胞、または2’,3’−ジデオキシシチジン処理細胞では、ウイルスの細胞変性効果は検出されなかった。ランピルナーゼ処理または2’,3’−ジデオキシシチジン処理したNHBE細胞を顕微鏡により評価した結果、毒性学的現象は起こっていなかった。
したがって、検討結果は全ての多用量のランピルナーゼ処理は統計的に有意にAVの力価を低下させたことを示した。ランピルナーゼは、宿主細胞を殺さないで、NHBE細胞内のAVウイルスの複製を効果的に阻害したので、本実験によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にAVウイルスに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性がさらに証明されている。さらに、上記に開示した、VEEV、CHIV、およびEBOVの実験結果は、AV感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
上記データは、アデノウイルス科(adenoviridae)のウイルスのメンバーであるアデノウイルス2を用いて得られた。この科のウイルスはとても近縁であり、アデノウイルス科(adenoviridae)のいずれか1つのウイルスに対するランピルナーゼの抗ウイルス活性が証明されたことによって、ランピルナーゼがアデノウイルス科(adenoviridae)の全てのウイルスに対して同じ抗複製活性を有することは強く証明されている。
A−72細胞内のイヌパルボウイルス
イヌパルボウイルス2c型をA−72細胞培養物中で増殖させ、細胞培養培地(ダルベッコ最小必須培地;「DMEM」)に含まれるウイルスを使用するまで−80℃で冷凍保存した。ウイルスストックの力価は約105細胞培養感染用量ユニット/mlであり、血球凝集(HA)の力価は1,024から2,048であった。
イヌパルボウイルス2c型をA−72細胞培養物中で増殖させ、細胞培養培地(ダルベッコ最小必須培地;「DMEM」)に含まれるウイルスを使用するまで−80℃で冷凍保存した。ウイルスストックの力価は約105細胞培養感染用量ユニット/mlであり、血球凝集(HA)の力価は1,024から2,048であった。
イヌの腫瘍由来の線維芽細胞株であるA−72連続細胞株を96ウェルプレート中のDMEMで増殖させ、様々な試験条件で用いられた。
A−72細胞におけるランピルナーゼの細胞毒性を評価するために、1mlのDMEM量で、A−72細胞を125,000細胞/ウェルの濃度で24ウェルプレートに播種した。各ウェルの培地に25μlのランピルナーゼを5μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0.1μg/mlの濃度で加えた。各濃度を4回の反復試験で行った。35.5℃で4日間インキュベーション後、目に見える何らかの形態変化について倒立顕微鏡で細胞を観察した。
次に、ランピルナーゼの有効性について評価した。ランピルナーゼは2倍希釈により、10μg/mlから0.15625μg/mlまでの様々な濃度で試験した。ストックウイルスは非希釈から1/10,000希釈で試験した。A−72細胞は標準手順に従ってトリプシン処理し、96ウェル細胞培養プレートに、18,750細胞/ウェルの濃度で150μlの量で播種した。そして各ウェルにランピルナーゼを加え、最終の所定濃度にした。35.5℃で2時間インキュベーション後、25μlの様々な希釈でのウイルスを加えた。対照にはランピルナーゼ処理/非感染細胞、および未処理/非感染細胞の細胞培養物でのイヌパルボウイルス複製のランピルナーゼによる阻害が含まれる。全ての変数について2回反復試験を行った。35.5℃で4日間インキュベーションの最後に、上清流体を回収し、HA試験(ウイルスが0.5%ブタ赤血球懸濁液を凝集させる能力について試験する)を用いてウイルスが複製されたかを試験した。HA力価は96ウェルプレートでの目に見える赤血球凝集を引き起こす上清流体の最高希釈の逆数で示した。
ランピルナーゼ処理(様々な濃度)および未処理細胞を顕微鏡によって観察したとき、ランピルナーゼ濃度にかかわらず、2つのグループ間で目に見える形態の違いがなかった。よって、いずれの試験濃度でもランピルナーゼの明らかな細胞毒性効果はなかった。
検討結果を図18に示す。ウイルスを最高で1/100希釈した未処理細胞培養物で、ウイルス増殖が検出された。ウイルス増殖は、非希釈ウイルスストックで0.15625μg/mlランピルナーゼ処理した細胞培養物を感染させたときにも検出された。0.3125μg/ml以上のランピルナーゼ濃度で処理した培養物ではウイルス増殖がなかった。ランピルナーゼは、宿主細胞を殺さないで、イヌパルボウイルスのウイルス増殖をとても効果的に阻害したので、本実験によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にイヌパルボウイルスに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性がさらに証明されている。さらに、上記に開示した、VEEV、CHIV、およびEBOVの実験結果は、イヌパルボウイルス感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
NHBE細胞内のRSV
ランピルナーゼストック溶液を調製、保存、解凍し、実施例6に記載のように使用液を調製するために用いた。
ランピルナーゼストック溶液を調製、保存、解凍し、実施例6に記載のように使用液を調製するために用いた。
NHBE細胞(MatTek Corporation)を本検討で用いた。これらの細胞は実施例6で用いた細胞株と同じであり、同じキットから提供されたものである。実施例6のように、組織インサートを製造業者の指示書に従って、6ウェルプレートの個別のウェルにすぐに移した。実施例6で使用した同じ培養培地1mlを組織の基底外側に供給し、頂端側は95%加湿空気/5%CO2の環境にさらした。細胞は実施例6のように平衡化し、この平衡期間後、ムチン層を実施例6のように除去し、培養培地を補充した。
ウイルス(ATCCからのRSV A2;力価4.7log10CCID50/0.1ml)は使用前に−80℃で保存した。攻撃ウイルスの用量レベルは0.1のMOIに相当する。
分化NHBE細胞を実験的にRSVウイルスに感染させた。1時間の吸着期間後、ウイルス接種物を除去し、図19に示されるように処理液を加えた。感染してから24時間後、処理液を組織インサートの基底区画に補充した。感染してから48時間後、上清を回収し、MA−104細胞(ATCCからの胎児アフリカミドリザル腎臓細胞)のウイルス力価を測定するまで−80℃で保存した。対照はAV実験で使用した4つのグループの中、以下の3つのグループからなる。
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
毒性対照は実験の最後に、組織および/または細胞の形態が変化する可能性について、顕微鏡で観察した。
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
毒性対照は実験の最後に、組織および/または細胞の形態が変化する可能性について、顕微鏡で観察した。
NHBE細胞は図19に示されるように、RSVまたは細胞培養培地(偽)を頂端側にさらして接種させた。37℃および5%CO2で1時間±10分のインキュベーション後、ウイルス接種物または細胞培養培地を細胞から除去した。細胞の頂端側を500μlの予め温めたHEPES緩衝食塩水で1回洗浄した。
接種後、ランピルナーゼまたは細胞培養培地(プラセボ/細胞対照)を、細胞の頂端側および基底側の培地区画に加え、細胞とともに1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、薬物を含む培地を頂端および基底チャンバーから除去した。培養培地のみ(プラセボ/細胞対照)または薬物を含む培養培地(試験条件)を底部チャンバーに加え、細胞をさらに23時間インキュベートした(感染後合計24時間インキュベーションした)。感染してから24時間後、薬物を含むまたは含まない細胞培養培地を基底区画に補充した。
感染および処理に続いて、細胞を気液界面で維持し、細胞培養物の上清を感染してから48時間±30分後に回収した。37℃および5%CO2で30分間平衡化した、500μlの培養培地を加え収集することによって、NHBE細胞の頂端区画に放出されたウイルスを回収した。頂端区画からの培地を2つのアリコートに分け、後のウイルス力価の分析のため−80℃で保存した。回収前に、1回の処理につき1回の反復試験で用いる組織インサートの画像を倒立顕微鏡で40倍および100倍でそれぞれ得た。
CCID50を評価するために、MA−104細胞を96ウェルプレートに播種し、コンフルエンスに達するまで一晩増殖させ、100μlの感染培地(50μl/mlのゲンタマイシンを加えたMEM/EBSS)で2回洗浄した。ウェルを100μlの感染培地で満たした。頂端の洗浄液を感染培地で10倍に希釈し、100μlを96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移した。各試料を3回反復試験で滴定して(継代1)、感染および感染/処理細胞からのウイルス収率を評価した。37℃および5%CO2で6日間のインキュベーション後、細胞を顕微鏡で観察し、ウイルス誘導細胞変性効果(CPE)を判定した。非感染対照と比較していずれかの細胞変性効果(一般的に細胞の細胞円形化または合胞体)の跡が観察された場合、ウェルは陽性と判定した。CCID50はリード・ミュンヒ法で計算した。
検討結果を図20に示す。結果の統計的有意性は一元ANOVA(GraphPad Prism、バージョン6c)によって解析した。全てのランピルナーゼ処理によって、検出不可能なレベルまでウイルス力価が減少した(図20)。この低下は、未処理/感染対照のウイルス力価と比較して、2.3の対数低下を示した(図20に示される4つのアスタリスクはp<0.0001であることを示す)。
ランピルナーゼ処理/偽感染細胞、または非感染対照細胞では、ウイルスの細胞変性効果は検出されなかった。偽感染/ランピルナーゼ処理または2’,3’−ジデオキシシチジン処理したNHBE細胞を顕微鏡により評価した結果、毒性学的現象は起こっていなかった。
したがって、検討結果は全ての試験用量(5μM、0.5μMおよび0.1μM)のランピルナーゼ処理で、統計的に有意にRSVの力価を低下させ、ランピルナーゼのみではNHBE細胞の細胞変性効果を引き起こさないことを示した。ランピルナーゼは、宿主細胞を殺さないで、RSVをとても効果的に阻害したので、本実験によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にRSVに感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性がさらに証明されている。さらに、上記に開示した、VEEV、CHIV、およびEBOVの実験結果は、RSV感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
NHBE細胞内のライノウイルス14
ランピルナーゼストック溶液を調製、保存、解凍し、実施例6および8に記載のように使用液を調製するために用いた。NHBE細胞(MatTek Corporation)を本検討で用いた。これらの細胞は実施例6および8で用いた細胞株と同じであり、同じキットから提供されたものである。実施例6および8のように、組織インサートを製造業者の指示書に従って、6ウェルプレートの個別のウェルにすぐに移した。実施例6および8で使用した同じ培養培地1mlを組織の基底外側に補充し、頂端側は95%加湿空気/5%CO2の環境にさらした。細胞は実施例6のように平衡化し、この平衡期間後、ムチン層を実施例6および8のように除去し、培養培地を補充した。
ランピルナーゼストック溶液を調製、保存、解凍し、実施例6および8に記載のように使用液を調製するために用いた。NHBE細胞(MatTek Corporation)を本検討で用いた。これらの細胞は実施例6および8で用いた細胞株と同じであり、同じキットから提供されたものである。実施例6および8のように、組織インサートを製造業者の指示書に従って、6ウェルプレートの個別のウェルにすぐに移した。実施例6および8で使用した同じ培養培地1mlを組織の基底外側に補充し、頂端側は95%加湿空気/5%CO2の環境にさらした。細胞は実施例6のように平衡化し、この平衡期間後、ムチン層を実施例6および8のように除去し、培養培地を補充した。
RV−14(ATCCからの1059株)は使用前に−80℃で保存した。ストックウイルスの力価は力価3.6log10CCID50/0.1mlに相当した。攻撃ウイルスの用量レベルは前の実験のデータを基にし、0.0041の感染多重度(MOI)に相当した。
分化NHBE細胞を実験的にRV−14ウイルスに感染させた。1時間の吸着期間後、ウイルス接種物を除去して処理液を加えた(図21)。感染してから24時間後、処理液を組織インサートの基底区画に補充した。感染してから4日後、上清を回収し、HeLa−Ohio−1細胞(ATCCからのヒト子宮頸がん細胞)のウイルス力価を測定するまで−80℃で保存した。対照は以下の4つのグループからなる。
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
グループ4−陽性対照薬物としてのピロダビル
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
グループ4−陽性対照薬物としてのピロダビル
毒性対照は実験の最後に、組織および/または細胞の形態が変化する可能性について、顕微鏡で観察した。
NHBE細胞は図21に示されるように、RV−14または細胞培養培地(偽感染)を頂端側にさらして接種させた。37℃および5%CO2で1時間±10分のインキュベーション後、ウイルス接種物または細胞培養培地を細胞から除去した。細胞の頂端側を500μlの予め温めたHEPES 緩衝食塩水で1回洗浄した。
ウイルス接種後、ランピルナーゼ、ピロダビルまたは細胞培養培地(プラセボ/細胞対照)を、細胞の頂端側および基底側の培地区画に加え、細胞とともに1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、薬物を含む培地を頂端および基底チャンバーから除去した。培養培地のみ(プラセボ/細胞対照)または薬物を含む培地(試験条件)を底部チャンバーに加え、細胞を4日間インキュベートした。感染してから24時間後、薬物を含むまたは含まない細胞培養培地を基底区画に補充した。
感染および処理に続いて、細胞を気液界面で維持し、細胞培養物の上清をウイルス暴露から4日後に回収した。37℃および5%CO2で30分間平衡化した、500μlの培養培地を加え収集することによって、NHBE細胞の頂端区画に放出されたウイルスを回収した。頂端区画からの培地を2つのアリコートに分け、後のウイルス力価の分析まで−80℃で保存した。
HeLaOhio−1細胞を96ウェルプレートに播種し、コンフルエンスに達するまで一晩増殖させ、100μlの感染培地(50μl/mlのゲンタマイシンを加えたMEM/EBSS)で2回洗浄した。ウェルを100μlの感染培地で満たした。NHBE細胞培養物からの頂端の洗浄液を感染培地で10倍に希釈し、100μlを96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移した。NHBE細胞からの各濃度のランピルナーゼ(6NHBE細胞ウェル/用量)を滴定して、1つの濃度につき6つの力価を求め(反復試験としての各処理NHBEウェル)、感染および感染/処理細胞からのウイルス収率を評価した。したがって、各濃度のランピルナーゼを合計6回滴定した。陽性対照であるピロダビルは、1つのウェルのNHBE細胞のみを各濃度に割り当てた。よって、各濃度は1回のみ滴定した。3つのウェルは未処理/感染対照に割り当てた。これらは1回滴定し、未処理/感染対照の力価を3回反復試験した。37℃および5%CO2で7日間のインキュベーション後、細胞を顕微鏡で観察し、ウイルス誘導CPEを判定した。非感染対照と比較していずれかのCPE(細胞溶解)の跡が観察された場合、ウェルは陽性と判定した。CCID50はリード・ミュンヒ法で計算し、希釈液の逆数をウイルス力価として示した。
最小用量以外の全てのランピルナーゼ処理によって、未処理/感染対照の力価に対して、ウイルス力価が減少した(図22)。50、10、5μMランピルナーゼ処理によるウイルス力価は、約1.67log10降下していた(P<0.0001)。1μMランピルナーゼ処理では、未処理/感染対照ウェルで検出されたウイルス力価と比較して、検出されたウイルス力価は約1の対数低下であった(P<0.0001)。10および3.2μg/mlのピロダビルは、予想通りにウイルス複製を阻害し、それに続くより低い薬物希釈ではウイルス収率がいくらか用量反応的に減少していた。一般的には、0.0032μg/mlのピロダビルはまた、本実験のNHBE細胞で見られたように、HeLaOhio−1細胞培養抗ウイルス系のRV−14に対して活性を示さない。
非感染/ランピルナーゼ処理細胞、またはピロダビル処理細胞では、ウイルスの細胞変性効果は検出されなかった。ランピルナーゼ処理またはピロダビル処理したNHBE細胞を顕微鏡により評価した結果、毒性学的現象は起こっていなかった。
したがって、検討結果は全ての試験用量(50μM、1.0μM、5μMおよび1μM)のランピルナーゼで、統計的に有意にRV−14の力価を低下させ、ランピルナーゼのみではNHBE細胞の細胞変性効果を引き起こさないことを示した。ランピルナーゼは、宿主細胞を殺さないで、RV−14をとても効果的に阻害したので、本実験によって、ウイルスに感染した哺乳類対象、特にRV−14に感染した哺乳類対象の治療に全身投与されたランピルナーゼが有用である可能性がさらに証明されている。さらに、上記に開示した、VEEV、CHIV、およびEBOVの実験結果は、RV−14感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
これらのデータは、ライノウイルス科(rhinovirus)の重要なウイルスのメンバーであるライノウイルス14を用いて得られた。この科のウイルスはとても近縁であり、ライノウイルス科(rhinovirus)のいずれか1つのウイルスに対するランピルナーゼの抗ウイルス活性が証明されたことによって、ランピルナーゼがライノウイルス科(rhinovirus)の全てのウイルスに対して同じ抗複製活性を有することは強く証明されている。
Vero76細胞内のワクシニアウイルス
実施例6、8および9に記載されるように、ランピルナーゼストック溶液を調製、保存、解凍し、および使用液を調製するために用いた。
実施例6、8および9に記載されるように、ランピルナーゼストック溶液を調製、保存、解凍し、および使用液を調製するために用いた。
ウイルス(ワクシニアウイルス、ATCCからのWR株)は使用前に−80℃で保存した。ストックウイルスの力価は力価7.7log10CCID50/0.1mlに相当した。攻撃ウイルスの用量レベルは他の実験のデータを基にし、50〜100ウイルスプラーク/ウェルに相当する。
ワクシニアウイルスに対するランピルナーゼの抗ウイルス効果を測定するために、24ウェルプレートのVero76細胞を、図23に示すフォーマットのようにウイルスに実験的に感染させた。対照は以下の4つのグループからなる。
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
グループ4−陽性対照薬物としてシドフォビル
グループ1−感染およびプラセボ処理細胞(ウイルス対照)
グループ2−偽感染および処理細胞(毒性対照)
グループ3−偽感染およびプラセボ処理細胞(細胞対照)
グループ4−陽性対照薬物としてシドフォビル
毒性対照は実験の最後に、組織および/または細胞の形態が変化する可能性およびクリスタルバイオレットによる染色強度を顕微鏡で観察した。
上記図23に記載のように、24ウェルプレートのVero76細胞を用いてアッセイを行った。50〜100ウイルスプラークを産生するためにウイルスを48時間前滴定し、37℃で1時間細胞に吸収させた。そしてウイルス接種物を除去し、アガロース中の試験化合物(以下に記載される)を必要に応じてウェルに加えた。
ランピルナーゼおよびシドフォビル(陽性対照)の希釈液を半log10希釈系列を用いて作製した(図23)。1つの希釈液につき2つのマイクロウェルを用いた。本アッセイの培地は、2%FBSが入ったMEM中、最終濃度1%のアガロース(FMC Corp.のSea Plaqueアガロース)を含んだ。試験化合物、陽性対照化合物、または化合物なし(ウイルス対照)を含む寒天重層を、37℃でインキュベーションする前に5〜10分冷蔵庫で硬化させた。ウイルス暴露後2日目に、各プレートのウェルを1mlの10%緩衝ホルマリンに重ね、細胞をウェルに固定した。そして寒天重層を除去した。ウェルを0.1%クリスタルバイオレットで染色し、プラークビューアを用いて13倍の倍率でプラークを数えた。50%のプラーク数を低下させる阻害剤の濃度(EC50値)は、プラークのパーセンテージに対する阻害剤の濃度でプロットすることにより測定した。毒性評価に設定した単層の染色密度を観察することにより毒性測定を行った。偽/未処理細胞と比較して染色強度が弱い程、毒性が強い。本手順で毒性は検出されず、よってCC50値の計算は必要なかった。
Vero76細胞でのワクシニア感染に対するランピルナーゼの抗ウイルス効果を評価した。本アッセイで使用したランピルナーゼおよびシドフォビルいずれの希釈液も毒性を示さず(図24)、両薬物の毒性をニュートラルレッド取り込みアッセイによって定量した他の以前の検討と一致していた。
ランピルナーゼは、天然痘が発生した場合に使用するために国防省に備蓄されている薬物であるシドフォビル(EC50=10μM)と引けを取らず、効力のある用量である3.8μMでワクシニアウイルスの複製を強く阻害した。ランピルナーゼは100μMでは毒性がなかったので、そのウイルスの阻害にとても選択的だった(SI>26)。
ワクシニアウイルスはポックスウイルス科(poxvirus)のウイルスのメンバーである。ポックスウイルス科(poxvirus)のウイルスはとても近縁であり、ポックスウイルス科(poxvirus)のいずれか1つのウイルスに対するランピルナーゼの抗ウイルス活性が証明されたことによって、ランピルナーゼがポックスウイルス科(poxvirus)に分類される全てのウイルス(特に、実験室では慎重に試験することができない重大なバイオハザードである天然痘を含む)に対して同じ抗ウイルス活性を有することは強く証明されている。
さらに、他の上記に開示した、VEEV、CHIV、およびEBOVの実験結果は、ワクシニア感染を予防するための予防薬としてランピルナーゼを使用できるはずであることを示している。
VEEVおよびイヌパルボウイルスに関するデータを除いて、上記データは全て、ヒトのウイルス感染に対する活性とかなり相関がある。これらのデータは、ランピルナーゼがヒト内のウイルスに対して活性があることを強く証明している。VEEVに関するデータはウマ科のVEEV感染に対する活性とかなり相関があり、イヌパルボウイルスに関するデータはイヌおよび他の哺乳類のイヌパルボウイルス感染に対する活性とかなり相関がある。
一般に、ランピルナーゼを用いた処理に反応する異なるウイルスの点で、当業者は、ランピルナーゼが全身投与されるいずれの経路も任意の特定のウイルスの治療に適していると結論付ける(任意の特定の場合においては、1つの経路が別の経路に比べてより効果的であり得るが)。よって、腸内投与(限定されないが、経口投与および直腸投与を含む)および非経口投与(限定されないが、静脈内投与、筋肉内投与およびエアロゾル送達を含む)がランピルナーゼの投与方法に適している。
上記に列挙された実験結果はランピルナーゼを用いて実施された。しかしながら、ランピルナーゼと高い相同性を有する他のリボヌクレアーゼはヘルペスウイルスおよびヒトパピローマウイルスなどの他のウイルスに対して極めて類似の活性を示している。これらの他のリボヌクレアーゼには、配列番号2、3および4で同定されるRNアーゼを含む。当業者にとって、これら3つの他のリボヌクレアーゼの相同性および活性の類似性は、これら3つの他のリボヌクレアーゼが、ランピルナーゼが有する活性と同じ活性を有することを強く証明している。したがって、上記で開示された実験では、‘805バリアント、アムヒナーゼ2、またはrアムヒナーゼ2を用いて繰り返していないが、上記データがこれら3つのリボヌクレアーゼに十分に適用でき、これら3つのリボヌクレアーゼがヒト内の狂犬病ウイルス、MERS−CoV、インフルエンザウイルス、CHIV、EBOV、AV、RSV、RV、およびポックスウイルス、ウマ科内のVEEV、ならびにイヌおよび他の哺乳類内のイヌパルボウイルスに対して活性を持つことが考えられる。
上記で証明したように、ランピルナーゼは様々な細胞型でのMERS−CoV、VEEV、CHIV、およびRV−14の増殖を阻害する。これら3つのウイルス全てボルティモア分類グループIVに分類される。これにより、全身投与されたランピルナーゼが、ボルティモア分類グループIVに分類されるウイルスに対して効果的であることは実質的に証明されている。さらに、‘805バリアント、アムヒナーゼ2、およびrアムヒナーゼ2の相同性および活性の、ランピルナーゼの相同性および活性に対する類似性を基に、これら3つの他のリボヌクレアーゼが、ボルティモア分類グループIVに分類されるウイルスに対するランピルナーゼと同じ活性を有することが予想される。
上記で証明したように、ランピルナーゼは様々な細胞型でのインフルエンザウイルス、エボラウイルス、はしかウイルス、RSV、および狂犬病ウイルスの増殖を阻害する。これらの5つのウイルスは全てボルティモア分類グループVに分類される。これにより、全身投与されたランピルナーゼが、ボルティモア分類グループVに分類されるウイルスに対して効果的であることは実質的に証明されている。さらに、‘805バリアント、アムヒナーゼ2、およびrアムヒナーゼ2の相同性および活性の、ランピルナーゼの相同性および活性に対する類似性を基に、これら3つの他のリボヌクレアーゼが、ボルティモア分類グループVに分類されるウイルスに対するランピルナーゼと同じ活性を有することが予想される。
本発明の少なくとも1つの好ましい実施形態は上記に記載されているが、この記載に限定されず、単なる例示に過ぎない。本発明の範囲は以下の請求項によってのみ定義される。
Claims (15)
- 哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、前記ウイルスがボルティモア分類グループVに分類される、前記RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがオルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)、およびフィロウイルス科(filoviridae)からなる群から選択される科に由来する、請求項1に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがインフルエンザAウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、狂犬病ウイルス、はしかウイルス、およびエボラウイルスからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、前記ウイルスがボルティモア分類グループIVに分類され、デングウイルス、黄熱ウイルスおよび重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス以外である、前記RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがピコルナウイルス科(picornaviridae)、トガウイルス科(togaviridae)、およびコロナウイルス科(oronaviridae)からなる群から選択される科に由来する、請求項4に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがライノウイルス14、MERS−CoV、チクングンヤ熱ウイルスおよびベネズエラウマ脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項4または5に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、前記ウイルスがアデノウイルス科(adenoviridae)およびポックスウイルス科(poxviridae)からなる群から選択される科に由来する、前記RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがワクシニアウイルスおよびアデノウイルス2からなる群から選択される、請求項7に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体であって、前記ウイルスがボルティモア分類グループIIに分類される、前記RNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがパルボウイルス科(parvoviridae)に由来する、請求項9に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記ウイルスがイヌパルボウイルスである、請求項9または10に記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記RNアーゼが配列番号1、2、3および4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1から11のいずれかに記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記哺乳類対象がヒトである、請求項1から12のいずれかに記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 前記RNアーゼが全身投与される、請求項1から13のいずれかに記載の使用のためのRNアーゼAスーパーファミリーのRNアーゼまたはその機能的誘導体。
- 哺乳類対象のウイルス感染の治療または予防における使用のためのランピルナーゼであって、前記ウイルスが狂犬病ウイルス、MERS−CoV、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、チクングンヤ熱ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、イヌパルボウイルス、アデノウイルス2、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス14およびワクシニアウイルスからなる群から選択される、前記ランピルナーゼ。
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