図1は、一例としての血管外心臓徐細動システム10を植え込まれている患者12の概念図である。図1に描かれている実施例では、血管外心臓徐細動システム10は、植え込み型皮下ICDシステムである。また一方、本開示の技法は、少なくとも部分的には胸骨下又は筋肉下の場所に植え込まれているリードを有する心臓徐細動システムの様な、他の血管外植え込み型心臓徐細動システムと共に利用することもできる。加えて、本開示の技法は、植え込み型ペーシングシステム、植え込み型神経刺激システム、薬物送達システム、又はリードやカテーテル又は他の構成要素が患者12内の血管外場所に植え込まれる他のシステムの様な、他の植え込み型システムと共に利用することもできる。本開示は、とはいえ、例示を目的に植え込み型血管外心臓徐細動システムの文脈で説明されている。
血管外心臓徐細動システム10は、少なくとも1つの植え込み型心臓除細動リード16へ接続されている植え込み型カーディオバーター除細動器(ICD)14を含んでいる。図1のICD14は、患者12の左側部に皮下的に植え込まれている。ICD14へ接続されている除細動リード16は、ICD14から内側へ患者12の胸骨28及び剣状突起24に向かって延びている。剣状突起24付近の場所で、除細動リード16は曲がって又は向きを変え、皮下的に上方へ、実質的に胸骨28に平行に延びている。図1に描かれている実施例では、除細動リード16は、リード16が外側へ胸骨体28の左側寄りに(例えば患者12の左側部の方へ)オフセットするようにして植え込まれている。
除細動リード16は、除細動電極18と第2の電極(例えばICD14のハウジング又は缶25若しくは第2のリード上に設置されている電極など)の間の療法ベクトルが実質的に心臓26の心室を横切るようにして胸骨28に沿って設置されている。療法ベクトルは、1つの実施例では、除細動電極18上の或る点からICD14のハウジング又は缶25上の或る点へ延びる線として見られる。別の実施例では、除細動リード16は、除細動電極18とICD14のハウジング又は缶25(或いは他の電極)の間の療法ベクトルが実質的に心臓26の心房を横切るようにして胸骨28に沿って設置されていることもある。この場合には、血管外ICDシステム10は、心房細動を治療する療法の様な心房療法を提供するために使用されている。
図1に描かれている実施形態は、血管外ICDシステム10の一例としての構成であり、ここに説明されている技法を限定するものと考えられてはならない。例えば、除細動リード16は、図1の実施例では胸骨28の正中線から外側にオフセットしているとして描かれているが、当該リード16が胸骨28の右へオフセットしている又は胸骨28に亘ってより中心に位置付けられるようにして植え込まれていてもよい。加えて、除細動リード16は、それが実質的に胸骨28に平行というのではなく代わりに胸骨28から或る角度にオフセットする(例えば、近位端又は遠位端のどちらかで胸骨28から外側へ角度を付けられる)ようにして植え込まれていてもよい。別の実施例として、除細動リード16の遠位端が患者12の第2肋骨又は第3肋骨付近に位置決めされていてもよい。また一方で、除細動リード16の遠位端は、ICD14の場所、電極18、20、及び22の場所、又は他の要因に依存して、更に上方に又は更に下方に位置決めされていてもよい。
ICD14は、患者12の中腋窩線付近に植え込まれているとして描かれているが、ICD14は、同様に、患者12の他の皮下場所、例えば体幹部上の後腋窩線寄りの更に後方、体幹部上の前腋窩線寄りの更に前方、胸筋領域内、又は患者12の他の場所など、に植え込まれていてもよい。ICD14が胸筋に植え込まれる事例では、リード16は、例えば上部胸郭区域を横切って下方へ胸骨28に沿ってという具合に、異なる経路を辿ることになろう。ICD14が胸筋領域に植え込まれている場合、血管外ICDシステムは、患者の左側部に沿って延びる除細動電極を含む第2のリードを含んでいて、当該第2のリードの除細動電極がその様なICDシステムの療法ベクトルのアノード又はカソードとして機能するように患者の左側部に沿って位置付けられている。
ICD14は、密閉シールを形成してICD14内の構成要素を保護しているハウジング又は缶25を含んでいる。ICD14のハウジング25は、チタン又は他の生体適合性導電性材料の様な導電性材料又は導電性材料と非導電性材料の組合せで形成することができる。一部の事例では、ICD14のハウジング25は、療法を心臓26へ送達する又は心臓26の電気的活動を感知するのに電極18、20、又は22の1つと組み合わせて使用される電極(ハウジング電極又は缶電極と呼称される)として機能している。ICD14は、更に、電気的フィードスルーを含んでいるコネクタ組立体(時にコネクタブロック又はヘッダとも呼称される)を含んでいてもよく、当該電気的フィードスルーを通して電気的接続が除細動リード16内の導体とハウジング内に含まれる電子的構成要素の間に作られる。ハウジングは、プロセッサ、メモリ、送信器、受信器、センサ、感知回路機構、療法回路機構、及び他の適切な構成要素(ここではモジュールと呼称される場合が多い)を含む1つ又はそれ以上の構成要素を包封していてもよい。
除細動リード16は、ICD14へ接続するように構成されているコネクタを含む近位端と、1つ又はそれ以上の電極18、20、及び22を含む遠位端と、を有するリード本体を含んでいる。除細動リード16のリード本体は、シリコン、ポリウレタン、フルオロポリマー、それらの混合物、及び他の適切な材料、を含む非導電性材料から形成することができ、また1つ又はそれ以上の導体をその中に延ばす1つ又はそれ以上のルーメンを形成するように成形することができる。しかしながら技法はその様な構築に限定されない。除細動リード16は3つの電極18、20、及び22を含んでいるとして描かれているが、除細動リード16はより多い又はより少ない電極を含んでいてもよい。
除細動リード16は、リード本体内を除細動リード16の近位端側のコネクタから電極18、20、及び22へ延びている1つ又はそれ以上の細長い電気伝導体(描いかれていない)を含んでいる。言い換えれば、除細動リード16のリード本体内に収容されている1つ又はそれ以上の細長い電気伝導体の各々は、電極18、20、又は22とそれぞれ係合することができる。除細動リード16の近位端のコネクタがICD14へ接続されると、それぞれの導体が、ICD14の療法モジュール又は感知モジュールの様な回路機構へ、関連付けられるフィードスルーを含むコネクタ組立体の接続部を介して、電気的に連結することになる。電気伝導体は、療法をICD14内の療法モジュールから電極18、20、及び22の1つ又はそれ以上へ伝送するとともに、電極18、20、及び22の1つ又はそれ以上からの感知される電気信号をICD14内の感知モジュールへ伝送する。
ICD14は、心臓26の電気的活動を、電極20及び22とICD14のハウジング又は缶25との組合せを含む1つ又はそれ以上の感知ベクトルを介して、感知することができる。例えば、ICD14は、電極20と電極22の間の感知ベクトルを使用して感知される電気信号を得る、電極20とICD14の導電性ハウジング又は缶25の間の感知ベクトルを使用して感知される電気信号を得る、電極22とICD14の導電性ハウジング又は缶25の間の感知ベクトルを使用して感知される電気信号を得る、又はそれらの組合せを使用して感知される電気信号を得る、ことができる。一部の事例では、ICD14は、除細動電極18と電極の1つ20又は22との間の感知ベクトル又は除細動電極18とICDのハウジング又は缶25との間の感知ベクトルの様な、除細動電極18を含む感知ベクトルを使用して心臓の電気信号を感知している。
ICDは、感知される電気信号を解析して心室頻拍又は心室細動の様な頻拍を検出することができ、頻拍を検出する段階に応えて電気療法を生成し心臓26へ送達することができる。例えば、ICD14は、1つ又はそれ以上の除細動ショックを、除細動リード16の除細動電極18とハウジング又は缶25を含む療法ベクトルを介して送達することができる。除細動電極18は、例えば、細長いコイル電極又は他の型式の電極であってもよい。一部の事例では、ICD14は、除細動ショックの送達に先んじて又は除細動ショックの送達後に、抗頻拍ペーシング(ATP)又はショック後ペーシングの様な1つ又はそれ以上のペーシング療法を送達することもある。これらの事例では、ICD14は、ペーシングパルスを、電極20及び22のうちの一方又は両方及び/又はハウジング又は缶25を含む療法ベクトルを介して生成し、送達している。電極20及び22は、リング電極、半球形電極、コイル電極、螺旋電極、分割電極、指向性電極、又は他の型式の電極、又はそれらの組合せ、を備えていてもよい。電極20と電極22は同じ型式の電極であってもよいし異なる型式の電極であってもよいが、図1の実施例では電極20と電極22はどちらもリング電極として描かれている。
除細動リード16は、更に、付着用形体部29をリード16の遠位端に又は遠位端寄りに含んでいてもよい。付着用形体部29は、ループ、リンク、又は他の付着用形体部であってもよい。例えば、付着用形体部29は、縫合糸によって形成されているループであってもよい。別の実施例として、付着用形体部29は、金属、被覆された金属、又はポリマーのループ、リンク、リングであってもよい。付着用形体部29は、均一又は様々に異なる厚さ及び様々に異なる寸法を有する多くの形状の何れへ形成されていてもよい。付着用形体部29は、リードへ一体化されていてもよいし、又は植え込みに先立って使用者によって付け足されてもよい。付着用形体部29は、リード16の植え込みを支援するのに及び/又はリード16を所望の植え込み場所へ固着するのに有用であろう。一部の事例では、除細動リード16は、付着用形体部に加えて又は付着用形体部に代えて、定着機構を含んでいてもよい。除細動リード16は付着用形体部29と共に描かれているが、他の実施例ではリード16は付着用形体部29を含んでいないこともある。
リード16は、更に、DF4コネクタ、二又コネクタ(例えばDF−1/IS−1コネクタ)、又は他の型式のコネクタの様なコネクタを、リード16の近位端に含んでいてもよい。リード16の近位端のコネクタは、ICD14のコネクタ組立体内のポートへ連結する端子ピンを含んでいてもよい。一部の事例では、リード16は、リード16の植え込みを支援する植え込み道具へ連結させることのできる付着用形体部をリード16の近位端に含んでいる場合もある。リードの近位端の付着用形体部は、コネクタから分離されていて、リードへ一体化されているか又は植え込みに先立って使用者によって付け足されるかのどちらであってもよい。
除細動リード16は、更に、リード16を剣状突起又は下部胸骨場所付近に定着させるように構成されている縫合糸スリーブ又は他の定着機構(図示せず)を電極22に近接に配置させて含んでいてもよい。定着機構(例えば縫合糸スリーブ又は他の機構)は、リードへ一体化されていてもよいし、又は植え込みに先立って使用者によって付け足されてもよい。
図1に描かれている実施例は、本質的に例示としてであって、この開示に説明されている技法を限定すると考えられてはならない。例えば、血管外心臓徐細動システム10は1つより多いリードを含んでいてもよい。1つの実施例では、血管外心臓徐細動システム10は、除細動リード16に加えてペーシングリードを含んでいる場合もある。
図1に示されている実施例では、除細動リード16は皮下的に、例えば皮膚と肋骨又は胸骨との間に、植え込まれている。他の事例では、除細動リード16(及び/又は随意的なペーシングリード)は他の血管外場所に植え込まれている場合もある。1つの実施例では、除細動リード16は少なくとも部分的には胸骨下場所に植え込まれていることがある。その様な構成では、除細動リード16の少なくとも一部分は、胸骨の真下又は背後の縦隔内、より厳密には前縦隔内に設置されていてもよい。前縦隔は、側方を胸膜によって、後方を心膜によって、前方を胸骨28によって、境界されている。除細動リード16は、少なくとも部分的には他の心膜外場所、即ち心臓26の外表面の周りの領域内の場所に、但し心臓26の外表面と直接接触せずに、植え込まれていてもよい。これらの他の心膜外場所には、縦隔内但し胸骨28からオフセットして、上縦隔内、中縦隔内、後縦隔内、剣状突起下又は下剣状突起区域内、心尖付近、又は心臓26と直接接触せず皮下ではない他の場所、を含めることができる。更に別の実施例では、リードは心臓26の外の心膜又は心外膜の場所に植え込まれていることもある。
図2は、本発明の或る実施形態による、皮下装置の密封ハウジング内の電子回路機構の例示としての配線図である。図2に描かれている様に、皮下装置14は、皮下装置14の回路機構及び当技術でよく知られている方式でペーシングエネルギーを供給するペーシング出力コンデンサへパワーを供給しているパワー供給部(図示せず)へ連結されている低電圧バッテリ153を含んでいる。低電圧バッテリ153は、例えば、1つ又は2つの従来型のLiCFXセル、LiMnO2セル、又はLil2セルで形成することができる。皮下装置14は、更に、1つ又は2つの従来型のLiSVOセル又はLiMnO2セルで形成されていてもよいとされる高電圧バッテリ112を含んでいる。本発明の或る実施形態により、図2には低電圧バッテリと高電圧バッテリの2つともが示されているが、装置14は単一のバッテリを高電圧使用と低電圧使用を兼ねて利用しているということもあり得る。
更に図2を参照して、皮下装置14の諸機能は、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアを用いて制御されていて、それらが協働的にECG信号を監視し、カーディオバージョン−除細動ショック又はペーシングが必要である場合を判定し、処方されるカーディオバージョン−除細動療法及びペーシング療法を送達させる。皮下装置14は、本願の譲受人に譲渡されたケイメル(Keimel)への米国特許第5,163,427号「単数及び複数のカーディオバージョン及び除細動パルスを送達するための機器」及びケイメルへの米国特許第5,188,105号「頻脈性不整脈を治療するための機器及び方法」に示されている、単相性、同時二相性、及び順次二相性のカーディオバージョン−除細動ショックを選択的に送達するための回路機構であって、典型的には、高電圧出力回路140のコモン出力123へ連結されているICD IPGハウジング電極28と、後方に皮下的に配置されていて高電圧出力回路140のHVI出力113へ連結されているカーディオバージョン−除細動電極24と、を採用している回路機構、を組み入れていてもよい。
カーディオバージョン−除細動ショックエネルギー及びコンデンサ充電電圧は、心臓と接触にある少なくとも1つのカーディオバージョン−除細動電極を有するICD及び皮膚と接触にあるカーディオバージョン−除細動電極を有する殆どのAEDによって供給される電圧に対し中間的とすることができる。殆どの二相性波形を使用しているICDにとって必要な典型的最大電圧は大凡750ボルトであって関連付けられる最大エネルギー大凡400ジュールとなる。AEDにとって必要な典型的最大電圧は、使用されるモデル及び波形にも依存するが、大凡2000−5000ボルトであって関連付けられる最大エネルギー大凡200−360ジュールとなる。本発明の皮下装置14は、約300乃至大凡1000ボルトの範囲の最大電圧を使用していて、大凡25乃至150ジュール又はそれ以上のエネルギーと関連付けられている。総高電圧静電容量は、約50乃至約300マイクロファラッドの範囲となり得る。その様なカーディオバージョン−除細動ショックは、悪性の頻脈性不整脈時のみ、例えば心室細動が本明細書の以下に説明されている検出アルゴリズムを採用しているファーフィールド心臓ECGの処理を通じて検出されたときにのみ送達される。
図2では、感知アンプ190が、ペーサー/装置タイミング回路178と合同で、皮下電極18、20、22及び装置14の缶又はハウジング25の選択された対によって定義される特定のECG感知ベクトルを横断して発現するファーフィールドECG感知信号を、又は随意であるが仮想信号(即ち2つのベクトルの数学的組合せ)が選択されている場合には当該仮想信号を、処理する。感知電極対の選択は、スイッチマトリクス/MUX191を通じて関心対象のECG信号の最も信頼できる感知を提供する方式でなされており、関心対象のECG信号とは突然死に繋がる心室細動の危険性があると確信されている患者にとってはR波ということになる。ファーフィールドECG信号は、スイッチマトリクス/MUX191を通じて感知増幅器190の入力へ渡され、当該感知増幅器190がペーサー/装置タイミング回路178と合同で、感知されるEGMを評価する。除脈、即ちアジストリーは、ペーサータイミング回路178及び/又は制御回路144内の補充収縮間隔タイマーによって判定されるのが典型的である。連続するR波間の間隔が補充収縮間隔を超過すれば、ペーストリガ信号がペーシング刺激を生成するペーシングパルス生成器192へ印加される。除脈ペーシングは、カーディオバージョン−除細動ショックの送達後に心臓出力を維持するために大抵は一時的に提供されるものであって、心臓が正常機能へ回復してゆく際に心臓をゆっくりと拍動させることができる。ノイズ存在下での皮下ファーフィールド信号の感知は、リー(Lee)らへの米国特許第6,236,882号「ECGを監視するためのノイズ除去」に記載されている適切な拒否的及び拡張可能な適応期間の使用によって支援されてもよく、同特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
悪性の頻脈性不整脈の検出は、制御回路144内で、ペーサー/装置タイミング回路178と感知増幅器回路190からタイミング及び制御回路144へ出力されるR波感知事象信号間の間隔の関数として判定される。本発明は、間隔ベースの信号解析方法のみならず、本明細書で以下に説明されている様に補助的なセンサ及び形態学処理の方法及び機器も利用していることに注目されたい。
組織色、組織酸素化、呼吸、患者活動、及び同種のもの、の様な補助的なセンサを使用して、除細動療法を適用するか又は差し控えるかの決定に寄与させることができるということは、オルト(Alt)への米国特許第5,464,434号「突発的血流力学的変化に応答性の医療介入装置」に全体的に記載されており、同特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。センサ処理ブロック194がセンサデータをマイクロプロセッサ142へデータバス146経由で提供する。具体的には、患者の活動及び/又は姿勢は、シェルドン(Sheldon)への米国特許第5,593,431号「患者の活動及び姿勢感知のための複数のDC加速度計を採用している医療業務及び方法」に記載されている機器及び方法によって判定することができ、同特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。患者呼吸は、プリッチ(Plicchi)らへの米国特許第4,567,892号「植え込み型心臓ペースメーカー」に記載されている機器及び方法によって判定することができ、同特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。患者の組織酸素化又は組織色は、エリックソン(Erickson)らへの米国特許第5,176,137号に記載されているセンサ機器及び方法によって判定することができ、同特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。’137号特許の酸素センサは、皮下装置ポケットに位置付けられていてもよいし、又は代わりに、接触若しくはほぼ接触にある組織の酸素化又は色の感知を可能にするべくリード18上に位置付けられていてもよい。
検出アルゴリズム判定基準の遂行における特定の諸段階は、マイクロプロセッサ、RAM及びROM、関連付けられる回路機構、及びRAMの中へ当技術の従来式のテレメトリインターフェース(図示せず)を介してプログラムされていてもよいとされる記憶された検出判定基準を含むマイクロコンピュータ142内で協働的に遂行される。データ及びコマンドが、マイクロコンピュータ142と、タイミング及び制御回路144、ペーサータイミング/増幅器回路178、及び高電圧出力回路140との間で、双方向データ/制御バス146経由でやり取りされる。ペーサータイミング/増幅器回路178及び制御回路144は、遅いクロック速度でクロックされる。マイクロコンピュータ142は通常はスリープ状態であるが、各R波感知事象によって発現する割り込み、又はダウンリンクテレメトリプログラミング命令が受信されると発現する割り込み、又は心臓ペーシングパルスの送達があり次第発現する割り込み、によって呼び覚まされ速いクロックで動作させられて、何れかの必要な数学的計算を遂行する、頻拍及び細動の検出手続きを遂行する、及びペーサー/装置タイミング回路機構178内のタイマーによって監視され制御される時間間隔を更新する。
悪性の頻拍が検出されると、高電圧コンデンサ156、158、160、及び162が高電圧充電回路164によって事前にプログラムされている電圧レベルへ充電される。一般的に高電圧出力コンデンサ156、158、160、162上に定電荷を維持するのは非効率であると考えられている。代わりに、充電は、制御回路144がライン145上を高電圧充電回路164へ送達される高電圧充電コマンドHVCHGを発令して開始され、充電は双方向制御/データバス166及びHV出力回路140からのフィードバック信号VCAPを用いて制御される。高電圧出力コンデンサ156、158、160、及び162は、フィルム、アルミニウム電解、又は湿式タンタルによる構築であってもよい。
高電圧バッテリ112の負端子は系統接地へ直接連結されている。スイッチ回路114は通常は開いているので、高電圧バッテリ112の正端子は高電圧充電回路164の正パワー入力から接続を切られている。高電圧充電コマンドHVCHGは、更に、導体149を介してスイッチ回路114の制御入力へ伝導され、スイッチ回路114はそれに応えて閉じて正の高電圧バッテリ電圧EXT B+を高電圧充電回路164の正のパワー入力へ接続する。スイッチ回路114は、例えば、そのソース−ドレイン経路がEXT B+導体118を中断していてそのゲートが導体145上のHVCHG信号を受信している電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。高電圧充電回路164は、それにより、高電圧出力コンデンサ156、158、160、及び162を高電圧バッテリ112からの充電電流で充電する段階を始める準備のできた状態にされる。
高電圧出力コンデンサ156、158、160、及び162は、非常に高い電圧、例えば300−1000Vへ充電されて、皮下カーディオバージョン−除細動電極113と123の電極対間の身体及び心臓を通して放電されるようになっていてもよい。電圧充電回路機構の詳細事項もまた本発明の実践に関して決定的であるとは見なされていないが、発明の目的に適していると確信される1つの高電圧充電回路が開示されている。高電圧コンデンサ156、158、160、及び162は、例えば本願の譲受人に譲渡されたウィールダーズ(Wielders)らへの米国特許第4,548,209号「植え込み型カーディオバーターのためのエネルギー変換器」に詳細に記載されている高電圧充電回路164及び高周波数高電圧変成器168によって充電することができる。適正な充電極性が、高電圧変成器168の出力巻線とコンデンサ156、158、160、及び162を相互接続するダイオード170、172、174、及び176によって維持される。以上に指摘されている様に、コンデンサ充電の状態は、高電圧出力回路140内の回路機構によって監視されていて、当該回路機構が電圧を指し示すフィードバック信号であるVCAPをタイミング及び制御回路144へ提供する。タイミング及び制御回路144は、VCAP信号がプログラムされているコンデンサ出力電圧、即ちカーディオバージョン−除細動ピークショック電圧に一致したとき、高電圧充電コマンドHVCHGを終結させる。
制御回路144は、次いで、カーディオバージョン用又は除細動用のショックの送達をトリガするための高電圧出力回路140へ印加される第1及び第2の制御信号であるNPULSE1及びNPULSE2それぞれを発現させる。特に、NPULSE1信号は、コンデンサ156及び158を備える第1のコンデンサバンクの放電をトリガする。NPULSE2信号は、第1のコンデンサバンクとコンデンサ160及び162を備える第2のコンデンサバンクの放電をトリガする。単にNPULSE1信号及びNPULSE2信号のアサーションの数及び時間順を修正しさえすれば、複数の出力パルスレジーム間で選択することが実施可能である。NPULSE1信号及びNPULSE2信号は、順次に、同時に、又は個別に、提供することができる。このやり方で、制御回路機構144は、図2に示されている様に、高エネルギーカーディオバージョン−除細動ショックをHV−1及びCOMMON出力へ連結されている一対のカーディオバージョン−除細動電極18と25の間に送達する高電圧出力段140の動作を制御する働きをする。
而して、皮下装置14は、患者の心臓の状態を監視し、要カーディオバージョン−除細動頻脈性不整脈の検出に応えて、カーディオバージョン−除細動電極18及び25を通じてのカーディオバージョン−除細動ショックの送達を開始する。高HVCHG信号は、高電圧バッテリ112にスイッチ回路114を通じて高電圧充電回路164と接続させ、出力コンデンサ156、158、160、及び162の充電を始めさせる。充電は、プログラムされている充電電圧がVCAP信号によって反映されるまで続き、反映された時点で制御及びタイミング回路144はHVCHG信号を低く設定して充電を終結させ、スイッチ回路114を開く。皮下装置14は、以上に説明されている方式での心臓へのカーディオバージョンショックを検出されるR波と時間的に同期させて送達しようと試みるようにプログラムすることもできるし、又は以上に説明されている方式での心臓へのカーディオバージョンショックを検出されるR波に対し送達を同期させるよう試みること無しに送達するようにプログラムする又は製作することもできる。頻脈性不整脈の検出及びカーディオバージョン−除細動ショックの送達に関係付けられるエピソードデータは、患者の心臓の状態の診断を容易にするための当技術でよく知られている外部プログラマへのアップリンクテレメトリ送信に備えてRAMに記憶させることができる。予防的理由から装置14を受け入れている患者は、患者の病態の更なる評価及びより高度なICD植え込みの必要性の評定のために、1つ1つのその様なエピソードを担当医師へ報告するように指示されることになろう。
皮下装置14は、テレメトリ回路(図2には示されていない)を含んでいるのが望ましく、そうすれば当該装置を外部プログラマ20によって2方向テレメトリリンク(図示せず)を介してプログラムさせることが可能である。アップリンクテレメトリは、装置状態及び診断/事象データが患者の医師によるレビューのために外部プログラマ20へ送られることを可能にさせる。ダウンリンクテレメトリは、外部プログラマが医師の制御を介して、装置機能のプログラミング及び特定の患者についての検出及び療法の最適化を行えるようにする。本発明の実践での使用に適したプログラマ及びテレメトリシステムは何年も前からよく知られている。プログラマが植え込まれた装置によって受信されるべき制御コマンド及び動作パラメータ値を送信することができるように、そして植え込まれた装置が診断データ及び動作データをプログラマへ通信することができるように、既知のプログラマは植え込まれた装置相手に双方向無線周波数テレメトリリンクを介して通信しているのが典型的である。本発明を実践するという目的に適していると確信されるプログラマは、ミネソタ州ミネアポリスのメドトロニック・インク(Medtronic, Inc.)社から商業的に入手できるモデル9790及びCareLink(登録商標)のプログラマを含む。
外部プログラミングユニットと植え込まれた装置との間の必要な通信チャネルを提供するための様々なテレメトリシステムが開発されており、当技術ではよく知られている。本発明を実践するという目的に適していると確信されるテレメトリシステムは、例えば、以下の米国特許、即ち、ウィボーニー(Wyborny)らへの「植え込まれた医療装置のためのテレメトリフォーマット」と題された米国特許第5,127,404号、マルコウィッツ(Markowitz)への「医療装置のためのマーカーチャネルテレメトリシステム」と題された米国特許第4,374,382号、トンプソン(Thompson)らへの「医療装置のためのテレメトリシステム」と題された米国特許第4,556,063号、に開示されている。ウィボーニーらの’404号、マルコウィッツの’382号、及びトンプソンらの’063号は、本発明の譲受人に譲渡されており、各々をこれにより参考文献としてここにそれぞれそっくりそのまま援用する。
本発明の或る実施形態によれば、好適なECGベクトルセットを自動的に選択するためには、信号の品質を格付けする拠り所となるメリットの指標を有することが必要である。「品質」は、精度の高い心拍数推定及び患者の通常の洞調律と患者の心室性頻脈性不整脈の間の精度の高い形態学的波形分離を提供する信号の能力と定義される。
適切な指標は、R波振幅、R波ピーク振幅対R波間波形振幅(即ち信号対ノイズ比)、低勾配含量(low slope content)、相対的な高対低周波数パワー、平均周波数推定、確率密度関数、又はこれらのメトリックの何らかの組合せ、を含んでいてもよい。
自動ベクトル選択は、植え込み時に果たされてもよいだろうし、又は定期的に(毎日、毎週、毎月)果たされてもよいだろうし、或いはその両方であってもよいだろう。植え込み時なら、自動ベクトル選択は、リードインピーダンス及びバッテリ電圧を測定するといった様な活動を遂行する自動装置ターンオン手続きの一部として開始されてもよい。装置ターンオン手続きは、植え込み医師によって(例えばプログラマボタンを押すことによって)開始させるようになっていてもよいし、代わりに、装置/リード植え込みの自動検出があり次第自動的に開始されるようになっていてもよい。皮下装置14の装置をその場に縫い付け切開を閉じるのに先立って、ターンオン手続きが、更に、自動ベクトル選択判定基準を使用し、ECGベクトルの品質が現在の患者にとって、また装置及びリード位置にとって、適切であるかどうかを判定するようになっていてもよい。その様なECG品質表示があれば、植え込み医師はECG信号の品質を必要に応じて改善するべく装置を新しい場所又は新しい向きへ操縦できるようになるはずである。更に、装置ターンオン手続きの一部として植え込み時に好適な単数又は複数のECGベクトルが選択されるようになっていてもよい。好適なベクトルは、格付け推定及び検出精度を最大化する指標を有するベクトルであってもよいだろう。更に、医師によって好適とされるベクトルの演繹的なセットが存在していて、それらのベクトルが或る最小閾値を超えている限り、又はそれらのベクトルが幾つかの他のより望ましいベクトルより極わずかしか悪くない限り、演繹的に好適なベクトルが選定される、というようになっていてもよい。特定のベクトルがほぼ同一と考えられることもあり、それらは、演繹的に選択されたベクトル指標が或る既定の閾値を下回らない限り検定されない。
装置のメトリックパワー消費量及びパワー所要量にも依るが、ECG信号品質メトリックは、所望されるだけ頻繁にベクトルの範囲(又は代わりにサブセット)に基づいて測定されていてもよい。データは、例えば、分単位、時間単位、日単位、週単位、又は月単位で収集されてもよい。更に頻繁な(例えば分毎の)測定値を時間に亘って平均し、それを使用し、例えば、一時的に発生するノイズ、運動ノイズ、又はEMIに対するベクトルの影響の被り易さに基づいて、ベクトルを選択するようにしてもよい。
代わりに、皮下装置14は、患者活動の表示器/センサ(ピエゾ抵抗型、加速度計、インピーダンス、又は同種物)を有していて、中又は高患者活動期間中の自動ベクトル測定を最小又は無活動期間中の自動ベクトル測定に対し遅延させるようにしてもよい。1つの代表的なシナリオは、(内部クロック(例えば午前2時)を使用して)患者は眠っていると判定されたか又は(2軸又は3軸加速度計を介して)患者の位置を及び活動の欠如を確定することによって眠っていると推論されている間はECGベクトルを毎日1回又は毎週1回検定/評価することを含んでいてもよい。
低頻度の、自動的、定期的な測定がなされる場合もやはり、信号内のノイズ(例えば、筋肉、運動、EMI、など)を測定し、ノイズが鎮まったときにはベクトル選択測定を延期する、というようにするのが望ましい。
皮下装置14は、随意的には、(2軸又は3軸加速度計を介しての)患者の姿勢の表示を有していてもよい。このセンサは、ECG品質の差が単純に姿勢/位置変化の結果ではないことを確実にするのに使用することができる。センサを使用し、多数の姿勢でのデータを収集し、ECG品質がこれらの姿勢に亘って平均されるようになっていてもよいし又は代わりに好適な姿勢について選択されるようになっていてもよい。
好適な実施形態では、ベクトル品質メトリック計算は、各ベクトルについて1日当たり1回大凡1分に亘って何度も起こることになっている。これらの値が各ベクトルについて1週間の経過に亘って平均されることになる。平均化は、時間加重及びメモリ考慮事項に依存して、移動平均又は反復平均から成っていてもよい。この実施例では、好適な(単数又は複数の)ベクトルは1週間当たり1回選択されることになろう。
図3は、本発明の或る実施形態による医療装置での不整脈の検出の状態図である。図3に示されている様に、通常動作中、装置14は非関与状態302にあり、その間にR波間隔が評価されて速い拍数の期間及び/又はアジストリーの存在が識別される。短いR波間隔が同時に2つの別々のECG感知ベクトルに検出されると、それは確証された場合に療法の送達が必要となるかもしれない事象を示唆するものであるので、検出され次第、装置14は非関与状態302から関与状態304へ移行する。関与状態304では、装置14は、ECG信号の既定ウィンドーを評価して、信号がノイズで損なわれている公算を判定するとともに、R波間隔とECG信号形態情報との組合せを使用して、要ショック療法律動をショック療法不要律動から鑑別する。
関与状態304にある間に要ショック療法律動が引き続き検出されれば、装置14は関与状態304から活性状態306へ移行する。装置が関与状態304にある間に要ショック療法律動がもはや検出されずR波間隔がもはや短くないと判定されれば、装置14は非関与状態302へ戻る。但し、装置が関与状態304にある間に要ショック療法律動はもはや検出されなくなったがR波間隔は引き続き短いとして検出されていれれば、関与状態304で処理が続く。
活性状態306では、装置14は高電圧ショック付与コンデンサを充電し、R波間隔とECG信号形態を自然発生的終止について監視し続ける。要ショック療法律動の自然発生的終止が起これば、装置14は非関与状態302へ戻る。コンデンサの充電が完了した時点で要ショック療法律動がなおも起こっていると判定されれば、装置14は活性状態306からショック状態308へ移行する。ショック状態308では、装置14はショックを送達し、送達された療法の成功を評価するべく活性状態306へ戻る。
非関与状態302、関与状態304、活性状態306、及びショック状態308の間の移行は、スタッドラー(Stadler)らへの米国特許第7,894,894号に詳細に記載されている様に遂行することができ、同特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
図4は、本開示の或る実施形態による、皮下装置での不整脈を検出するための方法の流れ図である。図4に描かれている様に、装置14は、2つの既定の電極ベクトルと関連付けられる2つのチャネルECG1及びECG2を継続的に評価して、感知される事象が起こったときを確定する。例えば、2つのチャネルECG1及びECG2のための電極ベクトルは、リード16上に配置されている電極20とICD14のハウジング又は缶25の間で選択されている第1ベクトル(ECG1)を含んでいる一方、他方の電極ベクトル(ECG2)はリード16に沿って配置されている電極20と電極22の間の垂直方向電極ベクトルである。但し、2つの感知チャネルは、図2に示されている電極又はリードに沿って含まれているか又はICD14のハウジングに沿って配置されている他の追加の電極(図示せず)によって形成されるベクトルを含め、実施可能なベクトルの何れの組合せであってもよい。
本願の或る実施形態によれば、例えば、装置14は非関与状態302から関与状態304へ移行するべきかどうかを、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されている様にR波の感知に応えて心拍数推定値を確定することによって判定している。
非関与状態から関与状態へ移行し次第、即ちブロック305に移ると、ECG1及びECG2の両方のチャネルからのECGデータの例えば3秒間の様な直近のウィンドーが利用され、その結果、処理は関与状態304では非関与状態302にあるときに利用されているR波を感知することによってではなく3秒タイムアウトによってトリガされる。処理は3秒の時間を経てトリガされると記述されている一方で、関与状態304にあるときに利用される処理時間として他の時間周期を選定することもできるが、望ましくは0.5乃至10秒の範囲内であるべき、と理解している。結果として、関与状態304にあるときには個別R波を感知する段階がECG1とECG2の両方のチャネルで起こり続け、12のR−R間隔のバッファが更新され続けるが、関与状態304から別の状態へ変わるための機会及び心拍数の推定はいったん3秒タイマーが満了したときにしか起こらない。関与状態304への初期進入に際し、直近3秒間のECGデータ、即ち関与状態304への移行に至るまでの3秒間についてのECGデータ、を処理するのが好都合である。これには非関与状態302にある間でさえも直近3秒間のECGデータの継続的循環バッファリングが必要となる。
関与状態304にある間、本発明は、心室細動(VF)事象又は速い心室頻拍(VT)事象が起こっている公算を確定するために、信号がどれほど正弦波的か、また信号がどれほどノイジーであるか、を判定しており、というのも、信号がより正弦波的であるほど、また信号がより低ノイズであるほど、VT/VF事象が起こっている可能性が高いからである。図4に描かれている様に、装置が非関与状態302からいったん関与状態304へ移行したら、即ちブロック305に移ったら、2つのチャネルECG1及びECG2の各々のための、データの3秒セグメントの「ショック可能」又は「ショック可能でない」としての分類を記憶するためのバファーがクリアされる。すると、関与状態304にある間の2つのチャネルECG1及びECG2の信号の処理が、非関与状態302中に利用されているR波を感知することによってではなしに、3秒という時間周期でトリガされる。
3秒の時間間隔が満了したら、即ちブロック341でYESの場合、各チャネルについての3秒の時間間隔中の信号の形態学的特徴を利用して、信号がノイズアーチファクトによって損なわれている可能性があるかどうかが判定され、信号の形態が「ショック可能」又は「ショック可能でない」として特徴付けられる。例えば、3秒の時間間隔と関連付けられる信号を使用して、各チャネルECG1とECG2についてチャネルがノイズによって損なわれている可能性があるかどうかに関し判定がなされ、ブロック342、次いでECG1及びECG2の両方のチャネルがノイズによって損なわれているかどうかに関し判定がなされる、ブロック344。両方のチャネルがノイズによって損なわれているかどうかに関しての判定は、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されているノイズ検出の様な既知のノイズ検出方法を使用してなされてもよい。
チャネルECG1及びECG2がノイズによって損なわれているかどうかに関しての判定がひとたびなされたら、ブロック342、両方のチャネルがノイズに損なわれていると判定されるかどうかに関し判定がなされる、ブロック344。両方のチャネルECG1及びECG2と関連付けられる信号がノイズによって損なわれている可能性があると判定されれば、両方のチャネルはショック可能でないとして分類され、ブロック347、而して各チャネルECG1及びECG2のためのチャネルの最後の3つの分類を格納しているバッファが然るべく更新される。ECG1及びECG2の両方のチャネルがノイズによって損なわれている可能性があると判定されなければ、即ちブロック344でNoの場合、装置は、それらチャネルのうちの一方がノイズによって損なわれていないのか、それともチャネルは両方ともノイズによって損なわれていないのか、どちらなのかを、ノイズが2つのチャネルECG1及びECG2のうちの一方にのみありそうだと判定されるかどうかを確定することによって見分ける、ブロック346。
ノイズが2つのチャネルのうちの一方だけにありそうな場合、ノイズによって損なわれていないチャネル即ちクリーンチャネルについての信号が、VT事象又はVF事象と関連付けられる可能性が高いかどうかの判定が、例えば当該チャネルについての信号が規則的であるR−R間隔を含んでおり、而してチャネルは比較的安定しているとして分類され得るかどうかを判定することによってなされる、ブロック348。R−R間隔が比較的安定していないと判定されれば、即ちブロック348でNOの場合、当該チャネルについての信号はVFと関連付けられる可能性があるとして識別され、それが次いで信号が以下に説明されているVFショックゾーンに入っているかどうかを判定することによって検証される、ブロック350。当該チャネルについてのR−R間隔が安定していると判定されれば、即ちブロック348でYESの場合、信号はVTと関連付けられる可能性があるとして識別され、それが次いで信号が以下に説明されているVTショックゾーンに入っているかどうかを判定することによって検証される、ブロック352。
チャネルの両方についてノイズの可能性がなければ、即ちブロック346でのNo、つまり両方のチャネルがクリーンチャネルであると判定された場合、両方のチャネルについての信号はVT事象又はVF事象と関連付けられる可能性が高いかどうかの判定が、両方のチャネルについての信号が規則的であるR−R間隔を含んでいて而して比較的安定しているとして分類され得るかどうかを判定することによってなされる、ブロック356。ブロック356でのR−R間隔が比較的安定していると判定されるかどうかの判定は、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されている方法を使用してなされてもよい。R−R間隔が比較的安定していないと判定されれば、即ちブロック356でNoの場合、両方のチャネルについての信号はVFと関連付けられる可能性があるとして識別され、それが次いで各チャネルについての信号が以下に説明されているVFショックゾーンに入っているかどうかを判定することによって検証される、ブロック360。両方のチャネルについてのR−R間隔が安定していると判定されれば、即ちブロック356でYESの場合、信号はVTと関連付けられる可能性があるとして識別され、それが次いで両方のチャネルに基づいて信号がVTショックゾーンに入っているかどうかを判定することによって検証される、ブロック358。
図5は、本発明の或る実施形態による、VFショックゾーンのグラフ図である。図5に描かれている様に、VFショックゾーン500は、各チャネルECG1及びECG2について、計算された低勾配含量と、チャネルと関連付けられるスペクトル幅との間の関係に基づいて定義される。例えば、ショックゾーンは、
方程式、即ち、
低勾配含量=−0.0013×スペクトル幅+0.415 (方程式1)
によって示される低勾配含量と関連付けられる第1境界502と、
方程式、即ち、
スペクトル幅=200 (方程式2)
によって示されるスペクトル幅と関連付けられる第2境界504と、
によって定義される。
低勾配含量メトリックは、3秒セグメント内の総サンプル数に対する低勾配を有するデータ点の数の比として計算することができる。例えば、本発明の或る実施形態によれば、連続するECGサンプル間の差はECG信号の第1の導関数(即ち勾配)の近似値として確定される。具体的には、各チャネルについての生信号を1次微分フィルタへ印加して3秒セグメントについての微分信号を得る。微分信号は次いで整流され、4つの等しいサブセグメントへ分割されて、最も大きい絶対勾配が4つのセグメントの各々について推定される。
最も大きい絶対勾配が、3秒セグメント全体についての全体的な最も大きい勾配の或る割合、例えば全体的絶対勾配の5分の1など、より小さいかどうかに関し判定がなされる。最も大きい絶対勾配が全体的勾配の当該割合より小さければ、当該サブセグメントについての勾配値は全体的な最も大きい絶対勾配に等しく設定される。最も大きい絶対勾配が全体的勾配の当該割合より小さくなければ、当該サブセグメントについての勾配値はサブセグメントについての確定された最も大きい絶対勾配に等しく設定される。
サブセグメントの各々についての勾配値が確定され、必要なら3秒セグメントについての最も大きい勾配に等しく設定されることによって更新されてしまったら、4つの勾配の平均値を計算し、例えば16の様な既定の係数で割って低勾配閾値を得る。そうして低勾配閾値より小さいか又は低勾配閾値に等しい絶対勾配を有する3秒セグメント内のサンプル点の数を確定することによって低勾配含量を得る。
本発明のある実施形態によれば、低勾配閾値の確定時、低勾配閾値が自然数ではなく小数であるなら、対応する小数のサンプルを加えるように低勾配含量へ補正がなされる。例えば、閾値が4.5であると確定された場合、低勾配含量は、4より小さいか4に等しい絶対勾配を有するサンプル点の数に5に等しい勾配を有するサンプル点の数の半数を足したものになる。
スペクトル幅メトリックは、各チャネルECG1及びECG2と関連付けられる3秒セグメントについての信号のスペクトル幅の推定値に相当するものであって、例えば、信号の中心周波数と基本周波数の間の差として定義される。本発明の或る実施形態によれば、スペクトル幅メトリックは、RRサイクル長さの直近推定値と当該チャネルについての信号の平均スペクトル期間の間の差を確定することによって計算される。当技術で知られている様に、中間スペクトル期間は中間スペクトル周波数の逆数である。
図5から分かる様に、ノイズ506は相対的により高いスペクトル幅を有する傾向があり、正常洞調律508はVFに対比して相対的により高い低勾配含量を有する傾向があるので、ノイズ506と正常洞調律508はどちらもVFショックゾーン500の外に位置することになるはずである。
チャネルECG1とECG2各々につき、当該チャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さく且つスペクトル幅が第2境界504より小さいかどうか、即ち低勾配含量が−0.0013×スペクトル幅+0.415より小さく且つスペクトル幅が200より小さいかどうか、に関し判定がなされる。例えば、事象はVFと関連付けられる即ち両方のチャネルについて間隔は不規則であると判定されたら、即ちブロック356でNoとなった場合、チャネルECG1について低勾配含量が第1境界502より小さく且つスペクトル幅が第2境界504より小さければチャネルECG1はVFショックゾーンに入っているとの判定がなされ、即ちブロック360でYesとなる。すると当該チャネルECG1についての3秒セグメントはショック可能であると判定され、ブロック363、当該チャネルのための関連付けられるバッファが然るべく更新される。当該チャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さくない又はスペクトル幅が第2境界より小さくないのどちらかであれば、チャネルECG1はVFショックゾーンに入っていないと判定され、即ちブロック360でNoとなり、当該チャネルECG1についての3秒セグメントはショック可能ではないと判定され、ブロック365、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
同様に、チャネルECG2について低勾配含量が第1境界502より小さく且つスペクトル幅が第2境界504より小さければ、チャネルECG2はVFショックゾーンに入っているという判定がなされ、即ちブロック362でYesとなる。すると当該チャネルECG2についての3秒セグメントはショック可能であると判定され、ブロック369、当該チャネルのための関連付けられるバッファは然るべく更新される。当該チャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さくない又はスペクトル幅が第2境界より小さくないのどちらかであれば、チャネルECG2はVFショックゾーンに入っていないと判定され、即ちブロック362でNoとなり、すると当該チャネルECG2のための3秒セグメントはショック可能ではないと判定され、ブロック367、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
図6A及び図6Bは、本発明の或る実施形態による、事象がショックゾーン内にあるかどうかの判定のグラフ図である。事象がVTショックゾーン内にあるかどうかの判定中、即ち図4のブロック358では、低勾配含量及びスペクトル幅は、以上にVFショックゾーンを確定することに関して説明されている様に各チャネルECG1及びECG2について確定される。2つの信号チャネルECG1及びECG2のうちのどのチャネルが最小低勾配含量を内包しているか及び2つの信号チャネルECG1及びECG2のうちのどのチャネルが最小スペクトル幅を内包しているかに関し判定がなされる。第1VTショックゾーン520は、最小低勾配含量を有すると確定されているチャネルと関連付けられる低勾配含量と、最小スペクトル幅を有すると確定されているチャネルと関連付けられるスペクトル幅と、の間の関係に基づいて定義される。例えば、本発明の或る実施形態によれば、第1VTショックゾーン520は、
方程式、即ち、
LSC=−0.004×SW+0.93 (方程式1)
によって示される最小低勾配含量(Low Slope Content)及び最小スペクトル幅(SpectralWidth)と関連付けられる境界522によって定義される。
第2VTショックゾーン524は、最小低勾配含量を有すると確定されているチャネルと関連付けられる低勾配含量と、最大正規化平均整流振幅を有すると確定されているチャネルと関連付けられる正規化平均整流振幅と、の間の関係に基づいて定義される。VTショックゾーン検定時に利用される2つのチャネルECG1及びECG2についての正規化平均整流振幅を確定するために、3秒ウィンドーと関連付けられる各サンプルの振幅が確定され、N個のサンプル振幅がもたらされると、そこから平均整流振幅が、当該セグメントについての総サンプル振幅数Nに対する整流されたサンプル振幅の和の比として計算される。サンプリングレートが例えば1秒あたり256サンプルであれば、3秒セグメントについての総サンプル振幅数NはN=768サンプルということになる。
本発明の或る実施形態によれば、例えば、第2VTショックゾーン524は、
方程式、即ち、
NMRA=68×LSC+8.16 (方程式2)
によって示される最小低勾配計数(Low Slope Count)と最大正規化平均整流振幅(Normalized Mean Rectified Amplitude)との間の関係と関連付けられる第2境界526によって定義される。
最小低勾配計数が第1境界522即ち−0.004×最小スペクトル幅+0.93より小さく、且つ最大正規化平均整流振幅が第2境界526即ち68×最小低勾配計数+8.16より大きければ、事象はVTショックゾーンに入っていると判定され、即ちブロック358でYesとなり、両方のチャネルECG1及びECG2はショック可能であると判定され、ブロック357、関連付けられるバッファが然るべく更新される。最小低勾配計数が第1境界522より小さくない又は最大正規化平均整流振幅が第2境界526より大きくないのどちらかであれば、事象はVTショックゾーンの外にあると判定され、即ちブロック358でNoとなり、両方のチャネルECG1及びECG2はショック可能でないと判定される、ブロック359。
説明されている様に、VFショックゾーン検定のブロック360及びブロック362とVTショックゾーン検定のブロック358の両検定中、各チャネルECG1及びECG2についてのショック可能である又はショック可能ではないとして分類される検定結果は、以下に説明されているブロック356の判定に利用される2つのチャネルECG1及びECG2の各々についての例えば直近の8つのその様な指定を格納しているローリングバッファに記憶される。
2つのチャネルECG1及びECG2のうちの一方だけがノイズによって損なわれていないと判定されれば、即ちブロック346でYesの場合、ノイズによって損なわれていないチャネル即ち「クリーンチャネル」についての信号はVT事象又はVF事象と関連付けられる可能性が高いかどうかの判定が、クリーンチャネルについての信号が規則的であるR−R間隔を含んでいて而して比較的安定しているとして分類され得るかどうかを判定することによってなされる、ブロック348。R−R間隔が比較的安定していないと判定されれば、即ちブロック348でNOの場合、クリーンチャネルについての信号はVFと関連付けられる可能性があるとして識別され、それが次いで信号が以下に説明されているVFショックゾーンに入っているかどうかを判定することによって検証される、ブロック350。クリーンチャネルについてのR−R間隔が安定していると判定されれば、即ちブロック348でYESの場合、信号はVTと関連付けられる可能性があるとして識別され、それが次いでクリーンチャネルについての信号がVTショックゾーンに入っているかどうかを判定することによって検証される、ブロック352。
本発明の或る実施形態によれば、クリーンチャネルについての信号が、規則的であるR−R間隔を含んでいてクリーンチャネルは而して比較的安定していると判定され得る、即ちブロック348でのYesか、又は比較的不安定していないと判定され得る、即ちブロック348でのNoか、どちらであるかを判定するために、装置は、ブロック348でクリーンチャネルと関連付けられるR−R間隔でのばらつきの相対レベルが規則的であるかどうかを判定することによってVT事象をVF事象から鑑別する。図7は、本開示の或る実施形態による、心臓事象を鑑別するための方法の流れ図である。例えば、図7に描かれている様に、クリーンチャネルについての既定最大間隔及び既定最小間隔が12のR−R間隔の更新されたバッファから識別される、図4のブロック342。本発明の或る実施形態によれば、12のR−R間隔のうちの最も大きいR−R間隔及び6番目に大きいR−R間隔がそれぞれ最大間隔及び最小間隔として利用される。
12のR−R間隔のうちの最大R−R間隔と最小R−R間隔の間の差が計算されてクリーンチャネルと関連付けられる間隔差を生成する、702。次いで間隔差が例えば110ミリ秒の様な既定の安定度閾値より大きいかどうかに関し判定がなされる、ブロック704。
間隔差が安定度閾値より大きければ、事象は不安定事象として分類され、ブロック706、而してクリーンチャネルは規則的な間隔を含んでいないと判定され、即ちブロック348でNoとなり、クリーンチャネルと関連付けられる信号が以下に説明されている既定のVFショックゾーン内にあるかどうかに関し判定がなされる、図4の350。間隔差が安定度閾値より小さいか又は安定度閾値に等しければ、即ちブロック704でNoの場合、装置は最小R−R間隔が例えば200ミリ秒の様な最小間隔閾値より大きいかどうかを判定する、ブロック710。
最小間隔が最小間隔閾値より小さいか又は最小間隔閾値に等しければ、即ちブロック710でNoの場合、事象は不安定事象として分類され、ブロック706、而してクリーンチャネルは規則的な間隔を含んでいないと判定され、即ちブロック348でNoとなり、そしてクリーンチャネルと関連付けられる信号が以下に説明されている既定のVFショックゾーン内にあるかどうかに関し判定がなされる、図4のブロック350。最小間隔が最小間隔閾値より大きければ、即ちブロック710でYesの場合、装置は最大間隔が例えば333ミリ秒の様な最大間隔閾値より小さいか又は最大間隔閾値に等しいかどうかを判定する、ブロック712。最大間隔が最大間隔閾値より大きければ、事象は不安定事象として分類され、ブロック706、而してクリーンチャネルは規則的な間隔を含まないと判定され、即ちブロック348でNoとなり、クリーンチャネルと関連付けられる信号は以下に説明されている既定のVFショックゾーン内にあるかどうかに関し判定がなされる、図4のブロック350。最大間隔が最大間隔閾値より小さいか又は最大間隔閾値に等しければ、事象は安定事象として分類され、ブロック714、而してクリーンチャネルは規則的な間隔を含むと判定され、即ちブロック348でYesとなり、クリーンチャネルと関連付けられる信号は以下に説明されている既定のVTショックゾーン内にあるかどうかに関し判定がなされる、図4のブロック352。
図4に戻って、クリーンチャネルがVFショックゾーン内にあるかどうかの判定であるブロック350は、以上にブロック360及びブロック362に関連して説明されているVFショックゾーン判定と同様に、低勾配含量メトリック及びスペクトル幅メトリックに基づいてなされており、メトリックはどちらもクリーンチャネルについて以上に説明されている方法を使用して確定される。低勾配含量メトリック及びスペクトル幅メトリックがクリーンチャネルについてひとたび確定されたら、クリーンチャネルがVFショックゾーンに入っているかどうかの判定が方程式1及び方程式2を使用してなされ、クリーンチャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さいくない又はスペクトル幅が第2境界504より小さくないのどちらかであれば、クリーンチャネルはVFゾーンに入っていないと判定され、即ちブロック350でNoとなり、両方のチャネルはショック可能ではないとして分類され、ブロック351、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
クリーンチャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さく且つスペクトル幅が第2境界504より小さければ、クリーンチャネルはVFゾーンに入っていると判定される、即ちブロック350でYesとなる。次いでノイズによって損なわれていると判定されたチャネル即ち「ノイジーチャネル」がVFショックゾーン内にあるかどうかに関し判定がなされる、ブロック354。ノイジーチャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さくない又はスペクトル幅が第2境界504より小さくないのどちらかであれば、ノイジーチャネルはVFゾーンに入っていないと判定され、即ちブロック354でNoとなり、クリーンチャネルはショック可能であるとして分類され、ノイジーチャネルはショック可能でないとして分類され、ブロック355、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
ノイジーチャネルについての低勾配含量が第1境界502より小さく且つスペクトル幅が第2境界504より小さければ、ノイジーチャネルはVFゾーンに入っていると判定され、即ちブロック354でYesとなり、クリーンチャネル及びノイジーチャネルの両方がショック可能であるとして分類され、ブロック355、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
以上にブロック358に関連して説明されているVTショックゾーン判定と同様、ブロック352でのクリーンチャネルがVTショックゾーン内にあるかどうかに関しての判定中、低勾配含量及びスペクトル幅はクリーンチャネルについて、以上にVFショックゾーンを確定することに関連して説明されている様に確定される。第1VTショックゾーン520は、例えば方程式3に従って、クリーンチャネルと関連付けられる低勾配含量とスペクトル幅の間の関係に基づいて定義され、第2VTショックゾーン524は、クリーンチャネルと関連付けられる低勾配計数と正規化平均整流振幅の間の関係に基づいて定義される。クリーンチャネルについての正規化平均整流振幅は、以上にブロック344のノイズ検出検定に関連して説明されているのと同じである。例えば、本発明の或る実施形態によれば、第2VTショックゾーン524は、方程式2を使用してクリーンチャネルの低勾配計数と正規化平均整流振幅の間の関係と関連付けられる第2境界526によって定義されている。
低勾配計数が第1境界522即ち−0.004×クリーンチャネルのスペクトル幅+0.93より小さく且つ正規化平均整流振幅が第2境界526即ち68×クリーンチャネルの低勾配計数+8.16より大きければ、クリーンチャネルはVTショックゾーンに入っていると判定され、即ちブロック352でYesとなり、両方のチャネルはショック可能であるとして分類され、ブロック353、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
低勾配計数が第1境界522より小さくない又は最大正規化平均整流振幅が第2境界526より大きくないのどちらかであれば、クリーンチャネルはVTショックゾーンの外にあると判定され、即ちブロック352でNoとなり、両方のチャネルはショック可能でないと判定され、ブロック351、関連付けられるバッファが然るべく更新される。
チャネルECG1及びECG2の両方の分類が、単数又は複数のクリーンチャネルが、VTショックゾーンに入っているかどうかの判定、即ちブロック352及びブロック358、又はVFショックゾーンに入っているかどうかの判定、即ちブロック350とブロック360及びブロック362、の組合せによる判定に引き続いてなされたら、装置は関与状態304から活性状態306へ移行するべきかどうかに関し判定がなされる、ブロック370。例えば、本発明の或る実施形態によれば、関与状態304から活性状態306への移行は、両方のチャネルECG1及びECG2についての3秒セグメントのうち、既定数、例えば3つのうちの2つ、の3秒セグメントがショック可能であると分類された場合に確証される。両方のチャネルECG1及びECG2で既定数の3秒セグメントがショック可能であるとして分類された場合、装置は関与状態304から活性状態306へ移行する、ブロック370でYesとなる。両方のチャネルECG1及びECG2で既定数の3秒セグメントがショック可能であるとして分類されなかった場合、装置は関与状態304から活性状態306へ移行せず、即ちブロック370でNoとなり、非関与状態302へ戻り移るべきかどうかに関し判定がなされる、ブロック372。関与状態304から非関与状態302へ戻り移るべきかどうかに関しての判定は、例えば2つのチャネルECG1及びECG2で心拍数推定値が心拍数閾値レベルより小さいかどうかを、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されている心拍数推定値を判定するための方法を使用して判定することによってなされる。装置は非関与状態302へ移行するべきでない、即ち2つの心拍数推定値のどちらかが心拍数閾値より大きいと判定されれば、次の3秒ウィンドー中に生成される信号を使用してプロセスが繰り返される、ブロック341。
装置が関与状態304から活性状態306へ移行するべきと判定すると、即ちブロック370でYesの場合、処理は以上に説明されている関与状態304中に利用されている3秒タイムアウトによって引き続きトリガされる。関与状態304から活性状態への動作状態移行を行うに先立ち、装置は、状態移行律動確証解析のブロック373、を遂行して、ブロック370での両方のチャネルECG1及びECG2についての既定数の3秒セグメントがショック可能であるとして分類されたことに基づいてなされた関与状態304から活性状態へ移行するという決定を確証する。
図8は、本発明の或る実施形態による、装置は動作状態間で移行するべきかどうかを判定するための方法の流れ図である。例えば、図4及び図8に描かれている様に、状態移行律動確証解析のブロック373中に、装置は、現在のエピソードに関連付けられる律動を、状態移行律動確証解析のブロック373に先立っての次の動作状態へ移行するべきかどうかの初期判定のブロック370で先に使用された感知チャネルECG1及びECG2の両方についての3秒ウィンドーを使用して解析する、ブロック800。律動解析のブロック800中に、装置は、先に検出された律動を解析して、律動が単形性心室頻拍(MVT)であるか又は多形性心室頻拍/細動(PVT)であるかを判定する。
例えば、1つの実施形態によれば、装置は、図4のブロック342−370で心臓事象はショック可能であるとして識別するのに使用された直近の確定されている3秒ウィンドーを解析し、感知チャネルECG1及びECG2と関連付けられる各3秒ウィンドーについて、装置はウィンドー内のR波のうちの1つの形態をウィンドー内の他のR波の形態と比較する。1つの実施形態によれば、例えば、第1R波が選択され、ウィンドー内の後続R波の各々と第1R波の間で比較がなされる。ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーについて単形性VTであると判定する。本開示の或る実施形態によれば、装置は、ウィンドー内の各拍動について、拍動が選択された拍動に既定のパーセンテージ一致度で一致するかどうかを判定する。例えば、装置は、3秒感知ウィンドー内の各拍動と選択された拍動の間に60パーセント又はそれより大きい一致度があるかどうかを判定し、後続の拍動の全てが選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度であれば、当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定する。別の実施形態によれば、装置は、他の拍動の例えば66パーセント又は75パーセントの様なかなりの割合が選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度である場合に当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定している。当該プロセスが、先に図4のブロック370での次の動作状態へ移行するべきかどうかを判定するのに利用された3秒ウィンドーの各々について繰り返される。先の確定されている3秒ウィンドーの各々について律動は単形性VTであると判定されれば、装置は律動が単形性VTであると判定し、ブロック802でYesとなる。
他方、ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致しなければ、装置は律動が当該感知ウィンドーについて単形性ではないと判定する。感知チャネルECG1及びECG2の両方についての3秒ウィンドーの何れかが単形性であると判定されないなら、律動は単形性VTであるとは判定されず、即ちブロック802でNoとなり、而して多形性VT/VFの可能性がある。結果として、律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。活性状態306にある間の装置の動作は、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されている。
先に図4のブロック370での次の動作状態へ移行するべきかどうかを判定するのに使用された感知チャネルECG1及びECG2の両方の3秒ウィンドーが単形性VTであると判定されると、即ちブロック802でYesの場合、装置は、非関与状態304から関与状態への移行を遅延させる、ブロック806。この動作状態移行遅延のブロック806中に、装置は、図4のブロック342−370からの、感知チャネルECG1及びECG2はショック可能であるかショック可能でないかの次の判定が、先に関与状態304から活性状態306へ移行するべきかどうかの判定のブロック370で使用された3秒ウィンドーに後続する感知チャネルECG1及びECG2からの次の3秒ウィンドーの1つ又はそれ以上を使用して遂行されるのを待つ。而して、例えば2つの連続する3秒ウィンドーが判定で使用されていた場合、遅延は6秒ということになり、1つしか使用されていなかったなら遅延は3秒ということになる。
単形性VTであるとして識別された後、心律動は、それ以降、典型的に3通りのうちの1つで存在する傾向がある。単形性VT律動は、単形性VT律動である段階から、その後更に悪化して多形性VT又はVF律動になるかもしれないし、引き続き単形性VT律動として存在するかもしれないし、又は単形性VT律動として存在して後まもなくして自己終止するかもしれない。従って、本開示の或る実施形態によれば、次の3秒ウィンドーが判定されたら、装置は、新たに確定されている3秒ウィンドーを、現在の3秒ウィンドーECG1及びECG2の各々について、以上にブロック800で説明されている様に、第1R波即ち各々の新たに確定されている3秒ウィンドー内の第1拍動の形態をウィンドー内の後続のR波の形態と比較することによって解析する、ブロック808。
ウィンドー内の既定数の後続拍動が第1拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーでは単形性であると判定する。律動が各感知ウィンドーECG1及びECG2について単形性VTであると判定されれば、装置は律動が引き続き単形性VTであるものと判定し、即ちブロック810でYesとなり、而して律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
感知チャネルECG1及びECG2の両方について後続して確定されている3秒ウィンドーのうちの1つ又はそれ以上が単形性であると判定されず、而して心臓事象はもはや単形性心室頻拍ではなさそうだということになれば、即ちブロック810でNoの場合、装置は律動が終止したかどうかを判定する、ブロック812。1つの実施形態によれば、ブロック812で律動が終止したかどうかを判定するために、装置は、各々の後続して確定されている3秒ウィンドーについて、ウィンドー内の各R波の絶対値を既定の幅閾値に比較する。1つの実施形態によれば、幅閾値は、例えば大凡109ミリ秒として設定されていてもよい。
感知ウィンドー内の拍動の全てが幅閾値より大きいか又は幅閾値に等しければ、当該ウィンドーについての律動は心室頻拍と関連付けられると判定され、而して終止していないと判定され、即ちブロック812でNoとなる。感知ウィンドー内の拍動の全てが幅閾値より小さければ、当該ウィンドーについての律動は上室性頻拍と関連付けられると判定され、而して終止したと判定され、即ちブロック812でYesとなり、装置は以上に説明されているブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する。
別の実施形態によれば、ブロック812で律動が終止したかどうかを判定するために、装置は、各々の後続して確定されている3秒ウィンドーについて、ウィンドー内の各R波を既定の洞調律R波テンプレートと比較してR波と洞調律R波テンプレートの間の差を確定する。ウィンドー内のR波のうちの何れか1つ又はそれ以上との間で差が例えば39ミリ秒の様な既定の差閾値より大きければ、律動は心室頻拍であり、而して終止していないと判定され、即ちブロック812でNoとなる。ウィンドー内のR波の各々との間の差が既定の差閾値より小さいか又は差閾値に等しければ、律動は上室性頻拍であり、而して終止したと判定される、即ちブロック812のYesとなる。
律動はもはや単形性VTではない且つ終止していないと判定されると、即ちブロック812でNoの場合、装置は、関与状態304から活性状態306へ移行し、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。律動はもはや単形性VTではない且つ終止したと判定されれば、即ちブロック812でYesの場合、装置は、以上に説明されているブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する、ブロック814。
この様にして、関与動作状態304から活性動作状態306へ移行するべきかどうかに関しての確証中、即ちブロック373の間、装置は、コンデンサの充電を、後続のブロック800及びブロック808の解析で次の3秒ウィンドーの1つ又はそれ以上を利用して律動が単形性VTであるかどうかが判定される間の時間の期間に亘って遅延させる。
別の実施形態によれば、律動はもはや単形性VTではなく且つ終止したと判定されれば、即ちブロック812でYesの場合、装置は遅延期間を自動的に調節して、後続の単形性心室頻拍の判定時は遅延期間がその初期値から別の所望値へ調節されるようにすることができる。例えば、1つの実施形態によれば、ブロック810での初期単形性心室頻拍判定について、遅延は6秒、即ち3秒ウィンドー2つ分と設定されているとして、単形性心室頻拍が終止したと判定されれば、即ちブロック812でYESの場合、装置は、遅延を6秒から9秒へ、即ち3秒ウィンドー2つ分から3つ分へ増加させることができる。加えて、遅延は減少されることもある。例えば、遅延が9秒に設定されていて、装置が律動は引き続き単形性心室頻拍であると判定すれば、即ちブロック810でYESの場合、又は終止していないと判定すれば、即ちブロック812でNoの場合、装置は、ブロック810で後続の判定がなされるときに遅延を9秒から6秒へ減少させることができる。
別の実施形態によれば、感知チャネルECG1及びECG2の両方についての後続して確定されている3秒ウィンドーのうちの1つ又はそれ以上が単形性であると判定されず、而して心臓事象はもはや単形性心室頻拍ではなさそうだと判定されれば、即ちブロック810でNoの場合、装置は律動が終止したかどうかに関しての判定、即ちブロック812を行わない。むしろ、ブロック812の律動終止判定が省略され、そうして心臓事象はもはや単形性心室頻拍ではなさそうだと判定されると、即ちブロック810でNoの場合、装置は、以上に説明されている様にブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する。律動はもはやショック可能事象ではないかどうかに関しての判定は、ブロック342−370での次の3秒ウィンドーの解析に基づいてなされることになる。
図9は、本発明の或る実施形態による、医療装置での動作状態間で移行するべきかどうかを判定するための方法の流れ図である。以上に説明されている様に、両方のチャネルECG1及びECG2についての3つの3秒ウィンドーのうちの2つがショック可能であると分類されると装置が関与動作状態306から活性動作状態306へ移行し、即ち図4のブロック370でYesとなり、装置は状態移行律動確証のブロック373を遂行するが、ブロック373の状態移行律動確証解析に先立ってブロック370での次の作動状態へ移行するべきかどうかの初期判定で先に使用された感知チャネルECG1及びECG2の両方についての3秒ウィンドーを使用してブロック373を遂行する。
図4から分かる様に、どの様に両方のチャネルECG1及びECG2をショック可能であると判定できたかは様々に異なる。第1として、ノイズが1つのチャネルで起こっていると判定され、即ちブロック346でYesとなり、但しクリーンチャネルは規則的な間隔を有していると判定され、即ちブロック348でYesとなり、且つVTショックゾーンに入っていると判定されれば、即ちブロック352でYesとなった場合、感知チャネルECG1及びECG2の両方がショック可能であると判定される、ブロック353。第2として、ノイズが1つのチャネルで起こっていると判定され、即ちブロック346でYesとなり、クリーンチャネルが規則的な間隔を有していないと判定され、即ちブロック348でNoとなり、且つクリーンチャネルとノイジーチャネルがともにVFショックゾーンに入っていると判定されれば、即ちブロック350及びブロック354でYesとなった場合、感知チャネルECG1及びECG2の両方がショック可能であると判定される、ブロック353。
他方、ノイズは何れかのチャネルで起こっていると判定されず、即ちブロック346でNoとなり、但し両方のチャネルは規則的な間隔を有していると判定され、即ちブロック356でYesとなり、且つ両方のチャネルはVTショックゾーンに入っていると判定されれば、即ちブロック358でYesとなった場合、感知チャネルECG1及びECG2の両方がショック可能であると判定される、ブロック359。最後に、ノイズは何れかのチャネルで起こっていると判定されず、即ちブロック346でNoとなり、但し両方のチャネルは規則的な間隔を有していると判定されず、即ちブロック356でNoとなり、且つ両方のチャネルはVFショックゾーンに入っていると判定されれば、即ちブロック360及びブロック362でYesとなった場合、感知チャネルECG1及びECG2の両方がショック可能であると判定される。而して、本開示の或る実施形態によれば、装置は、どの様に3秒ウィンドーがショック可能であると判定されたかを確定することができ、この確定に基づいて状態移行律動確証のブロック373を遂行するべきか否かを決定することができ、そして当該確証が遂行されるということになれば、確証を遂行する段階に感知チャネルECG1及びECG2のうちの一方を使用するべきか又は両方を使用するべきかを決定することができる。
例えば、図4、図8、及び図9に描かれている様に、本開示の或る実施形態によれば、状態移行律動確証のブロック373中に、装置は、感知チャネルECG1及びECG2がショック可能であるか又はショック可能でないかに関しての初期判定のブロック342−370中に利用されている感知チャネルECG1及びECG2の条件を判定する、ブロック816。例えば、装置は、ノイズが感知チャネルECG1又はECG2のうちの一方にあると判定されていたかどうかを判定する、ブロック818。ノイズが感知チャネルのうちの一方で起こっていると判定されていたなら、即ちブロック818でYesの場合、装置は、クリーンチャネルについての信号が規則的であるR−R間隔を含んでいて而して当該チャネルは比較的安定しているとして分類されていたかどうかを判定する、ブロック820。クリーンチャネルについてR−R間隔が比較的規則的ではない又は安定していないと判定されていたのなら、即ちブロック820でNoの場合、装置は、状態移行律動確証のブロック373は遂行されるべきではないと判定し、ブロック822、そして活性状態306への移行は遅延無く開始されるべきであると判定する、ブロック824。R−R間隔が比較的規則的である又は安定していると判定されていたのなら、即ちブロック820でYesの場合、装置は、状態移行律動確証のブロック373は遂行されるべきであると判定し、そして以下に説明されている確証のブロック828ではクリーンチャネルのみが利用されるべきであると判定する、ブロック826。
ノイズが感知チャネルのうちの一方に起こっていると判定されていなかった、つまり両方の感知チャネルはクリーンとされていたなら、即ちブロック818でYesの場合、装置は、両方のチャネルについての信号が規則的であるR−R間隔を含んでいて而して当該チャネルは比較的安定しているとして分類されていたかどうかを判定する、ブロック830。両方のチャネルについてR−R間隔は比較的規則的ではない又は安定していないと判定されていたなら、即ちブロック830でNoの場合、装置は、状態移行律動確証のブロック373は遂行されるべきではないと判定し、ブロック822、そして活性状態306への移行は遅延無く開始されるべきであると判定する、ブロック824。R−R間隔は両方のチャネルについて比較的規則的である又は安定していると判定されていたなら、即ちブロック830でYesの場合、装置は、状態移行律動確証のブロック373は遂行されるべきであると判定し、上に説明されている様に確証のブロック828では両方のチャネルが利用されるべきであると判定する、ブロック832。
確証のブロック828では単一のクリーンチャネルのみが利用されるべきと判定されれば、装置は、ブロック800での現在のエピソードと関連付けられる律動を、状態移行律動確証解析のブロック373に先立っての次の動作状態へ移行するべきかどうかの初期判定のブロック370中に使用されたクリーンな感知チャネルECG1又はECG2のみについて、3秒ウィンドーを使用して解析する。律動解析のブロック800中に、装置は、クリーンな感知チャネルECG1又はECG2で先に検出された律動を解析して、律動が単形性心室頻拍(MVT)であるか又は多形性心室頻拍/細動(PVT)であるかを判定する。
例えば、1つの実施形態によれば、装置は、直近の確定されている3秒ウィンドーを解析し、各々のクリーンな3秒ウィンドーECG1又はECG2について、第1R波即ちウィンドー内の第1拍動の形態をウィンドー内の後続R波の形態と比較する。ウィンドー内の既定数の後続拍動が第1拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーについて単形性であると判定する。クリーンな感知ウィンドーECG又はECG2について律動は単形性VTであると判定されれば、装置は律動が単形性VTであると判定する、ブロック802でYesとなる。
他方、クリーンな感知チャネルECG1又はECG2についての3秒ウィンドーが単形性であると判定されなければ、即ちブロック802でNoの場合、律動は単形性VTであるとは判定されず、即ちブロック802でNoとなり、而して多形性VT/VFである可能性がある。而して、律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。活性状態306にある間の装置の動作は、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されている。
クリーンな感知チャネルECG1又はECG2の3秒ウィンドーが単形性VTであると判定されると、即ちブロック802でYesの場合、装置は、非関与状態304から関与状態へ移行することを遅延させる、ブロック806。ブロック806のこの動作状態移行遅延中に、装置は、図4のブロック342−370からの、感知チャネルECG1及びECG2はショック可能であるかショック可能でないかの次の判定が、先に関与動作状態304から活性動作状態306へ移行するべきかどうかの判定のブロック370で既に使用された3秒ウィンドーに後続する感知チャネルECG1及びECG2からの次の3秒ウィンドーを使用して遂行されるのを待つ。
以上に説明されている様に、装置は、新たに確定されている3秒ウィンドーを、クリーンチャネルECG1及びECG2の現在の3秒ウィンドーについて、第1R波即ちクリーンな感知チャネルについての各々の新たに確定されている3秒ウィンドー内の第1拍動の形態をウィンドー内の後続のR波の形態と比較することによって解析する、ブロック808。
ウィンドー内の既定数の後続拍動が第1拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーでは単形性であると判定する。律動が各感知ウィンドーECG1及びECG2について単形性VTであると判定されれば、装置は律動が引き続き単形性VTであるものと判定し、即ちブロック810でYesとなり、而して律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
クリーンな感知チャネルECG1又はECG2についての後続して確定されている3秒ウィンドーが単形性であると判定されなければ、即ちブロック810でNOの場合、装置は以下に説明されている様に律動が終止したかどうかを判定する、ブロック812。律動はもはや単形性VTではない且つ終止していないと判定されれば、即ちブロック812でNoの場合、装置は、関与状態304から活性状態306へ移行し、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。律動はもはや単形性VTではない且つ終止したと判定されれば、即ちブロック812でYesの場合、装置は以上に説明されている様にブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する。
図10は、本開示の或る実施形態による、心臓事象を鑑別するための方法の流れ図である。本開示の或る実施形態によれば、装置は、1つ又はそれ以上の律動鑑別閾値を使用し、更に、ブロック800とブロック808の一方又は両方での律動解析時に律動は単形性か多形性か又は正常洞調律の何れであるかを鑑別することができる。例えば、図10に描かれている様に、図4のブロック342−370で律動はショック可能であるとしてひとたび分類されたら、ブロック900、装置は、関与動作状態304から活性動作状態306へ移行することを判定する段階で使用された先に確定されている3秒ウィンドー内のR波を比較して、ウィンドー内のR波の各々についてテンプレート一致スコアを生成する。各感知ベクトルについて、感知ベクトルの間隔についての一致スコアが既定一致スコア閾値を超えているかどうかに関し判定がなされる。
例えば、装置は、ウィンドー内のR波のうちの1つの形態をウィンドー内の他のR波の形態と比較する。1つの実施形態によれば、例えば、第1R波がテンプレートとして選択され、比較はウィンドー内の後続R波の各々と当該第1R波の間でなされる。ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーについて単形性であると判定する。
本開示の或る実施形態によれば、装置は、ウィンドー内の各拍動について、拍動が選択された拍動に既定のパーセンテージ一致度で一致するかどうかを判定する。例えば、1つの実施形態によれば、装置は、3秒感知ウィンドー内の各拍動と選択された拍動の間に60パーセント又はそれより大きい一致度があるかどうかを判定し、後続の拍動の全てが選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度であれば、当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定する。別の実施形態によれば、装置は、他の拍動の例えば66パーセント又は75パーセントの様なかなりの割合が選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度である場合に当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定している。当該プロセスが、先に図4のブロック370での次の動作状態へ移行するべきかどうかを判定するのに利用された3秒ウィンドーの各々について繰り返される。
既定数の一致スコアが、2つの感知ベクトルが利用されている場合には両方又は1つの感知ベクトルしか利用されていない場合には当該1つ、等々、についての一致スコア範囲内にあると判定されなければ、VT形態一致は満たされていないと判定され、即ちブロック902でNoとなり、而して、律動は、多形性VT、心室細動、又は心室粗動の様な、治療可能な律動と関連付けられる可能性があると判定される、ブロック904。結果として律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック906、以上に説明されている様に単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
後続拍動の全てが選択された拍動に既定のパーセンテージ一致度閾値で一致し、而して律動は先の確定されている3秒ウィンドーの各々について単形性であると判定されれば、装置は律動が単形性律動であると判定し、即ちブロック902でYesとなる。但し、単形性律動は洞性頻拍/上室性頻拍、単形性心室頻拍、又は心室粗動の何れかであり得るので、単形性律動を更に見分けるために、装置は、各ウィンドーについて、3秒ウィンドーの各々内の拍動と関連付けられる既定数のR波幅が所与の心律動を反映する既定範囲内にあるかどうかを判定する、ブロック908。例えば、本開示の或る実施形態によれば、装置は、各3秒ウィンドーについて、ウィンドー内の各R波の絶対値を既定のR波幅閾値に比較する。1つの実施形態によれば、幅閾値は、例えば大凡109ミリ秒として設定されていてもよく、装置はウィンドーの中の拍動の全てが幅閾値より小さいかどうかを判定する。
感知ウィンドー内の既定数の拍動が幅閾値より小さければ、当該ウィンドーについてのR波幅閾値は満たされていると判定される。他方、感知ウィンドー内の既定数の拍動が幅閾値より小さくないなら、当該ウィンドーについてのR波幅閾値は満たされていないと判定される。
当該プロセスが、律動確証解析に利用されている3秒ウィンドーの全てについて繰り返され、各3秒ウィンドーについてR波幅閾値が満たされていると判定されれば、即ちブロック908でYesの場合、単形性律動は、而して、正常洞調律、洞性頻拍、又は上室性頻拍の様な、ショック療法不要の正常な律動と関連付けられる可能性があると判定される、ブロック910。結果として律動確証解析は完了し、装置は、以上に説明されている図4のブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する、ブロック912。
R波幅閾値が3秒ウィンドーの1つ又はそれ以上について満たされていないと判定され、而してR波幅閾値は満たされていないと判定されれば、即ちブロック908でNoの場合、単形性律動は単形性心室頻拍か又は心室粗動のどちらかと関連付けられると判定される。心室粗動と関連付けられる律動は典型的には単形性心室頻拍と関連付けられる律動より正弦波的であるので、律動を単形性心室頻拍とするか又は心室粗動とするかの間で更に見分けるために、装置は、心臓事象を正弦波事象であると示唆するための単形性信号メトリックが満たされているかどうかを判定する、ブロック914。単形性信号メトリックが満たされているかどうかを判定するために、装置は、利用されている各3秒ウィンドーについて、ウィンドーの信号が単形性信号メトリックを満たしているかどうかを判定する。
1つの実施形態によれば、単形性信号メトリックが満たされているかどうかの判定は、各々の関連する3秒ウィンドーについて、確定された低勾配含量メトリックを確定された正規化平均整流振幅と組み合わせて使用してなされる。低勾配含量メトリックは、3秒セグメント内の総サンプル数に対する低勾配を有するデータ点の数の比として計算することができる。例えば、本発明の或る実施形態によれば、連続するECGサンプル間の差はECG信号の第1の導関数(即ち勾配)の近似値として確定される。具体的には、各チャネルについての生信号を1次微分フィルタへ印加して3秒セグメントについての微分信号を得る。微分信号は次いで整流され4つの等しいサブセグメントへ分割されると、最も大きい絶対勾配が4つのサブセグメントの各々について推定される。
最も大きい絶対勾配が、3秒セグメント全体についての全体的な最も大きい勾配の或る割合、例えば全体的絶対勾配の5分の1など、より小さいかどうかに関し判定がなされる。最も大きい絶対勾配が全体的勾配の当該割合より小さければ、当該サブセグメントについての勾配値は全体的な最も大きい絶対勾配に等しく設定される。最も大きい絶対勾配が全体的勾配の当該割合より小さくなければ、当該サブセグメントについての勾配値はサブセグメントについての確定された最も大きい絶対勾配に等しく設定される。
サブセグメントの各々についての勾配値が確定され、必要なら3秒セグメントについての最も大きい勾配に等しく設定されることによって更新されてしまったら、4つの勾配の平均値を計算し、例えば16の様な既定の係数で割って低勾配閾値を得る。そうして低勾配閾値より小さいか又は低勾配閾値に等しい絶対勾配を有する3秒セグメント内のサンプル点の数を確定することによって低勾配含量を得る。
本発明のある実施形態によれば、低勾配閾値の確定時、低勾配閾値が自然数ではなく小数であるなら、対応する小数のサンプルを加えるように低勾配含量へ補正がなされる。例えば、閾値が4.5であると確定された場合、低勾配含量は、4より小さいか4に等しい絶対勾配を有するサンプル点の数に5に等しい勾配を有するサンプル点の数の半数を足したものになる。
形態信号メトリックの確定中に利用される2つのチャネルECG1及びECG2についての正規化平均整流振幅を確定するために、3秒ウィンドーと関連付けられる各R波の振幅が確定され、N個のサンプル振幅がもたらされると、そこから平均整流振幅が、当該セグメントについての総サンプル振幅数Nに対する整流されたサンプル振幅の和の比として計算される。サンプリングレートが例えば1秒あたり256サンプルであれば、3秒セグメントについての総サンプル振幅数NはN=768サンプルということになる。
各々の利用されている感知ウィンドーについての確定された低勾配含量は、例えば0.2の様な低勾配含量閾値に比較され、確定された正規化平均整流振幅は、例えば60の様な振幅閾値に比較される。低勾配含量が低勾配含量閾値より小さく且つ正規化平均整流振幅が振幅閾値より大きければ、形態メトリックは当該感知ウィンドーについて満たされていると判定される。
3秒ウィンドーについての律動のうちの1つ又はそれ以上が形態信号メトリックを満たしていないと判定されれば、心臓事象は形態信号メトリックを満たしていないと判定され、即ちブロック914でNoとなり、心臓事象は終止しない単形性VT律動であると判定される、ブロック916。3秒ウィンドーについて律動の全てが形態信号メトリックを満たしていると判定されれば、心臓事象は形態信号メトリックを満たしていると判定され、即ちブロック914でYesとなり、心臓事象は心室粗動であると判定され、ブロック904、結果として、律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック906、以上に説明されている様に単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
図11は、本発明の或る実施形態による、装置は動作状態間で移行するべきかどうかを判定するための方法の流れ図である。本開示の或る実施形態によれば、図10の追加的な鑑別を、状態移行律動確証ブロック373の初期律動解析ブロック800中に利用することができる。例えば、図11に描かれている様に、図4のブロック342−370で律動はショック可能であるとしてひとたび分類されたら、即ちブロック918、装置は、関与動作状態304から活性動作状態306へ移行することを判定する段階で使用された先に確定されている3秒ウィンドー内のR波を比較してウィンドー内のR波の各々についてテンプレート一致スコアを生成する。各感知ベクトルについて、感知ベクトルの間隔についての一致スコアが既定の一致スコア閾値を超えているかどうかに関し判定がなされる。
例えば、装置は、ウィンドー内のR波のうちの1つの形態をウィンドー内の他のR波の形態と比較する。1つの実施形態によれば、例えば、第1R波がテンプレートとして選択され、ウィンドー内の後続R波の各々と第1R波の間で比較がなされる。ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーについて単形性であると判定する。
本開示の或る実施形態によれば、装置は、ウィンドー内の各拍動について、拍動が選択された拍動に規定のパーセンテージ一致度で一致するかどうか判定する。例えば、1つの実施形態によれば、装置は、3秒感知ウィンドー内の各拍動と選択された拍動の間に60パーセント又はそれより大きい一致度があるかどうかを判定し、後続拍動の全てが選択された拍動と60パーセント又はそれより大きい一致度であれば、当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定する。別の実施形態によれば、装置は、他の拍動の例えば66パーセント又は75パーセントの様なかなりの割合が選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度であれば、当該ウィンドーについての律動を単形性VTであると判定している。当該プロセスが、先に図4のブロック370での次の動作状態へ移行するべきかどうかを判定するのに利用された3秒ウィンドーの各々について繰り返される。
既定数の一致スコアが、2つの感知ベクトルが利用されている場合には両方又は1つの感知ベクトルしか利用されていない場合には当該1つ、等々、についての一致スコア範囲内にあると判定されなければ、VT形態一致は満たされていないと判定され、即ちブロック902でNoとなり、而して、律動は、多形性VT、心室細動、又は心室粗動の様な、治療可能な律動と関連付けられる可能性があると判定される、ブロック904。結果として律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック906、以上に説明されている様に単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
後続拍動の全てが選択された拍動に既定のパーセンテージ一致度閾値で一致し、而して律動は先の確定されている3秒ウィンドーの各々について単形性であると判定されれば、装置は律動が単形性律動であると判定し、即ちブロック902でYesとなる。但し、単形性律動は洞性頻拍/上室性頻拍、単形性心室頻拍、又は心室粗動の何れかであり得るので、単形性律動を更に見分けるために、装置は、各ウィンドーについて、3秒ウィンドーの各々内の拍動と関連付けられる既定数のR波幅が所与の心律動を反映する既定範囲内にあるかどうかを判定する、ブロック926。例えば、本開示の或る実施形態によれば、装置は、各3秒ウィンドーについて、ウィンドー内の各R波の絶対値を既定のR波幅閾値に比較する。1つの実施形態によれば、幅閾値は、例えば大凡109ミリ秒として設定されていてもよく、装置はウィンドー内の拍動の全てが幅閾値より小さいかどうかを判定する。
感知ウィンドー内の既定数の拍動が幅閾値より小さければ、当該ウィンドーについてのR波幅閾値は満たされていると判定される。他方、感知ウィンドー内の既定数の拍動が幅閾値より小さくないなら、当該ウィンドーについてのR波幅閾値は満たされていないと判定される。
当該プロセスが、律動確証解析に利用されている3秒ウィンドーの全てについて繰り返され、各3秒ウィンドーについてR波幅閾値が満たされていると判定されれば、即ちブロック926でYesの場合、単形性律動は、而して、正常洞調律、洞性頻拍、又は上室性頻拍の様な、ショック療法不要の正常な律動と関連付けられる可能性があると判定される、ブロック928。結果として律動確証解析は完了し、装置は、以上に説明されている図4のブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する、ブロック930。
R波幅閾値が3秒ウィンドーの1つ又はそれ以上について満たされていないと判定され、而してR波幅閾値は満たされていないと判定されれば、即ちブロック926でNoの場合、単形性律動は単形性心室頻拍か又は心室粗動のどちらかと関連付けられると判定される。心室粗動と関連付けられる律動は典型的には単形性心室頻拍と関連付けられる律動より正弦波的であるので、律動を単形性心室頻拍とするか又は心室粗動とするかの間で更に見分けるために、装置は、心臓事象を正弦波事象であると示唆するための単形性信号メトリックが満たされているかどうかを判定する、ブロック932。単形性信号メトリックが満たされているかどうかを判定するために、装置は、以上に説明されている様に、利用されている各3秒ウィンドーについて、ウィンドーの信号が単形性信号メトリックを満たしているかどうかを判定する。
3秒ウィンドーについての律動の全てが形態信号メトリックを満たしていると判定されれば、心臓事象は形態信号メトリックを満たしていると判定され、即ちブロック932でYesとなり、心臓事象は治療可能な律動である心室粗動と判定され、ブロック922、結果として律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック924、以上に説明されている様に単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。3秒ウィンドーについての律動のうちの1つ又はそれ以上が形態信号メトリックを満たしていないと判定されれば、心臓事象は形態信号メトリックを満たしていないと判定され、即ちブロック932でNoとなり、心臓事象は終止しない単形性VT律動であると判定される、ブロック934。
事象が単形性心室頻拍律動であると判定されたら、ブロック934、装置は、以上に説明されている様に非関与状態304から関与状態への移行を遅延させる、ブロック936。この動作状態移行遅延のブロック936中に、装置は、図4のブロック342−370からの、感知チャネルECG1及びECG2はショック可能であるかショック可能でないかの次の判定が、先に関与動作状態304から活性動作状態306へ移行するべきかどうかの判定のブロック370で使用された3秒ウィンドーに後続する感知チャネルECG1及びECG2からの次の3秒ウィンドーを使用して遂行されるのを待つ。
感知チャネルECG1及びECG2がショック可能であるか又はショック可能でないかの次の判定が完了したら、装置は、新たに確定されている3秒ウィンドーを、現在の3秒ウィンドーECG1及びECG2の各々について、以上にブロック800で説明されている様に第1R波即ち各々の新たに確定されている3秒ウィンドー内の第1拍動の形態をウィンドー内の後続R波の形態と比較することによって解析する、ブロック938。
ウィンドー内の既定数の後続拍動が第1拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーでは単形性であると判定する。律動が各感知ウィンドーECG1及びECG2についての単形性VTであると判定されれば、装置は律動が引き続き単形性VTであると判定し、ブロック940でYesになり、而して律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック924、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
感知チャネルECG1及びECG2の両方について後続して確定されている3秒ウィンドーのうちの1つ又はそれ以上が単形性であると判定されなければ、即ちブロック940でNoの場合、装置は律動が終止したかどうかを判定する、ブロック942。1つの実施形態によれば、ブロック942で律動が終止したかどうかを判定するために、装置は、各々の後続して確定されている3秒ウィンドーについて、ウィンドー内の各R波の絶対値を既定の幅閾値と比較する。1つの実施形態によれば、幅閾値は例えば大凡109ミリ秒として設定されていてもよい。
感知ウィンドー内の拍動の全てが幅閾値より大きいか又は幅閾値に等しければ、当該ウィンドーについての律動は心室頻拍と関連付けられると判定され、而して終止していないと判定され、ブロック942でNoとなる。感知ウィンドー内の拍動の全てが幅閾値より小さければ、当該ウィンドーについての律動は上室性頻拍と関連付けられると判定され、而して終止したと判定され、即ちブロック942でYesとなり、装置は以上に説明されているブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する、ブロック930。
図12は、本発明の或る実施形態による、装置は動作状態間で移行するべきかどうかを判定するための方法の流れ図である。或る実施形態によれば、図4及び図12に描かれている様に、状態移行律動確証解析のブロック373中に、装置は、現在のエピソードと関連付けられる律動を、状態移行律動確証解析のブロック373に先立っての次の動作状態へ移行するべきかどうかの初期判定のブロック370で先に使用された感知チャネルECG1及びECG2の両方についての3秒ウィンドーを使用して解析する、ブロック850。律動解析のブロック850中に、装置は、先に検出された律動を解析して、律動が単形性心室頻拍(MVT)であるか又は多形性心室頻拍/細動(PVT)であるかを判定する。
例えば、1つの実施形態によれば、装置は、図4のブロック342−370での心臓事象をショック可能であると識別するのに使用された直近の確定されている3秒ウィンドーを解析し、感知チャネルECG1及びECG2と関連付けられる各3秒ウィンドーについて、装置は、ウィンドー内のR波のうちの1つの形態をウィンドー内の他のR波の形態と比較する。1つの実施形態によれば、例えば、第1R波が選択され、ウィンドー内の後続R波の各々と第1R波の間で比較がなされる。ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致すれば、装置は律動が当該感知ウィンドーについて単形性VTであると判定する。
本開示の或る実施形態によれば、装置は、ウィンドー内の各拍動について、拍動が選択された拍動に既定のパーセンテージ一致度で一致するかどうかを判定する。例えば、装置は、3秒感知ウィンドー内の各拍動と選択された拍動の間に60パーセント又はそれより大きい一致度があるかどうかを判定し、後続の拍動の全てが選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度であれば、当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定する。別の実施形態によれば、装置は、他の拍動の例えば66パーセント又は75パーセントの様なかなりの割合が選択された拍動との60パーセント又はそれより大きい一致度である場合に当該ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定している。当該プロセスが、先に図4のブロック370での次の動作状態へ移行するべきかどうかを判定するのに利用された3秒ウィンドーの各々について繰り返される。先の確定されている3秒ウィンドーの各々について律動は単形性VTであると判定されれば、装置は律動が単形性VTであると判定し、ブロック852でYesとなる。
他方、ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致しなければ、装置は、律動が当該感知ウィンドーについて単形性ではないと判定する。感知チャネルECG1及びECG2の両方についての3秒ウィンドーの何れかが単形性であると判定されないなら、律動は単形性VTであるとは判定されず、即ちブロック852でNoとなり、而して多形性VT/VFの可能性がある。結果として、律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック854、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。活性状態306にある間の装置の動作は、ここに参考文献としてその全体が援用されているスタッドラーらへの米国特許第7,894,894号に記載されている。
先に図4のブロック370での次の動作状態へ移行するべきかどうかを判定するのに使用された感知チャネルECG1及びECG2の両方の3秒ウィンドーが単形性VTであると判定されると、即ちブロック852でYesの場合、装置は、非関与状態304から関与状態への移行を3秒の間遅延させる、ブロック856。この動作状態移行遅延のブロック806中に、装置は、図4のブロック342−370からの、感知チャネルECG1及びECG2はショック可能であるかショック可能でないかの次の判定が、先に関与状態304から活性状態306へ移行するべきかどうかの判定のブロック370で使用された3秒ウィンドーに後続する感知チャネルECG1及びECG2からの次の2つの同時に起こる3秒ウィンドーを使用して遂行されるのを待つ。
装置は、新たに確定されている3秒ウィンドーを、以上に説明されている様に、新たに同時に確定されている3秒ウィンドーECG1及びECG2内の選択されたR波をウィンドー内の他のR波の形態と比較することによって解析し、ブロック858、2つの同時に感知されているウィンドーの各々について3秒ウィンドーが単形性心室頻拍と関連付けられるかどうかを判定する、ブロック860。
ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致すれば、拍動を内包する3秒ウィンドーについての律動は単形性VTであると判定される。他方、ウィンドー内の既定数の拍動が選択された拍動の形態と一致しなければ、拍動を内包する3秒ウィンドーについての律動は単形性VTではないと判定される。同時に起こる3秒感知ウィンドーECG1及びECG2のうちの一方又は両方が単形性VTではないと判定されれば、装置は律動がもはや単形性VTではないと判定し、即ちブロック860でNoとなる。次いで律動が心室細動であるかどうかに関し判定がなされる、ブロック864。
或る実施形態によれば、装置は、ブロック864での律動が心室細動であるかどうかを、律動と関連付けられる拍数が例えば毎分240拍動より大きいかどうかという様な、装置のプログラムされている頻拍閾値を使用して判定している。別の実施形態によれば、装置は、ブロック864での律動が心室細動であるかどうかを、律動が確立された単形性心室頻拍の先の拍数から例えば毎分30拍動の様な既定の拍数で増加したかどうかを確定することによって判定している。判定された律動が心室細動であるとされれば、即ちブロック864でYesの場合、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。律動は心室細動であると判定されなければ、即ちブロック864でNoの場合、装置は、以上に説明されているブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する、ブロック866。
同時に起こる3秒感知ウィンドーECG1及びECG2の両方が単形性VTであると判定されれば、装置は律動がそれらの3秒ウィンドーについて引き続き単形性VTであると判定する、即ちブロック860でYesとなる。次いで、総遅延期間が終了したかどうかに関し、タイマーが満了したかどうかを判定することによって判定がなされる、ブロック862。例えば、動作状態移行遅延のブロック373が次の2つの同時に確定されている3秒ウィンドーについて遂行されようとするなら、総遅延は6秒ということになる。而して、動作状態移行遅延の開始から6秒が満了していなければ、即ちブロック862でNoの場合、それは図4のブロック342−370でのショック可能かショック可能でないかの判定が2つの感知チャネルEGC1及びEGC2での最初の2つの同時感知についてしか判定されていないことを意味するものであるので、装置は、図4のブロック342−370でのショック可能かショック可能でないかの判定が2つの感知チャネルECG1及びECG2での後続の2つの同時感知について完了されるのを待ち、その結果、遅延プロセスであるブロック858−866が次の確定されている3秒ウィンドーについて繰り返される。
律動が2つの感知チャネルECG1及びECG2と関連付けられる後続の同時に確定されている3秒ウィンドーについてもはや単形性心室頻拍でなければ、即ちブロック860でNoの場合、ブロック864の律動は心室細動であるかどうかの判定が、後続の同時に確定されている3秒ウィンドーについて繰り返される。後続の律動が心室細動であると判定されれば、即ちブロック864でYesの場合、装置は、関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。後続の律動が心室細動であると判定されなければ、即ちブロック864でNoの場合、装置は以上に説明されているブロック372での非関与状態302へ戻り移るべきかどうかを判定する、ブロック866。
動作状態移行遅延の開始から6秒が満了していたなら、即ちブロック862でYesの場合、それは図4のブロック342−370でのショック可能かショック可能でないかの判定が2つの感知チャネルEGC1及びEGC2に対応している2つの連続する同時に感知されているウィンドーについて判定されてしまっていることを意味し、しかも後続の感知されている3秒ウィンドーで単形性でないと判定されているものは皆無で、全遅延期間に亘って律動は引き続き単形性であることが示唆されているので、装置は律動が引き続き単形性VTであると判定し、而して律動確証解析は打ち切られ、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック854、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。
図13は、本発明の或る実施形態による、装置は動作状態間で移行するべきかどうかを判定するための方法の流れ図である。図13は図8に似ているが、但し、ブロック802での律動が単形性心室頻拍であるかどうかに関しての判定中に、律動が単形性であると判定されれば、即ちブロック802でYesの場合、装置はブロック803での単形性心室頻拍の拍数が既定の拍数閾値より大きいかどうかを判定する、ということを除く。1つの実施形態によれば、ブロック803の既定の拍数閾値は、例えば毎分240乃至300拍動へ設定されていてもよい。
単形性心室頻拍の拍数が既定の拍数閾値より大きければ、即ちブロック803でYesの場合、装置は関与状態304から活性状態306へ移行し、ブロック804、単数又は複数のコンデンサの充電が開始される。単形性心室頻拍の拍数が既定の拍数閾値より大きくなければ、即ちブロック803でNoの場合、装置は以上に説明されている様に非関与状態304から関与状態へ移行する段階を遅延させる、ブロック806。
以上、心臓事象を鑑別するための方法及び機器をこれまでの説明の中で特定の実施形態を参照しながら提示してきた。参照されている実施形態に対する様々な修正が、付随の特許請求の範囲に示されている本開示の範囲から逸脱することなくなされ得るものと理解している。