説明を簡潔かつ明瞭にするために、図中の要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解されたい。例えば、明確にするために、いくつかの要素の寸法が他の要素に比べて誇張されていることがある。さらに、適切であると考えられる場合には、対応する要素または類似の要素を示すために、図面間で符号が繰り返して用いられることもある。
以下の詳細な説明においては、本発明を完全に理解できるように、多数の具体的詳細について説明する。しかし、これらの具体的詳細がなくとも本発明を実施することができることは、当業者に理解されるであろう。他の例では、本発明を分かりにくくしないように、公知の方法、手順及び成分については詳細に説明していない。
例はこの点に関して限定されるものではないが、「複数の」及び「複数」なる語は、本明細書において、例えば、「多数の」や「2つ以上の」を含み得る。「複数の」及び「複数」なる語は、本明細書を通して、2つ以上の成分、要素、装置、パラメータなどを説明するために用いられ得る。明示的に述べられていない限り、本明細書に記載の方法例は、特定の順序や配列に制約されるものではない。さらに、本明細書に記載の方法例または要素のいくつかを同一時点で用いたり行ったりすることができる。
定義
「抗体」なる語は、本明細書において、抗体全体及び任意の抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部分」または「抗原結合ドメイン」)またはその一本鎖を含む。「抗体」とは、ジスルフィド結合によって相互に結合された少なくとも2つの重鎖(H鎖)及び2つの軽鎖(L鎖)を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書における略称はVH)及び重鎖定常領域(本明細書における略称はCH)で構成されている。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書における略称はVL)及び軽鎖定常領域(本明細書における略称はCL)で構成されている。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に細分することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在している。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順番で並んでいる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクタ細胞)及び古典的補体系の第1のコンポーネントを含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。
「エピトープ」なる語は、本明細書において、抗体に特異的に結合することができるタンパク質決定因子を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸や糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群からなりかつ、通常、特異的な3次元構造特性及び特異的な電荷特性を有する。立体構造及び非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下において、後者ではなく前者との結合が失われることで区別される。
「不連続エピトープ」なる語は、本明細書において、タンパク質の一次配列における少なくとも2つの別々の領域から形成されるタンパク質抗原上の立体構造エピトープを意味する。
「単離された抗体」なる語は、本明細書において、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的に含まれない抗体を指すものとする(例えば、FZD7の細胞質ドメインにおけるアミノ酸残基に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原に特異的に結合する抗体が実質的に含まれない)。しかし、ヒトFrizzled受容体のエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、他の関連する抗原、例えば他の種に由来するもの(例えば、Frizzled種相同体)に対する交差反応性を有し得る。単離された抗体は、尚も特異的なままである他の抗原との交差反応性を有する、すなわち、特定のエピトープにのみ結合することができる。交差反応性について言えば、このエピトープは、2つ以上のタンパク質または抗原上に存在し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質及び/または化学物質が実質的に含まれなくてもよい。
「モノクローナル抗体」なる語は、本明細書において、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を示す。
「対象」なる語は、本明細書において、任意のヒト及び非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」なる語は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳類及び非哺乳類、例えば、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。
本発明の好適実施形態をさらに十分に説明するために、以下の例を示す。しかし、これらの例は、決して本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明は、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体(FZD)に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合ドメインを提供する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合ドメインは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のFrizzled受容体に特異的に結合する。ヒトFrizzled受容体または抗体に結合された受容体は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9及びFZD10からなる群から選択されたものであってよい。特定の実施形態では、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及び/またはFZD8を含む。特定の実施形態では、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体はFZD7を含む。特定の実施形態では、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体は、FZD7、FZD5及び/またはFZD8を含む。特定の実施形態では、抗体はFZD7に特異的に結合する。他の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD1の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD2の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD3の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD4の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD5の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD6の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD8の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD9の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7及びFZD10の両方に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体はFZD7、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8に特異的に結合する。ヒトFZD1〜10のための完全長アミノ酸(AA)配列は、当分野で既知であり、本明細書においては、配列番号5(FZD1 AA)、配列番号6(FZD2 AA)、配列番号7(FZD3 AA)、配列番号8(FZD4 AA)、配列番号9(FZD5 AA)、配列番号10(FZD6 AA)、配列番号11(FZD7 AA)、配列番号12(FZD8 AA)、配列番号13(FZD9 AA)及び配列番号14(FZD10 AA)として提供される。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分は、ヒトFZD7に特異的に結合する。他の実施形態では、当該抗体はさらに、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体に特異的に結合するかまたは該受容体と交差反応することができる。特定の実施形態では、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体は、FZD2、FZD5及びFZD8からなる群から選択される。特定の実施形態では、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体は、FZD1、FZD2、FZD5及びFZD8からなる群から選択される。特定の実施形態では、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体は、FZD1、FZD2、FZD5及びFZD8からなる群から選択される。特定の実施形態では、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体は、FZD1、FZD2、FZD5及びFZD8からなる群から選択される。特定の実施形態では、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体は、FZD5及びFZD8の両方を含む。特定の実施形態では、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体は、FZD1、FZD2、FZD5及びFZD8からなる群から選択される。
特定の実施形態では、抗体は3つ以上のヒトFrizzled受容体に特異的に結合する。特定の実施形態では、3つ以上のヒトFrizzled受容体は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8からなる群から選択される3つ以上のFrizzled受容体を含む。特定の実施形態では、抗体はさらに、1若しくは複数の追加のヒトFrizzled受容体に特異的に結合する。
特定の実施形態では、抗体は、該抗体が結合する1若しくは複数のヒトFrizzled受容体内の細胞外ドメインに特異的に結合する。各ヒトFrizzled受容体の細胞外ドメインの配列は、当分野で既知である。
特定の実施形態では、抗体は、該抗体が結合するヒトFrizzled受容体内のFRIドメイン(FRI)(システインリッチドメイン(CRD)としても知られている)に特異的に結合する。各ヒトFrizzled受容体のFRIドメインの配列は、当分野で既知である。
特定の実施形態では、抗体は、ヒトfrizzled7受容体内のFRIドメイン(FRI)(システインリッチドメイン(CRD))に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2のアミノ酸(AA)の全てに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2のアミノ酸(AA)の一部に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも5つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも4つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも5つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも6つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも7つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも8つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも9つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも10個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも11個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも12個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも13個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。
特定の実施形態では、抗体は、ヒトfrizzled2受容体内のFRIドメイン(FRI)(システインリッチドメイン(CRD))に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled7のFRIドメイン内の配列番号2に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2のアミノ酸(AA)の全てに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2のアミノ酸(AA)の一部に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも5つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも4つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも5つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも6つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも7つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも8つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも9つの連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも10個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも11個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも12個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、Frizzled2のFRIドメイン内の配列番号2の少なくとも13個の連続または非連続アミノ酸(AA)に特異的に結合する。
特定の実施形態では、抗体はヒトFrizzled受容体の膜貫通部分に特異的に結合する。各ヒトFrizzled受容体の膜貫通部分の配列は当分野で既知である。
特定の実施形態では、抗体はヒトFrizzled受容体の細胞質部分に特異的に結合する。各ヒトFrizzled受容体の細胞質部分の配列は当分野で既知である。
特定の実施形態では、抗体はヒトFrizzled受容体の一部に特異的に結合し、この部分は、膜貫通部及び細胞質部の両方からなる。
特定の実施形態では、抗体はヒトfrizzled7受容体の膜貫通部分に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、この膜貫通部分内の配列番号1の全部または一部に結合する。
特定の実施形態では、抗体はヒトfrizzled7受容体の細胞質部分に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、この細胞質部分内の配列番号1の全部または一部に結合する。
特定の実施形態では、抗体はヒトfrizzled7受容体の一部に特異的に結合し、この部分は、膜貫通部及び細胞質部の両方からなる。特定の実施形態では、抗体は、この部分内の配列番号1の全部または一部に結合する。
特定の実施形態では、本明細書に記載のFZD結合抗体の個々の抗原結合部位は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ以上のヒトFrizzled受容体に結合することができる。特定の実施形態では、FZD結合抗体の個々の抗原結合部位は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトFrizzled受容体に特異的に結合することができる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、1若しくは複数(例えば、2つ以上、3つ以上、または4つ以上)のヒトFrizzled受容体に対して、約1000nM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、または約10nM以下の解離定数(KQ)を以って結合する。例えば、特定の実施形態では、2つ以上のFZD受容体に結合する本明細書に記載のFZD結合抗体は、これらのFZD受容体に対して、約100nM以下、約20nM以下、または約10nM以下のKDを以って結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)の各FZDに対して、約40nM以下の解離定数を以って結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8のうちの1つ以上の各FZDに対して、約10nM以下の解離定数を以って結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8のうちの1つ以上の各FZDに対して、約10nM以下の解離定数を以って結合する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体に対して、約1000nM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、または約1nM以下のEC50を以って結合する。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載の、2つ以上のFZDに結合するFZD結合抗体は、それらのFZDに関して、約40nM未満、約20nM未満、または約10nM未満のEC50を有する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、次のFZD:FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)に関して約20nM未満のEC50を有する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、次のFZD:FZD1、FZD2、FZD5、FZD7及びFZD8のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)に関して約10nM未満のEC50を有する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトfrizzled7受容体内の配列RFYHRLSHSSKGETAV(配列番号1)に特異的に結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体内の配列RFYHRLSHSSKGETAV(配列番号1)の少なくとも5つのアミノ酸を含む配列に特異的に結合する。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続である。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続ではない。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸RFYHRである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸FYHRLである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸YHRLSである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸HRLSHである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸RLSHSである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸LSHSSである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸SHSSKである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸HSSKGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸SSKGEである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸SKGETである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸KGETAである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GETAVである。一実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−1によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−2によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−5によって産生される抗体であってよい。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD7における配列RFYHRLSHSSKGETAV(配列番号1)に対応するFZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD8、FZD9及び/またはFZD10における配列の少なくとも一部に結合する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体2または7内の配列QEDAGLEVHQFYPL(配列番号2)に特異的に結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体内の配列QEDAGLEVHQFYPL(配列番号2)の少なくとも5つのアミノ酸を含む配列に特異的に結合する。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続である。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続ではない。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸QEDAGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸EDAGLである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸DAGLEである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸AGLEVである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GLEVHである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸LEVHQである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸EVHQFである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸VHQFYである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸HQFYPである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸QFYPLである。一実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−4によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−5によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD抗体は、ハイブリドーマ細胞株#4によって産生される抗体であってよい。
特定の実施形態では、抗体は、FZD2またはFZD7における配列QEDAGLEVHQFYPL(配列番号2)に対応するFZD1、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD8、FZD9及び/またはFZD10における配列の少なくとも一部に結合する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体7内の配列PGASDGRGRPAFPFS(配列番号3)に特異的に結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体内の配列PGASDGRGRPAFPFS(配列番号3)の少なくとも5つのアミノ酸を含む配列に特異的に結合する。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続である。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続ではない。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸PGASDである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GASDGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸ASDGRである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸SDGRGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸DGRGRである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GRGRPである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸RGRPAである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GRPAFである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸RPAFPである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸PAFPFである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸AFPFSである。
特定の実施形態では、抗体は、FZD7における配列PGASDGRGRPAFPFS(配列番号3)に対応するFZD1、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD8、FZD9及び/またはFZD10における配列の少なくとも一部に結合する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体7内の配列DGSGGPGGGPTAYPTA(配列番号4)に特異的に結合する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体内の配列DGSGGPGGGPTAYPTA(配列番号4)の少なくとも5つのアミノ酸を含む配列に特異的に結合する。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続である。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続ではない。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸DGSGGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GSGGPである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸SGGPGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GGPGGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GPGGGである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸PGGGPである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GGGPTである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GGPTAである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸GPTAYである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸PTAYPである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸TAYPTである。特定の実施形態では、これら5つのアミノ酸は連続アミノ酸AYPTAである。一実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−6によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−12によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−18によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD結合抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−3によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、FZD抗体は、ハイブリドーマ細胞株#13によって産生される抗体であってよい。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD7における配列DGSGGPGGGPTAYPTA(配列番号4)に対応するFZD1、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD8、FZD9及び/またはFZD10における配列の少なくとも一部に結合する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD受容体の一部(例えば、FZDのBBS)へのリガンド(例えばWnt)の結合を阻害する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、FZD受容体の一部(例えば細胞質部分)へのシグナル伝達分子(例えば細胞内タンパク質であるdishevelled(Dvl))の結合を阻害する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgG1抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgG2抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgG3抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgG4抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgA抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgD抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgE抗体である。特定の実施形態では、FZD結合抗体はIgM抗体である。特定の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。特定の実施形態では、抗体はヒト抗体またはヒト化抗体である。特定の実施形態では、抗体は、キメラ型抗体またはキメラ型/ヒト化抗体である。特定の実施形態では、抗体は抗体フラグメントである。
当分野で既知の任意の方法によって、本発明の抗体の特異的結合を測定することができる。使用可能な免疫アッセイは、種々の技術を用いる競合及び非競合アッセイシステム、例えば、ビアコア(BIAcore)分析、FACS分析、免疫蛍光抗体法、免疫細胞化学、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定アッセイ、蛍光免疫測定アッセイ及びタンパク質A免疫アッセイを含むが、これらに限定されるものではない。そのようなアッセイは、ありふれたものであり、かつ当分野で公知である。
例えば、ELISAを用いてヒトFrizzled受容体に対する抗体の特異的結合を測定することができる。
ELISAアッセイは、抗原を調製するステップと、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングするステップと、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ)などの検出可能な化合物に接合されたFZD結合抗体をウェルに加えるステップと、所定の時間にわたってインキュベーションするステップと、抗原の存在を検出するステップとを含む。いくつかの実施形態では、FZD結合抗体は検出可能な化合物に結合されないが、代わりに、FZD結合抗体を認識する二次抗体標識物がウェルに加えられる。いくつかの実施形態では、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、ウェルにFZD結合抗体をコーティングし、かつコーティングされたウェルに抗原を加えた後に検出可能な化合物に接合された二次抗体を加えることができる。当業者は、当分野で既知のELISAの他のバリエーション及び検出されるシグナルを増加させるために変更可能なパラメータに関する知識が豊富であろう。
ヒトFrizzled受容体に対する抗体の結合親和性及び抗体抗原相互作用の解離速度定数(off-rate)は、競合結合アッセイによって決定することができる。競合結合アッセイの一例は、ラジオイムノアッセイであって、量を増加させた未標識抗原の存在下において、標識抗原(例えば3Hまたは125I)あるいはそのフラグメントまたは変異体を目的抗体とインキュベーションした後に、標識抗原に結合させた抗体を検出するステップを含むアッセイである。Frizzled受容体に対する抗体の親和性及び結合解離速度定数は、スキャッチャードプロット分析によってデータから決定することができる。いくつかの実施形態では、ビアコアカイネティクス分析は、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体に結合する抗体の結合及び離速度定数を決定するために用いられる。ビアコアカイネティクス分析は、表面上に免疫化FZD抗原を有するチップとの抗体の結合及び解離を分析するステップを含む。
特定の実施形態では、抗体は、抗体に結合される少なくとも1つのヒトFrizzled受容体(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のFZD)のアンタゴニストである。特定の実施形態では、抗体は、結合されるヒトFrizzled受容体の1若しくは複数の活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%を阻害する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、少なくとも1つのヒトFrizzled受容体へのリガンドの結合を阻害する。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、ヒトFrizzled受容体の生物学的結合部位(BBS)へのリガンドの結合を阻害する。特定の実施形態では、リガンドはヒトWntタンパク質である。特定の実施形態では、FZD結合抗体によって提供される特定のヒトfrizzledタンパク質への特定のリガンドの結合の阻害は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。特定の実施形態では、FZDへのWntなどのリガンドの結合を阻害する抗体は、さらにWntシグナル伝達を阻害する(例えば、古典的Wntシグナル伝達を阻害する)。
特定の実施形態では、FZD結合抗体はWntシグナル伝達を阻害する。当然のことながら、Wntシグナル伝達を阻害するFZD結合抗体は、特定の実施形態では、1若しくは複数のWntによるシグナル伝達を阻害することができるが、必ずしも全てのWntによるものである必要はない。特定の別の実施形態では、全てのヒトWntによるシグナル伝達が阻害され得る。特定の実施形態では、WNT1、WNT2、WNT2B/13、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A(以前はWNT14)、WNT9B(以前はWNT15)、WNT10A、WNT10B、WNT11及びWNT16からなる群から選択される1若しくは複数のWntによるシグナル伝達が阻害される。特定の実施形態では、阻害されるWntシグナル伝達は、WNT1、WNT2、WNT3、WNT3A、WNT7a、WNT7b及び/またはWNT10Bによるシグナル伝達である。特定の実施形態では、抗体は、(少なくとも)WNT1、WNT3A、WNT7b及びWNT10Bによるシグナル伝達を阻害する。特定の実施形態では、抗体は、(少なくとも)WNT3Aによるシグナル伝達を阻害する。特定の実施形態では、FZD結合抗体によって提供されるWntによるシグナル伝達の阻害は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のWntによるシグナル伝達のレベルの低下である。特定の実施形態では、阻害されるWntシグナル伝達は古典的Wntシグナル伝達である。特定の実施形態では、阻害されるWntシグナル伝達は非古典的Wntシグナル伝達である。
FZD結合抗体がWntシグナル伝達を阻害するか否かを判定するためのインビボ及びインビトロアッセイは当分野で既知である。例えば、インビトロで古典的Wntシグナル伝達レベルを測定するために、ホタルルシフェラーゼレポータ遺伝子の上流においてTCF結合ドメインの複数のコピーを含むTCF/Lucレポータベクターを利用する細胞ベースのルシフェラーゼレポータアッセイを用いることができる。1若しくは複数のWntの存在下においてFZD結合抗体が存在する場合のWntシグナル伝達のレベルを、FZD結合抗体が存在しない場合のシグナル伝達のレベルと比較する。TCF/lucレポータアッセイに加えて、抗体がβカテニン(図6に示すようなもの)またはc−mycなどのβカテニン調節遺伝子の発現のレベルに与える影響を測定することによって、FZD結合抗体が古典的Wntシグナル伝達に与える影響をインビトロまたはインビボで測定することができる。
特定の実施形態では、抗体がDishevelled−1、Dishevelled−2、Dishevelled−3、LRP5、LRP6及び/またはβカテニンのリン酸化状態に与える影響を測定することによって、抗体がWntシグナル伝達に与える影響を評価することもできる。さらに別の実施形態では、Wntシグネチャにおける1若しくは複数の遺伝子の発現レベルに及ぼすFZD結合抗体の影響を評価することによって、FZD結合抗体がWntシグナル伝達に与える影響を測定する。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、次の効果、すなわち、腫瘍細胞の増殖を阻害する、腫瘍における癌幹細胞の頻度を低下させることによって腫瘍の腫瘍形成能を低下させる、腫瘍増殖を抑制する、生存率を上昇させる、腫瘍細胞の細胞死を引き起こす、発癌性細胞を非腫瘍形成状態に分化する、または腫瘍細胞の転移を防止する、のうちの1つ以上の効果がある。
特定の実施形態では、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体に特異的に結合する抗体は、毒素複合体、化学療法抗体、放射性同位元素、または他のそのような抗体を用いて細胞死を引き起こす。例えば、特定の実施形態では、ヒトfrizzled抗体に対する抗体は、タンパク質の内在化によってFZDを発現する腫瘍細胞内で活性化される毒素に接合される。特定の別の実施形態では、抗体は、毒素、化学療法抗体または放射性同位元素に接合されない。
別の実施形態では、本発明の抗体は、抗体「融合タンパク質」であり、本明細書においては「抗体複合体」と呼ばれることもある。融合パートナーまたは複合体パートナーは、タンパク質性または非タンパク質性であってよく、後者は通常、抗体上及び複合体パートナー上の官能基を用いて生成される。複合体及び融合パートナーは、小分子化合物及びポリペプチドを含む任意の分子であってよい。可能な複合体パートナーは、サイトカイン、細胞傷害性抗体、毒素、放射性同位元素、化学療法抗体、抗血管新生抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、及び他の治療的に活性な抗体を含むが、これらに限定されるものではない。融合または複合体としての抗体の指定は、それが本発明のいずれかの特定の実施形態に制約されることを意味するものではない。むしろ、これらの用語は、本発明の任意の抗体と、1若しくは複数のポリペプチドまたは分子とを、遺伝的、化学的、または別な方法で結び付けることによって、いくつかの望ましい特性を提供することができる、という広い概念を伝えるために用いられる。
適切な複合体には、例えば、細胞毒性薬(例えば化学療法抗体)または毒素または当該毒素の活性フラグメントを含む薬物及び細胞傷害性抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。細胞傷害性抗体には、抗体に放射性同位元素を接合させるかまたは抗体に共有結合させたキレート抗体に放射性核種を結合させることによって製造される放射性化学物質も含まれる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、腫瘍増殖を抑制することができる。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、インビボで(例えば、異種移植片マウスモデルにおいて、及び/または癌に罹ったヒトにおいて)腫瘍増殖を抑制することができる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、腫瘍の腫瘍原性を低下させることができる。特定の実施形態では、抗体または抗体は、マウス異種移植片モデルなどの動物モデルにおいて、癌幹細胞を含む腫瘍の腫瘍原性を低下させることができる。特定の実施形態では、腫瘍における癌幹細胞の数または頻度は、少なくとも約2分の1、約3分の1、約5分の1、約10分の1、約50分の1、約100分の1、または約1000分の1に低下させられる。特定の実施形態では、増殖する癌細胞の数または頻度の低下は、腫瘍細胞増殖アッセイによって決定される。抗FZD抗体の有効性を検証するために用いられる増殖阻害アッセイ(MTS)の例を以下の例2に示す。特定の実施形態では、増殖する癌細胞の数または頻度の低下は、腫瘍細胞生存率アッセイによって決定される。抗FZD抗体の有効性を検証するために用いられる細胞生存率アッセイ(トリパンブルー)の例を以下の例3に示す。特定の実施形態では、増殖する癌細胞の数または頻度の低下は、腫瘍細胞アポトーシスアッセイによって決定される。抗FZD抗体の有効性を検証するために用いられるアポトーシスアッセイ(アネキシンV染色)の例を以下の例4に示す。
特定の実施形態では、ヒトFrizzled受容体に対する抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)によってFZDタンパク質を発現する細胞の細胞死を仲介する。ADCCは、抗体のFc部分を認識するエフェクタ細胞による細胞溶解を含む。多くのリンパ球、単球、組織マクロファージ、顆粒球及び好酸球。
特定の実施形態では、1若しくは複数のFZDに対する抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)を活性化させることによって、FZDタンパク質を発現する細胞の細胞死を引き起こす。
1若しくは複数のFZDに対する任意の特定の抗体が補体活性化及び/またはADCCによる標的細胞の溶解を仲介する能力を測定することができる。目的細胞をインビトロで成長させて標識し、細胞培養に対して、抗原抗体複合体によって活性化することができる血清補体または免疫細胞のいずれかと組み合わせて、抗体を加える。例えば溶解した細胞からの標識の放出によって、標的細胞の細胞崩壊が検出される。実際に、患者の自己血清を補体及び/または免疫細胞の源として用いて、抗体をスクリーニングすることができる。インビトロ検査において補体を活性化させるかまたはADCCを仲介することができる抗体を、その後、当該特定の患者において治療に用いることができる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体の血中半減期は、マウス、カニクイザルまたはヒトにおいて、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、または少なくとも約2週間である。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、その血中半減期が、マウス、カニクイザルまたはヒトにおいて、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、または少なくとも約2週間であるようなIgG抗体である。ポリペプチド及び抗体などの抗体の半減期を長くする方法は当分野で既知である。例えば、IgG抗体の血中半減期を長くする既知の方法は、pH6.0において新生児Fc受容体(FcRn)に対する抗体のpH依存結合を増加させるFc領域における突然変異の導入を含む。Fc領域を欠いた抗体フラグメントの血中半減期を長くする既知の方法は、ペグ化などの技術を含む。
ポリクローナル抗体は、任意の既知の方法によって創製することができる。ポリクローナル抗体は、関連抗原(精製されたペプチドフラグメント、完全長組換えタンパク質、融合タンパク質など)を皮下または腹腔内に複数回注射することによって動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、ロバなど)を免疫化することによって産生され、ここで、関連抗原は、任意でキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミンなどに接合させ、滅菌生理食塩水で希釈し、アジュバント(例えば、完全または不完全フロイントアジュバント)と組み合わせることによって安定なエマルジョンを形成したものである。ポリクローナル抗体はその後、そのようにして免疫化された動物の流血、腹水などから回収される。採取した血液を凝固させ、血清を別の容器に静かに移し、遠心分離により清澄化し、抗体力価を測定する。アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などを含む当分野における標準的な方法に従って、血清または腹水からポリクローナル抗体を精製することができる。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を用いて創製することができる。ハイブリドーマ法を用いて、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を上述の如く免疫化することによって、免疫抗原に特異的に結合することになる抗体のリンパ球による産生が誘発される。リンパ球は、インビトロで免疫付与することもできる。免疫付与に続いて、リンパ球を単離し、例えばポリエチレングリコールを用いて適切な骨髄腫細胞株と融合させることによって、ハイブリドーマ細胞を形成することができ、それをその後、融合されていないリンパ球及び骨髄腫細胞から選択して取り去ることができる。その後、免疫沈降、イムノブロッティング、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA))によって決定されるような選択された抗原に特異的に向けられるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、標準的な方法を用いたインビトロ培養または動物の腹水腫瘍などインビボのいずれかで増殖させることができる。その後、上記のポリクローナル抗体に関して説明したように腹水または培養培地からモノクローナル抗体を精製することができる。
あるいは、組換えDNA法を用いてモノクローナル抗体を作製することもできる。成熟したB細胞またはハイブリドーマ細胞から、例えばRT−PCRによって、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマを用いて、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを単離し、従来の手順を用いてポリヌクレオチド配列を決定する。その後、重鎖及び軽鎖をする単離されたポリヌクレオチドをクローニングして適切な発現ベクターに挿入し、それが宿主細胞、例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞であって免疫グロブリンタンパク質をそうでなければ産生しない細胞内にトランスフェクトされたとき、宿主細胞によってモノクローナル抗体が作製される。また、上記したような所望の種のCDRを発現するファージディスプレイライブラリから、所望の種の組換えモノクローナル抗体またはそのフラグメントを単離することができる。
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、組換えDNA技術を用いて多くの異なる方法でさらに修飾することにより、別の抗体を作製することができる。いくつかの実施形態では、例えばマウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインを、1)例えばヒト抗体の同領域の代わりに用いてキメラ型抗体を作製するか、または2)非免疫グロブリンポリペプチドの代わりに用いて融合抗体を作製することができる。いくつかの実施形態では、定常領域を切断するかまたは除去することにより、モノクローナル抗体の所望の抗体フラグメントを作製する。可変領域の部位特異的または高密度突然変異誘発を用いて、モノクローナル抗体の特異性、親和性などを最適化することができる。
いくつかの実施形態では、ヒトFrizzled受容体に対するモノクローナル抗体は、ヒト化抗体である。特定の実施形態では、そのような抗体は、ヒト対象に投与されたときに、抗原性及びHAMA(ヒト抗マウス抗体)反応を低下させるために治療的に用いられる。当分野で既知の様々な技術を用いて、ヒト化抗体を産生することができる。一般的なヒト化抗体産生方法は、(齧歯類宿主を免疫することによって産生される)MAbから得られるCDR配列をヒトIgバックボーンに移植すること及び、キメラ遺伝子をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内に導入すること(トランスフェクション)であり、後者は、CHO細胞から分泌される機能的抗体を産生する。本明細書に記載の方法はまた、Ig遺伝子、または宿主細胞内にトランスフェクトされたキメラIg内で遺伝子変化を生じさせるのに有用である。ヒト化抗体は、免疫付与時に内因性免疫グロブリン産生がなくてもヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスにおいても作製することができる。
特定の別の実施形態では、ヒトFrizzled受容体に対する抗体は、ヒト抗体である。
ヒト抗体は、当分野で既知の様々な技術を用いて直接創製することができる。標的抗原に対する抗体を産生する免疫化された個体から単離されるかまたはインビトロで免疫化された不死化ヒトBリンパ球を生成することができる。また、ヒト抗体を発現するファージライブラリからヒト抗体を選択することもできる。
本発明はまた、ヒトFrizzled受容体を特異的に認識する二重特異性抗体を含む。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープを特異的に認識しかつ結合することができる抗体である。二重特異性抗体が、ヒトFrizzled受容体と、例えば、1)白血球上のエフェクタ分子、例えば、T細胞受容体(例えばCD3)またはFc受容体(例えば、CD64、CD32またはCD16)あるいは2)以下で詳細に説明する細胞傷害性抗体とを特異的に認識しかつ結合することができるように、少なくとも2つの異なるエピトープは、同じ分子(例えば同じヒトFrizzled受容体)内にも異なる分子上にも存在し得る。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、少なくとも1つのヒトFrizzled受容体、及びVEGF、Notchリガンド、例えば、delta−likeリガンド(例えばDLL4)やjaggedリガンド、またはNotch1、Notch2、Notch3及びNotch4からなる群から選択される少なくとも1つのNotch受容体のいずれかに特異的に結合する。二重特異性抗体は、インタクト抗体または抗体フラグメントであってよい。
例示的な二重特異性抗体は、2つの異なるエピトープに結合することができ、そのうちの少なくとも一方は本発明のポリペプチドに由来する。あるいは、免疫グロブリン分子の抗抗原性アームは、特定の抗原を発現する細胞に細胞防御機構を集中させるために、IgGのためのFc受容体、またはT細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28またはB7)などの白血球上のトリガリング分子に結合するアームと組み合わせることができる。特定の抗原を発現する細胞に細胞傷害性抗体を向けるために二重特異性抗体を用いることもできる。これらの抗体は、抗原結合アームと、細胞傷害性抗体または放射性核種キレート剤、例えば、EOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAに結合するアームとを持っている。二重特異性抗体を作製するための技術は、当分野で一般的である。3つ以上の原子価を有する抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を創製することができる。このように、特定の実施形態では、ヒトFrizzled受容体に対する抗体は多重特異性である。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、単一特異性抗体であってよい。例えば、特定の実施形態では、抗体に含まれる1若しくは複数の抗原結合部位の各々は、同じ1若しくは複数のヒトFZD受容体(例えば、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7またはFZD8、あるいはいくつかのFZDの組合せ上の相同エピトープ)に結合することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の単一特異性抗体の抗原結合部位は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ(またはそれ以上)のヒトFrizzled受容体に結合することができる。
本発明によれば、種々の技術を、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体に特異的な一本鎖抗体の産生に適応させることができる。さらに、種々の方法を、Fab発現ライブラリの構築に適応させることにより、FZD受容体、あるいはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体に対する望ましい特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効率的な同定を可能にすることができる。種々の技術によって抗体フラグメントを産生することができ、そのようなフラグメントには、(a)抗体分子のペプシン消化によって作製されるF(ab’)2フラグメント、(b)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を減少させることによって作製されるFabフラグメント、(c)還元抗体及びパパインでの抗体分子の処理によって作製されるFabフラグメント、及び(d)Fvフラグメントが含まれるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態では、抗体フラグメントの場合には特に、抗体を、その血中半減期を短縮させるように修飾することがさらに望ましい場合がある。これは、例えば、サルベージ受容体結合エピトープを、抗体フラグメントにおける適切な領域の突然変異による抗体フラグメントに組み込むことによって、または当該エピトープを、(例えば、DNA合成またはペプチド合成によって)その後いずれかの端部または中央において抗体フラグメントに融合されるペプチドタグに組み込むことによって達成することができる。
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲に含まれる。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合された抗体からなる。ヘテロコンジュゲート抗体は、例えば、免疫細胞に望ましくない細胞を狙い撃ちさせるために提案されてきた。抗体は、抗体の架橋を含む合成タンパク質化学における既知の方法を用いて、インビトロで創製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することによって、抗毒素を構築することができる。
本発明の種々の目的のために、修飾された抗体は、抗体とヒトFZD受容体のポリペプチドとを会合させる任意の種類の可変領域を含むことができることを理解されたい。この点で、可変領域は、体液性応答反応を開始し、望ましい腫瘍関連抗原に対する免疫グロブリンを作製するために、誘発され得る如何なる種類の哺乳類を含むものであっても当該哺乳類に由来するものであってもよい。したがって、修飾された抗体の可変領域は、例えば、ヒト、ネズミ、ヒト以外の霊長類(例えば、カニクイザル、マカク属のサルなど)またはオオカミ起源のものであってよい。いくつかの実施形態では、修飾された免疫グロブリンの可変領域及び定常領域はともにヒトである。他の実施形態では、互換性のある抗体(通常は非ヒト源に由来する)の可変領域を、結合特性を向上させるかまたは分子の免疫原性を低下させるように操作するかまたは特異的に調整することができる。この点において、本発明において有用な可変領域を、ヒト化させるか、そうでなければ取り込まれたアミノ酸配列の包含によって変化させることができる。
特定の実施形態では、重鎖及び軽鎖における可変領域はともに、1若しくは複数のCDRの少なくとも部分的な置換によって、そして必要な場合には部分的なフレームワーク領域の置換及び配列の変更によって、変化させられる。CDRは、フレームワーク領域が生じる抗体と同じクラスの抗体またはサブクラスに由来し得るが、CDRが、異なるクラスの抗体から、好適には異なる種からの抗体から得られることが予想される。或る可変領域の抗原結合能を別の可変領域に転移させるためにCDRの全てをドナー可変領域からの完全CDRに置換することは必ずしも必須ではない。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するのに必要な残基を転移させることのみが必要であろう。
可変領域の変化にもかかわらず、本発明の修飾された抗体は、ネイティブすなわち不変の定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の抗体と比較して、腫瘍局在の増加や血中半減期の短縮などの望ましい生化学的特性を提供するように複数の定常領域ドメインのうちの1つ以上のドメインの少なくとも一部が削除または別な方法で変更された抗体(例えば、完全長抗体またはその免疫活性フラグメント)を含むことになることは、当業者に理解されるであろう。いくつかの実施形態では、修飾された抗体の定常領域はヒト定常領域を含むことになる。本発明と相性がよい定常領域の修飾は、1若しくは複数のドメインにおける1若しくは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換を含む。すなわち、本明細書に開示されている修飾された抗体は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2またはCH3)のうちの1つ以上及び/または軽鎖定常ドメイン(CL)の変更または修飾を含むことができる。いくつかの実施形態では、1若しくは複数のドメインが部分的または完全に削除された修飾された定常領域が考えられる。いくつかの実施形態では、修飾された抗体は、ドメインが削除された構築物(コンストラクト)またはCH2ドメイン全体が除去された変異体(ACH2構築物)を含むことになる。いくつかの実施形態では、除外された定常領域ドメインは、通常は定常領域によって与えられる分子のフレキシビリティの一部を提供する短いアミノ酸スペーサ(例えば10残基)に置換されることになる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体はエフェクタ機能を変化させ、そのことが、投与された抗体の生物学的プロファイルに影響を及ぼす。例えば、(点突然変異または他の手段による)定常領域ドメインの欠失または不活性化は、血中における修飾された抗体のFc受容体結合を減少させ、それによって腫瘍局在を増加させることができる。他の事例では、本発明に相応しい定常領域修飾が、補体結合を抑制し、したがって血中半減期を短縮させかつ細胞毒素複合体の非特異的会合を減少させることがある。定常領域のさらに別の修飾を用いて、抗原特異性または抗体の柔軟性の増加に起因する局在の強化を可能にするジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を取り除くことができる。同様に、本発明による定常領域の修飾は、十分に当業者の知識の範囲内にある公知の生化学または分子工学技術を用いて容易に行うことができる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体は、1若しくは複数のエフェクタ機能を有していない抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有しておらず、かつ/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有していない。特定の実施形態では、抗体はFc受容体及び/または補体因子に結合しない。特定の実施形態では、抗体はエフェクタ機能を有していない。
特定の実施形態では、修飾された抗体を、それぞれの修飾された抗体のヒンジ領域にCH3ドメインを直接融合させるように操作することができることに留意されたい。他の構築物では、ヒンジ領域と修飾されたCH2及び/またはCH3ドメインとの間にペプチドスペーサを提供することが望ましいであろう。例えば、CH2ドメインが削除され、残りのCH3ドメイン(修飾されたかまたは修飾されていない)が5−20アミノ酸スペーサによりヒンジ領域に結合されている場合、互換性のある構築物を発現させることができる。そのようなスペーサを追加することにより、例えば、定常ドメインの調節要素が何とも結合しておらずかつアクセス可能なままであることまたはヒンジ領域がフレキシブルなままであることを確実にすることができる。しかし、アミノ酸スペーサは、場合によっては、免疫原性であることが判明し、かつ構築物に対する望ましくない免疫応答を誘発することができることに留意されたい。したがって、特定の実施形態では、修飾された抗体の望ましい生化学的性質を維持するために、構築物に加えられるスペーサは、比較的非免疫原性のものであるか、または完全に除外されることにすらなる。
定常領域ドメイン全体の欠失の他に、数個または単一のアミノ酸の部分的欠失または置換によって本発明の抗体を提供することもできることを理解されたい。例えば、CH2ドメインの選択された領域の単一のアミノ酸の突然変異は、Fc結合を大幅に減少させ、それによって腫瘍局在を増加させるのに十分であり得る。同様に、1若しくは複数の定常領域ドメインにおける、調節されるエフェクタ機能(例えば、補体CLQ結合)を制御する部分を、単に削除することが望ましいであろう。そのような定常領域の部分的欠失は、対象定常領域ドメインに関連する他の望ましい機能を損なわないままで、抗体の選択された特性(血中半減期)を向上させることができる。さらに、上記で示唆したように、開示されている抗体の定常領域は、結果として得られる構築物のプロファイルを改善する1若しくは複数のアミノ酸の突然変異または置換により修飾することができる。この点において、修飾された抗体の構造及び免疫原性プロファイルを実質的に維持しながら、保存結合部位(例えばFc結合)によって与えられる活性を破壊することが可能であり得る。特定の実施形態は、エフェクタ機能の増減など望ましい特性を高めるため、またはより多くの細胞毒素または炭水化物の付着を提供するために、定常領域に1若しくは複数のアミノ酸を付加することを含むことができる。そのような実施形態では、選択された定常領域ドメインに由来する特異的配列を挿入するかまたは複製することが望ましい場合がある。
本発明はさらに、本明細書に記載の、キメラ型、ヒト化及びヒト抗体、またはその抗体フラグメントに実質的に相同な変異体及び等価物を含む。これらは、例えば、保存的置換突然変異、すなわち、1若しくは複数のアミノ酸を同様のアミノ酸に置換することを含むことができる。例えば、保存的置換は、或るアミノ酸を同じ一般的クラス内の別のアミノ酸に置換すること、例えば、或る酸性アミノ酸を別の酸性アミノ酸に置換すること、或る塩基性アミノ酸を別の塩基性アミノ酸に置換すること、または或る中性アミノ酸を別の中性アミノ酸に置換することを指す。保存的アミノ酸置換によって意図されることは、当分野で公知である。
本発明はまた、細胞傷害性抗体に接合させた抗体を含む免疫複合体に関連する。細胞傷害性抗体は、化学療法抗体、増殖阻害抗体、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそのフラグメント)、放射性同位元素(すなわち放射性複合体)などを含む。そのような免疫複合体の作製に有用な化学療法抗体は、例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入抗体を含む。使用可能な酵素的に活性な毒素及びそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、エクソトクシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、アブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII及びPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロトン、サポナリアオフィシナリス阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセン類を含む。212Bi、1311、131In、90Y及び186Reを含めて、放射性抗体標識物の産生には様々な放射性核種が利用可能である。抗体及び細胞傷害性抗体の複合体は、様々な二官能性タンパク質結合抗体、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの双方向機能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス−アジド化合物((ビス−(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン−2,6−ジイソシアネートなど)、及びビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)を用いて作製される。抗体及び1若しくは複数の小分子毒素の複合体、例えば、カリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコテセン及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体を用いることもできる。
コンジュゲート抗体は、2つの共有結合された抗体からなる。該抗体は、抗体の架橋を含む合成タンパク質化学における既知の方法を用いて、インビトロで創製することができると考えられる。例えば、抗毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することによって構築することができる。この目的の例は、イミノチオレート(iminothiolate)及びメチル−4−メルカプトブチルイミデート(methyl-4-mercaptobutyrimidate)を含む。
どれほど有用な量が得られるかに関係なく、本発明の抗体を多数のコンジュゲート型(すなわち免疫複合体)または非コンジュゲート型のうちのいずれか1つで用いることができる。あるいは、本発明の抗体を非コンジュゲート型または「naked」型で用いることもできる。特定の実施形態では、悪性細胞を取り除くために補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)を含む対象の自然の防御機構を活用するべく、抗体は非コンジュゲート型で用いられる。いくつかの実施形態では、数多くの公知のキレート剤または直接標識のうちの任意の1つを用いて、抗体を放射性同位元素、例えば、90Y、1251、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ga、166Ho、177Lu、186Re及び188Reに接合させることができる。他の実施形態では、開示されている組成物は、例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、及びリンホカイン(例えばインターフェロン)などの、薬物、プロドラッグまたは生物学的反応修飾物質に結合された抗体を含むことができる。本発明のさらに別の実施形態は、リシンまたはジフテリア毒素などの特定の生物毒素に接合された抗体の使用を含む。さらに別の実施形態では、修飾された抗体は、他の免疫学的活性リガンド(例えば、抗体またはそのフラグメント)との複合体を形成することができ、結果として得られる分子は、腫瘍細胞及びエフェクタ細胞(例えばT細胞)の両方に結合する。コンジュゲートまたは非コンジュゲート修飾抗体のどちらを用いるかの選択は、癌の種類及びステージ、補助治療(例えば化学療法や外部放射線療法)の使用、及び患者の病状によって決まる。そのような選択をすることは本明細書の教示を考慮すれば当業者にとって容易であることを理解されたい。
本発明の抗体は、ヒトFZD受容体に対する組換え抗体、天然抗体または合成抗体、あるいはそのフラグメントであってよい。当分野において、タンパク質の構造または機能の重要な影響なしに本発明のいくつかのアミノ酸配列を変化させることができることが認識されるであろう。したがって、本発明は、十分な活性を示すか、あるいはヒトFZD受容体タンパク質に対する抗体またはそのフラグメントの領域を含むような、様々なポリペプチドをさらに含む。そのような突然変異体は、欠失、挿入、逆位、反復配列及び型置換(type substitution)を含む。
ポリペプチド及び類似体を、通常はタンパク質の一部ではない追加の化学部分を含むようにさらに修飾することができる。これらの誘導体化された部分は、タンパク質の溶解性、生物学的半減期または吸収性を向上させることができる。当該部分は、タンパク質の望ましい副作用などを減少させるかまたはなくすこともできる。
本明細書に記載の単離された抗体は、当分野で既知の任意の適切な方法によって産生することができる。そのような方法は、直接タンパク質合成法から、単離されたポリペプチド配列をコードするDNA配列を構築してそれらの配列を適切な形質転換宿主内で発現させる方法まで様々である。いくつかの実施形態では、野生型の目的タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによって、組換え技術を用いて、DNA配列が構築される。任意で、該配列に部位特異的突然変異誘発によって突然変異を起こさせることによって、その機能的類似体を提供することもできる。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド合成装置を用いて、化学合成によって、目的抗体をコードするDNA配列が構築されることになる。そのようなオリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列と、目的組換えポリペプチドが産生されることになる宿主細胞において好まれるコドンの選択とに基づいて設計することができる。単離された目的ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成するために、標準的な方法を適用することができる。例えば、完全アミノ酸配列を用いて、逆翻訳された遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離されたポリペプチドのためのヌクレオチド配列コーディングを含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの一部をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、その後、それらを結合させることができる。個々のオリゴヌクレオチドは通常、相補アセンブリのための5’または3’オーバーハングを含む。(合成、部位特異的突然変異誘発、または別の方法によって)アセンブルされたら、特定の単離された目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、発現ベクターに挿入され、かつ所望の宿主におけるタンパク質の発現に適した発現制御配列に作動可能に連結されることになる。適切なアセンブリは、適切な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現、ヌクレオチド配列決定、制限酵素マッピングによって確認することができる。当分野で公知であるように、宿主において高発現レベルの移入遺伝子を得るために、遺伝子は、選択された発現宿主において機能的である転写及び翻訳発現制御配列に作動可能に連結されなければならない。
特定の実施形態では、ヒトFrizzled受容体に対する抗体をコードするDNA、またはそのフラグメントを増幅して発現するために組換え発現ベクターが用いられる。組換え発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルスまたは昆虫の遺伝子に由来する適切な転写または翻訳調節要素に作動可能に連結された抗FZD抗体のポリペプチド鎖をコードする合成またはcDNA由来のDNAフラグメント、またはそのフラグメントを有する複製可能なDNA構築物である。転写単位は通常、(1)遺伝子発現において調節的な役割を持つ遺伝的要素、例えば、転写プロモータまたはエンハンサ、(2)mRNAに転写されかつタンパク質に翻訳される構造またはコーディング配列、及び(3)以下で詳細に説明する適切な転写及び翻訳開始及び終了配列のアセンブリを含む。そのような調節要素は、転写を制御するためのオペレータ配列を含むことができる。通常は複製起点により与えられる宿主内で複製する能力と、形質転換体の認識を容易にするための選択遺伝子とをさらに組み込むことができる。DNA領域は、互いに対して機能的に関連付けられている場合に、作動可能に連結されている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のためのDNAが、ポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現される場合にポリペプチドのためのDNAに作動可能に連結されるか、プロモータが、配列の転写を制御する場合にコーディング配列に作動可能に連結されるか、またはリボソーム結合部位が、翻訳を可能にするように配置された場合にコーディング配列に作動可能に連結されている。酵母発現系での使用が意図される構造的要素は、宿主細胞によって翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。あるいは、組換えタンパク質がリーダー配列またはトランスポート配列なしに発現される場合には、N末端メチオニン残基を含むことができる。任意で、その後、発現された組換えタンパク質からこの残基を切断することにより、最終的な製品を提供することができる。
発現制御配列及び発現ベクターの選択は、宿主の選択によって決まることになる。多種多様な発現宿主/ベクターの組合せを用いることができる。真核生物宿主のための有用な発現ベクターは、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス及びサイトメガロウイルスから得られる発現制御配列を含むベクターを含む。細菌宿主のための有用な発現ベクターは、既知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9及びそれらの誘導体を含む大腸菌由来のプラスミド、広宿主域プラスミド、例えば、Ml3及び糸状一本鎖DNAファージを含む。
FZD結合ポリペプチドまたは抗体(または抗原として用いるためのFZDタンパク質)の発現のための適切な宿主細胞は、適切なプロモータの制御下において、原核生物、酵母、昆虫または高等真核細胞を含む。原核生物は、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌または桿菌を含む。高等真核細胞は、後述する哺乳動物起源の樹立細胞株を含む。無細胞翻訳系を用いることもできる。細菌、真菌、酵母及び哺乳動物細胞の宿主とともに用いるための適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、当分野で既知である。
様々な哺乳動物や昆虫細胞培養システムもまた、組換えタンパク質を発現させるために有利に用いられる。哺乳動物細胞における組換えタンパク質は概して正しく折り畳まれ、適切に修飾され、完全に機能的であるので、そのようなタンパク質を発現させることができる。適切な哺乳動物宿主細胞株の例は、サルの腎臓細胞のCOS−7細胞株及び適切なベクターを発現することができる他の細胞株、例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa及びBHK細胞株などを含む。
別の実施形態では、本発明は、抗体を産生する方法であって、抗体の発現を許容する条件下において本発明の抗体をコードするための核酸配列を含むベクターを含む宿主細胞を培養するステップを含む方法を提供する。適切な培地において維持される宿主細胞における発現の後、例えば本発明の抗体、その抗体等価物をコードするような、発現させるべきポリペプチドまたはペプチドを培地から単離し、当分野で既知の方法によって精製することができる。ポリペプチドまたはペプチドが培養培地に分泌されない場合、単離及び精製の前に宿主細胞を溶解させる。
本発明は、Wntシグナル伝達の阻害における効果、抗腫瘍効果、及び/または癌幹細胞に対する効果について、抗体をスクリーニングする方法をさらに提供する。これらの方法は、抗体に露出された第1の固形腫瘍における1若しくは複数の分化マーカのレベルを、抗体に露出されなかった第2の固形腫瘍における1若しくは複数の分化マーカのレベルと比較するステップを含む方法を含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、これらの方法は、(a)第1の固形腫瘍を第2の固形腫瘍には露出させないが抗体に露出させるステップと、(b)第1及び第2の固形腫瘍における1若しくは複数の分化マーカのレベルを評価するステップと、(c)第1及び第2の固形腫瘍における1若しくは複数の分化マーカのレベルを比較するステップとを含む。特定の実施形態では、抗体は、古典的Wntシグナル伝達経路の阻害剤であり、かつ/または1若しくは複数のヒトFrizzled受容体への1若しくは複数のヒトWntタンパク質の結合を阻害する。特定の実施形態では、抗体は、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体に特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、第2の固形腫瘍に対する第1の固形腫瘍における1若しくは複数の分化マーカのレベルの上昇は、固形腫瘍幹細胞に対する効果を示す。特定の別の実施形態では、第2の固形腫瘍に対する第1の固形腫瘍における1若しくは複数の分化マーカ(すなわち分化のための陰性マーカ)のレベルの低下は、固形腫瘍幹細胞に対する効果を示す。特定の実施形態では、固形腫瘍は膵臓腫瘍である。特定の実施形態では、固形腫瘍は膵臓腫瘍であり、1若しくは複数の分化マーカは、1若しくは複数のムチン(例えばMucl 6)及び/またはクロモグラニンA(CHGA)を含み得る。特定の別の実施形態では、固形腫瘍は結腸腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は結腸腫瘍であり、1若しくは複数の分化マーカはサイトケラチン7を含む。膵臓及び結腸並びに他の腫瘍型のための他の潜在的分化マーカは、当業者に既知である。スクリーニング方法における潜在的分化マーカの有用性は、18R5及び/または44R24などの本明細書に開示され抗FZD抗体のうちの1つ以上を用いて所望の腫瘍型を治療し、その後、対照に対する、治療された腫瘍によるマーカの発現の変化を評価することによって、当業者が容易に評価することができる。そのような方法の非限定的な例は、例えば、以下の具体例に見ることができる。
特定の実施形態では、本発明は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドまたはその抗原結合部分を含むポリヌクレオチドを含む。本発明のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNAの形態をとることができる。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含み、二本鎖または一本鎖であってよく、一本鎖である場合はコード鎖または非コード鎖(アンチセンス鎖)であり得る。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドが単離される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは実質的に不純物を含まない。
特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの変異体は、コーディング領域、ノンコーディング領域、またはその両方の変異を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体に含まれる変異は、サイレント置換、付加または欠失を有するが、コードされたポリペプチドの特性や活性を変えない。いくつかの実施形態では、遺伝コードの縮退に起因するサイレント置換によってヌクレオチド変異体を作製する。様々な理由のために、例えば、特定の宿主に対するコドン発現を最適化するために、ポリヌクレオチド変異体を作製する(ヒトmRNAにおけるコドンを大腸菌などの細菌宿主に好まれるコドンに変更する)ことができる。本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞も提供される。
本発明のFZD結合抗体は、様々な用途(癌の治療などの治療療法を含むが、これに限定されるものではない)において有用である。特定の実施形態では、抗体は、Wntシグナル伝達(例えば古典的Wntシグナル伝達)の阻害、腫瘍増殖の抑制、分化の誘発、腫瘍容積の減少及び/または腫瘍の腫瘍原性の低下に有用である。使用方法は、インビトロ、エキソビボまたはインビボ方法であってよい。特定の実施形態では、FZD結合抗体またはポリペプチドまたは抗体は、該抗体等が結合する1若しくは複数のヒトFrizzled受容体のアンタゴニストである。
特定の実施形態では、FZD結合抗体またはアンタゴニストは、Wntシグナル伝達活性化を伴う疾患の治療に用いられる。特定の実施形態では、疾患は、Wntシグナル伝達に依存する疾患である。特定の実施形態では、Wntシグナル伝達は古典的Wntシグナル伝達である。特定の実施形態では、FZD結合抗体またはアンタゴニストは、幹細胞及び/または前駆細胞レベルの上昇によって特徴付けられる障害の治療に用いられる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体により治療する疾患は、癌である。特定の実施形態では、癌は、Wnt依存性腫瘍によって特徴付けられる。特定の実施形態では、癌は、FZD結合抗体が結合する1若しくは複数のFrizzled受容体を発現する腫瘍によって特徴付けられる。特定の実施形態では、癌は、Wnt遺伝子特性において1若しくは複数の遺伝子を発現する腫瘍によって特徴付けられる。
特定の実施形態では、FZD結合抗体またはアンタゴニストにより治療する疾患は、癌ではない。例えば、疾患は、代謝異常、例えば肥満や糖尿病であり得る。あるいは、疾患は、骨障害、例えば、骨粗しょう症、変形性関節症、または関節リウマチであり得る。疾患はまた、腎臓障害、例えば多発性嚢胞腎であり得る。あるいは、眼障害(黄斑変性症及び家族性滲出性硝子体網膜症を含むが、これらに限定されるものではない)を治療することができる。心血管障害、例えば、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症及び弁疾患を治療することもできる。いくつかの実施形態では、疾患は、肺障害、例えば特発性肺動脈高血圧症や肺線維症である。いくつかの実施形態では、FZD結合抗体により治療する疾患は、肝臓疾患、例えば肝硬変や肝線維症である。
本発明は、対象(例えば、治療が必要な対象)に治療上有効量のFZD結合抗体を投与するステップを含む癌の治療方法を提供する。特定の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、肝臓癌、乳癌、腎臓癌(例えばウィルムス腫瘍)、前立腺癌、消化管癌、メラノーマ、子宮頸癌、膀胱癌、膠芽腫、及び頭頸部癌からなる群から選択される癌である。特定の実施形態では、癌は膵臓癌である。別の実施形態では、疾患は卵巣癌である。別の実施形態では、疾患は肺癌である。別の実施形態では、疾患は「肺」+「卵巣」腫瘍である。別の実施形態では、疾患は肺癌から転移した腫瘍である。別の実施形態では、疾患は非小細胞肺癌(NSCLC)である。別の実施形態では、疾患はNSCLCに対するベバシズマブ(Bev)適格(アバスチン)である。別の実施形態では、疾患はNSCLC−Bev不適格(アバスチン)である。別の実施形態では、疾患は前立腺癌である。別の実施形態では、疾患は前立腺癌から転移した腫瘍である。別の実施形態では、疾患は良性前立腺過形成である。別の実施形態では、疾患はホルモン抵抗性前立腺癌(HRPC)である。別の実施形態では、疾患は膀胱癌である。別の実施形態では、疾患は胆嚢癌である。別の実施形態では、疾患は骨癌である。別の実施形態では、疾患は子宮頸癌である。別の実施形態では、疾患は副腎皮質癌である。別の実施形態では、疾患は副腎癌である。別の実施形態では、疾患は網膜癌である。別の実施形態では、疾患は網膜芽細胞腫である。別の実施形態では、疾患は胃癌である。別の実施形態では、疾患は神経内分泌癌である。別の実施形態では、疾患は胆管癌、例えば胆管細胞癌である。別の実施形態では、疾患は骨髄腫である。別の実施形態では、疾患はアンドロゲン依存性腫瘍である。別の実施形態では、疾患はアンドロゲン非依存性腫瘍である。別の実施形態では、疾患は末端肥大症である。別の実施形態では、疾患は滑膜肉腫である。別の実施形態では、疾患は転移性カルチノイドに関連する下痢である。別の実施形態では、疾患は血管作動性腸管ペプチド分泌腫瘍である。別の実施形態では、疾患は巨人症である。別の実施形態では、疾患は乾癬である。別の実施形態では、疾患はアテローム性動脈硬化症である。別の実施形態では、疾患は血管の平滑筋再狭窄である。別の実施形態では、疾患は不適切な微小血管増殖である。別の実施形態では、疾患は神経芽細胞腫である。別の実施形態では、疾患は膠芽腫である。別の実施形態では、疾患は胎生期(EMB)癌である。別の実施形態では、疾患はALVである。別の実施形態では、疾患は髄芽腫である。別の実施形態では、疾患は上衣腫である。別の実施形態では、疾患はHCC/肝細胞癌である。別の実施形態では、疾患は肝芽腫である。別の実施形態では、疾患はウィルムス癌である。別の実施形態では、疾患はユーイング癌である。別の実施形態では、疾患はラブドイド腫瘍である。別の実施形態では、疾患は白血病である。別の実施形態では、疾患は食道癌である。別の実施形態では、疾患は小児固形腫瘍であり、具体的にはユーイング肉腫/未分化外胚葉腫瘍(PNET)を含む。別の実施形態では、疾患は成人固形腫瘍である。別の実施形態では、疾患は骨肉腫である。別の実施形態では、疾患は横紋筋肉腫(RMS)である。別の実施形態では、疾患は軟部肉腫である。別の実施形態では、疾患は、軟部肉腫、例えば、胎児性横紋筋肉腫及び胞巣状横紋筋肉腫、GIST、胞巣状軟部肉腫、明細胞肉腫などである。別の実施形態では、疾患は胸腺腫である。別の実施形態では、疾患は胸腺癌である。特定の実施形態では、癌は結腸直腸癌である。特定の実施形態では、対象はヒトである。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を治療する方法であって、治療上有効量の、Frizzled7受容体に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分を投与するステップを含む方法を提供する。本方法の抗体は、受容体の細胞質部分及び任意で受容体の膜貫通部分に結合することができる。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−1によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−2によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−5によって産生される抗体であってよい。
対象において腫瘍を治療する方法であって、対象に治療上有効量の単離された抗体またはその抗原結合部分を投与するステップを含み、単離された抗体が配列番号1の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合し、配列番号1の上記部分がFrizzled受容体上に存在し、腫瘍がFrizzled受容体の高発現または活性を有するような方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を治療する方法であって、治療上有効量の、配列番号1の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分を投与するステップを含み、配列番号1の上記部分がFrizzled受容体上に存在するような方法を提供する。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−1によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−2によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−5によって産生される抗体であってよい。一実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体発現の検出時であり得る。別の実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体活性の検出時であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を治療する方法であって、治療上有効量の、配列番号2の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分を投与するステップを含み、配列番号2の上記部分がFrizzled受容体上に存在するような方法を提供する。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−4によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−5によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株#4によって産生される抗体であってよい。一実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体発現の検出時であり得る。別の実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体活性の検出時であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を治療する方法であって、治療上有効量の、配列番号3の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分を投与するステップを含み、配列番号3の上記部分がFrizzled受容体上に存在するような方法を提供する。一実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体発現の検出時であり得る。別の実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体活性の検出時であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を治療する方法であって、治療上有効量の、配列番号4の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分を投与するステップを含み、配列番号4の上記部分がFrizzled受容体上に存在するような方法を提供する。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−6によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−18によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−12によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−3によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株#13によって産生される抗体であってよい。一実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体発現の検出時であり得る。別の実施形態では、抗体での処理は、異常な(例えば高)レベルのFrizzled受容体活性の検出時であり得る。
治療は、哺乳類における疾患の何らかの治療を意味し、(1)疾患に罹りやすい傾向があり得るが未だ罹っていないかまたは疾患の症状を呈していない哺乳類において、疾患が発生するのを予防すること;例えば、臨床症状の発生の予防;(2)疾患を抑制すること、例えば、その進行を止めること;または(3)疾患を軽減すること、例えば、疾患の症状の後退を引き起こすことを含む。
疾患の治療のための有効用量は、それを必要とする哺乳類に投与されたときに当該疾患に対する上記したような治療を達成するのに十分な量を意味する。本明細書に記載の治療方法は、任意の適切な哺乳類を治療するために用いることができ、哺乳類はヒトであることが好ましい。
本発明はさらに、本明細書に記載の抗体または他の抗体を用いて腫瘍増殖を抑制する方法を提供する。特定の実施形態では、腫瘍増殖を抑制する方法は、インビトロで細胞をFZD結合抗体に接触させるステップを含む。例えば、腫瘍増殖を抑制するために、標的とされたFZDを発現する癌細胞株または不死化細胞株を、抗体または他の抗体が添加される培地内で培養する。いくつかの実施形態では、腫瘍増殖を抑制するために、腫瘍細胞を、例えば、組織生検、胸水、または血液試料などの患者試料から単離し、FZD結合抗体が添加される培地内で培養する。
いくつかの実施形態では、腫瘍増殖を抑制する方法は、インビボで腫瘍または腫瘍細胞をFZD結合抗体に接触させるステップを含む。特定の実施形態では、腫瘍または腫瘍細胞をFZD結合抗体に接触させるステップは、動物モデルにおいて行われる。例えば、
腫瘍増殖を抑制するために、免疫不全マウス(例えば、NOD/SCIDマウス)において成長させた1若しくは複数のFZDを発現する異種移植片にFZD結合抗体を投与することができる。いくつかの実施形態では、例えば、組織生検、胸水、または血液試料などの患者試料から癌幹細胞を単離して免疫不全マウスに注射する。その後、免疫不全マウスには、腫瘍細胞増殖を抑制するためにFZD結合抗体を投与する。いくつかの実施形態では、腫瘍の増殖を防ぐために、動物に発癌性細胞を導入するのと同時に、またはその直後に、FZD結合抗体を投与する。いくつかの実施形態では、発癌性細胞を特定のサイズまで成長させた後に、FZD結合抗体を治療薬として投与する。
特定の実施形態では、腫瘍増殖を抑制する方法は、対象に治療上有効量のFZD結合抗体を投与するステップを含む。特定の実施形態では、対象はヒトである。特定の実施形態では、対象は腫瘍を持っているかまたは腫瘍が除去されている。特定の実施形態では、腫瘍は、Wntシグナル伝達が活性である腫瘍である。特定の実施形態では、活性であるWntシグナル伝達は古典的Wntシグナル伝達である。特定の実施形態では、腫瘍はWnt依存性腫瘍である。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍はアキシンの過剰発現に敏感である。特定の実施形態では、腫瘍は、腺腫性大腸ポリポーシス(APC)腫瘍抑制遺伝子において不活性化突然変異(例えば短縮型突然変異)を含まず、βカテニン遺伝子において活性化突然変異を含まない。特定の実施形態では、腫瘍は、Wnt遺伝子特性において1若しくは複数の遺伝子を発現する。特定の実施形態では、対象において治療される癌は、そのような腫瘍を含む。
特定の実施形態では、腫瘍は、FZD結合抗体または抗体が結合する1若しくは複数のヒトFrizzled受容体を発現する。特定の実施形態では、腫瘍はヒトFrizzled受容体を過剰発現させる。特定の実施形態では、腫瘍は、結腸直腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、乳房腫瘍、腎臓腫瘍(例えばウィルムス腫瘍)、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、メラノーマ、頸部腫瘍、膀胱腫瘍、膠芽腫、及び頭頸部腫瘍からなる群から選択される腫瘍である。特定の実施形態では、腫瘍は結腸直腸腫瘍である。特定の実施形態では、腫瘍は膵臓腫瘍である。
本発明はまた、細胞においてWntシグナル伝達を阻害する方法であって、細胞を有効量のFZD結合抗体に接触させるステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、細胞は腫瘍細胞である。特定の実施形態では、本方法は、細胞を抗体に接触させるステップが対象に治療上有効量の抗体を投与するステップを含むインビボ方法である。いくつかの別の実施形態では、本方法は、インビトロまたはエキソビボ方法である。特定の実施形態では、阻害されるWntシグナル伝達は古典的Wntシグナル伝達である。特定の実施形態では、Wntシグナル伝達は、WNT1、WNT2、WNT3、WNT3A、WNT7a、WNT7b及び/またはWNT10Bによるシグナル伝達である。特定の実施形態では、Wntシグナル伝達は、WNT1、WNT3A、WNT7b及び/またはWNT10Bによるシグナル伝達である。
さらに、本発明は、対象における腫瘍の腫瘍原性を低下させる方法であって、対象に治療上有効量のFZD結合抗体を投与するステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、腫瘍は癌幹細胞を含む。特定の実施形態では、腫瘍における癌幹細胞の頻度は、抗体の投与によって低下させられる。したがって、本発明はまた、腫瘍における癌幹細胞の頻度を低下させる方法であって、腫瘍を有効量のFZD結合抗体に接触させるステップを含む方法を提供する。本発明はさらに、発癌性細胞を非発癌性細胞に分化する方法であって、(例えば、発癌性細胞を含む腫瘍を有するかまたはそのような腫瘍が取り除かれた対象にFZD結合抗体を投与することによって)発癌性細胞をFZD結合抗体に接触させるステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、腫瘍は膵臓腫瘍である。特定の他の実施形態では、腫瘍は結腸腫瘍である。特定の他の実施形態では、腫瘍はウィルムス腫瘍である。
細胞(腫瘍細胞を含むが、これに限定されるものではない)の分化を誘発するための、本明細書に記載のFZD結合抗体、またはその抗原結合部分の使用も提供される。例えば、細胞の分化を誘発する方法であって、細胞を本明細書に記載の有効量のFZD結合抗体(すなわち抗FZD抗体)に接触させるステップを含む方法が考えられる。対象において腫瘍における細胞の分化を誘発する方法であって、対象に治療上有効量のFZD結合抗体を投与するステップを含む方法も提供される。特定の実施形態では、腫瘍は膵臓腫瘍である。特定の他の実施形態では、腫瘍は結腸腫瘍である。特定の他の実施形態では、腫瘍はウィルムス腫瘍である。
対象において疾患または障害を治療する方法であって、疾患または障害が、Wntシグナル伝達活性化に関連付けられ、かつ/または幹細胞及び/または前駆細胞のレベルの上昇によって特徴付けられる方法がさらに提供される。いくつかの実施形態では、治療方法は、対象に治療上有効量のFZD結合抗体、ポリペプチドまたは抗体を投与するステップを含む。特定の実施形態では、Wntシグナル伝達は古典的Wntシグナル伝達である。
別の実施形態では、本発明は、Frizzled受容体の高発現または活性によってもたらされる医学的疾患を治療する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、対象に、治療上有効量の、FZD7内の配列番号1に特異的に結合する抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象に治療上有効量の、FZD7またはFZD2内の配列番号2に特異的に結合する抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象に、治療上有効量の、FZD7内の配列番号3に特異的に結合する抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象に、治療上有効量の、FZD7内の配列番号4に特異的に結合する抗体を投与するステップを含む。別の実施形態では、本方法は、対象に、治療上有効量の、FZD7受容体における膜貫通ドメインに特異的に結合する抗体を投与するステップを含む。別の実施形態では、本方法は、対象に、治療上有効量の、FZD7受容体の細胞質ドメインに特異的に結合する抗体を投与するステップを含む。
本発明はさらに、本明細書に記載のFZD結合抗体のうちの1つ以上を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される溶媒をさらに含む。これらの医薬組成物は、ヒト患者における腫瘍増殖の抑制及び癌の治療に用いられる。
特定の実施形態では、本発明の精製された抗体を薬学的に許容される溶媒(例えば、担体、賦形剤)と組み合わせることによって、保存及び使用のために製剤を創製する。適切な薬学的に許容される溶媒は、非毒性緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;塩、例えば、塩化ナトリウム;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸及びメチオニン;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、約10未満のアミノ酸残基);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシン;炭水化物、例えば、単糖類、二糖類、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート抗体、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);並びに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEENやポリエチレングリコール(PEG)を含むが、これらに限定されるものではない。
本発明の医薬組成物は、局所または全身治療のいずれかのために任意の数の方法を用いて投与することができる。投与は、局所投与(例えば、経膣及び直腸送達を含む粘膜へ)、例えば、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体および粉末;肺投与(例えば、ネブライザによる粉末またはエアロゾルの吸入または通気による投与;気管内、鼻腔内、表皮および経皮投与);経口投与;または非経口投与、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入;あるいは頭蓋内(例えば髄腔内または脳室内)投与であってよい。
本発明の抗体の医薬製剤は、特定の実施形態では、単位用量形態をとることができる。そのような製剤は、経口投与、非経口投与、直腸投与、または吸入投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒、水または非水性媒体に溶かした溶液または懸濁液、あるいは坐剤を含む。錠剤などの固体組成物では、主要な活性成分を医薬担体と混合する。従来の錠剤化成分は、本発明の化合物、またはその非毒性、薬学的に許容される塩の均一混合物を含む固体プレフォーミュレーション組成物を形成するために、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガム、及び他の希釈剤(例えば水)を含む。固体プレフォーミュレーション組成物はその後、上記した種類の単位用量形態に細分される。新規な組成物の錠剤、丸剤などは、持続作用の利点をもたらす用量形態を提供するようにコーティングされるかまたは別な方法で化合される。例えば、錠剤または丸剤は、外側成分で覆われた内側組成物を含むことができる。さらに、これら2つの成分を腸溶性層によって分離することができ、腸溶性層は、崩壊に耐えるように機能し、内側成分が無傷で胃を通過するかまたは遅れて放出されることを可能にする。そのような腸溶性層またはコーティングのために、様々な材料、例えば、多くのポリマー酸を含む材料や、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどの材料とポリマー酸との混合物を用いることができる。
特定の実施形態では、抗体をマイクロカプセルに封入することもできる。そのようなマイクロカプセルは、例えば、コアセルベーション技術によって、または界面重合によって創製され、例として、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)におけるヒドロキシエチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルや、当分野で説明されているマクロエマルジョンにおけるポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルが挙げられる。
特定の実施形態では、医薬製剤は、リポソームとの複合体を形成する本発明の抗体を含む。循環時間が改善されたリポソームは当分野で既知である。さらに、徐放性製剤を創製することができる。徐放性製剤の適切な例は、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、該マトリックスは成形された物品(例えば、フィルムやマイクロカプセル)の形態をとる。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル、L−グルタミン酸及び7メチル−L−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、例えばリュープロン・デポ(LUPRON DEPOT)(登録商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロリド酢酸からなる注入可能な微小球)、イソ酪酸酢酸スクロース及びポリD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
特定の実施形態では、FZD結合抗体の投与に加えて、本発明の方法または治療は、(FZD結合抗体の投与の前、投与と同時、及び/または投与の後に)第2の抗癌抗体を投与するステップをさらに含む。FZD結合抗体及び第2の抗癌抗体を含む医薬組成物も提供される。選択された実施形態では、FZD結合抗体は、以前に第2の抗癌抗体による治療を受けた患者に投与されることになる。特定の他の実施形態では、FZD結合抗体及び第2の抗癌抗体は、実質的に同時または同時期に投与されることになる。例えば、対象は、FZD結合抗体を投与されると同時に第2の抗癌抗体による治療(例えば化学療法)を受けることができる。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、第2の抗癌抗体による治療から1年以内に投与されることになる。特定の別の実施形態では、FZD結合抗体は、第2の抗癌抗体による治療から10、8、6、4または2か月以内に投与されることになる。特定の他の実施形態では、FZD結合抗体は、第2の抗癌抗体による治療から4、3、2または1週間以内に投与されることになる。いくつかの実施形態では、FZD結合抗体は、第2の抗癌抗体による治療から5、4、3、2または1日以内に投与されることになる。さらに、数時間または数分もしないうちに(すなわち実質的に同時に)対象に2つの抗体を投与したり2つの治療を行ったりすることができることを理解されたい。
本発明の抗体と組み合わせて投与することができる抗癌抗体の有用なクラスは、例えば、抗チューブリン抗体、アウリスタチン、DNAマイナーグルーブバインダ、DNA複製阻害剤、アルキル化抗体(例えば、白金錯体、例えば、シスプラチン、モノ(プラチナ)、ビス(プラチナ)及び三核白金錯体、並びにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質の抗葉酸剤、代謝拮抗剤、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、実行化合物(performing compound)、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどを含む。特定の実施形態では、第2の抗癌抗体は代謝拮抗剤、抗有糸分裂薬、トポイソメラーゼ阻害剤、または血管新生阻害剤である。
FZD結合抗体と組み合わせて投与することができる抗癌抗体は、化学療法剤を含む。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法または治療は、本発明の抗体と、化学療法剤または複数の異なる化学療法剤の混合物との組合せ投与を含む。抗体による治療は、化学療法剤の投与の前か、投与と同時か、または投与の後に行うことができる。本発明で考慮される化学療法剤は、当分野で既知でありかつ市販されている化学物質または薬物、例えば、ゲムシタビン、イリノテカン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、TAXOL、メトトレキサート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン及びカルボプラチンを含む。組合せ投与は、単一医薬製剤での、または別々の製剤を用いた同時投与、あるいは、順序は問わないが通常は所定時間内に全ての活性抗体が同時に各々の生物学的活性を発揮し得るようになされる連続投与を含むことができる。
本発明において有用な化学療法剤はまた、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CY−TOXAN);スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)及びウレドーパ(uredopa);エチレンイミン及びメチルメラミン(methy-lamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びメラミン窒素マスタードトリメチロール、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノボエンビキン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルチェロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充液、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミド(aldophosphamide)グリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン;エリプチニウム酢酸塩;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフラン(sizo-furan);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロルトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacy-tosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;トキソイド、例えば、パクリタキセル(ニュージャージー州プリンストンのブリストル・マイヤーズ スクイブ オンコロジー社(Bristol-Myers Squibb Oncology)製TAXOL)及びドセタキセル(フランス国アントニーのローヌ・プーランク・ローラー社(Rhone-Poulenc Rorer)製TAXOTERE);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;及び上記のうち任意のものの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。化学療法剤はまた、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン抗体、例として抗エストロゲン薬、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害剤としての4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン);及び抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;並びに上記のうち任意のものの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含む。特定の実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、ドキソルビシンHCL、ダウノルビシンクエン酸、ミトキサントロンHCL、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCL、テニポシド(VM−26)及びイリノテカンを含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、第2の抗癌剤はイリノテカンである。特定の実施形態では、治療すべき腫瘍は結腸直腸腫瘍であり、第2の抗癌剤はイリノテカンなどのトポイソメラーゼ阻害剤である。特定の実施形態では、化学療法剤は代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、ゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキサートナトリウム、ラルチトレキシド、ペメトレキセド、テガフール、シトシンアラビノシド、チオグアニン(グラクソ・スミスクライン)、5−アザシチジン、6−メルカプトプリン、アザチオプリン、6−チオグアニン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、及びクラドリビン、並びに上記のうち任意のものの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、第2の抗癌剤はゲムシタビンである。特定の実施形態では、治療すべき腫瘍は膵臓腫瘍であり、第2の抗癌剤は代謝拮抗剤(例えばゲムシタビン)である。特定の実施形態では、化学療法剤は、抗有糸分裂抗体であり、チューブリンに結合する抗体を含むが、これに限定されるものではない。非限定的な例として、化学療法剤はタキサンを含む。特定の実施形態では、化学療法剤は、パクリタキセルまたはドセタキセル、あるいはパクリタキセルまたはドセタキセルの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含む。特定の実施形態では、抗体は、パクリタキセル(TAXOL)、ドセタキセル(TAXOTERE)、アルブミンと結合させたパクリタキセル(例えばABRAXANE)、DHA−パクリタキセルまたはPG−パクリタキセルである。特定の別の実施形態では、抗有糸分裂剤は、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはビンデシン、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含む。いくつかの実施形態では、抗有糸分裂剤は、Eg5キネシンの阻害剤、またはオーロラAやPlklなどの有糸分裂キナーゼの阻害剤である。特定の実施形態では、FZD結合抗体またはポリペプチドまたは抗体と組み合わせて投与される化学療法剤が、抗有糸分裂剤を含む。
特定の実施形態では、対象における癌または腫瘍の治療は、本発明の抗体と放射線療法との組合せ投与を含む。抗体による治療は、放射線療法の投与の前か、投与と同時か、または投与の後に行うことができる。
いくつかの実施形態では、治療は、本発明の抗体と追加の腫瘍関連抗原に対する他の抗体との組合せ投与を含むことができ、他の抗体は、EGFR、ErbB2、HER2、DLL4、Notch及び/またはVEGFに結合する抗体を含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では第2の抗癌抗体は、血管新生阻害剤(例えば抗VEGF抗体)である抗体である。特定の実施形態では、第2の抗癌抗体はNotchシグナル伝達の阻害剤である。特定の実施形態では、第2の抗癌抗体は、アバスチン(ベバシズマブ)、ハーセプチン(トラスツズマブ)、ベクティビックス(パニツムマブ)、またはエルビタックス(セツキシマブ)である。組合せ投与は、単一医薬製剤での、または別々の製剤を用いた同時投与、あるいは、順序は問わないが通常は所定時間内に全ての活性抗体が同時に各々の生物学的活性を発揮し得るようになされる連続投与を含むことができる。
さらに、対象における癌または腫瘍の治療は、1若しくは複数のサイトカイン(例えば、リンホカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子及び/または増殖因子)の投与を含むことができ、あるいは癌細胞の外科的切除または治療する医師が必要と認める任意の他の治療を伴うことができる。
疾患の治療のために、本発明の適切な用量は、治療すべき疾患の種類、疾患の重症度及び経過、疾患の反応性、抗体または抗体が治療または予防を目的として投与されるか否か、以前の治療、または患者の病歴によって決まる。抗体または抗体は、1回限り投与するか、または数日間から数カ月間に及ぶ一連の治療期間にわたってするか、あるいは治療の効き目が出るかまたは病状が緩和する(例えば、腫瘍サイズが小さくなる)まで投与することができる。最適な投与スケジュールは、患者の体内における薬物の蓄積の測定から計算することができ、個々の抗体または抗体の相対抗力によって異なる。特定の実施形態では、用量は体重1kg当たり0.01〜100mgであり、1日、1週間、1カ月または1年に1回またはそれ以上の投与が可能である。特定の実施形態では、FZD結合抗体は、2週間に1回または3週間に1回投与される。特定の実施形態では、抗体または他のFZD結合抗体の用量は、体重1kg当たり約0.1mg〜20mgである。
本発明は、本明細書に記載の抗体を含みかつ本明細書に記載の方法を実行するために用いることができるキットを提供する。特定の実施形態では、キットは、1若しくは複数の容器内に、1若しくは複数のヒトFrizzled受容体に対する少なくとも1つの精製された抗体を含む。いくつかの実施形態では、キットは、検出アッセイを行うのに必要な、かつ/または十分なコンポーネントの全てを含み、全ての対照、アッセイを行うための説明書、結果の解析及び提示のための任意の必要なソフトウェアを含む。開示されている抗体または本発明の抗体を、当分野で公知の定評のあるキット形式のうちの1つに容易に組み込むことができることは、当業者であれば容易に認識するであろう。
FZD結合抗体及び第2の抗癌剤を含むキットがさらに提供される。特定の実施形態では、第2の抗癌剤は化学療法剤である。特定の実施形態では、第2の抗癌剤は血管新生阻害剤である。特定の実施形態では、第2の抗癌剤はNotchシグナル伝達の阻害剤(例えば、抗DLL4または抗Notch抗体)である。
別の実施形態では、本発明は、Frizzled受容体の高発現または活性によって仲介される医学的疾患を診断する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のFrizzled受容体を本発明の抗体を用いて検査するステップとを含む。抗体を用いて生体試料の反応性を検査する方法は、当分野で公知である。検査方法の例は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫細胞化学及び免疫沈降を含むが、これらに限定されるものではない。
別の実施形態では、本発明は、frizzled7受容体の高発現または活性によって仲介される医学的疾患を診断する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のfrizzled7受容体を本発明の抗体を用いて検査するステップとを含む。
特定の実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を検出する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のfrizzled7を、frizzled7受容体に結合する本発明の単離された抗体またはその抗原結合部分によって検査するステップとを含む。抗体は、受容体の細胞質部分及び任意で膜貫通部分に結合し得る。一実施形態では、得られた生体試料におけるfrizzled7の発現のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。別の実施形態では、得られた生体試料におけるfrizzled7の活性のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。
別の実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を検出する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のFrizzled受容体を、該Frizzled受容体上に存在する配列番号1の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分によって検査するステップとを含む。一実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の発現のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。別の実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の活性のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−1によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−2によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−3によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−5によって産生される抗体であってよい。
別の実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を検出する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のFrizzled受容体を、該Frizzled受容体上に存在する配列番号2の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分によって検査するステップとを含む。一実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の発現のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。別の実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の活性のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株288−4によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−5によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株#4によって産生される抗体であってよい。
別の実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を検出する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のFrizzled受容体を、該Frizzled受容体上に存在する配列番号3の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分によって検査するステップとを含む。一実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の発現のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。別の実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の活性のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。
別の実施形態では、本発明は、対象において腫瘍を検出する方法を提供する。該方法は、対象から生体試料を採取するステップと、該生体試料のFrizzled受容体を、該Frizzled受容体上に存在する配列番号4の少なくとも5アミノ酸部分を含む配列に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分によって検査するステップとを含む。一実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の発現のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。別の実施形態では、得られた生体試料におけるFrizzled受容体の活性のレベルを評価することによって、腫瘍の有無を判定する。活性レベルが異常であれば(例えば高ければ)、このことは悪性腫瘍の存在を示唆している。一実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−6によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−18によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−12によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株289−3によって産生される抗体であってよい。別の実施形態では、本方法で用いられる抗体は、ハイブリドーマ細胞株#13によって産生される抗体であってよい。
本明細書に記載の方法において用いられる生体試料は、本発明の方法によって検査される体液であり、別の実施形態では脳脊髄液(CSF)である。別の実施形態では、体液は血漿である。別の実施形態では、体液は、当分野で既知の任意の他の種類の流体である。各可能性は、本発明の別の実施形態を表す。別の実施形態では、生体試料は、羊水、血液、血清、唾液、またはそれらの組合せである。別の実施形態では、生体試料は組織生検である。別の実施形態では、生体試料は、便または尿、または他の排泄物(例えば汗)から得られる。
例
例1:FZD7モノクローナル抗体を作製するためのエピトープの選択
Frizzledファミリー受容体は、高レベルの相同性を有する。FZD7に特異性なモノクローナル抗体を生成するために、FZD7と別のFrizzled受容体−FZD2との間でオーバーラップしない配列を同定した。
FZD2及びFZD7遺伝子の発現は、胎児の腎臓及び肺並びに成体の結腸及び卵巣における高レベルの発現を伴い、発生学的に調整されるように見える(図1A)。FZD7及びFZD2は、特にリガンド結合ドメインにおいて、高度に相同な膜貫通タンパク質である(図1B)。
材料及び方法
エピトープマッピング:エピトープマッピングにはペプチドスキャン法を用いた。この技術は、標的タンパク質から得られる同じ長さのオーバーラップするセグメントからなる多くの短いペプチド配列のライブラリを用い、目的抗体に結合する能力をテストする。突出(オーバーハング)させた端部及び追加の外部領域を備えた所望の配列に対して、短いオーバーラップペプチドを設計した。
ワクチン接種:4つの異なる領域から得られるFZD7に特異的な配列に対応するペプチドを用いて免疫を付与した。免疫付与のために、マレイミド活性化済みのBSA/KLH結合キット(シグマ社(Sigma)製,MBK−1)を用いてペプチドをKLHに結合させた。BALB/cマウスに免疫を付与し、ブーストを行った。
ハイブリドーマの作製:免疫化マウスから脾臓を採取し、細胞を単離した。細胞をマウス骨髄腫細胞(NS−1)と融合させた。ハイブリドーマ上清のペプチド特異抗体をELISAによってスクリーニングした。
抗体の精製及びスクリーニング:ハイブリドーマをバイオリアクタ内で成長させ、タンパク質Aアガロースカラムを用いて培養上清から抗体を精製した。FZD7特異抗体のスクリーニングを、ペプチドを接合させたBSA上でELISAによって行った。以下の方法、すなわち、
a.完全長FZD7を安定発現するCHO細胞にELISAを行い、ELISプレート上に固定
b.完全長FZD7を安定発現するCHO細胞の細胞抽出物を用いたウェスタンブロッティング
によって行う。
上記3つの方法によって陽性であったクローンをさらにアッセイし、選択性及び有効性を実証した。
ELISA:スクリーニングされたペプチドのBSA複合体を用い、ペプチド陽性クローンをさらに細胞抽出物を用いたウェスタンブロッティングによってスクリーニングした。マウスモノクローナル抗体アイソタイピング試薬(シグマ社製ISO−2)を用いて、ELISAによって、アイソタイプを決定した。
結果
FZD7特異的モノクローナル抗体作製の目的に向けて、FZD7タンパク質のエピトープマッピングを行い、FZD2とのオーバーラップしない配列並びにC末端のもの及びN末端のものを含む4つのエピトープを作製した(図1B)。これら4つのエピトープのアミノ酸配列は、配列番号1〜4で具体化されている。これらのFZD7配列は、FZD2とそれぞれ56%、100%、40%及び25%の相同性を有している。エピトープをマウスに注射してハイブリドーマを作製した。さらに、FZD7構築物のクローンを作製し、それをCHO細胞において過剰発現させ、ハイブリドーマクローンのELISAベースのスクリーニングを行った。さらに、FLAG及びMYCタグを含む分泌型FZD7ベクターのクローンを作製した。この手法は、FLAG/MYCカラム上の分泌型FZD7への特異的結合によって生成されたMAbのさらなる精製を可能にした。したがって、選択された配列解析済みペプチドのMAb特異性及びFZD2との相同性の程度を検証することができる。
作製されたハイブリドーマから、インビトロ実験のために全部で12個のクローンを選択した。選択されたクローンは、ELISA試験において、それぞれの特異的な抗原(ペプチド)に対して陽性であったクローンであった。表1は、選択されたハイブリドーマ及びそれらが産生するモノクローナル抗体の特異性を示している。試験した10個の追加ハイブリドーマは、ELISAアッセイにおいて抗原特異性を示さなかった。
結論
Frizzled7受容体上で4つの異なるエピトープに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを産生した。FZD7に対するこれらの抗体の特異性の尤度は、FZD7とFZD2との間のエピトープ配列の相同性と逆相関の関係にある。
例2:FZD7モノクローナル抗体が悪性細胞の増殖に与える影響
例1で説明したように作製したFZD7モノクローナル抗体が原発悪性組織及び悪性細胞株の両方の増殖を阻害する能力を測定した。
材料及び方法
MTSアッセイ:3連で細胞を96ウェルプレートに播種した。24時間経過後、該細胞を、所望の抗体により高濃度下で48時間処理し、CellTiter96(登録商標)AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(MTS)キット(プロメガ社(Promega)製)によって評価した。
結果
FZD7モノクローナル抗体が様々なFZD7発現レベルの悪性細胞の増殖を阻害する能力を測定した。次の細胞型、すなわち、原発ウィルムス腫瘍細胞、メラノーマ(SK−MEL28)、結腸(HT29)、膠芽腫(U87)及び陰性対照HeLa細胞(低レベルのFZD7を発現する)について分析を行った。FACS分析を用いて各腫瘍型におけるFZD7レベルを決定した:ウィルムス腫瘍約10%、メラノーマ11%、結腸癌2.6%、HeLa細胞3%であった。MTSアッセイを用いて悪性細胞増殖の阻害を評価した。ウィルムス腫瘍(WT)、メラノーマ(SK−MEL28)及び子宮頸癌(HeLa)細胞に関するデータを図2に、メラノーマ(SK−MEL28)、子宮頸癌(HeLa)及び結腸癌(HT−29)に関するデータを図3にそれぞれ示す。阻害がfrizzled7の発現レベルにどのように関連しているかに留意されたい。
結論
腫瘍細胞の増殖の阻害に対するインビトロでの有益な効果を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンを単離した。Frizzled7を発現する腫瘍細胞は、特に抗体の活性に対して弱い。
例3:FZD7モノクローナル抗体が悪性細胞の生存率に与える影響
例1で説明したように作製したFZD7モノクローナル抗体が原発悪性組織及び悪性細胞株の両方の細胞死を誘発する能力を測定した。
材料及び方法
MTSアッセイ:3連で細胞を96ウェルプレートに播種した。24時間経過後、該細胞を、所望の抗体により高濃度下で48時間処理し、CellTiter 96(登録商標)AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(MTS)キット(プロメガ社製)によって評価した。
結果
FZD7モノクローナル抗体が様々なFZD7発現レベルの悪性細胞を死滅させる能力を測定した。先ず、様々なFZD7特異的モノクローナル抗体による原発腫瘍悪性細胞の死滅を評価した。原発腫瘍の源として、FZD7の発現レベルが約10%であるウィルムス腫瘍を用いた。抗体は、例1で説明したような選択されたエピトープを使用して作製されたハイブリドーマクローンによって産生されるFZD7特異的モノクローナル抗体であった。抗体細胞と48時間インキュベーションした後、トリパンブルーによって細胞生存率を測定した。用いた各モノクローナル抗体について、全細胞からの生細胞の割合を図4Aに示す。次に、FZD7特異的モノクローナル抗体によるSK−MEL28及びSK−MEL−29メラノーマ細胞の死滅を評価した。SK−MEL28及びSK−MEL−29細胞を96ウェルプレートに播種し、抗体と48時間インキュベーションした後に、トリパンブルーによって細胞生存率を測定した。生細胞の絶対細胞数を図4Bに示す。最後に、モノクローナル抗体のうちの1つ(クローン288−2)処理した後、または抗体での処理なしの、SK−MEL28細胞のマイクロ画像を得た。処理された細胞においては細胞死が見て取れる(図4C)。
例4:腫瘍阻害の誘発のための最適なFZD7モノクローナル抗体の濃度の決定
例1で説明したように作製したFZD7モノクローナル抗体が様々な濃度で悪性細胞増殖を阻害する能力を評価した。
材料及び方法
MTSアッセイ:3連で細胞を96ウェルプレートに播種した。24時間経過後、該細胞を、所望の抗体により高濃度下で48時間処理し、CellTiter 96(登録商標)AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(MTS)キット(プロメガ社製)によって評価した。
結果
様々な濃度のクローン288−1及び288−5において産生される抗FZD7モノクローナル抗体への露出時における、細胞増殖の阻害の観点からの用量反応を測定した。高FZD7発現悪性組織(SK−MEL28、メラノーマ細胞)の反応を低FZD7発現悪性組織(HeLa、子宮頸癌細胞)の反応と比較した。細胞を抗体に48時間露出させ、MTSアッセイによって増殖を評価し、抗体により処理されなかった細胞と比較した。増殖は、高FZD7発現細胞においてはいずれかのFZD7抗体の存在下で阻害されたが、HeLaなどの低発現細胞においては阻害されなかった(図5A)。約5ug/mlの抗体濃度で増殖の最適な阻害が観察された。示されているデータは、細胞株毎に対照非処理細胞に正規化されている。図5Bは、図5Aから得られたデータを、約5ug/mlのハイブリドーマクローン288−1及び288−5によって産生されるFZD7モノクローナル抗体による増殖の阻害のレベルに対するSK−MEL28メラノーマ細胞の培養密度の影響が強調されるようにして示している。この抗体濃度では、288−5の場合に4000個の細胞/ウェルの密度が採用されたときに阻害がより大きく、288−1の場合においても同様であることが観察された。
結論
腫瘍細胞において細胞死を誘発するための、ハイブリドーマクローンから単離されたモノクローナル抗体の最適濃度を決定した。これは、細胞株及び原発腫瘍の両方において示される。
例5:FZD7モノクローナル抗体が悪性細胞のWntシグナル伝達に与える影響
例1で説明したように作製したFZD7モノクローナル抗体が悪性細胞のWntシグナル伝達を阻害する能力を評価した。
結果:
表示された濃度において288−1抗体で48時間処理した後、HeLa及びSK−MEL28細胞における活性βカテニン(ミリポア(millipore)05665)のウェスタンブロット解析を行った(図6)。288−1によって産生されるFZD7モノクローナル抗体によるβカテニン阻害が示されている。また、図7Bにおいて、非処理及び抗体により処理されたウィルムス腫瘍及びHeLa細胞においてRQ−PCRを用いてWNT標的化遺伝子の発現を評価した(図7B)。
結論:例1で説明したように作製したFZD7モノクローナル抗体は、受容体結合時にWntシグナル伝達を阻害することができた。この阻害は、例3に示したような悪性細胞死及び以下の例6に示すようなアポトーシスを伴う。
例6:FZD7モノクローナル抗体による悪性細胞におけるアポトーシスの誘発
本発明の抗体が悪性細胞においてアポトーシスを誘発する能力を測定した。
結果
本発明の抗体により処理された悪性細胞のアポトーシスが観察された(図7A)。具体的には、メラノーマ及びHeLa細胞に結合するAPC標識アネキシンVのフローサイトメトリーが示されている。様々な濃度のハイブリドーマ288−1によって産生されるモノクローナル抗体の存在下において、または抗体なしで、アネキシン染色のレベルを比較する(図7A)。
結論:本発明の抗体が悪性細胞においてアポトーシスを誘発する能力が観察された。
例7:ハイブリドーマクローンから分泌されるFZD7特異的モノクローナル抗体による細胞増殖の阻害
本発明の特異的モノクローナル抗体が癌細胞増殖を阻害する能力を測定した。細胞を96ウェルプレートに播種した。メラノーマ細胞株(SK−MEL28)、結腸癌細胞株(HT−29)、及び原発ウィルムス腫瘍(WT)細胞を、表示されたクローンから得られた抗体と48時間インキュベーションした後に、細胞増殖アッセイキット(プロメガ社製)によってアッセイした。
結果:図8は、細胞膜内のFZD7ポリペプチドの配置を示し、ペプチド1〜4の位置を特定している。これらのペプチドと受容体のFrizzledファミリーの他のメンバーとの相同性を下表に示す。ここで、「相同性」は、表示されたFZD受容体の抗原領域とペプチドとの間で類似しているアミノ酸残基の数を示す。
図9は、ハイブリドーマから分泌されるFZD7特異的モノクローナル抗体による細胞増殖の阻害を対照の増殖率と関連付けながら示している。数は、抗体を採取したハイブリドーマクローンを示しており、「*」は、有効クローンが288−1、288−2、288−5、289−10、289−16及び289−13であることを示している。ペプチドマッチング及びアイソタイプによる有効クローンの分類を下表に示す。
例8:抗FZD7抗体288−1の特異性−FZD7受容体タンパク質のC末端抗原に対する抗FZD7モノクローナル抗体288−1の特異性
SK−MEL28細胞溶解物においてFZD7受容体に結合するモノクローナル抗体(MAb)MAb−288−1、MAb−288.5及びMAb−289.13の特異性を、タンパク質免疫沈降アッセイを用いて実証した。
方法:免疫化のために、マウスにペプチド1及びペプチド4の両方を注射した。抗体特異性を測定するために、ブロッキングアッセイを行った。簡単に説明すると、結合抗原をブロックするために細胞の溶解物をペプチドとインキュベーションした後に、表示された抗FZD7抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った。FZD7入力(全細胞溶解物)及びFZD7に結合したフラクションを10%SDS−PAGEによって分離し、続いてウェスタンブロッティングを行い、抗FZD7抗体を用いて検出した。様々なモノクローナル抗体と一晩インキュベーションした後、タンパク質Aアガロースビーズを用いてタンパク質を免疫沈降させた。マウスIgGは陰性対照として機能した。FZD7受容体の抗原Cに対するMAb−288−1の特異性を検証するためにペプチドブロックアッセイを行った。MAb−288−1を免疫化ペプチドで4時間インキュベーションした。10%SDS−PAGEによって分離HEK293細胞の溶解物をし、その後、ウェスタンブロッティングを行った。MAb−288−1、MAb−288−1+ペプチドCまたは陰性対照抗体のいずれかを用いて、FZD7タンパク質の検出を行った。FZD7を過剰発現させるHEK293細胞を用いて、FZD7受容体へのMAb−288−1の結合を調べた。SDS−PAGEにより細胞抽出物を分離して様々な濃度のMAb−288−1で解析した。
さらに特異性を確認するために、免疫沈降(IP)を行った。表示された抗体を用いてメラノーマ細胞株細胞にタンパク質IPを行った。
結果:図11(A)は、WB解析によるIPの結果を示している。図11(B)は、抗FZD7の288−1抗体結合部位がペプチド1ではなくペプチド4によってブロックされたことを示している。IPは、288−1抗体を用いたときに成功した。(入力−IPを行う前に細胞溶解物から採取した非処置フラクション;IP−免疫沈降フラクション;対照−非特異的Ab対照;モック−マウス抗ヒトIgG対照)。図11(A)は、抗FZD7抗体288−1がFZD7タンパク質を特異的に免疫沈降させることを実証している。抗体のメラノーマ細胞標識は、Cy3に接合された抗FZD7抗体288−1がメラノーマ細胞を標識することを示している(図10)。
結論:細胞を発現するFZD7への抗体の特異的結合が観察された。図11(A)は、FZD7受容体への特異的なMAb−288−1の結合を実証している。さらに、図11(B)に示した結果は、FZD7へのMAb288−1の結合がペプチドCによって妨害されることを実証している。図11(C)は、MAb288−1の特異性を裏付ける追加のウェスタンブロットの結果を示しており、ここで、抗体の連続希釈法はシグナルの低下に対応する。
例9:インビトロでの抗FZD7抗体288−1の機能的効果
メラノーマ細胞増殖阻害率(%)を測定した。5μg/mlにおいて抗FZD7抗体288−1の不存在下(非処理)または存在下において細胞を48時間インキュベーションすることによって、メラノーマ細胞株細胞平均増殖率(n>5)を測定した。対照非処理細胞を100%に設定し、増殖率の平均を図12の棒グラフ中に距離マーカで示した。
結果:
図12は、抗FZD7抗体288−1がメラノーマ細胞増殖を低下させることを示している。
例10:モノクローナル抗体288−1はインビトロでの悪性細胞のWntシグナル伝達を阻害する。
Wnt経路標的遺伝子(AXIN2、CCND1、MYC−C)、FZD7、βカテニン、及びWnt経路阻害剤(DKK1、sFRP1)の発現を、SK−MEL28(図13A)及びWT細胞(図13B)において測定した。
ウェスタンブロット解析を行って、表示された濃度で抗FZD7抗体288−1の不存在下(非処理)または存在下で48時間インキュベーション後、メラノーマ細胞株細胞及びウィルムス腫瘍細胞において活性βカテニンを同定した(図6及び図13C)。
結果:図13A及び図13Bに示した結果は、MAb−288−1がWnt経路関連遺伝子の発現を阻害することを示している。各細胞型について、5つの別々の実験の平均±S.E.Mとしてデータを計算した,p<0.05。これは、図6及び図13Cに示した活性βカテニン発現の低下とよく相関している。
例11:モノクローナル抗体288−1は悪性細胞におけるアポトーシスを誘発する
MAb−288−1を用いたFZD7のターゲティングがSK−MEL28及びWT細胞の細胞死を誘発した。
方法:細胞を5μg/mlのMAb−288−1で48時間処理し、その後、アネキシンV及び7AADで染色した。メラノーマ細胞株細胞及びウィルムス腫瘍細胞のフローサイトメトリー分析を用いた。アネキシンV抗体陽性染色細胞は、前アポトーシス、アポトーシス、またはネクローシス段階のいずれかにある。アイソタイプ対照染色(IC<1%)に従ってゲートを設定した。
結果:図14Aは、MAb−288−1により処理した後の、細胞のアネキシンV染色のフローサイトメトリー分析を示している。結果は、SK−MEL28細胞(左パネル)及びWT細胞(右パネル)における前アポトーシス細胞の著しい増加を%で示している。さらに、細胞をMAb−288−1により処理し、0.4%トリパンブルーで染色し、死細胞の数を数えて割合%を計算した。結果は、SK−MEL28細胞(図14B)及びWT細胞(図14C)(p<0.05;n=4)の両方において死細胞の%が有意に低かったことを示している。
例12:モノクローナル抗体288−1はインビトロでの幹細胞性形質の枯渇を引き起こす
MAb−288−1でのインビトロ処理は、幹細胞性形質を減少させた。非処理のSK−MEL28細胞と処理された細胞とでコロニー形成能(CFU)を比較した。図15Aに示した結果は、処理された細胞によって形成されたコロニーの数が非処理細胞よりも有意に低かったことを示している。処理された細胞におけるより小さなコロニーを示す処理されたSK−MEL28細胞及び非処理細胞から形成されたコロニーの代表的な位相差画像を図15Bに示す。(スケールバー=100μm、倍率20倍)。SK−MEL28細胞及びWT細胞に対してスフィアフォーメーションアッセイを行った。処理された細胞から形成されたスフィアの数は、SK−MEL28細胞(図15C)及びWT細胞(図15D)の両方において有意に減少した。データは、3連で行った少なくとも3回の実験の平均±SEMとして示されている(それぞれ、p=0.00098、p=0.00065)。処理されたSK−MEL28細胞及び非処理細胞(図15E)及びWT細胞(図15F)から形成されたスフィアの代表的な位相差画像は、処理された細胞の方が、スフィアがずっと小さく、より低濃縮であることを示している(スケールバー=100μm、倍率10倍)。
例13:SK−MEL28細胞のモノクローナル抗体288−1での処理は細胞遊走の機能的効果の阻害を示す
組織培養物中で成長させたSK−MEL28をMAb−288−1により処理することで、図16Aに示すように、SK−MEL28細胞に形態変化が誘発された。ここで、処理された細胞は、減少拡散表現型(reduced spreading phenotype)を示している。スケールバー,100μm。図16Bは、遊走アッセイの結果を示しており、5μg/mlのMAb−288−1でSK−MEL28を48時間処理することで、SK−MEL28細胞の遊走能を、非処理細胞と比較して有意に阻害したことを実証している。スケールバー,1000μm。
本発明の特定の特徴部について本明細書に図示したり説明したりしてきたが、今や当業者は、数多くの変更形態、置換形態、修正形態及び等価形態を思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような変更形態及び修正形態を本発明の真の趣旨に含まれるものとして網羅するものであることを理解されたい。