JP2017503845A - 自己集合性βソレノイドタンパク質スカフォールド - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、米国特許法第119条(e)(35 U.S.C. §119(e))の下で、2014年1月24日に提出された米国特許出願第61/931,485号の恩典を主張し、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
この研究は、全米科学財団(National Science Foundation)からの助成金(DMR-1207624およびDMR-0844115)による支援を受けた。米国政府は本発明において一定の権利を有すると考えられる。
本発明は、改変βソレノイドタンパク質モノマーから調製されたアミロイド線維に関する。モノマーは、種々の用途においてナノ粒子との結合および他の機能的要素のために用いられる。
ナノテクノロジーの重要な目標の1つは、環境に害を与えない溶媒中での室温での自己集合を介する、有用なデバイスおよび材料のボトムアップ式製造である。生体系には、タンパク質が一次元フィラメントとして成長し、その成長軸に対して垂直なβストランドを伴う、例えば、微小管1、ウイルスキャプシド2、細菌s層3、およびアミロイド線維4といったタンパク質構造の姿をとる、そのような自己集合の数多くの例がある。
「βソレノイドタンパク質」(BSP)という用語は、タンパク質の長軸の周りをN末端からC末端の向きに左巻きまたは右巻きのいずれかでらせん状に曲がってβシートを形成する骨格を有し、かつ一辺1.5〜2nmの規則正しい幾何構造(三角形、長方形など)を有するタンパク質のことを指す。野生型(WT)BSPは、一方または両方の末端での天然のキャッピング特徴物および/または構造不規則性によって、アミロイド凝集(クロスβ線維を生じる末端間重合)が妨げられている。改変された際にアミロイド線維を形成するアミロイド非形成性WT-BSPの例には、一面(one-sided)不凍化タンパク質(チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)AFP-Protein Database (PDB) アクセッション番号1EZG)、二面不凍化タンパク質(トビムシ(Snow Flea)AFP-PDB 2PNEおよび3BOI)、ライグラスAFP(PDB-3ULT)、三面「II型」左巻きβヘリックスソレノイド不凍化タンパク質、例えばトウヒノシントメハマキ由来のもの(PDB 1M8N)、三面細菌酵素(PDB 1LXA、1FWY、1G95、1HV9、1J2Z、1T3D、1THJ、1KGQ、1MR7、1SSM、2WLC、3R3R、1KRV、3EH0、3Q1X、3BXY、3HJJ、3OGZ、4M98、4IHH(アシルトランスフェラーゼ、γクラスカルボニックアンヒドラーゼおよびホモログ)、三面モータータンパク質サブユニット(例えば、PDB 3TV0)、ブタコレラ菌(Salmonellae cholera)由来の三面「I型」左巻きβヘリックス酵素ydcK(2PIG)、四面タンパク質(PDB 2BM6、2W7Z、2J8I)、四面ペンタペプチド反復タンパク質(2G0Yおよび3DU1)、およびIXATが含まれる。当業者は、これらのタンパク質のそれぞれの全配列が、Protein Databaseから入手可能であることを認識しているであろう。
本発明は、穏和な条件下での材料の自己集合のための、プログラム可能なナノスケールでの構造精度を可能にする、アミロイド設計のための新たなアプローチを提供する。本発明は、天然のβソレノイドタンパク質(BSP)を用いる。これらのタンパク質は、N末端から左巻きまたは右巻きのいずれかでらせん状に曲がってβシートを形成し、かつ一辺1.5〜2nmの規則正しい幾何構造(三角形、長方形など)を有する骨格を有する。WTタンパク質は、一方または両方の末端での天然のキャッピング特徴物および/または構造歪みによって、アミロイド凝集(クロスβ線維を生じる末端間重合)が妨げられている。本発明では、これらのタンパク質から線状重合体(アミロイド)を作製するために必要な改変、測定値との比較用に構造安定性および幾何学的特性を評価するために用いた分子シミュレーション、ならびに操作されたタンパク質の発現およびフォールディングのためのプロトコールを述べる。ここに示すように、精製およびフォールディング後に正しいモノマー構造を得ることができ、アミロイド線維を高温でのインキュベーションによって生成させることができ、線維形成の動態は、他のアミロイド重合反応よりも速度が幾分上回るものの、それらと一致している。これらの結論は、円二色法(CD)、チオフラビン-T(ThT)蛍光、動的光散乱(DLS)、濁度の測定、および原子間力顕微鏡(AFM)によって裏づけられている。
本発明の改変されたBSPは、ネイティブ性βシート構造に干渉することのない、ナノテクノロジーにおける官能化のための優れたプラットフォームを提供する。例えば、面積の大きい面とそれらの設計可能な長さが相伴うことにより、原理的には、秩序のある異種混交的ナノ粒子アレイが成長するように、複数の種類のナノ粒子に対するナノ粒子結合ペプチドを支えることができる。さらに、同一のナノ粒子結合ペプチドのスタッガード配置を用いて、ナノ粒子のアスペクト比を制御することもできる。1つの面がナノ粒子のテンプレート用に用いられるにもかかわらず、別の面を表面との結合のために、または線維の設計された側方集合を確実に行わせるために用いることができる。対照的に、小型のアミロイド形成性ペプチドに基づく戦略では、このレベルの官能化多様性は直ちには得られない。
本発明の実施において、当業者は、本明細書中に引用された文献を含む、スカフォールドをいかにして設計して合成するかに関する手引きとなる技術文献を参照することができる。例えば、本発明はmBSPスカフォールドに関するものの。上記のmBSPを、いくつかのナノ材料の結びつきおよび特異的空間配置のためのスカフォールドとして機能するように操作することができる。所望の特性を持つナノ材料を調製するためにタンパク質スカフォールドを用いる方法は公知である(例えば、米国特許第8,201,724号、および第US2009/0194317号)。本発明のスカフォールドの概略図は図1に示されている。
分子動力学シミュレーション
設計された両方のペプチドの分子動力学シミュレーションはすべて、U C Davisにある本発明者らの特別仕様のSTRIDER GPUクラスターにて、AMBER 12パッケージ36を用いて行った。ff12SBパラメーターセットを、0.002psの時間ステップ、および水素原子に対する完全に拘束された結合とともに使用した。水性ペプチド環境は、周期的境界条件(PBC)を有する長い角ボックスの中にある定圧のTIP3P水を用いて明示的にシミュレートした。長い線維状マルチマーをシミュレートする上では、一貫した溶媒環境を常に維持しながら、計算量を節減する(極めて大きな溶媒和の形状を省く)ために、新規適合ボックスアルゴリズムを使用した;(i)高分子(溶質)の最小ペアワイズ距離を、特に回転ドリフト(rotational drift)を予期しながら、その周期的画像のすべてを用いて定期的に再計算した。(ii)この距離が15Åというカットオフ未満に減少した場合には、あらゆる溶質原子から、この距離よりも隔たっている水を取り除いた;溶質および近傍の水を新たな角ボックスにおいて再配向させ、ここでボックス境界はあらゆる溶質原子から少なくとも20Å隔たっているとした;かつ、このボックスを、固定圧力での適切な密度のTIP3P水で再び溶媒和させた。(iii)新たな周期的ボックスにおける外殻水の再平衡化に順応するピコ秒規模の期間を受け入れた上で、シミュレーションを再開した。SBAFP-m1線維およびRGAFPm2線維に関するシミュレーションは、Langevinサーモスタットについて5つの異なる乱数シードを用いて20nsにわたって行った。
pET28a中にあるSBAFP-m1遺伝子およびRGAFP-m1遺伝子を、Life Technologies(Grand Island, NY)から調達した。タンパク質を大腸菌BL21(DE3)細胞において発現させた。SBAFP-m1については、1 L培養物を一晩培養物に接種して、OD600が0.9〜1.0に達するまで37℃で増殖させた。培養物を氷上で30分間冷却し、その後にイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度1mMとして添加した。タンパク質発現を30℃で3時間かけて進行させ、細胞を遠心処理によって収集した上で、溶解用緩衝液(50mM Tris-HCl、pH 8.0、100mM NaCl、5mM EDTAおよび0.5% Triton X-100)中に再懸濁させた。細胞を超音波処理によって溶解させて、可溶性画分と不溶性画分を遠心処理によって分離した。不溶性封入体は、Triton X-100および遠心処理を用いない溶解用緩衝液中での反復超音波処理を合計4回行うことによって精製した。精製された封入体を、フォールディング用緩衝液(100mM Tris、50mMグリシン、pH 8.0)中に再懸濁させて、4℃の変性用緩衝液(100mM Tris-HCl、50mMグリシン、8.5M尿素、pH 8.0)中に滴加して一晩撹拌した。変性SBAFP-m1を、Fast Q Sepharose陰イオン交換カラム(GE Healthcare Lifesciences, UK)によって精製した。ローディング用緩衝液は50mM Tris-HCl、10mM NaCl、8M尿素、pH 8.0とし、溶出用緩衝液は500mM NaClを加えた点を除いて同じものとした。溶出には直線的勾配を用いた。精製されたSBAFP-m1を、分子量カットオフが3500DaのAmicon遠心分離デバイス(EMD Millipore, Germany)を用いて濃縮した。精製され濃縮されたSBAFP-m1を、分子量カットオフ3000Daの透析膜を用いる尿素から0.1M Tris-HCl、pH 8.0、4℃中への段階的透析によってリフォールディングさせた。毎日、尿素の濃度を1Mずつ、それがゼロに達するまで減少させた。
0.1M Tris-HCl、pH 8.0中にある濃度70μMの精製SBAFP-m1をEppendorfチューブに移し、線維形成を促進するために37℃でインキュベートした。PBS pH 7.4中にある濃度98μMの精製RGAFP-m1を、さらなる分析のためにEppendorfチューブ内で37℃でインキュベートした。
ThT蛍光は記載されている通りに測定した45, 67。ThT原液を、ほぼ2mgのThT(Sigma-Aldrich)を2mLのPBS、pH 7.4に溶解させることによって調製し、0.22μmフィルターを通して濾過した。原液濃度は、416nmでの吸光係数26,620M-1cm-1を用いて決定した。500μMのThT使用液を原液から調製した。アッセイのために、SBAFP-m1が最終濃度5μMとなり、ThTが最終濃度10μMとなるようにPBS、pH 7.4中に添加した。450nmでの励起により、発光スペクトルを465nmから565nmまで測定した。アッセイのために、RGAFP-m1以外のすべてのタンパク質濃度が最終濃度5μMとなり、ThTが最終濃度10μMとなるようにPBS、pH 7.4中に添加した。インキュベーション後のタンパク質の損失を理由として、RGAFP-m1は最終濃度1.8μMとなるように添加した。RGAFP-m1に関するThTデータは、濃度の減少に対して正規化した。
タンパク質二次構造をCDを用いて分析した。SBAFP-m1については、スペクトルは、25℃の1cmセル内、10mMリン酸ナトリウム、pH 7.4中での、190nm〜200nmは0.02mg/mL試料についての、200nm〜300nmは0.2mg/mL試料についての、濃度に関して正規化した組み合わせとする。スペクトルを、OLIS DSM 20装置を用いて高電圧に比例するスキャン速度で収集した。報告されたスペクトルは5回のスキャンの平均である。RGAFP-m1については、スペクトルは、経路長1mmのセル内で、10mMリン酸ナトリウム、pH 7.4、25℃中にて0.2mg/mL試料として求めた。
DLS測定は、Zetasizer NanoS(Malvern Instruments, Worcestershire, UK)を用いて行った。DLS測定のための試料調製は、13,000×g、5分間の遠心処理による清澄化からなった。タンパク質濃度は、PBS pH 7.4中にほぼ1mg/mLとした。測定は、事前の試料処理に応じて4℃または37℃のいずれかで行った。タンパク質の屈折率1.450および水の屈折率1.330を用いた。報告された各値は、それぞれが300秒間継続する10回の取得の平均である。これらの10回の試行の平均および標準偏差を報告している。
(A)試料調製.8.0mm×8.0mm×0.5mmの白雲母の小片を切り出し、複合エポキシ接着剤(5 Minute Epoxy, ITW Performance Polymers and Fluids, FL, USA)を用いて、標準的な顕微鏡スライド上にマウントした。タンパク質沈着の前に、雲母の最上層を機械的に剥がして、新たな(0001)表面を露出させた。SBAFP-m1または野生型WT SBAFPについては、Tris緩衝液(100mM、pH 8.0)中にある20μlの試料を、新たに露出された雲母(0001)表面上に沈着させた。5分間のインキュベーション後に、弱く結合したタンパク質および線維を除去するために、表面を200μlのTris緩衝液(100mM、pH 8.0)で3回洗浄した。試料をTris緩衝液中にて直ちに画像化した。RGAFP-m1またはWT RGAFPに対する試料調製は同様のプロトコールに従って行ったが、表面コーティングおよび画像化媒質の点は異なる。新たに劈開させた雲母(0001)表面を、80μlの0.1%(w/v)ポリ-L-リジン(Sigma P8920、MW 150〜300kDa)を表面に滴下し、5分間インキュベートして、続いてMilliQ水で洗浄することによって、ポリ-L-リジンでコーティングした。タンパク質沈着の前に、表面を清浄空気によって乾燥させた。試料の画像化は周囲条件下で行った。
0.1M Tris-HCl pH 8.0中にあるモノマー試料(10μM)を、15mL蓋付きプラスチック製遠心管の中で4℃に保ち、250rpmで振盪しながら37℃でインキュベートすることによって重合を開始させた。さまざまな時点で、管をボルテックスミキサーで均質化し、300nmでの吸光度(濁度)、DLS、およびThT蛍光による分析のために試料を取り出した。ThT分析の前に、試料を12,000×g、室温で5分間遠心処理した。可溶性上清および再懸濁させた不溶性沈殿物を、上記のようにThTによって別々に分析した。上清中の可溶性タンパク質濃度は、ThTアッセイに用いる前に280nmでの吸光度によって測定した。
例えば、ナノワイヤー成長のテンプレート作用19, 20のように、操作を目的として文献中で用いられているほとんどのアミロイド線維は、特定条件下でアミロイド線維を形成することが公知である天然のタンパク質またはペプチドである。例えば、以前に、ナノワイヤーは、自己集合することが判明しているサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のプリオン変異体上に成長しており19、さらにはアルツハイマー病のβアミロイドジフェニルアラニンペプチド上にも成長している20。これらの例および文献中のさまざまな他の例22では、天然のアミロイド線維を利用している。他のグループによるアプローチでは、過酷な条件(例えば、濃塩酸による高温での数日間にわたる処理23)を用いて、リゾチームのように本来はアミロイド非形成性であるタンパク質から自己集合したアミロイド線維を生成させている30。自己集合することが既に判明している天然のペプチドを用いること、またはタンパク質を過酷な条件に曝露させることの代わりに、本発明者らはここで、天然のクロスβ構造を有する本来はアミロイド非形成性であるタンパク質を、穏和な条件下で容易に自己集合してアミロイド線維となるタンパク質にさせるという合理的設計の考え方を提唱する。
(A)トウヒノシントメハマキの不凍化タンパク質.ここでは、一次元線維を人工的に作製するために、トウヒノシントメハマキ由来のβソレノイド不凍化タンパク質(SBAFP;PDB entry 1M8N)31のアイソザイム501を用いた。ポリペプチド骨格はヘリックスの長軸の周りに三角形状になっている(図1)。構造的に相同である2PIG PDB entry(図3)は、左巻きβソレノイドスカフォールドが三角形スカフォールドの頂端での置換に耐性があり、それ故に材料の人工的操作に対して頑強である可能性が高いことを示している。
設計されたタンパク質を、AMBER 1236スイートを用いて、定圧および温度(25℃)での20nsにわたるMDシミュレーションを用いて試験した(方法の項参照)。個々のモノマーおよびより長い11単位マルチマーの両方を、MDシミュレーションにおいて安定性に関して分析した。モノマーのシミュレーションにより、特に末端での配列の改変に関連した、各デザインの固有の安定性を判定した。懸念事の1つは、新たな立体的および静電的な相互作用がβヘリックスモチーフの局所不安定性を招き、それが重合の妨げになる恐れがあるというものであった。SBAFP-m1の場合には、モノマーのシミュレーションにより、理想的なモチーフのデレジストリ(de-registry)または層分離が起こっている可能性がある、プロキシとして用いて同一な90残基セグメントを融合させた新規なモノマー間境界面の存立可能性についても調べた。
SBAFP-m1およびRGAFP-m1の両方について、大腸菌用にコドンが最適化された遺伝子を、Life Technologiesから調達した。SBAFP-m1変異体は大腸菌BL21(DE3)においてpET28aベクターから良好に発現されたものの、ほぼ完全に封入体(IB)内にあることが見いだされた。このタンパク質を、反復的なIB洗浄、8.5M尿素中での変性、および陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製のプロトコール(方法の項参照)38を用いて精製した。精製されたアンフォールディングしたタンパク質を、透析を介した段階的尿素除去によってフォールディングさせてそのネイティブ状態にした。一般に、増殖培地1リットル当たり収量30〜40mgの純タンパク質が得られた。タンパク質を精製してリフォールディングさせた上で、それを37℃のインキュベーターに入れて線維形成を行わせた。天然SBAFPの発現は、文献上の手順に、方法の項に詳述した若干の変更を加えたものに従って行った33。
(A)質量分析法.SBAFP-m1の算出分子質量は、N末端Metを有する場合は19,397Daであり、それがない場合は19,265Daである。ESI-MS分析では、望まれた通り、N末端Metを有しないタンパク質に対応する19,267±4.8Daという分子量が得られている。SBAFP-m1をSDS-PAGEで泳動させた場合の見かけの分子量は20kDaである。
SBAFP-m1による線維の形成を、37℃での48時間および3週間のインキュベーション後に分析した。37℃での48時間後に、AFM画像化によって判明したように、タンパク質は集合して線維になっていた(図10A)。これらの線維は枝分かれもバンドル化も示さず、長さはほぼ1〜7μmである。拡大(図10Aの挿入図)により、1.5〜3nmという正確な高さ決定が可能になるが、大部分は2.5〜3nmである。SBAFP-m1とは対照的に、WT SBAFPは同様の条件下で明確な線維を生じない。その代わりに、これはアーチ状の集合物(長さ40〜150nm)および無定形の凝集物(図10B中の赤の矢印を参照)を形成する。WT SBAFPモノマーの高さは1nmである(図10Bの挿入図を参照)。
線維形成の動態を、SBAFP-m1について追跡した。37℃での重合開始前の4℃での試料に対するDLS測定値は、モノマーが存在する唯一の種であることを示している。37℃でのインキュベーションでは10分以内にモノマーが完全に消失し、より大きな種によって置き換えられる。より大きなポリマーの形成を、300nmでの濁度によってモニターした。経時的推移を図12に提示している。遅滞期がデータによって示されており、単純な指数モデルでは適合不良である。データを、Ferrone52によって提示されたフレームワークにおいて分析した。SBAFP-m1の12段のクロスβ構造を考慮して、本発明者らは、臨界核サイズが1であり、そのため重合核の初期濃度はタンパク質の初期濃度に等しいと仮定した。これにより、式1に提示された重合動態に関する単純化された表現が導かれる:
y=1-sech(k+・M0・t)(1)
式中、k+は重合に関する正方向実効速度定数であり、M0はモノマーの初期濃度であり、tは時間である。この式はFerroneの核形成線状重合式52に対する新たな解析解から来ており、そのさらなる詳細は別所に提示されるであろう。ここでの実効k+値により、本発明者らは、本発明者らが、PolyQ凝集53に関して議論されているような、線維の核形成のための異なる稀なモノマー配座の必要性といった核形成効果を明示的に説明するつもりがないことを意味している。
結論として、本発明者らは、2つのモノマー性野生型不凍化BSP(トウヒノシントメハマキおよびライグラス由来)を、CD、DLS、ThT蛍光およびAFM画像化によって立証されたように、AFMで観察された予想される高さプロファイルで、重合してアミロイド線維になるように操作することができることを示した。本発明者らの知る限り、既知の野生型アミロイド形成性タンパク質からBSP構造が生じるはずであるという推測はあったにもかかわらず60-63、これは合成環境ではあるものの、大型のBSPモノマーからのアミロイド形成を初めて確かめたものである(本発明者らはここでは内部が密に充填された大型BSPに言及しているが、Het-S真菌プリオンはより開放的なβソレノイドアミロイド構造を形成することが知られている64)。
SEQ ID NO:1
SBAFP-m1のアミノ酸配列
SEQ ID NO:2
SBAFP-m1のアミノ酸配列
シアノセイス属種(Cyanothece Sp)51142由来の内腔ペンタペプチド反復タンパク質、鎖Aの分解能2.3Åでの結晶構造、正方晶形態
1.シアノバクテリウムCyanobacterium)ネンジュモ属種(Nostoc Sp.)Pcc 7120株によるヘテロシスト分化調節に関与するペンタペプチド反復タンパク質、鎖Xの分解能2.0Åでの結晶構造
2.組換えヒトαラクトアルブミン、鎖Aの結晶構造
3.ペレニアルライグラス、ホソムギ(Lolium Perenne)由来の氷結合タンパク質、鎖Bの結晶構造
4.ペレニアルライグラス、ホソムギ由来の氷結合タンパク質、鎖Aの結晶構造
5.ブタコレラ菌(Salmonella Cholerae)由来のYdck、鎖Bの分解能2.38Aでの結晶構造。Northeast構造ゲノミクス標的Scr6
6.ブタコレラ菌由来のYdck、鎖Aの分解能2.38Aでの結晶構造。Northeast構造ゲノミクス標的Scr6
7.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖A
8.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖B
9.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖C
10.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖D
Claims (35)
- 複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含むアミロイド線維。
- mBSPモノマーが不凍化タンパク質に由来する、請求項1記載のアミロイド線維。
- 不凍化タンパク質がトウヒノシントメハマキ(spruce budworm)不凍化タンパク質である、請求項2記載のアミロイド線維。
- mBSPがSEQ ID NO:1に示された配列を有する、請求項3記載のアミロイド線維。
- 不凍化タンパク質がライグラス(rye grass)不凍化タンパク質である、請求項1または2記載のアミロイド線維。
- mBSPがSEQ ID NO:2に示された配列を有する、請求項5記載のアミロイド線維。
- mBSPが、アミロイド凝集を妨げるエンドキャップを除去するように改変されている、請求項1または2のいずれか一項記載のアミロイド線維。
- 線維の、固体支持体、ナノ粒子、生体分子、または第2のアミロイド線維への付着を促進する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むように改変されている、前記請求項のいずれか一項記載のアミロイド線維。
- 固体支持体、ナノ粒子、生体分子、または第2のアミロイド線維に付着した、前記請求項のいずれか一項記載のアミロイド線維。
- ナノ粒子が金属、半導体材料、金属酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項9記載のアミロイド線維。
- 生体分子が酵素である、請求項9記載のアミロイド線維。
- ナノ材料を形成させる方法であって、
(a)複数のナノ粒子を、複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含む少なくとも1つのアミロイド線維を含むスカフォールドとカップリングさせる段階;および
(b)ナノ材料を形成させるためにナノ粒子を融合させる段階、
を含む、方法。 - 複数のナノ粒子をmBSPスカフォールドと接触させる段階の前に、スカフォールドを固体支持体に付着させる段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
- スカフォールドが段階(b)の前に実質的に除去される、請求項12または13記載の方法。
- スカフォールドが段階(b)の間に実質的に除去される、請求項12または13記載の方法。
- ナノ粒子が結晶性である、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
- ナノ粒子が半導体材料、金属、金属酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
- ナノ材料がナノワイヤーである、請求項12〜17のいずれか一項記載の方法。
- mBSPモノマーが不凍化タンパク質に由来する、請求項12〜18のいずれか一項記載の方法。
- 不凍化タンパク質がトウヒノシントメハマキ不凍化タンパク質である、請求項19記載の方法。
- mBSPがSEQ ID NO:1に示された配列を有する、請求項20記載の方法。
- 不凍化タンパク質がライグラス不凍化タンパク質である、請求項19記載の方法。
- mBSPがSEQ ID NO:2に示された配列を有する、請求項22記載の方法。
- 請求項12〜23のいずれか一項記載の方法によって作られるナノ材料。
- 複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含む少なくとも1つのアミロイド線維を含むスカフォールドであって、複数のナノ粒子と結合している、スカフォールド。
- ナノ粒子が結晶性である、請求項25記載のスカフォールド。
- ナノ粒子が半導体材料、金属、金属酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項25記載のスカフォールド。
- ナノ粒子が生体分子に連結されている、請求項25記載のスカフォールド。
- mBSPモノマーが不凍化タンパク質に由来する、請求項25〜28のいずれか一項記載のスカフォールド。
- 不凍化タンパク質がトウヒノシントメハマキ不凍化タンパク質である、請求項29記載のスカフォールド。
- mBSPがSEQ ID NO:1に示された配列を有する、請求項30記載のスカフォールド。
- 不凍化タンパク質がライグラス不凍化タンパク質である、請求項29記載のスカフォールド。
- mBSPがSEQ ID NO:2に示された配列を有する、請求項32記載のスカフォールド。
- 所定のパターンに並べられている、請求項25〜33のいずれか一項記載のスカフォールド。
- アミロイド線維が実質的に平行である、請求項34記載のスカフォールド。
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