JP2017503845A - 自己集合性βソレノイドタンパク質スカフォールド - Google Patents

自己集合性βソレノイドタンパク質スカフォールド Download PDF

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Abstract

本発明は、複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含むアミロイド線維を提供する。mBSPモノマーは自己集合を強化するように改変されており、種々の用途に有用である。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)(35 U.S.C. §119(e))の下で、2014年1月24日に提出された米国特許出願第61/931,485号の恩典を主張し、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
連邦政府による資金援助を受けた研究および開発の下で行われた発明に対する権利に関する申告
この研究は、全米科学財団(National Science Foundation)からの助成金(DMR-1207624およびDMR-0844115)による支援を受けた。米国政府は本発明において一定の権利を有すると考えられる。
発明の分野
本発明は、改変βソレノイドタンパク質モノマーから調製されたアミロイド線維に関する。モノマーは、種々の用途においてナノ粒子との結合および他の機能的要素のために用いられる。
発明の背景
ナノテクノロジーの重要な目標の1つは、環境に害を与えない溶媒中での室温での自己集合を介する、有用なデバイスおよび材料のボトムアップ式製造である。生体系には、タンパク質が一次元フィラメントとして成長し、その成長軸に対して垂直なβストランドを伴う、例えば、微小管1、ウイルスキャプシド2、細菌s層3、およびアミロイド線維4といったタンパク質構造の姿をとる、そのような自己集合の数多くの例がある。
DNAに基づくナノ構造スカフォールドのプログラム可能なデザインは驚くべきものであり5、秩序のある異種混交的アレイ、例えば、金属ナノ粒子6、タンパク質7、および半導電性ワイヤー8のテンプレートとすることが可能になる。しかし、これを発展させるには、a)それを産業利用の規模にすることの困難さ、b)DNA複製の誤り率の高さ、c)中程度の温度(ほぼ60℃)でのDNAスカフォールド/バンドルの変性、ならびにd)紫外光および酵素への曝露下での完全性の喪失9、e)広範囲にわたる官能基を保有する能力が極めて限られていること;f)三元構造および四元構造の点で維持可能性が限られていること、を含む技術上の障害がある。
Belcherらは、M13ウイルスを、多種多様な無機材料の自己集合のためのスカフォールドとして用いた。彼らの戦略は、特定材料のテンプレートとするために、コートタンパク質を、ファージディスプレイを通じて選択されたペプチドによって改変することに依拠している10。1つの例では、M13主要コートタンパク質を、FePO4ナノ粒子テンプレート活性を有するペプチドによってコーティングし、同時に、ウイルスの末端にある付着タンパク質を、カーボンナノチューブと接着することが知られているペプチドと融合させた11。ウイルスと鉄イオンおよびリン酸イオンを単層カーボンナノチューブとともにインキュベートすることにより、自己集合した作用陰極が生成された。しかし、M13アプローチにはいくつかの要因による制約がある:(a)ウイルスが大きい(M13は長さがほぼ1ミクロンに近い);(b)テンプレート部位がコートタンパク質に限られ、幾何学的形状がウイルスによって与えられるものに限定される;(c)ウイルスは液晶として規則的に配列されうるが、その規則配列はミクロン規模である;および(d)生成物がウイルススカフォールドに左右されるため、設計された構造を人工的に作ること、またはプログラムすることは困難である。それ故に、DNAを用いて達成されるような、正確でプログラム可能なナノスケール規模の規則的に配列された異種混交性は、実現可能でない。
アミロイド線維は、自己集合した一次元タンパク質アレイであり、直線軸に対して垂直なβストランドを伴う4。それらは、アルツハイマー病およびII型糖尿病を含む数多くの疾患における調節下にない自己集合、ならびにバイオフィルム細胞外マトリックス12、シナプス形成13、およびホルモンリザーバー製造14を含む調節下にある状況の両方において生じる。これらの線維は屈曲およびねじれ持続長がミクロン規模であり15,16、このことはクモ糸の顕著な引っ張り強さ17、およびフジツボのセメントの構造安定性18の一因となっている。それらは以前から金属ナノワイヤー成長のテンプレートとして用いられており19-21、機械的に強い配向フィルムを生産するためにも用いられている22
アミロイド構造は著しく頑強である。一般に、それらは水の沸点までの加熱に耐えることができるが23-25、この結果はモノマーのサイズおよび配列に依存性である。それらはプロテアーゼ分解26,27およびUV光曝露に対する耐性がある。今までのところ、アミロイドを集合させて著明なレベルの横断性規則配列が作られたことはなく、以上に提示した例以外の材料成長のテンプレートとされたこともない。場合によっては、繊維回折におけるさらなる散乱リングにより、線維の横断寸法および繊維軸に沿ったより長い周期的反復に関する情報が得られているものの29、横断性規則配列が存在しないという理由からX線回折を行って一般的なクロスβスタッキングを上回るものを明らかにすることが困難であるため28、アミロイド構造に関する系統的な理解もほとんど得られていない。
本発明は、複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含むアミロイド線維を提供する。モノマーは、不凍化タンパク質などの種々の源に由来してよい。mBSPモノマーは、例えば、アミロイド凝集を妨げるエンドキャップを除去することによって、自己集合を強化するように改変されている。また、mBSPが、線維と、固体支持体、ナノ粒子、生体分子(例えば、酵素)、細菌細胞もしくは真核細胞(この場合にはスカフォールドは組織成長のためのマトリックスとして用いられる)、またはさらなるアミロイド線維との付着を促進する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むように改変されてもよい。
本発明はまた、ナノ材料を形成させる方法も提供する。本方法は、(a)複数のナノ粒子を、複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含む少なくとも1つのアミロイド線維を含むスカフォールドと接触させる段階;および(b)ナノ材料を形成させるためにナノ粒子を融合させる段階を含む。本方法が、複数のナノ粒子をmBSPスカフォールドと接触させる段階の前に、スカフォールドを固体支持体に付着させる段階をさらに含んでもよい。ナノ粒子の性質は本発明にとって特に重要ではなく、達成しようとする所望の機能に基づいて選択することができる。
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つのアミロイド線維を含むスカフォールドを提供する。スカフォールドは典型的には、複数のナノ粒子と結合している。
定義
「βソレノイドタンパク質」(BSP)という用語は、タンパク質の長軸の周りをN末端からC末端の向きに左巻きまたは右巻きのいずれかでらせん状に曲がってβシートを形成する骨格を有し、かつ一辺1.5〜2nmの規則正しい幾何構造(三角形、長方形など)を有するタンパク質のことを指す。野生型(WT)BSPは、一方または両方の末端での天然のキャッピング特徴物および/または構造不規則性によって、アミロイド凝集(クロスβ線維を生じる末端間重合)が妨げられている。改変された際にアミロイド線維を形成するアミロイド非形成性WT-BSPの例には、一面(one-sided)不凍化タンパク質(チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)AFP-Protein Database (PDB) アクセッション番号1EZG)、二面不凍化タンパク質(トビムシ(Snow Flea)AFP-PDB 2PNEおよび3BOI)、ライグラスAFP(PDB-3ULT)、三面「II型」左巻きβヘリックスソレノイド不凍化タンパク質、例えばトウヒノシントメハマキ由来のもの(PDB 1M8N)、三面細菌酵素(PDB 1LXA、1FWY、1G95、1HV9、1J2Z、1T3D、1THJ、1KGQ、1MR7、1SSM、2WLC、3R3R、1KRV、3EH0、3Q1X、3BXY、3HJJ、3OGZ、4M98、4IHH(アシルトランスフェラーゼ、γクラスカルボニックアンヒドラーゼおよびホモログ)、三面モータータンパク質サブユニット(例えば、PDB 3TV0)、ブタコレラ菌(Salmonellae cholera)由来の三面「I型」左巻きβヘリックス酵素ydcK(2PIG)、四面タンパク質(PDB 2BM6、2W7Z、2J8I)、四面ペンタペプチド反復タンパク質(2G0Yおよび3DU1)、およびIXATが含まれる。当業者は、これらのタンパク質のそれぞれの全配列が、Protein Databaseから入手可能であることを認識しているであろう。
「改変βソレノイドタンパク質(mBSP)」(mBSPモノマー(monmer)とも称される)は、制御されたアミロイド自己集合を可能にする、遺伝子操作されたβソレノイドタンパク質のことを指す。当業者は、任意の所望の長さとなるようにmBSPモノマーを操作しうること、および特定用途に向けて適応させうることを認識しているであろう。1つの典型的な態様において、モノマーは少なくとも2段のβシート(約30〜36残基)を含み、より一般的には少なくとも3段(約45〜54残基)を含むと考えられる。βストランド面の典型的なサイズはベンドを含めて約3〜6残基であり、エッジのサイズは通常5〜8残基を上回ることはなく、約2〜3.2nmの範囲であると考えられる。当業者は、いくつかの改変を用いることで自己集合を可能にしうることを認識しているであろう。例えば、多くのBSPは、制御されたアミロイド自己集合を可能にするために除去することができるエンドキャップを含む。同様に、多くのBSPは、制御されたアミロイド自己集合を可能にするために除去を必要とするジスルフィド、バルジ(bulge)およびプロリンを含む。当業者は、任意の所与のBSPの三次元構造を利用して、所望の形状のmBSPを設計しうることを認識しているであろう。操作されたタンパク質のモデル化およびそれらの最終的特性の特徴づけのための手段は、当業者に周知である。これらの手順のための例示的な手法は、以下に詳細に記載される。mBSPの例には、SBAFP-m1(エンドキャップおよびジスルフィドが除去されたSBAFP)およびRGAFP-m1(バルジおよびプロリンが除去されたRGAFP)が含まれ、これらはいずれも以下にさらに詳細に記載される。
本発明のmBSPは、指定された機能的単位を特異的に保有するように、計画的な様式で官能化することができる。これには、所望の反応性を有する側鎖によるアミノ酸残基の置換が含まれる。いくつかの態様において、これらの残基はナノ粒子結合ペプチドの末端にあり、mBSPモノマーと連結されている。残基は、mBSPまたは線維の固体支持体、ナノ粒子、生体分子(例えば、酵素)、細菌細胞もしくは真核細胞(この場合にはスカフォールドは組織成長のためのマトリックスとして用いられる)、またはさらなるアミロイド線維との付着を可能にするように選択することができる。例えば、疎水性相互作用および/または塩架橋を強化する残基を含むように、mBSPモノマーを改変することができる。また、ペプチド結合化学、トレオニン結合、ジスルフィド架橋、またはヒスチジン側鎖の金属媒介キレート化を用いることもできる。当業者は、mBSPの異なる面にある側鎖構造を調整することによって、BSPスカフォールドの特定の幾何学的配置を可能にするプログラム可能な側方集合を達成しうることを認識しているであろう。mBSPの外部側鎖の改変を、ナノ粒子、ナノ粒子テンプレート分子、固体支持体との結合、または二次元もしくは三次元での特定の側方自己集合を可能とするために用いることができる。当業者は、そのような結合を可能にするいくつかの改変を認識しているであろう。
「アミロイド線維」という用語は、一次元タンパク質アレイにおいて末端同士を重合させる線維性タンパク質凝集物のことを指す。アミロイド線維は天然に形成されることもあれば、または本来はアミロイド非形成性であるタンパク質からそれらが生成されることもある。ここに示すように、合理的設計の考え方を用いて、天然のクロスβ構造を有する本来はアミロイド非形成性であるタンパク質(例えば、BSP)を、容易に自己集合してアミロイド線維となるタンパク質に変換することもできる。
「mBSPスカフォールド」という用語は、生体材料に基づく自己集合のためのプラットフォームとなりうる、mBSPモノマーを含む1つまたは複数のアミロイド線維の系のことを指す。
「不凍化タンパク質またはAFP」という用語は、ある種の変温生物、例えば、コリストネウラ属種(Choristoneura sp.)トウヒノシントメハマキガ(C. fumiferana)またはC.オキシデンタリス(C. occidentalis)、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)幼虫、および水の凝固点を非束一的に低下させるという一般的に知られている特性を有する植物などの体液中に見られるタンパク質のことを指す。本明細書で用いる場合、「不凍化タンパク質」は、天然の不凍化タンパク質に対してかなりの類似性を有するタンパク質配列を有し、かつ不凍化ポリペプチドの特性を保っている、化学合成された、または組換え生産されたポリペプチドである。いくつかの態様において、本発明の改変された不凍化タンパク質は、改変または改善された不凍化活性を有すると考えられ、その目的にも同様に用いることができる。
当業者は、多くの不凍化タンパク質がBSPであることを認識している。例えば、チャイロコメノゴミムシダマシ、トビムシ ライグラス、およびトウヒノシントメハマキに由来するもの。本発明において有用な不凍化タンパク質には、以下のPDBアクセッションに記載されたものが含まれる:3VN3_B、3VN3_A、4DT5_B、および4DT5_A。
「ナノ粒子」という用語は、少なくとも1つの寸法が100nm未満である微細粒子のことを指す。ナノ粒子の例には、ナノ材料前駆体、無機ナノ粒子、および触媒が含まれる。また、ナノ粒子を生体分子(例えば、DNA、RNA、または酵素などのタンパク質)とコンジュゲートさせることもできる。ナノ材料前駆体には、無機ナノ結晶などのナノ材料を形成する無機材料が含まれうる。また、ナノ粒子が、カドミウム、鉄、ニッケル、ラジウム、ウラン、コバルト、鉛、マンガンまたはヒ素と結合する能力を含む最適な金属結合能を有することもできる。本発明のナノ材料は、例えば、ドープ性であるか非ドープ性であるかを問わない半導体材料;金属材料:金属酸化物材料、および磁性材料などの材料を含むか、それらからなることができる。シリカおよびアルミナを含むさまざまな酸化物材料を用いることもできる。ナノ粒子には金属酸化物化合物を含みうる。金属酸化物には、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化イリジウム、酸化白金、酸化金、酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸化プラセオジム、酸化ジスプロシウム、酸化テルビウム、酸化サマリウム、酸化ルテチウム、酸化ガドリニウム、酸化イッテルビウム、酸化ユーロピウム、酸化ホルミウム、酸化スカンジウム、ウラン、ウラン化合物、トリウム、またはそれらの組み合わせが含まれる。以下に考察するように、これらの無機ナノ粒子から、スカフォールドの実質的な除去後に、融合した無機ナノ粒子から本質的になる本発明の無機ナノ材料を形成させることができる。
「同一な」またはパーセント「同一性」という用語は、2つまたはそれを上回る核酸またはポリペプチド配列(例えば、本発明の2つのmBSP、およびそれらをコードするポリヌクレオチド)の文脈において、同一であるか、または最大の対応関係が得られるように比較および整列を行った場合に、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかもしくは目視検査による測定で、同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドが指定のパーセンテージを有する、2つまたはそれを上回る配列または部分配列のことを指す。
「実質的に同一な」という語は、最大の対応関係が得られるように比較および整列を行った場合に、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いるかもしくは目視検査による測定で、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%または90〜95%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する、2つまたはそれを上回る配列または部分配列のことを指す。好ましくは、実質的相同性は、少なくとも約50残基の長さである配列の領域にわたって、より好ましくは少なくとも約100残基の領域にわたって存在し、最も好ましくは配列は少なくとも約150残基にわたって実質的に同一である。最も好ましい態様において、配列はコード領域の全長にわたって実質的に同一である。
配列比較のためには、典型的には1つの配列を、試験配列と比較するための参照配列として役立てる。配列比較アルゴリズムを用いる場合には、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。続いて、配列比較アルゴリズムが、プログラムのパラメーターに基づいて、参照配列を基準として試験配列のパーセント配列同一性を算出する。
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ・インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)により、または手作業によるアラインメントおよび目視検査によって実施しうる(概論については、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1995 Supplement) (Ausubel)を参照)。
パーセント配列同一性および配列類似性の決定のために適したアルゴリズムの例には、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムがあり、これらはそれぞれ、Altschul et al. ( 1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410およびAltschuel el al. (1977) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)に公開されている。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントを行った場合に何らかの正値の閾値スコアTと一致するかまたはそれを満たす、長さWの短いワードをクエリー配列中に同定することによって、高スコア配列ペア(HSP)を同定することを伴う。Tは近隣ワードスコア閾値と称される(Altschul et al., 前記)。これらの初期の近隣ワードでのヒットは、それらを含むさらに長いHSPを発見するための検索を開始するシードの役割を果たす。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加する限り、各配列の両方向に対して延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合にはパラメーターM(一致する残基対に対する報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて算出する。アミノ酸配列の場合には、累積スコアの算出にスコア行列を用いる。各方向へのワードヒットの延長は以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアが最大達成値に比べて量Xより低くなった場合:1つもしくは複数の負スコアの残基アラインメントの蓄積のために累積スコアがゼロまたはそれ未満になった場合;または配列のいずれかの端に達した場合。BLASTアルゴリズムのパラメーターであるW、TおよびXはアラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラムは(ヌクレオチド配列の場合)、デフォールトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4および両ストランドの比較を用いる。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムはデフォールトとしてワード長(W)3および期待値(E)10、ならびにBLOSUM62スコア行列を用いる(Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 (1989)を参照)。
パーセント配列同一性を算出することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列の間の類似性に関する統計分析も行う(例えば、KarlinおよびAltschul (1993)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムによって得られる類似性の指標の1つは最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率の指標となる。例えば、ある核酸は、試験核酸と参照核酸との比較による最小合計確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満の場合に、参照配列と類似しているとみなされる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるといるさらなる指標は、以下に述べるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して産生された抗体と免疫学的に交差反応することである。したがって、例えば、2つのペプチドが保存的置換のみの点で異なる場合、ポリペプチドは一般に第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるというもう1つの指標は、以下に述べるように、2つの分子またはその相補物がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
本発明のアミロイド線維スカフォールドの略図である。スカフォールドは、固体支持体と結合していて互いがナノ粒子結合ペプチドを通じてナノ粒子と結びついている一連のmBSPモノマーを含む。 野生型βソレノイドタンパク質の例を示している。PDB IDが以下にそれぞれ提示されている。2G0Y68および3DU169は四面ペンタペプチド反復タンパク質である。3B0I70は二面トビムシ不凍化タンパク質である。3ULT71は、本明細書中でRGAFPと略記される二面ライグラス不凍化タンパク質である。2PIG72は、ブタコレラ菌由来の三面「I型」左巻きβヘリックス酵素ydcKである。1M8N73は、本明細書中でSBAFPと略記される、トウヒノシントメハマキ由来の三面「II型」左巻きβヘリックスソレノイド不凍化タンパク質である。 SBAFP-m1の設計における諸段階を示している。(A)SBAFP野生型タンパク質は、赤で示されたC末端キャッピングモチーフを有する。これは除去されて、その結果、N末端およびC末端は引き合わされるとギャップレス境界面を形成する。システイン残基(左から2番目の空間充填部に示されている)はすべてセリンに変更され、それによりジスルフィド結合が消失した。2つのモノマーを融合させて、遺伝的および生化学的により管理しやすい、より大型のタンパク質を形成させた。最後に、2つのArg/Glu塩架橋の付加を含めて、モノマー-モノマー境界面を最適化を行った。(B)2つのSBAFP-m1タンパク質の間の最適化された境界面の拡大図。N末端およびC末端は塩架橋を形成し、境界面に配置された2つのArg/Gluペアも同様である。これらはボール・スティック表示で示されている。 (A)WT SBAFP(PDB entry 1M8N)とそれに由来するSBAFP-m1タンパク質(SEQ ID NO:1)との配列アラインメントを示している。SBAFP-m1の最初の半分(それ自体が2つの融合したモノマーで構成される)のみをアラインメントに用いた。最後に、1M8Nの21残基をSBAFP-m1の設計から欠失させ(SEQ ID NO:2)たが、最初のMetはアラインメントには示されていない。(B)WT RGAFPと、WT RGAFPと比較して合計3個の欠失および13個の突然変異を有するRGAFP-m1とのアラインメント。 RGAFP-m1の設計における諸段階を示している。(A)バルジを生じさせるN末端プロリンおよびアミノ酸(左の構造物において赤で表示)を欠失させた。次に、モノマー境界面にあるアミノ酸(中央の構造物において赤で表示)を、結合相互作用を最適化するために突然変異させた。(B)RGAFP-m1の末端間ダイマー境界面の拡大図。 線維シミュレーション中のβシート含有量と時間との関係を示している。(A)SBAFP-m1(B)RG AFP-m2。データは、それぞれにAMBER12シミュレーションスイートにおけるLangevinサーモスタットの乱数シードを用いる5回の異なる試行に対して平均した36。β含有量は、Ramachandranプロットのβシート領域内の残基をVMDを用いて算定することによって決定した37 SBAFP-m1(グレー)およびRGAFP-m2(黒)モノマーの高さプロファイルを示している。それぞれの場合に、束縛表面を上回る高さ最小値は、その表面に平行であってかつ接触している面を有することに対応する。最大値は、エッジとの線接触を有し、その結果、面が表面に対して垂直であることに対応する。 (A)10mMリン酸ナトリウム、pH 7.8中のSBAFP-m1、および(B)10mMリン酸ナトリウム、pH 7.8中のRGAFP-m1の円二色性スペクトルを示している。SBAFP-m1のスペクトルは経路長1cmのセル内で記録し、一方、RGAFP-m1については経路長0.1cmのセル内で記録した。いずれのスペクトルも、単一の最小値がほぼ220nmを示して、これは両方のタンパク質に関してほとんどがβシート二次構造であることを指し示す。 SBAFP-m1およびRGAFP-m1のThT蛍光分析を示している。(A)0.1M Tris-HCl、pH 7.8中での尿素濃度の関数としてのSBAFP-m1のThT蛍光アッセイ。緩衝液中の尿素濃度を徐々に低下させながら、それに対する試料の透析を8日間の過程にわたって行った。37℃でのインキュベーションはβシート構造の増加を招く。(B)4℃および37℃でのSBAFP-m1のThT蛍光と37℃のWT SBAFPとの比較では、WT SBAFPは37℃でのインキュベーション後でも482nmで低蛍光であった。(C)WT RGAFPとRGAFP-m1を比較するThTアッセイでは、WT RGAFPは4℃および37℃のいずれでも低蛍光であり、一方、RGAFP-m1は4℃で著明な蛍光を有し、それは37℃でのインキュベーションとともに、アミロイド線維の成長について予想された通りに増加した。アッセイに関して、最終タンパク質濃度はRGAFP-m1を除いてPBS、pH 7.4中に5μMとなり、ThTは10μMとなるようにした。RGAFP-m1は、37℃でのインキュベーション中のタンパク質の損失を理由として最終濃度1.8μMとなるように添加した。RGAFP-m1に関するThTデータは、濃度の減少に対して正規化した。 SBAFP-m1およびWT SBAFPのAFMトポグラフィー画像を示している。(A)48時間インキュベーション後のSBAFP-m1線維。挿入図は、より高倍率での線維(バー=200nm)を示している。高さプロファイルは、高さが1.5〜3.0nmの間でさまざまであることを示している。(B)WT SBAFPのAFM画像。細長い構造およびタンパク質凝集物(赤の矢印によって指し示す)が存在する。挿入図は、より高倍率の画像を示している(挿入図のバー=50nm)。高さプロファイルは、線維様構造の高さが2.0〜3.0nmであることを示している。(C)成熟した3週齢のSBAFP-m1線維。赤の矢尻は、SBAFP-m1線維の側方集合を指し示している。高さプロファイルは、さまざまな(3、8および10nm)高さを示している。挿入図は、平行配置または逆平行配置にあるSBAFP-m1線維を示している(バー=100nm)。(D)成熟SBAFP-m1線維の内部構造。この画像は、成熟線維が、一緒にバンドルになった少なくともおよそ4本の高さ3nmの個々の線維を含有することを指し示している。赤の線は、画像の下にプロットした高さプロファイルに対応する。挿入図は、SBAFP-m1のランダムに結びついた線維および線維バンドルを示している(バー=2μm)。 ポリ-L-リジンをコーティングした雲母(0001)表面上での、RGAFP-m1およびRGAFPのAFMトポグラフィー画像を示している。(A)RGAFP-m1の1μm×1μmのAFM画像。赤の線は、画像の下の高さプロファイルに対応する。RGAFP線維の高さは2.0nm前後である。高い特徴物(赤の矢印によって指し示す)は、RGAFP-m1モノマーの凝集物である可能性が高い。挿入図は、単一の線維に関する高さプロフィールを示している(バー=40nm)。(B)WT RGAFPの3μm×3μmのAFM画像。赤の線は画像の下の高さプロファイルに対応する。挿入図はより高倍率を示しており、個々の高輝度の特徴物が明らかに示されている。黒の矢印によって指し示されている赤の線は、高さ1nmと判明している雲母(0001)の単層幅である。 300nmでの濁度および溶液中の総可溶性タンパク質によってモニターした、SBAFP-m1線維形成の動態を示している。まず氷上に置いた10μM SBAFP-m1を含有する反応混合物を、37℃インキュベーターに入れ、250rpmで振盪して試料を混合状態に保った。さまざまな時点で反応混合物をボルテックスミキサーで均質化し、試料を取り出して濃度を測定した。これらの実験における終点濁度は1に極めて近かった。続いて不溶性タンパク質を除去するために試料を遠心処理して、可溶性タンパク質濃度を測定した。データは3回の独立した実験の組み合わせであり、Eq.1に対して適合化した。両方のタイプのデータから算出された重合の正方向速度定数は14±1 M-1 s-1である。
詳細な説明
本発明は、穏和な条件下での材料の自己集合のための、プログラム可能なナノスケールでの構造精度を可能にする、アミロイド設計のための新たなアプローチを提供する。本発明は、天然のβソレノイドタンパク質(BSP)を用いる。これらのタンパク質は、N末端から左巻きまたは右巻きのいずれかでらせん状に曲がってβシートを形成し、かつ一辺1.5〜2nmの規則正しい幾何構造(三角形、長方形など)を有する骨格を有する。WTタンパク質は、一方または両方の末端での天然のキャッピング特徴物および/または構造歪みによって、アミロイド凝集(クロスβ線維を生じる末端間重合)が妨げられている。本発明では、これらのタンパク質から線状重合体(アミロイド)を作製するために必要な改変、測定値との比較用に構造安定性および幾何学的特性を評価するために用いた分子シミュレーション、ならびに操作されたタンパク質の発現およびフォールディングのためのプロトコールを述べる。ここに示すように、精製およびフォールディング後に正しいモノマー構造を得ることができ、アミロイド線維を高温でのインキュベーションによって生成させることができ、線維形成の動態は、他のアミロイド重合反応よりも速度が幾分上回るものの、それらと一致している。これらの結論は、円二色法(CD)、チオフラビン-T(ThT)蛍光、動的光散乱(DLS)、濁度の測定、および原子間力顕微鏡(AFM)によって裏づけられている。
改変されたβソレノイドタンパク質
本発明の改変されたBSPは、ネイティブ性βシート構造に干渉することのない、ナノテクノロジーにおける官能化のための優れたプラットフォームを提供する。例えば、面積の大きい面とそれらの設計可能な長さが相伴うことにより、原理的には、秩序のある異種混交的ナノ粒子アレイが成長するように、複数の種類のナノ粒子に対するナノ粒子結合ペプチドを支えることができる。さらに、同一のナノ粒子結合ペプチドのスタッガード配置を用いて、ナノ粒子のアスペクト比を制御することもできる。1つの面がナノ粒子のテンプレート用に用いられるにもかかわらず、別の面を表面との結合のために、または線維の設計された側方集合を確実に行わせるために用いることができる。対照的に、小型のアミロイド形成性ペプチドに基づく戦略では、このレベルの官能化多様性は直ちには得られない。
1つの典型的な態様において、mBSPは、クロスβストランド(アミロイド)対形成性mBSPを通じての一次元成長を可能にするように改変される。タンパク質の外側および内側を、より効率的な生産が可能になるように改変することもできる。通常は、タンパク質単位を大腸菌(E. coli)におけるタンパク質の発現後に一次元に自己集合させて、その後に引き続いて細胞溶解、タンパク質の精製、変性および凝集を行って、一次元スカフォールドを作り出す。
いくつかの態様においては、所定の順序で自己集合させるために少なくとも2種類のmBSPモノマーを設計する。これは、例えば、第1のモノマーのN末端が第2のモノマーのC末端と接続するが、第1のモノマーの別のコピーのC末端とは接続しないように、モノマーの末端を改変することによって達成することができる。その結果得られる線維は、2種類のモノマーを所定の順序(例えば、A-B-A-B-A-B、またはA-B-C-A-B-C)で含む。
アミロイド線維の正確な分子質量は、質量分析などの標準的な手法を通じて検証することができる。正確なβ含有量は、円二色法などの手法を通じて決定することができる。アミロイド凝集は、480nmのチオフラビンT(ThT)蛍光の成長を標準的な手法に従って観察することによって確認することができる。
線維の長さは、例えば、温度を変化させること(例えば、5℃〜45℃の間で)、インキュベーションを行って超音波処理を行うこと、重合の阻害薬を添加すること、または緩衝液を改変することを含む種々のアプローチを通じて制御することができる。例えば、数ミクロンの線維を慣行的に生産することができる。または、より短い線維(例えば、100〜200nm)を、超音波処理(図8の右下のパネル)によって生成させることもできる。
改変されたβソレノイドタンパク質のスカフォールドとしての使用
本発明の実施において、当業者は、本明細書中に引用された文献を含む、スカフォールドをいかにして設計して合成するかに関する手引きとなる技術文献を参照することができる。例えば、本発明はmBSPスカフォールドに関するものの。上記のmBSPを、いくつかのナノ材料の結びつきおよび特異的空間配置のためのスカフォールドとして機能するように操作することができる。所望の特性を持つナノ材料を調製するためにタンパク質スカフォールドを用いる方法は公知である(例えば、米国特許第8,201,724号、および第US2009/0194317号)。本発明のスカフォールドの概略図は図1に示されている。
本発明は、自己集合して、ナノ粒子のテンプレート成長のための一次元、二次元、および三次元スカフォールドとなる、本発明のmBSPの能力を利用している。記載された例は、種々の状況に、例えば、光起電性、熱電性、触媒性および光触媒性デバイスを成長させるために用いることができる。
当業者は、本発明のアミロイド線維を、具体的な用途に応じて、任意の所望の所定のパターンで並べうることを認識しているであろう。例えば、線維を反復パターンで、および/または実質的に平行なパターンで並べることができる。いくつかの態様において、線維は指向性秩序(directional order)を伴うように構成される。
いくつかの態様において、スカフォールドと表面との結合は、上記に考察したテンプレート作用と類似の戦略を介して達成することができる。特に、結合は、以下によって達成することができる:(a)調製された表面を修飾するチオールと結合する、非酸化システインまたはリジン側鎖のイオウ化学;および(b)露出されたリジン側鎖を、調製された表面を修飾するカルボキシル基と連結させるためのペプチド結合化学。
ある特定の状況では、表面は、雲母、ケイ素、ガラスまたは透明伝導性酸化物、例えば、FTOまたはITOである。いくつかの態様において、表面は、ポリ-L-リジンをコーティングした雲母(0001)表面であってよい。
ある特定の状況では、官能化された基質には、アミノプロピルシラン官能基、カルボキシエチルシラン官能基、エポキシド官能基、もしくはアミン官能基およびカルボン酸官能基、またはそれらの組み合わせが含まれうる。ある特定の状況において、官能化された基質は正に荷電してよい。
上記のナノスケールテンプレートの態様を用いることで、融合モノマーのサイズおよび/または末端制御された線状凝集によって制御されるさまざまな間隔を有する、ナノスケール触媒の秩序のあるアレイの作製が可能になる。さらに、分子触媒モイエティーの元素実体および幾何学的配置を制御することによって、触媒性ナノ構造を開発することもできる。
上述のように、多種多様なナノ粒子を本発明のスカフォールドと結びつけることができる。ナノ粒子は、無機ナノ結晶などの所望のナノ材料を形成する前駆体無機材料であってよい。これらの無機ナノ粒子から、スカフォールドの実質的な除去後に、融合した無機ナノ粒子から本質的になる無機ナノ材料を形成させることができる。本発明のナノ材料は、例えば、ドープ性であるか非ドープ性であるかを問わない半導体材料;金属材料:金属酸化物材料、および磁性材料などの材料を含むか、それらからなることができる。シリカおよびアルミナを含むさまざまな酸化物材料を用いることもできる。典型的な態様において、本発明に従って調製されるナノ材料は、電気導体として電気を伝導するか、半導体であるか(本来的であるかまたはドーピングを介して)、光を透過させるか、磁性であるか、または技術的に有用な他の何らかの特性を有する。ナノ材料の他の特性には、強誘電特性、圧電特性、逆圧電特性、および熱電性特性が含まれる。
多くの態様において、ナノ材料は半導体である。半導体材料は当業者に周知であり、例えば、IV〜IV族(例えば、Si、Ge、Si(1-X)、Gex)、二成分III〜V族(例えば、GaN、Gap)、三成分III〜V族(例えば、Ga(As1-xPx))、二成分II〜VI族(例えば、ZnS、ZnSe、CdS、CdSe、CdTe)、二成分IV〜VI族(例えば、PbSe)、遷移金属酸化物(例えば、BiTiO3)、およびそれらの組み合わせを含む合金が含まれる。
ある特定の状況において、ナノ材料前駆体には金属酸化物化合物が含まれうる。金属酸化物には、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化イリジウム、酸化白金、酸化金、酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸化プラセオジム、酸化ジスプロシウム、酸化テルビウム、酸化サマリウム、酸化ルテチウム、酸化ガドリニウム、酸化イッテルビウム、酸化ユーロピウム、酸化ホルミウム、酸化スカンジウム、またはそれらの組み合わせが含まれる。
また、本発明のナノ材料は結晶性であってもよい。材料は1つまたは複数の結晶ドメインを有しうる。結晶相は、熱力学的に好適な結晶状態であるか、または熱力学的に好適ではないが融合前の結晶ナノ粒子の相対的配向によって拘束されている結晶状態であるかのいずれかであってよい。ナノ粒子は任意の様式で配向させることができる。例えば、ナノ粒子の結晶軸をmBSPスカフォールドの表面に対して配向させることができる。所望の結晶構造を達成するために、または多結晶構造を単結晶構造に変換するために、熱処理を変化させることができる。
1つの態様において、本発明は、本発明のmBSPを用いてナノ材料を作製する方法を提供する。1つの典型的な態様において、mBSPスカフォールドは、所定の空間配向(例えば、一次元または二次元)を有する。スカフォールドは、複数の結合部位をその長さ方向に、および/または各末端に含む。結合部位とは、所望のナノ粒子による結合を受ける部位のことである。結合部位は同じであっても異なってもよく、その結果、1つまたは複数のナノ材料前駆体が結合しうる。例えば、所定のパターンで自己集合する複数の異なるモノマーを用いることによって、複数の異なる結合部位を実現することができる。スカフォールド作用を受けた(scaffolded)前駆体組成物を形成させるために、ナノ材料前駆体をスカフォールドと接触させる。次に、所望の空間配向を有するナノ材料を形成させるために、スカフォールド作用を受けた前駆体組成物を処理する。
前駆体を処理する段階は、用いる材料に依存すると考えられる。多くの態様においては、当技術分野において公知であるように、熱処理段階が用いられる。また、処理の段階が、金属前駆体塩の化学還元を含んでもよい。スカフォールドは、処理の段階の前または後に除去することができる。一般に、反応および前駆体材料は、スカフォールドとの適合性がある必要がある。
熱処理段階のための温度および時間は、当技術分野において公知である。一般に、温度の選択に当たっては材料の融解温度およびアニーリング挙動が考慮されると考えられる。例えば、約100℃〜約1,000℃の温度を用いることができる。熱処理はナノ粒子前駆体を融合させて単一構造にするために用いることができ、スカフォールドを除去するために用いることもできる。温度は、所望の結晶相を実現するために選択することができ、それは低エネルギー相であってもよく、または高エネルギー相であってもよい。一般に、比較的高い温度(例えば、約500℃を上回る)は、スカフォールドが完全に除去されるのを確実にするために用いることができる。比較的低い温度(例えば、約300℃未満)は、スカフォールドを維持するために用いることができる。熱処理の時間は、当業者によって慣行的に決定されうる。好ましくは、熱処理の温度および時間は、酸化物形成などの望ましくない影響を減らしながら、ナノ粒子融合物に関して最適なバランスが実現されるように調整されうる。
本発明のスカフォールドは、種々さまざまな商業的用途に用いることができる。例えば、一次元スカフォールドは、ナノスケールでの電気伝導性または半導性を必要とする用途、例えば、燃料電池、薄膜電池、スーパーキャパシタ、光起電性デバイス、LED、化学センサーおよび生物学的センサーなどにおいて、ナノワイヤーを生産するために用いることができる。
光起電性デバイスの例では、本発明のmBSPアレイのテンプレート作用原理によって可能になるナノ粒子配向を有する多重励起光起電性デバイスを調製することができる。これらの態様では、デバイスを作製するために、デバイスの構成要素のそれぞれを、他の構成要素に対して正しい配向で正確に配置する。また、本発明のmBSP自己集合スカフォールドを、熱電デバイスを調製するために用いることもできる。末端制御された特異的テンプレート作用を使用することにより、一方の側にはn型ナノ粒子の、もう一方の側にはp型ナノ粒子のテンプレート作用を有する、加熱または冷却のための熱電ストリップのナノ粒子態様を作製することができる。
また、本発明のmBSP自己集合スカフォールドを、触媒デバイスのために用いることもできる。遷移金属酸化物を基にしたある種のコロイド状またはナノスケールの鉱質は、日光照射下で水を分解して水素を生成するといった、いくつかの反応に対する有効な触媒として役立つことが周知である。本発明のナノスケールテンプレート作用を用いて、当業者は、上記の融合モノマーのサイズおよび/または末端制御された線状凝集アプローチによって制御される、これらのナノスケール触媒の秩序のあるアレイを調製することができる。
また、本発明のスカフォールドを、(i)共存および(ii)固定化によって性能の改善が得られる、特異的酵素のアレイを作り出すために用いることもできる。例えば、一次元スカフォールド上にある3段階酵素経路は、スカフォールド上の酵素の特異的共存が確実に得られるように、経路内の各酵素を異なるモノマーと結びつけて、末端制御された線状凝集を用いることによって実現することができる。
また、スカフォールドを、環境状況での原子および分子の吸着のために用いることもできる。例えば、二次元および三次元mBSPスカフォールドを、(i)汚染された環境の修復のための重金属イオンのゲッタリング、および(ii)核燃料用途のための、海水からのウラン錯体およびトリウム錯体の抽出といった用途のために、環境状況で原子および分子の特異的吸着の核とするために用いることができる。また、スカフォールドを、炭酸カルシウムなどの鉱質の成長のテンプレートとなるように操作することもできる。本出願は、そのようなスカフォールドを、クラック強化剤(crack strengthener)として既存のセメント形成物に加えることを可能にする。
以下の実施例は、特許請求される発明を例示するために提供されるものであり、それを限定するものではない。
方法
分子動力学シミュレーション
設計された両方のペプチドの分子動力学シミュレーションはすべて、U C Davisにある本発明者らの特別仕様のSTRIDER GPUクラスターにて、AMBER 12パッケージ36を用いて行った。ff12SBパラメーターセットを、0.002psの時間ステップ、および水素原子に対する完全に拘束された結合とともに使用した。水性ペプチド環境は、周期的境界条件(PBC)を有する長い角ボックスの中にある定圧のTIP3P水を用いて明示的にシミュレートした。長い線維状マルチマーをシミュレートする上では、一貫した溶媒環境を常に維持しながら、計算量を節減する(極めて大きな溶媒和の形状を省く)ために、新規適合ボックスアルゴリズムを使用した;(i)高分子(溶質)の最小ペアワイズ距離を、特に回転ドリフト(rotational drift)を予期しながら、その周期的画像のすべてを用いて定期的に再計算した。(ii)この距離が15Åというカットオフ未満に減少した場合には、あらゆる溶質原子から、この距離よりも隔たっている水を取り除いた;溶質および近傍の水を新たな角ボックスにおいて再配向させ、ここでボックス境界はあらゆる溶質原子から少なくとも20Å隔たっているとした;かつ、このボックスを、固定圧力での適切な密度のTIP3P水で再び溶媒和させた。(iii)新たな周期的ボックスにおける外殻水の再平衡化に順応するピコ秒規模の期間を受け入れた上で、シミュレーションを再開した。SBAFP-m1線維およびRGAFPm2線維に関するシミュレーションは、Langevinサーモスタットについて5つの異なる乱数シードを用いて20nsにわたって行った。
βシート含有量は、ねじれ角φ-ψ(すなわち、-180°<φ<0°、-180°<ψ<-150°、および-180°<φ<0°、60°<ψ<180°)のRamachandranプロットの典型的なβシート二次構造領域内の残基数を算定するために、VMD37を用いることによってシミュレーション時系列から測定した。
AFM実験と比較するためのモノマーの高さプロファイルは、以下のようにして得た。まず、モノマーに固有のねじれを取り除くために、本発明者らはモノマーの一方の側にあるCα原子をある平面内に位置するように拘束し、AMBERスイート中にあるエネルギー最小化を用いて、この拘束された構造を緩めた。続いて、各モノマーを回転させて、その結果、そのらせん軸がx軸に沿って並ぶようにした。続いてモノマーをx軸回りに約10度の角度間隔で回転させた。各回転時に、z座標の高さ差異の最大値をらせん軸の長さ方向に沿って5A厚スラブに関して測定した。続いて、モノマーの長さ方向に沿ったこの高さの平均および標準偏差を得た。高さ測定には重原子のみを用いた。
タンパク質の発現、精製およびフォールディング
pET28a中にあるSBAFP-m1遺伝子およびRGAFP-m1遺伝子を、Life Technologies(Grand Island, NY)から調達した。タンパク質を大腸菌BL21(DE3)細胞において発現させた。SBAFP-m1については、1 L培養物を一晩培養物に接種して、OD600が0.9〜1.0に達するまで37℃で増殖させた。培養物を氷上で30分間冷却し、その後にイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度1mMとして添加した。タンパク質発現を30℃で3時間かけて進行させ、細胞を遠心処理によって収集した上で、溶解用緩衝液(50mM Tris-HCl、pH 8.0、100mM NaCl、5mM EDTAおよび0.5% Triton X-100)中に再懸濁させた。細胞を超音波処理によって溶解させて、可溶性画分と不溶性画分を遠心処理によって分離した。不溶性封入体は、Triton X-100および遠心処理を用いない溶解用緩衝液中での反復超音波処理を合計4回行うことによって精製した。精製された封入体を、フォールディング用緩衝液(100mM Tris、50mMグリシン、pH 8.0)中に再懸濁させて、4℃の変性用緩衝液(100mM Tris-HCl、50mMグリシン、8.5M尿素、pH 8.0)中に滴加して一晩撹拌した。変性SBAFP-m1を、Fast Q Sepharose陰イオン交換カラム(GE Healthcare Lifesciences, UK)によって精製した。ローディング用緩衝液は50mM Tris-HCl、10mM NaCl、8M尿素、pH 8.0とし、溶出用緩衝液は500mM NaClを加えた点を除いて同じものとした。溶出には直線的勾配を用いた。精製されたSBAFP-m1を、分子量カットオフが3500DaのAmicon遠心分離デバイス(EMD Millipore, Germany)を用いて濃縮した。精製され濃縮されたSBAFP-m1を、分子量カットオフ3000Daの透析膜を用いる尿素から0.1M Tris-HCl、pH 8.0、4℃中への段階的透析によってリフォールディングさせた。毎日、尿素の濃度を1Mずつ、それがゼロに達するまで減少させた。
pET20b中にあるWT SBAFP遺伝子は、Davies研究室から入手し、発表されているプロトコールに若干の変更を加えた上で発現させた33。手短に述べると、タンパク質を、LB中のBL21(DE3)大腸菌細胞において、細胞密度が600nmで0.9に達した時点でIPTG誘導を行うことによって発現させた。細胞を遠心処理によって収集し、10mM Tris-HCl、pH 9.0、1mM EDTAおよび10mM 2-メルカプトエタノールの溶解用緩衝液中に再懸濁させた。細胞を超音波処理によって破砕し、8M尿素を含有する溶解用緩衝液中で封入体を変性させ、4℃で一晩撹拌した。粗製変性SBAFPを、システインを還元状態に保つために10mM 2-メルカプトエタノールを加えた緩衝液を用いて、SBAFP-m1と同様に精製した。リフォールディング用の透析用緩衝液には2% w/vグリセロールを加えた。
RGAFP-m1タンパク質およびWT RGAFPタンパク質は、1L培養物を一晩培養物に接種して、OD600が0.9〜1.0に達するまで37℃で増殖させることによって発現させた。培養物を氷水浴中で20分間冷やし、その後にIPTGを0.5mMとなるように添加した。タンパク質発現は18℃で20時間続いた。細胞を遠心処理によってペレット化し、PBS、pH 7.4(10mMリン酸ナトリウム、138mM NaClおよび2.7mM KCl)中に再懸濁させて、その後に-80℃で凍結させた。凍結細胞ペレットを37℃で融解させ、細胞を溶解させるために10分間煮沸した。2時間の冷却期間の後に、RGAFP-m1を十分に超音波処理した。超音波処理した試料にDNAアーゼI(Worthington Biochemical Corp., Lakewood, NJ)を最終濃度1.6μg/mLとなるように添加し、40分間インキュベートした後に、100℃で10分間煮沸することによってDNアーゼIを熱失活させた。試料を4℃まで冷ました上で、PBS中にて6〜8kDa透析チューブ(Spectrum Labs, Irving, Texas)によって透析した。最終的な精製段階として、透析したタンパク質をFast Q Sepharose陰イオン交換カラム(GE Healthcare Lifesciences, UK)にローディングし、PBS pH 7.4によって洗浄した。溶出用緩衝液には0.5M NaClを加えた。タンパク質を含有する画分をプールし、PBS緩衝液中で透析した後に、線維形成のために試料を37℃でインキュベートした。
WT RGAFPの煮沸細胞溶解物を、10cm×1.5cmカラム内で結合用緩衝液(50mM Tris-HCl、0.5M NaCl、5mMイミダゾール、pH 7.5)によってあらかじめ平衡化したニッケル-NT A樹脂を用いて精製した。結合したWT RGAFPを10倍カラム容積の結合用緩衝液によって洗浄し、溶出用緩衝液(50mM Tris-HCl、0.5M NaCl、200mMイミダゾール、pH 7.5)によってタンパク質を溶出させた。タンパク質を含有する画分をプールし、PBS中にて6〜8kDa透析膜チューブによって透析した。RGAFP-m1およびWT RGAFPの両方のタンパク質濃度を、ビシンコニン酸(bicinchonimic acid)アッセイ(Thermo Scientific, Rockford, IL)を用いて決定した。
アミロイド線維の形成
0.1M Tris-HCl、pH 8.0中にある濃度70μMの精製SBAFP-m1をEppendorfチューブに移し、線維形成を促進するために37℃でインキュベートした。PBS pH 7.4中にある濃度98μMの精製RGAFP-m1を、さらなる分析のためにEppendorfチューブ内で37℃でインキュベートした。
チオフラビン-T蛍光アッセイ
ThT蛍光は記載されている通りに測定した45, 67。ThT原液を、ほぼ2mgのThT(Sigma-Aldrich)を2mLのPBS、pH 7.4に溶解させることによって調製し、0.22μmフィルターを通して濾過した。原液濃度は、416nmでの吸光係数26,620M-1cm-1を用いて決定した。500μMのThT使用液を原液から調製した。アッセイのために、SBAFP-m1が最終濃度5μMとなり、ThTが最終濃度10μMとなるようにPBS、pH 7.4中に添加した。450nmでの励起により、発光スペクトルを465nmから565nmまで測定した。アッセイのために、RGAFP-m1以外のすべてのタンパク質濃度が最終濃度5μMとなり、ThTが最終濃度10μMとなるようにPBS、pH 7.4中に添加した。インキュベーション後のタンパク質の損失を理由として、RGAFP-m1は最終濃度1.8μMとなるように添加した。RGAFP-m1に関するThTデータは、濃度の減少に対して正規化した。
円二色法
タンパク質二次構造をCDを用いて分析した。SBAFP-m1については、スペクトルは、25℃の1cmセル内、10mMリン酸ナトリウム、pH 7.4中での、190nm〜200nmは0.02mg/mL試料についての、200nm〜300nmは0.2mg/mL試料についての、濃度に関して正規化した組み合わせとする。スペクトルを、OLIS DSM 20装置を用いて高電圧に比例するスキャン速度で収集した。報告されたスペクトルは5回のスキャンの平均である。RGAFP-m1については、スペクトルは、経路長1mmのセル内で、10mMリン酸ナトリウム、pH 7.4、25℃中にて0.2mg/mL試料として求めた。
動的光散乱
DLS測定は、Zetasizer NanoS(Malvern Instruments, Worcestershire, UK)を用いて行った。DLS測定のための試料調製は、13,000×g、5分間の遠心処理による清澄化からなった。タンパク質濃度は、PBS pH 7.4中にほぼ1mg/mLとした。測定は、事前の試料処理に応じて4℃または37℃のいずれかで行った。タンパク質の屈折率1.450および水の屈折率1.330を用いた。報告された各値は、それぞれが300秒間継続する10回の取得の平均である。これらの10回の試行の平均および標準偏差を報告している。
原子間力顕微鏡
(A)試料調製.8.0mm×8.0mm×0.5mmの白雲母の小片を切り出し、複合エポキシ接着剤(5 Minute Epoxy, ITW Performance Polymers and Fluids, FL, USA)を用いて、標準的な顕微鏡スライド上にマウントした。タンパク質沈着の前に、雲母の最上層を機械的に剥がして、新たな(0001)表面を露出させた。SBAFP-m1または野生型WT SBAFPについては、Tris緩衝液(100mM、pH 8.0)中にある20μlの試料を、新たに露出された雲母(0001)表面上に沈着させた。5分間のインキュベーション後に、弱く結合したタンパク質および線維を除去するために、表面を200μlのTris緩衝液(100mM、pH 8.0)で3回洗浄した。試料をTris緩衝液中にて直ちに画像化した。RGAFP-m1またはWT RGAFPに対する試料調製は同様のプロトコールに従って行ったが、表面コーティングおよび画像化媒質の点は異なる。新たに劈開させた雲母(0001)表面を、80μlの0.1%(w/v)ポリ-L-リジン(Sigma P8920、MW 150〜300kDa)を表面に滴下し、5分間インキュベートして、続いてMilliQ水で洗浄することによって、ポリ-L-リジンでコーティングした。タンパク質沈着の前に、表面を清浄空気によって乾燥させた。試料の画像化は周囲条件下で行った。
(B)画像化.MFP-3D AFM(Asylum Research, Santa Barbara, California, USA)を用いてAFMを行った。ほとんどの画像は、表面に結合したタンパク質および線維に対する擾乱および損傷を最小限に抑えるために、ACモードまたはタッピングモードで取得した。典型的な設定値は当初の振幅の70%〜80%とし、スキャン速度は0.8〜1Hzとした。水性媒質中での画像化のためには、2種類のプローブを用いた。第1のものはBiolever Aカンチレバー(BL-RC150, Olympus, Japan)とした。その共鳴周波数(f)は、MFP3D AFMの組み込みソフトウェアによって決定した。ばね定数(k)は製造元によって提供された。典型的には、fはほぼ10kHzで、kはほぼ30pN/nmであった。2つ目の種類はMSNL Eカンチレバーであり(Brucker, USA)、fはほぼ11kHzで、kはほぼ100pN/nmであった。周囲(乾燥)条件下での画像化のためには、fがほぼ65〜75 kHzで、kが2.0N/mであるAC240カンチレバー(Olympus, Japan)を用いた。
線維形成の動態
0.1M Tris-HCl pH 8.0中にあるモノマー試料(10μM)を、15mL蓋付きプラスチック製遠心管の中で4℃に保ち、250rpmで振盪しながら37℃でインキュベートすることによって重合を開始させた。さまざまな時点で、管をボルテックスミキサーで均質化し、300nmでの吸光度(濁度)、DLS、およびThT蛍光による分析のために試料を取り出した。ThT分析の前に、試料を12,000×g、室温で5分間遠心処理した。可溶性上清および再懸濁させた不溶性沈殿物を、上記のようにThTによって別々に分析した。上清中の可溶性タンパク質濃度は、ThTアッセイに用いる前に280nmでの吸光度によって測定した。
結果および考察
例えば、ナノワイヤー成長のテンプレート作用19, 20のように、操作を目的として文献中で用いられているほとんどのアミロイド線維は、特定条件下でアミロイド線維を形成することが公知である天然のタンパク質またはペプチドである。例えば、以前に、ナノワイヤーは、自己集合することが判明しているサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のプリオン変異体上に成長しており19、さらにはアルツハイマー病のβアミロイドジフェニルアラニンペプチド上にも成長している20。これらの例および文献中のさまざまな他の例22では、天然のアミロイド線維を利用している。他のグループによるアプローチでは、過酷な条件(例えば、濃塩酸による高温での数日間にわたる処理23)を用いて、リゾチームのように本来はアミロイド非形成性であるタンパク質から自己集合したアミロイド線維を生成させている30。自己集合することが既に判明している天然のペプチドを用いること、またはタンパク質を過酷な条件に曝露させることの代わりに、本発明者らはここで、天然のクロスβ構造を有する本来はアミロイド非形成性であるタンパク質を、穏和な条件下で容易に自己集合してアミロイド線維となるタンパク質にさせるという合理的設計の考え方を提唱する。
タンパク質の設計
(A)トウヒノシントメハマキの不凍化タンパク質.ここでは、一次元線維を人工的に作製するために、トウヒノシントメハマキ由来のβソレノイド不凍化タンパク質(SBAFP;PDB entry 1M8N)31のアイソザイム501を用いた。ポリペプチド骨格はヘリックスの長軸の周りに三角形状になっている(図1)。構造的に相同である2PIG PDB entry(図3)は、左巻きβソレノイドスカフォールドが三角形スカフォールドの頂端での置換に耐性があり、それ故に材料の人工的操作に対して頑強である可能性が高いことを示している。
SBAFP-m1と名づけられた第1の操作されたタンパク質の合理的設計には大きく考慮すべき事項が2つあった。第1のものは途切れのない安定した末端間相互作用であり、第2のものは生化学的取り扱いの容易さであった。第1のものは以下のように対処され、それは図3に説明されている通りである。WT SBAFPのC末端にあるβヘアピン様キャッピングモチーフを除去して、βストランド配座にある簡潔なC末端を得た(図3A)。これには最後の21残基を削除することが必要であった。N末端は、SBAFPの結晶構造内に存在する最初の6アミノ酸を除去することによって改変した。N末端が不均一になるのを避けるために、SBAFP-m1配列の最初の2つのアミノ酸にはMet-Alaを用いた。大腸菌メチオニンアミノペプチダーゼは、2位のアラニンのような小型アミノ酸に対する強い選好性を有する32。このため、Met-Ala配列は、Metと異なる第2のアミノ酸との混合物が生じうる代わりに、N末端アミノ酸が均一にプロセシングを受けてAlaとなる可能性を高める。このデザインにより、図3Bに説明されているように、連続するモノマーのN末端とC末端との間に途切れのない境界面が得られる。
モノマー間の相互作用の安定性を高めるために、末端の境界面にさらに2つの塩架橋を配置した。これらは図3Bに説明されている。モデルで示されているように、末端間境界面は3つの塩架橋相互作用を含む:1つはN末端およびC末端アンモニウムとカルボン酸基との間、2つはArg/Glu側鎖ペアの間に導入される。これらは、モノマー間βシート水素結合と相伴うことで、以下でさらに述べるように、100℃で2ns、および25℃で20nsの試行というMDシミュレーションで境界面構造を安定に保つのに十分であることが立証されている。
WT SBAFPは合計で5つのジスルフィド結合を有する。これらはフォールディングしたタンパク質を疑いなく安定化するとはいえ、ジスルフィドは多くの場合、大腸菌における組換えタンパク質の高レベル発現およびそれらのその後の取り扱いという点では難点となる。しかしながら、大腸菌におけるWT SBAFPの組換え発現は以前に達成されており、本明細書でも再現されている(方法の項参照)33 が、発現レベルは高くはない。システインのすべてをセリンに置き換えるというモデル化は優れた立体的適合性を示し、水素結合相互作用によってジスルフィド結合が安定化する相互作用を一部置き換えることを可能にした。WT SBAFPとSBAFP-m1との間の欠失および突然変異の概要を示す配列のアラインメントを図4Aに提示している。分子動力学シミュレーションからも、CysからSerへの突然変異体が25℃で20nsにわたって安定であることが示された。このことから、CysからSerへの突然変異をデザインに残すことにした。システインを有しないデザインにも、将来の操作の取り組みにより、タンパク質の化学的に特異的な改変を可能にする特有のシステインの導入を用いうるという利点がある。
上記の改変により、90アミノ酸という相対的に小型のタンパク質が残された。タンパク質の組換え発現、精製、および官能化を容易にするために、90アミノ酸モノマーの2つを遺伝的に1つに融合させて、長さが180アミノ酸である単一の連続したタンパク質を得た。
(B)ライグラス不凍化タンパク質.図5に説明されているように、SBAFP-m1に対して用いたのと同じ基本的な設計の考え方を、ライグラス(ホソムギ(Lolium perenne))不凍化左巻きβソレノイドタンパク質(RGAFP、PDB entry 3ULT)34に対して、境界面を最適化するためのFoldIt35の追加とともに適用した。3つのβシート面がある三角形断面を有するSBAFPとは対照的に、RGAFPはβヘリックスの長軸方向に沿って長方形配置にある2つのβシート面を有する。その構造は、それぞれが1ターン当たり14〜15アミノ酸を含む8つのβシート段と、氷結合面にある極めて平坦な1つのβシートとを有する。最初の3つの段にはさらに1つのアミノ酸が存在し、タンパク質構造のN末端にバルジを生じさせる(図5A)。βヘリックスを規則正しくするために、これらのアミノ酸を除去した。結晶構造では欠落している残基1〜4を、RGAFP-m1と名づけられた設計されたタンパク質から削除した。さらに、重合に干渉する恐れのある残基5(Pro)をAlaに突然変異させたが、これはSBAFP-m1の設計の場合と同じく、均一なN末端をさらに助長する。
理想的な境界面を人工的に作製するために、ダイマーモデル(図5B)を用いた。残基Lys110は境界面形成を妨害すると思われ、それ故にAsnに突然変異させた。SBAFP-m1の設計の場合と同じく、Arg/Glu塩架橋を境界面に追加した。結合境界面でのモノマー間の相互作用をさらに強化するために、FoldIt35最適化を以下の通りに用いた。第1のモノマーの最後の16残基および第2のモノマーの最初の16残基を、最良のFoldItスコアが得られるように突然変異させた。これにより、境界面でのタンパク質の全体的荷電を大きく増加させる10種の突然変異がもたらされた。このように、図4Bに概要を示した合計13種の突然変異をデザインに組み入れた。分子動力学シミュレーションを用いるさらなる検討により、モデル化された境界面は25℃で20nsにわたって安定であることが示された。
分子動力学シミュレーション
設計されたタンパク質を、AMBER 1236スイートを用いて、定圧および温度(25℃)での20nsにわたるMDシミュレーションを用いて試験した(方法の項参照)。個々のモノマーおよびより長い11単位マルチマーの両方を、MDシミュレーションにおいて安定性に関して分析した。モノマーのシミュレーションにより、特に末端での配列の改変に関連した、各デザインの固有の安定性を判定した。懸念事の1つは、新たな立体的および静電的な相互作用がβヘリックスモチーフの局所不安定性を招き、それが重合の妨げになる恐れがあるというものであった。SBAFP-m1の場合には、モノマーのシミュレーションにより、理想的なモチーフのデレジストリ(de-registry)または層分離が起こっている可能性がある、プロキシとして用いて同一な90残基セグメントを融合させた新規なモノマー間境界面の存立可能性についても調べた。
11単位マルチマーのモデルを、理想的な線維の挙動を観察するためにも構築した。ここでは、10個のダイマー境界面の試料を、長いポリマー線維の巨視的な高次らせん傾向とともに、欠陥または不安定性に関して、同時に観察することができた。分子動力学シミュレーションにより、両方のデザインが20nsにわたって安定であることが実証された。このことを示すものは図6に見られ、そこで本発明者らは、SBAFP-m1線維およびRGAFP-m2線維について、シミュレートした線維のβシート含有量を経時的にプロットし、5回の異なる試行の平均値を求めている。後者はデザインの点で、実験的に試験を行ったRGAFP-m1と類似している。βシート含有量は、Visual Molecular Dynamicsプログラム(VMD)37内のRamachandranプロット(さらなる詳細については方法の項を参照)のβシート領域内のすべての残基を算定することによって求めた。理想的な三面構造の場合には、これによって80%というβシート含有量(15残基の段当たり12個のβストランド残基)が得られ、理想的な二面構造の場合には、70%(14残基の段当たり10個のβストランド残基)であった。モノマー形態は、分離またはほつれ(fray)が予想されうる末端配列セグメントに対応するものを含め、ネイティブ性βヘリックス接触をすべて保持していた。ポリマー線維のシミュレーションにより、すべてのダイマー境界面が完全に保たれていること、およびモデル構築過程におけるモノマードッキングでの不完全さが消失して途切れのないレジストリになったことが示された。
シミュレーションのもう1つの役割は、AFMトポグラフィー情報と比較するために、線維の考えられる高さプロファイルの分析を提供することにある。この変動は主として、タンパク質の三角形および長方形の断面に起因することに留意されたい。図7は、ねじれのないモノマーを用いて見いだされた、SBAFP-m1およびRGAFP-m2のモノマーに関する高さ曲線を示している。SBAFP-m1モノマーは2.25〜2.55nmの範囲にわたる平均高さを有し、一方、RGAFP-m2モノマーは1.6〜2.6nmの高さ変動を有する。
以上を総合すると、実験的な線維合成に先だって実施したシミュレーションにより、設計されたβソレノイドタンパク質が安定したアミロイド線維を形成し、過程の中にあったいくつかの中間的デザインを本発明者らが排除することが可能であるという、実験的知見が予見された。また、シミュレーションにより、観察された線維が所望の構造を有するという裏づけとなる証拠を与える、AFMデータとの比較のための重要な高さプロファイルも得られた。
タンパク質の発現、精製およびフォールディング
SBAFP-m1およびRGAFP-m1の両方について、大腸菌用にコドンが最適化された遺伝子を、Life Technologiesから調達した。SBAFP-m1変異体は大腸菌BL21(DE3)においてpET28aベクターから良好に発現されたものの、ほぼ完全に封入体(IB)内にあることが見いだされた。このタンパク質を、反復的なIB洗浄、8.5M尿素中での変性、および陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製のプロトコール(方法の項参照)38を用いて精製した。精製されたアンフォールディングしたタンパク質を、透析を介した段階的尿素除去によってフォールディングさせてそのネイティブ状態にした。一般に、増殖培地1リットル当たり収量30〜40mgの純タンパク質が得られた。タンパク質を精製してリフォールディングさせた上で、それを37℃のインキュベーターに入れて線維形成を行わせた。天然SBAFPの発現は、文献上の手順に、方法の項に詳述した若干の変更を加えたものに従って行った33
pET28a中にあるRGAFP-m1遺伝子およびpET24a中にあるWT RGAFP遺伝子を、大腸菌BL21(DE3)細胞において発現させた。10分間煮沸することによって全細胞を溶解させ、耐熱性RGAFP-m1およびWT RGAFPを可溶性画分中に放出させた。これに続いて2時間の冷却期間を置いて室温にしてタンパク質をリフォールディングさせて、4℃で保存した。図S1Bに示されているように、WT RGAFPの耐熱特性はRGAFP-m1でも保たれていた。増殖培地1リットル当たりほぼ10mgという収量で純RGAFP-m1が得られた。WT RGAFPについては、増殖培地1リットル当たりほぼ50mgという収量で純タンパク質が得られた。SBAFPの場合と同じく、線維成長を促進させるために、RGAFP-m1およびWT RGAFPの両方を37℃でインキュベートした。
分光学的特性決定
(A)質量分析法.SBAFP-m1の算出分子質量は、N末端Metを有する場合は19,397Daであり、それがない場合は19,265Daである。ESI-MS分析では、望まれた通り、N末端Metを有しないタンパク質に対応する19,267±4.8Daという分子量が得られている。SBAFP-m1をSDS-PAGEで泳動させた場合の見かけの分子量は20kDaである。
RGAFP-m1タンパク質の算出分子質量は、N末端Metを有する場合は11,410Daであり、それがない場合は11,279Daである。ESI-MS分析では、同じくN末端Metを有しない突然変異体に対応する11,280±2.8Daという分子量が得られている。RGAFP-m1をSDS-PAGEで泳動させた場合の見かけの分子量は25kDaである。
このMSデータは、生成されたタンパク質の配列が、設計されて安定性に関して検討されたものに正確に対応するという重要な裏づけを与えるものである。タンパク質の改変は検出されなかった。
(B)円二色法.SBAFP-m1のCDスペクトルは図8Aに提示されている。これはほぼ220nmに単一のピークを示しており、このことは主としてβシート構造であることを示唆する。オンラインのDichroWeb41サーバーにあるContin39 Set 440プログラムを用いたスペクトルのデコンボルーションにより、二次構造の含有量に関して以下の推定値が得られた:α-ヘリックスが4%、βシート/ターンが64%、およびランダムコイルが32%。図6によれば、シミュレーションではβシート構造が80%となっている。このことは、実験的な線維の安定性が、シミュレーションによって予想されたよりも幾分低いことを指し示している可能性がある。SBAFPモデルでは、YASARAによる算出で、α-ヘリックスはなく、βシートが89%、ターンが3%、コイルが8%であった。
RGAFP-m1に関するCDスペクトルは図8Bに提示されている。SBAFP-m1の場合と同じく、これはほぼ220nmに単一のピークを示しており、これは主としてβシート構造であることを指し示している。CONTIN-Set 4を用いたスペクトルのデコンボルーションにより、αヘリックスが2%、βシート/ターンが63%、およびランダムコイルが35%という二次構造の含有量が得られた。図6に示されているように、シミュレーションではβシートが72%となっている。RGAFPモデルでは、YASARAによる算出で、α-ヘリックスはなく、βシートが88%、コイルが12%であった。
二次構造の配分は、構造モデルとCDデコンボルーションとの間である程度よく一致した。CONTINソフトウェアによる二次構造の配分における平均誤差は、α構造についてはほぼ5%であり、β構造についてはほぼ10%であるものの42、これはタンパク質および分析に用いた最小波長に依存する43。拡張されたβシート形成に関するさらなる証拠を以下に提示する。
(C)チオフラビン-T蛍光.チオフラビン-Tは、ペプチドおよびタンパク質におけるアミロイドクロスβ構造の検出のために一般的に用いられる小分子である44,45。結合機序は十分には解明されていないが、βシートの外側に面する側鎖間の「チャンネル」内への結合、および/またはThTミセル形成のいずれかが関与すると考えられている46。経験的に、ThT蛍光は、それがクロスβ構造と結合した時に著しく変化する:溶液中に遊離しているThTと比較すると、βシート線維の存在下では励起極大が385nmから450nmにシフトし、発光極大は445nmから482nmに変化する47。この蛍光シフトは、ペプチドをβシート二次構造に関して、主にAβ(1-42)47、インスリン48、および免疫グロブリン軽鎖可変ドメインSMA49などに由来するものといったアミロイド線維について調べるために広く用いられている。
尿素濃度を徐々に低下させた溶液に対する段階的透析によるSBAFP-m1のリフォールディングの間に、各尿素濃度でのタンパク質試料を収集し、ThT蛍光に関して分析した。図9Aは、8M尿素から0M尿素までの尿素濃度、4℃でのSBAFP-m1のThT蛍光、および尿素の非存在下における37℃での24時間のインキュベーション後のSBAFP-m1のThT蛍光を示している。尿素濃度の減少に伴って、SBAFP-m1の482nmでの傾向の漸増がみられる;4℃でのインキュベーションが長時間であること(尿素8Mから0Mに変化するまでに合計8日間)を考慮すると、ThTシグナルの増加は部分的重合によって生じた可能性がある。
図9Bに示されているように、SBAFP-m1は4℃で弱いThT蛍光を生じ、これはバックグラウンドを有意に上回るとともに、WT SBAFPに関するものよりも大きかった。WT SBAFPと比較してSBAFP-m1からのシグナルが大きかったことは、4℃での段階的透析のために要した長い期間(8日間)中にわずかな度合いの重合が起こったことを意味する。このことは、透析による尿素の除去後にSBAFP-m1がフォールディングして予想されるβヘリックス構造になることのさらなる証拠となる。SBAFP-m1の37℃での24時間のインキュベーションは482nmでのThT蛍光を有意に増加させるが、このことは、より高いThT結合能を有するかまたはThTのスペクトル変化に対してより大きな影響を及ぼす、拡張されたβシート種の形成を指し示している。一般に、アミロイドを生じやすいタンパク質およびペプチドの高温でのインキュベーションはアミロイド線維形成を助長することが知られている50。37℃でのインキュベーション後のSBAFP-m1によるThT蛍光の増加は、4℃に保った同一の試料は24時間以上経っても同じ大きな増加を示さないことからみて、高温によって線維形成が促進されることを意味する(図9B)。以下に考察する動態試験によってこのことが確かめられる。
図9Cに示されているように、RGAFP-m1タンパク質は、WT RGAFPと比較して、482nmでのThT蛍光発光ピークが増加している。WT RGAFP試料の37℃でのインキュベーションはThT発光強度を変化させず、このことはWT RGAFPがアミロイド線維を形成しないことを示唆する。4℃に保ったRGAFP-m1は、37℃でのインキュベーション後の試料よりも強度は弱いものの、著明なThT蛍光を呈する;このことは比較的低い温度でのある程度の線維形成を示唆する。このことは、4℃試料中の凝集物に関する知見を示している、以下に考察するDLSデータも証拠となる。インキュベーション後に、482nmでの蛍光は大幅に増加し、SBAFP-m1で見られたのと同じパターンをたどる。このことは、βシート配座を有する長いアミロイド線維の形成を指し示している。WT RGAFPについては、4℃でも37℃でのインキュベーション後にも弱い蛍光しか認められず、このことはタンパク質テンプレートに加えられた変化が、制御された凝集を引き起こすことを指し示している。SBAFP-m1およびRGAFP-m1の両方についての線維形成は、以下に考察するように、DLSデータがさらなる証拠となる。
(D)動的光散乱.DLSでは溶液中に存在する種の流体力学的サイズを測定するが、これは自己集合の検査のための非破壊的方法である。DLSによる溶液中の種のサイズの測定は、線維のサイズ分布を特徴づける上でAFM画像化を補完する。
SBAFP-m1について、インキュベーションの前に行ったDLS測定では、試料のほぼ99.8%を占める見かけの流体力学的直径が6.6±1.4nmである種が示されており、残りは直径が59〜5560nmの間にあるわずかな種からなる。37℃での24時間のインキュベーション後には、6.6nmの種(非水和モデルでの回転運動による算出直径がほぼ4nmであることから、おそらくはモノマーと考えられる)は存在しない。見かけの直径が32±8および230±43nmであるより大きな種が存在する。したがって、SBAFP-m1は4℃ではわずかな程度で自己集合するが、一方、37℃での24時間のインキュベーション後にはモノマーは存在せず、より大きな種が存在する。
RGAFP-m1を用いた動的光散乱の結果からも、37℃でのインキュベーション後の線維の増加が示されている。インキュベーションの前には、試料は見かけの流体力学的直径が5.0±0.3nm(ほぼ98.7%)、28±4nm(ほぼ1.1%)および143±40nm(ほぼ0.2%)の種からなっていた。37℃でのインキュベーション後には、5nmにあるモノマーは存在せず、見かけの直径が268±48nmである種が試料全体を占めていた。37℃でのインキュベーション前の試料中に大きな種が少量存在したことは、SBAFP-m1の場合と同じく4℃での重合か、またはRGAFP-m1を精製してフォールディングさせた手順に起因すると考えられる。SBAFP-m1とは異なり、RGAFP-m1は、煮沸後に室温まで緩徐に冷却させることによって精製およびフォールディングを行った。この過程では、4℃およびより高温の両方で、新たにフォールディングしたタンパク質が重合を起こす時間が大幅に与えられる。
AFM画像化
SBAFP-m1による線維の形成を、37℃での48時間および3週間のインキュベーション後に分析した。37℃での48時間後に、AFM画像化によって判明したように、タンパク質は集合して線維になっていた(図10A)。これらの線維は枝分かれもバンドル化も示さず、長さはほぼ1〜7μmである。拡大(図10Aの挿入図)により、1.5〜3nmという正確な高さ決定が可能になるが、大部分は2.5〜3nmである。SBAFP-m1とは対照的に、WT SBAFPは同様の条件下で明確な線維を生じない。その代わりに、これはアーチ状の集合物(長さ40〜150nm)および無定形の凝集物(図10B中の赤の矢印を参照)を形成する。WT SBAFPモノマーの高さは1nmである(図10Bの挿入図を参照)。
SBAFP-m1の場合には、図10Cに示されているように、37℃での長期的(例えば、3週間の)インキュベーションは、線維のバンドルをもたらした。拡大像では、各バンドルの内部では線維の長軸が互いに平行であることが示されているが(図10Cの挿入図および図10D)、線維自体はN末端からC末端の向きに関しては平行または逆平行でありうる。各バンドル内の線維の数は、図10Dに示されているようにほぼ2〜4本の間でさまざまである。バンドルの全体的高さは、構成要素となる線維の数に応じて6〜10nmの間でさまざまである。図10Cの挿入図は、典型的なバンドルの個々のSBAFP-m1線維の数および全体的直径を示している。37℃での3週間のインキュベーション後には、SBAFP-m1は、図10Dに示されているように、線維およびバンドルとともに、ランダムで干し草の山のような凝集物も形成する。
RGAFP-m1試料のAFM画像を、37℃での3日間のインキュベーション後に入手した。図11Aは、RGAFP-m1線維による高度の被覆を示している。これらの線維は枝分かれがなく、サイズが極めて均一であり、高さは1.5〜2.0nmで長さは150〜400nmである。対照的に、WT RGAFPを用いた同じ条件下では、図11Bに示されているように、線維状構造は観察されなかった。AFMトポグラフにおける高輝度の特徴物は高さ1〜10nmと測定され、側方寸法はさまざまであり、これはRGAFPモノマーおよびモノマーの凝集物に一致する。線維およびバンドル形成の時間依存性は、公知のアミロイド線維形成動態と定性的に一致する51
動態分析
線維形成の動態を、SBAFP-m1について追跡した。37℃での重合開始前の4℃での試料に対するDLS測定値は、モノマーが存在する唯一の種であることを示している。37℃でのインキュベーションでは10分以内にモノマーが完全に消失し、より大きな種によって置き換えられる。より大きなポリマーの形成を、300nmでの濁度によってモニターした。経時的推移を図12に提示している。遅滞期がデータによって示されており、単純な指数モデルでは適合不良である。データを、Ferrone52によって提示されたフレームワークにおいて分析した。SBAFP-m1の12段のクロスβ構造を考慮して、本発明者らは、臨界核サイズが1であり、そのため重合核の初期濃度はタンパク質の初期濃度に等しいと仮定した。これにより、式1に提示された重合動態に関する単純化された表現が導かれる:
y=1-sech(k+・M0・t)(1)
式中、k+は重合に関する正方向実効速度定数であり、M0はモノマーの初期濃度であり、tは時間である。この式はFerroneの核形成線状重合式52に対する新たな解析解から来ており、そのさらなる詳細は別所に提示されるであろう。ここでの実効k+値により、本発明者らは、本発明者らが、PolyQ凝集53に関して議論されているような、線維の核形成のための異なる稀なモノマー配座の必要性といった核形成効果を明示的に説明するつもりがないことを意味している。
濁度データを式1に適合させることにより(図12)、速度定数に関して14±1 M-1 s-1という値が得られ、一方、ThT経時的推移データ(提示せず)に適合させることにより、42±7 M-1 s-1という値が得られる。k+に関するこれらの実効値は、他のクロスβ線維形成反応に関して測定されるものと比較して迅速である。特に、文献による実効k+値は以下の通りである:インスリン54については0.3 M-1 s-1、マウスにおけるWT PrPSc(プリオン)伸長については3.3 M-1 s-1(マウス脳組織中でのPrPCの濃度を仮定)55、28個、36個、47個のグルタミンを有するPolyQポリマー56についてはそれぞれ0.034、0.3および1.4 M-1 s-1であり、クモ糸アミロイドペプチド構築物eADF4(C2)、eADF4(C4)、eADF4(C8)およびeADF4(C16)57についてはそれぞれ0.14、0.58、1.5、6.9 M-1 s-1である。PolyQの場合には凝集のための臨界的な核が1つであると決定されているが56、他のものについては不明であり、インスリンについては2つと仮定されている54。しかしながら、SBAFPモノマーのサイズが大きいにもかかわらず、それらがあらかじめ形成されたβシート構造を有するという事実により、特に凝集がk+として一般的に進行する短時間の範囲では、他のアミロイドよりもはるかにより迅速な凝集がもたらされることは明らかである2, 52
この適合化では、濁度がポリマーの総質量に比例すると仮定しているが、線維の長さが光の波長(ここでは300nm)58を上回るという条件の下ではこれは妥当な仮定である。これは、本発明者らの実験において短期間では詳細に分析されうる。本発明者らはまた、本発明者らの実効k+値が、polyQ凝集53の前に指摘された事項である、約109 M-1 s-1というSmoluchowskiの拡散限界kD 59よりも数桁小さいことも指摘しておく。本発明者らのケースでは、シミュレーションおよび実験的な溶液中でモノマー形態がそれ単独で非常に安定であると思われることから、これがPolyQに関して議論されたような小確率核形成複合体から生じる可能性が低い。異方性幾何学的制約条件がk+を著しく減少させる可能性はあるが、その点については本発明者らが今後の研究で探るつもりである。
予備的な実験で、本発明者らは、NaClを最終濃度1Mとして添加することを除いては同一の条件下で、重合がおよそ3分の1の遅さで起こることを見いだしている。重合反応物から遠心処理によって線維を採取して、60℃の新たな緩衝液中に再懸濁させると、初期濁度のおよそ30%が1.5時間で失われ、その後は経時的に安定している。同様の実験により、80%エタノールを含有する緩衝液中に線維を再懸濁させると、初期濁度のおよそ5%が1.5時間で失われ、その後は経時的に安定していることが示されている。
結論
結論として、本発明者らは、2つのモノマー性野生型不凍化BSP(トウヒノシントメハマキおよびライグラス由来)を、CD、DLS、ThT蛍光およびAFM画像化によって立証されたように、AFMで観察された予想される高さプロファイルで、重合してアミロイド線維になるように操作することができることを示した。本発明者らの知る限り、既知の野生型アミロイド形成性タンパク質からBSP構造が生じるはずであるという推測はあったにもかかわらず60-63、これは合成環境ではあるものの、大型のBSPモノマーからのアミロイド形成を初めて確かめたものである(本発明者らはここでは内部が密に充填された大型BSPに言及しているが、Het-S真菌プリオンはより開放的なβソレノイドアミロイド構造を形成することが知られている64)。
本明細書で提示された証拠は、並外れた幾何学的形状を有するこれらのBSPが、例えば、機能的デバイス用のナノ粒子、酵素アレイ、再生医療用のペプチドアレイなどのテンプレート役といった、高精度のナノスケール用途に適用可能であることを実証するものである。最近、ペプチドを基にしたアミロイドの酵素活性65および電荷移動活性66が実証されている。本明細書で使用された、より大きく、かつより容易に操作されるBSPは、空間的に正確に規定された官能化が2〜10nm規模で行われる、個々の目的に合わせたナノスケールテンプレートとしてさらに大いに有望である。
本明細書に記載された実施例および態様は説明のみを目的としたものであり、当業者にはそれらに鑑みてさまざまな修正または変更が想起されると考えられるが、それらも本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。本明細書に引用された刊行物、特許データベースアクセッション、特許および特許出願はすべて、その全体が目的を問わず、参照により本明細書に組み入れられる。
参考文献
Figure 2017503845
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非公式の配列表
SEQ ID NO:1
SBAFP-m1のアミノ酸配列
SEQ ID NO:2
SBAFP-m1のアミノ酸配列
例示的なBSP:
シアノセイス属種(Cyanothece Sp)51142由来の内腔ペンタペプチド反復タンパク質、鎖Aの分解能2.3Åでの結晶構造、正方晶形態
Figure 2017503845
1.シアノバクテリウムCyanobacterium)ネンジュモ属種(Nostoc Sp.)Pcc 7120株によるヘテロシスト分化調節に関与するペンタペプチド反復タンパク質、鎖Xの分解能2.0Åでの結晶構造
Figure 2017503845
2.組換えヒトαラクトアルブミン、鎖Aの結晶構造
Figure 2017503845
3.ペレニアルライグラス、ホソムギ(Lolium Perenne)由来の氷結合タンパク質、鎖Bの結晶構造
Figure 2017503845
4.ペレニアルライグラス、ホソムギ由来の氷結合タンパク質、鎖Aの結晶構造
Figure 2017503845
5.ブタコレラ菌(Salmonella Cholerae)由来のYdck、鎖Bの分解能2.38Aでの結晶構造。Northeast構造ゲノミクス標的Scr6
Figure 2017503845
6.ブタコレラ菌由来のYdck、鎖Aの分解能2.38Aでの結晶構造。Northeast構造ゲノミクス標的Scr6
Figure 2017503845
7.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖A
Figure 2017503845
8.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖B
Figure 2017503845
9.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖C
Figure 2017503845
10.トウヒノシントメハマキガ(トウヒノシントメハマキ)不凍化タンパク質アイソフォーム501、鎖D
Figure 2017503845

Claims (35)

  1. 複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含むアミロイド線維。
  2. mBSPモノマーが不凍化タンパク質に由来する、請求項1記載のアミロイド線維。
  3. 不凍化タンパク質がトウヒノシントメハマキ(spruce budworm)不凍化タンパク質である、請求項2記載のアミロイド線維。
  4. mBSPがSEQ ID NO:1に示された配列を有する、請求項3記載のアミロイド線維。
  5. 不凍化タンパク質がライグラス(rye grass)不凍化タンパク質である、請求項1または2記載のアミロイド線維。
  6. mBSPがSEQ ID NO:2に示された配列を有する、請求項5記載のアミロイド線維。
  7. mBSPが、アミロイド凝集を妨げるエンドキャップを除去するように改変されている、請求項1または2のいずれか一項記載のアミロイド線維。
  8. 線維の、固体支持体、ナノ粒子、生体分子、または第2のアミロイド線維への付着を促進する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むように改変されている、前記請求項のいずれか一項記載のアミロイド線維。
  9. 固体支持体、ナノ粒子、生体分子、または第2のアミロイド線維に付着した、前記請求項のいずれか一項記載のアミロイド線維。
  10. ナノ粒子が金属、半導体材料、金属酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項9記載のアミロイド線維。
  11. 生体分子が酵素である、請求項9記載のアミロイド線維。
  12. ナノ材料を形成させる方法であって、
    (a)複数のナノ粒子を、複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含む少なくとも1つのアミロイド線維を含むスカフォールドとカップリングさせる段階;および
    (b)ナノ材料を形成させるためにナノ粒子を融合させる段階、
    を含む、方法。
  13. 複数のナノ粒子をmBSPスカフォールドと接触させる段階の前に、スカフォールドを固体支持体に付着させる段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
  14. スカフォールドが段階(b)の前に実質的に除去される、請求項12または13記載の方法。
  15. スカフォールドが段階(b)の間に実質的に除去される、請求項12または13記載の方法。
  16. ナノ粒子が結晶性である、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. ナノ粒子が半導体材料、金属、金属酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
  18. ナノ材料がナノワイヤーである、請求項12〜17のいずれか一項記載の方法。
  19. mBSPモノマーが不凍化タンパク質に由来する、請求項12〜18のいずれか一項記載の方法。
  20. 不凍化タンパク質がトウヒノシントメハマキ不凍化タンパク質である、請求項19記載の方法。
  21. mBSPがSEQ ID NO:1に示された配列を有する、請求項20記載の方法。
  22. 不凍化タンパク質がライグラス不凍化タンパク質である、請求項19記載の方法。
  23. mBSPがSEQ ID NO:2に示された配列を有する、請求項22記載の方法。
  24. 請求項12〜23のいずれか一項記載の方法によって作られるナノ材料。
  25. 複数の改変βソレノイドタンパク質(mBSP)モノマーを含む少なくとも1つのアミロイド線維を含むスカフォールドであって、複数のナノ粒子と結合している、スカフォールド。
  26. ナノ粒子が結晶性である、請求項25記載のスカフォールド。
  27. ナノ粒子が半導体材料、金属、金属酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項25記載のスカフォールド。
  28. ナノ粒子が生体分子に連結されている、請求項25記載のスカフォールド。
  29. mBSPモノマーが不凍化タンパク質に由来する、請求項25〜28のいずれか一項記載のスカフォールド。
  30. 不凍化タンパク質がトウヒノシントメハマキ不凍化タンパク質である、請求項29記載のスカフォールド。
  31. mBSPがSEQ ID NO:1に示された配列を有する、請求項30記載のスカフォールド。
  32. 不凍化タンパク質がライグラス不凍化タンパク質である、請求項29記載のスカフォールド。
  33. mBSPがSEQ ID NO:2に示された配列を有する、請求項32記載のスカフォールド。
  34. 所定のパターンに並べられている、請求項25〜33のいずれか一項記載のスカフォールド。
  35. アミロイド線維が実質的に平行である、請求項34記載のスカフォールド。
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