本開示の実施形態が叙述及び記載され、例示的実施形態の参照によって規定されているが、そのような参照は本開示についての制限を示唆するものではなく、そのような制限は推定されない。開示された主題は、本開示の利益を有する当業者が想定するような、大幅な修正、変更が可能であり、形態及び機能において等価物であることができる。本開示の叙述及び記載された実施形態は、実施例にすぎず、本開示の範囲を網羅するものではない。
詳細な説明
本開示の例示的実施形態は、本明細書で詳細に記載される。明確にするために、実際の実施におけるすべての特徴が、本明細書に記載されるとは限らない。そのようないかなる実際の実施形態の開発においても、多数の実施時特有の決定が、特定の実施目的を得るために成されてよく、1つの実施から別の実施へと変更してよいと当然理解されるだろう。更に、そのような開発努力は複雑かつ時間を要するが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては日常的業務であると理解されるだろう。
本開示の更なる理解を促すために、ある実施形態の以下の例が提供される。決して以下の例が、本発明の範囲を限定、または規定すると解釈されるべきではない。本開示の実施形態は、任意の種類の地下層において、水平、垂直、傾斜、またはさもなければ非線形の掘削孔に適用可能であってよい。実施形態は、圧入井、監視井、及び炭化水素または地熱井を含む生産井に適用可能であってよい。
本開示は一般に、セメンチング及びその他の結合剤組成物作業、より詳細には、改善された耐食性及び耐熱性を実証する結合剤組成物、並びに形成及び使用の関連方法に関する。
本開示のいくつかの実施形態による結合剤組成物は、カルシウムイオン源;高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン;及び水を含んでよい。いくつかの実施形態による結合剤組成物は、凝結促進剤(accelerant)を更に含んでよい。ある種の実施形態では、任意の1つ以上の好適な添加剤もまた、組成物中に含まれてよい。
本開示の多くの潜在的利益及び利点の中で、いくつかの実施形態の結合剤組成物は、クリンカーまたはそれら単独でセメント系であるその他個別の成分無しに調製してよい。換言すれば、そのような結合剤組成物は、非セメント系成分化合物で調製してよい。本明細書で使用する場合、化合物それ自体でセメントの様に凝結する能力を有さない場合、化合物は、「非セメント系」である。本明細書で使用する場合、「凝結した(set)」、「凝結可能な(settable)」、または「凝結(setting)」は、スラリー状態から固化状態へと硬化する、いくつかの実施形態による結合剤組成物などの材料のプロセス、及び/またはそのような硬化を経る結合剤組成物の能力を指す。例えば、「凝結」は、水の存在下における水和反応に少なくとも部分的に起因して硬化する材料を指してよい。いくつかの実施形態では、凝結は、好適な条件(例えば、好適な温度及び/または圧力)における結合剤組成物などの材料の配置に対して特有であってよい。そのような配置は、いくつかの実施形態に従って、ダウンホール(downhole)であってよい。
それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、水の存在下における、いくつかの結合剤組成物中に含まれる非セメント系成分化合物の反応によって、セメント系(例えば、凝結可能または凝結した)材料の形成に至る。これにより、ある種の実施形態におけるいくつかのセメントを含まない組成物が、一旦凝結に好適な条件に曝露される(例えば、地下層を貫通するボーリング孔内の地点などの所望の位置へと供給されることによる)と、その場(in situ)で凝結結合剤組成物を形成可能であってよい。例えば、複数の結合剤組成物の成分(いくつかの実施形態では、カルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランなどの)は、非セメント系であってよいが、例えば、1つ以上のポゾラン反応及び/またはポゾラン反応の過程に沿って生じる可能性のある副反応によって、水の存在下にて反応し、セメント系で、凝結可能な、及び/または凝結材料を形成する。いくつかの実施形態に従った副反応は、ポゾランで見られる水酸化カルシウム(Ca(OH2))及びアルミン酸塩(Al(OH)4 -)間の反応を含んでよく、それによって、セメント化学者の表記法では、特にC4AH13及びC3AH6(すなわち、ハイドロガーネット)などの1つ以上のアルミン酸カルシウム水和物を形成する。ケイ酸塩と組み合わされたいくつかのアルミン酸カルシウム水和物が、形成されてよい(C2ASH8、すなわちストラトリンジャイト(stratlingite))。
更に、いくつかの実施形態によるカルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランのいずれかは、コスト削減という利益を提供する、安価で一般に入手可能な材料から供給されてよい。いくつかの実施形態では、カルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランのいずれかは、リサイクル製品及び/または廃棄物であってよく、それによって、それらの新たな目的により環境保全上の利益を提供する。加えて、セメント系材料をその場で形成するいくつかの実施形態による組成物の能力によって、セメンチングまたはその他の結合作業に対してクリンカー及びクリンカー由来の材料を使用する必要性を有利に無くし得、それにより、そのような実施形態の結合剤組成物に伴う環境への影響を更に低減させることができる。
先述の通り、いくつかの実施形態の結合剤組成物は、水を含んでよい。水は、結合剤組成物中のその他の化合物に悪影響を与える化合物を過剰に含有しないという条件であれば、任意の供給源からのものであってよい。例えば、本開示の結合剤組成物は、淡水、塩水(例えば、その中に溶解させた1つ以上の塩を含有する水)、ブライン、海水、またはこれらの任意の組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態では、水の存在によって、結合剤組成物の複数の成分間での反応及び/または成分中での反応を可能にし、それによってセメント系化合物を形成する。例えば、水によって、カルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランが、セメント系化合物を形成するように反応するのを可能にしてよい。従って、水は、カルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン間のそのような反応を可能にするのに十分な量で、いくつかの実施形態の結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、水は更に、結合剤組成物のポンプ輸送可能な(pumpable)スラリーを形成するのに十分な量で、結合剤組成物中に存在してよい。より詳細には、水は、ポゾランの重量に対して(本明細書においては、「bwop」と称する時もある)、約25%から約200%の範囲でいくつかの実施形態の結合剤組成物中に存在してよい。本明細書で使用する場合、「ポゾランの重量に対して(by weight of pozzolan)」及び「bwop」の各々は、結合剤組成物中の高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの重量と比較した重量を意味する。いくつかの実施形態では、水は、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50など、積算量が増加すると最大170%bwopの任意の1つと同じくらい少量にて、結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、水は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の非整数%bwopと同じくらい少量にて存在してよい。水は、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50など、積算量が増加すると最大200%bwopの任意の1つと同じくらい多量にて、いくつかの実施形態において存在してよい。いくつかの実施形態では、水は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の非整数%bwopと同じくらい多量にて存在してよい。従って、水は、約25から約50%bwop;または約30.1から約55.5%bwop;または約35%から約45%bwop;または約30%から約100%bwopなどの範囲の量にて存在してよい。
いくつかの実施形態の結合剤組成物は、スラリーへと形成される際、一般に約5lb/galから約25lb/galの範囲の密度を有してよい。いくつかの実施形態では、結合剤組成物スラリーの最小密度は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20lb/galの任意の1つ、並びにこれら前述の数のうち任意の2つの間における非整数区間であってよい。いくつかの実施形態の結合剤組成物スラリーの最大密度は、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、及び25lb/galの任意の1つ、並びにこれら前述の数のうち任意の2つの間における非整数区間であってよい。従って、例えば、いくつかの実施形態による結合剤組成物密度は、約8lb/galから約17lb/galであってよい。その他の実施形態では、結合剤組成物密度は、約6lb/galから約22lb/galなどであってよい。いくつかの実施形態では、結合剤組成物は、発泡結合剤組成物または微小球を含む結合剤組成物などの低密度結合剤組成物であってよい、または含んでよい。結合剤組成物スラリーの発泡に関する添加剤は、本明細書中以下において更に詳細に説明される。
先述の通り、いくつかの実施形態の結合剤組成物は、カルシウムイオン源を含んでよい。各種実施形態の好適なカルシウムイオン源としては、カルシウム含有塩またはカルシウムイオンを提供する電離可能なその他の種などの任意の化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、カルシウムイオン源は、セメント系材料を形成するように、結合剤組成物の任意のその他成分と反応可能であってよい。例えば、いくつかの実施形態による好適なカルシウムイオン源は、セメント系材料を形成するように、水の存在下にて高アルミナアルミノケイ酸塩と反応可能であってよい。カルシウムイオン源の例としては、消石灰(hydrated lime)(あるいは、例えば水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、消石灰(slaked lime、builders’ lime、及び/またはslack lime)と称されてよい);生石灰(CaO、未水和);並びに水酸化物イオン源の存在下におけるカルシウム塩が挙げられる。いくつかの実施形態によるカルシウム塩は、CaX2の形態で、式中、Xは−1の形式電荷を有する陰イオン(例えば、CaBr2、CaF2、CaI2、CaCl2)であってよい。その他の実施形態によるカルシウム塩は、CaXの形態で、式中、Xは−2の形式電荷を有する陰イオン(例えば、炭酸アニオンCO3 -2)であってよい。いくつかの実施形態では、カルシウムイオン源は、結合剤組成物中の水酸化物イオン源に付随またはさもなければ結合していてよい。そのような供給源は、アルカリまたはアルカリ土類元素の水酸化物塩を含んでよい。好適な水酸化物塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムが挙げられる。ある種の実施形態では、カルシウムイオン源は、結合剤組成物中に含まれてよく、アルカリ性条件にさらされてよい(例えば、アルミノケイ酸塩ポゾランの電離を促進させることにより、例えば、いくつかの結合剤組成物のカルシウムイオン源及びポゾラン間のポゾラン反応を支持するために)。いくつかの実施形態では、カルシウムイオン源自体がアルカリ性であってよく、または電離時にアルカリ性条件を生じさせてよい(例えば、消石灰またはCa(OH)2の場合)。
いくつかの実施形態によるカルシウムイオン源は、実質的に固形物であってよい(例えば、消石灰)。固形カルシウムイオン源としては、粉末、シャモット、粉砕材料などが挙げられ得る。その他の実施形態によるカルシウムイオン源は、溶液中に溶解または懸濁させてよい(例えば、カルシウムイオン源が、水溶液中に提供されてよい)。そのような場合、結合剤組成物中に含まれるカルシウムイオン源の量は、溶液内のカルシウムイオン源の質量(溶液の全質量ではない)に換算される。ある種の実施形態では、カルシウムイオン源は、約5%から約100%bwopの範囲で結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態で存在するカルシウムイオン源の範囲の下限は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、及び95%bwopの任意の1つ、並びに/またはこれら前述の数のうち任意の2つの間における任意の整数もしくは非整数値(この値は、簡潔にするために列挙されていない)であってよい。カルシウムイオン源の範囲の上限は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、及び100%bwopの任意の1つ、並びに/またはこれら前述の数のうち任意の2つの間における任意の整数もしくは非整数値(この値は、簡潔にするために列挙されていない)であってよい。従って、前述による好適な典型的範囲としては、例えば、約5.1%〜約48.5%bwop;約20.15%〜35.20%bwop;約6.00%〜70.00%bwop;約10%〜約30%bwopなどが挙げられ得る。更に他の実施形態では、結合剤組成物中に含まれるカルシウムイオン源の量に上限はなくともよい。
結合剤組成物は、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを更に含んでよい。本明細書で使用する場合、「高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン」という用語は、アルミナ:シリカ(または、セメント化学者の表記法では、A:S)の比が約0.7超であるポゾランを意味する。いくつかの実施形態では、アルミナ:シリカの比は1超であってよく、ある種の実施形態では、少なくとも17と同程度に高い比であり得る。換言すれば、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、シリカよりもアルミナを多く含んでよく、場合によっては実質的にシリカよりもアルミナを多く含んでよい。いくつかの実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、非セメント系であってよい。非セメント系高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの例としては、特に破砕耐火れんが;耐火れんがシャモット;ケイ酸塩と、コランダム、高アルミナセラミック、及びボーキサイトの任意の1つ以上との混合物;耐火モルタル;耐火粘土;ムライト;溶融ムライト;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、結合剤組成物内でセメント系及び/または凝結化合物を生成するための反応物として機能してよい。いくつかの実施形態によれば、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、一旦凝結すると結合剤組成物に耐熱性及び/または耐食性を付与する化合物を更に提供し得る。場合によっては、結合剤組成物中のアルミナ含有量がより多いほど、耐熱特性がより向上する可能性があり、高温用途(例えば、約200°F以上の温度を含む掘削孔)において有利な場合がある。破砕耐火れんが及び耐火れんがシャモットなどのいくつかの高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、いくつかのその他アルミノケイ酸塩材料の非晶質構造とは対照的に、結晶構造を含んでよい。
更に、破砕耐火れんが及び耐火れんがシャモットなどのいくつかの高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、異なる供給源から得られた材料の中で、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの性質に実質的な均質性(すなわち、大幅な変動の欠如)を示す場合がある。例えば、いくつかの実施形態による、破砕耐火れんが及び/または耐火れんがシャモットなどの高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、特定の仕様に合致しているか、またはほぼ合致している製造された材料に由来してよく、従って、天然に存在する材料及び/またはほとんどまたは全く品質管理を行っていない廃棄処理材を使用することに起因する非均質性を無くす可能性がある。これにより、フライアッシュ、セメントキルンダストなどの様なシリカ系フィラーなどの、その他のセメントフィラー及びセメント系化合物反応物に勝るいくつかの利点を提供できる。例えば、「フライアッシュ」(粉砕石炭または微粉炭の燃焼から生じ、例えば、発電所で発生した煙道ガスによって運ばれる微粉化した燃え殻を指す)の異なるバッチでは、フライアッシュの構成の性質ゆえに明らかに異なる特性を示す場合がり、結果としてバッチ間で大幅に変動する。とりわけ、フライアッシュは、特に石灰、セメント、石膏、CaO、及びSiO2のいずれか1つ以上で汚染されている可能性がある。従って、結合剤組成物中にフライアッシュを組み込むことにより、フライアッシュの異なるバッチを得る及び結合剤組成物中に組み込む度に、上述の及びその他の非均質性ゆえにセメント配合物の試験及び修正が必要となる。その一方で、耐火れんがシャモットなどの実質的に均質な材料の使用によって、耐火れんがシャモットの異なるバッチ及び/または異なる供給源を使用する場合であっても、結合剤組成物の均質性を高める可能性がある(それによって、繰り返し試験及び/または再配合を行う必要性を減らす)。更に、この利点によって、いくつかの実施形態の結合剤組成物は、高温用途だけでなく、フライアッシュなどのフィラーを含むセメント材料が予測不能な結果を生じる場合もある低温用途(例えば、約200°F未満の用途)に対しても好適となる可能性がある。
いくつかの実施形態では、破砕耐火れんが及び/または耐火れんがシャモットなどの高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの含有によって、代わりにフライアッシュ、軽石、頁岩などのフィラーを用いるその他の結合剤組成物と比較して、一度凝結及び/または硬化すると、より多量のアルミニウム及び/またはアルミナ含有種を含む結合剤組成物をもたらす可能性がある。同様に、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの含有によって、凝結結合剤組成物中に存在する非晶質物質の量を大幅に低減または実質的に排除する可能性があり、更に凝結結合剤組成物中に存在する石英の量を低減させる場合もあり、それによって、圧縮強度、耐食性、耐熱性及び/または凝結時間などの特性を向上させる結果となる。いくつかの実施形態による高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、結合剤組成物に対して高温安定性及び耐食性を更に付与する場合もある。場合によっては、この特性は、いくつかの実施形態による高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン中に存在するムライト、コランダムなどの種に起因する場合がある。加えて、破砕耐火れんが及び/または耐火れんがシャモットなどの高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、そのような材料を含む結合剤組成物に対して固有の耐熱性及び耐薬品性を付与する場合もある。下表1は、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの含有によって存在するいくつかの成分を含む、結合剤組成物中に含まれてよい様々な成分のX線回折(「XRD」)組成分析を示す。具体的には、表1では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン(表1では、耐火れんがシャモット「FBG」)の重量%での組成を、セメントキルンダスト(CKD)、フライアッシュ(フライアッシュF)、軽石、及び頁岩の各々と比較する。表2は、上述のその他の結合剤組成物生成分と比較した、耐火れんがシャモットの全酸化物分析を示す。
従って、上記の表から明らかな通り、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、その他のフィラーと比較して、より多量のアルミニウム及びアルミナの一方またはその両方を含んでよい。従って、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含む結合剤組成物は、より多量のそのような材料を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態による結合剤組成物中に組み込まれた高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、50重量%超のムライトを含んでよい。ある種の実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、30、35、40、45、50、55、60、65、及び70重量%の任意の1つを超えるムライトを含んでよい。いくつかの実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、コランダムを含んでよい。ある種の実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、10、15、20、25、及び30%の任意の1つを超えるコランダムを含んでよい。同様に、いくつかの実施形態による結合剤組成物中に組み込まれた高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、実質的に非晶質(非結晶質)物質を含まなくともよい。
その他の材料が、本明細書に記載されたものと一致する相対量で含まれる限り、任意量の高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランが、結合剤組成物に使用されてよい。いくつかの実施形態による結合剤組成物は、0.1lb以上の高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含んでよい。いくつかの実施形態では、その量は0.5lb以上であってよく;ある種の実施形態では、結合剤組成物中に含まれる高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの考え得る重量範囲の下限は、1、2、3、4、5、6、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、500、750、1000、1500、及び2000lbの任意の1つであってよい。これら前述の値間での任意の整数または非整数の重量は、いくつかの実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランの最小量であってよい。
更に、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、粉砕、粉末、またはその他同様の粒子形状で、いくつかの実施形態による結合剤組成物中に含まれてよい。いくつかの実施形態では、結合剤組成物は、U.S.メッシュサイズ4以下の高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩粒子を含んでよい。いくつかの実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩粒子のメッシュサイズは、U.S.メッシュサイズ10以下であってよい。各種実施形態による高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩粒子のU.S.メッシュサイズの上限は、80、70、60、50、40、35、30、25、20、18、16、14、12、10、8、7、6、及び4U.S.メッシュサイズの任意の1つであってよい。いくつかの実施形態では、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩粒子サイズについて下限は無いが、その他の実施形態では、サイズに下限があってよい。例えば、各種実施形態による高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩粒子のU.S.メッシュサイズの下限は、400、325、270、230、200、170、140、120、100、80、70、60、50、40、30、25、20、18、16、14、12、10、8、7、及び6U.S.メッシュサイズの任意の1つであってよい。従って、いくつかの実施形態による結合剤組成物は、以下の例示的範囲の任意の1つ以上のサイズで高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩粒子を含んでよい:約400〜80U.S.メッシュサイズ;約400〜200U.S.メッシュサイズ;約100〜30U.S.メッシュサイズ;約80〜60U.S.メッシュサイズ;約80〜約18U.S.メッシュサイズ;など。
結合剤組成物は、凝結促進剤を更に含んでよい。結合剤組成物の凝結時間(すなわち、結合剤組成物を特定の圧縮強度へと凝結させるのに要する時間)を低減させる任意の化合物は、好適な凝結促進剤であってよい。いくつかの実施形態による凝結促進剤の例としては、塩化カルシウム(CaCl2)、臭化カルシウム(CaBr2)、及びヨウ化カルシウム(CaI2)などの水溶性ハロゲン化カルシウムが挙げられる。その他の例示的凝結促進剤は、そのような凝結促進剤を含む凝結結合剤組成物に対して耐食特性を更に付与する場合がある。例えば、いくつかの実施形態における凝結促進剤はリン酸塩を含んでよく、凝結結合剤組成物に対して耐食特性を更に付与する場合がある。任意の種類の可溶性リン酸塩を使用してよく、ガラス質リン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、トリポリリン酸アンモニウム、オルトリン酸アンモニウム、及びメタリン酸アンモニウムを含むが、これらに限定されない。その他の例としては、任意のヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、及び/またはその他のポリリン酸塩が挙げられ得る。更なる例としては、上記の任意の塩が挙げられる。上記任意の2つ以上の混合物または組み合わせが、いくつかの実施形態で代わりにまたは更に使用されてよい。いくつかの実施形態では、結合剤組成物中のリン酸塩の存在によって、その場でのセメント系材料形成の化学反応を変化させ、例えば、地下層を貫通するボーリング孔内でさらされる化学物質(天然物質並びに油、ガス、及びその他の地中化合物回収作業中に添加された物質の両方)による腐食に対して耐性を示す化合物を形成してよい。例えば、とりわけ可溶性リン酸塩は、カルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン間の反応によって形成される可能性のあるアルミン酸カルシウムと結合する場合があると考えられている。リン酸塩とアルミン酸カルシウムとの反応によって、ヒドロキシアパタイトの形態でリン酸カルシウムを形成し、腐食に対して耐性を示す場合がある。耐性は、特に流動酸、CO2、H2S、及びこれらの組み合わせのいずれか1つ以上に対してであってよい。更に、いくつかの実施形態では、凝結促進剤は、結合剤組成物に対して異なる凝結特性を付与するその能力に少なくとも部分的に基づいて選択されてよい。例えば、CaCl2の様な凝結促進剤では、凝結時間がより長くなるが、最終的に圧縮強度はより高くなる場合があり、それに対して、リン酸塩凝結促進剤を含む急速凝結結合剤組成物では、CaCl2を含む実施形態の圧縮強度よりも最終的に低い圧縮強度となる場合がある。本開示の利益を有する当業者は、特定用途の要求に最も適した凝結促進剤を決定することが可能であろう。
いくつかの実施形態による凝結促進剤は、実質的に固形物であってよい(例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム)。固形凝結促進剤としては、粉末、シャモット、粉砕材料などが挙げられ得る。ある種の実施形態による凝結促進剤は、溶液中に溶解または懸濁させてよい(例えば、凝結促進剤が、水溶液中に提供されてよい)。そのような場合、結合剤組成物中に含まれる凝結促進剤の量は、溶液内の凝結促進剤の質量(溶液の全質量ではない)に換算される。1つ以上の凝結促進剤が、約1%から約10%bwopの範囲で、いくつかの実施形態の結合剤組成物中に含まれてよい。いくつかの実施形態で存在する1つ以上の凝結促進剤の範囲の下限は、約1、2、3、4、5、6、7、8、及び9%bwopの任意の1つであってよい。いくつかの実施形態では、存在する凝結促進剤量の範囲の下限は、直前に述べた数のうち任意の2つの間における10分の1パーセント値の任意の区間(またはその他の区間)などの、非整数(例えば、1.3%bwop、7.5%bwop、8.6%bwopなど)であってよい。いくつかの実施形態で存在する1つ以上の凝結促進剤の範囲の上限は、約2、3、4、5、6、7、8、9、及び10%bwopの任意の1つであってよい。いくつかの実施形態では、同様に、存在する凝結促進剤の範囲の上限は、直前に述べた数のうち任意の2つの間における10分の1パーセント値の任意の区間(またはその他の区間)などの、非整数(例えば、3.15%bwop、7.5%bwop、8.6%bwop、9.68%bwopなど)であってよい。従って、前述による好適な典型的範囲としては、例えば、約4.5%bwop〜8.5%bwop;約2.15%bwop〜5.20%bwop;約6.00%bwop〜10.00%bwopなどが挙げられ得る。
いくつかの実施形態による結合剤組成物は、凝結促進剤であっても、もしくは凝結促進剤でなくともよい(またはさもなければ、凝結促進剤として機能してよい)リン酸塩化合物を更にまたは代わりに含んでよい。例えば、ある種の実施形態では、含まれたリン酸塩化合物は、リン酸塩化合物が凝結促進剤としても機能するか否かにかかわらず、結合剤組成物に対して耐薬品特性を付与する場合がある。好適なリン酸塩化合物の例としては、先に前述したようなものが挙げられる。このような実施形態では、リン酸塩化合物は、上述の通り、凝結促進剤が含まれてよい任意の量(bwop)で結合剤組成物中に含まれてよい。
凝結遅延剤、微小球、粉砕ゴム粒子、炭素繊維、界面活性剤、流体損失制御添加剤、増量材(weighting material)、分散剤などの任意の1つ以上を含む、様々なその他添加剤の任意の1つ以上が、いくつかの実施形態の結合剤組成物中に更にまたは代わりに含まれてよい。
例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の凝結遅延剤を含んでよい。本明細書で使用する場合、「凝結遅延剤」とは、いくつかの実施形態による結合剤組成物の凝結を遅らせる添加剤である。凝結遅延剤は、水溶性カルボン酸を含んでよく、例えば、リンゴ酸、乳酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、及びギ酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態の凝結遅延剤は、以下の任意の1つ以上を代わりにまたは更に含んでよい:アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホアルキル化リグニンの金属塩、ヒドロキシカルボン酸、アクリル酸及び/またはマレイン酸を含むコポリマー、並びにこれらの組み合わせ。好適なスルホアルキル化リグニンの一例は、スルホメチル化リグニンを含む。いくつかの実施形態による好適な凝結遅延添加剤は、Halliburton Energy Services社から「HR(登録商標)4」、「HR(登録商標)5」、「HR(登録商標)7」、「HR(登録商標)12」、「HR(登録商標)15」、「HR(登録商標)25」、「SCR(商標)100」、及び「SCR(商標)500」の商標名で市販されている。いくつかの実施形態による1つ以上の凝結遅延剤が、結合剤組成物が地下層内に配置された後、所望の時間まで結合剤組成物の凝結を遅らせるのに十分な量で含まれてよい。より詳細には、凝結遅延剤は、約0.1%から約5.0%bwopの範囲の量でいくつかの実施形態の結合剤組成物中に含まれてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の凝結遅延剤は、約0.1、0.5、1、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、及び4.0%bwopの任意の1つと同じくらい少量にて、結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の凝結遅延剤は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の非整数%bwopと同じくらい少量にて存在してよい。凝結遅延剤は、約0.5、1、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、及び5.0%bwopの任意の1つと同じくらい多量にて、いくつかの実施形態において存在してよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の凝結遅延剤は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の非整数%bwopと同じくらい多量にて存在してよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の凝結遅延剤が、上に列挙した量に従って組み合わされた量で結合剤組成物中に含まれてよい。結合剤組成物の高温配置などのいくつかの条件下では、遅延剤を組み合わせることで、結合剤組成物の凝結時間及びポンピング時間の一方またはその両方に良い影響を及ぼす場合もある。
微小球は、いくつかの実施形態におけるセメント化合物への含有に好適な添加剤の別の例である。微小球は、いくつかの実施形態による結合剤組成物の密度を、とりわけ低減させる可能性がある。地下の結合剤組成物と相性の良い、例えば、結合剤組成物中に組み込むと時間の経過とともに化学的に安定する任意の微小球を使用してよい。好適な微小球の一例は、テキサス州ヒューストンのHalliburton Energy Services社から「SPHERELITE(登録商標)」の商標名で市販されている。含まれる場合、微小球は、所望の範囲の密度を有する結合剤組成物を提供するのに十分な量でいくつかの実施形態の結合剤組成物中に存在してよい。例えば、微小球は、約10%〜80%bwopの範囲の量で存在してよい。いくつかの実施形態では、微小球は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、及び60%bwopの任意の1つと同じくらい少量にて、結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、微小球は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の整数または非整数%bwopと同じくらい少量にて存在してよい。微小球は、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、及び80%bwopの任意の1つと同じくらい多量にて、いくつかの実施形態において存在してよい。いくつかの実施形態では、微小球は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の整数または非整数%bwopと同じくらい多量にて存在してよい。
粉砕ゴム粒子は、いくつかの実施形態による別の例の添加剤である。粉砕ゴム粒子は、いくつかの実施形態の結合剤組成物に対して、とりわけ弾性及び/または延性を提供するために含まれてよい。そのような粒子は、例えばタイヤから製造されてよい。いくつかの実施形態による粉砕ゴム粒子は、約1/4”未満の平均長さを有してよく、粒子は、約10/20及び20/30のU.S.メッシュサイズを有するフィルターを通過することが可能であってよい。含まれる場合、粉砕ゴム粒子は、結合剤組成物に対して所望の延性度合を提供するのに十分な量、例えば約10%から約30%bwopの範囲の量で、いくつかの実施形態の結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、粉砕ゴム粒子は、約10、15、20、及び25%bwopの任意の1つと同じくらい少量にて、結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、粉砕ゴム粒子は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の整数または非整数%bwopと同じくらい少量にて存在してよい。粉砕ゴム粒子は、約15、20、25、及び30%bwopの任意の1つと同じくらい多量にて、いくつかの実施形態において存在してよい。いくつかの実施形態では、粉砕ゴム粒子は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の整数または非整数%bwopと同じくらい多量にて存在してよい。微小球の様な粉砕ゴム粒子は、様々な段階(例えば、空練り、流体と未水和セメントを混合する前に流体と混合、及び/または結合剤組成物と流体を混合してスラリーを形成した後に結合剤組成物と混合)のいずれかにて結合剤組成物中に組み込んでよい。
炭素繊維は、とりわけ結合剤組成物の引張強度を増加させるために、いくつかの実施形態で含まれてよい。そのような実施形態での含有に好適な炭素繊維は、高い引張強度及び/または高い引張係数を有してよい。ある種の例示的実施形態では、引張係数は約180GPa以上であってよく、繊維の引張強度は、約3000MPa以上であってよい。繊維は、約1mm以下の平均長さを有することが好ましい。ある種の例示的実施形態では、炭素繊維の平均長さは、約50から約500ミクロン;その他の実施形態では、約100から約200ミクロンである。平均繊維長さは、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、250、300、350、400、及び450ミクロンの任意の1つと同じくらい短くてよい。いくつかの実施形態では、炭素繊維は、直前に述べたミクロン長さのうち任意の2つの間で、任意の整数または非整数の長さと同じくらい短い平均長さを有してよい。平均繊維長さは、約55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、250、300、350、400、450、及び500ミクロンの任意の1つと同じくらい長くてよい。いくつかの実施形態では、炭素繊維は、直前に述べたミクロン長さのうち任意の2つの間で、任意の整数または非整数の長さと同じくらい長い平均長さを有してよい。炭素繊維は、粉砕した炭素繊維であってよく、例えば、ニュージャージー州アズベリーのAsbury Graphite Mills社から市販されている「AGM−94」、「AGM−99」、及び「AGM−95」炭素繊維が挙げられる。「AGM−94」繊維は、例えば、約150ミクロンの平均長さで、約7.2ミクロンの直径を有する。「AGM−99」炭素繊維は、例えば、約150ミクロンの平均長さで、約7.4ミクロンの直径を有する。一般に、炭素繊維は、凝結セメントが所望の引張強度となるのを可能にするのに十分な量で存在してよい。炭素繊維は、約1%から約15%bwopの範囲の量でいくつかの実施形態の結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、炭素繊維は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、及び14%bwopの任意の1つと同じくらい少量にて、結合剤組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態では、炭素繊維は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の非整数%bwopと同じくらい少量にて存在してよい。炭素繊維は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15%bwopの任意の1つと同じくらい多量にて、いくつかの実施形態において存在してよい。いくつかの実施形態では、炭素繊維は、直前に述べたパーセンテージのうち任意の2つの間で、任意の非整数%bwopと同じくらい多量にて存在してよい。
先述の通り、いくつかの実施形態の結合剤組成物への含有に好適なその他の例の添加剤としては、凝結促進剤、界面活性剤、流体損失制御添加剤、増量材、分散剤、ガス発生添加剤、逸泥防止材(lost−circulation material)、ろ過制御添加剤、消泡剤、油膨潤性粒子、水膨潤性粒子、揺変性(thixotropic)添加剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な流体損失制御添加剤の一例としては、例えば、スチレン−ブタジエンラテックスが、オクラホマ州ダンカンのHalliburton Energy Services社から「LATEX3000(商標)」の商標名で市販されている。カチオン澱粉はまた、好適な流体損失制御添加剤であり得る。更に、添加剤の具体例としては、結晶性シリカ、非晶質シリカ、ヒュームドシリカ、塩、繊維、水和性(hydratable)粘土、籾殻灰、エラストマー、エラストマー粒子、樹脂、ラテックス、これらの組み合わせなどが挙げられる。例えば、逸泥防止材は、地下層への流体循環の損失を防止するのに助けとなる場合があり、逸泥防止材としては、杉皮、細断したサトウキビの茎、鉱物繊維、雲母片、セロハン、炭酸カルシウム、粉砕ゴム、ポリマー材料、プラスチック片、接地大理石、木材、ナッツ殻、フォーマイカ、トウモロコシの穂軸、及びコットンハルが挙げられ得る。更なる例として、消泡剤は、いくつかの実施形態による結合剤組成物が、組成物の混合及び/またはポンピング中に発泡する傾向を抑える場合がある。好適な消泡添加剤の例としては、ポリオールシリコーン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、揺変性添加剤は、希薄または低粘度な流体としてポンプ輸送可能であり得るが、静止状態のままにした場合、比較的高い粘度に達する結合剤組成物を提供し得る。好適な揺変性添加剤の例としては、石膏、水溶性カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、混合カルボキシアルキルヒドロキシアルキル、セルロース、多価金属塩、ヒドロキシエチルセルロースを有するオキシ塩化ジルコニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
添加剤は、任意の好適な手段によって各種実施形態の結合剤組成物中に組み込まれてよい。例えば、添加剤は、水などの流体を添加する前に未水和セメントとドライブレンドしてよく、セメントに添加される流体と混合することによりブレンドしてよく、または流体の添加に続いて、もしくは添加後にセメントスラリーと混合することによりブレンドしてよい。いくつかの実施形態では、添加剤は、水中に前もって懸濁させて、セメント混合流体に注入または水性スラリーとしてのセメントスラリーに注入してよい。ある種の実施形態では、液体添加剤(または先述の通り、懸濁添加剤)は、水などの流体と混合してよく;固体添加剤は、未水和セメントと混合してよく;次いで、流体及び未水和セメント(加えて、それらと混合させた各々の添加剤)を互いに混合し、ポンプ輸送可能なスラリーを形成してよい。液体添加剤の例としては、凝結遅延剤、凝結促進剤、界面活性剤、流体損失制御添加剤、及び分散剤が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、これらの液体添加剤の任意の1つ以上は、それらの液体形態の代わりにまたは更に、固体形態で使用してよい。固体添加剤の例としては、ゴム粒子、炭素繊維、微小球、及び増量材が挙げられ得る。
ある種の実施形態の結合剤組成物は、特にポンプ輸送可能なスラリーへと形成される場合、低密度結合剤組成物であってよい。例えば、いくつかの実施形態の結合剤組成物は、発泡結合剤組成物スラリーを含んでよい。発泡させる場合、結合剤組成物は、結合剤組成物が所望の密度になるよう発泡させるのに十分な量で存在する膨張添加剤を含んでよい。所望により、結合剤組成物を発泡させる場合、発泡剤及び/または発泡安定化剤は、発泡を促進させるために結合剤組成物中に含まれてよい。いくつかの実施形態では、発泡剤及び/または発泡安定化剤を含む界面活性剤が、結合剤組成物中に組み込まれてよい。好適な発泡性及び安定化界面活性剤組成物としては、アルキルエーテル硫酸塩のアンモニウム塩、ココアミドプロピルベタイン界面活性剤、ココアミドプロピルジメチルアミンオキシド界面活性剤、塩化ナトリウム、及び水の混合物;アルキルエーテル硫酸塩界面活性剤のアンモニウム塩、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン界面活性剤、ココアミドプロピルジメチルアミンオキシド界面活性剤、塩化ナトリウム、及び水の混合物;加水分解ケラチン;エトキシ化アルコールエーテル硫酸塩界面活性剤、アルキルまたはアルケンアミドプロピルベタイン界面活性剤、及びアルキルまたはアルケンジメチルアミンオキシド界面活性剤の混合物;α−オレフィンスルホン酸塩界面活性剤及びベタイン界面活性剤の水溶液;並びにこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。ある種の一実施形態では、発泡性及び安定化界面活性剤組成物として、アルキルエーテル硫酸塩のアンモニウム塩、ココアミドプロピルベタイン界面活性剤、ココアミドプロピルジメチルアミンオキシド界面活性剤、塩化ナトリウム、及び水の混合物が挙げられ得る。そのような混合物の好適な例は、「ZONESEAL(登録商標)2000」発泡添加剤であり、Halliburton Energy Services社から市販されている。使用する場合、発泡剤及び/または発泡安定化剤は、安定的な気泡を発生させるのに十分な量で、いくつかの実施形態の結合剤組成物中に存在してよい。ある種の例示的実施形態では、発泡剤及び/または発泡安定化剤は、組成物中の水の重量に対して、約0.5%から約5%の範囲で;その他の実施形態では、水の重量に対して約1%から約2%の範囲の量にて存在してよい。加えて、膨張添加剤を使用して、いくつかの実施形態の結合剤組成物を発泡させてよい。空気、窒素、または両方の混合物などのガスを使用してよい。ある種の例示的実施形態では、窒素を使用してよい。含まれる場合、膨張添加剤は、結合剤組成物の密度を所望の値に調節するのに十分な量で結合剤組成物中に存在してよい。膨張添加剤が結合剤組成物に添加されたある種の例示的実施形態では、発泡結合剤組成物は、約10.5から約17.5lb/galの範囲の密度、またはいくつかの実施形態では、約11.5から約12.5lb/galの範囲の密度を有してよい。
発泡結合剤組成物は、任意の好適な混合技術に従って調製されてよい。例えば、水の分量をセメントまたはその他のブレンダーに導入し、続いてカルシウムイオン源、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン、及びもしあれば、凝結促進剤の各々を導入してよい。混合物は、ポンプ輸送可能な非発泡性スラリーを形成するのに十分な時間、かき混ぜてよい。次いで、スラリーは、掘削孔へとポンプで送入されて、発泡剤及び/または発泡安定化剤、続いて膨張添加剤を、作業中のスラリーへと注入してよい。スラリー及び膨張添加剤が、得られる発泡結合剤組成物が配置される位置へと掘削孔を通過して流入する際、結合剤組成物を発泡及び安定化させてよい。使用するその他の添加剤があれば、カルシウムイオン源及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを、それらと混合する前に水に添加してよい。このことは、液体及び/または溶媒和及び/または懸濁添加剤に特に望ましい場合がある。添加剤は、混合前にカルシウムイオン源及び/または高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランへと更にまたは代わりに添加されてよい。このことは、固相添加剤に特に望ましい場合がある。
各種実施形態による結合剤組成物は、多数の異なるセメンチング作業に好適であり得るが、この組成物は、地下層でのセメンチング方法に特に好適であり得る。例えば、いくつかの実施形態による結合剤組成物は、結合剤組成物が地下層内に導入され、結合剤組成物の成分を反応させてその場でセメント系材料を形成し、その後に結合剤組成物を凝結させる場合のある、一次及び/または補修セメンチング作業に使用されてよい。本明細書で使用する場合、地下層内に結合剤組成物を導入するということは、限定されないが、地下層に掘削された掘削孔へ、掘削孔を囲む掘削孔の近傍領域へ、またはその両方を含む、地下層の任意の一部分への導入を含む。
一次セメンチングの実施形態では、例えば、水、カルシウムイオン源、及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含む結合剤組成物は、掘削孔の壁及び掘削孔内に位置する導管(例えば、パイプストリング、ライナー)との間の空間内に導入されてよい(掘削孔は、地下層を貫通している)。結合剤組成物内の複数の成分を反応させて、セメント系材料を含む結合剤組成物を形成してよく、その後、結合剤組成物を凝結させて、掘削孔の壁及び導管の間の空間で硬化したセメントの環状鞘部を形成してよい。とりわけ、結合剤組成物は、掘削孔内の流体が移動するのを防ぐバリアを形成してよい。結合剤組成物はまた、例えば、掘削孔内の導管を支持してもよい。
補修セメンチングの実施形態では、水、カルシウムイオン源、及び高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含む結合剤組成物は、例えば、スクイズセメンチング作業にて、またはセメントプラグの配置にて使用されてよい。例として、結合剤組成物のスラリーを掘削孔内に配置してよく、結合剤組成物内の複数の成分を反応させてセメント系材料を含む結合剤組成物を形成してよく、それによって、結合剤組成物が、層内にて、グラベルパックにて、導管にて、セメント鞘部にて、並びに/またはセメント鞘部及び導管の間のマイクロアニュラスにて、間隙または亀裂などの開口部を塞ぐように凝結し得る。
いくつかの実施形態では、水、非セメント系カルシウムイオン源、及び非セメント系高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含む結合剤組成物は、結合剤組成物の凝結を引き起こすのに十分な温度及び/または圧力に曝露されてよい。
ある種の実施形態では、凝結は、結合剤組成物の1つ以上の非セメント系成分の、1つ以上の凝結可能及び/もしくは凝結組成物への反応またはその他の変換を含んでよい。例えば、先述の通り、カルシウムイオン源は、非セメント系カルシウムイオン源であってよい、または含んでよい;同様に、高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランは、非セメント系であってよい。そのような非セメント系成分を含む結合剤組成物中の水の含有、並びに種々の好適な温度、圧力、及び/またはその他の条件のいずれかへの導入は、いくつかの実施形態で、非セメント系材料を含む結合剤組成物の凝結をもたらす場合がある。いくつかの実施形態では、そのような温度及び/または圧力に、本明細書に記載された例示的実施形態と一致する様々な地下セメンチング手順のいずれかの通常過程において、ダウンホールでさらされる場合があり、それによって、結果としてその場で凝結結合剤組成物を形成する。例えば、いくつかの実施形態による非セメント系材料(例えば、非セメント系カルシウムイオン源及び非セメント系高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾラン)を含む結合剤組成物は、70°F以上の温度、及び/または2000psi以上の圧力に曝露される場合、凝結する場合がある。いくつかの実施形態では、結合剤組成物スラリーの凝結を促進させるのに必要な圧力及び温度は、逆相関となる場合がある−すなわち、より高い圧力によって、凝結に必要な1つ以上の反応を促進させるのに必要となる温度がより低くなる場合があり、逆もまた同様である。ある種の実施形態では、結合剤組成物は、約75°F以上の温度に曝露されてよく、その後結合剤組成物は凝結し得る。いくつかの実施形態では、凝結のために曝露される温度(例えば、凝結温度)は、以下のいずれか以上であってよい(単位は°F):約80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335など、最大600以上。ある種の実施形態では、最低凝結温度は、直前に述べた値のうち任意の2つの間における任意の温度値、整数または非整数であってよい。同様に、好適な凝結圧力は、以下のいずれか以上であってよい(単位はpsi):約10、15、20、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000、21000、22000、23000、24000、25000など、最大約35000以上。ある種の実施形態では、最低凝結圧力は、直前に述べた値のうち任意の2つの間における任意の圧力値、整数または非整数であってよい。いくつかの実施形態では、より高い凝結温度及び/または圧力によって、結合剤組成物が凝結反応中に経る化学反応を変化させる場合もある。
いくつかの実施形態では、最初により低い温度及び/または圧力で凝結すること、続いてより高い温度及び/または圧力で硬化することを含んでよい。本明細書で使用する場合、「硬化(curing)」とは、凝結材料を、継続して並びに/またはより高い温度及び/もしくは圧力条件にさらす場合に経る可能性のある現象を指す。従って、「硬化」は、特定の条件に対する凝結材料のその後の処理及び/または曝露を含む(材料が最初に凝結する際の条件と同様であってよい、またはより高い温度及び/もしくは圧力条件の場合などの異なる条件であってよい)。例えば、結合剤組成物は、最初に約200°F以下の温度で凝結させて、その後、約400°F以上のより高い温度にさらされてよく、結果として更に組成物を硬化させてよい。最初の凝結及び硬化のいずれかは、各種実施形態において、上に列挙した凝結温度からの任意の温度で生じる場合がある。いくつかの実施形態では、凝結及び硬化の一方またはその両方は、任意の好適な手段、例えば、水熱処理によって生じる場合がある。いくつかの実施形態では、凝結は、ダウンホールでの配置、続いてダウンホール環境にて必然的にさらされる条件(例えば、上昇した温度及び/または圧力)への曝露に起因する場合がある。従って、凝結は、組成物が凝結する坑底位置にて結合剤組成物を温度及び/または圧力条件にさらすことを含んでよい。いくつかの実施形態における凝結は、結合剤組成物を火攻法及び/または水蒸気ポンピング(steam pumping)作業にかけることを、代わりにまたは更に含んでよい(例えば、結合剤組成物を凝結させる温度及び/または圧力を上昇させるために)。または、ある種の実施形態では、凝結は、結合剤組成物を生産条件(例えば、地下層から生産された炭化水素及び/またはその他の物質の生産)にさらすことを、代わりにまたは更に含んでよい。同様に、硬化は、結合剤組成物が凝結した地下層内にて火攻法、水蒸気ポンピング、圧入、及び/またはその他類似の作業、並びにこれらの組み合わせを実施することを含んでよい。そして、硬化は、一度凝結させた結合剤組成物を地下層から生産された1つ以上の化合物(例えば、炭化水素、地層水、または任意のその他生産化合物)に曝露させることを更にまたは代わりに含んでよい。そのような曝露には、高温及び/または高圧条件を含んでよい。いくつかの実施形態では、より高い凝結温度及び/または圧力によって、結合剤組成物が凝結中に経る化学反応を変化させる場合もある。例えば、より高い温度によって、より低い温度にて凝結する場合よりも、凝結後の結合剤組成物が、異なる生成物及び/または結晶構造を含むように反応生成物を変化させる場合がある。同様に、より高温での硬化によって、凝結後の結合剤組成物の化学反応を変化させる場合もある。例えば、極度の高温及び/または高圧での硬化によって、凝結結合剤組成物内に高温結晶相を生じさせる化学変換を引き起こす場合がある。場合によっては、そのようなプロセスは、アニーリングに類似してよい。従って、いくつかの実施形態の結合剤組成物は、極限条件に耐えるだけでなく、そのような条件への更なる曝露に適応することも可能にしてよい。従って、そのような結合剤組成物は、生産、圧入、増進回収技術、火攻法、水蒸気ポンピングなどの極度の高温条件を伴う任意の作業における使用に好適であり得る。
本明細書に開示された例示的結合剤組成物は、開示された結合剤組成物の調製、供給、回収、再生利用、再利用、及び/または廃棄と関連した1つ以上の構成部品または装置に直接的にまたは間接的に影響を及ぼす場合もある。例えば、開示された結合剤組成物は、例示的結合剤組成物を生成、貯蔵、監視、調節、及び/または再生するために使用される1つ以上のミキサー、関連混合装置、泥ピット、貯蔵設備またはユニット、成分分離機、熱交換器、センサー、ゲージ、ポンプ、コンプレッサーなどに直接的にまたは間接的に影響を及ぼす場合もある。開示された結合剤組成物はまた、例えば、ある位置から別の位置へと結合剤組成物を組成的に移動させるのに使用される任意の輸送容器、導管、パイプライン、トラック、チューブラー(tubular)、及び/またはパイプなどの、結合剤組成物を坑井位置またはダウンホールへと運搬するために使用される任意の輸送または供給装置、結合剤組成物を動かすために使用される任意のポンプ、コンプレッサー、またはモーター(例えば、上部もしくはダウンホール)、結合剤組成物の圧力または流量を調節するために使用される任意のバルブまたは関連ジョイント、並びに任意のセンサー(すなわち、圧力及び温度)、ゲージ、並びに/またはこれらの組み合わせなどにも直接的にまたは間接的に影響を及ぼす場合がある。開示された結合剤組成物はまた、限定されないが、掘削孔ケーシング、掘削孔ライナー、仕上げストリング、挿入ストリング、ドリルストリング、コイルドチュービング、スリックライン、ワイヤーライン、ドリルパイプ、ドリルカラー、マッドモーター、ダウンホールモーター及び/またはポンプ、セメントポンプ、表面実装モーター及び/またはポンプ、セントラライザー、ターボライザー、スクラッチャー、フロート(例えば、シュー、カラー、バルブなど)、検層ツール及び関連テレメトリー装置、アクチュエーター(例えば、電気機械装置、油圧機械装置など)、スライディングスリーブ、プロダクションスリーブ、プラグ、スクリ−ン、フィルター、流量制御装置(例えば、流入量制御装置、自律型流入量制御装置、流出量制御装置など)、カップリング(例えば、電気油圧湿式接続、乾式接続、誘導結合器など)、制御ライン(例えば、電気式、光ファイバー式、油圧式など)、監視ライン、ドリルビット及びリーマー、センサーまたは分布センサー、ダウンホール熱交換器、バルブ及び対応する作動装置、ツールシール、パッカー、セメントプラグ、ブリッジプラグ、並びにその他の坑井隔離装置、または構成部品などの、セメント組成物/添加剤と接触する可能性がある様々なダウンホール装置及びツールにも直接的にまたは間接的に影響を及ぼす場合がある。
図1を参照して、例示的実施形態に従った結合剤組成物の調製は、以下に記載される。図1は、ある種の実施形態に従って、結合剤組成物の調製用及び掘削孔への供給用システム2を示す。示されるように、結合剤組成物は、例えば、ジェットミキサー、再循環ミキサー、またはバッチミキサーなどの混合装置4にて混合され、次いでポンピング装置6を介して掘削孔へとポンプで送入されてよい。いくつかの実施形態では、混合装置4及びポンピング装置6は、当業者には明らかであるように1台以上のセメントトラック上に配置されてよい。いくつかの実施形態では、ジェットミキサーは、例えば、掘削孔へとポンプで送入しながら、水を含む組成物を連続的に混合するために使用されてよい。
地下層内に結合剤組成物を配置するための例示的技術は、図2A及び2Bを参照して以下に記載される。図2Aは、ある種の実施形態に従って、結合剤組成物の配置に使用してよい地上設備10を示す。図2Aは一般に地上作業を示すが、本明細書に記載された原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、浮遊式または海上プラットフォーム及びリグを用いる海底作業に等しく適用可能であることを、当業者は容易に認識するであろうと理解されるべきである。図2Aによって図示されているように、地上設備10は、セメンチングユニット12を含んでよく、このユニットは、1台以上のセメントトラックを含んでよい。セメンチングユニット12は、当業者には明らかであるように混合装置4及びポンピング装置6(例えば、図1)を含んでよい。セメンチングユニット12は、結合剤組成物14を、供給パイプ16を通過させて、結合剤組成物14をダウンホールに運搬するセメンチングヘッド18へとポンプで送入してよい。
次に図2Bを参照すると、結合剤組成物14は、例示的実施形態に従って地下層20内に配置されてよい。図示されているように、掘削孔22は、地下層20に掘削されてよい。掘削孔22は、一般に地下層20内へと垂直に延びていることが示されているが、本明細書に記載された原理は、地下層20を通過して傾斜して延びる、水平及び傾斜した掘削孔などの掘削孔にも適用可能である。図示されているように、掘削孔22は、壁24を含む。図示された実施形態では、サーフェスケーシング26は、掘削孔22内に挿入されている。サーフェスケーシング26は、セメント鞘部28によって掘削孔22の壁24にセメントで固定されてよい。図示された実施形態では、ケーシング30として図に示されている導管を追加で1つ以上(例えば、中間ケーシング、プロダクションケーシング、ライナーなど)、掘削孔22内に配置してもよい。図示されているように、ケーシング30並びに掘削孔22の壁24及び/またはサーフェスケーシング26の間で形成される掘削孔アニュラス32が存在する。1つ以上のセントラライザー34が、例えば、セメンチング作業前及び作業中に掘削孔22内のケーシング30を中心に配置するために、ケーシング30に取り付けられてよい。
引き続き図2Bを参照すると、結合剤組成物14は、ケーシング30内部の下方へとポンプで送入されてよい。結合剤組成物14は、ケーシング30の内部を下方に流れて、ケーシング30の底部にてケーシングシュー42を通過し、ケーシング30の周囲を上方に掘削孔アニュラス32へと流れてよい。結合剤組成物14は、例えば、掘削孔22内のケーシング30を支持及び位置付けるセメント鞘部を形成するために、掘削孔アニュラス32内で凝結し得る。図示されていないが、その他の技術も、結合剤組成物14の導入に利用されてよい。例として、ケーシング30を通過する代わりに掘削孔アニュラス32を介して地下層20に結合剤組成物14を導入することを含む、逆循環技術を使用してよい。
結合剤組成物14は、導入される際に、ケーシング30及び/または掘削孔アニュラス32の内部に存在する可能性のある掘削流体及び/またはスペーサー流体などの、その他の流体36と置換してよい。置換流体36の少なくとも一部分は、図2Aに示されるように、フローライン38を介して掘削孔アニュラス32から排出され、例えば、1つ以上の貯留ピット40(例えば、泥ピット)内に堆積されてよい。図2Bを再度参照すると、ボトムプラグ44は、例えば、セメンチング前にケーシング30内部にある可能性のある流体36と結合剤組成物14を分離するために、結合剤組成物14の前に掘削孔22内に導入されてよい。ボトムプラグ44が、ランディングカラー46に到達した後、ダイヤフラムまたはその他の好適な装置が破れて、結合剤組成物14がボトムプラグ44を通過できるようになる。図2Bでは、ボトムプラグ44は、ランディングカラー46上に示されている。図示された実施形態では、トッププラグ48は、結合剤組成物14の後に掘削孔22内に導入されてよい。トッププラグ48は、後押し流体50と結合剤組成物14を分離し、更に結合剤組成物14を後押ししてボトムプラグ44を通過させてよい。
いくつかの実施形態では、本開示は、水;非セメント系カルシウムイオン源;及び非セメント系高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含む結合剤組成物を提供してよい。その他の実施形態では、本開示は、結合剤組成物を地下層に導入すること(この結合剤組成物は、水、非セメント系カルシウムイオン源、及び非セメント系高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランを含むスラリーを含む);並びに結合剤組成物を地下層内で凝結させることを含む方法を提供してよい。
本開示の更なる理解を促すために、例示的実施形態のいくつかの下記実施例が提供される。決してそのような実施例が、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
いくつかの実施形態による、表3に示す組成物を有する4つのサンプル結合剤組成物スラリー(サンプルW、X、Y、及びZ)を調製した。
表3では、SHMPは、ヘキサメタリン酸ナトリウムであり、いくつかの実施形態による凝結促進剤の一例である。CaCl2は、ある種の実施形態による凝結促進剤の別の例である。軽石は、可能かもしれない圧縮強度の向上のためにサンプルZに添加した。
サンプルW、X、及びYを各々反応させて、140°Fにて48時間凝結させ、凝結結合剤組成物を形成した。各々の凝結後、圧縮強度は、凝結円柱サンプルを破砕することにより試験した。試験結果は、表4に示す。140°Fにて48時間凝結させた後、サンプルWは、圧縮強度(破砕試験により決定した)55.11psiを得て;サンプルXの圧縮強度は222.82psiに到達し;サンプルYは353.88psiに到達した。サンプルW及びXは、全体として最大7日間140°Fにて更に硬化させ、表4に示すように、それぞれ328.92psi及び599.12psiの圧縮強度を得た。これらの結果は、サンプルX及びYの各々に凝結促進剤を含有(それぞれ、CaCl2及びSHMP)することにより、これらサンプルの各々で、より高い圧縮強度をより速く発現する結果となる場合があった可能性を示している。
表3によって、サンプルX、Y、及びZの追加量を調製して反応させ、次いで190°Fにて24時間硬化させ、続いて190°Fにて最大7日間更に硬化させた。圧縮強度は、硬化円柱サンプルを破砕することにより試験した。24時間時点及び7日間時点の各サンプルの圧縮強度を、表5にて以下に示す。この表は、分散剤及び軽石または高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランに加えて別のシリカ質ポゾランを含有することにより、部分的には高アルミナ質耐火性アルミノケイ酸塩ポゾランによって最終材に付与される耐熱性及び耐食性を依然として保持しつつ、長期間後、最終的により高い圧縮強度を有利にもたらす場合があることを示している。
加えて、X線回折(XRD)分析を、190°Fにて24時間後及び190°Fにて7日間後、サンプルX及びYの各々で実施した。サンプルX及びYの各々について、それぞれ表6及び7にて報告されるように、このXRD分析によって、追加の硬化時間後、凝結結合剤組成物を含む反応生成物にて若干の変化が見られたが、190°Fでの各々について相はそのままの状態であったことを示す。どちらの凝結結合剤組成物にも、ポルトランダイトは見られない。
表3によって、サンプルX及びYの追加量を調製して反応させ、190°Fにて24時間凝結させて、次いでオートクレーブへと移して、550°Fにて7日間更に硬化させた。しかしながら、この特定の場合では、サンプルXは混合中に追加の水を要し、それによって表3で報告されているサンプルXと比較して、その密度が低下した。圧縮強度は、硬化円柱サンプルを破砕することにより試験した。550°F硬化後の各々における圧縮強度を、表8にて以下に示す。この表では、サンプルXの圧縮強度は、190°F硬化で到達した強度よりも低下したが、サンプルYは、190°F硬化と比較して、550°F硬化にて最終的に圧縮強度の大幅な上昇を見せたことを示している。考え得る説明としては、混合中にサンプルXへ導入した追加の水である可能性がある。
加えて、XRD分析を、オートクレーブ内で550°Fにて7日間後、サンプルX及びYの各々で実施した。サンプルX及びYの各々について、それぞれ表9及び10にて報告されるように、このXRD分析によって、550°Fでの各々について、相は依然としてそのままの状態であり、どちらの凝結結合剤組成物にも、ポルトランダイトはやはり存在しないことを示す。
更に、図3に示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、それぞれ実施例2及び3の各々による、190°F(7日間)及び550°F(7日間)にて硬化したサンプルYについて比較した。実施例3に従った550°F硬化では、200倍率(305)にて結晶性物質(特に、非常に小さな結晶のクラスター)を高い度合いで形成することを実証した。他方では、190°Fにて実施例2により硬化させたサンプルは、200倍率(311)にて結晶性硬化をほとんどまたは全く示さなかったが、代わりに、大半がか細い非結晶性物質であることを示した。2000倍率(311)で示す190°F硬化では、190°F硬化から得られるか細い物質をより詳細に示す。550°F硬化の2000倍画像(315)では、非常に小さな結晶のクラスターは、非常に小さくか細い結晶の束であることを示す。
表3によって、サンプルX及びYの追加量を調製して反応させ、200°Fにて25時間硬化させた。サンプルは、超音波セメントアナライザー(UCA)によって時間の経過とともに分析し、サンプルXでは、初期強度は緩やかに発現したが、試験期間全体を通して連続的に強度を高めることを示した。他方では、UCA分析によって、サンプルYでは、強度は急速に発現したが、残りの試験期間全体を通して強度を高めることは、ほとんどまたは全くなかったことを実証した。これは、各サンプルで異なる凝結促進剤を使用した結果である可能性がある:CaCl2(サンプルX)対SHMP(サンプルY)。更に、各サンプルのUCA分析によって示された最終的な圧縮強度は、表5にて示すように、X及びYの硬化円柱サンプルの破砕から得られた結果と一致する。
実施例3にて報告されるように、調製、凝結、及び硬化させたサンプルYの組成を、XRD分析と共にリートベルト全パターン精密化(Rietveld Full−Pattern Refinement)及びエネルギー分散型蛍光X線(XRF)を使用して更に分析した。XRD及びリートベルト解析によって、190°Fにて24時間凝結し、更に550°Fにて7日間硬化させた後のサンプルYの組成について、表11に示すように、修正された結果が得られた。
サンプルY構造の更新された分析では、リン、すなわちヒドロキシアパタイトの存在を示し、このことは、サンプルYにおけるリン酸塩化合物SHMPの含有に起因すると思われる。
従って、本発明は、本明細書における本来の目的及び利点のみならず、前述の目的及び利点を達成するのに良く適合する。上に開示された特定の実施形態は例示的にすぎず、その理由は、本発明は、本明細書にて教示の利益を有する当業者に明らかな、異なるが同等の方法で修正及び実施されてよいからである。更に、以下の特許請求の範囲に記載されている以外に、本明細書で示された構成または設計の詳細を限定することを意図しない。従って、上に開示された特定の例示的実施形態は、変更または修正されてよく、そのようなすべての変形は、本発明の範囲及び趣旨の範囲内と考えられることは明らかである。特に、本明細書にて開示された値のすべての範囲(「約aから約b(from about a to about b)」、すなわち、「約aからb(from approximately a to b)」、すなわち、「約a−b(from approximately a−b)」の形式)は、値の各範囲のべき集合(すべての部分集合の集合)を参照すると理解されるべきであり、値のより広い範囲内に包含されるすべての範囲を説明する。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者による別段の明示的及び明確な規定がない限り、それらの平易な通常の意味を持つ。