JP2017223546A - レジンコンクリートの劣化評価方法 - Google Patents

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和枝 高橋
貴志 三輪
Takashi Miwa
貴志 三輪
孝 澤田
Takashi Sawada
孝 澤田
一嘉 川端
Kazuyoshi Kawabata
一嘉 川端
永井 友康
Tomoyasu Nagai
友康 永井
俊介 津田
Shunsuke Tsuda
俊介 津田
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【課題】本発明の目的は、従来の方法よりも微量のサンプルで、レジンコンクリート製品の劣化を評価する方法を提供することである。【解決手段】本発明は、レジンコンクリート製品の劣化の評価方法に関し、この方法は(a)レジンコンクリート試験片を準備する工程と、(b)レジンコンクリート試験片を加速劣化試験により劣化させる工程と、(c)劣化させていないレジンコンクリート試験片と、劣化されたレジンコンクリート試験片から得られる試料サンプルのFT−IRを測定する工程と、(d)使用済みレジンコンクリート製品のFT−IRスペクトルを測定する工程と、(e)工程(d)で得られたFT−IRスペクトルと、工程(c)で得られたFT−IRスペクトルを比較して、それぞれのスペクトルのカルボニル基の吸収波数の吸収強度及び波形の比較結果から、劣化を評価する工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、レジンコンクリートの製品を安全且つ安心して使用するための劣化評価方法に関する。
レジンコンクリートは、一般には、熱硬化性樹脂(レジン)を結合材として、砂利、砂、炭酸カルシウム等を強固に固めたコンクリートである。結合材樹脂には、通常、安価で硬化時間が自由に調整できる不飽和ポリエステル樹脂が用いられる。
このようなレジンコンクリートは、樹脂を結合材として用いているため、従来のコンクリートと比較して、強度、成形性等が優れているため、マンホール、下水パイプ、情報機器用ボックスなどのレジンコンクリート製品(構造物)に広く利用されている。
レジンコンクリートは、樹脂を結合材として用いているため劣化が起こりにくいとされていた。しかし、上記のような構造物を長期間維持管理するためには、定期的な劣化の状況を評価することが求められる。
例えば、レジンコンクリートを長期間使用すると、結合材である樹脂の一部が加水分解などにより分解し、結合材の劣化が起こり、結果としてレジンコンクリートが劣化する可能性があると指摘されている(非特許文献1)。
川久保ら、材料別冊、第24巻、第260号、380〜385頁、1975年 JIS A 1181:2005(レジンコンクリートの試験方法)
既設されたレジンコンクリート製品が長期間使用されることによる劣化を評価するには、製品からサンプルを取り出して、JIS A 1181:2005(レジンコンクリートの試験方法)にあるように、サンプルを取出して強度試験を行う方法がとられている。このような方法は、比較的大きなサンプルを取り出すため、既設のレジンコンクリートの強度を低下させる可能性がある。また、マンホールなどの構造物では、サンプルを取り出すにはコストがかかるという問題もあった。
従って、本発明の目的は、従来の方法よりも微量のサンプルで、レジンコンクリート製品の劣化を評価する方法を提供することである。
本発明は、レジンコンクリート製品の劣化の評価方法である。この方法は以下の工程を含む。
(a)測定対象のレジンコンクリート製品と同じ材料のレジンコンクリート試験片を準備する工程と、加速劣化試験により劣化させる工程と、
(b)前記レジンコンクリート試験片を加速劣化試験により劣化させる工程と、
(c)劣化させていないレジンコンクリート試験片と、劣化されたレジンコンクリート試験片から得られる試料サンプルのFT−IRを測定する工程と、
(d)長期間使用した使用済みレジンコンクリートから、試験サンプルを調製し、そのFT−IRスペクトルを測定する工程と、
(e)工程(d)で得られた使用済みレジンコンクリート製品のFT−IRスペクトルと、工程(c)で得られたレジンコンクリート試験片のFT−IRスペクトルを比較して、それぞれのスペクトルのカルボニル基の吸収波数の吸収強度及び波形の比較結果から、劣化を評価する工程。
本発明では、前記加速劣化試験が、前記レジンコンクリート試験片を、60℃以上の熱水中において500時間〜20000時間加熱することにより行われることが好ましい。
本発明の、レジンコンクリートの劣化の評価方法によれば、レジンコンクリート製品のような構造物の劣化による強度低下を、従来よりも微量のサンプルで定量的に評価することが可能となる。このため、サンプル採取によるレジンコンクリートの設備強度を低下させることなく、高精度で安価な劣化評価方法を実現できる。
本発明のレジンコンクリートの劣化の評価方法の各工程を説明するための図である。 劣化させていないレジンコンクリート試験片からの試験試料と、加速劣化試験で劣化させたレジンコンクリート試験片のFT−IRスペクトルである。 対照として、樹脂原料のみのFT−IRスペクトルを併記した、実施例2により得られた使用済みレジンコンクリート製品FT−IRスペクトルである。
レジンコンクリートの製品が使用されるようになって40年以上が経過し、使用条件によっては、その製品の強度が低下する可能性がある。社会インフラに使用されるレジンコンクリートを安全且つ安心して使用し続けるためには、既存製品の品質を評価し、適切な保守をすることが必要である。現在行われている評価方法は、既設レジンコンクリート製品からサンプルを切り取り、機械強度を測定する方法である。しかし、この評価方法は、コストがかかり、既設設備の強度の低下を招く可能性がある。このため、できるだけ少量の試料を採取する方法で品質の評価ができる評価方法が望まれている。
ここで、レジンコンクリートの強度低下のメカニズムを検討する。以下では、レジンコンクリートの樹脂材料として、不飽和ポリエステル樹脂を例に取り説明する。
これまでレジンコンクリート製品の強度低下の要因として、レジンコンクリートの長期使用に伴う、不飽和ポリエステル樹脂の加水分解があると考えられてきた。しかし、不飽和ポリエステル樹脂の分解とレジンコンクリート製品の強度低下の関係は明らかにされていなかった。また、レジンコンクリート製品中に1割程度しか含まれていない樹脂の劣化を検出する方法はなかった。そこで、本発明者らは、レジンコンクリート製品の強度低下のメカニズムを明らかにするため、以下に示すような検討を行った。
(i)加速劣化試験
未使用のレジンコンクリート試験片を熱水(60℃以上)中に500時間〜20000時間静置し、レジンコンクリート試験片を劣化させる。
(ii)レジンコンクリート試験試料の作製
上記レジンコンクリート試験片の一部を0.1mm以下の細粉に粉砕する。この粉末の砂利等を比重分別して、試料粉末を得る。得られた試料粉末を、臭化カリウム(KBr)の粉末に10%程度となるように加え、十分にすりつぶす。得られたKBr試料を、IR測定用の錠剤を作成するための所定の容器に封入し、所定の加重、好ましくは20MPaの加重をかけて、透明な錠剤を作成する。なお、臭化カリウムの錠剤の作製が困難な試料については、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン等の有機溶媒に試料を溶解し、濾過した後に溶液を臭化カリウム板上に塗布し、薄膜を形成すればよい。
(iii)レジンコンクリート試験試料の分析
得られた錠剤を、FT−IR法により分析する。測定は、400〜4000cm-1の範囲を透過法で分析する。FT−IR法によるレジンコンクリート製品の劣化を検討するには、得られたスペクトルのカルボニル基の伸縮振動に起因する1720cm-1付近のピークに着目する。このピークは、劣化させていないレジンコンクリート試験片の試料と比較して、吸収ピークの幅が広くなっており(ブロードニングを起こしている)、ピーク位置が高波数(低波長)側にシフトするという特徴を示す。また、吸収強度も小さくなる。これは、レジンコンクリートの樹脂成分が化学変化を起こしており、カルボキシル基を含む多種類の化合物が劣化によって生成していることを示唆しており、樹脂材料の分解が起こっていることを示すものである。
レジンコンクリートに使用される樹脂である不飽和ポリエステル樹脂は、エステル結合を有するため、加水分解などにより、樹脂の構成成分に分解され、芳香族若しくは脂肪族カルボン酸、アルコール類、又はこれらの更に分解された分解産物などが生じる。例えば、カルボン酸を例に取れば、以下のスキーム1に示すようなものが、劣化(分解)により生成すると考えられる。
Figure 2017223546
レジンコンクリート試験片の分解物のFT−IRスペクトルを測定し、長期使用した(使用済み)レジンコンクリート製品の分解物と比較することで、使用済みレジンコンクリート製品の劣化の程度を評価することができるものと考えられる。
本発明では、上記分解物の分析にFT−IR法を採用する。FT−IR法において、樹脂材料の分解物と考えられるカルボン酸化合物のカルボニル基の吸収ピークの変化を、加速劣化試験で劣化させたレジンコンクリート試験片と使用済みレジンコンクリート製品とで比較し、使用済みレジンコンクリート製品の劣化を評価する。本発明では、FT−IR法に使用する測定法、例えばKBr法、溶液法、薄膜法等の方法に加え、試料の前処理を簡略化できるATR法等も利用できる。ATR法では、可搬の分析装置を利用でき、現場で簡易にレジンコンクリート製品の劣化を評価することができる。
(iv)レジンコンクリート試験片等の機械強度測定
本発明において、FT−IR法により測定した、樹脂材料の分解物であるカルボン酸化合物のカルボニル基のピークの変化が、機械強度の低下に繋がっているものであることを明らかにするため、加速劣化試験により劣化させたレジンコンクリート試験片と、使用済みレジンコンクリート製品とについて、それぞれ機械強度を従来の方法で測定し、比較検討した。劣化させたレジンコンクリート試験片の機械強度をFT−IRスペクトルの上記ピークの変化に対応づけたところ、機械強度が低下するにつれて、FT−IRスペクトルの上記ピークの変化が大きくなることが示された。また、使用済みレジンコンクリート製品の機械強度と、FT−IRスペクトルも、同様の変化を示すことがわかった。従って、本発明の評価方法により、使用済みレジンコンクリート製品からわずかな量の試験サンプルを調製し、FT−IRスペクトルを測定して、予め加速劣化試験で劣化させておいたレジンコンクリート試験片のFT−IRスペクトルと比較することで、使用済みレジンコンクリートの機械強度の低下が推定でき、劣化が進行しているかどうかを評価することができる。
機械強度は、圧縮強度、引張強度、又はまげ強度を測定する。上記加速劣化試験後のレジンコンクリート試験片は、初期強度を100%とすると4000時間で、10%以上の強度低下が起きたことが明らかとなった。
上述の本発明の評価方法の概要に従った、本発明は、レジンコンクリート製品の劣化の評価方法を提供する。本発明の評価方法は以下の工程を含む。
(a)測定対象のレジンコンクリート製品と同じ材料のレジンコンクリート試験片を準備する工程と、
(b)前記レジンコンクリート試験片を加速劣化試験により劣化させる工程と、
(c)劣化させていないレジンコンクリート試験片と、劣化されたレジンコンクリート試験片から得られる試料サンプルのFT−IRを測定する工程と、
(d)長期間使用した使用済みレジンコンクリートから、試験サンプルを調製し、そのFT−IRスペクトルを測定する工程と、
(e)工程(d)で得られた使用済みレジンコンクリート製品のFT−IRスペクトルと、工程(c)で得られたレジンコンクリート試験片のFT−IRスペクトルを比較して、それぞれのスペクトルのカルボニル基の吸収波数の吸収強度及び波形の比較結果から、劣化を評価する工程。
各工程を以下で説明する。なお、図1に本発明の各工程を示した。
工程(a)は、測定対象のレジンコンクリート製品と同じ材料のレジンコンクリート試験片を準備する工程である。試験片は、不飽和ポリエステル樹脂、砂利、炭酸カルシウムなどのレジンコンクリートを製造するための各試料を、必要に応じた溶媒と共に混合し、硬化して所定形状の試験片とすればよい(図1のS102)。
工程(b)は、レジンコンクリート試験片を加速劣化試験にかける工程である(図1のS104)。加速劣化試験は、上述したとおり、レジンコンクリート試験片を、60℃以上、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは85℃〜100℃の間の温度の熱水中に、500時間〜20000時間静置して、加熱することを含む。この加速劣化試験で、レジンコンクリートの結合材成分であるレジン樹脂が加水分解され、分解物を生成する。
工程(c)は、劣化させていないレジンコンクリート試験片と、劣化させたレジンコンクリート試験片をFT−IR法により分析する工程である(図1のS106)。上述したとおり、加速劣化試験でレジンコンクリート試験片を劣化させると、原料の樹脂材料は、カルボキシル基を有する種々の化合物に加水分解される。この樹脂材料の分解物をFT−IR法によって分析する。分析は、400〜4000cm-1の範囲を透過法で分析する。FT−IR法によるレジンコンクリート製品の劣化を検討するには、上述した通り、得られたスペクトルのカルボニル基の伸縮振動に起因する1720cm-1付近のピークに着目する。このピークは、劣化させていないレジンコンクリート試験片の試料と比較して、ブロードニングを起こしており、ピーク位置が高波数(低波長)側にシフトするという特徴を示す。また、吸収強度も小さくなる。
分析の手順は、劣化させたレジンコンクリート試験片の一部を、0.1mm以下のサイズに粉砕し、よく混ぜ合わせてから、10%前後の試料濃度となるように臭化カリウム粉末に加える。得られた粉末を、FT−IR測定用の錠剤を作成するための容器に密封し、所定の圧力(好ましくは20MPa)をかけて、臭化カリウムの透明な錠剤を作成する。
次いで、得られた錠剤を用いて、FT−IRを測定する。
工程(d)は、使用済みレジンコンクリート製品から試料を作成し、FT−IRスペクトルを測定する工程である(図1のS108)。
例えば、使用済みレジンコンクリート製品から試料を作成する手順は、上記工程(c)で説明したものと同じである。得られた試料のFT−IRスペクトルを測定する。なお、試料を作成する際に必要な、使用済みレジンコンクリート製品の量は、例えば100mg〜1g、好ましくは300mg〜1g、より好ましくは500mg〜1g程度である。
工程(e)は、工程(d)で得られた使用済みレジンコンクリート製品のFT−IRスペクトルと、工程(c)で得られたレジンコンクリート試験片のFT−IRスペクトルを比較して、それぞれのスペクトルのカルボニル基の吸収波数の吸収強度及び波形の比較結果から、劣化を評価する工程である(図1のS110、S112)。
試料のFT−IRスペクトルが、劣化させたレジンコンクリート試験片と同様のブロードニング、吸収強度の低下、カルボニル基に相当するピークの低波数シフトなどが見られる場合、使用済みレジンコンクリート製品が劣化していると評価することができる。
以上のように、長時間使用した使用済みレジンコンクリート製品のFT−IRスペクトルを測定し、樹脂材料の分解物であるカルボン酸化合物のカルボニル基に相当するピークに着目して、劣化させたレジンコンクリート試験片で見られるような、カルボニル基に相当するピークのブロードニング、吸収強度の低下、ピークの低波数シフトなどが見られるか比較検討する。このような変化が見られた場合、使用済みレジンコンクリート製品が劣化していると評価する。
本発明では、FT−IR法により測定した、加速劣化試験により劣化させたレジンコンクリート試験片と、使用済みレジンコンクリート製品とについて、それぞれ機械強度を従来の方法で測定し、併せて比較検討した。劣化させたレジンコンクリート試験片の機械強度をFT−IRスペクトルの上記ピークの変化に対応づけたところ、機械強度が低下するにつれて、FT−IRスペクトルの上記ピークの変化が大きくなることが示された。従って、本発明の評価方法により、使用済みレジンコンクリート製品からわずかな量の試験サンプルを調製し、FT−IRスペクトルを測定することで、使用済みレジンコンクリートの機械強度の低下が推定でき、劣化が進行しているかどうかを評価することができる。
本発明では、少なくとも上記工程(d)のFT−IR測定において、試料の前処理を簡略化できるATR法を利用できる。ATR法では、可搬の分析装置を利用できるため、現場で簡易にレジンコンクリート製品の劣化を評価することができる。
上記の説明では、レジンコンクリートの樹脂材料として不飽和ポリエステル樹脂を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されない。使用した樹脂を、本明細書で説明した方法に従って、特徴的なFT−IRスペクトルのピークの変化から、レジンコンクリート製品の劣化を評価することができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
レジンコンクリート試験片の加速劣化試験
所定量の原料(不飽和ポリエステル樹脂、砂利、炭酸カルシウム等)を配合し、硬化させ、切断してレジンコンクリート試験片を作製した。このレジンコンクリート試験片を、恒温槽(温度85℃、湿度95%)中に1000時間から4000時間静置して、レジンコンクリート試験片を劣化させた。劣化させたサンプルは、3点曲げ試験により機械強度を測定した。
機械強度を測定したサンプルを0.1mm以下のサイズに粉砕し、よく混ぜ合わせてから赤外分光用のサンプルを採取した。採取したサンプルの粉末を、臭化カリウムの粉末に10%前後混合し、十分にすりつぶしてから、IR測定用錠剤を作成するための所定の容器に封入し、20MPaの加重をかけて透明な錠剤を作成した。錠剤の作成が難しいサンプルについては、有機溶媒(クロロホルム等)にサンプルを溶解し、濾過した後に、得られた溶液を臭化カリウム板上に塗布して薄膜を形成した。フーリエ変換赤外分光(FT−IR)装置で400cm-1〜4000cm-1の範囲を透過法で測定した。
得られたFT−IRスペクトルを図2に示す。図2は、最上部のスペクトルが未使用の製品を測定したものであり、24MPaの曲げ強度を有する。中央部のスペクトルの劣化サンプル(中度)は18MPaの曲げ強度を有するものである。更に、最下部の劣化サンプル(高度)は6MPaの曲げ強度を有するものである。劣化サンプル(中度)レベルは要注意の強度であり、経過観察が必要と判断される。劣化サンプル(高度)は危険な状態の強度であり、すぐに交換が必要と判断されるものである。
(実施例2)
使用済みレジンコンクリート製品の評価
使用済みレジンコンクリート製品を30cm角の大きさに切り出した後、従来の方法を用いて機械強度(三点曲げ強度)を測定した。使用済みレジンコンクリートの機械強度の実測値は、図2に示した高度の劣化サンプルと同程度の19MPaであった。
次に、機械強度を測定した使用済みレジンコンクリート製品をハンマーやペンチで粗破砕し、さらに1mm以下に粉砕した。粉砕したサンプルは、よく混ぜ合わせてから必要量を採取した。サンプルを更に0.1mm以下に粉砕し、砂利等を除き、よく混ぜ合わせてから赤外分光用サンプルとして採取した。採取したサンプルの粉末を、臭化カリウムの粉末に10%前後混合し、十分にすりつぶしてから、IR測定用錠剤を作成するための所定の容器に封入し、20MPaの加重をかけて透明な錠剤を作成した。フーリエ変換赤外分光(FT−IR)装置で400cm-1〜4000cm-1の範囲を透過法で測定した。得られたFT−IRのチャートを図3に示す。使用済みレジンコンクリート製品の図3のFT−IRのチャートは、図2に示した、高度の劣化サンプルと同程度の変化を示していた。また、図3に示した原料との比較からも、劣化が進んでいることは、明らかである。
使用済みレジンコンクリート製品について測定した上記機械強度は、図2に示した高度の劣化サンプルと同程度であり、この点からも、FT−IR法により測定したカルボニル基の吸収ピークの変化は、レジンコンクリート製品の劣化を推定する根拠となり得ることがわかる。

Claims (2)

  1. レジンコンクリート製品の劣化の評価方法であって、
    (a)測定対象のレジンコンクリート製品と同じ材料のレジンコンクリート試験片を準備する工程と、
    (b)前記レジンコンクリート試験片を加速劣化試験により劣化させる工程と、
    (c)劣化させていないレジンコンクリート試験片と、劣化されたレジンコンクリート試験片から得られる試料サンプルのFT−IRを測定する工程と、
    (d)長期間使用した使用済みレジンコンクリートから、試験サンプルを調製し、そのFT−IRスペクトルを測定する工程と、
    (e)工程(d)で得られた使用済みレジンコンクリート製品のFT−IRスペクトルと、工程(c)で得られたレジンコンクリート試験片のFT−IRスペクトルを比較して、それぞれのスペクトルのカルボニル基の吸収波数の吸収強度及び波形の比較結果から、劣化を評価する工程
    を含むレジンコンクリート製品の劣化の評価方法。
  2. 前記加速劣化試験が、前記レジンコンクリート試験片を、60℃以上の熱水中において1000時間〜4000時間加熱することにより行われる、請求項1に記載のレジンコンクリート製品の劣化の評価方法。
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