以下、実施形態に係る点灯装置、照明装置、照明器具及び照明システムについて、図面を参照しながら詳細を説明する。
本実施形態に係る点灯装置1は、図1に示すように、点灯回路1aと、制御回路1bとを備えている。点灯回路1aは、交流電源100から出力される交流電圧の導通角を調整することによって位相制御された設定信号Viに従って、光源モジュール(光源)6a、6bを点灯させるように構成されている。制御回路1bは、上記導通角に基づく指令値を点灯回路1aに出力して点灯回路1aを制御する。
また、本実施形態に係る照明装置は、点灯装置1と、光源モジュール6a、6bとを備えている。
点灯回路1aは、交流直流変換部2と、複数の供給回路5a、5bと、フィルタ回路14とを備えている。供給回路5aは、第2コンバータ回路51aと、ドライブ回路52aとを備えている。供給回路5bは、第2コンバータ回路51bと、ドライブ回路52bとを備えている。
制御回路1bは、PWM信号生成回路7と、複数の信号変換回路8a、8bと、第1制御回路9とを備えている。また、制御回路1bは、第1電源回路10と、起動回路11と、第2制御回路12と、第2電源回路13とをさらに備えている。
フィルタ回路14の入力側には、設定器20を介して、AC100Vの交流電源100が接続されている。フィルタ回路14の出力側には整流回路3が接続されている。
本実施形態に係る点灯装置1は、2種類の光源モジュール6a、6bを点灯させる。本実施形態において、光源モジュール6aと光源モジュール6bとで照射光の色温度が互いに異なっている。そして、相対的に色温度が低い暖色系の光源モジュール6aからの照射光(色温度が約2000K)と、相対的に色温度が高い寒色系の光源モジュール6bからの照射光(色温度が約8000K)とを混色した光(混色光)が照射される。
光源モジュール6aは、複数の発光ダイオード61を備えている。複数の発光ダイオード61の各々は、暖色系の光(例えば色温度が約2000Kの光)を放射する。複数の発光ダイオード61は、直列又は並列に接続されている。
光源モジュール6bは、複数の発光ダイオード62を備えている。複数の発光ダイオード62の各々は、寒色系の光(例えば色温度が約8000Kの光)を放射する。複数の発光ダイオード62は、直列又は並列に接続されている。
本実施形態では、光源モジュール6aを構成する複数の発光ダイオード61と、光源モジュール6bを構成する複数の発光ダイオード62とが同一の基板に実装されている。この基板がユニットに内蔵されて、複数の発光ダイオード61、複数の発光ダイオード62、基板及びユニットがモジュール化されている。なお、複数の発光ダイオード61をケース(図示せず)に内蔵することで光源モジュール6aとしてモジュール化し、複数の発光ダイオード62を別のケース(図示せず)に内蔵することで光源モジュール6bとしてモジュール化してもよい。
なお、光源モジュール6aと光源モジュール6bとは、発光色が異なる固体発光素子を備えているが、発光色が同じ固体発光素子に蛍光体を重ねることで色温度を異ならせた光源を備えてもよい。また、本実施形態では光源モジュール6a、6bがそれぞれ発光ダイオードを備えているが、有機EL(Electro Luminescence)や無機ELなどの固体発光素子を備えてもよい。
設定器20は、操作部200の操作に応じて交流電源100から出力される交流電圧の導通角を調整することによって生成した設定信号Viを点灯装置1に出力する。設定器20は、光源モジュール6aからの照射光と光源モジュール6bからの照射光とを混色した光(混色光)の光量及び色温度を、ユーザが設定するために用いられる。設定器20は、交流電源100と直列に接続されたサイリスタなどのスイッチング素子(図示せず)と、交流電源電圧の半周期ごとにスイッチング素子を導通させる位相角(導通角)をユーザが設定するための操作部200とを備えている。
操作部200は、設定器20の本体21に回転自在に取り付けられている。操作部200は円柱状の摘みからなり、その表面には操作位置を示す印が刻印、印刷などの適宜の方法で形成されている。なお、操作部200の操作角度範囲は一例であり、適宜変更が可能である。
操作部200を反時計回りに回転させると、設定器20から入力される設定信号Viの導通角は小さくなり、PWM信号V3のオンデューティ比、出力電圧V6も小さくなる。操作部200を時計回りに回転させると、設定信号Viの導通角は増加し、それに応じて、PWM信号V3のオンデューティ比、出力電圧V6も大きくなる。第1制御回路9は、出力電圧V6をもとに第2コンバータ回路51a、51bに出力する駆動信号のデューティ比を決定しており、導通角の増減に応じて調色及び調光を行う。
設定器20は、交流電源電圧の半周期ごとに、操作部200により設定された位相角がくると、スイッチング素子を導通させ、次のゼロクロスまでスイッチング素子の導通状態を継続させることで、交流電源100から点灯装置1に電力を供給させている。したがって、交流電源電圧のゼロクロスから操作部200で設定された位相角がくるまでは、交流電源100から点灯装置1に電力が供給されなくなり、正弦波形の一部をカットしたような交流電圧が生成される。このように、設定器20は、交流電源100から点灯装置1に入力される導通角すなわちスイッチング素子の導通角を調整することによって設定信号Viを生成し、生成した設定信号Viを点灯装置1に出力する。
本実施形態に係る点灯装置1は、設定信号Viの導通角に応じて混色光の光量及び色温度を変化させており、図3に示すような調光・調色カーブに従って調光及び調色を行う。設定信号Viの導通角が最小値θ1である場合に光源モジュール6a、6bは調光下限で点灯する。なお、設定信号Viの導通角が最小値θ1である場合に光源モジュール6a、6bが消灯してもよい。設定信号Viの導通角が最小値θ1から最大値θ3までの間は導通角の増減に応じて調色及び調光が行われる。導通角が値θ2になると、混色光は、色温度が2800Kの光(電球色の光)になる。導通角が最大値θ3になると、混色光は、色温度が5000Kの光(昼白色の光)になる。ここで、導通角とは、設定器20が備えるスイッチング素子が導通している位相角の範囲をいう。
本実施形態に係る点灯装置1に用いられる設定器20はリーディングエッジ方式を採用しているが、設定器20はトレーリングエッジ方式を採用してもよい。トレーリングエッジ方式の場合、設定器20は、交流電圧のゼロクロスから操作部200で設定された位相角に達するまではスイッチング素子を導通させ、操作部200で設定された位相角から次のゼロクロスまではスイッチング素子をオフさせる。これにより、交流電源電圧の半周期ごとに、操作部200で設定された位相角から次のゼロクロスまで正弦波形の一部がカットされたような交流電圧が設定器20から点灯装置1に出力される。
交流直流変換部2は、図1に示すように、設定器20から入力される設定信号Viを整流、平滑して、所定の電圧値の直流電圧に変換する。本実施形態の交流直流変換部2は、整流回路3と、第1コンバータ回路4とを備えている。整流回路3は、設定器20から入力される交流電圧を全波整流する。第1コンバータ回路4は、整流回路3の出力を平滑する。
整流回路3は、例えばダイオードブリッジ回路を備えている。整流回路3は、フィルタ回路14を介して入力される設定信号Viを全波整流し、全波整流によって生成された電圧信号V1を出力する。
第1コンバータ回路4は、例えばフライバック・コンバータのようなスイッチング電源を備えている。第1コンバータ回路4は、整流回路3から出力される電圧信号V1を、スイッチング素子(図示せず)でスイッチングすることによって、所定電圧値の直流電圧V2に変換する。なお、第1コンバータ回路4が、光源モジュール6a、6bに流れる電流を直接制御してもよい。
第1コンバータ回路4から出力された直流電圧V2は、第2制御回路12にフィードバックされている。第2制御回路12は、フィードバックされた直流電圧V2が予め設定された電圧値に一致するように、第1コンバータ回路4が備えるスイッチング素子(図示せず)のオン/オフを制御する。第2制御回路12には、第1電源回路10から動作に必要な電力が供給される。
第1電源回路10には、フライバック・コンバータからなる第1コンバータ回路4の一次側又は二次側から直流電圧が供給される。第1電源回路10は、第1コンバータ回路4から供給される直流電圧を、電圧レベルが一定の直流電圧に変換して、第2制御回路12に出力する。
起動回路11は、例えば整流回路3から出力される電圧信号V1が一定レベルを超えると、第1電源回路10を起動して、電圧変換動作を開始させる。
第2コンバータ回路51a、51bは、それぞれスイッチング電源(例えばフォワードコンバータ又はバックコンバータ)からなり、第1コンバータ回路4の出力端に並列的に接続されている。第2コンバータ回路51aの出力端には光源モジュール6aが接続されており、第2コンバータ回路51bの出力端には光源モジュール6bが接続されている。
第2コンバータ回路51aと、第2コンバータ回路51aが備えるスイッチング素子(図示せず)を駆動するドライブ回路52aとで、光源モジュール6aを点灯させる供給回路5aが構成されている。ドライブ回路52aは、第1制御回路9から入力される駆動信号に応じてスイッチング素子をオン/オフさせ、第2コンバータ回路51aから光源モジュール6aに駆動信号に応じた出力電流が流れるように、第2コンバータ回路51bの出力を制御する。
また、第2コンバータ回路51bと、第2コンバータ回路51bが備えるスイッチング素子(図示せず)を駆動するドライブ回路52bとで、光源モジュール6bを点灯させる供給回路5bが構成されている。ドライブ回路52bは、第1制御回路9から入力される駆動信号に応じてスイッチング素子をオン/オフさせ、第2コンバータ回路51bから光源モジュール6bに駆動信号に応じた出力電流が流れるように、第2コンバータ回路51bの出力を制御する。
設定器20から点灯装置1に入力された設定信号Viは、整流回路3によって全波整流された後にPWM信号生成回路7に入力される。
PWM信号生成回路7は、設定信号Viの導通角に対応したデューティ比を有するPWM信号V3を生成する。より詳細には、PWM信号生成回路7は、例えばツェナーダイオードを用いて、整流回路3から出力される電圧信号V1と所定の基準値との高低を比較する。この基準値は、電圧信号V1がゼロであるか否かを検出するために用いられる基準値であり、ノイズレベルよりもやや大きい所定の電圧値に設定されている。PWM信号生成回路7は、電圧信号V1が上記の基準値を超えると、出力の電圧レベルをロー(L)レベルからハイ(H)レベルに切り替える。PWM信号生成回路7は、電圧信号V1が基準値以下になると、出力の電圧レベルをハイ(H)レベルからロー(L)レベルに切り替える。したがって、PWM信号生成回路7から出力されるPWM信号V3は、設定器20のスイッチング素子が導通している位相角の範囲(導通角)ではハイレベルとなり、設定器20のスイッチング素子が非導通となっている位相角の範囲(非導通角)ではローレベルとなる。よって、PWM信号生成回路7は、設定器20から入力される設定信号Viの導通角に対応したデューティ比のPWM信号V3を出力する。
PWM信号生成回路7から出力されるPWM信号V3は、複数(図1では2つ)の信号変換回路8a、8bにそれぞれ入力されている。
信号変換回路8a、8bは、PWM信号V3を、PWM信号V3のデューティ比に応じた電圧値を有するアナログ信号V4、V5に変換する。
信号変換回路8aは、例えばPWM信号生成回路7の出力端子と回路のグランドとの間に抵抗器とコンデンサとを直列に接続したRC積分回路(図示せず)を備えている。コンデンサの両端には、PWM信号V3から変換された電圧が発生する。したがって、信号変換回路8aは、PWM信号V3のデューティ比に応じた電圧値のアナログ信号V4を生成し、アナログ信号V4を第1制御回路9に出力する。
信号変換回路8bも、信号変換回路8aと同様に、PWM信号生成回路7の出力端子と回路のグランドとの間に抵抗器とコンデンサとを直列に接続したRC積分回路(図示せず)を備えている。コンデンサの両端には、PWM信号V3から変換された電圧が発生する。したがって、信号変換回路8bは、PWM信号V3のデューティ比に応じた電圧値のアナログ信号V5を生成し、アナログ信号V5を第1制御回路9に出力する。
本実施形態では、信号変換回路8a、8bのRC積分回路は、互いに異なる時定数を有している。より詳細には、信号変換回路8aを構成するRC積分回路の時定数に比べて、信号変換回路8bを構成するRC積分回路の時定数のほうが大きい値に設定されている。
すなわち、信号変換回路8bでは、アナログ信号V5の電圧リップルが極力小さくなるように、信号変換回路8bの時定数が交流電圧の半周期よりも十分大きい値に設定されている。
一方、信号変換回路8aでは、アナログ信号V4の電圧リップルが多少大きくなっても、PWM信号V3のデューティ比の変化にアナログ信号V4の振幅(電圧)がレスポンスよく追従できるよう、信号変換回路8aの時定数は交流電圧の半周期よりも大きいが、信号変換回路8bの時定数よりも十分に小さい値に設定されている。
したがって、PWM信号V3のデューティ比の変化に応じて、信号変換回路8aのアナログ信号V4の振幅(電圧)が変化することになる。ところで、図4に示すように、PWM信号V3のハイ期間及びロー期間でアナログ信号V4は大きく変動しているため、アナログ信号V4を取り込むタイミングによって、アナログ信号V4をA/D変換した値が大きく変動する可能性がある。本実施形態では、第1制御回路9が、電圧信号V1の周波数と同期をとり、1周期内のほぼ同じタイミングでアナログ信号V4をA/D変換しているので、取り込みのタイミングでA/D変換した値がばらつくのを抑制できる。
ここで、図5に整流回路3から入力される電圧信号V1の一例を示し、時刻t1以前では位相角が30度の時点から次のゼロクロスまで電源電圧が入力されるので、電源電圧の導通角(電源電圧が供給される位相角の範囲)は150度となっている。一方、時刻t1より後では位相角が150度の時点から次のゼロクロスまで電源電圧が供給されるので、電源電圧の導通角は30度となっている。図5には、電圧信号V1の導通角が150度から30度に変化する前後での、信号変換回路8aのアナログ信号V4と、信号変換回路8bのアナログ信号V5の波形図を示してある。信号変換回路8aの時定数は、信号変換回路8bの時定数よりも小さい値に設定されている。したがって、時刻t1以後のアナログ信号V4の振幅(電圧)は、アナログ信号V5の振幅(電圧)に比べて、短時間で変化しており、PWM信号V3のデューティ比の変化によく追従している。
第1制御回路9は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現される。マイクロコンピュータには、プロセッサ及びメモリが搭載されている。第1制御回路9は、設定器20から点灯装置1に入力される設定信号Viに応じて、第2コンバータ回路51a、51bがそれぞれ備えるスイッチング素子のオン/オフを制御することによって、光源モジュール6a、6bに供給される電力をそれぞれ制御する。第1制御回路9には、第2電源回路13から動作に必要な電力が供給される。
第1制御回路9は、図2に示すように、A/D変換部90と、判定部91と、演算部92と、決定部93と、記憶制御部94と、記憶部95とを備えている。記憶部95は、第1記憶部96と、第2記憶部97とを備えている。
A/D変換部90は、信号変換回路8a、8bで変換されたアナログ信号V4、V5を、予め決められたサンプリング間隔(例えば185.12μs)を有するデジタル信号に変換する。A/D変換部90は、信号変換回路8aからのアナログ信号V4及び信号変換回路8bからのアナログ信号V5をそれぞれA/D変換して取り込む。第1制御回路9は、A/D変換部90を用いて所定のタイミングでアナログ信号V4、V5をA/D変換することによって、アナログ信号V4、V5を取り込む。
判定部91は、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値以上であるか否かを判定する。例えば、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値以上である場合、判定部91は、フラグをセットする。
演算部92は、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値未満であると判定部91で判定された第1の場合、第1期間において信号変換回路8aで変換されたm個のデジタル値の平均値を移動平均値として演算する。具体的には、演算部92は、フラグがセットされていない場合、64個のデジタル値の平均値を移動平均値として演算する。第1の場合とは、例えば、設定器20による操作がなく、導通角の変化がない場合、ユーザが設定器20の操作部200を少し回した場合、ユーザが設定器20の操作部200をゆっくり回した場合をいう。
演算部92は、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値以上であると判定部91で判定された第2の場合、第1期間よりも短い第2期間において信号変換回路8bで変換されたn(n<m)個のデジタル値の平均値を移動平均値として演算する。具体的には、演算部92は、フラグがセットされている場合、10個のデジタル値の平均値を移動平均値として演算する。第2の場合とは、導通角が急激に変化する場合をいい、例えば、ユーザが設定器20の操作部200を短時間で大きく回した場合、ユーザが設定器20の操作部200を早く回した場合をいう。
決定部93は、演算部92によって演算された移動平均値に応じて駆動信号のデューティ比(指令値)を決定する。より詳細には、決定部93は、移動平均値をもとに、対応表からドライブ回路52a、52bにそれぞれ出力する駆動信号のデューティ比を決定する。そして、決定部93は、決定したデューティ比の駆動信号をドライブ回路52a、52bに出力する。ドライブ回路52aは、第1制御回路9から入力された駆動信号に応じて第2コンバータ回路51aのスイッチング素子を駆動する。ドライブ回路52bは、第1制御回路9から入力された駆動信号に応じて第2コンバータ回路51bのスイッチング素子を駆動する。これにより、第2コンバータ回路51a、51bの出力が個別に制御され、光源モジュール6a、6bの光出力が変化する。本実施形態では、発光色の色温度が異なる光源モジュール6a、6bの光出力を個別に変化させ、各光源モジュール6a、6bの出力光を混色させることで、図2に示す調光・調色カーブにしたがった出力光を照射させる。なお、図2に示す調光・調色カーブにおいて、光量が0%から90%までの調光・調色カーブは、白熱灯の場合の調光カーブに一致するように設定されている。
記憶部95は、移動平均値と、ドライブ回路52a、52bにそれぞれ出力する駆動信号(PWM信号からなる)のデューティ比との対応関係を規定した対応表を予め記憶している。
ところで、第1記憶部96は、m個のデジタル値を記憶している。第2記憶部97は、n個のデジタル値を記憶している。記憶制御部94は、第1記憶部96及び第2記憶部97を制御するように構成されている。
演算部92は、第1の場合、第1記憶部96に記憶されているm個のデジタル値を用いて移動平均値を演算する。演算部92は、第2の場合、第2記憶部97に記憶されているn個のデジタル値を用いて移動平均値を演算する。
ここで、記憶制御部94は、第1の場合から第2の場合に変わったときに、第1記憶部96に記憶されているm個のデジタル値のうちの新しいn個のデジタル値を第2記憶部97に記憶させている。一方、記憶制御部94は、第2の場合から第1の場合に変わったときに、第2記憶部97で記憶されているn個のデジタル値を第1記憶部96に記憶させている。
次に、本実施形態に係る点灯装置1の動作について説明する。
設定器20は、交流電源電圧の半周期ごとに、交流電源100と直列に接続されたスイッチング素子を、操作部200によって設定された任意の位相角でオンさせることによって、正弦波形の一部がカットされたような交流電圧を生成し、点灯装置1に出力する。
点灯装置1では、整流回路3が設定器20からの入力電圧を全波整流し、第1コンバータ回路4が整流回路3の整流出力を平滑して得た直流電圧V2を第2コンバータ回路51a、51bに出力する。
また、PWM信号生成回路7が、整流回路3の電圧信号V1を所定の基準値と比較することで、設定器20から入力される設定信号Viの導通角に応じたデューティ比のPWM信号V3を発生する。PWM信号生成回路7から出力されるPWM信号V3は信号変換回路8a、8bによって変換され、信号変換回路8a、8bのアナログ信号V4、V5が第1制御回路9に入力される。第1制御回路9は、信号変換回路8a、8bのアナログ信号V4、V5をもとに、記憶部95に予め記憶された対応表を参照して、ドライブ回路52a、52bにそれぞれ出力する駆動信号のデューティ比を決定する。第1制御回路9は、ドライブ回路52a、52bにそれぞれ駆動信号を出力して、第2コンバータ回路51a、51bの出力を制御することで、光源モジュール6a、6bに所望の電流を供給して、光源モジュール6a、6bを点灯させる。
次に、点灯装置1が光源モジュール6a、6bを調色・調光する動作について説明する。一般的に調色照明を行う場合、照明空間の全体を照明する照明光として電球色と昼白色が推奨されており、電球色で照明する場合も昼白色で照明する場合も照明空間を十分な明るさで照明するために、所定の光出力が必要になる。電球色で照明する場合と昼白色で照明する場合で明るさを同程度にしたい場合、電球色で照明する場合は昼白色で照明する場合に比べて暗めに感じられるため、電球色で照明する場合のほうがより高い電流を流す必要がある。また、調光レベルを調光下限まで低下させる間は電球色で調光するのが好ましい。なお、JIS Z 9112「蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分」にはLEDの光源色である電球色及び昼白色の色度範囲がxy色度図上において定義されている。電球色の相関色温度は2600〜3250K、昼白色の相関色温度は4600〜5500Kとなっている。本実施形態では光源モジュール6aの発光の色温度は電球色よりも低く、光源モジュール6bの発光の色温度は昼白色よりも高くなっており、両者の混色比を調整することで電球色や昼白色の発光を得ている。
本実施形態に係る点灯装置1は、導通角が最大値θ3となる場合(すなわち導通角の調整範囲における上限)では照明光(光源モジュール6a、6bの出力光の混色光)を昼白色とし、導通角の調整範囲の途中から下限にかけて電球色で調光する。
そして、点灯装置1は、導通角の調整範囲の途中で出力電力の合計値が極大となるように、第2コンバータ回路51a、51bの出力を制御しており、出力電力の合計値が極大となる状態では電球色で点灯させている。本実施形態に係る点灯装置1を用いた照明装置では、暖色系の光源モジュール6aと寒色系の光源モジュール6bとを用い、暖色系の光源モジュール6aに流れる電流と、寒色系の光源モジュール6bに流れる電流との比率(電流比)で調色を行っている。また、電球色での照明と昼白色での照明とで同程度の明るさが得られるように、電球色で照明する場合は、昼白色で照明する場合よりも高い電流を流している。
したがって、導通角の調整範囲の下限から上限にかけて光量が増加するように、点灯装置1は、寒色系の光源モジュール6bに流れる第2電流を単調増加させている。また、点灯装置1は、導通角の調整範囲の下限から暖色系の光源モジュール6aに流れる第1電流を徐々に増加させ、出力電力の合計値が極大となる導通角で電流値が極大となるように第1電流を調整している。
図4は、整流回路3で設定信号Viが全波整流されて得られた電圧信号V1と、PWM信号V3と、信号変換回路8aのアナログ信号V4と、信号変換回路8bのアナログ信号V5との関係をそれぞれ示している。
次に、本実施形態に係る点灯装置1を用いた照明器具30の一例について図6を参照して説明する。
本実施形態に係る照明器具30は、照明装置(点灯装置1、光源モジュール6a、6b)と、複数の光源モジュール6a、6bを収納する第1ケース(器具本体)31と、点灯装置1の構成部品を収納する第2ケース32とを備えている。本実施形態に係る照明器具30は、例えば、天井材40に埋め込み配置されている。
第1ケース31は、例えば鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属で、下面が開口した円筒状に形成されている。第1ケース31の下端部には、径方向における外向きに突出する外鍔33が第1ケース31と一体に設けられている。第1ケース31の底壁(図6における上側壁)の内面には、光源モジュール6a、6bが実装された実装基板34が、光源モジュール6a、6bを開口側に向けた状態で取り付けられている。第1ケース31の開口部分は光拡散板35で塞がれており、光源モジュール6a、6bから照射された光は光拡散板35を透過して、外部に照射される。光拡散板35は光を拡散させる機能を有しており、光源モジュール6a、6bから照射された光は光拡散板35によって拡散され、所望の照明領域に照射される。
第1ケース31は、天井材40に形成された取付用の孔41に下側から挿入されており、外鍔33の上面を孔41の周縁部に接触させた状態で、天井材40に固定されている。
第2ケース32は、例えば鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属で、箱状に形成されており、天井材40の上側に載置されている。第2ケース32の下部の両端にはスタンド36が取り付けられており、スタンド36を介して天井材40の上面に第2ケース32が載置された状態では、第2ケース32の下面と天井材40の上面との間に隙間が設けられている。
第1ケース31からは、光源モジュール6a、6bに電気的に接続された電線37が引き出され、電線37の先端にはコネクタ37aが接続されている。また、第2ケース32からは、第2コンバータ回路51a、51b(図1参照)の出力端に電気的に接続された電線38が引き出され、電線38の先端にはコネクタ38aが接続されている。コネクタ37aとコネクタ38aとが接続されると、第2コンバータ回路51aと光源モジュール6aの間が電気的に接続され、第2コンバータ回路51bと光源モジュール6bの間が電気的に接続される。
本実施形態に係る照明器具30は、上述した点灯装置1を備えており、ちらつきの発生を抑制し、かつ、調光の変化への応答性を高めることができる。
また、本実施形態に係る照明システムは、上述した点灯装置1と、交流電源100から入力される交流電圧の導通角を調整することによって生成した設定信号Viを点灯装置1に出力する設定器20とを備えている。照明システムは、上述した点灯装置1を備えているので、ちらつきの発生を抑制し、かつ、調光の変化への応答性を高めることができる。
本実施形態に係る点灯装置1を用いた照明装置では、光源モジュール6a、6bの出力光を混色した照明光の色温度を電球色から昼白色の間で変化させているが、電球色から、昼白色よりも色温度の高い昼光色の間で変化させてもよい。なお、JIS Z 9112「蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分」には昼光色の色度範囲がxy色度図上において定義されており、昼光色の相関色温度は5700〜7100Kとなっている。一般的に6200K付近の色温度では文字が見えやすくなるという効果が知られているので、点灯装置1が混色光の色温度を電球色から昼光色の間で変化させることも好ましい。
また、設定器20は、操作部200に代えて、設定器20の本体21にスライド移動自在に取り付けられた操作部を備えてもよい。上記操作部は、設定器20の本体の前方に突出する突起を所定方向(上下方向)においてスライド移動させることによって、設定信号Viの導通角が変化するように構成されている。
以上説明した本実施形態に係る点灯装置1は、点灯回路1aと、制御回路1bとを備える。点灯回路1aは、交流電源100から入力される交流電圧の導通角を調整することによって位相制御された設定信号Viに従って、固体発光素子(LED61、62)を有する光源(光源モジュール6a、6b)を点灯させる。制御回路1bは、上記導通角に基づく指令値を点灯回路1aに出力して点灯回路1aを制御する。制御回路1bは、PWM信号生成回路7と、信号変換回路8a、8bと、A/D変換部90と、判定部91と、演算部92と、決定部93とを備える。PWM信号生成回路7は、上記導通角に対応したデューティ比を有するPWM信号V3を生成する。信号変換回路8a、8bは、PWM信号V3を、PWM信号V3のデューティ比に応じた電圧値を有するアナログ信号に変換する。A/D変換部90は、信号変換回路8a、8bで変換されたアナログ信号を、予め決められたサンプリング間隔を有するデジタル信号に変換する。判定部91は、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値以上であるか否かを判定する。演算部92は、変化量が閾値未満であると判定部91で判定された第1の場合、第1期間において信号変換回路8aで変換されたm個のデジタル値の平均値を移動平均値として演算する。演算部92は、変化量が閾値以上であると判定部91で判定された第2の場合、第1期間よりも短い第2期間において信号変換回路8bで変換されたn(n<m)個のデジタル値の平均値を移動平均値として演算する。決定部93は、移動平均値に応じて指令値を決定する。
本実施形態に係る点灯装置1によれば、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値より小さい第1の場合と導通角の単位時間当たりの変化量が閾値以上である第2の場合とにおいて、ちらつきの発生を抑制し、かつ、調光の変化への応答性を高めることができる。
本実施形態に係る点灯装置1では、制御回路1bは、第1記憶部96と、第2記憶部97と、記憶制御部94とを含む。第1記憶部96は、m個のデジタル値を記憶する。第2記憶部は、n個のデジタル値を記憶する。記憶制御部94は、第1記憶部96及び第2記憶部97を制御する。演算部92は、第1の場合、第1記憶部96に記憶されているm個のデジタル値を用いて移動平均値を演算する。演算部92は、第2の場合、第2記憶部97に記憶されているn個のデジタル値を用いて移動平均値を演算する。記憶制御部94は、第1の場合から第2の場合に変わったときに、第1記憶部96に記憶されているm個のデジタル値のうちの新しいn個のデジタル値を第2記憶部97に記憶させる。記憶制御部94は、第2の場合から第1の場合に変わったときに、第2記憶部97で記憶されているn個のデジタル値を第1記憶部96に記憶させる。
本実施形態に係る点灯装置1によれば、導通角の単位時間当たりの変化量について第1の場合から第2の場合に変わったときに、移動平均値を演算する際に用いられるデジタル値を引き継ぐことができる。これにより、移動平均値から決定される指令値を連続的に決定することができる。
本実施形態に係る照明装置は、点灯装置1と、光源(光源モジュール6a、6b)とを備える。なお、本実施形態に係る点灯装置1は、複数(例えば2個)の光源モジュール6a、6bを備え、複数の光源モジュール6a、6bの各々は、他の光源モジュールと色温度が異なる固体発光素子(発光ダイオード61、62)を備えている。色温度が異なる光源モジュール6a、6bの光出力を変化させることで、調光と調色の両方を行うことができる。
本実施形態に係る照明器具は、上記の照明装置と、器具本体(第1ケース31)とを備える。器具本体には、光源(光源モジュール6a、6b)が取り付けられる。
本実施形態に係る照明システムは、点灯装置1と、設定器20とを備える。設定器20は、操作部200を有し、操作部200の操作に応じて交流電源100から入力される交流電圧の導通角を調整することによって生成した設定信号Viを点灯装置1に出力する。
なお、本実施形態では、導通角の単位時間当たりの変化量が閾値未満である場合と閾値以上である場合との2段階であるが、導通角の単位時間当たりの変化量を3段階に分けてもよい。この場合、2ビットのフラグを用いれば、3つの場合を区別することができる。
また、発光ダイオード61及び発光ダイオード62は、それぞれLEDチップが発する光をそのまま利用するものであってもよいし、LEDチップが発する光と波長変換部材が発する光とを混色した光を利用するものであってもよい。波長変換部材を用いる場合、発光ダイオード61及び発光ダイオード62は、波長変換部材により、LEDチップの光の一部を波長変換して、LEDチップが発する光と波長変換部材が発する光とを混色する。この場合、発光ダイオード61及び発光ダイオード62に同じLEDチップを用いても、異なる波長変換部材を用いることで、発光ダイオード61及び発光ダイオード62が互いに異なる色温度の光を発することができる。
また、本実施形態に係る点灯装置1において、複数の光源モジュール6a、6bの各々が、他の光源モジュールと固体発光素子の順方向電圧の合計値が異なるようにしてもよい。順方向電圧が異なる光源モジュール6a、6bの光出力を変化させることで、調光制御を行うことができる。
なお、本実施形態で例示した光源モジュール6a、6bの色温度や、出力光の調光・調色カーブは一例であって、光源モジュール6a、6bの色温度や、出力光の調光・調色カーブは本実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。また、設定器20から出力される設定信号Viの導通角に対して、第1コンバータ回路4から供給可能な電力の特性カーブ(図3参照)も一例であり、また簡略化して図示しており、図3の特性に限定されない。また光源モジュール6a、6bは固体発光素子として発光ダイオードを備えているが、固体発光素子として発光ダイオード以外の素子、例えば電界発光素子(Electroluminescence element)などの素子を備えていてもよい。
なお、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、本発明は、特定の実施形態に制約されない。