JP2017214859A - 垂直軸型風力発電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電動アクチュエータ及びその制御構成を必要とすることなく、機械的な構造によって翼のピッチ角を変更することができる垂直軸型風力発電機を提供すること【解決手段】 垂直軸型風力発電機1の翼可動機構20は、内輪21a及び内輪21aに同軸配置した外輪21bを有し、軸方向が垂直支柱2の軸方向に対して傾斜した状態で垂直支柱2に相対回転可能に取り付けられたスワッシュプレート21と、スワッシュプレート21の外輪21bに接続されるとともに、垂直支柱2の軸方向に延設された第一ロッド部材221と、翼6にその一方端が接続された第二ロッド部材223と、垂直支柱2の軸方向に平行な平面内を回転可能に垂直支柱2に取り付けられるとともに、それぞれ異なる位置にて第一ロッド部材221及び第二ロッド部材223に接続されたベルクランク222と、を備える。【選択図】 図1A
Description
本発明は、垂直軸型風力発電機に関する。
再生可能エネルギーとしての風力を利用した様々な風力発電機が開発されている。風力発電機は、水平軸型風力発電機と垂直軸型風力発電機とに大別される。水平軸型風力発電機は、風向に平行な軸回りを公転する翼を有する風車(水平軸風車)を備え、垂直軸型風力発電機は、風向に垂直な軸回りを公転する翼を有する風車(垂直軸風車)を備える。
また、風力発電機は、抗力型風力発電機と揚力型風力発電機とに大別することもできる。抗力型風力発電機は、風力により押される力(抗力)によって公転する翼(抗力翼)を有する風車(抗力型風車)を備え、揚力型風力発電機は、風力により翼に生じる揚力によって公転する翼(揚力翼)を有する風車(揚力型風車)を備える。
抗力型風車に備えられる翼は、弱風によっても公転する。その反面、抗力型風車に備えられる翼の公転速度を風速よりも大きくすることができない。従って、抗力型風車を利用した抗力型風力発電機は、始動性(起動性)が高い(すなわち弱風によっても発電する)というメリットを有する一方で、強風時における最大発電量が小さいというデメリットを有する。
揚力型風車は、翼の公転速度を風速よりも大きくすることができる。しかし、弱風によって翼が公転し難い。従って、揚力型風車を利用した揚力型風力発電機は、強風時における最大発電量が大きいというメリットを有する一方で、始動性が低い(すなわち弱風によっては発電しない)というデメリットを有する。
特許文献1は、回転軸と、回転軸と一体回転する公転軸と、自転可能であり公転軸に沿って回転軸回りを公転する翼と、公転角度(位相角)に応じて翼の自転角度(ピッチ角或いは仰角)を制御する制御手段を備える風車を開示する。また、特許文献1は、制御手段による翼の自転角度の制御方式として、ガイドロッド方式、ガイドウェイ方式、及び、ガイドロッド方式とガイドウェイ方式との複合方式、の3方式を提案している。ガイドロッド方式は、翼にガイドロッドを接続するとともに、回転軸に対するガイドロッドの偏心回転中心位置を電動アクチュエータ等で制御することにより、翼の自転角度を制御する方式である。ガイドウェイ方式は、環状体に形成された環状溝(ガイドウェイ)に係合するカムフォロアに翼を接続するとともに、回転軸に対する環状溝の中心位置を電動アクチュエータ等で制御することにより、翼の自転角度を制御する方式である。特許文献1によれば、公転位置に応じて翼の自転角度(ピッチ角)を制御することにより、始動性を向上させることができるとともに、過大風力に対する対応を容易に行うことができる。
特許文献2は、回転軸を中心として回転可能であり、且つ厚さ方向にカムプロフィールが変化する板カムと、風向に応じて板カムの回動角度を調整するカム回動角度調整機構と、板カムの従動節と翼とを連結するリンク機構と、板カムを回転軸の軸方向に移動するための電動アクチュエータとを有する翼回動角度調整手段を備える風車を開示する。板カムを回転軸の軸方向に移動させて翼のピッチ角(又は仰角)を変更することで、始動性が向上するとともに、これを用いた発電機の発電電力を増大させることができる。
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1及び特許文献2に記載の風車は、いずれも、公転する翼のピッチ角(サイクルピッチ)を変更することにより、高速で翼が公転するように構成されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の風車には、翼のピッチ角を変更させるための電動アクチュエータ及び、翼の公転位置に応じて翼のピッチ角が最適角度になるように電動アクチュエータを制御するための制御構成が必要とされるため、構造が複雑化するとともに、コストアップが懸念される。
特許文献1及び特許文献2に記載の風車は、いずれも、公転する翼のピッチ角(サイクルピッチ)を変更することにより、高速で翼が公転するように構成されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の風車には、翼のピッチ角を変更させるための電動アクチュエータ及び、翼の公転位置に応じて翼のピッチ角が最適角度になるように電動アクチュエータを制御するための制御構成が必要とされるため、構造が複雑化するとともに、コストアップが懸念される。
本発明は、電動アクチュエータ及びその制御構成を必要とすることなく、機械的な構造によって翼のピッチ角を変更することができる垂直軸型風力発電機を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明に係る垂直軸型風力発電機(1)は、自転可能な垂直支柱(2)と、垂直支柱に取り付けられ、垂直支柱の自転によって発電する発電機(3)と、垂直支柱に支持されるとともに、垂直支柱から離れる方向に延設されたステー(4)と、垂直支柱に平行にステーに設けられた第一軸(P4)回りに回転可能にステーに接続され、風力により垂直支柱を中心としてステーとともに公転する翼(6)と、翼の公転位置に応じて翼のピッチ角を変更するピッチ角可変機構(20)を備える。
本発明に係る垂直軸型風力発電機(1)は、自転可能な垂直支柱(2)と、垂直支柱に取り付けられ、垂直支柱の自転によって発電する発電機(3)と、垂直支柱に支持されるとともに、垂直支柱から離れる方向に延設されたステー(4)と、垂直支柱に平行にステーに設けられた第一軸(P4)回りに回転可能にステーに接続され、風力により垂直支柱を中心としてステーとともに公転する翼(6)と、翼の公転位置に応じて翼のピッチ角を変更するピッチ角可変機構(20)を備える。
そして、ピッチ角可変機構は、第一輪(21a)と、第一輪に同軸的に配置しているとともに第一輪に相対回転可能に第一輪に接続された第二輪(21b)とを有し、回転軸方向が垂直支柱の軸方向に対して傾斜した状態で、第一輪が垂直支柱に相対回転可能に取り付けられている軸受部材(21)と、軸受部材の第二輪にその一方端が接続されるとともに、垂直支柱の軸方向に延設された第一ロッド部材(221)と、翼とステーとの接続位置とは異なる位置にて翼にその一方端が接続された第二ロッド部材(223)と、垂直支柱の軸方向に平行な平面内を回転可能に垂直支柱に取り付けられるとともに、それぞれ異なる位置にて第一ロッド部材の他方端及び第二ロッド部材の他方端に接続されたベルクランク(222)と、を備える。
本発明に係る垂直軸型風力発電機によれば、翼は、垂直支柱と平行な軸(第一軸)回りに回転可能にステーに取り付けられる。また、本発明に係る垂直軸型風力発電機が備えるピッチ角可変機構は、傾斜状態で垂直支柱に取り付けられた軸受部材と、軸受部材の第二輪に接続された第一ロッド部材と、第一ロッド部材に接続されたベルクランクと、ベルクランクに接続されるとともに翼に接続された第二ロッド部材とを備える。従って、翼の公転は、第二ロッド部材及びベルクランクを介して第一ロッド部材に伝達され、この第一ロッド部材が、翼の公転に伴って軸受部材の第二輪とともに垂直支柱の回りを回転する。ここで、軸受部材は垂直支柱に傾斜して取り付けられているので、軸受部材のある一点(定点)における垂直支柱の軸方向に沿った位置は、回転位置によって変化する。よって、軸受部材のある一点に接続された第一ロッド部材は、翼の公転に伴って垂直支柱の軸方向に沿って周期的に往復する。斯かる第一ロッド部材の周期的な往復動作がベルクランクの回転動作(揺動動作)を誘発し、さらにベルクランクの回転動作によって第二ロッド部材が軸方向に往復移動する。第二ロッド部材が軸方向に往復移動することによって、翼が第一軸回りを揺動する。このような翼の揺動により、翼のピッチ角が変更される。また、翼は周期的に揺動するため、1サイクル(公転)中に、公転位置に応じてピッチ角が変更されることになる。つまり、サイクルピッチを変更することができる。
このような構成のピッチ角可変機構により、翼が高速で公転しているときに、揚力がより向上するように翼のピッチ角を調整することができる。そのため翼をより高速で公転させることが可能となり、その結果、最大発電量を増大させることができる。また、翼のピッチ角を変更するために電動アクチュエータやその制御構成を必要とせず、機械的な構造によって翼のピッチ角を変更することができるので、従来技術に比べて安価に垂直軸型風力発電機を提供することができる。さらに、上記構成のピッチ角可変機構は、第二ロッド部材、ベルクランク、第一ロッド部材、軸受部材を含む複数の部品が接続されることにより構成されているが、翼が高速で公転しているときには、遠心力及び揚力によって、これらの構成部品が常に翼に引っ張られる。このため、翼の公転中に、ピッチ角可変機構を構成する各部品が接続部位にて押し付け合うことが防止され、各部品が接続位置にて押し付け合うことによる各部品の破損が効果的に防止される。また、上記した各部品の破損を防止するための補強を考慮することなく各部品を作製できるので、部品コストの削減にも寄与する。
この場合、本発明に係る垂直軸型風力発電機は、垂直支柱の外周側に設けられ、軸受部材の第一輪と一体的に同軸回転するように第一輪に接続された筒状部材(12)と、平板状に形成され、その表面及び裏面が垂直支柱の軸方向に平行であるように筒状部材の外周面に固定された尾翼(11)と、を有する尾翼ユニット(10)を備えるのがよい。
これによれば、尾翼が風を受けて風向に平行な方向に回転すると、それに伴い、筒状部材を介して尾翼に接続された軸受部材の第一輪も回転する。第一輪が回転することにより、垂直支柱に対する軸受部材の傾斜方向が変化する。つまり、尾翼の回転位置と軸受部材の傾斜方向が関連付けられる。よって、風向に対して最も好ましい方向に軸受部材が傾斜するように尾翼を筒状部材に固定することにより、特別な制御を行うことなく、最適な翼のピッチ角制御を行うことができる。
また、本発明に係る垂直軸型風力発電機は、翼の公転位置が、翼に作用する抗力の回転方向成分の作用方向が翼に作用する遠心力の回転方向成分の作用方向と反対方向である第一公転位置であって、且つ、抗力の回転方向成分が遠心力の回転方向成分よりも大きいときに、第一軸回りにおける翼の回転位置が、抗力の回転方向成分によって抗力を主体として翼を公転させることができる第一回転位置に位置決めされ、翼の公転位置が、抗力の回転方向成分の作用方向と遠心力の回転方向成分の作用方向が同一方向である第二公転位置であるときに、第一軸回りにおける翼の回転位置が、抗力の回転方向成分及び遠心力の回転方向成分によって揚力を主体として翼を公転させることができる第二回転位置に位置決めされ、遠心力の回転方向成分が抗力の回転方向成分よりも大きいときに、翼の公転位置にかかわらず、第一軸回りにおける翼の回転位置が第二回転位置に位置決めされるように、第一軸回りにおける翼の回転位置を調整する回転位置調整機構(20)を備えるとよい。
これによれば、回転位置調整機構によって、第一軸回りにおける翼の回転位置が第一回転位置又は第二回転位置に位置決めされる。翼が第一回転位置にあるとき、翼は抗力翼として機能することができる。翼が第二回転位置にあるとき、翼は揚力翼として機能することができる。
ここで、翼の公転速度が低い始動時には、翼に作用する遠心力が小さい。そのため、翼に作用する抗力の回転方向成分(すなわち翼に作用する抗力のうち第一軸回りにおける翼の回転方向成分)の方が、翼に作用する遠心力の回転方向成分(すなわち翼に作用する遠心力のうち第一軸回りにおける翼の回転方向成分)よりも大きい。このような始動時であって、且つ、翼の公転位置が、抗力の回転方向成分の作用方向が遠心力の回転方向成分の作用方向と反対方向である公転位置(第一公転位置)であるときは、抗力の回転方向成分によって、翼が第一回転位置に位置決めされる。一方、始動時であって、且つ、翼の公転位置が、抗力の回転方向成分の作用方向と遠心力の回転方向成分の作用方向が同一方向である公転位置(第二公転位置)であるときは、抗力の回転方向成分及び遠心力の回転方向成分によって、翼が第二回転位置に位置決めされる。このように、始動時(翼の公転速度が低いとき)には、第一軸回りにおける翼の回転位置は、翼の公転位置に応じて、翼が抗力翼として機能することができる第一回転位置と、翼が揚力翼として機能することができる第二回転位置とに切り替えられる。言い換えれば、始動時には、翼が抗力翼として機能する公転領域が存在する。始動時に翼が抗力翼として機能する公転領域が存在するので、弱風が作用した場合でも翼を公転させることができる。つまり、始動性をより一層向上させることができる。
一方、翼の公転速度が高い場合、翼に作用する遠心力が大きい。そのため、遠心力の回転方向成分が、抗力の回転方向成分よりも大きい。この場合、翼の公転位置にかかわらず、翼が第二回転位置に位置決めされて、翼が揚力翼として機能する。このように、翼の公転速度が高い場合には、翼が揚力翼として機能するので、風速よりも高い速度で翼を公転させることができ、それにより、最大発電量を向上させることができる。
この場合、本発明に係る回転位置調整機構は、上記第二ロッド部材を含み、第二ロッド部材は、垂直支柱に接続された内側連結部(223a)と、垂直支柱に平行な軸回りに回転可能に内側連結部にその一方端が接続された中間ロッド部(223b)と、垂直支柱に平行な軸回りに回転可能にその一方端が中間ロッド部の他方端に接続されるとともに、その他方端がステーとの接続位置とは異なる接続位置にて翼に接続された外側ロッド部(223c)と、を有するとよい。そして、第二ロッド部は、翼の第一軸回りにおける回転位置が第二回転位置にあるときに、中間ロッド部と外側ロッド部が同軸状に配列され、翼の第一軸回りにおける回転位置が第一回転位置にあるときに、中間ロッド部と外側ロッド部が交差状に配列されるように構成されるとよい。ここで、中間ロッド部と外側ロッド部が「同軸状に配列される」とは、第二ロッド部材が直線状態になるように、中間ロッド部と外側ロッド部が配列されることをいう。また、中間ロッド部と外側ロッド部が「交差状に配列される」とは、第二ロッド部材が、中間ロッド部と外側ロッド部との接続位置を中心に折れ曲がった状態(屈曲状態)となるように、中間ロッド部と外側ロッド部が配列されることをいう。
これによれば、第二ロッド部材を直線状態にすることにより、翼の回転位置を第二回転位置に位置決めすることができる。また、第二ロッド部材を屈曲状態にすることにより、翼の回転位置を第一回転位置に位置決めすることができる。
また、本発明に係る垂直軸型風力発電機は、翼が第一回転位置から第二回転位置に向かって回転するときに、第二回転位置に近づくにつれて大きくなるような、翼の回転に対する制動力を発生し、翼が第二回転位置から第一回転位置に向かって回転するときに、第一回転位置に近づくにつれて大きくなるような、翼の回転に対する制動力を発生する制動部材(26,27)を備えるとよい。この場合において、制動部材は、翼が第一回転位置と第二回転位置との間の中間回転位置から第二回転位置に向かって回転するときに、第二回転位置に近づくにつれて大きくなるような、翼の回転に対する制動力を翼に付与し、翼が上記中間位置から第一回転位置に向かって回転するときに、第一回転位置に近づくにつれて大きくなるような、翼の回転に対する制動力を翼に付与するように構成されているのが好ましい。
これによれば、翼が第一回転位置から第二回転位置に回転して第二回転位置に位置決めされる際、及び、翼が第二回転位置から第一回転位置に回転して第一回転位置に位置決めされる際に、制動部材が翼の回転に対して大きな制動力を発生する。斯かる制動力により、翼が第一回転位置又は第二回転位置に位置決めされるときにおける衝撃力が緩和されるので、翼の破損を防止できる。また、発生した制動力は、翼の回転に連動して配列状態を同軸状態から交差状態へと、或いは交差状態から同軸状態へと変化させる中間ロッド部と外側ロッド部を有する第二ロッド部材に作用する。このため、第二ロッド部材の中間ロッド部と外側ロッド部の配列状態の変化に伴い発生する衝撃力が、制動力によって緩和される。よって、第二ロッド部材の信頼性を向上させることができ、ひいては垂直軸型風力発電機の信頼性を向上させることができる。さらに、翼が第一回転位置又は第二回転位置に位置決めされたときに生じる衝突音の大きさを低減することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1の斜視図である。ここで、以下において、垂直軸型風力発電機1の構成を説明する際に方向を用いる場合は、その方向を、それぞれ直交する3方向であるX方向、Y方向、Z方向(又は上下方向)により表すことができる。ここで、X方向及びY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は鉛直方向(上下方向)を表す。また、図1Aは、風上側から見た垂直軸型風力発電機1の斜視図であり、図1Bは、風下側から見た垂直軸型風力発電機1の斜視図である。
図1A及び図1Bに示すように、垂直軸型風力発電機1は、垂直支柱2と、発電機3と、一対の上側ステー41a,41bと、一対の下側ステー42a,42bと、一対の翼6a,6bと、ベース7と、尾翼ユニット10と、翼可動機構20を備える。翼可動機構20が、本発明におけるピッチ角可変機構(サイクルピッチ可変機構)であり、また、回転位置調整機構である。
ベース7は、Z方向から見て十字状に形成され、地面或いは床面に載置される。このベース7の中心に、垂直支柱2が接続される。垂直支柱2は、第一支柱部2aと第二支柱部2bとを有し、第一支柱部2aがベース7に回転不能に接続される。第一支柱部2aは、Z方向に沿って延設される。また、第一支柱部2aの延設方向における先端部(上端部)に、発電機3を介して第二支柱部2bが配設される。第二支柱部2bの一方端(下端)には第一フランジ2cが取り付けられ、第二支柱部2bの他方端(上端)には第二フランジ2dが取り付けられる。第二支柱部2bは、第一支柱部2aと同軸的にZ方向に延設される。
発電機3は、中心孔を有する略ドーナツ形状のロータカバー3aを備えるアウターロータ型の発電機であり、ロータカバー3a内にアウターロータが配設されている。また、発電機3は、後述する図8において図示される中心軸3bを備える。中心軸3bはロータカバー3aの中心孔を挿通するとともにロータカバー3aからZ方向における下方に延びる。中心軸3bのうちロータカバー3aの中心孔を挿通している部分には、ロータカバー3a内のアウターロータに対面するように配置されたステータが取り付けられる。また、中心軸3bのうちロータカバー3aから下方に延びた部分が、第一支柱2aに同軸的に固定される。発電機3が備えるアウターロータは、ロータカバー3aとともに、中心軸3bを中心として回転することができるように構成される。
また、発電機3のロータカバー3aは、第二支柱部2bの一方端(下端)に取り付けられた第一フランジ2cに一体的に接続される。従って、第二支柱部2b、第一フランジ2c及び第二フランジ2dは、発電機3のロータカバー3a及びロータカバー3a内のアウターロータとともに、一体的に回転する。アウターロータが中心軸3bに取り付けられたステータに対して相対回転することにより、発電機3が発電する。
一対の上側ステー41a,41bは、共に同一形状の棒状部材であり、その一方端がそれぞれ垂直支柱2の第二フランジ2dに接続される。一対の上側ステー41a,41bは、垂直支柱2から離れる方向に延設される。具体的には、一対の上側ステー41a,41bは、垂直支柱2(第二支柱部2b)から垂直支柱2(第二支柱部2b)の軸方向(Z方向)に直交する成分を含む方向に、好ましくは、垂直支柱2(第二支柱部2b)から垂直支柱2(第二支柱部2b)の軸方向(Z方向)に直交する方向に、延設される。また、一対の上側ステー41a,41bのうち一方の上側ステー41aは、他方の上側ステー41bとは反対の方向に向かって延設される。
一対の下側ステー42a,42bは、共に同一形状の棒状部材であり、その一方端がそれぞれ垂直支柱2の第一フランジ2cに接続される。一対の下側ステー42a,42bは、垂直支柱2から離れる方向に延設される。具体的には、一対の下側ステー42a,42bは、垂直支柱2(第二支柱部2b)から垂直支柱2(第二支柱部2b)の軸方向(Z方向)に直交する成分を含む方向に、好ましくは、垂直支柱2(第二支柱部2b)から垂直支柱2(第二支柱部2b)の軸方向(Z方向)に直交する方向に、延設される。さらに、一対の下側ステー42a,42bのうち一方の下側ステー42aは、他方の下側ステー42bとは反対の方向に向かって延設される。
また、図1A及び図1Bからわかるように、一方の上側ステー41aと一方の下側ステー42aは、互いに平行で且つZ方向から見て同一位置に設けられ、他方の上側ステー41bと他方の下側ステー42bは、互いに平行で且つZ方向から見て同一位置に設けられる。そして、一方の上側ステー41aの延設方向における先端及び一方の下側ステー42aの延設方向における先端に、一対の翼6a,6bのうちの一方の翼6aが接続され、他方の上側ステー41bの延設方向における先端及び他方の下側ステー42bの延設方向における先端に、一対の翼6a,6bのうちの他方の翼6bが接続される。従って、一対の翼6a,6bは、Z方向から見た場合、垂直支柱2から所定の等距離離間し、且つ、垂直支柱2を挟んで対称となる位置に配設される。
一対の翼6a,6bは、共に同一形状である。一対の翼6a,6bは、通常の垂直軸型風車に用いられ、且つ、風力によって、一対の上側ステー41a,41b及び一対の下側ステー42a,42bとともに、垂直支柱2(第二支柱部2b)を中心として、その軸回りを公転することができるような形状を有する。図1A及び図1Bに示すように、一対の翼6a,6bは、外側面61及び内側面62を有し、Z方向に長く伸び、Z方向に垂直な断面がZ方向に沿って一定の形状であるように形成される。外側面61とは、翼6が公転した場合にその公転軌跡の外周側に主に面する面であり、内側面62とは、翼6が公転した場合にその公転軌跡の内周側に主に面する面である。
翼可動機構20は、主に、発電機3の下方位置に取り付けられる。図2は、翼可動機構20の取付構造を示す斜視図であり、図3は、翼可動機構20の取付構造をX方向から示す図である。
図2及び図3に示すように、翼可動機構20は、スワッシュプレート21(軸受部材)と、一対のリンク機構22a,22bと、傾斜角度調整機構23と、同位相ジョイント24とを備える。
スワッシュプレート21は、互いに相対的に同軸回転する内輪21a(第一輪)及び外輪21b(第二輪)を備える。内輪21aが、図示しないベアリングを介して垂直支柱2の第一支柱部2aの外周に相対回転可能に取り付けられる。そして、内輪21aの外周側に、内輪21aに同軸的に配置した外輪21bが、図示しないベアリングを介して内輪21aに相対回転可能に接続される。従って、スワッシュプレート21の内輪21aは、垂直支柱2及びスワッシュプレート21の外輪21bにそれぞれ相対的に回転することができる。また、スワッシュプレート21は、その回転軸方向が、垂直支柱2の軸方向に対して所定の角度だけ傾くように、垂直支柱2に取り付けられる。以下、スワッシュプレート21の回転軸と垂直支柱2の軸とのなす角を、スワッシュプレート21の傾斜角度という場合もある。なお、図2は、垂直支柱2の軸に対して傾斜していないスワッシュプレート21を示し、図3は、垂直支柱2の軸に対して傾斜しているスワッシュプレート21を示す。
一対のリンク機構22a、22bは、それぞれ、スワッシュプレート21の外輪21bに接続される。一対のリンク機構22a,22bは、それぞれ、第一ロッド部材221と、ベルクランク222と、第二ロッド部材223を有する。ベルクランク222は、発電機3のロータカバー3aの下部に固定されたケース25に軸ピンP1を介して取り付けられる。このケース25は、発電機3のロータカバー3aに同軸配置する筒状部材であり、ロータカバー3a及び垂直支柱2の第二支柱部2bとともに回転する。ベルクランク222は、その平面形状が略直角二等辺三角形となるように形成された板状部材であり、平面方向がZ方向に平行であるように、軸ピンP1を介して軸ピンP1の軸回りに回転可能にケース25に接続される。また、軸ピンP1の軸方向は、Z方向に垂直な方向である。従って、ベルクランク222は、Z方向(すなわち垂直支柱2の軸方向)に平行な平面内で回転可能にケース25に接続されていることになる。また、軸ピンP1は、略直角二等辺三角形状のベルクランク222の頂角近傍に設けられる。従って、ベルクランク222は、その頂角近傍を中心として回転可能である。
また、一方のリンク機構22aに備えられるベルクランク222と、他方のリンク機構22bに備えられるベルクランク222は、それぞれ、垂直支柱2の周方向における反対位置にて、ケース25に取り付けられる。また、一対のリンク機構22a,22bにそれぞれ備えられるベルクランク222は、垂直支柱2の第二支柱部2bに接続されている一対の上側ステー41a,41b及び一対の下側ステー42a,42bの延設方向及びZ方向によって定義される平面に平行な平面内で回転することができるように、ケース25に取り付けられる。
図2及び図3からわかるように、第一ロッド部材221の上端(他方端)は、直角二等辺三角形状のベルクランク222の一方の鋭角近傍位置であって、軸ピンP1が設けられている位置からZ方向とは異なる方向(図2及び図3においてはY方向)に所定の距離だけオフセットした位置にて、軸ピンP2を介してベルクランク222の回転平面内で回転可能にベルクランク222に連結される。また、第一ロッド部材221は、ベルクランク222からZ方向(垂直支柱2の軸方向)における下方に延設される。そして、第一ロッド部材221の下端(一方端)が、スワッシュプレート21の外輪21bに連結される。ここで、スワッシュプレート21の内輪21aと外輪21bは、図示しないベアリング(深溝玉軸受)の内輪及び外輪と一体化されており、上述したように、互いに相対回転可能に構成される。また、ロッド部材221の下端には、ピロボールジョイント221aが連結され、このピロボールジョイント221aがスワッシュプレート21の外輪21bのある一点に回動可能状態で接続される。したがって、ピロボールジョイント221a及びそれに連結されたロッド部材221は、スワッシュプレート21の外輪21bとともに垂直支柱2の回りを回転することができる。
第二ロッド部材223は、複数のロッドが接続されることにより構成される棒状部材である。この第二ロッド部材223の一方端は、直角二等辺三角形上のベルクランク222の他方の鋭角近傍位置にて、軸ピンP3を介してベルクランク222の回転平面内で回転可能にベルクランク222に連結される。つまり、ベルクランク222は、それぞれ異なる位置にて第一ロッド部材221の一方端(下端)及び第二ロッド部材223の一方端に接続されていることになる。また、第二ロッド部材223は、ベルクランク222からZ方向に垂直な方向に延設される。一方のリンク機構22aに備えられる第二ロッド部材223のベルクランク222からの延設方向は、一方の上側ステー41a及び一方の下側ステー42aの延設方向と同じであり、他方のリンク機構22bに備えられる第二ロッド部材223のベルクランク222からの延設方向は、他方の上側ステー41b及び他方の下側ステー42bの延設方向と同じである。そして、一方のリンク機構22aに備えられる第二ロッド部材223の他方端が一方の翼6aに接続され、他方のリンク機構22bに備えられる第二ロッド部材223の他方端が他方の翼6bに接続される。
また、図2に示すように、翼可動機構20は、ストッパ28を有する。ストッパ28は、下側ステー42の先端部分に設けられており、後述するように、翼6の回転を規制する。
図1Bに示すように、尾翼ユニット10は、尾翼11と、筒状部材12と、接続部材13とを備える。筒状部材12は、垂直支柱2の第一支柱部2aの外周側に設けられる。筒状部材12は、垂直支柱2と同軸的に配置され、且つ、Z方向に沿って延設される。この筒状部材12は、後述するように、傾斜角度調整機構23を介して、スワッシュプレート21の内輪21aに固定される。従って、筒状部材12は、スワッシュプレート21の内輪21aとともに同軸回転する。また、筒状部材12の外周に、接続部材13を介して尾翼11が固定される。尾翼11は薄板状であり、その表面及び裏面がZ方向(すなわち垂直支柱2の軸方向)に平行であるように、筒状部材12の外周に固定される。
ここで、以下の説明において、一方の上側ステー41aと他方の上側ステー41bとを区別することなく説明する場合には、これらを総称して上側ステー41ということもある。一方の下側ステー42aと他方の下側ステー42bとを区別することなく説明する場合には、これらを総称して下側ステー42ということもある。さらに、上側ステー41と下側ステー42とを区別することなく説明する場合には、これらを総称してステー4ということもある。また、一方の翼6aと他方の翼6bとを区別することなく説明する場合には、これらを総称して翼6ということもある。さらに、一方のリンク機構22aと他方のリンク機構22bとを区別することなく説明する場合には、これらを総称してリンク機構22ということもある。
上記説明からわかるように、翼6は、上側ステー41、下側ステー42、及び、リンク機構22の第二ロッド部材223に、それぞれ接続される。図4は、ステー4と翼6との接続構造及び第二ロッド部材223と翼6との接続構造をZ方向から見た図である。
図4に示すように、垂直支柱2から延設されたステー4の先端部分に、軸ピンP4が設けられている。軸ピンP4の軸方向は、Z方向(垂直支柱2の軸方向)である。この軸ピンP4を介して、棒状の連結部材51の一方の端部がZ方向軸回りに回転可能にステー4に接続される。そして、連結部材51の他方の端部が図4のA部にて、翼6の内側面62に固定される。このような接続構成により、翼6は、連結部材51を介して、垂直支柱2と平行な軸回り(軸ピンP4の軸回り)に回転可能に、ステー4に接続されることになる。
また、図4に示すように、第二ロッド部材223は、内側連結部223aと、中間ロッド部223bと、外側ロッド部223cとを有する。内側連結部223aの一方端側には二股状に形成された部分が設けられており、この二股状に形成された部分がベルクランク222を挟み込むようにして、ベルクランク222の回転平面内で回転可能にベルクランク222に連結される。ここで、上述したように、ベルクランク222は、垂直支柱2の第二支柱部2bと一体回転するケース25に取り付けられている。従って、内側連結部223aは、ベルクランク222及びケース25を介して垂直支柱2の第二支柱部2bに接続されていることになる。
また、内側連結部223aの他方端側に中間ロッド部223bが連結される。中間ロッド部223bは長尺状に形成されており、その一方端が、垂直支柱2に平行な軸方向(Z方向)に延設された軸ピンP5を介して回転可能に内側連結部223aに接続される。つまり、中間ロッド部223bは、垂直支柱2に平行な軸回りに回転可能に内側連結部223aに接続される。また、中間ロッド部223bの他方端に、垂直支柱2に平行な軸方向(Z方向)に延設された軸ピンP6を介して回転可能に外側ロッド部223cの一方端が接続される。つまり、中間ロッド部223bは、垂直支柱2に平行な軸回りに回転可能に外側ロッド部223cに接続される。また、外側ロッド部223cの他方端が、翼6の内側面62から延びた接続片63に軸ピンP7を介して固定される。軸ピンP7は、垂直支柱2に平行な軸方向(Z方向)に延設されている。従って、外側ロッド部223cは、垂直支柱2に平行な軸回りに回転可能に翼6に接続される。
また、図4からわかるように、Z方向(垂直支柱2の軸方向)から見た場合において、ステー4の翼6への接続位置(図4中の接続位置A)と、第二ロッド部材223(外側ロッド部223c)の翼6への接続位置(図4中の接続位置B)は、異なっている。つまり、第二ロッド部材223の翼6への接続位置は、ステー4の翼6への接続位置から、図4の−X方向、具体的には、翼6が回転できるように、オフセットされている。従って、第二ロッド部材223が図4に示す位置から軸方向移動した場合、翼6は、ステー4に対して軸ピンP4の軸回りに回動することになる。後述するように、第二ロッド部材223は、翼6の公転位置に応じて周期的に軸方向に往復移動する。このため、翼6は、公転しながら軸ピンP4回りを揺動することにより、サイクルピッチ(1サイクルにおけるピッチ角)が変更されるように構成される。
また、上述の説明のように、第二ロッド部材223は、本実施形態では3つの部材(内側連結部223a、中間ロッド部223b、外側ロッド部223c)が接続されることにより構成されており、それぞれの部材は、垂直支柱2に平行な軸回りを回転可能である。従って、第二ロッド部材223は、Z方向軸回りに屈曲可能な3つの関節(P5,P6,P7)を備えていることになる。そして、これらの関節がZ方向軸回りに屈曲することにより、翼6と第二ロッド部材223の外側ロッド部223cとの接続位置(図4中の軸ピンP7の位置)と、第二ロッド部材223の内側連結部223aと中間ロッド部223bとの接続位置(図4中の軸ピンP5の位置)との間の距離Lを変更することができる。言い換えれば、第二ロッド部材223は、それが備える3つの関節を屈曲させることで、長さを変更することができるように構成される。図5は、第二ロッド部材223が屈曲した状態を、Z方向から見た図である。図5に示すように、第二ロッド部材223が屈曲状態であるとき、中間ロッド部223bと外側ロッド部223cは、交差状態に配列される。また、第二ロッド部材223が屈曲状態であるとき、距離Lが、図4に示す場合(第二ロッド部材223が屈曲していない場合)に比べて短くされる。距離Lが短くされた場合、第二ロッド部材223との接続を維持するために、翼6は、軸ピンP4の軸回りに大きく回転する。このように、第二ロッド部材223が直線状態であるか屈曲状態であるかによって、翼6の軸ピンP4回りにおける回転位置が大きく変化する。
軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が図4に示す回転位置であるときには、第二ロッド部材223が直線状態であり、第二ロッド部材223の中間ロッド部223bと外側ロッド部223cが同軸状に配列している。ここで、翼6を図4に示す回転位置からさらに反時計回り方向に回転させようとする場合、距離Lをさらに長くしなければならないが、第二ロッド部材223が図4に示す状態においてすでに直線状態にされているため、それ以上距離Lを長くすることはできない。従って、そのような回転は、第二ロッド部材223の設計寸法の制約により、物理的に阻止される。つまり、図4に示す回転位置から反時計回り方向への翼6の回転は規制される。
また、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が図5に示す回転位置であるときには、下側ステー42に設けられているストッパ28(図3参照)に翼6が係合しており、図5に示す回転位置からの翼6のそれ以上の時計回り方向への回転は、ストッパ28によって規制される。
以上のことからわかるように、翼6は、図4に示す回転位置と図5に示す回転位置との間の回転領域を、回転可能に構成される。後述の説明において、図5に示す回転位置を第一回転位置と呼び、図4に示す回転位置を第二回転位置と呼ぶ場合もある。
翼6が図4に示すような第二回転位置にあるとき、第二ロッド部材223が直線状態にされるとともに、中間ロッド部223bと外側ロッド部223cが同軸状に配列される。翼6が図5に示すような第二回転位置にあるとき、第二ロッド部材223が屈曲状態にされるとともに、中間ロッド部223bと外側ロッド部223cが交差状に配列される。また、第一回転位置から第二回転位置に向かって翼6が回転した場合、第二ロッド部材223が直線状にされることにより、翼6が第二回転位置に位置決めされる。また、第二回転位置から第一回転位置に向かって翼6が回転した場合、第二ロッド部材223が屈曲状態にされるとともに、翼6が下側ステー42に設けられているストッパ28に突き当てられることにより、翼6が第一回転位置に位置決めされる。つまり、第二ロッド部材223及びストッパ28により、翼6の回転位置が第一回転位置又は第二回転位置に位置決めされる。
図6は、第二ロッド部材223が備える中間ロッド部223bと外側ロッド部223cとの接続部分付近(すなわち軸ピンP6付近)の詳細をZ方向から見た図である。図6に示すように、中間ロッド部223bと外側ロッド部223cとを接続する軸ピンP6の回りには、外周にカム面26aが形成されたカム部材26が設けられている。また、外側ロッド部223cに、ダンパー27が取り付けられている。カム部材26及びダンパー27により、本発明の制動部材が構成される。
ダンパー27は、固定ブロック271と、圧縮バネ272と、接触指273とを有する。固定ブロック271は、ボルト等によって外側ロッド部223cに固定される。固定ブロック271内に圧縮バネ272がその一方端を固定された状態で設けられており、この圧縮バネ272の他方端に接触指273が係止される。従って、接触指273は、圧縮バネ272の弾性力によって常に付勢される。また、接触指273は、カム部材26のカム面26aに対面するように固定ブロック271から延設される。従って、接触指273は、圧縮バネ272の弾性力によってカム部材26のカム面26aに付勢されるとともに、カム面26aから付勢力の反力である押圧力を常に受ける。
また、カム部材26のカム面26aのカムプロフィールは、外側ロッド部223cが中間ロッド部223bに同軸状に配列されている位置(図6のD位置)にあるとき、すなわち、翼6の回転位置が第二回転位置であるとき、及び、外側ロッド部223cが中間ロッド部223bに対して最も大きく交差して配列されている位置(図6のF位置)にあるとき、すなわち、翼6の回転位置が第一回転位置であるときに、固定ブロック271までの距離が最も小さく、且つ、外側ロッド部223cが図6のD位置とF位置との中間の回転位置(図6のE位置)にあるときに、固定ブロック271までの距離が最も大きくなるように設計される。
第二ロッド部材223が図4に示す直線状態から図5に示す屈曲状態に変化する場合、すなわち翼6が第二回転位置から第一回転位置へと回転位置を変化させる場合、その変化に伴って、外側ロッド部223cが図6のD位置からF位置まで回転するとともに、外側ロッド部223cに取り付けられたダンパー27の接触指273が、カム部材26のカム面26aを摺動する。このとき、外側ロッド部223cが図6のE位置を超えてF位置に近づくにつれて、カム面26aと固定ブロック271との間の距離が短くなるため、圧縮バネ272がより圧縮される。このため、接触指273が圧縮バネ272の強い弾性力によって強くカム面26aに押し付けられ、それによりカム面26aから接触指273に作用する押圧力が増大する。この押圧力は、翼6の軸ピンP4回りにおける回転に対する制動力として、翼6に作用する。つまり、カム部材26及びダンパー27からなる制動部材は、翼6が第二回転位置から第一回転位置に向かって回転するときに、第一回転位置に近づくにつれて大きくなるような、翼6の回転に対する制動力を発生する。このため、翼6が第一回転位置に至る直前には、非常に大きな制動力が翼6に作用する。斯かる大きな制動力の作用によって、翼6が第一回転位置にて回転を停止したときに発生する衝撃が緩和される。このため、例えば翼6がストッパ28に当接する際に発生する衝撃による翼6の故障が防止されるとともに、衝撃音が軽減される。
同様に、第二ロッド部材223が図5に示す屈曲状態から図4に示す直線状態に変化する場合、すなわち翼6が第一回転位置から第二回転位置へと回転位置を変化させる場合、その変化に伴って、外側ロッド部223cが図6のF位置からD位置まで回転するとともに、外側ロッド部223cに取り付けられたダンパー27の接触指273が、カム部材26のカム面26aを摺動する。このとき、外側ロッド部223cが図6のE位置を超えてD位置に近づくにつれて、カム面26aと固定ブロック271との間の距離が短くなるため、圧縮バネ272がより圧縮される。このため、接触指273が圧縮バネ272の強い弾性力によって強くカム面26aに押し付けられ、それによりカム面26aから接触指273に作用する押圧力が増大する。この押圧力は、翼6の軸ピンP4回りにおける回転に対する制動力として、翼6に作用する。つまり、カム部材26及びダンパー27からなる制動部材は、翼6が第一回転位置から第二回転位置に向かって回転するときに、第二回転位置に近づくにつれて大きくなるような、翼6の回転に対する制動力を発生する。このため、翼6が第二回転位置に至る直前には、非常に大きな制動力が翼6に作用する。斯かる大きな制動力の作用によって、翼6が第二回転位置にて回転を停止したときに発生する衝撃が緩和される。このため、例えば第二ロッド部材223が直線状態になる際に発生する衝撃による第二ロッド部材223の故障が防止されるとともに、衝撃音が軽減される。
また、第二ロッド部材223が直線状態から屈曲状態へと変化する際において、外側ロッド部223cが図6のD位置からE位置に近づくにつれて、カム面26aと固定ブロック271との間の距離が長くされるので、圧縮バネ272が伸ばされる。よって、圧縮バネ272から接触指273に作用する弾性力が弱められ、それに伴い、カム面26aから接触指273に作用する押圧力は低下する。このため、第二回転位置にある翼6は、僅かな力で第一回転位置に向かって回転する。同様に、第二ロッド部材223が屈曲状態から直線状態へと変化する際において、外側ロッド部223cが図6のF位置からE位置に近づくにつれて、カム面26aと固定ブロック271との間の距離が長くされるので、圧縮バネ272が伸ばされる。よって、圧縮バネ272から接触指273に作用する弾性力が弱められ、それに伴い、カム面26aから接触指273に作用する押圧力は低下する。このため、第一回転位置にある翼6は、僅かな力で第二回転位置に向かって回転する。
図7は、垂直支柱2に取り付けられるスワッシュプレート21付近の構成をX方向から見た図である。また、図8は、垂直支柱2に取り付けられるスワッシュプレート21付近の構成をY方向及びZ方向に平行な平面で切断した断面図である。図8に示すように、上記した発電機3の中心軸3bが、垂直支柱2の第一支柱部2aの内部に挿通された状態で、第一支柱部2aに同軸的に固定されている。また、図7及び図8からもわかるように、スワッシュプレート21は、その回転軸方向が垂直支柱2の軸方向に対して傾斜するように垂直支柱2に取り付けられる。そして、このスワッシュプレート21に、傾斜角度調整機構23及び同位相ジョイント24が取り付けられる。
傾斜角度調整機構23は、第一固定部材231と、連結ロッド232と、第二固定部材233と、ボルト・ナット234を有する。第一固定部材231が第一ブラケットB1を介してスワッシュプレート21の内輪21aに固定される。連結ロッド232は、軸ピンP8を介して回転可能に第一固定部材231に接続される。連結ロッド232は、第一固定部材231からZ方向における下方に延設される。連結ロッド232の下方端部に第二固定部材233が接続される。第二固定部材233は、尾翼ユニット10が備える筒状部材12の外周面に第二ブラケットB2を介して固定される。第二固定部材233には、Z方向位置(上下方向位置)が異なる複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔のいずれかを用いて、ボルト・ナット24を介して第二固定部材233が第二ブラケットB2に接続される。
上記構成の傾斜角度調整機構23において、ボルト・ナット234が取り付けられている第二固定部材233の貫通孔からボルト・ナット234を一旦外し、異なる貫通孔にボルト・ナット234を取り付けて第二固定部材233に連結ロッド232を接続することにより、連結ロッド232及び連結ロッド232の上端に接続された第一固定部材231のZ方向位置が変化する。第一固定部材231のZ方向位置の変化により、第一固定部材231に連結されたスワッシュプレート21の接続位置におけるZ方向位置が変化する。その結果、スワッシュプレート21の傾斜角度が変化する。このようにして、傾斜角度調整機構23によってスワッシュプレート21の傾斜角度が調整される。
また、図7に示すように、スワッシュプレート21の外輪21bに同位相ジョイント24が取り付けられる。この同位相ジョイント24は、複数の関節を備えており、Z方向に伸縮可能に構成される。同位相ジョイント24の一方の端部(上端部)はケース25に固定される。同位相ジョイント24の他方の端部(下端部)にはピロボールジョイント241が連結され、このピロボールジョイント241がスワッシュプレート21の外輪21bのある一点であってロッド部材221の下端に連結されたピロボールジョイント221aの接続位置とは異なる位置に回動可能状態で連結される。したがって、ピロボールジョイント241及びそれに連結された同位相ジョイント24は、スワッシュプレート21の外輪21bとともに垂直支柱2の回りを回転することができる。
また、上記したように、傾斜角度調整機構23の第一固定部材231がスワッシュプレート21の内輪21aに接続され、傾斜角度調整機構23の第二固定部材233が尾翼ユニット10の筒状部材12に固定される。つまり、尾翼ユニット10の筒状部材12は、傾斜角度調整機構23を介してスワッシュプレート21の内輪21aに接続される。よって、スワッシュプレート21の内輪21aが回転すると、筒状部材12及び筒状部材12の外周面の所定位置に固定された尾翼11が垂直支柱2回りを回転する。つまり、スワッシュプレート21の内輪21aと尾翼11は連動して回転するように構成されている。言い換えれば、尾翼11が回転した場合、それに連動して、スワッシュプレート21の内輪21aが回転する。
上記構成の垂直軸型風力発電機1において、翼6が風を受けると、風力によって翼6がステー4と共に垂直支柱2を中心としてその軸回りを公転する。翼6の公転に伴い、ステー4を介して翼6に接続された垂直支柱2の第二支柱部2bが自転する。垂直支柱2の第二支柱部2bの自転により、第二支柱部2bと一体回転する発電機3のロータカバー3a及びロータカバー3a内のロータが、発電機3の中心軸3bに取り付けられたステータに対して相対回転する。これにより発電機3が発電する。つまり、発電機3は、垂直支柱2(第二支柱部2b)の自転により発電する。
図9A、図9B、図9C,図9D,図9E、図9F、図9G、図9Hは、翼6が垂直支柱2(第二支柱部2b)の軸まわりを低速度で公転しているときの翼6の軸ピンP4回りにおける回転状態を、翼6の公転順にZ方向から示す図である。これらの図において、左方から右方に風が吹いていると仮定する。さらに、これらの図において、翼6は、時計回り方向に低速度で公転していると仮定する。また、以下の説明においては、一対の翼6a,6bのうち、一方の翼6aの回転状態について説明する。
図9A〜図9Hにおいて、翼6の公転位置は、各図に示すR1領域、R2領域、R3領域、R4領域のいずれかの領域内の位置であるといえる。R1領域及びR2領域は、風上側の領域であり、R3領域及びR4領域は、風下側の領域である。また、R1領域及びR4領域は、翼6が向かい風を受ける領域であり、R2領域及びR3領域は、翼6が追い風を受ける領域である。翼6が各図において時計回り方向に公転する場合、翼6の公転位置は、R1領域、R2領域、R3領域、R4領域、R1領域、・・・というように、順に変化する。
図9Aは、公転位置がR1領域内の位置である翼6aの軸ピンP4回りにおける回転状態を示す図である。図9Aにおいて、軸ピンP4回りにおける回転位置が第二回転位置である翼6aが実線で示され、軸ピンP4回りにおける回転位置が第一回転位置である翼6aが破線で示される。公転位置がR1領域内の位置である翼6aが、図9Aの左方から右方に向かって吹く風を受けたとき、翼6aの主に外側面61に風力が作用する。この場合において、翼6aに作用する抗力は、翼6aを第二回転位置(実線位置)から第一回転位置(破線位置)に向かって回転させる。すなわち、翼6aに作用する抗力のうち軸ピンP4回りにおける回転方向成分(抗力の回転方向成分)の作用方向は、翼6aを第二回転位置から第一回転位置に向かって回転させる方向である。言い換えれば、翼6aの公転位置がR1領域(風上側であって且つ向かい風を受ける領域)である場合に、抗力によって翼6aが第二回転位置から第一回転位置に向かう方向に回転するように、翼6aの回転中心位置(軸ピンP4の位置)が翼6aの重心位置からオフセットされるように設計される。
また、翼6の公転により翼6に作用する遠心力は、翼6の公転軌跡により描かれる円の径外方に作用する。この遠心力は、翼6とステー4の先端に設けられた連結部材51との接続位置A(図4参照)を公転中心から最も遠ざけるように作用する。このため、遠心力によって、連結部材51は、公転中心と翼6の回転中心(軸ピンP4)とを結ぶ直線上に接続位置Aが位置するように、軸ピンP4を中心として回転する。その結果、翼6が、図4に示すような第二回転位置に位置される。つまり、遠心力のうち翼6の軸ピンP4回りにおける回転方向成分(遠心力の回転方向成分)の作用方向は、翼6を第一回転位置から第二回転位置に向かって回転させる方向である。このような遠心力の回転方向成分は、翼6の公転位置にかかわらず、翼6を第一回転位置から第二回転位置に向かって回転させる方向に作用する。
従って、公転位置がR1領域内の位置である翼6aに作用する抗力の回転方向成分の作用方向は、翼6aに作用する遠心力の回転方向成分の作用方向と反対方向である。また翼6aが低速で公転している場合に発生する遠心力は弱い。このような状況においては、遠心力の回転方向成分が抗力の回転方向成分よりも小さいため、公転位置がR1領域内の位置にあって且つその回転位置が第二回転位置(図9Aの実線位置)にある翼6aは、抗力の回転方向成分によって、第一回転位置(図9Aの破線位置)まで回転し、その位置にて位置決めされる。つまり、公転位置がR1領域内の位置であるときに、軸ピンP4回りにおける翼6aの回転位置が、第二回転位置から第一回転位置に切り替わる。
回転位置が第一回転位置に位置決めされ且つ公転位置がR1領域内の位置にある翼6aは、風力の抗力或いは揚力により垂直支柱2を中心として図9Aの時計回り方向に公転する。このため、翼6aは、図9Aに示すR1領域内の公転位置から、図9Bに示す公転位置(R1領域とR2領域との境界位置)を経由して、R2領域内の公転位置まで公転する。
図9Cは、公転位置がR2領域内の位置である翼6aの軸ピンP4回りにおける回転状態を示す図である。公転位置がR2領域内の位置である翼6aが、図9Cの左方から右方に向かって吹く風を受けたとき、翼6aの主に外側面61に風力が作用する。この場合において、翼6aに作用する抗力は、図9Aに示す場合と同様に、翼6aを第二回転位置から第一回転位置に向かって回転させる方向に作用する。つまり、公転位置がR2領域の翼6aに作用する抗力の回転方向成分の作用方向は、翼6aを第二回転位置から第一回転位置に向かって回転させる方向である。また、翼6aに作用する遠心力の回転方向成分の作用方向は、抗力の回転方向成分の作用方向と反対方向であるが、翼6aが低速で公転している間はその大きさは抗力の回転方向成分よりも小さい。従って、公転位置がR2領域内の翼6aは、抗力の回転方向成分によって、軸ピンP4回りにおける回転位置を維持する。すなわち、翼6aが第一回転位置に位置決めされる。
回転位置が第一回転位置に位置決めされ且つ公転位置がR2領域内の位置にある翼6aは、風力の抗力或いは揚力により、図9Cに示すR2領域内の公転位置からさらに時計回り方向に公転し、図9Dに示す公転位置(R2領域とR3領域との境界位置)を経由して、R3領域内の公転位置まで公転する。
図9Eは、公転位置がR3領域内の位置である翼6aの軸ピンP4回りにおける回転状態を示す図である。公転位置がR3領域内の位置である翼6aが、図9Eの左方から右方に向かって吹く風を受けたとき、翼6aの主に外側面61に風力が作用する。この場合において、翼6aに作用する抗力は、図9A及び図9Cに示す場合と同様に、翼6aを第二回転位置から第一回転位置に向かって回転させる方向に作用する。つまり、公転位置がR3領域の翼6aに作用する抗力の回転方向成分の作用方向は、翼6aを第二回転位置から第一回転位置に向かって回転させる方向である。また、翼6aに作用する遠心力の回転方向成分の作用方向は、抗力の回転方向成分の作用方向と反対方向であるが、翼6aが低速で公転している間はその大きさは抗力の回転方向成分よりも小さい。従って、公転位置がR3領域内の翼6aは、抗力の回転方向成分によって、軸ピンP4回りにおける回転位置を維持する。すなわち、翼6aが第一回転位置に位置決めされる。
回転位置が第一回転位置に位置決めされ且つ公転位置がR3領域内の位置にある翼6aは、風力の抗力或いは揚力により、図9Eに示す公転位置からさら時計回り方向に回転して図9Fに示す公転位置まで公転する。
図9Fは、公転位置がR3領域とR4領域との境界位置又はその近傍位置である翼6aの軸ピンP4回りにおける回転状態を示す図である。この位置まで翼6aが公転した場合、翼6aの内側面62にも風力が作用することにより、翼6aに作用する抗力の回転方向成分の作用方向が反転する。よって、抗力の回転方向成分は、翼6aを第一回転位置から第二回転位置に向かって回転させる方向に作用する。
また、翼6aに作用する遠心力の回転方向成分も、翼6aを第一回転位置から第二回転位置に向かって回転させる方向である。つまり、翼6aの公転位置が図9Fに示す公転位置である場合、抗力の回転方向成分の方向と遠心力の回転方向成分の方向が一致する。従って、公転位置がR3領域とR4領域との境界位置又はその近傍位置であって且つ軸ピンP4回りにおける回転位置が第一回転位置である翼6aは、抗力の回転方向成分及び遠心力の回転方向成分により、軸ピンP4回りを図9Fの時計回り方向に回転することによって、実線で示す第一回転位置から破線で示す第二回転位置に回転するとともに、第二回転位置にて位置決めされる。つまり、公転位置がR3領域とR4領域との境界位置またはその近傍の位置であるときに、軸ピンP4回りにおける翼6aの回転位置が、第一回転位置から第二回転位置に切り替わる。
回転位置が第二回転位置に位置決めされ且つ公転位置がR3領域とR4領域の境界位置またはその近傍位置にある翼6aは、風力の抗力或いは揚力により、図9Fに示す公転位置からさらに時計回り方向に回転して図9Gに示す公転位置まで公転する。
図9Gは、公転位置がR4領域内の位置である翼6aの軸ピンP4回りにおける回転状態を示す図である。公転位置がR4領域内の位置である翼6aが、図9Gの左方から右方に向かって吹く風を受けたとき、翼6aの主に内側面62に風力が作用する。この場合において、翼6aに作用する抗力は、翼6aを第一回転位置から第二回転位置に向かって回転させる方向に作用する。つまり、公転位置がR4領域の翼6aに作用する抗力の回転方向成分の作用方向は、翼6aを第一回転位置から第二回転位置に向かって回転させる方向である。また、翼6aに作用する遠心の回転方向成分の作用方向は、抗力の回転方向成分の作用方向と一致する。従って、公転領域がR4領域内の位置である翼6aは、抗力の回転方向成分及び遠心力の回転方向成分によって、軸ピンP4回りにおける回転位置を維持する。すなわち、翼6aが第二回転位置に位置決めされる。
回転位置が第二回転位置に位置決めされ且つ公転位置がR4領域内の位置にある翼6aは、風力の抗力或いは揚力により、図9Gに示すR4領域内の公転位置からさらに時計回り方向に公転し、図9Hに示す公転位置(R4領域とR1領域との境界位置)を経由して、図9Aに示す公転位置(R1領域内の位置)まで公転する。そして、上述したように、R1領域内の公転位置にて、翼6aは、軸ピンP4回りを図9Aの時計回り方向に回転することによって、実線で示す第一回転位置から破線で示す第二回転位置に回転する。このようにして、翼6は、垂直支柱2を中心としてその軸回りを低速で公転する際に、1周当たり2度の回転動作を行う。
図10は、垂直支柱2を中心としてその軸回りを低速度で公転している翼6の軸ピンP4回りにおける回転位置をZ方向から示す図である。図10において、屈曲状態の第二ロッド部材223に接続された翼6の回転位置が、第一回転位置であり、直線状態の第二ロッド部材223に接続された翼6の回転位置が、第二回転位置である。図10からわかるように、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置は、翼6がR1領域の途中からR2領域及びR3領域内を公転する際には第一回転位置に位置決めされ、R4領域からR1領域の途中までの領域内を公転する際には第二回転位置に位置決めされる。
軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が第一回転位置に位置決めされているときにおける翼6の公転位置を第一公転位置と定義し、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が第二回転位置に位置決めされているときにおける翼6の公転位置を第二公転位置と定義する。この場合、第一公転位置は、翼6に作用する抗力の回転方向成分の作用方向が、翼6の公転により翼6に作用する遠心力の回転方向成分の作用方向と反対方向である公転位置である。また、第二公転位置は、翼6に作用する抗力の回転方向成分の作用方向と遠心力の回転方向成分の作用方向が同一方向である公転位置である。
また、図10に示すような翼6の回転状態は、翼6が低速で公転しているとき、すなわち始動時においてのみ成立する。具体的には、翼6に作用する抗力の回転方向成分が翼6に作用する遠心力の回転方向成分よりも大きいときに成立する。以上のことからすれば、翼6は、始動時であって、且つ、公転位置が第一公転位置に位置するときに、第一回転位置に位置決めされ、始動時であって、且つ、公転位置が第二公転位置に位置するときに、第二回転位置に位置決めされることになる。
R2領域及びR3領域(風下領域)の範囲内を翼6が公転するときには、図10からよくわかるように、第一回転位置に位置決めされた翼6が風向に対して垂直に近い姿勢にされており、風を受ける面積が拡大している。このため、主に風の抗力によって翼6が公転する。つまり、R2領域及びR3領域の範囲内を公転する翼6は、抗力により公転する抗力翼としての機能を有する。
一般的に、風の抗力を受けて公転する風車は、始動性に優れ、弱風でも公転する。本実施形態においては、上述したようにR2領域及びR3領域の範囲内を公転する翼が抗力翼として機能するため、始動性を向上させることができ、それ故に、弱風でも翼6を公転させることができる。
また、上記したように、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1においては、始動時において、1サイクル当たり2回、翼6の回転位置が変化する。翼6の回転位置が変化するときに、翼6がストッパ28等に衝突する音が発生するが、本実施形態では、翼6の回転位置が第一回転位置から第二回転位置に変化する際、及び、翼6の回転位置が第二回転位置から第一回転位置に変化する際に、第二ロッド部材223に設けられたダンパー27の接触指273がカム部材26のカム面26aから大きな押圧力を受けることにより、翼6の軸ピンP4回りにおける回転に対する制動力が翼6に作用する。このため、軸ピンP4回りに翼6が回転して翼6が第一回転位置又は第二回転位置に位置決めされた際における衝突音を軽減することができる。また、翼6の回転停止時における衝撃が上記制動力により緩和されることにより、翼6の故障及び、翼6の回転に伴ってその姿勢を変化させる第二ロッド部材223の故障を防止できる。これにより、垂直軸型風力発電機1の信頼性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、図11に示すように、一方の翼6aが第一回転位置であり、他方の翼6bが第二回転位置である状態を実現することができる。このため、翼6の公転が停止している時からの始動において、2つの翼6a,6bに作用する風力により生じる力(抗力及び揚力)の合力が0になることが防止される。よって、どのような方向から風が翼6a,6bに作用しても、翼6a,6bを公転させることができる。つまり、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、始動が不可能であるような翼6の公転位置が存在しない。よって、より一層、始動性を向上させることができる。
次に、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1の翼6が高速で垂直支柱2のまわりを公転している場合の翼6の軸ピンP4回りにおける回転位置について説明する。上述したように、垂直軸型風力発電機1の始動時、すなわち翼6が低速で公転している場合は、翼6に作用する遠心力が小さい。よって、翼6が低速で公転しているときには、遠心力は、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置の変化に及ぼす影響が小さく、それ故に、公転位置と風向との関係により、1サイクル当たりに翼6が第一回転位置に位置決めされる状態と第二回転位置に位置決めされる状態が交互に生じる。しかし、翼6が高速で公転している場合、翼6に作用する遠心力が大きい。この遠心力の回転方向成分は、上記したように、翼6の公転位置にかかわらず、翼6を第一回転位置から第二回転位置に向かう方向に作用する。従って、高速公転時においては、遠心力の回転方向成分によって、翼6は常に第二回転位置に位置決めされる。
図12は、翼6が高速で垂直支柱2を中心としてその軸回りを公転している場合における翼6の回転位置をZ方向から示す図である。図10と図12とを比較してわかるように、翼6が高速で公転しているときは、低速で公転しているときよりも、翼6の公転軌跡内で風が通り抜ける面積が大きい。このため翼6が揚力翼として機能する。つまり、翼6の回転位置が第二回転位置であるとき、翼6は、風力の揚力を主体として公転する。本実施形態においては、翼6の高速公転時に翼6の回転位置が常に第二回転位置であるので、翼6をより高速で公転させることができる。その結果、最大発電力を向上させることができる。
このように、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、翼6の公転位置が、翼6に作用する抗力の回転方向成分の作用方向が、翼6の公転により翼6に作用する遠心力の回転方向成分の作用方向と反対方向である第一公転位置であって、且つ、抗力の回転方向成分が遠心力の回転方向成分よりも大きい始動時に、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が、抗力の回転方向成分によって、風力の抗力を主体として翼6を公転させることができる回転位置である第一回転位置に位置決めされ、翼6の公転位置が、抗力の回転方向成分の作用方向と遠心力の回転方向成分の作用方向が同一方向である第二公転位置であるときに、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が、抗力の回転方向成分及び遠心力の回転方向成分によって、揚力を主体として翼を公転させることができる第二回転位置に位置決めされ、遠心力の回転方向成分が抗力の回転方向成分よりも大きい高速公転時に、翼6の公転位置にかかわらず、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置が第二回転位置に位置決めされるように、軸ピンP4回りにおける翼6の回転位置を調整する回転位置調整機構としての翼可動機構20(第二ロッド部材223、ストッパ28)を備える。このため、垂直軸型風力発電機1の始動性を向上させることができるとともに、翼6を高速で公転させることができ、それによって最大発電力を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1に備えられる翼可動機構20は、1サイクルあたりに公転位置に応じて翼6のピッチ角(サイクルピッチ)を変更することができるように構成されている。つまり、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、ピッチ角可変機構(サイクルピッチ可変機構)としての翼可動機構20を備えている。以下、翼可動機構20により実現されるサイクルピッチの変更動作について説明する。なお、翼可動機構20によるサイクルピッチの変更は、翼6が低速で公転している場合も高速で公転している場合にも行われるが、ここでは、翼6が高速で公転している場合、すなわち翼6が常に第二回転位置に位置決めされている場合における、翼6のピッチ角の変更動作について説明する。
上記したように、垂直支柱2にはスワッシュプレート21が取り付けられており、このスワッシュプレート21の外輪21bに、リンク機構22が取り付けられている。そして、リンク機構22が備える第二ロッド部材223に翼6が接続される。よって、翼6は、リンク機構22を介してスワッシュプレート21の外輪21bに接続されていることになる。
また、スワッシュプレート21は、その回転軸方向が垂直支柱2の軸方向に対して傾斜した状態で、垂直支柱2に取り付けられている。また、リンク機構22の第一ロッド部材221の一方端(図2及び図3における下端)は、ピロボールジョイント221aを介して、スワッシュプレートの外輪21bのある一点(定点)に接続(固定)されている。
また、翼6が公転した場合、翼6の公転とともに、翼6に接続されたリンク機構22も公転する。このとき、リンク機構22の第一ロッド部材221が、翼6の公転に伴って、スワッシュプレート21の外輪21bとともに垂直支柱2の回りを回転する。ここで、上記したようにスワッシュプレート21は垂直支柱2の軸方向(Z方向すなわち上下方向)に対して傾斜しているため、傾斜したスワッシュプレート21の外輪21bのある一点に接続された第一ロッド部材221の上下方向(Z方向)における位置は、スワッシュプレート21の外輪21bの回転位置(具体的には、外輪21bのうち第一ロッド部材221が接続されている部分の回転位置)に応じて変化する。つまり、第一ロッド部材221は、翼6の公転に伴い、垂直支柱2の回りを回転しながら垂直支柱2の軸方向(上下方向)に周期的に往復移動する。
翼6の公転に伴い垂直支柱2の軸方向(上下方向)に周期的に往復移動する第一ロッド部材221の上下方向における中間位置を、基準位置と定義し、最も上方に変位した位置を上限位置と定義し、最も下方に変位した位置を下限位置と定義する。図13Aは、基準位置にある第一ロッド部材221を示す図であり、図13Bは、上限位置にある第一ロッド部材221を示す図であり、図13Cは、下限位置にある第一ロッド部材221を示す図である。
翼6の公転に伴って、第一ロッド部材221が、図13Aに示す基準位置から図13Bに示す上限位置まで上方に軸方向移動(変位)した場合、第一ロッド部材221の上端に接続されたベルクランク222は、第一ロッド部材221によって上方に押されることによって、軸ピンP1を中心として、図13Bにおいて反時計回り方向に回転する。ベルクランク222の反時計回り方向への回転によって、第一ロッド部材221とは異なった位置にてベルクランク222に接続された第二ロッド部材223が、図13Bの左方側に軸方向移動する。以下、図13Bの左方側への第二ロッド部材223の軸方向移動を、前進移動と呼ぶ。
また、翼6の公転に伴って、第一ロッド部材221が、図13Aに示す基準位置から図13Cに示す下限位置まで下方に軸方向移動(変位)した場合、第一ロッド部材221の上端に接続されたベルクランク222は、第一ロッド部材221によって下方に引かれることによって、軸ピンP1を中心として、図13Cにおいて時計回り方向に回転する。ベルクランク222の時計回り方向への回転によって、第一ロッド部材221とは異なった位置にてベルクランク222に接続された第二ロッド部材223が、図13Cの右方側に軸方向移動する。以下、図13Cの右方側への第二ロッド部材223の軸方向移動を、後退移動と呼ぶ。
以上の動作からわかるように、翼6の公転に伴ってスワッシュプレート21の外輪21bとともに垂直支柱2の回りを回転する第一ロッド部材221は、スワッシュプレート21が垂直支柱2に傾斜して取り付けられているが故に、垂直支柱2の軸方向に沿って周期的に往復移動する。こうした第一ロッド部材221の周期的な往復動作がベルクランク222の回転動作(揺動動作)を誘発し、さらにベルクランク222の回転動作によって第二ロッド部材223が軸方向に往復移動する。
第二ロッド部材223が前進移動した場合、第二ロッド部材223の先端に接続された翼6が、第二ロッド部材223に押されることによって、軸ピンP4回りを回転する。一方、第二ロッド部材223が後退移動した場合、第二ロッド部材223の先端に接続された翼6が、第二ロッド部材223に引かれることによって、軸ピンP4回りを回転する。つまり、第二ロッド部材223は、翼6を軸ピンP4回りで揺動させるためのプシュプルロッドとして機能する。
図14は、第二ロッド部材223の前進移動及び後退移動によって翼6が軸ピンP4回りを揺動する様子を示す図である。図14には3つの揺動位置(A1、A2、A3)が示される。揺動位置A1は、第一ロッド部材221が基準位置にあるときにおける翼6の揺動位置(基準揺動位置)を示し、位置A2は、第一ロッド部材221が上限位置にあるときにおける翼6の揺動位置(上限揺動位置)を示し、位置A3は、第一ロッド部材221が下限位置にあるときにおける翼6の揺動位置(下限揺動位置)を示す。
翼6が図14の基準揺動位置A1にあるときに、翼6の公転に伴って第二ロッド部材223が前進移動した場合、翼6は軸ピンP4回りを図14において反時計回り方向に揺動して上限揺動位置A2に至る。一方、翼6が図14の基準揺動位置A1にあるときに、翼6の公転に伴って第二ロッド部材223が後退移動した場合、翼6は軸ピンP4回りを図14において時計回り方向に揺動して下限揺動位置A3に至る。つまり、第二ロッド部材223の前進移動及び後退移動によって、翼6は、基準揺動位置を中心として軸ピンP4回りを揺動する。
このように、第二ロッド部材223が軸方向に往復移動(前進移動及び後退移動)することによって、翼6が軸ピンP4回りを揺動する。このような翼6の揺動により、翼6のピッチ角が変更される。また、翼6は周期的に揺動するため、1サイクル(1公転)中に、公転位置に応じてピッチ角が変更されることになる。つまり、サイクルピッチを変更することができる
翼6の公転位置は、風向に対する位相角により表すことができる。例えば、翼6の公転位置が最も風上側の公転位置であるときに位相角が90°であり、最も風下側の公転位置であるときに位相角が270°であると定義することができる。この場合、翼6の公転位置が、最も風上側の公転位置と最も風下側の公転位置との中間位置(風向に平行な公転位置)であるときの位相角は、0°又は180°である。
図15は、上記のようにして定義した位相角と、その位相角で表される公転位置における翼6のピッチ角との関係を示すグラフ(グラフA)である。図15の横軸が位相角、縦軸がピッチ角を示す。また、図15には、位相角と第一ロッド部材221の上下方向位置との関係を示すグラフ(グラフB)も示される。図15に示すように、翼6のピッチ角は、1周期(360°)の間に正弦波的に周期変動する。また、位相角が0°及び180°のときにおける翼6のピッチ角を基準ピッチ角とした場合、位相角が90°のとき、ピッチ角が基準ピッチ角から正方向に最も大きく変動し、位相角が270°のとき、ピッチ角が基準ピッチ角から負方向に最も大きく変動する。ピッチ角が基準ピッチ角であるとき(位相角が0°及び180°のとき)、翼6の揺動位置は基準揺動位置であり、ピッチ角が基準ピッチ角から正方向に最も大きく変動したとき(位相角が90°のとき)、翼6の揺動位置は下限揺動位置であり、ピッチ角が基準ピッチ角から負方向に最も大きく変動したとき(位相角が270°のとき)、翼6の揺動位置は上限揺動位置である。
図16は、本実施形態に示す方法によってピッチ角を変化させながら翼6が公転する様子をZ方向から示す図である。なお、比較のために、ピッチ角が固定された翼(固定翼)が公転する様子を破線で示す。また、図16には、翼6の公転位置に対応する位相角も示されている。図16からわかるように、位相角0°及び180°の公転位置、すなわち翼6の公転方向が風向にほぼ平行である位置に翼6が位置しているときには、翼6のピッチ角は固定翼のピッチ角とほぼ等しい。しかし、位相角90°及び位相角270°の公転位置、すなわち翼6の公転方向が風向にほぼ垂直である位置に翼6が位置しているときには、翼6は、破線で示す固定翼と比べて、風向に対してより傾いている。このため、風が翼6を通り抜ける面積を大きくすることができる。つまり、揚力が向上するような方向に翼のピッチ角を調整することができる。その結果、揚力によってより高速で翼6を公転させることができ、これにより、最大発電量を増大させることができる。
また、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、上述したように尾翼ユニット10を備えており、この尾翼ユニット10の尾翼11は筒状部材12に取り付けられ、筒状部材12は傾斜角度調整機構23を介してスワッシュプレート21の内輪21aに同軸回転可能に接続されている。また、尾翼11は、風を受けた場合、風向に平行な方向に向くような回転位置に回転する。このため、上記のように尾翼11が風向に平行な方向に回転すると、それに伴い、筒状部材12を介して尾翼に接続されたスワッシュプレート21の内輪21aが回転する。こうしてスワッシュプレート21の内輪21aが回転することにより、垂直支柱2に対するスワッシュプレート21の傾斜方向が変化する。つまり、尾翼11の回転位置とスワッシュプレート21の傾斜方向が関連付けられる。よって、位相角に対して翼6のピッチ角が図15に示すように変化するように尾翼11を筒状部材12に固定することにより、言い換えれば、風向に対して最も好ましい方向にスワッシュプレート21が傾斜するように尾翼11を筒状部材12に固定することにより、特別な制御を行うことなく、最適な翼6のピッチ角制御を行うことができる。
このように、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、翼6の公転位置に応じて翼6のピッチ角を変更するピッチ角可変機構としての翼可動機構20を備える。この翼可動機構20は、内輪21aと、内輪21aに同軸的に配置しているとともに内輪21aに相対回転可能に内輪21aに接続された外輪21bとを有し、回転軸方向が垂直支柱2の軸方向に対して傾斜した状態で、内輪21aが垂直支柱2に相対回転可能に取り付けられているスワッシュプレート21と、スワッシュプレート21の外輪21bにその一方端が接続されるとともに、垂直支柱2の軸方向に延設された第一ロッド部材221と、垂直支柱2の軸方向から見て翼6とステー4との接続位置とは異なる位置にて翼6にその一方端が接続された第二ロッド部材223と、垂直支柱2の軸方向に平行な平面内を回転可能に垂直支柱2に取り付けられるとともに、それぞれ異なる位置にて第一ロッド部材221の他方端及び第二ロッド部材223の他方端(内側連結部223a)に接続されたベルクランク222とを備える。
上記のように構成された翼可動機構20によれば、翼6が高速で公転しているときに、揚力がより向上するように翼6のピッチ角を調整することができる。そのため翼6をより高速で公転させることが可能となり、その結果、最大発電量を増大させることができる。また、翼6のピッチ角を変更するために電動アクチュエータやその制御構成を必要とせず、機械的な構造によって翼6のピッチ角を変更することができるので、安価に垂直軸型風力発電機を提供することができる。さらに、上記構成の翼可動機構20は、第二ロッド部材223、ベルクランク222、第一ロッド部材221、スワッシュプレート21を含む複数の部品が接続されることにより構成されているが、翼6が高速で公転しているときには、遠心力及び揚力によって、これらの部品が常に翼6に引っ張られる。このため、翼6の公転中に、これらの部品が押し付け合うことが防止され、各部品が接続位置で押し付け合うことによる破損が効果的に防止される。また、上記した各部品の破損を防止するための補強を考慮することなく各部品を作製できるので、部品コストの削減に寄与する。
また、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、尾翼ユニット10を備える。この尾翼ユニット10の尾翼11が風を受けて風向に平行な方向に配置する位置まで自動的に回転することにより、スワッシュプレート21の垂直支柱2に対する傾斜方向が、自動的に、翼6を高速で公転させるために最も望ましい方向に定められる。このため、複雑な制御を実行することなしに、最適な状態で、垂直軸型風力発電機1を運転させることができる。
図17は、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1に一定風速の風を作用させた場合における、翼6の公転速度(すなわち垂直支柱2の回転速度)の経時変化を示すグラフ(グラフG1)と、従来の固定翼を有する垂直軸型風力発電機に同一速度の風を作用させた場合における、翼の公転速度の経時変化とを示すグラフ(グラフG2)とを併記した図である。図17のグラフの横軸は経過時間であり、縦軸が公転速度である。また、縦軸の公転速度n1とは、翼の公転(垂直支柱の回転)によって、利用可能な電圧の電力が発電される公転速度の下限値である。以下、この公転速度n1を、利用可能電圧発生公転速度と呼ぶ。また、参考までに、図17にはグラフG1aとグラフG1bが示されている。グラフG1aは、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1のリンク機構22が備える第二ロッド部材223を常に直線状態とした場合における、経過時間と公転速度との関係を示すグラフである。グラフG1bは、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1のスワッシュプレート21の傾斜角度を0°とした場合における、経過時間と公転速度との関係を示すグラフである。
図17のグラフG1とグラフG2とを比較してわかるように、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1を用いた場合に利用可能電圧発生公転速度n1に達するまでの時間(T1)は、従来の固定翼を有する垂直軸型風力発電機を用いた場合に利用可能電圧発生公転速度n1に達するまでの時間(T4)よりもはるかに短い。従って、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1の始動性は極めて良いことがわかる。また、グラフG1aによって、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1のピッチ角可変機構(サイクルピッチ可変機構)による効果が示される。グラフG1aからわかるように、本実施形態に係るピッチ角可変機構を採用することにより、始動の初期には若干公転速度の上昇率が低いが、始動の後期において公転速度の上昇率を高めることができる。さらに、グラフG1aとグラフG2とを比較してわかるように、本実施形態に係るピッチ角可変機構のみを搭載した垂直軸型風力発電機を用いた場合に利用可能電圧発生公転速度n1に達するまでの時間(T2)は、従来の固定翼を有する垂直軸型風力発電機を用いた場合に利用可能電圧発生公転速度n1に達するまでの時間(T4)よりもはるかに短い。このことから、本実施形態に係るピッチ角可変機構によっても始動性を向上できることがわかる。また、グラフG1bによって、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1の回転位置調整機構による効果が示される。グラフG1bからわかるように、本実施形態に係る回転位置調整機構を採用することにより、始動の初期における公転速度の上昇率を高めることができる。従って、これらの機構(回転位置調整機構及びピッチ角可変機構)を併せ持つ本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1においては、始動初期であっても始動後期であっても公転速度の上昇率を高めることができる。
図18Aは、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1を用いた場合における、風速と発電電力との関係を示す図であり、図18Bは、従来の固定翼を有する垂直軸型風力発電機を用いた場合における、風速と発電電力との関係を示す図である。図18Aからわかるように、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1によれば、風が短時間の間に作用した場合においても、速やかに応答して発電電力を得ることができることがわかる。つまり、本実施形態に係る垂直軸型風力発電機1は、風に対する発電の応答性が高い。一方、図18Bに示すように、従来の垂直軸型風力発電機によれば、風に対する発電の応答性が低く、大きな風速の風が吹いていてもその期間が短ければ発電電力を得ることができないことがわかる。このように、本実施形態によれば、風に対する発電の応答性が極めて高い垂直軸型風力発電機1を提供することができる。
1…垂直軸型風力発電機、2…垂直支柱、2a…第一支柱部、2b…第二支柱部、2c…第一フランジ、2d…第二フランジ、3…発電機、3a…ロータカバー、3b…中心軸、4…ステー、41,41a,41b…上側ステー、42,42a,42b…下側ステー、6,6a,6b…翼、61…外側面、62…内側面、10…尾翼ユニット、11…尾翼、12…筒状部材、13…接続部材、20…翼可動機構(回転位置調整機構、ピッチ角可変機構)、21…スワッシュプレート(軸受部材)、21a…内輪(第一輪)、21b…外輪(第二輪)、22,22a,22b…リンク機構、221…第一ロッド部材、221a…ピロボールジョイント、222…ベルクランク、223…第二ロッド部材、223a…内側連結部、223b…中間ロッド部、223c…外側ロッド部、23…傾斜角度調整機構、24…同位相ジョイント、25…ケース、26…カム部材(制動部材)、26a…カム面、27…ダンパー(制動部材)、271…固定ブロック、272…圧縮バネ、273…接触指、28…ストッパ、51…連結部材、P4…軸ピン(第一軸)
Claims (5)
- 自転可能な垂直支柱と、
前記垂直支柱に取り付けられ、前記垂直支柱の自転によって発電する発電機と、
前記垂直支柱に支持されるとともに、前記垂直支柱から離れる方向に延設されたステーと、
前記垂直支柱に平行に前記ステーに設けられた第一軸回りに回転可能に前記ステーに接続され、風力により前記垂直支柱を中心として前記ステーとともに公転する翼と、
前記翼の公転位置に応じて前記翼のピッチ角を変更するピッチ角可変機構を備え、
前記ピッチ角可変機構は、
第一輪と、前記第一輪に同軸的に配置しているとともに前記第一輪に相対回転可能に前記第一輪に接続された第二輪とを有し、回転軸方向が前記垂直支柱の軸方向に対して傾斜した状態で、前記第一輪が前記垂直支柱に相対回転可能に取り付けられている軸受部材と、
前記軸受部材の前記第二輪にその一方端が接続されるとともに、前記垂直支柱の軸方向に延設された第一ロッド部材と、
前記翼と前記ステーとの接続位置とは異なる位置にて前記翼にその一方端が接続された第二ロッド部材と、
前記垂直支柱の軸方向に平行な平面内を回転可能に前記垂直支柱に取り付けられるとともに、それぞれ異なる位置にて前記第一ロッド部材の他方端及び前記第二ロッド部材の他方端に接続されたベルクランクと、
を備える、
垂直軸型風力発電機。 - 請求項1に記載の垂直軸型風力発電機において、
前記垂直支柱の外周側に設けられ、前記軸受部材の前記第一輪と一体的に同軸回転するように前記第一輪に接続された筒状部材と、平板状に形成され、その表面及び裏面が前記垂直支柱の軸方向に平行であるように前記筒状部材の外周面に固定された尾翼と、を有する尾翼ユニットを備える、
垂直軸型風力発電機。 - 請求項1または2に記載の垂直軸型風力発電機において、
前記翼の公転位置が、前記翼に作用する抗力の回転方向成分の作用方向が前記翼に作用する遠心力の回転方向成分の作用方向と反対方向である第一公転位置であって、且つ、前記抗力の回転方向成分が前記遠心力の回転方向成分よりも大きいときに、前記第一軸回りにおける前記翼の回転位置が、前記抗力の回転方向成分によって抗力を主体として前記翼を公転させることができる第一回転位置に位置決めされ、前記翼の公転位置が、前記抗力の回転方向成分の作用方向と前記遠心力の回転方向成分の作用方向が同一方向である第二公転位置であるときに、前記第一軸回りにおける前記翼の回転位置が、前記抗力の回転方向成分及び前記遠心力の回転方向成分によって揚力を主体として前記翼を公転させることができる第二回転位置に位置決めされ、前記遠心力の回転方向成分が前記抗力の回転方向成分よりも大きいときに、前記翼の公転位置にかかわらず、前記第一軸回りにおける前記翼の回転位置が前記第二回転位置に位置決めされるように、前記第一軸回りにおける前記翼の回転位置を調整する回転位置調整機構を備える、
垂直軸型風力発電機。 - 請求項3に記載の垂直軸型風力発電機において、
前記回転位置調整機構は、前記第二ロッド部材を含み、
前記第二ロッド部材は、
前記垂直支柱に接続された内側連結部と、前記垂直支柱に平行な軸回りに回転可能に前記内側連結部にその一方端が接続された中間ロッド部と、前記垂直支柱に平行な軸回りに回転可能にその一方端が前記中間ロッド部の他方端に接続されるとともに、その他方端が前記ステーとの接続位置とは異なる接続位置にて前記翼に接続された外側ロッド部と、を有し、
前記翼の前記第一軸回りにおける回転位置が前記第二回転位置にあるときに、前記中間ロッド部と前記外側ロッド部が同軸状に配列され、
前記翼の前記第一軸回りにおける回転位置が前記第一回転位置にあるときに、前記中間ロッド部と前記外側ロッド部が交差状に配列されるように構成される、
垂直軸型風力発電機。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の垂直軸型風力発電機において、
前記翼が前記第一回転位置から前記第二回転位置に向かって回転するときに、前記第二回転位置に近づくにつれて大きくなるような、前記翼の回転に対する制動力を発生し、前記翼が前記第二回転位置から前記第一回転位置に向かって回転するときに、前記第一回転位置に近づくにつれて大きくなるような、前記翼の回転に対する制動力を発生する制動部材を備える、
垂直軸型風力発電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016108490A JP2017214859A (ja) | 2016-05-31 | 2016-05-31 | 垂直軸型風力発電機 |
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JP2016108490A JP2017214859A (ja) | 2016-05-31 | 2016-05-31 | 垂直軸型風力発電機 |
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