JP2017211399A - 赤外線遮蔽膜及び赤外線遮蔽フィルム - Google Patents

赤外線遮蔽膜及び赤外線遮蔽フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ヘイズの発生が抑制され、経時の光学特性変化が少ないという優れた耐候性及び高い赤外線遮蔽性能を有する赤外線遮蔽膜及び、当該赤外線遮蔽膜を備えた赤外線遮蔽フィルムを提供する。【解決手段】可塑性樹脂組成物と、タングステン酸化物又は複合タングステン酸化物の少なくとも一方の赤外線吸収粒子と、金属塩と、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基を有する添加樹脂とを含み、かつ、可塑性樹脂組成物に含まれる可塑性樹脂と添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下であり、かつ、金属塩と添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下である赤外線遮蔽膜。【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線遮蔽膜及び赤外線遮蔽フィルムに関する。
近年、省エネルギー化を図る目的の一つとして、建築物や乗り物の窓ガラスなどに貼付して太陽光の熱線(赤外線)の透過を遮断する、いわゆる赤外線遮蔽膜の需要が高まってきている。赤外線遮蔽膜では、高い赤外線遮蔽特性や高い可視光の透過率などの光学特性が要求されている。
赤外線遮蔽特性を付与する目的で、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物などの赤外線吸収粒子を用いることが提案されている。しかしながら、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物は赤外線遮蔽特性が経時的に低下するといった耐候性の問題を抱えていた。
上記の問題に対して、特許文献1は、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物に紫外線等が照射することによってラジカルが発生する点に着目し、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解重合物から選択された1種類以上の媒体と、タングステン酸化物粒子や複合タングステン酸化物粒子を含有した赤外線遮蔽膜に、Cs、Sr、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、及びSnの内から選択される1種類以上の元素を含む金属塩(ただし、硫酸塩を除く)を添加することで、紫外線等によって発生するラジカルを捕捉し、熱線遮熱特性の経時的な低下を抑制する方法を提案している。
また、特許文献2は、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物などの熱線遮蔽微粒子の熱線遮蔽性能は、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水、酸素の影響で低下する点に着目し、ポリカーボネート樹脂とタングステン酸化物粒子や複合タングステン酸化物粒子を含有した赤外線遮蔽膜に、Mg、Ni、Zn、In及びSnの内から選択される1種類以上の金属元素の塩を添加することで、耐候性が向上する方法を提案している。さらに、特許文献2では、ポリカーボネート樹脂に熱線遮蔽微粒子を均一に分散させて良好な光学特性を得るために、200℃以上の高温での溶融混練にも使用可能な高耐熱性分散剤として、アルキル主鎖で官能基がヒドロキシ基又はエポキシ基を有する分散剤を添加する方法を提案している。
特開2009−197146号公報 特開2013−170239号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の構成では、長時間、太陽光に曝されることでヘイズが発生するといった問題が見出された。これは、赤外線遮蔽膜に含有される樹脂中で金属塩の有する金属イオンが自由に動き、温度、湿度、紫外線等の影響によって金属塩が凝集したため、局所的に屈折率が変化し、ヘイズが発生したと推察される。
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、課題とするところは、ヘイズの発生が抑制され、経時の光学特性変化が少ないという優れた耐候性及び高い赤外線遮蔽性能を有する赤外線遮蔽膜を提供することである。さらに、当該赤外線遮蔽膜を備えた赤外線遮蔽フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、赤外線遮蔽膜の主成分となる可塑性樹脂に対して、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基を有し、かつ、前記可塑性樹脂のSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下である添加樹脂を含有することで、上記課題を解決できることを知見し、本発明に至った。本発明では、前記添加樹脂中のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基に金属塩又は金属塩中の金属が固定化され、金属塩同士の凝集が抑制されたと推測される。
本発明の上記した課題は、以下の手段により解決することができる。
1.赤外線遮蔽膜が、可塑性樹脂組成物と、タングステン酸化物又は複合タングステン酸化物の少なくとも一方の赤外線吸収粒子と、金属塩と、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基を有する添加樹脂とを含み、かつ、前記可塑性樹脂組成物に含まれる可塑性樹脂と前記添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下であり、かつ、前記金属塩と前記添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下であることを特徴とする赤外線遮蔽膜。
2.前記金属塩中の金属と前記添加樹脂において、当該添加樹脂量に対する当該金属の質量比率が0.02以上であることを特徴とする第1項に記載の赤外線遮蔽膜。
3.前記添加樹脂の分子量が、550〜55000の範囲内にあることを特徴とする第1項又は第2項に記載の赤外線遮蔽膜。
4.前記可塑性樹脂が、活性線硬化樹脂であることを特徴とする第1項〜第3項のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽膜。
5.前記金属塩が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ニッケル、マンガン、セリウム、亜鉛、銅、コバルト、ジルコニウム、鉄及びアルミニウムから選択される金属元素を含む金属有機塩又は金属無機塩であることを特徴とする第1項〜第4項のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽膜。
6.第1項〜第5項のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽膜と基材を備えたことを特徴とする赤外線遮蔽フィルム。
7.赤外線反射層を備えたことを特徴とする第6項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
本発明の上記手段により、ヘイズの発生が抑制され、経時の光学特性変化が少ないという優れた耐候性及び高い赤外線遮蔽性能を有する赤外線遮蔽膜を提供することができる。
さらに、当該赤外線遮蔽膜を備えた赤外線遮蔽フィルムを提供することができる。
赤外線遮蔽膜の好ましい実施形態の1つを表した概略断面図
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪赤外線遮蔽膜≫
本発明の赤外線遮蔽膜は、赤外線遮蔽膜が、可塑性樹脂組成物と、タングステン酸化物又は酸化タングステンの少なくとも一方の赤外線吸収粒子と、金属塩と、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基を有する添加樹脂とを含み、かつ、前記可塑性樹脂組成物に含まれる可塑性樹脂と前記添加樹脂とのΔSP値が3以内であり、かつ、前記金属塩と前記添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下であることを特徴とする。
本発明は、金属塩や金属塩中の金属の溶解パラメーター(以下、SP値と称す)と、赤外線遮蔽膜の主成分である可塑性樹脂の溶解パタメーターすなわちSP値の差(以下、「ΔSP値」と称す。)が解離している点に着目して成されたものである。
SP値は、親和性を表すパラメーターの1つであり、ΔSP値が小さいほど親和性が高いことを意味する。本発明において添加樹脂と赤外線遮蔽膜の主成分である可塑性樹脂のΔSP値の絶対値が3以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下である。ΔSP値の絶対値が3以下であり、添加樹脂が可塑性樹脂と親和性を有することで、赤外線遮蔽膜中に添加樹脂を分散させることが可能となる。
一般的に金属塩のSP値は、10〜15の範囲内にあり、金属塩中の金属は、10〜80の範囲内にある。従って、本発明に係る添加樹脂は、当該金属塩又は金属塩中の金属と高い親和性を示す官能基、前記金属塩又は金属塩中の金属とのΔSP値の絶対値が3以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下であることで、金属塩又は金属塩中の金属が官能基により固定化され、金属塩同士の凝集が抑制されたと推測される。本発明においては、該金属塩と高い親和性を示す官能基として、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基が好適である。
本明細書における「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された数値である。
以下、本発明に係る赤外線遮蔽膜について説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に何ら制限されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で実施形態を任意に変更して実施することが可能である。
<添加樹脂>
本発明に係る添加樹脂は、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基を有し、かつ、前記可塑性樹脂とのΔSP値の絶対値が3以下であることを特徴とする。
親水基と親油基を有する界面活性剤のように、本発明における添加樹脂は、可塑性樹脂に親和性を有する一方で、金属塩又は金属塩中の金属に親和性を示す官能基を有する。
可塑性樹脂に親和性を有することで、添加樹脂自体が赤外線遮蔽膜から析出、ブリードアウトすることを抑制する。そして、前記官能基が親和性ある金属塩又は金属塩中の金属を引付け固定化させるため、金属塩同士の凝集を抑制され、赤外線遮蔽膜におけるヘイズの発生が抑制されると推定される。
本発明に係るアルキレンオキサイドは、構造中に有する水酸基が金属塩又は金属塩中の金属を引付け、固定化していると推察される。炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられ、これらのうち好ましいものはポリプロピレングリコールである。これらを1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明に係るスチレンスルホン酸基は、構造中に有するSO基が金属塩又は金属塩中の金属を引付け、固定化していると推察される。
金属塩中の金属と、添加樹脂において、添加樹脂量に対する金属の質量比率が0.02以上であることが好ましく、特に前記質量比率は0.04以上であることが好ましい。0.02以上であると、添加樹脂中の金属塩又は金属塩中の金属に親和性を示す官能基、つまり、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基が、十分に金属塩又は金属塩中の金属を引付け固定化させるため、効果的に金属塩同士の凝集を抑制することができると推定される。一方、前記質量比率が0.02未満である場合は、十分に金属塩又は金属塩中の金属を固定化できず、効果的に金属塩同士の凝集を抑制することが困難となる。
本発明において、金属量はICP−AES(SPS3520UV:エスアイアイナノテクノロジー)を用いて測定した。より具体的には、ハードコート成分を800度で加熱し、残分を強酸又は強塩基で溶解させ、ICP−AESで定量測定した。
添加樹脂量は、LC/MS(HP1100/LCQAdvantage:アジレント/サーモフィッシャー)を用いて測定した。より具体的には、ハードコート成分をエタノールに24時間浸漬した後、固体のハードコート成分を取り除いたエタノール溶液をLC/MSで定量測定した。それぞれの測定値を用いて、添加樹脂量に対する金属の質量比率を算出した。
また、添加樹脂は、添加樹脂中の炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基の当量比が0.5以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上である。前記当量比が0.5以上であると、可塑性組成物における添加樹脂の比率を抑えることができる。前記比率を抑えることで、前記可塑性組成物の電気的特性、機械的特性、光学的特性及び化学的性質などの物性を制御すやすくなる。一方、前記当量比が0.5未満である場合は、添加樹脂において金属塩の凝集を抑える官能基数が少ないことを意味する。この場合、十分に金属塩又は金属塩中の金属を固定化し、金属塩同士の凝集を抑制するために可塑性組成物における添加樹脂の比率を増す必要がある。
本発明において、添加樹脂中の炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基の当量比は、LC/MS(HP1100/LCQAdvantage:アジレント/サーモフィッシャー)を用いて測定した。
また、本発明に係る添加樹脂の分子量は、550〜55000の範囲内にあることが好ましく、特に1000〜50000の範囲内にあることが好ましい。550以上であれば、添加樹脂中の金属塩又は金属塩中の金属に親和性を示す官能基が金属を引付け、固定化した後に可塑性樹脂組成物中で流動することないため、効果的に金属塩同士の凝集を抑制することができると推測される。また、55000以下であれば、可塑性樹脂と添加樹脂の相溶性に優れ、可塑性樹脂組成物における添加樹脂の分散性に優れるため、効果的に金属塩同士の凝集を抑制することができると推測される。一方、添加樹脂の分子量が55000以上の場合は、可塑性樹脂と相溶性に乏しいアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基がブリードアウトしてしまい、赤外線遮蔽膜のヘイズが増加する恐れがある。
可塑性樹脂組成物中に本発明に係る添加樹脂を含むことは、Py−GC/MS(熱分解−ガスクロマトグラフ/質量分析)(熱分解装置:PY−2020iD(フロンティアラボ)、GG/MS:QP2010(島津製作所))を用いることで検出することができる。
<可塑性樹脂組成物>
本発明に係る可塑性樹脂組成物の主成分は可塑性樹脂であり、前記可塑性樹脂は、添加樹脂とのΔSP値が3以内であれば、特に制限はないが、シリコーン系、アクリル系、メラミン系、エポキシ系、アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物などが好ましい。
また、可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤等を含ませることができる。例えば、分散剤、可塑剤、紫外線安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、難燃剤、防腐剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤、増粘剤、カップリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、接着調整剤、改質剤又は任意の色調を与えるための染料や顔料等の添加剤を含ませてもよい。これらを1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<赤外線吸収粒子>
赤外線吸収粒子とは、赤外線波長域に吸収を持つ、光学吸収特性を有する化合物粒子であり、本発明においては、赤外線領域、特に波長1000nm以上の光を大きく吸収する、タングステン酸化物又は複合タングステン酸化物の少なくとも一方を用いる。
タングステン酸化物において、3酸化タングステン中には有効な自由電子が存在しないため、3酸化タングステンは近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線吸収粒子としては有効ではない。一方、酸素欠損を持つ3酸化タングステンや、3酸化タングステンにNa等の陽性元素を添加した所謂タングステンブロンズは、導電性材料で自由電子を持つ材料であることが知られており、これら材料の単結晶等の分析により赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。そして、タングステンと酸素との化合物における組成範囲の特定部分において、赤外線吸収粒子として特に有効な範囲があり、可視光領域においては透明で、近赤外線領域においては吸収を持つタングステン酸化物粒子、複合タングステン酸化物粒子が見出され、当該タングステン酸化物粒子又は/及び複合タングステン酸化物粒子を赤外線吸収粒子として用いることができる。
前記タングステン酸化物は、一般式WyOz(ただし、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記され、前記複合タングステン酸化物は、一般式MxWyOz(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3))で表記される化合物を挙げることができる。
前記複合タングステン酸化物は、一般式MxWyOzで表され、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる1つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。これらの中で、六方晶が可視光領域の吸収が最も少ないため、特に好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合酸化タングステンとしては、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物が挙げられる。本発明においては、複合酸化タングステンとして、セシウム含有複合タングステン酸化物が、赤外線遮蔽特性及び耐候性などの観点から、好適である。
元素Mの添加量を示すx/yの値について説明する。
x/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることができる。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線吸収粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値について説明する。
z/yの値については、MxWyOzで表記される赤外線吸収粒子においても、上述したWyOzで表記される赤外線吸収粒子と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
上記赤外線吸収粒子の粒子径は、その使用目的によって各々選定することができる。
まず、透明性を保持した応用に使用する場合は800nm以下の粒子径を有していることが好ましい。これは、800nmよりも小さい粒子は散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に、可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下がよい。この理由は、粒子の粒子径が小さければ、幾何学散乱若しくはミー散乱に起因する波長400〜780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、赤外線遮蔽膜が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。すなわち、粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱若しくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。さらに、粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、粒子径が小さい方が好ましい、粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
上記粒子径を800nm以下と選択することにより、赤外線吸収粒子を樹脂等の媒体中に分散させた赤外線遮蔽膜のヘイズ値は、可視光透過率85%以下においてヘイズ30%以下とすることができる。ここで、ヘイズが30%よりも大きい値であると曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない。
本発明においては、赤外線吸収粒子として、前記複合酸化タングステン又は前記タングステン酸化物を1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。加えて、酸化チタン、酸化セリウム、酸化インジウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、アンチドープ酸化錫(ATO)及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)などの光学吸収特性を有する化合物粒子と組み合わせて用いてもよい。
耐候性や分散性の観点から、赤外線吸収粒子の表面全体又は一部が、Si、Ti、Zr、Alの一種類以上の金属を含有する酸化物で被覆されていることが好ましい。被覆方法は特に限定されないが、当該赤外線吸収粒子を分散した溶液中へ、上記金属のアルコキシドを添加することで、赤外線吸収粒子の表面を被覆することが可能である。
<金属塩>
本発明に係る金属塩は、赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽特性の継時的な低下を抑制し、耐候性を向上させる目的で添加するものである。
本発明に適用される金属塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ニッケル、マンガン、セリウム、亜鉛、スズから選択される金属からなる金属有機塩又は金属無機塩であり、これらを1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、赤外線遮蔽膜に含まれる金属塩の含有量は、相溶性、分散性、ヘイズの観点から、赤外線吸収粒子100質量部に対して、5〜60質量部の範囲内が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量部の範囲内である。5質量部未満の場合、十分に赤外線遮蔽特性の継時的な低下を抑制できず、60質量部を超える場合は、可塑性樹脂、又は溶剤との相溶性に劣り、分散性の低下及びヘイズの増加が生じる。
本発明に係る赤外線吸収粒子を分散液とする場合、溶剤は特に限定されることなく公知の有機溶剤を使用することができる。
具体的には、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、3−メチル−メトキシ−プロピオネート(MMP)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PEAC)等のグリコール誘導体、フォルムアミド(FA)、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。中でも、極性の低い有機溶剤が好ましく、特にMIBK、MEK等のケトン類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、PGMEA、PE−AC等のグリコールエーテルアセテート類等、疎水性の高いものがより好ましい。これら溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<赤外線遮蔽膜の形成方法>
本発明の赤外線遮蔽膜を形成する1つの実施形態としては、赤外線吸収粒子が溶剤に分散した分散液と、可塑性樹脂、金属塩、添加樹脂などを添加して可塑性樹脂組成物を調製し、当該可塑性樹脂組成物を基材表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜から溶剤を蒸発させることで形成する方法ある。
可塑性樹脂組成物の塗布方法としては、基材表面に塗布膜を均一に形成できればよく、特に限定されないが、バーコート法、グラビヤコート法、スプレーコート法、ディップコート法などを用いることができる。
また、上述した可塑性樹脂組成物が塗布される基材としては、所望によりフィルムでもボードでも良く、形状は限定されない。赤外線遮蔽膜を可視光に対して透明な樹脂基材、透明成形体に積層することで赤外線遮蔽フィルム又は赤外線遮蔽積層体が得られる。
透明成形体としては、PET、アクリル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、無機ガラス、樹脂ガラス等が各種目的に応じて使用可能である。好ましくは、本発明に係る添加樹脂の働きを妨げないという観点から、溶剤と可塑性樹脂のΔSP値が5以内、3以内であるとさらに好ましい。
≪赤外線遮蔽フィルム≫
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、少なくとも赤外線遮蔽膜を含んだ積層構造を有する。
以下、本発明に係る赤外線遮蔽フィルムについて説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に何ら制限されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で実施形態を任意に変更して実施することが可能である。
<赤外線遮蔽フィルムの構成>
本発明の赤外線遮蔽膜は、可塑性樹脂や添加剤などの構成成分を適宜選択することで機能層として用いることができる。
本発明において、機能層とは、ハードコート層、又は、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、保護層、分離層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層及び低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層から選択される層である。
本発明の赤外線遮蔽膜は、赤外線遮蔽フィルムの赤外線遮蔽性能の観点から、ハードコート層又は接着層として用い、赤外線遮蔽フィルムの最表面に配置されることが好ましい。
本発明の赤外線遮蔽フィルムにおいて好ましい構造を示すが、各層の積層順などは、特に制限はなく、本発明はこれらに限定されない。
(A)赤外線遮蔽膜/基材/接着層
(B)赤外線遮蔽膜(ハードコート層)/基材/接着層
(C)ハードコート層/赤外線遮蔽膜/赤外線反射層/接着層
(D)ハードコート層/赤外線反射層/赤外線遮蔽膜/接着層
(E)赤外線遮蔽膜(ハードコート層)/基材/赤外線反射層/接着層
(F)ハードコート層/基材/赤外線反射層/赤外線遮蔽膜(接着層)
(G)赤外線遮蔽膜(ハードコート層)/基材/赤外線反射層/赤外線遮蔽膜(接着層)
赤外線遮蔽フィルムの最外層に接着性を有する接着層を配置することで、車輌や建築物のガラス窓などの基体の屋内(車内又は室内)側や屋外側に赤外線遮蔽フィルムを貼り付けることができる。また、赤外線遮蔽フィルムの最外層にハードコート層を配置することで、赤外線遮蔽フィルム表面に耐擦傷性を付与することができる。
図1は、本発明における赤外線遮蔽フィルムの実施形態の一例である。
図1に示すように、赤外線遮蔽フィルム5は、基体1に接着層2を介して貼合されている。基体1から赤外線遮蔽膜4方向に入射する赤外線に対しして、赤外線反射層3で特定の赤外線波長域を反射し、赤外線遮蔽膜4では赤外線反射層3で反射しきれなかった赤外線波長を吸収することができる。赤外線反射層3を設けることで、遮蔽可能な赤外線波長が広域となり、赤外線遮蔽性能の高い赤外線遮蔽フィルム5が得られる。
窓ガラスの室内側に赤外線遮蔽フィルムを貼る(内貼り)仕様では、太陽光入射側から赤外線反射層、赤外線遮蔽膜の順に積層することが好ましく、窓ガラスの室外側に本発明の赤外線遮蔽フィルムを貼る(外貼り)仕様では、太陽光入射側からハードコート層、赤外線反射層、赤外線遮蔽膜、接着層の順に積層することが好ましい。
赤外線遮蔽膜と赤外線反射層の配置に関しては、赤外線の入射方向に対して入射方向側に赤外線反射層を配置することで、赤外線遮蔽膜へ照射される赤外線量が抑制されるため、赤外線遮蔽膜に含有される赤外線吸収粒子が赤外線を吸収した際に生じる熱の発生が防止され、高い耐候性が得られる。
下記に、本発明に係る赤外線遮蔽フィルムの構成層に関して説明する。
(ハードコート層)
本発明のハードコート層とは、鉛筆硬度がH〜8Hであるフィルムをいう。特に好ましくは2H〜6Hの範囲内であることが好ましい。
鉛筆硬度は、作製したハードコート層を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
ハードコート層に用いられる可塑性樹脂としては、シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物等の有機系ハードコート材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート材料;等が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、(メタ)アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物のハードコート形成材料の使用が好ましい。ここで、(メタ)アクリルとはアクリル及びメタクリルを示す。
また、ハードコート層において、高い耐擦傷性を得るためには、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましく、さらに好ましくは、活性線硬化樹脂であることが好ましい。
前記活性線硬化樹脂として、好ましくは紫外線硬化樹脂が用いられる。紫外線硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601R(三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、又はその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
紫外線硬化樹脂層の塗布組成物は、固形分濃度は10〜95質量%の範囲内であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化被膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば、いずれでも使用できる。具体的には、前述の光源を使用できる。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜1200mJ/cm程度あればよく、好ましくは、50〜1000mJ/cmである。近紫外線領域から可視光線領域にかけては、その領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用できる。
ハードコート層のドライ膜厚としては、平均膜厚0.1〜30μmの範囲内、好ましくは1〜20μmの範囲内、特に好ましくは3〜15μmの範囲内である。3μm以上である場合は、十分な耐久性、耐衝撃性が得られる。また、屈曲性又は経済性の観点から、15μm以下であることが好ましい。
ハードコート層の形成は、例えば、活性線硬化樹脂を有機溶媒に溶解した、ハードコート層形成用塗布液を塗布した後、乾燥中、又は後に活性線を照射することで形成することができる。ハードコート層用塗布組成物の塗布方法としては特に限定はなく、例えばグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。前記塗布方法を用いて可塑性樹脂基材の一方の面に、ウェット膜厚0.1〜100μmの範囲内で塗布することが好ましい。
また、ハードコート層は、1層でも2層以上の多層構造でも良い。
また、ハードコート層に防眩性を与えるために、また他の物質との密着を防ぎ、耐擦り傷性等を高めるために、ハードコート層の塗布組成物中に無機又は有機の微粒子を加えることもできる。
微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜10μmの範囲内であり、使用量は紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲内となるように配合することが望ましい。防眩効果を付与するには、平均粒径0.1〜1μmの範囲内の微粒子を紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対して1〜15質量部用いるのが好ましい。
ハードコート層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
ハードコート層塗布液には、溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。
塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、又はこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)又はプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%の範囲内含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さRaは0.05μm未満、より好ましくは0.002〜0.04μm未満の良好な平滑面を有するハードコート層を形成することができる。
中心線平均粗さ(Ra)は、光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えば、WYKO社製の非接触表面微細形状計測装置(WYKO NT−2000)を用いて測定することができる。
この他、ブロッキング防止機能を果たすものとして、上述したのと同じ成分で、体積平均粒径0.005〜0.1μmの範囲内の極微粒子を樹脂組成物100質量部に対して0.1〜5質量部を用いることもできる。
本発明に用いるハードコート層には、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを、上記活性エネルギー線硬化樹脂に混合して使用することができる。これら樹脂には、その分子中に極性基を持っていることが好ましい。
極性基としては、−COOM、−OH、−NR、−NRX、−SOM、−OSOM、−PO、−OPOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム基を、Xはアミン塩を形成する酸を、Rは水素原子、アルキル基を表す)等を挙げることができる。
また硬化された層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−t−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
また、本発明に係るハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができる。
(接着層)
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、赤外線遮蔽フィルムを窓ガラス等の基体に貼りつけるための接着性を付与する目的で接着層を設けることができる。
接着層の主要材料としては、エストラマーや合成樹脂等の高分子物質が挙げられ、被接着材料や接着後の部材の使用条件等によって適宜選定される。例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル・アクリル樹脂、酢酸ビニル・塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、エチレン・アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、天然ゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。
好ましくは、紫外線に対して耐久性を有するものであり、アクリル系樹脂(アクリル接着剤)又はシリコーン系樹脂(シリコーン接着剤)が好ましい。さらに、接着特性やコストの観点から、アクリル接着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、溶剤系及びエマルジョン系アクリル接着剤が好ましく、溶剤系アクリル接着剤がより好ましい。溶剤系アクリル接着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
この接着層には、添加剤として、例えば安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を含有させることもできる。特に、本発明のように窓貼用として使用する場合は、紫外線による赤外線遮蔽フィルムの劣化を抑制するためにも、紫外線吸収剤の添加は有効である。
接着層の厚さは、1〜100μmの範囲内が好ましく、より好ましくは3〜50μmの範囲内である。1μm以上であれば、接着性が向上する傾向にあり、赤外線遮蔽フィルムを基体に貼合したときに、十分な接着力が得られる。逆に、100μm以下であれば、赤外線遮蔽フィルムの透明性が向上するだけでなく、赤外線遮蔽フィルムを窓ガラスに貼り付けた後、剥がしたときに接着層間で凝集破壊が起こらず、ガラス面への接着剤残りが無くなる傾向にある。
接着層の塗工方法としては、任意の公知の方法が使用でき、例えばダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、転写法等が好ましく挙げられ、単独又は組合せて用いることができる。これらは適宜、接着剤を溶解できる溶剤にて溶液にする、又は分散させた塗布液を用いて塗工することができ、溶剤としては公知の物を使用することができる。
接着層の形成は、先の塗工方式にて、直接赤外線遮蔽フィルムに塗工しても良く、また、一度剥離フィルムに塗工して乾燥させた後、赤外線遮蔽フィルムを貼り合せて接着剤を転写させても良い。この時の乾燥温度は、残留溶剤ができるだけ少なくなることが好ましく、そのためには乾燥温度や時間は特定されないが、好ましくは50〜150℃の範囲内の温度で、10秒〜5分の範囲内の乾燥時間を設けることが好ましい。
(赤外線反射層)
以下では、低屈折率層及び高屈折率層を区別しない場合は、両者を含む概念として「屈折率層」と称する。また、特記しない限り、操作及び物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
本発明における赤外線反射層は、低屈折率層又は高屈折率層が少なくとも3層以上積層された積層構造を有する。赤外線反射層の好適な形態は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された交互積層体の形態を有する。
なお、本明細書中、他方に対して屈折率の高い屈折率層を高屈折率層と、他方に対して屈折率の低い屈折率層を低屈折率層と称する。
さらには、赤外線反射層の光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
赤外線反射層を形成する材料としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、金属酸化物粒子、ポリマー、及びこれらの組み合わせ等などが挙げられる。低屈折率層及び高屈折率層の少なくともいずれか一方が金属酸化物粒子を含むことが好ましく、双方が金属酸化物粒子を含むことがより好ましい。
金属酸化物粒子は、高屈折率材料の例として、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、五酸化タンタル(Ta)等を挙げることができ、低屈折率材料の例として、二酸化ケイ素(SiO)、フッ化マグネシウム(MgF)等を挙げることができ、これらの金属酸化物粒子を、ポリマー液に分散させて塗布製膜させることができる。
赤外線反射層に含まれるポリマーには特に制限はなく、赤外線反射層を形成できるポリマーであれば特に制限されない。
例えば、ポリマーとしては、特表2002−509279号公報に記載のポリマーを用いることができる。具体例としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−及び2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、及びポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、アセチルセルロースブチレート、及び硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、及びポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン及びポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びネオプレン)、及びポリウレタンが挙げられる。コポリマー、例えば、PENのコポリマー[例えば、(a)テレフタル酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステルとのコポリマー]、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー[例えば、(a)ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と、テレフタル酸もしくはそのエステルとのコポリマー]、並びにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4−ビス安息香酸及びエチレングリコールも適している。
さらに、各層は、それぞれ、2種又はそれ以上の上記のポリマー又はコポリマーのブレンド(例えば、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)とアタクチックポリスチレンとのブレンド)を包含してよい。これらポリマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
上記ポリマーを、米国特許第6,049,419号明細書に記載のように、ポリマーの溶融押出し及び延伸により、赤外線反射層を形成することができる。また、その他、ポリマーとして水溶性高分子を用いることも好ましい。
また、本発明の赤外線遮蔽フィルムの高屈折率層又は低屈折率層には、紫外線吸収剤、退色防止剤、硬化剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
赤外線反射層の製造方法は特に限定なく、共押出法、溶融押出法などを用いることができる。溶融押出法としは、米国特許第6,049,419号明細書に記載の方法のように、ポリマーの溶融押出し及び延伸により、赤外線反射層を形成する方法の他、水系の高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に湿式塗布し、乾燥して積層体を形成する方法が挙げられる。
水系の高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に湿式塗布する方法としては、以下に挙げる塗布方式が好ましく用いられる。例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、又は米国特許第2,761,419号明細書、同第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布でもよいし同時重層塗布でもよい。
赤外線遮蔽フィルムにおける、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の厚さは、塗布量を乾燥時に上記した好ましい厚さとなるように調整することで制御することができる。
(基材)
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、機械的強度の付加又は構成層の保護を目的として基材を用いてもよい。基材としては、種々の樹脂フィルムを用いることができる。具体例として、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、三酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。これらを1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、光安定剤、界面活性剤、難燃剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、改質剤又は任意の色調を与えるための染料や顔料等を添加してもよい。
本発明に用いられる基材の厚さは、3〜300μmの範囲内、特に20〜150μmの範囲内であることが好ましい。また、本発明の基材は、2枚重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。また、本発明の赤外線遮蔽フィルムは、複数の基材を有していてもよい。
<赤外線遮蔽フィルムの用途>
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、赤外線遮蔽性能としては、少なくとも48%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。また、1000時間対候試験後のΔヘイズ値は4以下、さらに好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下であることが好ましい。
本発明により提供される赤外線遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建築物の屋外の窓や車輌の窓等赤外線遮蔽フィルムの窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、本発明の赤外線遮蔽フィルムは好適に用いられる。
特に、本発明に係る赤外線遮蔽フィルムは、直接又は接着層を介してガラス又はガラス代替の樹脂などの基体に貼合されて用いられる赤外線遮蔽フィルムとして好適である。
すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、本発明に係る赤外線遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、光学遮蔽体をも提供する。この具体的な例としては上記したように建築用の窓や車両の窓があげられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。使用材料は以下のとおりである。
(添加樹脂)
本発明で使用した添加樹脂を表1に記載した。表1に示した添加樹脂の炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基の当量比は、LC/MS(HP1100/LCQAdvantage:アジレント/サーモフィッシャー)を用いて測定したところ、ポリアクリルを除いて、0.8〜1の範囲内であった。
Figure 2017211399
(金属塩)
本発明で使用した金属塩を表2に記載した。
Figure 2017211399
≪試料の作製≫
<赤外線遮蔽膜形成液の調製>
(赤外線遮蔽膜形成液1の調製)
18%Cs0.33WO分散液(製品名:YMF−02A、住友金属鉱山株式会社、分散剤10質量部%)を100質量部として、紫外線硬化樹脂(製品名:アロニックスUV3701、東亜合成株式会社、SP値:9.5)を23質量部、金属塩としてオクチル酸ニッケルを5質量部、添加樹脂として分子量550のポリオキシエチレン−モノメチルエーテルを10質量部、界面活性剤(製品名:メガファックF−552、DIC株式会社)を0.03質量部、溶剤(メチルイソブチルケトン、SP値:9.5)83質量部を混合して赤外線遮蔽膜形成液1を調製した。
(赤外線遮蔽膜形成液2〜23)
赤外線遮蔽膜形成液2〜23は、表3に示すような構成とし、赤外線遮蔽膜形成液1と同様にして調製した。赤外線遮蔽膜形成液6の金属塩及び添加樹脂は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(製品名:PS−1、ナトリウム分11%、東ソー有機化学株式会社)として添加した。
Figure 2017211399
<赤外線反射層の作製>
40℃に加熱した100質量部の10質量%コロイダルシリカ(二次粒子の平均粒径:16nm)水溶液(スノーテックスOXS、日産化学工業株式会社製)に、30質量部の3質量%ホウ酸水溶液を攪拌しながら添加した。
次いで、450質量部の5質量%ポリビニルアルコール(PVA235、ケン化度:87.0mol%、株式会社クラレ製)水溶液及び375質量部の純水を攪拌しながら添加した。
その後、1質量部の界面活性剤5質量%水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製)を攪拌しながら添加し、低屈折率層形成用塗布液L1を調製した。
10質量部の15.0質量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径:5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学工業株式会社製)に40質量部の純水を加えた後、90℃に加熱した。
次いで、26質量部のケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学工業株式会社製)をSiO濃度が4質量%となるように純水で希釈したもの)を徐々に添加した後、オートクレーブ中に175℃にて18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が20質量%のSiOを表面に付着させた二酸化チタンゾル(以下では、「シリカ変性酸化チタンゾル」とも称する。)を得た。
50質量部の上記で得られた20質量%シリカ変性酸化チタンゾル分散液を40℃に加熱し、10質量部の2質量%クエン酸水溶液を攪拌しながら添加した。
その後、90質量部の4質量%ポリビニルアルコール(PVA124、ケン化度:98.5mol%、株式会社クラレ製)水溶液及び40質量部の純水を攪拌しながら添加した。
最後に、1質量部の5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製)を攪拌しながら添加し、高屈折率層形成用塗布液H1を調製した。
15層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用いて、上記で調製した低屈折率層形成用塗布液L1及び高屈折率層形成用塗布液H1を40℃に保温しながら、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層付、東洋紡績株式会社製)の上に、15層の同時多層塗布を行った。
この際、最下層及び最表層は低屈折率層とし、それ以外はそれぞれ交互に積層されるように設定した。また、塗布量については、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層130nmになるように調節した。
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットした。セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、赤外線反射層を作製した。
<試料1>
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層付、東洋紡績社製)の上に、赤外線遮蔽膜形成液1を塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで照射量を0.2J/cmとして硬化させ、試料1を作製した。試料1の可視光透過率は70%となるよう赤外線遮蔽膜の厚さは調整した。
<試料2〜23>
試料2〜23は、表2に示すような構成とし試料1と同様にして作製した。
<試料24>
試料1において、基材を赤外線反射層とし、赤外線遮蔽膜形成液12を塗布すること以外は同様にして作製した。
≪評価≫
下記の表4に、作製した各試料の評価を示した。
<遮熱性能>
試料1〜24に対して、分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用いて300〜2500nmの領域における5nmおきの透過率・反射率を測定した。
次に、JIS R3107に記載の方法に従い、日射反射率R(DS)と日射透過率得率T(DS)を求めた後、下記計算式を用いて遮熱性能TSERを算出した。
(式):TSER(%)=((100−T(DS)−R(DS))×0.7143)+R(DS)
<耐候性試験前後のΔヘイズ>
試料1〜24に対して、JIS K 6783bに準拠してサンシャインウェザオメーター(スガ試験機)を用いて500時間、又は1000時間照射した。次に、500時間又は1000時間照射後の試料のヘイズを測定し、試験前のヘイズで差をとり、Δヘイズとした。ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業株式会社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値である。
Figure 2017211399
上記結果から、本発明の要件を満たす試料1〜21は高い遮熱性能とヘイズの発生が抑制され、経時の光学特性変化が少ないという優れた耐候性を有することがわかった。
また、試料24から、赤外線反射層を有することで高い赤外線遮熱性能と優れた耐候性を有することが分かった。
一方、試料22、23のように本発明に係る添加樹脂を含まない場合、十分な遮熱性能及び耐候性が得られないことがわかった。
上記結果から、本発明の要件を満たす赤外線遮蔽膜、赤外線遮蔽フィルムは高い遮熱性能と優れた耐候性を有することがわかった。
1.基体
2.接着層
3.赤外線反射層
4.赤外線遮蔽膜
5.赤外線遮蔽フィルム

Claims (7)

  1. 赤外線遮蔽膜が、可塑性樹脂組成物と、タングステン酸化物又は複合タングステン酸化物の少なくとも一方の赤外線吸収粒子と、金属塩と、炭素原子数が2〜4の範囲内のアルキレンオキサイド又はスチレンスルホン酸基を有する添加樹脂とを含み、かつ、前記可塑性樹脂組成物に含まれる可塑性樹脂と前記添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下であり、かつ、前記金属塩と前記添加樹脂とのSP値の差(ΔSP値)の絶対値が3以下であることを特徴とする赤外線遮蔽膜。
  2. 前記金属塩中の金属と前記添加樹脂において、当該添加樹脂量に対する当該金属の質量比率が0.02以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線遮蔽膜。
  3. 前記添加樹脂の分子量が、550〜55000の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線遮蔽膜。
  4. 前記可塑性樹脂が、活性線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽膜。
  5. 前記金属塩が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ニッケル、マンガン、セリウム、亜鉛、銅、コバルト、ジルコニウム、鉄及びアルミニウムから選択される金属元素を含む金属有機塩又は金属無機塩であることを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽膜と基材を備えたことを特徴とする赤外線遮蔽フィルム。
  7. 赤外線反射層を備えたことを特徴とする請求項6に記載の赤外線遮蔽フィルム。
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