JP2017211335A - 非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ - Google Patents

非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ Download PDF

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Abstract

【課題】作物ストレスを非破壊、連続、自動計測できる熱電対サイクロメータを提供する。【解決手段】パソコン1は、サイクロメータ計測器本体3を介して測定試料10に熱電対センサ5を接し自動計測操作しており、T型乾接点熱電対の気温と露点計測用のE型湿接点熱電対の起電力変動をデジタル自動記録すると共に、露点計測用のE型湿接点熱電津の起電力変動に対して解析プログラムソフトによって求める変曲点起電力Vdを自動読み取りする。【選択図】図1

Description

高糖度メロンや高糖度トマトの生産は、ストレス(水ポテンシャルとも呼ばれる)を掛けて栽培すると言われ、土耕栽培では潅水を控えて水切りを行う方法とか、水耕栽培では食塩NaClを混ぜて根域ストレスを掛けて育てている。しかし、作物ストレスや土壌中ストレスを、非破壊・連続・自動計測したデータを見たことがなく、かつ誰も計測できなかったのが現況である。
本発明は、葉、茎、根、果実等の作物体ストレスや土壌中ストレスを非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータを提供するものであり、溶液の浸透圧を計測する医療関係の蒸気圧法浸透圧計としても利用できる。
高糖度なメロン、トマト、イチゴを生産する高品質栽培は、作物体の生体情報に基づく栽培管理が必要であるが、これまで誰も計測できなかったため、農家の勘と経験に頼ってきた。しかし、TPPによって農業もグローバル社会の中で競争が激化し、付加価値の付いた農産物生産が求められており、データに基づく合理的な次世代型農業技術の開発が望まれている。
本発明は、作物が水を吸い上げる要求度をエネルギー値で示した作物水分ポテンシャル(作物ストレス)や、土壌粒子と土壌水が結合している力をエネルギー値で示した土壌の全水分ポテンシャル(マトリックポテンシャル+浸透ポテンシャル+重力ポテンシャルの和で示される)や、溶液の浸透圧を示した浸透ポテンシャルを計測するものであり、計測値はマイナス値で、MPa単位で通常表示される。
作物ストレス(水ポテンシャル)の直接的計測は、Boyerが著書(1995年)で詳述しているように、プレッシャーチャンバー法と熱電対サイクロメータ法の2方法がある。我が国では、葉を切り取って計測するプレッシャーチャンバー法が簡便で取り扱いやすいため広く用いられてきたが、葉を葉柄で切り取って計測するため次第に着生葉が少なくなり、継続的な計測ができない致命的な欠点があった。
一方、測定試料の水蒸気圧と平衡させたチャンバー内の相対湿度を計測することによって水ポテンシャルを求める熱電対サイクロメータ法は精度の良い計測法であるが、多くの問題点があった。
市販のアメリカ製サイクロメータは手動操作の計測器であり、(1)手動操作の計測手順が複雑である、(2)計測器上のメータの針の動きが滞留したところの起電力を目視で読み取るが、その読み取り値が不安定で、かつ不明瞭である、(3)読み取った起電力を事前に作成した検量線に代入して水ポテンシャル値を演算するが、迅速に直接表示できない、(4)計測時の温度変動が測定誤差を与える、(5)サンプルとの蒸気圧平衡に長時間を要する等の理由から、多くのサイクロメータ(推定約15,000台)が1970年代に輸入されたにも関わらず、我が国ではほとんど利用されなかった。
熱電対サイクロメータの使用実績は、定温室内で土壌や切り取った葉をサンプルチャンバー内に詰めて水ポテンシャルを計測した2〜3例の論文に見られるのみで、現地圃場での作物体や土壌での水ポテンシャルを非破壊で連続計測した報告は全くない。このように、熱電対サイクロメータは温度変動のある現場測定には不向きであると判断され、半世紀以上見捨てられてきた。
そのうえ、市販サイクロメータの全45頁の計測マニュアルは、乾湿温度差に相当する変曲点起電力を計測するサイクロメータ法と、間欠的な時分割電流によって湿接点を露点温度に一定に維持するハイグロメータ法を紹介しているが、そのほとんどの頁はハイグロメータ法の説明に終始してハイグロメータ法を推奨しており、サイクロメータ法の説明はたった10行にすぎない。ハイグロメータ法は、露点温度を一定にするため間欠電流をタイミング良く流す高度な回路を持つ優れた計測法ではあるが、温度に依存する間欠係数Πvを設定しなければならず、恒温室での試験に限定される。それに対してサイクロメータ法は、測定値の温度補正式が提示されており、温度変化する現地圃場でも使用できるのであるが、一般ユーザーには理解されなかった。
そのため、作物体の水ストレス計測に関する国内文献は、次の引例のように全て間接的計測法が提案されており、最終的にはプレッシャーチャンバー法による測定値(リーフポテンシャルではなく木部水ポテンシャルと呼ばれている)と相関関係を求めた検量線から、水ポテンシャルを算出している。
特開平9−2819 特開2001−272373 特開2002−122646 特開2005−308733 特開2009−109363 特開2006−67954 特許公開2009−95344 特許公開2012−225736
特許文献1の作物の水ストレス判定方法は13Cと12Cの同位元素の比率で水ストレスを判断する方法が開示されているが、放射性同位元素を使用しているため、現場(圃場)で安全かつ簡単には計測できない。
特許文献2の作物体の水ストレス診断方法は作物体と土壌とに非分極性電極を取り付けて両極の電位差によって水ストレスを計測する方法が開示されているが、作物の種類や土壌タイプ、土壌水分によって電気出力が大きく異なり、計測精度の点で疑問が残る。
特許文献3の作物のストレス応答計測及び装置は、磁界発生装置とマイクロ波を照射させて測定を行う表面コイル型共振器に、非破壊の作物試料を対応させて空間部に配置し、作物のストレス応答の結果として生成するフリーラジカルおよび活性酸素の挙動を観測する方法であるが、作物体のストレスに対する相対単位の信号強度の経時変化を見ているだけで、水ストレス(水ポテンシャル)の絶対評価は行われていない。
特許文献4の作物の受けるストレスの測定方法は緑葉と標準白色板から反射する分光反射率特性から水ストレスを評価する方法が開示されており、反射光と透過光を分光して500〜800nmの連続波長に対して分光反射率を算出して、それが急激に立ち上がる波長域を求め、その波長域の中心波長の推移から水ストレスを評価するが、高価な分光器が必要で、かつ精度が十分でなかったと発明者自身がその後提出した特開2009−109363に記述している。
特許文献5の作物の水ストレス計測法及び装置は、任意時点での分光特性値を変数として多変量解析法から水ストレスを算出するが、最初にプレッシャーチャンバー法で実測した葉の水ポテンシャルを基準値として入力しておかねばならず、計測器単独で水ストレスを絶対評価できないので精度が悪い。
特許文献6のストレスに対する作物体の適応応答反応の測定法は、作物体にマイクロウェーブを照射し、作物体から反射される信号から複素誘電率εを求め、この複素誘電率εの周波数特性から作物体に加わったストレス適応応答を検出しているが、相対的な変動を計測しているだけで、絶対的な計測値を求めることはできない。
特許文献7の作物体の適応応答測定装置及び作物体の適応応答測定法は、特許文献6の発明者がその延長線上で考案したものであり、作物体を挟むクリップ部に第1電極と第2電極の隙間を開けて配置し、その電極に所定の電気信号を引加し、その印加した電気信号の特性を計測して作物体のストレス応答を測定しているが、計測されたデータは複雑で解析できていない。
特許文献8の水ポテンシャル測定方法及び水ポテンシャル測定装置は、作物の葉切片を異なる蛍光試薬溶液に1時間浸漬して、その蛍光画像の輝度から試料の水ポテンシャルを求めるものであるが、事前にプレッシャーチャンバー法の水ポテンシャル値と輝度との相関関係を求めておかねばならず、迅速な測定法とはいえない。
以上のように国内文献は間接的に作物体の水ストレスを計測しているのに対して、外国文献は、次の引例に見られるように全て直接的計測法である熱電対サイクロメータ法に関するもので、既に20年以上が経過している。
USA特許 3,739,629 USA特許 3,831,435 USA特許 4,242,906 USA特許 4,952,071
1973年の特許文献8は、小さなサンプルチャンバー内に測定サンプルを詰めて、サンプルホルダー内に挿入して密閉し、測定サンプルの水蒸気圧と平衡させたサンプルチャンバー内の相対湿度から水分ポテンシャルを求める計測法を記述しており、本特許を製品化したものが、まさしく市販されているWESCO社のサンプルチャンバーC−51と、露点を維持する回路を持つ露点マイクロボルトメータHR−33である。しかし、WESCO社製品は、室温が一定温度のとき熱電対上の露点温度を一定に維持できるハイグロメータ法を推奨しており、気温変動する圃場での計測は奨めていない。
1974年の特許文献9は、葉の水ポテンシャルを非破壊で計測する50ミクロン厚さの銀ホイルで構成した小型の熱電対センサを提案しており、葉に簡単に取り付けることができるのが特徴であるが、熱電対センサのチャンバー内の湿接点のみの計測で、チャンバー内の気温計測がないので、温度補正ができないので誤差を生じる。
1981年の特許文献10は、水蒸気を通すシール材で熱電対を保護する構造を持つ土壌用のハイグロメータとサイクロメータを提案しており、WESCO社のPT−51土壌用センサとして市販されているが、シール材として使用されているセラミックカップに土壌塩類が蓄積して計測に影響を与えるとともに、チャンバー内の空間が大きいため3〜5時間の平衡時間を必要とし、潅水等による急激な水ポテンシャル変動の計測に対応できない。
1990年の特許文献11は、スイッチで切り変えて多数点の計測ができるサイクロメータを開示しているが、切り替えスイッチで多数点を手動で順次計測することは当然のことである。
以上のように熱電対サイクロメータ法は、作物体や土壌の水ポテンシャルを直接計測できる計測法として諸外国では広く使用されて多くの論文が報告されてきたが、我が国では現場計測は不可能と判断されて全く使用されなかった。
本発明は、外国製品を模倣することなく、ペルチィア型熱電対サイクロメータを新たに製作して、その計測精度や再現性を詳細に検討した。その結果、リアルタイムに直接デジタル表示できる非破壊、連続、自動、現場計測できるペルチィア型熱電対サイクロメータを実現した。
サイクロメータ法による水ポテンシャルの計測原理は、測定試料と蒸気圧平衡したチャンバー内の乾湿球の温度差から相対湿度を求め、下記のKelvin式から算出される化学ポテンシャル値(MPa単位)であり、絶対値である。
水ストレスΨ=エネルギー/体積=RT/V・lm(P/Po)
ここで、R:気体定数、T:絶対温度、V:水のモル体積、P/Po:相対湿度である。
Spanner(1951年)によって開発されたペルチィエ型サイクロメータは、チャンバー内の気温と平衡した熱電対のゼーベック起電力を最初0μVにオフセットしたのち、逆に電流を流すとペルチィエ効果により熱電対接点が露点以下に冷却されて結露水が付着するが、通電を停止すると結露水の気化によって元の0μVに復元する。その復元過程のうち結露水の気化によってゆっくり上昇する平坦信号の始まる変曲点起電力Vdが、まさしく露点温度であり、つまり乾湿球の温度差に相当することから水ポテンシャルを計測でき、計測毎に湿接点に水滴を滴下して計測するRichard型サイクロメータと比較して、手間の省略と共に自動計測ができる画期的方法である。
しかし、ペルチィア型熱電対サイクロメータは原理的には確立された計測方法ではあるが、計測データに対する計測値を明確に自動的に読み取れない、冷却電流と冷却時間の適正な設定ができていない、温度補正式が明らかでない、検量線の検定が不明瞭であるため、ペルチィア型熱電対サイクロメータの測定精度向上と自動計測化を阻んでいた。
本発明は、これらの問題点を解決するため、アメリカ製の市販品を頼ることなく、ペルチィア型熱電対サイクロメータの計測器本体を最初から製作して、パソコンと熱電対センサに接続することにより、その計測特性を詳細に検討した。その結果、請求項1に記載した全計測データに対する計測値の自動読み取りソフトの開発、請求項2に記載したセンサ毎の適正な冷却電流と冷却時間の設定と、センサ毎の温度補正式の導入、請求項3に記載したセンサ毎の検量線の導入により計測精度向上や自動計測を可能とした。また、請求項4に記載した葉用アタッチメントと請求項5に記載した土壌用アタッチメントによって、測定資料を密閉箱に採取するのではなく、測定資料に直接センサを押し付けて計測することにより、蒸気圧平衡時間の短縮と非破壊計測を実現した。
これにより、葉にセンサを挟むだけで作物葉の水ポテンシャルを、土壌にセンサを挿入するだけで土壌の水ポテンシャルをリアルタイムに直接デジタル表示できる非破壊・連続・自動計測サイクロメータを実現した。
本発明は、計測器の測定精度と利便性に配慮して、(1)計測操作をパソコンによって完全自動化した、(2)露点温度を示す変曲点起電力Vdを合理的に求めるパソコン用プログラムソフトを開発して自動読み取りとした、(3)温度変化のある現場計測が出来るように、25℃換算起電力V25を求めるセンサ毎の温度補正式を作成した、(4)これまで湿接点は十分結露すれば良いと、適当に扱われてきた冷却電流と冷却時間を、センサ毎の適正値に設定して計測することにより再現性を確保した、(5)熱電対センサの凹溝チャンバーの溝深さを2mm以下と浅くしてチャンバー容量を小さくし、熱電対センサを測定対象に直接密着させて蒸気圧平衡時間を短くすると共に、葉を切断することなく、土壌を採取することなく、そのままの状態での計測を可能にした、(6)事前に用意したセンサ毎の検量線からパソコンが水ポテンシャル値を直接算出して表示するので、リアルタイムな作物や土壌の水ポテンシャルを把握できるようになった。
これまで研究論文で報告された自動計測サイクロメータは、真の変曲点起電力Vdを読み取るのではなく、通電停止後の一定時間後の2.4秒後や5秒後の熱電対起電力値Vを簡便に読み取っていたので、不合理であるばかりでなく非常に計測精度を悪くした。本特許では、請求項1に示すように開発したパソコン用自動読み取り解析ソフトによって真の変曲点起電力Vdを読み取っているので、正確な水ポテンシャル値が算出でき、再現性のある高精度な自動計測ができるようになった。
これまでの温度補正式に対する多くの論文は、温度計測範囲が限定的な30℃以下が多く、全て直線回帰式であったが、広範囲な温度範囲に対する温度補正式はセンサ毎に異なり、請求項2に示すように2次曲線回帰式で相関された。このように従来結果と異なるのは、請求項1での変曲点起電力Vdの読み取り値が正確になったためと考える。
これまでの検量線は、0.05モル、0.1モル、0.3モル、0.5モル、1モル濃度の5種類のNaCl溶液を使用して相関した直線回帰式が提案されてきたが、本発明で行った検量線は、蒸留水、0.01モル、0.02モル、0.03モル、0.05モル、0.07モル、0.1モル、0.2モル、0.3モル、0.5モル、0.7モル、1モル、1.5モル、2モルの14種類の広範な濃度のNaCl溶液を使用して回帰したもので、計測された25℃変曲点起電力Vd25と既知の25℃浸透圧Ψ25との関係を相関したところ、請求項3に記載したようにセンサ毎に異なる2次曲線式で回帰された。これも従来にない新しい知見である。
これまでの市販計測器において蒸気圧平衡が長時間かかったのは、大きな容器の中に測定対象の土壌やカット葉を詰めて計測していたが、本特許では請求項4および請求項5のアタッチメントを用いて、小さな凹溝チャンバーを持つ熱電対センサを測定対象に直接押し付けて計測するため、チャンバー内容積が小さいので蒸気圧平衡時間が短くなり、かつ非破壊な計測が可能となった。応答性の速いリアルタイムな計測ができる。
更に、請求項1に記載される真の変曲点起電力Vdを読み取るパソコン用自動解析ソフトについて詳細に説明する。ペルティエ型熱電対サイクロメータの測定原理は、測定サンプルの水蒸気圧と平衡させた熱電対センサのチャンバー内の湿接点の熱電対起電力をオフセットして0μVに合わせて、次にこの湿接点の熱電対に逆電流を流してペルティエ効果によって湿接点を露点以下に冷却して結露させ、通電停止後の湿接点の熱電対起電力Vの変動から露点温度を検知して、その相対湿度から水ポテンシャルを演算して求める。
つまり、チャンバー内の熱電対に逆電流を流すことで生ずるペルティエ効果が、熱電対接点を露点以下に冷却してチャンバー内の空気中の水滴を凝縮し、通電を止めると水滴は気化して冷却以前の温度に復元する。この復元過程の起電力を記録すると、結露水の気化過程と従前の気温への復元過程とは時間的勾配が明らかに異なり、通電停止に伴う電圧上昇は急激に上昇したのち、結露水の気化過程における湿接点起電力変動は緩慢な平坦信号を示し、そののち湿接点基部の参照接点からの熱流入によって冷却以前の0μVに復元する。その平坦信号の開始点が露点温度であることから、この変曲点起電力Vdを注意深く読み取り、この露点温度から相対湿度を求めて水ポテンシャルを算出する。
しかし、この変曲点の正確な読み取りは、従来はアナログ記録紙上で物差しを当てて読みとる煩雑な作業が必要であった。つまり平坦信号の直線部分に定規を当てて、遊離する点を注意深く読み取っていたが、測定者による読み取り誤差も含まれ、直接水ポテンシャルを瞬時に表示できなかった。更に、従来のアナログ計測器では、同じセンサで同濃度の溶液に対して繰り返し計測を行っても、通電停止後の様相は全く異なり、変曲点起電力Vdも全く異なった。熱電対センサに対する冷却電流と冷却時間の設定値が曖昧であったため、再現性を悪くしたようだ。再現性を向上させるためには冷却電流と冷却時間を適正値に固定して計測する必要がある。
新しく製作したペルティエ型熱電対サイクロメータを用いて、冷却電流と冷却時間を適正値に固定して計測した5千以上の生データを検証した結果、冷却通電停止後の湿接点の熱電対起電力Vの変動を微小時間Δt秒毎にデジタル記録して、計測値Vの時間差分ΔV/Δtと、その二階時間差分のΔV/Δtを共に求めるとき、適正冷却時での変曲点起電力は最初にΔV/Δt≧0となるV値であり、過冷却時での変曲点起電力は最初にΔV/Δt≧0となるリバウンドV値であり、全体として両者の早い時刻でのV値、または同時刻でのV値を変曲点起電力Vdとして採用する自動解析プログラムソフトを作成しておけば、自動読み取りできることが分かった。
熱電対サイクロメータ法は、計測中の周辺温度の変動に伴う誤差により測定精度が疑問視され、現地測定は不可能とされてきたが、変曲点起電力Vdは通電停止後1秒以内に存在し、通常設定される冷却時間の15秒を合算しても16秒で計測は終了する。そのため、1回の計測中の気温変動の影響はほとんど無視できる。
本発明の最終目標は、誰でも簡単に作物体や土壌の水ポテンシャルを高精度かつ迅速に現場計測できる計測器を提供することにある。そのため、請求項4および請求項5に記載される葉用アタッチメントと土壌葉アタッチメントを利用し、熱電対センサを葉に挟むだけで、または熱電対センサを土壌に差し込むだけで、葉や土壌の水ポテンシャルの非破壊計測が実現できた。このことにより、高糖度トマトや高糖度メロンを栽培する圃場での基礎データを収集すると共に、データに基づく合理的栽培技術を確立して、付加価値のある果菜類生産による経済的に有益な農業を展開できる。
その目標達成のためには、パソコン(マイコン)によって一連の複雑な計測操作を自動で行い、請求項1に記載した新たに開発した自動読み取り解析プログラムソフトによって、自動記録された湿接点のデジタル起電力データから瞬時かつ正確に読み取った変曲点起電力Vdと、乾接点の温度Tと、事前に求められた検量線から、25℃換算の水ポテンシャル(水ストレス)Ψ25を素早く算出して直接デジタル表示できる非破壊・連続・自動・現場計測サイクロメータがどうしても必要であった。請求項2および請求項3に記載された温度補正式や検量線式は、センサ毎に二次回帰式で高く相関され、そのセンサ毎の相関式を使用することによって、高精度な計測を得ることができるようになった。
図1は、計測点が1点である1チャンネル用ペルチィア型熱電対サイクロメータの概要図であるが、サイクロメータ計測器本体3と、熱電対センサ5と、パソコン1とで構成され、それぞれをセンサ接続ケーブル4と、通信用USBケーブル2によって結ばれている。多数点を同時に計測できる多チャンネル用ペルチィア型熱電対サイクロメータは更にスキャナ回路を積載しており、既に8チャンネル用熱電対サイクロメータを完成するに至ったが、本発明では単純な1チャンネル用について説明する。
サイクロメータ計測器本体3は、μコントローラー、D/Aコンバーター、数十ビットのΣΔA/Dコンバーター等の半導体チップを使用して、ヘッドアンプ増幅回路、微小電圧測定回路、定電流発生回路、熱電対測温回路等を構成している。
図2の熱電対センサ5は、凹型チャンバー内に気温測定用のT型乾接点熱電対9と露点計測用のE型湿接点熱電対8の2つの熱電対接点を内蔵している。
図1のパソコン1は、サイクロメータ計測器本体3を介して熱電対センサ5を自動計測操作しており、T型乾接点熱電対9の気温と露点計測用のE型湿接点熱電対8の起電力変動をデジタル自動記録すると共に、露点計測用のE型湿接点熱電津8の起電力変動に対して解析プログラムソフトによって求める変曲点起電力Vdを自動読み取りする。
非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータは、凹型チャンバー内のT型乾接点熱電対9による気温の常時デジタル計測記録、E型湿接点熱電対8における起電力の0点調整、E型湿接点熱電対8への通電によるペルティエ効果による露点温度以下への冷却、E型湿接点熱電対8の結露後の通電停止、結露水が気化し始めて冷却以前の温度に復元する復元過程のE型湿接点熱電対8の起電力のデジタル記録、E型湿接点熱電対8のデジタル記録データ上における請求項1に記載する変曲点起電力Vdの自動読み取り解析、その変曲点起電力Vdと同時刻のT型乾接点熱電対9の測定気温Tとから温度補正したセンサ毎の25℃換算起電力V25と、事前に求められたセンサ毎の検量線から演算される25℃換算水ポテンシャル値Ψ25をデジタル表示するという、この一連の煩雑な計測手順、デジタル記録、解析・演算・表示をパソコン1(マイコン)制御操作により、1回の計測時間を数十秒以下の迅速さで行うことによって、1回の計測中の周辺温度の変動による測定誤差を小さくし、かつ請求項1〜3記載のE型湿接点熱電対8の変曲点起電力VdとT型乾接点熱電対9の気温Tと検量線から、測定試料10の25℃換算水ポテンシャル値Ψ25を直接表示することを特徴としている。
図2は水ポテンシャル計測用の熱電対センサ5であり、外径8.8mm、長さ15mmの円形テフロン棒7をベースにして、先端に内径5.2mm、深さ1mmの溝をカットして小さな円柱形の凹溝チャンバーを作製する。更に、円柱形凹溝内に丸穴を3か所あけるが、凹溝の中心に露点計測用のE型湿接点熱電対8の接点を配置するため、時計の三時方向と九時方向に、丸穴の中心間距離を3.5mmとしたΦ1.5mm丸穴を2つ、その六時方向に気温計測用のT型乾接点熱電対9を設置するためのΦ1.5mm丸穴を1つドリルで開ける。円形テフロン棒7の外周は、長さ23mm、内径9mm、外径10mmのステンレス製円筒保護管6を、先端を揃えてエポキシ接着材19で固定する。(なお、テフロンはイー・アイ・デユポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーの登録商標である。)
露点計測用のE型湿接点熱電対8は、三時方向と九時方向の2つの丸穴内に、長さ20mm、Φ1mmの熱電対基部銅線18を挿入して外周をエポキシ接着剤19で固定するが、その2本の熱電対基部銅線18の上端が凹溝チャンバー内に突出しないように固定する。そして、それぞれの熱電対基部銅線18の上端面にΦ25μmクロメル線20とΦ25μmコンスタンタン線21とを溶接してのち、更にΦ25μmクロメル線20とΦ25μmコンスタンタン線21の極細線同士を溶接して露点計測用のE型湿接点熱電対8を形成する。そのE型熱電対の接点高さは、凹溝深さ1mmの中央にするため約0.5mmとする。2本のE型湿接点熱電対の基部銅線18の下方端には、長さ10mの0.3SQ(断面積約0.3mm)2芯銅線シールド線22を接続する。
Φ0.5mm銅線とΦ0.5mmコンスタンタン線との先端を半田付けした気温計測用のT型乾接点熱電対9は、六時方向に開けられたΦ1.5mm穴に挿入して、外周をエポキシ接着剤19で固定するが、先端のT型熱電対の裸接点は凹溝チャンバー表面にわずかに露出させて固定する。銅線とコンスタンタン線のT型熱電対の長さは10mとする。
センサ接続ケーブル4は、E型湿接点熱電対に接続する0.3SQ2芯銅線シールド線22と、T型乾接点熱電対を構成するΦ0.5mmの銅―コンスタンタン線を、それぞれ10m長さで切り揃え、所々を収縮チューブで留める。サイクロメータ計測器本体3に接続するコネクター23には、2芯銅線の2本、シールド線1本、銅―コンスタンタン線の各1本の合計5本が繋いである。
ペルチィア型熱電対サイクロメータの計測において一番重要な作業は、請求項1に記載したように、計測値として求める露点温度の正確な自動読み取りにある。
ペルチィア型熱電対サイクロメータの計測では、凹型チャンバー内の気温と平衡した湿接点のゼーベック効果による熱電対起電力Vを最初オフセットして0μVとし、次に逆電流を流すとペルチィエ効果により冷却されて湿接点上に結露するが、結露後通電を停止すると、湿接点のマイナスの熱電対起電力Vの変動は、最初に通電停止によって急激に上昇し、次に結露水の気化によってゆっくり温度上昇する平坦信号を示し、次に参照接点からの熱の流入により最初のオフセット電圧0μVまで上昇する復元曲線を示す。
この復元曲線のうち結露水の気化によってゆっくり上昇する平坦信号の始まる変曲点起電力Vdが、まさしく露点温度であり、つまり乾湿球の温度差に相当する。
曲線の変曲点は、変化の勾配変動がない点で、数学的には二階微分ΔV/Δt=0の点であるが、これは熱電対接点が球形空間の中心にあり、接点上の結露水が周辺空気の全方位から吸熱して気化する理想状態の場合であって、直径5.2mm、深さ1mmの円柱空間の凹溝チャンバー内の中心に湿接点を置いている実際条件とは大きく異なる。
本計測器では、実測する熱電対起電力Vの変動データから変曲点を合理的に見出すことが重要であり、冷却通電停止後のE型湿接点8のマイナスの熱電対起電力Vの変動を微小時間の0.1秒毎にデジタル記録するとき、 図13および 図14の起電力Vの欄はV0.1、V0.2、V0.3、V0.4・・・・・と記載される。その0.1秒毎の時間差分ΔVの欄はΔV0.1=V0.1−V0.2、ΔV0.2=V0.2−V0.3、ΔV0.3=V0.3−V0.4、・・・・と演算され、0.1秒毎の二階時間差分のΔΔVの欄はΔΔV0.1=ΔV0.1−ΔV0.2、ΔΔV0.2=ΔV0.2−ΔV0.3、ΔΔV0.3=ΔV0.3−ΔV0.4、・・・・・と演算されていく。五千以上の多数の実測データを検討すると、適正冷却時での変曲点起電力は最初にΔΔV≧0となるV値であり( 図13)、過冷却時での変曲点起電力は最初にΔV≧0となるリバウンドV値である( 図14)ことが見出され、全体として両者の早い時刻でのV値、または両者の同時刻でのV値を変曲点起電力Vdとして自動読み取りするパソコン用プログラムソフトを作成しておけば、全ての計測データに対して計測値である露点温度の変曲点起電力Vdを正確に読み取ることができることが分かった。
図13は、NaClの1モル溶液に対して冷却電流7mA冷却時間15秒で湿接点を冷却したのち、通電停止後のE型湿接点熱電対8の起電力Vを0.1秒毎に表示したものであるが、 図13のΔVはVの変化量であることから、一行目のVから二行目のVを差し引いた値を一行目のΔVとして記入し、 図13のΔΔVはΔVの変化勾配であることから、一行目のΔVから二行目のΔVを差し引いた値を一行目のΔΔVとして記入し、その後の値は同様に逐次計算される。通常処理では、一行目から二行目を差し引いた値を二行目に前進差分として記入されるが、本発明では敢えて一行目に記入して後退差分とした理由は、求める計測値が平坦信号の開始点であるので、変化の開始点または変化勾配の開始点を読み取る為に、一行目に後退差分として記入した。その後、計測起電力Vから逐次ΔVとΔΔVの0.1秒毎の後退差分を全て算出して記入する。結果、 図13ではΔVが正の0.000に変わる1.3秒後と、ΔΔVが正の0.033に変わる0.4秒後を変曲点と見なすが、全体として両者の早い時刻の0.4秒後の起電力−19.120μVを適正冷却時の変曲点起電力Vdとして読み取り、その時のチャンバー内温度Tは13.8℃である。
図5は 図13の15秒7mAの適正冷却時におけるE型湿接点熱電対8の起電力変動を図示したもので、白丸で記した変曲点以降しばらく平坦信号を示す。
図14は、NaClの1モル溶液に対して冷却電流10mA冷却時間15秒で湿接点を冷却したのち、通電停止後の湿接点熱電対の起電力Vを0.1秒毎に表示したものであるが、 図13と同様に起電力V、ΔV、ΔΔVを演算処理すると、ΔVが正の0.073に変わる0.1秒後と、ΔΔVが正の0.449に変わる0.1秒後が変曲点と見なすが、全体として両者の同時刻0.1秒後の起電力−16.909μVを過冷却時の変曲点起電力Vdとして読み取り、その時のチャンバー内温度Tは13.8℃である。
なお、最高計測範囲とするNaCl−2モル溶液(25℃でー9.787MPa浸透圧)が計測できる7mA15秒を図7から適正冷却条件としたが、検量線は同一冷却条件で全て計測するので、濃度の薄い溶液に対しては当然過冷却になる。本発明は、その点を十分考慮して、適正冷却時も過冷却時でも適応できる計測値の自動読み取りパソコン用プログラムソフトを作成した。
図6は 図14の15秒10mAの過冷却時における湿接点の起電力変動を図示したものであるが、通電停止後オーバーシュートして一段と上昇したリバウンド値が変曲点起電力Vdとなっており、白丸で記した変曲点以降しばらく平坦信号を示す。
図7はNaClの2モル溶液、1.5モル溶液、1モル溶液に対して、冷却時間を15秒に固定した場合の各冷却電流における25℃変曲点起電力Vd25を図示したものであるが、5.5mA以上の冷却電流を流さないと最高濃度のNaCl−2モル溶液(25℃で−9.787MPa浸透圧)は計測できない。3種類の溶液濃度に対する安定的な計測を得るためには、冷却時間15秒において6〜9mAの冷却電流が必要で、低濃度溶液における過冷却を少なくするため、適正冷却条件として15秒7mAを採用した。
しかし、熱電対センサは同一仕様で製作するのであるが、図7はセンサ毎で様相が異なり、1モル溶液まで計測できるもの、1.5モル溶液まで計測できるもの、2モル溶液まで計測できるものが生じ、それぞれ計測限界の特性が異なる。Φ25μmのE型湿接点熱電対8の接点の大きさが微妙に異なるため生ずるものと推定するが、測定範囲が広く、かつ安定計測ができるセンサ構造を究明する必要がある。
図8はNaCl−1モル溶液(25℃で−4.644MPa浸透圧)において、冷却電流を7mAに固定した場合の各冷却時間と25℃変曲点起電力Vd25との関係を図示したものであるが、明らかに冷却時間が多いほど25℃変曲点起電力Vd25は小さくなり、冷却条件は湿接点が十分に露点温度以下に冷却されれば適当で良いという従来の考えは否定される。つまり、再現性を確保するためには常に同一冷却条件で計測する必要があり、請求項3に記載したように、冷却電流と冷却時間の設定値は固定して計測しなければならない。冷却時間は、図8より15秒を適正時間として採用した。
図9は冷却条件7mA15秒の場合の検量線であり、蒸留水からNaCl−2モルまでの異なる濃度の14種類溶液の25℃浸透圧(NaClのモル濃度毎・温度毎の浸透圧は発表されており既知)に対する25℃変曲点起電力Vd25の関係を見たもので、請求項3に記載したように2次曲線式で回帰される。更に、この2次回帰曲線はセンサ毎に異なる。
従来の検量線は、0.05モル、0.1モル、0.3モル、0.5モル、1モル濃度の5種類のNaCl溶液を使用して相関した直線回帰式が提案されてきた。確かに、図9でもNaCl−1モル濃度までは浸透圧に対して直線的に25℃変曲点起電力Vd25が低下していくが、NaCl−1.5モル濃度、2モル濃度での25℃変曲点起電力Vd25は低下度合が緩慢となり、NaCl−1.5モル濃度、2モル濃度を含めた全体としては2次曲線式で回帰される。これは、計測適用範囲を広げたため2次回帰曲線式になった。ちなみに、図9のセンサではNaCl−2.2モル溶液(25℃浸透圧―10.887MPa)の計測値は白丸となって計測不可の計測外となり、その計測域の検量線は次式で示される。
Ψ=−0.004428・V25 +0.1254・V25+0.275
ここで、Ψ:水ポテンシャル(MPa)、V25:25℃変換変曲点起電力(μV)
図10は、NaCl―1モル濃度溶液にセンサを密着させて、気温変動のある現場で終日連続自動計測したが、計測値の変曲点起電力Vdはチャンバー内の乾接点の計測気温Tの2次回帰式で相関される。検量線はNaClの各濃度別溶液の25℃浸透圧で検定されるので、同様に25℃変曲点起電力Vd25を基準とすると、その変曲点起電力VdとV25との比Vd/V25は、図11のように温度Tに依存し、2次回帰式Vd/V25=f(T)で相関される。しかし、同一仕様でセンサを製作しているが、2次回帰式Vd/V25=f(T)はセンサ毎に微妙に異なるので、センサ毎に温度補正式を求める必要がある。ちなみに、図11のセンサの温度補正式は次式となる。
Vd/V25=0.000453・T+0.0121・T+0.4136
このことから、請求項2に記載したように湿接点の変曲点起電力Vdと乾接点の気温Tから、V25=Vd/f(T)を用いて25℃変曲点起電力Vd25を算出し、測定試料の25℃換算の水ポテンシャル値(浸透圧値)Ψ25を検量線から求めて、直接表示する。
ちなみに、図11のセンサの温度補正は、次式で行う。
25=Vd/(0.000453・T+0.0121・T+0.4136)
図12は、図3および請求項4に記載した葉用アタッチメントに内挿した熱電対センサ5をナスの葉に装着して、非破壊・連続・自動・現場計測したもので、50日連続測定の内の最初の一週間分のナス葉の水ポテンシャル変動を図示した。その変動は天候条件に大きく影響されるが、10分間隔での計測は葉の水ポテンシャル変動を良く追尾している。
図3は、作物葉11の葉裏に熱電対センサ5を密着させて取り付けるための葉用アタッチメントで、洗濯バサミ12の下面に内径10.1mm、外径12mm、長さ35mmのアルミ収納管14がエポキシ接着材19で固定されている。作物葉11の水ポテンシャルは、このアルミ収納管14の中に、外径10mm、長さ23mmの熱電対センサ5を内挿してビニルテープ等で固定して計測する。作物葉11の装着は、作物葉11の物理的ダメージを考慮すると、洗濯バサミ12のバネ13の力程度で挟むのが良く、爪楊枝で作ったロック棒15で固定して計測する。
図4は、土壌16に熱電対センサ5を密着させるための土壌用アタッチメントで、内径10.1mm、外径12mm、長さ300mmのアルミ収納管14の下端にはステンレス製200メッシュ金網をエポキシ接着剤19で固定し、外径10mm、長さ23mmの熱電対センサ5を上端より内挿して、ビニルテープで固定して防水する。熱電対センサ5の凹型チャンバーの開口部はステンレス製200メッシュ金網を介して測定土壌16に密着するようにして、土壌水分ポテンシャルを計測する
ペルチィエ型サイクロメータの計測システム 熱電対センサの断面図および上面図 葉計測用アタッチメントの断面図 土壌計測用アタッチメントの断面図 冷却電流停止後のE型熱電対の起電力変動(適正冷却時) 冷却電流停止後のE型熱電対の起電力変動(過冷却時) 冷却電流による計測値特性 冷却時間による計測値特性 検量線(冷却条件7mA15秒の場合) 計測時温度Tと変曲点起電力Vdとの関係 温度補正式 ナス葉の水ポテンシャルの日変動 NaCl−1モル溶液における起電力変動(適正冷却の場合) NaCl−1モル溶液における起電力変動(過冷却の場合)
1 パソコン
2 通信用USBケーブル
3 サイクロメータ計測器本体
4 センサ接続ケーブル
5 熱電対センサ
6 ステンレス製円筒保護管
7 円形テフロン棒
8 露点計測用のE型湿接点熱電対
9 気温計測用のT型乾接点熱電対
10 測定資料
11 作物葉
12 洗濯バサミ
13 バネ
14 アルミ収納管
15 ロック棒
16 土壌
17 ステンレス製金網
18 熱電対基部銅線
19 エポキシ接着剤
20 Φ25μmクロメル線
21 Φ25μmコンスタンタン線
22 0.3SQ2芯銅線シールド線
23 コネクター

Claims (5)

  1. 凹型チャンバーの開口部を測定試料に押し付けて密着し、凹型チャンバー内の気温Tを計測する乾接点と、露点温度を計測する湿接点との2つの熱電対をチャンバー内に内蔵する熱電対センサを、サイクロメータ計測器本体にセンサ接続ケーブルによって接続するとともに、このサイクロメータ計測器本体とパソコンとをUSB通信ケーブルで接続し、
    このパソコンによって一連の計測手順を制御し、かつデジタル計測値を自動記録させ、測定試料の水ポテンシャルを算出・表示するペルチィア型熱電対サイクロメータにおいて、
    計測手順として、凹型チャンバー内の気温と平衡した湿接点のゼーベック効果による熱電対起電力Vを最初オフセットして0μVとし、次に逆電流を流すとペルチィエ効果により冷却されて湿接点上に水滴が結露したのち通電を停止する、この一連の流れにおいて、
    この湿接点のマイナスの熱電対起電力Vの変動は、最初に通電停止によって急激に上昇し、次に結露水の気化によってゆっくり温度上昇する平坦信号を示し、次に参照接点からの熱の流入により最初のオフセット電圧0μVまで上昇する復元曲線を示すが、この復元曲線のうち結露水の気化によってゆっくり上昇する平坦信号の始まる変曲点起電力Vdが露点温度であって、乾湿球の温度差に相当するので、
    本計測器における露点温度の自動読み取りパソコン用プログラムソフトは、
    冷却通電停止後の前記湿接点のマイナスの熱電対起電力Vの変動を微小時間Δt秒毎にデジタル記録すると共に、その熱電対起電力Vの時間差分ΔV/Δtと、その二階時間差分のΔV/Δtを求めるとき、1)適正冷却時での変曲点起電力Vdは、最初にΔV/Δt≧0となるV値であり、2)過冷却時での変曲点起電力Vdは、最初にΔV/Δt≧0となるリバウンドV値であることから、
    全体として両者の早い時刻でのV値、または両者の同時刻でのV値を変曲点起電力Vdとする構成であり、
    全計測データに適応できる前記自動読み取りパソコン用プログラムソフトにより、自動的に読み取られた前記湿接点の変曲点起電力Vdと、常時計測される乾接点の気温Tと、事前に求められた検量線から算出される測定試料の25℃換算した水ポテンシャル値(浸透圧値)Ψ25を直接表示することを特徴とする非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ。
  2. 前記チャンバー内の乾接点による計測気温Tにおける変曲点起電力Vdと、25℃における変曲点起電力V25との比Vd/V25は、気温Tに依存して、センサ毎に2次回帰された温度補正式Vd/V25=f(T)で相関されるので、前記湿接点の変曲点起電力Vdと乾接点の気温Tから、センサ毎に求められるV25=Vd/f(T)から25℃変曲点起電力V25を算出し、気温変動のある現場計測において、測定試料の25℃換算の水ポテンシャル値(浸透圧値)Ψ25を直接表示することを特徴とする請求項1に記載の非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ。
  3. 前記変曲点起電力Vdは冷却電流と冷却時間とによって大きく影響されるので、センサ毎に適正な冷却電流と冷却時間の設定値を固定して常時計測することが重要で、
    25℃を基準として作成されるセンサ毎に求める検量線は、25℃の恒温室内で検定するか、当該25℃に換算した変曲点起電力V25を求めて行うことが望ましく、
    この25℃の変曲点起電力V25と25℃の既知の浸透圧Ψ25を持つ濃度別溶液に対してプロットされるセンサ毎の検量線は、V25の2次回帰曲線、つまりΨ25=f(V25 )によって高い相関を示し、
    前記湿接点の変曲点起電力Vdと乾接点の温度Tから、前記25℃に換算したセンサ毎に求められた変曲点起電力V25を求めて、事前に検定されたセンサ毎に求められた検量線に代入して測定試料の前記25℃換算の水ポテンシャル値(浸透圧値)Ψ25を直接表示することを特徴とする請求項1・2に記載の非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ。
  4. 前記水ポテンシャル値は、葉の水ポテンシャル値であって、この葉を洗濯バサミ型の葉用アタッチメントによって挟んで、洗濯バサミの下面に取り付けられたアルミ収納管内に熱電対センサを下方から内挿して固定し、凹型チャンバーの開口部を気孔の多い葉の葉裏に密着させて計測するが、
    前記湿接点の変曲点起電力Vdと乾接点の気温Tと検量線から、前記葉の25℃換算の水ポテンシャル値Ψ25を直接表示することを特徴とする請求項1、2、3記載の非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ。
  5. 前記水ポテンシャル値は、土壌の水ポテンシャル値であって、所定長さのアルミ収納管の下端に40メッシュ網目以上の細かいステンレス金網を張った土壌用アタッチメントを、前記土壌中に垂直下方に埋設して、アルミ収納管内に熱電対センサを上方から内挿して、アルミ収納管上端部分でビニルテープを巻いてセンサ接続ケーブルを固定して防水し、前記凹型チャンバーの開口部を、前記金網を介して前記土壌に押し付けて計測するが、
    前記湿接点の変曲点起電力Vdと乾接点の気温Tと検量線から、前記土壌の25℃換算の水ポテンシャル値Ψ25を直接表示することを特徴とする請求項1、2、3記載の非破壊、連続、自動計測するペルチィア型熱電対サイクロメータ。
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