JP2017211209A - レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法および長期信頼性評価システム - Google Patents

レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法および長期信頼性評価システム Download PDF

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Abstract

【課題】レジンコンクリートの経年劣化を従来法より正確に推定する。レジンコンクリートの強度低下速度の温度依存性をより正確に推定する。レジンコンクリートの強度低下時間のCO2濃度依存性をより正確に推定する。
【解決手段】レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法である。実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化を促進する工程を含み、そのレジンコンクリートの強度低下挙動を測定してそのレジンコンクリートの実際の環境における強度低下挙動を推定することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はレジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法および長期信頼性評価システムに関する。或いは、本発明は、レジンコンクリートの耐久性評価試験に関する。或いは、本発明は、レジンコンクリートの長期信頼性評価方法に関する。
通常、コンクリートは骨材と結合剤から構成される。結合剤として熱硬化性樹脂等のポリマーを用いるレジンコンクリートは、通常のセメントを結合剤に用いるコンクリートに比べて、強度・成形性等に優れるため、マンホール、下水パイプ・情報用ボックス等、広く構造物に適用されている。このような構造物の長期維持管理のためには、設置環境下におけるレジンコンクリートの耐用年数予測に基づいた効率的なメンテナンスが求められる。
従来、レジンコンクリートの主な劣化要因は、結合剤に用いられる樹脂部分の加水分解によるものと考えられていた。レジンコンクリートの耐久性を評価するための劣化加速試験は、熱水中で処理を行った際の温度依存性評価により行うのが一般的であった。しかし、レジンコンクリートの劣化のメカニズムは正確には確認されておらず、従来の試験では実際の経年劣化を正確に推定することができていないという問題があった。
レジンコンクリートの劣化について、これまで樹脂部分の加水分解が主な経年劣化要因であると考えられていた(非特許文献1)。そこで、これまでは温度を変えた熱水中でレジンコンクリートの耐久性を評価する試験を実施し、その温度依存性を明らかにすることで、常温での寿命を予測し(非特許文献1)、期待する耐用年数の間、強度低下が、問題ないレベルであることを確認するということが行われてきた。
ポリエステルレジンコンクリートの劣化について 川久保ら 材料別冊第24巻第260号p380〜385 1975年
しかし、近年になって従来の方法ではレジンコンクリートの経年劣化が正確には推定できないことが明らかになってきており、より正確なレジンコンクリートの長期信頼性評価方法が求められている。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、本発明の1つの課題は、レジンコンクリートの経年劣化を従来法より正確に推定することである。本発明の別の課題は、レジンコンクリートの強度低下時間のCO2濃度依存性をより正確に推定することである。
本発明の課題を解決するための手段の一例は、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法であって、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化を促進する工程を含み、レジンコンクリートの強度低下挙動を測定してレジンコンクリートの実際の環境における強度低下挙動を推定することを特徴とする、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法である。
本発明の課題を解決するための手段の別の例は、恒常槽にレジンコンクリートのサンプルを設置し、複数の前記サンプルについてそれぞれ異なる各温度の条件下で加速試験を行った後に強度試験を行い、各温度における経過時間と強度の関係から活性化エネルギーを算出して強度の温度依存性を求める工程と、
恒常槽にレジンコンクリートの更なるサンプルを設置し、複数の前記更なるサンプルについてそれぞれ異なる各CO2濃度の条件下で加速試験を行った後に強度試験を行い、各CO2濃度において初期強度に対して一定の低下率に達するまでの時間から強度のCO2濃度依存性を求める工程とを有し、
強度の温度依存性と強度のCO2濃度依存性との組み合わせから、所望のレジンコンクリートの設置環境下の湿度、温度、およびCO2濃度における経年劣化の推定を行うことを特徴とする、レジンコンクリートの長期信頼性評価方法である。
本発明の課題を解決するための手段の更に別の例は、レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法であって、
レジンコンクリートの複数のサンプルについて、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度(Dm、Dn)で加速試験を行い、複数のサンプルを劣化させる加速試験工程であって、実質的に一定のCO2濃度(Dm、Dn)が、複数のサンプル毎に異なるCO2濃度(Dm、Dn)である加速試験工程と、
異なるCO2濃度で加速試験された複数のサンプルについて強度測定を行い、劣化させた複数のサンプルについての強度の経時変化を測定する測定工程と、
複数のサンプルの各CO2濃度(Dm、Dn)における所定の強度までの各経過時間(tm、tn)を算出する算出工程と、
各CO2濃度(Dm、Dn)および各経過時間(tm、tn)から、所望のCO2濃度(Dx)での強度低下時間(tx)を推定評価する評価工程と、
を含む、レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法である。
ここで、評価工程が、各経過時間(tm、tn)のうちの1つの経過時間(tm)でのCO2濃度(Dm)を基準にした、所望のCO2濃度(Dx)での強度低下時間(tx)のCO2濃度依存性推定式(1)
x=tm÷(Dx/Dm) (1)
を導出する導出工程を含むことが好ましい。
本発明の課題を解決するための手段の更に別の例は、前記レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法を含む、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法であって、
レジンコンクリートの複数の更なるサンプルについて、実質的に一定の温度(Tm、Tn)、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度で加速試験を行い、複数のサンプルを劣化させる加速試験工程であって、実質的に一定の温度(Tm、Tn)が、複数の更なるサンプル毎に異なる温度(Tm、Tn)である加速試験工程と、
異なる温度で加速試験された複数の更なるサンプルについて強度測定を行い、劣化させた複数の更なるサンプルについての強度の経時変化を測定する測定工程と、
複数の更なるサンプルの各温度(Tm、Tn)における強度の経時変化から、強度低下速度(Vm、Vn)を各々算出する算出工程と、
各温度(Tm、Tn)および各強度低下速度(Vm、Vn)から、アレニウスの式(2)に基づき、
k=A・exp(−Ea/RT) (2)
(ここで、k:速度定数,A:頻度因子,Ea:活性化エネルギー、R:気体定数,T:絶対温度)
活性化エネルギー(Ea)を算出する算出工程と、
算出された活性化エネルギー(Ea)から、所望の温度での強度低下速度の温度依存性推定式を導出する第1導出工程と、
強度低下時間のCO2濃度依存性と強度低下速度の温度依存性とを組み合わせて、所望の温度および所望のCO2濃度での強度低下速度の温度・CO2濃度依存性推定式を導出する第2導出工程と、
を含む、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法である。
ここで、第1導出工程が、算出された活性化エネルギー(Ea)から、各温度(Tm、Tn)のうちの1つの温度(Tm)での強度低下速度(Vm)を基準にした、所望の温度(Tx)での強度低下速度(Vx)の温度依存性推定式(3)
x=exp[(Ea/R)(1/Tm−1/Tx)]×Vm (3)
を導出する工程を含み、
第2導出工程が、強度低下速度の温度依存性と強度低下時間のCO2濃度依存性推定とを組み合わせて、所望の温度(Tx)および所望のCO2濃度(Dx)での強度低下速度(Vx)の温度・CO2濃度依存性推定式(4)
x=(Dx/Dm)・exp[(Ea/R)(1/Tm−1/Tx)]×Vm (4)
を導出する工程を含むことが好ましい。
本発明の課題を解決するための手段の更に別の例は、レジンコンクリートの加速試験装置であって、CO2供給部と、CO2供給部に接続されてCO2と気体とをブレンドしてCO2気体を製造するブレンダと、ブレンダに接続されてブレンダから送出されるCO2気体を収容する恒常槽と、ブレンダおよび恒常槽を制御するための制御部とを備え、
恒常槽において、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化が促進されるようになっていることを特徴とする、レジンコンクリートの加速試験装置である。
本発明の課題を解決するための手段の更に別の例は、前記加速試験装置を含むレジンコンクリートの長期信頼性評価システムであって、一定時間経過ごとにサンプルの強度を測定するための測定装置と、レジンコンクリートの温度依存性強度低下速度およびCO2濃度依存性強度低下時間を計算するための計算装置とを備えたことを特徴とする、レジンコンクリートの長期信頼性評価システムである。
本発明によれば、レジンコンクリートの経年劣化を従来法より正確に推定でき、適切なレジンコンクリート構造物の保全計画策定に資するものとすることができる。あるいは、本発明によれば、レジンコンクリートの強度低下時間のCO2濃度依存性をより正確に推定することができる。
レジンコンクリートの引張強度を測定する際の、引張試験用のレジンコンクリート試料(右)の一部を拡大したものを示す概念図である。図1(a)は骨材と樹脂の界面の付着力が低下する前を示し、図1(b)は骨材と樹脂の界面の付着力が低下した後を示す。 本発明のレジンコンクリートの長期信頼性評価システムの一例を示す概念図である。 曲げ強度低下の温度依存性の一例を示す。 図3に基づき強度低下している部分の直線の傾きの対数を用いてアレニウスプロットを作成した図を示す。 レジンコンクリート強度低下推定フローの一例を示す。
本発明を実施するための1つの形態は、例えば、レジンコンクリートの長期信頼性評価方法および加速試験装置であって、高湿度雰囲気下の恒常槽にレジンコンクリートサンプルを設置し、実設置環境より高温の範囲で温度条件を変えて加速試験を行った後に強度試験を行い、各温度における強度の経時変化から活性化エネルギーを算出して強度劣化速度の温度依存性推定式を求める工程と、CO2濃度を変えて加速試験を行った後に強度試験を行い、各CO2濃度において初期強度に対して一定の低下率に達するまでの時間から強度劣化時間のCO2濃度依存性推定式を求める工程と、これらの推定式を組み合わせて一般環境における強度低下の推定式を求める工程を有し、実際のレジンコンクリートの設置環境条件から、設置環境下の温度、CO2濃度における経年劣化の推定を行うことを特徴とするものである。以下、本発明を実施するための他の形態の各例を、図面を参照して説明する。
レジンコンクリートの強度低下メカニズム
これまでレジンコンクリートの強度低下の原因は主にレジンコンクリートに用いられている不飽和ポリエステル樹脂の加水分解によるものと考えられてきた。しかしながら、レジンコンクリートは不飽和ポリエステル樹脂以外にも、骨材や砂、炭酸カルシウムなどが含まれている複合材料であるため、樹脂以外の材料の劣化や樹脂と他の材料の界面の付着力の低下なども強度低下に寄与する可能性がある。
発明者らは、レジンコンクリートの強度低下メカニズムを明らかにするため、下記の実験を行った。
I.レジンコンクリートを従来の方法「60℃の熱水」中で3000時間劣化させた。
II.レジンコンクリートを「60℃の熱水」ではなく、「高温高湿度な空気(60℃95%RH)」の中で3000時間劣化させた。
III.骨材や砂、炭酸カルシウム等を含まない、不飽和ポリエステルの樹脂のみを「熱水」ではなく、「高温高湿度な空気(60℃98%RH)」の中で3000時間劣化させた。
上記I、II、IIIで作製した試料の強度(圧縮強度、引張強度、まげ強度)低下を測定したところ、IとIIIの強度低下は小さく(初期強度を100%とすると90%以上の強度が残存)、IIの強度低下(初期強度を100%とすると約85%まで低下)が大きかった。
IとIIの比較からは、レジンコンクリートは熱水による劣化は進行しにくいが、高温高湿度な空気では劣化が進行しやすいことがわかり、IIとIIIの比較からは、樹脂の加水分解による強度低下に加え、レジンコンクリート中の樹脂以外のものが、(熱水には含まれない)高湿度空気中の成分で劣化していることが示唆された。
また、製造したばかりのレジンコンクリートを破壊すると、内部の骨材も樹脂と同時に割れることが多いのに対し、劣化して強度が低下したレジンコンクリートの破壊面では骨材は割れず、樹脂のみが割れ、骨材は樹脂との界面から剥離することが多いことが明らかになった。
よって、発明者らは、レジンコンクリートの強度低下の主要因は、不飽和ポリエステル樹脂が劣化してレジンコンクリート強度が低下するという従来考えられていたメカニズムのみではないことを明らかにした。レジンコンクリートの強度低下メカニズムとしては、加水分解による樹脂強度の低下に加え、樹脂と骨材など他の材料の界面の接着力(付着力)が低下することが寄与していると考えられる。界面の付着力が低下した結果、強度試験を行うと、劣化前は樹脂と骨材に分散していた応力が、劣化後は樹脂部分のみに集中するため、結果的にレジンコンクリートの強度が低下し、樹脂が割れるというメカニズムである(図1を参照)。
図1は、レジンコンクリートの引張強度を測定する際の、引張試験用のレジンコンクリート試料(右)の一部を拡大したものを示す概念図である。図1(a)は骨材と樹脂の界面の付着力が低下する前を示し、図1(b)は骨材と樹脂の界面の付着力が低下した後を示す。図1(a)においては骨材−樹脂界面が接着しているので応力が全体に分散し、図1(b)においては応力が樹脂部分の一部のみに集中し、そこから破壊するので、樹脂強度はあまり低下しなくてもレジンコンクリートの強度は大幅に低下する。
不飽和ポリエステル樹脂と骨材界面の接着力が低下するメカニズムとして、加水分解以外には、骨材の岩石中のケイ酸塩鉱物が空気中のCO2と反応して化学風化し、骨材の表面が変質(ケイ酸塩から炭酸塩に変化)するのに伴い、骨材と樹脂の付着力が低下する反応が考えられる。
ケイ酸塩鉱物はさまざまな種類が存在し,その化学式はさまざまであるが,例えばケイ酸カルシウムの場合,以下の式で炭酸カルシウムへと変化する。
CaSiO3+2CO2+H2O → Ca2++2HCO3 -+SiO2
Ca2++2HCO3 - → CaCO3+H2O+CO2
他のケイ酸塩鉱物においても,ケイ酸カルシウムと同様に,CO2とH2Oの影響により炭酸塩化が進行する。
また、レジンコンクリートにおいては、骨材のほかに炭酸カルシウムを添加するが、こちらも、下記の反応で水とCO2、別の鉱物へと変化し、炭酸カルシウムと樹脂の付着力が低下する反応が考えられる。
CaCO3+H2O+CO2 ⇔ Ca(HCO32
上記の反応は、熱水中ではCO2がほとんど供給されてないため進行しにくく、大気中にはCO2が350〜400ppm程度含まれるため,高温高湿度な空気中では上記の反応が進行すると考えられるため、高温高湿度な空気中の方が強度低下が大きかったことをよく説明できる。発明者はさらに、高温高湿度な大気環境において通常のCO2濃度と高CO2濃度の2条件でレジンコンクリートを加速劣化させたところ、高CO2濃度では通常のCO2濃度と比較して大幅にレジンコンクリートの劣化が加速されたことから、上記の反応がレジンコンクリートの強度低下において寄与率の高い反応であることをつきとめた。さらに以下に述べるように、強度低下におけるCO2濃度依存性および温度依存性を表す式を算出し、その式を一般環境(常温、350−ppmCO2)へ外挿し、評価したレジンコンクリートの長期耐久性を評価する方法を見出した。
レジンコンクリートの強度低下挙動の推定
本発明を実施するための形態の一例は、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法であって、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化を促進する工程を含み、レジンコンクリートの強度低下挙動を測定してレジンコンクリートの実際の環境における強度低下挙動を推定することを特徴とする、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法である。
本発明を実施するための形態の別の例は、恒常槽にレジンコンクリートのサンプルを設置し、複数の前記サンプルについてそれぞれ異なる各温度の条件下で加速試験を行った後に強度試験を行い、各温度における経過時間と強度の関係から活性化エネルギーを算出して強度の温度依存性を求める工程と、恒常槽にレジンコンクリートの更なるサンプルを設置し、複数の前記更なるサンプルについてそれぞれ異なる各CO2濃度の条件下で加速試験を行った後に強度試験を行い、各CO2濃度において初期強度に対して一定の低下率に達するまでの時間から強度のCO2濃度依存性を求める工程とを有し、強度の温度依存性と強度のCO2濃度依存性との組み合わせから、所望のレジンコンクリートの設置環境下の湿度、温度、およびCO2濃度における経年劣化の推定を行うことを特徴とする、レジンコンクリートの長期信頼性評価方法である。以下、具体的に説明する。
本願においてレジンコンクリートは、コンクリートを構成する骨材と結合剤のうち、結合剤として熱硬化性樹脂等のポリマーを用いるコンクリートをいう。レジンコンクリートとして、例えば骨材および砂が80%、重質炭酸カルシウム10%、不飽和ポリエステル樹脂10%を混合し硬化させたものを用いることができる。
本願において、上記実質的に一定の温度は、不飽和ポリエステル樹脂を用いたレジンコンクリートの場合50〜140℃の範囲にあることが好ましい。50℃以上としたのはある程度実際に用いる環境よりも高温に設定しないと劣化が進行しにくく、温度依存性推定式を作るのに時間がかかりすぎるからであり、140℃以下としたのは試験を連続耐熱温度以上とすると,熱による別の劣化が生じてしまうため、連続耐熱温度以下で実施する必要があるが、不飽和ポリエステル樹脂の連続耐熱温度が110〜140℃程度であるからである。不飽和ポリエステル樹脂の中でも分子構造や添加物の違いにより連続耐熱温度は異なるものが複数存在しており、連続耐熱温度が140℃の樹脂であれば最大140℃での試験が可能であり、連続耐熱温度が110℃の樹脂であれば最大110℃で試験が可能である。
不飽和ポリエステル樹脂以外に、レジンコンクリートに用いられる樹脂としてフェノール樹脂やエポキシ樹脂も挙げられるが、フェノール樹脂の連続耐熱温度は150〜180℃程度であり、エポキシ樹脂の連続耐熱温度は110〜250℃程度であるため、これらの樹脂を用いた場合の好ましい温度範囲はそれぞれ50〜180℃、50〜250℃である。また、上記実質的に一定の相対湿度は、レジンコンクリートを用いることが想定される環境にあわせて任意の値を用いてよい。例えば平均湿度が50%RHの環境で用いる材料の場合、50%RHで試験を実施してもよい。ただし、ケイ酸塩鉱物の炭酸塩化にはH2Oが必要であることから、高湿度の方が劣化が促進できるため、80%RH以上で試験を実施することが好ましい。とくに地下に埋設して使用する物品の場合は相対湿度が常に100%近いため、95%RH以上の範囲で試験を実施することが好ましい。上記実質的に一定のCO2濃度は、大気中のCO2濃度の2倍程度(700〜800ppm)以上の範囲にあることが好ましい。大気中のCO2濃度の2倍以上としたのはある程度実際に用いる環境よりも高濃度に設定しないと劣化が進行しにくく、CO2濃度依存性推定式を作るのに時間がかかりすぎるからである。より、短時間で試験を実施するためには大気中のCO2濃度の10倍以上の濃度である3500〜4000ppm以上であることが望ましい。
なお、本願において「実質的に一定」とは、レジンコンクリートをある定まった状態の環境で保つことのできる程度に一定であることを意味し、例えば恒常槽を用いた場合においてレジンコンクリートを一定の環境に保つために制御部等によって行われる温度等の多少の上昇または下降(温度等のブレ)は一定であることの意味に含まれる主旨である。
図2は、本発明のレジンコンクリートの長期信頼性評価システムの一部である加速試験装置を示す概念図である。レジンコンクリートの長期信頼性評価システムは、加速試験装置を備え、加速試験装置は、CO2供給部と、CO2供給部に接続されてCO2と気体とをブレンドしてCO2気体を製造するブレンダと、ブレンダに接続されてブレンダから送出されるCO2気体を収容する恒常槽と、ブレンダおよび恒常槽を制御するための制御部とを備え、
恒常槽において、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化が促進されるようになっていることを特徴とする。長期信頼性評価システムは、さらに一定時間経過ごとにサンプルの強度を測定するための測定装置と、レジンコンクリートの温度依存性強度低下速度およびCO2濃度依存性強度低下時間を計算するための計算装置とを備えたことを特徴とする。なお、図2においては、ブレンダから高CO2大気が恒常槽に導入される例が示されているが、一般的な大気のCO2濃度での気体が導入されてもよい。
長期信頼性評価システムは、一定時間経過ごとにサンプルの一部を取り出して強度を測定することにより強度試験を行うことができるようになっていることが好ましい。ここで、強度は、JIS K 7171 プラスチック−曲げ特性の求め方で規定される曲げ強度、JIS K 7161:1994 プラスチック−引張特性の試験方法で規定される引張強度、等を用いることができる。加速試験装置による測定は、自動で行うようにしてもよいし、手動で行うようにしてもよい。
長期信頼性評価システムは、計算装置(図示省略)を含む。計算装置は、以降に説明される種々の計算式の計算や値の算出等を行うことができるようになっている。計算装置による種々の計算式の計算や値の算出等は、自動で行うようにしてもよいし、手動で行うようにしてもよい。
図2のレジンコンクリートの長期信頼性評価システムにおいて、試験に用いるレジンコンクリートサンプルは、図中の恒常槽内に同じ形状のものを複数設置することができるようになっていることが好ましい。恒常槽内は温度、湿度、CO2条件が一定の値に保たれているため、一定時間経過ごとにサンプルの一部を取り出して強度試験を行うようにすれば、各条件における強度の経時変化が求められる。
図2においては、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化が促進されるようになっており、そのレジンコンクリートの強度低下挙動を測定してそのレジンコンクリートの実際の環境における強度低下挙動を推定するようになっている。
I.強度低下速度の温度依存性推定式作成(第1導出工程)
まず、湿度とCO2濃度は一定で、温度のみを複数のサンプル毎に異なる温度に設定した状態で、レジンコンクリートの加速劣化試験を行う。ここで用いたレジンコンクリートは骨材および砂が80%、重質炭酸カルシウム10%、不飽和ポリエステル樹脂10%を混合し硬化させたものである。
ここでは、例えば、350ppmのCO2濃度の空気を恒常槽に導入し、恒常槽内で、温度140℃湿度95%RH、温度120℃湿度95%RH、温度100℃湿度95%RHの3条件で加速劣化試験を行い、試料を定期的に取り出して強度を測定する。
図3は曲げ強度低下の温度依存性の一例を示す。図4は、図3に基づき強度低下している部分の直線の傾きの対数を用いてアレニウスプロットを作成した図を示す。
図3を参照すると、最初に強度低下が生じにくい誘導期間があり、そののちに、強度が低下しはじめ、ある程度強度が下がると(図3の場合12MPa前後まで強度が低下した後は)強度低下は非常にゆるやかになる。この例は、この強度低下の著しい部分についての強度推定式を作成する方法およびそのための加速試験装置を示すものである。強度低下が非常にゆるやかになった後は、化学風化はレジンコンクリートの強度に影響せず、樹脂の加水分解が主な劣化メカニズムとなると考えられることから、従来の寿命予測式(非特許文献1)と同じような挙動を示すと考えられる。
図3において、強度低下の著しい部分の直線の傾き(直線からなる3本の補助線の傾き)の対数と、絶対温度の逆数を比較すると、その際の温度依存性はアレニウス則に従うことがわかる(図4)。上記レジンコンクリートの活性化エネルギーEaを算出すると約59kJ/molであった。
アレニウスの式(2)は
k=A・exp(−Ea/RT) (2)
であるため、
k/A=exp(−Ea/RT)
と変形すれば、このk/Aが強度低下の傾き(劣化速度V)となる。
100℃の劣化速度V100がわかっていれば、x℃での劣化速度Vxを推定したい場合、
x/V100=exp(−Ea/RTx)/exp(−Ea/RT100
対数を取ると、次のように変形でき、
ln(Vx/V100)=(−Ea/RTx)−(−Ea/RT100
⇒ln(Vx/V100)=(Ea/R)(1/T100−1/Tx
⇒Vx/V100=exp[(Ea/R)(1/T100−1/Tx)]
この場合、最終的には次の式でx℃での劣化速度Vxを推定できる:
x=exp[(Ea/R)(1/T100−1/Tx)]×V100
(100℃の場合を基準にした強度低下速度の温度依存性推定式。T100,Txには絶対温度(K)を代入するので100℃のときは100+273=373(K)、x℃のときはx+273(K)を代入する。)
このようにして、例えば10℃や20℃といった実際の使用温度域の劣化速度Vを算出し、寿命を評価することができる
例えば20℃でのV20を算出すると、活性化エネルギーEaが約59kJ/molの場合、V20/V100は約1/180となるので、20℃では100℃の際の180分の1の速度で強度低下が進行するといったことが推定でき、実際の寿命が推定できる。
レジンコンクリートのCO 2 濃度依存性強度低下時間を評価する方法
本発明を実施するための形態の別の例は、レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法であって、
レジンコンクリートの複数のサンプルについて、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度(Dm、Dn)で加速試験を行い、複数のサンプルを劣化させる加速試験工程であって、実質的に一定のCO2濃度(Dm、Dn)が、複数のサンプル毎に異なるCO2濃度(Dm、Dn)である加速試験工程と、
異なるCO2濃度で加速試験された複数のサンプルについて強度測定を行い、劣化させた複数のサンプルについての強度の経時変化を測定する測定工程と、
複数のサンプルの各CO2濃度(Dm、Dn)における所定の強度までの各経過時間(tm、tn)を算出する算出工程と、
各CO2濃度(Dm、Dn)および各経過時間(tm、tn)から、所望のCO2濃度(Dx)での強度低下時間(tx)を推定評価する評価工程と、
を含む、レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法である。
ここで、評価工程が、各経過時間(tm、tn)のうちの1つの経過時間(tm)でのCO2濃度(Dm)を基準にした、所望のCO2濃度(Dx)での強度低下時間(tx)のCO2濃度依存性推定式(1)
x=tm÷(Dx/Dm) (1)
を導出する導出工程を含んでもよい。
以下、具体的に説明する。
II.強度低下時間のCO 2 濃度依存性推定式作成(第2導出工程)
上記レジンコンクリートの温度依存性強度低下速度を評価する方法と同様に、ただし温度および湿度は一定で、CO2濃度のみを複数のサンプル毎に異なるCO2濃度に設定した状態に替えて、レジンコンクリートの加速劣化試験を行う。
ここでは、例えば一般大気にガスボンベからブレンダを通じてCO2を供給し、3500ppm、35000ppmの2種類のCO2濃度の空気を恒常槽に導入し、例えば恒常槽内で温度100℃湿度95%RHとして加速劣化試験を行い、試料を定期的に取り出して強度を測定する。例えば、CO23500ppmでは10時間毎、CO235000ppmでは1時間毎に試料を取り出して強度を測定する。ここで、強度は、JIS K 7171 プラスチック−曲げ特性の求め方で規定される曲げ強度、JIS K 7161:1994 プラスチック−引張特性の試験方法で規定される引張強度、等を用いることができる。
ここで、3500ppmのCO2濃度をDCO2-H1、この場合の強度75%までの経過時間をTCO2-H1、35000ppmのCO2濃度をDCO2-H2、この場合の強度75%までの経過時間をTCO2-H2とすると、次の強度低下時間のCO2濃度依存性推定式が成立する:
CO2-H1=TCO2-H2(DCO2-H2/DCO2-H1
例えばレジンコンクリートの引張強度や曲げ強度が初期値の75%に達する(ちょうど強度75%となる点がない場合は、その前後の点を結んで強度75%となる時間を推定、もしくは時間経過と残存強度から作成した回帰曲線で強度75%となる時間を推定した)時間がCO23500ppmでは63時間、CO235000ppmでは6.3時間であった.CO2濃度が10倍になるごとに10倍の速度で劣化が進行することから濃度がa倍になったときの劣化速度はa倍と推定できる。
上記レジンコンクリートにおいて、ある濃度DCO2-H(例えば3500ppm)での強度低下時間TCO2-H(例えば63時間)がわかっていれば、所望の濃度Dx(例えば350ppm)での強度低下時間Txを推定したい場合、下記の式:
x=TCO2-H÷(Dx/DCO2-H
(強度低下時間のCO2濃度依存性推定式。)
に基づき、通常のCO2濃度(約350ppm)で強度が初期値の75%に達する時間は、63時間÷(350ppm/3500ppm)≒630時間と算出できる。
上記式よりCO2濃度がa倍になった時の劣化速度は基本的にはa倍となるが、CO2と骨材の反応を阻害する添加剤などにより,CO2濃度がa倍になった時の劣化速度がa倍より低くなることがある.その時の劣化速度azと表すとき、zの値は経験的に0.3〜1の間であることが多い。そのような場合は複数のCO2濃度での劣化速度を比較し、Zの値を算出し、強度低下時間Txを下記の式で推定してもよい。
x=TCO2-H÷(Dx/DCO2-HZ
Zの値の算出方法を説明する。例えばレジンコンクリートの引張強度や曲げ強度が初期値の75%に達する(ちょうど強度75%となる点がない場合は、その前後の点を結んで強度75%となる時間を推定、もしくは時間経過と残存強度から作成した回帰曲線で強度75%となる時間を推定した)時間がCO23500ppmでは63時間、CO235000ppmでは8時間であったとすると、CO2濃度が10倍になるごとに約8倍の速度で劣化が進行していることから100.9≒8であるから、濃度がa倍になったときの劣化速度はa0.9であると推定でき、Zの値が0.9であると算出できる。また、ここでは説明の簡易化のためCO2濃度は2種類のみの場合で説明したが、可能であればCO2濃度は3種類以上とし、多くのデータの平均値よりzの値を求めることが望ましい。
レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法およびレジンコンクリートの加速試験装置
強度低下速度の温度依存性推定式作成の説明において、(100℃でなく)y℃で加速試験を行った際の劣化速度Vyから、実際の使用環境の温度x℃での劣化速度Vxの推定式を算出すると、以下になる:
x=exp[(Ea/R)(1/Ty−1/Tx)]×Vy
(y℃の場合を基準にした強度低下速度の温度依存性推定式。前記した所望の温度(Tx)での強度低下速度(Vx)の温度依存性推定式(3)に対応する。)
これに、例えばある加速試験条件における高CO2濃度(DCO2-H)と、実際の使用環境におけるCO2濃度(DCO2)により、CO2濃度依存性を補正する項を追加すると
x=(DCO2/DCO2-H)・exp[(Ea/R)(1/Ty−1/Tx)]×Vy
(所望の温度(Tx)および所望のCO2濃度(Dx)での強度低下速度(Vx)の温度・CO2濃度依存性推定式。前記した所望の温度(Tx)および所望のCO2濃度(Dx)での強度低下速度(Vx)の温度・CO2濃度依存性推定式(4)に対応する。)
と表すことができる。この式を用いて、例えばある高温加速試験および高CO2濃度加速試験の結果から、実使用温度、CO2濃度での劣化速度を推定することができる。
上記の式を用いることで、例えば、高CO2濃度加速試験の結果から、100℃湿度95%RHでは3500ppmでは63時間で強度が初期の75%まで低下すること、複数温度の高温加速試験から活性化エネルギーEaが約59kJ/molであることがあらかじめわかっていれば、20℃95%RH350ppmの劣化速度V(20℃350ppm)は100℃湿度95%RHでは3500ppmでの劣化速度V(100℃3500ppm)と比較して約1/1800の劣化速度となることが推測できるため、強度が初期の75%まで低下する時間は63×1800=113400時間≒13年と予想できる。
また、CO2と骨材の反応を阻害する添加剤などにより、CO2濃度がa倍になった時の劣化速度がa倍より低くなることがあるが、そのような場合は複数のCO2濃度での劣化速度を比較し、その時の劣化速度azと表すときのZの値を算出し、強度低下速度(Vx)を下記の式で推定してもよい。
Vx=(DCO2/DCO2-HZ・exp[(Ea/R)(1/Ty−1/Tx)]×Vy
上記の式を用いることで、例えば、高CO2濃度加速試験の結果から、100℃湿度95%RHでは3500ppmでは63時間,100℃湿度95%CO235000ppmでは8時間で強度が初期の75%まで低下すること、複数温度の高温加速試験から活性化エネルギーEaが約59kJ/molであることがあらかじめわかっていれば、CO2濃度が10倍になるごとに約8倍の速度で劣化が進行していることから100.9≒8であるから、濃度がa倍になったときの劣化速度はa0.9であると推定でき、Zの値が0.9であると算出でき、20℃95%RH350ppmでの劣化速度V(20℃350ppm)は100℃湿度95%RHでは3500ppmでの劣化速度V(100℃3500ppm)と比較して約1/1440の劣化速度となることが推測できるため、強度が初期の75%まで低下する時間は63×14400=113400時間≒約10年と予想できる。
このように、従来は加水分解のみにより強度低下挙動を評価していたが、CO2による骨材表面の炭酸塩化もレジンコンクリートの強度低下へ寄与していることを明らかにし、新たにCO2存在下での加速試験による強度低下推定法および装置を発明した。
これにより、従来法では考慮されていなかった、高温多湿の気相環境下において、CO2濃度の影響を反映したレジンコンクリートの強度低下の推定式を用いて実環境下におけるレジンコンクリートの劣化推定を行うため、従来法よりも高精度な経年劣化推定が可能となり、適切かつ効率的なレジンコンクリート構造物の保全計画策定が実現される。
本発明ではレジンコンクリートに用いる樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂を用いた場合について説明したが、CO2による樹脂と骨材界面付着力の低下は、不飽和ポリエステル樹脂以外でも生じるため、本発明が不飽和ポリエステル樹脂以外のレジンコンクリートにも適用可能であることは明らかである。
以上、本発明の各実施形態および実施例について説明したが、本発明の技術範囲は上記各実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、構成要素の組合せを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。

Claims (8)

  1. レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法であって、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化を促進する工程を含み、レジンコンクリートの強度低下挙動を測定してレジンコンクリートの実際の環境における強度低下挙動を推定することを特徴とする、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法。
  2. 恒常槽にレジンコンクリートのサンプルを設置し、複数の前記サンプルについてそれぞれ異なる各温度の条件下で加速試験を行った後に強度試験を行い、各温度における経過時間と強度の関係から活性化エネルギーを算出して強度の温度依存性を求める工程と、
    恒常槽にレジンコンクリートの更なるサンプルを設置し、複数の前記更なるサンプルについてそれぞれ異なる各CO2濃度の条件下で加速試験を行った後に強度試験を行い、各CO2濃度において初期強度に対して一定の低下率に達するまでの時間から強度のCO2濃度依存性を求める工程とを有し、
    強度の温度依存性と強度のCO2濃度依存性との組み合わせから、所望のレジンコンクリートの設置環境下の湿度、温度、およびCO2濃度における経年劣化の推定を行うことを特徴とする、レジンコンクリートの長期信頼性評価方法。
  3. レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法であって、
    レジンコンクリートの複数のサンプルについて、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度(Dm、Dn)で加速試験を行い、複数のサンプルを劣化させる加速試験工程であって、実質的に一定のCO2濃度(Dm、Dn)が、複数のサンプル毎に異なるCO2濃度(Dm、Dn)である加速試験工程と、
    異なるCO2濃度で加速試験された複数のサンプルについて強度測定を行い、劣化させた複数のサンプルについての強度の経時変化を測定する測定工程と、
    複数のサンプルの各CO2濃度(Dm、Dn)における所定の強度までの各経過時間(tm、tn)を算出する算出工程と、
    各CO2濃度(Dm、Dn)および各経過時間(tm、tn)から、所望のCO2濃度(Dx)での強度低下時間(tx)を推定評価する評価工程と、
    を含む、レジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法。
  4. 評価工程が、各経過時間(tm、tn)のうちの1つの経過時間(tm)でのCO2濃度(Dm)を基準にした、所望のCO2濃度(Dx)での強度低下時間(tx)のCO2濃度依存性推定式(1)
    x=tm÷(Dx/Dm) (1)
    を導出する導出工程を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項3または4に記載のレジンコンクリートのCO2濃度依存性強度低下時間を評価する方法を含む、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法であって、
    レジンコンクリートの複数の更なるサンプルについて、実質的に一定の温度(Tm、Tn)、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度で加速試験を行い、複数のサンプルを劣化させる加速試験工程であって、実質的に一定の温度(Tm、Tn)が、複数の更なるサンプル毎に異なる温度(Tm、Tn)である加速試験工程と、
    異なる温度で加速試験された複数の更なるサンプルについて強度測定を行い、劣化させた複数の更なるサンプルについての強度の経時変化を測定する測定工程と、
    複数の更なるサンプルの各温度(Tm、Tn)における強度の経時変化から、強度低下速度(Vm、Vn)を各々算出する算出工程と、
    各温度(Tm、Tn)および各強度低下速度(Vm、Vn)から、アレニウスの式(2)に基づき、
    k=A・exp(−Ea/RT) (2)
    (ここで、k:速度定数,A:頻度因子,Ea:活性化エネルギー、R:気体定数,T:絶対温度)
    活性化エネルギー(Ea)を算出する算出工程と、
    算出された活性化エネルギー(Ea)から、所望の温度での強度低下速度の温度依存性推定式を導出する第1導出工程と、
    強度低下時間のCO2濃度依存性と強度低下速度の温度依存性とを組み合わせて、所望の温度および所望のCO2濃度での強度低下速度の温度・CO2濃度依存性推定式を導出する第2導出工程と、
    を含む、レジンコンクリートの強度低下挙動を推定する方法。
  6. 第1導出工程が、算出された活性化エネルギー(Ea)から、各温度(Tm、Tn)のうちの1つの温度(Tm)での強度低下速度(Vm)を基準にした、所望の温度(Tx)での強度低下速度(Vx)の温度依存性推定式(3)
    x=exp[(Ea/R)(1/Tm−1/Tx)]×Vm (3)
    を導出する工程を含み、
    第2導出工程が、強度低下速度の温度依存性と強度低下時間のCO2濃度依存性推定とを組み合わせて、所望の温度(Tx)および所望のCO2濃度(Dx)での強度低下速度(Vx)の温度・CO2濃度依存性推定式(4)
    x=(Dx/Dm)・exp[(Ea/R)(1/Tm−1/Tx)]×Vm (4)
    を導出する工程を含む、請求項5に記載の方法。
  7. レジンコンクリートの加速試験装置であって、CO2供給部と、CO2供給部に接続されてCO2と気体とをブレンドしてCO2気体を製造するブレンダと、ブレンダに接続されてブレンダから送出されるCO2気体を収容する恒常槽と、ブレンダおよび恒常槽を制御するための制御部とを備え、
    恒常槽において、実質的に一定の温度、実質的に一定の相対湿度、および実質的に一定のCO2濃度の雰囲気で、レジンコンクリートの骨材表面の炭酸塩化が促進されるようになっていることを特徴とする、レジンコンクリートの加速試験装置。
  8. 請求項7に記載の加速試験装置を含むレジンコンクリートの長期信頼性評価システムであって、一定時間経過ごとにサンプルの強度を測定するための測定装置と、レジンコンクリートの温度依存性強度低下速度およびCO2濃度依存性強度低下時間を計算するための計算装置とを備えたことを特徴とする、レジンコンクリートの長期信頼性評価システム。
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