JP2017205161A - 体成分組成分析によるインスリン抵抗性の臨床指標 - Google Patents

体成分組成分析によるインスリン抵抗性の臨床指標 Download PDF

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Abstract

【課題】被験者のインスリン抵抗性を検査する方法及び装置の提供。【解決手段】被験者のインスリン抵抗性を検査するため生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析装置であって被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定し、2型糖尿病患者個々における原因病態としてのインスリン抵抗性の有効な代替指標となる(総筋肉量/総脂肪量)を算出し、及び算出された値が2.40未満である場合に、インスリン抵抗性があることを示す結果を表示する。【選択図】図1

Description

本発明は被験者のインスリン抵抗性を検査する方法及び装置に関する。
糖尿病と肥満は密接に関係しており、糖尿病の基礎病態としてインスリン抵抗性がある。インスリン抵抗性とはインスリンを大量に投与しても血糖が改善しない症例が存在することから生まれた概念である。1980年代からシンドロームX、インスリン抵抗性症候群、死の四重奏と呼ばれるインスリン抵抗性を主体とするマルチプルリスクファクター症候群が、高コレステロール血症と独立した心血管疾患のハイリスク病態であることが提唱されてきた。2型糖尿病患者において標準的な体重の患者に比べ肥満患者の方はインスリン抵抗性が強い事が示されている(非特許文献1)。1999年に世界保健機構(WHO)が、このマルチプルリスクファクター症候群を「メタボリックシンドローム」と提唱し、2009年に米国心臓協会(AHA)を中心にメタボリックシンドロームの診断基準が世界的に統一され、幅広く活用されている。メタボリックシンドロームは、心血管疾患のリスクを1.53〜2.18倍、全死亡率を1.27〜1.60倍に上昇させることが報告されている。インスリン抵抗性を評価し把握することは臨床的に有意義である。
インスリン抵抗性の評価は、主要な3つの方法であるインスリンクランプ法(非特許文献2)、HOMA(homeostatic model assessment)(非特許文献3)、ミニマル・モデル法(非特許文献4)が1979年に発表され、以降も数多くの方法が提唱されてきた。現在、インスリン抵抗性の測定は、正常血糖クランプ法がゴールドスタンダードとされ、他の評価法は正常血糖クランプ法との相関をもってその制度が評価される(非特許文献5〜7)。
正常血糖クランプ法は、実施可能施設が限られているうえ侵襲的で、所要時間も3時間程度を要するなど煩雑である。これまでにインスリン抵抗性の簡易指標が様々検討されてきた。現状では実臨床現場で最も広く用いられている、インスリン感受性指数(ISI)コンポジットが正常血糖クランプ法との相関がr≧0.73で最も良いとされているが、糖負荷試験を行う必要がある。また、HOMA法に代表される空腹時採血の検査値を用いる方法もまた、空腹時血糖値が高い状態においては特に信頼度が低下する。
Kolterman et al. J Clin Invest 1980; 65(6):1272-84 De Fronzo et al, Am J Physiol, 1979; 237(3):E214-23 Matthews et al, Diabetologia, 1985; 28(7):412-9 Bergman, R. N., et al., Am J Physiol 1979; 236:E667-77 Bonora, E., et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1989; 68(2): 374-8 Greenfield, M. S., et al., Diabetes, 1981; 30(5):387-92 Bergman, R. N., et al., J. Clin. Invest., 1987; 79:790-800
本発明は、インスリン抵抗性の測定に関して、非侵襲的で簡便、かつ信頼度の高い方法が求められていた。
本発明は、上記のニーズを満たす、被験者のインスリン抵抗性を検査する方法及び装置を提供する。
以上に鑑み、本件の発明者らは、「体成分組成がインスリン抵抗性を規定する」との仮説を立て、研究を開始した。鋭意検討の結果、総筋肉量及び総脂肪量の値、特に総筋肉量を総脂肪量で除した値が、インスリン抵抗性の予測に有用であることを見出した。当該知見に基づいて、本発明は完成された。
すなわち、一態様において、本発明は以下の通りであってよい。
[1]被験者のインスリン抵抗性を検査する方法であって、被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定することを含む、前記方法。
[2]被験者の(総筋肉量/総脂肪量)が2.40未満である場合に、インスリン抵抗性ありと推定することを含む、上記[1]に記載の方法。
[3]被験者の総筋肉量及び総脂肪量が、生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析により測定される、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析が、部位別直接多周波測定法(DSM-BIA方式)と同時多周波インピーダンス測定法(SMFIM方式)を採用した体成分組成分析装置により行われる、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]被験者が、未治療2型糖尿病患者である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載する方法。
[6]被験者のインスリン抵抗性を検査するため生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析装置であって
被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定し、
測定された被験者の(総筋肉量/総脂肪量)を算出し、及び
当該算出された値が2.40未満である場合に、インスリン抵抗性があることを示す結果を表示する、
ことを特徴とする、前記装置。
体成分組成の測定は、例えば生体電気インピーダンス法を用いるものなど、採血を必要とせず、非侵襲的に行うことができる。また、生体電気インピーダンス法による体成分組成評価は、測定時間60秒と簡便であり、再現性も高い。本発明の方法によるインスリン抵抗性の推定は、正常血糖クランプ法との相関がB=0.806である。実臨床現場で現在最も広く用いられている、ISIコンポジットは正常血糖クランプ法との相関がr≧0.73である。したがって、本発明の方法は、ISIコンポジットと比較しても、同等もしくはそれ以上の信頼度を有する方法である。
図1は、M/I比(縦軸)と(総筋肉量/総脂肪量)値の間の相関を示すグラフである。 図2は、M/I比 9未満にインスリン抵抗性が存在すると仮定した場合の(総筋肉量/総脂肪量)値に関するROC解析の結果を示すグラフである。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書で特段に定義されない限り、本発明に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。
本明細書においてインスリン抵抗性とは、インスリンを大量に投与しても血糖が改善しない、すなわち血糖値が下がりにくい状態をいう。現在、インスリン抵抗性の測定は正常血糖クランプ法がゴールドスタンダードとされ、他の評価法についても正常血糖クランプ法との相関をもってその精度や信頼度が評価されている。正常血糖クランプ法では、血糖値100mg/dLに維持するために必要な10%ブドウ糖液の注入量(GIR)を補正したM(代謝されたブドウ糖)値とインスリン濃度(I)の比であるM/I比が、インスリン抵抗性の指標として得られる。また、M値が5.7未満でインスリン抵抗性があると定義している報告があり(Jeff Cobb., et al., Journal of diabetes Science and Technology, Vol.7, p.100, 2013)、本研究においてインスリン抵抗性の存在はM/I比が9未満に相当すると仮定できる。
インスリン抵抗性の検査方法
一態様において、被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定することを含む、被験者のインスリン抵抗性を検査する方法を提供する。
被験者は哺乳動物、好ましくはヒトである。より好ましくは、被験者は未治療の2型糖尿病患者である。
インスリン抵抗性の存在は、測定された被験者の総筋肉量(kg)の値を、測定された被験者の総脂肪量(kg)の値で除して得られる値、すなわち(総筋肉量/総脂肪量)値が2.40未満である場合に推定される。これは、正常血糖クランプ法で得られるM/I比との対応が、次式:M/I比=3.0090×(総筋肉量/総脂肪量)+1.1285で近似されることを確認したこと、およびM/I比 9未満にインスリン抵抗性が存在すると仮定できることに基づく。
被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定する方法は、これらの値が測定可能な方法である限り特に限定されないが、好ましくは生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析である。生体組織においては、脂肪は電気をほとんど流さないが、電解質を多く含む筋肉などの組織は電気を流しやすいという特性により、組織の組成に応じた電気伝導性の差が存在する。生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析は、この組織の組成に応じた電気伝導性の差を利用し、人体に微弱な電流を流してその際のインピーダンスを測定することにより、非侵襲的に体成分組成を推定する方法である。
好ましい態様において、生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析は、部位別直接多周波測定法(DSM-BIA方式)と同時多周波インピーダンス測定法(SMFIM方式)を採用した体成分組成分析装置により行われる。SMFIM方式は、同時に多数の周波数の電流を人体に流して各々の周波数に該当するインピーダンスを測定することで、体脂肪量、筋肉量、体水分量等の体組成成分を分析する方式である。用いる周波数は、1kHz、5kHz、50kHz、250kHz、500kHz、及び1000kHzからなる群より選択される、2種類以上の周波数、好ましくは4種類以上の周波数、より好ましくは6の周波数のすべて、である。DSM-BIA方式は、人体の複数部位について測定を行う方式である。例えば、人体を、右腕、左腕、体幹、右脚、左脚に分けて測定する。断面積と長さの異なる各部位を別個に測定することにより、被験者の体型に依存せず、精度よく測定する方式である。DSM-BIA方式及びSMFIM方式を採用した体成分組成分析装置は市販されており、例えば体成分分析装置 InBody770(バイオスペース、韓国ソウル)が挙げられる。
インスリン抵抗性を検査するための装置
一態様において、被験者のインスリン抵抗性を検査するための装置であって、
被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定し、
測定された被験者の(総筋肉量/総脂肪量)を算出し、及び
当該算出された値が2.40未満である場合に、インスリン抵抗性があることを示す結果を表示する、
ことを特徴とする、前記装置を提供する。
上記の装置は、生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析装置である。当該装置は、生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析を実現する装置であり、生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析については、上記「インスリン抵抗性の検査方法」の項目において記載した通りである。上記の装置は、被験者に微弱な電流を流してその際のインピーダンスを測定する手段、インピーダンスの測定結果から被験者の総筋肉量(kg)及び総脂肪量(kg)を算出する手段、測定された被験者の(総筋肉量/総脂肪量)を計算する手段、及びインスリン抵抗性についての判定結果を表示するのに適合した表示手段を含んでいてもよい。
被験者は、上記「インスリン抵抗性の検査方法」と同様に、哺乳動物、好ましくはヒトである。より好ましくは、被験者は未治療の2型糖尿病患者である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
1.方法
1.1 対象と研究デザイン
未治療日本人2型糖尿病患者61人を対象とした。未治療状態のまま人工膵島を用い正常血糖クランプ法でインスリン抵抗性を評価し、その結果を体成分組成とその他採血パラメーターで比較検討した。この研究はヘルシンキ宣言に基づいて、陣内病院倫理委員会の認証を得て行われた。
1.2 正常血糖クランプ法
インスリン感受性を測定するため、未治療の状態で人工膵島(STG−55、日機装株式会社、日本国東京)を用いて正常血糖クランプ試験(DeFronzoらの原法(The American Journal of Physiology, Vol.273, No.3, p.E214-E223, 1979)を一部改変)を行った。すなわち、前日夕食後から絶食とし、当日の朝は降圧薬などすべての薬剤を中止としたうえで、インスリンを静脈内に持続注入した。インスリンは4.77mU/kg/分の初期量で開始し、徐々に1.67mU/kg/分に漸減した。開始後10分から120分の間は、1.5mU/kg/分の維持量で注入した。同時に、血糖値100mg/dLに維持するために必要な10%ブドウ糖液の注入量(Glucose Infusion Rate: GIR)をインスリン感受性の指標とした。GIRからコンパートメントモデルによる補正と尿糖補正を行ったM(metabolized glucose(代謝されたブドウ糖))値をインスリン濃度(I)で補正したM/I比をインスリン抵抗性の指標とした。
1.3 体成分組成分析
部位別直接多周波測定法(DSM-BIA方式)と同時多周波インピーダンス測定法(SMFIM方式)を採用した体成分組成分析装置(InBody770:バイオスペース、韓国ソウル)を用いて体成分組成を測定した。同機は、8点接触型電極法を用いて、6種類の周波数(1kHz、5kHz、50kHz、250kHz、500kHz、1000kHz)で、5カ所の部位別(右腕、左腕、体幹、右脚、左脚)にインピーダンスを測定するものである(Kichul Cha, et al., Journal of Applied Physiology, 1995, 79(4):1316-1319、及びKichul Cha, et al., J. ICHPER SD-ASIA, 1997; 11-14)。正常血糖クランプ試験の施行とほぼ同時期に、指定の検査着のみ着用し計測を行った。
1.4 採血方法
採血方法は、正常血糖クランプ試験とほぼ同時期に、空腹の状態で午前中に正中静脈から血液を採取した。今回示した結果の血液分析は、全項目を院内の検査室で行った。
1.5 解析方法
データは平均値±標準偏差、中央値(4分位数)で示した。インスリン抵抗性の関連因子を調べるためにピアソン回帰分析及び多重線形回帰分析を行った。2群間比較ではt検定、マン−ホイットニーU検定、フィッシャーの正確確立検定を行った。2群間比較で有意差のある項目を説明変数、インスリン抵抗性の有無を目的変数として多重ロジスティック回帰分析を行いインスリン抵抗性の予測因子を求めた。AUC(曲線下面積)、カットオフ値の算出にROC分析を用いた。本研究の有意水準は5%とした。統計解析はStatistical Package for Social Sciences Ver.19(SPSS Inc., 日本国東京)を用いて行った。
2.結果
2.1 患者背景
試験対象とした登録患者は、男性39人女性22人で、年齢55.2±12.7歳であった。これらの登録患者について臨床的な特徴、並びに、血液分析、正常血糖クランプ試験及び体組成分析から得られた結果を以下の表1に示す。既往は、高血圧症 15人(24.6%)、脂質異常症 25人(41%)で、内服薬はカルシウム拮抗薬 10人(16.4%)、ARB 5人(8.2%)、β遮断薬 2人(3.3%)、スタチン 6人(9.8%)であり、内服なしは45人(73.8%)であった。全例が無治療の2型糖尿病患者で、HbA1c 8.4%以上の血糖管理不良は31人(50.8%)であった。
2.2 単回帰分析
各測定結果について、M/I比との間の相関を単回帰分析により検討した。結果を表2に示す。
空腹時インスリン、空腹時血糖、HOMA−R、中性脂肪、HDLコレステロール、体重、BMI、腹囲、総筋肉量、総脂肪量及び体脂肪率は、M/I比と有意な相関を認めた。身長とHbAlc、eGFRはM/I比と有意な相関はなかった。総筋肉量を総脂肪量で除した値である(総筋肉量/総脂肪量)値は、M/I比と有意な強い相関を示した(r=0.806、p<0.0001)(図1)。
2.3 多重線形回帰分析
単回帰分析で有意な相関を示した(総筋肉量/総脂肪量)値、HOMA−R、中性脂肪、HDLコレステロールを含む多重線形回帰において、(総筋肉量/総脂肪量)値は有意な相関を示した(B=3.0990、β=0.6766、p<0.0001)。
2.4 多重ロジスティック回帰分析
M/I ratio 9未満にインスリン抵抗性が存在すると規定し、インスリン抵抗性の有無で2群に分けて単ロジスティック回帰分析を行った。結果を表3に示す。単ロジスティック回帰分析にて有意であった項目を説明変数として、4つの強制投入モデルを作成し多重ロジスティック回帰分析を行いインスリン抵抗性の予測因子を求めた。単ロジスティック回帰分析において体重、BMI、腹囲、(総筋肉量/総脂肪量)は有意であったが、各々が強い内部相関を示すためNagelkerkeR2 Model Fit Testを行った(Nagelkerke R2: 体重;0.406、BMI;0.506、腹囲;0.512、(総筋肉量/総脂肪量);0.533)。適合度が最も高い(総筋肉量/総脂肪量)を投入しモデルを作成した。モデル1は年齢、性別、(総筋肉量/総脂肪量)、モデル2は(総筋肉量/総脂肪量)、HDLコレステロール、中性脂肪、モデル3は (総筋肉量/総脂肪量)、HOMA−R、HbA1c、モデル4は(総筋肉量/総脂肪量)、HOMA−R、HDLコレステロール、中性脂肪を説明変数とした。結果を表4に示す。インスリン抵抗性に関して(総筋肉量/総脂肪量)は独立して有意な因子であった。
2.5 ROC(受診者動作特性曲線)解析
ROC解析において、(総筋肉量/総脂肪量)値はインスリン抵抗性の予測に有用であった(AUC 0.87、(総筋肉量/総脂肪量)値<2.4で、感度91%、特異度7%)(図2)。
2.6 総括
今回の試験対象の登録患者のM/I比は9.3(6.2−14.0)であった。体成分組成分析から得られる(総筋肉量/総脂肪量)値とM/I比は、単回帰分析でB=0.806と強い相関を示した。M/I比 9未満にインスリン抵抗性が存在すると仮定し、多重ロジスティック回帰分析を行った結果、(総筋肉量/総脂肪量)値は独立して有意な関連因子であり、ROC解析の結果(総筋肉量/総脂肪量)値はインスリン抵抗性の予測に有用であった。上記の検討から、M/I比=3.0090×(総筋肉量/総脂肪量)+1.1285で近似され、インスリン抵抗性の存在は(総筋肉量/総脂肪量)値<2.40で推定される。
上記試験に用いた体成分組成分析装置は精度および再現性が高く、非侵襲的な上、測定時間は60秒と迅速に行うことができる。HOMA−RやISIコンポジットといった現在幅広く用いられているインスリン抵抗性の指標は、主に血糖値と血中インスリン濃度から導き出される数値であるが、それらは食事や運動等の影響を受けやすく日間変動が存在するため再現性に不安が残る。体成分組成評価は計測に影響を及ぼす因子が限られており、インスリン抵抗性の指標として誤差の少ない結果となりうる。
以上を踏まえれば、上記実験に裏付けられる本発明の方法は、既存の評価法と比較して、正常血糖クランプ法との相関、侵襲性、簡便さすべての面において優れている。体成分組成評価により得られる(総筋肉量/総脂肪量)値は、2型糖尿病患者個々における原因病態としてのインスリン抵抗性の有効な代替指標となる。
体成分組成評価は、例えば生体電気インピーダンス法によるものなど、医療行為に限定されない方法で特定することが可能であるため、医療機関以外でも測定が可能である。本発明の方法及び装置によれば、日常生活の場でインスリン抵抗性を把握することができるため、糖尿病発症予防の啓蒙に繋がる。
また、本発明の方法及び装置によれば、医療現場で新規発症の2型糖尿病患者に煩雑な検査を行うことなく、インスリン抵抗性を推定することが可能である。投薬の選択において有益な情報となり、治療内容の向上につながる。また、食事運動糖の患者指導の面においても活用できる。

Claims (6)

  1. 被験者のインスリン抵抗性を検査する方法であって、被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定することを含む、前記方法。
  2. 被験者の(総筋肉量/総脂肪量)が2.40未満である場合に、インスリン抵抗性ありと推定することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 被験者の総筋肉量及び総脂肪量が、生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析により測定される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析が、部位別直接多周波測定法(DSM-BIA方式)と同時多周波インピーダンス測定法(SMFIM方式)を採用した体成分組成分析装置により行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 被験者が、未治療2型糖尿病患者である、請求項1〜3のいずれか1項に記載する方法。
  6. 被験者のインスリン抵抗性を検査するため生体電気インピーダンス法を用いた体成分組成分析装置であって
    被験者の総筋肉量及び総脂肪量を測定し、
    測定された被験者の(総筋肉量/総脂肪量)を算出し、及び
    当該算出された値が2.40未満である場合に、インスリン抵抗性があることを示す結果を表示する、
    ことを特徴とする、前記装置。
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