JP2017202948A - 炭素シート、ガス拡散電極基材、および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ガス拡散性、排水性が良好で、高い発電性能を発現可能なガス拡散電極基材に好適に用いられる炭素シートを提供する。【解決手段】炭素繊維、及び、樹脂成分の炭化物である結着材を含む多孔質の炭素シートであって、前記結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していることを特徴とする、炭素シート。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池に好適に用いられる炭素シート、さらに該炭素シートにマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材、該炭素シートを含む燃料電池に関するものである。
水素を含む燃料ガスをアノードに供給し、酸素を含む酸化ガスをカソードに供給して、両極で起こる電気化学反応によって起電力を得る固体高分子型燃料電池は、一般的に、セパレータ、ガス拡散電極基材、触媒層、電解質膜、触媒層、ガス拡散電極基材、およびセパレータを順に積層して構成されている。上記のガス拡散電極基材には、セパレータから供給されるガスを触媒層へと拡散するための高いガス拡散性と、電気化学反応に伴って生成する水をセパレータへ排出するための高い排水性、および発生した電流を取り出すための高い導電性が必要である。そのため、炭素繊維などからなる炭素シートを基材としてその表面にマイクロポーラス層を形成したガス拡散電極基材が広く用いられている。
しかしながら、このようなガス拡散電極基材の課題として、(1)固体高分子型燃料電池を70℃未満の比較的低い温度かつ高電流密度領域において作動させる場合、大量に生成する水でガス拡散電極基材が閉塞し、ガスの供給が不足する結果、発電性能が低下するという問題(以下、フラッディングと記載)がある。そのため、ガス拡散電極基材には、高い生成水の排水性が求められる。
そこで、たとえば、特許文献1では、炭素シート表面のマイクロポーラス層がパターンを形成することで排水性を向上させ、発電性能の低下を防止する燃料電池用ガス拡散電極が提案されている。
特許文献2では導電性物質を含むスラリーから形成して得られるマクロ層に様々なパターンを形成することでガス拡散性や排水性の向上を達成している。
特許文献3ではカーボンペーパーの一面から他面に貫通した貫通孔を備えることで生成水の効率的な排出を達成している。
しかしながら、特許文献1記載の発明においてはマイクロポーラス層がパターンを形成しており、炭素シート内では生成水が滞留し、ガスの拡散が阻害され、発電性能が低下するという問題が残されている。また特許文献2ではマイクロポーラス層上のマクロ層中にバインダー物質が含まれているため導電性が低いという問題が残されている。また特許文献3ではガス拡散層が貫通孔を備えているため機械強度が低いという問題が残されている。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の背景に鑑み、従来困難であった耐フラッディング性に優れ、ガス拡散電極基材に好適に用いられる炭素シートを提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、上記炭素シートを基材として用いてなるガス拡散電極基材、該ガス拡散電極を含む燃料電池を提供することにある。
本発明の実施形態は、以下のとおりである。
炭素繊維、及び、樹脂成分の炭化物である結着材を含む多孔質の炭素シートであって、
前記結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していることを特徴とする、炭素シート。
前記結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していることを特徴とする、炭素シート。
本発明によれば、従来困難であった耐フラッディング性に優れ、高導電性を有するガス拡散電極基材に好適に用いられる炭素シートを得ることができる。
本発明は、炭素繊維、及び、樹脂成分の炭化物である結着材を含む多孔質の炭素シートであって、前記結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していることを特徴とする、炭素シートである。
なお、本発明において、炭素シートの少なくとも片面にマイクロポーラス層を有する基材を「ガス拡散電極基材」と称する。
以下、本発明の炭素シート、ガス拡散電極基材、及び燃料電池について説明する。
[炭素シート]
本発明の炭素シートは、セパレータから供給されるガスを触媒層へと拡散するための高いガス拡散性と、電気化学反応に伴って生成する水をセパレータへ排出するための高い排水性のため、多孔質であることが重要である。さらに本発明の炭素シートは、発生した電流を取り出すために高い導電性を有することが好ましい。このため炭素シートを得るためには、導電性を有する多孔体を用いることが好ましい。より具体的には、炭素シートを得るために用いる多孔体は、例えば、炭素繊維織物、カーボンペーパーおよび炭素繊維不織布などの炭素繊維を含む多孔体、および炭素繊維を含む炭素質の発泡多孔体を用いることが好ましい様態である。
中でも、耐腐食性が優れていることから、炭素シートを得るためには炭素繊維を含む多孔体を用いることが好ましく、さらには、電解質膜の厚み方向の寸法変化を吸収する特性、すなわち「ばね性」に優れていることから、炭素繊維の抄紙体を炭化物(結着材)で結着してなるカーボンペーパーを用いることが好ましい態様である。本発明において、結着材は炭素繊維同士を結着させる役割を果たす材料であり、樹脂成分の炭化物が用いられる。つまり本発明においては、炭素繊維並びに樹脂成分の炭化物である結着材を含む多孔質の炭素シートとして、カーボンペーパーを用いることが好ましい。
また、本発明の炭素シートは、製造コストが安価となることから、ロールトゥロールで連続的に製造することが好ましい様態である。
本発明では、炭素シート中の結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していることを特徴とする。結着材が炭素シートの平面方向にパターンを形成していることで、炭素シート内部に発電による生成水が滞留することを抑制し、高発電性能を達成することができる。なお、本発明の炭素シートは、少なくとも一方の表面において、結着材が平面方向にパターンを形成していることが好ましいが、より好ましくは、両方の表面において、結着材が平面方向にパターンを形成している態様である。
また本発明の炭素シートは、結着材の面積率が25〜45%であることが好ましい。ここで、結着材の面積率とは、炭素シートの表面を占める結着材の面積の割合(%)を意味する。面積率が25〜45%であることで、排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。なお、本発明の炭素シートは、少なくとも一方の表面における結着材の面積率が25〜45%であることが好ましいが、より好ましくは、両方の表面において、結着材の面積率が25〜45%である態様である。
また、本発明においてパターンとは、一定周期で繰り返される模様のことである。パターンとしては、略直線からなる格子状(図1)、略直線からなるストライプ状(図2)、ドット状(図3)、島状(図4)などがあり、例えば図1〜4に示すようなものがあげられる。ここで、略直線とは、直線が幅方向に蛇行していたり、線幅が変動していても、つながっていれば略直線と見なすことができる。
結着材による炭素シートの平面方向のパターンとしては、炭素シートの層内剥離を抑制することができるため、略直線からなる格子状、もしくは略直線からなるストライプ状が好ましい。ここで「略直線からなる格子状」とは、略直線の集合体であって、当該略直線が交差している部分(交点)を有する模様のことを指す。そして「略直線からなるストライプ状」とは、略直線の集合体であって、当該略直線が互いに交わらない模様のことを指す。結着材がパターンを形成している、特にそのパターンが、略直線からなる格子状、又は、略直線からなるストライプ状であることで、厚み方向のガス拡散、排水の阻害を小さくすることができ、耐フラッディング性を大幅に改善できる。
さらに結着材による炭素シートの平面方向のパターンが、略直線からなる格子状又は略直線からなるストライプ状である場合には、結着材によるパターンの線幅が50〜1000μmであることが好ましく、線幅が50〜500μmであることがより好ましく、さらには線幅が50〜200μmであることが好ましい。ここで線とは、長辺と短辺からなり、短辺が50μm以上でアスペクト比が2以上のものを意味する。さらにアスペクト比とは、長辺(μm)と短辺(μm)の比([長辺]/[短辺])を意味する。そして線幅とは、線の短辺を意味する。結着材によるパターンの線幅が50〜1000μmであることで、導電性や排水性、剥離強度などの性能のばらつきを抑えることができる。
また結着材による炭素シートの平面方向のパターンが、略直線からなる格子状又は略直線からなるストライプ状である場合には、結着材によるパターンの線間隔が0.1〜3.0mmであることが好ましい。結着材によるパターンの線間隔は、0.1〜2.0mmであることがより好ましく、0.1〜1.0mmであることがさらに好ましい。ここで線間隔とは、線の一方の端部から隣接する線の端部までの距離を指す。結着材によるパターンの線間隔が0.1〜3.0mmであることで、導電性や排水性、剥離強度などの性能のばらつきを抑えることができる。
結着材の分布を制御し、炭素シートの平面方向にパターンを形成する方法としては、たとえば、後述の方法によって作製される炭素繊維抄紙体などの多孔体に、市販されている塗工装置を用いて樹脂組成物を含む溶液を付与する方法をあげることができる。
また、本発明の炭素シートは、厚みが50μm以上200μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは90〜190μmである。炭素シートの厚みが200μm以下と薄いことによりガスの拡散性が大きくなり、また生成水も排出されやすくなる。さらに、燃料電池全体としてサイズも小さくなるため好ましい。一方、炭素シートの厚みは50μm以上であることが好ましい。厚みを50μm以上とすることで、炭素シート内部の面内方向のガス拡散が効率よく行われ、発電性能が向上しやすくなるためである。
本発明において、炭素シートの密度は0.2〜0.4g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.22〜0.35g/cm3である。密度が0.2g/cm3以上であると、炭素シートの機械特性が向上し、電解質膜と触媒層を十分に支えることができる。加えて、導電性が高く発電性能が向上する。一方、密度が0.4g/cm3以下であると排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。
密度が0.2〜0.4g/cm3である炭素シートは、後述する炭素シートの製法において説明するように、炭素繊維の目付、炭素繊維に対する樹脂成分の炭化物の付着量、および、炭素シートの厚みを制御することにより得られる。ここで、炭素シートの密度は、電子天秤を用いて秤量した炭素シートの目付(単位面積当たりの質量)を、面圧0.15MPaで加圧した際の炭素シートの厚みで除して求めることができる。
次に、本発明の炭素シートを製造するに好適な方法を以下、炭素繊維抄紙体を多孔体として用いるカーボンペーパーを代表例として具体的に説明する。
<多孔体>
炭素繊維としては特に限定されないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系およびレーヨン系などの炭素繊維が挙げられる。中でも、機械強度に優れていることから、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維が、本発明において好ましく用いられる。
本発明の炭素シート及びそれを得るために用いる抄紙体などの多孔体中の炭素繊維は、単繊維の平均直径が3〜20μmであることが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。単繊維の平均直径が3μm以上であると、細孔の径が大きくなり排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。一方、単繊維の平均直径が20μm以下であると、後述の好ましい炭素シートの厚み範囲に制御することが容易となるため好ましい。
本発明で用いられる炭素繊維は、単繊維の平均長さが3〜20mmであることが好ましく、より好ましくは5〜15mmである。単繊維の平均長さが3mm以上であると、炭素シートが機械強度、導電性および熱伝導性が優れたものとなる。一方、単繊維の平均長さが20mm以下であると、抄紙の際の炭素繊維の分散性に優れ、均質な炭素シートが得られる。
炭素繊維の単繊維の平均直径や平均長さは、通常、原料となる炭素繊維について、その炭素繊維を直接観察して測定されるが、炭素シートを観察して測定することもできる。
炭素シートを得るために用いる多孔体の一形態である、抄紙により形成された炭素繊維抄紙体は、面内の導電性と熱伝導性を等方的に保つという目的で、炭素繊維が二次元平面内にランダムに分散したシート状であることが好ましい。炭素繊維抄紙体を得る際の炭素繊維の抄紙は、一回のみ行なっても、複数回積層して行なうこともできる。
本発明では、炭素シートの内部剥離を防ぐために、炭素シートを所望の厚みで形成する際は、一工程で連続的に形成することが好ましい態様である。抄紙等の工程を複数回行なう方法で厚く形成することは、不連続な面が厚み方向に形成されてしまい、炭素シートを曲げた際に応力が集中して内部剥離の原因となってしまうことがある。
内部剥離を防ぐという観点から、具体的には、炭素繊維の単繊維の平均直径は、炭素シートの一方の表面から求めた炭素繊維の単繊維の平均直径と、他方の表面から求めた炭素繊維の単繊維の平均直径について、その比率が0.5以上1以下であることが好ましい。ここで、平均直径が同じ場合、比率は1であり、平均直径が異なる場合は、比率は小さい平均直径/大きい平均直径とする。
<樹脂組成物の付与>
本発明の炭素シートを得る際においては、炭素繊維抄紙体などの炭素繊維を含む多孔体などに結着材となる樹脂組成物が付与される。なお、炭素繊維を含む多孔体に、結着材となる樹脂組成物を付与したものを「樹脂付与体」と記載することがある。この樹脂組成物の付与工程を後述の方法とすることによって、得られる炭素シート中の結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成するものとすることができる。
本発明において、炭素繊維を含む多孔体に結着材となる樹脂組成物を付与する方法としては、付与装置を用いて樹脂組成物を含む溶液を付与することによって行うことができる。付与方法としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、スプレー噴霧、凹版印刷、グラビア印刷、ダイコーター塗工、バー塗工、ブレード塗工などが利用できるが、結着材がパターンを形成するための付与方法としては、スクリーン印刷(ロータリースクリーン印刷を含む)やグラビア印刷が好ましい。なかでもスクリーン印刷は、樹脂組成物の塗工量の調整が行いやすいために好ましい。スクリーン印刷によって樹脂組成物の付与を行う際は、スクリーン印刷版上に感光性塗料を塗工し、所望するパターン以外の部分を硬化させ、未硬化のパターン部分の樹脂を除去することでパターンを有するスクリーン印刷版を作製し樹脂組成物の付与を行う
スクリーン版のメッシュ、開口率、口径、厚みは、用いる樹脂組成物の粘度特性や、求める炭素シートのパターンに合わせて、適宜選択される。
スクリーン版のメッシュ、開口率、口径、厚みは、用いる樹脂組成物の粘度特性や、求める炭素シートのパターンに合わせて、適宜選択される。
上述した付与方法はあくまで例示であり、樹脂組成物の付与方法は必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂組成物を付与する際には、樹脂付与体中の炭素繊維100質量部に対して、樹脂成分が30〜400質量部となるように樹脂組成物を付与することが好ましく、30〜400質量部となるように付与することがより好ましい態様である。樹脂付与体中の炭素繊維100質量部に対する、樹脂成分が30質量部以上であると、炭素シートが機械特性、導電性および熱伝導性の優れたものとなる。一方、樹脂付与体中の炭素繊維100質量部に対する、樹脂成分が400質量部以下であると、炭素シートが面内方向のガス拡散性と厚み方向のガス拡散性の優れたものとなる。
樹脂付与体を製造する際に用いる樹脂組成物は、焼成時に炭化して導電性の結着材となる樹脂組成物であり、必要に応じて炭素粉末や界面活性剤などの添加物を含むものである。
樹脂付与体を製造する際に用いる樹脂組成物中の樹脂成分を構成する樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびフラン樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。中でも、炭化収率が高いことから、フェノール樹脂が好ましく用いられる。
また、樹脂組成物中に必要に応じて添加する添加物としては、炭素シートの機械特性、導電性および熱伝導性を向上させる目的で、炭素粉末を用いることができる。ここで、炭素粉末としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック、燐片状黒鉛、燐状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など薄片グラファイトなどのグラファイト、カーボンナノチューブ、線状カーボン、炭素繊維のミルドファイバーなどを用いることができる。
樹脂付与体を製造する際に用いる樹脂組成物は、前述の構成により得られた樹脂成分をそのまま使用することもできるし、必要に応じて、各種溶媒を含むことができる。ここで、溶媒としては、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどを用いることができる。
<貼り合わせと熱処理>
本発明においては、炭素繊維抄紙体などの多孔体に樹脂組成物を付与した樹脂付与体を形成した後、炭化を行うに先立って、樹脂付与体を貼り合わせた樹脂付与体に熱処理を行うことができる。
本発明において、炭素シートを所定の厚みにする目的で、樹脂付与体を複数枚貼り合わせることができる。この場合、同一の性状を有する樹脂付与体を複数枚貼り合わせることもできるし、異なる性状を有する樹脂付与体を複数枚貼り合わせることもできる。具体的には、炭素繊維の単繊維の平均直径や平均長さ、樹脂付与体を得る際に用いる炭素繊維抄紙体などの多孔体の炭素繊維の目付、および樹脂成分の付与量などが異なる複数の樹脂付与体を貼り合わせることもできる。
一方、貼り合わせることにより厚み方向に不連続な面が形成されることになり、炭素シートの一方の面から厚み方向に繋がったパターン構造を有する場合には、結着材のパターン構造にずれが生じ、排水性の効果が低減されるので、本発明では炭素繊維抄紙体などの多孔体を貼り合わせずに一枚のみで用い、これに対し熱処理を行なうことが望ましい。
また、樹脂付与体中の樹脂組成物を増粘や部分的に架橋するなどの目的で、樹脂付与体を熱処理することができる。熱処理する方法としては、熱風を吹き付ける方法、プレス装置などの熱板にはさんで加熱する方法、および連続ベルトに挟んで加熱する方法などを用いることができる。
<炭化>
本発明において、炭素繊維抄紙体などの多孔体に樹脂組成物を付与して樹脂付与体とした後、樹脂組成物を炭化して、樹脂成分の炭化物からなる結着材とするために、不活性雰囲気下で焼成を行う。この焼成は、バッチ式の加熱炉を用いることもできるし、連続式の加熱炉を用いることもできる。
焼成の最高温度は1300〜3000℃の範囲内であることが好ましい。最高温度が1300℃以上であると、樹脂付与体中の樹脂成分の炭化が進み、炭素シートが導電性と熱伝導性に優れたものとなる。一方、最高温度が3000℃以下であると、加熱炉の運転コストが低くなる。
本発明において、炭素繊維抄紙体などの多孔体に樹脂組成物を付与した後、樹脂組成物を炭化したものを、「炭素繊維焼成体」と記載することがある。つまり炭素シートとは、炭素繊維焼成体を意味し、撥水加工がされる前の炭素繊維焼成体も、撥水加工がされた後の炭素繊維焼成体も、いずれも炭素シートに該当する。
<撥水加工>
本発明において、排水性を向上させる目的で、炭素繊維焼成体に撥水加工を施すことが好ましい。撥水加工は、炭素繊維焼成体に撥水材を塗布し熱処理することにより行うことができる。
ここで、撥水材としては、耐腐食性が優れることから、フッ素系のポリマーを用いることが好ましい。フッ素系のポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
撥水加工の際の撥水材の塗布量は、炭素繊維焼成体100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜40質量部である。撥水材の塗布量が、炭素繊維焼成体100質量部に対して1質量部以上であると、炭素シートが排水性に優れたものとなる。一方、撥水材の塗布量が、炭素繊維焼成体100質量部に対して50質量部以下であると、炭素シートが導電性の優れたものとなる。
[ガス拡散電極基材]
次に、本発明のガス拡散電極基材について説明する。
本発明のガス拡散電極基材は、本発明の炭素シートの少なくとも片面に、マイクロポーラス層を有するものを意味する。
<マイクロポーラス層の形成>
次に、本発明のガス拡散電極基材の構成要素の一つであるマイクロポーラス層について説明する。
本発明の炭素シートは、少なくとも片面にマイクロポーラス層を形成することで、ガス拡散電極基材として用いることができる。
マイクロポーラス層の目付は特に限定されないが、10〜35g/m2であることが好ましく、より好ましくは30g/m2以下であり、さらに好ましくは25g/m2以下である。また、目付は14g/m2以上であることがより好ましく、さらに好ましくは16g/m2以上である。
マイクロポーラス層の目付が10g/m2以上であると、炭素シートの一方の表面をマイクロポーラス層によって覆うことができ、生成水の逆拡散がより促進され、ドライアップをより抑制することができる。また、マイクロポーラス層の目付が35g/m2以下であると、排水性がより向上し、フラッディングをより抑制することができる。
本発明において、マイクロポーラス層は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーとしては、炭素粉末が好ましい。炭素粉末としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラックや、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、および薄片グラファイトなどのグラファイト、カーボンナノチューブ、線状カーボン、炭素繊維のミルドファイバーなどが挙げられる。それらの中でもフィラーである炭素粉末としては、カーボンブラックがより好ましく用いられ、不純物が少ないことからアセチレンブラックが好ましく用いられる。
本発明において、マイクロポーラス層が炭素粉末を含み、前記炭素粉末がアスペクト比30〜5000の線状カーボンを含むことにより、マイクロポーラス層の前駆体であるフィラー含有塗液の炭素シートへのしみ込みを適度に抑制し、面内方向のガス拡散性と排水性を改善させることができるため、フラッディングを抑制することができ、さらには、炭素シート表層に十分な厚みを有するマイクロポーラス層が形成され、生成水の逆拡散が促進されるため、ドライアップを抑制することができる。そのため、マイクロポーラス層中のフィラーとしては、炭素粉末であって、アスペクト比30〜5000の線状カーボンであることが好ましい。
本発明において、排水を促進するとの観点から、マイクロポーラス層は撥水材を含むことが好ましい態様である。中でも、耐腐食性に優れていることから、撥水材としてはフッ素系のポリマーを用いることが好ましい。フッ素系のポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
マイクロポーラス層は、炭素シートに、前述のフィラーを含む塗液(フィラー含有塗液)を塗布することによって形成することができる。
フィラー含有塗液は、水や有機溶媒などの分散媒を含んでも良く、界面活性剤などの分散助剤を含有させることもできる。分散媒としては水が好ましく、分散助剤にはノニオン性の界面活性剤を用いることが好ましい。また、前記したような、各種炭素粉末などのフィラーや撥水材を含有させることもできる。
フィラー含有塗液の炭素シートへの塗工は、市販されている各種の塗工装置を用いて行うことができる。塗工方式としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、スプレー噴霧、凹版印刷、グラビア印刷、ダイコーター塗工、バー塗工、およびブレード塗工などの塗工方式を使用することができる。上に例示した塗工方法はあくまでも例示であり、必ずしもこれらに限定されるものではない。
フィラー含有塗液の炭素シートへの塗工後、80〜180℃の温度で塗液を乾かすことが好ましい。すなわち、塗工物を、80〜180℃の温度に設定した乾燥器に投入し、5〜30分の範囲で乾燥する。乾燥風量は適宜決めることができるが、急激な乾燥は、表面の微小クラックを誘発する場合がある。塗工物を乾燥した後、マッフル炉や焼成炉または高温型の乾燥機に投入し、好ましくは300〜380度の温度で5〜20分間加熱して、撥水材を溶融し、炭素粉末などのフィラー同士のバインダーにしてマイクロポーラス層を形成することが好ましい。
[膜電極接合体]
本発明において、前記したガス拡散電極基材を、両面に触媒層を有する固体高分子電解質膜の少なくとも片面に接合することにより、膜電極接合体を形成することができる。その際、触媒層側にガス拡散電極基材のマイクロポーラス層を配置することにより、より生成水の逆拡散が起こりやすくなることに加え、触媒層とガス拡散電極基材の接触面積が増大し、接触電気抵抗を低減させることができる。
[燃料電池]
本発明の燃料電池は、本発明の炭素シートを含むものである。つまり、本発明の燃料電池は、上述の膜電極接合体の両側にセパレータを有するものである。すなわち、上述の膜電極接合体の両側にセパレータを配することにより燃料電池を構成する。通常、このような膜電極接合体の両側にガスケットを介してセパレータで挟んだものを複数個積層することによって固体高分子型燃料電池を構成する。触媒層は、固体高分子電解質と触媒担持炭素を含む層からなる。触媒としては、通常、白金が用いられる。アノード側に一酸化炭素を含む改質ガスが供給される燃料電池にあっては、アノード側の触媒としては白金およびルテニウムを用いることが好ましい。固体高分子電解質は、プロトン伝導性、耐酸化性および耐熱性の高い、パーフルオロスルホン酸系の高分子材料を用いることが好ましい。このような燃料電池ユニットや燃料電池の構成自体は、よく知られているところである。
次に、実施例によって、本発明の炭素シートとガス拡散電極基材について具体的に説明する。実施例で用いた材料、炭素シートおよびガス拡散電極基材の作製方法と燃料電池の電池性能評価方法を、次に示した。
<炭素シートの作製>
・厚み140μmの炭素シートの作製
東レ(株)製ポリアクリルニトリル系炭素繊維“トレカ”(登録商標)T300(単繊維の平均直径:7μm)を短繊維の平均長さ12mmにカットし、水中に分散させて湿式抄紙法により連続的に抄紙した。さらに、バインダーとしてポリビニルアルコールの10質量%水溶液を当該抄紙に塗布して乾燥させ、炭素繊維の目付が30.0g/m2の炭素繊維抄紙体を作製した。ポリビニルアルコールの塗布量は、炭素繊維抄紙体100質量部に対して22質量部であった。
・厚み140μmの炭素シートの作製
東レ(株)製ポリアクリルニトリル系炭素繊維“トレカ”(登録商標)T300(単繊維の平均直径:7μm)を短繊維の平均長さ12mmにカットし、水中に分散させて湿式抄紙法により連続的に抄紙した。さらに、バインダーとしてポリビニルアルコールの10質量%水溶液を当該抄紙に塗布して乾燥させ、炭素繊維の目付が30.0g/m2の炭素繊維抄紙体を作製した。ポリビニルアルコールの塗布量は、炭素繊維抄紙体100質量部に対して22質量部であった。
次に、熱硬化性樹脂としてレゾール型フェノール樹脂と、炭素粉末として鱗片状黒鉛(平均粒径5μm)と、溶媒としてメタノールを用い、熱硬化性樹脂/炭素粉末/溶媒=50質量部/5質量部/45質量部の配合比でこれらを混合し、超音波分散装置を用いて1分間撹拌を行い、均一に分散した樹脂組成物を得た。
次に、結着材が平面方向に所望のパターンを形成するように、スクリーン印刷版を用いて樹脂組成物を付与させた。その後、100℃の温度で5分間加熱して乾燥させ、樹脂付与体を作製した。次に、平板プレスで加圧しながら、180℃の温度で5分間熱処理を行った。加圧の際に平板プレスにスペーサーを配置して、熱処理後の樹脂付与体の厚みが180μmになるように、上下プレス面板の間隔を調整した。
この樹脂付与体を熱処理した基材を、加熱炉において、窒素ガス雰囲気に保たれた最高温度が2400℃の加熱炉に導入し、炭素繊維焼成体からなる炭素シートを得た。
上記にて作製した炭素シートを、PTFE樹脂の水分散液(“ポリフロン”(登録商標)PTFEディスパージョンD−201C(ダイキン工業(株)製)ないしはFEP樹脂(“ネオフロン”(登録商標)FEPディスパージョンND−110(ダイキン工業(株)製))の水分散液に浸漬することにより、炭素繊維焼成体に撥水材を付与した。その後、温度が100℃の乾燥機炉内で5分間加熱し乾燥し、撥水材が均一に付着するように撥水加工された炭素シートを作製した。なお、乾燥する際は、炭素シートを垂直に配置し、1分毎に上下方向を変更した。また、撥水材の水分散液は、乾燥後で炭素シート95質量部に対し、撥水材が5質量部付与されるように適切な濃度に希釈して使用した。
<ガス拡散電極基材の作製>
[材料]
・炭素粉末A:アセチレンブラック:“デンカ ブラック”(登録商標)(電気化学工業(株)製)
・炭素粉末B:線状カーボン:“VGCF”(登録商標)(昭和電工(株)製) アスペクト比70
・材料C:撥水材:PTFE樹脂(PTFE樹脂を60質量部含む水分散液である“ポリフロン”(登録商標)PTFEディスパージョンD−1E(ダイキン工業(株)製)を使用)
・材料D:界面活性剤“TRITON”(登録商標)X−100(ナカライテスク(株)製)
上記の各材料を分散機を用いて混合し、フィラー含有塗液を形成した。このフィラー含有塗液をスリットダイコーターを用いて、撥水加工された炭素シートの一方の表面上に面状に塗布した後、120℃の温度で10分間、続いて380℃の温度で10分間加熱した。このようにして、撥水加工された炭素シート上にマイクロポーラス層を形成して、ガス拡散電極基材を作製した。
<耐フラッディング性の評価>
白金担持炭素(田中貴金属工業(株)製、白金担持量:50質量%)1.00gと、精製水1.00g、“Nafion”(登録商標)溶液(Aldrich社製“Nafion”(登録商標)5.0質量%)8.00gと、イソプロピルアルコール(ナカライテスク社製)18.00gとを順に加えることにより、触媒液を作製した。
白金担持炭素(田中貴金属工業(株)製、白金担持量:50質量%)1.00gと、精製水1.00g、“Nafion”(登録商標)溶液(Aldrich社製“Nafion”(登録商標)5.0質量%)8.00gと、イソプロピルアルコール(ナカライテスク社製)18.00gとを順に加えることにより、触媒液を作製した。
次に、5cm×5cmにカットした“ナフロン”(登録商標)PTFEテープ“TOMBO”(登録商標)No.9001(ニチアス(株)製)に、触媒液をスプレーで塗布し、常温で乾燥させ、白金量が0.3mg/cm2の触媒層付きPTFEシートを作製した。続いて、8cm×8cmにカットした固体高分子電解質膜“Nafion”(登録商標)NRE−211CS(DuPont社製)を、2枚の触媒層付きPTFEシートで挟み、平板プレスで5MPaに加圧しながら130℃の温度で5分間プレスし、固体高分子電解質膜に触媒層を転写した。プレス後、PTFEシートを剥がし、触媒層付き固体高分子電解質膜を作製した。
次に、触媒層付き固体高分子電解質膜を、5cm×5cmにカットした2枚のガス拡散電極基材で挟み、平板プレスで3MPaに加圧しながら130℃の温度で5分間プレスし、膜電極接合体を作製した。ガス拡散電極基材は、マイクロポーラス層を有する面が触媒層側と接するように配置した。
得られた膜電極接合体を燃料電池評価用単セルに組み込み、電流密度を変化させた際の電圧を測定した。ここで、セパレータとしては、溝幅、溝深さ、リブ幅がいずれも1.0mmの一本流路のサーペンタイン型セパレータを用いた。また、アノード側には無加圧の水素を、カソード側には無加圧の空気を供給し、評価を行った。
耐フラッディング性の確認のためには、水素と空気はともに40℃の温度に設定した加湿ポットにより加湿を行った。このときの湿度は、100%であった。また、水素と空気中の酸素の利用率は、それぞれ70mol%、40mol%とした。電流密度1.5A/cm2の出力電圧を測定し、耐フラッディング性の指標として用いた。
<目付の測定>
炭素シートおよびガス拡散電極基材の目付は、10cm四方に切り取ったサンプルの質量を、サンプルの面積(0.01m2)で除して求めた。
炭素シートおよびガス拡散電極基材の目付は、10cm四方に切り取ったサンプルの質量を、サンプルの面積(0.01m2)で除して求めた。
<厚みの測定>
炭素シートおよびガス拡散電極基材を平滑な定盤にのせ、圧力0.15MPaをかけた状態での測定物がある場合からない場合の高さの差を測定した。異なる部位にて10箇所サンプリングを行い、高さの差の測定値を平均したものを厚みとした。
炭素シートおよびガス拡散電極基材を平滑な定盤にのせ、圧力0.15MPaをかけた状態での測定物がある場合からない場合の高さの差を測定した。異なる部位にて10箇所サンプリングを行い、高さの差の測定値を平均したものを厚みとした。
<パターンの線幅、線間隔の測定>
結着材のパターンの線幅と線間隔は、実体顕微鏡などの顕微鏡を用いて、炭素シートの表面を10倍に拡大して写真撮影を行い、その写真中で30箇所の線幅と線間隔を測定し、それぞれの平均値をパターンの線幅と線間隔とした。実体顕微鏡としては、ライカ製M502Cあるいはその同等品を用いることができる。
結着材のパターンの線幅と線間隔は、実体顕微鏡などの顕微鏡を用いて、炭素シートの表面を10倍に拡大して写真撮影を行い、その写真中で30箇所の線幅と線間隔を測定し、それぞれの平均値をパターンの線幅と線間隔とした。実体顕微鏡としては、ライカ製M502Cあるいはその同等品を用いることができる。
<結着材の面積率の測定>
結着材の面積率の測定は、次の手順で行った。まず、光学顕微鏡を用いて、炭素シートの樹脂組成物付与面を20倍に拡大して観察し、異なる場所で10視野の写真撮影を行った。写真撮影の際は、落斜照明を用い、輝度による明るさの最大と最小が256段階となるように区切り、最小から200階調段階がヒストグラムの谷間となる設定で写真撮影した。
結着材の面積率の測定は、次の手順で行った。まず、光学顕微鏡を用いて、炭素シートの樹脂組成物付与面を20倍に拡大して観察し、異なる場所で10視野の写真撮影を行った。写真撮影の際は、落斜照明を用い、輝度による明るさの最大と最小が256段階となるように区切り、最小から200階調段階がヒストグラムの谷間となる設定で写真撮影した。
取得した画像を、画像処理プログラムである「J−trim」を用い、輝度による明るさの最大と最小が256段階となるように区切り、最小から200階調段階の部分を閾値として二値化を行った。結着材の存在する部分は明るい側として観測されるので、全体の面積中の、二値化された明るい側の面積の割合を求めて、それを10視野の画像の全てで行った。得られた10個の面積の割合の値から平均値を求め、それを結着材の面積率とした。光学顕微鏡観察としては、ライカ製M502Cあるいはその同等品を用いることができる。
(実施例1)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は極めて良好であった。
(実施例1)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は極めて良好であった。
(実施例2)
<炭素シートの作製>において、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は極めて良好であった。
<炭素シートの作製>において、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は極めて良好であった。
(実施例3)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は良好であった。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は良好であった。
(実施例4)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は極めて良好であった。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って、表1に記載のとおりの炭素シートを作成した。この炭素シートは、耐フラッディング性は極めて良好であった。
(比較例1)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法において、炭素繊維抄紙体に樹脂組成物を付与させる際に、片面からスプレー噴霧により樹脂組成物を付与させ、表2に示す炭素シートを得た。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法において、炭素繊維抄紙体に樹脂組成物を付与させる際に、片面からスプレー噴霧により樹脂組成物を付与させ、表2に示す炭素シートを得た。
この炭素シートは全面的に樹脂組成物が付与されており、結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していない。この炭素シートは、耐フラッディング性は不十分であった。
(比較例2)
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法において、炭素繊維抄紙体に樹脂組成物を付与させる際に、片面からグラビア塗工により樹脂組成物を付与させ、表2に示す炭素シートを得た。
上記の<炭素シートの作製>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法において、炭素繊維抄紙体に樹脂組成物を付与させる際に、片面からグラビア塗工により樹脂組成物を付与させ、表2に示す炭素シートを得た。
この炭素シートは全面的に樹脂組成物が付与されており、結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していない。この炭素シートは、マイクロポーラス層が炭素シートに浸み込みにくく界面を形成するため、耐フラッディング性は不十分であった。
(比較例3)
上記の<炭素シートの作製>においてスクリーン版を用いず、15cm×12.5cmにカットした炭素繊維抄紙体をアルミバットに満たした樹脂組成物の付与液に水平に浸漬し、ロールで挟んで絞り付与させた。この際、ロールは一定のクリアランスをあけて水平に2本配置して炭素繊維抄紙体を垂直に上に引き上げることで全体の樹脂組成物の付着量を調整した。
上記の<炭素シートの作製>においてスクリーン版を用いず、15cm×12.5cmにカットした炭素繊維抄紙体をアルミバットに満たした樹脂組成物の付与液に水平に浸漬し、ロールで挟んで絞り付与させた。この際、ロールは一定のクリアランスをあけて水平に2本配置して炭素繊維抄紙体を垂直に上に引き上げることで全体の樹脂組成物の付着量を調整した。
この炭素シートは、結着材が炭素シート内部にランダムに存在し、炭素シートの平面方向にパターンを形成していない。樹脂組成物液の付与方法以外は、上記の<炭素シートの作成>、<撥水加工>および<ガス拡散電極基材の作製>に記載した方法に従って表2に示す炭素シートを得た。この炭素シートは、耐フラッディング性は不十分であった。
比較例での評価結果などを表2にまとめて示す
1 炭素シート
2 結着材のパターン
3 炭素繊維
2 結着材のパターン
3 炭素繊維
Claims (7)
- 炭素繊維、及び、樹脂成分の炭化物である結着材を含む多孔質の炭素シートであって、前記結着材が、炭素シートの平面方向にパターンを形成していることを特徴とする、炭素シート。
- 前記結着材の面積率が25〜45%であることを特徴とする、請求項1に記載の炭素シート。
ただし、結着材の面積率とは、炭素シートの表面を占める結着材の面積の割合(%)である。 - 前記パターンが、略直線からなる格子状、又は、略直線からなるストライプ状である、請求項1または2に記載の炭素シート。
- 前記パターンの線幅が、50〜1000μmであることを特徴とする、請求項3に記載の炭素シート。
- 前記パターンの線間隔が、0.2〜3.0mmであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の炭素シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の炭素シートの少なくとも片面に、マイクロポーラス層を有することを特徴とする、ガス拡散電極基材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の炭素シートを含む燃料電池。
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JP2016094323A JP2017202948A (ja) | 2016-05-10 | 2016-05-10 | 炭素シート、ガス拡散電極基材、および燃料電池 |
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WO2024204130A1 (ja) * | 2023-03-29 | 2024-10-03 | 東レ株式会社 | 炭素繊維シート、ガス拡散電極基材、膜電極接合体および燃料電池 |
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2016
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