JP2017199554A - イオンビーム照射装置及びイオンビーム照射方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオン源や引出電極などの取り付け誤差が生じたとしても、基板へのイオン照射量の均一性を担保できるようにする。【解決手段】真空容器2内で基板Wを保持する基板ホルダ3と、基板ホルダ3を移動方向(以下、X方向という)に沿って往復移動させる往復移動機構5と、往復移動機構5を制御する制御装置8と、基板ホルダ3に保持された基板Wに対してイオンビームIBを照射するイオンビーム照射部7と、イオンビームIBのX方向に沿ったビーム電流密度分布を測定するためのビーム測定機構10とを備え、制御装置8が、前記ビーム電流密度分布の中心位置であるビーム中心位置を算出するとともに、基板ホルダ3の往復移動の中心位置であるストローク中心位置を前記ビーム中心位置又はその位置に基づいて定まる所定位置に設定するようにした。【選択図】図5
Description
本発明は、例えばイオンミリング装置、イオン注入装置等のように、真空雰囲気中で基板にイオンビームを照射することによって基板に処理を施すためのイオンビーム照射装置及びイオンビーム照射方法に関するものである。
この種のイオンビーム照射装置としては、特許文献1に示すように、長辺寸法が基板よりも大きく短辺寸法が基板よりも小さい断面長方形のイオンビームを引き出すイオン源と、基板を真空チャンバ内でイオンビームの短辺方向に往復移動させる往復移動機構とを備えたものがある。
このイオンビーム照射装置は、往復移動する基板がイオンビームの照射領域を横切るように往復移動機構を制御することで、基板表面へのイオン照射量を均一化するようにしている。
ところで、例えばイオン源を真空チャンバに取り付ける際や引出電極を組み立ててイオン源を構成する際など、イオン源や引出電極に取り付け誤差が生じてしまうことがあり、そうするとイオン源から射出されるイオンビームの進行方向がそれまでのものから変わってしまう。
このことから、特許文献1に示されるイオンビーム照射装置では、それまで基板がイオンビームの照射領域を横切っていたとしても、上述した取り付け誤差によりイオンビームの進行方向が基板の移動方向にずれてしまうと基板が照射領域を横切らなくなる可能性があり、イオン照射量の均一性を担保することができないという問題が生じる。
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、イオン源や引出電極などの取り付け誤差が生じたとしても、基板へのイオン照射量の均一性を担保できるようにすることをその主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係るイオンビーム照射装置は、真空容器内で基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダを移動方向(以下、X方向という)に沿って往復移動させる往復移動機構と、前記往復移動機構を制御する制御装置と、前記基板ホルダに保持された基板に対してイオンビームを照射するイオンビーム照射部と、前記イオンビームのX方向に沿ったビーム電流密度分布を測定するためのビーム測定機構とを備え、前記制御装置が、前記ビーム電流密度分布の中心位置であるビーム中心位置を算出するとともに、前記基板ホルダの往復移動の中心位置であるストローク中心位置を前記ビーム中心位置又はその位置に基づいて定まる所定位置に設定することを特徴とする。
このように構成されたイオンビーム照射装置であれば、基板ホルダのストローク中心位置をビーム中心位置又はその位置に基づいて定まる所定位置に設定するので、イオン源や引出電極などの取り付け誤差によりイオンビームの進行方向がX方向にずれたとしても、基板ホルダの往復移動とビーム中心位置との相対関係はX方向において変わらず、基板へのイオン照射量の均一性を担保することができる。
イオン源や引出電極などの取り付け誤差により基板に対するイオンビームの照射角度が変わったり、引出電極の熱歪みなどによりイオンビームが集束又は発散したりすると、基板に照射されるイオンビームの照射面積が変わってしまう。これにより、それまでイオンビームの照射領域を横切っていた基板が照射領域を横切らなくなったり、或いは、それまで照射領域内を往復移動していた基板が照射領域からはみ出してしまったりして、イオン照射量の均一性が低下してしまうことが懸念される。
このような問題を好適に解決するためには、前記制御装置が、前記基板ホルダに保持された状態でX方向に沿って往復移動する前記基板のストローク量を、前記ビーム電流密度分布に基づいて設定することが望ましい。
このような問題を好適に解決するためには、前記制御装置が、前記基板ホルダに保持された状態でX方向に沿って往復移動する前記基板のストローク量を、前記ビーム電流密度分布に基づいて設定することが望ましい。
前記ビーム測定機構が、X方向及び前記イオンビーム照射部から射出されるイオンビームの設計上の進行方向(以下、Z方向という)と直交する方向(以下、Y方向という)に沿ったビーム電流密度分布を測定可能に構成されていることが望ましい。
このような構成であれば、イオンビームがY方向に大きくずれていた場合にそのことを知ることができ、必要に応じて基板加工を停止してメンテナンスを行い、イオンビームのY方向のずれなどを調整することができる。
このような構成であれば、イオンビームがY方向に大きくずれていた場合にそのことを知ることができ、必要に応じて基板加工を停止してメンテナンスを行い、イオンビームのY方向のずれなどを調整することができる。
上述したように、イオンビームの集束又は発散により基板に対するイオンビームの照射角度がそれまでのものと変わってしまうことがあり、そうすると例えばチルト角が変わって基板処理の精度に影響を及ぼす可能性がある。
このような問題を好適に解決するためには、前記制御装置が、Z方向と直交する平面に対して前記イオンビームが照射されるX方向の照射角度及びY方向の照射角度を、それぞれX方向に沿ったビーム電流密度分布及びY方向に沿ったビーム電流密度分布に基づいて算出することが望ましい。
このような問題を好適に解決するためには、前記制御装置が、Z方向と直交する平面に対して前記イオンビームが照射されるX方向の照射角度及びY方向の照射角度を、それぞれX方向に沿ったビーム電流密度分布及びY方向に沿ったビーム電流密度分布に基づいて算出することが望ましい。
イオンビームを適切な照射角度に調整できるようにするためには、イオンビーム照射装置が、X方向及びY方向の照射角度を調整するための照射角度調整手段をさらに具備することが望ましい。
前記照射角度調整手段の具体的な実施態様としては、前記基板ホルダを、X方向と平行な軸周りに回動させて前記基板が受け渡される受け渡し姿勢と前記基板に前記イオンビームが照射される加工姿勢との間で移動させる第1回動機構と、前記第1回動機構に支持されるとともに、Y方向と平行な軸周りに前記基板ホルダを回動させる第2回動機構とを有している構成が挙げられる。
また、本発明に係るイオンビーム照射方法は、真空容器内で基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダを移動方向(X方向)に沿って往復移動させる往復移動機構と、前記基板ホルダに保持された基板に対してイオンビームを照射するイオンビーム照射部と、前記イオンビームのX方向に沿ったビーム電流密度分布を測定するためのビーム測定機構とを備えるイオンビーム照射装置を用いたイオンビーム照射方法であり、前記ビーム電流密度分布の中心位置であるビーム中心位置を算出し、前記基板ホルダの往復移動の中心位置であるストローク中心位置を前記ビーム中心位置又はその位置に基づいて定まる所定位置に設定することを特徴とする。
このようなイオンビーム照射方法であれば、上述したイオンビーム照射装置と同様の作用効果を得ることができる。
このようなイオンビーム照射方法であれば、上述したイオンビーム照射装置と同様の作用効果を得ることができる。
このように構成された本発明によれば、イオン源や引出電極などの取り付け誤差によりイオンビームの進行方向や照射角度が変わったとしても、基板へのイオン照射量の均一性を担保することができる。
以下に、本発明に係るイオンビーム照射装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、方向の理解を容易にするために、各図中において、1点で互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を図示している。例えば、X方向及びZ方向は水平方向であり、Y方向は鉛直方向である。イオンビームは、この例ではZ方向に進行する。
<装置構成>
本実施形態のイオンビーム照射装置100は、図1に示すように、真空雰囲気中で基板WにイオンビームIBを照射して処理する装置である。この基板Wは、例えばシリコンウェーハ等の半導体基板、半導体基板の表面に磁性体膜等の膜が形成された基板等であるが、これに限られるものではない。また、基板Wの形状は、例えば円形(円周の一部分にオリエンテーションフラットやノッチを有するものもこれに含むものとする)であるが、これに限られるものではない。
本実施形態のイオンビーム照射装置100は、図1に示すように、真空雰囲気中で基板WにイオンビームIBを照射して処理する装置である。この基板Wは、例えばシリコンウェーハ等の半導体基板、半導体基板の表面に磁性体膜等の膜が形成された基板等であるが、これに限られるものではない。また、基板Wの形状は、例えば円形(円周の一部分にオリエンテーションフラットやノッチを有するものもこれに含むものとする)であるが、これに限られるものではない。
具体的にイオンビーム照射装置100は、図示しない真空排気装置によって真空に排気される真空容器2と、この真空容器2内で基板Wを保持する基板ホルダ3と、この基板ホルダ3を回転させる回転機構4と、基板ホルダ3及び回転機構4を往復移動させる往復移動機構5と、基板ホルダ3を基板Wが受け渡される受け渡し姿勢と基板WにイオンビームIBが照射される加工姿勢との間で回動させる第1回動機構6と、基板WにイオンビームIBを照射するイオンビーム照射部7と、回転機構4、往復移動機構5及び第1回動機構6を制御する制御装置8とを備えている。
基板ホルダ3は、例えば静電チャックを備えるものであり、真空容器2内において回転機構4により回転可能に設けられるとともに、往復移動機構5によりX方向に往復移動可能に設けられている。また、本実施形態の基板ホルダ3は、イオンビームIBに対する基板Wのチルト角(傾き角)φを変更するチルト機構9(以下、第2回動機構9ともいう)により傾斜可能に設けられている。この第2回動機構9は、基板ホルダ3をY方向と平行な軸周りに回動させるものである。
回転機構4は、基板ホルダ3をZ方向と平行な軸周りに回転させることにより、基板ホルダ3に保持された基板Wをその中心部Waの周りに回転させるものである。この回転機構4は、基板Wの中心部Waの周りに時計回り又は反時計回りに連続回転させるものである。図1には、回転方向Cの一例を示しているが、これと逆方向であっても良い。
往復移動機構5は、基板ホルダ3、回転機構4及び第2回動機構9を所定の移動方向D(図1等においてX方向)に沿って機械的に往復移動させることにより、基板ホルダ3に保持された基板Wを移動方向Dに沿って往復移動させるものである。この往復移動機構5による基板Wの往路及び復路は直線移動であり、また、往路及び復路は互いに重複するように構成されている。なお、往復移動機構5は、真空容器2外に設けられたアクチュエータ51と、基板ホルダ3及び回転機構4等に連結されるとともに前記アクチュエータ51により駆動される駆動軸52とを備えている。アクチュエータ51は、この例では真空容器2外に設けているが、これに限られるものではない。
第1回動機構6は、真空容器2外に配置されており、基板ホルダ3、回転機構4、往復移動機構5及び第2回動機構9をX軸に平行な軸周りに回転させるものである。この第1回動機構6は、基板ホルダ3を図示しない搬送ロボットにより搬送された基板Wが受け渡されるときの受け渡し姿勢と、基板WにイオンビームIBが照射されるときの加工姿勢との間で移動させるものである。受け渡し姿勢は、基板ホルダ3の基板載置面が水平な姿勢(すなわち、XZ平面と平行な姿勢)であり、加工姿勢は、基板載置面がイオンビームIBの進行方向に垂直な姿勢(すなわち、XY平面と平行な姿勢)である。
なお、第1回動機構6は、真空容器2内に配置されていても構わない。この場合、第1回動機構6は、往復移動機構5を回動させることなく、往復移動機構5に支持されている基板ホルダ3を回動させるように構成されていても良い。
なお、第1回動機構6は、真空容器2内に配置されていても構わない。この場合、第1回動機構6は、往復移動機構5を回動させることなく、往復移動機構5に支持されている基板ホルダ3を回動させるように構成されていても良い。
イオンビーム照射部7は、基板ホルダ3に保持された基板Wに対してイオンビームIBを照射するものである。このイオンビーム照射部7は、断面が長方形状をなすイオンビームIBを照射するものであり、イオン源70を用いて構成されている。このイオン源70は、プラズマ73を生成するプラズマ生成部71と、プラズマ73から電界の作用でイオンビームIBを引き出す引出電極系72とを有している。イオン源70は、その引出電極系72と共に、真空容器2の内部に配置しても良いし、真空容器2の外部に配置しても良い。
本実施形態では、イオン源70からのイオンビームIBの引き出し方向は、重力方向Gと交差する方向(例えば、図1に示す例のように実質的に直交する方向、または斜めの方向)にするのが好ましい。具体的には、イオン源70のビーム引き出し口Hと基板Wとが水平方向において互いに対向している。このようにすると、イオン源70の真下に基板Wを配置せずに済み、イオン源70内部の堆積物の剥離片等の異物(ゴミ)がイオン源70から落下しても基板Wに混入しにくくなる。その結果、異物混入による基板Wの処理不良の発生を抑制することができる。
なお、イオン源70は、(a)多極磁界(カスプ磁界)を用いてプラズマ73の閉じ込め等を行う、いわゆるバケット型イオン源(多極磁界型イオン源とも呼ばれる)でも良いし、(b)高周波放電によってプラズマ73を生成する高周波イオン源でも良いし、(c)陰極と反射電極とを対向させ、かつ両者を結ぶ軸に沿う方向に磁界を印加してプラズマ73を生成する、いわゆるバーナス型イオン源でも良い。また、引出電極系72を構成する電極の数は、特定のものに限定されない。また、引出電極系72を構成する電極には、必要に応じて冷却パイプを設けても良いし、設けなくても良い。
このイオン源70により基板Wに照射されるイオンビームIBは、図2に示すように、その長手方向が移動方向D(X方向)と直交するように基板Wに向かって照射される。この断面長方形状のイオンビームIBは、イオン源70の長方形状をなすビーム引き出し口H(引出電極系72のビーム引き出し領域)から射出されることにより形成される。
制御装置8は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、前記メモリの所定領域に格納されたプログラムに従ってCPUや周辺機器が協働することにより、往復移動機構5を制御して、基板ホルダ3に保持された基板W全体がイオンビームIBの照射領域を横切るように基板ホルダ3を往復移動させる。具体的な制御内容については後述する。なお、制御装置8は、回転機構4を制御して基板Wを適宜回転させる機能や、第2回動機構9(チルト機構)を制御して基板Wのチルト角φを制御する機能も有する。
ここで、本実施形態のイオンビーム照射装置100は、図1に示すように、イオンビームIBのビーム電流密度分布を測定するためのビーム測定機構10をさらに備えている。
このビーム測定機構10は、図3に示すように、ファラデーカップ11を利用したものであり、ここでは複数のファラデーカップ11と、これらのファラデーカップ11を一体的に支持するとともに所定方向に駆動させる駆動機構12とを備えている。
駆動機構12は、例えばボールねじ等のリニアスライドであり、本実施形態では制御装置8に制御されて、Y方向に敷設された多数のファラデーカップ11をX方向に駆動させるものである。
駆動機構12は、例えばボールねじ等のリニアスライドであり、本実施形態では制御装置8に制御されて、Y方向に敷設された多数のファラデーカップ11をX方向に駆動させるものである。
本実施形態のビーム測定機構10は、往復移動機構5などとの干渉を確実に避けるべく、真空容器2内におけるイオンビームIBの下流側端部、すなわち真空容器2においてイオンビーム照射部7と対向する壁面の近傍に設けてある。なお、ビーム測定機構10は、基板WにイオンビームIBが照射される位置でのビーム電流密度分布を測定すべく、イオンビームIBが照射される基板Wとファラデーカップ11の敷設面とがZ方向において一致するように配置されていても良い。
そして、前記制御装置8は、イオンビームIBのX方向に沿ったビーム電流密度分布(以下、X方向ビーム電流密度分布という)に基づいて、その中心位置であるビーム中心位置(以下、X方向ビーム中心位置という)を算出し、基板ホルダ3の往復移動の中心位置(以下、ストローク中心位置という)をX方向ビーム中心位置に設定する。
具体的に制御装置8は、まず駆動機構12を制御して敷設されたファラデーカップ11をX方向に駆動させ、そのときの各ファラデーカップ11により測定された電流値に基づいて、X方向ビーム電流密度分布を求める。
X方向ビーム電流密度分布として現れる形状(ビームプロファイル)は、1つのピークを有するほぼ左右対照的な山形形状(図4上段)や、2つのピークを有するほぼ左右対照的な山形形状(図4中段)や、スパイク状(パルス状)のノイズが重畳された山形形状(図4下段)などが挙げられる。なお、図4中段や図4下段に示されるように2つのピークが現れる理由は、引出電極系72を構成する引出電極に冷却パイプを設けたことにより、この部分からはイオンビームIBを引き出すことができないからである。
X方向ビーム電流密度分布として現れる形状(ビームプロファイル)は、1つのピークを有するほぼ左右対照的な山形形状(図4上段)や、2つのピークを有するほぼ左右対照的な山形形状(図4中段)や、スパイク状(パルス状)のノイズが重畳された山形形状(図4下段)などが挙げられる。なお、図4中段や図4下段に示されるように2つのピークが現れる理由は、引出電極系72を構成する引出電極に冷却パイプを設けたことにより、この部分からはイオンビームIBを引き出すことができないからである。
次に、制御装置8は、X方向ビーム電流密度分布から所定の演算式に基づいてX方向ビーム中心位置を算出する。具体的な算出方法は、上述したそれぞれのビームプロファイルに対応して定められており、X方向ビーム電流密度分布におけるビーム電流密度が最大となる位置や(図4上段)、X方向ビーム電流密度分布における2つのピークの中間位置や(図4中段)、X方向ビーム電流密度分布における左右の積分値(面積)が等しくなる位置(図4下段)をX方向ビーム中心位置として算出する方法などが挙げられる。
なお、何れの方法を用いるかは、ユーザがビームプロファイルを確認して制御装置8に入力しても良いし、制御装置8がビームプロファイルに基づいて自動的に適宜選択するようにしても良い。
なお、何れの方法を用いるかは、ユーザがビームプロファイルを確認して制御装置8に入力しても良いし、制御装置8がビームプロファイルに基づいて自動的に適宜選択するようにしても良い。
ここではX方向ビーム中心位置の基準点(原点)は、設計上のイオンビームIBをZ方向においてファラデーカップ11が配置されている位置で切断した断面の中心としている。
このようにX方向ビーム中心位置を算出した結果、例えば図5に示すように、X方向ビーム中心位置が原点よりもX方向に100mmずれた位置にある場合、制御装置8はストローク中心位置を原点よりもX方向に100mmずれた位置に設定する。つまり、制御装置8は、ストローク中心位置がX方向ビーム中心位置と一致するように、上述した往復移動機構5を制御する。
なお、図5に示されるビームプロファイルは、図4上段に示されるビームプロファイルが位置ずれした場合を例示したものであるが、図4中段や図4下段に示されるビームプロファイルが位置ずれした場合も、制御装置8は同様の制御を行なう。
なお、図5に示されるビームプロファイルは、図4上段に示されるビームプロファイルが位置ずれした場合を例示したものであるが、図4中段や図4下段に示されるビームプロファイルが位置ずれした場合も、制御装置8は同様の制御を行なう。
また、本実施形態の制御装置8は、基板ホルダ3に保持された状態でX方向に沿って往復移動する基板Wのストローク量を、X方向ビーム電流密度分布に基づいて設定する。なお、ここでのストローク量は、図5に示すように、基板ホルダ3とともに往復移動する基板Wが一端側に位置する場合の基板Wの中心と、他端側に位置する場合の基板Wの中心との間の距離としているが、ストローク量の定義は適宜変更して構わない。
ストローク量の算出方法を具体的に説明すると、まず制御装置8は、上述したX方向ビーム電流密度分布に基づいて図2に示される照射領域のX方向の幅(以下、有効ビーム幅という)を算出する。ここでいう照射領域とは、ビーム電流密度が所定値以上であり基板加工に利用される領域であり、逆に照射領域の外側は、ビーム電流密度が所定値よりも小さく基板加工に利用されない領域である。本実施形態では、図5に示すように、例えばビーム電流密度がピークに対して半分の大きさとなる幅(半値幅)を有効ビーム幅としている。
そして、制御装置8は、往復移動する基板Wの全体が少なくとも算出された有効ビーム幅を横切るように、ストローク量を設定する。
具体的には、算出された有効ビーム幅と基準値とを比較して、有効ビーム幅が基準値よりも大きい場合は、基板Wが算出された有効ビーム幅を横切るように、往復移動機構5を制御してストローク量を調整する。一方、有効ビーム幅が基準値と一致する場合或いは基準値よりも小さい場合は、そのときのストローク量で基板Wが有効ビーム幅を横切ると判断して、制御装置8はそのときのストローク量を維持する。
なお、基準値は、それ以前に算出された有効ビーム幅や設計上のイオンビームIBの有効ビーム幅などである。
具体的には、算出された有効ビーム幅と基準値とを比較して、有効ビーム幅が基準値よりも大きい場合は、基板Wが算出された有効ビーム幅を横切るように、往復移動機構5を制御してストローク量を調整する。一方、有効ビーム幅が基準値と一致する場合或いは基準値よりも小さい場合は、そのときのストローク量で基板Wが有効ビーム幅を横切ると判断して、制御装置8はそのときのストローク量を維持する。
なお、基準値は、それ以前に算出された有効ビーム幅や設計上のイオンビームIBの有効ビーム幅などである。
ところで、本実施形態では、図3に示すように、多数のファラデーカップ11がY方向に敷設されているところ、制御装置8は、これらのファラデーカップ11により測定された電流値に基づき、イオンビームIBのY方向に沿ったビーム電流密度分布(以下、Y方向ビーム電流密度分布という)を算出することができる。
このことから、制御装置8は、X方向ビーム電流密度分布と同様に、Y方向ビーム電流密度分布の中心位置や有効ビーム幅を算出して、例えば前記中心位置と原点との距離が閾値以上になった場合や、有効ビーム幅が所定範囲を超えている場合に、装置の異常を知らせる異常信号を出力するように構成されている。具体的に制御装置8は、アラームを鳴らすための信号や、警告灯をともすための信号などを出力して、例えばY方向におけるストローク中心位置などの調整を促す。これにより、制御装置8にインターロック機能を備えさせることができる。
さらに、制御装置8は、X方向ビーム電流密度分布及びY方向ビーム電流密度分布に基づいて、XY平面に対してイオンビームIBが照射されるX方向の照射角度(以下、X方向照射角度という)及びY方向の照射角度(以下、Y方向照射角度という)を算出するように構成されている。
本実施形態の制御装置8は、図6に示すように、X方向照射角度及びY方向照射角度を測定するための照射角度測定手段20を制御して各方向の照射角度を算出する。
照射角度測定手段20は、ファラデーカップ11に照射されるイオンビームIBを遮蔽する複数のマスク部材21a、bと、これらのマスク部材21a、bをX方向やY方向に沿って駆動する図示しないマスク駆動機構とを有している。
なお、マスク部材21a、bの形状は特に限定されるものではないが、ここでは矩形平板状のものである。
なお、マスク部材21a、bの形状は特に限定されるものではないが、ここでは矩形平板状のものである。
以下、Y方向照射角度の算出方法について図7及び図8を参照しながら説明する。
なお、ここでは算出を簡素化すべく、図7に示すように、引出電極系72を構成する各引出電極の電極孔を通って引き出されたビームレットの点光源が、真空容器2におけるイオンビーム照射部7が設けられている壁面にあるものとする。
なお、ここでは算出を簡素化すべく、図7に示すように、引出電極系72を構成する各引出電極の電極孔を通って引き出されたビームレットの点光源が、真空容器2におけるイオンビーム照射部7が設けられている壁面にあるものとする。
まず、制御装置8は、図示しないマスク駆動機構を制御して、少なくとも1つのファラデーカップ11を横切るように第1のマスク部材21aをY方向に沿ってY1からY0まで移動させる。このとき制御装置8は、図8に示すように、前記1つのファラデーカップ11により測定されるビーム電流密度の変化量Jをモニタする。
ここで、ビームレットのビーム電流密度分布は、理想的にはおおよそガウス分布になるので、イオンビームIBがY方向の角度成分を有していなければ、Y1からY0に向かう間に第1のマスク部材21aの先端がファラデーカップ11の中心に達した位置Ycにおいて、ビーム電流密度の変化量Jが最大になるはずである。
このことから、上述した変化量Jのモニタにより、図7及び図8に示すように、実際に変化量Jが最大になる位置と、理想的に変化量Jが最大になるはずの位置Ycとの距離A2を検出することで、Y方向照射角度は、θy=atan(A2/A1)として算出される。
なお、A1は、ビームレットの点光源からファラデーカップ11までのZ方向に沿った距離である。
なお、A1は、ビームレットの点光源からファラデーカップ11までのZ方向に沿った距離である。
X方向照射角度も同様の算出方法で求めることができる。
ここでは、図6に示すように、複数のファラデーカップ11を覆う第2のマスク21bをX方向に移動させる。
この場合、例えば複数のファラデーカップ11により測定されるビーム電流密度の平均値の変化量をモニタして、その変化量が最大になる第2のマスク部材21bの位置に基づきX方向照射角度を算出することができる。
なお、それぞれのファラデーカップ11により測定されるビーム電流密度の変化量をモニタして、これらの変化量から算出されるそれぞれのX方向の角度成分を平均してX方向照射角度としても良い。
ここでは、図6に示すように、複数のファラデーカップ11を覆う第2のマスク21bをX方向に移動させる。
この場合、例えば複数のファラデーカップ11により測定されるビーム電流密度の平均値の変化量をモニタして、その変化量が最大になる第2のマスク部材21bの位置に基づきX方向照射角度を算出することができる。
なお、それぞれのファラデーカップ11により測定されるビーム電流密度の変化量をモニタして、これらの変化量から算出されるそれぞれのX方向の角度成分を平均してX方向照射角度としても良い。
このようにX方向照射角度及びY方向照射角度を算出したあと、制御装置8は、図1に示すように、イオンビームIBの照射角度を調整するための照射角度調整手段30を制御して、イオンビームIBのXY平面に対する照射角度を調整する。
この照射角度調整手段30は、機械的にX方向照射角度及びY方向照射角度を調整可能にするものであり、イオンビームIBの進行方向(Z方向)に対してX方向及びY方向に基板Wを傾けるものである。
具体的に照射角度調整手段30は、上述した第1回動機構6と第2回動機構9とから構成されており、制御装置8は、Y方向照射角度に基づいて第1回動機構6を制御し、X方向照射角度に基づいて第2回動機構9を制御する。
具体的には、Y方向照射角度及びX方向照射角度それぞれが予め設定された目標角度となるように、第1回動機構6及び第2回動機構9を制御する。
具体的には、Y方向照射角度及びX方向照射角度それぞれが予め設定された目標角度となるように、第1回動機構6及び第2回動機構9を制御する。
<本実施形態の効果>
このように構成された本実施形態に係るイオンビーム照射装置100によれば、制御装置8が基板ホルダ3のストローク中心位置をX方向ビーム中心位置に一致させているので、イオン源70や引出電極系72などの取り付け誤差によりイオンビームIBの進行方向がX方向にずれたとしても、基板ホルダ3の往復移動とX方向ビーム中心位置との相対関係はX方向において変わらず、基板Wへのイオン照射量の均一性を担保することができる。
このように構成された本実施形態に係るイオンビーム照射装置100によれば、制御装置8が基板ホルダ3のストローク中心位置をX方向ビーム中心位置に一致させているので、イオン源70や引出電極系72などの取り付け誤差によりイオンビームIBの進行方向がX方向にずれたとしても、基板ホルダ3の往復移動とX方向ビーム中心位置との相対関係はX方向において変わらず、基板Wへのイオン照射量の均一性を担保することができる。
また、制御装置8が、X方向ビーム電流密度分布に基づいて基板WがイオンビームIBの有効ビーム幅を横切るようにストローク量を設定しているので、上述の取り付け誤差によりイオンビームIBが集束又は発散したとしても、イオン照射量の均一性を担保することができる。
さらに、制御装置8がY方向ビーム電流密度分布の中心位置や有効ビーム幅を算出して、これらの中心位置や有効ビーム幅に基づいて装置の異常を知らせる異常信号を出力するので、ユーザは、イオンビームIBがY方向に大きくずれていた場合にそのことを知ることができ、必要に応じて基板加工を停止してメンテナンスを行い、イオンビームIBのY方向のずれなどを調整することができる。
そのうえ、制御装置8がX方向ビーム電流密度分布及びY方向ビーム電流密度分布に基づいて、X方向照射角度及びY方向照射角度を算出して、これらの照射角度に基づき照射角度調整手段30を制御するので、イオンビームIBの集束又は発散により基板Wに対してイオンビームIBが照射される照射角度が変わったとしても、基板処理の精度を担保することができる。
さらに加えて、照射角度調整手段30が、第1回動機構6及び第2回動機構9から構成されているので、X方向照射角度やY方向照射角度を調整するための専用の機構を必要とせず、既存の機構を利用してX方向照射角度やY方向照射角度を調整することができる。
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、ストローク中心位置をX方向ビーム中心位置に一致させていたが、必ずしもX方向中心位置に一致させる必要はなく、ストローク中心位置をX方向ビーム中心位置に基づいて定められた所定位置に一致させても良い。
もちろん、所定位置は、X方向ビーム中心位置とY方向ビーム中心位置との両方の位置に基づいて定められても良い。
もちろん、所定位置は、X方向ビーム中心位置とY方向ビーム中心位置との両方の位置に基づいて定められても良い。
また、前記実施形態のビーム測定機構は、Y方向に敷設された複数のファラデーカップをX方向に駆動させる構成であったが、図9上段に示すように、X方向に敷設された複数のファラデーカップ11をY方向に駆動させる構成であっても良いし、図9下段に示すように、1又は複数のファラデーカップ11をX方向及びY方向にそれぞれリニアスライド等を利用して駆動させる構成であっても良い。
さらに、ビーム測定機構10は、図10上段に示すように、X方向及びY方向に沿って平面状に複数のファラデーカップ11を敷設したものであっても良い。この場合、ファラデーカップ11を駆動させる機構を不要にすることができる。一方で、敷設されたファラデーカップ11を固定させておく場合、基板ホルダ3などの駆動が妨害されないようにすべく、ファラデーカップ11の配置は、各構成よりもイオンビームIBの進行方向下流側にする必要がある。
加えて、前記実施形態のように複数のファラデーカップを1列に敷設した場合、ファラデーカップ間ではビーム電流密度を測定することができないため、図10下段に示すように、Y方向に沿って複数列に且つ千鳥状にファラデーカップ11を配置しても良い。
さらに、ビーム測定機構10は、図10上段に示すように、X方向及びY方向に沿って平面状に複数のファラデーカップ11を敷設したものであっても良い。この場合、ファラデーカップ11を駆動させる機構を不要にすることができる。一方で、敷設されたファラデーカップ11を固定させておく場合、基板ホルダ3などの駆動が妨害されないようにすべく、ファラデーカップ11の配置は、各構成よりもイオンビームIBの進行方向下流側にする必要がある。
加えて、前記実施形態のように複数のファラデーカップを1列に敷設した場合、ファラデーカップ間ではビーム電流密度を測定することができないため、図10下段に示すように、Y方向に沿って複数列に且つ千鳥状にファラデーカップ11を配置しても良い。
また、照射角度測定手段20のマスク部材21a、bとしては、図11に示すように、1又は複数の例えばピンホールなどの穴hが形成されたものであっても良い。
この場合、X方向照射角度及びY方向照射角度の算出方法におけるA1の定義が前記実施形態とは異なり、その他の考え方は前記実施形態と同様である。具体的にこの場合のA1は、図12に示すように、マスク部材21a(又は21b)からファラデーカップ11までのZ方向の距離とすれば良い。そして、ビーム電流密度の変化量が実際に最大になる位置と、理想的に最大になるはずの位置との距離A2を検出することで、Y方向照射角度は、θy=atan(A2/A1)として算出することができる。
なお、上述した構成において、穴h数は限定されないが、互いに隣り合う穴h間の距離は、これらの穴hを通過したイオンビームが1つの同じファラデーカップ11に入射しない程度の距離にしておくことが望ましい。
この場合、X方向照射角度及びY方向照射角度の算出方法におけるA1の定義が前記実施形態とは異なり、その他の考え方は前記実施形態と同様である。具体的にこの場合のA1は、図12に示すように、マスク部材21a(又は21b)からファラデーカップ11までのZ方向の距離とすれば良い。そして、ビーム電流密度の変化量が実際に最大になる位置と、理想的に最大になるはずの位置との距離A2を検出することで、Y方向照射角度は、θy=atan(A2/A1)として算出することができる。
なお、上述した構成において、穴h数は限定されないが、互いに隣り合う穴h間の距離は、これらの穴hを通過したイオンビームが1つの同じファラデーカップ11に入射しない程度の距離にしておくことが望ましい。
さらに、照射角度測定手段20のマスク部材21としては、図13に示すように、1又は複数のスリットsが形成されたものであっても良い。
具体的にこのマスク部材21は、例えば2本のスリットsがそれぞれX方向及びY方向に沿って形成されている。X方向に沿ったスリットsは、ファラデーカップ11のX方向に沿った長さよりも長く形成されており、Y方向に沿ったスリットsは、Y方向に沿って複数のファラデーカップ11を跨ぐように形成されている。
具体的にこのマスク部材21は、例えば2本のスリットsがそれぞれX方向及びY方向に沿って形成されている。X方向に沿ったスリットsは、ファラデーカップ11のX方向に沿った長さよりも長く形成されており、Y方向に沿ったスリットsは、Y方向に沿って複数のファラデーカップ11を跨ぐように形成されている。
このように構成されたマスク部材21を用いる場合、X方向照射角度の測定時はマスク部材21を固定して、ファラデーカップ11をX方向に沿って所定範囲内を移動させる。このとき、Y方向に沿って形成されたスリットsを通過してファラデーカップ11に入射するイオンビームIBのビーム電流密度分布を測定する。そして、その中心位置を検出することで、X方向照射角度を算出することができる。この場合のA1は、マスク部材21にピンホール等の穴hを形成した場合と同様であり、マスク部材21からファラデーカップ11までのZ方向の距離とすれば良い。
なお、マスク部材21をX方向に沿って所定範囲内を移動させて、ファラデーカップ11を固定しても良い。
なお、マスク部材21をX方向に沿って所定範囲内を移動させて、ファラデーカップ11を固定しても良い。
一方、Y方向照射角度の測定時は、マスク部材21及びファラデーカップ11の両方を固定させておき、X方向に沿って形成されたスリットsを通過した1つのファラデーカップ11に入射するイオンビームIBのビーム電流密度分布を測定する。そして、その中心位置を検出することで、Y方向照射角度を算出することができる。この場合のA1は、マスク部材21にピンホール等の穴hを形成した場合と同様であり、マスク部材21からファラデーカップ11までのZ方向の距離とすれば良い。
加えて、制御装置は、X方向ビーム電流密度分布及びY方向ビーム電流密度分布に基づいて、照射角度測定手段を用いることなく、X方向照射角度及びY方向照射角度を算出するように構成されていても良い。
具体的に説明すると、制御装置は、まずX方向ビーム電流密度分布及びY方向ビーム電流密度分布に基づいて、X方向ビーム中心位置及びY方向ビーム中心位置を算出する。
次に、制御装置は、ファラデーカップによってビームプロファイルを測定するビームプロファイル測定領域の中心位置を算出する。このビームプロファイル測定領域は、複数のファラデーカップを移動させる場合は、複数のファラデーカップが移動する全領域がビームプロファイル測定領域であり、ファラデーカップをX方向及びY方向に敷設させて固定させておく場合は、これらのファラデーカップが敷設された全領域がビームプロファイル測定領域である。
そして、ビームレットの点光源をプラズマチャンバの端面に設定することで、X方向ビーム中心位置とビームプロファイル測定領域の中心位置との距離からX方向照射角度を算出することができ、Y方向ビーム中心位置とビームプロファイル測定領域の中心位置との距離からY方向照射角度を算出することができる。
具体的に説明すると、制御装置は、まずX方向ビーム電流密度分布及びY方向ビーム電流密度分布に基づいて、X方向ビーム中心位置及びY方向ビーム中心位置を算出する。
次に、制御装置は、ファラデーカップによってビームプロファイルを測定するビームプロファイル測定領域の中心位置を算出する。このビームプロファイル測定領域は、複数のファラデーカップを移動させる場合は、複数のファラデーカップが移動する全領域がビームプロファイル測定領域であり、ファラデーカップをX方向及びY方向に敷設させて固定させておく場合は、これらのファラデーカップが敷設された全領域がビームプロファイル測定領域である。
そして、ビームレットの点光源をプラズマチャンバの端面に設定することで、X方向ビーム中心位置とビームプロファイル測定領域の中心位置との距離からX方向照射角度を算出することができ、Y方向ビーム中心位置とビームプロファイル測定領域の中心位置との距離からY方向照射角度を算出することができる。
また、照射角度調整手段としては、前記実施形態のように第1回動機構及び第2回動機構を利用したものに限られず、例えばイオン源や引出電極系を回動させる機構を利用したものであっても良い。ただし、この場合は、装置全体が大型化及び複雑化するので、費用やメンテナンス性の観点からは前記実施形態の構成の方が好ましい。
さらに、照射角度調整手段は、X方向照射角度及びY方向照射角度を光学的に調整するものであっても良い。かかる照射角度調整手段としては、磁場及び電場を利用したものが考えられる。具体的には、例えばイオンビームを挟む一対の磁極や電極をX方向やY方向に沿って複数並べた均一化レンズなどを用いてイオンビームの局所的な偏向を調整するものや、コイルを用いて発生させた磁場によりビーム全体の角度を調整する構成などが挙げられる。
なお、光学的にX方向照射角度及びY方向照射角度の両方を調整しようとした場合、費用が高くなる、ビームラインが長くなる、ビーム電流密度分布やプラズマ分布に影響を及ぼすなどの問題が生じ得る。
そこで、光学的な構成を利用する場合は、例えば制御装置がY方向照射角度を調整するために第1回動機構を制御する機能を備えておらず、X方向照射角度を調整するために第2回動機構を制御する機能のみを備える場合、Y方向照射角度のみを光学的に調整する態様が考えられる。
なお、光学的にX方向照射角度及びY方向照射角度の両方を調整しようとした場合、費用が高くなる、ビームラインが長くなる、ビーム電流密度分布やプラズマ分布に影響を及ぼすなどの問題が生じ得る。
そこで、光学的な構成を利用する場合は、例えば制御装置がY方向照射角度を調整するために第1回動機構を制御する機能を備えておらず、X方向照射角度を調整するために第2回動機構を制御する機能のみを備える場合、Y方向照射角度のみを光学的に調整する態様が考えられる。
そのうえ、イオンビーム照射装置は、イオンビームの照射領域内をはみ出さないように基板を往復移動させる構成であっても良い。
このような構成であれば、基板の往復移動中に該基板にイオンビームを照射し続けることができるので、スループットを向上させることができる。
一方、上述した構成の場合、前記実施形態の構成に比べて、イオンビームのX方向(基板の移動方向)に沿ったサイズを大きくしなければならないので、その分引出電極が大きくなる。これにより、引出電極の歪みなどによってイオンビームの進行方向が変わってしまうという問題がより顕著に生じ得る。
このような構成であれば、基板の往復移動中に該基板にイオンビームを照射し続けることができるので、スループットを向上させることができる。
一方、上述した構成の場合、前記実施形態の構成に比べて、イオンビームのX方向(基板の移動方向)に沿ったサイズを大きくしなければならないので、その分引出電極が大きくなる。これにより、引出電極の歪みなどによってイオンビームの進行方向が変わってしまうという問題がより顕著に生じ得る。
そこでかかる問題を好適に解決すべく、制御装置は、前記実施形態と同様に、ストローク中心位置及びストローク量をX方向ビーム電流密度分布に基づいて制御することが好ましい。
より具体的に制御装置は、図14に示すように、X方向電流密度分布に基づいてX方向ビーム中心位置を算出し、ストローク中心位置をX方向ビーム中心位置に設定する。また、この制御装置は、照射領域のX方向の幅、すなわち有効ビーム幅(ここでは半値幅)を算出するとともに、基板が有効ビーム幅内で往復移動するように、つまり往復移動する基板が有効ビーム幅をはみ出さないように、ストローク量を設定する。
このような構成であれば、引出電極の歪みなどによってイオンビームの進行方向がX方向にずれたとしても、基板へのイオン照射量の均一性を担保することができる。
より具体的に制御装置は、図14に示すように、X方向電流密度分布に基づいてX方向ビーム中心位置を算出し、ストローク中心位置をX方向ビーム中心位置に設定する。また、この制御装置は、照射領域のX方向の幅、すなわち有効ビーム幅(ここでは半値幅)を算出するとともに、基板が有効ビーム幅内で往復移動するように、つまり往復移動する基板が有効ビーム幅をはみ出さないように、ストローク量を設定する。
このような構成であれば、引出電極の歪みなどによってイオンビームの進行方向がX方向にずれたとしても、基板へのイオン照射量の均一性を担保することができる。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
100・・・イオンビーム照射装置
W ・・・基板
2 ・・・真空容器
3 ・・・基板ホルダ
4 ・・・回転機構
5 ・・・往復移動機構
6 ・・・第1回動機構
7 ・・・イオンビーム照射部
8 ・・・制御装置
9 ・・・第2回動機構
10 ・・・ビーム測定機構
20 ・・・照射角度測定手段
W ・・・基板
2 ・・・真空容器
3 ・・・基板ホルダ
4 ・・・回転機構
5 ・・・往復移動機構
6 ・・・第1回動機構
7 ・・・イオンビーム照射部
8 ・・・制御装置
9 ・・・第2回動機構
10 ・・・ビーム測定機構
20 ・・・照射角度測定手段
Claims (7)
- 真空容器内で基板を保持する基板ホルダと、
前記基板ホルダを移動方向(以下、X方向という)に沿って往復移動させる往復移動機構と、
前記往復移動機構を制御する制御装置と、
前記基板ホルダに保持された基板に対してイオンビームを照射するイオンビーム照射部と、
前記イオンビームのX方向に沿ったビーム電流密度分布を測定するためのビーム測定機構とを備え、
前記制御装置が、前記ビーム電流密度分布の中心位置であるビーム中心位置を算出するとともに、前記基板ホルダの往復移動の中心位置であるストローク中心位置を前記ビーム中心位置又はその位置に基づいて定まる所定位置に設定するイオンビーム照射装置。 - 前記制御装置が、前記基板ホルダに保持された状態でX方向に沿って往復移動する前記基板のストローク量を、前記ビーム電流密度分布に基づいて設定する請求項1記載のイオンビーム照射装置。
- 前記ビーム測定機構が、X方向及び前記イオンビーム照射部から射出されるイオンビームの設計上の進行方向(以下、Z方向という)と直交する方向(以下、Y方向という)に沿ったビーム電流密度分布を測定可能に構成されている請求項1又は2記載のイオンビーム照射装置。
- 前記制御装置が、Z方向と直交する平面に対して前記イオンビームが照射されるX方向の照射角度及びY方向の照射角度を、それぞれX方向に沿ったビーム電流密度分布及びY方向に沿ったビーム電流密度分布に基づいて算出する請求項3記載のイオンビーム照射装置。
- X方向及びY方向の照射角度を調整するための照射角度調整手段をさらに具備する請求項4記載のイオンビーム照射装置。
- 前記照射角度調整手段が、
前記基板ホルダを、X方向と平行な軸周りに回動させて前記基板が受け渡される受け渡し姿勢と前記基板に前記イオンビームが照射される加工姿勢との間で移動させる第1回動機構と、
前記第1回動機構に支持されるとともに、Y方向と平行な軸周りに前記基板ホルダを回動させる第2回動機構とを有している請求項5記載のイオンビーム照射装置。 - 真空容器内で基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダを移動方向(以下、X方向という)に沿って往復移動させる往復移動機構と、前記基板ホルダに保持された基板に対してイオンビームを照射するイオンビーム照射部と、前記イオンビームのX方向に沿ったビーム電流密度分布を測定するためのビーム測定機構とを備えるイオンビーム照射装置を用いたイオンビーム照射方法であり、
前記ビーム電流密度分布の中心位置であるビーム中心位置を算出し、前記基板ホルダの往復移動の中心位置であるストローク中心位置を前記ビーム中心位置又はその位置に基づいて定まる所定位置に設定するイオンビーム照射方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016089450A JP2017199554A (ja) | 2016-04-27 | 2016-04-27 | イオンビーム照射装置及びイオンビーム照射方法 |
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---|---|---|---|---|
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-
2016
- 2016-04-27 JP JP2016089450A patent/JP2017199554A/ja active Pending
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