<ステープラの全体構成>以下、この実施例のステープラの全体的な構成について説明する。
先ず、図1の斜視図(または図1Aの側面図)を用いて、「方向」について説明する。この実施例では、ステープラ1を、用紙を挿入する方向を基準にして、手前側を前、奥側を後、右側を右、左側を左、上側を上、下側を下としている。即ち、前後方向X、左右方向Y、上下方向Zとなっている。但し、方向については、相対的なものである。
次に、図2を用いて、ステープラ1に使用する針(ステープル)について説明する。この針は、紙製や合成樹脂製などでできた非金属針2(または軟質針)とされている。なお、非金属針2の方向については、ステープラ1に装着された状態を基準にして説明する。
1本の非金属針2は、頂部となる中央のクラウン2aの両端にほぼ直角に曲げられる左右一対の針脚2b,2cを有する逆U字状(または下向きコ字状)のものとされる。非金属針2は、クラウン2aを、ステープラ1に対して左右方向Yへ向けた状態で装着され、左右一対の針脚2b,2cは、ステープラ1の内部で下側へ向けて折り曲げられることになる。なお、非金属針2は、前後方向Xに対して、所要の長さを有するものとされている(非金属針2の幅、または、非金属針2の短手方向の長さ)。
そして、図3に示すように、左右一対の針脚2b,2cを用紙Pの貫通孔p1に差し込んで、用紙Pの裏面側に突出された針脚2b,2cを、用紙Pの裏面に沿って順番に内折りにすることで、複数枚の用紙Pを重ねて綴じることができる。内折りにした針脚2b,2cが重なるように、左右一対の針脚2b,2cを足した長さは、クラウン2aよりも長く設定されている。
この際、後から内折りされる針脚2cの内面(または裏面)には、針脚2b,2cを用紙Pの裏面に沿って内折りにした時に、先に内折りされている針脚2bの外面(または表面)に粘着固定できるようにするための粘着部2dが設けられている。これに対し、非金属針2の、少なくとも後から内折りされる針脚2cの外面(または表面)には、(非金属針2をロール状に巻き回したり、上下に重ねたりした時に)粘着部2dによって粘着されないようにするための非粘着加工が施されている。
そして、図4に示すように、連続的な操作が可能となるように、非金属針2は、平らに延ばした状態で複数連結されて帯状の連結針3(または軟質連結針)とされる。そして、図5に示すように、この帯状の連結針3を、ロール状に巻くことで、連結針3を長尺化すると共に、ステープラ1の内部に収容してコンパクトに使用し得るようにする(ロール状連結針)。
図4に示すように、連結針3は、左右方向Yへ真っ直ぐに延びた状態の細長い長方形状をした非金属針2を、連結部3aで部分的に連結して前後方向Xに複数連ねたものである。連結部3aは、左右方向Yの両端部近傍の2箇所の位置に設けられており、左右の連結部3aよりも外側の部分(の前後縁部)には、連結針3を用紙Pの貫通孔p1へ通し易いように、先細り形状にするためのテーパ状をしたスリット部3bが設けられている。また、左右の連結部3aの内側の部分は、前後に隣接する非金属針2の後縁部と前縁部とを分離する連続したスリット部3cとされている。
各連結部3aとその内側のスリット部3cとの境界部分には、連結針3を操作するための孔部4が左右一対設けられている。この孔部4は、連結針3を操作するための係止孔や、送り孔や、位置決め孔などとして使われるものである。この孔部4は、丸孔や角孔や、細長い孔などとすることができる。この場合には、角丸四角形状とされている。
但し、連結部3aおよび孔部4の位置や個数は、上記に限るものではない。例えば、図4では、上記したように前後の非金属針2の境界部分に設けられた左右一対の孔部4の他に、更に、各非金属針2の前後方向Xおよび左右方向Yの中央部に第三の孔部4を設けるようにしている。但し、この第三の孔部4は、必要ない場合には、設けなくても良い。また、図6に示すように、孔部4を、各非金属針2の前後方向Xおよび左右方向Yの中央部に1個のみ設けるようにしても良い。または、孔部4は、左右方向Yに対して3個以上設けるようにしても良い。
なお、上記した非金属針2は、図4の左右一対の孔部4よりも左右方向Yの中央寄りの位置にて、前後方向Xへ真っ直ぐに延びる折目を形成するように下側へ折り曲げられることになる(図2参照)。このような連結針3は、例えば、均一肉厚で平坦な紙や合成樹脂のシートなどを上記形状となるように抜き加工することなどによって得ることができる。
次に、ステープラ1について説明する。
図1に戻って、上記したステープラ1は、台上に載置可能なステープラ本体5と、ステープラ本体5に対して押し下げ可能に取付けられた操作ハンドル6とを備えている。
ステープラ本体5の前側には、用紙P(図7、図8参照)をセットするための用紙台7が設けられており、用紙台7の奥には、用紙Pを綴じる位置となる用紙差込部8(綴じ部)が設けられている。用紙台7および用紙差込部8は、ほぼ水平に設けられ、用紙台7の上部は、ステープラ本体5の前側部分を用紙差込部8へ向かってほぼ後ろ下がりの傾斜形状となるように切り欠くことで、ステープラ本体5の前側部分には、用紙台7および用紙差込部8が、全体として、ほぼ横向きY字状となるように設けられている。
そして、この用紙差込部8の奥部には、図7に示すように、用紙Pを、用紙Pの辺と平行に綴じるための平行綴じ用ガイド部7aと、図8に示すように、用紙Pの角を斜めに綴じるための角綴じ用ガイド部7bと、が設けられている。また、用紙台7には、角綴じ用ガイド部7bに用紙Pの角をセットした時に、用紙Pの角を構成する二辺の位置を合わるための目安となる目印部7cが設けられている。
そして、ステープラ本体5には、外装となる本体カバー9(以下、図1も併せて参照)が取付けられており、この本体カバー9を取外すと、図9に示すように、操作ハンドル6やステープラ本体5の内部構造が露出される。そして、操作ハンドル6は、樹脂製のハンドル操作部11と、金属製のハンドル本体部12とで構成されている。なお、本体カバー9とハンドル本体部12とが互いに交差する部分には、物の挟み込みなどを生じないようにするための凸状部9a,12a(図11参照)などを設けることができる。この凸状部9a,12aは、本体カバー9の後縁部とハンドル本体部12の後縁部との少なくとも一方における、ハンドル本体部12の可動範囲に相当する部分に対して、後側へ曲線的に突出するような形状などとされている。
樹脂製のハンドル操作部11は、ステープラ本体5の前部における用紙差込部8よりも用紙台7の上側に張り出している部分(上部張出部)の前端側の位置から後ろ斜め上方へ延びるものとされる。
金属製のハンドル本体部12は、側面視ほぼ三角形状をしており、前側で且つ下側に位置する角部が、左右方向Yへ延びる支軸13を介して、上下回動可能となるように軸支されている。これに対し、ステープラ本体5(の上部張出部)には、支軸13を軸支する軸穴14が設けられている。そして、側面視ほぼ三角形状をした金属製のハンドル本体部12の上側に位置する角部の部分が、樹脂製のハンドル操作部11の前後方向Xの中間部に対して取付けられている。
この金属製のハンドル本体部12の支軸13を中心とする上下回動によって、樹脂製のハンドル操作部11が、ステープラ本体5の上記上部張出部から後ろ上がりに傾斜している待機状態から、ほぼ水平な押し込み状態となるように、上下傾動される。これにより、操作ハンドル6は、ほぼ上から下へ向かう押し込み操作がなされることになる。この際、図1Aに示すように、水平な状態とされたハンドル操作部11とステープラ本体5との間には、物の挟み込みなどを生じないようにするための隙間Sが確保されるようにしている。
そして、側面視ほぼ三角形状をした金属製のハンドル本体部12の下側の辺部に沿った後寄りの位置には、左右方向Yへ延びるリンクシャフト15が、操作ハンドル6の回動によって、ステープラ本体5に対して昇降可能となるように取付けられている(または、挿通配置されている)。このリンクシャフト15の昇降によって操作ハンドル6の操作がステープラ1の各機構に伝えられるようになっている。
リンクシャフト15を上下方向Zに昇降させるために、ステープラ本体5の側面16(側壁)には、上下方向Zへ延びるガイド溝17が設けられている。また、リンクシャフト15の上下方向Zへの昇降を許容し得るようにするために、支軸13を軸支する軸穴14は、長穴とされており、支軸13は可動支点となっている。支軸13を可動支点とすることにより、操作ハンドル6の操作力を軽減することが可能となる。
例えば、軸穴14を、前側に水平部を有し、後側に後ろ上がりの傾斜部を有する屈折穴などにしている。これにより、ハンドル操作部11が上へ持ち上がっている時には、支軸13は軸穴14の傾斜部の上端部に位置しており、この状態からハンドル操作部11を押し込んで水平な状態にすると、支軸13は、軸穴14の傾斜部を下って水平部の前端部へと移動するようになる。そして、ハンドル操作部11の押し下げに従って支軸13が軸穴14の傾斜部を下るように移動することで、即ち、支点が移動することで、押し下げ初期における押し込み力を軽減することができる。また、ハンドル操作部11が下限位置に近くなった時に、支軸13が軸穴14の水平部に入ることで、即ち、支点の位置が固定されることで、大きな操作力を発生させることができる。
そして、例えば、リンクシャフト15は、ステープラ本体5の側面16と金属製のハンドル本体部12との間に介在された金属製のリンク18を動かすために用いられる。このリンク18の機能については後述する。
リンク18は、その上部を、ステープラ本体5の側面16と金属製のハンドル本体部12との間に挟まれた状態で、ステープラ本体5の側面16に沿った方向(例えば、前後方向Xおよび上下方向Zなど)へ移動可能に保持されている。また、リンク18は、その下部を、ステープラ本体5の側面16に設けられたフック状のリンク保持部19によって、ステープラ本体5の側面16に沿った方向へ移動可能に係止保持されている。
リンク18は、上側に位置してほぼ上下方向Zへ延びる上方延在部18aと、この上方延在部18aの下端部分から後方へ延びる中間の後方延在部18bと、この後方延在部18bの後端部分から下方へ延びる下側の下方延在部18cとを有する側面視ほぼクランク形状をしたものとされている。
そして、リンク18の上側の上方延在部18aには、ほぼ上下方向Zへ延びてリンクシャフト15の昇降によって案内される第一のガイド溝部21が設けられている。
また、リンク18の中間の後方延在部18bには、リンク18自体の動きをガイドするガイド穴22が設けられており、ステープラ本体5の側面16には、ガイド穴22に嵌合されるガイド突起部23が突設されている。このガイド突起部23は側面視ほぼ四角形状のものとされている。
また、ステープラ本体5の側面16の後部には、リンク18の後縁部が当たることでリンク18の後方への動きを規制する規制用突起部24が突設されている。この規制用突起部24は側面視四角形状のものとされている。
リンク18は、その動きによって後述する2つの軸25,26の動きをそれぞれコントロールするようになっている。2つの軸25,26は、リンク18の中間の後方延在部18bおよびリンク18の下側の下方延在部18cにそれぞれ設けられた第二のガイド溝部27、および、第三のガイド溝部28によって案内されるようになっている。なお、リンク18の後方延在部18bのガイド穴22と第二のガイド溝部27とは、つながっているが、これに限るものではない。
更に、リンク18には、第二のガイド溝部27内に突出して、リンク18の下降動作および回転動作に連動して一方の軸25を後方などへ押圧するための押し用突起部30が設けられている。
そして、図10の、ステープラ1を幅中心位置で縦に切った断面を表す斜視図に示すように、ステープラ本体5の後部には、ロール状の連結針3を直接収容する収容部31と、連結針3のロール状の部分から引き出された先端部を案内する搬送路32とが設けられている。収容部31と搬送路32との上側には、これらを覆うステープルカバー33が着脱自在に取付けられるようになっている。
そして、搬送路32の下側には、収容部31に収容されたロール状の連結針3から引き出された連結針3の先端部を搬送路32に沿って前方(搬送方向)へ搬送可能な搬送機構34が設置されている。
また、搬送路32の前側には、連結針3の先頭に位置する非金属針2を切断する切断機構および切断した非金属針2をコ字状に成形する成形機構の両機能を備えた切断成形機構35と、切断成形機構35でコ字状に成形された非金属針2を保持可能な左右一対の抜き刃36を昇降させて用紙Pに貫通孔p1を形成する貫入機構37と、が設置されている。
なお、搬送機構34は、連結針3を、非金属針2の1本分だけ前へ送るようになっている。また、切断成形機構35と貫入機構37は、それぞれ、1本の非金属針2の前後方向Xの寸法とほぼ同じ寸法内に収まるように構成されている。
切断機構と成形機構は別々の構成にすることができる。また、切断成形機構35と貫入機構37は、後述するように、要部を一体化することができる。抜き刃36は、ほぼ上下方向Zへ延びる金属製のものとされる。抜き刃36は、非金属針2の幅(短手方向の長さ)とほぼ同じ幅を有するものとされて、その面を非金属針2の針脚2b,2cと同じ方向(即ち、左右方向Yに対してほぼ垂直な方向)へ向けて取付けられている。貫入機構37は、用紙差込部8の位置に設けられている。
そして、用紙差込部8の下側には、抜き刃36と共に貫通孔p1へ差し込まれて用紙Pの裏面側に突出された非金属針2の針脚2b,2cを用紙Pの裏面に沿って内側へ折り曲げると共に、左右の針脚2b,2cどうしを貼合わせる折曲機構38が設置されている。なお、上記した2つの軸25,26は、それぞれ、搬送機構34と折曲機構38を駆動するためのものである。
更に、ステープラ本体5の下面には、開口部41が設けられており、この開口部41には、非金属針2の詰まりなどが生じた時などに後側に設けられたヒンジ部42を中心に、下方で且つ後方へ回動するようにして開閉可能な蓋部43が取付けられている。蓋部43の前側には、蓋部43を閉状態に保持するロック部44が設けられている。なお、蓋部43の内面側に対し、上記した折曲機構38の一部を分離して取付けるようにしても良い。
そして、非金属針2を用いたステープラ1は、操作ハンドル6を押し下げ操作することによって、上記したリンクシャフト15を介して貫入機構37が動き、更に、上記したリンク18を介して搬送機構34と、折曲機構38とが貫入機構37に連動して動くようになっている。
この際、図11に示すように、ステープラ1は、4つのバネによって復帰動作などを行わせるようになっている。
1つ目は、操作ハンドル6をリターン(上方の待機位置へ復帰)させるハンドルリターンバネ45であり、2つ目は、用紙Pを綴じる時に、非金属針2のクラウン2aを押さえ付けるクラウン押さえバネ46であり、3つ目は、搬送機構34に設けられたプッシャリターンバネ47であり、4つ目は、折曲機構38に設けられたスライダリターンバネ48である。
このうち、1つ目のハンドルリターンバネ45は、上記支軸13に対してコイル部45aが外嵌され、一方の腕部45bがステープラ本体5に係止され、他方の腕部45cが金属製のハンドル本体部12に係止された、ねじりコイルバネとされている。このハンドルリターンバネ45は、金属製のハンドル本体部12を上方へ回動する方向へ付勢するようになっている。
また、2つ目のクラウン押さえバネ46は、綴じる用紙Pの厚さに対応して貫入機構37などの状態を調節するためのものであり、上下方向Zへ延びるコイルバネとされている。3つ目のプッシャリターンバネ47と、4つ目のスライダリターンバネ48は、それぞれ前後方向Xへ延びるコイルバネとされている。
以上が、ステープラの全体的な構成である。
<ステープラ1の各部の構成>
次に、この実施例のステープラ1の各部の特徴について順番に説明する。
[操作ハンドル6について]
(構成1)この実施例のステープラ1は、用紙Pを載置可能な用紙載置部(用紙台7)が一端側(この実施例では前端側)に設けられ、この用紙載置部(用紙台7)に載置された用紙Pに貫通孔p1を形成して他端側(この実施例では後端側)から供給された非金属針2を上記貫通孔p1へ貫入させる貫入機構37を有するステープラ本体5と、
このステープラ本体5の上記一端側に接続されて、押し込み操作可能なハンドル操作部11を有する操作ハンドル6と、を備えている。
上記貫入機構37は、上記操作ハンドル6の押し込み操作に連動して上記用紙載置部(用紙台7)に載置された用紙Pに貫通孔p1を形成して非金属針2を貫入するように構成される。
上記ハンドル操作部11は、上記ステープラ本体5の上記一端側から他端側へ向かって延びるように形成される。
(作用効果1)上記したように、操作ハンドル6のハンドル操作部11を、ステープラ本体5の前端側(一端側)から後端側(他端側)へ向かって延びるものとした。これにより、ステープラ本体5は、操作ハンドル6を(下方へ)押し込み操作する時の反力を、ステープラ本体5の他端部(後部)で受けるようにすることができる。
(構成2)上記ステープラ本体5の上記他端側には、非金属針2が収容される収容部31が設けられている。
(作用効果2)ステープラ本体5の後部に、非金属針2を供給するための構造(例えば、収容部31や搬送路32など)を設けるようにした。これにより、収容部31などによって、操作ハンドル6を(下方へ)押し込み操作する時の反力の受け部を確保することができる。よって、(上記反力を受けるために)ステープラ本体5の後部を特別に大きくしなくても、そのままの状態で、上記反力を安定して受けることができ、その分、ステープラ本体5を小型化することが可能となる。
これに対し、例えば、操作ハンドル6を、ステープラ本体5の後端側(他端側)から前端側(一端側)へ向かって延びるものとした場合には、ステープラ本体5の転倒防止のために、操作ハンドル6を(下方へ)押し込み操作する時の反力を受けるための部分(例えば、V字状の支持脚部など)を、ステープラ本体5の前部に対して手前側へ張り出すように設けなければならなくなり、ステープラ本体5が大型化してしまう。よって、操作ハンドル6をステープラ本体5の前端側(一端側)から後端側(他端側)へ向かって延びるものとすることは、ステープラ本体5を小型化する上で構造的に有利である。
(構成3)上記操作ハンドル6は、上記ステープラ本体5の上記用紙載置部(用紙台7)と(上下に)対向する位置に接続される。
(作用効果3)操作ハンドル6を、上記ステープラ本体5の上記用紙載置部(用紙台7)と重複する位置に配置することで、ステープラ本体5に対して操作ハンドル6をコンパクトに設置することができる。
(構成4)上記操作ハンドル6は、上記ステープラ本体5に回動可能に取り付けられる。
そして、上記ハンドル操作部11は、押し込み操作されたとき、上記ステープラ本体5に設けられた支軸13を中心に回動するように構成される。
(作用効果4)操作ハンドル6を、上記ステープラ本体5に回動可能に取り付けることにより、てこの原理を利用することができ、小さい入力で大きい出力を得ることができるようになる。これにより、ステープラ1を簡単に操作することが可能となる。
(構成5)上記ハンドル操作部11は、上記ステープラ本体5の上記一端側から上記他端側へ向かうに従って上がり勾配(この実施例では後上がり)に傾斜して延びると共に、ハンドル操作部11が押し込み操作されたとき、上記ステープラ本体5に設けられた支軸13を中心に他端側が上下(この実施例では後端部が下降および上昇)するように構成される。
(作用効果5)上記構成により、操作ハンドル6が下方へ押し込まれるに従って、支軸13から(貫入機構37を作動させるための)リンクシャフト15(作用点)までの前後方向Xの長さと、支軸13から操作ハンドル6の支軸13とは反対側の端部(力点)までの前後方向Xの長さとが大きくなって行くので、操作ハンドル6の下限位置の周辺で、より大きな出力を得られるようになる。
(構成6)上記操作ハンドル6における上記ステープラ本体5の一端側に位置する端部(この実施例では前端部)を上記ステープラ本体5に対して軸支する支軸13が、上記貫入機構37よりも一端側(この実施例では前側)に設けられている。
(作用効果6)上記したように、操作ハンドル6の前端部をステープラ本体5に対して軸支する支軸13を、貫入機構37よりも前側の位置に設けるようにした。これにより、支軸13から(貫入機構37を作動させるための)リンクシャフト15(作用点)までの長さと、支軸13から操作ハンドル6の支軸13と反対方向の端部(力点)までの長さとによって決まるてこ比を大きく取ることができるので、より小さい入力でより大きい出力が得られるようになる。
(構成7)上記ステープラ本体5の上記他端側下部(この実施例では後端側下部)に、滑り止め部材10を設ける。
そして、上記操作ハンドル6を下へ倒し込んだ時の、操作ハンドル6における上記ステープラ本体5の他端側に位置する端部(この実施例では後端部)が、上記滑り止め部材10よりも他端側(この実施例では後端側)へ突出しない長さにする。
(作用効果7)ステープラ本体5の後端側下部(底部)に、滑り止め部材10を設けることで、操作ハンドル6を下へ倒し込む際に、ステープラ本体5が後ろへ動かないようにすることができる。なお、滑り止め部材10は、ステープラ本体5の前端側下部(底部)などに対しても、設けることができる。滑り止め部材10には、ゴムやエラストマーやコルクなどの摩擦抵抗の大きい素材を使用することができる。そして、操作ハンドル6を下へ倒し込んだ時の操作ハンドル6の後端部が、上記滑り止め部材10よりも後側へ突出しない、または、ハミ出さない長さにした。これにより、操作ハンドル6を下へ押し込む際にステープラ本体5を安定させることができる。
[搬送路32について]
図12(図13も併せて参照)に示すように、上記した搬送路32は、ステープラ本体5の後部に設けられており、図14に示すような、搬送路構成部材51によって構成されている。この搬送路構成部材51は、ほぼ水平な面とされた搬送路32で主に構成されており、この搬送路32の前端部に、上方へ立ち上がる縦壁部52を有すると共に、搬送路32の両側部に上方へ立ち上がる側壁部53を有している。
そして、搬送路構成部材51の上記した縦壁部52の下縁部(の搬送路32の前縁部との境界部分)には、連結針3の先端部を通すための針通し口54が設けられている。この針通し口54は、連結針3の幅寸法とほぼ同じかそれよりも僅かに広い幅寸法と、連結針3の厚みとほぼ同じ高さかそれよりも僅かに高い上下寸法とを有する横長スリット状のものとされている。
この針通し口54の上側には、針通し口54よりも幅が狭く高さが高い第一の凹部55と、この第一の凹部55よりも幅が狭く高さが高い第二の凹部56とが一体に設けられている。このうち、第一の凹部55は、非金属針2または連結針3の左右一対の孔部4の間隔とほぼ等しいかそれよりも大きい幅寸法を有するものとされている。また、第二の凹部56は、非金属針2のクラウン2aの幅とほぼ等しいかそれよりも大きい幅寸法を有するものとされている。
そして、搬送路32の前側には、非金属針2または連結針3の左右一対の孔部4と合致する位置に前後方向へ延びる左右一対のスリット部57が設けられている。
更に、搬送路32の前側における左右一対のスリット部57間の位置には、搬送路32と面一な状態で前方へ延びる受台58が突設されている。この受台58は、クラウン2aとほぼ同じ幅寸法を有しており、上記した切断成形機構35の内部へ挿入されて、切断成形機構35で非金属針2をコ字状に成形する際に、非金属針2のクラウン2aを下から支持するものである。受台58は、正面視で逆台形状とされている。
[搬送機構34について]
図15、図16に示すように、上記した搬送機構34は、搬送路32の下側に設けられており、搬送機構34は、主に、図17に示すようなプッシャ61によって構成されている。
このプッシャ61は、その両側部に、ほぼ前方へ延びる左右一対の送り爪62が設けられている。図18、図19に示すように、この送り爪62は、非金属針2または連結針3の孔部4(送り孔)へ下側から通されて連結針3を前方へ送るためのものである。この送り爪62は上下方向Zに弾性変形可能なものとなっている。送り爪62の上下方向Zに対する弾性変形能力を高めるために、送り爪62は、基部が一旦上方に立ち上がってから、前方へ延びるようになっている。なお、図14の搬送路構成部材51(の縦壁部52)の針通し口54における第一の凹部55は、この送り爪62の先端部との干渉を避けるための高さを有している。
また、プッシャ61は、その前面に、図20〜図22に順番に示すように、切断成形機構35で切断されてコ字状に成形された非金属針2を貫入機構37の左右一対の抜き刃36の間へ送る押面63(図18参照)が設けられている。この押面63は、上記搬送路32の前部から前側に突設された受台58の下側に出入りするものであり、正面視で逆台形状をした受台58と合うように、正面視で逆台形状に切り欠かれたような凹形状を有している(図26参照)。
そして、このプッシャ61は、ステープラ本体5に対して前後方向Xへ移動自在に収容設置されていると共に、プッシャ61の後部とステープラ本体5との間に介装された上記プッシャリターンバネ47によって常時前方へ向けて付勢されている。
プッシャ61の下部には、上記した2つの軸25,26のうちの一方(プッシャ駆動軸(軸25)、図9参照)が左右方向Yに貫通配置される軸穴64を有しており、このプッシャ駆動軸(軸25)が上記したリンク18に設けられた第二のガイド溝部27に案内されることで、プッシャリターンバネ47の弾性力に抗して前後方向Xへ移動されるようになっている。
更に、このプッシャ61の両側部には、左右方向Yへ延びる一対のガイドアーム65が一体に設けられている。このガイドアーム65は、上下方向Zに弾性変形可能なものとされている。このガイドアーム65がステープラ本体5の後部(の第二のガイド溝部27周辺の位置)に設けられたガイド部66(図42B参照)に沿って移動するようになっている。
このガイド部66には、係止用小凸部67が上に向けて突設されており、操作ハンドル6の押し下げ時に、係止用小凸部67の後部にガイドアーム65が係止されることによって、プッシャ61がプッシャリターンバネ47の付勢力に抗して後退した状態でロックされるようになっている。係止用小凸部67は、前側に、後ろ上がりの傾斜面67aを有すると共に、後側に上下方向Zに延びる係止面67bを有するものとされている。
そして、後述するように、操作ハンドル6のリターン時に、上記リンク18が上昇することによって、第二のガイド溝部27の下縁部でガイドアーム65が持ち上げられてプッシャ61のガイドアーム65が係止用小凸部67の係止面67bから外れてロックが解除され、プッシャリターンバネ47の付勢力によってプッシャ61が、前方へ移動するようになっている。
この際、プッシャ61は、非金属針2の1本分の距離だけ前後方向Xへ移動されるようになっている。そして、図15に示すように、連結針3の前から1番目(先頭)の非金属針2が切断成形機構35内に装着された状態で、プッシャ61が前進した時には送り爪62が連結針3の前から1番目の孔部4へ入り、プッシャ61が後退した時には送り爪62が連結針3の前から2番目の孔部4へ移動するようにしている。これにより、最後の1本の非金属針2まで切断成形機構35へ送ることが可能となる。なお、最後の1本の非金属針2は、切断成形機構35でコ字状に成形された後に、送り爪62ではなく、プッシャ61の押面63によって貫入機構37の左右一対の抜き刃36の間へ送られる。また、特に図示しないが、貫入機構37の前側には、プッシャ61によって送られた非金属針2が貫入機構37から前方へ飛び出さないように規制するためのストッパ部が設けられる。
[ステープルカバー33について]
図23、図24に示すように、上記したステープルカバー33は、ステープラ本体5の後部の収容部31および搬送路32の上側に対して、着脱可能に取付けられるものである。
ステープルカバー33の側面には、取付用突起部33aが設けられている。この取付用突起部33aは、ステープラ本体5の側面16に設けられた取付用孔部16a(図9参照)へ入ることによって、ステープルカバー33をステープラ本体5に係止固定するためのものである。取付用突起部33aは、取付用孔部16aの後側の縁部に合わせることによって連結針3の正確な位置決めを行い得るように構成されている(後ろ合わせ)。そのために、取付用孔部16aは、取付用突起部33aに対して、位置出しのために、前後方向Xに若干のクリアランスを持たせるようにしている。
ステープルカバー33は、主に、図25に示すような、上面と左右の両側面とを有する透明な樹脂によって構成されている。そして、上記したステープルカバー33は、その先端側に、前方へ突出する針保護用突起部71が突設されている。この針保護用突起部71は、図26に示すように、搬送路32の受台58と対応させて受台58の上方に設けられるものである。
針保護用突起部71は、非金属針2のクラウン2aとほぼ同じかそれよりも小さい幅寸法を有しており、切断成形機構35の内部へ挿入されて、切断成形機構35で非金属針2をコ字状に成形する際に、非金属針2のクラウン2aを上から覆って保護するようにしたものである。針保護用突起部71は、搬送路構成部材51の縦壁部52における針通し口54の上側の第二の凹部56を通して切断成形機構35内に配置される。なお、搬送路構成部材51の針通し口54における第二の凹部56は、この針保護用突起部71を挿入可能な高さを有している。
そして、搬送路構成部材51の受台58とステープルカバー33の針保護用突起部71との間には、非金属針2または連結針3が通る狭い隙間が設けられる。針保護用突起部71の先端部には、切断成形機構35に設けられたガイド溝に嵌合可能な上下のガイド突起71a(図25参照)が一体に突設されている。
また、図27、図27Aに示すように(図30も併せて参照)、ステープルカバー33の前側の上部には、連結針3を上側から軽く押さえると共に、連結針3の後ろへの戻りを防止するために第一の逆止爪72が設けられている。この場合、第一の逆止爪72は上側から連結針3の左右の孔部4へ挿入されるように左右一対に設けられている。第一の逆止爪72は、ステープルカバー33と一体でそれぞれ独立した樹脂製の弾性爪とされると共に、連結針3の上面に対して、過大な押圧力を付与しないようなものとされている。第一の逆止爪72は、前側に上下方向Zへ延びる係止面72aを有し、後側に前下がりの斜面72bを有する爪部を、前方へ延びるアームの先端に対して備えたものとされている。
加えて、図28、図29に示すように(図30も併せて参照)、左右一対の第一の逆止爪72の間(連結針3の左右方向Yの中央部の位置)には、連結針3を上側から軽く押さえると共に、連結針3の残りが少なくなった時に、第一の逆止爪72に切り替えて用いられる第二の逆止爪73が設けられている。第二の逆止爪73は、第一の逆止爪72よりも前に出た状態で配置される。第二の逆止爪73は、ステープルカバー33と一体の独立した樹脂製の弾性爪とされると共に、連結針3の上面に対して、過大な押圧力を付与しないようなものとされている。第二の逆止爪73は、前側に上下方向Zへ延びる係止面73aを有し、後側に前下がりの斜面73bを有する爪部を、前方へ延びるアームの先端に対して備えたものとされている。この場合、第二の逆止爪73は、第一の逆止爪72よりも非金属針2の前後方向Xの1本分長さだけ前側に配置されている。
更に、図31に示すように(図25も併せて参照)、ステープルカバー33は、その先端部分の両側部に対し、ステープラ1への取付け時に、ステープラ1(ステープラ本体5および本体カバー9)に設けられたカバーガイド75に沿って案内されるガイド突起76を備えている。
ステープルカバー33は、ステープラ1に対して後側から前側へ移動させるようにして取付けるようになっており(カバー取付け方向)、カバーガイド75およびガイド突起76は、この取付けを案内するために設けられている。この際、カバーガイド75は、非一直線状をした溝状のもの(ガイド溝)とされている。即ち、溝状をしたカバーガイド75の下部77は、手前側(後側)の位置にほぼ水平な横行部77aを有し、横行部77aの奥側(前側)に前下がりの傾斜部77bを有し、傾斜部77bの奥側(前側)にほぼ水平な着座部77cを有するものとされている。
また、ガイド突起76は、ステープルカバー33をステープラ1に取付けた状態で傾斜部77bと合致する前下がりの傾斜形状を有するものとされている。ガイド突起76の先端部には、ステープルカバー33をステープラ1に取付けた時に着座部77cに線接触状態で当接(着座)されるほぼ水平な着座面76aが設けられている。
そして、溝状をしたカバーガイド75の上部78は、手前側(後側)に前下がりの導入テーパ部78aを有し、導入テーパ部78aの奥側に横行部77a(下部横行部)とほぼ平行な横行部78b(上部横行部)を有し、横行部78bの奥側に傾斜部77bとほぼ平行な傾斜部78cを有し、傾斜部78cの奥側に着座部77cとほぼ平行な終端部78dを有するものとされている。
そして、図31(a)に示すように、入側の横行部77aと導入テーパ部78aとの間は、ステープルカバー33を前下がりの状態にして斜めに挿入可能となるように、広い状態から前側へ向かって徐々に狭くなるような漸縮溝部とされている。
また、中間の横行部77aと横行部78bとの間は、ステープルカバー33を、図31(a)に示すような斜め前下がりの状態から、図31(b)に示すような水平状態に姿勢変更しないと入れられないように、ステープルカバー33を前下がり状態にした時のガイド突起76の上下方向Zの高さよりも狭い間隔79aの横行溝部となっている。なお、カバーガイド75の入側(の漸縮溝部)は、この間隔79aとなるように、高さ寸法が縮小されて行くようになっている。
更に、図31(b)に示すように、奥寄りの傾斜部77bと傾斜部78cとの間は、略水平状態のステープルカバー33がそのまま傾斜部77bに沿って下へ落とし込まれるように、ガイド突起76自体の厚みとほぼ同じ間隔79bの下り勾配溝部となっている。
最後に、図31(c)に示すように奥側の着座部77cと終端部78dとの間は、ステープルカバー33が取付けられた状態でガイド突起76を上下方向Zに対してほぼ位置規制できるように、ステープルカバー33を水平状態にした時の傾斜したガイド突起76の上下方向Zの高さ寸法とほぼ同じ間隔79cの保持溝部となっている。
このように、奥側において、下へ落とし込まれるようにステープルカバー33が着座することによって、ステープラ1にステープルカバー33を取付ける時に、例えば、ステープルカバー33の先端の針保護用突起部71から突出されたガイド突起71aや、第一の逆止爪72の係止面72aや、第二の逆止爪73の係止面73aが連結針3の上面を前へこすって、ガイド突起71aで連結針3を無理に前へ進めてしまうような不具合を防止することができる。
[連結針3の位置決め構造について]
切断機構(または切断成形機構35)で連結針3を1本ごとの非金属針2に切断する際には、切断する位置を高精度に定める必要がある。そのため、連結針3を正確に位置決めすることが極めて重要になる。
そこで、例えば、金属バネなどのような比較的強力な弾性付勢手段を用いて、搬送路32上の連結針3を常時上側から押さえ付けた状態にすると共に、連結針3を搬送方向(の前側)へ付勢して、連結針3の先端部を搬送路32(の切断機構)の奥の位置に設けられた当付部(例えば、抜き刃36など)へ常時押し当てるようにすることで、連結針3の位置決めを行わせるようにすることが考えられる(前合わせ)。
しかし、このように前合わせにすると、前後動する搬送機構34が後退する際に連結針3を後退させないようにするために、弾性付勢手段による上側からの押さえ付けに過大な押圧力が必要になると共に、搬送方向(の前側)への継続的な押圧力の付与によって連結針3(の当付部(抜き刃36など)に押し当てられた部分)に傷が付き易くなるという問題や、連結針3を切断機構へ搬送する際の抵抗が大きくなるという問題などが発生する。
そこで、この実施例では、連結針3の位置決めを以下のようにして行っている。
(構成1)上記したように、この実施例のステープラ1は、平坦な状態の非金属針2を複数本連結して成る連結針3を1本ごとに切断する切断機構と、上記連結針3を搬送路32を介して上記切断機構へ搬送する搬送機構34と、を備えている。
そして、図27に示すように、上記搬送路32の途中に、上記連結針3の搬送方向における先端部よりも搬送方向の後側の位置で位置決めを行う位置決め部81が設けられるようにする。
この位置決め部81は、上記搬送方向の後側へ向かう方向への連結針3の押し当てによって連結針3の位置決めを行うものとされる。
ここで、切断機構は、上記した切断成形機構35のことである。搬送方向とは、前後方向Xの前側のことである。搬送方向の後側へ向かう方向とは、前後方向Xの後側のことである。連結針3の先端部よりも搬送方向の後側の位置とは、連結針3の前から2番目以降の非金属針2の位置のことである。この場合には、連結針3の前から3番目の非金属針2の位置としている。位置決め部81には、上記したステープルカバー33の第一の逆止爪72(の上下方向Zへ向いた係止面72a)を用いることができる。
なお、図28のステープルカバー33の第二の逆止爪73(の上下方向Zへ向いた係止面73a)についても、連結針3が残り2本となった時に、位置決め部81として連結針3の2番目の非金属針2の位置決めを行うことができるようになっている。ちなみに、図29に示すように、連結針3が残り1本となった時には、切断を行う必要がないので、位置決めは不要である。
(作用効果1)上記構成では、搬送路32の途中に、連結針3の先端部よりも搬送方向の後側の位置で位置決めを行う位置決め部81を設けて、位置決め部81への、搬送方向の後側へ向かう方向(戻り方向)への(連結針3の切断直前の)一時的な押し当てによって連結針3の位置決めを行わせるようにした(後ろ合わせ)。これにより、金属バネなどのような比較的強力な弾性付勢手段による上側からの継続的な押さえ付けがいらなくなるので、連結針3に過大且つ継続的な押圧力が作用されることがなくなって、連結針3に傷が付き難くなると共に、連結針3を切断機構へ搬送する際の抵抗をなくすことができ、より軟質な材質の非金属針2を搬送することが可能となる。
(構成2)上記位置決め部81は、非金属針2または連結針3に設けられた孔部4の搬送方向の後側へ向いた縁部に当てて位置決めを行うものとすることができる。
ここで、孔部4は、位置決め孔として使用されるもののことである。孔部4の搬送方向の後側へ向いた縁部が位置決め部81(第一の逆止爪72)の前側の係止面72aに当接されて位置決めされる。位置決め孔は送り孔と共用することができる。但し、位置決め孔と送り孔とは、専用のものをそれぞれ別個に設けるようにしても良い。
この実施例の場合には、連結針3の前から1番目の孔部4と2番目の孔部4を送り孔として使用し、前から3番目の孔部4を位置決め孔として使用することで、左右方向Yの同じ位置に設けられた孔部4を使い分けて、第一の逆止爪72と送り爪62とが互いに干渉しないようにしている。
(作用効果2)上記構成により、簡単な構成で、連結針3の位置決めを確実に行うことができる。また、連結針3には送り孔などの孔部4が予め設けられているので、この孔部4を連結針3の位置決めにそのまま利用することが可能となる。なお、孔部4については、送り孔とは別に位置決め専用のものを設けても良い。
(構成3)または、上記位置決め部81は、平らに延ばした状態の非金属針2の両端部の搬送方向の後側へ向いた縁部に当てて位置決めを行うものとしても良い。
ここで、非金属針2の両端部の搬送方向の後側へ向いた縁部は、非金属針2の両端の後縁部分に設けられているテーパ状のスリット部3bとすることができる(この場合には、図27の孔部4をスリット部3bと置き替えるようにする)。非金属針2の後縁部分のスリット部3bは、位置決め部81の前側の係止面72aに当接されて位置決めされる。なお、この場合の位置決め部81は特に図示していないが、例えば、第一の逆止爪72またはこれと同様のものを、スリット部3bの位置に設けるようにすれば良い。
(作用効果3)上記構成により、簡単な構成で、連結針3の位置決めを確実に行うことができる。また、連結針3の両端部には、コ字状に曲げた非金属針2の針脚2b,2cを用紙Pに形成された貫通孔p1へ差し込み易くするためのテーパ状のスリット部3bが、前縁部と後縁部とに対して予め設けられているので、このうちの後縁部のスリット部3bをそのまま連結針3の位置決めに利用することが可能となる。
(構成4)上記搬送機構34が、上記切断機構(切断成形機構35)による連結針3の切断時に、上記連結針3を、一時的に連結針3の搬送方向の後側へ向かう方向へ付勢して上記位置決め部81に、上記連結針3を押し当てる戻し部82を備えるようにする。
ここで、戻し部82は、搬送機構34におけるプッシャ61の送り爪62とすることができる。送り爪62は、前側に上下方向Zへ延びる係止面62aを有し、後側に後下がりの斜面62bを有する爪部を、前方へ延びるアームの先端部に対して備えている。
(作用効果4)上記したように、送り爪62は、連結針3を送る際に、一時的に前進した状態から後退されるが、この時、孔部4(やスリット部3b。以下、孔部4として説明する)に対して斜面62bが後方へ変位することで、斜面62bに沿って爪部が下方へ案内され、送り爪62が下方へ弾性変形して先端の爪部が前から1番目の孔部4から抜け出す。そして、連結針3の裏面に沿って後退され、2番目の孔部4へ通された状態となる。この時、図42Dに示すように、(プッシャ61のガイドアーム65が、ステープラ本体5(のガイド部66)の係止用小凸部67へ係止されることにより)後退状態でロックされる。
このようにプッシャ61の後退が開始される時に、前側の孔部4の後縁部を送り爪62の係止面62aが後へ押すことで、送り爪62が前側の孔部4から抜け出すまでのほんの僅かな時間だけ、連結針3を後側へ僅かに後退させる程度に付勢することになる。そして、この時の連結針3の僅かな動きによって、位置決め部81に、上記連結針3を押し当てさせて位置決めを行うことが可能となる。この位置決めによって、連結針3への負担を少なくすると共に、切断機構による連結針3の正確な切断を行わせることが可能になる。
よって、切断機構による切断時にのみ、一時的に位置決めを行うだけで良くなり、位置決めに要する機構的な負担が軽くなると共に、搬送機構34が連結針3を搬送するための予備動作(後退動作)を利用して位置決めを行うことが可能になる。戻し部82には、搬送機構34の送り爪62を、そのまま使用することが可能であるため、構成的にも簡易である。
(構成5)位置決め部81は、搬送機構34が非金属針2または連結針3を、搬送方向の後側へ向かう方向へ付勢した際に、非金属針2または連結針3の搬送方向の後側へ向いた縁部に当てる係止面73aを有するようにしている。
(作用効果5)上記したように、位置決め部81が上記した係止面73aを有することにより、搬送機構34が非金属針2または連結針3を、搬送方向の後側へ向かう方向へ付勢した際に、非金属針2または連結針3の搬送方向の後側へ向いた縁部を確実に係止面73aに当てて位置決めを行わせることができる。
[連結針3の自己保持構造について]
非金属針2を連結した連結針3を切断機構で正確に切断できるようにするには、連結針3をステープラ本体5に対して正しく装着する必要がある。この際、ロール状に巻かれた連結針3を用いると、連結針3に付いた巻きグセの影響で、連結針3をステープラ本体5に正しく装着するのが難しくなる。また、連結針3を正しく装着したとしても、装着した後に巻きグセによって連結針3がステープラ本体5上の正しい位置からズレてしまうおそれもある。このように連結針3が正しい位置からズレると、連結針3を切断機構で正確に切断することができなくなる。
そこで、例えば、ロール状の連結針3をカートリッジに収容すると共に、このカートリッジをステープラ1に取付けるなどにより、連結針3をステープラ本体5に対して間接的に装着させるようにすることが考えられる。このように(ステープラ1と比べて小型で取り扱いが容易な)カートリッジを媒介として用いることで、カートリッジに対する連結針3の装着が容易となり、また、カートリッジを介して連結針3をステープラ本体5に正確に装着できるようになり、また、連結針3をズレ難くすることが可能となる。
しかし、カートリッジを用いる場合、カートリッジの着脱による連結針3の取り扱いの手間が増えると共に、カートリッジが必要になったり、ステープラ1に対してカートリッジを着脱する機構が必要になったりする。そのため、ステープラ1の構造が複雑になり、また、部品点数が増えて、ステープラ1が大型化すると共に、コストも高くなる。
そこで、この実施例では、以下のようにして、連結針3をステープラ本体5に対して直接正確に装着できるようにしている。
(構成1)上記したように、この実施例のステープラ1は、平坦な状態の非金属針2を複数本連結して成る連結針3を1本ごとに切断する切断機構と、上記連結針3を搬送路32を介して上記切断機構へ搬送する搬送機構34と、を備えている。
そして、図32(〜図35)に示すように、上記搬送路32の搬送方向における前側に、上記連結針3の先端部またはその近傍を保持可能な針保持部84を備えるようにする。
この針保持部84は、上記連結針3の先端縁を当て付ける当付面85と、図33に示すように、上記連結針3に設けられた係合部86に対して、連結針3の一面側から係合する係合部材87と、上記連結針3の他面側に、上記連結針3を挟んで上記係合部材87と搬送方向の前後に位置を異ならせた状態で対峙するように配設された外れ規制部88と、を有するものとされる。
なお、本実施例では、一例として、一面側は連結針3に関して搬送路構成部材51や、係合部材87の側、即ち、連結針3の下面側とし、また、他面側は、搬送路構成部材51に対向する、例えばステープルカバー33や、針保持部84の側、即ち、連結針3の上面側としている。但し、上記は、逆であっても良い。
ここで、針保持部84は、連結針3の両側部の位置に対してそれぞれ設けるようにするのが、ステープラ本体5に対して連結針3を確実に自己保持し、しかも、ステープラ本体5から連結針3を取り外し易くする上では、好ましい。自己保持とは、他の構成を用いずに、針保持部84のみで連結針3の先端部またはその近傍をステープラ本体5に対して保持しておけることである。
当付面85は、連結針3の先端を搬送路32へ差し込んだ時に連結針3の先端縁が軽く突き当たるようなものであれば良い。当付面85には、例えば、図34、図35に示すように、貫入機構37の抜き刃36を用いることができる。また、当付面85は、例えば、図36に示すように、搬送路構成部材51に対して設けることができる。あるいは、当付面85は、例えば、図37に示すように、ステープラ本体5に対して設けることができる。
係合部86には、連結針3の孔部4や両側部のスリット部3bなどを用いることができる。係合部材87には、搬送機構34の送り爪62などを用いることができる。この場合、係合部材87は、連結針3の下面側に設けられている。外れ規制部88は、連結針3の上面側に設けられている。但し、係合部材87と外れ規制部88との位置関係は、上下反対であっても良い。外れ規制部88は、係合部材87と前後に位置をズラした状態で設置するのが好ましい。外れ規制部88については、後述する。
(作用効果1)上記構成によれば、収容部31へ収容されたロール状の連結針3の先端を引き出し、この連結針3の先端を、搬送路32に沿って滑らせるように搬送路32の奥(前側)へ差し込み、連結針3の先端縁を当付面85に軽く突き当てるようにするだけで、搬送路32の前側に備えた針保持部84によって、連結針3の先端部またはその近傍を、補助部品などを用いることなく確実にステープラ本体5に対して直接自己保持させることが可能となる。
この際、1本の指を使って連結針3の先端部を搬送路32の奥へ差し込むだけで、目視に頼ることなく、搬送方向(前後方向X)にズレのない状態で簡単確実に連結針3を装着することが可能となる。また、針保持部84の当付面85によって連結針3の差し込み過ぎによる連結針3の座屈などの発生も防止することができる。
その結果、ロール状に巻かれた連結針3の巻きグセによる搬送方向のズレなどの装着ミスをなくして、やり直しの手間をなくすことができると共に、ステープラ1に対して連結針3を正確に装着するために(ロール状の連結針3を間接的に収容保持するための)カートリッジを別部品として設けたり、このカートリッジをステープラ1に収容するスペースを用意したり、カートリッジをステープラ1に対して着脱させる機構を設けたりする必要がなくなるので、連結針3の取り扱いの手間を減らすと共に、ステープラ1の構造を大幅に簡略化して、ステープラ1の小型化や、部品点数の削減や、低コスト化などを図ることが可能となる。
(構成2)上記外れ規制部88は、上記連結針3の先頭の非金属針2の位置に設置された第一規制部91を有するものとされる。
ここで、連結針3の先頭の非金属針2は、切断成形機構35の中に挿入されているので、第一規制部91は、図32に示す切断成形機構35の針押さえプレート92の内側面に対して設けることができる。
また、第一規制部91は、例えば、図36に示すように、搬送路構成部材51に対して設けることができる。
(作用効果2)上記構成によれば、第一規制部91によって、連結針3の先頭の非金属針2の位置を確実に規制して外れないように保持することが可能となる。この第一規制部91は、連結針3(の先頭の非金属針2)の先端縁が、当付面85に当たった後に、連結針3が座屈するのを防止するのに有効である。また、第一規制部91を設けたことによって、連結針3の先端部が座屈し難い状態で当付面85に当たるようになるため、当たった時の手応えが(座屈した状態で当付面85に当たった時よりも)大きくなるので、その手応えによって、連結針3の先端部が外れ規制部88に確実に保持されたことを明確に感じさせることができる。
(構成3)上記外れ規制部88が、上記連結針3の2本目以降の非金属針2の位置に設置された第二規制部93を有しても良い。
そして、上記係合部材87が、上記連結針3の搬送方向に対し、上記第一規制部91と第二規制部93との間となる位置に設置されるようにする。
ここで、第二規制部93は、搬送路構成部材51の縦壁部52に設けた針通し口54の(第一の凹部55および第二の凹部56の両側に位置する)上縁部などとすることができる。
この場合、図33に示すように、係合部86を、前から1番目の孔部4とし、係合部材87を1番目の孔部4へ嵌合された送り爪62の爪部として、第一規制部91は、1番目の孔部4よりも僅かに前側に位置し、第二規制部93は、1番目の孔部4の僅かに後側に位置するようになっている。
この場合、図35に示すように、第一規制部91および第二規制部93は、左右方向Yに対して係合部材87よりも外側に位置するように設置されている。第一規制部91と第二規制部93は、構造的には、どちらか一方のみ設けるようにすることが可能である。
なお、第二規制部93は、例えば、図36に示すように、搬送路構成部材51に対して設けることができる。
(作用効果3)上記構成によれば、第二規制部93によって、連結針3の2本目以降の非金属針2の位置を確実に規制して外れないように保持することが可能となると共に、上側の第一規制部91と第二規制部93と、下側の係合部材87とで、連結針3の先端部またはその近傍を上下から千鳥状に保持することが可能となる。その結果、より高い自己保持力が得られるようになるので、装着した連結針3を搬送路32から外れ難くすることが可能となる。この第二規制部93は、巻きグセが付いている連結針3に対して、巻きグセによる位置ズレを防止するのに有効である。
(構成4)図33に示すように、上記外れ規制部88が、上記連結針3の他面に対し、隙間95,96を有して離間配置される。
そして、上記係合部材87の先端部が、上記係合部86を通して、上記隙間95,96よりも大きく上記連結針3の他面側へ突出されるようにする(突出量97>隙間95,96)。
(作用効果4)外れ規制部88を、連結針3の他面に対し、隙間95,96を有して離間配置した。これにより、巻きグセのない連結針3に対しては、外れ規制部88の連結針3への直接の接触を防止しつつ、連結針3の先端部またはその近傍を規制して外れないように保持することが可能となる。また、巻きグセの付いている連結針3に対しては、外れ規制部88が連結針3に直接的に軽く接触するなどして、連結針3の先端部を保持することが可能となる。
その結果、連結針3の傷付きをなくすと共に、連結針3に対する搬送抵抗を低減することができる。
また、係合部材87の先端部を、係合部86を通して、上記した隙間95,96よりも大きくなるように連結針3の他面側へ突出させた。これにより、外れ規制部88と連結針3の他面との間の狭い隙間95,96を通った連結針3の先端部が、係合部材87を乗り越えることが難しくなるため、連結針3をより確実に規制して外れないように保持すると共に、連結針3の搬送路32からの外れを有効に防止することができる。
なお、係合部86としての送り爪62は、先端の爪部の後側に後下がりの斜面62bを有すると共に、前側に上下方向Zの係止面62aを有しているので、後側から連結針3の先端部を差し込む時には、斜面62bを容易に乗り越えることができると共に、引き戻す時には係止面62aを乗り越えることが難くなっているので、取付け易く且つ外れ難い構造にすることができる。
但し、連結針3を取り外す場合には、図38に示すように、(連結針3が巻きグセによって自然に搬送路32から外れる時に、連結針3に作用される力よりも強い)所要の力で連結針3を後に引っ張るようにする。すると、針保持部84が、連結針3の両側部の位置に設けられていると共に、針保持部84の左右の第二規制部93(針通し口54)の中間部分に第一の凹部55と第二の凹部56があることで、連結針3は面外方向(上方)へ中高の状態で撓むことができるので、この連結針3の撓みを利用して針保持部84から意図的に取り外すことが可能となる。
以下、図39〜図52を用いてステープラ1の要部について説明する。
[切断成形機構35について]
図39に示すように、上記した切断成形機構35は、連結針3から非金属針2を1本ごとに切断する左右一対の切断刃101(切断機構)と、平坦な状態の非金属針2をコ字状に成形する左右一対の成形部材102(成形機構)と、コ字状の成形状態を維持すべくコ字状に成形された非金属針2の針脚2b,2cを保持する針押さえプレート92(針押さえ機構)とを備えている。また、前述した搬送路構成部材51の受台58(図38参照)も、成形時に非金属針2を支持する支持部(固定部)として機能し、切断成形機構35の構成部品の一つとなっている。なお、成形時に非金属針2が動かないように支持可能であれば、支持部が受台58のような構成に限定されることはない。
切断刃101と成形部材102とは、貫入機構37を構成するドライバ本体100に対して一体に設けられている。ドライバ本体100と針押さえプレート92とは、受台58に対して上下方向Zへ相対的に移動し得るようになっている。本実施例では、受台58は上下方向Zへ移動不能に固定され、ドライバ本体100と針押さえプレート92とが上下方向Zへ移動するような構成としているが、これに限定されることはなく、ドライバ本体100と針押さえプレート92に対して受台58が上下方向Zへ移動する構成とすることもできる。また、切断刃101と成形部材102とは、針押さえプレート92内に収容されて、針押さえプレート92内を上下方向Zへ相対的に移動し得るようになっている。なお、本実施例では、成形部材102をドライバ本体100(貫入機構37)に対して一体に設けているが、本願がこれに限定されることはない。貫入機構37の貫入動作に同期して成形動作することが可能であれば、成形部材102をドライバ本体100と別体に設けても良い。
ドライバ本体100は、左右方向Yに延びる軸穴100aを有しており、この軸穴100aに、上記したリンクシャフト15が貫通配置されている。リンクシャフト15は、上記したリンク18(図9参照)の第一のガイド溝部21内およびステープラ本体5の側面16(側壁)に設けられた上下方向Zに延びるガイド溝17内に挿入配置されている。そして、リンクシャフト15がガイド溝17に沿って案内されることで、ドライバ本体100は上下方向Zに移動するようになっている。
切断刃101は、連結針3の連結部3aを切断する切断刃の一例であり、下端には傾斜した刃部101aが設けられている。各切断刃101は、傾斜した刃部101aが互いに外側に向けられた状態でドライバ本体100の背面側(後方)に突設された一対の取付部103に取り付けられている。
各切断刃101は、連結部3aを円滑に切断可能とするため、各刃部101aが外向きで傾斜し、その刃先近傍の内側面が連結部3aよりも内側に位置する孔部4に挿入されるような配置で取付部103に取りつけられ、各刃部101aの長さが連結部3aよりも長く形成されている。また、各切断刃101は、刃部101aの外側を切欠いて切欠き部101bを設けることで、針押さえプレート92に対して相対的に切断刃101が上下方向Zに移動するときに、刃部101aが針押さえプレート92の構成部品に当たらないようにしている。
各成形部材102は、各切断刃101の内側となる位置に設けられ、各取付部103の壁面から下方向に延びるアーム部102aと、アーム部102aの先端(下端)から内側に向けて突出形成された突起部102bとを備えている。アーム部102aは、先端が自由端となっており、取付部103に固定された基端部(固定端)を基点として左右方向Yへ弾性変形可能となっている。
受台58上に載置された非金属針2の針脚2b,2cの折り曲げを行うため、各アーム部102aは、突起部102bの上端から基端部までの形成高さが、少なくとも針脚2b,2cの長さ(高さ)と同じかそれ以上の高さとされている。また、各アーム部102aは、前後方向Xの長さ(奥行)が非金属針2の短手方向の長さと同じかそれ以上の長さとなっている。
また、受台58と各アーム部102aの内壁面との間で各針脚2b,2cを保持可能なように、受台58の幅はクラウン2aの内幅とほぼ同じ幅寸法で形成され、一対のアーム部102aの間隔はクラウン2aの外幅とほぼ同じ寸法で形成されている。また、一対の突起部102bの間隔は、受台58の外幅よりもやや狭く形成されている。この構成により、突起部102bが下降すると、突起部102bは受台58に突き当たって外方に弾性変形されると共に、受台58との間で針脚2b,2cを受台58に押し付けながら下へ折り曲げることとなり、非金属針2をコ字状に確実に折り曲げ、成形動作を安定して行うことができる。また、折り曲げ後は、受台58の外面と一対のアーム部102aの内面とで一対の針脚2b,2cを保持して、成形状態を維持することができる。
針押さえプレート92は矩形の枠状に形成され、その外側面に、針押さえプレート92の上下方向Zへの移動を案内すると共にその移動量を規制する一対の規制突起104が設けられている。この一対の規制突起104は、ステープラ本体5の側面16(側壁)に、ガイド溝17に隣接して設けられた一対の規制溝29に挿入されている(図42A等参照)。規制突起104が規制溝29に沿って案内されることで、針押さえプレート92が上下方向Zに移動するようになっている。規制溝29は、上下方向Zに延びる長穴とされている。したがって規制突起104が規制溝29の上端に突き当たると、針押さえプレート92の上昇が停止される。この停止位置が針押さえプレート92の最上点となる。また、規制突起104が規制溝29の下端に突き当たると、針押さえプレート92の下降が停止される。この停止位置が針押さえプレート92の最下点となる。さらに、規制突起104は、上下方向Zに長い長円状に形成されているため、前後方向Xへの傾きが抑制され、ぐらつき等を生じることなく円滑に上下方向Zに移動できるものとなっている。
針押さえプレート92の内側面には、非金属針2の先端部の位置を上下方向Zにおいて規制する一対の第一規制部91が設けられている。この第一規制部91よりも下側に、成形された非金属針2の一対の針脚2b,2cの開きを抑制して、成形状態を維持する一対の針脚押さえ部105が設けられている。針押さえ部105は、内側へ突出するテーパ面105aで針先を内側方向へ案内することで、針先の開きを抑制するようになっている。一対の針押さえ部105は、コ字状に成形された一対の針脚2b,2cを挿入する挿入間隔を保持できる長さで形成されている。また、各針押さえ部105の形成高さは、針押さえプレート92が下降して最下点に達したときに、針押さえ部105の上端が、成形された非金属針2の針脚2b,2cの先端と干渉しないような高さで形成されている。つまり、針押さえ部105は、成形部材102が下降しながら非金属針2をコ字状に成形しているときに、折り曲げられた針脚2b,2cと接触しない位置に退避するように構成されている。
一方、成形が完了して成形部材102と共に針押さえプレート92が上昇したときは、アーム部102aが針脚2b,2c(の一部)を保持したままで、針押さえ部105の先端で針脚2b,2cを拾い込んで保持できるような寸法合わせとなっている。したがって、アーム部102aから針押さえ部105への針脚2b,2cの受け渡しの際の針脚2b,2cの開きを抑制して、受け渡し(針拾い)を安定して行うことができる。
また、針押さえプレート92の内側面における上下方向Zの略中央に、ドライバ本体100に設けられた取付部103の肩部103aに突き当てる一対の弾性片106(係合部)が設けられている。各弾性片106は、下方向に延びる片持ち梁で形成され、先端が自由端となっており、固定端を基点として左右方向Yに弾性変形するようになっている。各弾性片106の先端には、内側に向けて突出形成された突起部106aが設けられている。この構成により、針押さえプレート92に対してドライバ本体100が上昇したときに、弾性片106の下端が肩部103aに突き当たって係合し、ドライバ本体100と共に針押さえプレート92が上昇するようになっている。針押さえプレート92が最上点まで上昇すると、肩部103aが弾性片106を外側に押し広げ、弾性片106を乗り越えることで互いの係合が解除され、ドライバ本体100のみが上昇するようになっている。
なお、最下点に位置する針押えプレート92に対してドライバ本体100が下降する際には、ドライバ本体100の取付部103が、一対の弾性片106を外側に押し拡げることで、一対の弾性片106を乗り越え、ドライバ本体100のみが下降するようになっている。
<切断成形機構35の動作例>
次に、切断成形機構35の動作の一例を、図40A、図40Bの切断成形機構35の作動図、図42A〜図42Fのリンク18の作動図を参照しながら説明する。図40A、図40Bは、切断成形機構35を背面側から観察した図であり、切断成形機構35の作動過程の状態を、状態A〜状態Fで示している。図40A、図40Bでは、説明を容易とするために、切断刃101、成形部材102、針押さえプレート92、およびリンクシャフト15のみを図示している。図42A〜図42Fに示されたA〜Fは、切断成形機構が状態A〜状態F(F−1,F−2)のときのリンクシャフト15の状態(位置)を示しており、A〜Cは押し下げ操作時の状態を示し、D〜Fはリターン時の状態を示している。また、構成部品の詳細部分については、図39を併せて参照する。
操作ハンドル6の押し下げ操作前の待機位置(初期位置)では、図40Aの状態A(待機)のように受台58上には、連結針3の先頭の非金属針2が切断前の平坦な状態で配置されている。また、プッシャ61(図19参照)はプッシャリターンバネ47によって受台58の方向(前方)へ付勢されている。よって図42Aに示すように、プッシャ61のガイドアーム65の先端は、ステープラ本体5のガイド部66に設けられた係止用小凸部67よりも前方に位置している。これにより、押面63とされたプッシャ61の先端が針押さえプレート92内に突出した状態となっている(図26参照)。また、一対の抜き刃36(以下、左右を区別する場合には36a,36bという)の間には、先に切断および成形された非金属針2が装着されている(図22参照)。
操作者が操作ハンドル6を押し下げると、この押し下げ操作によって、リンクシャフト15が下降し、ドライバ本体100とリンク18とが押し下げられる。リンク18は、押し用突起部30で軸25を後方へ押圧しながら下降する。そして、図42Bに示すように、ガイド穴22の上縁部がガイド突起部23に突き当たることでリンク18の下降が停止する。このとき、プッシャ61のガイドアーム65の先端が係止用小凸部67の傾斜面67aを乗り越え、プッシャ61が後退することで、プッシャ61が針押さえプレート92から離脱し、針押さえプレート92が下降できるようになる。この下降の際には、針押さえプレート92の内側面に設けられた第一規制部91が連結針3に突き当たるが、第一規制部91は、連結針3の両先端を僅かに弾性変形させながら通過可能な突出量で形成されているため、連結針3の両端の折れ等を防止することができる。
また、リンクシャフト15の下降によって、ドライバ本体100と針押さえプレート92の双方が下降する。この下降によって針押さえプレート92は最下点に達して下降が停止すると、リンクシャフト15に連結されたドライバ本体100のみが下降し、図40Aの状態B(切断)のように、切断刃101の刃部101aで連結針3の連結部3aを切断し(切断動作)、連結針3から非金属針2を1つ切り離す。なお、参考のため、状態Bに、切断される連結針3の平面図を併記する。連結部3aは外向きで傾斜された刃部101aによって内側から外側へ向かって切断されるので、安定した状態で切断される。この切断後、ドライバ本体100がさらに下降することで、切断動作に引き続き、一対の成形部材102のアーム部102aの先端(下端)が非金属針2に到達し、該アーム部102aが非金属針2の針脚2b,2cを下方へ折り曲げる(成形動作開始)。
一方、リンク18はガイド突起部23によって下降が規制されているため、リンクシャフト15の下降によって、リンク18は後方へ移動することになる。その後、図42Cに示すように、後方延在部18bが規制用突起部24に突き当たって、リンク18の後退が停止される。リンクシャフト15の更なる下降によって、リンク18はガイド突起部23を支点として後方への回転(図中反時計回りの回転)を開始し、第三のガイド溝部28に案内されての折曲機構38のスライド部材122が後退を開始する(図42D参照)。
図42Eに示すように、リンクシャフト15が最下点まで下降し、スライド部材122が最も後退した状態のとき、図40Aの状態C(成形)のように、切断された非金属針2の成形が完了した状態でドライバ本体100が最下点に到達している。成形された非金属針2の針脚2b,2cは、成形部材102のアーム部102aによって保持されている。
次に、操作ハンドル6の押圧を解除することで、ハンドルリターンバネ45の付勢力で操作ハンドル6が初期位置への戻り方向へ移動し(リターン)、リンクシャフト15が上昇を開始する。これらの動作に連動して、リンク18がガイド突起部23を支点として戻り方向へ回転(図中時計回りの回転)し、スライド部材122が戻り方向へ移動(前進)すると共に、ドライバ本体100は上昇する。ドライバ本体100が上昇し、取付部103の肩部103aが針押さえプレート92の弾性片106に突き当たることで、針押さえプレート92がドライバ本体100と共に上昇する。この上昇過程で、アーム部102aが針脚2b,2cを保持した状態で、針押さえプレート92の一対の針押さえ部105間に針脚2b,2cが挿入され、その針先を拾う(受け取って保持する)ことができる。図40Aの状態D(針脚拾い)は、針先を拾う直前の状態を示しており、成形部材102の突起部102bによって針脚2b,2cの針先がやや内側へ閉じられているため、針押さえ部105で容易に針先を拾うことができる。しかしながら、針押さえ部105のテーパ面105aが針先を内側へ案内するため、状態Dの図に仮想線で示したように、針脚2b’が多少外に開いていても、針先を確実に拾うことができる。
よって成形部材102から針押さえ部105への針脚2b,2cの受け渡しを円滑に行うことができる。また、針押さえ部105を上昇させるだけで、針押さえ部105で針脚2b,2cを保持することができ、針脚2b,2cの弾性変形等を抑制し、針脚2b,2cへの負荷を低減することができ、より安定した成形が可能となる。
その後、図40Bの状態E(針押さえプレート最上点1)に示すように、針押さえプレート92が最上点まで到達すると、針押さえプレート92の上昇が停止する。状態Eに示すように、非金属針2の針脚2b,2cは、アーム部102aから抜け出るが、一対の針押さえ部105によって保持されている。その後のリンクシャフト15の上昇により、取付部103の肩部103aが一対の弾性片106を外側に押し拡げることで、一対の弾性片106を乗り越え、互いの係合が解除される。これによりドライバ本体100が針押さえプレート92から外れ、針押さえプレート92の下部での係止状態から解放されるので、ドライバ本体100のみが上昇する(図40Bの状態F−1(針押さえプレート最上点2)参照)。
ドライバ本体100と針押さえプレート92との係合が解放された状態では、針押さえプレート92は規制溝29内を自由に落下することができる。この場合でも、図40Bの状態F−2(針押さえプレート落下)に示すように、針脚2b,2cが針押さえ部105の先端に引っ掛かり、針押さえ部105からの外れが防止されている。
スライド部材122が完全に復帰した状態で、上記したリンク18の回転が停止するが、図42Fに示すように、プッシャ61のガイドアーム65が係止用小凸部67の係止面67bに係合してロック状態にあるため、プッシャ61の前進は、まだ規制されている。その後のリンクシャフト15の上昇によって、リンク18とドライバ本体100が上昇し、ドライバ本体100が成形された非金属針2を、一対の抜き刃36a,36bの間に受け入れられるまで上昇したタイミングで、第二のガイド溝部27の下縁部によってガイドアーム65が押し上げられる。これにより、ガイドアーム65が係止用小凸部67から外れ、プッシャリターンバネ47の付勢力によってプッシャ61が前進し、押面63によって非金属針2が一対の抜き刃36a,36bの間に送られる。また、受台58上には、次に使用される平坦な状態の連結針3が送られ、切断成形機構35は待機状態に復帰する(図40Bの状態A’(針押出し))。リンク18やリンクシャフト15等も初期位置に復帰する(図42A参照)。
[貫入機構37について]
図39、図43、図44に示すように、上記した貫入機構37は、用紙Pに貫通孔p1(図3参照)を形成し、用紙Pに非金属針2の針脚2b,2cを貫通させる左右一対の抜き刃36a,36bと、非金属針2のクラウン2aを抑えるクラウン押さえ部110と、を備えている。抜き刃36a,36bとクラウン押さえ部110とは、ドライバ本体100に設けられ、リンクシャフト15によってドライバ本体100と共に上下方向Zへ移動するようになっている。
一対の抜き刃36a,36bは、ドライバ本体100の下側に、非金属針2を収容保持可能な所定の間隔を介して左右方向Yに平行に取り付けられている。一対の抜き刃36a,36bは、ドライバ本体100から下方に延在し、その下端に、用紙Pを切断するV字状の刃部111a,111bが設けられている。各抜き刃36a,36bは、前方または後方から見て略クランク状(または傾斜段差状)に折り曲げられた形状を有しており、ドライバ本体100へ取り付けられた上端(基端部)と、下端の刃部111a,111bとが上下方向Zに対して一直線上になく、上端(基端部)に対して下端側の刃部111a,111bが内側へオフセットされた形状となっている。
より詳細には、一対の抜き刃36a,36bの間隔は、刃部111a,111bが設けられた先端側から所定の長さの範囲では、クラウン2aの内幅、即ち一対の脚部2b,2cの内幅と同等、または若干狭くなっており、最初に用紙Pを貫通する第一の貫通部112a,112bを構成している。この第一の貫通部112a,112bの上側から基端側部までは、クラウン2aの外幅、即ち一対の脚部2b,2cの外幅と同等、または若干広くなっており、第二の貫通部113a,113bを構成している。なお、本明細書でいう「同等」とは、厳密に同じ寸法である必要はなく、「ほぼ同等」であればよく、常識的な範囲で寸法等が僅かに大きい場合や小さい場合も含まれる意味であり、多少の寸法誤差等は許容されるものである。
第一の貫通部112a,112bと第二の貫通部113a,113bの境界となる所定の中間位置で略クランク状に折り曲げられ、第一の貫通部112a,112bと第二の貫通部113a,113bとの間に傾斜した段差が形成される。この段差部分では、一対の抜き刃36a,36bの間隔は、第一の貫通部112a,112bから第二の貫通部113a,113bに向かって次第に広がるように形成され、第一の貫通部112a,112bで形成した貫通孔p1を外側方向に押し拡げる孔拡張部114a,114bとなっている。
そして、対向して配置された一対の第二の貫通部113a,113bの間で、コ字状に成形された非金属針2を保持可能となっている。また、第二の貫通部113a,113bと孔拡張部114a,114bとの境界の段差部分は、第二の貫通部113a,113bで保持された非金属針2の針脚2b,2cを支持する針脚支持部115a,115bとなっている。
各抜き刃36a,36bには、用紙Pを貫通した針脚2b,2cを内側に折り曲げる折曲機構38の一対の折り曲げ部材としての、第一、第二の折り曲げ部材120a,120b(図45参照)が出入り可能な孔部116a,116bが、第二の貫通部113a,113bおよび針脚支持部115a,115bを貫通して形成されている。なお、第一、第二の折り曲げ部材120a,120b(図45参照)が出入り可能であれば、孔部116a,116bに限定されることはなく、第二の貫通部113a,113bおよび針脚支持部115a,115bの一部を切欠いた切欠き部であっても良い。
クラウン押さえ部110は、一対の抜き刃36a,36bの間に設けられている。また、クラウン押さえ部110は、ドライバ本体100に対して上下方向Zに移動可能な構成で、クラウン押さえバネ46によって下方に付勢された状態で、ドライバ本体100に取りつけられている。
本実施例のステープラ1では、上記したように貫入機構37が所定の位置まで下降すると、折曲機構38が作動して、針脚2b,2cの折り曲げが開始される。そこで、用紙Pの枚数(厚さ)の違いに影響されることなく、所定のタイミングで針脚2b,2cを折り曲げられるようにするため、用紙Pの枚数(厚さ)の違いをクラウン押さえ部110の上下方向Zへの移動で吸収し、貫入機構37が所定の位置まで下降できるようにしている。
また、貫入機構37は、ステープラ本体5の下部に用紙Pを貫通した抜き刃36a,36bを案内する金属製の抜き刃ガイド117(図45参照)を備えている。上述したように、抜き刃36a,36bは、ドライバ本体100の固定側の基端部と先端の刃部111a,111bとが上下方向Zに対して同一の直線上にないため、抜き刃36a,36bの刃部111a,111bが用紙Pを貫通するときに、抜き刃36a,36bが内側に流される(抜き刃36a,36bが内側に傾けられる)ような力が作用する。さらに、一対の孔拡張部114a,114bの間隔が次第に広がっているため、孔拡張部114a,114bが貫通孔p1を押し拡げながら通過するときも、抜き刃36a,36bが内側に流される(内側に傾く)方向に力が作用する。
この抜き刃36a,36bの内側方向への流れを防ぎ、かつ左右方向への流れを防ぐ抜き刃ガイド117を設けている。貫入動作の際に、抜き刃36a,36bが下向きコ字状を呈する抜き刃ガイド117の側面に沿って下降することで、抜き刃36a,36bの内側方向への流れ(変形)を防ぐことができ、抜き刃36a,36bによる用紙Pの貫入動作を円滑に行うことができる。
図41に示すように、抜き刃ガイド117は、第1のガイド部117aと、第一のガイド部117aよりも形成高さが低い第2のガイド部117bを備えている。また、第一のガイド部117aの前方(第二のガイド部107b側)の上縁角部を、前下がりのテーパ状または曲線状に面取りして、面取部117cを設けている。なお、本実施例では、第一の貫通部112a,112bの間隔と同等の間隔を介してコ字状に成形された板部材の前方側を、切欠いて段差を形成し、切欠いていない側を第一のガイド部117a、切欠いた低い側を第二のガイド部117bとすることで、第一、第二のガイド部117a,117bを一部品で一体に形成している。この構成により、ステープラ1の部品点数の低減、構成の簡易化が可能となり、小型化も可能となると共に、第一、第二のガイド部117a,117bとを一体で動作させることができる。
なお、抜き刃ガイド117の構成が実施例1のように、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bが一部品で構成された形態に限定されることはなく、第一、第二のガイド部117a,117bを別個に形成しても良い。また、別個に形成した第一、第二のガイド部117a,117bが同期して動作する構成としても良いし、抜き刃36a,36bの、貫入量に応じてその刃先近傍の内側面を常にガイド可能な連続面が形成されれば、それぞれが独立して動作しても良い。
第一のガイド部117aは、貫入動作の際の用紙Pの撓みを防止するため、第一のガイド部117aの頂部の高さは、用紙Pを載置する用紙台7と同等(面一)もしくは用紙台7よりも多少低くしている。これにより、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通する際の負荷を低減することができ、貫入動作を円滑に行って、貫通孔p1が必要以上に幅広とならないようにしている。また、このような形成高さとすることで、抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通して用紙Pから刃先近傍の内側面が突出したタイミングで直ちに、第一のガイド部117aで刃先近傍の内側面をガイドすることができ、抜き刃36a,36bの内側方向および左右方向への流れの防止効果をより向上させることができる。
一方、第二のガイド部117bは、抜き刃36a,36bとともに非金属針2の一対の針脚2b,2cが用紙Pを貫通するときに、抜き刃36a,36bの先端をガイド可能な高さであって、第二のガイド部117bとステープラ本体5との間の空間を利用して折曲機構38が折り曲げ動作を行える高さとする。より好ましくは、抜き刃36a,36bが最下端まで下降したときの針脚2b,2cの先端の位置よりも低くなるような高さ、もしくは折曲機構38の第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが出入りする孔部116a,116を塞がない高さとする。ただし、抜き刃36a,36bが最下端まで到達する前に針脚2b,2cの折り曲げが開始される仕様のときには、折り曲げ前の針脚2b,2cの先端の位置よりも第二のガイド部117bが多少高く形成されていても良い。
また、抜き刃ガイド117は、折曲機構38の後述するスライド部材122に設けられている。スライド部材122の往復動作に連動して、用紙Pへの抜き刃36a,36bの貫通長さに応じて第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとが、切り替わって抜き刃36a,36bの間に配置される。抜き刃36a,36bによる貫通孔p1の形成時(貫通長さが比較的短いとき)には、一対の抜き刃36a,36bの間に第一のガイド部117aが配置され、抜き刃36a,36bの先端(少なくとも刃部111a,111b部分、より好ましくは第一の貫通部112a,112bまで)をガイドする。
一方、一対の抜き刃36a,36bがさらに下降することで、用紙Pに深く貫通し(貫通長さが比較的長くなる)、非金属針2の一対の針脚2b,2cが用紙Pを貫通する。用紙Pを貫通した針脚2b,2cが折曲機構38によって折り曲げられるときには、一対の抜き刃36a,36bの間から第一のガイド部117aが退避して、この第一のガイド部117aよりも低い第二のガイド部117bが位置する。この第二のガイド部117bによって、抜き刃36a,36bの先端をガイドして、抜き刃6bの左右方向Yへのブレや内側への変形を抑制しつつ、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bによる針脚2b,2cの折り曲げ動作を妨げることがないようになっている。抜き刃36a,36bは、用紙Pへの貫通時と、非金属針2の折り曲げ時において、抜き刃36a,36bの貫入量に応じてその刃先近傍の内側面を常にガイド可能な連続面が形成されることで、抜き刃36a,36bが第一のガイド部117aと第二のガイド部117b間を確実に相対移動することが可能となる。
また、本実施例では、第二のガイド部117bの上縁は、後方側は水平となっているが、前方側は次第に高さを低くして前下がりに傾斜させている。つまり、前方側を、スライド部材122の後退に伴って、一対の抜き刃36a,36bが下降する際に、その先端(刃先近傍)が第二のガイド部117bの側面を相対的に通過する経路に沿って傾斜させている。この傾斜により、一対の抜き刃36a,36bが最下端まで下降した場合でも、第二のガイド部117bの両側壁面で一対の抜き刃36a,36bの先端を確実にガイドしつつ、孔部116a,116bが塞がれるのを抑制することができる。そのため、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの孔部116a,116bの出入りを円滑に行うことができる。
<貫入機構37の動作例>
次に、貫入機構37の動作の一例を、図43、図44のドライバ本体の説明図、および図40A、図40Bの貫入機構37の作動図ならびに図41の抜き刃ガイド117の作動図を参照しながら説明する。貫入動作前の待機位置の状態(図40Aの状態A参照)では、図43の(b)、(e)に示すように、一対の抜き刃36a,36bの間に、切断成形機構35によって送られたコ字状の非金属針2が保持されている。このとき、クラウン押さえ部110によって、クラウン2aが押さえられ、針脚2b,2cが針脚支持部115a,115bに支持されている。
操作ハンドル6の押し下げ操作によってリンクシャフト15が下降すると、貫入機構37が設けられたドライバ本体100が下降する(図41(a)参照)。そして、用紙台7に載置された用紙Pに抜き刃36a,36bが到達すると、刃部111a,111bによって用紙Pに貫通孔p1が形成され(図40Aの状態Bの点線部分を参照)、まず、第一の貫通部112a,112bが貫通孔p1を貫通する。このとき、抜き刃ガイド117の第1のガイド部117aが抜き刃36a,36bの間に配置されることで、第一の貫通部112a,112bの内側方向への傾きが防止され、円滑な貫通が可能となる。
貫入機構37が更に下降すると、孔拡張部114a,114bが、貫通孔p1を外側方向に拡げながら用紙Pを貫通する。そして、貫入機構37が更に下降すると、第二の貫通部113a,113bが貫通孔p1を貫通すると共に、第二の貫通部113a,113bの内側に保持された非金属針2の一対の針脚2b,2cが貫通孔p1を貫通する(図41(b)参照)。
また、クラウン2aが用紙Pに到達すると(図40Aの状態C参照)、クラウン押さえ部110がクラウン2aを用紙Pに押圧することで、クラウン2aと用紙Pとを密着させることができる。また、用紙Pの枚数が多い場合でも、図44の各図に示すように、クラウン押さえ部110がクラウン2aを用紙Pに押圧して停止した状態で、クラウン押さえバネ46を圧縮しながらドライバ本体100のみが下降する。そのため、用紙Pの枚数に影響されることなく、抜き刃36a,36bを所定の位置まで下降させることができる。そのため、その後の折曲機構38による針脚2b,2cの折り曲げ動作を、所定のタイミングで円滑に行うことができる。
この折り曲げ動作のタイミングでは、図41(c)に示すように、スライド部材122の後退に連動して抜き刃ガイド117が後退し、抜き刃36a,36bの間には、第二のガイド部117bが配置される。そのため、折曲機構38による針脚2b,2cの折り曲げ動作を円滑に行うことができる。なお、抜き刃36a,36bに作用する力は、第二の貫通部113a,113b上に一致し、抜き刃36a,36bには内側に傾けられるような力が掛かりにくい。そのため、第二の貫通部113a,113bが貫通孔p1を貫通するタイミングでは、抜き刃36a,36bをガイドしなくても、その変形を抑制できる。しかしながら、本実施例では、第二の貫通部113a,113bが用紙Pを貫通するタイミングでも、第二のガイド部117bによって抜き刃36a,36bの先端をガイドしている。したがって、抜き刃36a,36bの内側への変形を防止すると共に、折り曲げ動作時に抜き刃36a,36bの孔部116a,116bを一対の折り曲げ部材120a,120bが出入りする際の抜き刃36a,36bの左右方向Yへのブレ等を抑制して、貫入動作およびその後の折り曲げ動作をより円滑に行うことができる。
用紙Pが綴じられた後は、図41(d)に示すように、スライド部材122と抜き刃ガイド117との移動が停止する。その後、操作ハンドル6の押圧を解除すると、リンクシャフト15とともにドライバ本体100が上昇することで、抜き刃36a,36bが貫通孔p1から抜け、貫入機構37が待機位置の状態に復帰する。これに伴い、スライド部材122も元の位置に復帰動作(前進)し、抜き刃36a,36bの間に向けて第一のガイド部117aも移動する。本実施例では、第一のガイド部117aの前方に面取部117cを設けたことで、第一のガイド部117aの復帰の際に、面取部117cで用紙Pの下側で重なった針脚2b,2cをすくい上げながら移動する。そのため、針脚2b,2cの下方での第一のガイド部117aの復帰動作をより円滑に行うことができると共に、針脚2b,2cのめくれを抑制できる。
次に、抜き刃ガイド117の変形例について、図41A、図41Bを参照しながら説明する。図41A、図41Bは、抜き刃ガイド117の変形例の作動図である。図41A、図41Bに示す変形例の抜き刃ガイド117は、第二のガイド部117bの形状が異なるだけで、図41に示す本実施例の抜き刃ガイド117と基本構成は同じであり、第1のガイド部117aと、第一のガイド部117aよりも形成高さが低い第二のガイド部117bとを備えている。
図41Aに示す変形例では、第二のガイド部117bの上縁117dが、第一のガイド部117aの前端から前方に向かって異なる2つの傾斜角度で直線的に傾斜した形状となっており、側面視が内角を鈍角とするV字状を呈している。
図41Bに示す変形例では、第二のガイド部117bの上縁117dが、第一のガイド部117aの前端から前方に向かって曲線的に傾斜し、この曲線に連続して前方側が直線的に傾斜した形状となっている。なお第二のガイド部117bの上縁117d全体を、曲線的に傾斜した形状とすることもできる。また、この変形例では、第一のガイド部117aの前方に、面取部117cを設けている。
このような変形例の抜き刃ガイド117も、図41A、図41Bの各(a)〜(d)の作動図に示すように、図41の実施例と同様に動作し、実施例と同様の作用、効果を得ることができる。また、第二のガイド部117bの上縁117dを、直線的又は曲線的に傾斜させていることで、第二のガイド部117bを、抜き刃36a,36bの刃部111a,111bの下降経路に沿って傾斜する形状とすることができる。そのため、各変形例の抜き刃ガイド117では、折曲機構38による折り曲げ動作を妨げることなく、抜き刃36a,36bをより円滑にガイドして、その変形を抑制することができる。
[折曲機構38について]
図45〜図48等に示すように、上記した折曲機構38は、用紙Pを貫通した非金属針2の一方の針脚(本実施例では右側の針脚)2bを折り曲げる第一の折り曲げ部材120aと、他方の脚部(本実施例では左側の針脚)2cを折り曲げる第二の折り曲げ部材120bと、一方の針脚2bと他方の針脚2cを貼り合せる貼り合せ部材121と、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bおよび貼り合せ部材121を決められた順序(シーケンス)で駆動する駆動部材としてのスライド部材122と、ステープラ本体5に設けられ、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを折り曲げ方向へ案内する傾斜面からなる一対の案内面123a,123b(図47、図50A参照)とを備えている。
第一、第二の折り曲げ部材120a,120bは、上方に向けて突出形成され針脚2b,2cを内折りする折曲突起124a,124bと、ステープラ本体5の一対の案内面123a,123bに係合する第一、第二の傾斜面125a,125bと、スライド部材122が係合する第一、第二の作動段部126a,126bとを備えている。第一の折り曲げ部材120aと第二の折り曲げ部材120bは、スライド部材122の前後方向Xへの進退動作によって上下方向Zおよび左右方向Yへの移動がコントロールされる。
この上下方向Zおよび左右方向Yへの移動に伴って、第一、第二の傾斜面125a,125bが一対の案内面123a,123bに沿って案内されることで第一、第二の折り曲げ部材120a,120bは、斜め方向へ互いの間隔を拡縮(近接離反)しながら移動する。これにより、第一、第二の折曲突起124a,124bが、用紙Pを貫通した一対の抜き刃36a,36bの孔部116a,116bを出入りする。
第一の折り曲げ部材120aと第二の折り曲げ部材120bは、平面視U字状の連結バネ127によって一体に連結され、平面視Ω形の折り曲げユニット128を構成している。本実施例では、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bおよび連結バネ127を樹脂で一体成形して折り曲げユニット128を形成し、この折り曲げユニット128を、連結バネ127を押し縮めた状態でステープラ本体5の内面に取り付けている。そのため、形状安定性や柔軟性に優れ、ステープラ本体5への折り曲げユニット128の収納性が向上すると共に、第一、第二の折り曲げ部材120a,12bの上下左右方向へ移動を自在に行うことができる。
連結バネ127は、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを外側方向へ移動させる方向、即ち、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し下げる方向(戻り方向)へ付勢する。よって第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが、スライド部材122の復帰動作によって押し下げられて初期位置に戻る際に、連結バネ127の復元力が復帰動作をアシストし、引っ掛かりなどを抑制して復帰動作を円滑に行うことが可能となると共に、復帰動作時の操作性を向上させることができる。なお、連結バネ127は、上記とは反対に、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを内方へ移動させる方向、即ち、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し上げる方向へ付勢させるようにしても良く、折り曲げ動作時の操作性を向上させることができる。
折り曲げユニット128のステープラ本体5への取り付けの際には、図47に示すように連結バネ127に突設した取付突部129をステープラ本体5の前方に設けた孔部130へ係合し、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bにそれぞれ突設した取付突部131a、131b(図45参照)を、ステープラ本体5に対して、案内面123a,123bの傾斜と対応して凹設された長穴132a,132bへ係合する。これにより、ステープラ本体5からの折り曲げユニット128の不測の脱落等を防止するとともに、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの上下左右方向(斜め方向)への移動を可能としている。
なお、連結バネ127は、平面視U字状のものに限定されることはない。第一の折り曲げ部材120aと第二の折り曲げ部材120bとを押し下げる方向(または押し上げる方向)へ付勢可能であれば、平面視V字状、W字状、I字状等の連結バネ127であっても良い。
第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを案内する一対の案内面123a,123bは、図50A等に示すように、左右方向Yに対し、下端が最も外側に位置し、上端に向かって次第に内側へ傾斜する面で構成される。つまり一対の案内面123a,123bは正面視でハ字状に形成されている。なお、案内面123a,123bが必ずしも連続した面に限定されることはなく、分離した複数の面で構成しても良い。
各案内面123a,123bの傾斜角度(水平方向に対する傾斜角度)は、本実施例では約45°とされているが、これに限定されることはなく、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bやスライド部材122の可動範囲、動作タイミング等によって適宜調整することができる。
本実施例のように傾斜角度を45°程度とすることで、ステープラ本体5内の狭い空間内で、スライド部材122の移動距離をできるだけ短くしつつ、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを効率的に押し上げることができる。また、抜き刃36a,36bが用紙Pの貫通孔p1を外側方向に拡げながら下降することで、貫通孔p1の縁が下側に反って垂れ下がるように突出する場合がある。この場合でも、案内面を45°程度とすることで、垂れ下がった縁と第一、第二の折曲突起124a,124bとの干渉を避けて、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを円滑に斜め方向へ上下移動させることができる。したがって、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの作動性を向上させることが可能となり、ステープラ1の操作性の向上やコンパクト化も可能となる。
貼り合せ部材121(図45参照)は、一端側(前端側)が、左右方向Yへ延びる支軸133(図48、図51等参照)を介してステープラ本体5に上下回動可能に軸支されている。貼り合せ部材121の他端(後端)には、非金属針2の一方の針脚2bと他方の針脚2cを下側から押圧して貼り合せる押圧部134が設けられている。貼り合せ部材121が支軸133を支点として上下に回動することで、押圧部134が上下方向Zに移動する。
スライド部材122(図45参照)は、ステープラ本体5に対して前後方向Xにスライド移動する動作で、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bおよび貼り合せ部材121を適宜押し上げ又は押し下げて、上下に移動させる。スライド部材122は、図11に示すように、前後方向Xにスライド移動が可能な状態でステープラ本体5に取り付けられている。スライド部材122は、スライダリターンバネ48によって常時前方(戻り方向)へ付勢されている。スライド部材122の後方には、上記した軸26(スライダ駆動軸、図9参照)が設けられ、上記したリンク18の第三のガイド溝部28に挿入されることで(図42A、図48等参照)、スライド部材122とリンク18とが連結される。よって、リンク18を介してスライド部材122と操作ハンドル6とが連結され、操作ハンドル6の動作と連動してスライド部材122を動作させることができる。
リンク18は、操作ハンドル6の上下方向Zへの往復動作を、スライド部材122の前後方向Xへの往復動作に変換する。スライド部材122は、基本的にはリンク18の回転動作に連動して前後方向Xへ往復動作する(図42E等参照)。さらに、第三のガイド溝部28が上下方向Zに長く形成されていることで、軸26と第三のガイド溝部28との係合を保持しつつ、リンク18および操作ハンドル6のみが上下方向Zに移動することが許容されている。
つまり、操作ハンドル6とスライド部材122とは、リンク18を介して基本的には連動して動作するが、他方のみの所定の動作も許容し、しかも互いが分離することなく連結状態が保持される構成となっている。
また、図45(c)に示すように、スライド部材122には、上記した抜き刃ガイド117が取りつけられ、スライド部材122と一体に前後方向Xへ往復動作可能となっている。スライド部材122が後退して第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが一対の抜き刃36a,36bの孔部116a,116bを出入りする際には、抜き刃ガイド117もスライド部材122と共に後方へ移動し、抜き刃36a,36bの間から第一のガイド部117aが退避して、第二のガイド部117bが配置される。そのため、折り曲げ動作時の抜き刃ガイド117と第一、第二の折り曲げ部材120a,120bとの干渉を防ぐことができる。
スライド部材122は、左右方向Yの両側に、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの上下方向Zおよび左右方向Yへの移動をコントロールする第一、第二の側壁135a,135bが設けられている。この第一、第二の側壁135a,135bには、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの第一、第二の作動段部126a,126bがそれぞれ係合する。
図46に示すように、上記第一、第二の側壁135a,135bは、後方(図中上側)から前方(図中下側)に向かって順に、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し上げることなく待機位置(初期位置)に保持する第一、第二の待機部136a,136bと、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し上げながら、内側方向へ案内する第一、第二の作動部137a,137bと、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが所定以上押し上げられることがないよう、所定の押し上げ状態で保持する第一、第二の保持部138a,138bとを備えている。
第一、第二の待機部136a,136bは、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し上げることのない高さで形成される。第一、第二の作動部137a,137bは、図45、図50A、図50B等に示すように、前方に向かって次第に高くなる傾斜面によって形成されている。さらに、第一、第二の作動部137a,137bは、図46に示すように、前方に向かって次第に内側に位置するように形成され、互いの間隔が前方に向かって次第に狭くなるように構成されている。第一、第二の保持部138a,138bは、第一、第二の作動部137a,137bに連続してスライド部材122の延在方向に沿って水平に形成されている。
本実施例では、まず、第一の折り曲げ部材120aを動作させて右側の一方の針脚2bを折り曲げる。次に、所定の位相差を介在して第二の折り曲げ部材120bを動作させて左側の他方の針脚2cを折り曲げる。これを可能とするため、前後方向Xにおいて第一の作動部137aの開始位置を、第二の作動部137bの位置よりも後方側に設けている。この構成により、スライド部材122が後退すると、まず、第一の作動部137aが第一の作動段部126aを介して第一の折り曲げ部材120aを押し上げると共に、内側方向(第一の折曲突起124aを一方の孔部116aから突出させる方向)へ案内する。その後、第二の作動部137bが第二の作動段部126bを介して第二の折り曲げ部材120bを押し上げると共に、内側方向(第二の折曲突起124bを他方の孔部116bから突出させる方向)へ案内する。
一方、図45、図48に示すように、スライド部材122の前端には、左右方向Yに延在する作動軸139が設けられ、この作動軸139が貼り合せ部材121の壁面に設けられたカム溝140に係合している。カム溝140と作動軸139は、貼り合せ部材121の駆動機構の一例であり、スライド部材122の前後方向Xへの動きを、貼り合せ部材121の上下方向Zへの回転動作に変換するものである。
カム溝140は、スライド部材122の前後方向Xへの移動に対して貼り合せ部材121を回転させることなく待機位置(初期位置)に保持する待機溝部141と、貼り合せ部材121を回転させる回転溝部142と、貼り合せ部材121を所定の回転状態で保持する保持溝部143を備えている。
待機溝部141は、図51の各図に示すように、貼り合せ部材121の延在方向に対して傾斜し、かつ貼り合せ部材121が待機位置にあって押圧部134が最下点に位置する状態で水平となる形状の溝で構成される。回転溝部142は、待機溝部141とは対称となる方向に傾斜した形状の溝部で構成され、保持溝部143は、貼り合せ部材121の延在方向に沿った形状の溝で構成される。
上記したようにカム溝140と作動軸139を構成することで、スライド部材122が後方へ移動し、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが針脚2b,2cを折り曲げているタイミングで、作動軸139が待機溝部141を通過することで、貼り合せ部材121が回転することなく、待機状態となっている。第一、第二の折り曲げ部材120a,120bによる針脚2b,2cの折り曲げが完了したタイミングで、作動軸139が回転溝部142を通過することで、貼り合せ部材121が回転して、押圧部134が上昇し、針脚2b,2cを押圧して貼り合せる。その後、作動軸139が保持溝部143を通過することで、貼り合せ部材121の回転が停止し、押圧部134が上昇した状態で保持される。
<折曲機構38の動作例>
次に、折曲機構38の動作の一例を、図49〜図51等の折曲機構の各部材の作動図を参照しながら説明する。図51(a)の操作ハンドル6の押し下げ操作前の待機位置(初期位置)では、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bは最下点に位置している(図50A)。スライド部材122の作動軸139は、貼り合せ部材121の待機溝部141に位置することで、押圧部134が最下点に位置している(図49(a)、等参照)。
操作ハンドル6を押し下げ操作することによって貫入機構37が作動し、抜き刃36a,36bの第一の貫通部112a,112bが用紙Pを貫通するタイミングで、リンク18が回転を開始する(図42D、図42E参照)。第三のガイド溝部28によって軸26が案内されることで、スライド部材122が後方への移動(後退)を開始し、折曲機構38が作動する。まず、第一の作動部137aの上端が第一の作動段部126aを押し上げることで、一方の案内面123aに案内されて第一の折り曲げ部材120aが斜め方向に上昇する。これにより、一方の孔部116aから一対の抜き刃36a,36bの内側に第一の折曲突起124aが突出し、一方の針脚2bを折り曲げる。次に、所定の位相差を介在して第二の作動部137bの上端が第二の作動段部126bを押し上げることで、他方の案内面123bに案内されて第二の折り曲げ部材120bが斜め方向に上昇する。これにより、他方の孔部116bから一対の抜き刃36a,36bの内側に第二の折曲突起124bが突出し、他方の針脚2cを折り曲げる(以上、図50B参照)。
なお、一方の針脚2bが完全に折り曲げられた状態で、第二の折り曲げ部材120bによる他方の針脚2cの折り曲げを開始するように構成しても良いが、本実施例では、第一の折り曲げ部材120aが一方の針脚2bを内側に僅かに折り曲げたタイミング(位相差)で第二の折り曲げ部材120bによる他方の針脚2cの折り曲げを開始している。この場合でも、一方の針脚2bと他方の針脚2cとが干渉することなく折り曲げることができると共に、一対の針脚2b,2cの折り曲げに掛かるスライド部材122の移動距離(ストローク)をより短くすることができる。
また、スライド部材122と案内面123a,123bの作用によって第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、斜め方向に上昇させ、針脚2b,2cに対してほぼ直交する方向から針脚2b,2cを折り曲げるので、逃げ防止対策を施さなくても、針脚2b,2cの前後方向Xへの逃げを抑制することができる。よって、針脚2b,2cを円滑に折り曲げることができると共に、針脚2b,2bの折目の曲がり等も抑制して、見栄えや綴じ機能も向上させることができる。
なお、針脚2b,2bの折り曲げの際に、スライド部材122が後退することで、抜き刃ガイド117の第一のガイド部117aが一対の抜き刃36a,36bの間から後方へ退避し、第二のガイド部117bが配置される(図41(c)、図49(b)参照)。そのため、ステープラ本体5と第二のガイド部117bとの間の空間を利用して折り曲げ動作を行うことができ、抜き刃ガイド117と干渉することなく、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが孔部116a,116bを通過することができる。また、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが動作している間は、作動軸139が待機溝部141に位置しているため、貼り合せ部材121が動作することはなく、待機状態が保持されている。
また、本実施例では、第一の折り曲げ部材120aに対する第一の作動部137bの終了側(前方)をやや低く形成して、一方の針脚2bの折り曲げが完了した時点で、図50Cの状態から図50Dのように、第一の折り曲げ部材120aを下降させる構成としている。この構成により、第一の折り曲げ部材120aと他方の針脚2cとの干渉を、より抑制することができる。特に、針脚2b,2cが長く形成された非金属針を使用する場合や、用紙Pの厚みが薄く、用紙Pから突出した針脚2b,2cが長くなった場合等に有効である。そのため、使用する非金属針2の種類や用紙Pの厚みの変化等に影響されることなく、円滑に針脚2b,2cを折り曲げることが可能なステープラ1とすることができる。
一対の針脚2b,2cの折り曲げが完了すると、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの第一、第二の作動段部126a,126bが第一、第二の保持部138a,138bに位置することで、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの上昇が停止する。このタイミングで、作動軸139が回転溝部142を通過することで、貼り合せ部材121が支軸133を支点として回転し、押圧部134が上昇して、一方の針脚2bと他方の針脚2cを押圧して貼り合せる(図49(c)、図50C、図51(c)参照)。このときも一対の抜き刃36a,36b間には抜き刃ガイド117の第二のガイド部117bが位置しているので、貼り合せ部材121の動作が抜き刃ガイド117に影響されることがない。針脚2b,2cの貼り合せが完了すると、作動軸139が保持溝部143を通過することで、貼り合せ部材121の回転が停止する(図51(c))。その後、スライド部材122の後退も停止する(図49(c))。
そして、操作ハンドル6の押し下げ操作を解除することで、ハンドルリターンバネ45の復元力によって操作ハンドル6が押し上げられ、リンク18が戻り方向へ回転し、第三のガイド溝部28に案内されることで、スライド部材122が戻り方向(前方)へ移動する。このようにリンク18によってスライド部材122を強制的に復帰させることが可能となっているが、本実施例ではさらに、スライダリターンバネ48を設けている。このスライダリターンバネ48の付勢力によってスライド部材122の戻り方向への移動がアシストされ、より円滑な復帰動作が可能となる。
上記スライド部材122の復帰動作に伴って、作動軸139が回転溝部142を通過して待機溝部141に戻ることで押圧部134が下降し、待機位置に戻る。また、スライド部材122が、第一、第二の作動部137a,137bの外壁面によって第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを外側方向に押圧しながら移動することで、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し下げ方向および左右方向Yにおいて互いに離間する方向へ強制的に移動させられる。また、連結バネ127の付勢力も相俟って、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを円滑に押し下げおよび離間させて、初期位置に戻すことができる。このように、操作ハンドル6の復帰動作に連動して、リンク18によって折曲機構38の各部を初期位置に復帰させることができる。
また、上記したリンク18によって、操作ハンドル6によって直接に駆動される貫入機構37等に対して、折曲機構38を全域に亘って所定のタイミングで連動して動作させることができると共に、復帰動作も連動させることができる。このような全域に亘る連動関係を有していない場合、スライド部材122の復帰と貫入機構37等の復帰はそれぞれ独自に行われることになる。そのため、例えば、紙詰まりやスライダリターンバネ48の動作不良などによってスライド部材122が復帰しなくても、貫入機構37等のみ単独で復帰することになる。そのため、操作者が折曲機構38の不具合に気づかずに綴じ作業を続行することがあり、構成部品の耐久性やステープラ1の操作性に影響することがある。
これに対して、本実施例では、各機構の動作及び復帰動作がリンク18によって連動しているため、操作ハンドル6、切断成形機構35、貫入機構37、折曲機構38の何れかに作動不良や戻り不良が生じた場合、他の機構や操作ハンドル6の動作や復帰動作も停止する。そのため、操作者は操作ハンドル6が初期位置に完全に復帰しないとき等は、何れかの機構で作動不良が生じたことを容易に把握することができ、迅速に対応することができる。また、作動不良に気づかずに操作を続けてしまうことを防止して、構成部品の引っ掛かり等を防いでステープラ1の耐久性を向上させることができる。
次に、折曲機構の変形例を、図52を参照しながら説明する。上記実施例では、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを連結する連結バネ127の弾性力によって、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを戻り方向(押し下げ方向)へ付勢している。これに対して、図52の(a)〜(c)の変形例では、別個に形成した第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、コイルバネによって押し上げ方向又は押し下げ方向へ付勢している。
図52(a)に示す変形例では、第一の折り曲げ部材120aに設けた突起145と、ステープラ本体5の側面に設けた突起145との間に配置したねじりコイルバネ146により、第一の折り曲げ部材120aを押し上げ方向へ付勢している。また、第二の折り曲げ部材120bの下端とステープラ本体5の底面との間に配置した圧縮コイルバネ147により、第二の折り曲げ部材120bを押し上げ方向へ付勢している。なお、第一の折り曲げ部材120aを圧縮コイルバネ147で付勢し、第二の折り曲げ部材120bをねじりコイルバネ146で付勢しても良いし、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの双方をねじりコイルバネ146又は圧縮コイルバネ147で付勢しても良い。
図52(b)に示す変形例では、第一の折り曲げ部材120aに設けた突起145と、ステープラ本体5の天面に設けた突起145との間に配置したねじりコイルバネ149により、第一の折り曲げ部材120aを戻り方向へ付勢している。また、第二の折り曲げ部材120bに設けたバネ取付部148と、ステープラ本体5に設けたバネ取付部148との間に配置した引張コイルバネ150により、第二の折り曲げ部材120bを戻り方向へ付勢している。なお、第一の折り曲げ部材120aを引張コイルバネ150で付勢し、第二の折り曲げ部材120bをねじりコイルバネ149で付勢しても良いし、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの双方をねじりコイルバネ149又は引張コイルバネ150で付勢しても良い。
図52(c)に示す変形例では、第一の折り曲げ部材120aに設けたバネ取付部148と、第二の折り曲げ部材120bに設けたバネ取付部148との間に圧縮コイルバネ151を配置し、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを戻り方向へ付勢している。なお、圧縮コイルバネ151に代えて引張コイルバネ150を配置し、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し上げ方向へ付勢しても良い。
本実施例、図52(b)および(c)の各変形例のように、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを戻り方向へ付勢することで、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの押し下げ時の操作性を向上させることができる。また、図52(a)の変形例のように、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを押し上げ方向へ付勢することで、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの押し上げ時の操作性を向上させることができる。
なお、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを付勢する手段が、実施例や変形例に限定されることはなく、板バネ、ぜんまいバネ等の他のバネを用いても良いし、バネ以外の付勢手段を用いても良い。またスライド部材122の作動部で第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの上下動を十分にコントロールできるので、必ずしもこのような付勢手段を設けなくても良い。
または、スライド部材122の第一、第二の作動部137a,137bの間隔を次第に狭めた構成とすることなく、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの上下方向Zへの移動のみをスライド部材122で強制的に行い、左右方向Yへの移動をバネ等の付勢手段で行う構成としても良い。または、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの左右方向Yの移動をスライド部材122で強制的に行い、上下方向Zの移動を付勢手段で行う構成としても良い。いずれの場合でも、一対の案内面123a,123bの案内機能と相俟って、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを円滑に駆動することができる。
[成形機構と針押さえ機構の非金属針2の成形構造および作用効果について]
(構成1)上記したように、この実施例のステープラ1は、平坦な状態の非金属針を折り曲げてコ字状に成形する成形機構(成形部材102)と、コ字状に成形された非金属針2の針脚2b,2cを保持する針押さえ機構(針押さえプレート92)と、を備えている。
成形機構と針押さえ機構との間で、コ字状に成形された非金属針2の授受が行われる。
成形機構と針押さえ機構とは、非金属針2に対して、該非金属針2をコ字状に折り曲げる方向に沿って相対的に移動可能に設けられると共に、成形機構と針押さえ機構とが互いに相対的に移動可能に設けられている。
成形機構は、非金属針2および針押さえ機構に対して相対的に移動して非金属針2を移動方向へ折り曲げるように構成される。
針押さえ機構は、成形機構が非金属針2をコ字状に折り曲げるときは、折り曲げられた針脚2b,2cと接触しない位置に退避し、折り曲げられてコ字状に形成された非金属針2を受け取るときは、非金属針2に向けて相対移動することで、コ字状に成形された非金属針2の針脚2b,2cを保持するように構成されている。
(作用効果1)上記構成により、成形機構が非金属針2に対してコ字状に成形する方向に沿って相対移動することで、非金属針2がコ字状に成形される。このとき、針押さえ機構が針脚2b,2cと接触しない位置に退避しているので、コ字状に成形されるときの針脚2b,2cへの負荷を低減することができる。成形後は、針押さえ機構が非金属針2の方向へ相対移動することで、針脚2b,2cを保持することができる。このように、成形機構と針押さえ機構とを非金属針2に対して相対移動させるだけで、非金属針2の成形と授受とを行うことができる。また、針押さえ機構によって針脚2b,2cを保持することで、コ字状の成形状態を維持することができると共に、針脚2b,2cの変形等を抑制することができる。したがって、非金属針2をより安定して成形することが可能となる。
(構成2)成形機構は、非金属針2を折り曲げてコ字状に成形する成形部材102を有し、成形部材102は、非金属針2を折り曲げてコ字状に成形する方向へ略平行に延び、針脚2b,2cを折り曲げると共にコ字状に成形された非金属針の一対の針脚2b,2cを保持する一対のアーム部102aを有して構成されても良い。
一対のアーム部102aは、互いの間隔を拡縮する方向へ弾性変形可能であると共に、一対の針脚2b,2cの先端を保持する先端側(突起部102b)の互いの間隔が、コ字状に成形された非金属針2の一対の針脚2b,2cの間隔よりも狭く構成されていることが好ましい。
(作用効果2)上記構成により、一対のアーム部102aで針脚2b,2cを保持したときに、針脚2b,2cの間隔よりも狭い先端側(突起部102b)によって、その針先がやや内側へ閉じられる。そのため、多少針脚2b,2cが変形していても、針押さえ機構で容易に針先を拾うことができ、非金属針2の成形をより安定して行うことができる。
(構成3)針押さえ機構は、コ字状に成形された非金属針2の一対の針脚2b,2cの挿入間隔を介して配置され、非金属針2に対して相対移動することで、一対の針脚2b,2cを内側に取り込んで保持する一対の針押さえ部105を有していても良い。
この針押さえ部105は、成形機構から非金属針2を受け取るときに、一対のアーム部102aが一対の針脚2b,2cを保持した状態で、一対の針脚2b,2cの先端を保持するように構成されていることが好ましい。
(作用効果3)上記構成により、針押さえ機構を非金属針2に対して相対移動するだけで、一対の針脚2b,2cが一対の針押さえ部105に挿入され、確実に保持することができる。また、アーム部102aから非金属針2が離脱する前に針押さえ部105によって針脚2b,2cを保持することで、針脚2b,2cの開きを抑制して、コ字状態を維持することができる。よって非金属針2の成形をより安定して行うことができる。また、針押さえ部105の開閉動作等を行う必要や、そのための部材を設ける必要がなく、成形機構や針押さえ機構の構成の簡易化や、部品点数の低減等を図ることができ、低コストなステープラ1を提供することが可能となる。
(構成4)針押さえ機構および前記成形機構の少なくとも一方に、成形機構と針押さえ機構との間で非金属針2を授受するときに、一体に相対移動可能に他方を係合する係合部(弾性片106)を有しても良い。
(作用効果4)上記構成により、例えば、係合部の係合を解除して、成形機構のみを非金属針2に対して相対移動させることで、成形機構による非金属針2の成形を行うことができる。成形後は、係合部によって成形機構と針押さえ機構とを係合して、一体に相対移動させることで、成形機構でコ字状に成形された非金属針2を保持した状態で、針押さえ機構が針脚2b,2cを保持することができる。したがって、針脚2b,2cの開きを抑制して、コ字状態を維持することができ、非金属針2の授受をより円滑かつ確実に行うことができ、より安定した成形を行うことが可能となる。
(構成5)非金属針2の一対の針脚2b,2cを用紙Pに貫通させる一対の抜き刃36a,36bを有する貫入機構37を備え、成形機構が、貫入機構37と一体に設けられていても良い。
(作用効果5)上記構成により、貫入機構37と連動して成形機構を動作することができるとともに、部品点数を低減することができる。そのため、成形機構等の設置スペースの削減が可能となり、ステープラ1の小型化が可能となる。
(構成6)成形機構が、針押さえ機構の内部に、相対的に移動可能に収容されていても良い。
(作用効果6)上記構成により、成形機構および針押さえ機構の容積をより小さくすることができ、ステープラ1の小型化が可能となる。また、針押さえ機構内で、成形機構を相対的に移動させることができ、成形機構の移動範囲を所望に制限して、移動制御を簡易に行うことができる。
[抜き刃ガイド117の抜き刃36a,36bのガイド構造および作用効果について]
(構成1)上記したように、この実施例のステープラ1は、非金属針2の一対の針脚2b,2cを用紙Pに貫通させる一対の抜き刃36a,36bを有する貫入機構37と、用紙Pを貫通した一対の針脚2b,2cを用紙Pに沿って折り曲げる折曲機構38と、を備えている。また、用紙Pを貫通した一対の抜き刃36a,36bの内側をガイドする抜き刃ガイド117を備えている。
抜き刃ガイド117は、一対の抜き刃36a,36b間に位置して、抜き刃36a,36bの用紙Pから貫通した部位をガイドする第一のガイド部117aと、抜き刃36a,36bの用紙Pから貫通した部位の一部をガイドする第二のガイド部117bとを有している。
一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通し、かつ折曲機構38が針脚2b,2cを折り曲げる前には、第一のガイド部117aが抜き刃36a,36b間に位置して抜き刃36a,36bをガイドし、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通し、かつ折曲機構38が針脚2b,2cを折り曲げるときには、第二のガイド部117bが抜き刃36a,36b間に位置して抜き刃36a,36bをガイドするように構成されている。
(作用効果1)上記構成により、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通し、かつ折曲機構38が針脚2b,2cを折り曲げる前には、第一のガイド部117aによって用紙Pを貫通する抜き刃36a,36bの用紙Pから貫通した部位がガイドされ、抜き刃36a,36bの内側方向への流れ(変形)を抑制することができる。また、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通し、かつ折曲機構38が針脚2b,2cを折り曲げるときには、第二のガイド部117bによって抜き刃36a,36bの用紙Pから貫通した部位の一部をガイドし、抜き刃36a,36bの左右方向Yへのブレや内側への変形を抑制することができる。そのため、折り曲げ部材120a,120b等でガイドする必要がないものとなる。また、抜き刃ガイド117を移動させるだけで、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとを切替えることができる。したがって、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとで常に抜き刃36a,36bの先端をガイドすることができ、少ない部品点数と簡易な構成で、貫入機構37の抜き刃36a,36bの変形等を抑制することができ、綴じ動作を円滑に行うことが可能となる。
(構成2)抜き刃ガイド117を針脚2b,2cを折り曲げる方向に移動可能な抜き刃ガイド駆動部(スライド部材122)を備え、抜き刃ガイド117は、針脚2b,2cを折り曲げる方向に第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとが並んで配置されるように構成されていても良い。このとき、抜き刃ガイド駆動部は、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通し、かつ折曲機構38が針脚2b,2cを折り曲げる前には、第一のガイド部117aが抜き刃36a,36b間に位置し、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通し、かつ折曲機構38が針脚2b,2cを折り曲げるときには、第二のガイド部117bが抜き刃36a,36b間に位置するように抜き刃ガイド117を移動させることが好ましい。
(作用効果2)上記構成により、第1のガイド部117aと第二のガイド部117bの移動を、抜き刃ガイド駆動部(スライド部材122)を針脚2b,2cを折り曲げる方向に移動するだけで容易に行うことが可能となり、より安定したガイドが可能となる。なお、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとが並んで配置され、抜き刃ガイド駆動部により移動可能であれば、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bが分離していても一体であっても良い。
(構成3)また、上記したように、この実施例のステープラ1は、非金属針2の一対の針脚2b,2cを用紙Pに貫通させる一対の抜き刃36a,36bを有する貫入機構37と、用紙Pを貫通した一対の針脚2b,2cを用紙Pに沿って折り曲げる折曲機構38と、を備えている。また、用紙Pを貫通した一対の抜き刃36a,36bの内側をガイドする抜き刃ガイド117を備えている。
抜き刃ガイド117は、一対の抜き刃36a,36b間に位置して、抜き刃36a,36bの用紙Pから貫通した部位をガイドする第一のガイド部117と、抜き刃36a,36bの用紙Pから貫通した部位の一部をガイドする第二のガイド部117bと、を有し、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとは、用紙Pを貫通するときと、用紙Pを貫通した一対の針脚2b,2cを折曲機構39が折り曲げるときに、常時抜き刃36a,36bの内側を支持する連続面を有している。
(作用効果3)上記構成言うより、直前の(構成1)に記載した(作用効果1)と同様に、抜き刃36a,36bの左右方向Yへのブレや内側への変形を抑制することができる。また、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通するときから、用紙Pを貫通した一対の針脚2b,2cを折曲機構39が折り曲げるまでの間、常時抜き刃36a,36bの内側を連続面で指示することができ、抜き刃36a,36bの左右方向Yへのブレや内側への変形の抑制効果をより高めることができる。
(構成4)第一のガイド部117aと、第二のガイド部117bとは、一部品で構成されていても良い。
(作用効果4)上記構成により、抜き刃ガイド117をより簡易な構成と少ない部品点数で得ることができ、小型化も可能となる。また、第一のガイド部117aと第二のガイド部117bとの同期移動や切り替えを、容易に行うことができる。
(構成5)第一のガイド部117aの高さは、用紙Pを載置する用紙台7の高さと同等であり、第二のガイド部117bの高さは、第一のガイド部117aよりも低いことが好ましい。
(作用効果5)上記構成により、一対の抜き刃36a,36bが用紙Pを貫通する際の負荷を低減することができ、貫入機構37による貫入動作を円滑に行って、貫通孔p1が必要以上に幅広とならないようにすることができる。したがって、非金属針2によって用紙Pをより安定して綴じることができる。また、第二のガイド部117bを第一のガイド部117aよりも低くすることで、一対の抜き刃36a,36bの用紙Pへ深く貫通しても、その刃先近傍の内側面をガイドすることができると共に、第二のガイド部117bが抜き刃36a,36b間に位置していても、折曲機構38による折り曲げ動作を円滑に行うことができる。
(構成6)抜き刃ガイド117が、折曲機構38を駆動する駆動部材(スライド部材122)に設けられていても良い。
(作用効果6)上記構成により、駆動部材を駆動(スライド部材122の往復動)させることで、一対の抜き刃36a,36b間に、第一、第二のガイド部117a,117bを容易に切替えて配置することができる。よって、抜き刃ガイド117用の駆動部材を別個に設ける必要がなく、部品点数の削減や構成の簡易化、小型化が可能となる。また、折曲機構38の折り曲げ動作と抜き刃ガイド117の駆動動作とのタイミング合わせをより容易、かつより精密に行うことができ、貫入動作、折り曲げ動作等を、より円滑に行うことができる。
(構成7)第一のガイド部117aは、第二のガイド部117b側の角部に面取部117cを設けていても良い。
(作用効果7)上記構成により、折り曲げ動作が完了して第一のガイド部117aが一対の抜き刃36a,36b間に向けて復帰動作する際に、面取部117cで針脚2b,2cをすくい上げながら移動する。そのため、針脚2b,2cの下方での第一のガイド部117aの復帰動作をより円滑に行うことができ、針脚2b,2cのめくれ等を抑制して、非金属針2によって用紙Pをより安定して綴じることができる。
[折曲機構38の折り曲げ構造および作用効果について]
(構成1)上記したように、この実施例のステープラ1は、非金属針2の一対の針脚2b,2cを用紙Pに貫通させる一対の抜き刃36a,36bを有する貫入機構37と、用紙Pを貫通した一対の針脚2b,2cを用紙Pに沿って折り曲げる折曲機構38と、を備えている。
一対の抜き刃36a,36bには、用紙Pを貫通する第二の貫通部113a,113b(貫通部)に孔部116a,116b(または切欠き部)が設けられている。
折曲機構38は、図45に示すように、一対の針脚2b,2cを内側へ折り曲げる折り曲げ方向に沿って移動し、孔部116a,116bから一対の抜き刃36a,36bの間に突出して一対の針脚2b,2cを折り曲げる第一、第二の折り曲げ部材120a,120bと、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを折り曲げ方向へ案内する第一、第二の案内面123a,123bと、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを折り曲げ方向へ駆動するスライド部材122(駆動部材)と、を備えている。第一、第二の折り曲げ部材120a,120bは、第一、第二の案内面123a,123bとスライド部材122との間に配置されている。
(作用効果1)非金属針2によって用紙Pを良好に綴じるためには、一対の針脚2b,2cをクラウン2aに対して平行に重なるように折り曲げる必要がある。従来のように折り曲げ部材を回転させる動きで下から上へ折り上げる構成では、針先を内側へ押圧して変形させる押圧部材や、針脚の前後方向Xへの逃げ(変形)を抑制するための壁面等が必要で、部品点数が多く構造が複雑であるという問題があった。
そこで、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、一対の抜き刃36a,36bの孔部116a,116bから直線的に突出するように構成した。そして、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、一対の針脚2b,2cの折り曲げ方向、即ちクラウン2aに対して略平行な方向へ案内する案内面123a,123bと、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを駆動するスライド部材122との間に配置した。
この構成により、スライド部材122が作動すると、案内面123a,123bに案内されて第一、第二の折り曲げ部材120a,120bが移動し、孔部116a,116bから斜め上へ向けて真っ直ぐに突出することで、一対の針脚2b,2cを折り曲げる。そのため、一対の針脚2b,2cをクラウン2aに対して略平行に折り曲げることができる。
このような折り曲げ機能に優れる折曲機構38を、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを案内面123a,123bとスライド部材122との間に配置するだけで実現することができる。そのため、少ない部品点数と簡易な構成で、非金属針2の針脚2b,2cの折り曲げを確実に行うことができ、コストを低減可能なステープラ1を提供することができる。また、ステープラ1の小型化や軽量化も可能となる。
(構成2)スライド部材122は、一対の抜き刃36a,36bの挿抜方向(上下方向Z)と交差する方向(前後方向X)へ往復動作するように構成され、往動作によって第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、一対の針脚2b,2cに向けて押し上げる第一、第二の作動部137a,137bを有していても良い。この場合、スライド部材122の復動作によって一対の第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、第一、第二の作動部137a,137bで押し下げる構成としても良い。または、押し下げ動作をバネ等の他の部材で行っても良い。
(作用効果2)上記構成により、スライド部材122で第一、第二の作動部137a,137bを、折り曲げ方向へ円滑に移動させることができる。
(構成3)また、スライド部材122は、一対の抜き刃36a,36bの挿抜方向(上下方向Z)と交差する方向(前後方向X)へ往復動作するように構成され、復動作によって第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの間隔を拡げて、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの一対の抜き刃36a,36bの間に突出する折曲突起124a,124bを一対の抜き刃36a,36bの孔部116a,116bから抜け出る方向へ移動させる第一、第二の作動部137a,137bを有していても良い。
この場合、往動作によって一対の第一、第二の折り曲げ部材120a,120bの間隔を、第一、第二の作動部137a,137bで狭めて、一対の抜き刃36a,36bの孔部116a,116bから折曲突起124a,124bが突出する方向へ移動させる構成としても良い。または、突出する方向への移動動作をバネ等の他の部材で行っても良い。
(作用効果3)上記構成により、スライド部材122で第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、初期位置へ円滑に復帰させることができる。
(構成4)スライド部材122は、第一または第二の一方の折り曲げ部材120a,120bを移動させ、所定の位相差を介在して第二または第一の他方の折り曲げ部材120b,120aを移動させる構成であっても良い。
(作用効果4)上記構成により、一対の針脚2b,2cを、互いに干渉することなく、順番に折り曲げて重ねることができ、より円滑な折り曲げ動作が可能となる。
[リンク18の連結構造および作用効果について]
(構成1)上記したように、この実施例のステープラ1は操作者の操作により往復動作する操作ハンドル6(操作部材)と、操作ハンドル6の往復動作に応動して動作するリンク18と、用紙Pを貫通した非金属針2の一対の針脚2b,2cを用紙Pに沿って折り曲げる折曲機構38と、を備えている。折曲機構38は、図42A〜図42Fに示すように一対の針脚2b,2cを内側へ折り曲げる第一、第二の折り曲げ部材120a,120bと、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを駆動するスライド部材122(駆動部材)と、を有して構成されている。そして、スライド部材122は、リンク18と連結され、リンク18を介して操作ハンドル6の動作と連動するように構成されている。より具体的には、リンクシャフト15により操作ハンドル6とリンク18とを連結し、軸26(スライダ駆動軸)によりスライド部材122とリンク18とを連結することで、操作ハンドル6と折曲機構38とが、リンク18を介して連動可能となっている。
(作用効果1)ここで、操作ハンドル6と折曲機構38が機構的に連結されておらず、操作ハンドル6の操作とは独立して折曲機構38が動作する構成であると、例えば非金属針2の詰まり等で折曲機構38が初期位置に戻らなかった場合でも、操作ハンドル6は初期位置に正常に初期位置に復帰する。そのため、操作者が折曲機構38の作動不良に気づかずに、操作を続行してしまうことがあり、ステープラ1の操作性や耐久性に影響することがある。
そこで、操作ハンドル6と折曲機構38のスライド部材122とをリンク18によって機械的に連結した。この構成により、操作ハンドル6の動作と折曲機構38の動作および復帰動作を連動させることができる。そのため、いずれか一方に作動不良を生じると、リンク18を介して他方の所定の動作にも影響するため、操作者が作動不良を確実に把握して、迅速に対応することができる。そのため、ステープラ1の耐久性や操作性を向上させることができる。また、耐久性や操作性に優れたステープラ1を、操作ハンドル6とスライド部材122とをリンク18で連結するだけで、少ない部品点数と簡易な構成で低コストに実施することができる。
(構成2)またリンク18に連結された駆動部材が、リンク18の動作に応動して往復動するスライド部材122であって、スライド部材122は第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、針脚2b,2cを折り曲げる方向へ案内する傾斜面(第一,第二の作動部137a,137b)を備えていても良い。
(作用効果2)上記構成により、スライド部材122が往動作または復動作することで、傾斜面(第一,第二の作動部137a,137b)を介して、第一、第二の折り曲げ部材120a,120bを、針脚2b,2cを折り曲げる方向へ円滑に案内することができる。
(構成3)また非金属針2の一対の針脚2b,2cを用紙Pに貫通させる一対の抜き刃36a,36bを有し、操作ハンドル6の往復動作に応動して、用紙Pへの一対の抜き刃36a,36bの挿抜動作を行う貫入機構37を備えていても良い。より具体的には、リンクシャフト15により貫入機構37とリンク18とを連結することで、貫入機構37と折曲機構38とが、リンク18を介して連動可能となっている。
(作用効果3)上記構成により、操作ハンドル6により駆動される貫入機構37の貫入動作と折曲機構38の折り曲げ動作、およびこれらの復帰動作を、リンク18を介して連動させることができると共に、各動作を好適なタイミングで実行させることができる。また、貫入機構37の動作と折曲機構38の何れかで生じた作動不良を、操作者が確実に把握して、迅速に対応することができる。そのため、貫入機構37と折曲機構38の耐久性を向上させることができる。
(構成4)また、非金属針2を、所定の搬送方向(前後方向X)へ搬送するプッシャ61(搬送部材)を備え、リンク18は、操作ハンドル6の往復動作に連動して、プッシャ61を搬送方向(前後方向X)に対して往復動作させるよう構成されていても良い。より具体的には、リンク18が押し用突起部30でプッシャ61に挿通した軸25(プッシャ駆動軸)を押すことで、操作ハンドル6の動作に対応してプッシャ61を搬送方向に対して往復移動させる。
(作用効果4)上記構成により、例えば、貫入機構37や折曲機構38によって用紙Pを綴じる動作を行っている間は、プッシャ61を後方へ退避させて、貫入機構37や折曲機構38の動作を妨げないようにする。そして、用紙Pを綴じる動作が完了したタイミングで、リンク18によってプッシャ61を前進させることで、新しい非金属針2を、一対の抜き刃36a,36b間に送ることができる。そのため、貫通動作、折り曲げ動作、非金属針2の搬送動作およびこれらの復帰動作をリンク18によって連動させ、好適なタイミングで実行させることができる。また、貫入機構37や折曲機構38の作動不良に加えて、プッシャ61の作動不良も操作者が確実に把握することができ、迅速に対応することができる。そのため、貫入機構37、折曲機構38およびプッシャ61の耐久性を向上させることができる。
以上、実施例を図面により詳述してきたが、実施例は例示にしか過ぎないものである。よって、本発明は、実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。