本発明は、検知装置、および監視システムに関する。より詳細には、本発明は、人の移動の状態を判定する検知装置、および監視システムに関する。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の監視システム10は、検知装置1と、撮像装置2(外部機器)とを備える。
検知装置1のブロック構成を図1に示す。検知装置1は、センサ11と、信号処理部12とを備える。
センサ11は、電波を送信し、電波が物体で反射した反射波を受信して、センサ信号を出力する電波式のセンサである。センサ11は、電波を送信する。センサ11は、電波が物体で反射した反射波を受信する。そして、センサ11は、反射波の受信強度が強度閾値以上であれば、センサ信号を出力する。センサ信号には、物体の移動状態(センサ11と物体との距離、センサ11と物体との相対速度、センサ11に対する接近および離脱などのいずれか1つ以上)に関する情報が含まれている。
センサ11は、送信制御部11a、送信部11b、送信アンテナ11c、受信アンテナ11d、受信部11eを備える。
送信部11bは、送信アンテナ11cを介して電波を送信する。送信制御部11aは、送信部11bが送信する電波の周波数、送信タイミング等を制御する。送信部11bが送波する電波は、10GHz〜30GHzの準ミリ波であることが好ましい。なお、送信部11bが送波する電波は、準ミリ波に限らず、ミリ波、マイクロ波でもよい。また、送信部11bが送波する電波の周波数の値は、特に限定するものではない。
受信部11eは、受信アンテナ11dを介して、人200等の物体で反射された電波を受信し、物体の状態に応じたセンサ信号を出力する。
図2に、センサ11の検知領域100の一例を示している。検知領域100は、人200に対するセンサ11の感度(検知感度)が一定レベル以上となる領域である。すなわち、検知領域100内の人200による反射波を受信部11eが受信した場合、その受信強度は強度閾値以上になり、受信部11eはセンサ信号を出力する。また、撮像装置2は、検知装置1の近くに並んで設置されており、検知領域100を含む領域を撮像範囲としている。さらに、監視システム10として、検知装置1と撮像装置2とが別体に構成されてもよいし、あるいは検知装置1と撮像装置2とが一体に構成されてもよい。図2において、検知領域100は、センサ11を中心とする扇形となるが、周囲の構造物、センサ11の配置等によって、検知領域100は扇形以外になる場合があり、検知領域100の形状は扇形に限定されない。
センサ11は、動作モードとして、第1モードおよび第2モードのいずれかに設定される。
第1モードに設定されたセンサ11は、単一周波数の電波を送信して、人200等の移動している物体の情報が含まれるセンサ信号を出力する。
具体的に第1モードにおいて、センサ11は、1チャンネルのドップラーセンサとして動作する。第1モードでは、送信制御部11aが、単一周波数の電波を送信部11bから送信させる。すなわち、送信された電波の周波数(送信周波数)は一定である。送信電波は物体で反射し、受信部11eは、この反射波を受信する。電波を反射した物体が移動している場合、ドップラー効果によって反射波の周波数(受信周波数)が送信周波数に対してシフトする。第1モードでは、受信部11eが、送信周波数と受信周波数との差(差分周波数)を求めて、差分周波数を有するドップラー信号をセンサ信号として出力する。受信部11eは、送信部11bが出力した送信信号と受信部11eが出力した受信信号とをミキシングし、このミキシング信号をローパスフィルタに通すことで、ドップラー信号を生成している。
あるいは、第1モードにおいて、センサ11は、2チャンネルのドップラーセンサとして動作してもよい。この場合、受信部11eが、受信した電波信号を直交検波を行うことで、位相差がπ/2となるI(In−phase)信号およびQ(Quadrature−phase)信号を生成し、I信号およびQ信号をセンサ信号として出力する。そして、物体がセンサ11に接近している場合、I信号がQ信号よりπ/2進み、物体がセンサ11から離れている場合、I信号がQ信号よりπ/2遅れる。
なお、第1モードで動作するセンサ11は、周期的に電波を送信する間欠送信を行うことが好ましい。この場合、センサ11の消費電力、熱の発生が抑制される。また、第1モードで動作するセンサ11は、連続的に電波を送信してもよい。
第2モードに設定されたセンサ11は、送信する電波の周波数を時間の経過に伴って変化させて物体までの距離の情報が含まれるセンサ信号を出力する。
具体的に第2モードにおいて、センサ11は、FMCW(Frequency-Modulated Continuous-Wave)方式を用いて動作する。
図3に示すように、送信制御部11aは、送信周波数fsを時間経過に伴って上昇させた後に電波の送信を停止させるスイープ処理を、周期T2で繰り返す。送信周波数fsには、掃引周波数幅Bw、掃引時間T1が設定される。
センサ11と物体との間の距離をL、光速をcとすると、受信部11eは、電波が送信されてからτ=2L/c後に反射波を受信する(図4)。受信周波数frは、送信周波数fsと同様に、掃引周波数幅Bw、掃引時間T1で変化する。そして、受信部11eが、送信周波数fsと受信周波数frとの周波数差に等しい周波数fbのビート信号を出力する。ビート信号の周波数fbは、
fb={(Bw/T1)・(2L/c)} (式1)
となる。したがって、物体までの距離Lは、
L=(fb・c・T1)/(2・Bw) (式2)
となる。ここで、式1の右辺(Bw/T1)は、送信周波数fsの傾きであり、(2L/c)は、反射波の戻り遅延時間τである。
したがって、検知装置1は、物体までの距離Lの情報を含むビート信号をセンサ信号として出力することができる。なお、一例として、掃引周波数幅Bw=150MHz、掃引時間T1=1ms、周期T2=100msに設定される。しかしながら、掃引周波数幅Bw、掃引時間T1、周期T2の各値は、検知領域100の大きさ、最大検知距離、分解能などに応じて、適宜設定される。
上述のように、送信制御部11aおよび受信部11eは、センサ11に設定された動作モードに応じて動作を切り替える。センサ11は、信号処理部12の後述のセンサ制御部12eによって、動作モードが設定される。
信号処理部12は、センサ信号を信号処理する機能を有する。信号処理部12は、前置処理部12a、周波数分析部12b、補正部12c、判定ブロック12d、センサ制御部12e、出力部12fを備える。
前置処理部12aは、センサ信号を増幅した後、ディジタルのセンサ信号に変換して出力する。
周波数分析部12bは、時間領域のディジタルのセンサ信号に離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform:DCT)を一定周期で行うことで、周波数領域のセンサ信号に変換する。センサ信号を周波数領域のセンサ信号に変換する直交変換は、DCTに限らず、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation:FFT)でもよい。また、時間領域のセンサ信号を周波数領域のセンサ信号に変換する方式は、ウェーブレット変換(Wavelet Transform:WT)でもよい。
補正部12cは、周波数領域のセンサ信号の規格化、平滑化、背景信号除去の各処理を行う。平滑化処理は、以下の2つの平滑機能のうち、少なくとも一方を有する。第1の平滑機能は、信号強度を周波数領域(周波数軸方向)において平滑する機能である。第2の平滑機能は、信号強度を時間軸方向において平滑する機能である。補正部12cは、周波数領域のセンサ信号を、周波数帯域が互いに異なる複数の周波数ビン毎に抽出し、周波数ビン毎の信号強度に基づいて、規格化、平滑化、および背景信号除去を行うことが好ましい。
補正部12cは、周波数領域(周波数軸上)において背景信号の成分を除去することで背景信号を除去する適応フィルタ(Adaptive filter)を用いることもできる。この種の適応フィルタとしては、DCTを用いた適応フィルタ(Adaptive filter using Discrete Cosine Transform)が好ましい。この場合、適応フィルタの適応アルゴリズムとしては、DCTのLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いればよい。また、適応フィルタは、FFTを用いた適応フィルタでもよい。この場合、適応フィルタの適応アルゴリズムとしては、FFTのLMSアルゴリズムを用いればよい。
上述のように、周波数分析部12bが出力する周波数領域のセンサ信号は、補正部12cによって規格化、平滑化され、さらに背景信号を除去されて、判定ブロック12dに入力される。
判定ブロック12dは、第1判定部121、第2判定部122、データ記憶部123を備える。
第1判定部121は、反射波を反射した物体が人200であるか否かを判定する第1判定処理を行う機能を有する。具体的に、第1判定部121は、第1モードで動作しているセンサ11が出力するドップラー信号(センサ信号)の周波数特性の時間変化(図5参照)に基づいて、物体が人200であるか否かを判定する。
第1判定部121は、例えば、主成分分析(principal component analysis)によるパターン認識処理を行うことによって人200を識別することができる。この第1判定部121は、主成分分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。まず、検知領域100に人200が存在しない場合におけるドップラー信号の周波数特性の時間変化、検知領域100に人200が存在する場合におけるドップラー信号の周波数特性の時間変化が、学習データとして予め収集される。そして、これらの学習データにおける周波数特性の時間変化に対して主成分分析を施すことで得られたデータが、判定データとしてデータ記憶部123に予め記憶されている。判定データは、パターン認識処理に用いられる判定基準であり、周波数特性の時間変化を表す変量と射影軸および識別境界(閾値)とを対応付けたカテゴリデータである。
なお、データ記憶部123は、人200の動作毎に作成された複数の判定データを予め記憶しておくことが好ましい。人200の動作とは、たとえば移動方向および移動速さなどの組み合わせで表される。人200の移動方向には、センサ11へ接近する方向の移動、センサ11から離れる方向への移動などがある。人200の移動速さには、歩行時の速さ、走行時の速さなどがある。
図6は、ドップラー信号の周波数特性の時間変化を表す2つの変量m1,m2を互いに直交する座標軸とした場合の2次元散布図を示す。2次元散布図には、射影軸X1および識別境界K1が設定されている。変量m1,m2は、ドップラー信号の周波数特性の時間変化をそれぞれ表す。変量m1,m2には、たとえばピーク周波数の時間変化を表す値、周波数の分散(variance)の時間変化(ピーク幅の時間変化)を表す値などが用いられる。
主成分分析では、図6に示すように、センサ11の検知領域100に人200が存在しない場合の学習データのグループGr0と、センサ11の検知領域100に人200が存在する場合の学習データに対応するグループGr1とが予め決められている。そして、グループGr0の各散布点(図6中の“+”)の座標位置をμ0(m2,m1)、グループGr1の各散布点の座標位置をμ1(m2,m1)としている。さらに、グループGr0の各散布点を射影軸X1上に射影した射影データの分布をY0とし、データ分布Y0の平均値をX10とする。また、グループGr1の各散布点を射影軸X1上に射影した射影データの分布をY1とし、データ分布Y1の平均値をX11とする。そして、平均値X10と平均値X11との間隔が最大となり、かつ分散が最大となる条件を満たすように射影軸X1が決められる。そして、この射影軸X1に対して、物が人200であるか否かを判定するための識別境界K1が設定される。
第1判定部121に入力されたドップラー信号から抽出した散布点μ2を図6に示す。この場合、散布点μ2を射影軸X1上に射影した射影データX2は、識別境界K1より一方側の領域W1に存在するので、第1判定部121は、物体は人200であると判定する。また、射射影データが識別境界K1より他方側の領域W0に存在する場合、第1判定部121は、物体は人200ではないと判定する。
すなわち、第1判定部121は、入力されたドップラー信号の周波数特性の時間変化から変量m1,m2を抽出して、判定データと照合する。具体的に、第1判定部121は、ドップラー信号の周波数特性の時間変化から抽出した変量の散布点を射影軸X1上に射影して、この射影点を識別境界K1と比較して、物体が人200であるか否かを判定する(図6参照)。
なお、ドップラー信号の周波数特性は、たとえばドップラー信号の周波数帯域ごとのパワーを示すパワースペクトル、または周波数帯域ごとの振幅を示す振幅スペクトルなどである。つまり、ドップラー信号の周波数特性とは、ドップラー信号の周波数分布であるともいえる。
第1判定部121は、主成分分析によるパターン認識処理によって物体が人200であるか否かを判定する形態に限らず、例えば、KL変換によるパターン認識処理により物体が人200であるか否かを判定してもよい。第1判定部121は、主成分分析によるパターン認識処理もしくはKL変換によるパターン認識処理を行うことによって、計算量の低減およびデータ記憶部123の容量の低減を図ることが可能となる。
また、第1判定部121は、周波数ビン毎に求めた信号強度の時間変化の成分比により物体が人200であるか否かを判定してもよい。このような第1判定部121は、例えば、重回帰分析による認識処理を行うことによって物体が人200であるか否かを判定できる。この場合、第1判定部121は、重回帰分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。
まず、センサ11の検知領域100内での人200の異なった動きそれぞれに対応したドップラー信号が学習データとして予め収集される。そして、これら複数の学習データに対して重回帰分析を施すことで得られた判定データが、データ記憶部123に予め記憶されている。重回帰分析によれば、図7に示すように、信号成分s1と信号成分s2と信号成分s3とが合成された合成波形Gsは、信号成分s1,s2,s3の種別、信号成分の数、各信号成分s1,s2,s3それぞれの強度が未知であっても、合成波形Gsから各信号成分s1,s2,s3に分離推定することが可能である。ここにおいて、データ記憶部123に記憶される判定データは、パターン認識処理に用いられる判定基準であり、人200の動きと信号成分s1,s2,s3とを対応付けたデータである。
第1判定部121は、入力されたドップラー信号の周波数特性の時間変化から各信号成分を抽出して、判定データと照合する。そして、第1判定部121は、各信号成分が判定データに対して所定の範囲内に収まれば、物体は人200であると判定する。
第1判定部121は、物体が人200であると判定した場合、人200を検知したことを出力部12fへ通知する。
第2判定部122は、物体が人200であると第1判定部121が判定した後に、人200の移動状態を判定する第2判定処理を行う機能を有する。具体的に、第2判定部122は、第2モードで動作しているセンサ11が出力するビート信号(センサ信号)の周波数特性に基づいて、人200の移動状態(接近、離脱など)を判定する。
まず、第2判定部122は、ビート信号の周波数に基づいて、人200までの距離を求めることができる。そして、第2判定部122は、人200までの距離を定期的に求める測距処理を行う。第2判定部122は、人200までの距離の変化(距離履歴)に基づいて、人200の移動状態を判定できる。人200の移動状態とは、人200の接近、離脱などである。たとえば、人200までの距離が時間経過に伴って短くなる場合、第2判定部122は、人200がセンサ11に接近していると判定する。つまり、接近は、センサ11が設置された領域101(特定領域101)に向かって人200が移動している状態である。また、人200までの距離が時間経過に伴って長くなる場合、第2判定部122は、人200がセンサ11から離れる方向へ離脱していると判定する。
また、人200が検知領域100内から検知領域100外に移動した場合、反射波の受信強度が強度閾値未満に低下し、センサ11の受信部11eはビート信号の出力を停止する。そこで、第2判定部122は、ビート信号が入力されている状態から未入力の状態になった場合、人200の移動状態を脱出と判定することができる。
そして、第2判定部122は、人200の移動状態の判定結果を出力部12fへ通知する。
出力部12fは、第1判定部121および第2判定部122の各判定結果に基づいて、撮像装置2の制御信号を生成し、撮像装置2へ制御信号を出力する。撮像装置2は、受信した制御信号によって動作を制御される。なお、制御信号は、出力部12fの出力信号に相当する。出力部12fの出力信号は、撮像装置2に制御内容を指示する制御信号に限定されず、撮像装置2の動作開始のトリガとなるトリガ信号、判定ブロック12dの判定結果を通知する通知信号などであってもよい。
検知装置1の使用例を図2に示す。この場合、検知装置1は、戸建住宅300の敷地301を囲う塀302に設置されて、敷地301内(たとえば、庭、玄関前など)の人200の移動の状態を判定する。検知装置1は、敷地301内を撮像する撮像装置2と組み合わせて用いられる。撮像装置2は、塀302において検知装置1の近くに並んで設置されており、検知領域100を含む敷地301を撮像範囲としている。以下、検知装置1の動作例について、図8のフローチャートを用いて説明する。
検知装置1では、起動時、または検知領域100内に人200が存在しない場合、センサ制御部12eがセンサ11の動作モードを第1モードに設定する(S1)。第1モードに設定されたセンサ11は、ドップラーセンサとして動作する。さらにセンサ制御部12eは、動作モードが第1モードであることを判定ブロック12dに通知する。
判定ブロック12dでは、第1モードに設定されたことを通知されると、第1判定部121が第1判定処理を開始する(S2)。物体が検知領域100外から検知領域100内に進入した場合、センサ11からドップラー信号が出力される。第1判定処理を開始した第1判定部121は、検知領域100に進入した物体が人であるか否かを、ドップラー信号に基づいて判定する(S3)。
検知領域100に進入した物体は人でないと第1判定部121が判定した場合、第1判定部121は、第1判定処理を継続する。一方、検知領域100に進入した物体は人200であると第1判定部121が判定した場合、出力部12fは、動画撮像の開始を指示する制御信号(撮像開始信号)を撮像装置2へ出力する(S4)。待機状態の撮像装置2は、撮像開始信号を受け取ると、動画の撮像を開始する。
図9に示すように、撮像装置2は、戸建住宅300に構築されている宅内ネットワークNT1に接続しており、動画データを宅内ネットワークNT1上の情報機器400に送信する。情報機器400は、インターホン親機、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどのいずれかである。情報機器400は、撮像装置2から受信した動画データを、情報機器400の画面、また情報機器400とは別体のモニタ装置にリアルタイムで表示して、侵入者が存在することを家人に通知する。
なお、撮像装置2は、宅内ネットワークNT1に対して有線で接続される構成、宅内ネットワークNT1に対して無線で接続される構成のいずれであってもよい。たとえば、撮像装置2が宅内ネットワークNT1に対して有線で接続される場合、塀302に設置されたインターホン子機のネットワーク配線を用いて、撮像装置2は宅内ネットワークNT1に接続することができる。また、撮像装置2が宅内ネットワークNT1に対して無線で接続される場合、宅内ネットワークNT1に無線ルータを設けて、撮像装置2は無線ルータを介して宅内ネットワークNT1に接続することができる。撮像装置2が用いる無線通信の仕様としては、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などから適宜に選択されればよく、無線通信の仕様は限定されない。
さらに、宅内ネットワークNT1には、画像記憶装置500が接続されている。撮像装置2は、動画データを宅内ネットワークNT1上の画像記憶装置500に送信してもよい。画像記憶装置500は、不揮発性メモリまたはハードディスクなどを備えている。画像記憶装置500は、たとえば録画機器(ハードディスクレコーダ、ブルーレイレコーダ、DVDレコーダなど)、ネットワークテレビなどのいずれかで構成される。
また、情報機器400と画像記憶装置500とが一体に構成されてもよい。また、撮像装置2と画像記憶装置500とが一体に構成されてもよい。この場合、画像記憶装置500はメモリカードなどで構成されることが好ましい。
画像記憶装置500は、受信した動画データを記憶することができる。家人は、戸建住宅300に帰宅後、情報機器400の画面、また情報機器400とは別体のモニタ装置に動画データを再生して、撮像された動画を確認できる。
さらに、検知領域100に進入した物体は人200であると第1判定部121が判定した場合、センサ制御部12eがセンサ11の動作モードを第2モードに設定する(S5)。第2モードに設定されたセンサ11は、FMCW方式を用いて動作する。さらにセンサ制御部12eは、動作モードが第2モードであることを判定ブロック12dに通知する。
判定ブロック12dでは、第2モードに設定されたことを通知されると、第2判定部122が第2判定処理を開始する(S6)。第2判定処理を開始した第2判定部122は、検知領域100内の人200の移動状態(接近、離脱など)をビート信号の周波数特性に基づいて判定する(S7)。
そして、人200がセンサ11に接近していると第2判定部122が判定した場合、出力部12fは、動画をキャプチャして静止画像データの生成を指示する制御信号(キャプチャ信号)を撮像装置2へ定期的に出力する(S8)。その後、検知装置1の動作は、ステップS7に戻って、第2判定部122による第2判定処理が繰り返される。
撮像装置2は、キャプチャ信号を受け取る毎に、動画をキャプチャして静止画データを生成する。すなわち、人200がセンサ11に接近している場合、撮像装置2は、静止画データを定期的に生成する。そして、撮像装置2は、静止画データを画像記憶装置500に送信する。この場合、撮像装置2は、動画データおよび静止画データを、時分割多重通信方式または周波数多重通信方式で送信することで、動画データおよび静止画データの両方をリアルタイムに送信することができる。
さらに、宅内ネットワークNT1は、ルータ600を介してインターネットを含む広域ネットワークNT2に接続している(図9参照)。そして、画像記憶装置500は、サーバ機能を有しており、撮像装置2から静止画データを受信すると、侵入者検知の旨を通知するプッシュ通知またはメールを作成する。画像記憶装置500は、宅内ネットワークNT1、ルータ600、および広域ネットワークNT2を介して、侵入者検知の旨を通知するプッシュ通知またはメールを携帯情報機器700へ送信する。携帯情報機器700のデバイス情報またはメールアドレスなどは、画像記憶装置500に予め登録されている。携帯情報機器700は、家人が携帯しているスマートフォン、タブレット端末、携帯電話などのいずれかである。そして、携帯情報機器700に通知された侵入者検知のプッシュ通知またはメールに挿入されたハイパーリンクを家人が選択することで、携帯情報機器700は、画像記憶装置500にアクセスして、静止画像を表示できる。また、画像記憶装置500にアクセスした携帯情報機器700は、画像記憶装置500が記憶している動画データを再生することも可能である。
また、携帯情報機器700は、撮像装置2にアクセスして動画データを撮像装置2から取得し、動画データをリアルタイムに再生することもできる。
また、撮像装置2は、画像記憶装置500に専用線で接続してもよい。この場合、撮像装置2が生成した動画データおよび静止画データは、専用線を介して画像記憶装置500に送信される。そして、画像記憶装置500が、情報機器400および携帯情報機器700に動画データおよび静止画データを送信する。
一方、ステップS7において、人200がセンサ11から離脱していると第2判定部122が判定した場合、出力部12fはキャプチャ信号の送信を停止する(S9)。したがって、撮像装置2は、動画撮像のみを継続して行う。その後、ステップS7に戻って、第2判定部122による第2判定処理が繰り返される。
そして、人200が検知領域100内から検知領域100外に脱出した場合、反射波の受信強度が強度閾値未満に低下し、センサ11の受信部11eはセンサ信号の出力を停止する。センサ信号の出力が停止されると、第2判定部122は、ステップS7において、人200が検知領域100外に脱出したと判定する。そして、人200が検知領域100外に脱出したと第2判定部122が判定した場合、出力部12fは、撮像動作の停止を指示する制御信号(停止信号)を撮像装置2へ出力する(S10)。その後、センサ制御部12eがセンサ11の動作モードを第1モードに設定する(S1)。撮像装置2は、停止信号を受け取ると、動画および静止画の撮像動作を停止し、待機状態に戻る。
また、第2判定部122は、検知領域100内の人200がセンサ11から離れる方向に移動し、人200までの距離が所定距離以上になった場合に、人200の移動状態を脱出と判定してもよい。
上述のように、検知装置1は、検知領域100内に人200が進入すると、撮像装置2に動画撮像を開始させる。さらに、検知装置1は、検知領域100内に進入した人200がセンサ11に向かって接近している場合、撮像装置2に静止画撮像を行わせる。本実施形態では、戸建住宅300から敷地301を通って外出しようとする人200が、検知領域100内においてセンサ11に向かって接近する。すなわち、検知装置1は、人200の顔を撮像可能なタイミングで、撮像装置2に対して静止画撮像を指示する。したがって、敷地301を通って外に出ようとする人200の顔が静止画像として撮像される。
たとえば、人200が高齢者である場合、上述の監視システム10によって高齢者の活動確認、徘徊の監視などの見守りを行うことができる。また、人200が子供である場合、上述の監視システム10によって子供の活動確認、外出確認などの見守りを行うことができる。また、人200が侵入者である場合、上述の監視システム10によって侵入者の監視などを行うことができる。そして、監視システム10が見守りまたは防犯に用いられた場合、敷地301を通って外に出ようとする人200の顔が静止画像として撮像されることによって、人200の特定作業が容易となり、見守りおよび防犯の各効果が向上する。
次に、本実施形態の第1変形例について、図10Aを用いて説明する。
第1変形例において、第2判定部122は、センサ11から人200までの距離について、1つの閾値D1を設定している。第2判定部122は、人200がセンサ11に接近していると判定しているときに、人200とセンサ11との距離を閾値D1と比較する。なお、図10Aにおいて、検知領域100内の領域111(ハッチング領域)は、センサ11からの距離が閾値D1未満となる領域である。そして、人200がセンサ11に接近して、人200とセンサ11との距離が閾値D1未満になった場合に、出力部12fは、キャプチャ信号を撮像装置2へ定期的に出力する。すなわち、領域111内に進入した人200がセンサ11に接近している場合に、撮像装置2は、静止画データを定期的に生成する。
次に、本実施形態の第2変形例について、図10Bを用いて説明する。
第2変形例において、第2判定部122は、センサ11から人200までの距離について、2つの閾値D11,D12を設定している。第2判定部122は、人200とセンサ11との距離を、閾値D11,D12のそれぞれと比較する。閾値D11,D12の値は、D11>D12の関係となるように設定される。なお、図10Bにおいて、検知領域100内の領域112(ドット領域)は、センサ11からの距離が閾値D11未満、閾値D12以上となる領域である。また、検知領域100内の領域113(ハッチング領域)は、センサ11からの距離が閾値D12未満となる領域である。
そして、人200とセンサ11との距離が閾値D11未満、閾値D12以上になった場合に、出力部12fは、撮像開始信号を撮像装置2へ出力する。待機状態の撮像装置2は、撮像開始信号を受け取ると、動画の撮像を開始する。すなわち、人200が領域112内に進入した場合に、撮像装置2は、動画の撮像を開始する。
さらに、人200とセンサ11との距離が閾値D12未満になり、かつ人200がセンサ11に接近していると第2判定部122が判定している場合に、出力部12fは、キャプチャ信号を撮像装置2へ定期的に出力する。すなわち、領域113内に進入した人200がセンサ11に接近している場合に、撮像装置2は、静止画データを定期的に生成する。
次に、本実施形態の第3変形例について説明する。
第3変形例において、検知領域100内に進入した物体が人200であると判定された後、人200が検知領域100外に脱出するまでの期間、検知装置1は、第1検知処理と第2検知処理とを交互に行う。第1検知処理では、センサ11が第1モードで動作し、第1判定部121が第1判定処理を行う。第2検知処理では、センサ11が第2モードで動作し、第2判定部122が第2判定処理を行う。
すなわち、判定ブロック12dは、検知領域100内に進入した物体が人200であると一旦判定した後も、検知領域100内の物体が人200であるか否かを定期的に再判定する。したがって、検知装置1は、人検知の精度を向上させることができる。
また、センサ11は、FMCW方式のみで動作してもよい。この場合、第1判定部121は、ビート信号の周波数特性を用いたパターン認識処理によって、検知領域100内の物体が人200であるか否かを判定することができる。
また、出力部12fは、第2判定部122の判定結果のみを用いて、制御信号を出力してもよい。たとえば、検知装置1は、検知領域100内に進入した人200がセンサ11に向かって接近している場合にのみ、撮像装置2に動画撮像および静止画撮像の少なくとも一方を行わせる。
上述の検知装置1は、センサ11と、第1判定部121と、第2判定部122と、出力部12fとを備える。センサ11は、電波を送信し、電波が物体で反射した反射波を受信して、物体の動きに対応した周波数特性となるセンサ信号を出力する。第1判定部121は、センサ信号の周波数特性に基づいて物体が人であるか否かを判定する。第2判定部122は、物体が人である場合、センサ信号の周波数特性に基づいて物体の移動の状態を判定する。出力部12fは、第1判定部121および第2判定部122のうち、少なくとも第2判定部122の判定結果が通知されて外部機器(撮像装置2)へ出力信号(制御信号)を出力する。
すなわち、検知装置1は、第1判定部121によって、センサ11によって検知された物体が人200であるか否かを判定し、物体が人200であれば、第2判定部122によって人200の移動状態を判定する。したがって、検知装置1は、人200以外の物体を検出する誤検出を抑えて、人200の移動の状態を検出することができる。
また、センサ11は、連続的に周波数を変化させた電波を送信して、送信した電波および受信した反射波の各周波数の差に基づくビート信号をセンサ信号として出力する機能を有することが好ましい。
この場合、検知装置1では、第1判定部121および第2判定部122がビート信号に基づいて判定処理を行う。したがって、検知装置1は、センサ11の構成を簡易にすることができる。
また、センサ11は、動作モードとして、第1モードと、第2モードとを切り替えることができるように構成されることが好ましい。第1モードでは、センサ11は、単一周波数の電波を送信して、送信した電波および受信した反射波の各周波数の差に基づくドップラー信号をセンサ信号として出力する。第2モードでは、センサ11は、連続的に周波数を変化させた電波を送信して、送信した電波および受信した反射波の各周波数の差に基づくビート信号をセンサ信号として出力する。第1判定部121は、ドップラー信号に基づいて物体が人であるか否かを判定する。第2判定部122は、物体が人である場合、ビート信号に基づいて物体までの距離の変化を求めて、物体の移動の状態を判定する。
この場合、検知装置1では、第1判定部121がドップラー信号に基づいて判定処理を行い、第2判定部122がビート信号に基づいて判定処理を行う。したがって、第1判定部121は、人の判定処理を精度よく行うことができる。
また、センサ11は、予め決められた検知領域100に向かって電波を送信する。そして、検知領域100内に進入した物体が人であると第1判定部121が判定するまで、センサ11は第1モードで動作することが好ましい。また、物体が人であると第1判定部121が判定した場合、センサ11は第2モードで動作することが好ましい。
この場合、検知装置1では、第1判定部121の判定結果によってセンサ11の動作モードが切り替えられる。したがって、検知領域100内の物体が人であるか否かの判定結果によって、センサ11の動作モードが切り替えられて、センサ11は、検知領域100内の状況に応じた適切な検知動作を実行できる。
また、センサ11は、予め決められた検知領域100に向かって電波を送信する。そして、検知領域100内に進入した物体が人であると第1判定部121が判定するまで、センサ11は第1モードで動作することが好ましい。また、物体が人であると第1判定部121が判定した場合、センサ11は第1モードと第2モードとを交互に切り替えて動作することが好ましい。
この場合、検知装置1は、検知領域100内に人200が存在している場合、センサ11の動作モードを第1モードと第2モードとに交互に切り替える。したがって、検知装置1は、複数の人200が検知領域100内に進入してきた場合でも、複数の人200のそれぞれの移動状態に応じて、撮像装置2などの外部機器へ出力信号を出力することができる。
また、第2判定部122は、物体までの距離の変化を用いて、物体が予め決められた特定領域101に向かって移動しているか否かを判定することが好ましい。
この場合、センサ11がFMCW方式などの測距可能な方式で動作することによって、第2判定部122は、物体の移動方向を検知できる。
また、外部機器は、物体を撮像する撮像装置2であることが好ましい。出力部12fは、第1判定部121および第2判定部122の各判定結果が入力されて撮像装置2へ出力信号を出力する。そして、物体が人であると第1判定部121が判定した場合、出力部12fは、動画の撮像開始を指示する出力信号を撮像装置2へ出力する。また、物体が特定領域101に向かって移動していると第2判定部122が判定した場合、出力部12fは、静止画像の作成を指示する出力信号を撮像装置2へ出力する。
この場合、検知装置1は、人200の顔を撮像可能なタイミングで、撮像装置2に対して静止画撮像を指示することができる。したがって、人200の顔が静止画像として撮像される。また、この検知装置1を見守り、または防犯などに用いた場合、特定方向に移動する人200の顔が静止画像として撮像されることによって、人200の特定作業が容易となり、見守りおよび防犯の各効果が向上する。
また、検知装置1は、第1判定部121は、センサ信号の周波数特性の時間変化を、予め決められた判定基準(判定データ)に照合し、この照合結果を用いて物体が人であるか否かを判定することが好ましい。
この場合、検知装置1は、パターン認識処理などを用いて人の識別処理を行うことができるので、人の識別精度を高くすることができる。
上述の監視システム10は、検知装置1と、検知装置1の出力信号が入力される撮像装置2とを備えることを特徴とする。
すなわち、監視システム10は、上述の検知装置1を備える。したがって、監視システム10は、人200以外の物体を検出する誤検出を抑えて、人200の移動の状態を検出することができる。
また、検知装置1は、マイクロコンピュータ等で構成されたコンピュータを搭載しており、このコンピュータがプログラムを実行することによって、検知装置1の各機能が実現されている。なお、検知装置1に搭載されるコンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサおよびインターフェースを主なハードウェア構成として備える。この種のプロセッサとしては、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等を含み、プログラムを実行することによって検知装置1の機能を実現することができれば、その種類は問わない。
また、プログラムの提供形態としては、コンピュータに読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク等の記録媒体に予め格納されている形態、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給される形態等がある。
また、検知装置1は、塀302に設置される形態以外に、敷地301の門扉、門柱などのいずれかに設置される形態であってもよい。
また、上述の監視システム10は、集合住宅の住戸等の玄関前、事務所の敷地、工場の敷地などの監視に用いられてもよい。
また、検知装置1が組み合わされる外部機器は、撮像装置2以外に、照明装置、デジタルサイネージ(Digital Signage)、自動販売機、自動ドア、エレベータ等であってもよく、外部機器の種類は限定されない。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。