JP2017181942A - 光源調色性レンズ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、このような眼鏡レンズの品質における演色性の認識を見直し、演色性が低くても眼鏡レンズに高品質感を与え、かつ、新たな価値観を創造し得る光源調色性レンズの提供を目的とする。
そして、このような波長範囲内で前記他の光源の可視光のピーク波長領域において分光透過率が大きく変化するようにした前記他の光源の可視光のピーク波長領域において分光透過率が大きく変化するようにすることで、光源が変わっても色調のバランスを崩すことなく風景や物を見ることができる。
図1(a)は、本発明の光源調色性レンズ(以下、「眼鏡レンズ」と記載する)の原理を説明するための分光透過率曲線、図1(b)は他の光源の分光分布曲線である。
図1(a)に示すように、この眼鏡レンズは、長波長側から順に設定されたA,B,C,Dの波長領域の中の波長領域B,Cの部分で、基準光源における分光透過率特性の曲線がほぼ平坦になる特性を有するものである。基準光源が太陽光(自然光)で、波長領域B,Cが500〜640nmであれば、この眼鏡レンズは演色性の高いレンズということになる。図1(b)は、他の光源下におけるこの眼鏡レンズの分光透過率特性の曲線で、図1(c)の分光透過率の変化量のグラフ(実線)に示すように、この眼鏡レンズの基準光源下と他の光源下との間の分光透過率の変化は、可視光の波長領域B,Cにおいてピークを有している。
表1においては、長波長側から順に符号A,B,C,Dで示される波長領域の各々に対応する色系をA,B,C,Dとし、基準光源における各色系の分光透過率をa1,b1,c1,d1としている。また、他の光源における各色系の分光透過率をa2,b2,c2,d2としている。分光透過率の変化の割合はそれぞれa1−a2、b1−b2・・・の絶対値で表される。
[実施例1]
以下の実施例で使用する「他の光源」は白色LEDで、その分光分布曲線を図2に示す。実施例1で使用した眼鏡レンズの分光透過率曲線を図3に示す。また、実施例1における各色系の基準光源及び他の光源における分光透過率とその変化量の絶対値との関係を表2に示す。
また、図2及び表2に示すように、白色LEDの可視光のピーク波長は概ね530nm〜580nmであるが、この波長は黄系から緑系の波長に該当する。そして、この実施例の眼鏡レンズでは、黄系と緑系において分光透過率が基準光源(白色光源)と他の光源(白色LED)との間で大きく変化するようにしてある。
この赤紫系の色は、目元が肌の色となじみ艶やかに見えるなど化粧効果を演出することができるだけでなく、光量が屋内に比べて格段に多い屋外において、眼鏡レンズの透過光(または反射光)が変わることにより、例えば運転時の信号や標識の視認性が向上するという効果がある。
この実施例2では、図4及び表3に示すように黄色と緑色における変化量の絶対値を実施例1よりも大きくすることで、白色LEDと白熱光源との間で実施例1よりも赤紫色が強く出るようにしてある。
この実施例3では、図5及び表4に示すように、黄色における変化量の絶対値は実施例1よりも小さくしてあるが、緑色における変化量の絶対値を実施例2よりさらに大きくすることで、白色LEDと白熱光源との間で実施例2よりもさらに赤色が強調された赤紫色が強く出るようにしてある。
この実施例4では、図6及び表5に示すように他のレンズに比べ短波調寄りで赤を強く反射するようにしている。そのため白熱光源の下では赤味の強いブラウンとなる。この実施例4では分光透過率の変化量において青一番大きく、次いで赤が大きいため、光源が白色LEDから白熱光源に変わると、赤味が抜けて黄と青が強く反射し、青の補色である橙(オレンジ)系と赤の補色である青系の色が強く出るようにしてある。
この実施例5では、図7及び表6に示すように他の実施例のレンズに比べて光源が変わっても赤が変化しにくく、黄緑味が強いブラウンである。光源が白色LEDから白熱光源に変わると、黄色、緑、青の分光透過率の変化が大きく、特に青の変化が大きいことから、橙(オレンジ)系が強く出たブラウン系になる。
この実施例6では、図8及び表7に示すように他のレンズに比べ赤、黄、緑が変化しにくくレンズの色はブラウンとなる。光源が白色LEDから白熱光源に変わると、実施例5ほどではないものの、分光透過率の変化量が大きい青の補色である橙(オレンジ)系が強く出たブラウン系になる。
この実施例7では、図9及び表8に示すように他のレンズに比べ各色で色が変化しにくくレンズの色はブラウンとなる。光源が白色LEDから白熱光源に変わると、実施例6ほどではないが青の分光透過率の変化量が大きいため補色である橙(オレンジ)系が強くでるものの色の発色が少なく、比較的まんべんなく変化する。
比較例では、従来の染色方法によるもので高い演色性を発現するものである。図10及び表9に示すように各色系で変化量の絶対値が小さく、光源の変化による見え方の変化を極力抑えることができる。そのため、光源がLED光から白熱光に変わっても、自然光に近い色で風景や物を見ることができ色の変化も小さい。
この比較例2は、実施例1〜7と同じ染色方法で染色したものであるが、図11及び表10に示すように他のレンズに比べ各色で色が変化しにくくしてあり、レンズの色はブラウンである。光源が白色LEDから白熱光源に変わると、まんべんなく演色し変化を感じにくいようにしてある。
例えば、上記の実施例の説明では基準光源として白色光源(自然光)を例に挙げ、他の光源として白色LEDを例に挙げて説明したが、本発明はこれら光源以外の光源においても、各色系における光源間の分光透過率の変化量を調整することで、所望の機能色変化が得られるようにすることが可能である。
また、光源の種類に応じて可視光のピーク波長の位置が異なるが、当該ピークの波長に応じた色系の分光透過率の変化量の絶対値を大きくすることで、上記の実施例以外の光源にも対応することが可能である。
さらに、上記の実施例では赤、黄、緑、青の4色に分けて説明したが、さらに多くの色系に分類することで、より多くの光源の種類に対応することが可能になるほか、眼鏡レンズの機能色の変化も多様にすることができる。
Claims (7)
- 複数色の色素によって着色され、光源の種類の変化によって眼鏡レンズの機能色を変化させる光源調色性レンズであって、
基準光源の下と他の光源の下との間で演色性を発現しつつ、前記他の光源の可視光のピーク波長領域に対応する色系の分光透過率が他の色系より大きく変化するようにしたこと、
を特徴とする光源調色性レンズ。 - 波長500〜640nmの範囲における分光透過率特性を演色性の発現できるものに設定し、当該範囲内における前記他の光源の可視光のピーク波長領域において分光透過率が大きく変化するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の光源調色性レンズ。
- 前記演色性の発現がグレー系又はアンバー系であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源調色性レンズ。
- 変化後の眼鏡レンズの機能色がバイオレット系又はブラウン系であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光源調色性レンズ。
- 前記ピーク波長領域の可視光の補色の組み合わせにより、前記眼鏡レンズの機能色を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源調色性レンズ。
- 前記色素として赤、黄色、緑、青を含み、前記黄色及び緑の分光透過率の変化が、前記赤及び青の分光透過率の変化よりも大きくなるようにしたこと、
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光源調色性レンズ。 - 前記他の光源の可視光のピーク波長領域において分光透過率の変化量が4%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光源調色性レンズ。
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