JP2017181519A - Gnss測位装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 時間的に間引かれた補正量を用いた測位において、測位計算を行う時刻における補正量を高精度に求めることを目的とする。
【解決手段】 複数のGNSS衛星の測距信号から得られる擬似距離と搬送波位相の観測値の補正量に関する補強情報を受信する補強情報受信部1と、複数のGNSS衛星から送信される測距信号を受信し、航法暦とGNSS衛星の観測値を出力するGNSS信号受信部5と、前記補強情報受信部1から得られる補強情報の時刻データに基づき推定した受信機位置誤差の第1の補正量と、前記GNSS信号受信部5から得られる衛星位置とGNSS衛星の観測値に基づく受信機位置とから推定した受信機位置誤差の第2の補正量により、受信機位置誤差の第3の補正量を算出する位置算出部9を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)衛星等のGNSS(Global Navigation Satellite System、全地球航法衛星システム)衛星から送信される測距信号を受信して位置計測を行うGNSS測位装置およびGNSS測位方法に関するものである。
従来より、地球上あるいは宇宙空間における受信機が複数のGNSS衛星から測距信号を受信し、受信機に接続されたGNSS測位装置が当該受信機の位置を計測するGNSS測位方法が広く知られている。GNSS衛星の測距信号から得られる観測値には、擬似距離PR(Pseudo Range)と搬送波位相CP(Carrier Phase)とがある。
擬似距離PRとは、衛星から発信された信号が受信機に到達するまでの伝播時間を、信号の搬送波に乗せられた測位用符号列(C/Aコード、P2コードなど)の観測値と、受信機の時計と衛星の時計とを同期して生成した同じ測位用符号列の値の位相差から計算し、光速を掛けることで求めた衛星―受信機間の距離である。擬似距離PRで求めた距離には、受信機の時計と衛星の時計とが完全には同期されていない値を用いており、求めた距離には時計のずれによる誤差が含まれているため、“擬似”距離と呼ばれる。
搬送波位相CPとは、上記の測位用符号列の観測時に追尾した搬送波の位相と、受信機の時計と衛星の時計とを同期して生成した同じ搬送波信号との位相差である。位相差には2π×N(Nは波数で整数値)のあいまいさ(アンビギュイティ)があり、搬送波位相のみからは一意的に衛星―受信機間の距離を求めることはできないが、搬送波位相は擬似距離よりも観測分解能が高く低ノイズであるため、波数Nを正しく決定することができれば、高精度な距離観測量として利用することができる。
しかしながら、GNSS測位においては、前述の衛星の時計誤差や航法暦によって求めた衛星の位置誤差等のような衛星自身に起因する誤差、電離層を電波が通過するときに大気中の電子密度に比例して電波速度が遅くなること(以下、「電離層遅延」という)による誤差等のような大気状態に起因する誤差及びマルチパス等のような受信機に起因する誤差が発生する。そのため、衛星―受信機間の距離観測値の誤差が大きくなり、その結果、受信機の位置計測(測位)の精度は10m程度となる。
そこで、現在、測量や地図作成等のような、より高精度な位置情報を必要とするアプリケーションにもGNSS測位を利用可能とするため、地球上にある正確な座標が既知の電子基準点等の観測データを用いて、上記の衛星自身に起因する誤差や大気状態に起因する誤差をGNSS衛星毎に推定し、誤差補正量(以下、「補正量」という)を補強情報としてGNSS測位装置に提供し、GNSS衛星の測距信号から得られる観測値の誤差補正を行って、測位精度を向上させる方法が提案されている。これを実現するシステムを測位補強システムと呼び、多くの形態が提案され実施されている。
このようなGNSS測位補強システムとしては大別して、VRS(Virtual Reference Station)方式やFKP(Flachen Korrektur Parameter)方式が知られている。これらの方式は、サービスセンターが地球上にあるサービスエリア内の複数の電子基準点の観測データから、エリア全体で有効な補強情報を生成する方式である。エリア内の受信機に接続されるGNSS測位装置は、受信機の概略位置情報を携帯電話回線等を利用してサービスセンターに送付し、同様の回線を用いてサービスセンターから当該位置における補強情報を取得し、このような補強情報を用いて誤差補正を行い高精度な測位を行なう。補正するべき誤差量は刻々と変化するため、必要とされる精度に応じた周期で、補強情報を提供する必要がある。携帯電話回線等を利用したサービスにおいてはデータ伝送の回線容量が大きく、時間変動による精度劣化が無視できるほど、十分に速い周期(例えば1秒毎など)で補強情報を提供することが可能である。
一方、測位補強システムのうち、例えば日本全国のような広域の範囲を対象としたGNSS測位装置が利用できる補強情報を準天頂衛星やSBAS(Satellite−Based Augmentation System)等により一律に配信する場合、前述のように地上の携帯電話等の回線を用いて個別のユーザ毎に補強情報を配信する場合と比較して、データ伝送の回線容量が限られる。このことから、補強情報を圧縮(データ量を削減)して配信する技術が提案されている。圧縮の例としては、補正量を時間的に間引き、一定の周期毎に配信する方式や電離層での電波による遅延等、受信機の場所によって異なる補正量を空間的に間引き、等間隔の代表地点における値を配信する方式などが挙げられる。
従って、圧縮された補強情報を使用する場合、時間的および空間的に間引いた補正量を使用するため、圧縮前の補強情報を使用する場合に対して、補正量自体が誤差を持つ。すなわち、GNSS観測値の誤差量の時間的変動に対して、得られる補正量の周期が長いと、無視できない補正量の誤差(時間的圧縮による誤差)が生じる。またGNSS観測値の誤差量の空間的変動に対して、補正量が得られる代表地点間の間隔が大きいと、無視できない補正量の誤差(空間的圧縮による誤差)が生じる。誤差量の局所的な変動が大きい時間帯や場所では、補正量を多項式等の関数によって時間的および空間的に補間・外挿しても、関数では細かい変動を表現しきれず、やはり無視できない補正量の誤差が生じる。
そこで、補正量の誤差に関する情報をGNSS測位装置に提供する、あるいは間引かれた補正量を用いた補間・外挿の手法をGNSS測位装置側で工夫する等により、補正量の誤差の影響を軽減する技術が求められている。
これに関する従来技術として、空間的に間引かれて配信された電離層遅延補正量を補間して使用する場合、補間した電離層遅延補正量を不確定性のある値として扱って処理を行なう測位方法が提案されている(例えば非特許文献1)。各GNSS衛星で擬似距離と搬送波位相に含まれる電離層遅延量は大きさが同じで符号が逆であること(擬似距離は遅延し、搬送波位相は進む)、また信号のキャリア周波数によって感度が異なるから、その不確定性が与える影響が信号毎に異なる性質を利用することで、電離層遅延の補正量の誤差をノイズ成分として分離し、測位結果に対する影響を低減している。
また、サービスセンターにおいて時間的に間引いた補正量の誤差分散および、時間経過に伴う誤差分散の拡大係数をGNSS測位装置に提供し、GNSS測位装置側は測位を行なう時刻におけるGNSS衛星毎の補正量の誤差分散値を計算することで、測位計算において、それら衛星の使用もしくは不使用の決定や、誤差分散値が大きい衛星の補正した観測値の重みを下げる等の処理を行なう測位方法が提案されている(例えば特許文献1)。
また、地球上にある正確な座標が既知の電子基準点等のGNSS衛星の観測値が時間的に間引かれて得られる場合に、高次の多項式による外挿を行い、データが得られない時刻における観測値を生成し、受信機の観測値と差分を取ることで、受信機の観測値に含まれる誤差を消去する測位方法が提案されている(例えば特許文献2)。これは一定の時間間隔毎に間引かれた補正量が得られる場合、補正量が得られた時刻における値から、補正量が得られていない時刻における値を、高次の多項式による外挿によって求め、使用することに相当する。
米国特開20100149026A1号公報(2頁右列8〜34行) 特開2000−304843号公報(12頁右列43行〜13頁右列27行)
D.Odijk:Weighting Ionospheric Corrections to Improve Fast GPS Positioning Over Medium Distance, ION GPS 2000(1114頁22行〜1116頁19行)
しかしながら、非特許文献1のような測位方法にあっては、擬似距離と搬送波位相における値の符号が異なり、信号の周波数毎に感度が異なる電離層遅延の補正量の圧縮による誤差を低減することはできるが、衛星時計誤差、衛星軌道誤差、対流圏遅延等、擬似距離と搬送波位相に含まれる値の符号が同じになる場合には、信号の周波数によらず感度が等しい補正量の、圧縮による誤差は低減できないという問題がある。
また、特許文献1のような測位方法においては、以下のような問題がある。すなわち、補正量が得られた時刻から時間が経過するほど、補正量の誤差分散値が大きくなり、受信機の測位計算における補正したGNSS観測値の重みが小さくなり、従って観測残差に対する修正ゲインが小さくなるため、静止測量においては収束時間が遅くなるという問題が生じる。また自動車などの移動体測量においては、移動に伴って拡大する受信機の位置の誤差分散を速やかに縮小させることができず、例えばGNSS衛星の信号の搬送波位相の波数を決定する処理の成功率を低下させるといった問題がある。
さらに、特許文献2のような測位方法においては、以下のような問題がある。すなわち、時間的に間引かれた補正量を用いた測位において、測位計算を行う時刻における補正量を、補間・外挿計算によって求めて使用する場合、補正量の時間変動が大きい場合や、変曲点を含む場合は、補間・外挿計算の精度が低下し、測位精度の低下の原因となる。さらに、補強情報を配信する衛星の回線容量の制約から補強情報の配信間隔が長く、受信機がトンネルや高架下を通過することで、GNSS測位装置が取得すべき補強情報を受信し損ねた場合には、得られた補正量の時刻間隔が大きくなり、補間・外挿の計算精度が大きく低下するといった問題がある。
本発明は、時間的に間引かれた補正量を用いたGNSS測位装置及びGNSS測位方法において、補正量の時間変動・時刻間隔が大きい場合や、変曲点を含む場合でも、補間・外挿計算の精度の低下を抑制するGNSS測位装置およびGNSS測位方法を提供することを目的としている。
本発明に係るGNSS測位装置は、GNSS衛星から送信される測距信号を受信する受信機の位置を算出するGNSS測位装置において、前記測距信号から得られる擬似距離と搬送波位相の観測値の補正量に関する補強情報を受信する補強情報受信部と、受信した前記補強情報に基づき、前記受信機の位置を算出する位置算出時刻における前記受信機の位置を補正するための第1の補正量を予測する補正量補間外挿部と、前記受信機の位置、速度を含む状態量推定値に基づき、前記位置算出時刻における前記受信機の位置を予測する受信機位置予測部と、前記受信機位置予測部の予測した前記受信機の位置及び前記位置算出時刻における衛星位置に基づいて、前記位置算出時刻における前記GNSS衛星との距離を算出し、当該距離及び前記測距信号から算出される前記位置算出時刻における疑似距離と搬送波位相とを含む観測値に基づいて、前記位置算出時刻における前記受信機の位置を補正するための第2の補正量を算出する補正量推定部と、前記第1の補正量と前記第2の補正量とに基づいて得られる第3の補正量に基づいて前記受信機の位置を補正する位置算出部と、を備えたものである。
本発明によれば、補強情報の複数の時刻データに基づき推定した受信機位置誤差の第1の補正量と、前記GNSS信号受信部から得られる衛星位置とGNSS衛星の観測値に基づく受信機位置とから推定した受信機位置誤差の第2の補正量により、受信機位置誤差の第3の補正量を算出する処理を行なうため、時間的に間引かれた補正量を用いた測位において、測位計算を行う時刻における補正量を高精度に求めることができる。
本発明の実施の形態1による測位装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の補正量補間・外挿部で計算された第1の補正量と時間との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1の補正量推定部の動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の補正量平均化部で計算された補正量の値と補正量の確率密度との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1のフローチャートを示す図である。 本発明の実施の形態2による測位装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2のアンビギュイティ調整部の動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態2のフローチャートを示す図である。 本発明の実施の形態2による測位装置の動作効果を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、本発明を実施するための実施の形態1における測位装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態による測位装置は、補強情報受信部1、補強情報記憶部2、補正量補間・外挿部3、受信機位置予測部4、GNSS信号受信部5、衛星位置計算部6、補正量推定部7、補正量平均化部8および位置算出部9とから構成される。さらに、本実施の形態の各部の動作について説明する。以下、補正量に次の用語を使用する。
PRC:Pseudo Range Correction(擬似距離補正量)
CPC:Carrier Phase Correction(搬送波位相補正量)
擬似距離補正量とは、擬似距離の誤差補正量を指し、搬送波位相補正量とは、搬送波位相の誤差補正量を指す。C/Aコード、P2コード等、複数の擬似距離が存在する場合は、それらの擬似距離補正量をまとめてPRCと表記する。また同様に、L1波、L2波等、複数の搬送波位相が存在する場合も、それらの搬送波位相補正量をまとめてCPCと表記する。
補強情報受信部1は、測位補強サービス提供者が推奨あるいは仕様にて規定する手法によって、準天頂衛星やSBASより受信したGNSS衛星の信号の補正量や補正量を計算するための情報や補正量に関する補強情報を受信する。
補強情報記憶部2は、補強情報受信部1が受信した補強情報を記憶する。補正量補間・外挿部3での計算方法に必要な情報が得られるよう、過去の複数の時刻で受信した補強情報を記憶する。
補正量補間・外挿部3は、補強情報記憶部2が記憶する補強情報を用いて、受信機の位置算出を行なう時刻tにおける、GNSS衛星の観測値に対する第1の補正量(擬似距離補正量prc1、搬送波位相補正量cpc1)およびその標準偏差値σ_prc1, σ_cpc1を計算する。図2は、補正量補間・外挿部3で計算された第1の補正量(y)と時間(t)との関係を示すグラフである。第1の補正量は、図2に示すように、例えば過去の3つの時刻における補正量の値を用い、多項式表現によって外挿する。過去の3つの時刻をそれぞれ、t1、t2、t3、時刻に対応する補正量をそれぞれ、y1、y2、y3とすると、時刻t+1における補正量yは、次式で表される。
Figure 2017181519
Figure 2017181519
各GNSS衛星の各時刻における補正量は、例えば補強情報に衛星時計誤差Clk[m](mは単位メートルを指す)、軌道誤差Orb[m]、対流圏遅延Trop[m]、電離層遅延Ion[m]、および、C/Aコード、P2コード、L1波搬送波位相、L2波搬送波位相のシグナル間バイアスBias(C/A、P2、L1、L2)[m]が含まれている場合、次式により擬似距離補正量と搬送波位相補正量を求めることができる。ただし、次式においては、補強情報に含まれる衛星時計誤差Clk[m]は、GNSS衛星の航法暦に含まれる衛星時計誤差で観測値を補正後、さらに補正誤差分を補正するために使用することを仮定している。
C1PRC(C/Aコードの擬似距離補正量)
=−Clk+Orb+Trop+120/154Ion+C/A_Bias
P2PRC(P2コードの擬似距離補正量)
=−Clk+Orb+Trop+154/120Ion+P2_Bias
L1CPC(L1波の搬送波位相補正量)
= −Clk + Orb + Trop − 120/154 Ion + L1_Bias
L2CPC(L2波の搬送波位相補正量)
= −Clk + Orb + Trop − 154/120 ION + L2_Bias
その他、各時刻における補正量の計算方法、補間・外挿の計算方法に測位補強サービス提供者が推奨あるいは仕様にて規定する手法があれば、それらに従い計算する。
標準偏差値σ_prc1,σ_cpc1は、予め設定した値、もしくは補強情報や外部から補正量の時間変化率に関する情報を取得して計算した値を用いる。補正量の時間変化率に関する情報を用いた補正量の標準偏差の計算は、例えば各GNSS衛星の擬似距離補正量、搬送波位相補正量それぞれについて、
・UDRE:補強情報や外部から取得した、補正量の標準偏差
・cur_time:補正量の標準偏差を計算する時刻t、
・ref_time:補強情報や外部から取得した補正量の標準偏差、と対応する時刻
・UDRE_grouwh_rate:補強情報や外部から取得した、補正量の時間変化率
・time_of_validity:補強情報や外部から取得した、スケール調整値
とし、次式で得られたCorrected_UDREを、時刻tにおけるσ_prc1,σ_cpc1として用いる。
Corrected_UDRE = {(cur_time−ref_time)/time_of_validity*(UDRE_growth_rate−1)+1}*UDRE
その他、サービス提供者が推奨あるいは仕様にて規定する手法があれば、それを使用する。
続いて、受信機位置予測部4の動作について説明する。受信機位置予測部4は、受信機が位置および速度を状態量として持つ場合は、受信機の位置算出を行う時刻tの1つ前の時刻t−1における受信機の状態量推定値のうち、位置、速度の推定値xt−1|t−1、vt−1|t−1および共分散行列の位置・速度に関する項Pxy t−1|t−1から、例えば次式にて時刻tにおける受信機の位置・速度xt|t−1、およびその共分散行列Pxy t|t−1を予測する。Qはプロセスノイズ行列である。
Figure 2017181519
受信機が、位置、速度、加速度を状態量として持つ場合は、受信機の位置算出を行う時刻tの1つ前の時刻t−1における受信機の状態量推定値のうち、位置、速度、加速度の推定値xt−1|t−1、vt−1|t−1、at−1|t−1および共分散行列の位置・速度・加速度に関する項Pxya t−1|t−1から、例えば次式にて時刻tにおける受信機の位置・速度・加速度xt|t−1、vt|t−1、at|t−1とその共分散行列Pxya t|t−1を予測する。Qはプロセスノイズ行列である。
Figure 2017181519
GNSS信号受信部5は、GNSS衛星の測距信号を受信し、航法暦とGNSS衛星の観測値を出力する。本実施の形態では、測距信号受信部として、GNSS信号受信部という用語を用いる。
衛星位置計算部6は、GNSS信号受信部5が出力する航法暦に含まれるGNSS衛星の軌道情報を用い、各GNSS衛星の仕様書に記載の手順に従って、時刻tにおける衛星の位置Xsat(t)を計算する。航法暦の他、IGS(International GNSS Services)等が提供する精密暦等、衛星位置を計算できるものであれば、代用可能とする。
続いて、補正量推定部7の処理について説明する。時刻t−1と時刻tの間にGNSS衛星からの信号が障害物で遮断される等による搬送波位相追尾の中断(以下、「サイクルスリップ」という)が生じた場合、つまり、時刻t−1における搬送波位相の値と時刻tにおける搬送波位相の値の差が閾値以上である場合、搬送波位相の追尾がリセットされ、時刻t−1までの波数の実数推定値や整数決定値が無効になるため、本実施の形態においては、補正量推定部7は、時刻t−1と時刻tの間にサイクルスリップが生じていないと判断された場合のみ、以下の処理を行なう。サイクルスリップが生じているか否かの判断は補正量推定部7で行う。(サイクルスリップが生じたと判断された場合、第2の補正量の標準偏差を無限大として、後述の補正量平均化部8における第2の補正量の重みがゼロになるようにする。サイクルスリップが生じても第2の補正量の重みをゼロとせず、使用可能とする手法は、実施の形態2で述べる。)
補正量推定部7は、受信機位置予測部4が出力した時刻tにおける受信機の位置の予測値xt|t−1および共分散行列の位置に関する項P t|t−1、GNSS信号受信部5が出力したGNSS観測値PR,CP(擬似距離、搬送波位相)、衛星位置計算部6が出力した時刻tにおける各GNSS衛星の位置Xsat(t)および波数(整数値が決定している場合は整数決定値、整数値が決定してない場合は実数推定値)を用いて、時刻tにおける第2の補正量(擬似距離補正量prc2,搬送波位相補正量cpc2)およびその標準偏差値σ_prc2,σ_cpc2を計算する。図3は、本実施の形態の補正量推定部7の動作を説明するための図である。図3に示すように時刻tにおける幾何学距離ρを次式で求める。
Figure 2017181519
そして、時刻tにおける擬似距離、搬送波位相、波数から、次式により各衛星の第2の補正量prc2, cpc2を計算する。
・prc2 = ρ−(擬似距離−衛星時計誤差−相対論効果)
・cpc2= ρ−(搬送波位相−衛星時計誤差−相対論効果)−波長×波数
波数の整数決定値は、後述の位置算出部9が出力した値を用いる。波数の整数値が決定していない衛星の波数としては、後述の位置算出部9が出力する、時刻t−1における波数推定値Nt−1|t−1を用いればよい。上式の衛星時計誤差は、GNSS衛星の航法暦に含まれる衛星時計誤差の情報から、GNSS衛星の仕様書の記載の手順に従って計算するものであり、補強情報に含まれる衛星時計誤差とは異なる。相対論効果も同様に、GNSS衛星の仕様書に記載の手順に従って計算する。
標準偏差は例えば次式にて計算する。
波数の整数値が決定している衛星は、
・σ_prc2 = √(幾何学距離の誤差分散値+擬似距離の観測誤差分散値)
・σ_cpc2= √(幾何学距離の誤差分散値+搬送波位相の観測誤差分散値)

波数の整数値が決定していない衛星は、
・σ_prc2= √(幾何学距離の誤差分散値+擬似距離の観測誤差分散値)
σ_cpc2 = √(幾何学距離の誤差分散値+搬送波位相の観測誤差分散値+波長×波数の推定誤差分散値)
幾何学距離の誤差分散値σ の計算には、共分散行列の位置に関する成分の値を用い、次式にて計算する。
Figure 2017181519
擬似距離の観測誤差分散値は例えば0.5[m]、搬送波位相の観測誤差分散値は例えば0.002[m]など、衛星の信号品質や受信機の処理回路の品質に対して妥当な値を設定する。波数の整数値が決定していない衛星の処理における、波数の推定誤差分散値について説明する。波数の推定誤差分散値については、後述の位置算出部9の処理で得られる時刻t−1における状態量の共分散行列Pt−1|t−1のうち、該当する衛星の波数に対応する対角成分の値を用いる。あるいは、例えば位置算出部9でカルマンフィルタを用いて行なう時間時間更新と同等の処理によって、時間更新後の共分散行列Pt|t−1を求め、そのうち該当する衛星の波数に対応する対角成分の値を用いてもよい。
ここで図4は、本実施の形態の補正量平均化部8で計算された補正量の値と補正量の確率密度との関係を示すグラフである。補正量平均化部8は、第1の補正量prc1,cpc1とその標準偏差σ_prc1,σ_cpc1、第2の補正量prc2,cpc2とその標準偏差σ_prc2,σ_cpc2から、実際に使用する第3の補正量prc3,cpc3およびその標準偏差値σ_prc3,σ_cpc3を計算する。なお、図8では、第1の補正量をC、その標準偏差をσC1、第2の補正量をC、その標準偏差をσC2、第3の補正量をC、その標準偏差をσC3、とまとめて表記した。つまり、次の計算式を用い、第1の補正量と、第2の補正量を、それぞれの標準偏差の値によって重み付けを行い、平均化することで、第3の補正量を計算する。
Figure 2017181519
Figure 2017181519
標準偏差σ_prc3, σ_cpc3は次式にて計算する。
Figure 2017181519
Figure 2017181519
擬似距離補正量、搬送波位相補正量それぞれについて、時刻t−1から時刻tへの経過時間に応じて閾値を設定する。第1の補正量と第2の補正量の差が閾値以上の場合、第1の補正量、第2の補正量のいずれかの精度を疑われる。差が閾値以上の場合、システムの信頼性の要求に応じて、少なくとも次の2通りの処理の内、いずれか一方の処理を選択可能とする。
・第2の補正量の重みをゼロにし、第3の補正量=第1の補正量とする。
・次に補強情報を受信するまでの間、その衛星の補正量の使用を停止する。
また通常、補強情報から計算した補正量には受信機の時計誤差やマルチパス等、受信機に起因する誤差補正量は含まれていないため、補正量補間・外挿部3で計算した第1の補正量には衛星自身に起因する誤差と大気状態に起因する誤差の補正量のみが含まれる。一方、補正量推定値で計算した第2の補正量には、受信機に起因する誤差に対する補正量も含まれている。この差異を解消するため、次のいずれかの処理を行なう。
・別途受信機に起因する誤差の推定値を保有している場合は、第2の補正量からその値を差し引く
・位置算出部9でGNSS衛星の観測値を衛星間一重差に変換している場合は、基準となる衛星を決め、第1の補正量、第2の補正量をそれぞれ衛星間一重差の補正量に変換して、補正量の平均化は衛星間一重差のレベルで行うこととする。
位置算出部9は、第3の補正量およびその標準偏差σ_prc3、σ_cpc3とGNSS観測値および受信機の状態量推定値およびその共分散行列を用いて、受信機の位置算出計算を行う。受信機の位置・速度の推定値Xt|t−1、波数が未決定の衛星の波数の推定値Nt|t−1、および全状態変数の共分散行列Pt|t−1、第3の補正量、GNSS観測値を用いて、例えばカルマンフィルタによる時間更新および観測更新により、時刻tにおける受信機の位置・速度の推定値Xt|t、波数の推定値Nt|tおよび共分散行列Pt|tを計算する。第3の補正量の標準偏差は、観測更新における観測ノイズに加えて使用してもよい。搬送波位相の波数の整数値が決定していない衛星については、波数の実数推定値と共分散行列の波数に対応する項の値から、LAMBDA(The Least Squares Ambiguity Decorrelation Adjustment)等を用いて、整数値の候補を求める。整数解の候補がレシオテストや残差テスト等の検定に合格した場合、波数決定となり、実数推定値を整数値で置き換える。
次に、本実施の形態の測位処理を、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップ1(S1)においては、新たな補強情報が補強情報受信部1で得られているかどうかを確認する。補強情報が得られている場合は、ステップ2(S2)において得られた補強情報を補強情報記憶部2に記憶する。補強情報が得られていない場合は、ステップ3(S3)に移行する。ステップ3(S3)ではGNSS信号受信部5におけるGNSS観測量の有無や、予め定められた測位周期により、時刻tにおいて測位を行うかどうかを判断する。時刻tにおいて測位を行わない場合は、時刻t+1の処理に移行する。時刻tにおいて測位を行う場合は、ステップ4〜7(S4〜S7)の処理により、各GNSS衛星の補正量を生成する。まず、ステップ4(S4)において、補強情報記憶部2に記憶された補強情報を用い、補正量補間・外挿部3で時刻tにおける第1の補正量を計算する。続いて、ステップ5(S5)において、補正量推定部7で、サイクルスリップが発生したかどうかを判断する。t−1における搬送波位相の値とtにおける搬送波位相の値の差が閾値以上である場合に、サイクルスリップが生じたと判断する。初期化直後等、前時刻のデータがない場合も、サイクルスリップが発生したと判断する。サイクルスリップが発生していないと判断された場合、ステップ6(S6)において受信機位置予測部4で受信機の位置を予測し、衛星位置計算部6で衛星位置を計算し、それらとGNSS信号受信部5から出力されたGNSS衛星の観測値から、補正量推定部7で時刻tにおける第2の補正量を推定する。サイクルスリップが発生したと判断された場合は、ステップ7(S7)に移行する。ステップ7(S7)において、第1の補正量と第2の補正量を用いて補正量平均化部8でそれらの重み付け平均によって時刻tにおける第3の補正量を計算する。ここでステップ5(S5)においてサイクルスリップが発生したと判断された場合は、第2の補正量の重みをゼロとし、第1の補正量を第3の補正量とする。各GNSS衛星に対してステップ4〜7(S4〜S7)の処理を完了後、ステップ8(S8)において第3の補正量を用い、位置算出部9で受信機の位置算出を行う。これを繰り返す。
次に、本実施の形態における効果をA)〜E)として、以下に説明する。
A)第1の補正量と第2の補正量の重み付き平均により求めた第3の補正量を位置算出に用いる構成とすることで、補正量の補間・外挿精度の低下による測位精度の低下を避けることができるとともに、時間的に均一な精度の位置算出解を得ることができる。
B)電離層遅延量等の個別の補正量ではなく、擬似距離補正量、搬送波位相補正量等の合計の補正量を、第1の補正量、第2の補正量として重み付き平均によって第3の補正量を求める構成とすることで電離層遅延以外の補正量の圧縮による誤差が低減できる。
C)第1の補正量と第2の補正量の重み付き平均により求めた第3の補正量を位置算出に用いる構成としたため、時間経過により第1の補正量の誤差が拡大して第1の補正量の重みが下がっても、第2の補正量と重み付き平均を行なうために位置算出に用いる第3の補正量の重みは上げることができる。このため、時間経過での補正量の誤差拡大による、補正したGNSS観測値の位置算出における重みの低下を避けることができる。
D)第1の補正量を計算することに加え、第2の補正量を計算する構成としたため、第1の補正量と第2の補正量を比較し、位置算出計算を行う前に補正量の信頼度を評価することが可能となる。両者の補正量の差が著しい等、補間・外挿によって求めた補正量の精度の低下が疑われる場合には、補正量の使用を停止し、大きな測位誤差が生じる危険性を避けることができる。
E)第2の補正量の計算に補強情報を直接用いない構成としたため、補強情報を取得し損ねた場合等、第1の補正量の計算に最新の補強情報が使用できず第1の補正量の信頼度が低下し、次に補強情報を受信するまで第1の補正量のみを補正量とした位置算出が不可となる場合に、第1の補正量と第2の補正量の重み付け平均によって第1の補正量よりも信頼度が高い第3の補正量を求め、位置算出を可能とすることができる。特にトンネルや高架下が多い都市部等、補強情報を受信し損ねることが頻発すると考えられる状況においては、全体として高精度な位置算出解が得られる時間の比率(アベイラビリティ)が増し、例えばモービルマッピング等により地図を作成する作業の効率を向上させることができる。
実施の形態2.
図6は、本発明を実施するための実施の形態2における測位装置の構成を示すブロック図である。図6に示した本実施の形態の測位装置は、実施の形態1で示した図1の構成に自律航法装置10およびアンビギュイティ調整部11が追加されたものである。また、位置算出部9は、自律航法装置10のセンサのスケールファクタ、バイアス等のセンサの状態量の推定値およびその共分散行列を出力に追加するように構成されている。さらに、本実施の形態の各部の動作について説明する。
自律航法装置10は、例えば車両等の受信機の累積走行距離から求めた速度を出力するオドメータ、角速度を出力するジャイロ、加速度を出力する加速度センサなどから構成され、それらセンサの値を受信機位置予測部4に出力する。
受信機位置予測部4は、受信機の位置算出を行う時刻tの1つ前の時刻t−1における受信機の状態推定量のうち、位置Xt−1|t−1とその共分散行列の位置に関する項P t−1|t−1を初期値とし、後述の位置算出部9で得られたセンサ状態量の推定値を用いてスケールファクタやバイアスを補正する。そして、例えばストラップダウン方式の航法演算によってセンサ出力値から受信機の位置算出を行う時刻tにおける受信機位置の予測値Xt|t−1および共分散行列P t|t−1を予測する。t−1とtの間のn個の時刻においてセンサ出力s(i=1…n)が得られる場合、例えば次式の数値積分によって受信機位置の予測値Xt|t−1を計算する。
<i=1〜nまで繰り返し>
Figure 2017181519
Figure 2017181519
一般にfは、センサの仕様や取り付け位置によって決まる非線形の関数である。共分散行列P t|t−1は、例えば次式のように線形化したfを用いて数値積分によって求める。dQはプロセスノイズ行列である。実施の形態1の場合と比較して1ステップの時間幅が短いため、QではなくdQと記載している。
<i=1〜nまで繰り返し>
Figure 2017181519
Figure 2017181519
補強情報受信部1、補強情報記憶部2、補正量補間・外挿部3、GNSS信号受信部5、衛星位置計算部6の動作は実施の形態1と同じである。
補正量推定部7の動作は次の点を除き、実施の形態1と同じである。実施の形態1においては、時刻t−1と時刻tの間にサイクルスリップが生じていないと判断された場合のみ、補正量推定部7の処理を行ない、サイクルスリップが生じたと判断された場合は、第2の補正量の標準偏差を無限大にし、補正量平均化部8の計算における第2の補正量の重みがゼロになるようにした。本実施の形態では、サイクルスリップが生じていないと判断された場合は実施の形態1と同じ処理で、サイクルスリップが生じたと判断された場合は、次式により、第2の補正量(prc2、cpc2)とその標準偏差(σ_prc2、σ_cpc2)を計算する。
・prc2 = ρ−(擬似距離−衛星時計誤差−相対論効果)
・cpc2= ρ−(搬送波位相−衛星時計誤差−相対論効果)
・σ_prc2 = √(幾何学距離の誤差分散値+擬似距離の観測誤差分散値)
・σ_cpc2= √(幾何学距離の誤差分散値+搬送波位相の観測誤差分散値)
各項の記載の詳細は、実施の形態1の説明を参照されたい。
次に、アンビギュイティ調整部11の動作を図7により説明する。アンビギュイティ調整部11は、補正量推定部7が出力した第2の補正量のうち搬送波位相補正量の波数のアンビギュイティを調整するが、時刻t−1と時刻tの間にサイクルスリップが生じたと判断された場合にのみ、その処理を行なう。すなわち、サイクルスリップが生じた場合、時刻t−1までの波数(整数値が決定している場合は整数決定値、未決定の場合は実数推定値)が用いられず、時刻tにおける第2の補正量の搬送波位相補正量は波数をゼロとして計算されるため、第2の補正量の搬送波位相補正量には波長の整数倍の曖昧さが生じている。図7では第1の補正量の搬送波位相補正量をC、第2の補正量の波長の整数倍の曖昧さがある搬送波位相補正量をCと表記した。そのため、第1の補正量と第2の補正量の差が大きくなり、そのまま補正量平均化部8で平均化してしまうと、第3の補正量に大きな誤差が生じてしまう。そこで第3の補正量に大きな誤差が生じることを避けるため、第1の補正量の値を利用して、第2の補正量の搬送波位相補正量の計算時に適用されるべきであった波数の仮定値を求め、その仮定値を適用した第2の補正量と、第1の補正量を平均化する。
具体的には、
差分Dif=
|第1の補正量の搬送波位相補正量−(第2の補正量の搬送波位相補正量−波長×N1)|が最小化されるようなN1と2番目に最小化されるようなN2を求め、
N1を適用した場合の差分Dif1と、N2を適用した場合の差分Dif2の差の絶対値
|Dif1−Dif2|が規定値以上の場合に、N1を前記仮定値として採用する。
|Dif1−Dif2|が規定値以上であることにより、N1が正しいことを判断する。
|Dif1−Dif2|が規定値以下の場合は、第1の補正量か第2の補正量のいずれかの精度が疑われる。この場合、システムの信頼性の要求に応じて、少なくとも次の2通りの処理の内、いずれか一方の処理を選択可能とする。
・補正量平均化部8において第2の補正量の重みをゼロにし、第3の補正量=第1の補正量とするようにする。
・次に補強情報を受信するまでの間、その衛星の補正量の使用を停止する。
補正量平均化部8の動作は、実施の形態1と同じである。
位置算出部9は、第3の補正量とその標準偏差σ_prc3、σ_cpc3とGNSS観測値および受信機と自律航法センサの状態量およびその共分散行列を用いて位置算出計算を行う。受信機の位置の推定値Xt|t−1、波数が未決定の衛星の波数の推定値Nt|t−1、センサの状態量の推定値St|t−1、および全状態変数の共分散行列Pt|t−1と、第3の補正量、GNSS観測値を用いて、例えばカルマンフィルタによる時間更新および観測更新により、時刻tにおける受信機の位置の推定値Xt|t、波数の推定値Nt|t、センサ状態量の推定値St|tおよび共分散行列Pt|tを計算する。第3の補正量の標準偏差は、観測更新における観測ノイズに加えて使用してもよい。搬送波位相の波数の整数値が決定していない衛星については、波数の実数推定値と共分散行列の波数に対応する項の値から、LAMBDA(The Least Squares Ambiguity Decorrelation Adjustment)等を用いて、整数値の候補を求める。整数解の候補がレシオテストや残差テスト等の検定に合格した場合、波数決定となり、実数推定値を整数値で置き換える。
次に、本実施の形態の測位処理を、図8のフローチャートを用いて説明する。ステップ1(S1)〜ステップ5(S5)までの処理は、実施の形態1と同じである。実施の形態2では、ステップ5(S5)においてサイクルスリップが発生していないと判断された場合、ステップ6(S6)において自律航法装置10から自律航法装置のセンサデータを取得し、受信機位置予測部4で受信機の位置を計算し、衛星位置計算部6で衛星位置を計算し、それらと、GNSS信号受信部5から出力されたGNSS衛星の観測値から、補正量推定部7で時刻tにおける第2の補正量を推定する。サイクルスリップが発生したと判断された場合は、ステップ7(S7)において自律航法装置10から自律航法装置のセンサデータを取得し、受信機位置予測部4で受信機の位置を計算し、衛星位置計算部6で衛星位置を計算し、それらと、GNSS信号受信部5から出力されたGNSS衛星の観測値から、補正量推定部7で時刻tにおける第2の補正量を推定する。ただし第2の補正量の搬送波位相補正量の計算においては、波数の値はゼロとして計算する。続いて、ステップ8(S8)において、アンビギュイティ調整部11で、第1の補正量の値を利用して、波数をゼロとしたことによる第2の補正量のアンビギュイティを調整する。続いて、ステップ9(S9)において、第1の補正量と第2の補正量を用いて補正量平均化部8でそれらの重み付け平均によって時刻tにおける第3の補正量を計算する。各GNSS衛星に対してステップ4〜9(S4〜S9)の処理を完了後、ステップ10(S10)において第3の補正量を用い、位置算出部9で受信機の位置算出を行う。これを繰り返す。
次に、本実施の形態における特有の効果をA)〜C)として、以下に説明する。本実施の形態では、本発明の実施の形態1の効果に加え、以下の効果が得られる。
A)アンビギュイティ調整部11を構成要素として追加することで、時刻t−1と時刻tの間にサイクルスリップが生じた場合にも、第2の補正量を利用することができる。
B)受信機位置予測部4の入力に自律航法装置10のセンサデータを追加することで、トンネルや高架下等でGNSS衛星が不可視の時間が継続しても、実施の形態1の場合と比較してより高い精度で時刻tにおける受信機位置を求めることができ、したがってより高精度な第2の補正量を推定することができる。
C) 図9は、本実施の形態による測位装置の動作効果を説明するための図である。図9に、1つの受信機((a)〜(c))を示し、左から右に時間経過に伴う受信機の位置の移動を示す。受信機が(a)の位置に移動したとき、準天頂衛星等の補強情報を配信する衛星とGNSS衛星の両方が受信機からみて可視である。受信機が(b)の位置に移動したとき、トンネル等を通過することによって、受信機からみて衛星が不可視になる区間を通っている状態である。そして、受信機がトンネル等を通過した後である(c)の位置に移動したとき、受信機からみて衛星が、再度、可視になるとする。補強情報は、受信機が(a)〜(c)のいずれの位置に移動したときでも衛星からGNSS測位装置に継続して配信されている状態にある。受信機が(a)の位置に移動したとき、受信機に接続されているGNSS測位装置は、GNSS衛星から補強情報を受信し、次に補強情報を受信するまでの間、補正量の外挿を行なう。図9中の不可視区間に入る前までの、「Fix状態」とは、前述の規定数以上のGNSS衛星の信号の波数が決定し、Xt|tが高精度に求まっている状態を示す。受信機が(b)の位置に移動したときも、GNSS衛星は、GNSS測位装置に補強情報を配信しているが、受信機は不可視区間を走行しているため、受信機に接続されているGNSS測位装置は最新の補強情報を得ることができない。そのため、再度可視になった直後は、GNSS測位装置は、(a)の位置に移動したときまでに得た補強情報から求めた第1の補正量と、不可視区間中、自律航法装置から予測した受信機の位置から計算した第2の補正量との重み付けによって第3の補正量を求め、測位計算を行う。その後の受信機が(c)の位置でGNSS測位装置が補強情報を受信するまでの間は、GNSS測位装置は、受信機が(a)の位置に移動したときに得た補強情報から求めた第1の補正量と、可視になった直後の位置算出結果による位置推定値を初期値とした航法装置から予測した受信機の位置から計算した第2の補正量、との重み付けによって第3の補正量を求め、受信機の位置算出計算を行う。図9に示すように、都市部におけるGNSS測位装置においては、受信機がトンネルや高架下を通過している場合、GNSS測位装置が補強情報を受信し損ねてしまい、補正量補間・外挿部3で第1の補正量を計算するために、最新の補強情報を利用できなくなる。このような場合、例えば過去の複数の時刻における補正量を補強情報から計算する場合、衛星が不可視の区間を出た直後のGNSS衛星の観測値の補正量は、最新の補強情報から計算できたはずの補正量の時刻に対して一つ過去の時刻における補正量から外挿して求めなければならず、補正量の精度が低下する。そこで不可視区間に入る直前で規定数以上のGNSS衛星の信号の波数が決定しXt|tが高精度に求まっている場合、それを初期値として自律航法装置で位置を予測することで、数秒〜数10秒程度であれば、第2の補正量の推定が可能な位置予測精度を維持することができ、前述の外挿による第1の補正量の精度の低下を補償することができる。自律航法装置を用いた位置予測の精度は実施の形態1における受信機位置予測部における予測精度よりも高く、トンネルや高架下を通過時などの長時間の予測に有効である。予測が可能な時間は、自律航法装置10のスペックに依存する。
1補強情報受信部、2補強情報記憶部、3補正量補間・外挿部、4受信機位置予測部、5GNSS信号受信部、6衛星位置計算部、7補正量推定部、8補正量平均化部、9位置算出部、10自律航法装置、11アンビギュイティ調整部

Claims (3)

  1. GNSS衛星から送信される測距信号を受信する受信機の位置を算出するGNSS測位装置において、
    前記測距信号から得られる擬似距離と搬送波位相の観測値の補正量に関する補強情報を受信する補強情報受信部と、
    受信した前記補強情報に基づき、前記受信機の位置を算出する位置算出時刻における前記受信機の位置を補正するための第1の補正量を予測する補正量補間外挿部と、
    前記受信機の位置、速度を含む状態量推定値に基づき、前記位置算出時刻における前記受信機の位置を予測する受信機位置予測部と、
    前記受信機位置予測部の予測した前記受信機の位置及び前記位置算出時刻における衛星位置に基づいて、前記位置算出時刻における前記GNSS衛星との距離を算出し、当該距離及び前記測距信号から算出される前記位置算出時刻における疑似距離と搬送波位相とを含む観測値に基づいて、前記位置算出時刻における前記受信機の位置を補正するための第2の補正量を算出する補正量推定部と、
    前記第1の補正量と前記第2の補正量とに基づいて得られる第3の補正量に基づいて前記受信機の位置を補正する位置算出部と、
    を備えたGNSS測位装置。
  2. 位置算出部は、補正量推定部が出力した第2の補正量のうち搬送波位相補正量の波数のアンビギュイティを調整するアンビギュイティ調整部を備えることを特徴とした請求項1に記載のGNSS測位装置。
  3. 位置算出部は、自律航法用のセンサのデータを出力する自律航法装置を備え、自律航法用のセンサのデータを基に受信機の位置情報を特定することを特徴とする請求項1または2に記載のGNSS測位装置。
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