JP2017176656A - ミシンの押え装置 - Google Patents

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真志 土田
Masashi Tsuchida
真志 土田
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Abstract

【課題】アーム内に供給された潤滑油が押え棒と軸受との摺動面からアーム外に漏れ出すことがないようにしつつも、縫製中に押え金が布送り歯に対して良好に追従するミシンの送り機構を提供する。
【解決手段】潤滑油が給油されるヘッド1内に一部が配置されるとともに一端がヘッド1の下方に突出する押え棒8と、押え棒8の一端に固定されて生地を押える押え金11とを備えるミシンの押え装置は、ヘッド1の上面に配置されるとともに押え棒8の他端に連結されて押え棒8を昇降させるエアシリンダ3と、ヘッド1内に配置されるとともに押え棒8を密閉してヘッド1内の潤滑油が押え棒8に付着することを防ぐ押え棒カバー15と、押え棒8の軸方向の運動を案内する軸受と、軸受は転がり軸受もしくは自己潤滑性軸受もしくは内面に耐摩耗性被膜が形成される軸受のいずれかによって構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ミシンの押え装置に関するもので、詳しくは押え棒に取り付けられた押え金による生地の押圧と、押え棒の昇降とを行うミシンの押え装置に関する。
本発明における前後とは生地送り方向における前後方向をいい、左右とはミシンを正面から見たときの左右方向をいう。また、上下とはミシンの上下方向をいう。
この種の押え装置として、布押えばねの押圧力によって被縫製布(生地)を押圧するものが従来より知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のミシンの押え装置において、布押え棒(押え棒)がアーム(ヘッド)に固着されたメタル(軸受)に昇降可能に支持されている。アームの内部から下方に突出する布押え棒の端部には布押え金(押え金)が固定されている。布押え金の下方には針板が配置されている。布押え棒の上側には布押えばねが配置され、布押え棒は布押えばねによって下方向に押圧されるとともに、布押え金が針板に向かって押圧される。また、アームの内部には縫製サイクル毎に上下動する針棒が配置され、針棒の下端はアームの内部から下方に突出している。針板の下方には鋸歯状の布送り歯が配置されている。布送り歯は縫製サイクル毎に針板のスリット(送り歯用溝)から針板上面に出没し、被縫製布を所定の方向に送り出す。布送り歯が針板上面から突出するとき、布押え金および布押え棒は布押えばねの弾性力に抗して上方に持ち上げられる。布送り歯が針板上面から没入するとき、布押え棒は布押えばねの弾性力によって布送り歯に追従し下方に押し下げられる。つまり、布押え金および布押え棒は針板上面からの布送り歯の出没に追従して上下動する。また、特許文献1には布押え金の押え上げ機構についても開示されている。この押え上げ機構において、布押え棒の中間にストッパーが固定されている。押え上げレバーを操作すると、押え上げレバーに固定される偏心カムがストッパーの下面に当接し、偏心カムは布押えばねの弾性力に抗してストッパーとともに布押え棒を押し上げる。そして、布押え棒は布押え金が針板から完全に離間する位置で保持される。押え上げレバーの操作を解除すると、布押え金は布押え棒とともに布押えばねの弾性力によって針板上に押し下げられる。
実開昭53−146466号公報(第1−5頁、第1図)
アーム内部における針棒やその他の機構をスムーズに運動させるために、通常、縫製中はアーム内に潤滑油が給油される。しかし、アーム内に給油された潤滑油の一部は布押え棒にも供給されるため、布押え棒の上下動にともない、メタルと布押え棒との摺動面から潤滑油がアーム外部に漏れ出す恐れがあった。この油漏れを防止するために、メタルにオイルシールを装着したものが従来より知られている。オイルシールは布押え棒の外周を弾性的に締め付けるため、布押え棒に付着した潤滑油は布押え棒の下降時にオイルシールによって掻き取られ、アーム外部に漏れ出すことがない。
ところが、上述のようなオイルシールを備えたミシンの押え装置においては、オイルシールによって布押え棒の外周が常に締め付けられているために、オイルシールの摩擦抵抗によって布押え棒がスムーズに上下動せず、縫製中に布押え金が布送り歯の上下動に追従できないという問題があった。その結果、布押え金が適正な押圧力によって被縫製布を押圧せず、被縫製布が布送り歯によって正常に送られずに、所定の縫い目が得られなくなったり、被縫製布に布送り歯による送り傷が生じたりするおそれがあった。
そこで本発明は、アーム内に供給された潤滑油が布押え棒を通じてアームの外に漏れ出すことがなく、なおかつ縫製中に布送り歯の出没に対して布押え金が良好に追従するミシンの送り装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、潤滑油が給油されるヘッドと、一部が前記ヘッド内に配置されるとともに一端が前記ヘッドの下方に突出する押え棒と、前記押え棒の一端に固定されて生地を押さえる押え金とを備えるミシンの押え装置において、前記押え棒の他端に連結されて前記押え棒を下方向に押圧するエアシリンダと、前記エアシリンダとコンプレッサを含む空気圧回路と、前記押え棒の外周を覆って前記ヘッド内の潤滑油から隔離するカバーと、前記押え棒の軸方向の運動を案内する軸受とを備え、前記軸受は転がり軸受もしくは自己潤滑性軸受もしくは内面に耐摩耗性被膜が形成される軸受のいずれかによって構成されることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のミシンの押え装置において、前記軸受は複数個あって、複数個の軸受の少なくとも一つが前記カバー内に固定されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載のミシンの押え装置において、前記カバーの一部を構成し、前記カバーを支持するとともに前記ヘッドに固定されるブラケットを備えることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載のミシンの押え装置において、前記カバーの一部を構成するカバー部材が前記ブラケットの上下に配置されるとともに前記ブラケットに固定され、前記ブラケット内部には前記軸受の一つが固定されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のミシンの押え装置において、前記軸受はリニアブッシュであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載のミシンの押え装置において、前記空気圧回路には前記エアシリンダ内の空気圧を所定の圧力に維持する減圧弁が設けられることを特徴とする。
請求項1に係る発明によると、ヘッド内の押え棒に潤滑油が付着しないので、押え棒を伝ってヘッドの外に潤滑油が漏れ出さない。その上、押え棒がスムーズに上下動されるので、縫製中に押え金が送り歯の上下動によく追従する。したがって、縫製中は押え金が生地を適切な力で常時押圧するため、前述したような縫製不良を生じない。
請求項2に係る発明によると、押え棒がよりスムーズに上下動されるので、縫製中に押え金が送り歯の上下動によりよく追従する。
請求項3に係る発明によると、カバーとカバー内に固定される軸受とがより安定してヘッド内に固定されるため、押え棒がよりスムーズに上下動され、縫製中に押え金が送り歯の上下動によりよく追従する。
本発明に係るミシンの押え装置を示す左側面図。 同上ミシンの押え装置を示す断面図。 同上ミシンの押え装置の空気圧回路の構成を示す概略図。 同上ミシンの押え装置における別実施形態を示す左側面図。
以下、本発明の好適な実施形態例を図面1−3に基づいて説明する。本発明のミシンの押え装置を備える中空のヘッド1は図示しないミシン本体の一端にミシン本体と連続して形成されている。ヘッド1の上部には筒状のシリンダブラケット2が嵌挿され、シリンダブラケット2の一端はヘッド1の内部に突出している。シリンダブラケット2の内周上部にはエアシリンダ3の一端が嵌挿されている。エアシリンダ3の一端からピストンロット4が下方向に伸びているとともにシリンダブラケット2の内部に挿通されている。
本実施形態ではエアシリンダ3をヘッド1の外部に配置し、エアシリンダ3からピストンロッド4のみがヘッド1内部に突出する構成にされているので、ヘッド1内に配置されるその他の部品にエアシリンダ3が干渉することを防ぐことができる。
エアシリンダ3はコンプレッサ5を含む空気圧回路Aの一部を構成し、エアシリンダ3はエアチューブ6a,6b,6cを介してコンプレッサ5に連結されている。また、エアチューブ6aと6cとの間には減圧弁7が連結されている。コンプレッサ5は圧縮空気をエアチューブ6a,6bの一端にそれぞれ送り込む。エアチューブ6aの他端は減圧弁7の一次側に連結され、減圧弁7の二次側にはエアチューブ6cの一端が連結されている。エアチューブ6cの他端はエアシリンダ3の押し側に連結されている。エアシリンダ3の押し側にコンプレッサ5から圧縮空気が流入されると、ピストンロッド4は圧縮空気によって押し出され、エアシリンダ3から下方に延出する。このとき、エアシリンダ3の押し側の圧縮空気は減圧弁7によって一定の圧力に維持される。エアチューブ6bの他端はエアシリンダ3の引き側に連結されている。エアシリンダ3の押し側に対し圧縮空気の流入を止めエアシリンダ3の引き側にコンプレッサ5から圧縮空気が流入されると、ピストンロッド4は上方に引き戻される。
ヘッド1の内部には押え棒8の一部が配置され、押え棒8はヘッド1の下部に固定される第一軸受9に上下動可能に案内されている。第一軸受9はリニアブッシュによって構成されている。押え棒8の上端はピストンロッド4の下端に連結され、ピストンロッド4に嵌挿されたナット10によって固定されている。ヘッド1の下方に突出する押え棒8の下端には生地を押圧する押え金11が固定されている。押え金11の下方には針板12が配置され、針板12はミシンベッド(図示せず)の上面に固定されている。縫製中はコンプレッサ5から圧縮空気がエアチューブ6a,減圧弁7,エアチューブ6cを通ってエアシリンダ3の押し側に流入し、ピストンロッド4はエアシリンダ3から下方に延出する。押え棒8はシリンダロッド4の延出によって押え金11とともに針板12上に押圧される。
針板12の下方には鋸歯状の送り歯(図示しない)が配置されている。縫製中に送り歯はミシン本体内部に配置される送り機構(図示しない)によって上下前後方向に楕円運動し、針板12の送り歯用溝(図示しない)を通って針板上面を出没する。送り歯が針板12上面を出没するとき、針板12上面に載置される生地は押え金11によって送り歯に押圧されながら、送り歯の楕円運動によって生地送り方向に送られる。押え金11および押え棒8は、送り歯が針板12上面に突出するときエアシリンダ3の押圧力に抗して上方に持ち上げられ、送り歯が針板上から没入するときエアシリンダ3の押圧力によって送り歯に追従し下方に押し下げられる。つまり、縫製中に押え金11および押え棒8は送り歯の出没に追従して上下動する。
上記実施形態では、エアシリンダ3に流入する圧縮空気を減圧弁7によって一定の圧力に制御することにより、縫製中に急な生地厚の変化などがあっても、一定の圧力で生地が押圧される。
ヘッド1の内部には図示しない針棒機構によって縫製中に上下動する針棒14が配置されている。この針棒14の上下動をスムーズに行うために、ミシン本体からヘッド1内の針棒機構や針棒14に潤滑油が給油される。このとき、ヘッド1内に給油される潤滑油は針棒機構や針棒14の運動によってヘッド1内に飛散する。
ヘッド1の内部には押え棒8の外周を覆ってヘッド1内の潤滑油が押え棒8に付着することを防ぐ押え棒カバー15が配置されている。ヘッド1内における押え棒8の中途には押え棒カバー15の一部を構成する軸受ブラケット16が配置されている。軸受ブラケット16は上下方向に貫通する円筒状に形成されている。軸受ブラケット16の内部には第二軸受17が嵌挿されて軸受ブラケット16の内周に接着されている。第二軸受17はリニアブッシュによって構成されている。第二軸受17の内周に押え棒8が上下動可能に支持されている。軸受ブラケット16はネジ18によって取付ブラケット19に固定されている。取付ブラケット19はヘッド1内の後面に固定されている。
軸受ブラケット16の下側には押え棒カバー15の一部を構成する第一カバー部材20が配置されている。第一カバー部材20は筒状に形成され、第一カバー部材20の内部には押え棒8が挿通されている。第一カバー部材20の上部には径小の第一カバー段部21が形成されている。第一カバー段部21は軸受ブラケット16の下端内周に挿入接着されている。第一カバー部材20の下端はヘッド1内部の底面に設けられた円形の凹部22に挿入接着されている。
軸受ブラケット16の上側には押え棒カバー15の一部を構成する第二カバー部材23が配置されている。第二カバー部材23は筒状に形成され、第二カバー部材23の内部には押え棒8が挿通されている。第二カバー部材23の上下端には径小の第二カバー段部24a,24bがそれぞれ形成されている。第二カバー段部24aは軸受ブラケット16の上端内周に嵌挿接着されている。第二カバー段部24bはシリンダブラケット2の下端内周に嵌挿接着されている。
上記実施形態では、ヘッド1内において押え棒8が押え棒カバー15によって覆われているため、押え棒8に潤滑油が付着しない。よって、ヘッド1内の潤滑油が押え棒8と第一軸受9との摺動面からヘッド1外に漏たりする恐れがない。また、第一軸受9,第二軸受17はリニアブッシュによって構成されているため、ヘッド1内の潤滑油が第一軸受9,第二軸受17に給油されなくとも押え棒8の上下動をスムーズに案内することができる。
上記実施形態では、軸受ブラケット16の内部に第二軸受17を配置し、さらに軸受ブラケット16をその上下に接着される第一カバー部材21,第二カバー部材23によって支持する構造となっている。これにより、第二軸受け17がより安定してヘッド1内に固定されるため、押え棒8がよりスムーズに上下動され、縫製中に押え金11が送り歯の上下動に対してよりよく追従する。
上記実施形態では、押え棒カバー15の内部に1つの軸受を備える構成となっているが、複数個の軸受けが配置される構成であっても良い。
第一軸受9,第二軸受17は上記実施形態のようにリニアブッシュによって構成されるのが最適であるが、押え棒8の軸方向の運動を案内する軸受けであれば、転がり軸受、自己潤滑性軸受、内面に耐摩耗性被膜が形成される軸受のいずれによって構成されていても本発明の効果を奏する。
本発明における押え棒8の押え上げ動作について説明する。縫製終了後、コンプレッサ5から圧縮空気がエアチューブ6bを通ってエアシリンダ3の引き側に流入し、ピストンロッド4はエアシリンダ3内に退出する。ピストンロッド4の退出にともない押え棒8と押え金11が上昇し、押え金11が生地上面から完全に離間する位置で保持される。
従来、押え棒8の押え上げ動作は、ヘッド1内に配置されて押え棒8に連結される押え上げ機構によって行われていた。そのため、押え上げ機構を伝って押え棒8に付着した潤滑油が、押え棒8と第一軸受9との摺動面からヘッド1の外部に漏れ出すことを防ぐためには、押え棒8と押え上げ機構の両方をヘッド1内の潤滑油から隔離する必要があった。しかし、上記実施形態では、押え棒8の昇降をヘッド1の外部に配置されるエアシリンダ3によって行うため、押え棒8をヘッド1内で密閉するのみでよい。
図4に示すように、押え棒カバー15は1つの部品によって一体に構成されていてもよい。この場合、筒状の押え棒カバー15の一端には、押え棒カバー15の他端の外径よりも小さい外径を持つ筒状の押え棒カバー段部25が連続して形成される。押え棒カバー段部25はシリンダブラケット2の下側からシリンダブラケット2の内部に挿通され、押え棒カバー段部25の外周はシリンダブラケット2の内周に接着される。押え棒カバー25の他端はヘッド1の底面に形成される凹部22の内周に嵌挿され、押え棒カバー段部25の外周はヘッド1の凹部22の内周に接着される。
上記実施形態では、押え棒カバー15が一体に形成されるため、部品点数が少なくなり、組み立て工数が減少する。
1 ヘッド
3 エアシリンダ
5 コンプレッサ
7 減圧弁
8 押え棒
9 第一軸受
11 押え金
15 押え棒カバー
16 軸受ブラケット
17 第二軸受
20 第一カバー部材
23 第二カバー部材

Claims (6)

  1. 潤滑油が給油されるヘッドと、一部が前記ヘッド内に配置されるとともに一端が前記ヘッドの下方に突出する押え棒と、前記押え棒の一端に固定されて生地を押さえる押え金とを備えるミシンの押え装置において、前記押え棒の他端に連結されて前記押え棒を下方向に押圧するエアシリンダと、前記エアシリンダとコンプレッサを含む空気圧回路と、前記押え棒の外周を覆って前記ヘッド内の潤滑油から隔離するカバーと、前記押え棒の軸方向の運動を案内する軸受とを備え、前記軸受は転がり軸受もしくは自己潤滑性軸受もしくは内面に耐摩耗性被膜が形成される軸受のいずれかによって構成されることを特徴とするミシンの押え装置。
  2. 前記軸受は複数個あって、複数個の軸受の少なくとも一つが前記カバー内に固定されることを特徴とする請求項1に記載のミシンの押え装置。
  3. 前記カバーの一部を構成し、前記カバーを支持するとともに前記ヘッドに固定されるブラケットを備えることを特徴とする請求項2に記載のミシンの押え装置。
  4. 前記カバーの一部を構成するカバー部材が前記ブラケットの上下に配置されるとともに前記ブラケットに固定され、前記ブラケット内部には前記軸受の一つが固定されることを特徴とする請求項3に記載のミシンの押え装置。
  5. 前記軸受はリニアブッシュであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のミシンの押え装置。
  6. 前記空気圧回路には前記エアシリンダ内の空気圧を所定の圧力に維持する減圧弁が設けられることを特徴とする請求項5に記載のミシンの押え装置。
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