JP2017176025A - 三次元細胞培養物の製造方法 - Google Patents

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【課題】生体の毛細血管に近い構造を有する三次元細胞培養物の製造方法を提供する。【解決手段】下記の工程1〜工程3を含む、微小血管様構造を有する三次元細胞培養物の製造方法工程1:振とう処理された線維芽細胞を培養容器に播種して第1線維芽細胞層を形成する工程、工程2:第1線維芽細胞層上にコラーゲンIVを添加し、次いで血管内皮細胞を播種して培養し、第1線維芽細胞層の上に血管様構造層を形成する工程工程3:振とう処理された線維芽細胞をVEGF及びFGFとともに血管様構造層上に播種し、血管様構造層から上方に血管様構造が伸びた第2線維芽細胞層を形成する工程。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元細胞培養物の製造方法に関する。
平面での細胞培養は、培養細胞を調製し、観察し、研究するためには便利な方法であり、それにより細胞を迅速に増殖させることができる。培養ディッシュを細胞足場材料であるゼラチン、コラーゲンI、IVやファイブロネクチンなどで処理し、細胞を培養液とともに播種して平面細胞培養を行う方法は、よく知られているが、生体内の組織の特徴である細胞間相互作用−細胞および細胞−マトリックス相互作用に欠けている。
細胞を三次元培養するために、セルローススポンジ、ゼラチンスポンジ、コラーゲンスポンジなどの足場材料の使用が提案されているが、血管構造の再生は実現されていない。
特許文献1は、コア部の解離性ゲルファイバ及びシェル部の細胞接着性ゲルを用いて、血管様構造物を製造しているが、この製造方法は煩雑であり、血管様構造物は実際の血管とは異なるものである。
特許文献2は、心筋細胞と血管内皮細胞と線維芽細胞を用いた心臓組織型スフェロイドを開示している。
特許文献3は、毛細血管用の三次元構造体を開示しているが、その作製のために多量のファイブロネクチンを使用するため高コストであり、ファイブロネクチン−ゼラチン層を形成するために、各容器(インサート)にファイブロネクチン溶液とゼラチン溶液を各々加えて遠心処理し、上清を除去する操作を複数回行っており、三次元構造体の形成に手間がかかり、さらにまたこれらの作業工程中に細胞に対する負荷や、工程中の細胞数の喪失が無視できない。
非特許文献1(本明細書では、「従来法」と記載することがある)は、電荷の異なるファイブロネクチンとゼラチンを組み合わせて細胞外に薄層化することを特徴とする、微小血管様構造を形成する三次元細胞培養物を開示しているが、微小血管様構造の製造工程が煩雑であって時間がかかり、またこれらの作業工程中に細胞に対する負荷や細胞数の喪失が無視できず、ファイブロネクチンの使用量が多く高価である。
特開2012-120696 WO2014141528A1 特開2015-100334
Adv Drug Deliv Rev. 2014 Jul;74:95-103
本発明は、生体の毛細血管に近い構造を有する三次元細胞培養物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、以下の三次元細胞培養物の製造方法を提供するものである。
項1. 下記の工程1〜工程3を含む、微小血管様構造を有する三次元細胞培養物の製造方法
工程1:振とう処理された線維芽細胞を培養容器に播種して第1線維芽細胞層を形成する工程、
工程2:第1線維芽細胞層上にコラーゲンIVを添加し、次いで血管内皮細胞を播種して培養し、第1線維芽細胞層の上に血管様構造層を形成する工程
工程3:振とう処理された線維芽細胞をVEGF及びFGFとともに血管様構造層上に播種し、血管様構造層から上方に血管様構造が伸びた第2線維芽細胞層を形成する工程。
項2. 以下の工程4をさらに含む、項1に記載の三次元細胞培養物の製造方法
工程4:第2線維芽細胞層上に血管内皮細胞を播種して培養し、血管様構造層から上方に伸びた血管様構造の開口を備えた血管内皮層を形成する工程。
項3. 下から順番に第1線維芽細胞層(下層)/血管様構造層(中層)/第2線維芽細胞層(上層)の3層を重層した微小血管様の構造を含む三次元細胞培養物であって、中層の血管様構造体が上層に延びて上層表面に開口を形成し、下層と中層の間にコラーゲンIVを含む、三次元細胞培養物。
項4. 下から順番に第1線維芽細胞層(下層)/血管様構造層(中層)/第2線維芽細胞層(上層)/血管内皮層(最上層)の4層を重層した、微小血管様の構造を含む三次元細胞培養物であって、中層の血管様構造体が上層を通って最上層の開口と連通し、下層と中層の間にコラーゲンIVを含む、三次元細胞培養物。
項5. 上層にVEGFとFGFを含む、項3又は4に記載の三次元細胞培養物。
本発明で得られる微小血管様構造(以下、「血管」又は「血管様構造」と略することがある)を有する三次元細胞培養物は、生細胞の状態で、赤血球が流れ、赤血球は微小血管様構造内にとどまり、薬剤候補物質を添加していない条件下では血管内に流入させたナノメディシンあるいはナノ薬剤すなわち数十ナノメートルオーダーサイズ(以下、「ナノサイズ」と言うことがある。)の物質が血管外に移行する漏出性の「ほとんどない」血管様構造が得られ、血管機能を制御する薬剤候補物質の添加による前記ナノサイズの物質の血管外への移行の増減を評価することにより前記ナノサイズの物質の血管漏出性を制御する薬剤をスクリーニングすることができる。
本発明では、三次元培養体を構築するまでの工数が圧倒的に少なくなり、時間を短縮でき、細胞に対する負荷も軽減し、さらに工程中の細胞数喪失も大幅に軽減する。具体的な製造工程における実作業時間は、本発明の開口型血管網の場合、一回に連続しては最大でも1時間程度であり、多数の三次元細胞培養物を並行して作製可能であり、多数の検体を用いた薬剤スクリーニングを短期間で実施可能である。本発明では、第2線維芽細胞層の底面を培養器具表面と接着させるためのみにファイブロネクチンを使用すればよく、すべての構成細胞の表面にファイブロネクチンの被膜が必要な従来法と比較して、ファイブロネクチンの使用量の減少により製造コストが大幅に低下する。また従来法でこの被膜工程中での細胞喪失のために工程開始前に準備した細胞数の半数強しか実際の細胞層を構成させる工程に到達できないのに対し、本発明では細胞表面への被膜工程を必要としないことからほとんど工程中の細胞数喪失がなく、労力及びコストの面から効果的である。
本発明で構築された微小血管様構造物は、ヒト生体内の正常な毛細血管構造と近くなり、ナノサイズの物質の漏出程度が低いため、ナノ粒子の漏出に対する物質の影響をより適切に調べることができる。また過去の知見(非特許文献:Adv Drug Deliv Rev. 2014 Jul;74:2-11、Robbins and Cotran Pathologic Basis of Disease 8e: Chapters 2 and 3、他)によれば、このような、ナノサイズの物質に対する漏出程度の低い性質の血管は、難治性固形がんにおける腫瘍内血管や、線維化を伴う慢性炎症における血管とも類似する。
本発明の製造方法で製造される微小血管様構造を有する三次元培養物を模式的に示す。 本発明法と従来法の手順を比較するフローチャート 血管様構造層の顕微鏡写真(固定後染色像、赤色:血管内皮染色(PECAM-1)、スケール:1 mm) 固定後染色像、赤色:血管内皮染色(PECAM-1)、z軸方向に血管内皮層(最上層)より血管様構造層(中層)にかけて6枚のxy平面スライス像。矢印:z軸方向連結管腔の断面例。 高分子量デキストラン(2MDa: アルブミン=70kDa・10〜20nm相当と同等よりも大きい物質で、数十ナノメートルサイズ相当と見做される)を流した場合の顕微鏡写真。赤色:血管内皮染色(Ac-Dil-LDL:細胞体内に培養する前に内皮細胞に取り込ませておいた色素:生細胞で観察が可能) 緑色:蛍光標識デキストラン(分子量2,000,000) スケール:200μm デキストランと赤血球を血管に流したときに血管様構造層の顕微鏡写真緑色。蛍光標識デキストラン 赤色:赤血球 スケール:100μm
本発明の製造方法で得られる三次元細胞培養物の概要を図1に示す。
本発明の三次元細胞培養物は、下から順番に(1)第1線維芽細胞層(下層とよぶ)、(2)血管様構造層(中層とよぶ)、(3)第2線維芽細胞層(上層とよぶ)の3層を重層した構造、或いはさらに(4)血管内皮層(最上層とよぶ)を重層した4層構造を有し、第1線維芽細胞層(下層)は工程1により形成され、血管様構造層(中層)は工程2により形成され、第2線維芽細胞層(上層)は工程3により形成され、血管内皮層(最上層)は工程4により形成される。
(1)工程1(第1線維芽細胞層(下層)の形成)
原料となる線維芽細胞は、市販品を用いることができる。市販の線維芽細胞を購入し、ディッシュなどの適当な培養容器で平面培養における常法に従い培養する。培養された線維芽細胞は、常法に従いトリプシンなどのプロテアーゼ処理により容器から剥がして線維芽細胞の懸濁液を作製する。
得られた細胞懸濁液はそのまま振とう処理を行ってもよいが、培養液を遠心分離して除き、線維芽細胞を緩衝液に懸濁するのが好ましい。緩衝液としては、Tris-HCl緩衝液、PBS緩衝液などが挙げられる。緩衝液は等張液であるか、等張に近い液であるのが好ましい。
緩衝液に懸濁した線維芽細胞は、懸濁液をチューブなどの容器に入れて振とう処理を行う。振とうは、水平往復、水平偏心、楕円、旋回などのいずれでもよく、水平偏心式では船が揺れるような振動が与えられる。振とうは、10〜50rpm/min、好ましくは10〜30rmp/min程度で行うことが好ましい。振とう時間は、特に限定されないが、例えば10分から2時間程度、好ましくは30分から1時間程度である。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者は振とう処理を行うことで、線維芽細胞がファイブロネクチンなどの細胞外マトリクスの産生能を高めることができると考えている。
振とう処理された細胞は、遠心分離により上清を除去し、培地に懸濁して培養容器に播種し、培養して下層である第1線維芽細胞層を形成する。
培養容器がマイクロタイタープレートに配置したウェルの場合、線維芽細胞は、24ウェルサイズの1ウェル当たり5×10個〜5×10個程度播種すればよい。
第1線維芽細胞層(下層)の厚さは10〜60μm程度、好ましくは15〜50μm程度、より好ましくは20〜40μm程度である。
(2)工程2(血管様構造層(中層)の形成)
原料となる血管内皮細胞は、市販品を用いることができる。市販の血管内皮細胞を購入し、ディッシュなどの適当な培養容器で培養し、トリプシン等で処理して血管内皮細胞の懸濁液を調製してもよく、市販の血管内皮細胞を培養することなく市販の培地に懸濁して播種してもよい。
工程2では、第1線維芽細胞層(下層)上にコラーゲンIVを添加する。コラーゲンIV溶液の添加量は特に限定されないが、例えば30〜200μL / well (24 well insert)程度、好ましくは100 μL / well (24 well insert)程度であり、コラーゲンIV溶液の濃度は特に限定されないが、例えば0.01〜0.2 mg/ml程度、好ましくは0.04 mg/ml程度である。
この後に、血管内皮細胞を培地に懸濁して、コラーゲンIV溶液を添加した後の第1線維芽細胞層上に播種し血管様構造層を形成する。コラーゲンIVを第1線維芽細胞層上に添加することで、次に播種した血管内皮細胞により網目状の血管が形成される。血管が形成されるまでの時間は、12時間から48時間程度、好ましくは24時間程度で十分な網目状の毛細血管様の構造が形成される。
血管内皮細胞の播種は、一般的な細胞平面培養法に倣って実施することができる。
培養容器(例えばインサート)が24ウェルプレートに配置したウェルの場合、血管内皮細胞は、1ウェル当たり1×10個〜5×10個程度播種すればよい。
血管様構造層(中層)の厚さは3〜20μm程度、好ましくは4〜15μm程度、より好ましくは5〜10μm程度である。
(3)工程3(第2線維芽細胞層(上層)の形成)
工程3で使用する線維芽細胞は、工程1と同様に培養及び振とう処理することにより作製することができる。振とう処理後に遠心分離して上清を除去し、VEGFとFGFを含む培地に線維芽細胞を懸濁して播種する。線維芽細胞を播種し、12時間から48時間程度、好ましくは24時間程度培養することで、血管が血管様構造層から上方に延びて表面に開口を形成する。
血管を上方に延ばすために、VEGFとFGFを使用することが好ましい。懸濁液中のVEGFの好ましい濃度は、10〜100 ng/ml程度であり、FGFの好ましい濃度は、5 〜 20 ng/ml程度である。
培養容器が24ウェルプレートに配置したウェルの場合、線維芽細胞は、1ウェル当たり5×10個〜5×10個程度播種すればよい。
第2線維芽細胞層(上層)の厚さは10〜60μm程度、好ましくは15〜50μm程度、より好ましくは20〜40μm程度である。
(4)工程4(血管内皮層(最上層)の形成)
工程2と同様にして、血管内皮細胞を培地に懸濁し、コラーゲンIV溶液を添加した後の第2線維芽細胞層(上層)上に播種する。血管内皮層(最上層)の血管内皮細胞は、第2線維芽細胞層(上層)の開口がさらに延びて血管内皮層(最上層)に開口を形成する。この開口に薬物候補物質及びナノサイズの物質を供給することで、ナノサイズの物質の血管透過性に影響する薬物候補物質をスクリーニングすることができる。ナノサイズの物質が血管を透過したことは、共焦点顕微鏡で血管様構造層(中層)の状態を観察することにより評価することができる。ナノサイズの物質としては、蛍光物質、金属、金属酸化物、ポリマーなど種々の材料が挙げられる。
培養容器が24ウェルプレートに配置したウェルの場合、血管内皮細胞は、1ウェル当たり1×10個〜5×10個程度播種すればよい。または、この層については播種を省略することも可能である。ただしこの場合は形成される血管網は至適細胞数を播種する場合に比べて漏出性のより高いものとなる。
血管内皮層(最上層)の厚さは3〜20μm程度、好ましくは4〜15μm程度、より好ましくは5〜10μm程度である。
本明細書において、血管内皮細胞、線維芽細胞は、哺乳動物由来の細胞が使用される。
哺乳動物としては、ヒト、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、イヌ、サル、ウシ、ブタ、ヤギなどが挙げられ、ヒト、マウス、ラットが好ましく、ヒトがより好ましい。血管内皮細胞としては、HBMEC(ヒト脳血管内皮細胞)、HCPEC(ヒト脳脈絡叢血管内皮細胞)、HIMEC(ヒト小腸血管内皮細胞)、HCMEC(ヒト心臓血管内皮細胞)、HAEC(ヒト大動脈血管内皮細胞)、HREC(ヒト網膜血管内皮細胞)、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)、HUAEC(ヒト臍帯動脈血管内皮細胞)、ヒト肺動脈内皮細胞(HPAEC)、ヒト伏在静脈内皮細胞(HSaVEC)などの市販品を使用することができる。
工程2,4において、血管内皮細胞は、2×10/cm〜2×10/cm以上程度の密度で播種される。なお工程4は、生成される血管網の漏出性が上がっても問題ない場合においては省略することも可能である。
線維芽細胞は、ファイブロネクチンなどの細胞外マトリクス産生能が高い細胞が好ましく、皮膚あるいは胎盤や臍帯などから分離される胎児由来の線維芽細胞、マウス胚性線維芽細胞などがより好ましい。本発明の線維芽細胞層に用いることができる細胞は線維芽細胞のみに限定されず、他の間葉系細胞(例えば、神経学的組織のグリア細胞、肝臓や膵臓の星細胞など)、および間葉系細胞が腫瘍化したすなわち肉腫のすべての腫瘍細胞(例えば骨肉腫や子宮肉腫など)、上皮間葉転換した上皮系のがんのすべての腫瘍細胞(例えば膵臓がん、乳がん、大腸がんなど)、間葉系と上皮系の混合したようなあるいはいずれの由来であるか不明な腫瘍の腫瘍細胞(例えば悪性黒色腫、悪性中皮腫など)を包含する。さらに、組織内に存在する免疫系細胞(例えばマスト細胞、マクロファージ、樹状細胞など)を線維芽細胞層に含むことができる。
工程1,3において、線維芽細胞は、2×10/cm〜2×10/cm程度の密度で播種される。
本発明の方法に使用する培養容器としては、特に限定されないが、カルチャーインサートの使用できるプレートの各ウェルなどが挙げられる。
本発明の三次元細胞培養物は、培地を凍結用細胞組織保存液(100%血清、TCプロテクター、セルバンカーなど)に置換したうえで-80℃に凍結保存することができる。さらに融解後に構造を保って培養を継続することができる。すなわち、長期保存が可能である。
本発明は以下の実施例によってさらに例示されるが、これらはさらなる限定として解釈されるべきではない。
実施例1
1.本製造法の手順
I.ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)の三次元培養(図1中の「第1線維芽細胞層(下層)」)
(1)細胞をTrypsin 処理し、遠心したのち、50mM Tris-HCl (pH 7.4)溶液またはDulbecco PBS(-)、すなわち等張バッファー(pH 7.4)で懸濁する。
(2)室温で約30分〜1時間、振盪機(TAITEC Wave-SI)を用いて20rpm/min前後で振とうする。
(3)細胞を回収し、遠心後上清除去。
(4)培地に再懸濁し、培養インサート(培養容器、ベクトンディッキンソン社製)に播種する。24 wellプレート1wellに対して、5.0x105細胞のNHDFを播種する。((1)〜(4)の手順で60〜90分間を要する。)なお、インサートの培養面は本製造法による三次元細胞構造体がインサートからはがれないよう、通常の平面培養と同様にファイブロネクチンコートを要する。
(5)24時間培養
(本手順の結果) NHDFが培養容器の培養面上に4層程度に重層化して培養される。
II.血管内皮細胞の播種(図1中の「血管様構造層(中層)」)
(1)続いて、第1線維芽細胞層の上にcollagen IV (0.04 mg/ml)、24wellの1wellあたり100μlを添加する
(2)血管内皮細胞HUVEC (細胞数は24wellの1wellあたり1.0x105)を、一般的な細胞平面培養法に倣って播種する
(3)24時間培養
(本手順の結果) まずはHUVECが重層化したNHDF層の上面に培養される
III.線維芽細胞の三次元培養(前図中で「第2線維芽細胞層(上層)」)
(1) 血管様構造層の上に、「I.」と同じ処置をしたヒト皮膚線維芽細胞NHDF(細胞数も同数)を準備し、これを播種する。ただし、再懸濁する培地にはVEGF(30 ng/mL) とFGF(10 ng/mL、100 ng/mL Heparan sulfate sodiumを添加)を添加する。
(2)24時間培養
(本手順の結果) 線維芽細胞が重層化するとともに、血管様構造層の血管内皮の増殖が促され、また、上層線維芽細胞内に血管内皮が誘導されてくるために、最上層に向かって血管様構造の延長と開口がもたらされる(いわば「煙突」様の構造を作る)。
IV.血管内皮細胞の播種(図1中で「血管内皮層(最上層)」)
(1) 第2線維芽細胞層(上層)の上に、「II.」と同様に血管内皮細胞HUVEC (細胞数は24wellの1wellあたり1.0x105)を播種する。
(2) 24時間培養
(結果) 最上層では血管内皮細胞が平面培養と同様の構造を形成し、なおかつ、血管構造層から誘導されてきた血管内皮細胞による構造と結合して、最上面における血管様構造の開口がもたらされる。
本発明と従来法の手順を従来法として図2に示す。なお、従来法とは、ファイブロネクチン・ゼラチンを細胞に薄層化する方法を意味する。
2.本技術により得られる構造
上記1に述べた手順にて、血管様構造層には図3の構造が得られる。血管内皮細胞による網目状の血管様構造(図3−1赤色)は主にこの層に形成されるため、共焦点顕微鏡による観察は容易となる。
なお本構造は、上層を構成する血管内皮細胞と縦(z軸)方向にも交通する(図3−2)ため、最上層の上部に添加した物質は、この血管様構造層の血管様構造まで到達する。血管内皮染色によって同定される血管様構造層(中層)から最上層の血管内皮層までの厚みは約50μmであった。
3.本技術により得られた構造の、生細胞状態での機能的解析
続いて、本方法により得られた血管様構造が、機能的にも生体を摸することを示す。
前述の通り、本構築物内の血管様構造は、血管構造層に主に形成されるが、最上層の血管内皮細胞と連結したz軸方向の管腔を形成する。
したがって、最上層の上部培養液中に、血管様構築内に流し込む物質を添加することで、血管様構造層に下記の実施例を得る。
なお、本実施例は、ホルマリン等で固定していない、培養状態の生細胞による構造物の状態で観察・撮影することができる。このため、生細胞における薬剤の効果を確認することが可能である。
(i)高分子量デキストラン(2MDa: アルブミン=70kDa・10―20nm相当と同等よりも大きい物質で、数十ナノメートルサイズ相当と見做される)を流した場合(図4):
一般的なナノメディシン・ナノ薬剤と同等の数十ナノメートルサイズであると考えられる2MDaデキストランは、血管様構造層に存在する、血管内皮細胞で形成された毛細血管様構造の内部に主に分布し、本発明の三次元細胞培養物の微小血管様構造がナノ粒子の漏出性がほとんどないことが確認された。
(ii) (i)に加えて、赤血球を流した場合(図5):
デキストランの存在する毛細血管様構造内に、赤血球が存在した。このことから、本毛細血管様構造は、赤血球及び数十ナノメートルサイズのデキストラン粒子を保持できることが確認された。

Claims (5)

  1. 下記の工程1〜工程3を含む、微小血管様構造を有する三次元細胞培養物の製造方法
    工程1:振とう処理された線維芽細胞を培養容器に播種して第1線維芽細胞層を形成する工程、
    工程2:第1線維芽細胞層上にコラーゲンIVを添加し、次いで血管内皮細胞を播種して培養し、第1線維芽細胞層の上に血管様構造層を形成する工程
    工程3:振とう処理された線維芽細胞をVEGF及びFGFとともに血管様構造層上に播種し、血管様構造層から上方に血管様構造が伸びた第2線維芽細胞層を形成する工程。
  2. 以下の工程4をさらに含む、請求項1に記載の三次元細胞培養物の製造方法
    工程4:第2線維芽細胞層上に血管内皮細胞を播種して培養し、血管様構造層から上方に伸びた血管様構造の開口を備えた血管内皮層を形成する工程。
  3. 下から順番に第1線維芽細胞層(下層)/血管様構造層(中層)/第2線維芽細胞層(上層)の3層を重層した微小血管様の構造を含む三次元細胞培養物であって、中層の血管様構造体が上層に延びて上層表面に開口を形成し、下層と中層の間にコラーゲンIVを含む、三次元細胞培養物。
  4. 下から順番に第1線維芽細胞層(下層)/血管様構造層(中層)/第2線維芽細胞層(上層)/血管内皮層(最上層)の4層を重層した微小血管様の構造を含む三次元細胞培養物であって、中層の血管様構造体が上層を通って最上層の開口と連通し、下層と中層の間にコラーゲンIVを含む、三次元細胞培養物。
  5. 上層にVEGFとFGFを含む、請求項3又は4に記載の三次元細胞培養物。
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