JP2017166645A - 電磁弁の制御方法及び可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法 - Google Patents

電磁弁の制御方法及び可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法 Download PDF

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敬 原田
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Abstract

【課題】機関内部や油圧通路内の潤滑油を速やかに排出させることができる電磁弁を提供する。
【解決手段】バルブボディ41は、油圧回路に連通する導入ポート47と、第2制御油室に油圧を給排させる給排ポート48と、オイルパンに連通するドレンポート49と、を有し、ソレノイドユニットは、弁体収容室46に収容されて、導入ポートとドレンポートの各開口端を選択的に開閉するボール弁体43と、ボール弁体を押圧、解除するプッシュロッド54と、通電によりプッシュロッドを進出移動させるコイルと、を有し、機関の停止初期にコイルへの通電を遮断してプッシュロッドによるボール弁体の押圧を解除して潤滑油をオイルパン内に速やかに排出するようにした。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば自動車用内燃機関の各摺動部等にオイルを供給する可変容量形ポンプなどに用いられる電磁弁の制御方法に関する。
従来の電磁弁としては、自動車用内燃機関に適用された可変容量形ポンプの用いられていられた、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
この電磁弁は、円筒状のバルブボディの周壁に、機関へ潤滑油を供給するメインオイルギャラリに連通する供給ポートと、該供給ポートを介して供給された油圧を可変容量形ポンプの制御油室に出力する出力ポートと、オイルパンに連通するドレンポートと、が径方向から貫通形成されている。また、バルブボディの内部には、前記供給ポートとドレンポートのそれぞれの開口端に離着座して該各開口端を選択的に開閉するボール弁体が収容されている。
このボール弁体は、バルブボディの軸方向の一端部に設けられたソレノイドユニットによって作動し、このソレノイドユニットは、コントロールユニットからコイルにオン信号(通電)が出力されると、可動プランジャを介してプッシュロッドが進出移動してボール弁体が前記供給ポートの開口端を閉止すると共に、前記出力ポートとドレンポートを連通させて前記制御油室内の油圧を排出させて低圧状態とし、カムリングを偏心方向へ揺動させる。一方、コイルにオフ信号(非通電)が出力されて、可動プランジャを介してプッシュロッドが後退移動することにより、ボール弁体が前記供給ポート内に油圧によって移動してドレンポートの開口端を閉止すると共に、供給ポートと出力ポートを連通させ、これによって制御油室内を高圧状態とし、カムリングを同心方向へ揺動するようになっている。
特開2015−161248号公報
しかしながら、前記従来の電磁弁は、イグニッションスイッチをオフ操作して機関を停止した際に、前記ボール弁体が供給ポートの開口端を閉止した状態でコイルにオフ信号が出力されても、前記プッシュロッドや可動プランジャのその周辺の摺動抵抗などに起因して、前記ボール弁体が供給ポートの開口端から速やかに離間せずに閉止状態が継続されてしまう。
このため、機関内部の潤滑油やメインオイルギャラリなどの油圧回路内の潤滑油が、前記供給ポートからドレンポートを通って速やかにオイルパン内へ排出されず残留してしまう場合がある。この結果、機関停止直後あるいは短時間経過後にオイルパン内の潤滑油の油量を計測しても正確に計測することができなくなるおそれがある。
本発明は、前記従来の可変容量形ポンプの技術的課題に鑑みて案出されたもので、機関停止時におけるソレノイドへのオフ信号を、機関回転が完全に止まる前の停止初期に出力することによって、ボール弁体がポンプ吐出圧によって供給ポートの開口端から速やかに離間してフリー状態になって供給ポートとドレンポートが連通状態となることから、機関内部や油圧通路内の潤滑油を速やかに排出させることができる電磁弁を提供することを目的としている。
本発明は、とりわけ、バルブボディは、機関へ潤滑油を供給する油圧通路に連通する供給ポートを介して供給された油圧を機器類に出力する出力ポートと、オイルパンに連通するドレンポートと、を有し、前記バルブボディ内に設けられたボール弁体は、前記供給ポートとドレンポートのそれぞれの開口端に離着座して該各開口端を選択的に開閉し、ソレノイドユニットは、進出移動により前記ボール弁体を押圧して前記供給ポートの開口端を閉止して前記出力ポートとドレンポートを連通させ、後退移動により前記ボール弁体に対する押圧を解除して油圧により前記ドレンポートの開口端を閉止すると共に前記供給ポートと出力ポートとを連通させるプッシュロッドと、通電されることにより前記プッシュロッドを進出移動させるコイルと、を有する電磁弁の制御方法であって、
前記機関の停止初期に、前記コイルへの通電を遮断して前記プッシュロッドによる前記ボール弁体の押圧を解除することを特徴としている。
本発明によれば、機関停止時における機関内部や油圧回路内の潤滑油を、電磁弁を介してオイルパン内に速やかに排出させることができ、この結果、その後のオイルパン内のより正確な油量計測を行うことが可能になる。
本発明に係る電磁切換弁を可変容量形ポンプに適用した第1実施形態を示す油圧回路図である。 同可変容量形ポンプの作動説明図である。 本実施形態の電磁切換弁の縦断面図である。 同電磁切換弁の作動を示す縦断面であって、Aはコイルに通電して導入ポートを閉止した状態、Bはコイルへの通電を遮断して導入ポートを開成した状態をそれぞれ示している。 本実施形態に供されるコントロールユニットの制御フローチャート図である。 本実施形態におけるイグニッションスイッチをオフ操作した初期の電磁切換弁内での潤滑油の回り込み状態を示す図である。 第2実施形態に供されるコントロールユニットの制御フローチャート図である。
以下、本発明に係る電磁弁を自動車用内燃機関の各摺動部等に潤滑油を供給する可変容量形ポンプに適用した実施形態を図面に基づいて詳述する。
〔第1実施形態〕
まず、図1及び図2に基づいて可変容量形ポンプの構成と油圧回路の概略について説明する。
すなわち、オイルポンプ10は、図外の内燃機関の動力で回転駆動されることによって後述する複数のポンプ室14の容積変化によって発生する負圧に基づいてオイルパン1に貯留されたオイルがストレーナ2から吸入通路3を通って吸入されると共に、前記駆動力に基づき後述するポンプ要素によって加圧されたオイル(潤滑油)が吐出通路4を通じて機関の摺動部やバルブタイミング制御装置等に通ずる油圧通路であるメインオイルギャラリ5へ吐出される。なお、前記吐出通路4の下流側には周知のオイルフィルタ6が配置され、オイル内に混入してしまった異物を濾過することが可能となっている。
前記メインオイルギャラリ5の上流側には、オイルポンプ10の後述する第1、第2制御油室31,32に油圧を導く導入通路7が分岐形成され、この導入通路7には、周知のオイルフィルタ8が配置されると共に、該オイルフィルタ8の下流側が第1制御油室31と連通する第1導入通路部7aと、第2制御油室32と電磁切換弁40を介して連通する第2導入通路部7bと、にさらに分岐形成されている。
次に、前記オイルポンプ10の構成について説明すると、このオイルポンプ10は、図外の内燃機関のシリンダブロック前端部等に配置されるもので、図1及び図2に示すように、一方側が開口形成され、内部にポンプ収容室12を構成する縦断面ほぼコ字形状のポンプボディ11と、該ポンプボディ11の前記開口を閉塞する図外のカバー部材と、からなるポンプハウジングと、該ポンプハウジングに回転自在に支持され、前記ポンプ収容室12のほぼ中心部を貫通して図外のクランクシャフトにより回転駆動される駆動軸13と、前記ポンプ収容室12内に移動(揺動)可能に収容され、後述する制御油室31,32及びコイルスプリング33と協働して後述する複数のポンプ室14の容積変化量を変更する可変機構を構成するカムリング15と、該カムリング15の内周側に収容され、駆動軸13によって図1中の時計方向に回転駆動され、前記カムリング15との間に形成される複数のポンプ室14の容積を増減させることによってポンプ作用を行うポンプ要素と、後述する第2制御油室32に対する油圧の給排を制御して前記カムリング15の移動制御に供する前記電磁切換弁40と、を備えている。
ここで、前記ポンプ要素は、カムリング15の内周側に回転自在に収容され、中心部が駆動軸13の外周に結合されたロータ16と、該ロータ16の外周側に放射状に切欠形成された複数のスリット16a内にそれぞれ出没自在に収容されたベーン17と、前記ロータ16の両端部にて前記各ベーン17を内周側から支持する一対のリング部材18,18と、から構成されている。
前記ポンプボディ11は、アルミニウム合金材料によってポンプ収容室12の端壁と内周壁とが一体に形成されてなり、前記端壁のほぼ中央位置には、駆動軸13の一端部を回転自在に支持する図外の軸受孔が貫通形成されている。また、前記端壁の前記内周壁近傍の所定位置には、棒状のピボットピン19を介してカムリング15を揺動自在に支持する図外の支持穴が切欠形成されている。
前記ポンプ収容室12の内周壁には、軸受孔の中心と支持穴(ピボットピン19)の中心とを結ぶ直線(以下「カムリング基準線」という。)Mに対し上半側の領域に、カムリング15の外周部に配設される第1シール部材20が摺接可能な第1シール摺接面11aが形成されている。この第1シール摺接面11aは、前記支持穴の中心から所定半径をもって構成される円弧面状に形成されると共に、カムリング15が偏心揺動する範囲において前記第1シール部材20が常時摺接可能な周長に設定されている。同様に、前記カムリング基準線Mに対し下半側の領域にも、カムリング15の外周部に配設される第2シール部材21が摺接可能な第2シール摺接面11bが形成されている。この第2シール摺接面11bは、支持穴の中心から所定半径をもって構成される円弧面状に形成され、カムリング15が偏心揺動する範囲において第2シール部材21が常時摺接可能な周長に設定されている。
また、前記ポンプボディ11の端壁の内側面には、軸受孔の外周域に前記ポンプ要素によるポンプ作用に伴って前記各ポンプ室14の容積が拡大する領域(以下「吸入領域」という。)に開口するようにほぼ円弧凹状の吸入ポート22が、また、前記各ポンプ室14の容積が縮小する領域(以下「吐出領域」という。)に開口するようにほぼ円弧凹状の吐出部である吐出ポート23が、それぞれ軸受孔を挟んでほぼ対向する位置に形成されている。
前記吸入ポート22は、その周方向のほぼ中間位置に、後述のスプリング収容室28側へ膨出するように形成された図外の導入部が一体に設けられ、この導入部と吸入ポート22の境界部近傍には、ポンプボディ11の端壁を貫通して外部へと開口する吸入口22aが貫通形成されている。これによって、前記オイルパン1に貯留されたオイルが、前記ポンプ作用に伴って発生する負圧に基づいて吸入口22a及び吸入ポート22を介して吸入領域にある各ポンプ室14へ吸入されるようになっている。
前記吐出ポート23は、その始端部に、ポンプボディ11の端壁を貫通して外部へと開口する吐出口23aが貫通形成されている。これによって、前記ポンプ作用に基づいて加圧され吐出ポート23へと吐出されたオイルが、吐出口23aからメインオイルギャラリ5を通じて前記図外の内燃機関の各摺動部やバルブタイミング制御装置等へと供給される。
前記カバー部材は、ほぼ板状を呈し、図外の複数のボルトによりポンプボディ11の開口端面に取り付けられるものであって、ポンプボディ11の軸受孔に対向する位置には、駆動軸13の他端側を回転自在に支持する軸受孔が貫通形成されている。そして、このカバー部材の内側面にも、ポンプボディ11に形成される吸入ポート22、吐出ポート23と同様の吸入ポート、吐出ポートが対向配置されている。
前記駆動軸13は、ポンプ収容室12の端壁を貫通して外部に臨む軸方向一端部がクランクシャフトに連係され、該クランクシャフトから伝達される回転力に基づいてロータ16を図1、図2中の時計方向へ回転させるようになっている。
前記ロータ16は、中心側から径方向外側へ放射状に延びる複数のスリット16aが切欠形成されていると共に、該各スリット16aの内側基端部には、それぞれ吐出圧が導入される横断面ほぼ円形状の背圧室16bが設けられている。かかる構成によって、ロータ16の回転に伴う遠心力と背圧室16b内の圧力とによって、前記各ベーン17が外方へと押し出されるようになっている。
前記各ベーン17は、ロータ16の回転時において、各先端面がカムリング15の内周面に摺接すると共に、各基端面が前記各リング部材18,18の外周面にそれぞれ摺接するようになっている。これによって、該各ベーン17は、各リング部材18,18によってロータ16の径方向外側へと押し上げられ、機関回転数が低く、また前記遠心力や背圧室16bの圧力が小さい場合であっても、各先端がカムリング15の内周面と摺接して前記各ポンプ室14が液密に隔成されるようになっている。
前記カムリング15は、いわゆる焼結金属によりほぼ円筒状に一体形成され、その外周部の所定位置には、ピボットピン19に嵌合することによって偏心揺動支点を構成するほぼ円弧凹溝状のピボット部15aが軸方向に沿って切欠形成されている。また、このピボット部15aに対しカムリング15の中心を挟んで反対側の位置には、所定のばね定数に設定された付勢部材たるコイルスプリング33に連係するアーム部15bが径方向に沿って突設されている。なお、アーム部15bには、その移動(回動)方向の一側部に、ほぼ円弧凸状に形成された押圧突部が突設され、該押圧突部がコイルスプリング33の先端部に常時当接することによって、アーム部15bとコイルスプリング33とが連係するようになっている。
また、前記ポンプボディ11の内部には、前記支持穴と対向する位置に、スプリング収容室26が前記カムリング偏心方向線に沿うようにポンプ収容室12に隣接するかたちで設けられている。このスプリング収容室26内には、その一端壁とアーム部15bとの間に、所定のセット荷重Wにより予圧された前記コイルスプリング33が弾装されている。なお、このスプリング収容室26の他端壁はカムリング15の偏心方向の移動範囲を規制する規制部28として構成され、該規制部28にアーム部15bの他側部が当接することによって、カムリング15の偏心方向における最大移動が規制されるようになっている。
このように、前記カムリング15については、コイルスプリング33の付勢力をもって、アーム部15bを介してその偏心量が増大する方向へと常時付勢され、非作動状態では、図1に示すように、アーム部15bの他側部が規制部28へと押し付けられた状態となって、その偏心量が最大となる位置に保持されることとなる。
また、前記カムリング15の外周部には、ポンプボディ11の内周壁(内周面)によって構成される前記第1、第2シール摺接面11a,11bと同心円弧状の第1、第2シール面を有する一対の第1、第2シール構成部15c、15dが突出形成され、前記各シール構成部のシール面には、カムリング15の偏心揺動時に前記各シール摺接面11a,11bに摺接する前記第1、第2シール部材20、21がそれぞれ嵌着保持されている。
この第1、第2シール部材20、21は、例えば低摩擦特性を有するフッ素系樹脂材料によりカムリング15の軸方向に沿う直線状に形成され、それぞれ内側に配置されるバックアップ部材の弾性力に基づき前記各シール摺接面11a,11bに押し付けられることにより、当該各シール摺接面11a,11bと前記各シール面の間が液密にシールされている。
さらに、前記カムリング15の外周域には、ピボットピン19と第1、第2シール部材20とによって一対の第1、第2制御油室31,32が隔成されている。この各制御油室31,32には、前記第1、第2導入通路部7a、7bを介してポンプ吐出圧が導入され、該ポンプ吐出圧がカムリング15の対応する受圧面15e,15fに作用することで、該油圧に基づく付勢力と前記コイルスプリング33による付勢力とのバランスによってカムリング15の偏心量が制御されるようになっている。
すなわち、前記第1制御油室31には、前記導入通路7と第1導入通路部7aを介してポンプ吐出圧が常時導入されて、該ポンプ吐出圧がカムリング15の第1受圧面15eに作用することによって、カムリング15にはコイルスプリング33の付勢力に抗して偏心量が減少する方向へと移動する移動力(揺動力)が付与される。換言すれば、この第1制御油室31は、その内圧(油圧)によって、前記第1受圧面15eを介してカムリング15の同心方向への移動量制御に供するものである。
他方、第2制御油室32には、前記電磁切換弁40の通電制御(開弁制御)に基づき、前記導入通路7と第2導入通路部7bを介してポンプ吐出圧が適宜導入されて、該ポンプ吐出圧がカムリング15の第2受圧面15fに作用することによって、カムリング15にはコイルスプリング33の付勢力を助勢して偏心量が増大する方向へと移動する移動力(揺動力)が付与される。換言すれば、この第2制御油室32は、その内圧(油圧)により、前記第2受圧面15fを介してカムリングの偏心方向への移動量制御に供するものである。
ここで、前記第2受圧面15fは、その受圧面積が前記第1受圧面15eよりも小さく設定されて、両受圧面15e,15fに油圧が作用した場合は、全体として偏心量が減少する方向へとカムリング15を付勢することとなる。
したがって、前記オイルポンプ10は、コイルスプリング33のセット荷重Wに対し両制御油室31,32の油圧に基づく付勢力が小さいときは、カムリング15は図1に示すように最も偏心した状態となる一方、ポンプ吐出圧の上昇に伴い両制御油室31,32の油圧に基づく付勢力がコイルスプリング33のセット荷重Wを上回ったときは、そのポンプ吐出圧に応じてカムリング15が図2に示すように同心方向へと移動するようになっている。
前記電磁切換弁40は、非通電で開弁状態となる常開型のものが用いられ、これによって、電気系統が失陥した際にも最大油圧の確保が可能となっている。
具体的に説明すれば、図3に示すように、図外のシリンダブロックに形成されたバルブ収容孔内に圧入固定され、内部軸方向に沿って油通路45が貫通形成されたほぼ筒状のバルブボディ41と、該バルブボディ41の一端部(図3中の左側)において前記油通路45を拡径形成してなるほぼ円柱状の弁体収容室46と、該弁体収容室46の先端部に圧入固定されたほぼ筒状のシート部材42と、該シート部材42の中央に貫通形成されて、前記バルブ収容孔を介して第2導入通路部7bに連通される導入ポート47と、前記シート部材42の内端部開口縁に形成される第1バルブシート42aに対して離着座自在に設けられ、前記導入ポート47の開閉に供するボール弁体43と、前記バルブボディ41の他端部(図3中の右側)に設けられ、前記ボール弁体43を押圧するソレノイドユニット44と、から主として構成されている。
前記バルブボディ41は、ボール弁体43を収容する前記弁体収容部46が油通路45の内端部開口縁に、前記第1バルブシート42aと同様の第2バルブシート46aが形成されている。さらに、バルブボディ41の周壁のうち、先端側の一端部外周部に第2導入通路部7bの下流部7cと接続されて第2制御油室32に対する油圧の給排に供する出力ポートである給排ポート48が径方向に沿って貫通形成されている。また、その他端側となる油通路45の外周部に、前記オイルパン1と連通するドレン通路9に接続されるドレンポート49が径方向に沿って貫通形成されている。
前記ボール弁体43は、前記ソレノイドユニット44が作動しない状態(オフ状態)では、バルブスプリングなどによって第1、第2バルブシート42a、46aの一方向へ付勢されることなく、弁体収容室46の内部において所定隙間をもって自由な状態になっている。
前記ソレノイドユニット44は、前記シリンダブロックにブラケット50によって固定されており、円筒状のソレノイドケーシング50の内部に収容配置されるコイル51と、該コイル51の内周側に設けられた円筒状のコアチューブ52と、該コアチューブ52の内周に軸方向へ移動自在な円柱状の可動プランジャ53と、前記ブラケット50の摺動用孔50aと前記バルブボディ41の内部軸方向に形成された摺動用孔41a内に摺動自在に設けられて、基端部54aが前記可動プランジャ53の先端面に当接したプッシュロッド54と、前記ソレノイドケーシング50の後端部に設けられて、前記コイル51に電気的に接続されたコネクタ部55と、から主として構成されている。
前記コイル51は、コネクタ部55を介してコントロールユニット56から励磁電流が通電あるいは通電が遮断されるようになっている。コントロールユニット56は、内燃機関の油温や水温、機関回転数など所定のパラメータによって検出又は算出された機関運転状態に基づいて機関を制御していると共に、前記コイル51に通電、非通電するようになっている。
前記プッシュロッド54は、小径な先端部54bが前記油通路45内に臨んで先端縁が前記ボール弁体43に適宜当接あるいは離間するようになっている。
したがって、前記コントロールユニット56からコイル51への通電時(オン時)には、この励磁によって図4Aに示すように、可動プランジャ53が左方向へ進出移動することによりプッシュロッド54も同方向へ進出移動して先端部54bがボール弁体43を左方向へ押圧して、シート部材42側の第1バルブシート42aへと押し付ける(着座)。これによって、導入ポート47の開口端が閉止されて、該導入ポート47と給排ポート48の連通が遮断され、給排ポート48とドレンポート49が油通路45を介して連通することとなり、これにより、第2制御油室32の油圧がオイルパン1内に排出される。
一方、前記コイル51への非通電時(オフ時)には、図4Bに示すように、前記可動プランジャ53への励磁が遮断されて該可動プランジャ53には前記プッシュロッド54を押し出す力が解除される。このため、前記導入ポート47から導かれるポンプ吐出圧に基づきボール弁体43が後退移動して、該ボール弁体43がバルブボディ41側の第2バルブシート46aに押し付けられ、油通路45の開口端を閉止する。これにより、導入ポート47と給排ポート48が連通状態となると共に、給排ポート48とドレンポート49の連通が遮断されることとなる。これにより、ポンプ吐出圧が、前記第2制御油室32内に導入される。
そして、前記コントロールユニット56は、機関停止信号であるイグニッションスイッチのオフ操作を検出した場合に、このオフ操作後の停止初期の時点で前記コイル51への通電を遮断(非通電)するように制御する。その後、機関の回転が停止してオイルポンプ10の作動が停止されるようになっている。この停止初期とは、前記機関停止信号検出後であって、オイルポンプ10の回転が完全に停止する前の状態を示している。
すなわち、図5に示すように、機関停止時に、ステップS1でイグニッションスイッチIGSがオフ操作されているか否かを判別し、オフ操作されておらずオン状態にあると判別した場合は、機関駆動中であるからステップS4に移行して電磁切換弁40に対して通常の制御を継続するが、オフされていると判別した場合は、ステップS2に移行する。
このステップS2では、コントロールユニット56がコイル51への通電を即座に遮断(オフ)する。この時点では、機関が僅かながらも回転しており、その後、ステップS3に示すように、機関回転が完全に停止するようになっている。
〔オイルポンプの作用〕
以下、オイルポンプ10の作用について簡単に説明すると、このオイルポンプ10は、機関始動から低回転域までの回転域では、前記電磁切換弁40のコイル51に通電されて、オン状態になっている場合は、図4Aに示すように、ボール弁体43によって導入ポート47と給排ポート48の連通が遮断され、給排ポート48とドレンポート49が連通する。これによって、第2制御油室32には吐出圧が導入されず、第2制御油室32内のオイルが第2導入通路部7bの下流部8b及び油通路45を通じてドレンポート49よりドレン通路9を介してオイルパン1内に排出され、第1制御油室31のみに吐出圧が供給されることとなる。すると、この吐出圧に基づく同心方向の付勢力に対しコイルスプリング33による偏心方向の付勢力が上回るため、カムリング15が最大偏心状態で保持されて、吐出圧は機関回転数にほぼ比例するかたちで増大する特性となる。
その後、機関回転数が上昇して吐出圧がカムリング作動油圧に到達すると、図4Aに示すように、前記コイル51に対しては前記通電状態が維持されたまま、引き続き第1制御油室31のみに吐出圧が供給されることとなる。これによって、第1制御油室31の内圧に基づく付勢力がコイルスプリング33の付勢力Wに打ち勝ち、図2に示すように、カムリング15が同心方向へと移動を始める。その結果、吐出圧が減少することとなり、前述のカムリング15が最大偏心状態にあるときに比べて吐出圧の増加量が小さくなる。
続いて、機関回転数がさらに上昇し、第2機関要求油圧が必要になると、コントロールユニット56から前記コイル51に対する通電が遮断される。これによって、図3及び図4Bに示すように、可動プランジャ53とプッシュロッド54によるボール弁体43に対する押圧が解除されると共に、このボール弁体43が、導入ポート47から作用する吐出圧によって後退移動して第1バルブシート42aから離間して導入ポート47の開口端を開成すると共に、第2バルブシート46aに着座して、油通路45の開口端を閉止する。
これによって、導入ポート47と給排ポート48が連通される一方、給排ポート48とドレンポート49の連通が遮断され、この結果、吐出圧が第2導入通路部7bを介して第2制御油室32に導かれる。これによって、コイルスプリング33の付勢力Wと第2制御油室32の内圧に基づく付勢力との合力からなる偏心方向の付勢力が第1制御油室31の内圧に基づく同心方向の付勢力を上回って、カムリング15が偏心方向へと押し戻されて、吐出圧の増加量が再び大きくなる。
このように、前記電磁切換弁40を介して前記第2制御油室32への吐出圧を給排制御することによって、メインオイルギャラリ5に対する吐出圧を2段階に制御すると共に、ポンプ高回転時における吐出圧の急激な立ち上がりを抑制できるのである。
そして、本実施形態では、前述したように、機関停止においてイグニッションスイッチIGSをオフした直後に、コントロールユニット56によって前記コイル51への通電を遮断することにより、前記可動プランジャ53とプッシュロッド54によるボール弁体43の押圧が解除されることから、未だ完全に停止していないオイルポンプ10から僅かな吐出圧が導入ポート47からボール弁体43をプッシュロッド54方向へ押し出す。このため、前記プッシュロッド54と可動プランジャ53が速やかに後退移動して、ボール弁体43は弁体収容室46内で自由な状態になる。
そして、オイルポンプ10の回転が停止し、ボール弁体43に吐出圧が掛からなくなる状態では、ボール弁体43は、図6に示すように、弁体収容室46内で何ら拘束されることなく、自由な状態となって弁体収容室46内で第1、第2バルブシート42a、46aから離間して中間位置に移動することから、該ボール弁体43の球状外面と第1、第2バルブシート42a、46aとの間に隙間通路S1、S2が形成される。
ここで、プッシュロッド54を後退移動させるのはコイル51への通電を遮断するだけに限定されず、例えば、通電量を減少させてボール弁体43の押圧を弱める場合も含む。
したがって、機関停止直後における前記メインオイルギャラリ5や機関内の油圧通路内の潤滑油が、図6の矢印で示すように、電磁切換弁40の開口された前記導入ポート47から前記隙間通路S1,S2を通ってプッシュロッド54の先端部54bの外周に形成された前記油通路45内に流入し、ここからドレンポート49とドレン通路9を通ってオイルパン1内へ速やかに排出される。
この結果、オイルパン1内には、メインオイルギャラリ5などの油圧回路を含む機関内部の潤滑油のほぼ全てが速やかに回収されることになる。この結果、その後に行われるオイルパン1内の潤滑油の油量計測を正確に行うことができる。
〔第2実施形態〕
図7は前記コントロールユニット56による電磁切換弁40の異なる制御方法を示し、例えば、ステップS11で車速が0か否かを判別し、0でないと判別した場合はステップS14で電磁切換弁40に対して通常の制御を継続するが、車速が0であると判別した場合は、ステップS12に移行する。
ここでは、アクセル開度がオフ(0)か否かを判別し、オフではないと判別した場合は、前記ステップS14に移行するが、オフであると判別した場合は、ステップS13に移行する。
このステップS13では、前記コイル51への通電を遮断する処理を行う。
したがって、この第2実施形態においても、機関停止予兆であるアクセル開度がオフ(0)になった後に、コントロールユニット56によって前記コイル51への通電を遮断することにより、前記可動プランジャ53とプッシュロッド54によるボール弁体43の押圧が解除されることから、未だ完全に停止していないオイルポンプ10から僅かな吐出圧が導入ポート47からボール弁体43をプッシュロッド54方向へ押し出す。このため、ボール弁体43は、弁体収容室46内で自由な状態になって中間位置に移動することから、機関停止直後におけるメインオイルギャラリ5や機関内の油圧通路内の潤滑油が、図6の矢印で示すように、前記導入ポート47から前記隙間通路S1,S2を通ってプッシュロッド54の先端部54bの外周に形成された油通路45内に流入し、ここからドレンポート49とドレン通路9を通ってオイルパン1内へ速やかに排出される。
この結果、オイルパン1内には、メインオイルギャラリ5などの油圧回路を含む機関内部の潤滑油のほぼ全てが速やかに回収されることから、その後に行われるオイルパン1内の潤滑油の油量計測を正確に行うことができる。
本発明は前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば適用する油圧回路の構成や、前記各制御油室31,32の配置及び数量など、本発明の構成とは直接関係しない細部の構成は勿論、本発明の構成と直接関係する部分であっても、その形状や取り回しなど本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適用対象である機関の仕様等に応じて自由に変更することができる。
また、前記各実施形態では、電磁切換弁40の適用対象を可変容量形ポンプとしたが、これに限定されるものではなく、機関と関連する他の機器類に適用することも可能である。
10…オイルポンプ
14…ポンプ室
15…カムリング(可動部材)
16…ロータ(ポンプ要素)
17…ベーン(ポンプ要素)
21…吸入ポート(吸入部)
22…吐出ポート(吐出部)
31…第1制御油室(制御油室)
32…第2制御油室(制御油室)
33…コイルスプリング
40…電磁切換弁(電磁弁)
41…バルブボディ
42…導入ポート
43…ボール弁体
44…ソレノイドユニット
45…油通路
46…弁体収容室
47…導入ポート(供給ポート)
48…給排ポート(出力ポート)
49…ドレンポート
50…ケーシング
51…コイル
53…可動プランジャ
54…プッシュロッド
56…コントロールユニット

Claims (7)

  1. 機関へ潤滑油を供給する油圧通路に連通する供給ポートと、該供給ポートを介して供給された油圧を機器類に出力する出力ポートと、オイルパンに連通するドレンポートと、を有するバルブボディと、
    該バルブボディ内に設けられ、前記供給ポートとドレンポートのそれぞれの開口端に離着座して該各開口端を選択的に開閉するボール弁体と、
    進出移動により前記ボール弁体を押圧して前記供給ポートの開口端を閉止して前記出力ポートとドレンポートを連通させ、後退移動により前記ボール弁体に対する押圧を解除して油圧により前記ドレンポートの開口端を閉止すると共に前記供給ポートと出力ポートとを連通させるプッシュロッドと、通電されることにより前記プッシュロッドを進出移動させるコイルと、を有するソレノイドユニットと、
    を備えた電磁弁の制御方法であって、
    前記機関の停止初期に、前記コイルへの通電を遮断して前記プッシュロッドによる前記ボール弁体の押圧を解除することを特徴とする電磁弁の制御方法。
  2. 請求項1に記載の電磁弁の制御方法において、
    前記機関の停止時にイグニッションスイッチをオフした直後に、コントロールユニットから前記コイルへの通電を遮断して前記プッシュロッドによる前記ボール弁体の押圧を解除し、その後、機関の駆動が停止されることを特徴とする電磁弁の制御方法。
  3. 機関に供給される潤滑油の油圧が制御油室に導入されることによってポンプ吐出圧を可変にする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法であって、
    前記電磁弁は、機関へ潤滑油を供給する油圧通路に連通する供給ポートと、該供給ポートを介して供給された油圧を前記制御油室に出力する出力ポートと、オイルパンに連通するドレンポートと、を有するバルブボディと、
    該バルブボディ内に設けられ、前記供給ポートとドレンポートのそれぞれの開口端に離着座して該各開口端を選択的に開閉するボール弁体と、
    進出移動により前記ボール弁体を押圧して前記供給ポートの開口端を閉止させて前記出力ポートとドレンポートを連通させ、後退移動により前記ボール弁体に対する押圧を解除して油圧により前記ドレンポートの開口端を閉止すると共に前記供給ポートと出力ポートとを連通させるプッシュロッドと、通電されることにより前記プッシュロッドを進出移動させるコイルと、を有するソレノイドユニットと、を備え、
    前記機関の停止初期に、前記コイルへの通電を遮断して前記プッシュロッドによる前記ボール弁体に対する押圧を解除することを特徴とする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法。
  4. 請求項3に記載の可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法において、
    前記機関の停止時にイグニッションスイッチをオフした直後に、コントロールユニットから前記コイルへの通電を遮断または通電量を減少させて前記プッシュロッドによる前記ボール弁体の押圧を解除し、その後、機関の駆動が停止されることを特徴とする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法。
  5. 請求項3に記載の可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法において、
    機関駆動中に、前記ボール弁体がプッシュロッドによって押圧されると、前記供給ポートと出力ポートとの連通を遮断すると共に前記出力ポートとドレンポートを連通させる一方、前記ボール弁体に対するプッシュロッドによる押圧が解除されると、前記供給ポートに供給された油圧によって前記ボール弁体が後退移動して前記ドレンポートが閉止されると共に、前記供給ポートと出力ポートが連通されることを特徴とする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法。
  6. 請求項5に記載の可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法において、
    前記電磁弁は、機関低回転時には前記プッシュロッドを進出移動させてボール弁体により前記供給ポートの開口端を閉止して前記制御油室への油圧の供給を遮断する一方、機関高回転時には、前記プッシュロッドを進退あるいは後退移動させて、前記制御油室への油圧の給排を制御してポンプ吐出圧を可変制御することを特徴とする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法。
  7. 機関に供給される潤滑油の油圧が制御油室に導入されることによってポンプ吐出圧を可変にする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法であって、
    前記電磁弁は、ボール弁体を収容する弁体収容室と、該弁体収容室と機関へ潤滑油を供給する油圧通路に連通する供給ポートと、前記弁体収容室と前記制御油室に連通する出力ポートと、前記弁体収容室とオイルパンに連通するドレンポートと、を有するバルブボディと、
    進出移動により前記ボール弁体を押圧して前記供給ポートの開口端を閉止させて、前記出力ポートとドレンポートを連通させ、後退移動により前記ボール弁体に対する押圧を解除して、前記潤滑油の油圧により前記ドレンポートの開口端を閉止すると共に前記供給ポートと出力ポートとを連通させるプッシュロッドと、通電されることにより前記プッシュロッドを進出移動させるコイルと、を有するソレノイドユニットと、を備え、
    イグニッションスイッチオフ信号またはアクセル開度オフ信号を検出した後、前記可変容量形ポンプの吐出が停止する前に、前記プッシュロッドを後退移動させることを特徴とする可変容量形ポンプに用いられる電磁弁の制御方法。
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