JP2017166241A - 近接目視装置システム - Google Patents

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【課題】構造物の劣化状況等を調査するためのデータ収集するカメラを搭載した無人飛行体システムであって、撮像の安定性が確保でき、装置の安全性(落下防止)やプライバシー保護にも配慮できる近接目視装置システムを提供する。【解決手段】調査対象の構造物を構成する一部部材を取り囲む本体フレーム10を有し、本体フレーム10に、プロペラ及び同プロペラに回転力を与える駆動部から成る推進装置11と、調査部位の画像を撮影するカメラ12とを搭載する。さらにこれら推進装置11とカメラ12を遠隔操作する操作機構を備える。推進装置11を操作して、構造物を構成する一部部材をガイド部として、長手方向に沿って本体フレーム10を前後に移動させるとともに、ガイド部の直交方向に本体フレーム10の位置を調整して、本体フレーム10の前後移動に障害となるボルトやリブ等の突起物を回避させる。【選択図】図1

Description

本発明は、カメラを搭載した装置を遠隔操作により対象物の特定箇所に接近させ、撮影画像により、その部分の状況を確認する近接目視装置システムに関するもので、例えば建設や土木分野における既設構造物の点検作業に用いることができるものである。
建設後何十年も経った構造物の補修・保全のためには、先ずはその構造物の劣化や損傷の状況を点検する必要がある。例えば、平成26年度の国土交通省令では、既存道路橋の定期点検を5年毎に実施することを義務付けており、その点検方法は近接目視を基本とし、必要に応じて触診や打撃音による非破壊検査を併用することとされている。
従って、点検のための足場設置や交通規制等が必要となり、また、点検者が点検個所まで接近でき、かつ安全に作業ができるようにする必要があるなど、多くの課題がある。また、上記点検義務対象となる橋梁は全国に約70万橋もあると言われているので、点検作業効率の向上も図る必要がある。
以上のような状況もあり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、平成26年度から橋梁維持管理技術の現場検証・評価のための技術開発推進に取り組んでおり、近接目視点検の手段としてドローンを利用する技術も含めて検討がなされている。
一般的な従来方法では人が近接点検するための足場設置や交通規制を必要とするので、点検者が点検箇所に直接行かないで済む方法として、点検機器を、事前に敷設した専用レール上を遠隔操作にて走行させて点検箇所を撮像する方法等も考案されていた。
また、これら従来方法に対して、ドローンの活用は、足場設置や交通規制或いは専用レール敷設のような課題を解決できる可能性があるが、一方では、如何にして所定の場所でドローンの姿勢を安定させて撮像させるか、橋の下ではGPSが使えない、或いは、ドローンの落下防止や近隣民家等のプライバシー保護など、課題は多いのが実情である。
劣化状況点検を効率的に実施する先行技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2がある。
特許文献1は、カメラを搭載した無人飛行体を、予め設定したルートに沿って自律飛行させ、前記無人飛行体と撮影対象物との距離を自動測定して、カメラのズーム倍率を決定して撮影すると共に、飛行中にカメラの向きを変位させながら映像データを取り込む空撮方法とその装置に関するものである。これによると、オペレータはカメラの操作をする必要がないので、従来2人必要であったオペレータが1人で済み、また、目視操縦できる範囲を超えた遠方まで空撮が可能になるとしている。
特許文献2は、撮影装置を備えた空中移動機器(所謂ドローン)を用いて、橋梁の損傷状態を調査するシステムであって、空中移動機器から送信された撮影データを受信して、リアルタイムに分析することができるとしている。
しかし、これら特許文献1及び特許文献2では、無人飛行体(空中移動機器)は空中に浮遊した状態で撮影するので、風の影響を受けやすく、また操作ミス等による落下が懸念され、また、住宅地等ではプライバシー侵害の問題もあった。
特許文献以外では、例えば非特許文献1において、車輪を付けたドローンが紹介されており、その車輪を壁や天井に接触させることで姿勢を安定させて撮影を可能にしている。
また、非特許文献2では、ドローンの機体を橋脚や橋の裏側に押し当てながら、金属棒でコンクリート面を小刻みにたたいて音の変化からコンクリート内部のひび割れを調べるシステムが紹介されている。
しかし、これらは、天井や壁等にドローンの機体を押し付けて接触させただけなので、落下の危険性は回避されていない。
従って、これらの開示されている先行技術では、必ずしも前記の課題は解決されず、また、解決のための示唆もない。
特開2006−027448号公報 特開2015−034428号公報
「〔忍者UAV〕空・陸・水どこでも移動できる忍者ロボット。ヘリコプターに大きい車輪を付けたのがみそ!」、[平成27年11月9日検索]、インターネット(URL:http://qwfhp.blog.fc2.com/blog-entry-2649.html) 「ドローン、橋たたき点検 NECなど開発 高所のひび特定、スムーズに」、日本経済新聞(夕刊)、2014年10月25日付
本発明は、点検者が構造物の劣化状況等を調査するために危険な高所等に上らなくてもデータ収集できるカメラを搭載した無人飛行体システムであって、撮像の安定性が確保でき、装置の安全性(落下防止)やプライバシー保護にも配慮できる、近接目視装置システムを提供することを目的としたものである。
本発明は、調査対象の構造物を構成する一部部材を取り囲む本体フレームを有し、前記本体フレームに、プロペラ及び同プロペラに回転力を与える駆動部から成る推進装置と、調査部位の画像を撮影するカメラとを搭載してなり、さらにこれら推進装置とカメラを遠隔操作する操作機構を備える近接目視装置システムであって、前記操作機構により前記推進装置を操作して、前記構造物を構成する一部部材をガイド部として、そのガイド部の長手方向に沿って前記本体フレームを前後に移動させるようにするとともに、前記ガイド部の直交方向に前記本体フレームの位置を調整して、前記本体フレームの前後移動に障害となるボルトやリブ等の突起物を回避させるようにしたことを特徴とする、近接目視装置システムである。
また、本発明において、前記構造物を構成する前記ガイド部としての一部部材との接触による前記本体フレームの円滑移動阻害を回避し、かつ前記ガイド部からの脱落防止の役目をする、車輪やそり等のガイド部品を備えるようにしてもよい。
本発明は以上のような構成であるので、本体フレームを調査対象の構造物を構成する部材を取り囲むようにして設置した後、推進装置のプロペラの回転により空中に浮遊させつつ、遠隔操作によって前記構造物を構成する部材の長手方向に沿って、本体フレームを前後に移動させることができ、その時、本体フレームの進行方向にあるボルトやリブ等の突起物と本体フレームとの接触も回避が可能となる。
また、仮に前記突起物と本体フレームとの接触があっても、車輪やそり等のガイド部品を設ければ、ガイド部品が円滑な移動を補助すると共に、本体フレームが前記部材から脱落することを防止することができる。
本発明は、以上のような手段によって、調査対象の構造物を近接目視するので、次のような効果が得られる。
(1)橋梁等の点検調査において従来は必要であった点検用足場や点検機器専用のレール等が不要である。
(2)点検作業のために従来必要であった交通規制が大幅に減らせる。
(3)高所や危険箇所に人が行くことなく、推進装置によって橋桁の障害物(添接板、ボルト、リブプレート等)を回避しながら、遠隔操作で画像を通して対象部分の状況を確認できるので、省力化と安全性向上が図れる。
(4)従来のドローンを用いた撮像では、風の影響やGPS障害による機体の不安定化、点検部材とドローンとの接触、或いは機体落下が発生することがあったが、本発明は、構造物に本体フレームを添わせて安定化(特定位置での固定も可能)と落下防止を図っており、必ずしもGPSを使用する必要もないので、そのような問題は発生しにくい。
(5)本体フレームには、カメラのみでなく打音点検装置等も搭載可能であり、多機能化による省力化が可能である。
(6)本発明は、トータルステーションやレーザ照射による測定位置指定も可能である。
(7)本発明では、カメラの撮影可能範囲を確実に一定方向に限定することが可能なので、第3者のプライバシー侵害を犯す可能性が減る。
(8)本発明は、鋼橋に限らず橋桁にフランジまたはフランジ状の突出部があれば、RC橋やPC橋にも適用でき、更には鉄塔や建築構造物にも応用可能である。
本発明の第1実施例として、鋼橋のH形断面の橋桁に設置した状態を示す模式図であり、(a)及び(b)はそれぞれ(c)のA断面視及びB断面視、(c)は側立面図、(d)は(c)のイ断面視である。 本発明の第2実施例として、鋼橋のH形断面の橋桁に設置した状態を示す模式図であり、(a)及び(b)はそれぞれ(c)のC断面視及びD断面視、(c)は側立面図、(d)は(c)のロ断面視である。 本発明の第3実施例として、鋼橋のボックス形断面の橋桁に設置した状態を示す模式図であり、(a)及び(b)は断面図、(c)は推進装置の別方式を示す模式図である。 本発明の第4実施例として、平行な2本の橋桁に設置した本体フレームを連結した状態を示す模式図の断面図である。 本発明の第5実施例として、鉄塔の柱に設置した状態を示す模式図であり、(a)は立面視、(b)及び(c)は(a)のハ断面視である。
本発明を、鋼橋の橋桁を調査対象として適用した場合について、図1乃至図4を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例を示し、H形断面の橋桁1の下フランジ2に本発明を設置した状態である。図1(a)及び図1(b)は、橋桁1の側立面を示す図1(c)のA断面視及びB断面視であり、図1(d)は図1(c)の下フランジ2を見下げたイ断面視である。
本発明の第1実施例は、図1(a)に図示のように、上部に開口部を持つ本体フレーム10の開口端部に車輪13、13が取付いており、本体フレーム10の下部にプロペラ式の推進装置11、11、・・・が複数設置されている。この本体フレーム10を、図示のように、橋桁1の下フランジ2を囲むように取付け、車輪13、13により下フランジ2に懸垂されるように設置する。
本体フレーム10の下部と両側にはそれぞれカメラ12、12、・・・が固定され、それらのカメラ12により下フランジ2の下面と、橋桁1の両側面の状態を撮影できるようになっている。なお、図中、各カメラ12から伸びている2本の破線は、各カメラの撮影範囲を表現したものである。
本発明の第1実施例はこのような構成であるので、使用する時は、橋桁1の長手方向に沿って、遠隔操作により推進装置11、11、・・・のプロペラを回転させて移動しながら、カメラ12、12、・・・にて撮影をする。本体フレーム10は車輪13、13、・・・により橋桁1の下フランジ2から脱落せず、また車輪13、13、・・・は下フランジ2上面に接触しても、回転しながら本体フレーム10が移動するので、安定した撮影姿勢の保持が可能となる。なお、本体フレーム10と下フランジ2の両側との隙間に、柔らかいばね付きのガイド材14、14、・・・を設置すれば、本体フレーム10が左右にずれることを防ぐことができる。
橋桁1の下フランジ2の接合部には添接板2aとボルト(図示せず)があるため、本体フレーム10が接合部を通過するのに障害となる。その場合には、図1(b)に図示のように、推進装置11、11、・・・を遠隔操作して、本体フレーム10を若干浮上させつつ、添接板2aとボルトを回避して、前進させる。本体フレーム10の下部と下フランジとの間には、本体フレーム10を浮上させた時、下フランジ2と直接接触しないように、下部ガイド車輪14a、14aを設けている。
図2は本発明の第2実施例を示し、H形断面の橋桁1の下フランジ2に本発明を設置した状態である。図2(a)及び図2(b)は、橋桁1の側立面を示す図2(c)のC断面視及びD断面視である。図2(d)は図2(c)のロ断面視である(但し、図2(c)には、図2(d)の中央図に対応する側面図は表示せず)。第2実施例では、車輪13、13の支持部13a、13aを弱い弾性体(ばね等)としたものである。
橋桁1の下フランジ2に沿って本体フレーム10が移動するのに障害となるものとして、前記接合部の添接板2aとボルトだけでなく、図2(b)及び図2(c)に図示のように、リブプレート3aがある。そこで、図2(d)に図示のように、リブプレート3a、3aと車輪13、13、・・・が接触しても本体フレーム10が前進できるように、相対する車輪13と13との間隔がリブプレート幅以上に開くように、車輪13の断面形をそり状に形成した。
即ち、図2(d)の右端図の状態では、相対する車輪13と13との間隔は、2枚のリブプレート3a、3aの幅よりも狭いが、車輪13、13がリブプレート3a、3aに接触すると、車輪13、13の支持部13a、13aは弱い弾性体なので、図2(d)の中央図のように、車輪13、13は傾斜して開き、さらに本体フレーム10を前進させると、図2(d)の左端図のように支持部13a、13aが縮み、相対する車輪13、13の間隔はリブプレート3a、3aの外縁まで押し広げられ、リブプレート3a、3aを通過することができる。
図3は本発明の第3実施例を示す。橋桁1がボックス形断面の場合であり、基本的な構成は、図3(a)に図示のように、実施例1もしくは2と同じだが、本体フレーム10上部の車輪13、13相互間隔が、ボックス断面の幅に合わせて広くなっている。図3(b)に図示のように、下フランジ2の接合部の添接板2aとボルト(図示せず)を回避するには、推進装置11、11、・・・を遠隔操作して、本体フレーム10を若干浮上させる。
また、橋桁1断面がH形断面の時のように下フランジ幅2の跳ね出し幅が広くないので、橋桁1の軸直交方向のずれによる脱落を防止するため、図3(b)に図示のように、本体フレーム10の両側に伸縮可能なシリンダー14、14を設けることもできる。撮影時に本体フレーム10を静止させ、このシリンダー14、14を伸ばし、橋桁1の下フランジ2を挟み込んで本体フレーム10を固定すれば、ブレのない鮮明な画像を撮影することができる。更に、本体フレームを固定することにより、触診や打撃音試験を実施することも可能になる。
なお、図3(c)は、推進装置11、11、・・・を本体フレーム10に固定しない方法の模式図であり、複数の推進装置11(本実施例では4つ)を取り付けた天秤フレーム15が、本体フレーム10にヒンジ16を介して連結されている。ヒンジ16は回転自在なので、天秤フレーム15を傾斜させることにより、本体フレーム10の前後、左右への移動が容易になる利点がある。
図4は本発明の第4実施例を示し、実施例1又は実施例2の本体フレーム10を連結材17にて連結したものであり、ほぼ同じ橋桁1、1が平行の場合に適用できる。連結材17の任意位置にカメラ12を移動可能なように設置することもできるので、橋床版4の下面の広い範囲を撮影することも可能である。
また、図示しないが、第4実施例を実施例3のようなボックス形断面の橋桁に対しても適用できることは勿論である。
以上は鋼橋の橋桁に適合した形態の実施例であったが、本発明を鉄塔に適合させた場合の第5実施例を図5に示す。図5(a)は立面視、図5(b)、(c)は図5(a)のハ断面視を示す。
図5は、柱21が鋼管で構成され、部材24、24、・・・がガセットプレート23を介して柱21に接合された鉄塔20の例であり、柱21はフランジ継手22、22で軸方向に接続されている。
図5(a)、(b)に図示のように、部材24、24の外側で柱21を囲む本体フレーム10は、柱21に接触させて本体フレーム10の姿勢を安定させる車輪13,13、・・・を有し、本体フレーム10の下部にプロペラ式の推進装置11、11、・・・とカメラ12、12、・・・が複数設置されている。
本発明の第5実施例はこのような構成であるので、使用する時は、柱21の長手方向に沿って、遠隔操作により推進装置11、11、・・・のプロペラを回転させて、図5(a)の矢印方向に移動しながら、カメラ12、12、・・・にて撮影をする。本体フレーム10は、車輪13、13、・・・により柱21の3方から接触しながら、移動するので安定性を確保できる。
本体フレーム10がフランジ継手22の位置に差し掛かった場合は、図5(c)に図示のように、本体フレーム10は柱21から一時的に離脱し、フランジ継手22をかわした後、再び柱21に車輪13、13、・・・を柱21の3方から接触させて姿勢を安定させる。
第5実施例では、鉄塔20の上下方向に本体フレーム10を移動させるため、前記橋梁の場合の実施例1〜4のような落下防止機能は、別途考慮が必要という弱点はあるが、点検のために人が鉄塔に登る必要がなく、また、カメラの向きを固定できるので、市街地での周辺プライバシー保護にも配慮することができる。
本発明は、従来方法でドローンを使った場合の課題を解決し、人が直接構造物に登って近接目視することなく、調査対象の劣化や損傷状況をカメラによって撮影することが容易にできるので、大量にストックされている既存構造物の補修、保全に貢献するところ大である。
1 :橋桁
2 :下フランジ
2a:添接板
3 :ウェブ
3a:リブプレート
4 :橋床版
10 :本体フレーム
11 :推進装置
12 :カメラ
13 :車輪
13a:支持部
14 :ガイド材
14a:下部ガイド車輪
15 :天秤フレーム
16 :ヒンジ
17 :連結材
20 :鉄塔
21 :柱
22 :フランジ継手
23 :ガセットプレート
24 :部材

Claims (3)

  1. 調査対象の構造物を構成する一部部材を取り囲む本体フレームを有し、前記本体フレームに、プロペラ及び同プロペラに回転力を与える駆動部から成る推進装置と、調査部位の画像を撮影するカメラとを搭載してなり、さらにこれら推進装置とカメラを遠隔操作する操作機構を備える近接目視装置システムであって、前記操作機構により前記推進装置を操作して、前記構造物を構成する一部部材をガイド部として、そのガイド部の長手方向に沿って前記本体フレームを前後に移動させるようにするとともに、前記ガイド部の直交方向に前記本体フレームの位置を調整して、前記本体フレームの前後移動に障害となる突起物を回避させるようにしたことを特徴とする、近接目視装置システム。
  2. 請求項1記載の近接目視装置システムにおいて、前記構造物を構成する前記ガイド部としての一部部材との接触による前記本体フレームの円滑移動阻害を回避し、かつ前記ガイド部からの脱落防止の役目をするガイド部品を備えていることを特徴とする近接目視装置システム。
  3. 請求項1または2記載の近接目視装置システムにおいて、さらに、前記本体フレームを、前記本体フレームが取り囲む前記構造物を構成する前記ガイド部としての一部部材に固定する固定装置を備えていることを特徴とする近接目視装置システム。
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